(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】ホームドア制御システム
(51)【国際特許分類】
B61B 1/02 20060101AFI20241127BHJP
B61D 37/00 20060101ALI20241127BHJP
B61L 23/00 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
B61B1/02
B61D37/00 G
B61L23/00 Z
(21)【出願番号】P 2021070314
(22)【出願日】2021-04-19
【審査請求日】2023-12-26
(31)【優先権主張番号】P 2020086119
(32)【優先日】2020-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(73)【特許権者】
【識別番号】395007277
【氏名又は名称】東京都
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】太田 裕
(72)【発明者】
【氏名】鴻巣 光司
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 学
(72)【発明者】
【氏名】岡本 誠司
(72)【発明者】
【氏名】久保 実
(72)【発明者】
【氏名】岩田 洋明
【審査官】山▲崎▼ 歩美
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-011035(JP,A)
【文献】特開2015-174468(JP,A)
【文献】特開2018-020756(JP,A)
【文献】特開2019-098848(JP,A)
【文献】特開2000-203418(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0120234(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109435965(CN,A)
【文献】独国特許出願公開第102017104192(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 1/02
B61D 37/00
B61L 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの車両又は複数の車両が連結してなる列車に設けられる情報コードと、駅のホームに入線する前記列車の前記情報コードを撮像する撮像手段とを備え、前記ホームに配置されたホームドアを制御するホームドア制御システムであって、
前記情報コードは、停車時に開閉する車両ドアに設けられ、
前記車両ドアの開閉方式として、閉状態時に撮像されていた前記情報コードが開状態時に撮像されなくなる第1開閉方式と、前記情報コードが閉状態時及び開状態時ともに撮像される第2開閉方式とのいずれか一方が採用され、
前記ホームドアは、
複数の可動扉と前記複数の可動扉を開閉駆動する駆動手段と
、
前記列車の停車後に前記撮像手段により前記情報コードが撮像された撮像画像に基づいて、当該情報コードが設けられた前記車両ドアの開閉方式が前記第1開閉方式及び前記第2開閉方式のいずれであるか判別する開閉方式判別手段と、
前記開閉方式判別手段の判別結果と前記撮像手段の撮像結果とに基づいて前記車両ドアの開閉状態を検知する開閉状態検知手段と、
を有し、
前記情報コードには、前記列車の車両数に関する情報が記録され、
前記駆動手段は、前記撮像手段による前記情報コードの撮像画像から読み取られた前記車両数に関する情報に基づいて前記複数の可動扉から開状態とすべき可動扉が選択されると、前記列車の停車時に、前記選択された可動扉を開状態に駆動することを特徴とするホームドア制御システム。
【請求項2】
1つの車両又は複数の車両が連結してなる列車に対して前記車両ごとに設けられる情報コードと、駅のホームに入線する前記列車の前記情報コードを撮像する複数の撮像手段とを備え、前記ホームに配置されたホームドアを制御するホームドア制御システムであって、
前記情報コードは、停車時に開閉する車両ドアに設けられ、
前記車両ドアの開閉方式として、閉状態時に撮像されていた前記情報コードが開状態時に撮像されなくなる第1開閉方式と、前記情報コードが閉状態時及び開状態時ともに撮像される第2開閉方式とのいずれか一方が採用され、
前記ホームドアは、
複数の可動扉と前記複数の可動扉を開閉駆動する駆動手段と
、
前記列車の停車後に前記撮像手段により前記情報コードが撮像された撮像画像に基づいて、当該情報コードが設けられた前記車両ドアの開閉方式が前記第1開閉方式及び前記第2開閉方式のいずれであるか判別する開閉方式判別手段と、
前記開閉方式判別手段の判別結果と前記撮像手段の撮像結果とに基づいて前記車両ドアの開閉状態を検知する開閉状態検知手段と、
を有し、
前記情報コードには、当該情報コードが設けられる前記車両の号車情報に関する情報が記録され、
前記駆動手段は、前記撮像手段による前記情報コードの撮像画像から読み取られた前記号車情報に関する情報に基づいて前記複数の可動扉から開状態とすべき可動扉が選択されると、前記列車の停車時に、前記選択された可動扉を開状態に駆動することを特徴とするホームドア制御システム。
【請求項3】
1つの車両又は複数の車両が連結してなる列車に設けられる情報コードと、駅のホームに入線する前記列車の前記情報コードを撮像する撮像手段とを備え、前記ホームに配置されたホームドアを制御するホームドア制御システムであって、
前記情報コードは、停車時に開閉する車両ドアに設けられ、
前記車両ドアの開閉方式として、閉状態時に撮像されていた前記情報コードが開状態時に撮像されなくなる第1開閉方式と、前記情報コードが閉状態時及び開状態時ともに撮像される第2開閉方式とのいずれか一方が採用され、
前記ホームドアは、
複数の可動扉と前記複数の可動扉を開閉駆動する駆動手段と
、
前記列車の停車後に前記撮像手段により前記情報コードが撮像された撮像画像に基づいて、当該情報コードが設けられた前記車両ドアの開閉方式が前記第1開閉方式及び前記第2開閉方式のいずれであるか判別する開閉方式判別手段と、
前記開閉方式判別手段の判別結果と前記撮像手段の撮像結果とに基づいて前記車両ドアの開閉状態を検知する開閉状態検知手段と、
を有し、
前記駆動手段は、前記撮像手段により撮像された前記情報コードの読取結果に基づいて前記複数の可動扉から開状態とすべき可動扉が選択されると、この選択された可動扉を開状態に駆動し、
前記情報コードの読取結果を利用して読み取りに関する異常状態を検知する異常状態検知手段と、
前記異常状態検知手段により異常状態が検知されると所定の通知を行う通知手段と、
を備えることを特徴とするホームドア制御システム。
【請求項4】
前記第1開閉方式の車両ドアは、開状態時の前記車両ドアの少なくとも一部が乗降口を囲う車体部に収容されるように構成され、
前記第2開閉方式の車両ドアは、開状態時の前記車両ドアが乗降口を囲う車体部の外側にせり出すように構成され、
前記撮像手段は、前記情報コードを斜め上方向から撮像するように配置され、
前記開閉方式判別手段は、停車直後の撮像画像での前記情報コードの位置を基準位置とするとき、停車後の連続撮像画像において前記情報コードが上下方向に関して前記基準位置に対して下方向に移動するように撮像される場合に、前記車両ドアの開閉方式が前記第2開閉方式であると判別することを特徴とする請求項
1~3のいずれか一項に記載のホームドア制御システム。
【請求項5】
前記第1開閉方式の車両ドアは、開状態時の前記車両ドアの少なくとも一部が乗降口を囲う車体部に収容されるように構成され、
前記第2開閉方式の車両ドアは、開状態時の前記車両ドアが乗降口を囲う車体部の外側にせり出すように構成され、
前記開閉方式判別手段は、停車直後の撮像画像での前記情報コードを構成するセルのサイズを基準サイズとするとき、停車後の連続撮像画像において前記情報コードのセルサイズが前記基準サイズよりも大きくなるように撮像される場合に、前記車両ドアの開閉方式が前記第2開閉方式であると判別することを特徴とする請求項
1~3のいずれか一項に記載のホームドア制御システム。
【請求項6】
前記第1開閉方式の車両ドアは、開状態時の前記車両ドアの少なくとも一部が乗降口を囲う車体部に収容されるように構成され、
前記第2開閉方式の車両ドアは、開状態時の前記車両ドアが乗降口を囲う車体部の外側にせり出すように構成され、
前記撮像手段は、前記情報コードを斜め上方向から撮像するように配置され、
前記開閉方式判別手段は、停車直後の撮像画像での前記情報コードの縦横比を基準縦横比とするとき、停車後の連続撮像画像において前記情報コードの縦横比が前記基準縦横比と異なるように撮像される場合に、前記車両ドアの開閉方式が前記第2開閉方式であると判別することを特徴とする請求項
1~3のいずれか一項に記載のホームドア制御システム。
【請求項7】
前記第1開閉方式の車両ドアは、開状態時の前記車両ドアの少なくとも一部が乗降口を囲う車体部に収容されるように構成され、
前記第2開閉方式の車両ドアは、開状態時の前記車両ドアが乗降口を囲う車体部の外側にせり出すように構成され、
前記情報コードには、当該情報コードが設けられた前記車両ドアの開閉方式が前記第1開閉方式及び前記第2開閉方式のいずれであるかを判別するための情報が記録され、
前記開閉方式判別手段は、前記列車の停車後に前記撮像手段により前記情報コードが撮
像された際に、当該撮像画像の前記情報コードから読み取られた情報に基づいて、当該情報コードが設けられた前記車両ドアの開閉方式が前記第1開閉方式及び前記第2開閉方式のいずれであるかについて判別することを特徴とする請求項
1~3のいずれか一項に記載のホームドア制御システム。
【請求項8】
前記第1開閉方式の車両ドアは、開状態時の前記車両ドアの少なくとも一部が乗降口を囲う車体部に収容されるように構成され、
前記第2開閉方式の車両ドアは、開状態時の前記車両ドアが乗降口を囲う車体部の外側にせり出すように構成され、
前記情報コードは、前記第1開閉方式の車両ドアと前記第2開閉方式の車両ドアとで車両ドアに対する角度が異なるように設けられ、
前記開閉方式判別手段は、前記列車の停車後に前記撮像手段により前記情報コードが撮像された際に、当該撮像画像の前記情報コードの角度に基づいて、当該情報コードが設けられた前記車両ドアの開閉方式が前記第1開閉方式及び前記第2開閉方式のいずれであるかについて判別することを特徴とする請求項
1~3のいずれか一項に記載のホームドア制御システム。
【請求項9】
前記第1開閉方式の車両ドアは、開状態時の前記車両ドアの少なくとも一部が乗降口を囲う車体部に収容されるように構成され、
前記第2開閉方式の車両ドアは、開状態時の前記車両ドアが乗降口を囲う車体部の外側にせり出すように構成され、
前記情報コードは、前記第1開閉方式の車両ドアと前記第2開閉方式の車両ドアとで前記撮像手段によって撮像される個数が異なるように設けられ、
前記開閉方式判別手段は、前記列車の停車後に前記撮像手段により前記情報コードが撮像された際に、当該撮像画像の前記情報コードの個数に基づいて、当該情報コードが設けられた前記車両ドアの開閉方式が前記第1開閉方式及び前記第2開閉方式のいずれであるかについて判別することを特徴とする請求項
1~3のいずれか一項に記載のホームドア制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホームに設置されたホームドアを制御するホームドア制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、駅のホームからの落下事故防止等の観点から、1つの車両又は複数の車両を連結してなる列車(鉄道車両)の車両ドアの開閉と連動するように開閉させるホームドアをホームに設置している駅が増えてきている。このようなホームドアを車両ドアの閉状態に連動させて自動的に閉状態に制御する技術として、例えば、下記特許文献1に開示されるホーム柵開閉システムが知られている。このホーム柵開閉システムは、1系統の無線通信を用いてドア開閉動作の情報を確実に伝送する目的で、列車に設置される車両ドア操作装置および車上無線機と、ホームに設置される地上無線機およびホーム柵制御装置とを備えるように構成されている。そして、低出力モードの車上無線機と低出力モードの地上無線機との間での通信の確立によって列車とホームを関連づけた後、車両ドア操作装置とホーム柵制御装置とは、高出力モードの車上無線機と高出力モードの地上無線機との間の通信によって車両ドアとホームドアとのドア開閉動作を連動させて制御する。
【0003】
上記特許文献1に開示されるように鉄道車両(列車)に車上無線機等を設置する構成では、そのホームを利用する全ての鉄道車両に同等の無線通信機能を有する無線機等を設置するため、ホームドアの設置に合わせて鉄道車両の工事・改造等が必要となる。特に、複数の鉄道会社の鉄道車両が同じホームに乗り入れる場合には全ての鉄道車両に既定の無線機等を設置するための工事・改造等が必要となるだけでなく、一部の鉄道車両の仕様によってはその鉄道車両に上記既定の無線機等を設置することが困難な場合も想定される。
【0004】
このため、下記特許文献2に開示されるホームドア制御システムが提案されている。このホームドア制御システムでは、鉄道車両の車両ドアに識別表示としてQRコード(登録商標)が設けられており、このQRコードは、車両ドアが閉状態である場合にホームに設けられたカメラによる撮像画像から認識されるように配置される。これにより、撮像された撮像画像から識別表示が認識される場合には車両ドアが閉状態であると判断できるので、このような場合にホームドアの各可動扉を閉状態に制御することで、無線通信を利用することなく、鉄道車両の車両ドアの閉状態に連動させてホームドアの各可動扉を自動的に閉状態に制御することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-218184号公報
【文献】特開2018-020756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ホームドアは、列車がホームに停車した際に全ての可動扉を開状態に駆動するのではなく、停車した列車の各車両ドア(乗降口)に対向する可動扉のみを駆動し、車両ドアに対向していない可動扉は閉状態を維持させる必要がある。このため、ホームに停車する列車の各車両ドアに合わせて開状態にする可動扉と閉状態を維持する可動扉とを正確に選択する必要があり、正確な選択を速やかに実施できないと、車両ドアが開いているのに開状態にすべき対向するホームドアの可動扉が開いていない状態が生じるおそれがある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、停車する列車の各車両ドアにあわせて開状態とすべきホームドアの可動扉を選択し得るホームドア制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、
1つの車両(11,11a~11c)又は複数の車両が連結してなる列車(10)に設けられる情報コード(50)と、駅のホーム(2)に入線する前記列車の前記情報コードを撮像する撮像手段(30)とを備え、前記ホームに配置されたホームドア(20)を制御するホームドア制御システム(1)であって、
前記情報コードは、停車時に開閉する車両ドアに設けられ、
前記車両ドアの開閉方式として、閉状態時に撮像されていた前記情報コードが開状態時に撮像されなくなる第1開閉方式と、前記情報コードが閉状態時及び開状態時ともに撮像される第2開閉方式とのいずれか一方が採用され、
前記ホームドアは、
複数の可動扉(21)と前記複数の可動扉を開閉駆動する駆動手段(22)と、
前記列車の停車後に前記撮像手段により前記情報コードが撮像された撮像画像に基づいて、当該情報コードが設けられた前記車両ドアの開閉方式が前記第1開閉方式及び前記第2開閉方式のいずれであるか判別する開閉方式判別手段と、
前記開閉方式判別手段の判別結果と前記撮像手段の撮像結果とに基づいて前記車両ドアの開閉状態を検知する開閉状態検知手段と、
を有し、
前記情報コードには、前記列車の車両数に関する情報が記録され、
前記駆動手段は、前記撮像手段による前記情報コードの撮像画像から読み取られた前記車両数に関する情報に基づいて前記複数の可動扉から開状態とすべき可動扉が選択されると、前記列車の停車時に、前記選択された可動扉を開状態に駆動することを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、
1つの車両(11,11a~11c)又は複数の車両が連結してなる列車(11)に対して前記車両ごとに設けられる情報コード(50)と、駅のホーム(2)に入線する前記列車の前記情報コードを撮像する複数の撮像手段(30)とを備え、前記ホームに配置されたホームドア(20)を制御するホームドア制御システム(1)であって、
前記情報コードは、停車時に開閉する車両ドアに設けられ、
前記車両ドアの開閉方式として、閉状態時に撮像されていた前記情報コードが開状態時に撮像されなくなる第1開閉方式と、前記情報コードが閉状態時及び開状態時ともに撮像される第2開閉方式とのいずれか一方が採用され、
前記ホームドアは、
複数の可動扉(21)と前記複数の可動扉を開閉駆動する駆動手段(22)と、
前記列車の停車後に前記撮像手段により前記情報コードが撮像された撮像画像に基づいて、当該情報コードが設けられた前記車両ドアの開閉方式が前記第1開閉方式及び前記第2開閉方式のいずれであるか判別する開閉方式判別手段と、
前記開閉方式判別手段の判別結果と前記撮像手段の撮像結果とに基づいて前記車両ドアの開閉状態を検知する開閉状態検知手段と、
を有し、
前記情報コードには、当該情報コードが設けられる前記車両の号車情報に関する情報が記録され、
前記駆動手段は、前記撮像手段による前記情報コードの撮像画像から読み取られた前記号車情報に関する情報に基づいて前記複数の可動扉から開状態とすべき可動扉が選択されると、前記列車の停車時に、前記選択された可動扉を開状態に駆動することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、
1つの車両(11,11a~11c)又は複数の車両が連結してなる列車(10)に設けられる情報コード(50)と、駅のホーム(2)に入線する前記列車の前記情報コードを撮像する撮像手段(30)とを備え、前記ホームに配置されたホームドア(20)を制御するホームドア制御システム(1)であって、
前記情報コードは、停車時に開閉する車両ドアに設けられ、
前記車両ドアの開閉方式として、閉状態時に撮像されていた前記情報コードが開状態時に撮像されなくなる第1開閉方式と、前記情報コードが閉状態時及び開状態時ともに撮像される第2開閉方式とのいずれか一方が採用され、
前記ホームドアは、
複数の可動扉(21)と前記複数の可動扉を開閉駆動する駆動手段(22)と、
前記列車の停車後に前記撮像手段により前記情報コードが撮像された撮像画像に基づいて、当該情報コードが設けられた前記車両ドアの開閉方式が前記第1開閉方式及び前記第2開閉方式のいずれであるか判別する開閉方式判別手段と、
前記開閉方式判別手段の判別結果と前記撮像手段の撮像結果とに基づいて前記車両ドアの開閉状態を検知する開閉状態検知手段と、
を有し、
前記駆動手段は、前記撮像手段により撮像された前記情報コードの読取結果に基づいて前記複数の可動扉から開状態とすべき可動扉が選択されると、この選択された可動扉を開状態に駆動し、
前記情報コードの読取結果を利用して読み取りに関する異常状態を検知する異常状態検知手段(30,40)と、
前記異常状態検知手段により異常状態が検知されると所定の通知を行う通知手段(60)と、
を備えることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明では、列車に設けられる情報コードには、その列車の車両数に関する情報が記録される。そして、ホームドアの複数の可動扉を開閉駆動する駆動手段では、撮像手段による情報コードの撮像画像から読み取られた車両数に関する情報に基づいて複数の可動扉から開状態とすべき可動扉が選択されると、列車の停車時に、上記選択された可動扉が開状態に駆動される。
【0012】
これにより、例えば、車両数が4と記録された情報コードを設けた列車が停車した場合には、4車両分に相当する場所での可動扉が開状態に駆動される一方で残りの可動扉が閉状態に維持され、車両数が8と記録された情報コードを設けた列車が停車した場合には、8車両分に相当する場所での可動扉が開状態に駆動される一方で残りの可動扉が閉状態に維持される。したがって、異なる車両数の列車が停車するホームであっても、停車する列車の各車両ドアにあわせて開状態とすべきホームドアの可動扉を選択することができる。
【0017】
請求項2の発明では、車両ごとに設けられる情報コードには、当該情報コードが設けられる車両の号車情報に関する情報が記録される。そして、ホームドアの複数の可動扉を開閉駆動する駆動手段では、撮像手段による情報コードの撮像画像から読み取られた号車情報に関する情報に基づいて複数の可動扉から開状態とすべき可動扉が選択されると、列車の停車時に、上記選択された可動扉が開状態に駆動される。
【0018】
これにより、車両ごとに読み取られた号車情報に関する情報からその情報コードが設けられた車両に関する情報、例えば、ドア数やドア位置などを取得できるので、ドア数やドア位置などが異なる車両が連結される列車であっても、停車する列車の各車両ドアにあわせて開状態とすべきホームドアの可動扉を選択することができる。
【0027】
請求項3の発明では、列車には情報コードが設けられており、ホームドアの複数の可動扉を開閉駆動する駆動手段では、撮像手段により撮像された情報コードの読取結果に基づいて複数の可動扉から開状態とすべき可動扉が選択されると、この選択された可動扉が開状態に駆動される。そして、情報コードの読取結果を利用して読み取りに関する異常状態を検知する異常状態検知手段と、この異常状態検知手段により異常状態が検知されると所定の通知を行う通知手段とが設けられる。
【0028】
これにより、例えば、列車に設けられる情報コードが劣化等によって読み取れない場合や撮像手段の故障等によって情報コードを読み取れない場合等には、通知手段により所定の通知が行われる。このため、上記所定の通知を受けた車掌等は、情報コードの読取結果を利用した読み取りに関して異常が発生していることを容易に把握することができるので、ホームドアの誤動作等の防止を図ることができる。
【0029】
請求項1,2,3の発明では、情報コードは、停車時に開閉する車両ドアに設けられ、車両ドアの開閉方式として、閉状態時に撮像されていた情報コードが開状態時に撮像されなくなる第1開閉方式と、情報コードが閉状態時及び開状態時ともに撮像される第2開閉方式とのいずれか一方が採用される。そして、ホームドアでは、列車の停車後に撮像手段により情報コードが撮像された撮像画像に基づいて、当該情報コードが設けられた車両ドアの開閉方式が第1開閉方式及び第2開閉方式のいずれであるか開閉方式判別手段により判別され、開閉方式判別手段の判別結果と撮像手段の撮像結果とに基づいて車両ドアの開閉状態が開閉状態検知手段により検知される。
【0030】
車両ドアには、例えば、開状態時に乗降口を囲う車体部に収容される戸袋式や開状態時に上記車体部の外側にせり出すプラグドア式のように、車両ドアの開閉形態が異なる開閉方式がある。一般的に採用されやすい戸袋式を前提に、車両ドアに設けた情報コードが車体部に隠されて撮像されなくなることで開状態と検知すると、プラグドア式の車両ドアでは情報コードが開状態時でも撮像されるために開状態でないと誤検知してしまう。このため、列車の停車後に情報コードが撮像された撮像画像に基づいて、その情報コードが設けられた車両ドアの開閉方式が上述した第1開閉方式及び第2開閉方式のいずれであるか判別することで、その車両ドアの開閉方式に適した開閉状態の検知方法を採用することができる。
【0031】
請求項4の発明では、第1開閉方式の車両ドアは、開状態時の車両ドアの少なくとも一部が乗降口を囲う車体部に収容されるように構成され、第2開閉方式の車両ドアは、開状態時の車両ドアが乗降口を囲う車体部の外側にせり出すように構成され、撮像手段は、情報コードを斜め上方向から撮像するように配置される。そして、停車直後の撮像画像での情報コードの位置を基準位置とするとき、停車後の連続撮像画像において情報コードが上下方向に関して上記基準位置に対して下方向に移動するように撮像される場合に、開閉方式判別手段により、車両ドアの開閉方式が第2開閉方式であると判別される。
【0032】
第2開閉方式の車両ドアは、開状態時の車両ドアが乗降口を囲う車体部の外側にせり出すように構成されるため、開動作時の第2開閉方式の車両ドアに設けられる情報コードは、斜め上方向に位置する撮像手段によって、上下方向に関してその撮像視野の下方向に移動するように撮像される。このため、停車後の連続撮像画像において情報コードが上下方向に関して上記基準位置に対して下方向に移動するように撮像される場合に、車両ドアの開閉方式が第2開閉方式であると判別することができる。
【0041】
請求項5の発明では、第1開閉方式の車両ドアは、開状態時の車両ドアの少なくとも一部が乗降口を囲う車体部に収容されるように構成され、第2開閉方式の車両ドアは、開状態時の車両ドアが乗降口を囲う車体部の外側にせり出すように構成される。そして、停車直後の撮像画像での情報コードを構成するセルのサイズを基準サイズとするとき、停車後の連続撮像画像において情報コードのセルサイズが上記基準サイズよりも大きくなるように撮像される場合に、開閉方式判別手段により、車両ドアの開閉方式が第2開閉方式であると判別される。
【0042】
第2開閉方式の車両ドアは、開状態時の車両ドアが乗降口を囲う車体部の外側にせり出すように構成されるため、開動作時の第2開閉方式の車両ドアに設けられる情報コードは、撮像手段によって、個々のセルサイズがそれぞれ大きく変化するように撮像される。このため、停車後の連続撮像画像において情報コードのセルサイズが上記基準サイズよりも大きくなるように撮像される場合に、車両ドアの開閉方式が第2開閉方式であると判別することができる。
【0049】
請求項6の発明では、第1開閉方式の車両ドアは、開状態時の車両ドアの少なくとも一部が乗降口を囲う車体部に収容されるように構成され、第2開閉方式の車両ドアは、開状態時の車両ドアが乗降口を囲う車体部の外側にせり出すように構成され、撮像手段は、情報コードを斜め上方向から撮像するように配置される。そして、停車直後の撮像画像での情報コードの縦横比を基準縦横比とするとき、停車後の連続撮像画像において情報コードの縦横比が上記基準縦横比と異なるように撮像される場合に、開閉方式判別手段により、車両ドアの開閉方式が第2開閉方式であると判別される。
【0050】
第2開閉方式の車両ドアは、開状態時の車両ドアが乗降口を囲う車体部の外側にせり出すように構成されるため、開動作時の第2開閉方式の車両ドアに設けられる情報コードは、斜め上方向に位置する撮像手段によって、情報コードの上下方向長さが左右方向長さに対して相対的に短くなるように上下方向(縦方向)につぶれて撮像される。このため、停車後の連続撮像画像において情報コードの縦横比(上下方向長さが左右方向長さとの比率)が上記基準縦横比と異なるように撮像される場合に、車両ドアの開閉方式が第2開閉方式であると判別することができる。
【0057】
請求項7の発明では、第1開閉方式の車両ドアは、開状態時の車両ドアの少なくとも一部が乗降口を囲う車体部に収容されるように構成され、第2開閉方式の車両ドアは、開状態時の車両ドアが乗降口を囲う車体部の外側にせり出すように構成される。また、情報コードには、当該情報コードが設けられた車両ドアの開閉方式が第1開閉方式及び第2開閉方式のいずれであるかを判別するための情報が記録される。そして、列車の停車後に撮像手段により情報コードが撮像された際に、当該撮像画像の情報コードから読み取られた情報に基づいて、当該情報コードが設けられた車両ドアの開閉方式が第1開閉方式及び第2開閉方式のいずれであるかについて開閉方式判別手段により判別される。このように、車両ドアに設けられた情報コードに記録される情報を利用して、その車両ドアの開閉方式が第1開閉方式及び第2開閉方式のいずれであるかについて判別することができる。
【0058】
請求項8の発明では、第1開閉方式の車両ドアは、開状態時の車両ドアの少なくとも一部が乗降口を囲う車体部に収容されるように構成され、第2開閉方式の車両ドアは、開状態時の車両ドアが乗降口を囲う車体部の外側にせり出すように構成される。また、情報コードは、第1開閉方式の車両ドアと第2開閉方式の車両ドアとで車両ドアに対する角度が異なるように設けられる。そして、列車の停車後に撮像手段により情報コードが撮像された際に、当該撮像画像の情報コードの角度に基づいて、当該情報コードが設けられた車両ドアの開閉方式が第1開閉方式及び第2開閉方式のいずれであるかについて開閉方式判別手段により判別される。このように、車両ドアに設けられた情報コードの角度を利用して、その車両ドアの開閉方式が第1開閉方式及び第2開閉方式のいずれであるかについて判別することができる。
【0059】
請求項9の発明では、第1開閉方式の車両ドアは、開状態時の車両ドアの少なくとも一部が乗降口を囲う車体部に収容されるように構成され、第2開閉方式の車両ドアは、開状態時の車両ドアが乗降口を囲う車体部の外側にせり出すように構成される。また、情報コードは、第1開閉方式の車両ドアと第2開閉方式の車両ドアとで撮像手段によって撮像される個数が異なるように設けられる。そして、列車の停車後に撮像手段により情報コードが撮像された際に、当該撮像画像の情報コードの個数に基づいて、当該情報コードが設けられた車両ドアの開閉方式が第1開閉方式及び第2開閉方式のいずれであるかについて開閉方式判別手段により判別される。このように、撮像手段によって撮像された情報コードの個数を利用して、その車両ドアの開閉方式が第1開閉方式及び第2開閉方式のいずれであるかについて判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図1】第1実施形態に係るホームドア制御システムの概要を示す説明図である。
【
図2】車両ドアとホームドアとの位置関係を説明する概略斜視図である。
【
図3】車両ドアとホームドアとの位置関係を説明する概略正面図である。
【
図4】ホームドア制御装置の電気的構成を例示するブロック図である。
【
図5】第1実施形態においてホームドア制御装置の制御部により実行される扉開処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】
図6(A)は、2両編成の列車が目標停車位置に向けて移動している停車前の状態を説明する説明図であり、
図6(B)は、2両編成の列車が目標停車位置にて停車した状態を説明する説明図である。
【
図7】第2実施形態に係るホームドア制御システムの要部を説明する説明図であり、
図7(A)は、列車が目標停車位置に向けて移動している停車前の状態を示し、
図7(B)は、列車が目標停車位置にて停車した状態を示す。
【
図8】第3実施形態においてホームドア制御装置の制御部により実行される扉開処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】
図9(A)は、列車が目標停車位置に停車した状態を説明する説明図であり、
図9(B)は、列車が目標停車位置からずれて一時停車した状態を説明する説明図である。
【
図10】第4実施形態に係るホームドア制御システムの概要を示す説明図である。
【
図11】第4実施形態において各カメラ30から送信される正常信号/異常信号とホームドア制御装置から送信される正常通知信号/異常通知信号を説明する説明図である。
【
図12】第5実施形態に係るホームドア制御システムの概要を示す説明図である。
【
図13】第5実施形態においてホームドア制御装置の制御部により実行される異常検知処理の流れを示すフローチャートである。
【
図14】第6実施形態に係るホームドア制御システムにおいて採用されるプラグドア式の車両ドアを示す説明図であり、
図14(A)は、閉状態時を示し、
図14(B)は、開状態時を示す。
【
図15】第6実施形態に係るホームドア制御システムにおいて採用される戸袋式の車両ドアを示す説明図であり、
図15(A)は、閉状態時を示し、
図15(B)は、開状態時を示す。
【
図16】停車直後から撮像される連続撮像画像を説明する説明図であり、
図16(A)は、停車直後の状態での撮像画像を示し、
図16(B)は、開動作中の状態での撮像画像を示し、
図16(C)は、開状態での撮像画像を示す。
【
図17】
図16における領域S内でのQRコードの位置に関する撮像状態の変化を説明する説明図である。
【
図18】
図16における領域S内でのQRコードのサイズ及び縦横比に関する撮像状態の変化を説明する説明図である。
【
図19】第6実施形態の第4変形例に係るホームドア制御システムの要部を説明する説明図であり、
図19(A)は、プラグドア式の車両ドアに設けられるQRコードの角度状態を示し、
図19(B)は、戸袋式の車両ドアに設けられるQRコードの角度状態を示す。
【
図20】第6実施形態の第5変形例に係るホームドア制御システムの要部を説明する説明図であり、
図20(A)は、1つの情報コードが設けられるプラグドア式の車両ドアを示し、
図20(B)は、2つの情報コードが設けられる戸袋式の車両ドアを示す。
【発明を実施するための形態】
【0061】
[第1実施形態]
以下、本発明のホームドア制御システムを具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1および
図2に示すホームドア制御システム1は、駅のホーム2に配置されたホームドア20を制御するためのシステムであり、1つの車両11又は複数の車両11を連結してなる列車(鉄道車両)10の外部から撮像可能な部位に識別表示として設けられる情報コードを撮像する複数のカメラ30と、各カメラ30の撮像結果に基づいて列車10の動作状態を検知してホームドア20を制御するホームドア制御装置40(
図4参照)とを備えている。
【0062】
本実施形態では、列車10の外部から撮像可能な部位に設けられる情報コードとして、QRコード50が採用されており、このQRコード50は、車両11の各乗降口12に設けられる車両ドア13に2つ貼付されている。すなわち、乗降口12(車両ドア13)ごとに同じ情報が記憶された一対のQRコード50が設けられる。本実施形態では、両QRコード50は、当該QRコード50が設けられる列車10及び車両11を特定可能な号車情報に関する情報(号車番号等)や車両数に関する情報(連結される車両11の数)が記録されるように生成されている。このため、本実施形態では、1つの車両11に貼り付けられる全てのQRコード50は同じ情報コードであって、他の車両11に貼り付けられるQRコード50とは記録される情報が異なる。なお、車両数に関する情報は、車両数そのものであってもよいし、例えば、車両数を特定可能な番号等であってもよい。また、号車情報に関する情報は、号車番号そのものであってもよいし、号車番号を特定可能な番号等であってもよい。
【0063】
車両ドア13は、一方のドア14と他方のドア15とを有する両開き式のスライドドアであって、一方のドア14および他方のドア15は、枠体となるドア本体の上部中央に透明のガラス窓が保持されるようにそれぞれ構成されている。
図3に示すように、一方のQRコード50は、一方のドア14のガラス窓に貼付され、他方のQRコード50は、他方のドア15のガラス窓に貼付されている。このため、車両ドア13が開状態となる場合には、一方のQRコード50は一方のドア14が収容される車体部に覆われて隠蔽されるとともに他方のQRコード50は他方のドア15が収容される車体部に覆われて隠蔽され、両QRコード50ともに外部から撮像できない状態となる。このため、QRコード50を撮像可能であれば、車両ドア13が閉状態と判断でき、撮像可能であったQRコード50が撮像不能になると、車両ドア13が開状態と判断できる。なお、車両ドア13は、一方のドア14と他方のドア15とを有する両開き式のスライドドアとして構成されることに限らず、例えば、1つのドアがスライドする片開き式のスライドドアとして構成されてもよく、この構成では、その1つのドアのガラス窓等に1つのQRコード50を貼付することができる。
【0064】
ホームドア20は、ホーム2の縁2aの延伸方向(以下、開閉方向ともいう)に沿って防護壁を形成するように配置されており、列車10の各乗降口12に対応して複数の可動扉21および扉駆動部22を備えるように構成されている。各扉駆動部22は、ホームドア制御装置40からの開指示または閉指示に応じて可動扉21を開閉方向に沿うように移動させることで、ホームドア20を開状態または閉状態に切り替える機能を有するもので、停車した列車10の各車両ドア13(乗降口12)に可動扉21が対向するようにそれぞれ配置されている。すなわち、各扉駆動部22は、目標停車位置に停車している列車10の各乗降口12に対して、上記開指示の入力に応じて、可動扉21の少なくとも一部を収容して乗降口12を露出させる開動作を行う。また、各扉駆動部22は、上記閉指示の入力に応じて、
図3に示すように、開閉方向にて対向する他の扉駆動部22により移動される可動扉21に対して狭い隙間を介して対向するか接触する位置(以下、通行遮断位置ともいう)まで可動扉21を移動させることで、乗降口12への通行を遮断する閉動作を行う。なお、扉駆動部22は、可動扉21を開閉駆動する「駆動手段」の一例に相当し得る。
【0065】
各カメラ30は、受光センサ(例えば、C-MOSエリアセンサ、CCDエリアセンサ等)を備えた撮像手段として機能し、目標停車位置の乗降口12ごとに、車両ドア13が閉状態であるときのQRコード50を読取可能に撮像するようにホーム2の天井2bにそれぞれ設けられている。特に、カメラ30は、撮像したQRコード50に対してデコード処理を行うことでそのQRコード50に記録された情報を読み取る読取手段としての機能を兼備するように構成されている。さらに、カメラ30は、撮像画像の時間変化等を利用して、入線した列車10が停車している停車状態等を検出する列車状態検出手段として機能するように構成されている。また、カメラ30は、LAN等の所定のネットワークを介してホームドア制御装置40に接続されており、撮像したQRコード50から読み取った情報(以下、列車情報ともいう)や停車状態が検出されたことを示す情報(以下、停車検出情報ともいう)をホームドア制御装置40に送信するように構成されている。
【0066】
ホームドア制御装置40は、各カメラ30から受信した情報に基づいて各扉駆動部22に対して開指示または閉指示を送信することで、ホームドア20の開閉状態を制御する制御手段として機能する装置である。ホームドア制御装置40は、ホームドア20近傍に設置されてもよいし、ホームドア20内に組み込まれるように設置されてもよい。このホームドア制御装置40は、
図4に示すように、CPU等からなる制御部41、ROM,RAM、不揮発性メモリなどからなる記憶部42、各種操作ボタンや操作キー(図示略)によって構成される操作部43や通信部44などを備えている。
【0067】
制御部41は、後述する扉開処理や扉閉処理を実行することで、車両ドア13の開閉状態に連動させてホームドア20を自動的に開閉制御するように機能する。記憶部42には、上記扉開処理や扉閉処理を実行するための所定のプログラム等が制御部41により実行可能に予め格納されている。操作部43は、制御部41に対して操作信号を与える構成をなしており、制御部41は、この操作信号を受けて操作信号の内容に応じた動作を行う。通信部44は、LAN等の所定のネットワークを介して有線通信または無線通信を行う公知の通信インタフェースとして構成されており、制御部41と協働して各カメラ30や各扉駆動部22等の外部機器と通信を行うように機能する。
【0068】
このように構成されるホームドア制御システム1では、ホームドア制御装置40の制御部41にてなされる扉開処理において、ホーム2に停車する列車10の車両数に応じて、開状態に駆動する可動扉21と閉状態を維持する可動扉21とが選択される。列車10に対向していない可動扉21を閉状態に維持するためである。このため、本実施形態では、車両数に応じて列車10が停車する目標停車位置が予め決まっていることを前提に、目標停車位置に停車した列車10の車両数と開状態にすべき可動扉21の位置とが予め関連付けられて、記憶部42に記憶されている。
【0069】
以下、本実施形態において、列車10が目標停車位置に停車する際にホームドア制御装置40の制御部41にて行われる扉開処理について、
図5に示すフローチャートを参照して説明する。
列車10がホーム2に入線する前では、各扉駆動部22に対して上記閉指示が送信されることで可動扉21が閉状態に維持されおり、制御部41にて扉開処理が開始されると、
図5のステップS101に示す受信処理にて、各カメラ30から送信される列車情報及び停車検出情報等を受信するための処理がなされる。そして、ステップS103の判定処理にて、各カメラ30から列車情報が受信されているかについて判定され、各カメラ30から列車情報を受信していない場合には、ステップS103にてNoとの判定が繰り返される。
【0070】
その後、列車10がホーム2に入線すると、各カメラ30では、列車10が停車する前に撮像したQRコード50から車両数や号車情報等が読み取られることで、車両数及び号車情報等が列車情報としてホームドア制御装置40に対して送信される。すなわち、各カメラ30は、停車前の列車10の情報コードの撮像画像から車両数及び号車情報等を読み取って送信するように機能する。また、各カメラ30では、撮像画像の時間変化等から列車10の停車が検出されると、ホームドア制御装置40に対して、停車検出情報が送信される。
【0071】
上述のように各カメラ30から列車情報が送信されたことから、通信部44を介して、いずれかのカメラ30から列車情報を受信すると(S103でYes)、ステップS105に示す列車情報保存処理にて、その受信した列車情報が撮像したカメラ30を特定する情報とともに記憶部42に保存される。
【0072】
その後、ステップS107の判定処理にて、可動扉21を開状態に駆動する扉開タイミングであるか否かについて判定される。本実施形態では、所定数以上のカメラ30から受信された列車情報が保存されるとともに所定数以上のカメラ30から停車検出情報が受信された場合に、扉開タイミングと判定されるようになっており、所定数未満のカメラ30からしか列車情報及び停車検出情報を受信できていない場合には、扉開タイミングでないとして、ステップS107にてNoと判定されて、上記ステップS101からの処理がなされる。
【0073】
一方、所定数以上のカメラ30から受信された列車情報が保存されるとともに所定数以上のカメラ30から停車検出情報が受信されると、扉開タイミングであるとしてステップS107にてYesと判定される。
【0074】
上述のように扉開タイミングであると判定されると、ステップS109に示す開扉選択処理がなされる。この処理では、記憶部42に保存される列車情報から取得された車両数に基づいて、開状態にする可動扉21と閉状態を維持する可動扉21とが選択される。なお、上記開扉選択処理を実行する制御部41は、「扉選択手段」の一例に相当し得る。
【0075】
続いて、ステップS111に示す開指示送信処理がなされ、開状態にするように選択された可動扉21の扉駆動部22に対して開指示が送信される。これにより、停車した列車10の各車両ドア13に対向する可動扉21のみを駆動し、車両ドア13に対向していない可動扉21を閉状態に維持することができる。
【0076】
以下、停車した列車10の各車両ドア13に対向する可動扉21のみが駆動される状態について、
図6を参照して具体的に説明する。なお、
図6(A)は、2両編成の列車10が目標停車位置に向けて移動している停車前の状態を説明する説明図であり、
図6(B)は、2両編成の列車10が目標停車位置にて停車した状態を説明する説明図である。
【0077】
例えば、車両11aと車両11bとが連結される2両編成の列車10が、
図6(A)に例示するようにホーム2に入線する場合を想定する。列車10は、車両11a及び車両11bの2両編成であるため、各車両ドア13a~13fにそれぞれ貼り付けられるQRコード50には、車両数が「2」として記録される。
【0078】
この列車10が、
図6(B)に示す目標停車位置にて停車すると、各車両ドア13a~13fのQRコード50を撮像したカメラ30a~30fから列車情報及び停車検出情報がそれぞれ送信される。その一方で、カメラ30g~30iからは、列車情報及び停車検出情報が送信されない。
【0079】
各カメラ30a~30fから受信した列車情報に含まれる車両数は、「2」であるため、車両数「2」に対応する可動扉21a~21fを駆動する扉駆動部22に対して開指示が送信されることで、
図6(B)に示すように、可動扉21a~21fが開状態に駆動され、可動扉21g~21iは、閉状態に維持される。
【0080】
以上説明したように、本実施形態に係るホームドア制御システム1では、列車10に設けられるQRコード50には、その列車10の車両数が記録される。そして、ホームドア20の複数の可動扉21を開閉駆動する扉駆動部22では、カメラ30によるQRコード50の撮像画像から読み取られた車両数に基づいて複数の可動扉21から開状態とすべき可動扉21が選択されると、列車10の停車時に、上記選択された可動扉21が開状態に駆動される。
【0081】
これにより、例えば、車両数が4と記録されたQRコード50を設けた列車10が停車した場合には、規定位置から4車両分に相当する場所での可動扉21が開状態に駆動される一方で残りの可動扉21が閉状態に維持され、車両数が8と記録されたQRコード50を設けた列車10が停車した場合には、規定位置から8車両分に相当する場所での可動扉21が開状態に駆動される一方で残りの可動扉21が閉状態に維持される。したがって、異なる車両数の列車10が停車するホーム2であっても、停車する列車10の各車両ドア13にあわせて開状態とすべきホームドア20の可動扉21を選択することができる。
【0082】
また、本実施形態では、ホームドア制御装置40は、カメラ30によるQRコード50の撮像画像から読み取られた車両数に基づいてホームドア20における複数の可動扉21から開状態とすべき可動扉21を選択する扉選択手段として機能する。そして、各扉駆動部22により、列車10の停車時に、ホームドア制御装置40の選択結果(S109)に応じた可動扉21が開状態に駆動される。これにより、ホームドア20に対して上位システムのように設けられるホームドア制御装置40により、読み取られた車両数に基づいて開状態とすべき可動扉21を選択することができる。なお、カメラ30と扉駆動部22とを関連付けて、QRコード50が読み取られたカメラ30に関連付けられる扉駆動部22にて可動扉21が開状態に駆動されてもよい。
【0083】
特に、QRコード50は、車両11の車両ドア13ごとに一対設けられ、カメラ30は、車両11の車両ドア13ごとの両QRコード50をそれぞれ撮像するように複数設けられる。これにより、複数のQRコード50のうち1つでも撮像されてそのQRコード50から車両数が読み取られることで開状態とすべき可動扉21を選択できるので、選択基準となる上記所定数を調整することで、開状態とすべきホームドア20の可動扉21の選択に関して冗長性を高めることができる。
【0084】
また、本実施形態では、カメラ30により、停車前の列車10のQRコード50の撮像画像から車両数が読み取られる。これにより、停車後の列車10のQRコード50の撮像画像から車両数が読み取られる場合と比較して、可動扉21の選択を迅速に実施できるので、車両ドア13の開動作に対するホームドア20の応答性を高めることができる。
【0085】
なお、カメラ30により、停車後の列車10のQRコード50の撮像画像から車両数が読み取られてもよい。この場合には、移動していないQRコード50の撮像画像に対して車両数を読み取る処理がなされるので、車両数を確実に読み取ることができる。このように停車後の列車10のQRコード50の撮像画像から車両数を読み取る場合には、カメラ30は、ホームドア制御装置40に対して、列車情報と停車検出情報とを同じタイミングで送信してもよい。
【0086】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るホームドア制御システムについて、図面を用いて説明する。
本第2実施形態では、情報コードから読み取られた号車情報に基づいて開状態とすべき可動扉を選択する点が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0087】
連結される車両11の種別が異なる場合、具体的には、車両ドア13の個数が異なる車両11が連結される場合、車両数に応じて可動扉21の選択を実施すると、車両11に対向していても車両ドア13に対向していない可動扉21が開状態に駆動されてしまう場合がある。例えば、3つの車両ドア13が設けられる車両11aと2つの車両ドア13が設けられる車両11cとが混在して連結される場合に、3つの車両ドア13を前提に可動扉21を開状態に駆動すると、2つの車両ドア13が設けられる車両11cに対して、車両ドア13に対向していない可動扉21が開状態に駆動されてしまう。
【0088】
そこで、本実施形態においてホームドア制御装置40の制御部41にて行われる扉開処理では、撮像したQRコード50から読み取った号車情報に基づいて複数の可動扉21から開状態とすべき可動扉21を選択する。上記号車情報は、そのQRコード50が貼り付けられた車両11を特定するための情報であって、この号車情報から車両ドア13の個数や位置等を特定することができる。このため、上記ステップS109に示す開扉選択処理において、記憶部42に保存される列車情報から取得された号車情報に基づいて、開状態にする可動扉21と閉状態を維持する可動扉21とを選択することができる。
【0089】
例えば、3つの車両ドア13が設けられる車両11aと2つの車両ドア13が設けられる車両11cとが連結される2両編成の列車10が、
図7(A)に例示するようにホーム2に入線する場合を想定する。車両11aに貼り付けられるQRコード50には、3つの車両ドア13a~13cの位置を特定可能な号車情報がそれぞれ記録され、車両11cに貼り付けられるQRコード50には、2つの車両ドア13g,13hの位置を特定可能な号車情報がそれぞれ記録される。
【0090】
この列車10が、
図7(B)に示す目標停車位置にて停車すると、各車両ドア13a~13c,13g,13hのQRコード50を撮像したカメラ30a~30d,30fから列車情報及び停車検出情報がそれぞれ送信される。その一方で、カメラ30e,30g~30iからは、列車情報及び停車検出情報が送信されない。
【0091】
カメラ30a~30cから受信した列車情報には、3つの車両ドア13a~13cの位置を特定可能な号車情報がそれぞれ記録されおり、カメラ30d,30fから受信した列車情報には、2つの車両ドア13g,13hの位置を特定可能な号車情報がそれぞれ記録されている。このため、車両ドア13a~13c,13g,13hに対応する可動扉21a~21d,21fを駆動する扉駆動部22に対して開指示が送信されることで、
図7(B)に示すように、可動扉21a~21d,21fが開状態に駆動され、可動扉21e,21g~21iは、閉状態に維持される。
【0092】
以上説明したように、本実施形態に係るホームドア制御システム1では、車両11(11a,11c)ごとに設けられるQRコード50には、当該QRコード50が設けられる車両11に関する号車情報が記録される。そして、ホームドア20の複数の可動扉21を開閉駆動する扉駆動部22では、カメラ30によるQRコード50の撮像画像から読み取られた号車情報に基づいて複数の可動扉21から開状態とすべき可動扉21が選択されると、列車10の停車時に、上記選択された可動扉21が開状態に駆動される。
【0093】
これにより、車両11ごとに読み取られた号車情報からそのQRコード50が設けられた車両11に関する情報(車両ドア13の個数や位置等)を取得できるので、ドア数やドア位置などが異なる車両11が連結される列車10であっても、停車する列車10の各車両ドア13にあわせて開状態とすべきホームドア20の可動扉21を選択することができる。
【0094】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係るホームドア制御システムについて、図面を用いて説明する。
本第3実施形態では、停車時に撮像されるべき情報コードと異なる他の情報コードが読み取られる場合に可動扉の閉状態を維持する点が主に上記第2実施形態と異なる。このため、第2実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0095】
ホーム2に入線してきた列車10がオーバーラン等によって目標停車位置と異なる位置に一時的に停車する場合がある。この一時停車時に、列車10のQRコード50から読み取られた列車情報に応じた扉駆動部22に対して開指示が送信されると、列車10が目標停車位置に向けて移動し始めているにもかかわらず、一部の可動扉21が開状態に駆動されてしまう。
【0096】
そこで、本実施形態では、各カメラ30に対して、列車10の停車時に撮像されたQRコード50から読み取られるべき号車情報に含まれる情報に一致する特定情報がそれぞれ設定される。本実施形態では、号車情報に含まれる情報として、号車番号(例えば、2号車など)が採用されており、例えば、目標停車位置に停車している2号車の車両11に貼り付けられたQRコード50を撮像するカメラ30には、「2号車」が上記特定情報として設定される。
【0097】
そして、ホームドア制御装置40の制御部41にて行われる扉開処理では、カメラ30によるQRコード50の撮像画像から読み取られた号車情報に含まれる号車番号と当該カメラ30に設定される特定情報とが不一致となる場合には、停車時に撮像されるべきQRコード50と異なる他の情報コードが読み取られるとして開指示を送信しないことで、可動扉21の閉状態を維持する。
【0098】
以下、本実施形態において、ホームドア制御装置40の制御部41にて行われる扉開処理について、
図8に示すフローチャートを参照して説明する。
制御部41にて扉開処理が開始され、上述のように所定数以上のカメラ30から受信された列車情報が保存されるとともに所定数以上のカメラ30から停車検出情報が受信されることで、扉開タイミングであると判定される(
図8のS107でYes)。続いて、ステップS108の判定処理にて、上記ステップS105の列車情報保存処理にて保存された全ての列車情報に関して、読み取られた号車情報に含まれる号車番号とその号車情報を読み取ったカメラ30に設定される特定情報とが全て一致する一致状態であるか否かについて判定される。
【0099】
ここで、全ての列車情報に関して、読み取られた号車情報に含まれる号車番号とその号車情報を読み取ったカメラ30に設定される特定情報とが全て一致する一致状態である場合には(S108でYes)、列車10が目標停車位置に停車しているとして、上記ステップS109以降の処理がなされる。
【0100】
一方、少なくとも一部の列車情報に関して、読み取られた号車情報に含まれる号車番号とその号車情報を読み取ったカメラ30に設定される特定情報とが一致しない状態(以下、単に、不一致状態ともいう)である場合には(S108でNo)、列車10が目標停車位置に停車していないとして、上記ステップS109以降の処理を行うことなく、上記ステップS101からの処理を再度行う。
【0101】
ここで、上記不一致状態について、
図9を参照して説明する。なお、
図9では、車両ドア13a~13cのQRコード50に号車番号「1号車」が記録されるとともに、車両ドア13d~13fのQRコード50に号車番号「2号車」が記録され、カメラ30a~30cに特定情報「1号車」が設定され、カメラ30d~30fに特定情報「2号車」が設定され、カメラ30g~30iに特定情報「3号車」が設定される場合を例に図示している。
【0102】
例えば、
図9(A)に示すように目標停車位置に停車する予定の列車10が、
図9(B)に例示するように、誤って目標停車位置からずれて一時停車すると、カメラ30bから車両ドア13aのQRコード50の列車情報等が受信される。同様に、カメラ30cから車両ドア13bのQRコード50の列車情報等が受信され、カメラ30dから車両ドア13cのQRコード50の列車情報等が受信され、カメラ30eから車両ドア13dのQRコード50の列車情報等が受信され、カメラ30fから車両ドア13eのQRコード50の列車情報等が受信され、カメラ30gから車両ドア13fのQRコード50の列車情報等が受信される。
【0103】
この場合、カメラ30dにて読み取られた号車番号「1号車」とそのカメラ30dに設定された特定情報「2号車」とが一致せず、カメラ30gにて読み取られた号車番号「2号車」とそのカメラ30gに設定された特定情報「3号車」とが一致しないため、不一致状態であるとして(S108でNo)、上記ステップS109以降の処理を行うことなく、上記ステップS101からの処理を再度行う。なお、上記不一致状態である場合には、上記ステップS101からの処理を再度行うことなく本扉開処理を終了するようにしてもよい。
【0104】
以上説明したように、本実施形態に係るホームドア制御システム1では、カメラ30には、列車10の停車時に撮像されたQRコード50から読み取られるべき号車情報に含まれる情報に一致する特定情報がそれぞれ設定され、カメラ30によるQRコード50の撮像画像から読み取られた号車情報に含まれる情報とそのカメラ30に設定される上記特定情報とが不一致となる場合には(S108でNo)、可動扉21の閉状態が維持される。
【0105】
これにより、オーバーラン等によって停車時に撮像されるべきQRコード50と異なる他のQRコード50が読み取られる場合には、読み取られた号車情報に含まれる情報とカメラ30に設定される上記特定情報とが不一致となり、可動扉21の閉状態が維持される。すなわち、列車10が目標停車位置と異なる位置に一時的に停車したとしても、誤ってホームドア20の可動扉21が開状態になってしまうことを防止することができる。
【0106】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係るホームドア制御システムについて、図面を用いて説明する。
本第4実施形態では、システム異常が検知されるとその異常状態に応じて所定の通知がなされる点が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0107】
列車10に設けられるQRコード50が劣化等によって読み取れない場合やカメラ30の故障等によってQRコード50を読み取れない場合など、QRコード50の読み取りに関して異常状態が生じる場合がある。このため、その異常状態によっては、ホームドア20における各可動扉21の自動開閉動作を停止して、手動操作に応じた開閉動作を実施する必要がある。
【0108】
そこで、本実施形態では、列車10に設けられるQRコード50の読み取り不能な劣化やカメラ30の故障等のホームドア制御システムに関する異常状態を検知し、この異常状態が検知されると所定の通知を行う。
【0109】
このため、
図10及び
図11に示すように、本実施形態では、上記所定の通知を行う通知手段として、ホーム2に二灯式の警告灯60を設けるとともに、ホームドア制御装置40の制御部41にて上述のような異常状態の検知を通知するための異常状態通知処理がなされる。この異常状態通知処理では、検知された異常状態に応じた指示が警告灯60に対して送信され、この指示に応じて警告灯60が所定の表示状態(所定の通知)に制御される。これにより、警告灯60の表示状態を見た車掌などは、ホームドア制御システムに関する異常状態を具体的に把握することができる。
【0110】
具体的には、本実施形態では、各カメラ30がQRコード50の読取結果等を利用して、読み取りに関する異常やその他の機能に関する異常などを自己判定して、正常状態と判定される場合には正常信号を、異常状態と判定される場合にはその異常状態に応じた種別の異常信号を、所定のタイミングでホームドア制御装置40にそれぞれ送信する。例えば、読み取り不能に損傷しているQRコード50を撮像しているために、QRコード50の三隅の位置検出パターン(FPパターン)が検出されてもそのデコード処理が失敗するような異常状態では、QRコード50の損傷を特定可能な種別の異常信号がホームドア制御装置40に送信される。なお、各カメラ30は、「異常状態検知手段」の一例に相当し得る。
【0111】
ホームドア制御装置40では、制御部41にてなされる異常状態通知処理において、全てのカメラ30から正常信号がそれぞれ受信されていると、正常状態を通知するための指示(以下、正常通知信号ともいう)が警告灯60に送信される。この正常通知信号を受けた警告灯60は、正常を通知するための第1発光部61のみが緑色に発光する表示状態になる。この警告灯60の表示状態を見た車掌などは、ホームドア制御システムが正常に動作していることを把握することができる。
【0112】
一方、制御部41にてなされる異常状態通知処理において、少なくとも一部のカメラ30から異常信号が受信され、その異常信号の種別や異常状態を送信しているカメラ30の個数等から手動操作への切り替えを要する異常であると判定されると、異常状態を通知するための指示(以下、異常通知信号ともいう)が警告灯60に送信される。この異常通知信号を受けた警告灯60は、手動操作への切り替えを要する異常が生じていることを通知するための第2発光部62のみが赤色に発光する表示状態になる。この警告灯60の表示状態を見た車掌などは、異常状態の発生を把握でき、操作部43による操作等に応じて各可動扉21を手動で開閉駆動することができる。
【0113】
以上説明したように、本実施形態に係るホームドア制御システム1では、上記第1実施形態と同様に、列車10にはQRコード50が設けられており、ホームドア20の複数の可動扉21を開閉駆動する扉駆動部22では、カメラ30により撮像されたQRコード50の読取結果に基づいて複数の可動扉21から開状態とすべき可動扉21が選択されると、この選択された可動扉21が開状態に駆動される。そして、各カメラ30によるQRコード50の読取結果を利用して読み取りに関する異常状態が検知されると、この検知された異常状態に応じた所定の通知が警告灯60によりなされる。
【0114】
これにより、例えば、列車10に設けられるQRコード50が劣化等によって読み取れない場合やカメラ30の故障等によってQRコード50を読み取れない場合等には、警告灯60により所定の通知が行われる。このため、上記所定の通知を受けた車掌等は、QRコード50の読取結果を利用した読み取りに関して異常が発生していることを容易に把握することができるので、ホームドア20の誤動作等の防止を図ることができる。
【0115】
なお、警告灯60は、正常を通知するための第1発光部61と手動操作への切り替えを要する異常が生じていることを通知するための第2発光部62とを備えるように構成されることに限らず、ホームドア制御装置40からの指示に応じて他の種別の異常を通知可能な第3発光部等をさらに備えるように構成されてもよい。
【0116】
また、制御部41にてなされる異常状態通知処理では、警告灯60に対して指示を送信することに限らず、検出された異常状態を上位システム等にも通知してもよい。これにより、発生した異常状態に関して、保守などを含めたシステム全体で共有することができる。
【0117】
なお、システム異常が検知されるとその異常状態に応じて所定の通知がなされる本実施形態及び変形例等の特徴的構成は、他の実施形態等にも適用することができる。
【0118】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態に係るホームドア制御システムについて、図面を用いて説明する。
本第5実施形態では、ホームドア制御装置40がヘルスチェック機能を有する点が主に上記第4実施形態と異なる。このため、第4実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0119】
上記第4実施形態では、カメラ30が読み取りに関する異常やその他の機能に関する異常などを自己判定して、その判定結果に応じた信号(正常信号又は異常信号)をホームドア制御装置40に送信する構成である。このため、1又は2以上のカメラ30自体が故障等しているためにそのカメラ30から正しい判定結果を受信できない場合には、システム異常を正確に通知できない場合がある。
【0120】
そこで、本実施形態において制御部41にてなされる異常状態通知処理では、各カメラ30に対して情報コードの読み取り等に関する機能が正常に稼働していることを確認するための所定の指示(以下、単に、ヘルスチェックともいう)を送信することで、この送信に応じて各カメラ30からそれぞれ取得した情報に基づいて、異常状態の有無等を検知する。すなわち、本実施形態では、ホームドア制御装置40は、各カメラ30に関してヘルスチェック機能を有するように構成され、「異常状態検知手段」の一例に相当し得る。
【0121】
さらに、本実施形態では、
図12に示すように、列車10が目標停車位置に停車しているか等否かを検出するための停車位置検出センサ70が設けられており、上記異常状態通知処理では、停車位置検出センサ70の検出結果と各カメラ30から受信された停車検出情報とを比較することで、異常状態の有無等を検知する。なお、停車位置検出センサ70は、列車10の状態を検出する「列車状態検出手段」の一例に相当し得る。
【0122】
以下、本実施形態において、ホームドア制御装置40の制御部41にて行われる異常検知処理について、
図13に示すフローチャートを参照して説明する。
制御部41にて異常検知処理が開始されると、
図13のステップS201に示すヘルスチェック送信処理がなされ、各カメラ30に対して上記ヘルスチェックが送信される。続いて、ステップS203に示すヘルスチェック受信処理にて、各カメラ30から上記ヘルスチェックの送信に応じたヘルスチェック結果を受信するための処理がなされる。
【0123】
そして、ステップS205の判定処理にて、ヘルスチェック正常であるか否かについて判定される。ここで、各カメラ30から正常を示すヘルスチェック結果を受信している場合には(S205でYes)、ステップS207に示す正常信号/異常信号受信処理がなされ、上述のように各カメラ30が自ら送信する正常信号/異常信号を受信するための処理がなされる。
【0124】
続いて、ステップS209の判定処理にて、各カメラ30から正常信号を受信しているか否かについて判定される。ここで、全てのカメラ30から正常信号をそれぞれ受信している場合には(S209でYes)、ステップS211に示す停車位置検出結果受信処理にて、停車位置検出センサ70による検出結果を受信するための処理がなされるとともに、ステップS213に示す停車検出情報受信処理にて、各カメラ30からの停車検出情報を受信するための処理がなされる。
【0125】
その後、停車位置検出センサ70による検出結果が受信されるとともに、各カメラ30から停車検出情報が受信されると、ステップS215の判定処理にて、停車位置検出センサ70から受信された検出結果と各カメラ30から受信された停車検出情報とが一致する状態を示しているか否かについて判定される。ここで、例えば、停車位置検出センサ70から受信された検出結果と各カメラ30から受信された停車検出情報とが、双方ともに列車10が目標停車位置に停車していることを示している場合には、一致する状態であるとして、ステップS215にてYesと判定されて、上記ステップS201からの処理が繰り返される。
【0126】
一方、1又は2以上のカメラ30からヘルスチェック結果を受信していないか異常を示すヘルスチェック結果を受信している場合(S205でNo)、1又は2以上のカメラ30から異常信号を受信している場合(S209でNo)、停車位置検出センサ70から受信された検出結果と各カメラ30から受信された停車検出情報とが一致しない場合(S215でNo)には、ステップS217に示す判定処理がなされる。この判定処理では、手動操作への切り替えを要する異常が生じているか否か(扉駆動部22による可動扉21の自動駆動の可否)について判定される。ここで、軽微な異常が検出されるような場合には、手動操作への切り替えを要する異常が生じていないと判定されて(S217でNo)、ステップS219にて第1異常状態通知処理がなされる。この処理では、検出された軽微な異常に関する情報がメンテナンスを要する情報として上位システム等に対して通知される。この処理では、警告灯60に設けた他の発光部を検出された軽微な異常に応じて発光等させてもよく、この通知後には上記ステップS201からの処理が繰り返される。なお、ステップS205,S209,S215,S217の判定処理を行う制御部41は、検知結果に応じて扉駆動部22による可動扉21の自動駆動の可否を判定する「判定手段」の一例に相当し得る。
【0127】
一方、例えば、所定数以上のカメラ30からヘルスチェック結果を受信できないためにステップS205にてNoと判定される場合には、手動操作への切り替えを要する異常が生じているとして、ステップS217にてYesと判定される。また、例えば、所定数以上のカメラ30から異常信号を受信しているためにステップS209にてNoと判定される場合には、手動操作への切り替えを要する異常が生じているとして、ステップS217にてYesと判定される。また、例えば、停車位置検出センサ70から受信された検出結果では列車10の停車が判断される一方で、各カメラ30から受信された停車検出情報が一定数以下であるために列車10の停車と判断できないような場合には、相反する結果が得られたために、手動操作への切り替えを要する異常が生じているとして、ステップS217にてYesと判定される。
【0128】
上述のように手動操作への切り替えを要する異常が生じているとしてステップS217にてYesと判定されると、ステップS221に示す第2異常状態通知処理がなされる。この処理では、上記第4実施形態と同様に、上記異常通知信号が警告灯60に送信されることで、手動操作への切り替えを要する異常が生じていることを通知するための第2発光部62のみが赤色に発光する表示状態になる。なお、ステップS201からの処理が繰り返されるような場合には、上記正常通知信号が警告灯60に送信されることで、正常を通知するための第1発光部61のみが緑色に発光する表示状態になる。
【0129】
以上説明したように、本実施形態に係るホームドア制御システム1では、ホームドア制御装置40は、各カメラ30に対するヘルスチェックの送信(所定の指示)に応じて取得した情報に基づいて異常状態を検知可能に構成される。
【0130】
これにより、ホームドア制御装置40は、カメラ30が異常検知に関する情報を自ら送信するタイミングだけでなく、カメラ30に対するヘルスチェックの送信を行ったタイミングでも、そのカメラ30の異常検知に関する情報を取得できる。このようにセルフチェック機能を有するようにホームドア制御装置40を構成できるため、カメラ30が異常検知に関する情報を送信不能に故障等している場合でも、上記ヘルスチェックの送信に応じた情報が取得できなければ異常状態と検知でき、異常状態に関する検知精度を高めることができる。
【0131】
そして、ステップS205,S209,S215,S217の判定処理によって、扉駆動部22による可動扉21の自動駆動の可否が判定される。これにより、例えば、QRコード50の読み取りに関して重故障が想起されるような異常状態が生じている場合には、ステップS217でのYesとの判定結果に応じて、扉駆動部22による可動扉21の自動駆動を許可しないように制御することができる。
【0132】
特に、ステップS215,S217の判定処理によって、各カメラ30から受信された停車検出情報(異常状態検知手段による検知結果)と停車位置検出センサ70の検出結果とに応じて扉駆動部22による可動扉21の自動駆動の可否が判定される。これにより、例えば、停車位置検出センサ70により列車10が停車しているとの検出結果が得られた際に、各カメラ30から受信された情報によって列車10が停車していると判断できない場合には、相反する結果が得られたために、扉駆動部22による可動扉21の自動駆動を許可しないように制御することができる。
【0133】
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態に係るホームドア制御システムについて、図面を用いて説明する。
本第6実施形態では、車両ドアの開閉方式に合わせて車両ドアの開閉状態の検知方法を切り替える点が主に上記第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と実質的に同様の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0134】
車両ドアには、例えば、開状態時に乗降口12を囲う車体部12aに収容される戸袋式の車両ドア81(
図15参照)だけでなく、開状態時に乗降口12を囲う車体部12aの外側にせり出すプラグドア式の車両ドア82(
図14参照)のように、車両ドアの開閉形態が異なる開閉方式がある。すなわち、一般的に採用されやすい戸袋式を前提に、停車時に開閉する車両ドアに設けたQRコード50が車体部12aに隠されて撮像されなくなることで開状態と検知すると(
図15(B)参照)、プラグドア式の車両ドア82ではQRコード50が開状態時でも撮像されるため(
図14(B)参照)、開状態でないと誤検知してしまう。戸袋式では、閉状態時に撮像されていたQRコード50が開状態時に撮像されなくなる一方で、プラグドア式では、QRコード50が閉状態時及び開状態時ともに撮像されるからである。
【0135】
そこで、本実施形態に係るホームドア制御システム1では、列車10ごと又は車両11ごとに戸袋式(第1開閉方式)及びプラグドア式(第2開閉方式)のいずれか一方が採用されることを前提に、車両ドアごとに開閉方式を判別する。
【0136】
以下、車両ドアの開閉方式の判別方法について、
図16及び
図17を参照して説明する。なお、
図16は、停車直後から撮像される連続撮像画像を説明する説明図であり、
図16(A)は、停車直後の状態での撮像画像を示し、
図16(B)は、開動作中の状態での撮像画像を示し、
図16(C)は、開状態での撮像画像を示す。
図17は、
図16における領域S内でのQRコード50の位置に関する撮像状態の変化を説明する説明図である。また、
図16及び
図17では、便宜上、ホームドア20の可動扉21などの図示を省略している。
【0137】
具体的には、各カメラ30は、停車時にQRコード50を斜め上方向から撮像するように配置されているため、プラグドア式の車両ドア82の開動作時には、QRコード50は、
図16(A)~(C)に示すように撮像される。そして、各カメラ30では、停車直後の撮像画像でのQRコード50の位置を基準位置Cとするとき、停車直後からの連続撮像画像においてQRコード50が上下方向に関して上記基準位置Cに対して下方向に移動するように撮像される場合に(
図17の矢印F参照)、車両ドアの開閉方式がプラグドア式であると判別する。その一方で、各カメラ30では、停車直後からの連続撮像画像においてQRコード50が上下方向に関して上記基準位置Cとの差がない状態で移動するように撮像される場合に、車両ドアの開閉方式が戸袋式であると判別する。このため、カメラ30は、列車10の停車後にQRコード50が撮像された撮像画像に基づいて、当該QRコード50が設けられた車両ドアの開閉方式が戸袋式(第1開閉方式)及びプラグドア式(第2開閉方式)のいずれであるか判別する開閉方式判別手段としての機能を兼備するように構成される。
【0138】
そして、カメラ30では、車両ドアの開閉方式がプラグドア式であると判別された際、上記連続撮像画像においてQRコード50が上下方向に関して上記基準位置Cとの差がある状態で移動しているように撮像される場合に、車両ドア82が開閉動作中であると検知される。
【0139】
開閉動作中のプラグドア式の車両ドア82に設けられるQRコード50は、斜め上方向に位置するカメラ30によって、上下方向に関して上記基準位置Cに一致しない状態で移動するように撮像される(
図16(B)等参照)。このため、停車後の連続撮像画像においてQRコード50が上下方向に関して上記基準位置Cとの差がある状態で移動しているように撮像される場合には、車両ドア82が開閉動作中と検知することができる。
【0140】
また、カメラ30では、車両ドアの開閉方式がプラグドア式であると判別された際、上記連続撮像画像においてQRコード50が上下方向に関して上記基準位置Cとの差がある状態で停止しているように撮像される場合に、車両ドア82が閉状態でないと検知される。
【0141】
乗客の荷物等が挟まったために開閉動作中の車両ドア82が途中で止まると、その車両ドア82に設けられるQRコード50は、斜め上方向に位置するカメラ30によって、上下方向に関して上記基準位置Cに一致しない状態で停止しているように撮像される。このため、停車後の連続撮像画像においてQRコード50が上下方向に関して上記基準位置Cとの差がある状態で停止しているように撮像される場合には、開状態又は開閉動作中の車両ドア82に乗客の荷物等が挟まっている状態であって閉状態でないと検知することができる。これにより、乗客の荷物等が挟まったために車両ドア82が一時停止しても、その車両ドア82が閉状態であると誤検知されることを抑制することができる。
【0142】
また、カメラ30では、車両ドアの開閉方式がプラグドア式であると判別された際、上記連続撮像画像においてQRコード50が上下方向に関して上記基準位置Cとの差がない状態で停止しているように撮像される場合に、車両ドア82が閉状態であると検知される。
【0143】
開状態から再び閉状態となった車両ドア82に設けられるQRコード50は、停車直後の位置に戻るため、斜め上方向に位置するカメラ30によって、上記基準位置Cに一致する状態で停止しているように撮像される。このため、停車後の連続撮像画像においてQRコード50が上下方向に関して上記基準位置Cとの差がない状態で停止しているように撮像される場合には、車両ドア82が閉状態と検知することができる。
【0144】
また、カメラ30では、車両ドアの開閉方式がプラグドア式であると判別された際、上記連続撮像画像においてQRコード50が上下方向に関して上記基準位置Cとの差がない状態で移動しているように撮像される場合に、車両ドア82の開閉状態に関する検知ではなく列車10の移動が検知される。
【0145】
ホーム2から発車する列車10の車両ドア82に設けられるQRコード50は、斜め上方向に位置するカメラ30によって、上記基準位置Cから列車進行方向に沿って移動するように撮像される。このため、停車後の連続撮像画像において車両ドア82に設けられたQRコード50が上下方向に関して上記基準位置Cとの差がない状態で移動しているように撮像される場合には、車両ドア82が開閉動作しているのではなく、列車10が移動していると検知することができる。
【0146】
一方、停車直後からの連続撮像画像においてQRコード50が上下方向に関して上記基準位置Cとの差がない状態で左右方向(列車進行方向に沿う方向)に移動するように撮像されたカメラ30では、そのQRコード50が設けられた車両ドア81の開閉方式が戸袋式と判別される。この場合、そのカメラ30では、QRコード50が撮像されなくなると(
図15(B)参照)、開状態と検知される。また、そのカメラ30では、上記連続撮像画像においてQRコード50が上記基準位置Cから左右方向に離れた位置で停止しているように撮像される場合に、開閉動作中の車両ドア81に乗客の荷物等が挟まっている状態であって閉状態でないと検知される。また、そのカメラ30では、上記連続撮像画像においてQRコード50が上記基準位置Cとの差がない状態で停止しているように撮像される場合に、車両ドア81が閉状態であると検知される。
【0147】
このように、各カメラ30は、上記判別結果と撮像結果とに基づいて車両ドア81及び車両ドア82の開閉状態を検知する開閉状態検知手段としての機能を兼備し、その検知結果をホームドア制御装置40に出力する。
【0148】
ホームドア制御装置40では、各カメラ30から受信した情報に基づいて、上述したように開状態に駆動すべき可動扉21が選択され、このように選択された可動扉21の開閉タイミングが、上記検知結果から認識される車両ドア(81,82)の開閉状態にあわせて制御される。
【0149】
以上説明したように、本実施形態に係るホームドア制御システム1では、QRコード50は、停車時に開閉する車両ドアに設けられ、車両ドアの開閉方式として、閉状態時に撮像されていたQRコード50が開状態時に撮像されなくなる戸袋式(第1開閉方式)と、QRコード50が閉状態時及び開状態時ともに撮像されるプラグドア式(第2開閉方式)とのいずれか一方が採用される。そして、ホームドア20では、列車10の停車後にカメラ30によりQRコード50が撮像された撮像画像に基づいて、当該QRコード50が設けられた車両ドアの開閉方式が戸袋式及びプラグドア式のいずれであるか判別され、この判別結果とカメラ30の撮像結果とに基づいて車両ドアの開閉状態が検知される。
【0150】
特に、カメラ30は、QRコード50を斜め上方向から撮像するように配置される。そして、停車直後の撮像画像でのQRコード50の位置を基準位置Cとするとき、停車後の連続撮像画像においてQRコード50が上下方向に関して上記基準位置Cに対して下方向に移動するように撮像される場合に、車両ドアの開閉方式がプラグドア式であると判別される。
【0151】
このように、列車10の停車後にQRコード50が撮像された撮像画像に基づいて、そのQRコード50が設けられた車両ドアの開閉方式が戸袋式及びプラグドア式のいずれであるか判別することで、その車両ドアの開閉方式に適した開閉状態の検知方法を採用することができる。
【0152】
なお、各カメラ30における戸袋式(第1開閉方式)及びプラグドア式(第2開閉方式)の判別は、停車直後の撮像画像でのQRコード50の位置となる基準位置Cを利用して行うことに限らず、他の判別方法を採用してもよい。
【0153】
例えば、本実施形態の第1変形例として、停車直後の撮像画像でのQRコード50を構成するセル(複数の明色系セル及び暗色系セルのうちの1つの単位セル)のサイズ(セルサイズ)を基準サイズとするとき、停車後の連続撮像画像においてQRコード50のセルサイズが上記基準サイズよりも大きくなるように撮像される場合に、車両ドアの開閉方式がプラグドア式(第2開閉方式)であると判別されてもよい。
【0154】
プラグドア式の車両ドア82は、開状態時の車両ドア82が乗降口12を囲う車体部12aの外側にせり出すように構成されるため、開動作時の車両ドア82に設けられるQRコード50は、カメラ30によって、個々のセルサイズがそれぞれ大きく変化するように撮像される。例えば、車両ドア82が開動作する際には、
図18に例示するように、撮像画像でのQRコード50の上下方向長さ(縦方向長さ)Y2及び左右方向長さ(横方向長さ)X2が、停車直後の撮像画像でのQRコード50の上下方向長さY1及び左右方向長さX1よりも長くなるように撮像される。すなわち、QRコード50を構成する各セルは、開動作時にそれぞれのセルサイズが大きくなるように撮像される。このため、停車後の連続撮像画像においてQRコード50のセルサイズが上記基準サイズよりも大きくなるように撮像される場合に、車両ドアの開閉方式がプラグドア式であると判別することができる。一方、戸袋式の車両ドア81は、開動作時におけるQRコード50とカメラ30との距離の変化がプラグドア式の車両ドア82の場合よりも小さいため、停車後の連続撮像画像においてQRコード50のセルサイズの変化が小さい場合に、車両ドアの開閉方式が戸袋式であると判別することができる。
【0155】
このような判別方法を採用する場合、プラグドア式であると判別されたカメラ30では、連続撮像画像においてQRコード50のセルサイズが上記基準サイズよりも大きい状態で当該QRコード50が移動しているように撮像される場合に、車両ドア82が開閉動作中であると検知される。
【0156】
開閉動作中のプラグドア式の車両ドア82に設けられるQRコード50は、停車直後での位置よりもカメラ30側に移動しているため、カメラ30によって、セルサイズが上記基準サイズよりも大きくなった状態で移動するように撮像される。このため、停車後の連続撮像画像においてQRコード50のセルサイズが上記基準サイズよりも大きい状態で当該QRコード50が移動しているように撮像される場合には、車両ドア82が開閉動作中と検知することができる。
【0157】
また、上述のようにプラグドア式であると判別されたカメラ30では、連続撮像画像においてQRコード50のセルサイズが上記基準サイズよりも大きい状態で当該QRコード50が停止しているように撮像される場合に、車両ドア82が閉状態でないと検知される。
【0158】
乗客の荷物等が挟まったために開閉動作中の車両ドア82が途中で止まると、その車両ドア82に設けられるQRコード50は、停車直後での位置よりもカメラ30側に移動した状態で停止しているように撮像される。このため、停車後の連続撮像画像においてQRコード50のセルサイズが上記基準サイズよりも大きい状態で当該QRコード50が停止しているように撮像される場合には、開状態又は開閉動作中の車両ドア82に乗客の荷物等が挟まっている状態であって閉状態でないと検知することができる。これにより、乗客の荷物等が挟まったために車両ドア82が一時停止しても、その車両ドア82が閉状態であると誤検知されることを抑制することができる。
【0159】
また、上述のようにプラグドア式であると判別されたカメラ30では、連続撮像画像においてQRコード50のセルサイズと上記基準サイズとに差がない状態で当該QRコード50が停止しているように撮像される場合に、車両ドア82が閉状態であると検知される。
【0160】
開状態から再び閉状態となった車両ドア82に設けられるQRコード50は、停車直後の位置に戻るため、カメラ30によって、各セルが上記基準サイズに一致する状態で停止しているように撮像される。このため、停車後の連続撮像画像においてQRコード50のセルサイズと上記基準サイズとに差がない状態で当該QRコード50が停止しているように撮像される場合には、車両ドア82が閉状態と検知することができる。
【0161】
また、本実施形態の第2変形例として、停車直後の撮像画像でのQRコード50の縦横比を基準縦横比とするとき、停車後の連続撮像画像においてQRコード50の縦横比が上記基準縦横比と異なるように撮像される場合に、車両ドアの開閉方式がプラグドア式(第2開閉方式)であると判別されてもよい。
【0162】
プラグドア式の車両ドア82は、開状態時の車両ドア82が乗降口12を囲う車体部12aの外側にせり出すように構成されるため、開動作時の車両ドア82に設けられるQRコード50は、斜め上方向に位置するカメラ30によって、QRコード50の上下方向長さが左右方向長さに対して相対的に短くなるように上下方向(縦方向)につぶれて撮像される。例えば、車両ドア82が開動作する際には、
図18に例示するように、撮像画像でのQRコード50の縦横比Y2/X2が、停車直後の撮像画像でのQRコード50の縦横比である基準縦横比Y1/X1よりも小さくなるように撮像される。このため、停車後の連続撮像画像においてQRコード50の縦横比が上記基準縦横比と異なるように撮像される場合に、車両ドアの開閉方式がプラグドア式であると判別することができる。一方、戸袋式の車両ドア81は、開動作時におけるQRコード50とカメラ30との距離の変化がプラグドア式の車両ドア82の場合よりも小さいため、停車後の連続撮像画像においてQRコード50の縦横比の変化が小さい場合に、車両ドアの開閉方式が戸袋式であると判別することができる。
【0163】
このような判別方法を採用する場合、プラグドア式であると判別されたカメラ30では、連続撮像画像においてQRコード50の縦横比が上記基準縦横比と異なる状態で当該QRコード50が移動しているように撮像される場合に、車両ドア82が開閉動作中であると検知される。
【0164】
開閉動作中のプラグドア式の車両ドア82に設けられるQRコード50は、停車直後での位置よりもカメラ30側に移動しているため、斜め上方向に位置するカメラ30によって、その縦横比が上記基準縦横比と異なる状態で移動するように撮像される。このため、停車後の連続撮像画像においてQRコード50の縦横比が上記基準縦横比と異なる状態で当該QRコード50が移動しているように撮像される場合には、車両ドア82が開閉動作中と検知することができる。
【0165】
また、上述のようにプラグドア式であると判別されたカメラ30では、連続撮像画像においてQRコード50の縦横比が上記基準縦横比と異なる状態で停止しているように撮像される場合に、車両ドア82が閉状態でないと検知される。
【0166】
乗客の荷物等が挟まったために開閉動作中の車両ドア82が途中で止まると、その車両ドア82に設けられるQRコード50は、停車直後での位置よりもカメラ30側に移動した状態で停止しているように撮像される。このため、停車後の連続撮像画像においてQRコード50の縦横比が上記基準縦横比と異なる状態で当該QRコード50が停止しているように撮像される場合には、開状態又は開閉動作中の車両ドア82に乗客の荷物等が挟まっている状態であって閉状態でないと検知することができる。これにより、乗客の荷物等が挟まったために車両ドア82が一時停止しても、その車両ドア82が閉状態であると誤検知されることを抑制することができる。
【0167】
また、上述のようにプラグドア式であると判別されたカメラ30では、連続撮像画像においてQRコード50の縦横比と上記基準縦横比とに差が無い状態で当該QRコード50が停止しているように撮像される場合に、車両ドア82が閉状態であると検知される。
【0168】
開状態から再び閉状態となった車両ドア82に設けられるQRコード50は、停車直後の位置に戻るため、斜め上方向に位置するカメラ30によって、その縦横比と上記基準縦横比とに差が無い状態で停止しているように撮像される。このため、停車後の連続撮像画像においてQRコード50の縦横比と上記基準縦横比とに差が無い状態で当該QRコード50が停止しているように撮像される場合には、車両ドア82が閉状態と検知することができる。
【0169】
また、本実施形態の第3変形例として、QRコード50には、当該QRコード50が設けられた車両ドアの開閉方式が戸袋式(第1開閉方式)及びプラグドア式(第2開閉方式)のいずれであるかを判別するための情報が記録されてもよい。例えば、戸袋式ではQRコード50に記録される情報の所定の桁の数字が「0」に設定され、プラグドア式では上記所定の桁の数字が「1」に設定される。この場合、列車10の停車後にカメラ30によりQRコード50が撮像された際に、当該撮像画像のQRコード50から読み取られた情報に基づいて、当該QRコード50が設けられた車両ドアの開閉方式が戸袋式及びプラグドア式のいずれであるかについて判別される。このように、車両ドアに設けられたQRコード50に記録される情報を利用して、その車両ドアの開閉方式が戸袋式及びプラグドア式のいずれであるかについて判別することができる。
【0170】
また、本実施形態の第4変形例として、例えば、QRコード50は、戸袋式(第1開閉方式)の車両ドア81とプラグドア式(第2開閉方式)の車両ドア82とで車両ドアに対する角度が異なるように設けられてもよい。例えば、
図19(A)(B)に例示するように、車両ドア81に設けられるQRコード50の角度に対して、車両ドア82に設けられるQRコード50の角度を90°変える。この場合、列車10の停車後にカメラ30によりQRコード50が撮像された際に、当該撮像画像のQRコード50の角度に基づいて、当該QRコード50が設けられた車両ドアの開閉方式が戸袋式及びプラグドア式のいずれであるかについて判別される。このように、車両ドアに設けられたQRコード50の角度を利用して、その車両ドアの開閉方式が戸袋式及びプラグドア式のいずれであるかについて判別することができる。なお、
図19及び後述する
図20では、便宜上、ホームドア20の可動扉21などの図示を省略している。
【0171】
また、本実施形態の第5変形例として、QRコード50は、戸袋式(第1開閉方式)の車両ドア81とプラグドア式(第2開閉方式)の車両ドア82とでカメラ30によって撮像される個数が異なるように設けられてもよい。例えば、
図20(A)に例示するように、車両ドア82に1つのQRコード50を設けるとともに、
図20(B)に例示するように、車両ドア81とその近傍の車体部12aとにそれぞれQRコード50を設ける。この場合、列車10の停車後にカメラ30によりQRコード50が撮像された際に、当該撮像画像のQRコード50の個数に基づいて、当該QRコード50が設けられた車両ドアの開閉方式が戸袋式及びプラグドア式のいずれであるかについて判別される。このように、カメラ30によって撮像されるQRコード50の個数を利用して、その車両ドアの開閉方式が戸袋式及びプラグドア式のいずれであるかについて判別することができる。
【0172】
なお、本発明は上記各実施形態及び変形例等に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)各扉駆動部22は、ホームドア制御装置40の制御部41にて行われる扉開処理によって選択された可動扉21を駆動するように構成されることに限らず、対応するカメラ30により目標停車位置で停車した列車10のQRコード50が読み取られることで、可動扉21を駆動するように構成されてもよい。
【0173】
(2)QRコード50は、車両ドア13の一方のドア14及び他方のドア15の双方に貼り付けられることに限らず、一方のドア14及び他方のドア15のどちらか一方に貼り付けられてもよい。また、QRコード50は、車両ドア13に貼り付けられることに限らず、車両ドア13近傍の車体部等に貼り付けられてもよい。また、QRコード50は、全ての車両ドア13に貼り付けられることに限らず、車両11が有する複数の車両ドア13のうちの少なくとも1つに貼り付けられてもよい。また、QRコード50に代えて、他のコード種別の情報コード、例えば、バーコードやデータマトリックスコード、マキシコード等が採用されてもよい。
【0174】
(3)カメラ30は、撮像視野を広げるため、1つの車両ドア13に対して複数の撮像部を有するように構成されてもよい。また、カメラ30は、複数の車両ドア13を撮像視野に入れるように構成されてもよい。
【0175】
(4)上記第1実施形態等では、各カメラ30からの停車検出情報によって列車10の停車状態を検出することに限らず、上述した停車位置検出センサ70等を利用して列車10の停車状態を検出してもよい。
【符号の説明】
【0176】
1…ホームドア制御システム
2…ホーム
10…列車
11,11a~11c…車両
13,81,82…車両ドア
20…ホームドア
21…可動扉
22…扉駆動部(駆動手段)
30…カメラ(撮像手段,読取手段,異常状態検知手段,開閉方式判別手段,開閉状態検知手段)
40…ホームドア制御装置
41…制御部(扉選択手段,異常状態検知手段,判定手段)
50…QRコード(情報コード)
60…警告灯(通知手段)
70…停車位置検出センサ(列車状態検出手段)