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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】光送信装置、光送信方法及び光伝送システム
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/50 20130101AFI20241127BHJP
   H04B 10/2575 20130101ALI20241127BHJP
【FI】
H04B10/50
H04B10/2575 110
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022581098
(86)(22)【出願日】2021-02-10
(86)【国際出願番号】 JP2021005116
(87)【国際公開番号】W WO2022172381
(87)【国際公開日】2022-08-18
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下羽 利明
(72)【発明者】
【氏名】吉田 智暁
(72)【発明者】
【氏名】深田 陽一
(72)【発明者】
【氏名】田邉 暁弘
(72)【発明者】
【氏名】宮武 遼
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-287410(JP,A)
【文献】特開2007-049597(JP,A)
【文献】特開平09-214436(JP,A)
【文献】特開平11-074847(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/50 - 10/588
H04B 10/2575
H04B 10/272
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1発振周波数に基づくレーザー光を分配する分配部と、
変調信号に応じて位相変調された光信号である位相変調信号を、前記第1発振周波数に基づくレーザー光を用いて生成する位相変調器と、
第2発振周波数に基づくレーザー光と前記位相変調信号とを合波する合波部と、
前記第2発振周波数に基づくレーザー光と前記位相変調信号とが合波された結果に対して検波処理を実行することによって周波数変調信号を生成する検波部と、
前記周波数変調信号に応じて強度変調された光信号を、前記第1発振周波数に基づくレーザー光を用いて生成する強度変調器と
を備える光送信装置。
【請求項2】
光送信装置が実行する光送信方法であって、
第1発振周波数に基づくレーザー光を分配する分配ステップと、
変調信号に応じて位相変調された光信号である位相変調信号を、前記第1発振周波数に基づくレーザー光を用いて生成する位相変調ステップと、
第2発振周波数に基づくレーザー光と前記位相変調信号とを合波する合波ステップと、
前記第2発振周波数に基づくレーザー光と前記位相変調信号とが合波された結果に対して検波処理を実行することによって周波数変調信号を生成する検波ステップと、
前記周波数変調信号に応じて強度変調された光信号を、前記第1発振周波数に基づくレーザー光を用いて生成する強度変調ステップと
を含む光送信方法。
【請求項3】
光送信装置と、光加入者線端局装置と、光回線終端装置と備える光伝送システムであって、
前記光送信装置は、
第1発振周波数に基づくレーザー光を分配する分配部と、
変調信号に応じて位相変調された光信号である位相変調信号を、前記第1発振周波数に基づくレーザー光を用いて生成する位相変調器と、
第2発振周波数に基づくレーザー光と前記位相変調信号とを合波する合波部と、
前記第2発振周波数に基づくレーザー光と前記位相変調信号とが合波された結果に対して検波処理を実行することによって周波数変調信号を生成する検波部と、
前記周波数変調信号に応じて強度変調された光信号を、前記第1発振周波数に基づくレーザー光を用いて生成する強度変調器とを備え、
前記光加入者線端局装置は、前記強度変調された光信号を送信し、
前記光回線終端装置は、前記強度変調された光信号を取得する、
光伝送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光送信装置、光送信方法及び光伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
周波数多重(Frequency Division Multiplexing :FDM)信号を周波数変調(Frequency Modulation : FM)信号に一括変換する方式(以下「FM一括変換方式」という。)の光伝送システムが、映像信号の配信システムに導入されている(非特許文献1及び2参照)。
【0003】
図7は、このような光伝送システムにおける、光送信装置の構成の第1例を示す図である。光送信装置10aは、周波数変調部100aと、レーザー発振器110と、強度変調器120とを備える。周波数変調部100aは、第1レーザー発振器101と、第2レーザー発振器102と、位相変調器103と、合波部104と、検波部105とを備える。
【0004】
第1レーザー発振器101は、レーザーダイオードである。第1レーザー発振器101は、第1発振周波数「f1」に基づいてレーザー光を生成する。第1レーザー発振器101には、周波数多重信号におけるケーブルテレビ放送の映像信号(変調信号)が、ヘッドエンド装置(不図示)から入力される。第1レーザー発振器101は、ケーブルテレビ放送の映像信号に応じて直接変調された光信号を、第1発振周波数「f1」に基づくレーザー光を用いて生成する。
【0005】
第2レーザー発振器102は、レーザーダイオードである。第2レーザー発振器102は、第2発振周波数「f2」に基づいてレーザー光を生成する。以下、位相が反転された映像信号を「逆位相の映像信号」という。第2レーザー発振器102には、周波数多重信号におけるケーブルテレビ放送の逆位相の映像信号が、ヘッドエンド装置(不図示)から入力される。第2レーザー発振器102は、逆位相の映像信号に応じて直接変調された光信号を、第2発振周波数「f2」に基づくレーザー光を用いて生成する。
【0006】
位相変調器103には、ケーブルテレビ放送の映像信号に応じて直接変調された光信号が、第1レーザー発振器101から入力される。また、位相変調器103には、周波数多重信号における衛星放送の映像信号(変調信号)が、ヘッドエンド装置(不図示)から入力される。
【0007】
位相変調器103は、ケーブルテレビ放送の映像信号に応じて直接変調された光信号の位相を、衛星放送の映像信号に応じて変調する。位相変調器103は、位相変調された光信号(位相変調信号)を、合波部104に出力する。
【0008】
合波部104には、位相変調された光信号が、位相変調器103から入力される。また、合波部104には、逆位相の映像信号に応じて直接変調された光信号が、第2レーザー発振器102から入力される。合波部104は、位相変調された光信号と、逆位相の映像信号に応じて直接変調された光信号とを合波する。
【0009】
検波部105は、フォトダイオードを用いて、合波された光信号に対して一括受信処理(光ヘテロダイン検波)を実行する。これによって、検波部105は、線形性の高い周波数変調信号を生成する。この周波数変調信号の中心周波数は、「|f1-f2|」である。検波部105は、周波数変調信号を強度変調器120に出力する。
【0010】
レーザー発振器110は、所定の発振周波数に基づく伝送用のレーザー光を生成する。強度変調器120は、周波数変調信号に応じて、伝送用のレーザー光に対して強度変調(Intensity Modulation)を実行する機器である。強度変調器120は、強度変調された光信号を、伝送用のレーザー光を用いて生成する。強度変調器120は、強度変調された光信号を、V-OLT(Video - Optical Line Terminal)に送信する。
【0011】
このようにFM一括変換方式では、周波数変調部は、入力された映像信号(変調信号)に応じて直接変調された光信号を、2本のレーザー光を用いて生成する。この2本のレーザー光における、バイアス電流と発振周波数との間の特性には、非常に高い線形性が要求される。このため、各レーザー発振器の選別コストが非常に高いという問題がある。この問題を解決するために、2個のレーザー発振器のうちの1個のレーザー発振器の後段に位相変調器が接続された上で、伝送される全ての映像信号が位相変調器に入力されるようにすることが考えられる。
【0012】
図8は、従来における、光送信装置の構成の第2例を示す図である。光送信装置10bは、周波数変調部100bと、レーザー発振器110と、強度変調器120とを備える。周波数変調部100bは、第1レーザー発振器101と、第2レーザー発振器102と、位相変調器103と、合波部104と、検波部105と、増幅部106とを備える。
【0013】
第1レーザー発振器101は、第1発振周波数「f1」に基づいてレーザー光を生成する。第1レーザー発振器101は、第1発振周波数「f1」に基づくレーザー光を、位相変調器103に出力する。第2レーザー発振器102は、第2発振周波数「f2」に基づいてレーザー光を生成する。第2レーザー発振器102は、第2発振周波数「f2」に基づくレーザー光を、合波部104に出力する。
【0014】
増幅部106には、ケーブルテレビ放送の映像信号と衛星放送の映像信号とが、周波数多重信号として、ヘッドエンド装置(不図示)から入力される。増幅部116は、周波数変調信号において十分な周波数偏移量が得られるようにするために、これらの映像信号の電圧を数ボルト程度まで増幅する。増幅部106は、電圧が増幅された映像信号を、位相変調器103に出力する。
【0015】
位相変調器103は、電圧が増幅された映像信号を用いて位相変調された光信号を、第1発振周波数「f1」に基づくレーザー光を用いて生成する。合波部104には、位相変調された光信号が、位相変調器103から入力される。また、合波部104には、第2発振周波数「f2」に基づくレーザー光が、第2レーザー発振器102から入力される。
【0016】
合波部104は、位相変調された光信号と、第2発振周波数「f2」に基づくレーザー光とを合波する。検波部105は、フォトダイオードを用いて、合波された光信号に対して一括受信処理(光ヘテロダイン検波)を実行する。検波部105は、周波数変調信号を強度変調器120に出力する。レーザー発振器110は、所定の発振周波数に基づく伝送用のレーザー光を生成する。強度変調器120は、周波数変調信号に応じて強度変調された光信号を、レーザー発振器110によって生成された伝送用のレーザー光を用いて生成する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0017】
【文献】ITU-T J.185 : Transmission equipment for transferring multi-channel television signals over optical access networks by frequency modulation conversion, [online],[令和2年12月21日検索],インターネット<URL:https://www.itu.int/rec/T-REC-J.185-201206-I/en>
【文献】下羽 利明,外2名, “FM一括変換方式を用いた光映像配信技術,” 信学技報 IEICE Technical Report CS2019-84, IE2019-64(2019-12) , [online],[令和3年1月25日検索],インターネット<URL:https://www.ieice.org/ken/paper/20191206T1TI/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
図7及び図8に例示されているように、従来の光送信装置は、周波数変調信号を生成するための第1レーザー発振器及び第2レーザー発振器とは別に、伝送用のレーザー光を生成するための少なくとも1個のレーザー発振器を備えている。このように、従来の光送信装置は、周波数変調信号を生成するための2個のレーザー発振器とは別のレーザー発振器を備えなければ、強度変調された光信号を送信することができないという問題がある。
【0019】
上記事情に鑑み、本発明は、周波数変調信号を生成するための2個のレーザー発振器とは別のレーザー発振器を備えていない場合でも、強度変調された光信号を送信することが可能である光送信装置、光送信方法及び光伝送システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の一態様は、第1発振周波数に基づくレーザー光を分配する分配部と、変調信号に応じて位相変調された光信号である位相変調信号を、前記第1発振周波数に基づくレーザー光を用いて生成する位相変調器と、第2発振周波数に基づくレーザー光と前記位相変調信号とを合波する合波部と、前記第2発振周波数に基づくレーザー光と前記位相変調信号とが合波された結果に対して検波処理を実行することによって周波数変調信号を生成する検波部と、前記周波数変調信号に応じて強度変調された光信号を、前記第1発振周波数に基づくレーザー光を用いて生成する強度変調器とを備える光送信装置である。
【0021】
本発明の一態様は、変調信号に応じて位相変調された光信号である位相変調信号を、第1発振周波数に基づくレーザー光を用いて生成する位相変調器と、第2発振周波数に基づくレーザー光を分配する分配部と、前記第2発振周波数に基づくレーザー光と前記位相変調信号とを合波する合波部と、前記第2発振周波数に基づくレーザー光と前記位相変調信号とが合波された結果に対して検波処理を実行することによって周波数変調信号を生成する検波部と、前記周波数変調信号に応じて強度変調された光信号を、前記第2発振周波数に基づくレーザー光を用いて生成する強度変調器とを備える光送信装置である。
【0022】
本発明の一態様は、光送信装置が実行する光送信方法であって、第1発振周波数に基づくレーザー光を分配する分配ステップと、変調信号に応じて位相変調された光信号である位相変調信号を、前記第1発振周波数に基づくレーザー光を用いて生成する位相変調ステップと、第2発振周波数に基づくレーザー光と前記位相変調信号とを合波する合波ステップと、前記第2発振周波数に基づくレーザー光と前記位相変調信号とが合波された結果に対して検波処理を実行することによって周波数変調信号を生成する検波ステップと、前記周波数変調信号に応じて強度変調された光信号を、前記第1発振周波数に基づくレーザー光を用いて生成する強度変調ステップとを含む光送信方法である。
【0023】
本発明の一態様は、光送信装置が実行する光送信方法であって、変調信号に応じて位相変調された光信号である位相変調信号を、第1発振周波数に基づくレーザー光を用いて生成する位相変調ステップと、第2発振周波数に基づくレーザー光を分配する分配ステップと、前記第2発振周波数に基づくレーザー光と前記位相変調信号とを合波する合波ステップと、前記第2発振周波数に基づくレーザー光と前記位相変調信号とが合波された結果に対して検波処理を実行することによって周波数変調信号を生成する検波ステップと、前記周波数変調信号に応じて強度変調された光信号を、前記第2発振周波数に基づくレーザー光を用いて生成する強度変調ステップとを含む光送信方法である。
【0024】
本発明の一態様は、光送信装置と、光加入者線端局装置と、光回線終端装置と備える光伝送システムであって、前記光送信装置は、第1発振周波数に基づくレーザー光を分配する分配部と、変調信号に応じて位相変調された光信号である位相変調信号を、前記第1発振周波数に基づくレーザー光を用いて生成する位相変調器と、第2発振周波数に基づくレーザー光と前記位相変調信号とを合波する合波部と、前記第2発振周波数に基づくレーザー光と前記位相変調信号とが合波された結果に対して検波処理を実行することによって周波数変調信号を生成する検波部と、前記周波数変調信号に応じて強度変調された光信号を、前記第1発振周波数に基づくレーザー光を用いて生成する強度変調器とを備え、前記光加入者線端局装置は、前記強度変調された光信号を送信し、前記光回線終端装置は、前記強度変調された光信号を取得する、光伝送システムである。
【0025】
本発明の一態様は、光送信装置と、光加入者線端局装置と、光回線終端装置と備える光伝送システムであって、前記光送信装置は、変調信号に応じて位相変調された光信号である位相変調信号を、第1発振周波数に基づくレーザー光を用いて生成する位相変調器と、第2発振周波数に基づくレーザー光を分配する分配部と、前記第2発振周波数に基づくレーザー光と前記位相変調信号とを合波する合波部と、前記第2発振周波数に基づくレーザー光と前記位相変調信号とが合波された結果に対して検波処理を実行することによって周波数変調信号を生成する検波部と、前記周波数変調信号に応じて強度変調された光信号を、前記第2発振周波数に基づくレーザー光を用いて生成する強度変調器とを備え、前記光加入者線端局装置は、前記強度変調された光信号を送信し、前記光回線終端装置は、前記強度変調された光信号を取得する、光伝送システムである。
【発明の効果】
【0026】
本発明により、周波数変調信号を生成するための2個のレーザー発振器とは別のレーザー発振器を備えていない場合でも、強度変調された光信号を送信することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第1実施形態における、光伝送システムの構成例を示す図である。
図2】第1実施形態における、光送信装置の構成例を示す図である。
図3】第1実施形態における、光送信装置の動作例を示すフローチャートである。
図4】第2実施形態における、光伝送システムの構成例を示す図である。
図5】第2実施形態における、光送信装置の構成例を示す図である。
図6】第2実施形態における、光送信装置の動作例を示すフローチャートである。
図7】従来における、光送信装置の構成の第1例を示す図である。
図8】従来における、光送信装置の構成の第2例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、光伝送システム1aの構成例を示す図である。光伝送システム1aは、光信号を伝送するシステム(光伝送ネットワーク)である。以下では、光伝送システムは、一例として、光信号を用いて映像信号を配信する。映像は、動画像でもよいし、静止画像でもよい。
【0029】
光伝送システム1aは、ヘッドエンド装置2と、光送信装置3aと、V-OLT4と、伝送路5と、N台(Nは1以上の整数)のV-ONU6と、表示装置7とを備える。光送信装置3aは、周波数変調部30aと、強度変調器31とを備える。V-ONU6は、検波部60と、周波数復調部61と、増幅部62とを備える。
【0030】
ヘッドエンド装置2は、映像信号(変調信号)を含む周波数多重信号を、光送信装置3aに出力する。なお、ヘッドエンド装置2は、音声信号及びデータ信号等(変調信号)と映像信号とを含む周波数多重信号を、光送信装置3aに出力してもよい。
【0031】
光送信装置3aは、光信号を送信する装置である。周波数変調部30aは、映像信号に応じて位相変調された光信号と逆位相の映像信号に応じて位相変調された光信号との間の光ビートに対して、例えば光ヘテロダイン検波処理を実行する。これによって、周波数変調部30aは、周波数変調信号(FM信号)を生成する。
【0032】
光送信装置3aは、第1発振周波数「f1」に基づく伝送用のレーザー光を生成する。強度変調器31は、周波数変調部30aによって生成された周波数変調信号に応じて、伝送用のレーザー光に対して強度変調(Intensity Modulation)を実行する。これによって、強度変調器31は、強度変調された光信号を、伝送用のレーザー光を用いて生成する。強度変調器31は、強度変調された光信号を、V-OLT4に送信する。
【0033】
V-OLT4は、光加入者線端局装置である。V-OLT4は、強度変調器31によって強度変調された光信号を、伝送路5を経由させて各V-ONU6に送信する。伝送路5は、光ファイバを用いて、光信号を伝送する。伝送路5は、光スプリッタを用いて、V-ONU6-1からV-ONU6-Nまでの各V-ONU6に光信号を分配する。
【0034】
V-ONU6(Video - Optical Network Unit)は、光回線終端装置である。検波部60は、フォトダイオードを有する。検波部60は、伝送路5を経由して取得された光信号を、周波数変調信号(電気信号)に変換する。周波数復調部61は、周波数変調信号に対して復調処理を実行することによって、映像信号を含む周波数多重信号を生成する。復調処理は、周波数変調信号の立ち上がりを検出する処理と、周波数変調信号の立ち下がりを検出する処理とを含む。増幅部62は、周波数多重信号における映像信号の電圧を、予め定められたレベルまで増幅させる。
【0035】
表示装置7は、映像を画面に表示する装置である。表示装置7は、予め定められたレベルまで電圧が増幅された映像信号を含む周波数多重信号を、増幅部62から取得する。表示装置7は、周波数多重信号における映像信号に応じて、映像を画面に表示する。
【0036】
次に、光送信装置3aの構成例を説明する。
図2は、光送信装置3aの構成例を示す図である。光送信装置3aは、周波数変調部30aと、強度変調器31とを備える。周波数変調部30aは、第1レーザー発振器301と、第2レーザー発振器302と、分配部303aと、位相変調器304と、合波部305と、検波部306とを備える。
【0037】
図2では、第1レーザー発振器301の出力が分配部303aに入力されるように、第1レーザー発振器301は、分配部303aに接続されている。また、第2レーザー発振器302の出力が合波部305に入力されるように、第2レーザー発振器302は、合波部305に接続されている。
【0038】
図2では、分配部303aの第1出力が位相変調器304に入力されるように、分配部303aは、位相変調器304に接続されている。また、分配部303aの第2出力が強度変調器31に入力されるように、分配部303aは、強度変調器31に接続されている。
【0039】
第1レーザー発振器301は、レーザーダイオードである。第1レーザー発振器301は、第1発振周波数「f1」に基づくレーザー光を、分配部303aに出力する。第1発振周波数「f1」に基づくレーザー光は、位相変調器304において、位相変調された光信号の生成に利用される。
【0040】
第2レーザー発振器302は、レーザーダイオードである。第2レーザー発振器302は、第2発振周波数「f2」に基づいてレーザー光を生成する。第2レーザー発振器302は、第2発振周波数「f2」に基づくレーザー光を、合波部305に出力する。
【0041】
分配部303aには、第1発振周波数「f1」に基づくレーザー光が、第1レーザー発振器301から入力される。分配部303aは、第1発振周波数「f1」に基づくレーザー光を、位相変調器304と強度変調器31とに分配する。第1実施形態では、第1発振周波数「f1」に基づくレーザー光が、強度変調器31において、出力用の光信号の生成に利用される。
【0042】
位相変調器304には、映像信号(変調信号)を含む周波数多重信号が、入力信号としてヘッドエンド装置2から入力される。以下では、映像信号は、一例として、ケーブルテレビ放送の映像信号と、衛星放送の映像信号(中間周波数(Intermediate Frequency:IF)信号)とである。
【0043】
ケーブルテレビ放送の映像信号は、例えば70MHzから770MHzまでの帯域に含まれる、アナログ放送用のAM(Amplitude Modulation)と、デジタル放送用のQAM(Quadrature Amplitude Modulation)信号とである。衛星放送の映像信号は、例えば1.0GHzから2.1GHzまでの帯域に含まれる、BS(Broadcast Satellite)の信号と、CS(Communication Satellite)110度の信号とである。
【0044】
位相変調器304には、第1発振周波数「f1」に基づくレーザー光が、分配部303aから入力される。位相変調器304は、映像信号に応じて、第1発振周波数「f1」に基づくレーザー光を位相変調する。すなわち、位相変調器304は、映像信号に応じて位相変調された光信号を、第1発振周波数「f1」に基づくレーザー光を用いて生成する。位相変調器304は、映像信号に応じて位相変調された光信号を、合波部305に出力する。
【0045】
合波部305には、映像信号に応じて位相変調された光信号が、位相変調器304から入力される。また、合波部305には、第2発振周波数「f2」に基づくレーザー光が、第2レーザー発振器302から入力される。合波部305は、映像信号に応じて位相変調された光信号と、第2発振周波数「f2」に基づくレーザー光とを合波する。合波部305は、合波された光信号を検波部306に出力する。
【0046】
検波部306は、フォトダイオードを有する。検波部306は、フォトダイオードを用いて、合波された光信号に対して一括受信処理(例えば、光ヘテロダイン検波処理)を実行する。これによって、検波部306は、広帯域の周波数変調信号(FM信号)を生成する。この周波数変調信号の中心周波数は、「|f1-f2|」である。検波部306は、広帯域(例えば、500MHzから6GHzまで)の周波数変調信号を、強度変調器31に出力する。
【0047】
強度変調器31には、第1発振周波数「f1」に基づくレーザー光(伝送用のレーザー光)が、分配部303aから入力される。強度変調器31には、広帯域の周波数変調信号が、検波部306から入力される。強度変調器31は、検波部306によって生成された周波数変調信号に応じて、分配部303aによって分配された伝送用のレーザー光に対して強度変調を実行する。これによって、強度変調器31は、強度変調された光信号(出力用の光信号)を、伝送用のレーザー光を用いて生成する。強度変調器31は、強度変調された光信号を、V-OLT4に送信する。
【0048】
次に、光送信装置3aの動作例を説明する。
図3は、光送信装置3aの動作例を示すフローチャートである。分配部303aは、第1発振周波数「f1」に基づくレーザー光を、位相変調器304と強度変調器31とに分配する。すなわち、第1レーザー発振器301は、第1発振周波数「f1」に基づくレーザー光を、分配部303aを用いて、位相変調器304と強度変調器31とに出力する(ステップS101)。
【0049】
位相変調器304は、映像信号に応じて位相変調された光信号を、第1発振周波数「f1」に基づくレーザー光を用いて生成する。位相変調器304は、映像信号に応じて位相変調された光信号を、合波部305に出力する(ステップS102)。
【0050】
合波部305は、映像信号に応じて位相変調された光信号と第2発振周波数「f2」に基づくレーザー光とを合波する(ステップS103)。検波部306は、映像信号に応じて位相変調された光信号と第2発振周波数「f2」に基づくレーザー光とが合波された結果に対して一括受信処理を実行することによって、周波数変調信号を生成する(ステップS104)。
【0051】
強度変調器31は、検波部306によって生成された周波数変調信号に応じて、第2レーザー発振器302によって生成された伝送用のレーザー光に対して強度変調を実行する。これによって、強度変調器31は、強度変調された光信号を、伝送用のレーザー光を用いて生成する(ステップS105)。
【0052】
以上のように、分配部303aは、第1発振周波数「f1」に基づくレーザー光を、位相変調器304と強度変調器31とに分配する。位相変調器304は、変調信号(例えば、映像信号)に応じて位相変調された光信号である位相変調信号を、第1発振周波数「f1」に基づくレーザー光を用いて生成する。合波部305は、第2発振周波数「f2」に基づくレーザー光と、位相変調信号とを合波する。検波部306は、第2発振周波数「f2」に基づくレーザー光と位相変調信号とが合波された結果に対して検波処理を実行することによって、周波数変調信号を生成する。強度変調器31は、周波数変調信号に応じて強度変調された光信号を、第1発振周波数「f1」に基づくレーザー光を用いて生成する。V-OLT4(光加入者線端局装置)は、強度変調された光信号を送信してもよい。V-ONU6(光回線終端装置)は、強度変調された光信号を取得してもよい。
【0053】
これによって、周波数変調信号を生成するための2個のレーザー発振器とは別のレーザー発振器を備えていない場合でも、強度変調された光信号を送信することが可能である。
【0054】
レーザー発振器は、電源を必要とする部品、すなわち、通電動作する部品(アクティブ部品)である。このため、経年劣化によって、レーザー発振器が故障の原因となる場合がある。これに対して、光送信装置3aは、周波数変調信号を生成するための第1レーザー発振器301及び第2レーザー発振器302とは別のレーザー発振器を備えていない。このため、光送信装置3aの故障率は低く、光送信装置3aの信頼性は高い。また、光送信装置3aは小型であり、光送信装置3aのコストは低い。
【0055】
なお、図7に示された従来の光送信装置10aでは、ケーブルテレビ放送の映像信号に応じて直接変調された光信号が、衛星放送の映像信号(周波数変調信号)に応じて更に位相変調されている。このため、仮に、光送信装置10aがレーザー発振器110を備えておらず、かつ、第2レーザー発振器102のレーザー光が強度変調器120に入力された場合には、出力用の光信号の波形が乱れ易い。これに対して、第1実施形態の光送信装置3aでは、全てのチャンネル(ケーブルテレビ放送及び衛星放送)の映像信号に応じて位相変調器103がレーザー光を位相変調するので、第1レーザー発振器301及び第2レーザー発振器302とは別のレーザー発振器が備えられていない場合でも、出力用の光信号の波形が乱れ難い。
【0056】
(第2実施形態)
第2実施形態では、第2発振周波数「f2」に基づくレーザー光が出力用の光信号の生成に利用される点が、第1実施形態との差分である。第2実施形態では、第1実施形態との差分を中心に説明する。
【0057】
図4は、光伝送システム1bの構成例を示す図である。光伝送システム1bは、光信号を伝送するシステム(光伝送ネットワーク)である。光伝送システム1bは、ヘッドエンド装置2と、光送信装置3bと、V-OLT4と、伝送路5と、N台のV-ONU6と、表示装置7とを備える。光送信装置3bは、周波数変調部30bと、強度変調器31とを備える。
【0058】
光送信装置3bは、光信号を送信する装置である。周波数変調部30bは、映像信号に応じて位相変調された光信号と逆位相の映像信号に応じて位相変調された光信号との間の光ビートに対して、例えば光ヘテロダイン検波処理を実行する。これによって、周波数変調部30bは、周波数変調信号(FM信号)を生成する。
【0059】
周波数変調部30bは、第2発振周波数「f2」に基づく伝送用のレーザー光を生成する。強度変調器31は、周波数変調部30bによって生成された周波数変調信号に応じて、伝送用のレーザー光に対して強度変調を実行する。これによって、強度変調器31は、強度変調された光信号を、伝送用のレーザー光を用いて生成する。
【0060】
次に、光送信装置3bの構成例を説明する。
図5は、光送信装置3bの構成例を示す図である。光送信装置3bは、周波数変調部30bと、強度変調器31とを備える。周波数変調部30bは、第1レーザー発振器301と、第2レーザー発振器302と、分配部303bと、位相変調器304と、合波部305と、検波部306とを備える。
【0061】
図5では、第1レーザー発振器301の出力が位相変調器304に入力されるように、第1レーザー発振器301は、位相変調器304に接続されている。また、第2レーザー発振器302の出力が分配部303bに入力されるように、第2レーザー発振器302は、分配部303bに接続されている。
【0062】
図5では、分配部303bの第1出力が合波部305に入力されるように、分配部303bは、合波部305に接続されている。また、分配部303bの第2出力が強度変調器31に入力されるように、分配部303bは、強度変調器31に接続されている。
【0063】
第1レーザー発振器301は、第1発振周波数「f1」に基づくレーザー光を、位相変調器304に出力する。第1発振周波数「f1」に基づくレーザー光は、位相変調器304において、位相変調された光信号の生成に利用される。
【0064】
第2レーザー発振器302は、第2発振周波数「f2」に基づくレーザー光を、分配部303bに出力する。分配部303bには、第2発振周波数「f2」に基づくレーザー光が、第2レーザー発振器302から入力される。分配部303bは、第2発振周波数「f2」に基づくレーザー光を、合波部305と強度変調器31とに分配する。第2実施形態では、第2発振周波数「f2」に基づくレーザー光が、強度変調器31において、出力用の光信号の生成に利用される。
【0065】
合波部305には、映像信号に応じて位相変調された光信号が、位相変調器304から入力される。また、合波部305には、第2発振周波数「f2」に基づくレーザー光が、分配部303bから入力される。合波部305は、映像信号に応じて位相変調された光信号と、第2発振周波数「f2」に基づくレーザー光とを合波する。合波部305は、合波された光信号を検波部306に出力する。
【0066】
強度変調器31には、第1発振周波数「f2」に基づくレーザー光(伝送用のレーザー光)が、分配部303bから入力される。強度変調器31には、広帯域の周波数変調信号が、検波部306から入力される。強度変調器31は、検波部306によって生成された生成された周波数変調信号に応じて、分配部303bによって伝送用のレーザー光に対して強度変調を実行する。これによって、強度変調器31は、強度変調された光信号を、伝送用のレーザー光を用いて生成する。強度変調器31は、強度変調された光信号を、V-OLT4に送信する。
【0067】
次に、光送信装置3bの動作例を説明する。
図6は、光送信装置3bの動作例を示すフローチャートである。分配部303bは、第2発振周波数「f2」に基づくレーザー光を、合波部305と強度変調器31とに分配する。すなわち、第2レーザー発振器302は、第2発振周波数「f2」に基づくレーザー光を、分配部303bを用いて、合波部305と強度変調器31とに出力する(ステップS201)。
【0068】
位相変調器304は、映像信号に応じて位相変調された光信号を、第1発振周波数「f1」に基づくレーザー光を用いて生成する。位相変調器304は、映像信号に応じて位相変調された光信号を、合波部305に出力する(ステップS202)。
【0069】
ステップS203(位相変調された光信号とレーザー光とを合波するステップ)は、図3に示されたステップS103と同様である。ステップS204(周波数変調信号を生成するステップ)は、図3に示されたステップS104と同様である。
【0070】
強度変調器31は、検波部306によって生成された周波数変調信号に応じて、第2レーザー発振器302によって生成された伝送用のレーザー光に対して強度変調を実行する。これによって、強度変調器31は、強度変調された光信号を、伝送用のレーザー光を用いて生成する(ステップS205)。
【0071】
以上のように、位相変調器304は、変調信号に応じて位相変調された光信号である位相変調信号を、第1発振周波数「f1」に基づくレーザー光を用いて生成する。分配部303bは、第2発振周波数「f2」に基づくレーザー光を、合波部305と強度変調器31とに分配する。合波部305は、第2発振周波数「f2」に基づくレーザー光と、位相変調信号とを合波する。検波部306は、第2発振周波数「f2」に基づくレーザー光と位相変調信号とが合波された結果に対して検波処理を実行することによって、周波数変調信号を生成する。強度変調器31は、周波数変調信号に応じて強度変調された光信号を、第2発振周波数「f2」に基づくレーザー光を用いて生成する。V-OLT4(光加入者線端局装置)は、強度変調された光信号を送信してもよい。V-ONU6(光回線終端装置)は、強度変調された光信号を取得してもよい。
【0072】
これによって、周波数変調信号を生成するための2個のレーザー発振器とは別のレーザー発振器を備えていない場合でも、強度変調された光信号を送信することが可能である。
【0073】
(ハードウェア構成例)
光伝送システム1a及び光伝送システム1bのうちの少なくとも一方における各機能部のうちの一部又は全部は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサが、不揮発性の記録媒体(非一時的な記録媒体)を有する記憶装置とメモリとに記憶されたプログラムを実行することにより、ソフトウェアとして実現される。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置などの非一時的な記録媒体である。
【0074】
光伝送システム1a及び光伝送システム1bのうちの少なくとも一方における各機能部の一部又は全部は、例えば、LSI(Large Scale Integrated circuit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等を用いた電子回路(electronic circuit又はcircuitry)を含むハードウェアを用いて実現されてもよい。
【0075】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、光ビートを用いて周波数変調信号を生成する光伝送システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0077】
1a,1b…光伝送システム、2…ヘッドエンド装置、3a,3b…光送信装置、4…V-OLT、5…伝送路、6…V-ONU、7…表示装置、10a,10b…光送信装置、30a,30b…周波数変調部、31…強度変調器、301…第1レーザー発振器、302…第2レーザー発振器、303a,303b…分配部、304…位相変調器、305…合波部、306…検波部、60…検波部、61…周波数復調部、62…増幅部、100a,100b…周波数変調部、101…第1レーザー発振器、102…第2レーザー発振器、103…位相変調器、104…合波部、105…検波部、106…増幅部、110…レーザー発振器、120…強度変調器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8