(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】調剤支援システム、調剤支援プログラム
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20241127BHJP
【FI】
A61J3/00 310K
(21)【出願番号】P 2020131231
(22)【出願日】2020-07-31
【審査請求日】2023-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(72)【発明者】
【氏名】増田 真也
【審査官】今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-093426(JP,A)
【文献】特開2017-118916(JP,A)
【文献】特開2005-334056(JP,A)
【文献】特開2004-208846(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される調剤デー
タと薬品シートの1シートに収容されている薬品の数量を示す情報とに基づいて、調剤対象の薬品が複数収容された薬品シートであって
前記調剤データに基づいて薬品シートを払い出すシート払出動作で払い出された薬品シートに、1シート未満の薬品シートが含まれるか否かを判定する判定処理部と、
前記判定処理部により1シート未満の前記薬品シートが含まれると判定された場合に、当該薬品の識別情報を含むコード情報を、予め設定されたバーコードシンボルで印刷部に印刷させ又は表示部に表示させる出力処理部と、
を備える、調剤支援システム。
【請求項2】
前記薬品シートをシート単位及び1シート未満の単位で払い出す前記シート払出動作を実行可能なシート払出装置を備え、
前記シート払出装置が、前記判定処理部を備える、
請求項1に記載の調剤支援システム。
【請求項3】
前記出力処理部は、前記薬品の識別情報を含み前記薬品シートに記された第1コード種別のコード情報とはコード種別が異なる第2コード種別で前記コード情報を出力する、
請求項1又は2に記載の調剤支援システム。
【請求項4】
前記出力処理部は、前記第1コード種別のコード情報を前記第2コード種別のコード情報に変換する、
請求項3に記載の調剤支援システム。
【請求項5】
コード情報を読み取り可能なコード読取部と、
前記コード読取部によって読み取られる前記コード情報のコード種別に応じて、前記シート払出動作で払い出された薬品シートに1シート未満の薬品シートが含まれるか否かを判定する特定処理部と、
前記特定処理部による特定結果を報知する報知処理部と、
を備える、請求項1~4のいずれかに記載の調剤支援システム。
【請求項6】
コード情報を読み取り可能なコード読取部と、
前記コード読取部によって読み取られる前記コード情報に含まれる前記薬品の識別情報と前記調剤データに含まれる薬品の識別情報とを照合する照合処理部と、
を備える、請求項1~4のいずれかに記載の調剤支援システム。
【請求項7】
一又は複数のプロセッサーに、
入力される調剤デー
タと薬品シートの1シートに収容されている薬品の数量を示す情報とに基づいて、調剤対象の薬品が複数収容された薬品シートであって
前記調剤データに基づいて薬品シートを払い出すシート払出動作で払い出された薬品シートに、1シート未満の薬品シートが含まれるか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより1シート未満の前記薬品シートが含まれると判定された場合に、当該薬品の識別情報を含むコード情報を、予め設定されたバーコードシンボルで印刷部に印刷させ又は表示部に表示させる出力ステップと、
を実行させるための調剤支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の薬品が収容された薬品シートの調剤業務を支援する調剤支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複数の薬品が収容された薬品シートをシート単位で払い出し可能なシート払出装置が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。また、前記シート払出装置では、前記薬品シートをカットして1シート未満の単位で払い出すことも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2016/047487号公報
【文献】特開2011-41789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、薬品シートには、当該薬品シートに収容された薬品の種類を識別するためのコード情報を示す一次元シンボル又は二次元シンボルのようなバーコードシンボルが記されている。そして、前記コード情報は、例えば前記薬品シートを調剤する際の薬品の種類の照合などに用いられる。しかしながら、薬品シートが1シート未満の単位にカットして調剤される場合には、当該薬品シートに記されている前記バーコードシンボルが欠けて前記コード情報を読み取ることができないことがある。
【0005】
本発明の目的は、複数の薬品が収容された薬品シートが1シート未満の単位で調剤される場合でも、当該薬品の識別情報を含むコード情報を示すバーコードシンボルを提供することが可能な調剤支援システム及び調剤支援プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る調剤支援システムは、調剤対象の薬品が複数収容された薬品シートが1シート未満の単位で調剤されるか否かを判定する判定処理部と、前記判定処理部により前記薬品シートが1シート未満の単位で調剤されると判定された場合に、当該薬品の識別情報を含むコード情報を、予め設定されたバーコードシンボルで出力する出力処理部と、を備える。
【0007】
本発明に係る調剤支援プログラムは、一又は複数のプロセッサーに、調剤対象の薬品が複数収容された薬品シートが1シート未満の単位で調剤されるか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップにより前記薬品シートが1シート未満の単位で調剤されると判定された場合に、当該薬品の識別情報を含むコード情報を、予め設定されたバーコードシンボルで出力する出力ステップと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の薬品が収容された薬品シートが1シート未満の単位で調剤される場合でも、当該薬品の識別情報を含むコード情報を示すバーコードシンボルを提供することが可能な調剤支援システム及び調剤支援プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る調剤支援システムのブロック図である。
【
図2】
図2は、薬品シートの一例を示す外観図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る調剤支援システムで用いられる医薬品マスターの一部を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る薬品分包装置を示す外観図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係るシート払出装置で実行されるシート払出処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係るシート払出装置で実行されるシート払出処理で出力される払出記録紙の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係るシート払出装置で実行されるシート払出処理で出力される払出記録紙の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態に係るシート払出装置で実行されるシート払出処理で出力される払出記録紙の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態に係る薬品分包装置で実行される薬品分包処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0011】
本実施形態に係る調剤支援システム1は、調剤支援装置10と、一又は複数のシート払出装置20と、一又は複数の薬品分包装置30とを備える。調剤支援装置10は、インターネット又は無線LANなど通信網Nを介してシート払出装置20及び薬品分包装置30と通信可能である。
【0012】
前記調剤支援装置10には、当該調剤支援装置10に処方データを入力する電子カルテシステム又は処方入力端末などの上位システムが前記通信網Nを介して接続される。前記調剤支援装置10では、処方箋から処方データを読み取り可能であってもよく、ユーザー操作による処方データの入力を受け付け可能であってもよい。例えば、前記処方データには、処方番号、患者名、薬品名、用量、及び用法などの処方対象の薬品に関する情報が含まれる。
【0013】
[調剤支援装置10]
前記調剤支援装置10は、制御部11、記憶部12、操作表示部13、及び印刷部14などを備えるパーソナルコンピュータである。前記調剤支援装置10は、前記調剤支援システム1が使用される医療機関又は薬局などに配置される。
【0014】
前記印刷部14は、前記調剤支援装置10に接続され、各種の情報を紙などの印刷媒体に印刷するプリンターである。前記操作表示部13は、各種の情報を表示する液晶モニター等の表示部と、ユーザー操作を受け付けるキーボード、マウス及びタッチパネル等の操作部とを備える。
【0015】
前記記憶部12は、各種のデータを記憶するHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶部である。前記記憶部12には、前記制御部11等のコンピュータに各種の処理を実行させるための調剤支援プログラムが予め記憶されている。
【0016】
また、前記記憶部12には、薬品データベースなどの各種の情報が記憶されている。前記薬品データベースには、薬品ID、薬品コード、薬品名、YJコード、JANコード、GS1コード、剤形(散薬、錠剤、水剤、外用薬など)、錠剤の形状(カプセル錠、球形錠、平錠など)、錠剤の色、比重などの薬品各々に関する情報が含まれる。
【0017】
前記制御部11は、CPU等のプロセッサー、ROM、及びRAMなどを有する。前記制御部11は、前記プロセッサーによって、前記ROM及び前記記憶部12に記憶されている各種の制御プログラムに従った各種の処理を実行し、調剤支援装置10を統括的に制御する。なお、前記RAMは、前記各種の処理における作業領域として用いられる。
【0018】
例えば、前記制御部11は、前記処方データと予め設定された振分規則とに基づいて、前記シート払出装置20及び前記薬品分包装置30などの各種の調剤機器に入力する一又は複数の調剤データを生成する。そして、前記制御部11は、前記調剤データ各々を当該調剤データに対応する前記シート払出装置20及び前記薬品分包装置30などの調剤機器に入力し、前記調剤データ各々の内容を示す調剤箋を前記印刷部14によって印刷する。これにより、前記シート払出装置20及び前記薬品分包装置30などの調剤機器では、前記調剤データに基づく調剤処理が実行される。
【0019】
[シート払出装置20]
シート払出装置20は、制御部21、記憶部22、操作表示部23、印刷部24、シート払出部25、及びシートカット部26などを備える。前記シート払出装置20は、医療機関又は薬局などの調剤室に配置される調剤機器の一種である。
【0020】
前記シート払出部25は、各種の薬品について当該薬品が複数収容されたPTPシートなどの薬品シートが装填されたシート収容部を備える。前記薬品シートには、6錠、8錠、又は10錠などの予め定められた錠数の錠剤が収容されている。そして、前記シート払出部25は、調剤支援装置10から入力される前記調剤データに基づいて前記シート収容部から前記薬品シートを払い出す。
【0021】
前記薬品シート各々には、当該薬品シートに収容された薬品を識別するための識別情報として、当該薬品の薬品名が記されている。また、前記薬品シート各々には、当該薬品シートに収容された薬品を識別するための識別情報として、当該薬品に対応するJANコード又はGS1コードなどのコード情報が一次元シンボル又は二次元シンボルなどのバーコードシンボルで記されている。例えば、前記調剤支援システム1において、前記コード情報は、前記薬品シートの薬品を調剤する際に、当該薬品の種類を照合するために用いられる。
【0022】
本実施形態では、前記薬品シートに前記GS1コードが前記一次元シンボルで記されており、当該GS1コードが本発明に係る第1コード種別である場合を例に挙げて説明する。また、本実施形態では、前記GS1コードとはコード種別が異なる前記JANコードが本発明に係る第2コード種別である場合を例に挙げて説明する。
【0023】
前記JANコードは、GTIN(Global Trade Item Number)とも称される13桁の数字である。前記GS1コードは、前記JANコードの先頭に、包装形態又は包装数量の識別に用いられるインジケータと称される1桁の数字を付した14桁の数字である。また、前記JANコード及び前記GS1コードの末尾の1桁は、当該JANコード及び当該GS1コードの正否を判定するためのチェックデジットとして用いられる。なお、前記JANコード及び前記GS1コードの末尾から数えて2桁目から13桁目までの12桁の数字は、GS1事業者コード及び商品アイテムコードを示す数字である。
【0024】
ここで、
図2(A)、(B)には、前記薬品シートの一例が示されている。
図2(A)に示されるように、前記薬品シートの表面には、2列5行の合計10錠の薬品が収容されている。また、
図2(B)に示されるように、前記薬品シートの裏面には、当該薬品シートに収容されている薬品の薬品名と、前記コード情報を示すバーコードシンボルであるシンボルS1とが印刷されている。
図2(B)に示されるように、前記シンボルS1は、GS1データバー等の一次元シンボルである。
【0025】
前記シートカット部26は、前記シート払出部25から払い出される前記薬品シートを1シート未満にカットする。これにより、前記薬品シートの1シート未満の数量の薬品が収容された端数シートが生成される。従って、前記シート払出装置20では、前記シート払出部25及び前記シートカット部26を用いて、前記薬品シートをシート単位又は1シート未満の単位で払い出すことが可能である。また、前記シート払出部25は、前記シートカット部26でカットされた残りの薬品シートを端数シートとして貯留し、その後に前記端数シートを払い出すことも可能である。なお、このように前記薬品シートをシート単位又は1シート未満の単位で払い出すための構成は、例えば国際公開第2016/047487号公報及び特開2011-41789号公報などに開示されている従来周知の技術を用いればよいため、詳細な説明は省略する。
【0026】
ところで、
図2(C)に示されるように、
図2(A)に示す前記薬品シートが5錠などの1シート未満の単位にカットして調剤される場合には、
図2(D)に示されるように、当該薬品シートに前記バーコードシンボルとして記されているシンボルS1が欠けることがある。この場合、前記薬品シートに記されている前記シンボルS1から前記コード情報を読み取ることができないことがある。
【0027】
これに対し、本実施形態に係る調剤支援システム1では、後述するように、前記薬品シートが1シート未満の単位で調剤される場合でも、当該薬品の識別情報を含むコード情報を提供することが可能である。
【0028】
前記印刷部24は、各種の情報をロール紙などの払出記録紙(ジャーナル)に印刷するプリンターである。具体的に、本実施形態において、前記印刷部24は、各種の文字が印刷可能であると共に、前記JANコードの13桁の数字を表現可能な一次元シンボルであるJANシンボルを前記バーコードシンボルとして印刷可能である。例えば、前記シート払出装置20において、前記印刷部24によって印刷される前記払出記録紙は、前記シート払出装置20で払い出される前記薬品シート等が収容されるトレイ上に排出される。
【0029】
前記操作表示部23は、各種の情報を表示する液晶モニター等の表示部と、ユーザー操作を受け付けるキーボード、マウス及びタッチパネル等の操作部とを備える。
【0030】
前記記憶部22は、各種のデータを記憶するHDD又はSSDなどの記憶部である。具体的に、前記記憶部22には、前記制御部21等のコンピュータに後述のシート払出処理(
図5参照)を実行させるための調剤支援プログラムが予め記憶されている。
【0031】
また、前記記憶部22には、医薬品マスター及び患者マスターなどが記憶されている。前記医薬品マスターには、薬品ID、薬品コード、薬品名、YJコード、JANコード、GS1コード、剤形(散薬、錠剤、水剤、外用薬など)、錠剤の形状(カプセル錠、球形錠、平錠など)、錠剤の色、比重などの薬品各々に関する情報が含まれる。
【0032】
例えば、
図3には、前記医薬品マスターの一部が示されている。
図3に示されるように、前記医薬品マスターでは、前記薬品シートに収容された薬品の種類ごとに、薬品名、GS1コード(第1コード種別のコード情報)、JANコード(第2コード種別のコード情報)、及びシート錠数などの情報が登録されている。但し、前記医薬品マスターでは、薬品によって、前記JANコード及び前記GS1コードの両方が登録されている場合、又はいずれか一方のみが登録されていることがある。なお、前記シート錠数は、前記薬品シートの1シートに収容されている薬品の数量を示す情報である。
【0033】
前記制御部21は、CPU等のプロセッサー、ROM、及びRAMなどを有する。前記制御部21は、前記プロセッサーによって、前記ROM及び前記記憶部22に記憶されている各種の制御プログラムに従った各種の処理を実行し、シート払出装置20を統括的に制御する。前記RAMは、前記各種の処理における作業領域として用いられる。
【0034】
前記制御部21は、判定処理部211及び出力処理部212などの各種の処理部を含む。具体的に、前記制御部21は、前記調剤支援プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。
【0035】
前記判定処理部211は、調剤対象の薬品が複数収容された薬品シートが1シート未満の単位で調剤されるか否かを判定する。また、前記出力処理部212は、前記判定処理部211により前記薬品シートが1シート未満の単位で調剤されると判定された場合に前記コード情報を、予め設定されたバーコードシンボルで出力する。一方、前記出力処理部212は、前記判定処理部211により前記薬品シートがシート単位で調剤されると判定された場合には前記コード情報を前記バーコードシンボルで出力する処理を実行しない。
【0036】
具体的に、前記出力処理部212は、前記コード情報に対応する前記バーコードシンボルを、前記印刷部24で印刷し、又は前記操作表示部23で表示する。また、前記出力処理部212は、前記薬品の識別情報を含み前記薬品シートに記された前記第1コード種別のコード情報とはコード種別が異なる前記第2コード種別で前記コード情報を出力する。特に、前記出力処理部212は、前記医薬品マスターに登録されている前記第1コード種別のコード情報を前記第2コード種別のコード情報に変換して出力することが可能である。
【0037】
[薬品分包装置30]
薬品分包装置30は、
図1及び
図4に示されるように、制御部31、記憶部32、操作表示部33、コード読取部34、薬品カセット35、手撒きユニット36、及び分包処理部37などを備える。前記薬品分包装置30は、医療機関又は薬局などの調剤室に配置される調剤機器の一種である。
【0038】
前記分包処理部37は、前記薬品カセット35又は前記手撒きユニット36から供給される薬品を服用時期などの単位で薬包紙によって包装する分包動作を実行する。
【0039】
前記手撒きユニット36は、前記分包処理部37による分包単位(服用時期単位など)ごとに対応するマスを備え、当該マス各々に投入される薬品を当該マスの単位で前記分包処理部37に供給することが可能である。前記手撒きユニット36の前記マス各々には、前記シート払出装置20で払い出された前記薬品シートから取り出された薬品などが投入される。
【0040】
前記薬品カセット35は、前記薬品分包装置30の装着部351に着脱可能であり、当該薬品カセット35に割り当てられる任意の種類の薬品を所定量ずつ払い出すことが可能である。前記薬品カセット35には、前記シート払出装置20で払い出された前記薬品シートから取り出された薬品などが投入される。
【0041】
また、前記装着部351は、前記薬品カセット35の取り外しを制限するロック機構を備える。例えば、前記ロック機構は、ソレノイド又はモーターなどの駆動部と、前記駆動部によって駆動して、前記薬品カセット35に係合することにより、前記装着部351からの前記薬品カセット35の取り外しを制限可能な制限部とを含む。
【0042】
具体的に、前記制御部31は、前記調剤データに基づいて、調剤対象の薬品を前記薬品カセット35に割り当て、当該薬品に対応する前記コード情報が前記コード読取部34によって読み取られた場合に、当該薬品カセット35が装着されている前記装着部351の前記ロック機構によるロックを解除する。これにより、前記薬品カセット35を前記装着部351から取り外して薬品を投入することが可能である。なお、前記制御部31は、前記薬品カセット35に薬品が割り当てられ、当該薬品に対応する前記コード情報が読み取られるまでの間は、当該薬品カセット35が装着された前記装着部351を前記ロック機構によってロックする。また、前記制御部31は、ユーザー操作に応じて、前記装着部351をロックし、又は前記装着部351のロックを解除してもよい。
【0043】
前記コード読取部34は、一次元シンボル又は二次元シンボルなどのバーコードシンボルからJANコード又はGS1コードなどのコード情報を読み取ることが可能な可搬型のバーコードリーダーである。前記コード読取部34は、前記薬品分包装置30に近距離無線通信で通信可能に接続されている。
【0044】
前記コード読取部34は、前記薬品シート又は薬品箱などに記されている前記バーコードシンボルから前記コード情報を読み取るために用いられる。また、前記コード読取部34は、前記調剤データの内容が記載された調剤箋に記されている前記バーコードシンボルから前記調剤データを読み取るために用いられてもよい。
【0045】
前記操作表示部33は、各種の情報を表示する液晶モニター等の表示部と、ユーザー操作を受け付けるキーボード、マウス及びタッチパネル等の操作部とを備える。前記記憶部32は、各種のデータを記憶するHDD又はSSDなどの記憶部である。前記記憶部32には、前記制御部31等のコンピュータに後述の薬品分包処理(
図9参照)を実行させるための薬品分包プログラムが予め記憶されている。
【0046】
また、前記記憶部32には、前記調剤支援装置10と同様の前記薬品データベース又は前記シート払出装置20と同様の前記医薬品マスターなどの各種の情報が記憶されている。前述したように、前記薬品データベースには、薬品ID、薬品コード、薬品名、YJコード、JANコード、GS1コード、剤形(散薬、錠剤、水剤、外用薬など)、錠剤の形状(カプセル錠、球形錠、平錠など)、錠剤の色、比重などの薬品各々に関する情報が含まれる。前述したように、前記医薬品マスターの一部(
図3参照)には、薬品ごとについて、薬品名、GS1コード(第1コード種別のコード情報)、JANコード(第2コード種別のコード情報)、及びシート錠数などの情報が登録されている。
【0047】
前記制御部31は、CPU等のプロセッサー、ROM、及びRAMなどを有する。前記制御部31は、前記プロセッサーによって、前記ROM及び前記記憶部32に記憶されている各種の制御プログラムに従った各種の処理を実行し、薬品分包装置30を統括的に制御する。前記RAMは、前記各種の処理における作業領域として用いられる。
【0048】
前記制御部31は、照合処理部311、特定処理部312、及び報知処理部313などの各種の処理部を含む。具体的に、前記制御部31は、前記薬品分包プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。
【0049】
前記照合処理部311は、前記コード読取部34によって読み取られる前記コード情報に含まれる前記薬品の識別情報と、照合対象データである前記調剤データに含まれる薬品の識別情報とを照合する。
【0050】
前記特定処理部312は、前記コード読取部34によって読み取られる前記コード情報に応じて、調剤対象の薬品が収容された前記薬品シートが1シート未満の単位で調剤されるか否かを特定する。具体的に、前記特定処理部312は、前記コード読取部34によって読み取られる前記コード情報のコード種別に応じて、前記薬品シートが1シート未満の単位で調剤されるか否かを特定する。
【0051】
前記報知処理部313は、前記特定処理部312による特定結果を報知する。なお、前記報知処理部313は、前記特定処理部312によって前記薬品シートが1シート未満の単位で調剤されると特定された場合にのみ当該特定結果を報知し、前記特定処理部312によって前記薬品シートがシート単位で調剤されると特定された場合には当該特定結果の報知を実行しないことも考えられる。
【0052】
[シート払出処理]
以下、
図5を参照しつつ、前記シート払出装置20において前記制御部21で実行されるシート払出処理の一例について説明する。前記制御部21は、前記シート払出装置20に入力された前記調剤データに基づく調剤を開始すると判断した場合に前記シート払出処理を実行する。なお、前記調剤データに複数種類の薬品が調剤対象として含まれる場合には、当該薬品各々を処理対象として前記シート払出処理が実行される。
【0053】
具体的に、前記制御部21は、前記シート払出装置20に前記調剤データが入力された場合に当該調剤データに基づく調剤を開始すると判断する。また、前記制御部21は、前記シート払出装置20で未処理の前記調剤データが残っている場合に当該調剤データに基づく調剤を開始すると判断する。さらに、前記制御部21は、前記シート払出装置20に対して前記調剤データの発行操作が行われた場合に、当該調剤データに基づく調剤を開始すると判断する。
【0054】
なお、本発明は、前記シート払出処理の一部又は全部を前記制御部21によって実行する調剤支援方法の発明として捉えてもよく、当該調剤支援方法を前記制御部21に実行させるための前記調剤支援プログラムの発明として捉えてもよい。
【0055】
<ステップS11>
ステップS11において、前記制御部21は、前記調剤データに基づいて、前記シート払出部25及び前記シートカット部26などを制御し、調剤対象の薬品の前記薬品シートを払い出すためのシート払出動作を実行する。なお、前記制御部21は、前記ステップS11における前記シート払出動作で払い出された前記薬品シートの情報と前記調剤データの一部又は全部とを払出実績情報として記憶部22に記憶する。
【0056】
具体的に、前記調剤データに含まれる調剤対象の薬品の調剤量が、当該薬品の前記薬品シートの整数枚に対応する量である場合、前記制御部21は、調剤対象の薬品が収容された整数枚の前記薬品シートを前記シート払出部25によって払い出す。
【0057】
また、前記調剤データに含まれる調剤対象の薬品の調剤量が、当該薬品の前記薬品シートの1シート未満に対応する量である場合、前記制御部21は、調剤対象の薬品が収容された1シート未満の前記薬品シートを、前記シート払出部25及び前記シートカット部26によって払い出す。なお、前記シートカット部26でカットされた後の残りの前記薬品シートが端数シートとして貯留されており、当該端数シートに収容されている薬品の数量が、調剤対象の薬品の調剤量と同じである場合、前記制御部21は、前記端数シートを払い出す。
【0058】
さらに、前記調剤データに含まれる調剤対象の薬品の調剤量が、当該薬品の薬品シートの整数枚に対応する量と、前記薬品シートの1シート未満に対応する量とを足した量であることも考えられる。この場合、前記制御部21は、調剤対象の薬品が収容された整数枚の前記薬品シート及び1シート未満の前記薬品シートを、前記シート払出部25及び前記シートカット部26によって払い出す。
【0059】
<ステップS12>
ステップS12において、前記制御部21の判定処理部211は、前記薬品シートが1シート未満の単位で払い出されるか否かを判定する判定ステップを実行する。具体的に、前記判定処理部211は、前記払出実績情報に基づいて、前記ステップS11で払い出された前記薬品シートに、1シート未満の前記薬品シートが含まれる場合に、前記薬品シートが1シート未満の単位で払い出されると判定する。例えば、前記判定処理部211は、前記ステップS11で払い出された前記薬品シートが、1シート未満の薬品シートである場合の他、前記ステップS11で払い出された前記薬品シートが、整数枚の薬品シート及び1シート未満の薬品シートである場合にも、前記薬品シートが1シート未満の単位で調剤されると判定する。
【0060】
そして、前記1シート未満の前記薬品シートが含まれると判断された場合には(S12:Yes)、処理がステップS13に移行し、前記1シート未満の前記薬品シートが含まれないと判断された場合には(S12:No)、処理がステップS121に移行する。
【0061】
なお、他の実施形態として、前記判定処理部211が、前記調剤データと前記医薬品マスターにおける前記シート錠数とに基づいて、前記薬品シートが1シート未満の単位で調剤されるか否かを判断してもよい。
【0062】
<ステップS121>
ステップS121において、前記制御部21の出力処理部212は、前記払出実績情報に基づいて、前記ステップS11で払い出された薬品についての払出記録を出力する。具体的に、前記出力処理部212は、前記印刷部24を用いて、前記払出実績情報を前記払出記録紙に印刷する。
【0063】
図6は、前記ステップS121で出力される前記払出記録紙の一例を示す図である。
図6に示される例では、前記払出記録紙に、調剤対象の薬品について、調剤日、患者ID、患者名、薬品名、用量、用法などの情報が印刷されている。なお、この場合、前記払出記録紙には、前記コード情報に対応する前記バーコードシンボルは印刷されない。
【0064】
<ステップS13>
ステップS13において、前記制御部21の出力処理部212は、調剤対象の薬品に対応する前記コード情報として、前記第2コード種別のコード情報が、前記記憶部22に記憶されている前記医薬品マスターに登録されているか否かを判断する。前述したように、本実施形態では、前記第2コード種別がJANコードである。そして、前記第2コード種別のコード情報が登録されていると判断すると(S13:Yes)、処理がステップS16に移行し、前記第2コード種別のコード情報が登録されていないと判断すると(S13:No)、処理がステップS14に移行する。
【0065】
<ステップS14>
ステップS14において、前記制御部21の出力処理部212は、調剤対象の薬品に対応する前記コード情報として、前記第1コード種別のコード情報が、前記記憶部22に記憶されている前記医薬品マスターに登録されているか否かを判断する。前述したように、本実施形態では、前記第1コード種別がGS1コードである。そして、前記第1コード種別のコード情報が登録されていると判断すると(S14:Yes)、処理がステップS15に移行し、前記第1コード種別のコード情報が登録されていないと判断すると(S14:No)、処理がステップS141に移行する。
【0066】
<ステップS141>
ステップS141において、前記制御部21の出力処理部212は、調剤対象の薬品に対応する前記第1コード種別及び前記第2コード種別のコード情報がいずれも登録されていない旨を示す予め設定された特定メッセージを、前記払出実績情報と共に出力する。例えば、前記特定メッセージは、「薬品バーコード登録無」などのメッセージである。
【0067】
<ステップS15>
ステップS15において、前記制御部21の出力処理部212は、前記第1コード種別のコード情報を、予め設定された変換規則に基づいて前記第2コード種別のコード情報に変換する。
【0068】
具体的に、前記第1コード種別である前記GS1コードは、末尾1桁目のチェックデジットと、末尾から数えて2桁目から13桁目の12桁で表現されるGS1事業者コード及び商品アイテムコードと、末尾から数えて14桁目のインジケータと、を含む。また、前記第2コード種別である前記JANコードは、末尾1桁のチェックデジットと、末尾から数えて2桁目から13桁目の12桁で表現されるGS1事業者コード及び商品アイテムコードとを含む。即ち、前記JANコード及び前記GS1コードでは、12桁のGS1事業者コード及び商品アイテムコードが共通する。
【0069】
そして、前記変換規則として、下記(1)~(7)の手順が設定されており、前記出力処理部212は,前記変換規則に従って、前記第1コード種別のコード情報である前記GS1コードを、前記第2コード種別のコード情報である前記JANコードに変換する。
【0070】
(1)前記GS1コードの14桁目を除く偶数桁の数字を加算した数値N1を算出する。(2)前記数値N1を3倍した数値N2を算出する。(3)前記GS1コードの末尾1桁目を除く奇数桁の数字を加算した数値N3を算出する。(4)前記数値N2及び前記数値N3を加算した数値N4を算出する。(5)前記数値N4の下一桁の数字を「10」から引いた数値N5を算出する。(6)前記数値N5の下一桁の数字が「0」である場合は前記チェックデジットを「0」とし、「0」でない場合は前記数値N5を前記チェックデジットとする。(7)末尾1桁目を前記チェックデジットの数字とし、末尾から数えて2桁目から13桁目を前記GS1コードと同じGS1事業者コード及び商品アイテムコードを示す12桁の数字とした、合計13桁の数字で表現される前記JANコードを変換結果とする。
【0071】
例えば、前記GS1コードが「14987114554908」である場合、前記数値N1は、9+7+1+5+4+0で26となり、前記数値N2は78となる。また、前記数値N3は、4+8+1+4+5+9で31となり、前記数値N4は109となる。そして、前記数値N5は、10-9で1となる。そのため、前記GS1コードを変換した後の前記JANコードは「4987114554901」となる。
【0072】
<ステップS16>
ステップS16において、前記制御部21の出力処理部212は、前記払出実績情報に基づいて、前記ステップS11で払い出された薬品についての払出記録を、前記第2コード種別のコード情報と共に出力する出力ステップを実行する。具体的に、前記出力処理部212は、前記印刷部24を用いて、前記払出実績情報及び前記コード情報を前記払出記録紙に印刷する。
【0073】
特に、前記出力処理部212は、前記印刷部24を用いて、前記第2コード種別のコード情報を前記一次元シンボルで前記払出記録紙に印刷させる。ここで、前記コード情報は、前記ステップS15で前記第1コード種別のコード情報から変換された後の前記第2コード種別のコード情報、又は、調剤対象の薬品に対応して前記医薬品マスターに登録された前記第2コード種別のコード情報である。従って、前記印刷部24が、前記第2コード種別のコード情報を印刷可能であって前記第1コード種別のコード情報を印刷可能でない場合であっても、当該印刷部24を用いて、当該第1コード種別のコード情報から変換された前記第2コード種別のコード情報を印刷することが可能である。
【0074】
即ち、前記出力処理部212は、前記シート払出処理において、1シート未満の前記薬品シートが調剤される場合には、当該薬品シートに記されている前記第1コード種別のコード情報とはコード種別が異なる前記第2コード種別で前記コード情報を出力する。
【0075】
図7は、前記ステップS16で出力される前記払出記録紙の一例を示す図である。
図7に示される例では、前記払出記録紙に、調剤対象の薬品について、調剤日、患者ID、患者名、薬品名、用量、用法などの情報が印刷されると共に、前記第2コード種別のコード情報が一次元シンボルS2で印刷されている。前記一次元シンボルS2は、JANシンボル等の予め設定された一次元シンボルである。なお、
図7では、図示の便宜上、前記一次元シンボルS2には実際の一次元シンボルとは異なる加工を施している。
【0076】
なお、本実施形態では、前記コード情報を前記一次元シンボルで出力する場合を例に挙げて説明するが、他の実施形態として、前記一次元コードに代えて、
図8に示されるようなQRコード(登録商標)などの二次元シンボルS3で前記コード情報が出力されてもよい。なお、
図8では、図示の便宜上、前記二次元シンボルS3には実際の二次元シンボルとは異なる加工を施している。
【0077】
以上説明したように、前記調剤支援システム1では、前記第2コード種別のコード情報が前記医薬品マスターに登録されていない薬品であっても、前記第1コード種別のコード情報が登録されていれば、当該第2コード種別のコード情報が前記バーコードシンボルで出力される。これにより、前記薬品シートが1シート未満の単位で調剤される場合であっても、前記薬品シートに収容された薬品のコード情報を示す前記バーコードシンボルが提供される。
【0078】
なお、他の実施形態として、前記バーコードシンボルが前記第1コード種別又は前記第2コード種別のコード情報の情報量よりも多くの情報を表現可能であることも考えられる。この場合、前記出力処理部212は、前記ステップS16において、前記コード情報と共に、例えば前記薬品の調剤量を示す数量の情報を含む前記バーコードシンボルを生成して出力するものであってもよい。
【0079】
[薬品分包処理]
続いて、
図9を参照しつつ、前記薬品分包装置30の前記制御部31によって実行される前記薬品分包処理の一例について説明する。前記制御部31は、前記薬品分包装置30に入力された前記調剤データに基づく調剤を開始すると判断した場合に前記薬品分包処理を実行する。
【0080】
具体的に、前記制御部31は、前記薬品分包装置30に前記調剤データが入力された場合に当該調剤データに基づく調剤を開始すると判断する。また、前記制御部31は、前記薬品分包装置30で未処理の前記調剤データが残っている場合に当該調剤データに基づく調剤を開始すると判断する。さらに、前記制御部31は、前記薬品分包装置30に対して前記調剤データの発行操作が行われた場合に、当該調剤データに基づく調剤を開始すると判断する。
【0081】
なお、本発明は、前記薬品分包処理の一部又は全部を前記制御部31によって実行する薬品分包方法の発明として捉えてもよく、当該薬品分包方法を前記制御部31に実行させるための前記薬品分包プログラムの発明として捉えてもよい。
【0082】
<ステップS21>
ステップS21において、前記制御部31は、前記調剤データに基づく前記分包動作の実行に際して、調剤対象の薬品を前記薬品カセット35又は前記手撒きユニット36に投入する必要があるか否かを判断する。そして、薬品を投入する必要があると判断されると(S21:Yes)、処理がステップS22に移行し、薬品を投入する必要がないと判断されると(S21:No)、処理がステップS27に移行する。
【0083】
例えば、前記薬品分包装置30には、任意の種類の薬品を払い出すことが可能な前記薬品カセット35とは別に、予め定められた特定の種類の薬品が収容される固定薬品カセットが設けられる。そして、前記薬品分包装置30では、調剤対象の薬品のうち前記固定薬品カセットに収容されている薬品は、前記薬品カセット35又は前記手撒きユニット36を使用せずに前記固定薬品カセットから払い出すことが可能である。そのため、前記ステップS21において、前記制御部31は、調剤対象の薬品が収容されている前記固定薬品カセットが薬品分包装置30に設けられている場合には、当該薬品を投入する必要がないと判断し、調剤対象の薬品が収容されている前記固定薬品カセットが薬品分包装置30に設けられていない場合に、当該薬品を投入する必要があると判断することが考えられる。また、前記制御部31は、薬品ごとに予め前記固定薬品カセット、前記薬品カセット35、前記手撒きユニット36のいずれを使用して払い出すかが予め設定された設定情報に基づいて、調剤対象の薬品の投入の必要の有無を判断してもよい。なお、前記調剤データに調剤対象の薬品が複数含まれる場合には、前記ステップS21~S26の処理が当該薬品ごとに順に実行される。
【0084】
<ステップS22>
ステップS22において、前記制御部31は、前記コード読取部34によって前記コード情報が読み取られたか否かを判断する。そして、前記コード情報が読み取られたと判断されると(S22:Yes)、処理がステップS23に移行し、前記コード情報が読み取られるまでの間は(S22:No)、処理がステップS22で待機する。
【0085】
具体的に、前記薬品シートをシート単位で調剤する場合、ユーザーは、前記コード読取部34を用いて、当該薬品シートに記された前記バーコードシンボルから薬品のコード情報を読み取らせる。一方、前記薬品シートを1シート未満の単位で調剤する場合、ユーザーは、前記コード読取部34を用いて、当該薬品シートではなく前記払出記録紙に印刷された前記バーコードシンボルから薬品のコード情報を読み取らせる。そのため、前記薬品シートが1シート未満であって当該薬品シートに記された前記バーコードシンボルが欠けている場合であっても、前記コード情報を前記払出記録紙に印刷された前記バーコードシンボルから取得することが可能である。
【0086】
<ステップS23>
ステップS23において、前記制御部31の特定処理部312は、前記調剤データに基づく前記分包動作の実行に際して、調剤対象の薬品の前記薬品シートが1シート未満の単位で調剤されるか否かを特定する。即ち、前記分包動作を行うためにユーザーが1シート未満の前記薬品シートから錠剤を取り出す必要があるか否かが判断される。そして、前記薬品シートが1シート未満の単位で調剤されると判断されると(S23:Yes)、処理がステップS24に移行し、前記薬品シートがシート単位で調剤されると判断されると(S23:No)、処理がステップS25に移行する。
【0087】
具体的に、前記特定処理部312は、前記コード読取部34によって読み取られた前記コード情報が、前記第2コード種別のコード情報である場合には、前記薬品シートが1シート未満の単位で調剤されると特定し、前記第1コード種別のコード情報である場合には、前記薬品シートがシート単位で調剤されると特定する。
【0088】
また、他の実施形態として、前記特定処理部312は、前記バーコードシンボルに、前記コード情報と共に薬品の数量の情報が含まれる場合に、前記薬品シートが1シート未満の単位で調剤されると判断し、前記コード情報と共に薬品の数量の情報が含まれない場合に、前記薬品シートがシート単位で調剤されると判断してもよい。なお、前記特定処理部312は、前記コード情報と共に薬品の数量の情報が含まれる場合、当該数量が1枚の前記薬品シートに収容されている薬品の数量の整数倍であれば、前記薬品シートがシート単位で調剤されると判断し、当該数量が1枚の前記薬品シートに収容されている薬品の数量の整数倍でなければ、前記薬品シートが1シート未満の単位で調剤されると判断してもよい。
【0089】
<ステップS24>
ステップS24において、前記制御部31は、調剤対象の薬品を前記薬品カセット35又は前記手撒きユニット36に投入する際に、1シート未満の前記薬品シートを調剤する必要がある旨を前記操作表示部33などに表示してユーザーに報知する。これにより、1シート未満の前記薬品シートの調剤漏れが抑制される。
【0090】
<ステップS25>
ステップS25において、前記制御部31は、前記コード読取部34によって読み取られた前記コード情報と、前記調剤データに含まれる調剤対象の薬品に対応する前記コード情報とを照合する。前記調剤データに含まれる調剤対象の薬品に対応する前記コード情報は、前記調剤データに含まれた情報であってもよいが、例えば前記記憶部32に記憶されている前記薬品データベース又は前記医薬品マスターに登録された情報であってもよい。
【0091】
なお、他の実施形態として、前記バーコードシンボルに、前記コード情報と共に、薬品の数量を示す情報が含まれる場合には、前記ステップS25において、当該薬品の数量と、前記調剤データに含まれる調剤対象の薬品の数量とが照合されてもよい。
【0092】
また、前記制御部31は、調剤対象の薬品として、整数枚の前記薬品シートと1シート未満の前記薬品シートとが調剤される場合に、当該整数枚の薬品シートに記された前記バーコードシンボルと、前記払出記録紙に印刷された前記バーコードシンボルとが読み取られた場合に、前記薬品の数量の照合が正常であると判断してもよい。
【0093】
例えば、前記記憶部32に記憶される前記薬品データベース又は前記医薬品マスターには、薬品ごとについて、前記薬品シートに収容されている当該薬品の錠数を示す前記シート錠数の情報が含まれる。そこで、前記制御部31は、前記調剤データと前記薬品データベース又は前記医薬品マスターとに基づいて、調剤対象の薬品ごとに、必要な前記薬品シートのシート単位の枚数と、1シート未満の前記薬品シートの必要の有無とを特定する。また、他の実施形態として、前記制御部31は、前記シート払出装置20から当該シート払出装置20で払い出された前記薬品シートのシート単位の枚数、及び1シート未満の前記薬品シートの払出の有無などの情報を取得してもよい。その後、前記制御部31は、前記ステップS25等において、調剤対象の薬品について、必要な前記薬品シートのシート単位の枚数、及び1シート未満の前記薬品シートの必要の有無などを示す案内情報を前記操作表示部33などに表示する。そして、1シート未満の前記薬品シートが必要な場合、前記制御部31は、前記ステップS25において、必要な前記薬品シートのシート単位の枚数と同じ回数だけ前記第1コード種別の前記コード情報が読み取られ、且つ、前記払出記録紙に印刷された前記第2コード種別の前記コード情報が読み取られた場合に、照合が正常であると判断する。なお、1シート未満の前記薬品シートが必要でない場合、前記制御部31は、前記ステップS25において、前記コード読取部34によって、必要な前記薬品シートのシート単位の枚数と同じ回数だけ前記第1コード種別の前記コード情報が読み取られた場合に、照合が正常であると判断する。例えば、前記薬品シートの1シートに10錠収容されている薬品が21錠必要である場合には、10錠収容されている前記薬品シートが2シートと、1錠だけ収容された1シート未満にカットされた前記薬品シートが必要になる。この場合、前記制御部31は、前記薬品シートに記されている前記第1コード種別の前記コード情報が2回読み取られ、前記払出記録紙に記されている前記第2コード種別の前記コード情報が1回読み取られた場合に、照合が正常であると判断する。
【0094】
<ステップS26>
ステップS26において、前記制御部31は、前記ステップS25における照合の結果を出力する。具体的に、前記制御部31は、前記ステップS25における照合の結果が一致である場合には、照合が正常である旨を操作表示部に表示し、前記ステップS25における照合の結果が不一致である場合には、照合が正常でない旨を示すエラーなどを前記操作表示部33に表示する。
【0095】
また、調剤対象の薬品が前記薬品カセット35に割り当てられており、当該薬品カセット35に当該薬品を投入する必要がある場合、前記制御部31は、前記ステップS25における照合の結果が一致である場合には、当該薬品カセット35の前記装着部351における前記ロック機構のロックを解除する。これにより、ユーザーは、調剤対象の薬品を前記薬品シートから取り出して前記薬品カセット35に投入することができる。一方、前記ステップS25における照合の結果が不一致である場合、前記制御部31は、当該薬品カセット35の前記装着部351における前記ロック機構のロックを解除せず、前記操作表示部33によってエラーなどを報知する。
【0096】
また、調剤対象の薬品が前記手撒きユニット36に割り当てられている場合、前記制御部31は、前記ステップS25における照合の結果が一致である場合には、当該手撒きユニット36への当該薬品の投入位置を表示する。これにより、ユーザーは、調剤対象の薬品を前記薬品シートから取り出して前記手撒きユニット36に投入するができる。一方、前記ステップS25における照合の結果が不一致である場合、前記制御部31は、前記投入位置を表示せず、前記操作表示部33によってエラーなどを報知する。
【0097】
<ステップS27>
ステップS27において、前記制御部31は、前記調剤データに基づく前記分包動作が実行可能であるか否かを判断する。そして、前記分包動作が実行可能であると判断されると(S27:Yes)、処理がステップS28に移行し、前記分包動作が実行可能でないと判断されると(S27:No)、処理がステップS21に戻される。
【0098】
具体的に、前記調剤データに調剤対象の薬品が複数含まれる場合には、当該薬品各々について前記ステップS21~S26の処理が実行された場合に前記分包動作が実行可能であると判断する。また、ユーザーによる操作表示部33の操作によって前記分包動作の開始確認操作が行われた場合に、前記分包動作が実行可能であると判断されてもよい。さらに、前記薬品カセット35が調剤される場合には、当該薬品カセット35が着脱された場合に前記分包動作が実行可能であると判断されてもよい。
【0099】
<ステップS28>
ステップS28において、前記制御部31は、前記薬品カセット35、前記手撒きユニット36、及び前記分包処理部37などを制御し、前記調剤データに基づく前記分包動作を実行させる。具体的に、前記分包動作では、前記調剤データに基づいて一又は複数の調剤対象の薬品が前記薬品カセット35又は前記手撒きユニット36から前記分包処理部37に供給され、当該分包処理部37によって服用時期単位などの分包単位で薬包紙に分包される。
【0100】
以上説明したように、前記調剤支援システム1では、前記薬品シートが1シート未満の単位で調剤される場合であっても、前記払出記録紙から前記コード情報が読み取り可能であるため、前記薬品分包処理を正常に実行することが可能である。
【0101】
前述したように、前記調剤支援システム1では、前記薬品シートが1シート未満の単位で調剤される場合には、前記シート払出装置20の前記制御部21によって、当該薬品シートに収容されている薬品に対応する前記コード情報が出力される。一方、他の実施形態として、前記調剤支援装置10の制御部11などが、前記処方データ又は前記調剤データに基づいて、前記薬品シートが1シート未満の単位で調剤されるか否かを判断し、前記薬品シートが1シート未満の単位で調剤されると判断した場合に、当該薬品シートの薬品に対応する前記コード情報を前記バーコードシンボルで出力してもよい。
【0102】
また、前記実施形態では、調剤対象が前記薬品シートとなる調剤機器として、前記シート払出装置20を例に挙げて説明したが、これに限らない。例えば、前記シート払出装置20に代えて、又は前記シート払出装置20と共に、前記調剤データに基づいて前記薬品シートを薬品棚から取り出すピッキング作業を支援するピッキング支援装置が用いられることが考えられる。例えば、前記ピッキング支援装置は、前記調剤データに基づいて、調剤対象の薬品の前記薬品シートが収容されている薬品棚の場所を示す情報を表示する。そして、前記ピッキング支援装置は、前記シート払出装置20と同様に、前記薬品シートが1シート未満の単位で調剤されるか否かを判定し、前記薬品シートが1シート未満の単位で調剤されると判定された場合に、当該薬品の識別情報を含むコード情報を、予め設定されたバーコードシンボルで出力してもよい。
【0103】
なお、前記実施形態では、前記第1コード種別であるGS1コードを前記第2コード種別であるJANコードに変換する場合を例に挙げて説明した。一方、前記第1コード種別がJANコードであって前記第2コード種別がGS1コードであってもよい。また、前記第1コード種別及び前記第2コード種別は、JANコード、GS1コードに限らず、他のコード種別あってもよい。