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  • 特許-容器処理装置 図1
  • 特許-容器処理装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】容器処理装置
(51)【国際特許分類】
   B67B 3/26 20060101AFI20241127BHJP
【FI】
B67B3/26
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020109606
(22)【出願日】2020-06-25
(65)【公開番号】P2022006991
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】細木 大輔
(72)【発明者】
【氏名】川上 望
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-067333(JP,A)
【文献】特開平11-301789(JP,A)
【文献】特開平06-263189(JP,A)
【文献】特開昭60-013689(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67B 3/00
B67C 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に固定されたメインシャフトと、
外周部に複数の容器保持部が設けられた第1回転体と、
それぞれ前記容器保持部に保持された容器に所定の処理を施す、前記容器保持部の数と同数の第1処理ヘッドおよび前記容器保持部の数と同数の第2処理ヘッドとが円周方向に沿って交互に配置された第2回転体と、
前記第1処理ヘッドが前記容器に処理を施す処理位置に位置した第1処理状態と、前記第2処理ヘッドが前記容器に処理を施す処理位置に位置した第2処理状態とに切り換える切り換え手段と、を備えた容器処理装置であって、
前記第1回転体および前記第2回転体は、ともに前記メインシャフトの周りに回転自在に配置され、
前記切り換え手段は、前記第1回転体を回転させる第1モータと、前記第2回転体を回転させる第2モータとを有し、前記第1、第2モータの何れかまたは双方を駆動することにより、前記第1回転体と前記第2回転体を相対的に回転させ、前記容器保持部の各々の位置を前記第1処理ヘッドまたは第2処理ヘッドの一方の各々の位置に合わせるように変更することにより、前記第1処理状態の処理位置と前記第2処理状態の処理位置の切り換えを行い、
前記第1処理ヘッドを前記処理位置に位置させた状態で、前記第1モータと第2モータとを同期運転することにより前記第1処理状態を構成し、
前記第2処理ヘッドを前記処理位置に位置させた状態で、前記第1モータと第2モータとを同期運転することにより前記第2処理状態を構成する
ことを特徴とする容器処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持する容器に対して複数の処理が可能な容器処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の製品液を1台の回転式充填装置で充填する方法として、回転式充填装置に保持される各容器に対して、2種類の製品液に対応する2つのノズルとノズル切り換え手段を各々設ける構成が提案されている(特許文献1)。同装置では、ノズル切り換え手段により各容器に対応するノズルが選択的に切り換え可能である。すなわち、ノズル切り換え手段を操作することで、各容器に対向するノズルを充填したい製品液に対応するノズルに切り換えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5771409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の構成では、装置が保持する容器に対応する数のノズル切り換え手段が必要となる。そのため、ノズル切り換え手段の各部の重量やエア配管による重量増加が生じ、対荷重構造やモータ定格の大型化等により、製造コストが増大するという問題が生じる。
【0005】
本発明は、処理ヘッドを切り換えて使用可能な容器処理装置を低コストで提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の発明である容器処理装置は、装置本体に固定されたメインシャフトと、外周部に複数の容器保持部が設けられた第1回転体と、それぞれ前記容器保持部に保持された容器に所定の処理を施す、前記容器保持部の数と同数の第1処理ヘッドおよび前記容器保持部の数と同数の第2処理ヘッドとが円周方向に沿って交互に配置された第2回転体と、前記第1処理ヘッドが前記容器に処理を施す処理位置に位置した第1処理状態と、前記第2処理ヘッドが前記容器に処理を施す処理位置に位置した第2処理状態とに切り換える切り換え手段と、を備えた容器処理装置であって、前記第1回転体および前記第2回転体は、ともに前記メインシャフトの周りに回転自在に配置され、前記切り換え手段は、前記第1回転体を回転させる第1モータと、前記第2回転体を回転させる第2モータとを有し、前記第1、第2モータの何れかまたは双方を駆動することにより、前記第1回転体と前記第2回転体を相対的に回転させ、前記容器保持部の各々の位置を前記第1処理ヘッドまたは第2処理ヘッドの一方の各々の位置に合わせるように変更することにより、前記第1処理状態の処理位置と前記第2処理状態の処理位置の切り換えを行い、前記第1処理ヘッドを前記処理位置に位置させた状態で、前記第1モータと第2モータとを同期運転することにより前記第1処理状態を構成し、前記第2処理ヘッドを前記処理位置に位置させた状態で、前記第1モータと第2モータとを同期運転することにより前記第2処理状態を構成する
ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、処理ヘッドを切り換えて使用可能な容器処理装置を低コストで提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態である容器処理装置の配置を示す平面図である。
図2図1の容器処理装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態である容器処理装置の配置を示す平面図であり、図2は、図1の容器処理装置の縦断面図である。
【0010】
本実施形態の容器処理装置は、例えば複数の方式で容器にキャッピングを行うホイール式のキャッパ10である。キャッパ10は、例えばスクリュキャップのキャッピングとPPキャップのキャッピングを選択的に行うキャッパであり、複数のサーボスクリュキャッパ用キャッピングヘッド(第1処理ヘッド)12と、複数のPPキャッパ用キャッピングヘッド(第2処理ヘッド)14を備える。
【0011】
キャッパ10には、容器/キャップ供給ホイール16から容器VおよびPPキャップが供給可能であり、容器/キャップ供給ホイール16に容器供給コンベヤ18から容器Vが供給され、キャップ供給装置20によって容器/キャップ供給ホイール16が搬送する容器Vの口部にPPキャップをかぶせるようにして供給する。また、キャッパ10の搬送経路において、容器/キャップ供給ホイール16の上流側には、キャップディスク22が配置され、サーボスクリュキャッパ用キャッピングヘッド12にスクリュキャップを供給する。
【0012】
キャッパ10は、容器/キャップ供給ホイール16から容器Vを受け取るとともに、容器/キャップ供給ホイール16またはキャップディスク22からPPキャップまたはスクリュキャップを受け取り、キャッピングを行った後、キャッピングされた容器Vを容器排出ホイール24へと受け渡す。容器排出ホイール24に受け渡された容器Vは、容器排出コンベヤ26を通して下流側へと排出される。
【0013】
図2に示されるように、キャッパ10は、固定されたメインシャフト28と、メインシャフト28の下部の周りに回転自在に配置される下部回転体(第1回転体)30と、メインシャフト28の上部の周りに回転自在に配置される上部回転体(第2回転体)32とを備える。本実施形態のキャッパ10では、サーボスクリュキャッパ用キャッピングヘッド12とPPキャッパ用キャッピングヘッド14が、上部回転体32の外周に沿って交互に同数配置される。
【0014】
下部回転体30には、その外周に沿って容器Vを保持する容器保持部34が配置される。容器保持部34の数は、一方のキャッピングヘッドの数と同じ数だけ設けられる。図1では、キャッパ10が、サーボスクリュキャッパとして機能する場合が示され、容器保持部34は、各サーボスクリュキャッパ用キャッピングヘッド12の直下に配置される。なお、図2の縦断面図では、ホイール回転軸Lの左側にキャッパ10がサーボスクリュキャッパとして機能する場合、右側にPPキャッパとして機能する場合におけるサーボスクリュキャッパ用キャッピングヘッド12およびPPキャッパ用キャッピングヘッド14が示される。
【0015】
図2に示されるように、キャッパ10の下部回転体30は、例えばメインシャフト28の下端部の周囲に配置されたスラストベアリング36Aの上に載せられ、メインシャフト28の周りに回転自在に配置される。下部回転体30は、下方に回転テーブル30Aを備え、その周囲に、容器Vを載せるためのびん台(容器保持部)38が配置される。
【0016】
また、下部回転体30には、びん台38に載せられた各容器Vの首部を把持するグリッパ40が設けれる。グリッパ40を構成する一対のグリッパ片は、各々垂直に配置される支持ロッド42の下端に取り付けられる。支持ロッド42は、下部回転体30の上端部や中間部に設けられる支持ディスク30B、30Cにより回転自在に支持される。対となる支持ロッド42は、図示しないギヤにより連結され、互いに反対向きに同量回転し、一方の支持ロッド42の上端にはグリッパ開閉用のカムフォロワ42Aが設けられる。
【0017】
メインシャフト28の中間部にあって、下部回転体30の上端部の直ぐ上には、メインシャフト28の外周部にカム保持部44が一体的に設けられる。カム保持部44の下端部と下部回転体30の上端部の間には、スラストベアリング36Bが介装される。すなわち、下部回転体30は、上下のスラストベアリング36A、36Bに挟まれて、メインシャフト28の周りに回転自在に保持される。なお、下部回転体30の下端部の周囲には、固定部に設置された下部回転体回転用モータ(第1モータ)46の駆動ギヤ46Aと噛み合う受動ギヤ30Dが設けられ、下部回転体30は、下部回転体回転用モータ46の回転によりメインシャフト28(回転軸L)周りに回転する。
【0018】
また、カム保持部44の周囲には、支持ロッド42のカムフォロア42Aと係合するグリッパ開閉用のカム44Aが設けられる。下部回転体回転用モータ46により下部回転体30がメインシャフト28周りに回転すると、カムフォロア42Aがカム44Aのカム面上を走行し、カム44Aの形状に合わせてグリッパ40が所定のタイミングで開閉する。
【0019】
下部回転体30の上方には、ベアリング48A、48Bを介してメインシャフト28の周囲に上部回転体32が回転自在に取り付けられる。上部回転体32は、サーボスクリュキャッパ用キャッピングヘッド12とPPキャッパ用キャッピングヘッド14を外周に沿って交互に保持する。キャッピングヘッド12、14は、各々垂直に延在する支持ロッド50の下端に取り付けられ、支持ロッド50は、上部回転体32の下段支持ディスク32Aを貫通し、支持ディスク32Aにより昇降自在かつ回転自在に支持される。
【0020】
支持ロッド50の上端部側面には、カム保持部44の周囲に設けられるキャッピングヘッド昇降用の溝カム44Bに係合するカムフォロワ50Aが取り付けられる。上部回転体32において、下段支持ディスク32Aの上方には上段支持ディスク32Bが設けられる。上段支持ディスク32Bには、支持ロッド50、すなわち各キャッピングヘッド12、14を回転するためのモータ52が配置される。モータ52の回転軸52Aは、上段支持ディスク32Bを挿通し、支持ロッド50の上端部にスプライン係合する。
【0021】
また、メインシャフト28の上端部には、上部回転体32をメインシャフト28(回転軸L)周りに回転させる上部回転体回転用モータ(第2モータ)54が設けられる。上部回転体回転用モータ54の回転軸は垂直に配置され駆動ギヤ54Aが取り付けられ、駆動ギヤ54Aは、上部回転体32の上端部の内周に沿って配置される受動ギヤ32Cに係合される。
【0022】
上記構成により、上部回転体回転用モータ54により上部回転体32が回転されると、キャッピングヘッド12、14のカムフォロワ50Aが溝カム44Bに沿って走行し、キャッピングヘッド12、14は、溝カム44Bの形状に従って周方向の所定の位置で昇降する。なお、図2の左側にはサーボスクリュキャッパ用キャッピングヘッド12が上昇された状態が示され、右側にはPPキャッパ用キャッピングヘッド14が下降され、キャップが容器Vの開口部に押接された状態が示される。
【0023】
なお、キャッピングヘッド回転用のモータ52には、それぞれ上部回転体32の上端部中心に設けられたロータリーコネクタ32Dを介して、制御装置56および電源から、制御信号および電力が供給される。また、本実施形態の制御装置56は、下部回転体回転用モータ46および上部回転体回転用モータ54の駆動も制御する。
【0024】
本実施形態のキャッパ10では、キャッパ10をサーボスクリュキャッパとして用いるか(第1処理状態)、あるいはPPキャッパとして用いるか(第2処理状態)に応じて、下部回転体回転用モータ46または上部回転体回転用モータ54の何れか、あるいはその双方を駆動して、下部回転体30と上部回転体32を相対的に回転させることで、下部回転体30のびん台38の位置を、上部回転体32のサーボスクリュキャッパ用キャッピングヘッド12またはPPキャッパ用キャッピングヘッド14の一方に位置に合わせる。すなわち、びん台38の全てをキャッピングヘッド12またはキャッピングヘッド14の何れかの真下に配置する。
【0025】
びん台38の位置が、サーボスクリュキャッパ用キャッピングヘッド12またはPPキャッパ用キャッピングヘッド14の一方に合わせられると、下部回転体回転用モータ46および上部回転体回転用モータ54により、下部回転体30と上部回転体32は同期して一体的に回転される。キャッピングヘッド12、14は、上部回転体32の回転すると溝カム44Bの形状にしたがって各キャッピングヘッド12、14は順次昇降され、選択されたキャッピングヘッドに対応するキャッピングヘッド回転用のモータ52は、上部回転体32が所望の位置にくると所望の回転量回転し、びん台38上の容器Vに対して、選択されキャッピングを行う。キャッピングが終了した容器Vは、前述したように容器排出ホイール24へと受け渡される。
【0026】
以上のように、本実施形態によれば、容器を保持する回転体と、処理ヘッドを保持する回転体を異なるモータで回転駆動可能とすることで、処理用のヘッドを簡単に切り換えることができる。同構成によれば、処理ヘッド毎にヘッドを切り換えるための機構を設ける必要がなく、キャッパなどの容器処理装置を低コストで構成することができる。
【0027】
本実施形態では、2種類のキャッピングヘッドの間で処理ヘッドを切り換え可能としたが、3種以上のキャッピングヘッドを選択的に切り換えられる構成としてもよい。また、本実施形態では、サーボスクリュキャッパとPPキャッパを例に説明を行ったが、キャップを容器に打ち込む打栓キャッパなどを組み合わせて適用することもできる。
【0028】
本実施形態のキャッパでは、方式の異なるキャッピングを行う場合を例に説明を行ったが、大きさの異なる同じ種類キャッピングヘッドを切り換える構成にも適用できる。また、容器処理装置としてはキャッパに限らず、複数種類の充填バルブの間で切り換えを行うフィラ等にも適用できる。
【符号の説明】
【0029】
10 キャッパ(容器処理装置)
12 サーボスクリュキャッパ用キャッピングヘッド(第1処理ヘッド)
14 PPキャッパ用キャッピングヘッド(第2処理ヘッド)
30 下部回転体(第1回転体)
32 上部回転体(第2回転体)
38 びん台(容器保持部)
46 下部回転体回転用モータ(第1モータ)
54 上部回転体回転用モータ(第2モータ)
図1
図2