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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】レーザダイオード
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/22 20060101AFI20241127BHJP
   H01S 5/343 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
H01S5/22 610
H01S5/343 610
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021055272
(22)【出願日】2021-03-29
(65)【公開番号】P2022152484
(43)【公開日】2022-10-12
【審査請求日】2023-11-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人東海国立大学機構
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】吉川 陽
(72)【発明者】
【氏名】張 梓懿
(72)【発明者】
【氏名】久志本 真希
(72)【発明者】
【氏名】笹岡 千秋
(72)【発明者】
【氏名】天野 浩
【審査官】百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/121794(WO,A1)
【文献】特開2020-150252(JP,A)
【文献】特開2009-170639(JP,A)
【文献】特開2009-130316(JP,A)
【文献】特開2007-305635(JP,A)
【文献】特開2004-260152(JP,A)
【文献】特開2004-363582(JP,A)
【文献】特開2003-300800(JP,A)
【文献】特開2003-273464(JP,A)
【文献】特開2005-019679(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00 - 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Alを含む窒化物半導体基板と、
前記窒化物半導体基板上に配置される半導体積層部と、
前記半導体積層部の頂部に直接接続された電極と、
を備え、
前記半導体積層部は、
前記窒化物半導体基板上に配置された、第1導電型の窒化物半導体層を含む第1導電型クラッド層と、
前記第1導電型クラッド層上に配置された、一つ以上の量子井戸を含む窒化物半導体で形成された発光層と、
前記発光層上に配置された、第2導電型の窒化物半導体を含む第2導電型クラッド層と、
を有し、
前記半導体積層部の一部は、前記第1導電型クラッド層の一部の面に対して突出したメサ構造であり、
前記メサ構造の前記窒化物半導体基板から最も離れた領域は、前記第2導電型クラッド層を含み、平面視にて長辺と短辺とを有する矩形の第1リッジ領域と、前記第1リッジ領域の長辺のそれぞれと分離溝を隔てて対向する位置に配置された、長辺及び短辺を有する矩形の第2リッジ領域と、を有し、
平面視における前記第2リッジ領域の短辺の長さは、5μm以上12μm以下であり、
前記電極は、前記第1リッジ領域の頂部に直接接続され
レーザダイオード。
【請求項2】
前記第2リッジ領域の前記短辺の長さは、前記メサ構造の前記短辺の方向の長さの20%以上60%以下である
請求項1に記載のレーザダイオード。
【請求項3】
前記分離溝は、少なくとも前記第2導電型クラッド層を露出させる深さを有する
請求項1又は2に記載のレーザダイオード。
【請求項4】
前記分離溝の前記短辺の方向の長さは、9μm以上23μm以下である
請求項1から3のいずれか一項に記載のレーザダイオード。
【請求項5】
前記第2リッジ領域の前記短辺の長さは、前記分離溝の前記短辺の方向の長さよりも短い
請求項1から4のいずれか一項に記載のレーザダイオード。
【請求項6】
平面視において、前記第2リッジ領域の端部は、前記半導体積層部における前記第2リッジ領域の直下の領域の端部のいずれかと重複する
請求項1から5のいずれか一項に記載のレーザダイオード。
【請求項7】
前記半導体積層部は、前記窒化物半導体基板の結晶面(1-100)面に平行な端面を共振ミラー端面とする共振器を有し、<1-100>方向に光を射出する端面発光型レーザダイオードである
請求項1から6のいずれか一項に記載のレーザダイオード。
【請求項8】
前記第2リッジ領域の前記長辺が<1-100>方向に伸びており、
前記半導体積層部の内、前記第2リッジ領域の直下の領域においてのみ、結晶方位<1-100>方向に伸びる転位線を複数備える
請求項1から7のいずれか一項に記載のレーザダイオード。
【請求項9】
前記半導体積層部の内、前記第2リッジ領域の直下の領域における転位線のバーガースベクトルは、<11―20>方向の成分を有している
請求項8に記載のレーザダイオード。
【請求項10】
前記半導体積層部の内、前記第2リッジ領域の直下の領域における前記<1-100>方向に伸びる転位線の数が、前記<1-100>方向以外の方向に伸びる転位線の数よりも多い
請求項8又は9に記載のレーザダイオード。
【請求項11】
前記半導体積層部の内、前記第1リッジ領域の直下の領域においては前記<1-100>方向に伸びる転位線が存在しない
請求項8から10のいずれか一項に記載のレーザダイオード。
【請求項12】
前記半導体積層部の内、前記第1リッジ領域および前記分離溝の直下の領域においては前記<1-100>方向に伸びる転位線が存在しない
請求項8から11のいずれか一項に記載のレーザダイオード。
【請求項13】
前記窒化物半導体基板は、AlN単結晶基板である
請求項1から12のいずれか一項に記載のレーザダイオード。
【請求項14】
前記半導体積層部が、前記基板に対して格子整合に成長するシュードモルフィック成長である
請求項1から13のいずれか一項に記載のレーザダイオード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザダイオードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザダイオードを形成するための材料として窒化物半導体が用いられている。窒化物半導体は、直接遷移の再結合形態を有することから、高い再結合効率および高い光学利得を得ることができる点でレーザダイオードのための材料として適している。このような窒化物半導体が用いられたレーザダイオードの一例として、紫外領域での電流注入型のレーザダイオードを発振させる技術が開示されている(例えば、非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】Zhang et al., Applied Physics Express 12、124003(2019)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した紫外レーザダイオードはパルス駆動であり、実際のアプリケーションへの応用には連続発振が必要とされる。この連続発振には発振閾値電流の低下が必要とされる。レーザダイオードの成膜プロセスや加工プロセスにおいて発光層が緩和することによって、発振閾値電流は著しく悪化(高くなる)する。また、発振閾値電流は、発光層への転位の導入によっても同様に悪化する。
本開示の目的は、発振閾値電流の低いレーザダイオードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本開示の一実施形態に係るレーザダイオードは、Alを含む窒化物半導体基板と、窒化物半導体基板上に配置される半導体積層部と、半導体積層部の頂部に直接接続された電極と、を備え、半導体積層部は、窒化物半導体基板上に配置された、第1導電型の窒化物半導体層を含む第1導電型クラッド層と、第1導電型クラッド層上に配置された、一つ以上の量子井戸を含む窒化物半導体で形成された発光層と、発光層上に配置された、第2導電型の窒化物半導体を含む第2導電型クラッド層と、を有し、半導体積層部の一部は、第1導電型クラッド層の一部の面に対して突出したメサ構造であり、メサ構造の窒化物半導体基板から最も離れた領域は、第2導電型クラッド層を含み、平面視にて長辺と短辺とを有する矩形の第1リッジ領域と、第1リッジ領域の長辺のそれぞれと分離溝を隔てて対向する位置に配置された、長辺及び短辺を有する矩形の第2リッジ領域と、を有し、平面視における第2リッジ領域の短辺の長さは、5μm以上12μm以下であることを特徴とする。
なお、上述した発明の概要は、本開示の特徴の全てを列挙したものではない。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一態様によれば、発振閾値電流の低いレーザダイオードを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の実施形態に係るレーザダイオードの一構成例を示す平面模式図である。
図2】本開示の実施形態に係るレーザダイオードの一構成例を示す断面模式図である。
図3】本開示の実施形態に係るレーザダイオードの他の構成例を示す断面模式図である。
図4】本開示の実施形態に係るレーザダイオードの他の構成例を示す平面模式図である。
図5】本開示の実施形態に係るレーザダイオードの他の構成例を示す断面模式図である。
図6】本開示の実施形態に係るレーザダイオードの他の構成例を示す断面模式図である。
図7】本開示の実施形態に係るレーザダイオードの他の構成例を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態を通じて本開示に係るレーザダイオードを説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0009】
1.実施形態
本開示の実施形態に係るレーザダイオードについて説明する。
(1.1)レーザダイオードの構成
本実施形態に係るレーザダイオードは、Alを含む窒化物半導体基板と、窒化物半導体基板上に配置される半導体積層部と、半導体積層部の頂部に直接接続された電極と、を備えている。半導体積層部は、窒化物半導体基板上に配置された、第1導電型の窒化物半導体層を含む第1導電型クラッド層と、第1導電型クラッド層上に配置された、一つ以上の量子井戸を含む窒化物半導体で形成された発光層と、発光層上に配置された、第2導電型の窒化物半導体を含む第2導電型クラッド層と、を有している。半導体積層部の一部は、第1導電型クラッド層の一部の面に対して突出したメサ構造である。メサ構造の窒化物半導体基板から最も離れた領域は、第2導電型クラッド層を含み、平面視にて長辺と短辺とを有する矩形の第1リッジ領域と、第1リッジ領域の長辺のそれぞれと分離溝を隔てて対向する位置に配置された、長辺及び短辺を有する矩形の第2リッジ領域と、を有している。平面視における第2リッジ領域の短辺の長さは、5μm以上12μm以下となっている。
以下、レーザダイオードの各層について詳細に説明する。
【0010】
(窒化物半導体基板)
窒化物半導体基板(以下、基板と記載することがある)は、Alを含む窒化物半導体を含んでいる。Alを含む窒化物半導体は、例えばAlNである。すなわち、基板はAlN単結晶基板であることが好ましい。また、Alを含む窒化物半導体は、AlNに限定されず、例えばAlGaNであってよい。例えば、基板がAlN、AlGaN等の窒化物半導体単結晶基板である場合、基板の上側に形成される窒化物半導体層との格子定数差が小さくなり、窒化物半導体層を格子整合系で成長させることで貫通転位を少なくできる。
基板の貫通転位密度は、5×10cm-2以下であることが好ましい。特に、発振閾値電流の低減の観点から、貫通転位密度は1×10以上1×10cm-2以下であることがより好ましい。
【0011】
ここで、「窒化物半導体を含む」という表現における「含む」とは、窒化物半導体を主に層内に含むことを意味するが、その他の元素を含む場合もこの表現に含まれる。具体的には、窒化物半導体以外の元素を少量(例えばGa(Gaが主元素でない場合)、In、As、P、またはSb等の元素を数%以下)加える等してこの層の組成に軽微な変更を加える場合についてもこの表現に含まれる。その他の層の組成の表現においても、「含む」という文言は、同様の意味を有する。また、含まれる少量元素については前述の限りではない。
【0012】
また、基板は、ドナー不純物またはアクセプタ不純物によって、n型またはp型にドーピングされてよい。また、基板は、AlN等の窒化物半導体と、サファイア(Al)、Si、SiC、MgO、Ga、ZnO、GaNまたはInNとの混晶であってもよい。
【0013】
基板は、一例として100μm以上600μm以下の層厚を有することが好ましい。
また、面方位はc面(0001)、a面(11-20)、m面(10-10)などが挙げられるが、c面(0001)基板がより好ましい。さらに、c面(0001)法線方向からいくらかの角度(例えば-4°~4°、好ましくは-0.4°~0.4°)に傾いた面上に形成することができるが、これに限らない。
【0014】
(第1導電型クラッド層)
第1導電型クラッド層は、基板上に形成される。ここで、例えば「第1導電型クラッド層は基板上に形成される」という表現における「上に」という文言は、基板の一方の面上に第1導電型クラッド層が形成されることを意味する。また、基板と第1導電型クラッド層との間に別の層がさらに存在する場合も上述の表現に含まれる。その他の層同士の関係においても、「上の」という文言は、同様の意味を有する。例えば、後述する第1導電型導波路層上に電子ブロック層を介して第2導電型クラッド層が形成される場合も、「第2導電型クラッド層は第1導電型導波路層上に形成される」という表現に含まれる。また、本実施形態の説明において、「第1導電型」および「第2導電型」は、それぞれ異なる導電型を示す半導体であることを意味し、例えば、一方がn型導電性である場合は、他方がp型導電性となる。
【0015】
第1導電型クラッド層は、AlおよびGaを含む窒化物半導体の層である。第1導電型クラッド層は、例えばAlGa(1-a)N(0<a<1)により形成される。これにより、深紫外領域のバンドギャップエネルギーに対応する材料を発光層として形成する場合に、発光層の結晶性を高め、発光効率を向上させることが可能となる。高い発光効率を実現する観点から、第1導電型クラッド層を構成する窒化物半導体は、AlNおよびGaNの混晶であることが好ましい。また、基板に対して完全歪で成長させる観点から、第1導電型クラッド層は、AlGa(1-a)N(0.6<a≦0.8)により形成されることがより好ましい。
第1導電型クラッド層は、縦伝導率を制御する目的などから、Al組成が基板から遠ざかるほど増加するような傾斜層であって良い。この場合、上述したAl組成に対する限定は、第1導電型クラッド層内の膜厚方向の位置におけるAl組成を第1導電型クラッド層の膜厚で平均したAl組成とすることができる。
【0016】
第1導電型クラッド層がn型導電性半導体層の場合は、In、P、As、Sb等のN以外のV族元素、C、H、F、O、Mg、Si等の不純物を含んでいてもよいが、不純物の元素の種類としてはこの限りではない。電気抵抗を低減する観点および原料の入手難易度の観点から、第1導電型クラッド層に含まれる不純物はSiであることが好ましく、不純物濃度は5×1018cm-3以上5×1019cm-3であることが好ましい。
【0017】
第1導電型クラッド層は、第1導電型クラッド層内での格子緩和の観点と膜抵抗の観点から、200nm以上800nm以下の層厚を有することが好ましく、300nm以上750nm以下の層厚を有することがより好ましく、300nm以上500nm以下の層厚を有することが更に好ましい。
【0018】
(発光層)
発光層は、AlおよびGaを含む窒化物半導体の層である。発光層が含む窒化物半導体は、高い発光効率を実現する観点から例えばAlN、GaNの混晶であることが好ましく、たとえばAlGa(1-b)N(0<b<1)により形成される。発光層には、Nの他に、P、As、Sb等のN以外のV族元素、C、H、F、O、Mg、Si等の不純物が混入していてよいが、この限りではない。
【0019】
また、発光層は、多重量子井戸構造も単層量子井戸構造も取り得る。第1導電型クラッド層および第2導電型クラッド層の縦伝導率によって異なるが、量子井戸構造の数は好ましくは1から3のいずれかであることが好ましい。
また、発光層の結晶欠陥の影響を低減する目的などから、発光層の一部または全てにSi,Sb,Pなどの元素が1×1015cm-3以上含まれていても良い。
【0020】
(導波路層)
本実施形態のレーザダイオードは、光閉じ込めの観点から、発光層を挟み込むように発光層の上下に形成され、発光層から放出された光を発光層内に閉じ込める効果を有する導波路層を備えていても良い。導波路層は、発光層に対して第1導電型クラッド層側に配置された第1導電型導波路層と、発光層に対して第2導電型クラッド層側に配置された第2導電型導波路層の2層から構成されることが好ましい。
すなわち、本実施形態のレーザダイオードは、例えば、第1導電型クラッド層と発光層との間に配置されて、発光層へ光を閉じ込める第1導電型導波路層と、第2導電型クラッド層と発光層との間に配置されて、発光層へ光を閉じ込める第2導電型導波路層と、を備えていても良い。
【0021】
導波路層は、光閉じ込めの観点から、発光層よりエネルギーの高いバンドギャップを持つAl、Gaを含む窒化物半導体であることが好ましい。導波路層は、デバイス内で定在する光の電界強度分布と発光層の重なりを増大させるAl組成と膜厚とを有することが好ましい。発光層へのキャリア閉じ込めの観点から、発光層をAlGa(1-b)N(0<b<1)とし、導波路層をAlGa(1-c)N(0<c<1)としたとき、b<cであり、c≧b+0.05であることがより好ましい。たとえば発光波長が265nmの発光層を例とした場合、b=0.52であり、cは0.57以上であることが好ましい。また、光閉じ込めと、層抵抗の観点から、第一導電型導波路層と第2導電型導波路層との合計膜厚は、70nm以上150nm以下であることが好ましい。
【0022】
第1導電型導波路層および第2導電型導波路層のAl組成のそれぞれは、膜厚方向において均一であることが好ましいが、この限りではない。後述する第2導電型クラッド層の上方に存在する金属(例えば第2電極)への光吸収を回避するために、第2導電型導波路層のAl組成が第1導電型導波路層のAl組成より高くなっていてもよい。同様の目的で、第2導電型導波路層の膜厚が第1導電型導波路の膜厚より厚くなっていてもよい。
【0023】
第1導電型導波路層がn型導電性半導体層の場合は、第1導電型クラッド層と同じ伝導型を得る目的などからNの他にP、As、Sb等のN以外のV族元素,H、C、O、F、Mg、Si等の不純物が混入していて良いが、この限りではない。
【0024】
(第2導電型クラッド層)
第2導電型クラッド層は、発光層上に形成され、第2導電型の導電性を有するAlおよびGaを含む窒化物半導体層である。第2導電型クラッド層は、例えばAlGa(1-d)N(0<d<1)により形成される。また、発光層上に導波路層(第2導電型導波路層)が設けられている場合には、第2導電型クラッド層は、導波路層(第2導電型導波路層)上に形成される。これにより、第2導電型クラッド層は、発光層または導波路層に対して格子整合が容易であり、貫通転位密度の抑制が可能となる。
【0025】
第2導電型クラッド層は、キャリア(電子または正孔)を発光層へ注入するに足りる導電性を有しており、デバイス内で定在する光モードの電界強度分布と発光層の重なりを増大させる(すなわち光閉じ込めを増大させる)ことが可能であれば、導電型は特に限定されない。第2導電型クラッド層は、たとえばMgをドーピングしたp型AlGaNであってよい。
また、第2導電型クラッド層がp型導電性半導体層の場合は、P、As、Sb等のN以外のV族元素、C、H、F、O、Mg、Si等の不純物が混入していてよいが、不純物の元素の種類としてはこの限りではない。
【0026】
キャリアをより効率よく発光層へ注入する観点から、第2導電型クラッド層は、Al組成eが基板の上面から遠ざかる方向へ減少する様に傾斜したAlGa(1-e)Nで形成された組成傾斜層(第2導電型縦伝導層)と、AlGa(1-f)N(0<f≦1)を含む第2導電型横伝導層とを備えることが好ましい。
以下、第2導電型縦伝導層および第2導電型横伝導層について説明する。
【0027】
(第2導電型縦伝導層)
第2導電型縦伝導層は、第2導電型クラッド層のうちの発光層側の領域を構成する層である。
第2導電型縦伝導層は、AlGa(1-e)Nを含む層である。第2導電型縦伝導層におけるAl組成eのプロファイル(傾斜)は、連続的に減少してもよいし、断続的に減少してもよい。ここで、「断続的に減少する」とは、第2導電型縦伝導層の膜中の一部にAl組成eが同じ(膜厚方向に一定)になっている部分を含むことを意味する。つまり、第2導電型縦伝導層には、基板から遠ざかる方向にAl組成eが減少しない部分が含まれていてもよいが、増加する部分は含まれていない。
【0028】
第2導電型縦伝導層の膜厚は、格子整合の観点から500nm以下であることが好ましい。また、第2導電型縦伝導層の膜厚は、発光層への光閉じ込めおよびキャリア注入の観点から、250nm以上450nm以下であることがより好ましく、300nm以上400nm以下であることがさらに好ましい。
【0029】
第2導電型縦伝導層は、不純物の拡散を抑制する目的などから、第2導電型縦伝導層のうちの発光層に近い領域においてH、Mg、Be、Zn、Si、B等の不純物がドープされていない(意図的に混入されていない)、すなわちアンドープの状態であることが好ましい。ここで、「アンドープ」とは、対象の層を形成する過程で元素として上述した不純物が意図に供給されないことを意味するが、原料、製造装置由来の元素が例えば1×1016cm-3以下の範囲で混入される場合は、この限りではない。また、第2導電型縦伝導層のアンドープ状態の領域は、少なくとも発光層(第2導電型導波路層を備える場合には第2導電型導波路層)との境界を含むが、その大きさは限定されない。例えば、第2導電型縦伝導層の全ての領域がアンドープの状態であってよい。また、別の例として、第2導電型縦伝導層のうち、発光層に近い50%の領域がアンドープの状態であってよい。また、別の例として、第2導電型縦伝導層のうち、発光層に近い約10%の領域がアンドープの状態であってもよい。
【0030】
(第2導電型横伝導層)
第2導電型横伝導層は、第2導電型クラッド層のうちの発光層と反対側の領域を構成する層であり、第2導電型縦伝導層上に形成される。
第2導電型横伝導層は、AlGa(1-f)N(0<f≦1)を含む層である。ここで、第2導電型横伝導層の第2導電型縦伝導層と対向する面におけるAl組成fは、第2導電型縦伝導層のAl組成eの最小値よりも大きいことが好ましい。
第2導電型横伝導層は、第2導電型横伝導層の縦抵抗率を制御する目的などから、H、Mg、Be、Zn、Si、B等の不純物を意図的に混入させていてもよい。混入される不純物の量は、第2導電型横伝導層の表面および内部に誘積される正味の電界量に応じて、一例として、1×1019cm-3以上5×1021cm-3であってよい。
【0031】
第2導電型横伝導層の膜厚は、第2導電型横伝導層を貫通するキャリアの量子透過を容易とする観点から20nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましく、5nm以下であることがさらに好ましい。
【0032】
第2導電型横伝導層の上に後述する第2導電型コンタクト層が設けられる場合、第2導電型横伝導層の第2導電型コンタクト層との界面におけるAl組成は、第2導電型コンタクト層におけるAl組成よりも小さく、かつ基板に対して完全歪であることが好ましい。このような第2導電型横伝導層は、第2導電型横伝導層の表面および表面付近の内部に蓄積される正味内部電界が負となって、界面にキャリアが誘積されることで横伝導率を向上させることができる。
【0033】
このように、第2導電型縦伝導層は、分極ドーピング効果によりキャリア(例えば第2導電型縦伝導層がp型半導体により形成されている場合には正孔)を生成させて、キャリアを効率良く発光層内の活性層に注入する作用を有する。このため、第2導電型縦伝導層が発光層上に設けられることで、レーザダイオードのキャリア注入効率を高め、閾値電圧を低減することができる。
また、第2導電型横伝導層は、電極下部に集中する電界によって狭められるキャリア分布を横方向(第2導電型横伝導層の面内)に広げる効果を有する。この効果により、第2導電型横伝導層は、第2導電型縦伝導層と同様に発光層へのキャリア注入効率を高めることができる。
【0034】
(中間層)
第2導電型クラッド層および導波路の間、すなわち第2導電型縦伝導層と第2導電型導波路層との間には、キャリアの伝導率を向上させる観点かつ/または第2導電型横伝導層および第2導電型コンタクト層を完全歪で形成させるためなどの観点から、基板の上面から遠ざかる方向へAl組成gが増加するようなAlGa(1-g)N(0<g≦1.0)から成る中間層を設けることができる。中間層は、所望する発光波長の光を吸収しないバンドギャップでない混晶であって良く、さらに50nm以下の膜厚であることが好ましく、不純物が含まれていないアンドープ層であって良い。
【0035】
(第2導電型コンタクト層)
本実施形態のレーザダイオードの半導体積層部は、第2導電型クラッド層上に配置された第2導電型コンタクト層を更に備えていても良い。第2導電型コンタクト層を構成する窒化物半導体は、例えばGaN、AlNまたはInNおよび、それらを含む混晶で形成されることが好ましく、GaNを含む窒化物半導体であることがより好ましい。
【0036】
第2導電型コンタクト層は、P、As、Sb等のN以外のV族元素、C、H、F、O、Mg、Si、Be等の不純物が混入していてよい。原料ガスの汎用性から、第2導電型コンタクト層に含まれる不純物はMgであることが好ましい。コンタクト抵抗低減の観点から、Mgの濃度が8×1019cm-3以上5×1021cm-3以下であることが好ましく、5×1020cm-3以上5×1021cm-3以下であることがより好ましい。
【0037】
また、第2導電型コンタクト層の層厚は、1nm以上20nm以下であることが好ましい。第2導電型コンタクト層の層厚が薄いほどレーザダイオードのキャリア注入効率が向上し、層厚が厚いほどキャリア注入効率が低下する。
【0038】
(電子ブロック層)
本実施形態のレーザダイオードの半導体積層部は、発光層よりも上方に、バンドギャップが第2導電型導波路層より大きい電子ブロック層を更に有していても良い。電子ブロック層は、例えば第2導電型導波路層の内部、第2導電型導波路層と発光層との間、または第2導電型導波路層と第2導電型縦伝導層との間に設けることができる。
電子ブロック層の層厚は、電子ブロック層をキャリア(正孔)が量子貫通しやすいように、30nm以下であることが好ましく、20nm以下であることがより好ましく、15nm以下であることがさらに好ましい。
【0039】
(メサ構造とリッジ構造)
メサ構造は、第2導電型層と第1導電型層とを電気的に分離するために形成される。メサ構造は、半導体積層部の一部を除去した構造である。ここで、「半導体積層部」とは、少なくとも第1導電型クラッド層、発光層および第2導電型クラッド層をいい、上述した導波路層(第1導電型導波路層および第2導電型導波路層)、中間層および第2導電型コンタクト層が設けられている場合にはこれらの層も含む。
【0040】
メサ構造は、レーザの電流狭窄および端面における反射による増幅の観点から、平面視において長辺と短辺をそれぞれ有する矩形状であり、長辺が<1-100>方向に伸びていることが好ましい。これは、劈開法やエッチング法などさまざまな方法によってレーザ共振器の共振ミラー端面を得る場合に、原子的に平坦な(1-100)面が最も容易に共振ミラー端面を形成できるためである。ここで、長辺の形成方向は、レーザの共振方向と読み替えることもできる。
つまり、メサ構造は、窒化物半導体基板の結晶面(1-100)面に平行な端面を共振ミラー端面とする共振器を有している。これにより、本実施形態に係るレーザダイオードは、メサ構造が<1-100>方向に光を射出する端面発光型レーザダイオードとなっている。
【0041】
リッジ構造は、メサ構造中において電流をさらに狭窄するために形成される。リッジ構造は、電流を狭窄することによって電流密度を効率的に高めることができる。このため、リッジ構造は、メサ構造と同様に、平面視において長辺と短辺とをそれぞれ有する矩形状であり、長辺が<1-100>方向に伸びていることが好ましい。
【0042】
メサ構造中に複数のリッジ構造を形成する場合、リッジ構造となる領域をマスクで保護し、誘導結合型プラズマ(ICP:Inductively coupled plasma)等でエッチングし、リッジ構造となる領域以外に分離溝を形成することができる。これにより、分離溝で分離された第1リッジ領域と、第2リッジ領域とを形成することができる。このとき、第2リッジ領域の幅(短辺の長さ)は、5μm以上12μm以下であり、5μm以上7μm以下であることが好ましい。
【0043】
このとき、電流を狭窄する観点から、分離溝は少なくとも第2クラッド層まで形成されて、第2クラッド層を露出させる深さを有していることが好ましい。また、第2リッジ領域は、第1リッジ領域と分離溝を隔てて対向する位置に配置されていれば位置および形状は限定されないが、マスクの位置合わせ等、プロセスの観点から、第2リッジ領域の端部が、半導体積層部における第2リッジ領域の直下の領域の端部のいずれかと略重複していることが好ましい。
【0044】
第1リッジ領域は、例えばメサ構造の幅方向(平面視におけるメサ構造の短辺の方向)の中心に1つ形成されていればよい。また、第2リッジ領域は、メサ構造の幅方向に対して第1リッジ領域と平行して2つ以上形成されてもよいし、メサ構造の幅方向に対して第1リッジ領域と平行して第1リッジ領域の長辺の一方と対向する側に1つのみ形成されてもよい。メサ構造の幅方向に対して第1リッジ領域と平行して第1リッジ領域の長辺の一方と対向する側に1つのみ形成される場合は、平面視において第1リッジ領域から見て第2リッジ領域が形成される側に第1電極が形成されて良い。以下、第2リッジ領域が、メサ構造の幅方向に対して第1リッジ領域と平行して2つ以上形成される場合を前提として説明するが、これに限定されない。
第1リッジ領域は、第二電極と直接接触している領域であり、電流を狭窄する機能およびレーザを発振する機能を有する領域である。第2リッジ領域は、メサ構造に誘起される歪を緩和し、転位がメサ構造の端部から内部に延伸することを防ぐ機能を有する。
【0045】
メサ構造は、半導体積層部をエッチングすることで形成できる。この時のエッチング条件により、メサ構造の端面に歪みが導入される。これは、半導体積層部が基板に対して格子整合に成長するシュードモルフィック成長であり、半導体積層部には歪が蓄積されているためである。レーザダイオードの製造工程において、熱処理が実施された場合に、この歪みが解放されることで半導体積層部全体に転位が導入される。この場合、半導体積層部の上方に形成された発光層にも転位が導入されてしまう。このとき、第1リッジ領域に転位が導入された場合、レーザダイオードにおける発振閾値電流が著しく悪化する。このため、第2リッジ領域をメサ構造端部に形成することにより、第2リッジ領域内のみで歪み緩和が起き、第1リッジ領域への転位導入を避けることができる。
【0046】
このとき、歪み緩和の観点から、第2リッジ領域の幅(短辺方向の長さ)は、分離溝の短辺方向の長さよりも短いことが好ましく、メサ構造の幅全体(短辺方向の長さ)の20%以上60%以下であることが好ましく、20%以上35%以下であることがより好ましい。また、分離溝の幅(短辺方向の長さ)は、9μm以上23μm以下であることが好ましく、19μm以上23μm以下であることがより好ましい。
上述したように、第2リッジ領域内で転位を留めることが発振閾値電流の観点で重要である。したがって、第2リッジ領域の直下の領域においてのみ、結晶方位<1-100>方向に伸びる転位線を複数備えることが好ましく、第1リッジ領域の直下の領域においては<1-100>方向に延びる転位線が存在しないことが好ましい。より好ましくは、第1リッジ領域および分離溝の直下の領域においては、<1-100>方向に伸びる転位線が存在しない。さらに、第2リッジ領域の直下の領域における<1-100>方向に伸びる転位線の数が、<1-100>方向以外の方向に延びる転位線の数よりも多いことが好ましい。このとき、第1リッジ領域内部への転位の延伸を防ぐ観点から、第2リッジ領域の直下の領域における転位線のバーガースベクトルが<11―20>方向の成分を有することが好ましい。
【0047】
(電極)
レーザダイオードは、第2導電型クラッド層上に配置された第2電極と、第1導電型クラッド層上に配置された第1電極によって行うことができる。このとき、第1電極は、第1導電型クラッド層と電気に接触するように形成されており、第2電極は、第2導電型クラッド層と電気に接触するように形成されている。
第1電極は、例えば、基板の裏側に電極を配置することができる。また、第1電極は、半導体積層部の第1導電型クラッド層よりも上部の層を例えば化学エッチングまたはドライエッチングによって除去することにより露出した第1導電型クラッド層上に配置される。
【0048】
第1導電型クラッド層がn型クラッド層の場合、第1電極は、Al、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zr等の金属、これらの混晶、または、ITOもしくはGa等の導電性酸化物等により形成される。
第1導電型クラッド層がp型クラッド層の場合、第1電極は、Ni、Au、Pt、Ag、Rh、Pd、Pt、Cu、Al、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Co、Ir、Zr等の金属、これらの混晶、または、ITOもしくはGa等の導電性酸化物等により形成される。
【0049】
第2導電型クラッド層がn型クラッド層の場合、第2電極は、Al、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zr等の金属、これらの混晶、または、ITOもしくはGa等の導電性酸化物等により形成される。
第2導電型クラッド層がp型クラッド層の場合、第2電極は、Ni、Au、Pt、Ag、Rh、Pd、Pt、Cu、Al、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Co、Ir、Zr等の金属、これらの混晶、または、ITOもしくはGa等の導電性酸化物等により形成される。
【0050】
第1電極および第2電極の配置領域および形状は、第1導電型クラッド層と第2導電型クラッド層(第2導電型コンタクト層を備える場合には第2導電型コンタクト層)とのそれぞれと電気的接触が得られていれば限定はされない。
【0051】
(バッファ層)
バッファ層は、基板と、第一導電型クラッド層との間に形成されており、基板の全面に形成されていることが好ましい。バッファ層を備えることにより、バッファ層上には格子定数差及び熱膨張係数差が小さく欠陥の少ない窒化物半導体層が形成される。また、バッファ層を備えることにより、圧縮応力下で第一導電型クラッド層を成長させることができ、第一導電型クラッド層におけるクラックの発生を抑制することができる。このため、基板がAlN又はAlGaN等の窒化物半導体で形成されている場合でも、バッファ層の上方に欠陥の少ない窒化物半導体層を形成することができる。
【0052】
バッファ層は、例えばAlN又はAlGaN等の窒化物半導体で形成される。また、バッファ層には、C,Si,Fe、Mg等の不純物を含んでいても良い。
【0053】
バッファ層は、例えば数μmの厚さを有している。具体的には、バッファ層の厚さは、10nmより厚く10μmより薄いことが好ましい。バッファ層の厚さが10nmより厚い場合、AlN等の窒化物半導体の結晶性が高くなる。また、バッファ層の厚さが10μmより薄い場合、ウエハ全面に結晶成長により形成されたバッファ層にクラックが発生しにくくなる。また、バッファ層は、50nmより厚く5μmより薄いことがより好ましい。バッファ層の厚さが50nmより厚い場合、結晶性の高い層を形成することができる。また、バッファ層の厚さが5μmより薄い場合、バッファ層のクラックがより発生しにくくなる。
【0054】
(1.2)紫外線発光素子の製造方法
本実施形態のレーザダイオードは、基板上に各層を形成する工程を経て製造される。
【0055】
(基板の形成)
基板は、昇華法、ハイドライド気相成長(HVPE:Hydride Vapor Phase Epitaxy)法等の気相成長法および液相成長法等の一般的な基板成長法により形成される。
【0056】
(半導体積層部の形成)
基板上に形成される半導体積層部の各層は、例えば、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法、ハイドライド気相成長(HVPE)法または有機金属気相成長(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法等により形成することができる。
ここで、基板上に形成された各層のうち窒化物半導体の層は、例えばトリメチルアルミニウム(TMAl)を含むAl原料、トリメチルガリウム(TMGa)またはトリエチルガリウム(TEGa)等を含むGa原料、もしくはアンモニア(NH)を含むN原料を用いて形成することができる。
レーザダイオードは、基板上に形成された半導体積層部の各層の不要部分をエッチングによって除去する工程を経て製造される。半導体積層部の各層の不要部分の除去は、例えば誘導結合型プラズマ(ICP)エッチング等で行うことができる。
【0057】
(電極の形成)
また、レーザダイオードは、電極を形成する工程を経て製造され得る。第1電極および第2電極等の電極は、例えば抵抗加熱蒸着、電子銃蒸着またはスパッタ等により形成されるが、これら方法には限定されない。各電極は、単層で形成してもよく、複数層積層して形成してもよい。また、各電極は、層の形成後に酸素、窒素または空気雰囲気等で熱処理が行われてもよい。
最後に、上述した工程を経て各層が形成された基板を、ダイシングにより個片へと分割してレーザダイオードが製造される。
【0058】
2.紫外線発光素子の物性等の測定方法
上述したレーザダイオードの物性等は、以下のようにして測定することができる。
【0059】
(不純物濃度及びドーピング濃度の測定)
レーザダイオードを構成する基板及び半導体積層部の各層に含まれるドーパントや不純物の濃度は、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により測定することができる。
半導体積層部の各層に含まれるドーパントや不純物の濃度を、デバイスに加工された後にSIMSで測定する場合は、化学的なエッチングや物理研磨により電極を除去した状態で測定することができる。また、半導体積層部の各層に含まれるドーパントや不純物の濃度は、電極が形成されていない基板側からスパッタして測定することもできる。
具体的には、エバンス・アナリティカル・グループ(EAG)社が提供する測定条件によりSIMS測定を実施する。測定時の試料のスパッタには、14.5keVのエネルギーを有したセシウム(Cs)イオンビームを用いる。
【0060】
(層厚の測定方法)
レーザダイオードを構成する各層の層厚は、基板に垂直な所定断面を切り出して、この断面を透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)により観察し、TEMの測長機能を使用することで測定できる。測定方法としては、先ず、TEMを用いて、レーザダイオードの基板の主面に対して垂直な断面を観察する。具体的には、例えば、レーザダイオードの基板の主面に対して垂直な断面を示すTEM画像内の、基板の主面に対して平行な方向において2μm以上の範囲を観察幅とする。この観察幅の範囲において、組成の異なる2層の界面にはコントラストが観察されるので、この界面までの厚さを、幅200nmの連続する観察領域で観察する。この200nm幅の観察領域内に含まれる各層の厚さの平均値を、上述した2μm以上の観察幅から任意に抽出した5箇所から算出することで、各層の層厚を得ることができる。
【0061】
(形状の測長方法)
レーザダイオードを構成する各箇所の長さは、基板に垂直な所定断面を切り出して、この断面を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)により観察し、SEMの測長機能を使用することで測定できる。測定方法としては、先ず、SEMを用いて、レーザダイオードの基板の主面に対して垂直な断面を観察する。具体的には、例えば、レーザダイオードの基板の主面に対して垂直な断面を示すSEM画像内の、基板の主面に対して平行な方向において100μm以上の範囲を観察幅とする。この観察幅の範囲において、各所の長さを得ることができる。
【0062】
(緩和の測定方法)
緩和の有無はTEMの格子回折像から算出される格子定数によって得られる。歪はレーザダイオードの各層のa軸の面内方向の格子定数が本来の格子定数からどれだけ変化しているかで表すことができる。基板の格子定数に対して格子定数が同じであれば歪であり、差分があれば緩和といえる。ここでは計算から算出される緩和が20%以上である場合を緩和とする。格子定数の差は格子回折像を各スポットで自動マッピング測定し、解析ソフトによってマッピングとして表示することができる。具体的には東レリサーチセンターの条件を用いて測定を行うことができる。
【0063】
(各層の原子濃度の測定方法)
レーザダイオードを構成する各層に含まれる原子濃度を測定する方法としては、X線回折(XRD:X-Ray Diffraction)法による逆格子マッピング測定(RSM:Reciprocal Space Mapping)が挙げられる。具体的には、非対称面を回折面として得られる回折ピーク近傍の逆格子マッピングデータを解析することにより、下地に対する格子緩和率とAl組成が得られる。回折面としては、例えば(10-15)面や(20-24)面が挙げられる。
また、発光層や傾斜層、各層に形成されたヒロックなどのXRDで十分な反射強度が得られない層や領域は、X線光電分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)、エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X-ray spectroscopy)、及び電子エネルギー損失分光法(EELS:Electron Energy-Loss Spectroscopy)によって測定することができる。
【0064】
EELSでは、電子線が試料を透過する際に失うエネルギーを測定することで、試料の組成を分析する。具体的には、例えば、TEM観察等で使用する薄片化試料において、透過電子線の強度のエネルギー損失スペクトルを測定・解析する。そして、エネルギー損失量20eV付近に現れるピーク位置が、各層の組成に応じて変化することを利用し、ピーク位置から組成を求めることができる。
上述のTEM観察による層厚算出方法と同様にして、観察幅200nmにおけるAl組成の平均値を、2μm以上の観察領域から任意に抽出した5箇所から算出することで、各層のAl組成を得る。
【0065】
EDXでは、上述のTEM観察等で使用する薄片化試料において電子線によって発生する特性X線を測定・解析する。上述のTEM観察による層厚算出方法と同様にして、観察幅200nmにおけるAl組成の平均値を、2μm以上の観察領域から任意に抽出した5箇所から算出することで、各層のAl組成を得る。
【0066】
XPSでは、イオンビームを用いたスパッタエッチングを行いながらXPS測定を行うことで、深さ方向の評価が可能である。イオンビームには一般的にAr+が用いられるが、XPS装置に搭載されたエッチング用イオン銃で照射できるイオンであれば、例えばArクラスターイオンなどの他のイオン種でもよい。Al、Ga、NのXPSピーク強度を測定・解析して各層のAl組成の深さ方向分布を得る。スパッタエッチングの代わりに、基板の主面に対して垂直な断面が拡大されて露出されるようにレーザダイオードを斜め研磨して、露出断面をXPSで測ってもよい。
【0067】
XPSだけでなくオージェ電子分光法(AES:Auger Electron Spectroscopy)を用いても各層の組成を測定できる。この場合、スパッタエッチングあるいは斜め研磨により露出させた断面においてオージェ電子分光法による測定を行うことで、組成を測定できる。また、斜め研磨により露出させた断面に対するSEM-EDX測定によっても、各層の組成を測定できる。
【0068】
(第2リッジ領域における転位線の測定方法)
第2リッジ領域に形成される転位線は、基板の表面に平行な所定断面を切り出して、透過型電子顕微鏡(TEM)により観察することで測定できる。一例として、第1導電型クラッド層を含む第1リッジ領域を含む20μm角以上を観察範囲として含む1次試料を集束イオンビーム法によって基板から切り出して作製する。次に、研磨あるいは集束イオンビーム法によって、1次試料を0.5μm厚まで薄化した2次試料を作製する。2次試料に対し、<0001>晶帯軸入射の電子線による平面TEM像を得る。この過程で、1次試料あるいは1次試料同様の手法で得られた試料を用いて断面TEM像を同時に取得することができる。
【0069】
200kVの印加電圧により10k~20kの倍率によって観察された<0001>晶帯軸入射の平面TEM像を使用して転位を数え上げる。第2リッジ領域の端から第1リッジ領域に向かって20μmまでの領域へと観察領域を移動していき、転位線を観察する。得られた転位線の伸びる方向は視野全体にわたって完全に<1-100>方向に伸びておらず、他の転位線と会合することで本数が増減することがある。従って、転位線数の集計は、メサ構造の側面からメサ内部へ延伸する方向に平行する<1-100>方向に伸びるサンプルリングラインを仮想し、サンプリングラインと転位線の交点の数を、複数のサンプリングラインにおける統計的平均値によって規定する。具体的には、サンプリングラインを1μm以下間隔として20μm視野内において測定個所を移動させながら20回以上測定を行う。この20回以上の平均値を転位数とする。以下、この測定を平面TEM測定という。
【0070】
転位線のバーガースペクトル解析は、さらに逆格子ベクトル<-1100>及び<11-20>の系統反射条件において平面TEM暗視野像を取得し、転位線のコントラストの消滅からバーガースベクトルの方向を特定する。一例として、バーガースベクトルが<11-20>方向の成分を有する場合は、<11-20>の系統反射条件における平面TEM暗視野像では、転位線のコントラストが消失する。
【0071】
(紫外線発光素子の適用分野)
本開示に係るレーザダイオードは、例えば、医療・ライフサイエンス分野、環境分野、産業・工業分野、生活・家電分野、農業分野、その他分野の装置に適用可能である。レーザダイオードは、薬品または化学物質の合成・分解装置、液体・気体・固体(容器、食品、医療機器等)殺菌装置、半導体等の洗浄装置、フィルム・ガラス・金属等の表面改質装置、半導体・FPD(Flat Panel Display)・PCB(Printed Wiring Board)・その他電子品製造用の露光装置、印刷・コーティング装置、接着・シール装置、フィルム・パターン・モックアップ等の転写・成形装置、紙幣・傷・血液・化学物質等の測定・検査装置に適用可能である。
【0072】
液体殺菌装置の例としては、冷蔵庫内の自動製氷装置・製氷皿および貯氷容器・製氷機用の給水タンク、冷凍庫、製氷機、加湿器、除湿器、ウォーターサーバの冷水タンク・温水タンク・流路配管、据置型浄水器、携帯型浄水器、給水器、給湯器、排水処理装置、ディスポーザ、便器の排水トラップ、洗濯機、透析用水殺菌モジュール、腹膜透析のコネクタ殺菌器、災害用貯水システム等が挙げられるが、この限りではない。
【0073】
気体殺菌装置の例としては、空気清浄器、エアコン、天井扇、床面用または寝具用の掃除機、布団乾燥機、靴乾燥機、洗濯機、衣類乾燥機、室内殺菌灯、保管庫の換気システム、靴箱、タンス等が挙げられるが、この限りではない。
固体殺菌装置(表面殺菌装置を含む)の例としては、真空パック器、ベルトコンベヤ、医科用・歯科用・床屋用・美容院用のハンドツール殺菌装置、歯ブラシ、歯ブラシ入れ、箸箱、化粧ポーチ、排水溝のふた、便器の局部洗浄器、便器フタ等が挙げられるが、この限りではない。
【0074】
3.紫外線発光素子の具体例
以下、図1及び図2を参照して、本実施形態のレーザダイオードをより具体的に説明する。なお、以下の各実施形態の各層の詳細な構成は、上述した通りである。
【0075】
(3.1)第1の実施形態
図1および図2は、第1の実施形態にかかるレーザダイオード1を説明するための模式図である。図1は、レーザダイオード1の平面模式図であり、図2はレーザダイオード1の断面模式図である。図1において、<1-100><11-20><0001>はそれぞれ結晶方位を示している。図2は、レーザダイオード1の断面模式図である。
図2に示すように、レーザダイオード1は、基板10と、基板10上に配置される半導体積層部20と、第1電極31と、第2電極32とを備えている。半導体積層部20は、第1導電型クラッド層21と、発光層22と、第2導電型クラッド層23とを有している。半導体積層部20の一部は、メサ構造201並びに第1リッジ領域202及び第2リッジ領域203となっており、第1リッジ領域202と第2リッジ領域203との間には分離溝Gが形成されている。第1リッジ領域202及び第2リッジ領域203は、第2導電型クラッド層23に形成されている。メサ構造201の端面ES(図1参照)は、光共振および射出のための共振器構造となっており、端面ESに垂直な方向(図1中の矢印の方向)にレーザ光が出射する。レーザダイオード1は、第2リッジ領域203の直下の領域にのみ基板10の結晶方位<1-100>方向に伸びる転位線を複数備えている。
【0076】
(3.2)第2の実施形態
図3は、第2の実施形態にかかるレーザダイオード2を説明するための模式図である。図3は、レーザダイオード2の断面模式図である。
レーザダイオード2は、第1導電型導波路層24と、第2導電型導波路層25とを更に備える半導体積層部20Aを有している点で、第1の実施形態に係るレーザダイオード1と相違する。
このようなレーザダイオード2は、発光層22への光閉じ込め効果が向上し、レーザダイオード2の発光強度が向上する。
【0077】
(3.3)第3の実施形態
図4及び図5は、第3の実施形態にかかるレーザダイオード3を説明するための模式図である。図4は、レーザダイオード3の平面模式図であり、図5は、レーザダイオード3の断面模式図である。
レーザダイオード3は、第2導電型クラッド層23上に配置された第2導電型コンタクト層26を備える半導体積層部20Bを有している点で、第2の実施形態に係るレーザダイオード2と相違する。レーザダイオード3において、第1リッジ領域202及び第2リッジ領域203は、第2導電型クラッド層23及び第2導電型コンタクト層26に形成されており、第1リッジ領域202と第2リッジ領域203との間には分離溝Gが形成されている。
このようなレーザダイオード3は、発光層22へのキャリア注入効率が向上し、レーザダイオード3の発光効率が向上する。
【0078】
なお、第2導電型コンタクト層26は、例えば第2実施形態にかかるレーザダイオード2と組み合わされてもよい。すなわち、レーザダイオード2の第2導電型クラッド層23上に第2導電型コンタクト層26が配置されたレーザダイオードであっても良い(不図示)。
【0079】
(3.4)第4の実施形態
図6は、第4の実施形態にかかるレーザダイオード4を説明するための模式図である。図6は、レーザダイオード4の断面模式図である。
レーザダイオード4は、第2導電型縦伝導層23Aと第2導電型横伝導層23Bとで構成された第2導電型クラッド層23及び第2導電型コンタクト層26を備える半導体積層部20Cを有している点で、第1の実施形態に係るレーザダイオード1と相違する。レーザダイオード4において、第1リッジ領域202及び第2リッジ領域203は、第2導電型縦伝導層23A及び第2導電型横伝導層23B、並びに第2導電型コンタクト層26に形成されている。第1リッジ領域202と第2リッジ領域203との間には分離溝Gが形成されている。
このようなレーザダイオード4は、発光層22へのキャリア注入効率が向上し、レーザダイオード4の発光効率が向上する。
【0080】
(3.5)第5の実施形態
図6は、第5の実施形態にかかるレーザダイオード5を説明するための模式図である。図6は、レーザダイオード5の断面模式図である。
レーザダイオード5は、第1導電型導波路層24及び第2導電型導波路層25と、第2導電型縦伝導層23Aと第2導電型横伝導層23Bとで構成された第2導電型クラッド層と、第2導電型縦伝導層23Aと第2導電型導波路層25との間に設けられた中間層27とを備える半導体積層部20Dを有している点で、第1の実施形態に係るレーザダイオード1と相違する。レーザダイオード5において、第1リッジ領域202及び第2リッジ領域203は、第2導電型縦伝導層23A及び第2導電型横伝導層23Bに形成されており、第1リッジ領域202と第2リッジ領域203との間には分離溝Gが形成されている。
このようなレーザダイオード5は、中間層27におけるキャリアの伝導率を向上させつつ、第2導電型横伝導層23B及び第2導電型コンタクト層26を完全歪で形成させることによるキャリアの横伝導率を向上させることができる。
【0081】
4.効果
上述したレーザダイオードは、以下の効果を有する。
(1)レーザダイオードは、メサ構造の頂部に電極が直接接続され、メサ構造の窒化物半導体基板から最も離れた領域に、平面視にて長辺と短辺を有する矩形の第1リッジ領域と、第1リッジ領域の長辺のそれぞれと分離溝を隔てて対向する位置に配置された、長辺及び短辺を有する矩形の第2リッジ領域とを有し、平面視における第2リッジ領域の短辺の長さは5μm以上かつ12μm以下となっている。
これにより、レーザダイオードは、第1リッジ領域内および分離溝への転位の延伸を抑制することができ、電流が著しく悪化する発光層への転位導入を避けることができるため、発振閾値電流を低下させることができる。
【0082】
(2)レーザダイオードの第2リッジ領域の幅(短辺の長さ)は、メサ構造の幅全体(短辺方向の長さ)の20%以上60%以下であることが好ましい。
これにより、発振閾値電流が著しく悪化する発光層内部への転位導入を避けることができるため、発振閾値電流を低下させることができる。
【0083】
(3)レーザダイオードの分離溝は、少なくとも第2導電型クラッド層を露出させる深さを有することが好ましい。
これにより、効率的な電流狭窄ができ、発振閾値電流を低下させることができる。
【0084】
(4)レーザダイオードの分離溝の幅(短辺方向の長さ)は、9μm以上23μm以下であることが好ましい。
これにより、発振閾値電流が著しく悪化する発光層内部への転位導入を避けることができるため、発振閾値電流を低下させることができる。
【0085】
(5)レーザダイオードの第2リッジ領域の短辺の幅(短辺の長さ)は、分離溝の幅(短辺の長さ)よりも短いことが好ましい。
これにより、発振閾値電流が著しく悪化する発光層内部への転位導入を避けることができるため、発振閾値電流を低下させることができる。
【0086】
(6)レーザダイオードの平面視において、第2リッジ領域の端部は、半導体積層部における第2リッジ領域の直下の領域の端部のいずれかと略重複することが好ましい。
これにより簡易な製造工程によってレーザダイオードが形成できる。
【0087】
(7)レーザダイオードの半導体積層部は、窒化物半導体基板の結晶面(1-100)面に平行な端面を共振ミラー端面とする共振器を有し、<1-100>方向に光を射出する端面発光型レーザダイオードであることが好ましい。
これにより、レーザ共振器の共振ミラー端面を原子的に平坦な(1-100)面に形成することになり、共振ミラー端面を容易に形成できる。
【0088】
(8)レーザダイオードの第2リッジ領域の長辺が<1-100>方向に伸びており、半導体積層部の内、第2リッジ領域の直下の領域においてのみ、結晶方位<1-100>方向に伸びる転位線を複数備えることが好ましい。
これにより、発振閾値電流が著しく悪化する発光層内部への転位導入を避けることができるため、発振閾値電流を低下させることができる。
【0089】
(9)レーザダイオードの半導体積層部の内、第2リッジ領域の直下の領域における転位線のバーガースベクトルが<11―20>方向の成分を有していることが好ましい。
これにより、発振閾値電流が著しく悪化する発光層内部への転位導入を避けることができるため、発振閾値電流を低下させることができる。
【0090】
(10)レーザダイオードの半導体積層部の内、第2リッジ領域の直下の領域における<1-100>方向に伸びる転位線の数が、<1-100>方向以外の方向に伸びる転位線の数よりも多いことが好ましい。
これにより、発振閾値電流が著しく悪化する発光層内部への転位導入を避けることができるため、発振閾値電流を低下させることができる。
【0091】
(11)レーザダイオードの半導体積層部の内、第1リッジ領域の直下の領域においては<1-100>方向に伸びる転位線が存在しない。
これにより、発振閾値電流が著しく悪化する発光層内部への転位導入を避けることができるため、発振閾値電流を低下させることができる。
【0092】
(12)レーザダイオードの半導体積層部の内、第1リッジ領域および分離溝の直下の領域においては<1-100>方向に伸びる転位線が存在しないことが好ましい。
これにより、発振閾値電流が著しく悪化する発光層内部への転位導入を避けることができるため、発振閾値電流を低下させることができる。
【0093】
(13)レーザダイオードの窒化物半導体基板がAlN単結晶基板であることが好ましい。
これにより、基板と基板の上側に形成される窒化物半導体層との格子定数差が小さくなり、窒化物半導体層を格子整合系で成長させることで貫通転位を少なくすることができ、安定性の高い窒化物半導体層を形成することができる。
(14)レーザダイオードは、メサ構造の頂部に電極が直接接続され、メサ構造の窒化物半導体基板から最も離れた領域に、平面視にて長辺と短辺を有する矩形の第1リッジ領域と、第1リッジ領域の長辺の一つと分離溝を隔てて対向する位置に配置された、長辺及び短辺を有する矩形の第2リッジ領域とを有し、平面視における第2リッジ領域の短辺の長さは5μm以上かつ12μm以下であってもよい。
これにより、レーザダイオードは、第1リッジ領域内および分離溝への転位の延伸を抑制することができ、電流が著しく悪化する発光層への転位導入を避けることができるため、発振閾値電流を低下させることができる。
また、この場合、第2リッジ領域は平面視にて第1リッジ領域上に配置される電極と、第1導電型クラッド層上に配置される電極に挟まれる位置に配置されていることが好ましい。
これにより、発振閾値電流を効率的に低下させることができる。
【実施例
【0094】
以下、本開示の実施例及び比較例について説明する。
【0095】
[実施例1]
基板として厚さ550μmの(0001)面AlN単結晶基板を用い、この基板に対して有機金属気相成長(MOCVD)装置を用いてアニール処理を行った。アニール処理は、1300℃の環境下において、NH雰囲気中での5分間のアニールおよびH雰囲気中での5分間のアニールを1セットとして、2セットの処理を行った。
【0096】
次に、基板上に、バッファ層としてホモエピタキシャル層であるAlN層を形成した。AlN層は、1200℃の環境下において500nmの厚さで形成した。このとき、III族元素原料ガスの供給レートと窒素原料ガスの供給レートとの比率(V/III比)は50とした。また、アニールを行ったチャンバーの真空度を50mbarとした。このときのAlN層の成長レートは0.5μm/hrであった。また、Al原料としてトリメチルアルミニウム(TMAl)を用いた。また、N原料としてアンモニア(NH)を用いた。
【0097】
上述したように形成したAlN層上に、第1導電型クラッド層を形成した。第1導電型クラッド層は、Siをドーパント不純物として用いたn型AlGaN層(Al:70%、すなわちAl0.70Ga0.30N層)とした。第1導電型クラッド層は、1080℃の温度で、真空度を50mbarに設定し、V/III比を4000とした条件で350nmの厚さで形成した。このときの第1導電型クラッド層の成長レートは0.4μm/hrであった。また、Al原料としてトリメチルアルミニウム(TMAl)を用いた。また、Ga原料としてトリエチルガリウム(TEGa)を用いた。また、N原料としてアンモニア(NH)を用いた。また、Si原料としてモノシラン(SiH)を用いた。
【0098】
続いて、第1導電型クラッド層上に第1導電型導波路層であるn型導波路層を形成した。n型導波路層は、Siをドーパント不純物として用いたn型AlGaN層(Al:63%、すなわちAl0.63Ga0.37N層)とした。n型導波路層は、1080℃の温度で、真空度を50mbarに設定し、V/III比を4000とした条件で60nmの厚さで形成した。このときのn型導波路層の成長レートは0.35μm/hrであった。また、Al原料としてトリメチルアルミニウム(TMAl)を用いた。また、Ga原料としてトリエチルガリウム(TEGa)を用いた。また、N原料としてアンモニア(NH)を用いた。
【0099】
続いて、n型導波路層上に発光層を形成した。発光層は、量子井戸層とバリア層とを3周期積層させた多重量子井戸構造を有するように成膜して形成した。ここで、量子井戸層は、3.0nmの厚さを有するAlGaN層(Al:52%、すなわちAl0.52Ga0.48N層)とした。また、6.0nmの厚さを有するバリア層は、AlGaN層(Al:63%、すなわちAl0.63Ga0.37N層)とした。
発光層は、真空度を50mbarに設定し、V/III比を4000とした条件で形成した。このときの量子井戸層の成長レートは0.18μm/hrであった。また、バリア層の成長レートは0.15μm/hrであった。
【0100】
続いて、発光層上に第2導電型導波路層であるp型導波路層を形成した。p型導波路層は、ドーパントを含まないAlGaN層(Al:63%、すなわちAl0.63Ga0.37N層)とした。p型導波路層は、1080℃の温度で、真空度を50mbarに設定し、V/III比を4000とした条件で60nmの厚さで形成した。このときのp型導波路層の成長レートは0.35μm/hrであった。また、Al原料としてトリメチルアルミニウム(TMAl)を用いた。また、Ga原料としてトリエチルガリウム(TEGa)を用いた。
【0101】
続いて、p型導波路層上に第2導電型クラッド層を形成した。第2導電型クラッド層は、第2導電型縦伝導層と、第2導電型横伝導層とを備える積層構造であり、Al組成比が傾斜するグレーデッド層である。第2導電型縦伝導層は、基板から遠ざかる方向にAl組成が分布をもち、Al=1.0から0.7まで変化する、層厚320nmのAlGaN層とした。また、第2導電型横伝導層は、Al=0.9の層厚2nmのp型AlGaN層とした。第2導電型クラッド層は、1080℃の温度で、真空度を50mbarに設定し、V/III比を4000とした条件で形成した。このときの第2導電型クラッド層の成長レートは0.3~0.5μm/hrであった。また、Al原料としてトリメチルアルミニウム(TMAl)を用いた。また、Ga原料としてトリエチルガリウム(TEGa)を用いた。
【0102】
続いて、第2導電型クラッド層上に第2導電型コンタクト層であるp型コンタクト層を形成した。ここで、pコンタクト層は、AlGaN層とGaN層とにより形成した。AlGaN層は、Mgをドーパント不純物として用い、基板から遠ざかる方向にAl組成が分布をもち、Al=0.7から0.4まで変化する、層厚30nmのp型窒化物半導体層とした。また、GaN層は、10nmの厚さを有するGaN(すなわちAl:0%)で形成した。
【0103】
p型コンタクト層は、950℃の温度で、真空度を150mbarに設定し、V/III比を3650とした条件で形成した。このときのp型コンタクト層の成長レートは0.2μm/hrであった。
【0104】
以上のようにして、AlN基板上に、半導体積層部を形成した。この半導体積層部に対してXRDによる逆格子マッピング測定を実施したところ、半導体積層部はp型コンタクト層まで緩和のないシュードモルフィック成長をしていることが分かった。
【0105】
上述したように形成された半導体積層部に対して、N雰囲気中、700℃で10分以上アニーリングを行うことによって、p型コンタクト層を更に低抵抗化した。ICPを用いてClおよびBClを含むガスによりドライエッチングを行うことによって、n型クラッド層を露出させた。n型クラッド層は、平面視で<1-100>方向に長い矩形の領域に形成した。このとき、ICPの条件は、アンテナ電力が320W、バイアス電力が30W、自動圧力調整(APC:Adaptive Pressure Control valve)が2Pa、プロセス圧力が600Paであり、ガス流量はClガスが20sccm、BClガスが5sccmであった。
【0106】
形成されたメサ構造は<1-100>方向の長さが700μmであり、<11-20>方向の長さが40μmであった。ここで、メサ構造の<1-100>方向の長さは平面視における共振器ミラー端面同士の間の距離であり、<11-20>方向の長さはメサ構造の側面同士の間の距離である。
【0107】
ICPを用いてClおよびBClを含むガスによりドライエッチングを行うことによって、分離溝によって隔てられた第1リッジ領域および第2リッジ領域を形成した。このとき、分離溝は第2導電型クラッド層が露出する深さまでエッチングを行った。このとき、ICPの条件は、アンテナ電力が320W、バイアス電力が30W、自動圧力調整(APC:Adaptive Pressure Control valve)が2Pa、プロセス圧力が600Paであり、ガス流量はClガスが20sccm、BClガスが5sccmであった。
【0108】
形成された第1リッジ領域および第2リッジ領域は、<1-100>方向の長さが700μmであった。また、第1リッジ領域の<11-20>方向の長さは7μmであり、第2リッジ領域の<11-20>方向の長さは5μmであった。第2リッジ領域の端部は、メサ構造の端部と略重複していた。ここで、第1リッジ領域および第2リッジ領域の<1-100>方向の長さは、平面視における共振器ミラー端面同士の間の距離である。また、第1リッジ領域および第2リッジ領域の<11-20>方向の長さは、リッジ構造の側面同士の間の距離である。このとき、分離溝の幅は23μmであり、メサ構造の幅に対する第2リッジ領域の割合は25%であった。
【0109】
第1リッジ領域におけるp型コンタクト層上に、<1-100>方向に長い矩形状にNiおよびAuを順に成膜して電極金属領域を複数形成して第2電極とした。このとき、第2電極の幅は5μmであり、長さは700μmであった。また、メサ構造のn型クラッド層が露出した領域において、<1-100>方向に長い矩形状にV、Al、Ni、Ti及びAuを順に成膜して電極金属領域を複数形成して第1電極とした。さらに、電極金属領域内において、<11-20>方向に複数回劈開させることによって、基板をストライプ状に分割し、個片化されたレーザダイオードを形成した。最終的なメサ構造の<1-100>方向の長さは600μmであった。
【0110】
このようにして得られたレーザダイオードに対して電流注入による電流-端面発光強度測定を実施したところ、閾値電圧は9.0V、発振閾値電流は10kA/cmであった。
このレーザダイオードに対して平面TEM測定を実施したところ、第2リッジ領域内における<1-100>方向に伸びる転位線が観察され、第1リッジ領域および分離溝に転位は観察されなかった。また、第2リッジ領域内における<1-100>方向に伸びる転位線の数は<1-100>方向以外の方向に伸びる転位線より多かった。また、転位線のバーガースベクトルは<11―20>方向の成分を有していた。
【0111】
[実施例2]
第2リッジ領域の幅を7μm、分離溝の幅を19μm、メサ構造の幅に対する第2領域の割合を35%とした以外は実施例1と同様にして実施例2のレーザダイオードを形成した。
このようにして得られたレーザダイオードに対して電流注入による電流-端面発光強度測定を実施したところ、閾値電圧は9.2V、発振閾値電流は10.5kA/cmであった。
【0112】
このレーザダイオードに対して平面TEM測定を実施したところ、第2リッジ領域内における<1-100>方向に伸びる転位線が観察され、第1リッジ領域および分離溝に転位線は観察されなかった。また、第2リッジ領域内における<1-100>方向に伸びる転位線の数は<1-100>方向以外に伸びる転位線より多かった。また、転位線のバーガースベクトルは<11―20>方向の成分を有していた。
【0113】
[実施例3]
第2リッジ領域の幅を9μm、分離溝の幅を15μm、メサ構造の幅に対する第2領域の割合を45%とした以外は実施例1と同様にして実施例3のレーザダイオードを形成した。
このようにして得られたレーザダイオードに対して電流注入による電流-端面発光強度測定を実施したところ、閾値電圧は9.5V、発振閾値電流は11.2kA/cmであった。
【0114】
このレーザダイオードに対して平面TEM測定を実施したところ、第2リッジ領域内における<1-100>方向に伸びる転位線が観察され、第1リッジ領域および分離溝に転位は観察されなかった。また、第2リッジ領域内における<1-100>方向に伸びる転位線の数は<1-100>方向以外に伸びる転位線より多かった。また、転位線のバーガースベクトルは<11―20>方向の成分を有していた。
【0115】
[実施例4]
第2リッジ領域の幅が12μm、分離溝の幅が9μm、メサ構造の幅に対する第2領域の割合は60%であった以外は実施例1と同様にして実施例4のレーザダイオードを形成した。
このようにして得られたレーザダイオードに対して電流注入による電流-端面発光強度測定を実施したところ、閾値電圧は9.7V、発振閾値電流は12.5kA/cmであった。
【0116】
このレーザダイオードに対して平面TEM測定を実施したところ、第2リッジ領域内における<1-100>方向に伸びる転位線が観察され、第1リッジ領域および分離溝に転位は観察されなかった。また、第2リッジ領域内における<1-100>方向に伸びる転位線の数は<1-100>方向以外に伸びる転位線より多かった。また、転位線のバーガースベクトルは<11―20>方向の成分を有していた。
【0117】
[実施例5]
第1リッジの幅が5μm、第2リッジ領域の幅が7μm、分離溝の幅が21μm、メサ構造の幅に対する第2領域の割合は35%であった以外は実施例1と同様にして実施例5のレーザダイオードを形成した。
このようにして得られたレーザダイオードに対して電流注入による電流-端面発光強度測定を実施したところ、閾値電圧は9.3V、発振閾値電流は10.4kA/cmであった。
【0118】
このレーザダイオードに対して平面TEM測定を実施したところ、第2リッジ領域内における<1-100>方向に伸びる転位線が観察され、第1リッジ領域および分離溝に転位は観察されなかった。また、第2リッジ領域内における<1-100>方向に伸びる転位線の数は<1-100>方向以外に伸びる転位線より多かった。また、転位線のバーガースベクトルは<11―20>方向の成分を有していた。
【0119】
[実施例6]
第1リッジの幅が5μm、第2リッジ領域の幅が10μm、分離溝の幅が15μm、メサ構造の幅に対する第2領域の割合は50%であった以外は実施例1と同様にして実施例6のレーザダイオードを形成した。
このようにして得られたレーザダイオードに対して電流注入による電流-端面発光強度測定を実施したところ、閾値電圧は9.6V、発振閾値電流は11.5kA/cmであった。
【0120】
このレーザダイオードに対して平面TEM測定を実施したところ、第2リッジ領域内における<1-100>方向に伸びる転位線が観察され、第1リッジ領域および分離溝に転位は観察されなかった。また、第2リッジ領域内における<1-100>方向に伸びる転位線の数は<1-100>方向以外に伸びる転位線より多かった。また、転位線のバーガースベクトルは<11―20>方向の成分を有していた。
【0121】
[比較例1]
第2リッジ領域の幅が3μm、分離溝の幅が27μm、メサ構造の幅に対する第2領域の割合は15%であった以外は実施例1と同様にして比較例1のレーザダイオードを形成した。
このようにして得られたレーザダイオードに対して電流注入による電流-端面発光強度測定を実施したところ、閾値電圧は10.5V、発振閾値電流は18.0kA/cmであった。
【0122】
このレーザダイオードに対して平面TEM測定を実施したところ、第2リッジ領域内だけでなく、第1リッジ領域および分離溝にも<1-100>方向に伸びる転位線が観察された。また、第2リッジ領域内における<1-100>方向に伸びる転位線の数は<1-100>方向以外に伸びる転位線より多かった。また、転位線のバーガースベクトルは<11―20>方向の成分を有していた。
【0123】
[比較例2]
第2リッジ領域の幅が15μm、分離溝の幅が3μm、メサ構造の幅に対する第2領域の割合は75%であった以外は実施例1と同様にして比較例1のレーザダイオードを形成した。
このようにして得られたレーザダイオードに対して電流注入による電流-端面発光強度測定を実施したところ、閾値電圧は10.4V、発振閾値電流は15.0kA/cmであった。
【0124】
このレーザダイオードに対して平面TEM測定を実施したところ、第2リッジ領域内における<1-100>方向に伸びる転位線が観察され、第1リッジ領域および分離溝に転位は観察されなかった。また、第2リッジ領域内における<1-100>方向に伸びる転位線の数は<1-100>方向以外に伸びる転位線より多かった。また、転位線のバーガースベクトルは<11―20>方向の成分を有していた。
【0125】
[比較例3]
第2リッジ領域および分離溝がない以外は実施例1と同様にして比較例3のレーザダイオードを形成した。
このようにして得られたレーザダイオードに対して電流注入による電流-端面発光強度測定を実施したところ、閾値電圧は10.7V、発振閾値電流は20.0kA/cmであった。
【0126】
このレーザダイオードに対して平面TEM測定を実施したところ、メサ構造端部から第1リッジ領域にも<1-100>方向に伸びる転位線が観察された。また、転位線のバーガースベクトルは<11―20>方向の成分を有していた。
【0127】
以下の表1に、各実施例及び各比較例の評価結果を示す。
【0128】
【表1】
【0129】
表1に示すように、第2リッジ領域の短辺の長さが5μm以上12μm以下である各実施例のレーザダイオードは、第2リッジ領域を設けない比較例3のレーザダイオードと比較して閾値電流及び発振閾値が顕著に低下した。
また、第2リッジ領域の短辺の長さが5μm以上12μm以下である各実施例のレーザダイオードは、第2リッジ領域の短辺の長さがこの範囲外である比較例1,2のレーザダイオードと比較しても閾値電流及び発振閾値が低下した。このとき、分離溝の短辺の長さが9μm以上23μm以下であり、第2リッジ領域の短辺の長さは、メサ構造の短辺の方向の長さの20%以上60%であった。
【0130】
さらに、第2リッジ領域の短辺の長さが5μm以上7μm以下(すなわち分離溝の短辺の長さが19μm以上23μm以下であり、第2リッジ領域の短辺の長さがメサ構造の短辺の方向の長さの20%以上35%以下)である実施例1,2及び5のレーザダイオードは、閾値電流及び発振閾値がさらに低下してレーザダイオードの特性が顕著に向上した。
以上から、発振閾値電流の低いレーザダイオードを得るために、第1リッジ領域の短辺方向において分離溝を隔てて配置された第2リッジ領域を設け、かつ第2リッジ領域の短辺の長さを適切に設定する必要があることがわかった。
【0131】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示の技術的範囲は、上述した実施形態に記載の技術的範囲には限定されない。上述した実施形態に、多様な変更又は改良を加えることも可能であり、そのような変更又は改良を加えた形態も本開示の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0132】
10 基板
20 半導体積層部
21 第1導電型クラッド層
22 発光層
23 第2導電型クラッド層
23A 第2導電型縦伝導層
23B 第2導電型横伝導層
24 第1導電型導波路層
25 第2導電型導波路層
26 第2導電型コンタクト層
27 中間層
31 第1電極
32 第2電極
201 第1導電型クラッド層を含むメサ構造
202 第1導電型クラッド層を含まないメサ構造の第1リッジ領域
203 第1導電型クラッド層を含まないメサ構造の第2リッジ領域
SS メサ構造の側面
ES メサ構造の端面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7