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  • 特許-タイヤ用積層体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】タイヤ用積層体
(51)【国際特許分類】
   B60C 19/00 20060101AFI20241127BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20241127BHJP
   H04B 1/59 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
B60C19/00 B
B60C1/00 Z
H04B1/59
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023053358
(22)【出願日】2023-03-29
(65)【公開番号】P2024141614
(43)【公開日】2024-10-10
【審査請求日】2024-03-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100160864
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 政治
(74)【代理人】
【識別番号】100158698
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 基樹
(72)【発明者】
【氏名】柴田 寛和
【審査官】岩本 昌大
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-129748(JP,A)
【文献】特開2021-129302(JP,A)
【文献】特開2023-002064(JP,A)
【文献】特表2019-502769(JP,A)
【文献】特開2023-041496(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 1/00-19/12
H04B 1/59
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスポンダと、前記トランスポンダを被覆する被覆ゴム層と、前記被覆ゴム層の少なくとも一方の面に隣接して積層された隣接ゴム層と、を備えるタイヤ用積層体であって、
前記トランスポンダが、IC基板と前記IC基板の両端部に備わるアンテナとを有し、且つ、前記IC基板の前記両端部に備わる前記アンテナの末端間の直線距離が30mm以上60mm以下であり、
前記被覆ゴム層が、ゴム成分、カーボンブラック、炭酸カルシウムおよびオイルを含み、且つ、前記ゴム成分100質量部に対して、前記カーボンブラックを1~15質量部、および前記炭酸カルシウムを1~80質量部含有し、
前記隣接ゴム層が、ゴム成分およびオイルを含み、
前記被覆ゴム層の、抽出溶媒としてアセトンを用いたソックスレー抽出法により測定される前記オイルを含むアセトン抽出物の量であるオイル抽出量(O1)と、前記隣接ゴム層の、抽出溶媒としてアセトンを用いたソックスレー抽出法により測定される前記オイルを含むアセトン抽出物の量であるオイル抽出量(O2)と、が下記式(1)の関係を満たす、タイヤ用積層体。
(1) 0.5≦O1/O2≦2.0
【請求項2】
前記被覆ゴム層に含まれる前記炭酸カルシウムが、脂肪酸金属塩により表面処理された炭酸カルシウムである、請求項1に記載のタイヤ用積層体。
【請求項3】
前記被覆ゴム層が、前記ゴム成分100質量部に対して、前記カーボンブラックを5~15質量部含有する、請求項1または2に記載のタイヤ用積層体。
【請求項4】
前記被覆ゴム層に含まれる前記カーボンブラックが、窒素吸着比表面積(N2SA)が20~50m2/gおよびDBP吸収量が100mL/100g未満のカーボンブラックである、請求項1または2に記載のタイヤ用積層体。
【請求項5】
前記被覆ゴム層における前記炭酸カルシウムに対する前記カーボンブラックの質量比(カーボンブラック/炭酸カルシウム)が0.05超である、請求項1または2に記載のタイヤ用積層体。
【請求項6】
請求項1または2に記載のタイヤ用積層体を含むタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランスポンダが被覆されて埋設されているタイヤ用積層体、およびこのタイヤ用積層体を含むタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤにおいて、その製造、流通、使用などの際の識別や管理等を行う目的で、トランスポンダをタイヤ積層体内部に埋設することが提案されている。例えば特許文献1には、1対のビード部間に1対のサイドウォール部及びクラウン部をトロイド状に連ねて配置した空気入りタイヤであって、該ビード部における、タイヤ内周面側のゴム層を構成するインナーライナーゴム層及びチェーファーゴム層の両端部を重ねてかつチェーファーゴム層の端部がインナーライナーゴム層の端部を覆う配置とし、両者の間に、トランスポンダを、その軸がタイヤの周方向に沿う向きで埋設して成るトランスポンダを内蔵した空気入りタイヤが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-137510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、タイヤ積層体内部に埋設されたトランスポンダの通信性は、このトランスポンダを被覆しているゴム層の電気抵抗性(特にカーボンブラックの配合量)などが大きな影響を与える。例えば、このトランスポンダを被覆しているゴム層のカーボンブラック配合量が少ないほど、被覆されたトランスポンダの通信性は向上する。一方で、トランスポンダを被覆しているゴム層のカーボンブラック配合量などは、このゴム層だけでなくタイヤを構成している積層体全体の耐久性にも影響を与える。例えば、このトランスポンダを被覆しているゴム層のカーボンブラック配合量が多いほど、積層体の耐久性は向上する。つまり、トランスポンダの通信性と積層体の耐久性とは概ねトレードオフの関係にあり、これらがいずれも優れたタイヤ用積層体等の取得という点において課題がある。
【0005】
そこで本発明は、トランスポンダの通信性および積層体の耐久性がいずれも優れたタイヤ用積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明者は鋭意検討し、トランスポンダと、このトランスポンダを被覆する被覆ゴム層と、この被覆ゴム層の少なくとも一方の面に隣接して積層された隣接ゴム層と、を備え、トランスポンダが、IC基板とこのIC基板の両端部に備わるアンテナとを有し、且つ、このIC基板の両端部に備わるアンテナの末端間の直線距離が30mm以上60mm以下であり、被覆ゴム層が、ゴム成分、カーボンブラック、炭酸カルシウムおよびオイルを含み、且つ、ゴム成分100質量部に対して、カーボンブラックを1~15質量部、および炭酸カルシウムを1~80質量部含有し、被覆ゴム層のオイル抽出量と、隣接ゴム層のオイル抽出量と、が所定の関係を満たすタイヤ用積層体が、トランスポンダの通信性および積層体の耐久性がいずれも優れたものとなることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は次の<1>~<6>である。
<1>トランスポンダと、前記トランスポンダを被覆する被覆ゴム層と、前記被覆ゴム層の少なくとも一方の面に隣接して積層された隣接ゴム層と、を備えるタイヤ用積層体であって、前記トランスポンダが、IC基板と前記IC基板の両端部に備わるアンテナとを有し、且つ、前記IC基板の前記両端部に備わる前記アンテナの末端間の直線距離が30mm以上60mm以下であり、前記被覆ゴム層が、ゴム成分、カーボンブラック、炭酸カルシウムおよびオイルを含み、且つ、前記ゴム成分100質量部に対して、前記カーボンブラックを1~15質量部、および前記炭酸カルシウムを1~80質量部含有し、前記被覆ゴム層のオイル抽出量(O1)と、前記隣接ゴム層のオイル抽出量(O2)と、が下記式(1)の関係を満たす、タイヤ用積層体。
(1) 0.5≦O1/O2≦2.0
<2>前記被覆ゴム層に含まれる前記炭酸カルシウムが、脂肪酸金属塩により表面処理された炭酸カルシウムである、<1>に記載のタイヤ用積層体。
<3>前記被覆ゴム層が、前記ゴム成分100質量部に対して、前記カーボンブラックを5~15質量部含有する、<1>または<2>に記載のタイヤ用積層体。
<4>前記被覆ゴム層に含まれる前記カーボンブラックが、窒素吸着比表面積(N2SA)が20~50m2/gおよびDBP吸収量が100mL/100g未満のカーボンブラックである、<1>~<3>のいずれか1つに記載のタイヤ用積層体。
<5>前記被覆ゴム層における前記炭酸カルシウムに対する前記カーボンブラックの質量比(カーボンブラック/炭酸カルシウム)が0.05超である、<1>~<4>のいずれか1つに記載のタイヤ用積層体。
<6><1>~<5>のいずれか1つに記載のタイヤ用積層体を含むタイヤ。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、トランスポンダの通信性および積層体の耐久性がいずれも優れたタイヤ用積層体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明のタイヤ用積層体の実施形態の一例を表す部分断面概略図(模式図)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明について説明する。
本発明は、トランスポンダと、このトランスポンダを被覆する被覆ゴム層と、この被覆ゴム層の少なくとも一方の面に隣接して積層された隣接ゴム層と、を備え、トランスポンダが、IC基板とこのIC基板の両端部に備わるアンテナとを有し、且つ、このIC基板の両端部に備わるアンテナの末端間の直線距離が30mm以上60mm以下であり、被覆ゴム層が、ゴム成分、カーボンブラック、炭酸カルシウムおよびオイルを含み、且つ、ゴム成分100質量部に対して、カーボンブラックを1~15質量部、および炭酸カルシウムを1~80質量部含有し、被覆ゴム層のオイル抽出量と、隣接ゴム層のオイル抽出量と、が所定の関係を満たすタイヤ用積層体、ならびに、このタイヤ用積層体を含むタイヤである。以下においては、これらを「本発明のタイヤ用積層体」、および「本発明のタイヤ」ともいう。
【0011】
なお、本発明において「~」を用いて表される数値範囲は、特段の断りがない限り、「~」の前に記載される数値を下限値、および「~」の後に記載される数値を上限値とする数値範囲を意味する。
【0012】
以下、本発明のタイヤ用積層体の構成、含有成分およびその含有量などについて、図面も用いて詳細に説明する。なお、図面に示された各部材等の寸法比率(長さ、厚さなど)は、発明の理解を容易にするために、実際の寸法比率とは異なる場合がある。
【0013】
[トランスポンダ]
本発明のタイヤ用積層体は、ゴム層を含むタイヤ用の積層体であって、且つトランスポンダを備えるものである。そして、このトランスポンダは、後述する被覆ゴム層により被覆されて積層体に埋設されている。ここで、この「トランスポンダ」とは、データの送受信を非接触で行なうための装置や機器を意味する。
【0014】
そして、本発明のタイヤ用積層体に備わるトランスポンダは、データを記憶するIC基板と、このIC基板の両端部に備わる、データを非接触で送受信するアンテナとを有し、且つ、このIC基板の両端部に備わるアンテナの末端間の直線距離が30mm以上60mm以下となっている。ここで、「IC基板の両端部」とは、IC基板の長手方向における両方の端部である。これにより(特に所定の被覆ゴム層で被覆された上記アンテナの末端間の直線距離が所定範囲内であることにより)、このトランスポンダは、本発明のタイヤ用積層体に埋設された状態で高い通信性を有するものとなっている。よって、これを用いることにより、タイヤに関する情報を的確に書き込むまたは読み出すことができ、タイヤの製造、流通、使用などの際の識別や管理等を行うことができる。
このトランスポンダとしては、例えば、RFID(Radio Frequency Identification)タグを用いることができる。なお、RFIDとは、アンテナおよびコントローラを有するリーダライタと、IC基板およびアンテナを有するIDタグから構成され、無線方式によりデータを交信可能な自動認識技術である。
【0015】
トランスポンダの全体形状は、特に限定されるものではなく、例えば柱状や板状のものを用いることができる。また、アンテナの少なくとも一方が屈曲または湾曲している構成であっても良い。特に、図1に示すような柱状のトランスポンダ31を用いた場合、タイヤの各方向の変形に対して追従することができるので好適である。この実施形態の場合、トランスポンダ31のアンテナ35は、IC基板33の両端部の各々から突出するように備わり、螺旋状を呈している。これにより、走行時におけるタイヤの変形に対して追従することができ、トランスポンダの耐久性を改善することができる。
【0016】
さらに、前述したアンテナの末端間の直線距離を所定の範囲内で適宜変更することにより、通信性をより高めることもできる。アンテナ自体の長さも同様である。
例えば、前述したアンテナの末端間の直線距離は、35mm以上であるのがより好ましく、40mm以上であるのがさらに好ましく、45mm以上であるのがさらに好ましく、50mm以上であるのがさらに好ましい。ここで、この「アンテナの末端間の直線距離」とは、IC基板の両端部に備わるそれぞれのアンテナの末端(IC基板と接続されていない末端)を直線で結んだときの距離(長さ)である。図1の実施形態においては、アンテナ35のそれぞれの末端35aを直線で結んだ距離(Lの長さ)である。
【0017】
[被覆ゴム層]
本発明のタイヤ用積層体は、さらに、前述したトランスポンダを被覆する被覆ゴム層を備える。ここで、この「トランスポンダを被覆する」とは、トランスポンダの露出がないようにその全体を取り囲んで被覆する(トランスポンダの表裏両面を挟むように全体を被覆して積層される)ことを意味する。例えば、図1のようにトランスポンダ31を2つの被覆ゴム層21で挟むように被覆して積層された実施形態などが例示される。そして、この被覆ゴム層の積層および接着には、接着剤を使用しても良い。つまり、2つの被覆ゴム層の間などに接着剤により構成された接着層を配しても良い。なお、図1は部分断面図(模式図)であって、これはトランスポンダ31の側面が露出していることを示しているのではなく、この実施形態でもトランスポンダ31の全体が被覆ゴム層21によって被覆されている。したがって、トランスポンダは、この被覆ゴム層によって被覆されることにより、本発明のタイヤ用積層体に埋設された状態となっている。
【0018】
そして、この被覆ゴム層は、ゴム成分、カーボンブラック、炭酸カルシウムおよびオイルを含む。以下、これらの詳細について説明する。
【0019】
<ゴム成分>
被覆ゴム層に含まれるゴム成分は、特段限定されず、タイヤ等の用途で用いられる公知の任意のゴム成分を使用することができる。限定されるものではないが、タイヤ用積層体とする観点などから、このゴム成分が、ポリマー主鎖に二重結合を有するゴム成分であるジエン系ゴムを含むと好適であり、ジエン系ゴムからなるとさらに好適である。ジエン系ゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(スチレンブタジエンゴム、SBR)、アクリルニトリル-ブタジエン共重合体ゴム(ニトリルゴム、NBR)、クロロプレンゴム(CR)、合成イソプレンゴム(IR)、スチレン-イソプレン共重合体ゴム、イソプレン-ブタジエン共重合体ゴム、スチレン-ブタジエン-ビニルピリジン三元共重合体(VP)などが挙げられ、特に、この被覆ゴム層に含まれるゴム成分がNRまたはSBRを含むと好適である。
しかしながら、オレフィン系ゴム(エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム等)、フッ素ゴム、シリコーンゴムなどのジエン系ゴム以外のゴム成分を使用または併用することも可能である。
【0020】
なお、このジエン系ゴムの重量平均分子量は、50000~3000000であることが好ましく、100000~2000000であることがより好ましい。さらに、上記したジエン系ゴムはいずれも、アミノ基、アミド基、シリル基、アルコキシシリル基、カルボキシ基、ヒドロキシ基等で末端変性されているものや、エポキシ化されているものであっても良い。
ここで、本発明において「重量平均分子量」とは、テトラヒドロフランを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレン換算で測定したものを意味する。また、このGPC測定は、測定器としてカラム(Polymer Laboratories社製、MIXED-B)を使用し、40℃において行う。
【0021】
<カーボンブラック>
被覆ゴム層に含まれるカーボンブラックは、これも特段限定されず、タイヤ等の用途で用いられる公知の任意のカーボンブラックを用いることができる。例えば、カーボンブラックの具体例としては、SAF-HS、SAF、ISAF-HS、ISAF、ISAF-LS、IISAF-HS、HAF-HS、HAF、HAF-LS、FEF、GPF、SRF、FT、MT等の各種グレードのものを使用することができる。そして、このカーボンブラックは、1種を単独で用いても、2種以上を併用しても良い。なお、このカーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、本発明の効果がより発揮され易くなることから、20~50m2/gであるのが好ましく、25~40m2/gであるのがより好ましい。また、このカーボンブラックのDBP吸収量は、これも本発明の効果がより発揮され易くなることから、100mL/100g未満であるのが好ましく、90mL/100g未満であるのがより好ましい。特に、被覆ゴム層に含まれるカーボンブラックが、窒素吸着比表面積(N2SA)が20~50m2/gおよびDBP吸収量が100mL/100g未満のカーボンブラックであるとより好適である。
【0022】
なお、この「カーボンブラック」とは、工業的に品質制御して製造された直径3~500nm程度の炭素微粒子を意味し、その平均粒子径(電子顕微鏡で撮影したこの粒子の直径の算術平均値)は25~250μmであるのがより好ましく、35~100μmであるのがさらに好ましい。また、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、JIS K6217-2:2017に従って測定される値である。さらに、カーボンブラックのDBP吸収量は、JIS K6217-4:2017に従って測定される値である。
【0023】
そして、この被覆ゴム層では、カーボンブラックを、被覆ゴム層に含まれるゴム成分100質量部に対して1~15質量部含む。さらに、このカーボンブラックの量は、上記したゴム成分100質量部に対して5質量部以上であるのがより好ましく、5質量部超であっても良い。なお、このカーボンブラックの量が上記したゴム成分100質量部に対して1質量部未満であると、本発明のタイヤ用積層体の耐久性が悪化するため好ましくない。また、このカーボンブラックの量が上記したゴム成分100質量部に対して15質量部を超えると、トランスポンダの通信性が向上できなくなるため好ましくない。
【0024】
<炭酸カルシウム>
被覆ゴム層に含まれる炭酸カルシウムは、これも特段限定されず、タイヤ等の用途で用いられる公知の任意の炭酸カルシウムを用いることができる。例えば、炭酸カルシウムの具体例としては、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム、表面処理された炭酸カルシウムなどが挙げられる。そして、この炭酸カルシウムは、1種を単独で用いても、2種以上を併用しても良い。なお、この炭酸カルシウムは、本発明の効果がより発揮され易くなることから、軽質炭酸カルシウムまたは表面処理された炭酸カルシウムであるのがより好ましい。特に、ゴム成分への分散性などがより高まり本発明の効果がさらに発揮され易くなることから、脂肪酸金属塩により表面処理された炭酸カルシウム(特に脂肪酸金属塩により表面処理された軽質炭酸カルシウム)であるのがさらに好ましい。
【0025】
なお、この「表面処理された炭酸カルシウム」とは、炭酸カルシウムの表面(粒子表面)が他の成分により処理されることによってこの表面に他の成分が反応あるいは吸着したものである。よって、「脂肪酸金属塩により表面処理された炭酸カルシウム」とは、表面(粒子表面)が脂肪酸金属塩により処理されることによってこの表面に脂肪酸金属塩が反応あるいは吸着した炭酸カルシウムである。
【0026】
脂肪酸金属塩としては、例えば、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸コバルト(II)、ステアリン酸錫(IV)、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸鉛(II)等の飽和脂肪酸塩、オレイン酸亜鉛、オレイン酸カリウム、オレイン酸コバルト(II)、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウムジエタノールアミン塩等の不飽和脂肪酸塩などが挙げられる。これらは1種を単独で表面処理しても、2種以上を併用しても良い。これらの中では、炭酸カルシウム粒子との反応性や、粒子の安定性、分散性、入手のし易さ、コストなどの点からステアリン酸とパルミチン酸を主成分とする混合酸の金属塩(石鹸)が好ましい。
【0027】
そして、この被覆ゴム層では、前述したカーボンブラックとともに、この炭酸カルシウムを、被覆ゴム層に含まれるゴム成分100質量部に対して1~80質量部含む。さらに、この炭酸カルシウムの量は、上記したゴム成分100質量部に対して5質量部以上であるのがより好ましく、10質量部以上であるのがさらに好ましく、30質量部以上であるのがさらに好ましく、55質量部超であるのがさらに好ましい。上限は、70質量部以下であっても良く、60質量部以下であっても良い。これにより、前述したカーボンブラックとの相乗効果によって、埋設されたトランスポンダの通信性および積層体の耐久性をいずれも向上させることができる。この炭酸カルシウムの量が上記したゴム成分100質量部に対して1質量部未満であると、本発明のタイヤ用積層体の耐久性が悪化するため好ましくない。また、この炭酸カルシウムの量が上記したゴム成分100質量部に対して80質量部を超えると、トランスポンダの通信性が向上できなくなるため好ましくない。
【0028】
さらに、この被覆ゴム層では、炭酸カルシウムとカーボンブラックとの相乗効果などがより高まり易いことから、被覆ゴム層における炭酸カルシウムに対するカーボンブラックの質量比(カーボンブラック/炭酸カルシウム)を0.05超とするのがより好ましい。そして、この質量比は0.10以上であるのがさらに好ましく、0.15以上であるのがさらに好ましい。上限は、5.0以下であるのがより好ましく、2.0以下であるのがさらに好ましく、1.5以下であるのがさらに好ましい。
【0029】
<オイル>
被覆ゴム層に含まれるオイルは、これも特段限定されず、タイヤ等の用途で用いられる公知の任意のオイル(プロセスオイル、植物油脂等)を用いることができる。例えば、オイルの具体例としては、石油由来オイル、天然物由来オイル(木材由来オイル等)などが挙げられる。なお、石油由来オイルとしてはTDAE(Treated Distillate Aromatic Extract)オイル(シェルルブリカンツジャパン社製品)などが例示され、木材由来オイルとしては松材由来のトール油(クラフトパルプ製造時に得られるオイル、ハリマ化成グループ社製品)などが例示されるが、これらに限定されるものではない。そして、このオイルも、1種を単独で用いても、2種以上を併用しても良い。
【0030】
そして、この被覆ゴム層では、このオイルを、被覆ゴム層に含まれるゴム成分100質量部に対して1~30質量部含むのが好ましい。さらに、このオイルの量は、上記したゴム成分100質量部に対して5質量部以上であるのがより好ましい。上限は、20質量部以下であるのがより好ましく、10質量部以下であるのがさらに好ましい。
【0031】
なお、この被覆ゴム層は、加硫剤(例えば硫黄など)を含むのが好ましい。そして、この被覆ゴム層は加硫被覆ゴム層とするのが好ましい。また、この被覆ゴム層は、本発明の効果に大きな影響を与えない範囲において、さらに任意成分として、樹脂成分(テルペン樹脂、クマロン樹脂、インデン樹脂、ロジン樹脂等)、酸化亜鉛(亜鉛華)、ステアリン酸、ワックス、レシチン、老化防止剤、可塑剤、加硫促進剤、加硫促進助剤などのゴム組成物等に一般的に使用される各種添加剤を適量含有させることができる。
【0032】
例えば、被覆ゴム層におけるステアリン酸、亜鉛華、および樹脂成分の含有量は、いずれも、被覆ゴム層に含まれるゴム成分100質量部に対して1~5質量部であるのが好ましい。そして、被覆ゴム層における硫黄の含有量は、被覆ゴム層に含まれるゴム成分100質量部に対して2~6質量部であるのが好ましい。さらに、被覆ゴム層における加硫促進剤の含有量は、一次促進剤単独もしくは二次とのブレンドで、被覆ゴム層に含まれるゴム成分100質量部に対して0.3~3.0質量部であるのが好ましく、0.5~2.0質量部であるのがより好ましい。
【0033】
なお、このトランスポンダを被覆している領域における被覆ゴム層の層厚さは、限定されるものではないが、本発明の効果が発揮され易くなることから、0.3~1.5mmであるのが好ましい。ここで、この「トランスポンダを被覆している領域における被覆ゴム層の層厚さ」とは、本発明のタイヤ用積層体に含まれる被覆ゴム層のうち、トランスポンダを被覆している領域におけるその被覆ゴム層1層当たりの層の厚さである。図1の実施形態のようにトランスポンダ31を2つの被覆ゴム層21で挟んで被覆した構成である場合には、この2つの層の合計の層厚さではなく、トランスポンダ31を被覆している領域におけるそれぞれの被覆ゴム層21の1層当たりの層厚さ(トランスポンダ31と、被覆ゴム層21のいずれか一方の外表面と、を結び且つこの外表面と直交する直線上での層厚さ:T1、T2)を意味する。
【0034】
[隣接ゴム層]
本発明のタイヤ用積層体は、さらに、前述した被覆ゴム層の少なくとも一方の面に隣接して積層された隣接ゴム層を備える。例えば、図1のようにトランスポンダ31を被覆している被覆ゴム層21の両面にいずれも隣接ゴム層11が隣接して積層された5層以上の積層体である実施形態や、トランスポンダ31を被覆している被覆ゴム層21の一方の面(片面)に隣接ゴム層11が隣接して積層された4層以上の積層体である実施形態(例えば、図1において隣接ゴム層11のいずれか一方が積層されていない構成)などが例示される。なお、この隣接ゴム層の層厚さは特段限定されない。
ここで、この「隣接して積層された」とは、被覆ゴム層との間に接着層などのゴム層以外の層も含めて他の層を配置しないで積層されたことを意味する。また、「被覆ゴム層の少なくとも一方の面に隣接して」とは、トランスポンダの表裏両面を挟むように全体を被覆して積層されている被覆ゴム層の表面側または裏面側の少なくとも一方の面に隣接することを意味する。
【0035】
そして、この隣接ゴム層は、ゴム成分を含む限り他の配合成分については特段限定されないが、前述した被覆ゴム層と同様の成分が含まれていて良い。また、有機繊維(例えばポリエステル、ナイロン等の有機繊維コード)や金属(例えばスチールコード)などを含む構成であっても良い。ゴム成分についても、前述した被覆ゴム層と同様のものを用いることができる。さらに、この隣接ゴム層も加硫隣接ゴム層とするのが好ましい。なお、本発明のタイヤ用積層体では、被覆ゴム層のカーボンブラック含有量が前述したような範囲内であれば、この隣接ゴム層のカーボンブラック含有量は限定されない。また、この隣接ゴム層は、カーボンブラック以外の無機充填剤がさらに含まれていても良い。この無機充填剤としては、前述した炭酸カルシウムや、シリカ、炭酸マグネシウム、クレイ、マイカ、タルク、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化チタン、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどが挙げられる。
【0036】
例えば、隣接ゴム層におけるカーボンブラックの含有量は、隣接ゴム層に含まれるゴム成分100質量部に対して20~100質量部であるのが好ましい。また、隣接ゴム層におけるステアリン酸、亜鉛華、および樹脂成分の含有量は、いずれも、隣接ゴム層に含まれるゴム成分100質量部に対して1~5質量部であるのが好ましい。さらに、隣接ゴム層における硫黄の含有量は、隣接ゴム層に含まれるゴム成分100質量部に対して2~6質量部であるのが好ましい。さらに、隣接ゴム層における加硫促進剤の含有量は、一次促進剤単独もしくは二次とのブレンドで、隣接ゴム層に含まれるゴム成分100質量部に対して0.3~3.0質量部であるのが好ましく、0.5~2.0質量部であるのがより好ましい。
【0037】
なお、この隣接ゴム層は、本発明のタイヤ用積層体の耐久性を向上し易くする観点から、オイルを含むのが好ましい。このオイルも、前述した被覆ゴム層と同様のものが使用できる。そして、隣接ゴム層では、このオイルを隣接ゴム層に含まれるゴム成分100質量部に対して1~30質量部含むのが好ましい。さらに、このオイルの量は、上記したゴム成分100質量部に対して5質量部以上であるのがより好ましい。上限は、20質量部以下であるのがより好ましく、15質量部以下であるのがさらに好ましい。
【0038】
[オイル抽出量の比]
本発明のタイヤ用積層体は、さらに、被覆ゴム層のオイル抽出量(O1)と、隣接ゴム層のオイル抽出量(O2)と、が下記式(1)の関係を満たすような構成となっている。これにより、製造時(例えば加硫プレス時)や製造後などにおいて、被覆ゴム層と隣接ゴム層との間でオイルのマイグレーションが生じにくくなり、積層体の耐久性を高度に維持できるようになっている。
(1) 0.5≦O1/O2≦2.0
【0039】
なお、本発明の効果がより発揮され易くなることから、この式(1)の下限は0.8以上であるのがより好ましく、1.0以上であるのがさらに好ましい。上限は、1.8以下であるのがより好ましく、1.6以下であるのがさらに好ましい。
ここで、被覆ゴム層のオイル抽出量および隣接ゴム層のオイル抽出量は、いずれも、抽出溶媒としてアセトンを用いたソックスレー抽出法により測定される値である。また、隣接ゴム層がオイルを配合しない組成であっても、わずかではあるが、上記方法によりオイル抽出量(O2)は測定される。したがって、隣接ゴム層は、オイルが配合されていない構成であっても構わない。
【0040】
そして、このような本発明のタイヤ用積層体を用いることにより、トランスポンダが埋設された本発明のタイヤを得ることができる。例えば、いずれも所定のオイル抽出量であるカーカス層(タイヤの骨格を形成するコードを含む層)とインナーライナー層(チューブに相当する層)との間に、所定の被覆ゴム層で被覆されたトランスポンダがタイヤ周方向に沿って延在して埋設されるようにして、前述したような構成の積層体を含む未加硫タイヤを作製し、これを加硫(加硫プレス等)することによって、本発明のタイヤ用積層体を含む本発明のタイヤを製造することができる。しかしながら、トランスポンダの埋設位置はこれに限定されず、タイヤとしての機能を低下させない限りにおいて任意に配置できる。また、被覆ゴム層の一方の面が露出するように配置されても良い。
なお、本発明のタイヤは、空気入りタイヤであることが好ましい。この空気入りタイヤに充填する気体としては、例えば、空気、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス、およびその他の気体を使用することができる。
【0041】
以上のような構成である本発明のタイヤ用積層体および本発明のタイヤは、埋設されたトランスポンダの通信性および積層体の耐久性(つまりタイヤの耐久性)がいずれも優れたものとなっている。
【0042】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において様々な変形が可能である。
【実施例
【0043】
(タイヤの作製および評価)
IC基板とこのIC基板の両端部に備わるアンテナとを有し、且つ、このアンテナの末端間の直線距離が約55mmであるトランスポンダ(RFIDタグ)と、下記表2上段または下記表3上段に示す組成の被覆ゴム層と、下記表1に示す組成の隣接ゴム層と、を用いた図1に示すような積層体を含むタイヤを作製した。
【0044】
具体的には、まず下記表2上段、下記表3上段に示す質量部の各成分(硫黄および加硫促進剤を除く)を用いて混合ゴムを形成した後、これに下記表2上段または下記表3上段に示す硫黄および加硫促進剤を混合して所定のシート状に成形し、未加硫ゴムシート(被覆ゴム層)を作製した。そして、上記したトランスポンダをこれらのいずれかを用いて図1のように被覆した。さらに、下記表1に示す質量部の各成分(硫黄および加硫促進剤を除く)を用いて混合ゴムを形成した後、これに下記表1に示す硫黄および加硫促進剤を混合して所定のシート状に成形し、未加硫ゴムシート(隣接ゴム層)を作製した。そして、これらを用いて下記表2、3に示す組み合わせの積層体となるように積層し且つカーカス層とインナーライナー層との間にトランスポンダが配置されるようにして未加硫タイヤを成形し、加硫温度185℃、加硫時間15分、圧力2.3MPaの条件で加硫を行うことにより、実施例1~12および比較例1~23のタイヤ(空気入りラジアルタイヤ)を製造した。
【0045】
なお、上記した隣接ゴム層のオイル抽出量(O2)および被覆ゴム層のオイル抽出量(O1)は、いずれも、それぞれ抽出溶媒としてアセトンを用いたソックスレー抽出法により測定した。
【0046】
そして、得られた実施例1~12および比較例1~23のタイヤについて、以下のようにしてトランスポンダの通信性およびタイヤの耐久性の評価を行った。
【0047】
<通信性>
各タイヤについて、リーダライタを用いてトランスポンダとの通信作業を実施した。具体的には、リーダライタにおいて出力250mW、搬送波周波数860MHz~960MHzとして通信可能な最長距離を測定した。評価結果は、比較例1を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど通信性が優れていることを意味する。
【0048】
<耐久性>
各タイヤを標準リムのホイールに組み付けて試験車両に装着し、空気圧230kPa、走行速度20km/hの条件で、高さ100mmの縁石に乗り上げるという走行試験を実施した。走行後に、トランスポンダの配置箇所に対応するタイヤ外表面の破損を確認した。この試験を複数回実施し、評価結果は、破損が発生する回数について、比較例1を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど耐久性が優れていることを意味する。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
上記表1~3中における各成分等の詳細な内容は以下の通りである。
・NR:天然ゴム(STR20、ボンバンディット社製)
・SBR:スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(Nipol 1502、日本ゼオン社製)
・カーボンブラック:ニテロン#55S(GPF、窒素吸着比表面積(N2SA):26m2/g、DBP吸収量:88mL/100g、平均粒子径:56μm、日鉄カーボン社製)
・オイル:エキストラクト4号S(TDAEオイル、シェルルブリカンツジャパン社製)
・亜鉛華:酸化亜鉛(ZnO、正同化学工業社製)
・ステアリン酸:ステアリン酸YR(日油社製)
・テルペン樹脂:タッキファイア(ヤスハラケミカル社製)
・硫黄:ミュークロン OT-20(四国化成工業社製)
・加硫促進剤:ノクセラーNS-P(大内新興化学工業社製)
・炭酸カルシウム1:軽質炭酸カルシウム(表面処理なし、丸尾カルシウム社製)
・炭酸カルシウム2:MSK-V(軽質炭酸カルシウムの脂肪酸金属塩による表面処理品、丸尾カルシウム社製)
・オイル抽出量(O2):隣接ゴム層のオイル抽出量(O2)
・O1/O2:被覆ゴム層のオイル抽出量(O1)/隣接ゴム層のオイル抽出量(O2)
【0053】
この結果から、所定のトランスポンダを被覆する被覆ゴム層に所定量のカーボンブラック、所定量の炭酸カルシウム、およびオイルを含有させ、さらに、この被覆ゴム層のオイル抽出量と、これに隣接する隣接ゴム層のオイル抽出量と、の比が所定の範囲内となるようにした積層体を含むタイヤとすることにより、トランスポンダの通信性およびタイヤの耐久性(タイヤ積層体の耐久性)がいずれも優れたトランスポンダ埋設タイヤとなることが示された。
なお、被覆ゴム層が炭酸カルシウムを含まない比較例1~11はタイヤの耐久性が向上せず、また、O1/O2が所定の範囲内ではない比較例1~3、5~6、8~9、11~20、22~23も同様にタイヤの耐久性が向上しなかった。さらに、被覆ゴム層のカーボンブラック含有量が所定量よりも多い比較例1、11および被覆ゴム層の炭酸カルシウム含有量が所定量よりも多い比較例21~23は、トランスポンダの通信性が向上しなかった。
【符号の説明】
【0054】
100 タイヤ用積層体(タイヤ部分断面)
11 隣接ゴム層
21 被覆ゴム層
31 トランスポンダ
33 IC基板
35 アンテナ
35a アンテナ末端
L アンテナの末端間の直線距離
T1、T2 被覆ゴム層の層厚さ
図1