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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】香味吸引器及び香味吸引器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20241126BHJP
   A24F 40/30 20200101ALI20241126BHJP
   A24F 40/70 20200101ALI20241126BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/30
A24F40/70
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2023534506
(86)(22)【出願日】2021-07-14
(86)【国際出願番号】 JP2021026428
(87)【国際公開番号】W WO2023286195
(87)【国際公開日】2023-01-19
【審査請求日】2023-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 友一
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108576941(CN,A)
【文献】国際公開第2018/048813(WO,A1)
【文献】特表2020-511146(JP,A)
【文献】特表2020-508649(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00~47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部品と、
前記第1部品と着脱可能に接続される第2部品と、を有し、
前記第1部品又は前記第2部品の一方は、前記第1部品又は前記第2部品の他方と係合する第1係合部及び第2係合部を有し、
前記第1係合部は、前記第2係合部と異なる態様で前記第1部品又は前記第2部品の前記他方と係合し、
前記第1係合部は、前記第1部品又は前記第2部品の前記一方の第1側に設けられ、前記第2係合部は、前記第1側と対向する側の第2側に設けられ
前記第2係合部は、テーパ面を有する隆起部であり、
前記第2係合部が前記第1部品又は前記第2部品の前記他方と係合したとき、前記第2係合部は、前記第1係合部を前記第2側から前記第1側に向けて付勢する、香味吸引器。
【請求項2】
請求項1に記載された香味吸引器において、
前記第1係合部は、前記第2係合部が前記第1部品又は前記第2部品の前記他方と係合することによって、前記第1部品又は前記第2部品の前記他方と係合する、香味吸引器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された香味吸引器において、
前記第1係合部は、前記第2係合部により前記第1係合部が所定の方向に付勢されることによって、前記第1部品又は前記第2部品の前記他方と係合する、香味吸引器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記第2部品と前記第1部品とが接続される過程において、前記第1係合部は、前記第2係合部が前記第1部品又は前記第2部品の前記他方と係合した後に、前記第1部品又は前記第2部品の前記他方と係合する、香味吸引器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記第1部品又は前記第2部品の前記他方は、凹部、切り欠き、又は穴を有し、
前記第1係合部は、前記凹部、切り欠き、又は穴に係合する凸部である、香味吸引器。
【請求項6】
請求項5に記載された香味吸引器において、
前記第1部品と前記第2部品とが接続された状態において、前記第2部品の前記第1部品から露出した部分の長さは、前記第2側より第1側の方が長い、香味吸引器。
【請求項7】
請求項5又は6に記載された香味吸引器において、
前記第1部品と前記第2部品とが接続された状態において前記第2部品の前記第1部品から露出した部分の前記第1側の表面に、摩擦力を増加させた表面加工部を有する、香味吸引器。
【請求項8】
請求項1からのいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記第1部品は、前記第2部品を受け入れ可能な開口を有する、香味吸引器。
【請求項9】
請求項に記載された香味吸引器において、
前記開口は、前記第2部品の、着脱方向に対する周方向の回転を抑制するように、前記着脱方向から見て非真円形状である、香味吸引器。
【請求項10】
請求項又はに記載された香味吸引器において、
前記開口は、着脱方向と直交する面に対して傾斜する開口端部により画定される、香味吸引器。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記第2部品は、マウスピースである、香味吸引器。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記第2部品は、エアロゾル源を霧化する霧化部を含む、香味吸引器。
【請求項13】
香味吸引器を構成する第1部品に、第2部品を接続する工程を有し、
前記工程は、
前記第1部品又は前記第2部品の一方の第2側に設けられた第2係合部を前記第1部品又は前記第2部品の他方に係合させ、
前記第1部品又は前記第2部品の前記一方の前記第2側と対向する第1側に設けられた第1係合部を、前記第2係合部とは異なる態様で前記第1部品又は前記第2部品の前記他方に係合させることを含み、
前記第2係合部は、テーパ面を有する隆起部であり、
前記工程は、前記第2係合部が前記第1部品又は前記第2部品の前記他方と係合したとき、前記第2係合部が、前記第1係合部を前記第2側から前記第1側に向けて付勢することを含む、香味吸引器の製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載された香味吸引器の製造方法において、
前記工程は、前記第2係合部が前記第1部品又は前記第2部品の前記他方に係合することで、前記第1係合部を所定の方向に付勢し、それにより前記第1係合部を前記第1部品又は前記第2部品の前記他方に係合させる、ことを含む、香味吸引器の製造方法。
【請求項15】
第1部品と、
前記第1部品と着脱可能に接続される第2部品と、を有し、
前記第1部品又は前記第2部品の一方は、前記第1部品又は前記第2部品の他方と係合する第1係合部及び第2係合部を有し、
前記第1係合部は、前記第2係合部と異なる態様で前記第1部品又は前記第2部品の前記他方と係合し、
前記第1係合部は、前記第1部品又は前記第2部品の前記一方の第1側に設けられ、前記第2係合部は、前記第1側と対向する側の第2側に設けられ、
前記第1部品と前記第2部品とが接続された状態において、前記第2部品の前記第1部品から露出した部分の長さは、前記第2側より第1側の方が長い、香味吸引器。
【請求項16】
第1部品と、
前記第1部品と着脱可能に接続される第2部品と、を有し、
前記第1部品又は前記第2部品の一方は、前記第1部品又は前記第2部品の他方と係合する第1係合部及び第2係合部を有し、
前記第1係合部は、前記第2係合部と異なる態様で前記第1部品又は前記第2部品の前記他方と係合し、
前記第1係合部は、前記第1部品又は前記第2部品の前記一方の第1側に設けられ、前記第2係合部は、前記第1側と対向する側の第2側に設けられ、
前記第1部品は、前記第2部品を受け入れ可能な開口を有し、
前記開口は、着脱方向と直交する面に対して傾斜する開口端部により画定される、香味吸引器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香味吸引器及び香味吸引器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、材料の燃焼をすることなく香味等を吸引するための香味吸引器が知られている。香味吸引器は、例えば、エアロゾル源を収容するチャンバと、チャンバに収容されるエアロゾル源を加熱して霧化する霧化部とを有する。このような香味吸引器では、上記チャンバ及び霧化部を備えるカートリッジが、電源等を備えるデバイス本体と着脱され得る(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2018/048813号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるような、複数の部品から構成される香味吸引器では、部品同士を係合させる任意の係合手段が採用されている。例えば、香味吸引器を構成する複数の部品では、スナップフィットによる係合、磁石による係合、ねじによる係合、テーパによる滑り抵抗を利用した係合等が採用され得る。
【0005】
本発明の目的の一つは、香味吸引器を構成する部品同士を係合する新たな構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様によれば、香味吸引器が提供される。この香味吸引器は、第1部品と、前記第1部品と着脱可能に接続される第2部品と、を有する。前記第1部品又は前記第2部品の一方は、前記第1部品又は前記第2部品の他方と係合する第1係合部及び第2係合部を有する。前記第1係合部は、前記第2係合部と異なる態様で前記第1部品又は前記第2部品の前記他方と係合する。前記第1係合部は、前記第1部品又は前記第2部品の前記一方の第1側に設けられ、前記第2係合部は、前記第1側と対向する側の第2側に設けられる。
【0007】
第1態様によれば、第1部品と第2部品とが、それぞれ異なる態様で係合する第1係合部及び第2係合部により係合されるので、それぞれの係合部の特性によって第1部品と第2部品とを係合することができる。その結果、単一の態様の係合部のみで第1部品と第2部品とを係合する場合に比べて、係合した第1部品と第2部品とが不意に外れることが抑制され得る。また、第1係合部と第2係合部が互いに対向する位置(反対側の位置)に設けられるので、香味吸引器に局所的な力が加えられても、第1係合部と第2係合部とが同時に開放されることが抑制され得る。
【0008】
第2態様は、第1態様において、前記第1係合部は、前記第2係合部が前記第1部品又は前記第2部品の前記他方と係合することによって、前記第1部品又は前記第2部品の前記他方と係合する、ことを要旨とする。
【0009】
第2態様によれば、ユーザが第2係合部を第1部品又は第2部品の他方に係合させることで、第1係合部も第1部品又は第2部品の他方に係合させることができる。これにより、異なる態様で係合する第1係合部及び第2係合部を第1部品又は第2部品の他方に容易に係合させることができる。言い換えれば、ユーザが第1係合部と第2係合部をそれぞれ第1部品又は第2部品の他方に係合させる必要がないので、容易に第1係合部及び第2係合部を第1部品又は第2部品の他方に係合させることができる。
【0010】
第3態様は、第1態様又は第2態様において、前記第1係合部は、前記第2係合部により前記第1係合部が所定の方向に付勢されることによって、前記第1部品又は前記第2部品の前記他方と係合する、ことを要旨とする。
【0011】
第3態様によれば、第2係合部によって第1係合部を第1部品又は第2部品の他方に係合させることができるので、異なる態様で係合する第1係合部及び第2係合部を第1部品又は第2部品の他方に容易に係合させることができる。
【0012】
第4態様は、第1態様から第3態様のいずれかにおいて、前記第2部品と前記第1部品とが接続される過程において、前記第1係合部は、前記第2係合部が前記第1部品又は前記第2部品の前記他方と係合した後に、前記第1部品又は前記第2部品の前記他方と係合する、ことを要旨とする。
【0013】
第4態様によれば、第1係合部による係合と第2係合部による係合とを時間差で生じさせることができる。
【0014】
第5態様は、第1態様から第4態様のいずれかにおいて、前記第1部品又は前記第2部品の前記他方は、凹部、切り欠き、又は穴を有し、前記第1係合部は、前記凹部、切り欠き、又は穴に係合する凸部である、ことを要旨とする。
【0015】
第5態様によれば、凸部が凹部又は穴に対して着脱されたときの感触をユーザが感じることができるので、第1係合部が第1部品又は第2部品の他方に係合しているか否かをユーザが感知することができる。
【0016】
第6態様は、第5態様において、前記第1部品と前記第2部品とが接続された状態において前記第2部品の前記第1部品から露出した部分の長さは、前記第2側より第1側の方が長い、ことを要旨とする。
【0017】
第6態様によれば、第2部品の第1側の方が第2側よりも長いので、第2部品の第1側をユーザが操作しやすくなる。これにより、第2部品に凸部(第1係合部)が設けられた場合に、ユーザが第2部品の第1側を操作して、第1側に設けられた凸部を第1部品から容易に取り外すことができる。
【0018】
第7態様は、第5態様又は第6態様において、前記第1部品と前記第2部品とが接続された状態において前記第2部品の前記第1部品から露出した部分の前記第1側の表面に、摩擦力を増加させた表面加工部を有する、ことを要旨とする。
【0019】
第7態様によれば、ユーザが第2部品の第1側を操作したときにユーザが第2部品に加える力が第2部品に伝達されやすくなる。このため、第2部品に凸部(第1係合部)が設けられた場合に、ユーザが、第1側に設けられた凸部を第1部品から容易に取り外すことができる。
【0020】
第8態様は、第1態様から第7態様のいずれかにおいて、前記第2係合部は、テーパ面を有する隆起部であり、前記第2係合部が前記第1部品又は前記第2部品の前記他方と係合したとき、前記第2係合部は、前記第1係合部を前記第2側から前記第1側に向けて付勢する、ことを要旨とする。
【0021】
第8態様によれば、第1係合部が凸部の場合には、第1係合部を第1部品又は第2部品の他方の凹部、切り欠き、又は穴に付勢して、第1係合部を凹部、切り欠き、又は穴に係合させることができる。また、この場合、第1係合部の凸部によって第2部品の着脱方向に第2部品が第1部品から取り外されることが抑制され、第2係合部によって着脱方向と直交する方向の第2部品のがたつきが抑制され得る。
【0022】
第9態様は、第1態様から第7態様のいずれかにおいて、前記第1部品は、前記第2部品を受け入れ可能な開口を有する、ことを要旨とする。
【0023】
第9態様によれば、第1部品に第2部品が挿入されて互いに係合することができる。
【0024】
第10態様は、第9態様において、前記開口は、前記第2部品の、着脱方向に対する周方向の回転を抑制するように、前記着脱方向から見て非真円形状である、ことを要旨とする。
【0025】
第10態様によれば、第1部品と第2部品の周方向の向きがずれることを防止することができる。このため、第1係合部と第2係合部が第1部品に周方向にずれることが防止されるから、第1係合部と第2係合部を第1部品に容易に係合させることができる。
【0026】
第11態様は、第9態様又は第10態様において、前記開口は、着脱方向と直交する面に対して傾斜する開口端部により画定される、ことを要旨とする。
【0027】
第11態様によれば、開口端部が着脱方向と直交する場合に比べて、開口の面積を大きくすることができるので、第1部品と第2部品とを装着しやすくすることができる。
【0028】
第12態様は、第1態様から第11態様のいずれかにおいて、前記第2部品は、マウスピースである、ことを要旨とする。
【0029】
第12態様によれば、マウスピースを第1係合部と第2係合部によって第1部品に係合することができる。
【0030】
第13態様は、第1態様から第12態様のいずれかにおいて、前記第2部品は、エアロゾル源を霧化する霧化部を含む、ことを要旨とする。
【0031】
第13態様によれば、霧化部を第1係合部と第2係合部によって第1部品に係合することができる。
【0032】
第14態様によれば、香味吸引器の製造方法が提供される。この香味吸引器の製造方法は、香味吸引器を構成する第1部品に、第2部品を接続する工程を有する。前記工程は、前記第1部品又は前記第2部品の一方の第2側に設けられた第2係合部を前記第1部品又は前記第2部品の他方に係合させ、前記第1部品又は前記第2部品の前記一方の前記第2側と対向する第1側に設けられた第1係合部を、前記第2係合部とは異なる態様で前記第1部品又は前記第2部品の前記他方に係合させることを含む。
【0033】
第14態様によれば、第1部品と第2部品とが、それぞれ異なる態様で係合する第1係合部及び第2係合部により係合されるので、それぞれの係合部の特性によって第1部品と第2部品とを係合することができる。その結果、単一の態様の係合部のみで第1部品と第2部品とを係合する場合に比べて、係合した第1部品と第2部品とが不意に外れることが抑制され得る。また、第1係合部と第2係合部が互いに対向する位置(反対側の位置)に設けられるので、香味吸引器に局所的な力が加えられても、第1係合部と第2係合部とが同時に開放されることが抑制され得る。
【0034】
第15態様は、第14態様において、前記工程は、前記第2係合部が前記第1部品又は前記第2部品の前記他方に係合することで、前記第1係合部を所定の方向に付勢し、それにより前記第1係合部を前記第1部品又は前記第2部品の前記他方に係合させる、ことを含む、ことを要旨とする。
【0035】
第15態様によれば、第2係合部によって第1係合部を第1部品又は第2部品の他方に係合させることができるので、異なる態様で係合する第1係合部及び第2係合部を第1部品又は第2部品の他方に容易に係合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本実施形態に係る香味吸引器の全体斜視図である。
図2A図1に示した第1部品の側面図である。
図2B】第1部品の部分拡大斜視図である。
図3A図1に示した第2部品の側面図である。
図3B】第1係合部の拡大図である。
図3C】第2係合部の拡大図である。
図4A】香味吸引器の製造方法を示す図である。
図4B】香味吸引器の製造方法を示す図である。
図4C】香味吸引器の製造方法を示す図である。
図5】他の実施形態に係る香味吸引器の概略図である。
図6】他の実施形態に係る香味吸引器の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一の又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0038】
図1は、本実施形態に係る香味吸引器の全体斜視図である。図1に示すように、香味吸引器100は、第1部品50と、第1部品50と着脱可能に接続される第2部品10とを有する。図1では、第1部品50と第2部品10とが係合した状態が示される。本実施形態では、第1部品50は、バッテリ52を有し、再使用される電源部を構成する。第1部品50は、バッテリ52の電力を制御するPCB等の制御基板を有してもよい。また、本実施形態では、第2部品10は、カートリッジを構成する。第1部品50のバッテリ52は、第2部品10に電力を供給するように構成される。第2部品10は、その先端に通気口12を有する。ユーザは、香味吸引器100で生成されたエアロゾルを通気口12から吸引することができる。即ち、本実施形態において、第2部品10はマウスピースでもある。
【0039】
図2Aは、図1に示した第1部品50の側面図である。図2Bは、第1部品50の部分拡大斜視図である。第1部品50は、図1に示したバッテリ52等を収容する筐体53を有する。図2Bに示すように、第1部品50(筐体53)は、第2部品10を受け入れ可能な開口54を有する。これにより、図1に示したように、第1部品50に第2部品10が挿入されて互いに係合することができる。開口54は、筐体53の一端に設けられ、筐体53の他端は閉止されている。したがって、第1部品50の筐体53は、全体として有底の筒状体を構成する。
【0040】
第1部品50は、第1側62と、第1側62と対向する(反対側の)第2側64とを有する。第1側62及び第2側64が延在する方向に、第2部品10が第1部品50に対して着脱される。即ち、図2における左右方向が、第1部品50の着脱方向に相当する。本明細書において「着脱方向」とは、香味吸引器100の長手方向であり、第1部品50と第2部品10が連結される方向又は隣接する方向であり、又は第2部品10を開口54に挿入するときの挿入方向でもある。したがって、第1側62及び第2側64は、着脱方向と直交する方向に互いに離間して位置する。
【0041】
開口54は、第1部品50の開口端部54aによって画定される。図2A及び図2Bに示すように、開口端部54aは、着脱方向と直交する面に対して傾斜することが好ましい。これにより、開口端部54aが着脱方向と直交する場合に比べて、開口54の面積を大きくすることができるので、第1部品50と第2部品10とを装着しやすくすることができる。具体的には、第2部品10を第1部品50の開口54に挿入しやすくすることができる。開口端部54aが着脱方向と直交する面に対して傾斜することに起因して、筐体53の第1側62の着脱方向の長さは、筐体53の第2側64の着脱方向の長さよりも短い。
【0042】
開口54は、着脱方向から見て非真円形状であることが好ましい。これにより、第2部品10を開口54に挿入したときに、着脱方向に対する周方向の回転を抑制することができる。したがって、第1部品50と第2部品10の周方向の向きがずれないので、第1部品50と第2部品10とを容易に係合させることができる。本実施形態では、図2Bに示すように、開口54は、着脱方向から見て略矩形状である。これに限らず、開口54は、任意の形状を有し得る。
【0043】
図2Bに示すように、第1部品50は、後述する第2部品10の第1係合部32が係合する穴56を有する。本実施形態では、第1側62において、筐体53の外面と内面との間を貫通するように穴56が設けられる。これに限らず、第1部品50は、後述する第2部品10の第1係合部32が係合する凹部又は切り欠きを有してもよい。この場合、例えば筐体53の第1側62の内面に凹部又は切り欠きが形成され得る。また、本実施形態では、筐体53の第2側64の内面58は平坦に形成され得る。
【0044】
図3Aは、図1に示した第2部品10の側面図である。図3Aにおいて破線で示すように、第2部品10は、内部に霧化部16と、エアロゾル流路14と、を有する。霧化部16は、例えばエアロゾル源と、エアロゾル源を霧化するヒータ等を含み、エアロゾル源を霧化してエアロゾルを発生させる。エアロゾル流路14は、一端が霧化部16と連通し、他端が通気口12連通する。これにより、霧化部16で生じたエアロゾルがエアロゾル流路14を通じて通気口12へ供給され得る。
【0045】
第2部品10は、図1に示したように第1部品50に装着されたときに第1部品50の内部に収納される第1部分10aと、露出される第2部分10bとを有する。また、第2部品10は、第1側22と、第1側22と対向する(反対側の)第2側24とを有する。第2部品10の第1側22及び第2側24は、第1部品50と第2部品10とが接続された状態において、第1部品50の第1側62及び第2側64にそれぞれ位置する。第2部品10は、第1部品50に装着されたときに第1部品50の開口端部54aと当接するストッパ18を有し得る。ストッパ18は、開口端部54aと同様の向きに傾斜する傾斜面である。このストッパ18を境界として、第2部分10bの幅及び厚みが、第1部分10aの幅及び厚みよりも大きくなっている。ストッパ18は、第2部品10が第1部品50に装着されたときに、第2部品10が第1部品50の内部に入り込みすぎることを抑制できる。
【0046】
本実施形態では、第2部品10は、第1部品50と係合する第1係合部32及び第2係合部34を有する。ここで、第1係合部32は、第2係合部34と異なる態様で第1部品50と係合する。これにより、それぞれの係合部の特性によって第1部品50と第2部品10とを係合することができる。その結果、単一の態様の係合部のみで第1部品50と第2部品10とを係合する場合に比べて、係合した第1部品50と第2部品10とが不意に外れることが抑制され得る。また、図3Aに示すように、第1係合部32は、第2部品10の第1側22に設けられ、第2係合部34は、第2側24に設けられることが好ましい。これにより、香味吸引器100に局所的な力が加えられても、第1係合部32と第2係合部34とが同時に開放されることが抑制され得る。
【0047】
第1係合部32と第2係合部34は、互いに異なる態様で係合する任意の係合構造を有し得る。例えば、第1係合部32及び第2係合部34は、磁力による係合構造、摩擦による係合構造、係止による係合構造(スナップフィット等)等を有し得る。
【0048】
図3Bは、第1係合部32の拡大図である。図3Bに示すように、本実施形態では、第1係合部32は、図2Bに示した第1部品50の穴56に係合する凸部であり得る。第1係合部32が凸部である場合、凸部が第1部品50の穴56に対して着脱されたときの感触をユーザが感じることができるので、第1係合部32が第1部品50に係合しているか否かをユーザが感知することができる。
【0049】
図3Cは、第2係合部34の拡大図である。図3Cに示すように、本実施形態では、第2係合部34は、テーパ面34aを有する隆起部であり得る。テーパ面34aは、第2部品10の第1部分10a側から第2部分10b側に向けて、第2部品10の幅が大きくなるように傾斜している。言い換えれば、第2係合部34は、このテーパ面34aにより、第2係合部34が第1部品50と係合したとき第1係合部32を第2側24から第1側22に向けて付勢することができる。これにより、第1係合部32を第1部品50の穴56に付勢して、穴56に係合させることができる。また、この場合、第1係合部32の凸部によって第2部品10の着脱方向に第2部品10が第1部品50から取り外されることが抑制され、且つ第2係合部34によって着脱方向と直交する方向の第2部品10のがたつきが抑制され得る。また、第2部品10の着脱過程において、第1係合部32に生じる摩擦力の上昇を緩やかにすることができるため、第1係合部32の摩耗や損傷を抑制することができる。なお、第2係合部34はテーパ面34aを有する隆起部に限らず、第1係合部32を第1部品50に付勢可能な構造から適宜選択できる。具体的には、第2係合部34は、例えばシリコンやバネなどの弾性構造であってもよい。
【0050】
また、図3Aに示すように、第1部品50と第2部品10とが接続された状態において第2部品10の第1部品50から露出した部分の長さ、即ち第2部分10bの長さは、第2側24より第1側22の方が長いことが好ましい。即ち、図3Aに示すように、第2部分10bの第1側22の長さL1が、第2部分10bの第2側24の長さL2よりも長いことが好ましい。これにより、第2部分10bの第1側22をユーザが操作しやすくなるので、ユーザが第2部分10bの第1側22を操作して、第1側22に設けられた第1係合部32を第1部品50から容易に取り外すことができる。より具体的には、第1係合部32が第1部品50から外れる方向に第2部品10の第1側22を押すことにより、第1係合部32の第1部品50の係合を容易に解除することができる。
【0051】
さらに、第1部品50と第2部品10とが接続された状態において第2部品10の第1部品50から露出した部分、即ち第2部分10bの第1側22の表面に、摩擦力を増加させた表面加工部26が設けられることが好ましい。表面加工部26は、例えば、ブラスト処理、凹凸加工、ラバーコーティング等、摩擦力を増加させる任意の表面処理がなされた部分を含み得る。これにより、ユーザが第2部品10の第1側22を操作したときにユーザが第2部品10に加える力が第2部品10に伝達されやすくなる。このため、ユーザが、第1側22に設けられた第1係合部32を第1部品50から容易に取り外すことができる。
【0052】
次に、香味吸引器100の製造方法について説明する。図4Aから図4Cは、香味吸引器100の製造方法を示す図である。具体的には、図4Aから図4Cは、第1部品50と第2部品10の装着手順を示す。まず、香味吸引器100を構成する第1部品50に、第2部品10が接続される。具体的には、第1部品50の開口54に、第2部品10の第1部分10aが挿入される。図4Aに示すように、第2部品10は、着脱方向d1に沿って第1部品50の開口54に挿入される。
【0053】
次に、第2部品10が着脱方向d1に沿って第1部品50に挿入されることにより、第2係合部34が第1部品50に係合する。具体的には、図3Cに示した第2係合部34のテーパ面34aが、図2Bに示した第1部品50の筐体53の内面58と接触する。テーパ面34aが筐体53の内面58と接触した後、さらに第2部品10を着脱方向d1に沿って第1部品50に押し込むと、第2係合部34が第1部品50にさらに係合する。その結果、第2係合部34により、第1係合部32を含む第2部品10全体が所定の方向に付勢される。具体的には、図4Bに示すように、第1係合部32は、着脱方向d1と直交する方向d2(第2側24から第1側22に向かう方向)に付勢される。これにより、図4Cに示すように、第1係合部32の凸部が穴56に入り込んで係合する。
【0054】
図4Aから図4Cに示すプロセスでは、第2部品10と第1部品50とが接続される過程において、第1係合部32は、第2係合部34が第1部品50と係合した後に、第1部品50と係合する。これにより、第1係合部32による係合と第2係合部34による係合とを時間差で生じさせることができる。また、図4Aから図4Cに示すプロセスによれば、第2係合部34が第1部品50と係合することによって第1係合部32を第1部品50に係合させることができるので、異なる態様で係合する第1係合部32及び第2係合部34を第1部品50に容易に係合させることができる。
【0055】
図4Aから図4Cに示すプロセスは、第1係合部32が、第2係合部34が第1部品50と係合することによって、第1部品50と係合するということもできる。ユーザが第2係合部34を第1部品50に係合させることで、第1係合部32も第1部品50に係合させることができるので、異なる態様で係合する第1係合部32及び第2係合部34を第1部品50に容易に係合させることができる。即ち、ユーザが第1係合部32と第2係合部34をそれぞれ第1部品50に係合させる必要がないので、容易に第1係合部32及び第2係合部34を第1部品50に係合させることができる。
【0056】
図5は、他の実施形態に係る香味吸引器100の概略図である。図5において、第1部品50は断面図で示され、第2部品10は側面図で示され、第2部品10が第1部品50に接続される直前の状態が示される。図5に示す例では、第2部品10の第1係合部35が凹部であり、これに対応する凸部59を第1部品50が有する。第2部品10が着脱方向d1に沿って第1部品50に挿入されると、第2係合部34により、第1係合部32が、着脱方向d1と直交する方向d2(図4B参照)に付勢される。これにより、第1係合部35の凹部に凸部59が入り込んで係合する。図5に示したように、本実施形態の香味吸引器100は、様々な形態の第1係合部35及び第2係合部34を採用することができる。
【0057】
以上で説明した例では、第2部品10が第1係合部32(第1係合部35)及び第2係合部34を有するものとして説明した。しかしながら、これに限らず、本実施形態において、第1部品50又は第2部品10の一方は、第1部品50又は第2部品10の他方と係合する第1係合部及び第2係合部を有し得る。即ち、第1部品50が、第1係合部又は第2係合部の少なくとも一つを有してもよい。この場合、第2部品10が、第1係合部又は第2係合部と係合する被係合部を有し得る。図6は、他の実施形態に係る香味吸引器100の概略図である。図6において、第1部品50は断面図で示され、第2部品10は側面図で示され、第2部品10が第1部品50に接続される直前の状態が示される。
【0058】
図6に示す香味吸引器100は、図1から図4Cに示した香味吸引器100と比べて、第2係合部34が第2部品10に設けられず、代わりに第2係合部57が第1部品50に設けられている点、及び第1部品50の穴56(第1係合部の一例に相当する)の位置が異なる。図6に示す例においては、第1部品50の穴56が第1係合部に相当し、第2部品10の凸部33が穴56に入り込む。図6に示すように、第1部品50は、第2側64(図2A参照)の内面58に第2係合部57を有する。第2係合部57は、テーパ面57aを有する隆起部であり得る。テーパ面57aは、開口54から離れるにつれて第1部品50の幅が小さくなるように傾斜している。言い換えれば、第2係合部57は、このテーパ面57aにより、第2係合部57が第1部品50と係合したとき凸部33を第2側24から第1側22に向けて付勢することができる。これにより、凸部33を第1部品50の穴56に付勢して、穴56に係合させることができる。
【0059】
図6に示すように、第2部品10の穴56は、着脱方向d1において第2係合部57と略一致する位置に配置されることが好ましい。第2係合部57が凸部33を第2側24から第1側22に向けて付勢したとき、第2部品10の第2係合部57に対応する位置の方向d2(図4B参照)における変位量が比較的大きいので、凸部33を第1部品50の穴56に付勢して、穴56により確実に係合させることができる。このように、第2部品10が第1係合部(穴56)及び第2係合部57を有してもよい。
【0060】
以上に本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。
【符号の説明】
【0061】
10 :第2部品
16 :霧化部
22 :第1側
24 :第2側
26 :表面加工部
32,35 :第1係合部
34、57 :第2係合部
34a :テーパ面
50 :第1部品
54 :開口
54a :開口端部
56 :穴
100 :香味吸引器
d1 :着脱方向
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5
図6