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  • 特許-多用途ケープ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】多用途ケープ
(51)【国際特許分類】
   A41D 3/08 20060101AFI20241127BHJP
【FI】
A41D3/08 C
A41D3/08 D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021033986
(22)【出願日】2021-03-04
(65)【公開番号】P2022134686
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2024-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】597008533
【氏名又は名称】フレックスジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】弁理士法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢島 隆生
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-121311(JP,A)
【文献】登録実用新案第3218526(JP,U)
【文献】特開2010-018930(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00610633(EP,A1)
【文献】実開昭59-061213(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保温性を有する矩形状の生地から成り、該生地の一辺における中間位置から前記生地の中央に向け該中央を超えない長さで切り込みが形成され、該切り込みの最深部に首抜き部を残して前記切り込みの両側を閉じ合わせ可能な第一の係止部が備えられていると共に、前記切り込みを入れた一辺に対し隣り合う二辺の中間位置と前記切り込みの最浅部両側の角部とを夫々固定可能な第二の係止部が備えられ、該第二の係止部を備えた二辺同士を閉じ合わせ得るよう前記第二の係止部に隣接して第三の係止部が備えられていることを特徴とする多用途ケープ。
【請求項2】
第一の係止部は、切り込みの一側に配置された複数段の釦と、前記切り込みの他側に配置された複数段の釦ホールとにより構成されていることを特徴とする請求項に記載の多用途ケープ。
【請求項3】
第二の係止部は、切り込みの最浅部両側の角部に配置された釦と、切り込みを入れた一辺に対し隣り合う二辺の中間位置に配置された釦ホールとにより構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の多用途ケープ。
【請求項4】
第三の係止部は、切り込みを入れた一辺に対し隣り合う二辺のうちの一方の側に配置された釦と、前記二辺のうちの他方の側に配置された釦ホールとにより構成されていることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の多用途ケープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多用途ケープに関するものである。
【背景技術】
【0002】
2020年における新型コロナウイルスの世界的な感染拡大などの影響もあって、職場で勤務者同士が密な環境にならないよう在宅勤務が積極的に推進されており、多くの勤務者が在宅でデスクワークを行うようになってきている。
【0003】
ただし、気温の低い季節での在宅勤務は、エアコンなどの暖房器具を一日中使い続けるような不経済な勤務形態になりがちで、暖房器具はできるだけ節約して使いたいと考えている勤務者は多く、暖房器具の使用を休ませている間は、毛布などを簡単に羽織ってデスクワークを行う場合もある。
【0004】
尚、本発明と直接的に関連する先行技術文献情報については特に見当たらなかったが、例えば、下記の特許文献1の如き変形使用できるタオルが既に提案されているという事実は確認されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第3181049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した如き毛布を羽織った状態でデスクワークを行うと、腕から垂れ下がる毛布が邪魔になってパソコンなどのキー操作が行い難いという不具合がある上、背面側だけが被覆されて正面側は開放されたままになるため保温性が低いという不具合もあり、離席時に立ち上がった際にずり落ち易いという不具合もあった。
【0007】
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、デスクワークを行い易く且つ保温性も高くて離席時にずり落ちることもない便利な多用途ケープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、保温性を有する矩形状の生地から成り、該生地の一辺における中間位置から前記生地の中央に向け該中央を超えない長さで切り込みが形成され、該切り込みの最深部に首抜き部を残して前記切り込みの両側を閉じ合わせ可能な第一の係止部が備えられていると共に、前記切り込みを入れた一辺に対し隣り合う二辺の中間位置と前記切り込みの最浅部両側の角部とを夫々固定可能な第二の係止部が備えられ、該第二の係止部を備えた二辺同士を閉じ合わせ得るよう前記第二の係止部に隣接して第三の係止部が備えられていることを特徴とする多用途ケープ、に係るものである。
【0009】
而して、デスクワークを行うにあたり、切り込みを拡げて首抜き部に首を通した状態で生地を背中側に羽織り、該生地における切り込みの両側部分を体の正面側で前身頃として交差させ、前記切り込みの最浅部における左側の角部を右脇腹の生地に対し第二の係止部を介し固定すると共に、右側の角部を左脇腹の生地に対し第二の係止部を介し固定すると、左右の腕が生地により筒状に包まれて袖部が形成され、腕から生地が垂れ下がって邪魔になるようなことがなくなり、腕を不自由なく使えるようになってパソコンなどのキー操作が行い易くなる。しかも、背面側だけでなく体の正面側も生地により被覆されて高い保温性が得られる上、衣服のようにしっかりと着用することができて離席時に立ち上がってもずり落ちる心配がなくなる。
【0010】
また、デスクワークの休憩時間にテレビなどを鑑賞するにあたっては、首抜き部に首を通した状態のまま生地を背中側に羽織り、該生地における切り込みの両側部分を体の正面側で交差させずにそのまま垂らし、第一の係止部を介して前記切り込みの首抜き部を除いた範囲を閉じ合わせると、袖部の無いポンチョ風の形態となって非常に楽な着心地で休憩時間をゆったりと過ごすことが可能となる。尚、体を横たえて休みたい場合には、前述のポンチョ風の形態において、首抜き部から首を抜くことでシート状の掛布として利用することも可能である。
【0011】
更に、本発明においては、第二の係止部を備えた二辺同士を閉じ合わせ得るよう前記第二の係止部に隣接して第三の係止部が備えられているので、前述の如く首抜き部に首を通して生地を背中側に羽織った際に、切り込みを入れた一辺に対し隣り合う二辺同士を第三の係止部を介し閉じ合わせ、背中側に垂らした生地の下側部分で脚部を包み込ませることが可能となる。
【0012】
例えば、前記第一の係止部は、切り込みの一側に配置された複数段の釦と、前記切り込みの他側に配置された複数段の釦ホールとにより構成されていることが好ましく、また、前記第二の係止部は、切り込みの最浅部両側の角部に配置された釦と、切り込みを入れた一辺に対し隣り合う二辺の中間位置に配置された釦ホールとにより構成されていることが好ましく、更に、前記第三の係止部は、切り込みを入れた一辺に対し隣り合う二辺のうちの一方の側に配置された釦と、前記二辺のうちの他方の側に配置された釦ホールとにより構成されていることが好ましい。
【0013】
このようにした場合、切り込みの最浅部一側の角部に配置された釦は、第一の係止部と第二の係止部を兼ねた釦とすることが可能であり、この切り込みの最浅部一側の角部に配置された釦を利用し、第二の係止部を成す各釦ホールを互いに重ね合わせた状態で一緒に留め、切り込みの最浅部他側の角部を反対側の方に巻き付けるようにして、そのまま外出できるようなドレッシーな装いとすることも可能となる。
【発明の効果】
【0014】
上記した本発明の多用途ケープによれば、下記の如き種々の優れた効果を奏し得る。
【0015】
(I)袖部が形成されるように羽織ることができて、デスクワークを行い易く且つ保温性も高くて離席時にずり落ちることもない便利な防寒具として利用することができる一方、袖部の無いポンチョ風の形態に変えてデスクワークの休憩時間を非常に楽な着心地でゆったりと過ごすことが可能な防寒具として利用することもでき、更には、ポンチョ風の形態から首を抜くことでシート状の掛布として利用することもできる。
【0016】
(II)第二の係止部を備えた二辺同士を閉じ合わせ得るよう前記第二の係止部に隣接して第三の係止部が備えられた構成を採用すれば、首抜き部に首を通して生地を背中側に羽織った際に、切り込みを入れた一辺に対し隣り合う二辺同士を第三の係止部を介し閉じ合わせ、背中側に垂らした生地の下側部分で脚部を包み込ませることができるので、脚部側の保温性も高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明を実施する形態の一例を示す展開図である。
図2図1の生地を袖部が形成されるように羽織った状態を示す正面図である。
図3図2の背中側に垂らした生地の下側部分で脚部を包み込ませた状態を示す正面図である。
図4図1の生地を袖部のないポンチョ風に羽織った状態を示す正面図である。
図5図1の生地をドレッシーな装いとした変形例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0019】
図1図5は本発明を実施する形態の一例を示すもので、図中における符号1は本発明の多用途ケープの主構成を成す生地1であり、図1に展開図で示している通り、この生地1は、保温性を有する毛布素材などにより矩形状に縫製されたものとなっており、前記生地1の一辺A(図1参照)における中間位置から前記生地1の中央に向け該中央を超えない長さで切り込み2が形成されている。
【0020】
前記切り込み2における最深部には、着用者の首を通すための首抜き部3を残して前記切り込み2の両側を閉じ合わせ可能な第一の係止部が備えられるが、ここに図示している例にあっては、前記切り込み2の一側に配置された複数段の釦4,5,6と、前記切り込み2の他側に配置された複数段の釦ホール7,8,9とにより前記第一の係止部が構成されるようになっている。
【0021】
また、前記切り込み2を入れた一辺Aに対し隣り合う二辺B,C(図1参照)の中間位置と前記切り込み2の最浅部両側の角部とを夫々固定可能な第二の係止部として、前記切り込み2の最浅部両側の角部に配置された釦4,10と、前記切り込み2を入れた一辺Aに対し隣り合う二辺B,Cの中間位置に配置された釦ホール11,12とが備えられているが、前記切り込み2の最浅部一側の角部に配置された釦4は、第一の係止部と第二の係止部を兼ねたものとしてある。
【0022】
更に、本形態例にあっては、第二の係止部を備えた二辺B,C同士を閉じ合わせ得るよう前記第二の係止部に隣接して第三の係止部が備えられており、ここに図示している例にあっては、前記切り込み2を入れた一辺Aに対し隣り合う二辺B,Cのうちの一方の側(一辺B側)に配置された釦13と、前記二辺B,Cのうちの他方の側(一辺C側)に配置された釦ホール14とにより前記第三の係止部が構成されるようになっている。
【0023】
而して、デスクワークを行うにあたり、図2に示す如く、切り込み2を拡げて首抜き部3に首を通した状態で生地1を背中側に羽織り、該生地1における切り込み2の両側部分を体の正面側で前身頃として交差させ、前記切り込み2の最浅部における着用者から見て右側の角部の釦4を着用者の左脇腹の生地1の釦ホール12に留めて固定すると共に、着用者から見て左側の角部の釦10を右脇腹の生地1の釦ホール11に留めると、左右の腕が生地1により筒状に包まれて袖部が形成され、腕から生地1が垂れ下がって邪魔になるようなことがなくなり、腕を不自由なく使えるようになってパソコンなどのキー操作が行い易くなる。しかも、背面側だけでなく体の正面側も生地1により被覆されて高い保温性が得られる上、衣服のようにしっかりと着用することができて離席時に立ち上がってもずり落ちる心配がなくなる。
【0024】
また、デスクワークの休憩時間にテレビなどを鑑賞するにあたっては、図4に示す如く、首抜き部3に首を通した状態のまま生地1を背中側に羽織り、該生地1における切り込み2の両側部分を体の正面側で交差させずにそのまま垂らし、各段の釦4,5,6を釦ホール7,8,9に留めて前記切り込み2の首抜き部3を除いた範囲を閉じ合わせると、袖部の無いポンチョ風の形態となって非常に楽な着心地で休憩時間をゆったりと過ごすことが可能となる。尚、体を横たえて休みたい場合には、前述のポンチョ風の形態において、首抜き部3から首を抜くことでシート状の掛布として利用することも可能である。
【0025】
ここで、袖部が形成されるように羽織った場合や、袖部の無いポンチョ風に羽織った場合の何れにおいても、切り込み2を入れた一辺Aに対し隣り合う二辺B,C同士を釦13を釦ホール14に留めることで閉じ合わせることが可能であるので、背中側に垂らした生地1の下側部分(図1中における一辺Aに対峙する一辺D寄りの部分)で脚部を包み込んで脚部側の保温性を高めることが可能となる(例えば、図3図2の背中側に垂らした生地の下側部分で脚部を包み込ませた状態を示している)
【0026】
尚、特に本形態例にあっては、図5に示す如く、切り込み2の最浅部一側の角部に配置された釦4を利用し、第二の係止部を成す各釦ホール11,12を互いに重ね合わせた状態で一緒に留め、切り込み2の最浅部他側の角部を反対側の方に巻き付けるようにして、そのまま外出できるようなドレッシーな装いとすることも可能である。
【0027】
従って、上記形態例によれば、袖部が形成されるように羽織ることができて、デスクワークを行い易く且つ保温性も高くて離席時にずり落ちることもない便利な防寒具として利用することができる一方、袖部の無いポンチョ風の形態に変えてデスクワークの休憩時間を非常に楽な着心地でゆったりと過ごすことが可能な防寒具として利用することもでき、更には、ポンチョ風の形態から首を抜くことでシート状の掛布として利用することもできる。
【0028】
また、第三の係止部として釦13と釦ホール14を備えているので、首抜き部3に首を通して生地1を背中側に羽織った際に、切り込み2を入れた一辺Aに対し隣り合う二辺B,C同士を前記釦13と前記釦ホール14とを介し閉じ合わせ、背中側に垂らした生地1の下側部分で脚部を包み込ませることができるので、脚部側の保温性も高めることができる。
【0029】
尚、本発明の多用途ケープは、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、第一の係止部、第二の係止部、第三の係止部の夫々は、必ずしも図示例の如き釦と釦ホールとの組み合わせで構成されるものに限定されず、面ファスナーやスナップ釦、鉤ホックなどで構成することも可能であること、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0030】
1 生地
2 切り込み
3 首抜き部
4 釦(第一の係止部、第二の係止部)
5 釦(第一の係止部)
6 釦(第一の係止部)
7 釦ホール(第一の係止部)
8 釦ホール(第一の係止部)
9 釦ホール(第一の係止部)
10 釦(第二の係止部)
11 釦ホール(第二の係止部)
12 釦ホール(第二の係止部)
13 釦(第三の係止部)
14 釦ホール(第三の係止部)
図1
図2
図3
図4
図5