(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】水処理装置、及び水処理方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/78 20230101AFI20241127BHJP
【FI】
C02F1/78
(21)【出願番号】P 2021015109
(22)【出願日】2021-02-02
【審査請求日】2023-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000229128
【氏名又は名称】ベルテクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】田中 義人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕久
(72)【発明者】
【氏名】松井 敏喜
【審査官】相田 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-297679(JP,A)
【文献】特開2000-061479(JP,A)
【文献】特開2010-188315(JP,A)
【文献】特開2011-072939(JP,A)
【文献】特開平07-256277(JP,A)
【文献】特開平07-194952(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/70- 1/78
C02F 1/20- 1/26
C02F 1/30- 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部から被処理水が注水され、前記被処理水を処理した処理水が下部から排出される圧力容器と、
前記圧力容器の内部にオゾンを供給するオゾン供給手段と、
前記被処理水を前記圧力容器に注水する注水手段と、
前記処理水を前記圧力容器から外部に送出する送出手段とを備えた水処理装置であって、
前記オゾン供給手段は、
前記注水手段の管路に接続され、前記オゾンを前記注水手段の前記管路に供給するエジェクターを備え、
前記注水手段は、
前記オゾンの供給によって大気圧よりも高い所定圧力に、前記圧力容器の内圧が加圧されると、前記被処理水を注水するとともに、前記圧力容器の内圧が前記所定圧力よりも高い設定圧力となるように前記被処理水の流量を制御する構成であり、
前記送出手段は、
前記圧力容器の内圧が前記設定圧力の状態において、前記処理水を送出する構成であ
り、
前記注水手段によって前記圧力容器の内圧が前記設定圧力になると、前記処理水を前記注水手段の前記管路に還流させる還流手段を備え、
該還流手段は、
前記処理水の還流を開始してから所定時間経過後、前記処理水の還流を停止し、前記処理水の外部への送出を開始させる構成であり、
前記注水手段は、
前記還流手段による前記処理水の還流が開始される場合、前記管路への前記被処理水の供給を停止する
水処理装置。
【請求項2】
前記注水手段は、
前記圧力容器の内部空間に対して前記被処理水を噴霧する噴霧器を備えた
請求項1に記載の水処理装置。
【請求項3】
前記注水手段は、
前記処理水の流量が目標流量となるように、前記被処理水の流量を制御する構成である
請求項1または請求項2に記載の水処理装置。
【請求項4】
前記注水手段は、
前記還流手段による前記処理水の還流が開始さ
れ、前記管路への前記被処理水の供給を停止し
た場合、前記所定時間経過後、前記管路への前記被処理水の供給を再開する構成である
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の水処理装置。
【請求項5】
前記オゾン供給手段は、
前記所定時間経過後、前記オゾンの供給を停止する構成であり、
前記送出手段は、
前記所定時間経過後、前記被処理水の水位が予め設定された下限水位となるまで前記処理水を外部へ送出する構成である
請求項1または請求項2に記載の水処理装置。
【請求項6】
前記オゾン供給手段は、
前記被処理水の水位が前記下限水位となった場合、前記圧力容器の内部への前記オゾンの供給を再開する構成であり、
前記注水手段は、
前記被処理水の水位が前記下限水位となった場合、前記被処理水の注水を再開する構成であり、
前記還流手段は、
前記注水手段によって前記圧力容器の内圧が前記設定圧力になると、前記処理水の還流を再開する構成である
請求項5に記載の水処理装置。
【請求項7】
開閉弁の開閉で前記圧力容器の内圧を調整する内圧調整手段を備え、
該内圧調整手段は、
前記所定圧力よりも高い前記設定圧力を上回る場合に開弁し、前記設定圧力を下回る場合に閉弁する構成である
請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の水処理装置。
【請求項8】
前記被処理水は、前記オゾンと反応する廃水である
請求項1から請求項7のいずれか1つに記載の水処理装置。
【請求項9】
上部から被処理水が注水され、前記被処理水を処理した処理水が下部から排出される圧力容器と、前記圧力容器の内部にオゾンを供給するオゾン供給手段と、前記被処理水を前記圧力容器に注水する注水手段と、前記処理水を前記圧力容器から外部に送出する送出手段とを備えた水処理方法であって、
前記オゾン供給手段のエジェクターを介して、前記注水手段の管路に前記オゾンを供給するオゾン供給工程と、
前記オゾンの供給によって大気圧よりも高い所定圧力に、前記圧力容器の内圧を加圧する加圧工程と、
前記所定圧力に加圧されると、前記被処理水を注水するとともに、前記圧力容器の内圧が前記所定圧力よりも高い設定圧力となるように前記被処理水の流量を制御する注水工程と、
前記圧力容器の内圧が前記設定圧力の状態において、前記処理水を送出する送出工程とを行
い、
前記注水工程において前記圧力容器の内圧が前記設定圧力になると、前記処理水を前記注水手段の管路に還流させ、
前記処理水の還流を開始してから所定時間経過後、前記処理水の還流を停止し、前記処理水の外部への送出を開始させ、
前記処理水の還流が開始される場合、前記管路への前記被処理水の供給を停止する
水処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばトリクロロエチレンなどの有害物質を含有する被処理水を、オゾンを用いて処理するような水処理装置、及び水処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場などから排出された廃水は、土壌汚染や地下水汚染の要因となる有害物質が含まれているため、水処理装置を用いて浄化している。
例えば、特許文献1には、被処理水が注水された圧力容器の内部に、オゾンを供給して、オゾンと被処理水とを反応させることで、被処理水を浄化する水処理装置が開示されている。
【0003】
さらに、このような水処理装置は、圧力容器の内圧を大気圧よりも高い圧力に加圧することで、被処理水へのオゾンの溶解を促進し、処理効率の向上を図っている。例えば、特許文献1では、被処理水が貯留された圧力容器の内部に、オゾンを0.1MPa~0.3MPaの供給圧力で供給することで、圧力容器の内部を大気圧以上に加圧している。
【0004】
ところが、一般的にオゾンの供給圧力には上限があるため、特許文献1の水処理装置では、オゾンの供給圧力以上に圧力容器の内圧を加圧することができない。このため、特許文献1では、被処理水にオゾンを効率よく溶解させられないおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の問題に鑑み、被処理水を効率よく処理できる水処理装置、及び水処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上部から被処理水が注水され、前記被処理水を処理した処理水が下部から排出される圧力容器と、前記圧力容器の内部にオゾンを供給するオゾン供給手段と、前記被処理水を前記圧力容器に注水する注水手段と、前記処理水を前記圧力容器から外部に送出する送出手段とを備えた水処理装置であって、前記オゾン供給手段は、前記注水手段の管路に接続され、前記オゾンを前記注水手段の前記管路に供給するエジェクターを備え、前記注水手段は、前記オゾンの供給によって大気圧よりも高い所定圧力に、前記圧力容器の内圧が加圧されると、前記被処理水を注水するとともに、前記圧力容器の内圧が前記所定圧力よりも高い設定圧力となるように前記被処理水の流量を制御する構成であり、前記送出手段は、前記圧力容器の内圧が前記設定圧力の状態において、前記処理水を送出する構成であり、前記注水手段によって前記圧力容器の内圧が前記設定圧力になると、前記処理水を前記注水手段の前記管路に還流させる還流手段を備え、該還流手段は、前記処理水の還流を開始してから所定時間経過後、前記処理水の還流を停止し、前記処理水の外部への送出を開始させる構成であり、前記注水手段は、前記還流手段による前記処理水の還流が開始される場合、前記管路への前記被処理水の供給を停止することを特徴とする。
【0008】
上記被処理水を処理した処理水とは、例えば工場から排出された廃水などの被処理水を、オゾンとの反応によって浄化した液体であって、廃棄される廃液、再利用される液体、あるいは自然界に放出される液体などのことをいう。もしくは、洗浄用水などの被処理水にオゾンを溶解させたオゾン水のことをいう。
【0009】
この発明によれば、水処理装置は、エジェクターによってオゾンを被処理水とともに圧力容器の内部に供給できるため、オゾンの供給圧力を高くすることなく、圧力容器の内部にオゾンを充填させることができる。
【0010】
さらに、オゾンが充填された圧力容器の上部から下部へ向けて被処理水が注入されるため、水処理装置は、圧力容器の内部空間に充填されたオゾンと被処理水とを接触させながら、被処理水を貯留することができる。このため、水処理装置は、被処理水にオゾンを効率よく溶解させることができる。
【0011】
この際、水処理装置は、被処理水の水位上昇に伴って、圧力容器の内圧を所定圧力以上に加圧することができる。換言すると、水処理装置は、オゾン供給手段によるオゾンの供給圧力以上に圧力容器の内圧を加圧することができる。このため、水処理装置は、圧力容器の内圧が所定圧力の場合に比べて、被処理水にオゾンを効率よく溶解させることができる。
【0012】
さらに、注水手段によって圧力容器の内圧が設定圧力に維持されるため、水処理装置は、例えば、被処理水の注水と処理水の排水とを同時に行う場合であっても、圧力容器の圧力変動を抑えることができる。
これにより、水処理装置は、被処理水が貯留された圧力容器にオゾンを供給して加圧する場合に比べて、より多くの被処理水を効率よく処理することができる。
【0013】
また、前記注水手段によって前記圧力容器の内圧が前記設定圧力になると、前記処理水を前記注水手段の前記管路に還流させる還流手段を備え、該還流手段は、前記処理水の還流を開始してから所定時間経過後、前記処理水の還流を停止し、前記処理水の外部への送出を開始させる構成であり、前記注水手段は、前記還流手段による前記処理水の還流が開始される場合、前記管路への前記被処理水の供給を停止する構成であるため、所定時間だけ被処理水を循環させることで、水処理装置は、圧力容器の被処理水にオゾンを予め十分に溶解させることができるため、被処理水を安定して処理することができる。
【0014】
この発明の態様として、前記注水手段は、前記圧力容器の内部空間に対して前記被処理水を噴霧する噴霧器を備えてもよい。
この構成によれば、水処理装置は、圧力容器に充填されたオゾンと、被処理水との接触面積をより増加させることができる。このため、水処理装置は、被処理水にオゾンをより効率よく溶解させることができる。
【0015】
またこの発明の態様として、前記注水手段は、前記処理水の流量が目標流量となるように、前記被処理水の流量を制御する構成であってもよい。
この構成によれば、水処理装置は、注水手段及び送出手段がそれぞれ流量を制御する場合に比べて、被処理水の水位を簡素な構成で調整することができる。つまり、水処理装置は、圧力容器の内圧を設定圧力に加圧した状態を、簡素な構成で維持することができる。
【0016】
またこの発明の態様として、前記注水手段は、前記還流手段による前記処理水の還流が開始され、前記管路への前記被処理水の供給を停止した場合、前記所定時間経過後、前記管路への前記被処理水の供給を再開する構成であってもよい。
【0017】
この構成によれば、前記注水手段は、前記還流手段による前記処理水の還流が開始され、前記管路への前記被処理水の供給を停止した場合、所定時間経過後、注水手段による被処理水の注水と、送出手段による処理水の送出とを再開するため、水処理装置は、注水手段による被処理水の注水と、送出手段による処理水の送出とを同時に行うことができる。
これにより、水処理装置は、被処理水を効率よく、かつ連続して処理することができる。
【0018】
またこの発明の態様として、前記オゾン供給手段は、前記所定時間経過後、前記オゾンの供給を停止する構成であり、前記送出手段は、前記所定時間経過後、前記被処理水の水位が予め設定された下限水位となるまで前記処理水を外部へ送出する構成であってもよい。
【0019】
この構成によれば、水処理装置は、圧力容器から排出される処理水を、被処理水として循環させて、オゾンを繰返し溶解させることができる。このため、水処理装置は、被処理水を循環させることなく外部に送出する場合に比べて、被処理水をより確実に処理できるとともに、所望される品質の処理水を確実に得ることができる。例えば、被処理水がオゾンに反応する廃水の場合、水処理装置は、廃水をより確実に浄化して、外部に送出することができる。
【0020】
またこの発明の態様として、前記オゾン供給手段は、前記被処理水の水位が前記下限水位となった場合、前記圧力容器の内部への前記オゾンの供給を再開する構成であり、前記注水手段は、前記被処理水の水位が前記下限水位となった場合、前記被処理水の注水を再開する構成であり、前記還流手段は、前記注水手段によって前記圧力容器の内圧が前記設定圧力になると、前記処理水の還流を再開する構成であってもよい。
この構成によれば、水処理装置は、所定量の被処理水を入れ替えながら、被処理水を連続処理することができる。
【0021】
またこの発明の態様として、開閉弁の開閉で前記圧力容器の内圧を調整する内圧調整手段を備え、該内圧調整手段は、前記所定圧力よりも高い前記設定圧力を上回る場合に開弁し、前記設定圧力を下回る場合に閉弁する構成であってもよい。
【0022】
この構成によれば、水処理装置は、注水手段によって圧力容器の内圧を維持する場合に比べて、圧力容器の内圧をより安定して維持することができる。このため、水処理装置は、被処理水にオゾンをより効率よく溶解させることができる。
【0023】
またこの発明の態様として、前記被処理水は、前記オゾンと反応する廃水であってもよい。
この構成によれば、水処理装置は、廃水にオゾンを効率よく溶解できるため、廃水を効率よく浄化することができる。
【0024】
またこの発明は、上部から被処理水が注水され、前記被処理水を処理した処理水が下部から排出される圧力容器と、前記圧力容器の内部にオゾンを供給するオゾン供給手段と、前記被処理水を前記圧力容器に注水する注水手段と、前記処理水を前記圧力容器から外部に送出する送出手段とを備えた水処理方法であって、前記オゾン供給手段のエジェクターを介して、前記注水手段の管路に前記オゾンを供給するオゾン供給工程と、前記オゾンの供給によって大気圧よりも高い所定圧力に、前記圧力容器の内圧を加圧する加圧工程と、前記所定圧力に加圧されると、前記被処理水を注水するとともに、前記圧力容器の内圧が前記所定圧力よりも高い設定圧力となるように前記被処理水の流量を制御する注水工程と、前記圧力容器の内圧が前記設定圧力の状態において、前記処理水を送出する送出工程とを行い、前記注水工程において前記圧力容器の内圧が前記設定圧力になると、前記処理水を前記注水手段の管路に還流させ、前記処理水の還流を開始してから所定時間経過後、前記処理水の還流を停止し、前記処理水の外部への送出を開始させ、前記処理水の還流が開始される場合、前記管路への前記被処理水の供給を停止することを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、水処理方法は、被処理水が貯留された圧力容器にオゾンを供給して加圧する場合に比べて、より多くの被処理水を効率よく処理することができる。
【0026】
また、前記注水工程において前記圧力容器の内圧が前記設定圧力になると、前記処理水を前記注水手段の管路に還流させ、前記処理水の還流を開始してから所定時間経過後、前記処理水の還流を停止し、前記処理水の外部への送出を開始させ、前記処理水の還流が開始される場合、前記管路への前記被処理水の供給を停止するため、所定時間だけ被処理水を循環させることで、水処理装置は、圧力容器の被処理水にオゾンを予め十分に溶解させることができるため、被処理水を安定して処理することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明により、被処理水を効率よく処理できる水処理装置、及び水処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】実施例1における水処理装置の構成を示す構成図。
【
図4】連続処理モードにおける処理動作を示すフローチャート。
【
図5】オゾン供給工程でのオゾンの流れを説明する説明図。
【
図6】注水工程でのオゾン及び被処理水の流れを説明する説明図。
【
図7】圧力調整弁制御処理における処理動作を示すフローチャート。
【
図8】循環工程でのオゾン、被処理水、及び処理水の流れを説明する説明図。
【
図9】送出工程でのオゾン、被処理水、及び処理水の流れを説明する説明図。
【
図10】流量制御処理における処理動作を示すフローチャート。
【
図11】実施例2の循環処理モードにおける処理動作を示すフローチャート。
【
図12】送出工程での処理水の流れを説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
【実施例1】
【0030】
実施例1の水処理装置1は、例えば、工場などから排出された廃水にオゾンを反応させて浄化したのち、浄化した廃水を外部に送出する装置である。このような水処理装置1について、
図1から
図3を用いて説明する。
【0031】
なお、実施例1では、廃水を被処理水とし、浄化した廃水を処理水として説明する。
また、
図1は実施例1における水処理装置1の構成図を示し、
図2は水処理装置1のブロック図を示し、
図3は監理画面300の概略を説明する説明図を示している。
【0032】
水処理装置1は、
図1に示すように、上下方向に長い内部中空の金属製密閉容器である圧力容器2と、圧力容器2に設けた水位計3及び容器圧力計4と、圧力容器2の内圧を調整する内圧調整部5とを備えている。
【0033】
さらに、水処理装置1は、
図1に示すように、圧力容器2の内部にオゾンを供給するオゾン供給部6と、圧力容器2の内部に被処理水を供給する給水部7と、圧力容器2の処理水を外部に送出する送出部8と、処理水を給水部7に還流する還流部9とを備えている。
【0034】
そして、水処理装置1は、
図1及び
図2に示すように、作業者の操作を受け付けるとともに、上述した各部の動作を制御する制御装置10を備えている。
なお、本実施例では外部に送出された処理水は廃棄されるが、処理水によっては再利用する、あるいは自然界に放出されてもよい。
【0035】
圧力容器2は、例えばステンレス製の密閉容器であって、大気圧よりも高い圧力に耐えられるように形成されている。この圧力容器2は、
図1に示すように、上部にオゾン供給部6及び給水部7が接続され、下部に送出部8が接続されている。
【0036】
このような圧力容器2の内部には、上部空間にオゾンが充填され、下部空間にオゾンが溶解した被処理水、及びオゾンと反応して浄化された被処理水である処理水が貯留される。
【0037】
また、水位計3は、
図1に示すように、圧力容器2の内部に貯留された被処理水及び処理水の水位を検出している。この水位計3は、
図2に示すように、制御装置10(後述する制御部14)に接続され、検出した水位を示す信号を制御装置10に出力している。
【0038】
また、容器圧力計4は、
図1に示すように、圧力容器2の内部における上部空間の圧力(以下、圧力容器2の内圧と呼ぶ)を検出している。さらに、容器圧力計4は、
図2に示すように、制御装置10(後述する制御部14)に接続され、検出した圧力容器2の内圧を示す信号を制御装置10に出力している。
【0039】
また、内圧調整部5は、容器圧力計4及び制御装置10(後述する制御部14)との協働で、圧力容器2の内圧を調整する内圧調整手段を構成している。この内圧調整部5は、
図1に示すように、圧力容器2の内部を外部に連通させる放出管路51と、圧力調整弁52及び廃オゾン処理装置53とで構成されている。
【0040】
具体的には、放出管路51は、オゾンを含む気体を外部に導出するための配管であって、一端が圧力容器2の内部における上部空間に位置するように配置されている。この放出管路51の圧力容器2側を上流側とし、外部側を下流側として、オゾンを含む気体が、放出管路51の上流側から下流側へ向けて流動する。
【0041】
圧力調整弁52及び廃オゾン処理装置53は、放出管路51の上流側から下流側へ向けて、この順番で配置されている。
圧力調整弁52は、
図1に示すように、放出管路51上に配置された電磁弁である。この圧力調整弁52は、オゾンを含む気体の流動を許容する開弁状態と、オゾンを含む気体の流動を阻止する閉弁状態とに切替え可能に構成されている。
【0042】
詳述すると、圧力調整弁52は、
図2に示すように、制御装置10(後述する制御部14)に接続され、制御装置10からの制御信号に基づいて開弁状態と閉弁状態とを切替え可能に構成されている。
【0043】
廃オゾン処理装置53は、
図1に示すように、圧力調整弁52よりも下流側の放出管路51上に配置されている。この廃オゾン処理装置53は、例えば、触媒や活性炭などで構成され、圧力調整のために圧力容器2から排出された気体に含有するオゾンを分解する機能を有している。
【0044】
また、オゾン供給部6は、制御装置10(後述する制御部14)との協働で、オゾンを圧力容器2に供給するオゾン供給手段を構成している。このオゾン供給部6は、
図1に示すように、オゾンを発生するオゾン発生装置61と、オゾン発生装置61を給水部7に接続するオゾン供給管路62及びエジェクター63と、オゾン供給管路62に接続したオゾン濃度計64、オゾン圧力計65、及びオゾン供給弁66とで構成されている。
【0045】
具体的には、オゾン発生装置61は、オゾンを発生させるとともに、発生させたオゾンを、大気圧よりも僅かに高い一定の供給圧力で放出するように構成されている。このオゾン発生装置61は、
図2に示すように、制御装置10(後述する制御部14)に接続され、制御装置10からの制御信号に基づいてオゾンの発生と、オゾンの放出とを行う。
【0046】
オゾン供給管路62は、
図1に示すように、オゾン発生装置61と給水部7(後述する給水管路73)とを、エジェクター63を介して連通させる配管である。このオゾン供給管路62のオゾン発生装置61側を上流側とし、エジェクター63側を下流側として、オゾンが、オゾン供給管路62の上流側から下流側へ向けて流動する。
【0047】
エジェクター63は、
図1に示すように、後述する給水部7の給水管路73上に配置されるとともに、オゾン供給管路62における下流側の端部が接続されている。このエジェクター63は、給水管路73を流れる被処理水の圧力を利用して、オゾンを給水管路73に供給可能に構成されている。
【0048】
オゾン濃度計64は、
図1に示すように、オゾン発生装置61に近い位置でオゾン供給管路62に接続され、オゾン供給管路62を流れるオゾン濃度を検出している。このオゾン濃度計64は、
図2に示すように、制御装置10(後述する制御部14)に接続され、検出したオゾン濃度を示す信号を制御装置10に出力している。
【0049】
オゾン圧力計65は、
図1に示すように、オゾン濃度計64よりも下流側のオゾン供給管路62に接続され、オゾン供給管路62を流れるオゾンの供給圧力を検出している。このオゾン圧力計65は、
図2に示すように、制御装置10(後述する制御部14)に接続され、検出したオゾンの供給圧力を示す信号を制御装置10に出力している。
【0050】
オゾン供給弁66は、
図1に示すように、オゾン圧力計65よりも下流側のオゾン供給管路62上に配置された電磁弁である。このオゾン供給弁66は、
図2に示すように、制御装置10(後述する制御部14)に接続され、制御装置10からの制御信号に基づいてオゾンの流動を許容する開弁状態と、オゾンの流動を阻止する閉弁状態とに切替え可能に構成されている。
【0051】
また、給水部7は、制御装置10(後述する制御部14)との協働で、被処理水を圧力容器2に注水する注水手段を構成している。この給水部7は、
図1に示すように、被処理水を貯留する貯水槽71と、圧力容器2の内部に配置された噴霧器72と、貯水槽71を噴霧器72に接続する給水管路73とを備えている。
さらに、給水部7は、給水管路73上に配置された給水ポンプ74及び逆止弁75と、給水管路73に接続された給水流量計76とを備えている。
【0052】
具体的には、噴霧器72は、
図1に示すように、圧力容器2の上部における内部空間に配置されている。この噴霧器72は、貯水槽71からの被処理水を霧状にして、圧力容器2の上部空間から下部空間へ向けて噴霧するように構成されている。
【0053】
給水管路73は、貯水槽71と圧力容器2とを、噴霧器72を介して連通させる配管である。この給水管路73の貯水槽71側を上流側とし、圧力容器2側を下流側として、被処理水が、給水管路73の上流側から下流側へ向けて流動する。
【0054】
より詳しくは、給水管路73は、
図1に示すように、貯水槽71と後述する給水三方弁92とを接続する上流管路73aと、給水三方弁92と圧力容器2とを接続する下流管路73bとで構成されている。
このうち、下流管路73bには、
図1に示すように、オゾン供給部6のエジェクター63が圧力容器2に近い位置に接続されている。
【0055】
給水ポンプ74、逆止弁75、及び給水流量計76は、給水管路73の下流管路73bに配置されている。
給水ポンプ74は、
図1に示すように、下流管路73bの上流側に配置されている。この給水ポンプ74は、
図2に示すように、制御装置10(後述する制御部14)に接続され、制御装置10からの制御信号に基づいて動作し、被処理水を上流側から下流側へ向けて圧送する。
【0056】
さらに、給水ポンプ74は、
図1に示すように、エア抜き管路74a及びエア抜き弁74bを介して、廃オゾン処理装置53に接続されている。このエア抜き管路74a及びエア抜き弁74bは、給水ポンプ74を通る被処理水中の気体を外部に放出するために設けられている。
【0057】
給水流量計76は、
図1に示すように、給水ポンプ74よりも下流側の下流管路73bに接続され、給水管路73を流れる被処理水の流量を検出している。この給水流量計76は、
図2に示すように、制御装置10(後述する制御部14)に接続され、検出した被処理水の流量を示す信号を制御装置10に出力している。
【0058】
逆止弁75は、
図1に示すように、給水流量計76よりも下流側、かつエジェクター63よりも上流側の給水管路73上に配置されている。この逆止弁75は、上流側から下流側へ向かう流体の流れを許容し、下流側から上流側へ向かう流体の流れを阻止するように構成されている。
【0059】
また、送出部8は、制御装置10(後述する制御部14)との協働で、処理水を外部に送出する送出手段を構成している。この送出部8は、
図1に示すように、圧力容器2の内部を外部に連通させる排水管路81と、排水管路81に接続された排水流量計82とで構成されている。
【0060】
具体的には、排水管路81は、
図1に示すように、一端が圧力容器2の下部に接続され、圧力容器2に貯留された処理水を外部に導出するための配管である。この排水管路81の圧力容器2側を上流側とし、外部側を下流側として、処理水が、排水管路81の上流側から下流側へ向けて流動する。
【0061】
より詳しくは、排水管路81は、
図1に示すように、圧力容器2と後述する排水三方弁91とを接続する上流管路81aと、排水三方弁91と外部とを接続する下流管路81bとで構成されている。
【0062】
排水流量計82は、
図1に示すように、上流管路81aに接続され、排水管路81を流れる処理水の流量を検出している。この排水流量計82は、
図2に示すように、制御装置10(後述する制御部14)に接続され、検出した処理水の流量を示す信号を制御装置10に出力している。
【0063】
また、還流部9は、制御装置10(後述する制御部14)との協働で、処理水を被処理水として給水部7に還流させる還流手段を構成している。この還流部9は、
図1に示すように、排水管路81上に配置された排水三方弁91と、給水管路73上に配置された給水三方弁92と、排水三方弁91と給水三方弁92とを接続する還流管路93とで構成されている。
【0064】
具体的には、排水三方弁91は、
図2に示すように、制御装置10(後述する制御部14)に接続され、制御装置10の制御信号に基づいて動作する電磁弁で構成されている。
より詳しくは、排水三方弁91は、1つの流入口と2つの流出口を有するとともに、流入口と連通する流出口を切替える弁体を備えている。
【0065】
この排水三方弁91は、
図1に示すように、流入口が排水管路81の上流管路81aに接続され、一方の流出口が排水管路81の下流管路81bに接続され、他方の流出口が還流管路93に接続されている。
つまり、排水三方弁91は、圧力容器2と外部とを連通させる状態と、圧力容器2と還流管路93とを連通させる状態とに切替え可能に構成されている。
【0066】
給水三方弁92は、
図2に示すように、制御装置10(後述する制御部14)に接続され、制御装置10の制御信号に基づいて動作する電磁弁で構成されている。
より詳しくは、給水三方弁92は、2つの流入口と1つの流出口を有するとともに、流出口と連通する流入口を切替える弁体を備えている。
【0067】
この給水三方弁92は、
図1に示すように、一方の流入口が給水管路73の上流管路73aに接続され、他方の流入口が還流管路93に接続され、流出口が給水管路73の下流管路73bに接続されている。
つまり、給水三方弁92は、貯水槽71と圧力容器2とを連通させる状態と、還流管路93と圧力容器2とを連通させる状態とに切替え可能に構成されている。
【0068】
また、制御装置10は、
図2に示すように、各種情報を表示する表示部11と、作業者の入力操作を受け付ける操作受付部12と、各種情報を記憶する記憶部13と、これらの動作を制御する制御部14とで構成されている。
具体的には、表示部11は、例えば液晶ディスプレイなどで構成され、各部の動作状況を一括表示する監理画面300が表示されている。
【0069】
この監理画面300には、
図3に示すように、圧力容器2、オゾン供給部6、給水部7、及び送出部8を示す略図が略中央に表示されるとともに、中央上部に現在の処理工程を点灯によって表示する工程欄301が表示されている。
【0070】
さらに、監理画面300には、
図3に示すように、右側上部に被処理水の処理モードを択一的に選択するための「連続処理モード」ボタン302及び「循環処理モード」ボタン303が表示されている。
【0071】
さらにまた、監理画面300には、
図3に示すように、「循環処理モード」ボタン303の下方に、水処理装置1の運転を開始する「運転」ボタン304、及び水処理装置1の運転を停止する「停止」ボタン305が表示されている。
【0072】
加えて、監理画面300には、
図3に示すように、オゾンの供給圧力を示すオゾン圧力欄306、及びオゾン濃度を示すオゾン濃度欄307が左側上部に表示され、被処理水の圧力を示す給水圧力欄308、及び被処理水の流量を示す給水流量欄309が左側中央に表示されている。
【0073】
さらに、監理画面300には、
図3に示すように、予め設定された設定圧力を目標圧力として表示する目標圧力欄310、圧力容器2の現在の内圧を示す内圧欄311、予め設定された設定水位を目標水位として表示する目標水位欄312、及び被処理水の現在の水位を示す水位欄313が右側中央に表示されている。
そして、監理画面300には、
図3に示すように、処理水の流量である排水流量を示す排水流量欄314が右側下部に表示されている。
【0074】
操作受付部12は、例えばタッチパネルなどで構成され、作業者による入力操作を受け付ける機能と、受け付けた入力内容を示す情報を制御部14に出力する機能とを有している。
記憶部13は、ハードディスクあるいは不揮発性メモリなどで構成され、各種情報を書き込んで記憶する機能と、各種情報を読み出す機能とを有している。
【0075】
さらに、記憶部13は、圧力容器2の設定圧力、被処理水の設定水位、及び処理水の目標流量などを記憶している。
ここで、設定圧力、設定水位、及び目標流量について、簡単に説明する。なお、設定圧力、設定水位、及び目標流量は、被処理水の種類や所望される処理水の品質などに応じて適宜設定されている。
【0076】
設定圧力は、後述する連続処理モード及び循環処理モードにおいて、加圧状態における圧力容器2の内圧を示している。この設定圧力は、大気圧よりも高い圧力で、かつ許容誤差を含む値に設定されている。例えば、設定圧力は、圧力容器2などの耐久性と処理効率とを考慮して、0.6±0.05MPaに設定されている。
【0077】
また、設定水位は、被処理水(処理水)の循環を開始する水位であって、連続処理モードにおける被処理水の下限水位と、循環処理モードにおける被処理水の上限水位とが設定されている。なお、下限水位及び上限水位は、圧力容器2の内圧を所望される設定圧力に制御可能な水位の限界値かつ許容誤差を含む値に設定されている。
【0078】
また、目標流量は、処理水の流量の目標値である。この目標値は、予め設定された被処理水の流量の初期値に略同じ値であって、かつ許容誤差を含む値に設定されている。
【0079】
制御部14は、CPUやメモリなどのハードウェアと、制御プログラムなどのソフトウェアとで構成されている。この制御部14は、水位計3、容器圧力計4、内圧調整部5、オゾン供給部6、給水部7、送出部8、及び還流部9との各種信号の授受に係る処理機能と、所定のバスを介して接続された各部の動作を制御する機能とを有している。
【0080】
次に、上述した構成の水処理装置1において、被処理水の供給と、処理水の排水とを同時に行いながら、被処理水を浄化する連続処理モードの処理動作について、
図4から
図10を用いて説明する。
【0081】
なお、
図4は連続処理モードにおける処理動作のフローチャートを示し、
図5はオゾン供給工程でのオゾンの流れを説明する説明図を示し、
図6は注水工程でのオゾン及び被処理水の流れを説明する説明図を示している。
【0082】
さらに、
図7は圧力調整弁制御処理における処理動作を示すフローチャートを示し、
図8は循環工程でのオゾン、被処理水、及び処理水の流れを説明する説明図を示している。
加えて、
図9は送出工程でのオゾン、被処理水、及び処理水の流れを説明する説明図を示し、
図10は流量制御処理における処理動作のフローチャートを示している。
【0083】
まず、監理画面300の「連続処理モード」ボタン302が選択押下されると、制御装置10の制御部14は、
図4に示すように、作業者によって「運転」ボタン304が押下されたか否かを判定する(ステップS101)。
「運転」ボタン304が押下されていない場合(ステップS101:No)、制御部14は、作業者によって「運転」ボタン304が押下されるまで処理を待機する。
【0084】
一方、作業者によって「運転」ボタン304が押下された場合(ステップS101:Yes)、制御部14は、オゾン供給弁66、給水三方弁92、及び排水三方弁91の状態を初期状態に移行させる(ステップS102)。
【0085】
具体的には、オゾン供給弁66は、制御部14からの制御信号に基づいて閉弁状態に移行する。
さらに、給水三方弁92は、
図5に示すように、制御部14からの制御信号に基づいて弁体の向きを変更し、還流部9の還流管路93と給水管路73の下流管路73bとを連通させる。
加えて、排水三方弁91は、
図5に示すように、制御部14からの制御信号に基づいて弁体の向きを変更し、排水管路81の上流管路81aと還流部9の還流管路93とを連通させる。
【0086】
その後、制御部14は、オゾン供給弁66を開弁状態に移行させて、オゾン発生装置61で発生したオゾンを、圧力容器2に供給開始する(ステップS103)。この際、オゾン発生装置61は、大気圧よりも僅かに高い所定圧力で、オゾンをオゾン供給管路62に放出する。
【0087】
このオゾンは、
図5中の太い矢印F1で示すように、オゾン供給管路62及びエジェクター63を通って給水管路73に放出されたのち、噴霧器72を介して圧力容器2の内部空間に供給される。このため、圧力容器2は、内部に充填されたオゾンによって加圧される。
【0088】
図4のステップS103に戻り、オゾンの供給が開始されると、制御部14は、容器圧力計4からの信号に基づいて、圧力容器2の内圧が大気圧よりも高い所定圧力か否かを判定する(ステップS104)。ここで、所定圧力は、例えば、設定圧力の1/2とする。
【0089】
圧力容器2の内圧が所定圧力よりも低い場合(ステップS104:No)、制御部14は、圧力容器2が所定圧力に加圧されるまで処理を待機する。
一方、圧力容器2の内圧が所定圧力に達した場合(ステップS104:Yes)、制御部14は、被処理水を圧力容器2に注水して、圧力容器2の内圧を設定圧力まで加圧する注水工程に移行する。
【0090】
具体的には、制御部14は、給水三方弁92に制御信号を出力して、給水管路73の上流管路73aと下流管路73bとを連通させる(ステップS105)。
さらに、制御部14は、給水ポンプ74に制御信号を出力して、給水ポンプ74を作動させる(ステップS106)。この際、給水ポンプ74は、圧力容器2の設定圧力よりも高い圧力で、貯水槽71の被処理水を圧力容器2へ圧送する。
【0091】
給水ポンプ74が作動すると、貯水槽71の被処理水は、
図6中の太い矢印F2で示すように、給水管路73を介して圧力容器2へ向けて流動する。この際、被処理水は、オゾン供給管路62からのオゾンを取り込みながら、エジェクター63を通過する。
【0092】
その後、エジェクター63を通過した被処理水は、
図6中の太い矢印F3で示すように、オゾンを含有する被処理水として給水管路73を流動し、噴霧器72を介して圧力容器2の内部に噴霧される。
【0093】
図4のステップS106に戻り、給水ポンプ74を作動させると、制御部14は、圧力容器2の内圧を調整する圧力調整弁制御処理を開始する(ステップS107)。この圧力調整弁制御処理は、「連続処理モード」における処理動作と並列処理されるとともに、作業者によって「停止」ボタン305が押下されるまで繰返し行われる。
【0094】
具体的には、圧力調整弁制御処理を開始すると、制御部14は、
図7に示すように、容器圧力計4が出力した信号に基づいて、圧力容器2の内圧が設定圧力を上回るか否かを判定する(ステップS121)。
圧力容器2の内圧が設定圧力を上回る場合(ステップS121:Yes)、制御部14は、圧力容器2の内圧を下げるために、圧力調整弁52に制御信号を出力して、圧力調整弁52を開弁させる(ステップS122)。その後、制御部14は、処理をステップS121に戻して、圧力容器2の内圧が設定圧力を上回るか否かを再度判定する。
【0095】
一方、圧力容器2の内圧が設定圧力を上回らない場合(ステップS121:No)、制御部14は、圧力調整弁52に制御信号を出力して、圧力調整弁52を閉弁させる、もしくは圧力調整弁52の閉弁状態を維持させる(ステップS123)。これにより、圧力容器2の内圧が、設定圧力を下回ることを阻止する。
【0096】
その後、制御部14は、作業者によって「停止」ボタン305が押下されたか否かを判定する(ステップS124)。「停止」ボタン305が押下された場合(ステップS124:Yes)、制御部14は、圧力調整弁制御処理を終了する。
【0097】
一方、「停止」ボタン305が押下されていない場合(ステップS124:No)、制御部14は、処理をステップS121に戻して、「停止」ボタン305が押下されるまで、ステップS121からステップS124の処理を繰り返す。
【0098】
図4のステップS107に戻り、圧力調整弁制御処理を開始すると、制御部14は、圧力容器2の内圧が設定圧力か否かを判定する(ステップS108)。
圧力容器2の内圧が設定圧力でない場合(ステップS108:No)、制御部14は、圧力容器2の内圧が設定圧力となるまで処理を待機する。
【0099】
一方、圧力容器2の内圧が設定圧力の場合(ステップS108:Yes)、制御部14は、被処理水の水位が設定水位(下限水位)か否かを判定する(ステップS109)。
【0100】
被処理水の水位が設定水位(下限水位)でない場合(ステップS109:No)、制御部14は、被処理水の水位が設定水位となるまで処理を待機する。
【0101】
被処理水の水位が設定水位(下限水位)の場合(ステップS109:Yes)、制御部14は、処理水を循環させる循環工程へ移行するために、給水三方弁92の状態を切替える(ステップS110)。
【0102】
具体的には、給水三方弁92は、
図8に示すように、制御部14からの制御信号に基づいて弁体の向きを変更し、給水管路73の下流管路73bと還流管路93とを連通させる。
【0103】
給水三方弁92の状態が切替わると、圧力容器2に貯留された被処理水は、圧力容器2から処理水として排出され、排水管路81を流動開始する。この際、処理水は、圧力容器2の内圧よりも低く、かつオゾンの供給圧力よりも高い圧力で流動する。
【0104】
この処理水は、
図8中の太い矢印F4で示すように、排水管路81から排水三方弁91を介して還流管路93に流入する。
さらに、還流管路93に流入した処理水は、
図8中の太い矢印F4で示すように、給水三方弁92を介して、被処理水として給水管路73に供給されることで、外部に送出されることなく水処理装置1の内部を循環する。
なお、この際、オゾン発生装置61は、
図8中の太い矢印F1で示すように、エジェクター63へ向けてオゾンを排出し続けているものとする。
【0105】
図4のステップS110に戻り、制御部14は、処理水の循環が開始されてからの経過時間が、所定時間を経過したか否かを判定する(ステップS111)。なお、所定時間は、例えば1分間とする。
処理水の循環が開始されてからの経過時間が、所定時間を経過していない場合(ステップS111:No)、制御部14は、所定時間を経過するまで処理を待機する。
【0106】
一方、処理水の循環が開始されてからの経過時間が、所定時間を経過した場合(ステップS111:Yes)、制御部14は、被処理水を浄化しながら、処理水を外部に送出する送出工程へ移行するために、給水三方弁92及び排水三方弁91の状態を切替える(ステップS112)。
【0107】
この際、排水三方弁91は、
図9に示すように、制御部14からの制御信号に基づいて弁体の向きを変更し、排水管路81の上流管路81aと下流管路81bと連通させる。このため、処理水は、
図9中の太い矢印F5で示すように、排水管路81と通って外部に送出される。
【0108】
さらに、給水三方弁92は、
図9に示すように、制御部14からの制御信号に基づいて弁体の向きを変更し、給水管路73の上流管路73aと下流管路73bと連通させる。このため、貯水槽71の被処理水は、
図9中の太い矢印F2で示すように、給水管路73を介して、圧力容器2へ向けて流動する。
このようにして、水処理装置1は、被処理水及びオゾンの圧力容器2への供給と、オゾンによる被処理水の浄化と、処理水の外部への排水とを同時に連続して行う。
【0109】
図4のステップS112に戻り、被処理水の供給と処理水の送出とが開始されると、制御部14は、圧力容器2の内圧に基づいて被処理水の流量を制御する流量制御処理を開始する(ステップS113)。
【0110】
具体的には、流量制御処理を開始すると、制御部14は、
図10に示すように、水位計3からの信号に基づいて、被処理水の水位が予め定めた上限水位を下回るか否かを判定する(ステップS131)。なお、上限水位は、圧力容器2の内圧を所望される設定圧力に維持できる限界水位とする。
被処理水の水位が上限水位を下回る場合(ステップS131:Yes)、制御部14は、処理を後述するステップS137に進める。
【0111】
一方、被処理水の水位が予め定めた上限水位以上の場合(ステップS131:No)、制御部14は、給水ポンプ74に制御信号を出力して、給水ポンプ74の動作を停止させる(ステップS132)。
【0112】
これにより、圧力容器2への被処理水の供給が停止し、処理水の外部への排水のみが行われるため、被処理水の水位が低下する。その後、制御部14は、被処理水の水位が設定水位(下限水位)であるか否かを判定する(ステップS133)。被処理水の水位が設定水位(下限水位)でない場合(ステップS133:No)、制御部14は、被処理水の水位が設定水位まで低下するのを待機する。
【0113】
一方、被処理水の水位が設定水位(下限水位)の場合(ステップS133:Yes)、制御部14は、給水ポンプ74及び排水三方弁91に制御信号を出力して、圧力容器2への被処理水の注水を再開する(ステップS134)。
【0114】
具体的には、制御部14は、給水ポンプ74の動作を再開させる。さらに、制御部14は、排水三方弁91の弁体の向きを変更させ、排水管路81の上流管路81aと還流管路93とを連通させる。
【0115】
圧力容器2への被処理水の注水が再開すると、制御部14は、圧力容器2の内圧が設定圧力となったか否かを判定する(ステップS135)。圧力容器2の内圧が設定圧力でない場合(ステップS135:No)、制御部14は、圧力容器2の内圧が設定圧力になるまで待機する。
【0116】
一方、圧力容器2の内圧が設定圧力となった場合(ステップS135:Yes)、制御部14は、被処理水の排水を再開するために、排水三方弁91に制御信号を出力して、排水管路81の上流管路81aと下流管路81bとを連通させる(ステップS136)。
その後、制御部14は、排水流量計82からの信号に基づいて、処理水の流量である排水流量と予め設定した目標流量とが同等か否かを判定する(ステップS137)。
【0117】
排水流量と目標流量とが同等の場合(ステップS137:Yes)、制御部14は、作業者によって「停止」ボタン305が押下されたか否かを判定する(ステップS138)。
「停止」ボタン305が押下された場合(ステップS138:Yes)、制御部14は、流量制御処理を終了するとともに、処理を
図4のステップS113に戻し全ての処理を終了する。
【0118】
この際、制御部14は、オゾン供給弁66を閉弁するとともに、給水ポンプ74を停止させたのち、圧力容器2の被処理水を外部に排出して、圧力容器2への被処理水及びオゾンの供給と、処理水の外部への送出とを終了する。
一方、「停止」ボタン305が押下されていない場合(ステップS138:No)、制御部14は、処理をステップS131に戻す。
【0119】
図10のステップS137において、排水流量と目標流量とが同等でない場合(ステップS137:No)、制御部14は、排水流量が目標流量を上回るか否かを判定する(ステップS139)。
排水量が目標流量を上回る場合(ステップS139:Yes)、制御部14は、被処理水(処理水)の水位の低下を抑制して、圧力容器2の内圧が設定圧力に維持されるように、被処理水の流量を調整する。
【0120】
具体的には、制御部14は、給水ポンプ74に制御信号を出力して、排水流量が目標流量となるように被処理水の流量を増加させる(ステップS140)。換言すると、制御部14は、被処理水の流量が目標流量となるように、被処理水の流量を増加させる。この際、制御部14は、排水流量と目標流量との差に基づいて被処理水の増水量を決定する。
【0121】
その後、制御部14は、処理をステップS138に進めて、作業者によって「停止」ボタン305が押下されたか否かを判定する。
一方、ステップS139において、排水流量が目標流量を上回らない場合、すなわち排水流量が目標流量を下回る場合(ステップS139:No)、制御部14は、被処理水(処理水)の水位の上昇を抑制して、圧力容器2の内圧が設定圧力に維持されるように、被処理水の流量を調整する。
【0122】
具体的には、制御部14は、給水ポンプ74に制御信号を出力して、排水流量が目標流量となるように被処理水の流量を減少させる(ステップS141)。換言すると、制御部14は、被処理水の流量が目標流量となるように、被処理水の流量を減少させる。この際、制御部14は、排水流量と目標流量との差に基づいて被処理水の減水量を決定する。
【0123】
その後、制御部14は、処理をステップS138に進めて、作業者によって「停止」ボタン305が押下されたか否かを判定する。
このようにして、水処理装置1は、圧力容器の内圧が設定圧力となるように被処理水の流量を調整している。
【0124】
以上のような動作を実現する実施例1の水処理装置1は、上部から被処理水が注水され、被処理水を処理した処理水が下部から排出される圧力容器2と、圧力容器2の内部にオゾンを供給するオゾン供給手段(オゾン供給部6、制御部14)とを備えたものである。
【0125】
さらに、水処理装置1は、被処理水を圧力容器2に注水する注水手段(給水部7、制御部14)と、処理水を圧力容器2から外部に送出する送出手段(送出部8、制御部14)とを備えている。
この水処理装置1のオゾン供給手段は、注水手段の給水管路73に接続され、オゾンを注水手段の給水管路73に供給するエジェクター63を備えている。
【0126】
さらに、注水手段は、オゾンの供給によって大気圧よりも高い所定圧力に、圧力容器2の内圧が加圧されると、被処理水を注水するとともに、圧力容器2の内圧が所定圧力よりも高い設定圧力となるように被処理水の流量を制御する構成である。
そして、送出手段は、圧力容器2の内圧が設定圧力の状態において、処理水を送出する構成である。
【0127】
これによれば、水処理装置1は、エジェクター63によってオゾンを被処理水とともに圧力容器2の内部に供給できるため、オゾンの供給圧力を高くすることなく、圧力容器2の内部にオゾンを充填させることができる。
【0128】
さらに、オゾンが充填された圧力容器2の上部から下部へ向けて被処理水が注入されるため、水処理装置1は、圧力容器2の内部空間に充填されたオゾンと被処理水とを接触させながら、被処理水を貯留することができる。このため、水処理装置1は、被処理水にオゾンを効率よく溶解させることができる。
【0129】
この際、水処理装置1は、被処理水の水位上昇に伴って、圧力容器2の内圧を所定圧力以上に加圧することができる。換言すると、水処理装置1は、オゾン供給手段によるオゾンの供給圧力以上に圧力容器2の内圧を加圧することができる。このため、水処理装置1は、圧力容器2の内圧が所定圧力の場合に比べて、被処理水にオゾンを効率よく溶解させることができる。
【0130】
さらに、注水手段によって圧力容器2の内圧が設定圧力に維持されるため、水処理装置1は、被処理水の注水と処理水の排水とを同時に行う場合であっても、圧力容器2の圧力変動を抑えることができる。
これにより、水処理装置1は、被処理水が貯留された圧力容器2にオゾンを供給して加圧する場合に比べて、より多くの被処理水を効率よく処理することができる。
【0131】
また、注水手段は、圧力容器2の内部空間に対して被処理水を噴霧する噴霧器72を備えたものである。
この構成によれば、水処理装置1は、圧力容器2に充填されたオゾンと、被処理水との接触面積をより増加させることができる。このため、水処理装置1は、被処理水にオゾンをより効率よく溶解させることができる。
【0132】
また、注水手段は、処理水の流量が目標流量となるように、被処理水の流量を制御する構成である。
この構成によれば、水処理装置1は、注水手段及び送出手段がそれぞれ流量を制御する場合に比べて、被処理水の水位を簡素な構成で調整することができる。つまり、水処理装置1は、圧力容器2の内圧を設定圧力に加圧した状態を、簡素な構成で維持することができる。
【0133】
また、水処理装置1は、注水手段によって圧力容器2の内圧が設定圧力になると、処理水を注水手段の給水管路73に還流させる還流手段(還流部9、制御部14)を備えたものである。
この還流手段は、処理水の還流を開始してから所定時間経過後、処理水の還流を停止し、処理水の外部への送出を開始させる構成である。
【0134】
さらに、注水手段は、還流手段による処理水の還流が開始される場合、給水管路73への被処理水の供給を停止し、所定時間経過後、給水管路73への被処理水の供給を再開する構成である。
【0135】
この構成によれば、所定時間だけ被処理水を循環させることで、水処理装置1は、圧力容器2の被処理水にオゾンを予め十分に溶解させることができるため、被処理水を安定して浄化することができる。
【0136】
さらに、所定時間経過後、注水手段による被処理水の注水と、送出手段による処理水の送出とを再開するため、水処理装置1は、注水手段による被処理水の注水と、送出手段による処理水の送出とを同時に行うことができる。
これにより、水処理装置1は、被処理水を効率よく、かつ連続して処理することができる。
【0137】
また、水処理装置1は、圧力調整弁52の開閉で圧力容器2の内圧を調整する内圧調整手段(内圧調整部5、制御部14)を備えたものである。
この内圧調整手段は、所定圧力よりも高い設定圧力を上回る場合に開弁し、設定圧力を下回る場合に閉弁する構成である。
【0138】
この構成によれば、水処理装置1は、注水手段によって圧力容器2の内圧を維持する場合に比べて、圧力容器2の内圧をより安定して維持することができる。このため、水処理装置1は、被処理水にオゾンをより効率よく溶解させることができる。
【0139】
また、被処理水は、オゾンと反応する廃水である。
この構成によれば、水処理装置1は、廃水にオゾンを効率よく溶解できるため、廃水を効率よく浄化することができる。
【0140】
また、水処理方法は、上部から被処理水が注水され、被処理水を処理した処理水が下部から排出される圧力容器2と、圧力容器2の内部にオゾンを供給するオゾン供給手段と、被処理水を圧力容器2に注水する注水手段と、処理水を圧力容器2から外部に送出する送出手段とを備えた水処理装置1を用いた方法である。
【0141】
この水処理方法は、オゾン供給手段のエジェクター63を介して、注水手段の給水管路73にオゾンを供給するオゾン供給工程と、オゾンの供給によって大気圧よりも高い所定圧力に、圧力容器2の内圧を加圧する加圧工程とを行うものである。
【0142】
さらに、水処理方法は、所定圧力に加圧されると、被処理水を注水するとともに、圧力容器2の内圧が所定圧力よりも高い設定圧力となるように被処理水の流量を制御する注水工程と、圧力容器2の内圧が設定圧力の状態において、処理水を送出する送出工程とを行うものである。
これによれば、水処理方法は、被処理水が貯留された圧力容器2にオゾンを供給して加圧する場合に比べて、より多くの被処理水を効率よく処理することができる。
【実施例2】
【0143】
実施例2は、上述した構成の水処理装置1において、被処理水を循環させながら、被処理水を浄化する循環処理モードの処理動作について、
図11及び
図12を用いて説明する。
【0144】
なお、
図11は実施例2の循環処理モードにおける処理動作のフローチャートを示し、
図12は送出工程での処理水の流れを説明する説明図を示している。
また、上述の実施例1と同じ構成は、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0145】
まず、監理画面300の「循環処理モード」ボタン303が選択押下されると、制御装置10の制御部14は、
図11に示すように、作業者によって「運転」ボタン304が押下されたか否かを判定する(ステップS201)。
「運転」ボタン304が押下されていない場合(ステップS201:No)、制御部14は、作業者によって「運転」ボタン304が押下されるまで処理を待機する。
【0146】
一方、作業者によって「運転」ボタン304が押下された場合(ステップS201:Yes)、制御部14は、オゾン供給弁66、給水三方弁92、及び排水三方弁91の状態を初期状態に移行させる(ステップS202)。なお、ステップS202の処理動作は、実施例1におけるステップS102と同じ処理動作のため、その詳細な説明を省略する。
【0147】
その後、制御部14は、オゾン供給弁66を開弁状態に移行させて、オゾン発生装置61で発生したオゾンを、圧力容器2に供給開始する(ステップS203)。なお、ステップS203の処理動作は、実施例1におけるステップS103と同じ処理動作のため、その詳細な説明を省略する。
【0148】
オゾンの供給が開始されると、制御部14は、容器圧力計4からの信号に基づいて、圧力容器2の内圧が、大気圧よりも高い所定圧力か否かを判定する(ステップS204)。ここで、所定圧力は、例えば、設定圧力の1/2とする。
【0149】
圧力容器2の内圧が所定圧力よりも低い場合(ステップS204:No)、制御部14は、圧力容器2が所定圧力に加圧されるまで処理を待機する。
一方、圧力容器2の内圧が所定圧力に達した場合(ステップS204:Yes)、制御部14は、被処理水を圧力容器2に注水して、圧力容器2の内圧を設定圧力まで加圧する注水工程に移行する。
【0150】
具体的には、制御部14は、給水三方弁92に制御信号を出力して、給水管路73の上流管路73aと下流管路73bとを連通させる(ステップS205)。
さらに、制御部14は、給水ポンプ74に制御信号を出力して、給水ポンプ74を作動させる(ステップS206)。
【0151】
給水ポンプ74を作動させると、制御部14は、圧力容器2の内圧を調整する圧力調整弁制御処理を開始する(ステップS207)。この圧力調整弁制御処理は、「循環処理モード」における処理動作と並列処理されるとともに、作業者によって「停止」ボタン305が押下されるまで繰返し行われる。
なお、圧力調整弁制御処理は、実施例1における圧力調整弁制御処理と同じ処理のため、その詳細な説明を省略する。
【0152】
圧力調整弁制御処理を開始すると、制御部14は、圧力容器2の内圧が設定圧力か否かを判定する(ステップS208)。
圧力容器2の内圧が設定圧力でない場合(ステップS208:No)、制御部14は、圧力容器2の内圧が設定圧力となるまで処理を待機する。
【0153】
圧力容器2の内圧が設定圧力の場合(ステップS208:Yes)、制御部14は、現在の被処理水の水位を下限水位として設定する(ステップS209)。その後、制御部14は、被処理水の水位が設定水位(上限水位)か否かを判定する(ステップS210)。
【0154】
被処理水の水位が設定水位(上限水位)でない場合(ステップS210:No)、制御部14は、被処理水の水位が設定水位となるまで待機する。
一方、被処理水の水位が設定水位(上限水位)の場合(ステップS210:Yes)、制御部14は、処理水を循環させる循環工程へ移行するために、給水三方弁92の状態を切替える(ステップS211)。
【0155】
具体的には、給水三方弁92は、
図8に示すように、制御部14からの制御信号に基づいて弁体の向きを変更し、給水管路73の下流管路73bと還流管路93とを連通させる。
【0156】
給水三方弁92の状態が切替わると、圧力容器2に貯留された被処理水は、圧力容器2から処理水として排出され、排水管路81を流動開始する。この際、処理水は、圧力容器2の内圧よりも低く、かつオゾンの供給圧力よりも高い圧力で流動する。
【0157】
この処理水は、
図8中の太い矢印F4で示すように、排水管路81から排水三方弁91を介して還流管路93に流入する。
さらに、還流管路93に流入した処理水は、
図8の太い矢印F4で示すように、給水三方弁92及び給水管路73を通って、再び圧力容器2に戻ることで、外部に送出されることなく水処理装置1の内部を循環する。
なお、この際、オゾン発生装置61は、
図8の太い矢印F1で示すように、エジェクター63へ向けてオゾンを排出し続けているものとする。
【0158】
図11のステップS211に戻り、制御部14は、処理水の循環が開始されてからの経過時間が、所定時間を経過したか否かを判定する(ステップS212)。なお、実施例2の所定時間は、被処理水の浄化に要する時間であって、被処理水の種類や所望される処理水の品質によって適宜決定される。
【0159】
処理水の循環が開始されてからの経過時間が、所定時間を経過していない場合(ステップS212:No)、制御部14は、所定時間を経過するまで処理を待機する。
処理水の循環が開始されてからの経過時間が、所定時間を経過した場合(ステップS212:Yes)、制御部14は、圧力容器2の処理水を所定量だけ送出する送出工程に移行する。
【0160】
具体的には、制御部14は、給水ポンプ74の動作を停止させたのち、排水三方弁91の状態を切替える(ステップS213)。この際、排水三方弁91は、
図12に示すように、制御部14からの制御信号に基づいて弁体の向きを変更し、排水管路81の上流管路81aと下流管路81bとを連通させる。
【0161】
このため、圧力容器2に貯留された処理水は、
図12中の太い矢印F6で示すように、排水管路81を介して外部に排水される。
処理水の排水が開始されると、制御部14は、被処理水の水位が下限水位か否かを判定する(ステップS214)。
【0162】
被処理水の水位が下限水位でない場合(ステップS214:No)、制御部14は、被処理水の水位が下限水位となるまで処理を待機する。
一方、被処理水の水位が下限水位となった場合(ステップS214:Yes)、制御部14は、排水三方弁91の弁体の向きを変更して排水管路81の上流管路81aと還流管路93とを連通させて、処理水の排水を停止する(ステップS215)。
【0163】
その後、制御部14は、作業者によって「停止」ボタン305が押下されたか否かを判定する(ステップS216)。
「停止」ボタン305が押下された場合(ステップS216:Yes)、制御部14は、循環処理モードにおける処理を終了する。この際、制御部14は、オゾン供給弁66を閉弁するとともに、給水ポンプ74を停止させたのち、圧力容器2の被処理水を外部に排出して終了する。
【0164】
一方、「停止」ボタン305が押下されていない場合(ステップS216:No)、制御部14は、処理をステップS204に戻す。そして、制御部14は、ステップS204からステップS206を経て、被処理水の圧力容器2への供給を再開させる。
【0165】
さらに、制御部14は、ステップS208において、圧力容器2の内圧が設定圧力となった場合(ステップS208:Yes)、処理水の循環を開始させる。このようにして、実施例2の水処理装置1は、被処理水の浄化を所定量だけ繰返し行う。
【0166】
以上のような動作を実現する実施例2の水処理装置1、及び水処理装置1を用いた水処理方法は、上述した実施例1と同様の効果を奏することができる。
【0167】
さらに、水処理装置1は、注水手段によって圧力容器2の内圧が設定圧力になると、処理水を、エジェクター63よりも上流側の注水手段の給水管路73に還流させる還流手段(還流部9、制御部14)を備えている。
【0168】
この還流手段は、処理水の還流を開始してから所定時間経過後、処理水の還流を停止する構成である。
さらに、注水手段は、還流手段による処理水の還流が開始される場合、給水管路73への被処理水の供給を停止する構成である。
【0169】
加えて、オゾン供給手段は、所定時間経過後、オゾンの供給を停止する構成である。
そして、送出手段は、所定時間経過後、被処理水の水位が予め設定された下限水位となるまで処理水を外部へ送出する構成である。
【0170】
この構成によれば、水処理装置1は、圧力容器2から排出される処理水を、被処理水として循環させて、オゾンを繰返し溶解させることができる。このため、水処理装置1は、被処理水を循環させることなく外部に送出する場合に比べて、被処理水をより確実に浄化できるとともに、所望される品質の処理水を確実に得ることができる。
【0171】
また、オゾン供給手段は、被処理水の水位が下限水位となった場合、圧力容器2の内部へのオゾンの供給を再開する構成である。
さらに、注水手段は、被処理水の水位が下限水位となった場合、被処理水の注水を再開する構成である。
【0172】
そして、還流手段は、注水手段によって圧力容器2の内圧が設定圧力になると、処理水の還流を再開する構成である。
この構成によれば、水処理装置1は、所定量の被処理水を入れ替えながら、被処理水を連続処理することができる。
【0173】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明のオゾン供給手段は、実施形態のオゾン発生装置61及び制御部14に対応し、
以下同様に、
注水手段は、給水部7及び制御部14に対応し、
送出手段は、送出部8及び制御部14に対応し、
管路は、給水管路73に対応し、
還流手段は、還流部9及び制御部14に対応し、
開閉弁は、圧力調整弁52に対応し、
内圧調整手段は、内圧調整部5及び制御部14に対応し、
オゾン供給工程は、ステップS103及びステップS203に対応し、
加圧工程は、ステップS103からステップS104:Yes、及びステップS203からステップS204:Yesに対応し、
注水工程は、ステップS105からステップS109:Yes、及びステップS205からステップS210:Yesに対応し、
送出工程は、ステップS112からステップS113、及びステップS213からステップS214:Yesに対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0174】
例えば、上述した実施例1及び実施例2において、工場などから排出された廃水を被処理水とし、オゾンで浄化した被処理水を処理水としたが、これに限定せず、洗浄用などに用いられる液体を被処理水として、オゾンを溶解させた被処理水を処理水としてもよい。
また、設定圧力、設定水位、及び目標流量は、それぞれ許容誤差を含む値としたが、これに限定せず、許容誤差を含まない値であってもよい。
また、圧力容器2に設けた容器圧力計4としたが、これに限定せず、内圧調整部5の放出管路51上に配置した容器圧力計であってもよい。
【0175】
また、実施例1及び実施例2において、給水三方弁92の弁体の向きを変更することで、被処理水の供給と供給の停止とを切替えたが、これに限定せず、給水管路73の上流管路73aに給水弁を設けてもよい。
同様に、排水三方弁91の弁体の向きを変更することで、処理水の排水と排水の停止とを切替えたが、これに限定せず、排水管路81の上流管路81aに排水弁を設けてもよい。
【0176】
また、実施例1及び実施例2において、給水ポンプ74の作動後、圧力調整弁制御処理を開始する構成としたが、これに限定せず、例えば、連続処理モードにおける処理動作、または循環処理モードにおける処理動作の開始と同時に、圧力調整弁制御処理が並列処理される構成であってもよい。
【0177】
また、実施例1において、圧力容器2の内圧が設定圧力となった場合(ステップS108:Yes)、所定時間だけ処理水を循環させる構成としたが、これに限定せず、ステップS110及びステップS111の処理をスキップして、処理水を循環させることなく送出してもよい。
【0178】
また、実施例1における流量制御処理のステップS137からステップS141(
図10参照)において、給水ポンプ74の動作によって被処理水の流量を制御したが、これに加えて、排水三方弁91によって処理水の排水と排水の停止とを切替えて、被処理水の水位を維持するようにしてもよい。
【0179】
また、上述した実施例2において、処理水の循環が開始されてからの経過時間が所定時間を経過した場合(ステップS212:Yes)、給水ポンプ74の動作を停止させたのち、排水三方弁91の状態を切替えたが、この際、オゾンの供給を停止してもよい。具体的には、制御部14が、オゾン供給弁66を閉弁させる、あるいはオゾン発生装置61の動作を停止させて、オゾンの供給を停止してもよい。
【0180】
また、実施例1及び実施例2において、「運転」ボタン305及び「停止」ボタン305とは別に、「手動」ボタン、上述した各工程を示すボタン、及び「終了」ボタンを監理画面300に設けるとともに、作業員の操作を受けて上述した各処理動作を手動で行う構成であってもよい。
【0181】
また、実施例1及び実施例2において、「停止」ボタン305が押下された場合、全ての処理動作を停止する構成としたが、これに限定しない。例えば、実施例1において、
図4のステップS112を開始してからの経過時間が、予め定めた時間を経過した場合、全ての処理動作を停止する構成としてもよい。
あるいは、実施例2において、
図11のステップS202からステップS215の処理を所定回数だけ繰り返した場合、全ての処理動作を停止する構成としてもよい。
【0182】
また、実施例2の「循環処理モード」における処理動作は、上述した実施形態に限定されない。例えば、
図11のステップS211を開始したあと、処理水の循環が開始されてからの経過時間が、所定時間経過するまでの間、実施例1の流量制御処理を並行して行う構成であってもよい。
【符号の説明】
【0183】
1…水処理装置
2…圧力容器
5…内圧調整部
7…給水部
8…送出部
9…還流部
14…制御部
52…圧力調整弁
61…オゾン発生装置
63…エジェクター
72…噴霧器
73…給水管路