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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】蓋付き容器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20241127BHJP
【FI】
A47J27/00 103P
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020118130
(22)【出願日】2020-07-09
(65)【公開番号】P2022015358
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2023-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 世子
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】中井 智彦
(72)【発明者】
【氏名】藤原 武志
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特開昭56-043903(JP,A)
【文献】特開2005-143667(JP,A)
【文献】特開2020-062241(JP,A)
【文献】特開2004-357764(JP,A)
【文献】実開平04-135225(JP,U)
【文献】特開2002-272601(JP,A)
【文献】特開2014-050617(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1565327(CN,A)
【文献】実開昭60-106524(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁部を含む筐体を有する本体と、
蓋体と、
前記筐体に締結される基部材と、前記蓋体に締結されており前記基部材に対して回動可能に取り付けられる可動部材と、前記基部材に対して前記可動部材が開く方向に付勢する付勢部材とを有するヒンジ機構と、
前記ヒンジ機構の反対側に配設される係止機構と、を備え、
前記蓋体の前記ヒンジ機構側の端部の下端には、凹凸が形成されておらず、
前記蓋体が閉状態から開状態となる際に、前記蓋体の前記ヒンジ機構側の端部の下端が前記本体、前記基部材および前記付勢部材に当接しないように、前記基部材が前記筐体に固定されており、
前記蓋体が閉じている際、前記蓋体の前記ヒンジ機構側の端は、前記本体の前記ヒンジ機構側の前記側壁部の上端よりも前記係止機構側に位置し、
前記付勢部材は、ねじりバネであり、
前記ねじりバネは、コイル部と、前記コイル部の第1端から延びる脚部と、前記コイル部の第1端の逆側の端である第2端から延びる腕部とを有し、
前記脚部は、前記係止機構側に向かって延びるように前記基部材に固定されており、
前記腕部は、前記可動部材に当接している
蓋付き容器。
【請求項2】
前記筐体に対する前記基部材の締結箇所が、前記可動部材の回動軸よりも前記係止機構側に位置する
請求項1に記載の蓋付き容器。
【請求項3】
前記基部材は、前記蓋体の前記ヒンジ機構側の端部が前記可動部材の回動軸を軸として回動することにより描かれる円弧軌道範囲とは異なる範囲に配設されている
請求項1または2に記載の蓋付き容器。
【請求項4】
側壁部を含む筐体を有する本体と、
蓋体と、
前記筐体に締結される基部材と、前記蓋体に締結されており前記基部材に対して回動可能に取り付けられる可動部材と、前記基部材に対して前記可動部材が開く方向に付勢する付勢部材とを有するヒンジ機構と、
前記ヒンジ機構の反対側に配設される係止機構と、を備え、
前記蓋体が閉状態から開状態となる際に、前記蓋体の前記ヒンジ機構側の端部の下端が前記本体、前記基部材および前記付勢部材に当接しないように、前記基部材が前記筐体に固定されており、
前記蓋体が閉じている際、前記蓋体の前記ヒンジ機構側の下端から上端に亘る端部は、前記本体の前記ヒンジ機構側の前記側壁部の上端よりも前記係止機構側に位置し、
前記基部材は、前記蓋体の前記ヒンジ機構側の端部が前記可動部材の回動軸を軸として回動することにより描かれる円弧軌道範囲とは異なる範囲に配設されており、
前記付勢部材は、ねじりバネであり、
前記ねじりバネは、コイル部と、前記コイル部の第1端から延びる脚部と、前記コイル部の第1端の逆側の端である第2端から延びる腕部とを有し、
前記脚部は、前記係止機構側に向かって延びるように前記基部材に固定されており、
前記腕部は、前記可動部材に当接している
蓋付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯器等の蓋付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年販売されている多くの炊飯器では、ヒンジ機構を介して本体に蓋体が取り付けられている(例えば、特開2004-357764号公報等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-357764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような炊飯器では、ヒンジ機構を構成するねじりバネの腕部を通すためのスリットが背面板に形成されている。しかし、このようなスリットは僅かながらも炊飯器の意匠性を損なってしまう。
【0005】
本発明の課題は、炊飯器等の蓋付き容器の意匠性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る蓋付き容器は、
側壁部を含む筐体を有する本体と、
蓋体と、
前記筐体に締結される基部材と、前記蓋体に締結されており前記基部材に対して回動可能に取り付けられる可動部材と、前記基部材に対して前記可動部材が開く方向に付勢する付勢部材とを有するヒンジ機構と、
前記ヒンジ機構の反対側に配設される係止機構と、を備え、
前記蓋体の前記ヒンジ機構側の端部の下端には、凹凸が形成されておらず、
前記蓋体が閉状態から開状態となる際に、前記蓋体の前記ヒンジ機構側の端部の下端が前記本体、前記基部材および前記付勢部材に当接しないように、前記基部材が前記筐体に固定されており、
前記蓋体が閉じている際、前記蓋体の前記ヒンジ機構側の端は、前記本体の前記ヒンジ機構側の前記側壁部の上端よりも前記係止機構側に位置し、
前記付勢部材は、ねじりバネであり、
前記ねじりバネは、コイル部と、前記コイル部の第1端から延びる脚部と、前記コイル部の第1端の逆側の端である第2端から延びる腕部とを有し、
前記脚部は、前記係止機構側に向かって延びるように前記基部材に固定されており、
前記腕部は、前記可動部材に当接している
【0007】
上記構成によれば、ヒンジ機構の取付方法を刷新することによって蓋付き容器の背面板にスリットを形成せずに済み、その背面板の下端が滑らかな線とされる。このため、本発明によれば、製造コストの増加を招くことなく蓋付き容器の意匠性を向上させることができる。また、上記構成によれば、蓋体のヒンジ機構側の端部を、本体側に引き入れながら蓋体を開けることになる。このため、この蓋付き容器は、従前の蓋付き容器(蓋体のヒンジ機構側の端が、本体のヒンジ機構側の側壁部の上端と一致するか係止機構側の反対側に位置するもの)よりも狭い前後スペースで蓋体を開けることができる。また、上記構成によれば、蓋体のヒンジ機構側の端部の下端が、ねじりバネの脚部に至るまでの距離を長くすることができる。このため、本発明によれば十分に蓋体を開けることができる。
【0008】
本発明では、
前記筐体に対する前記基部材の締結箇所が、前記可動部材の回動軸よりも前記係止機構側に位置すると好適である。
【0009】
上記構成によれば、前記蓋体のヒンジ機構側の端部にスリットを形成することなく、蓋体のヒンジ機構側の端部の下端を、少なくとも可動部材の回動軸の下まで移動させることができる。このため、本発明によれば十分に蓋体を開けることができる。
【0010】
本発明では、
前記基部材は、前記蓋体の前記ヒンジ機構側の端部が前記可動部材の回動軸を軸として回動することにより描かれる円弧軌道範囲とは異なる範囲に配設されていると好適である。
【0011】
上記構成によれば、基部材に接触することなく蓋体を開けることができる。
【0012】
本発明に係る蓋付き容器は、
側壁部を含む筐体を有する本体と、
蓋体と、
前記筐体に締結される基部材と、前記蓋体に締結されており前記基部材に対して回動可能に取り付けられる可動部材と、前記基部材に対して前記可動部材が開く方向に付勢する付勢部材とを有するヒンジ機構と、
前記ヒンジ機構の反対側に配設される係止機構と、を備え、
前記蓋体が閉状態から開状態となる際に、前記蓋体の前記ヒンジ機構側の端部の下端が前記本体、前記基部材および前記付勢部材に当接しないように、前記基部材が前記筐体に固定されており、
前記蓋体が閉じている際、前記蓋体の前記ヒンジ機構側の下端から上端に亘る端部は、前記本体の前記ヒンジ機構側の前記側壁部の上端よりも前記係止機構側に位置し、
前記基部材は、前記蓋体の前記ヒンジ機構側の端部が前記可動部材の回動軸を軸として回動することにより描かれる円弧軌道範囲とは異なる範囲に配設されており、
前記付勢部材は、ねじりバネであり、
前記ねじりバネは、コイル部と、前記コイル部の第1端から延びる脚部と、前記コイル部の第1端の逆側の端である第2端から延びる腕部とを有し、
前記脚部は、前記係止機構側に向かって延びるように前記基部材に固定されており、
前記腕部は、前記可動部材に当接している
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態に係る炊飯器の外観斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係る炊飯器の平面図である。
図3】本発明の実施の形態に係る炊飯器の背面図である。
図4図2のI-I断面図である。
図5図4において符号E1で示す領域の拡大図である。なお、本図では、蓋体が閉状態である。
図6】本発明の実施の形態に係る炊飯器を構成するヒンジ部品の背面側の上方斜視図である。なお、本図では、蓋体が閉状態である。
図7】本発明の実施の形態に係る炊飯器を構成するヒンジ部品の正面側の上方斜視図である。なお、本図では、蓋体が閉状態である。
図8図4において符号E1で示す領域の拡大図である。なお、本図では、蓋体が開状態である。
図9】本発明の実施の形態に係る炊飯器を構成するヒンジ部品の背面側の下方斜視図である。なお、本図では、蓋体が開状態である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<本発明の実施の形態に係る炊飯器の構造>
本発明の実施の形態に係る炊飯器100は、誘導加熱式の圧力炊飯器であって、図1図4に示されるように、主に、本体110、内鍋130、鍋蓋135、蓋体140およびヒンジ部品150から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0015】
1.本体
本体110は、図1図3に示されるように、主に、筐体111、誘導加熱コイル112、断熱材(図示せず)、支持台113、フェライトコア(図示せず)、センターセンサ114、保温ヒータ115、送風ファンユニット116、電源回路基板117、自動巻取式電源コードユニット118およびレバー機構119から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0016】
(1)筐体
筐体111は、図1図4に示されるように、主に、収容体111a、肩部材111cおよび保護枠111dから構成されており、断熱材(図示せず)、支持台113、フェライトコア(図示せず)、誘導加熱コイル112、センターセンサ114、保温ヒータ115、送風ファンユニット116、電源回路基板117、自動巻取式電源コードユニット118およびレバー機構119等を収容している。以下、筐体111の各構成要素について詳述する。
【0017】
収容体111aは、図1図4に示されるように、主に、側壁部111xおよび底壁部111yから形成されている。側壁部111xは、平面視において略角丸長方形を呈する角筒状の囲い壁部位である。底壁部111yは、底面視において略角丸長方形の角皿状部位であって、図4に示されるように側壁部111xの下側に形成されている。そして、図4に示されるように、底壁部111yの後側には、筐体111の外部の空気を内部に吸い込むための吸気口SOが形成されており、底壁部111yの前側には、筐体111の内部の空気を外部に排出するための排気口(図示せず)が形成されている。なお、図4に示されるように、吸気口SOの上方には、送風ファンユニット116が配設されている。この送風ファンユニット116が駆動されると、外部の空気が吸気口SOを通って筐体111の内部に吸い込まれ、それによって生じる空気流れにより内部の加熱空気が排気口から系外に排出される。また、この底壁部111yには、図4に示されるように受皿部RDが形成されている。この受皿部RDは、図4に示されるように、奥行方向および幅方向の中心付近において、下方に膨らんでいる(凹んでいる/窪んでいる)。図4に示されるように、この受皿部RDには、複数の排液口EPが形成されている。
【0018】
肩部材111cは、平面視において略角丸長方形状を呈する枠体であって、図4に示されるように収容体111aの側壁部111xの上側に嵌合されており、収容体111aの上側の開口の縁部を覆っている。この肩部材111cには、内鍋130を挿通させるための略円形の開口が形成されている。また、この肩部材111cの前下側にはレバー機構119が配設されている。そして、図4に示されるように、この肩部材111cの下側には、保護枠111dが取り付けられている。なお、図4に示されるように、保護枠111dは保護枠フランジ部FP(後述)で肩部材111cに取り付けられている。
【0019】
保護枠111dは、内鍋130の外周を保護すると共に肩部材111cの形状を保つ役目を担う部材であって、図4に示されるように、主に、内鍋収容部PAおよび保護枠フランジ部FPから形成されている。内鍋収容部PAは、内鍋130の外周を覆う椀状の部位である。なお、この内鍋収容部PAの底壁部中央には開口が形成されており、この開口からセンターセンサ114の先端部が突出している。保護枠フランジ部FPは、上述の通り、肩部材111cの下側に位置しており、肩部材111cを外側に向かって張ることにより肩部材111cの形状を維持している。また、図5に示されるように、この保護枠フランジ部FPの後側には、ヒンジ部品150の基部材151が締結されている(ヒンジ部品150については後に詳述する。)。
【0020】
(2)誘導加熱コイル
誘導加熱コイル112は、内鍋130を誘導加熱するためのものであって、図4に示されるように、支持台113の底部の下面および側部下側の外周面に取り付けられている。
【0021】
(3)断熱材
断熱材は、保護枠111dの内鍋収容部PAの外周および誘導加熱コイル112の外周に巻き付けられており、炊飯時において内鍋130から生じる熱が内鍋収容部PAの外側に流出するのを抑制する役割を担っている。
【0022】
(4)支持台
支持台113は、誘導加熱コイル112、センターセンサ―114およびフェライトコアを保持する。また、この支持台113には、センターセンサ―114と保護枠111dの開口との間から侵入してくる水等の液体を排液するための排液路が形成されている。
【0023】
(5)フェライトコア
フェライトコアは、誘導加熱コイル112への通電時に生じる磁束を外部に出さないようにするための部材であって、上述の通り、支持台113に保持されている。
【0024】
(6)センターセンサ
センターセンサ114は、内鍋130の底部の温度を検知すると共に内鍋130の有無を検知するためセンサであって、支持台113により上下移動自在に支持されており、コイルバネによって上方に向かって付勢されている。
【0025】
(7)保温ヒータ
保温ヒータ115は、炊飯後の炊きあがったご飯を保温するためのヒータであって、図4に示されるように肩部材111cの内部に配設されている。
【0026】
(8)送風ファンユニット
送風ファンユニット116は、軸流ファンおよびヒートシンク等から構成されるものであって、上述の通り、筐体111の収容体111aの底壁部111yの吸気口SOの上方に、ファンの回転軸が略上下方向に沿うようにして配設されている(図4参照)。すなわち、この送風ファンユニット116中の送付ファンが駆動されると、外部の空気が吸気口SOから吸い込まれて筐体111内に流入し、そのまま上方に向かって送られる。上方に向かって送られた外部の空気は、ヒートシンクを通って電源回路基板117などに供給されて、それらの部材等を冷却する。
【0027】
(9)電源回路基板
電源回路基板117は、電源回路を構成する基板であって、AC電源、インバータ、スイッチング電源、いくつかの発熱部品を実装している。なお、この電源回路基板117は、図4に示されるように筐体111の後側空間Srに収容されている。そして、この電源回路基板117は、蓋体140に収容される制御回路基板に通信接続されている。
【0028】
(10)自動巻取式電源コードユニット
自動巻取式電源コードユニット118は、電源コードおよび自動巻取機構(図示せず)等から構成されており、図4に示されるように筐体111の後側の空間に収容されている。電源コードは、差込プラグPG(図1~3参照)および電気線(図示せず)から構成されている。差込プラグPGは、電気線の先端に配設されている。電気線は、伸展自在に自動巻取機構に巻回されている。
【0029】
(11)レバー機構
レバー機構119は、蓋体140の開閉を司る機構であって、主として、開レバー119a、ストッパー(図示せず)およびバネ部材(図示せず)等から構成されており、上述の通り、肩部材111cの前下側に配設されている(図4参照)。
【0030】
開レバー119aは、蓋体140を開くための揺動型のレバーであって、図1図2および図4に示されるように筐体111の収容体111aの前側上端において前方に突出するように配設されている。そして、この開レバー119aは、バネ部材を介してストッパーに押圧力を付与する。開レバー119aから押圧力を付与されたストッパーは、その回動軸を基点として回動する。使用者が開レバー119aを下方へ回動させると、本体110に対する蓋体140の係止が解除され、蓋体140が開く。
【0031】
ストッパーは、主に、回動軸、係止部および押圧力受け部から構成されており、本体110の収容体111aに回動(揺動)可能に設けられている。係止部は、先端部分が屈曲した形状を有しており、ストッパーの上端側に設けられている。そして、この係止部は、蓋体140が閉じられる際、蓋体140の爪部材の爪部を係止する。
【0032】
2.内鍋
内鍋130は、上方に開口する椀状の鍋であって、肩部材111cの開口に挿通されると共に、保護枠111dの内鍋収容部PAに所定の隙間をもって収容される。なお、ここで、内鍋130は、種々のアルミニウム合金およびステンレス合金の多層体(クラッド材)であって、誘導加熱コイル112によって誘導加熱され得る。
【0033】
3.鍋蓋
鍋蓋135は、図3に示されるように内鍋130の蓋であって、少量のお米を炊く際に必要とされるものである。
【0034】
4.蓋体
蓋体140は、図1図2および図4に示されるように、主に、蓋基板141、爪部材(図示せず)、外装体142、操作ボタン群143、情報表示パネルDI、圧力調整装置144、断電時圧力開放弁(図示せず)、蒸気処理ユニット147、制御回路基板(図示せず)および内蓋146から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0035】
(1)蓋基板
蓋基板141は、制御回路基板、圧力調整装置144および断電時圧力開放弁のソレノイド等の部品・部材を支持するものである。この蓋基板141の側面側の部位には補強構造が構築されている。また、図5に示されるように、この蓋基板141の後端にはヒンジ部品150の可動部材152が締結されている(ヒンジ部品150については後に詳述する。)。そして、このヒンジ部品150により、本体110に対して蓋体140が開閉可能となっている。なお、このヒンジ部品150では、ねじりバネ153によって蓋体140が開方向に向かって付勢されている。また、この蓋基板141の下面には、着脱自在に内蓋146が配設されている。
【0036】
また、この蓋基板141には、受け部(図示せず)が形成されている。この受け部は、内蓋146に配設されている弁組立体を受け入れる部位である。そして、蓋基板141に対して内蓋146が装着されると、この受け部は、弁組立体(後述)の弁箱部を覆う。
【0037】
(2)爪部材
爪部材は、一対の爪部を有する金属製部材であって、蓋基板141の前側に配設されている。なお、蓋体140を閉じる際、この爪部材の爪部は、本体110のレバー機構119によって係止される。
【0038】
(3)外装体
外装体142は、図1図4に示されるように、略直方体状のカバー部材であって、蓋基板141の上側を覆っている。図3に示されるように、この外装体142の後端部には、従前の切欠きは形成されておらず、その下端縁EDは滑らかな直線とされている。また、ここで、操作ボタン群143は、図1および図2に示されるように、上面が外装体142の上側に露出するように外装体142に取り付けられている。また、この外装体142には、図1および図2に示されるように蒸気口BOが形成されている。
【0039】
(4)操作ボタン群
操作ボタン群143は、例えば、発停ボタンや、炊飯方法の選択ボタン等から成るものであって炊飯器100の運転方法を使用者に選択させるためのものである。そして、この操作ボタン群143中の各操作ボタンは、上述の通り、上面が外装体142の上側に露出するように外装体142に取り付けられている。また、各操作ボタンは、操作基板に実装されており、コイルバネ(図示せず)によって上方に向かって付勢されている。
【0040】
(5)情報表示パネル
情報表示パネルDIは、図1および図2に示されるように操作ボタン群143の直ぐ後ろに配設されている。この情報表示パネルDIには、炊飯メニュー情報、炊飯経過情報等の各種情報が表示される。
(6)圧力調整装置
圧力調整装置144は、蓋体140が閉状態とされて圧力炊飯運転されている状態において、内鍋130の内部の圧力を1.03~1.3気圧に調整するものである。
【0041】
(7)断電時圧力開放弁
断電時圧力開放弁は、ソレノイドによって動作する安全弁であって、蓋基板141の中央部において圧力調整装置144に近接配置されている。なお、この断電時圧力開放弁は、例えば、停電等やプラグ抜け等でソレノイドのコイルへの通電が遮断されると、開状態となって内鍋130の内部の圧力を開放する。
【0042】
(8)蒸気処理ユニット
蒸気処理ユニット147は、炊飯時に内鍋130から上昇してくる水蒸気をトラップして内鍋130に戻すものであって、図4に示されるように蓋体140の後側に配設されている。
【0043】
(9)制御回路基板
制御回路基板(図示せず)は、制御回路を構成する基板であって、マイクロコンピュータ等の電子部品を実装しており、蓋体140の操作ボタン群143、圧力調整装置144のステッピングモータ(図示せず)、断電時圧力開放弁のソレノイド等に通信接続されると共に、電源回路基板117を介して本体110の誘導加熱コイル112や、センターセンサ114、保温ヒータ115、送風ファンユニット116等に通信接続されている。
【0044】
(10)内蓋
内蓋146は、図4に示されるように内鍋130の上部を覆って密閉するための部材であって、蓋基板141の下側に着脱自在に取り付けられている。また、この内蓋146には、開口が形成されると共に、その開口に弁座部材(図示せず)が嵌め込まれている。弁座部材は、円筒形状を呈する部材であって、その上端部が弁座として機能する。また、弁座部材の開口は、圧力調整口として機能する。また、上述の通り、この内蓋146には、断電時圧力開放弁の弁組立体が配設されている。
【0045】
5.ヒンジ部品
ヒンジ部品150は、図5図9に示されるように、主に、基部材151、可動部材152およびねじりバネ153から構成されている。以下、これらの構成部材について詳述する。
【0046】
(a)基部材
基部材151は、図5図9に示されているように、縦断面視において略L字状を呈する板状の板金部材であって、主に、主壁部151a、下壁部151bおよび一対の側壁部151cから形成されている。なお、上述の通り、この基部材151は、保護枠111dの保護枠フランジ部FPの後側に締結される。主壁部151aは、図7に示されるように略凹形状を呈する平板状の部位であって、保護枠フランジ部FPに対して基部材151が締結された状態において高さ方向に沿って延びている。また、図7に示されるように、この主壁部151aにおいて幅方向中央に1個、左右に各2個、締結孔Hcが形成されている。図5および図8に示されるように、この締結孔Hcを通して主壁部151aが保護枠111dの保護枠フランジ部FPにビス止めされる(図5および図8中の締結箇所Pf2参照)。下壁部151bは、図6に示されるように略長方形状を呈する平板状の部位であって、主壁部151aの下端縁から主壁部151aに対して略直角をなす面に沿って延びている。なお、この下壁部151bは、保護枠フランジ部FPに対して基部材151が締結された状態において水平方向に沿って後方に延びる。また、図6に示されるように、この下壁部151bの左右の部位には締結孔Hfが形成されている。側壁部151cは、図6に示されるように略凹形状を呈する平板状の部位であって、主壁部151aの幅方向両縁から下壁部形成側に向かって延びている。これらの側壁部151cの上部には、軸体152Cを通すための軸受け孔(図示せず)が形成されている。なお、この側壁部151cの下端から下方に向かって延設部151dが延びており、この延設部151dは、図6に示されるように下壁部151bの下側において下壁部側に折り曲げられている。その結果、この延設部151dは、下壁部151bの下側において下壁部151bと隣接している。また、この延設部151dにおいて下壁部151bの締結孔Hfに対応する位置には、同様に締結孔Heが形成されている。すなわち、下壁部151bの締結孔Hfは、延設部151dの締結孔Heの連通しており、貫通孔を形成している。そして、図5および図8に示されるように、この貫通孔を通して下壁部151bが保護枠111dの保護枠フランジ部FPにビス止めされる(図5および図8中の締結箇所Pf1参照)。
【0047】
(b)可動部材
可動部材152は、図5図9に示されているように、主に、主板部材152A、一対の軸受け部材152Bおよび軸体152Cから構成されている。以下、これらの構成部材について詳述する。
【0048】
主板部材152Aは、図6および図7に示されるように、主に、主壁部152aおよび側壁部152bから形成されている。主壁部152aは、図7に示されるように略凹形状を呈する平板状の部位である。なお、図6および図7に示されるように、この主壁部152aの幅方向両端部には締結孔(図示せず)が形成されている。側壁部152bは、図6および図7に示されるように、主壁部152aの幅方向両端から下方に向かって延びている。また、図6および図7に示されるように、これらの側壁部152bには、幅方向両側に締結孔Hsが形成されている。これらの締結孔Hsを通して側壁部152bが蓋体140の蓋基板141にビス止めされる。
【0049】
軸受け部材152Bは、図6に示されるように、主板部材152Aの主壁部152aの幅方向両端部において主板部材152Aにビス止めされている。なお、ここで、ビスは、上述の締結孔に通されている。また、図6および図9に示されるように、この軸受け部材152Bには、回動角度規制部Rrが形成されている。この回動角度規制部Rrは、図9に示されるように、基部材151の側壁部151cに当接することによって可動部材152の最大回動角度を規定している。
【0050】
軸体152Cは、図6に示されるように丸棒状の部材であって、一方の軸受け部材152Bから基部材151の側壁部151cの軸受け孔を通って他方の軸受け部材152Bに向かって延びるように軸受け部材152Bに固定されている。そして、図6に示されるように、この軸体152Cの外周には、腕部153cが内側に位置すると共に脚部153bが外側に位置するように2つのねじりバネ153が配置されている。
【0051】
(c)ねじりバネ
ねじりバネ153は、図6に示されるように、主に、コイル部153a、脚部153bおよび腕部153cから形成されている。コイル部153aは、線材が巻かれて形成されたものであって、可動部材152の軸体152Cの外周を覆うように配設されている(図6図7等参照)。脚部153bは、コイル部153aの片端から直線的に延びる部位であって、図7に示されるように途中で曲げられて基部材151の主壁部151aに内側から引っ掛けられている。この結果、側面透視において、脚部153bは、基部材151の主壁部151aに直交している。腕部153cは、コイル部153aの脚部形成側の反対側の片端から直線的に延びる部位であって、図6に示されるように可動部材152の主板部材152Aの主壁部152aに当接されている。なお、脚部153bと腕部153cとは、ヒンジ部品150に組み込まれる前すなわち単体の状態において、軸体152Cの長手方向に沿ってみたとき、略135°の角度をなすように形成されている。なお、上述の通り、可動部材152の回動角度は、基部材151の側壁部151cおよび軸受け部材152Bの回動角度規制部Rrによって略90°に規制されている。
【0052】
<本発明の実施の形態に係る炊飯器の蓋体の開閉>
以下、図5および図8を用いて本発明の実施の形態に係る炊飯器100の蓋体140の開閉について説明する。
【0053】
図5および図8に示されるように、ヒンジ部品150の基部材151は、軸体152Cの軸Axよりもレバー機構側に配置されており、軸体152Cの軸よりもレバー機構側の位置で保護枠111dの保護枠フランジ部FPにネジ止めされている(図5および図8中の締結箇所Pf1,Pf2参照)。さらに述べると、蓋体開閉時における蓋体140の外装体142の後端部の下端縁EDの円弧軌道の外側にヒンジ部品150の基部材151が位置するように、ヒンジ部品150の基部材151が配設されている。また、図5に示されるように、ねじりバネ153の脚部153bがレバー機構側を向くようにして基部材151に引っ掛けられている(図7も併せて参照されたい。)。
【0054】
上述の通りの構造とされているため、蓋体140が閉状態から開状態になるとき(すなわち図5に示される状態から図8に示される状態になるとき)、蓋体140の外装体142の後端部は、ヒンジ部品150の基部材151やねじりバネ153の脚部153bに当接することなく、本体110の肩部材111cの後部の上側を通過しながら本体側に入り込む。
【0055】
<本発明の実施の形態に係る炊飯器の特徴>
(1)
本発明の実施の形態に係る炊飯器100では、蓋体140の外装体142の後端部の下端縁EDが滑らかな直線とされつつも、蓋体140を良好に開閉することができる。このため、この炊飯器100は、従前の炊飯器に比べて意匠性が高い。
【0056】
(2)
本発明の実施の形態に係る炊飯器100では、蓋体140が閉状態から開状態になるとき、蓋体140の外装体142の後端部が、本体110の肩部材111cの後部の上側を通過しながら本体側に入り込む。このため、この炊飯器100は、従前の炊飯器よりも狭い前後スペースで蓋体を開けることができる。
【0057】
<変形例>
(A)
先の実施の形態では本発明が炊飯器100に適用されたが、本発明は、蓋付きの容器等に適用されてもかまわない。
【0058】
(B)
先の実施の形態に係る炊飯器100では蓋体140の外装体142の後端部の下端縁EDが滑らかな直線とされたが、下端縁は、本発明の主旨を損なわない範囲で滑らかな曲線とされてもかまわない。
【0059】
(C)
先の実施の形態に係る炊飯器100ではヒンジ部品150の基部材151が軸体152Cの軸よりもレバー機構側に配置されていたが、ヒンジ部品150の基部材151の下壁部151bが軸体152Cの軸よりも収容体111aの背壁側まで延びていてもよい。
【0060】
(D)
先の実施の形態に係る炊飯器100ではねじりバネ153の脚部153bが略水平方向に沿ってレバー機構側に向かって延びていたが、脚部153bは、蓋体140の外装体142の後端部の下端縁EDの円弧軌道に重ならない範囲において、異なる方向に延びていてもかまわない。
【0061】
なお、上記変形例は、単独で適用されてもよいし、組み合わせて適用されてもよい。
【符号の説明】
【0062】
100 炊飯器(蓋付き容器)
110 本体
111 筐体
119 レバー機構(係止機構)
140 蓋体
142 外装体
150 ヒンジ部品(ヒンジ機構)
151 基部材
152 可動部材
153 ねじりバネ(付勢部材,ねじりバネ)
153a コイル部
153b 脚部
153c 腕部
Ax 軸(回動軸)
ED 下端縁(蓋体のヒンジ機構側の端部の下端)
Pf1,Pf2 締結箇所
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9