(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】蓋
(51)【国際特許分類】
B65D 43/04 20060101AFI20241127BHJP
A47G 19/22 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
B65D43/04
A47G19/22 D
(21)【出願番号】P 2021100548
(22)【出願日】2021-06-16
【審査請求日】2024-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】396011174
【氏名又は名称】くら寿司株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【氏名又は名称】立花 顕治
(72)【発明者】
【氏名】田中 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】坂本 直樹
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】実公昭05-007267(JP,Y1)
【文献】実開昭59-145871(JP,U)
【文献】特開2004-175359(JP,A)
【文献】実公昭26-009883(JP,Y1)
【文献】実開昭59-128289(JP,U)
【文献】登録実用新案第3072073(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/44-35/54
B65D 39/00-55/16
A47G 19/00-19/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カップ本体と、当該カップ本体の側面に設けられた把手とを有するカップに着脱自在に取り付けられる蓋であって、
前記カップ本体の上部開口を塞ぐ蓋本体と、
前記蓋本体の周縁から延び、前記把手に着脱自在に固定可能な把手固定部と、
を備
え、
前記把手固定部は、
前記把手の上部の上方を覆う上壁と、
前記上壁の下方に配置され、前記把手の上部の下面に係合する係合部と、
前記係合部から前記カップ本体の周方向のいずれか一方側に配置され、前記把手の上部と当接可能な規制壁と、
を備えている、蓋。
【請求項2】
前記蓋本体は、
板状の本体部と、
前記本体部の外縁から下方に延び、前記カップ本体の上端部の外側に配置される第1周縁部と、
を備え、
前記第1周縁部の下縁には、前記係合部から前記周方向の他方側に延び、前記把手の上部が通過可能な切り欠きが形成されており、
前記切り欠きは、前記周方向に延びる第1縁部と、当該第1縁部から下方へ斜めに延びる第2縁部と、で囲まれている、請求項
1に記載の蓋。
【請求項3】
前記蓋本体は、前記本体部において、前記第1周縁部よりも内側から下方に延び、前記カップ本体の上端部の内側に配置される第2周縁部をさらに備えている、請求項
2に記載の蓋。
【請求項4】
前記上壁には前記把手の上部を視認可能な開口が形成されている、請求項
1から3のいずれかに記載の蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カップ本体と、当該カップ本体の側面に設けられた把手とを有するカップに着脱自在に取り付けられる蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、カップに取り付けられる蓋体が開示されている。この蓋体は、カップの上端部に形成されたフランジに係合することで、カップから離脱しないようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような蓋は、上部開口にフランジが形成されているカップにしか適用することができない。本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、フランジが設けられていないカップにも固定可能な蓋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る蓋は、カップ本体と、当該カップ本体の側面に設けられた把手とを有するカップに着脱自在に取り付けられる蓋であって、前記カップ本体の上部開口を塞ぐ蓋本体と、前記蓋本体の周縁から延び、前記把手に着脱自在に固定可能な把手固定部と、を備えている。
【0006】
上記蓋において、前記把手固定部は、前記把手の上部の上方を覆う上壁と、前記上壁の下方に配置され、前記把手の上部の下面に係合する係合部と、前記係合部から前記カップ本体の周方向のいずれか一方側に配置され、前記把手の上部と当接可能な規制壁と、を備えることができる。
【0007】
上記蓋において、前記蓋本体は、板状の本体部と、前記本体部の外縁から下方に延び、前記カップ本体の上端部の外側に配置される第1周縁部と、を備え、前記第1周縁部の下縁には、前記係合部から前記周方向の他方側に延び、前記把手の上部が通過可能な切り欠きが形成されており、前記切り欠きは、前記周方向に延びる第1縁部と、当該第1縁部から下方へ斜めに延びる第2縁部と、で囲まれたものとすることができる。
【0008】
上記蓋では、前記蓋本体は、前記本体部において、前記第1周縁部よりも内側から下方に延び、前記カップ本体の上端部の内側に配置される第2周縁部をさらに備えることができる。
【0009】
上記蓋において、前記上壁には前記把手の上部を視認可能な開口を形成することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る蓋によれば、フランジが設けられていないカップにも固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の蓋が対象とするカップの一実施形態を示す側面図である。
【
図6】蓋の使用方法を示す側面図である(一部断面図を含む)。
【
図8】蓋の使用方法を示す側面図である(一部断面図を含む)。
【
図9】蓋の使用方法を示す側面図である(一部断面図を含む)。
【
図10】蓋の使用方法を示す側面図である(一部断面図を含む)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る蓋の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態に係る蓋は、把手が設けられたカップに取り付けられるものである。以下では、まず、対象となるカップについて説明し、その後、蓋について説明する。
【0013】
<1.カップ>
図1は本実施形態に係る蓋が対象とするカップの側面図である。
図1に示すように、このカップ50は、上部に開口が形成され、有底の円筒状に形成されたカップ本体51と、このカップ本体51の側面に連結された把手52と、を備えている。カップ本体51の側面は、下方にいくにしたがって外径が小さくなるように形成されている。把手52は、側面視U字状に形成され、上端部と下端部とがカップ本体51の側面に連結されている。より詳細に説明すると、把手52は、その上部521がカップ本体51の側面から概ね水平方向に延びた後、下方に湾曲しつつ延び、その下端部がカップ本体51の側面に連結されている。
【0014】
<2.蓋>
次に、蓋について
図2~
図4を参照しつつ説明する。
図2は蓋を側方から見た斜視図、
図3は蓋を下側から見た斜視図、
図4は蓋の平面図である。なお、説明の便宜のため、
図4に示すように、蓋10の周方向において時計回りの方向を第1方向、反時計回りの方向を第2方向と称することとする。
図2~
図4に示すように、この蓋10は、カップ50の上部開口を塞ぐ蓋本体1と、この蓋本体1の周縁に連結されている把手固定部2と、を備えている。
【0015】
蓋本体1は、円板状の本体部11と、この本体部11の外縁から下方に延びる円筒状の第1周縁部12と、本体部11の下面において、第1周縁部12よりも内側から下方へ延びる円筒状の第2周縁部13と、を備えている。第2周縁部13の本体部11からの突出長さは、第1周縁部12の突出長さよりも短くなっている。そして、両周縁部12,13の間には、後述する
図8に示すように、カップ本体51の上端部が嵌まるようになっている。また、第1周縁部12には、把手固定部2から第1方向に延びる切り欠き部28が形成されている。この切り欠き部28については、後述する。
【0016】
図2~
図4に示すように、把手固定部2は、蓋本体1の本体部11から径方向外方に延びる平面視矩形状の上壁21と、上壁21の径方向の先端から下方に延びる先端壁22と、上壁21の第1方向側の側縁から下方に延びる矩形状の第1側壁23と、上壁21の第2方向側の側縁から下方に延びる矩形状の第2側壁24と、を有している。そして、これらの壁21~24によって下方が開放された直方体状の空間が形成されている。なお、第1側壁23及び第2側壁24は、蓋本体1の第1周縁部12に連結されており、
図3に示すように、第1周縁部12において、両側壁23,24の間の部分は、切り欠かれている。また、上壁21には、矩形状の開口211が形成されている。
【0017】
第1側壁23は、第2側壁24よりも上壁21からの長さが短くなっており、第1周縁部12との連結部分が、上述した切り欠き部28と連続している。すなわち、第1周縁部12に形成された切り欠き部28は、第1側壁23の基端部から周方向に沿って第1方向側に延びる第1縁部281と、この第1縁部281の端部から下方に延びる第2縁部282とで、囲まれた空間により構成されている。第2縁部282は、第1方向にいくにしたがって斜め下方に延びるように形成されている。
【0018】
第2側壁24の内面には、把手52の上部521と係合する係合部26が形成されている。この係合部26は、第2側壁24の内面の下端部付近から第1方向へ延びる矩形の板状の係合部本体261と、この係合部本体261の第1方向側の端部から上方へ延びる抜け止め部262と、を有している。なお、この係合部26は、側面視において、第1側壁23よりも下方に形成されており、後述するように、この第1側壁23の下端部と係合部26との間の隙間に把手52の上部521が挿入されるようになっている(例えば、
図9参照)。
【0019】
なお、蓋10を形成する材料は特には限定されず、樹脂材料、金属など、種々の材料で形成することができる。
【0020】
<3.蓋の使用方法>
次に、蓋の使用方法について、
図5~
図9を参照しつつ説明する。まず、
図5及び
図6に示すように、蓋10をカップ50の上部開口を塞ぐように配置する。このとき、カップ本体51の上端部が、蓋10の両周縁部12,13の間に配置されるように位置決めする。また、把手52の上部521が切り欠き部28に配置されるように位置決めをする。
【0021】
次に、蓋10を第1方向に回転させる。これにより、把手52の上部521は、相対的に第2方向に移動し、切り欠き部28から、第1側壁23の下端部と係合部26との間の隙間に挿入される。その結果、
図7~
図9に示すように、把手52の上部521は、係合部26が弾性変形することで、係合部26の抜け止め部262を乗り越え、係合部本体261上に配置される。なお、把手52の上部521は把手固定部2の第2側壁24に当接するため、蓋10は第1方向へのそれ以上の回転が規制される。こうして、係合部26は、把手52の上部521の下面に係合するため、蓋10が上方へ移動するのが規制される。このとき、把手52の上部521は、上壁21の下方に位置するため、開口211から把手52の上部521を視認することができる。
【0022】
その後、蓋10を取り外すには、蓋10をカップ50に対して第2方向に回転させる。これにより、把手52の上部521が係合部26の抜け止め部262を乗り越え、切り欠き部28側へ移動する。そして、蓋10をさらに第2方向へ回転させると、
図10に示すように、把手52の上部521が切り欠き部28の第2縁部282に沿って下方へ移動するため、蓋10は把手52の上部521によって上方に持ち上げられる。これにより、蓋10をカップ50から容易に取り外すことができる。
【0023】
<4.特徴>
本実施形態によれば、次の効果を得ることができる。
(1)本実施形態の蓋10は、カップ50の上部開口を覆う蓋本体1と、この蓋本体1の外縁から径方向に延び、カップ50の把手52に固定される把手固定部2を有している。そのため、蓋本体1により、カップ50に注がれた飲料に異物が混入するのを防止することができるとともに、把手固定部2により、蓋10が把手52に固定されるため、カップ50を移動させたり、振動が作用しても、蓋10がカップ50から離脱するのを防止することができる。したがって、フランジ部を有していないカップであっても、把手が設けられていれば、蓋を固定することができる。
【0024】
(2)蓋本体1に、カップ本体51の上端部を挟む第1及び第2周縁部12、13が設けられているため、蓋10が径方向にずれるのを防止することができる。
【0025】
(3)蓋10を取り付けるには、切り欠き部28に把手52の上部521を位置決めした上で、蓋10を第1方向に回転させればよいため、蓋10の取付が簡単である。
【0026】
(4)蓋10を取り外す際には、蓋10を第2方向に回転させて、係合部26と把手52の上部521との係合を解除すればよく、蓋10をさらに第2方向に回転させると、把手52の上部521が切り欠き部28の第2縁部282に沿って移動し、蓋10を持ち上げるため、蓋10の取り外しが簡単である。
【0027】
(5)把手固定部2の上壁21に開口211が形成されているため、この開口211を介して、把手52の上部521が視認されれば、把手52が正しい位置に固定されたことを認識することができる。
【0028】
<5.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、以下の変形例は適宜、組み合わせることができる。
【0029】
(1)蓋本体1の周縁部12,13は、少なくとも一方が設けられていればよい。あるいは、周縁部12,13を設けないようにしてもよい。
【0030】
(2)上実施形態で示した把手固定部2の形態は一例であり、種々の変更が可能である。すなわち、把手52に着脱自在に固定できるのであれば、その形態は、特には限定されない。例えば、切り欠き部28の形状は特には限定されない。また、切り欠き部28は必ずしも必要ではなく、切り欠き部28を設けない場合には、第1周縁部12の長さを短くし、把手52よりも上方に位置するようにすればよい。あるいは第1周縁部12を設けなければ、切り欠き部28も形成されない。
【0031】
また、例えば、上記実施形態では、周方向へ蓋10を回転させることで、把手52の上部521を上壁21と係合部26とで上下方向から挟むように固定しているが、例えば、把手52を周方向の両側から挟むような係合部を設けることもできる。
【0032】
(3)上壁21の開口211の形状は特には限定されず、また、開口211を設けないようにしてもよい。
【0033】
(4)カップ50の形状は特には限定されず、把手52の形状も側面視でU字状であれば、把手固定部を固定できるため、特には限定されない。
【符号の説明】
【0034】
1 蓋本体
11 本体部
12 第1周縁部
13 第2周縁部
2 把手固定部
21 上壁
211 開口
24 第2側壁(規制壁)
26 係合部
28 切り欠き部
281 第1縁部
282 第2縁部
50 カップ
51 カップ本体
52 把手
521 把手上部