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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】熱交換器および冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/02 20060101AFI20241126BHJP
   F28F 9/24 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
F28F9/02 301Z
F28F9/24
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023522035
(86)(22)【出願日】2021-05-18
(86)【国際出願番号】 JP2021018753
(87)【国際公開番号】W WO2022244091
(87)【国際公開日】2022-11-24
【審査請求日】2023-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】日本キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 祥太
(72)【発明者】
【氏名】畠田 崇史
(72)【発明者】
【氏名】是澤 亮輔
【審査官】梶本 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-292070(JP,A)
【文献】特開2009-097838(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 9/00-9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒が流れる冷媒流路が形成された複数の熱交換チューブと、
前記熱交換チューブの端部に設けられたヘッダと、
を備え、
前記ヘッダは、少なくとも1つの前記熱交換チューブと連通する複数の空間流路と、
複数の前記空間流路のうち2以上の前記空間流路からの前記冷媒を合流し、他の2以上の前記空間流路に分配する合流分配流路と、が形成され
前記合流分配流路は、複数の前記空間流路のうち2以上からの前記冷媒を合流させる合流流路と、前記合流流路から分岐した複数の分岐流路と、を備え、
複数の前記分岐流路は、前記合流流路からの前記冷媒を他の複数の前記空間流路にそれぞれ分配する、
熱交換器。
【請求項2】
前記合流分配流路は、前記冷媒が流通する狭小部を有し、
前記狭小部は、次の式を満たす、請求項1記載の熱交換器。
D1>2300μA1/W1
(D1は、前記狭小部の水力相当直径[m]である。μは、前記冷媒の粘度[Pa・s]である。A1は、前記狭小部の断面積[m]である。W1は、前記狭小部を流れる前記冷媒の質量流量[kg/s]である。)
【請求項3】
複数の前記熱交換チューブのうち少なくとも一部は、複数段に配置され、
前記合流流路は、上下方向に沿って形成され、前記合流流路の長さは、複数段に配置された前記熱交換チューブのピッチより長い、請求項1または2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記分岐流路の基端を含む部分は、前記合流流路からの前記冷媒の流れ方向を変換する方向変換部であり、
前記方向変換部は、前記合流流路の先端における延在方向に直交し、
前記方向変換部の長さは、前記合流流路の先端における内径より長い、請求項1~3のうちいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項5】
複数の前記分岐流路の、次に示すFpの偏差(絶対値)は、20%以下である、請求項1~4のうちいずれか1項に記載の熱交換器。
【数1】
(Lは前記分岐流路の長さ[m]を示す。Gは前記合流流路における前記冷媒の質量流束[kg/s/m]を示す。Dは前記分岐流路の水力相当直径[m]を示す。)
【請求項6】
前記ヘッダの、前記分岐流路と前記空間流路との間に、空隙部が形成されている、請求項1~5のうちいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項7】
請求項1~6のうちいずれか1項に記載の熱交換器を有する、冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、熱交換器および冷凍サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッダ型の熱交換器は、複数の熱交換チューブと、ヘッダとを持つ。熱交換チューブは、冷媒流路を有する。ヘッダは、熱交換チューブの端部に設けられる。ヘッダは、冷媒が流れる流路を有する。
例えば、熱交換チューブが複数列に配置される場合などには、複数の熱交換チューブにおいて熱負荷の差異が生じることがある。この場合、一部の熱交換チューブで熱負荷が過大となることなどによって、熱交換器の熱交換効率が低くなる可能性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-313115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、熱交換効率を高めることができる熱交換器および冷凍サイクル装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の熱交換器は、複数の熱交換チューブと、ヘッダと、を持つ。前記熱交換チューブは、冷媒が流れる冷媒流路が形成されている。前記ヘッダは、前記熱交換チューブの端部に設けられている。前記ヘッダは、複数の空間流路と、合流分配流路と、が形成されている。複数の前記空間流路は、少なくとも1つの前記熱交換チューブと連通する。前記合流分配流路は、複数の前記空間流路のうち2以上の前記空間流路からの前記冷媒を合流し、他の2以上の前記空間流路に分配する。前記合流分配流路は、合流流路と、複数の分岐流路と、を持つ。前記合流流路は、複数の前記空間流路のうち2以上からの前記冷媒を合流させる。複数の前記分岐流路は、前記合流流路から分岐する。複数の前記分岐流路は、前記合流流路からの前記冷媒を他の複数の前記空間流路にそれぞれ分配する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態の冷凍サイクル装置の概略構成図。
図2】第1の実施形態の熱交換器の斜視図。
図3】第1の実施形態の熱交換器の分解斜視図。
図4】第1の実施形態の熱交換器の第1ヘッダの中間板の平面図。
図5】第2の実施形態の熱交換器の第1ヘッダの中間板の平面図。
図6】第3の実施形態の熱交換器の第1ヘッダの中間板の平面図。
図7】第4の実施形態の熱交換器の第1ヘッダの中間板の平面図。
図8】第4の実施形態の熱交換器の第1ヘッダの中間板の拡大した平面図。
図9】第5の実施形態の熱交換器の第1ヘッダの中間板の平面図。
図10】第6の実施形態の熱交換器の第1ヘッダの中間板の平面図。
図11】第7の実施形態の熱交換器の第1ヘッダの中間板の平面図。
図12】第8の実施形態の熱交換器の第1ヘッダの中間板の平面図。
図13】第9の実施形態の熱交換器の第1ヘッダの中間板の平面図。
図14】比較形態の熱交換器の第1ヘッダの中間板の平面図。
図15】比較形態の熱交換器の第1ヘッダの中間板の拡大した平面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の熱交換器および冷凍サイクル装置を、図面を参照して説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、実施形態の冷凍サイクル装置の概略構成図である。
図1に示すように、冷凍サイクル装置1は、圧縮機2と、四方弁3と、室外熱交換器(熱交換器)4と、膨張装置5と、室内熱交換器(熱交換器)6と、を備える。冷凍サイクル装置1の構成要素は、配管7によって接続されている。図1では、冷房運転時の冷媒(熱媒体)の流通方向は実線矢印で示す。暖房運転時の冷媒の流通方向は破線矢印で示す。
【0009】
圧縮機2は、圧縮機本体2Aと、アキュムレータ2Bと、を備える。圧縮機本体2Aは、内部に取り込まれる低圧の気体冷媒を圧縮して高温・高圧の気体冷媒にする。アキュムレータ2Bは、気液二相冷媒を分離して、気体冷媒を圧縮機本体2Aに供給する。
【0010】
四方弁3は、冷媒の流通方向を逆転させ、冷房運転と暖房運転とを切り替える。冷房運転時に、冷媒は、圧縮機2、四方弁3、室外熱交換器4、膨張装置5、室内熱交換器6の順に流れる。このとき、室外熱交換器4は凝縮器として機能する。室内熱交換器6は蒸発器として機能する。
【0011】
暖房運転時に、冷媒は、圧縮機2、四方弁3、室内熱交換器6、膨張装置5、室外熱交換器4の順に流れる。このとき、室内熱交換器6は凝縮器として機能する。室外熱交換器4は蒸発器として機能する。
【0012】
凝縮器は、圧縮機2から吐出される高温・高圧の気体冷媒を、外気へ放熱させて凝縮させることにより、高圧の液体冷媒にする。膨張装置5は、凝縮器から送り込まれる高圧の液体冷媒の圧力を下げ、低温・低圧の気液二相冷媒にする。蒸発器は、膨張装置5から送り込まれる低温・低圧の気液二相冷媒を、外気から吸熱させて気化させることにより、低圧の気体冷媒にする。
【0013】
冷凍サイクル装置1では、作動流体である冷媒は気体冷媒と液体冷媒との間で相変化しながら循環する。冷媒は、気体冷媒から液体冷媒に相変化する過程で放熱する。冷媒は、液体冷媒から気体冷媒に相変化する過程で吸熱する。冷凍サイクル装置1は、冷媒の放熱または吸熱を利用して、暖房、冷房、除霜などを行う。
【0014】
図2は、第1の実施形態の熱交換器の斜視図である。図2に示すように、この熱交換器は、冷凍サイクル装置1の室外熱交換器4および室内熱交換器6(図1参照)のうち一方または両方として使用される。以下、実施形態の熱交換器が、冷凍サイクル装置1の室外熱交換器4(図1参照)として使用される場合を例にして説明する。
【0015】
図2および図3に即して、熱交換器4の位置関係を仮に規定する。X方向、Y方向およびZ方向は、以下のように定義される。Z方向は、第1ヘッダおよび第2ヘッダの長手方向(延在方向)である。例えば、Z方向は鉛直方向である。+Z方向は上方向(高さ方向)である。X方向は、熱交換チューブの中心軸方向(延在方向)である。例えば、X方向は水平方向である。+X方向は第2ヘッダから第1ヘッダに向かう方向である。Y方向は、X方向およびZ方向に垂直な方向である。Y方向は水平方向である。YZ平面は、Y方向とZ方向とによって形成される平面である。
【0016】
熱交換器4は、第1ヘッダ10と、第2ヘッダ20と、複数の熱交換チューブ(伝熱管)30と、を有する。
第1ヘッダ10は、熱交換チューブ30の+X方向の端部に接続される。第2ヘッダ20は、熱交換チューブ30の-X方向の端部に接続される。
【0017】
第1ヘッダ10および第2ヘッダ20は、YZ平面と平行な平板状に形成される。本実施形態では、X方向から見て、第1ヘッダ10および第2ヘッダ20は矩形状である。第1ヘッダ10および第2ヘッダ20の形状は、長手方向がZ方向に沿う長方形状である。第1ヘッダ10および第2ヘッダ20は、熱伝導率が高く、かつ比重が小さい材料で形成される。「熱伝導率が高く、かつ比重が小さい材料」としては、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属が挙げられる。
【0018】
図3は、第1の実施形態の熱交換器の分解斜視図である。図3に示すように、第1ヘッダ10は、内端板(第2端板)11と、中間板14と、外端板(第1端板)17と、を備える。内端板11は、中間板14の-X方向側の面に重ねられる。外端板17は、中間板14の+X方向側の面に重ねられる。
【0019】
図4は、中間板14の平面図である。図4に示すように、中間板14は、複数の空間流路16(16A,16B,16G,16H)と、空間流路116とを有する。空間流路16,116は、冷媒の流路となる。空間流路16,116は、中間板14を厚さ方向に貫通する貫通孔により形成される。空間流路16,116の開口は、内端板11および外端板17により閉止される(図3参照)。空間流路116は、合流分配流路の一例である。
【0020】
複数の空間流路16は、第1空間流路16A、第2空間流路16B、第3空間流路16Gおよび第4空間流路16Hを含む。空間流路16は、X方向から見て長円形状とされている。「長円形状」は、互いに平行かつ向かい合う2つの直線と、2つの曲線とで構成される形状である。曲線は、2つの直線の端部どうしをそれぞれ結ぶ湾曲凸状(例えば半円状、楕円弧状など)である。空間流路16の長径方向はY方向と平行である。複数の空間流路16は、互いに離間して形成されている。複数の空間流路16は互いに同じ形状である。
【0021】
第1空間流路16Aおよび第2空間流路16Bは、Y方向に間隔をおいて、Y方向に並んで形成されている。第2空間流路16Bは、第1空間流路16Aに対して+Y方向側に位置する。
【0022】
空間流路116は、第1空間流路16Aおよび第2空間流路16Bに対して低い位置にある。空間流路116は、第1空間流路16Aおよび第2空間流路16Bに対して-Z方向側に離れて位置する。空間流路116は、X方向から見て長円形状とされている。空間流路116の長径方向はY方向と平行である。空間流路116の長径は、空間流路16の長径より大きい。
【0023】
第3空間流路16Gおよび第4空間流路16Hは、空間流路116に対して低い位置にある。第3空間流路16Gおよび第4空間流路16Hは、空間流路116に対して-Z方向側に離れて位置する。第3空間流路16Gおよび第4空間流路16Hは、Y方向に間隔をおいて、Y方向に並んで形成されている。第4空間流路16Hは、第3空間流路16Gに対して、+Y方向側に位置する。
【0024】
内端板11には、空間流路16(16A,16B,16G,16H)に相当する位置に、それぞれ1つの貫通孔41が形成されている。貫通孔41は、Y方向に沿うスリット状とされている。貫通孔41には、熱交換チューブ30の+X方向の端部が挿入される。熱交換チューブ30の+X方向の端部は、空間流路16に開口する。そのため、空間流路16は、それぞれ1つの熱交換チューブ30の冷媒流路34と連通する。
【0025】
内端板11の、空間流路16A,16B,16G,16Hに相当する位置に形成された貫通孔41をそれぞれ貫通孔41A,41B,41G,41Hという。
【0026】
内端板11には、空間流路116に相当する位置に、4つの貫通孔41が形成されている。貫通孔41には、熱交換チューブ30の+X方向の端部が挿入される。熱交換チューブ30の+X方向の端部は、空間流路116に開口する。そのため、空間流路116は、4つの熱交換チューブ30の冷媒流路34と連通する。
【0027】
空間流路116に形成された4つの貫通孔41は、それぞれ貫通孔41C,41D,41E,41Fである。貫通孔41C,41Dは、Y方向に間隔をおいて、Y方向に並んで形成されている。貫通孔41Dは、貫通孔41Cに対して+Y方向側に位置する。貫通孔41E,41Fは、貫通孔41C,41Dに対して-Z方向側に離れて位置する。貫通孔41E,41Fは、Y方向に間隔をおいて、Y方向に並んで形成されている。貫通孔41Fは、貫通孔41Eに対して+Y方向側に位置する。
【0028】
貫通孔41A,41C,41E,41Gは、Z方向に間隔をおいてこの順に並ぶ。貫通孔41B,41D,41F,41Hは、Z方向に間隔をおいてこの順に並ぶ。貫通孔41A~41Hに挿入される熱交換チューブ30を、それぞれ熱交換チューブ30A~30Hという。
【0029】
図3に示すように、外端板17には、2つの貫通孔42が形成されている。貫通孔42には、それぞれ管状の第1冷媒ポート51が挿入される(図2参照)。一方の第1冷媒ポート51の端部は、第3空間流路16Gに開口する。他方の第1冷媒ポート51の端部は、第4空間流路16Hに開口する。これらの開口は、冷媒を熱交換器4に導入する導入部、または冷媒を熱交換器4から導出する導出部となる。
【0030】
外端板17には、2つの貫通孔43が形成されている。貫通孔43には、それぞれ管状の第2冷媒ポート52が挿入される(図2参照)。一方の第2冷媒ポート52の端部は、第1空間流路16Aに開口する。他方の第2冷媒ポート52の端部は、第2空間流路16Bに開口する。これらの開口は、冷媒を熱交換器4に導入する導入部、または冷媒を熱交換器4から導出する導出部となる。
【0031】
第2ヘッダ20は、一対の小ヘッダ20A,20Bを有する。小ヘッダ20A,20Bは、Y方向に並んで配置される。小ヘッダ20A,20Bは、内端板21と、中間板24と、外端板27と、を有する。内端板21は、中間板24の+X方向側の面に重ねられる。外端板27は、中間板24の-X方向側の面に重ねられる。
【0032】
中間板24は、複数の空間流路(図示略)を有する。これらの空間流路は、冷媒の流路となる。これらの空間流路は、中間板24を厚さ方向に貫通する貫通孔により形成される。これらの空間流路の開口は、内端板21および外端板27により閉止される。
【0033】
熱交換チューブ30は、偏平管状に形成される。すなわち、熱交換チューブ30は、Z方向の寸法に比べてY方向の寸法が大きい。熱交換チューブ30の、長さ方向に直交する断面(YZ断面)の形状は、長円形状である。熱交換チューブ30は、X方向に延在する。熱交換チューブ30の内部には、冷媒流路34が形成されている。熱交換チューブ30は、熱伝導率が高く、かつ比重が小さい材料で形成される。「熱伝導率が高く、かつ比重が小さい材料」としては、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属が挙げられる。
【0034】
複数の熱交換チューブ30の少なくとも一部は、Z方向に間隔をおいて並列配置される。詳しくは、第1ヘッダ10の貫通孔41A,41C,41E,41Gに接続される4つの熱交換チューブ30(30A,30C,30E,30G)は、Z方向に間隔をおいて並んで配列されている。すなわち、4つの熱交換チューブ30(30A,30C,30E,30G)は、複数段(4段)に配置されている。第1ヘッダ10の貫通孔41B,41D,41F,41Hに接続される4つの熱交換チューブ30(30B,30D,30F,30H)は、Z方向に間隔をおいて並んで配列されている。すなわち、4つの熱交換チューブ30(30B,30D,30F,30H)は、複数段(4段)に配置されている。
【0035】
8つの熱交換チューブ30は、2列に配列されている。8つの熱交換チューブ30は、X方向から見て、2×4のマトリックス状に並んで配置されている。熱交換チューブ30A,30C,30E,30Gを、第1列の熱交換チューブ30という。熱交換チューブ30B,30D,30F,30Hを、第2列の熱交換チューブ30という。
なお、複数の熱交換チューブ30が形成する列の数は、2に限らない。複数の熱交換チューブ30が形成する列の数は、複数(2以上の任意の数)であってよい。
【0036】
熱交換チューブ30の-X方向の端部は、第2ヘッダ20に形成された貫通孔45に挿入される。これにより、熱交換チューブ30の冷媒流路34の-X方向の端部は、第2ヘッダ20の空間流路に開口する。そのため、第2ヘッダ20の空間流路は、熱交換チューブ30の冷媒流路34と連通する。
【0037】
第1ヘッダ10と熱交換チューブ30との隙間、および、第2ヘッダ20と熱交換チューブ30との隙間は、ロウ付け等により封止される。
【0038】
上下に隣り合う熱交換チューブ30の間には、Y方向に沿う外気流路が形成される。熱交換器4は、送風ファン(図示略)等により外気流路に外気を流通させる。熱交換器4は、外気流路を流通する外気と、冷媒流路34を流通する冷媒との間で熱交換させる。熱交換は、熱交換チューブ30を介して間接的に行われる。
【0039】
図1に示す冷凍サイクル装置1が暖房運転を行うとき、熱交換器4は蒸発器として機能する。この場合、熱交換器4は、膨張装置5から送り込まれる低温・低圧の気液二相冷媒を、外気から吸熱させて気化させることにより、低圧の気体冷媒にする。
【0040】
図4に示すように、例えば、冷媒は、2つの第1冷媒ポート51(図2参照)から、それぞれ第1ヘッダ10の第3空間流路16Gおよび第4空間流路16Hに流入する。図3に示すように、冷媒は、それぞれ熱交換チューブ30G,30Hを-X方向に流れ、それぞれ第2ヘッダ20の異なる空間流路に流入する。冷媒は、熱交換チューブ30E,30Fを+X方向に流れ、第1ヘッダ10の空間流路116に流入する。
【0041】
図4に示すように、熱交換チューブ30Eから流入した冷媒と、熱交換チューブ30Fから流入した冷媒とは、空間流路116内で合流する。空間流路116内の冷媒は、熱交換チューブ30Cと、熱交換チューブ30Dとに分配される。
【0042】
図3に示すように、熱交換チューブ30C,30Dに分配された冷媒は、熱交換チューブ30C,30Dを-X方向に流れ、それぞれ第2ヘッダ20の異なる空間流路に流入する。冷媒は、複数の熱交換チューブ30A,30Bを+X方向に流れ、それぞれ第1ヘッダ10の第1空間流路16Aおよび第2空間流路16Bに流入する。冷媒は、第2冷媒ポート52(図2参照)から系外に流出する。
【0043】
この例では、冷媒は、第1冷媒ポート51(図2参照)から導入され、熱交換チューブ30を通って第1ヘッダ10と第2ヘッダ20との間を往復し、第2冷媒ポート52(図2参照)から流出する。
【0044】
熱交換器4では、第1ヘッダ10は、空間流路(合流分配流路)116を有する。空間流路116は、2つの熱交換チューブ30(30E,30F)からの冷媒を合流し、他の2つの熱交換チューブ30(30C,30D)に分配する。熱交換器4では、第1列の熱交換チューブ30を流れる冷媒と、第2列の熱交換チューブ30を流れる冷媒とを空間流路116内で混合し、再分配できる。
【0045】
第1列の熱交換チューブ30と第2列の熱交換チューブ30との間には、熱負荷に差異が生じることがあるが、熱交換器4では、冷媒の混合、再分配ができるため、熱負荷の差異を小さくできる。したがって、熱負荷の差異を原因として熱交換効率が低くなるのを抑制できる。よって、熱交換器4における熱交換効率を高めることができる。
【0046】
比較のため、冷媒の混合および再分配のための外部管路(合流分岐管路)が第1ヘッダに設けられた熱交換器を想定する。この構造の熱交換器は、外部管路が第1ヘッダから突出するため、収納性の点で劣る。これに対し、実施形態の熱交換器4では、第1ヘッダ10内で冷媒の混合および再分配を行うため、外部管路は不要である。そのため、図2に示す熱交換器4は、コンパクト化が可能であり、収納性の点で優れている。熱交換器4は、外部管路がないため軽量であるという利点もある。
【0047】
この実施形態では、2つの熱交換チューブからの冷媒を合流し、他の2つの熱交換チューブに分配するが、合流する冷媒の数は2に限らず、複数(2以上の任意の数)であってよい。冷媒を分配する熱交換チューブの数も2に限らず、複数(2以上の任意の数)であってよい。すなわち、合流分配流路は、複数の熱交換チューブのうち2以上から供給された冷媒を合流し、他の2以上の熱交換チューブに分配する。
第1ヘッダに形成される合流分配流路の数は1に限らず、複数(2以上の任意の数)であってよい。合流分配流路は、第2ヘッダの中間板に形成されていてもよい。第2ヘッダに形成される合流分配流路の数は1または複数(2以上の任意の数)であってよい。合流分配流路は、第1ヘッダと第2ヘッダのうち少なくとも1つに形成されている。合流分配流路は、第1ヘッダと第2ヘッダの一方に形成されていてもよいし、両方に形成されていてもよい。
【0048】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態の熱交換器の第1ヘッダ210の中間板214の平面図である。他の実施形態との共通構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0049】
図5に示すように、中間板214は、空間流路16および空間流路216を有する。第2の実施形態の熱交換器は、空間流路116に代えて空間流路216を有すること以外は、図4に示す第1の実施形態の熱交換器と同様の構成である。空間流路216は、合流分配流路の一例である。
【0050】
空間流路216は、X方向から見て長円形状とされている。空間流路216の長径方向はY方向と平行である。空間流路216の両端部には、それぞれ突出部217が形成されている。一対の突出部217は、Y方向に沿って互いに近づく方向に突出する。突出部217は、空間流路216の高さ方向のほぼ中央に形成されている。突出部217は、一対の直線部と、湾曲部とを組み合わせたU字形状を有する。一対の直線部は、互いに平行かつ向かい合う。湾曲部は、湾曲凸状(例えば、半円形状)とされている。一方の突出部217の先端と、他方の突出部217の先端との間は、狭小部218である。狭小部218では、冷媒の流路が狭くなっている。
【0051】
狭小部218は、次の式を満たすことが好ましい。
D1>2300μA1/W1
(D1は、狭小部218の水力相当直径[m]である。μは、冷媒の粘度[Pa・s]である。A1は、狭小部218の最も狭くなる部分の断面積[m]である。W1は、狭小部218を流れる冷媒の質量流量[kg/s]である。)
狭小部218の断面積は、狭小部218における冷媒の流れ方向に直交する断面における流路の面積である。狭小部218における冷媒の流れ方向は+Z方向である。狭小部218における冷媒の流れ方向に直交する断面は水平面に沿う。
【0052】
狭小部218がこの式を満たすと、狭小部218を流れる冷媒は乱流となりやすいため、空間流路216内の気液二相状態の冷媒における偏流を抑制できる。
【0053】
熱交換チューブ30Eから流入した冷媒と、熱交換チューブ30Fから流入した冷媒とは、空間流路216内で合流する。図5に矢印で示すように、冷媒は、狭小部218を+Z方向(重力方向と逆向き)に上昇し、空間流路216の上面に衝突して左右に分かれ、熱交換チューブ30Cと熱交換チューブ30Dとに分配される。
【0054】
この熱交換器では、第1ヘッダ210は、空間流路216を有するため、第1列の熱交換チューブ30を流れる冷媒と、第2列の熱交換チューブ30を流れる冷媒とを空間流路216内で混合し、再分配できる。よって、熱交換器における熱交換効率を高めることができる。
【0055】
この熱交換器では、空間流路216に狭小部218が形成されている。冷媒は、狭い部分に通ることで一旦集約された後に開放されることにより拡散するため、乱流となりやすくなる。よって、空間流路216内の気液二相状態の冷媒の偏流を抑制できる。
【0056】
(第3の実施形態)
図6は、第3の実施形態の熱交換器の第1ヘッダ310の中間板314の平面図である。他の実施形態との共通構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
図6に示すように、中間板314は、空間流路16および空間流路316を有する。空間流路316は、合流分配流路の一例である。
【0057】
空間流路316は、長円形状とされている。空間流路316は、一対の直線部316aと、一対の湾曲部316bとを有する。一対の直線部316aは、互いに平行かつ向かい合う。一方の湾曲部316bは、2つの直線部316aの一方の端部どうしを結ぶ。他方の湾曲部316bは、2つの直線部316aの他方の端部どうしを結ぶ。湾曲部316bは、湾曲凸状(例えば、半円形状)とされている。空間流路316の長径方向は、Y方向に対して傾斜する。空間流路316は、前述の外気流路(隣り合う熱交換チューブ30の間に形成される外気の流路)における外気の流れの上流側にある湾曲部316bが下流側の湾曲部316bに比べて高く位置するように傾斜する。
【0058】
一対の直線部316aには、それぞれ突出部317が形成されている。一対の突出部317は、空間流路316の短径方向に沿って互いに近づく方向に突出する。突出部317は、直線部316aの長さ方向のほぼ中央に形成されている。突出部317は、一対の直線部と、湾曲部とを組み合わせたU字形状を有する。一対の直線部は、互いに平行かつ向かい合う。湾曲部は、湾曲凸状(例えば、半円形状)とされている。一方の突出部317の先端と、他方の突出部317の先端との間は、狭小部318である。
【0059】
狭小部318は、次の式を満たすことが好ましい。
D2>2300μA2/W2
(D2は、狭小部318の水力相当直径[m]である。μは、冷媒の粘度[Pa・s]である。A2は、狭小部318の最も狭くなる部分の断面積[m]である。W2は、狭小部218を流れる冷媒の質量流量[kg/s]である。)
狭小部318の断面積は、狭小部318における冷媒の流れ方向に直交する断面における流路の面積である。
狭小部318がこの式を満たすと、狭小部318を流れる冷媒は乱流となりやすいため、空間流路316内の気液二相状態の冷媒における偏流を抑制できる。
【0060】
冷媒は、それぞれ第1冷媒ポートから第1ヘッダ10の第2空間流路16Bおよび第4空間流路16Hに流入する。冷媒は、それぞれ熱交換チューブ30B,30Hを-X方向に流れ、それぞれ第2ヘッダ20の異なる空間流路に流入する。冷媒は、熱交換チューブ30D,30Fを+X方向に流れ、第1ヘッダ10の空間流路316に流入する。
【0061】
熱交換チューブ30Dから流入した冷媒と、熱交換チューブ30Fから流入した冷媒とは、空間流路316内で合流する。図6の矢印に示すように、冷媒は斜め下方に流れて狭小部318を通り、湾曲部316bの内面に衝突して上下に分かれ、熱交換チューブ30Cと、熱交換チューブ30Eとに分配される。狭小部318を通る冷媒は斜め下方に流れるため、上方に流れる場合(図5参照)に比べて、重力の影響によって流速が高くなりやすい。
【0062】
熱交換チューブ30C,30Eに分配された冷媒は、熱交換チューブ30C,30Eを-X方向に流れ、それぞれ第2ヘッダ20の異なる空間流路に流入する。冷媒は、複数の熱交換チューブ30A,30Gを+X方向に流れ、それぞれ第1ヘッダ10の第1空間流路16Aおよび第3空間流路16Gに流入する。冷媒は、第2冷媒ポートから流出する。
【0063】
この熱交換器では、第1ヘッダ310は、空間流路316を有するため、第1列の熱交換チューブ30を流れる冷媒と、第2列の熱交換チューブ30を流れる冷媒とを空間流路316内で混合し、再分配できる。よって、熱交換器における熱交換効率を高めることができる。
【0064】
この熱交換器では、空間流路316に狭小部318が形成されており、かつ空間流路316は傾斜している。そのため、冷媒は、重力の影響によって勢いがついて狭小部318を通過する。この熱交換器では、冷媒を狭い部分に勢いをつけて通すため、冷媒は一旦集約された後に開放されることにより拡散する。したがって、冷媒は乱流となりやすくなる。よって、空間流路316内の気液二相状態の冷媒における偏流を抑制できる。
【0065】
なお、本実施形態では、空間流路316は傾斜して形成されているが、空間流路316は、長径方向がY方向と平行であってもよい。
【0066】
(第4の実施形態)
図7は、第4の実施形態の熱交換器の第1ヘッダ410の中間板414の平面図である。図8は、中間板414の拡大した平面図である。他の実施形態との共通構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0067】
図7に示すように、中間板414は、複数の空間流路16(16A~16H)と、合流分配流路12とを有する。空間流路16は、中間板414を厚さ方向に貫通する貫通孔により形成される。複数の空間流路16は、第1空間流路16A~第8空間流路16Hを含む。空間流路16(16A~16H)は、X方向から見て長円形状とされている。空間流路16の長径方向はY方向と平行である。複数の空間流路16は、互いに離間して形成されている。複数の空間流路16は互いに同じ形状である。
【0068】
第1空間流路16Aおよび第2空間流路16Bは、Y方向に間隔をおいて、Y方向に並んで形成されている。第2空間流路16Bは、第1空間流路16Aに対して+Y方向側に位置する。
【0069】
第3空間流路16Cおよび第4空間流路16Dは、それぞれ第1空間流路16Aおよび第2空間流路16Bに対して低い位置にある。第3空間流路16Cおよび第4空間流路16Dは、第1空間流路16Aおよび第2空間流路16Bに対して-Z方向側に離れて位置する。第3空間流路16Cおよび第4空間流路16Dは、Y方向に間隔をおいて、Y方向に並んで形成されている。第4空間流路16Dは、第3空間流路16Cに対して、+Y方向側に位置する。
【0070】
第5空間流路16Eおよび第6空間流路16Fは、それぞれ第3空間流路16Cおよび第4空間流路16Dに対して低い位置にある。第5空間流路16Eおよび第6空間流路16Fは、第3空間流路16Cおよび第4空間流路16Dに対して-Z方向側に離れて位置する。第5空間流路16Eおよび第6空間流路16Fは、Y方向に間隔をおいて、Y方向に並んで形成されている。第6空間流路16Fは、第5空間流路16Eに対して、+Y方向側に位置する。
【0071】
第7空間流路16Gおよび第8空間流路16Hは、それぞれ第5空間流路16Eおよび第6空間流路16Fに対して低い位置にある。第7空間流路16Gおよび第8空間流路16Hは、第5空間流路16Eおよび第6空間流路16Fに対して-Z方向側に離れて位置する。第7空間流路16Gおよび第8空間流路16Hは、Y方向に間隔をおいて、Y方向に並んで形成されている。第8空間流路16Hは、第7空間流路16Gに対して、+Y方向側に位置する。
【0072】
空間流路16A,16C,16E,16Gは、Z方向に並んで配置されている。空間流路16B,16D,16F,16Hは、Z方向に並んで配置されている。8つの空間流路16は、2列に配列されている。8つの空間流路16は、2×4のマトリックス状に並んで配置されている。空間流路16A,16C,16E,16Gを、第1列の空間流路16という。空間流路16B,16D,16F,16Hを、第2列の空間流路16という。
ピッチP1は、上下に隣り合う熱交換チューブ30の中心軸の高低差である。
なお、複数の空間流路16が形成する列の数は、2に限らない。複数の空間流路16が形成する列の数は、複数(2以上の任意の数)であってよい。
【0073】
合流分配流路12は、中間板414を厚さ方向に貫通する貫通孔により形成される。合流分配流路12は、第7空間流路16Gおよび第8空間流路16Hからの冷媒を第5空間流路16Eおよび第6空間流路16Fに分配する。
【0074】
合流分配流路12は、複数の導出流路61と、1つの合流流路62と、複数の分岐流路63とを有する。導出流路61の数は2つである。分岐流路63の数は2つである。なお、導出流路および分岐流路の数は2に限らず、2以上の任意の数であってよい。
【0075】
分岐流路63A,63Bの基端を含む部分は、方向変換部615である。方向変換部615は、分岐流路63A,63Bの基端部分を含む屈曲形状の流路である。方向変換部615は、合流流路62からの冷媒の流れ方向を変換する。
【0076】
2つの導出流路61を、それぞれ第1導出流路61Aおよび第2導出流路61Bという。第1導出流路61Aは、第7空間流路16Gの+Y方向の端を基端として+Y方向に延びる。第1導出流路61Aは、第7空間流路16Gから冷媒を導く。第2導出流路61Bは、第8空間流路16Hの-Y方向の端を基端として-Y方向に延びる。第2導出流路61Bは、第8空間流路16Hから冷媒を導く。第1導出流路61Aと第2導出流路61Bとは同じ高さ位置に形成されている。第1導出流路61Aと第2導出流路61Bとは先端において接続されている。
【0077】
合流流路62は、第1導出流路61Aと第2導出流路61Bとの先端どうしの接続箇所を基端として、重力方向と逆向きである+Z方向にまっすぐに延びる。合流流路62は、上下方向に沿う流路である。合流流路62は、第1列の空間流路16(16A,16C,16E,16G)に比べて+Y方向寄りに位置する。合流流路62は、第2列の空間流路16(16B,16D,16F,16H)に比べて-Y方向寄りに位置する。合流流路62は、複数の空間流路16のうち2以上の空間流路16からの冷媒を合流させる。
【0078】
図7においては、合流流路62は、第1列の空間流路16(16A,16C,16E,16G)と第2列の空間流路16(16B,16D,16F,16H)のいずれからも同じ距離だけ離れた中間の位置に形成されている。合流流路62の長さL1は、熱交換チューブ30の上下方向のピッチP1より大きい。長さL1がピッチP1より大きいことにより、合流流路62は十分な長さを有する。そのため、合流流路62において気液二相状態の冷媒を十分に混合し、冷媒の偏流を抑制できる。よって、複数の分岐流路63に流入する冷媒の量の偏りを小さくできる。
【0079】
合流流路62の長さL1が熱交換チューブ30のピッチP1より大きいため、合流流路62の+Z方向の端(先端)は、空間流路16E,16Fに接続された熱交換チューブ30より高い位置にある。合流流路62の+Z方向の端(先端)は、空間流路16E,16Fより高い位置にあることが望ましい。
【0080】
分岐流路63は、合流流路62からの冷媒を、他の2以上の空間流路16(空間流路16G,16H以外の空間流路16のうち2以上)に分配する。2つの分岐流路63を、それぞれ第1分岐流路63Aおよび第2分岐流路63Bという。第1分岐流路63Aおよび第2分岐流路63Bは、合流流路62が2つに分岐して形成された流路である。
【0081】
第1分岐流路63Aは、合流流路62の+Z方向の端(先端)を基端として斜め下方に延びる直線状の流路である。第1分岐流路63Aは、-Y方向に行くほど下降するように傾斜する。第1分岐流路63Aは、第5空間流路16Eに達している。第1分岐流路63Aは、冷媒を第5空間流路16Eに導くことができる。第5空間流路16Eは、分配先の空間流路16である。
【0082】
第2分岐流路63Bは、合流流路62の+Z方向の端(先端)を基端として斜め下方に延びる直線状の流路である。第2分岐流路63Bは、+Y方向に行くほど下降するように傾斜する。第2分岐流路63Bは、第6空間流路16Fに達している。第2分岐流路63Bは、冷媒を第6空間流路16Fに導くことができる。第6空間流路16Fは、分配先の空間流路16である。
合流流路62に対する第1分岐流路63Aの傾斜角度と、合流流路62に対する第2分岐流路63Bの傾斜角度とは等しい。
【0083】
内端板11には、空間流路16(16A~16H)に相当する位置に、それぞれ1つの貫通孔41(41A~41H)が形成されている(図4参照)。貫通孔41には、熱交換チューブ30の+X方向の端部が挿入される。熱交換チューブ30の+X方向の端部は、空間流路16に開口する。そのため、空間流路16は、熱交換チューブ30の冷媒流路34と連通する。
【0084】
図1に示す冷凍サイクル装置1が暖房運転を行うとき、熱交換器4は蒸発器として機能する。この場合、熱交換器4は、膨張装置5から送り込まれる低温・低圧の気液二相冷媒を、外気から吸熱させて気化させることにより、低圧の気体冷媒にする。
【0085】
図7に示すように、熱交換チューブ30(30G)から第7空間流路16Gに流入した冷媒の少なくとも一部は、第1導出流路61Aを通して合流流路62に流入する。熱交換チューブ30(30H)から第8空間流路16Hに流入した冷媒の少なくとも一部は、第2導出流路61Bを通して合流流路62に流入する。第7空間流路16Gから流入した冷媒と、第8空間流路16Hから流入した冷媒とは、合流流路62内で合流する。
【0086】
合流流路62内の冷媒は、重力方向と逆向き(図8に示す矢印方向)に移動し、方向変換部615の上面に衝突し、2つの分岐流路63によって第5空間流路16Eおよび第6空間流路16Fに分配される。冷媒は方向変換部615によって圧力の偏りなく分配されるため、気液二相状態の冷媒における偏流を抑制できる。そのため、複数の分岐流路63に流入する冷媒の量の偏りを小さくできる。
【0087】
図8に示すように、分岐流路63の長さをL[m]とする。分岐流路63の水力相当直径をD[m]とする。冷媒の密度をρ[kg/m]とする。冷媒の粘度をμ[Pa・s]とする。合流流路62における冷媒の質量流量をW[kg/s]とする。合流流路62における冷媒の質量流束Gは「G=W/A」[kg/s/m]で表される。Aは、合流流路62の断面積[m]である。流路の断面積は、当該流路の長さ方向に直交する断面の面積である。
【0088】
第1分岐流路63Aの長さLはLともいう。第2分岐流路63Bの長さLはLともいう。第1分岐流路63Aの水力相当直径DはDともいう。第2分岐流路63Bの水力相当直径DはDともいう。
なお、2つの分岐流路63の長さは互いに同じでもよいし、互いに異なっていてもよい。2つの分岐流路63の水力相当直径は互いに同じでもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0089】
分岐流路63の圧力損失ΔPは、次に示す式(1)(ダルシーワイズバッハの式)で表される。
【0090】
【数1】
【0091】
「λ」は、次に示す式(2)(ブラジウスの式)で表される。
【0092】
【数2】
【0093】
式(1)に式(2)を代入すると、次の式(3)が得られる。
【0094】
【数3】
【0095】
式(3)より、分岐流路63の圧力損失ΔPには、次の式(4)に示すFpが大きな影響を及ぼすことがわかる。
【0096】
【数4】
【0097】
2つの分岐流路63のFpの偏差(絶対値)は、20%以下であることが好ましい。例えば、2つの分岐流路63のうち第1の分岐流路63のFpをFp1とする。第2の分岐流路63のFpをFp2とする。Fp1とFp2との平均をFpavとする。|Fp1-Fpav|/Fpav×100、および|Fp2-Fpav|/Fpav×100は、いずれも20(%)以下が好ましい。Fpの偏差(絶対値)が20%以下であると、2つの分岐流路63に流入する冷媒の量の偏りを小さくできる。
【0098】
この熱交換器では、第1ヘッダ410は、合流分配流路12を有するため、第1列の熱交換チューブ30を流れる冷媒と、第2列の熱交換チューブ30を流れる冷媒とを合流分配流路12内で混合し、再分配できる。第1列の熱交換チューブ30と第2列の熱交換チューブ30との間には、熱負荷に差異が生じることがあるが、この熱交換器では、冷媒の混合、再分配ができるため、熱負荷の差異を小さくできる。したがって、熱負荷の差異によって熱交換効率が低くなるのを抑制できる。よって、熱交換器における熱交換効率を高めることができる。
【0099】
(第5の実施形態)
図9は、第5の実施形態の熱交換器の第1ヘッダ510の中間板514の平面図である。他の実施形態との共通構成については、同じ符号を付して説明を省略する。図9に示すように、中間板514は、複数の空間流路16(16A~16H)と、合流分配流路512とを有する。
【0100】
合流分配流路512は、複数(2つ)の導出流路561と、1つの合流流路62と、複数(2つ)の分岐流路563とを有する。2つの導出流路561を、それぞれ第1導出流路561Aおよび第2導出流路561Bという。第1導出流路561Aは、第7空間流路16Gの+Y方向の端を基端として+Y方向に延びる。第2導出流路561Bは、第8空間流路16Hの-Y方向の端を基端として-Y方向に延びる。第1導出流路561Aと第2導出流路561Bとは先端において接続されている。
【0101】
合流流路62は、第1導出流路561Aと第2導出流路561Bとの先端どうしの接続箇所を基端として、重力方向と逆向きである+Z方向にまっすぐに延びる。合流流路62は、導出流路561に比べて小さい断面積を有する。
【0102】
2つの分岐流路563を、それぞれ第1分岐流路563Aおよび第2分岐流路563Bという。第1分岐流路563Aおよび第2分岐流路563Bは、合流流路62が2つに分岐して形成された流路である。
【0103】
第1分岐流路563Aは、L字形状とされている。第1分岐流路563Aは、合流流路62の+Z方向の端(先端)を基端として+Z方向に延び、その先端で-Y方向に方向変換する。第1分岐流路563Aは、第1空間流路16Aに達している。第1分岐流路563Aは、冷媒を第1空間流路16A(分配先の空間流路)に導くことができる。
【0104】
第2分岐流路563Bは、L字形状とされている。第2分岐流路563Bは、合流流路62の+Z方向の端(先端)を基端として+Y方向に延び、その先端で-Z方向に方向変換する。第2分岐流路563Bは、第6空間流路16Fに達している。第2分岐流路563Bは、冷媒を第6空間流路16F(分配先の空間流路)に導くことができる。
【0105】
この熱交換器では、第1ヘッダ510は、合流分配流路512を有するため、第1列の熱交換チューブ30を流れる冷媒と、第2列の熱交換チューブ30を流れる冷媒とを合流分配流路512内で混合し、再分配できる。よって、熱交換器における熱交換効率を高めることができる。
【0106】
(第6の実施形態)
図10は、第6実施形態の熱交換器の第1ヘッダ610の中間板614の平面図である。他の実施形態との共通構成については、同じ符号を付して説明を省略する。図10に示すように、中間板614は、複数の空間流路16(16A~16H)と、合流分配流路612とを有する。
【0107】
合流分配流路612は、複数(2つ)の導出流路561と、1つの合流流路62と、複数(2つ)の分岐流路663とを有する。分岐流路663の数は2つである。合流流路62は、複数の導出流路561に比べて小さい断面積を有する。2つの分岐流路663を、それぞれ第1分岐流路663Aおよび第2分岐流路663Bという。第1分岐流路663Aおよび第2分岐流路663Bは、合流流路62が2つに分岐して形成された流路である。
【0108】
第1分岐流路663Aは、合流流路62の+Z方向の端(先端)を基端として斜め上方に延び、第1空間流路16Aに達している。第1分岐流路663Aは、-Y方向に行くほど上昇するように傾斜する。第1分岐流路663Aは、冷媒を第1空間流路16A(分配先の空間流路)に導くことができる。
【0109】
第2分岐流路663Bは、合流流路62の+Z方向の端(先端)を基端として斜め下方に延び、第6空間流路16Fに達している。第2分岐流路663Bは、+Y方向に行くほど下降するように傾斜する。第2分岐流路663Bは、冷媒を第6空間流路16F(分配先の空間流路)に導くことができる。
【0110】
第1分岐流路663Aおよび第2分岐流路663Bは、合流流路62の断面積よりも大きな断面積を有する。そのため、合流流路62の冷媒は、第1分岐流路663Aおよび第2分岐流路663Bに分配される際に、大きな断面積の流路内に開放されることにより拡散する。したがって、冷媒は乱流となりやすくなる。よって、気液二相状態の冷媒における偏流を抑制できる。
【0111】
この熱交換器では、第1ヘッダ610は、合流分配流路612を有するため、第1列の熱交換チューブ30を流れる冷媒と、第2列の熱交換チューブ30を流れる冷媒とを合流分配流路612内で混合し、再分配できる。よって、熱交換器における熱交換効率を高めることができる。
【0112】
(第7の実施形態)
図11は、第7の実施形態の熱交換器の第1ヘッダ710の中間板714の平面図である。他の実施形態との共通構成については、同じ符号を付して説明を省略する。図11に示すように、中間板714は、複数の空間流路16(16A~16H)と、合流分配流路712とを有する。
【0113】
合流分配流路712は、複数(2つ)の導出流路561と、1つの合流流路62と、複数(2つ)の分岐流路763とを有する。合流流路62は、第1導出流路561Aと第2導出流路561Bとの先端どうしの接続箇所を基端として、重力方向と逆向きである+Z方向にまっすぐに延びる。2つの分岐流路763を、それぞれ第1分岐流路763Aおよび第2分岐流路763Bという。
【0114】
第1分岐流路763Aは、L字形状とされている。第1分岐流路763Aは、合流流路62の+Z方向の端(先端)を基端として-Y方向に延び、その先端で+Z方向に方向変換し、その先端で-Y方向に方向変換する。第1分岐流路763Aは、第1空間流路16Aに達している。第1分岐流路763Aは、冷媒を第1空間流路16A(分配先の空間流路)に導くことができる。
【0115】
第2分岐流路763Bは、L字形状とされている。第2分岐流路763Bは、合流流路62の+Z方向の端(先端)を基端として+Y方向に延び、その先端で-Z方向に方向変換する。第2分岐流路763Bは、第6空間流路16Fに達している。第2分岐流路763Bは、冷媒を第6空間流路16F(分配先の空間流路)に導くことができる。
【0116】
分岐流路763A,763Bの基端を含む部分は、方向変換部715である。方向変換部715は、合流流路62からの冷媒の流れ方向を変換する。方向変換部715は、Y方向に沿って形成されている。方向変換部715は、合流流路62の+Z方向の端(先端)におけるY方向の内径D62より長い。方向変換部715の形成方向は、合流流路62の+Z方向の端(先端)における延在方向(Z方向)に直交する。分岐流路763A,763Bの、方向変換部715以外の構成は、図9に示す分岐流路563A,563Bと同様である。
【0117】
合流流路62内の冷媒は、重力方向と逆向き(図11に示す矢印方向)に移動し、方向変換部715の上面に衝突し、2つの分岐流路763によって第1空間流路16Aおよび第6空間流路16Fに分配される。
【0118】
この熱交換器では、方向変換部715が合流流路62に対して直交するため、冷媒の流れを2つの分岐流路763に偏りなく向けることができる。そのため、冷媒を第1分岐流路763Aと第2分岐流路763Bとに均等に分配することができる。よって、第1分岐流路763Aと第2分岐流路763Bとに流入する冷媒の量の偏りを小さくできる。
【0119】
方向変換部715は、合流流路62の+Z方向の端(先端)におけるY方向の内径D62より長いため、合流流路62内の冷媒は、十分な長さをもつ方向変換部715の上面に当たる。これにより、冷媒の流れを2つの分岐流路763に均等に分配することができる。
【0120】
(第8の実施形態)
図12は、第8の実施形態の熱交換器の第1ヘッダ810の中間板814の平面図である。他の実施形態との共通構成については、同じ符号を付して説明を省略する。図12に示すように、中間板814は、複数の空間流路16(16A~16H)と、合流分配流路812とを有する。
【0121】
合流分配流路812は、複数(2つ)の導出流路561と、1つの合流流路62と、複数(2つ)の分岐流路863とを有する。合流流路62は、第1導出流路561Aと第2導出流路561Bとの先端どうしの接続箇所を基端として、重力方向と逆向きである+Z方向にまっすぐに延びる。2つの分岐流路863を、それぞれ第1分岐流路863Aおよび第2分岐流路863Bという。
【0122】
第1分岐流路863Aは、合流流路62の+Z方向の端(先端)を基端として-Y方向に延び、その先端で斜め上方に延び、第1空間流路16Aに達している。第2分岐流路863Bは、合流流路62の+Z方向の端(先端)を基端として+Y方向に延び、その先端で斜め下方に延び、第6空間流路16Fに達している。
【0123】
分岐流路863A,863Bの基端を含む部分は、方向変換部815である。方向変換部815は、合流流路62からの冷媒の流れ方向を変換する。方向変換部815は、Y方向に沿って形成されている。方向変換部815は、合流流路62の+Z方向の端(先端)におけるY方向の内径D62より長い。方向変換部815の形成方向は、合流流路62の+Z方向の端(先端)における延在方向(Z方向)に直交する。分岐流路863A,863Bの、方向変換部815以外の構成は、図10に示す分岐流路663A,663Bと同様である。
【0124】
この熱交換器では、方向変換部815が、合流流路62に対して直交するため、冷媒の流れ方向を第1分岐流路863Aと第2分岐流路863Bとに均等に向けることができる。よって、第1分岐流路863Aと第2分岐流路863Bとに流入する冷媒の量の偏りを小さくできる。
【0125】
方向変換部815は、合流流路62の+Z方向の端(先端)におけるY方向の内径D62より長いため、合流流路62内の冷媒は、十分な長さをもつ方向変換部815の上面に当たる。これにより、冷媒の流れを2つの分岐流路863に均等に分配することができる。
【0126】
(第9の実施形態)
図13は、第9の実施形態の熱交換器の第1ヘッダ910の中間板914の平面図である。他の実施形態との共通構成については、同じ符号を付して説明を省略する。図13に示すように、中間板914は、2つの空隙部920が形成されていること以外は、図7に示す中間板414と同様の構成であってよい
【0127】
空隙部920は、分岐流路63と、分岐流路63に最も近い空間流路16との間を通る直線状とされている。空隙部920は、中間板414を厚さ方向に貫通する貫通孔により形成される。2つの空隙部920を、それぞれ第1空隙部920Aおよび第2空隙部920Bという。
【0128】
第1空隙部920Aの少なくとも一部は、第1分岐流路63Aと第3空間流路16Cとの間に形成されている。例えば、第1空隙部920Aは、第1分岐流路63Aと平行に形成されている。第2空隙部920Bの少なくとも一部は、第2分岐流路63Bと第4空間流路16Dとの間に形成されている。例えば、第2空隙部920Bは、第2分岐流路63Bと平行に形成されている。
【0129】
この熱交換器では、空隙部920によって、空間流路16C,16Dからの熱干渉を抑制することができる。そのため、分岐流路63における冷媒の相変化に起因する冷媒の流量の偏りを小さくできる。
【0130】
(比較形態)
図14は、比較形態の熱交換器の第1ヘッダ1010の中間板1014の平面図である。図15は、中間板1014の拡大した平面図である。
図14に示すように、中間板1014は、複数の空間流路16(16A~16H)と、分配流路1012とを有する。分配流路1012は、導出流路1061と、2つの分岐流路1063(1063A,1063B)とを有する。導出流路1061は、Y方向に沿う第1部分流路1061Aと、Z方向に沿う第2部分流路1061Bとを備える。導出流路1061は、L字状形とされている。第1部分流路1061Aは、熱交換チューブ30のピッチ(図7に示すP1参照)より短い。
図15に示すように、この熱交換器は、L字状形の導出流路1061の屈曲箇所において、冷媒の液相M1と気相M2との偏りが生じる可能性がある。第1部分流路1061Aは短いため、液相M1と気相M2との混合は不十分となりやすい。そのため、液相M1と気相M2との偏りが維持され、2つの分岐流路1063への冷媒の分配量が不均等となる場合がある。
【0131】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、ヘッダは、合流分配流路を有する。合流分配流路は、複数の熱交換チューブからの冷媒を合流し、他の複数の熱交換チューブに分配する。実施形態の熱交換器では、複数の熱交換チューブを流れる冷媒を合流分配流路内で混合し、再分配できる。複数の熱交換チューブの間には、熱負荷に差異が生じることがあるが、実施形態の熱交換器では、冷媒の混合、再分配ができるため、熱負荷の差異を小さくできる。したがって、熱負荷の差異によって熱交換効率が低くなるのを抑制できる。よって、熱交換器における熱交換効率を高めることができる。
【0132】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0133】
1 冷凍サイクル装置
4 室外熱交換器(熱交換器)
10 第1ヘッダ(ヘッダ)
12,512,612,712,812 合流分配流路
16 空間流路
30 熱交換チューブ
34 冷媒流路
62 合流流路
63,563,663,763,863 分岐流路
63A,563A,663A,763A,863A 第1分岐流路(分岐流路)
63B,563B,663B,763B,863B 第2分岐流路(分岐流路)
116,216,316 空間流路(合流分配流路)
218,318 狭小部
615,715,815 方向変換部
920 空隙部
L1 合流流路の長さ
P1 熱交換チューブのピッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15