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特許7594119温度上昇を低減可能なリレーの可動バネ及びリレー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-25
(45)【発行日】2024-12-03
(54)【発明の名称】温度上昇を低減可能なリレーの可動バネ及びリレー
(51)【国際特許分類】
   H01H 50/56 20060101AFI20241126BHJP
   H01H 50/12 20060101ALI20241126BHJP
   H01H 1/26 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
H01H50/56 B
H01H50/12 G
H01H1/26 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023536005
(86)(22)【出願日】2021-12-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-19
(86)【国際出願番号】 CN2021135492
(87)【国際公開番号】W WO2022127627
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2023-06-14
(31)【優先権主張番号】202011479332.4
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202023023996.8
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518215954
【氏名又は名称】シァメン ホンファ エレクトリック パワー コントロールズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Xiamen Hongfa Electric Power Controls Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.93 Yinong Road, Haicang District, Xiamen, Fujian 361027,China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,シュミン
(72)【発明者】
【氏名】ダイ,ウェングアン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ファンノン
(72)【発明者】
【氏名】リャオ,グォジン
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-139196(JP,A)
【文献】特開2013-054846(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 50/56
H01H 50/12
H01H 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度上昇を低減可能なリレーの可動バネであって、
可動接点、可動バネプレート及び可動バネ引出プレートを含み、前記可動バネプレートは、対向する第一端及び第二端を有し、前記第一端は、前記可動バネ引出プレートに接続され、前記可動バネプレートは、少なくとも二つの電流キャリア導体を含み、前記可動接点は少なくとも二つであり、且つ前記少なくとも二つの電流キャリア導体にそれぞれ固定され、且つ前記可動バネプレートの第二端に近接し、これにより前記可動バネプレートは、少なくとも二つの並列接続構造を形成し、前記可動バネプレートには、接続シートがさらに取り付けられ、前記接続シートは、前記少なくとも二つの可動接点に接続され、
前記可動バネプレートは、複数枚の積層されたサブバネプレートを含み、
前記可動バネプレートは、順に積層された第一サブバネプレート、第二サブバネプレート、第三サブバネプレート及び第四サブバネプレートを含み、前記第一サブバネプレート、第二サブバネプレート、第三サブバネプレート及び第四サブバネプレートには、二つの直線スリットがそれぞれ設けられ、これにより三つの電流キャリア導体を形成し、前記可動接点は、二又は三つであり、且つ対応する電流キャリア導体にそれぞれ固定され、前記可動バネプレートを三つの並列接続構造として形成させ、前記第一サブバネプレート、第二サブバネプレート及び第三サブバネプレートの電流キャリア導体には、U字型の屈曲部がそれぞれ設けられ、前記第四サブバネプレートの電流キャリア導体には、U字型の屈曲部が設けられない
温度上昇を低減可能なリレーの可動バネ。
【請求項2】
前記可動バネプレートの第二端から第一端に向かう方向に沿って少なくとも一つの直線スリットが延在され、前記少なくとも一つの直線スリットは、前記可動バネプレートを前記少なくとも二つの電流キャリア導体に分ける
ことを特徴とする請求項1に記載のリレーの可動バネ。
【請求項3】
前記可動バネプレートの少なくとも二つの電流キャリア導体のうち、少なくとも一つの電流キャリア導体の幅寸法が大きい
ことを特徴とする請求項1に記載のリレーの可動バネ。
【請求項4】
前記少なくとも二つの可動接点のうち、少なくとも一つの可動接点の厚さ寸法が大きい
ことを特徴とする請求項3に記載のリレーの可動バネ。
【請求項5】
前記厚さ寸法が大きい可動接点は、前記幅寸法が大きい電流キャリア導体に固定される
ことを特徴とする請求項4に記載のリレーの可動バネ。
【請求項6】
前記可動バネプレートの中間部分には、U字型の屈曲部が設けられる
ことを特徴とする請求項に記載のリレーの可動バネ。
【請求項7】
前記第四サブバネプレートの電流キャリア導体には、弧状スリットが設けられ、前記弧状スリットは、前記可動接点の前記可動バネ引出プレートから離れている片側に位置し、これにより前記第四サブバネプレートの電流キャリア導体の、前記可動バネ引出プレートから離れている端部は弾性的に揺動することができる
ことを特徴とする請求項に記載のリレーの可動バネ。
【請求項8】
リレーであって、
請求項1~のいずれか一項に記載のリレーの可動バネを含む
ことを特徴とするリレー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリレー技術分野に関し、特にリレーの可動バネ及びリレーに関する。
【背景技術】
【0002】
リレーは電子制御デバイスは、制御システム(入力回路とも呼ばれる)及び被制御システム(出力回路とも呼ばれる)を有し、一般的に自動制御回路に適用される。リレーは、実際には、小さな電流で大きな電流を制御する自動スイッチであり、したがって、回路において自動調整、安全保護、変換回路等の作用を果たす。リレーは熱に弱い素子に属し、許容可能な温度を超えると、リレー内部のプラスチック及び絶縁材料の劣化が加速し、接点が酸化腐食されて消弧が困難になり、電気素子の技術パラメータが減衰し、信頼性が低下する等の弊害をもたらす。
【0003】
リレーにおける可動バネは温度上昇が発生しやすい部材であり、多くの可動バネはいずれも可動接点、可動バネプレート及び可動バネ引出プレートで構成され、可動接点は可動バネプレートの一端に固定され、可動バネプレートの他端は可動バネ引出プレートに固定される。リレーが作動する過程において、可動バネプレートの可動接点が固定された一端は可動バネプレートの他端(可動バネ引出プレートとの固定端)を回って揺動し、可動バネプレートは作動部材であると同時に電流キャリア体であり、したがって、可動バネプレートは可動バネにおいて最も温度上昇が発生しやすい部材である。従来技術は一般的に定格電流を適切な範囲に調整することにより、製品を温度要件に合致させる。リレーの応用範囲の拡大に伴い、リレーも高負荷、小型化の方向に発展し、定格電流の向上は必然的に可動バネプレートの温度を上昇させ、可動バネプレートの温度上昇をどのように効果的に低減させるかは、早急に解決すべき課題となっている。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、従来技術の欠点を解決し、構造を改善することにより、定格電流の増加による温度上昇の影響を低減させ、温度上昇の要件を満たし、リレーの温度上昇が要件を超えることによるリレー内部のプラスチック及び絶縁材料の劣化が加速し、接点が酸化腐食されて消弧が困難になり、電気素子の技術パラメータが減衰し、及び信頼性が低下する等の弊害を解消することができる、温度上昇を低減可能なリレーの可動バネを提供することである。
本発明がその技術的課題を解決するために用いる技術的解決手段は以下のとおりである。温度上昇を低減可能なリレーの可動バネであって、可動接点、可動バネプレート及び可動バネ引出プレートを含み、前記可動バネプレートは、対向する第一端及び第二端を有し、前記第一端は、前記可動バネ引出プレートに接続され、前記可動バネプレートは、少なくとも二つの電流キャリア導体を含み、前記可動接点は少なくとも二つであり、且つ前記少なくとも二つの電流キャリア導体にそれぞれ固定され、且つ前記可動バネプレートの第二端に近接し、これにより前記可動バネプレートは、少なくとも二つの並列接続構造を形成し、前記可動バネプレートには、接続シートがさらに取り付けられ、前記接続シートは、前記少なくとも二つの可動接点に接続される。
【0005】
本発明の一実施形態によれば、前記可動バネプレートの第二端から第一端に向かう方向に沿って少なくとも一つの直線スリットが延在され、前記少なくとも一つの直線スリットは、前記可動バネプレートを前記少なくとも二つの電流キャリア導体に分ける。
【0006】
本発明の一実施形態によれば、前記可動バネプレートの少なくとも二つの電流キャリア導体のうち、少なくとも一つの電流キャリア導体の幅寸法が大きい。
【0007】
本発明の一実施形態によれば、前記少なくとも二つの可動接点のうち、少なくとも一つの可動接点の厚さ寸法が大きい。
【0008】
本発明の一実施形態によれば、前記厚さ寸法が大きい可動接点は、前記幅寸法が大きい電流キャリア導体に固定される。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、前記可動バネプレートは、複数枚の積層されたサブバネプレートを含む。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、前記可動バネプレートの中間部分には、U字型の屈曲部が設けられる。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、前記可動バネプレートは、順に積層された第一サブバネプレート、第二サブバネプレート、第三サブバネプレート及び第四サブバネプレートを含み、前記第一サブバネプレート、第二サブバネプレート、第三サブバネプレート及び第四サブバネプレートには、二つの直線スリットがそれぞれ設けられ、これにより三つの電流キャリア導体を形成し、前記可動接点は二又は三つであり、且つ対応する電流キャリア導体にそれぞれ固定され、前記可動バネプレートを三つの並列接続構造として形成させ、前記第一サブバネプレート、第二サブバネプレート及び第三サブバネプレートの電流キャリア導体には、U字型の屈曲部がそれぞれ設けられ、前記第四サブバネプレートの電流キャリア導体には、U字型の屈曲部が設けられない。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、前記第四サブバネプレートの電流キャリア導体には、弧状スリットが設けられ、前記弧状スリットは、前記可動接点の前記可動バネ引出プレートから離れている片側に位置し、これにより前記第四サブバネプレートの電流キャリア導体の、前記可動バネ引出プレートから離れている端部は弾性的に揺動することができる。
【0013】
従来技術に比べて、本発明の有益な効果は以下のとおりである。
【0014】
本発明において、可動バネプレートは、少なくとも二つの電流キャリア導体を含み、前記可動接点は少なくとも二つであり、且つ対応する電流キャリア導体にそれぞれ固定され、これにより可動バネプレートは、少なくとも二つの並列接続構造を形成し、各電流キャリア導体を通過する電流を減少させ、これにより温度上昇を低減させることができる。さらに、前記可動バネプレートにおいて、リレーの固定接点に合わせる面にさらにストライプ状の接続シートが取り付けられ、前記ストライプ状の接続シートは各可動接点に接続され、可動接点と固定接点が分離される場合に接点の隙間が一致することを保証することができ、プッシュ部がプッシュされる時に歪むことによる接点の隙間が一致しないという問題を減少させる。
さらに、本発明の可動バネプレートにおいて、少なくとも二つの電流キャリア導体のうちの少なくとも一つの電流キャリア導体の幅寸法は相対的に大きく設計され、前記少なくとも二つの可動接点のうち、少なくとも一つの可動接点の厚さ寸法は相対的に大きく設計され、且つ厚さ寸法が大きい可動接点は幅寸法が大きい電流キャリア導体に固定される。本発明のこのような構造は、可動バネプレートの総抵抗を小さい接触抵抗状態に維持することができ、これにより温度上昇を低減させる。
【0015】
本発明の温度上昇を低減可能なリレーの可動バネは、構造を改善することにより、定格電流を向上させる場合に、定格電流の増加による可動バネプレートの温度上昇の影響を低減させ、リレーの温度上昇が要件を超えることによるリレーの内部のプラスチック及び絶縁材料の劣化を加速し、接点が酸化腐食されて消弧が困難になり、電気素子の技術パラメータが減衰し、及び信頼性が低下する等の弊害を解消することができる。
本発明の別の態様によれば、リレーであって、本発明の温度上昇を低減可能なリレーの可動バネを含む。
【0016】
本発明の別の態様によれば、多重接点構造を有するリレーであって、ベース、磁路構造及び少なくとも二つの接点構造を含み、前記磁路構造はアーマチュアを含み、各前記接点構造は可動バネを含む。ここで、前記ベースに前記接点構造の数と同じである少なくとも二つの凹溝が設けられる。前記少なくとも二つの凹溝は、前記ベースの対向する両側にそれぞれ設置され、且つ前記少なくとも二つの凹溝は交互に一列に配列される。前記少なくとも二つの接点構造は、前記少なくとも二つの凹溝にそれぞれ取り付けられる。前記磁路構造はベース内に取り付けられ、且つ少なくとも二つの接点構造における可動バネとそれぞれ連動し、それにより磁路構造が動作する時に対応する可動バネの動作を駆動する。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、前記磁路構造と前記少なくとも二つの接点構造のうちの一つとは同一の凹溝に取り付けられ、隣接する二つの前記凹溝の間に貫通孔が設けられ、前記アーマチュアは、前記貫通孔を貫通して前記可動バネに接続される。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、前記磁路構造と前記接点構造が取り付けられた凹溝において、さらに強電と弱電の分離を実現するためのバッフルが設けられ、前記バッフルは前記接点構造と前記磁路構造との間に位置する。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、前記接点構造は二つであり、前記磁路構造と同一の凹溝に取り付けられた一方の接点構造は、前記凹溝への取り付け位置が前記磁路構造よりも他方の接点構造に近い。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、プッシュ部をさらに含み、前記アーマチュアはH字型の形状であり、前記アーマチュアの両端はそれぞれ前記プッシュ部に接続され、且つ前記プッシュ部を介して前記可動バネに接続される。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、前記可動バネは、可動接点、可動バネプレート及び可動バネ引出プレートを含み、前記可動バネプレートは、対向する第一端及び第二端を有し、前記第一端は、前記可動バネ引出プレートに接続され、前記可動バネプレートは、少なくとも二つの電流キャリア導体を含み、前記可動接点は少なくとも二つであり、且つ前記少なくとも二つの電流キャリア導体にそれぞれ固定され、且つ前記可動バネプレートの第二端に近接し、これにより前記可動バネプレートは少なくとも二つの並列接続構造を形成する。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、前記可動バネプレートの第二端から第一端に向かう方向に沿って少なくとも一つの直線スリットが延在され、前記少なくとも一つの直線スリットは、前記可動バネプレートを前記少なくとも二つの電流キャリア導体に分ける。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、前記可動バネプレートの少なくとも二つの電流キャリア導体のうち、少なくとも一つの電流キャリア導体の幅寸法が大きい。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、前記少なくとも二つの可動接点のうち、少なくとも一つの可動接点の厚さ寸法が大きい。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、前記厚さ寸法が大きい可動接点は、前記幅寸法が大きい電流キャリア導体に固定される。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、前記可動バネプレートには、接続シートがさらに取り付けられ、前記接続シートは、前記少なくとも二つの可動接点に接続される。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、可動バネプレートは、複数枚の積層されたサブバネプレートを含む。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、前記可動バネプレートの中間部分には、U字型の屈曲部が設けられる。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、前記可動バネプレートは、順に積層された第一サブバネプレート、第二サブバネプレート、第三サブバネプレート及び第四サブバネプレートを含み、前記第一サブバネプレート、第二サブバネプレート、第三サブバネプレート及び第四サブバネプレートには、二つの直線スリットがそれぞれ設けられ、これにより三つの電流キャリア導体を形成し、前記可動接点は、二又は三つであり、且つ前記第一サブバネプレートの電流キャリア導体にそれぞれ固定され、前記可動バネプレートに三つの並列接続構造を形成させ、前記第一サブバネプレート、第二サブバネプレート及び第三サブバネプレートの電流キャリア導体には、屈曲部がそれぞれ設けられ、前記第四サブバネプレートの電流キャリア導体には、屈曲部が設けられない。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、前記第四サブバネプレートの電流キャリア導体には、弧状スリットが設けられ、前記弧状スリットは、前記可動接点の前記可動バネ引出プレートから離れている片側に位置し、これにより前記第四サブバネプレートの電流キャリア導体の、前記可動バネ引出プレートから離れている端部は弾性的に揺動することができる。
従来技術に比べて、本発明の多重接点構造を有するリレーの有益な効果は以下のとおりである。
【0031】
本発明において、ベースに接点構造の数と同じである少なくとも二つの凹溝が設けられ、且つ少なくとも二つの凹溝は、ベースの対向する両側にそれぞれ設けられ、且つ交互に一列に配列される。各接点構造は、対応する凹溝内にそれぞれ取り付けられる。前記磁路構造はベース内に取り付けられ、且つ各接点構造における可動バネとそれぞれ連動する。本発明のこのような構造は、各接点構造の間を空間的に分離させ、定格電流を向上させる場合に、定格電流の増加による温度上昇の影響を低減させ、温度上昇の要件を満たし、リレー内部のプラスチック及び絶縁材料の劣化を加速し、接点が酸化腐食されて消弧が困難になり、電気素子の技術パラメータが減衰し、及び信頼性が低下する等の弊害を解消することができる。
【0032】
さらに、本発明における可動バネプレートは、スリットによって少なくとも二つの電流キャリア導体に分けられ、各電流キャリア導体に一つの可動接点が固定され、これにより可動バネプレートは少なくとも二つの並列接続構造を形成する。本発明のこのような構造は、接点構造を複数組の接点並列接続構造に設計することにより、各電流キャリア導体を通過する電流を減少させ、これにより温度上昇を低減させることができる。
【0033】
さらに、可動バネプレートの各電流キャリア導体のうち、一方の電流キャリア導体の幅寸法を、他方の電流キャリア導体の幅寸法よりも大きく設計するとともに、各可動接点のうち、一方の可動接点の厚さ寸法を、他方の可動接点の厚さ寸法よりも大きく設計し、且つ厚さ寸法が相対的に大きい可動接点を、幅寸法が相対的に大きい電流キャリア導体に固定する。本発明のこのような構造は、可動バネプレートの総抵抗を小さい接触抵抗状態に維持することができ、これにより温度上昇を低減させる。
【0034】
さらに、可動バネプレートの固定接点に向かう面には、接続シートがさらに取り付けられ、前記接続シートは、各可動接点の間に接続される。本発明のこのような構造は、分離される場合に接点の隙間が一致することを保証することができ、プッシュ部のプッシュ過程における歪みによる接点の隙間の差異を減少させる。
【0035】
本発明の別の態様によれば、温度上昇を低減可能なリレーの可動バネであって、可動接点、可動バネプレート及び可動バネ引出プレートを含み、前記可動バネプレートの一端は、前記可動バネ引出プレートに接続され、前記可動バネプレートは、少なくとも二つの電流キャリア導体を含み、前記可動接点は少なくとも二つであり、且つ前記少なくとも二つの電流キャリア導体にそれぞれ固定され、前記可動バネプレートには、接続シートがさらに取り付けられ、前記接続シートは、前記少なくとも二つの可動接点に接続される。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、前記可動バネプレートの一端から前記可動バネ引出プレートに接続された一端に向かう方向に沿って少なくとも一つの直線スリットが延在され、前記可動バネプレートを少なくとも二つの電流キャリア導体に分け、これにより前記可動バネプレートは、少なくとも二つの並列接続構造を形成する。
【0037】
本発明の一実施形態によれば、前記可動バネプレートの少なくとも二つの電流キャリア導体のうち、少なくとも一つの電流キャリア導体の幅寸法が大きい。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、前記少なくとも二つの可動接点のうち、少なくとも一つの可動接点の厚さ寸法が大きい。
【0039】
本発明の一実施形態によれば、前記厚さ寸法が大きい可動接点は、前記幅寸法が大きい電流キャリア導体に固定される。
【0040】
本発明の一実施形態によれば、前記可動バネプレートは、複数枚の積層されたサブバネプレートを含む。
【0041】
本発明の一実施形態によれば、前記可動バネプレートの中間部分には、U字型の屈曲部が設けられる。
【0042】
本発明の一実施形態によれば、前記可動バネプレートは、順に積層された第一サブバネプレート、第二サブバネプレート、第三サブバネプレート及び第四サブバネプレートを含み、前記第一サブバネプレート、第二サブバネプレート、第三サブバネプレート及び第四サブバネプレートには、二つの直線スリットがそれぞれ設けられ、これにより三つの電流キャリア導体を形成し、前記可動接点は、二又は三つであり、且つ前記第一サブバネプレートの電流キャリア導体にそれぞれ固定され、前記可動バネプレートに三つの並列接続構造を形成させ、前記第一サブバネプレート、第二サブバネプレート及び第三サブバネプレートの電流キャリア導体には、屈曲部がそれぞれ設けられ、前記第四サブバネプレートの電流キャリア導体には、屈曲部が設けられない。
【0043】
本発明の一実施形態によれば、前記第四サブバネプレートの電流キャリア導体には、弧状スリットが設けられ、前記弧状スリットは、前記可動接点の前記可動バネ引出プレートから離れている片側に位置し、これにより前記第四サブバネプレートの電流キャリア導体の、前記可動バネ引出プレートから離れている端部は弾性的に揺動することができる。
【0044】
従来技術に比べて、本発明の温度上昇を低減可能なリレーの可動バネの有益な効果は以下のとおりである。
【0045】
本発明における可動バネプレートは、少なくとも二つの電流キャリア導体を含み、前記可動接点は少なくとも二つであり、且つ対応する電流キャリア導体にそれぞれ固定され、これにより可動バネプレートは、少なくとも二つの並列接続構造を形成して各電流キャリア導体を通過する電流を減少させ、これにより温度上昇を低減させることができる。
【0046】
さらに、前記可動バネプレートにおいて、リレーの固定接点と係合するための面にさらにストライプ状の接続シートが取り付けられ、前記ストライプ状の接続シートは各可動接点に接続され、分離される場合に可動接点と固定接点との間の隙間が一致することを保証することができ、プッシュ部のプッシュ過程における歪みによる接点隙間の差異を減少させる。
さらに、本発明の可動バネプレートにおいて、少なくとも二つの電流キャリア導体のうちの少なくとも一つの電流キャリア導体の幅寸法が相対的に大きく設計され、前記少なくとも二つの可動接点のうち、少なくとも一つの可動接点の厚さ寸法は相対的に大きく設計される。本発明のこのような構造は、可動バネプレートの総抵抗を常に小さい接触抵抗状態に維持することができ、これにより温度上昇を低減する。
【0047】
以下では添付の図面及び実施例を参照しながら本発明をさらに詳細に説明する。しかしながら、本発明の多重接点構造を有するリレーは実施例に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
本発明の上記および他の特徴および利点は、添付の図面を参照してその例示的な実施形態を詳細に説明することによって、より明らかになるであろう。
図1図1は、本発明の温度上昇を低減可能なリレーの可動バネの一実施例の組み立て構造の概略図である。
図2図2は、本発明の温度上昇を低減可能なリレーの可動バネの一実施例の立体構造の分解概略図である。
図3図3は、本発明のリレーの一実施例の立体分解概略図である。
図4図4は、本発明のリレーの一実施例の立体分解概略図(180度反転)である。
図5図5は、本発明のリレーの一実施例のベースの立体構造概略図である。
図6図6は、本発明のリレーの一実施例のベースの立体構造概略図(180度反転)である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、添付の図面を参照して例示的な実施形態についてより完全に説明する。しかしながら、例示的な実施形態は、多くの形態で実施することができ、本明細書に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。本明細書において、「上」、「下」のような相対的な用語を使用して、アイコンのある構成要素と別の構成要素との相対的な関係を説明するが、これらの用語は、本明細書では、単に便宜上、例えば、図に示される例の向きにしたがって使用されることを理解されたい。理解できるのは、アイコンの装置が上下逆になるように反転される場合、「上」に述べられている構成要素は、「下」にある構成要素になるということです。他の相対的な用語、例えば「頂」、「底」なども同様の意味を有する。ある構造が他の構造の「上」にある場合、ある構造が他の構造に一体的に形成されていることを意味したり、ある構造が他の構造に「直接」設置されていることを意味したり、ある構造が別の構造を介して他の構造に「間接」設置されていることを意味したりすることがある。
【0050】
「1つ」、「一」、「当該」、および「前記」という用語は、1つまたは複数の要素/構成要素/などが存在することを示すために使用され、「含む」および「有する」という用語は、非限定的な包括的な意味を示すために使用され、列挙された要素/構成要素/などに加えて、追加の要素/構成要素/などが存在し得ることを意味し、「第一」、「第二」などの用語は、単に表記として使用され、その対象に対する数量制限ではない。
【0051】
本発明の多重接点構造を有するリレーは、ベース、磁路構造及び少なくとも二つの接点構造を含む。ベースに接点構造の数と同じである少なくとも二つの凹溝が設けられる。少なくとも二つの凹溝は、ベースの対向する両側にそれぞれ設置され、且つ少なくとも二つの凹溝は交互に一列に配列される。少なくとも二つの接点構造は、少なくとも二つの凹溝にそれぞれ取り付けられる。磁路構造はベースに取り付けられ、且つ少なくとも二つの接点構造における可動バネとそれぞれ連動し、それにより磁路構造が動作する時に対応する可動バネの作動を駆動する。以下では二つの接点構造を有するリレーを例として説明する。
【0052】
図1及び図2に示すように、本発明の温度上昇を低減可能なリレーの可動バネは、可動接点51、可動バネプレート52及び可動バネ引出プレート53等を含む。可動バネプレート52は、対向する第一端及び第二端を有し、第一端は、可動バネ引出プレート53に接続され、可動バネプレート52の他の第二端は可動接点51に固定的に接続される。
【0053】
可動バネプレートは、第二端部から可動バネ引出プレートに接続される第一端に向かう方向に少なくとも一つの直線スリットが延在されることにより、可動バネプレートを少なくとも二つの電流キャリア導体に分ける。可動接点は少なくとも二つであり、且つ対応する電流キャリア導体にそれぞれ固定され、これにより可動バネプレートを二つの並列接続構造に分ける。少なくとも二つの電流キャリア導体のうち、少なくとも一つの電流キャリア導体の幅寸法が大きく、少なくとも二つの可動接点のうち、少なくとも一つの可動接点の厚さ寸法が大きく、厚さ寸法が相対的に大きい可動接点は、幅寸法が相対的に大きい電流キャリア導体に固定される。
【0054】
一実施例において、図1に示すように、可動バネプレート52は、第二端部から可動バネ引出プレート53に接続される第一端に向かう方向に二つのスリット521が延在して設けられ、これにより可動バネプレート52を三つの電流キャリア導体522に分ける。可動接点は三つであり、且つ対応する電流キャリア導体522にそれぞれ固定され、これにより可動バネプレート52を三つの並列接続構造に分ける。
【0055】
一実施例において、可動バネプレート52の三つの電流キャリア導体のうち、一つの電流キャリア導体の幅寸法は、他の二つの電流キャリア導体522の幅寸法より大きく設計される。三つの可動接点51のうち、一つの可動接点の厚さ寸法は、他の二つの可動接点の厚さ寸法より大きく設計され、厚さ寸法が相対的に大きい可動接点は、幅寸法が相対的に大きい電流キャリア導体に固定される。
【0056】
一実施例において、可動バネプレート52は、固定接点に向かう面に接続シート54がさらに取り付けられ、接続シート54は各可動接点51の間に接続される。このような構造により、複数組の接点の接触を確実にし、可動接点と固定接点が分離される場合、接続シート54は各可動接点を一体に接続し、各可動接点を一緒に作動させて、可動接点と固定接点との間の隙間が一致するように保持することを保証し、閉合された場合に単一経路の接触が互いに干渉しない。
【0057】
一実施例において、可動バネプレート52は、4枚のサブバネプレートを積層して構成されている。
【0058】
一実施例において、可動バネプレート52の中間部分には、U字型の屈曲部56がさらに設けられている。
【0059】
一実施例において、可動バネプレート52は、順に積層された第一サブバネプレート551、第二サブバネプレート552、第三サブバネプレート553及び第四サブバネプレート554を含む。ここで、第一サブバネプレート551、第二サブバネプレート552、第三サブバネプレート553及び第四サブバネプレート554には、二つの直線スリット521がそれぞれ設けられ、これにより各サブバネプレートは三つの電流キャリア導体を形成し、可動接点51は三つであり、且つ対応する電流キャリア導体にそれぞれ固定され、可動バネプレート52を三つの並列接続構造として形成させる。第一サブバネプレート551、第二サブバネプレート552及び第三サブバネプレート553の電流キャリア導体には、U字型の屈曲部56がそれぞれ設けられ、第四サブバネプレート554の電流キャリア導体には、U字型の屈曲部が設けられない。
【0060】
第四サブバネプレート554の電流キャリア導体には、弧状スリット541が設けられ、弧状スリット541は、可動接点51の可動バネ引出プレート53から離れている片側に位置し、これにより第四サブバネプレート554の電流キャリア導体の、可動バネ引出プレート53から離れている端部は弾性的に揺動することができる。
【0061】
本発明は、可動バネプレート52を複数組の接点並列接続構造に設計することにより、各電流キャリア導体を通過する電流を減少させ、これにより温度上昇を低減させることができる。ストライプ状の接続シート54を各可動接点51の間に接続し、可動接点と固定接点が分離される場合に接点の隙間が一致することを保証することができ、プッシュ部のプッシュ過程における歪みによる接点の隙間の不一致の問題を減少させる。
【0062】
本発明の温度上昇を低減可能なリレーの可動バネは、可動バネプレート52の少なくとも二つの電流キャリア導体522のうち、少なくとも一つの電流キャリア導体522の幅寸法が相対的に大きく設計され、少なくとも二つの可動接点51のうち、少なくとも一つの可動接点51の厚さ寸法が相対的に大きく設計される。本発明のこのような構造は、少なくとも一つの電流キャリア導体522の幅寸法を相対的に大きく設計し及び少なくとも一つの可動接点51の厚さ寸法を相対的に大きく設計することにより、可動バネプレート52の総抵抗を小さい接触抵抗状態に維持することができ、これにより温度上昇を低減させる。
【0063】
従来技術のリレーは、一つの磁路機構を用いて同時に二つの接点構造を連動して作動させ、このようなリレーは磁路機構及び二つの接点構造をベースの同じ側の凹溝に取り付け、磁路機構と接点構造との間、及び二つの接点構造の間にいずれもバッフルが設けられるが、磁路機構及び二つの接点構造がベースの同じ側に位置するため、リレーが動作すると、電子部品は電流の通過によって発熱し、このように、磁路機構及び二つの接点構造による温度上昇がベースの同じ側に重畳される。従来技術は、一般的に定格電流を適切な範囲に調整することにより、製品を温度上昇の要件に合致させる。リレーの応用範囲の拡大に伴い、リレーも高負荷、小型化の方向に発展し、定格電流の向上は必然的にリレー内部の温度上昇を引き起こし、したがって、リレー全体の体積が変化しない状況でどのように温度上昇を低減させるかは、早急に解決すべき課題となっている。
【0064】
本発明はさらに多重接点構造のリレーを提供し、構造を改善することにより、定格電流の増加による温度上昇の影響を低減させ、温度上昇の要件を満たし、リレーの温度上昇が要件を超えることによるリレー内部のプラスチック及び絶縁材料の劣化を加速し、接点が酸化腐食されて消弧が困難になり、電気素子の技術パラメータが減衰し、及び信頼性が低下する等の弊害を解消することができる。
【0065】
図3図6に示すように、本発明における二つの接点構造を有するリレー構造に属し、当該リレーは、ベース1、磁路構造2、第一接点構造3及び第二接点構造4を含む。ベース1は二つの対向する側面、例えば正面及び裏面を有する。ベース1の正面には、第一凹溝11が設けられ、ベース1の裏面には、第二凹溝12が設けられ、第一凹溝11と第二凹溝12との間に貫通孔13が設けられる。第一凹溝11と第二凹溝12は交互に一列に配列され、即ち、第一凹溝11と第二凹溝12の、ベース1の一方の側面、例えば正面への投影は一列に配列され、且つ互いに重ならない。他のいくつかの実施例において、例えば複数の第一凹溝11と複数の第二凹溝12が設けられる場合、隣接する二つの第一凹溝11の間に一つの第二凹溝12が介在され、隣接する二つの第二凹溝12の間に一つの第一凹溝11が介在される。第二接点構造4は、第二凹溝12内に取り付けられる。
【0066】
第一接点構造3は、第一凹溝11内に取り付けられる。磁路構造2は、第一凹溝11内に取り付けられる。他のいくつかの実施例において、磁路構造2は、ベース1の他の位置に取り付けられてもよい。磁路構造におけるアーマチュアは第一接点構造3における可動バネ31に接続される。磁路構造2におけるアーマチュアは貫通孔13を貫通して第二接点構造4における可動バネ41に接続される。磁路構造2が動作すると、二つの接点構造における可動バネ41の作動を駆動することができる。本発明において、二つの接点構造をベース1の異なる空間位置に取り付け、相互の隔離を実現し、定格電流の増加による温度上昇を低減させる。
【0067】
一実施例において、プッシュ部をさらに含み、磁路構造2におけるアーマチュアはH字型の形状であり、アーマチュア2の両端はそれぞれ一つのプッシュ部に接続され、且つ対応するプッシュ部を介して二つの接点構造における可動バネに接続される。貫通孔13はアーマチュアの一端の端部位置に設けられる。
【0068】
一実施例において、図3及び図4に示すように、第一接点構造3は、可動バネ31及び固定バネ32を含む。第二接点構造4は、可動バネ41及び固定バネ42を含む。二つの接点部材における可動バネ31、41はそれぞれ可動接点、可動バネプレート及び可動バネ引出プレートを含む。可動バネ31を例とし、可動バネ31は、可動接点51、可動バネプレート52及び可動バネ引出プレート53を含む。可動バネプレート52は、対向する第一端及び第二端を有し、第一端は可動バネ引出プレート53に接続され、可動バネプレート52の第二端は可動接点51に固定的に接続される。二つの接点構造における固定バネ32、42はそれぞれ固定接点及び固定バネ引出プレートを含む。固定バネ32を例とし、固定バネ32は、固定接点61及び固定バネ引出プレート62を含む。
【0069】
可動バネ31と固定バネ32は、第一凹溝11においてベース1の一側辺にそれぞれ挿着され、且つ可動接点51と固定接点61を対応して合わせる(即ち互いに位置合わせする)状態にし、可動バネ31の可動バネ引出プレート53と固定バネ32の固定バネ引出プレート62はそれぞれベース1の外に延在する。可動バネ41と固定バネ42は、第二凹溝12に置いてベース1の他側辺にそれぞれ挿着され、同様に可動接点と固定接点を対応して合わせる状態にし、可動バネ41と固定バネ42の引出プレートはそれぞれベース1の外に延在する。
【0070】
一実施例において、図3及び図5に示すように、第一凹溝11において、さらに強電と弱電の分離を実現するためのバッフル14が設けられ、バッフル14は第一接点構造3と磁路構造2との間に隔てられ、且つ第一接点構造3の第一凹溝11における取り付け位置は磁路構造2に対して第二接点構造4に近い。
【0071】
一実施例において、図2及び図3に示すように、可動バネ31を例とし、可動バネプレート52は、第二端から可動バネ引出プレート53に接続される第一端に向かう方向に二つのスリット521が延在して設けられ、これにより可動バネプレート52を三つの電流キャリア導体522に分ける。可動接点は三つであり、且つ対応する電流キャリア導体522にそれぞれ固定され、これにより可動バネプレート52を三つの並列接続構造に分ける。
【0072】
一実施例において、可動バネプレート52の三つの電流キャリア導体のうち、一つの電流キャリア導体の幅寸法は、他の二つの電流キャリア導体522の幅寸法よりも大きく設計される。
【0073】
一実施例において、三つの可動接点51のうち、一つの可動接点の厚さ寸法は、他の二つの可動接点の厚さ寸法よりも大きく設計される。
【0074】
一実施例において、厚さ寸法が相対的に大きい可動接点は、幅寸法が相対的に大きい電流キャリア導体に固定される。
【0075】
一実施例において、可動バネプレート52は、固定接点に向かう面に接続シート54がさらに取り付けられ、接続シート54は各可動接点51の間に接続される。このような構造により、複数組の接点の接触を確実にし、可動接点と固定接点が分離される場合、接続シート54は各可動接点を一体に接続し、各可動接点を一緒に作動させて、可動接点と固定接点との間の隙間が一致するように保持することを保証し、閉合された場合に単一経路の接触が互いに干渉しない。
【0076】
一実施例において、可動バネプレート52は、4枚のサブバネプレートを積層して構成されている。
【0077】
一実施例において、可動バネプレート52の中間部分には、U字型の屈曲部56がさらに設けられている。
【0078】
一実施例において、可動バネプレート52は、順に積層された第一サブバネプレート551、第二サブバネプレート552、第三サブバネプレート553及び第四サブバネプレート554を含む。ここで、第一サブバネプレート551、第二サブバネプレート552、第三サブバネプレート553及び第四サブバネプレート554には、二つの直線スリット521がそれぞれ設けられ、これにより各サブバネプレートは三つの電流キャリア導体を形成し、可動接点51は三つであり、且つ対応する電流キャリア導体にそれぞれ固定され、可動バネプレート52に三つの並列接続構造を形成させる。第一サブバネプレート551、第二サブバネプレート552及び第三サブバネプレート553の電流キャリア導体には、U字型の屈曲部56がそれぞれ設けられ、第四サブバネプレート554の電流キャリア導体には、U字型の屈曲部が設けられない。
【0079】
第四サブバネプレート554の電流キャリア導体には、弧状スリット541が設けられ、弧状スリット541は、可動接点51の可動バネ引出プレート53から離れている片側に位置し、これにより第四サブバネプレート554の電流キャリア導体の、可動バネ引出プレート53から離れている端部は弾性的に揺動することができる。
【0080】
本発明の多重接点構造を有するリレーは、ベース1に第一凹溝11及び第二凹溝12を設置し、且つ第一凹溝11及び第二凹溝12はベースの対向する二つの側面に交互に分布し、且つ一列に配列される。二つの接点構造のうちの第一接点構造3及び磁路構造2がいずれも第一凹溝11に取り付けられ、磁路構造2におけるアーマチュアがその中の一つの接点構造3における可動バネに接続され、二つの接点構造における第二接点構造4が第二凹溝12に取り付けられ、第一凹溝11と第二凹溝12との間に貫通孔13が設けられ、磁路構造2におけるアーマチュアが貫通孔13を貫通して他の接点構造4における可動バネに接続される。本発明のこのような構造は、二つの接点構造を空間的に分離させ、定格電流を向上させる場合に、定格電流の増加による温度上昇の影響を低減させ、温度上昇の要件を満たし、リレーの温度上昇が要件を超えることによるリレーの内部のプラスチック及び絶縁材料の劣化を加速し、接点が酸化腐食されて消弧が困難になり、電気素子の技術パラメータが減衰し、及び信頼性が低下する等の弊害を解消することができる。
【0081】
本発明の多重接点構造を有するリレーは、可動バネプレート52に少なくとも一つのスリット521が延在して設けられ、これにより可動バネプレート52を少なくとも二つの電流キャリア導体522に分ける。可動接点51は少なくとも二つであり、且つ対応する電流キャリア導体522にそれぞれ固定され、これにより可動バネプレートを少なくとも二つの並列接続構造に分ける。本発明のこのような構造は、接点構造を複数組の接点並列接続構造に設計することにより、各電流キャリア導体を流れる電流を減少させ、これにより温度上昇を低減させることができる。
【0082】
本発明の多重接点構造を有するリレーは、可動バネプレート52の各電流キャリア導体522において、そのうちの一つの電流キャリア導体の幅寸法を他の電流キャリア導体の幅寸法より大きく設計し、且つ各可動接点51において、そのうちの一つの可動接点の厚さ寸法を他の可動接点の厚さ寸法より大きく設計し、且つ厚さ寸法が相対的に大きい可動接点を幅寸法が相対的に大きい電流キャリア導体に固定する。本発明のこのような構造は、可動バネプレートの総抵抗を常に小さい接触抵抗状態に維持することができ、それにより温度上昇を低減させる。
【0083】
本発明の多重接点構造を有するリレーは、可動バネプレート52の固定接点に向かう面に接続シート54がさらに取り付けられ、接続シート54は各可動接点51の間に接続される。本発明のこのような構造は、分離される場合に接点の隙間が一致することを保証することができ、プッシュ部のプッシュが水平ではないことによる接点の隙間差の変動を減少させる。
多重接点構造を有するリレーが三つの接点構造を有する場合、ベースに三つの凹溝が設けられ、三つの凹溝はそれぞれベースの対向する両面(即ち表裏面)に沿って交互に分布し、且つ三つの凹溝をベースの同じ列に位置させ、三つの接点構造における第一接点構造はベースの正面の第一凹溝に取り付けられ、第二接点構造はベースの裏面の一つの凹溝に取り付けられ、第三接点構造はベースの正面の第二凹溝に取り付けられ、隣接して取り付けられた二つの接点構造に対して、例えば第一接点構造及び第二接点構造はそれぞれベースの裏面に位置し、空間的に隔てられる。間隔を置いて取り付けられた二つの接点構造に対して、例えば第一接点構造及び第三接点構造は、ベースの正面の第一凹溝と第二凹溝が裏面の一つの凹溝によって空間的に隔てられ、したがって、第一接点構造及び第三接点構造も空間的に隔てられる。
【0084】
リレーが四つの接点構造を有する場合、ベースに四つの凹溝が設けられ、四つの凹溝はそれぞれベースの対向する両面(即ち表裏面)に沿って交互に分布し、且つ四つの凹溝はベースの同じ列に位置させ、四つの接点構造における第一接点構造はベースの正面の第一凹溝に取り付けられ、第二接点構造はベースの裏面の第一凹溝に取り付けられ、第三接点構造はベースの正面の第二凹溝に取り付けられ、第四接点構造はベースの裏面の第二凹溝に取り付けられる。以上のように、隣接して取り付けられた二つの接点構造及び間隔を置いて取り付けられた二つの接点構造は、いずれも空間的に隔てられる。
【0085】
リレーが五つ以上の接点構造を有する場合、以上同様である。
【0086】
なお、本発明は、その応用を本明細書に記載される構成要素の詳細な構造および配置方式に限定されない。本発明は、他の実施形態を有することができ、様々な方法で実施および実行することができる。前述の変形形態および変更形態は、本発明の範囲内であることが意図される。本明細書に開示され、定義される本発明は、本明細書および/または図面に記載されまたは明らかにされる2つ以上の個別の特徴の全てが代替的な組み合わせとなり得ることを理解されるべきである。これらの異なる組み合わせのすべては、本発明の複数の代替可能な態様を構成する。本明細書に記載される実施形態は、本発明を実施するために知られている最良の形態を示し、当業者が本発明を利用することを可能にする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6