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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】NFCタグ利用者限定サービスシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0207 20230101AFI20241127BHJP
【FI】
G06Q30/0207 352
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020178885
(22)【出願日】2020-10-26
(65)【公開番号】P2022069930
(43)【公開日】2022-05-12
【審査請求日】2023-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】393010396
【氏名又は名称】エヌカント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085224
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 重隆
(72)【発明者】
【氏名】野澤 紀元
【審査官】山崎 雄司
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-098392(JP,A)
【文献】特開2020-166375(JP,A)
【文献】特開2019-102041(JP,A)
【文献】特開2018-163632(JP,A)
【文献】特開2020-064430(JP,A)
【文献】特開2018-064130(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0001921(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗または施設に設置されて、サーバのアドレスが記憶されたタグ側記憶部と、一度あるいは限られた時間もしくは限られた回数だけしか取得リクエストを受け付けない、前記アドレスに対応したワンタイムURLを発行するワンタイムURL作成部とを有したワンタイムURL型NFCタグと、
前記店舗または前記施設の利用者が所持し、かつインターネット回線に接続するための端末側通信部と、近距離無線通信を介して、前記ワンタイムURL型NFCタグのタグ側記憶部に記憶されたデータを読み取るNFCリーダと、ディスプレイとを有した携帯情報端末と、
前記インターネット回線に接続するためのサーバ側通信部と、前記携帯情報端末に提供するサービスが記憶されたサーバ側記憶部とを有したサーバとを備え、
前記ワンタイムURL型NFCタグを利用して、前記店舗または前記施設を訪れた前記利用者が所持する前記携帯情報端末に、前記サーバから前記サービスを提供して前記ディスプレイに表示し
前記ワンタイムURL型NFCタグは、前記店舗または前記施設の異なるタグ設置場所に複数設置され、
前記サーバは、
前記各タグ設置場所に配された前記ワンタイムURL型NFCタグの利用回数をカウントするカウント手段と、
該カウント手段から得られたアクセス数データに基づき、アクセス数の多い前記タグ設置場所に設置された前記ワンタイムURL型NFCタグを利用して前記サーバにアクセスしてきた前記携帯情報端末に対して前記サービスを提供する際に、(a)前記アクセス数の多いタグ設置場所からアクセス数の少ない前記タグ設置場所までの移動ルート情報と、
(b)前記アクセス数の少ないタグ設置場所に設置された前記ワンタイムURL型NFCタグを利用して前記サーバにアクセスすれば、追加の前記サービスを提供するという追加サービス情報と、を付加する利用者誘導手段とを有し、
前記サーバ側記憶部には、それぞれの前記タグ設置場所から他の前記タグ設置場所まで前記利用者を誘導するための前記各移動ルート情報と、前記追加サービス情報とが記憶されたことを特徴とするNFCタグ利用者限定サービスシステム。
【請求項2】
前記サービスは所定のコンテンツで、
該コンテンツは、前記店舗または前記施設を訪れた対価としての来客ポイント、動画または静止画、メッセージ、音楽のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載のNFCタグ利用者限定サービスシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗への来店者や施設への来場者(以下、利用者という場合がある)のみに、ワンタイムURL型NFCタグを利用したサービスを提供するNFCタグ利用者限定サービスシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、店舗への来店者に来店ポイントを付与するサービスシステムとして、例えば、引用文献1のQRコード(登録商標)(バーコードの一種)を利用したものが知られている。
引用文献1は、レジに配置されたQRコード(登録商標)を、来店者がスマートフォンによりカメラ撮影することで、スマートフォンに内蔵されたQRコード(登録商標)リーダがサービス提供サーバのアドレスを読み取り、その後、スマートフォンがインターネットを利用してサーバに自動アクセスし、これを受けたサーバがインターネットを利用してスマートフォンに来店ポイントを付与するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】店舗アプリ「1000kyaku BANRAI」、機能・操作[令和2年10月7日検索]、インターネット<URL:https://1000kyaku.com/function/visit-point/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の従来技術にあっては、このようにレジにQRコード(登録商標)が配置されているため、これをスマートフォンにより一度だけカメラ撮影すれば誰でもコピーすることができ、セキュリティに問題があった。その結果、QRコード(登録商標)を不正に入手した者が、店舗を訪れることなく来店ポイントを取得することが可能であった。
また、スマートフォンに表示された情報のURLをコピーすることも可能であるため、不正取得したURLをインターネット上に拡散できる点もセキュリティ上の大きな課題であった。
【0005】
そこで、発明者は鋭意研究の結果、近距離無線通信の一種であるNFC(Near Field Communication)タグ、特に、一度あるいは限られた時間もしくは限られた回数だけしか取得リクエストを受け付けないワンタイムURLを廉価に発行できるワンタイムURL型NFCタグに着目した。これであれば、携帯情報端末やサーバに高価なワンタイムURLの作成部を設置することなく、NFCタグのセキュリティ上の課題であった、携帯情報端末をNFCタグにかざした際に、履歴に残ったウエブ画面をディスプレイに再表示しても、それを不正に利用することができない。
このようなワンタイムURL型NFCタグを、店舗や施設に配置すれば、実際に足を運んでくれた来店者や来場者のみに、所定のサービス(来店ポイントを含む)を付与することができ、上述した課題はすべて解消可能なことを知見し、この発明を完成させた。
【0006】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みなされたもので、ワンタイムURL型NFCタグを採用したことで、携帯情報端末やサーバに高価なワンタイムURLの作成部を設置することなく、廉価にワンタイムURLを取得することができ、その結果、URLの複製・拡散・偽造が困難で、従来のQRコード(登録商標)等の場合に比べてセキュリティ性が高いとともに、店舗や施設の利用者の来店や来場(再来店、再来場を含む)を促進することができるNFCタグ利用者限定サービスシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、店舗または施設に設置されて、サーバのアドレスが記憶されたタグ側記憶部と、一度あるいは限られた時間もしくは限られた回数だけしか取得リクエストを受け付けない、前記アドレスに対応したワンタイムURLを発行するワンタイムURL作成部とを有したワンタイムURL型NFCタグと、前記店舗または前記施設の利用者が所持し、かつインターネット回線に接続するための端末側通信部と、近距離無線通信を介して、前記ワンタイムURL型NFCタグのタグ側記憶部に記憶されたデータを読み取るNFCリーダと、ディスプレイとを有した携帯情報端末と、前記インターネット回線に接続するためのサーバ側通信部と、前記携帯情報端末に提供するサービスが記憶されたサーバ側記憶部とを有したサーバとを備え、前記ワンタイムURL型NFCタグを利用して、前記店舗または前記施設を訪れた前記利用者が所持する前記携帯情報端末のみに、前記サーバから前記サービスを提供して前記ディスプレイに表示することを特徴とするNFCタグ利用者限定サービスシステムである。
【0008】
ここでいう“NFCタグ利用者限定サービスシステム”とは、店舗の利用者(来客、顧客)または施設の利用者(来場者)への来店または来場を促進するためのものである。
店舗の種類は限定されない。例えば、スーパーマーケット、百貨店、ショッピングモール、個人の店舗などでもよい。
施設の種類は限定されない。例えば、各種のスポーツ施設(アミューズメント施設を含む)、映画館、劇場、図書館、体育館、競技場、美術館、博物館などでもよい。
【0009】
ワンタイムURL付NFC(Near Field Communication)タグとは、ワンタイムURLの発行機能を有し、かつ数メートル以内の近距離無線通信を行うためのRFID(Radio frequency identification)である。
このワンタイムURLとは、一度あるいは限られた時間もしくは限られた回数だけしか取得リクエストを受け付けないメカニズムである。また、このワンタイムURL型NFCタグは、NFCタグの読み取り機能付きの携帯情報端末をNFCタグにかざした際に、サーバに送信される署名を含む一意のURLを作成できるタグである。
【0010】
ここで、NFCタグを利用してワンタイムURLが作成される仕組みの一例を説明する。すなわち、ワンタイムURL発行用のNFCタグの構成の特徴は、ミラーリング(二重化)対象であるUID(固有の識別子)、カウンタ、静的データの一部、タグ改ざんステータス、メッセージ認証コードを個別に構成可能としたセキュアな点である。このような構成のワンタイムURL発行用NFCタグは、携帯情報端末のNFCタグ読み取り装置にかざす都度、タグ内でワンタイムURLが発行される。
もちろん、ワンタイムURLの発行手段(ワンタイムURL作成部)は、これに限定されない。
【0011】
ワンタイムURL型NFCタグは、アンテナと、高周波回路を有したタグ側通信部と、ROMまたはRAMのタグ側記憶部と、CPUを内蔵した制御部と、電源回路の受電部と、ワンタイムURL作成部とを有している。
タグ側記憶部としては、一般的にROMまたはRAMなどが採用されている。ここには、サーバのアドレスなどが記憶される。その他、例えば、店舗や施設の情報などを記憶させてもよい。これにより、携帯情報端末をワンタイムURL型NFCタグにかざした際、この携帯情報端末のディスプレイの画面に、店舗や施設に関連した各種の情報を表示することができる。
【0012】
携帯情報端末としては、例えば、スマートフォン、タブレットなどの携帯可能な端末を採用することができる。携帯情報端末は、各種のコンテンツ(情報)などを画面表示するディスプレイを有している。
NFCリーダとは、近距離無線通信を利用してNFCタグのタグ側記憶部に記憶されたデータを読み取るNFC読み取り装置である。このNFCリーダは、読み取り機能だけでなく書き換え機能を有したNFCリーダライタでもよい。
【0013】
携帯情報端末には、例えば、ROMまたはRAMからなる端末側記憶部が搭載されている。ここには、例えば、利用者が店舗または施設の会員の場合、利用者の会員データなどが記憶される。
端末側通信部としては、インターネット回線に情報通信可能に接続されて、サーバから携帯情報端末へ送信されたサービス情報を受信するとともに、サーバにアクセスした際に、ワンタイムURLや利用者の会員データなどをサーバに送信する機能を有したものであれば限定されない。
【0014】
サーバとしては、例えば、店舗や施設の運営会社、または、この運営会社と提携したサービス提供会社などが管理するものなどを採用することができる。具体的には、例えば、HTTPに則り、クライアントソフトウェアのウェブブラウザに対して、HTMLやオブジェクトの表示を提供するサービスプログラムや、そのサービスが動作する“ウェブサーバ”などを採用することができる。
サーバには、サービスを提供する情報サイトを設けてもよい。この情報サイトは、インターネット回線に接続されたサーバ(クラウドサーバを含む)により運営され、そのデータベースに利用者へのサービスとしての各種コンテンツ(デジタルコンテンツ)などが記憶されている。
コンテンツの種類は限定されない。例えば、来客ポイントを含む各種の電子ポイント、画像(動画、静止画を含む)、文字列(メッセージ等を含む)、音(音楽を含む)、ソフトウエア(ゲーム・データベースなど)といった情報やサービスなどが挙げられる。
来客ポイント(来店ポイント、来場ポイント)とは、店舗を訪れたことへの電子化された報酬としてのポイント(電子ポイント、電子マネー、仮想通貨など)である。例えば、商品交換、現金交換、他の電子ポイント交換が可能なものでも、そうでないものでもよい。
【0015】
また、情報サイトには、店舗や施設の情報、これらに関連したサービス情報の他に、店舗や施設に対する口コミ情報、店舗や施設が販売する商品(サービス)の口コミ情報などを掲載してもよい。情報サイトにその商品などに関連したサービス情報を掲載することで、例えば、メーカや販売会社が利用者に提供する商品またはこれに関連する商品のサービスを告知することができる。さらに、情報サイトに店舗情報や施設情報を掲載することで、例えば、商品を販売する店舗や施設が、利用者に提供したい各種の情報を告知することができる。商品(サービス)の口コミ情報を掲載することで、ユーザ(利用者、消費者)目線の商品情報等を得ることができる。
【0016】
また、利用者が所持する携帯情報端末がサーバにアクセスし(第1のポイント付与条件)、かつその利用者が店舗内または施設内で商品(サービス)を購入した時(第2のポイント付与条件)に、利用者の携帯情報端末に、インターネットを介して、所定の電子ポイントをリアルタイム送信するようにしてもよい。
また、ここいうリアルタイムとは、例えば、店舗のレジにおいて、利用者が商品(サービス)の購入を完了すると略同時を意味する。
【0017】
請求項2に記載の発明は、前記サービスは所定のコンテンツで、該コンテンツは、前記店舗または前記施設を訪れた対価としての来客ポイント、動画または静止画、メッセージ、SNSアカウント、サイトアカウント、音楽のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載のNFCタグ利用者限定サービスシステムである。
【0018】
サービスの提供としては、集客等のための限定メッセージ、その他のコンテンツを配信することができる。また、アイドル、タレント、アーティストの限定コンテンツ(ライブ入場電子チケットを含む)を配信することができる。さらに、各種のセミナー、株主総会、会社説明会の動画などを限定配信することができる。さらにまた、誕生日、結婚式などの特別な日の贈り物に配信することができる。
【0019】
請求項3に記載の発明は、前記ワンタイムURL付NFCタグは、前記店舗または前記施設の異なるタグ設置場所に複数設置され、前記サーバは、前記各タグ設置場所に配された前記ワンタイムURL型NFCタグの利用回数をカウントするカウント手段と、該カウント手段から得られたアクセス数データに基づき、アクセス数の多い前記タグ設置場所に設置された前記ワンタイムURL型NFCタグを利用して前記サーバにアクセスしてきた前記携帯情報端末に対して前記サービスを提供する際に、(a)前記アクセス数の多いタグ設置場所からアクセス数の少ない前記タグ設置場所までの移動ルート情報と、(b)前記アクセス数の少ないタグ設置場所に設置された前記ワンタイムURL型NFCタグを利用して前記サーバにアクセスすれば、追加の前記サービスを提供するという追加サービス情報と、を付加する利用者誘導手段とを有し、前記サーバ側記憶部には、それぞれの前記タグ設置場所から他の前記タグ設置場所まで前記利用者を誘導するための前記各移動ルート情報と、前記追加サービス情報とが記憶されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のNFCタグ利用者限定サービスシステムである。
【0020】
ワンタイムURL型NFCタグを含むNFCタグには、個々のタグを一意に特定するための識別番号または識別データが付与されている(UID:Unique ID)。サーバにおいて、この識別番号などに設置場所の属性を付与することにより、複数存在するNFCタグの設置場所のうち、どの場所のNFCタグを通して利用者が携帯情報端末よりアクセスしてきたのかを、サーバ側で把握(カウント手段によりカウント)することができる。
ワンタイムURL型NFCタグの設置場所の数は、複数であれば任意である。
【0021】
ここでいう移動ルートとは、店舗または施設において、利用者をアクセス数の多いタグ設置場所からアクセス数の少ないタグ設置場所へ誘導するためのルート(経路)である。
移動ルート(情報)の作成方法は限定されない。例えば、サーバが有する各種の入力手段を利用した手作業により、または、あらかじめサーバ側記憶部に記憶された店内通路データを基にして、サーバに設けられた移動ルート作成手段により作成してもよい。移動ルートは、例えば、催し物会場や特売場を通るルート、または、売り上げが少ない商品の陳列場所を通るルートなど、店舗側の意図により自由に設定することができる。
移動ルートの数は限定されない。各タグ設置場所から他のすべてのタグ設置場所までを網羅してもよいし、その一部でもよい。
利用者誘導手段とは、アクセス数が多いタグ設置場所の利用者を、アクセス数の少ないタグ設置場に、特典としての追加のサービスと、移動ルート情報とを利用者の携帯情報端末に送信して提供することで誘導するものである。
追加のサービスは、請求項1のサービスと同一のものでも、異なるものでもよい。
サーバ側記憶部には、携帯情報端末に提供するサービスの他に、各移動ルート情報と、追加サービス情報とが記憶されている。
【発明の効果】
【0022】
本発明の請求項1に記載のNFCタグ利用者限定サービスシステムによれば、店舗または施設を訪れた利用者が、ワンタイムURL型NFCタグに携帯情報端末をかざす(タッチする)。これにより、近距離無線通信を利用してNFCリーダがワンタイムURL型NFCタグのタグ側記憶部に記憶されたサーバのアドレス(URL)を読み取ることで携帯情報端末を自動起動させ、インターネット回線を介して、サーバのアドレスにアクセスする。
その後、サーバから所定のサービスがインターネット回線を介して携帯情報端末に送信され、ディスプレイに表示される。その結果、利用者は実際に店舗または施設を訪れなければ、所定のサービスを取得することができず、店舗や施設の利用者の来店や来場(再来店、再来場を含む)を促進することができる。
【0023】
しかも、NFCタグとして、廉価にワンタイムURLを作成可能なものを採用したため、携帯情報端末やサーバに高価なワンタイムURLの作成部を設置することなく、店舗または施設に配したNFCタグに携帯情報端末(NFCリーダ)をかざす度に、一意のURLをNFCタグから発行することができる。その結果、その後に当該URLをコピーしても当該サービスを取得することができず、URLの複製・拡散・偽造が困難で、従来のQRコード(登録商標)等の場合に比べてセキュリティレベルを高めることができる。
また、ワンタイムURL型NFCタグはデータ取得にカメラを利用しないため、仮にタグ設置場所が暗くても、従来のQRコード(登録商標)の場合とは異なり、サービス提供先のアドレスを読み取れる。
【0024】
特に、請求項2に記載の本発明によれば、例えば、携帯情報端末からインターネット回線を利用してサーバにアクセスすることで、来客ポイント、動画または静止画、メッセージ、SNSアカウント、サイトアカウント、音楽のうち、少なくとも1つのコンテンツを得ることができる。
【0025】
また、請求項3に記載の本発明によれば、店舗または施設の各タグ設置場所に設置された各ワンタイムURL型NFCタグの利用状況(アクセス数)を、NFCタグが所有するユニークIDの機能を利用してカウント手段のカウントにより把握する。
その後、アクセス数の多いタグ設置場所からサーバに携帯情報端末からアクセスがあった際には、利用者誘導手段が作動し、サーバから携帯情報端末へのサービスの送信に伴い、この携帯情報端末に対して、サーバ側記憶に記憶された“アクセス数の多いタグ設置場所からアクセス数の少ないタグ設置場所までの移動ルート情報”と、“追加サービス情報”とを追加送信して、これらもディスプレイに表示する。これにより、アクセス数が多いタグ設置場所の利用者を、アクセス数の少ないタグ設置場所へ誘導することができる。
【0026】
その後、利用者は、ディスプレイに表示された移動ルートを見ながらアクセス数の少ないタグ設置場所まで移動し、そこに設置されたワンタイムURL型NFCタグに携帯情報端末をかざすことで、所定の追加サービスを獲得することができる。
一方、店舗側または施設側は、アクセス数が少ないタグ設置場所の周辺や、そこまでの移動ルートに配された商品、情報を利用者の目に触れさせることができ、新たな購買意欲の促進、新たな情報の提供などを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施例1に係るNFCタグ利用者限定サービスシステムの全体構成図である。
図2】本発明の実施例1に係るNFCタグ利用者限定サービスシステム一部を構成するNFCタグの電気系統のブロック図である。
図3】本発明の実施例1に係るNFCタグ利用者限定サービスシステムを利用してワンタイムURLの発行による利用者限定サービスの提供を示す要部説明図である。
図4】本発明の実施例2に係るNFCタグ利用者限定サービスシステムの全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。
【実施例
【0029】
図1および図2において、10は本発明の実施例1に係るNFCタグ利用者限定サービスシステムで、このNFCタグ利用者限定サービスシステム10は、スーパーマーケットである店舗(施設)に設置されて、サーバ11のアドレスが記憶されたタグ側記憶部12と、一度あるいは限られた時間もしくは限られた回数だけ(ここでは一度だけ)しか取得リクエストを受け付けない、サーバ11のアドレスに対応したワンタイムURLを発行するワンタイムURL作成部13とを有したワンタイムURL型NFCタグ14と、店舗の利用者(顧客)が所持し、かつインターネット回線15に接続するためのスマートフォン側通信部(端末側通信部)16と、近距離無線通信を介して、ワンタイムURL型NFCタグ14のタグ側記憶部12に記憶されたサーバ11のアドレス(データ)を読み取るNFCリーダライタ(NFCリーダ)17とを有したスマートフォン(携帯情報端末)18と、インターネット回線15に接続するためのサーバ側通信部19と、スマートフォン18に提供するサービスが記憶されたサーバ側記憶部(データベース)20とを有したサーバ11とを備えている。
【0030】
以下、これらの構成体を具体的に説明する。
図3に示すように、ワンタイムURL型NFCタグ14は、店舗内の正面玄関近くのタグ設置場所Sに設置されたNFCカード21の中央部に埋め込まれている。ワンタイムURL型NFCタグ14は、ISO/IEC18092で標準化された周波数13.56MHzの近距離無線通信方式のRFID(Radio frequency identification)タグである。ワンタイムURL型NFCタグ14は、パッシブ型無線タグと同様に、スマートフォン18から非接触で供給された電力により動作する。
【0031】
図1および図2のブロック図に示すように、このワンタイムURL型NFCタグ14には、合成樹脂からなる円形のベースシート22の面に、渦巻状のアンテナ23と、タグ側通信部24と、タグ側記憶部12と、タグ側制御部25と、受電部26と、前記ワンタイムURL作成部13とが配設されている。
タグ側通信部(高周波回路)24は、近傍(例えば数m)に存在しているスマートフォン18との近距離無線通信を実行する手段である。
【0032】
タグ側記憶部12は、音楽アーティストの限定ライブの動画(コンテンツ)を配信するための情報サイト27を所有するサーバ(コンテンツサーバ、クラウドサーバ)11のアドレスと、当該タグ14を個体識別するタグ識別データ等を記憶する手段である。
タグ側制御部25は、CPUを内蔵して、ワンタイムURL型NFCタグ14の全体を制御する手段である。
受電部26は、電源回路を有して、タグ側通信部24を通してスマートフォン18からの電力を非接触で受電する手段である。
【0033】
ワンタイムURL作成部13は、ワンタイムURL型NFCタグ14をスマートフォン18のNFCリーダライタ17にかざした際に、サーバ11に送信される署名を含む一意のURLを作成(発行)するためのものである。
このワンタイムURL作成部13は、カウンタ、タグ改ざんステータス、メッセージ認証コードの一部あるいは全てを使用してタッチの都度ユニークなワンタイムURLを発行する構成を有している。
【0034】
ここで、具体的なワンタイムURL作成部13によるワンタイムURLの発行を説明する。
すなわち、スマートフォン18のNFCリーダライタ17をワンタイムURL型NFCタグ14にかざす都度、ワンタイムURL作成部13により、カウンタ、タグ改ざんステータス、メッセージ認証コードの一部あるいは全てが動的に変化することで、ワンタイムURL型NFCタグ14によりワンタイムURLが発行される。
【0035】
図1および図3に示すように、スマートフォン18は、スマートフォン側通信部16を介してインターネット回線15に接続される携帯情報端末の一種で、表示部としてのディスプレイ28と、NFCリーダライタ17と、スマートフォン側記憶部33と、スマートフォン18の電気系統の全体を制御するスマートフォン側制御部34とを有している。
NFCリーダライタ17は、近距離無線通信を介して、ワンタイムURL型NFCタグ14のタグ側記憶部12に記憶されたデータを読み取る。
スマートフォン側制御部34は、CPUを内蔵して、スマートフォン18の全体を制御する手段である。
【0036】
サーバ11は、サーバ側通信部19を介してインターネット回線15に接続され、かつ音楽アーティストのライブ動画の配信会社が運営するクラウド上のサーバ11である。
サーバ11は、サーバ側通信部19と、サーバ側記憶部20と、サーバ側制御部29と、音楽アーティストの限定ライブの動画を配信する情報サイト(動画配信サイト)27と、ワンタイムURLの検証手段30とを有している。
サーバ側記憶部(データベース)20には、音楽アーティストの限定ライブの動画を配信する情報サイト27のコンテンツと、来店ポイント(来客ポイント)とが記憶されている。
サーバ側制御部29は、CPUを内蔵して、サーバ11の全体を制御する手段である。
【0037】
次に、図1図3を参照して、本発明の実施例1に係るNFCタグ利用者限定サービスシステム10を利用し、店舗を訪れた利用者(顧客)のみに、来店ポイントと、音楽アーティストの限定ライブ動画とをそれぞれ提供する方法を説明する。なお、来店ポイントのみ、または、限定ライブ動画のみの付与でもよい。
【0038】
図1および図3に示すように、利用者がスーパーマーケット(店舗)に来店し、所持したスマートフォン18を店内の正面玄関近くに設置されたNFCカード21のワンタイムURL型NFCタグ14にかざす(タッチする)。これにより、スマートフォン18から近距離無線通信を通して発信された電力が、アンテナ23からタグ側通信部24を通して受電部26が受電し、ワンタイムURL型NFCタグ14が作動する(図2を参照)。
その後、図3に示すように、スマートフォン18のNFCリーダライタ17が作動し、近距離無線通信を介して、ワンタイムURL型NFCタグ14のタグ側記憶部12に記憶されたサーバ11のアドレス(URL)を読み取ることで、スマートフォン18を自動起動させ、スマートフォン側通信部26からインターネット回線15を介して、サーバ11のアドレスにアクセスする。
【0039】
その際、ワンタイムURL型NFCタグ14をNFCリーダライタ17にかざす度に、ワンタイムURL作成部13により一意のURLが発行される。
具体的には、スマートフォン(NFCリーダライタ17)18をワンタイムURL型NFCタグ14にかざす都度、ワンタイムURL作成部13により、カウンタ、タグ改ざんステータス、メッセージ認証コードの一部あるいは全てが動的に変化することで、ワンタイムURL型NFCタグ14によりワンタイムURLが発行される。
【0040】
その後、スマートフォン18が、このようにインターネット回線15を介してサーバ11にアクセスすることで、サーバ11はサーバ側通信部19から、インターネット回線15を介して、サーバ側記憶部20に記憶された来店ポイントとライブ動画のデータとをスマートフォン18に送信する。その後、スマートフォン18は、取得した来店ポイントと動画とをディスプレイ28に表示する。
【0041】
このように、NFCタグ利用者限定サービスシステム10では、来店ポイントや所定のコンテンツの取得ツールとしてワンタイムURL型NFCタグ14を採用したため、実際に店舗を訪れなければ、所定のサービスを取得することができず、利用者の来店(再来店を含む)を促進することができる。
しかも、NFCタグとして、廉価にワンタイムURLを作成可能なワンタイムURL型NFCタグ14を採用したため、スマートフォン18やサーバ11に高価なワンタイムURLの作成部を別途設置することなく、店舗に配置したNFCタグ14にスマートフォン18のNFCリーダ17をかざす度に、一意のURLをワンタイムURL型NFCタグ14から発行することができる。これにより、その後に当該URLをコピーしてもサービスを取得することができず、URLの複製・拡散・偽造が困難で、従来のQRコード(登録商標)等の場合に比べてセキュリティレベルを高めることができる。
【0042】
また、ワンタイムURL型NFCタグ14はデータ取得にカメラを利用しないため、仮にタグ設置場所Sが暗くても、従来のQRコード(登録商標)の場合とは異なり、サービス提供先のアドレスを読み取れる。
なお、このアクセス先は、リンク先URLをNFCタグ管理システムのNFCタグ情報管理画面で書き換えることで、コンテンツの配信者がいつでも自由に変更することができる。
【0043】
次に、図4を参照して、本発明の実施例2に係るNFCタグ利用者限定サービスシステムについて説明する。
実施例2のNFCタグ利用者限定サービスシステム10Aは、店舗内に3つのワンタイムURL型NFCタグ14のタグ設置場所S1~S3を配した際に、利用者をアクセス数の多いタグ設置場所S1からアクセス数の少ないタグ設置場所S3まで誘導することで、利用者に新たな商品の購買力を発現させるものである。
【0044】
以下、この実施例2のシステム10Aを具体的に説明する。
各ワンタイムURL付NFCタグ14は、それぞれ個体識別用のタグ識別データを有し、店舗内の正面玄関付近のタグ設置場所S1と、2階のエスカレータ付近のタグ設置場所S2と、裏玄関付近のタグ設置場所S3とに配置されている。サーバ11において、このタグ識別データに設置場所S1~S3の属性を付与することにより、複数存在するワンタイムURL型NFCタグ14の設置場所のうち、どの場所のものを通して利用者がスマートフォン18よりアクセスしてきたのかを、サーバ11側で把握することができる。
【0045】
また、実施例2のサーバ11には、各タグ設置場所S1~S3に配されたワンタイムURL型NFCタグ14の利用回数を、ユニークIDを使用してカウントするカウント手段31と、カウント手段31から得られたアクセス数データに基づき、最もアクセス数が多い正面玄関付近のタグ設置場所S1に設置されたワンタイムURL型NFCタグ14を利用してサーバ11にアクセスしてきたスマートフォン18に、実施例1の来店ポイントやライブ動画などの配信サービスを送信する際、(a)このタグ設置場所S1から最もアクセス数が少ない裏玄関付近のタグ設置場所S3までの移動ルート情報と、(b)追加サービス情報とをサーバ11からスマートフォン18にそれぞれ送信する利用者誘導手段32とが配設されている。
【0046】
なお、ここでの追加サービス情報とは、利用者が、現在位置のタグ設置場所S1から最もアクセス数が少ないタグ設置場所S3まで移動して、そこに設置されたワンタイムURL型NFCタグ14よりサーバ11にアクセスすれば、実施例1のものとは別のライブ動画のデータ(追加のサービス)を提供するという旨の情報である。なお、この別ライブ動画に代えて、追加の来店ポイントとしてもよい。
さらには、サーバ側記憶部20には、それぞれのタグ設置場所S1~S3から他の全てのタグ設置場所Sまで利用者を誘導するための複数の移動ルート情報と、追加サービス情報と、別のライブ動画のデータとが記憶されている。
【0047】
次に、図4を参照して、本発明の実施例2に係るNFCタグ利用者限定サービスシステム10Aを利用し、利用者をアクセス数の多いタグ設置場所S1からアクセス数の少ないタグ設置場所S3まで誘導する方法を説明する。
まず、店舗内の3つのタグ設置場所S1~S3に設置された各ワンタイムURL型NFCタグ14の利用状況(例えば、所定時間または所定期間のアクセス数)を、タグ識別データを利用して、カウント手段31のカウントにより把握する。このとき、アクセス数は、店舗内の正面玄関付近のタグ設置場所S1、2階のエスカレータ付近のタグ設置場所S2、裏玄関付近のタグ設置場所S3の順に多いものとする。
【0048】
その後、アクセス数が最も多い正面玄関付近のタグ設置場所S1のワンタイムURL型NFCタグ14を利用して、サーバ11にスマートフォン18からアクセスがあった際には、サーバ11の利用者誘導手段32が作動し、サーバ11からスマートフォン18へのサービスの送信に伴って、サーバ側記憶部20にそれぞれ記憶された、(a)このタグ設置場所S1からアクセス数が最小の裏玄関付近のタグ設置場所S3までの移動ルート情報と、(b)追加サービス情報とを、インターネット回線15を介してスマートフォン18に追加送信し、これらの情報をディスプレイ28に表示する。
【0049】
これを見て、追加サービスに興味を持った利用者は、ディスプレイ28に表示された移動ルートを見ながらアクセス数の少ないタグ設置場所S3まで移動し、そこに設置されたワンタイムURL型NFCタグにスマートフォン18をかざすことで、別のライブ動画のデータを獲得することができる。なお、同様にして、2番目にアクセス数が多いタグ設置場所S2の利用者を、タグ設置場所S3へ誘導してもよい。
実施例2では、このようにして、最もアクセス数が多いタグ設置場所S1の利用者を、アクセス数の少ないタグ設置場所S3まで誘導することができる。
その結果、店舗側においては、アクセス数が少ないタグ設置場所S3の周辺や、そこまでの移動ルートに配された商品、情報を利用者の目に触れさせることができ、利用者の新たな購買意欲の促進、利用者への新たな情報の提供などを行うことができる。
その他の構成、作用および効果は、実施例1から推測可能な範囲であるため、説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明のNFCタグ利用者限定サービスシステムは、店舗への来店者や施設の利用者のみに、ワンタイムURL型NFCタグを利用したサービスを提供するものとして有用な技術である。
【符号の説明】
【0051】
10,10A NFCタグ利用者限定サービスシステム
11 サーバ
12 タグ側記憶部
13 ワンタイムURL作成部
14 ワンタイムURL型NFCタグ
15 インターネット回線
16 スマートフォン側通信部(端末側通信部)
17 NFCリーダライタ(NFCリーダ)
18 スマートフォン(携帯情報端末)
19 サーバ側通信部
20 サーバ側記憶部
28 ディスプレイ
31 カウント手段
32 利用者誘導手段
S,S1~S3 タグ設置場所
図1
図2
図3
図4