(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】食肉盛付装置及び食肉盛付方法
(51)【国際特許分類】
B65B 25/06 20060101AFI20241127BHJP
B65G 47/90 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
B65B25/06 A
B65G47/90 A
(21)【出願番号】P 2021036520
(22)【出願日】2021-03-08
【審査請求日】2023-06-07
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ▲1▼株式会社なんつねは、2020年8月31日、自社ウェブサイト(https://www.nantsune.co.jp/)(https://nantsune.co.jp/scorpion/)(https://nantsune.co.jp/scorpion/img/CM-230[scorpion].pdf)動画投稿サイト(https://www.youtube.com/watch?v=CDiD7ipGxHY)において、本願発明を公開した。 また、2020年11月10日、自社ウエブサイト(https://www.nantsune.co.jp/news/detail/152)において、本願発明を公開した。 ▲2▼株式会社なんつねは、2020年11月25日~27日、千葉県幕張メッセで開催された第1回フードテックジャパンにおいて、本願発明を公開した。 ▲3▼株式会社食肉通信社が2020年10月15日に発行した月刊ミート・ジャーナル2020年10月号において、本願発明が公開された。
(73)【特許権者】
【識別番号】591076028
【氏名又は名称】株式会社なんつね
(74)【代理人】
【識別番号】100165755
【氏名又は名称】藤田 典彦
(72)【発明者】
【氏名】谷口 守紀
(72)【発明者】
【氏名】山田 賢人
(72)【発明者】
【氏名】茨木 宏将
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-028520(JP,A)
【文献】特開平07-329919(JP,A)
【文献】特開2018-008820(JP,A)
【文献】特開平04-039214(JP,A)
【文献】特開平07-300114(JP,A)
【文献】特開2019-000007(JP,A)
【文献】特開2004-167612(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 25/00
B65B 5/00
B65G 47/00
A22C 17/00
A23B 4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一又は複数枚の切断肉からなる肉群を盛付位置に盛り付ける食肉盛付装置であって、
前記肉群の一側方を下方から二つ折りに支持する片持ち状の棒体と、前記棒体を基端側の引き抜く方向に移動可能な前後移動部を有する棒体移動機構と、
前記棒体の長手方向に沿って前記肉群の一側方と接触可能な長手方向長さを有する抵抗体とからなり
、
前記抵抗体は、所定の盛付位置の盛付面より上方位置に移動可能な抵抗体移動機構に接続され、
前記肉群の他側方を盛付位置に接触させ、前記肉群の一側方を前記棒体で下方から支持して持ち上げて前記抵抗体に接触させることで前記抵抗体に暫定的に保持された状態で、前記棒体移動機構により前記前後移動部を作動させて前記棒体を引き抜くことを特徴とする食肉盛付装置。
【請求項2】
棒体が肉群を二つ折りで支持し、前記肉群の上面に接触する押圧部を有する押圧体を有し、
前記押圧体は、前記棒体から独立して上下方向に昇降可能な昇降部を有することを特徴とする請求項
1に記載の食肉盛付装置。
【請求項3】
一又は複数枚の切断肉からなる肉群を盛付位置のトレーに盛り付ける食肉盛付方法であって、
棒体の長手方向に沿って前記肉群の一側方と接触可能な長手方向長さを有する抵抗体を抵抗体移動機構により盛付位置の盛付面より上方位置に移動させる抵抗体移動ステップと、
片持ち状の棒体により前記肉群の一側方を下方から二つ折りに
支持して持ち上げた状態で、棒体移動機構により前記肉群を盛付方向に移動させる肉群移動ステップと、
前記肉群の他側方を盛付位置の盛付面に接触させた状態で、前記棒体で
持ち上げて支持する前記肉群の一側方を前記抵抗体に接触
させることで前記抵抗体に暫定的に保持される接触ステップとを有し、
前記接触ステップ後に、前記棒体を前記肉群から引き抜く引抜ステップを有することを特徴とする食肉盛付方法。
【請求項4】
肉群移動ステップ後に、肉群から押圧体による上方からの支持を解除して棒体のみの支持状態とする押圧体解除ステップを有することを特徴とする請求項
3に記載の食肉盛付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食肉盛付装置及び食肉盛付装置を用いた食肉盛付方法に係る発明である。
【背景技術】
【0002】
食材をトレーに盛り付ける装置として、特許文献1は、ベルトコンベア上にある軟体食材の下にシャッターを滑り込ませ、軟体食材ごとシャッターをトレーの真上に移動させて、シャッターを引き抜き、軟体食材をトレーに落下させて盛り付ける自動搬送装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の自動搬送装置は落下させて盛り付けるから、トレー内の目標位置に正確に盛り付けができないという問題があった。また、落下により皺や意図しない折れ曲がりが生じやすくなる。そこで、薄いスライス肉などの食材を皺等が形成されずに、きれいに盛り付けることができる盛付装置が求められていた。また、棒体を用いた把持機構により搬送機構を搬送される鱗列した複数のスライス肉(肉群)を把持して盛り付ける盛付装置を用いた場合に、棒体を引き抜く際に、スライス肉の脂身の粘着性により鱗列状態から抜き取る棒体に引きずられてきれいな鱗列状態のままにトレーに盛り付けができないという問題があった。
【0005】
また、近年のトレーへの盛り付けは、複数列にした列盛りと呼ばれる盛り付けと、スライス肉を二つ折りにした状態で盛り付ける片折りと呼ばれる盛り付けがあり、両方を併用することもなされる。これらの列盛り、片折りを行うことができ、きれいな状態でトレーに盛り付けることができる食肉盛付装置及び食肉盛付方法が求められていた。
【0006】
そこで、本発明は、棒体により支持された肉群をトレーに盛り付けるに際し、皺や意図しない曲がりを防止ししつつ棒体を抜き取り、安定してきれい整列した状態で盛り付ける食肉盛付装置及び食肉盛付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の食肉盛付装置は、一又は複数枚の切断肉からなる肉群を盛付位置に盛り付ける食肉盛付装置であって、
前記肉群の一側方を下方から二つ折りに支持する片持ち状の棒体と、前記棒体を基端側の引き抜く方向に移動可能な前後移動部を有する棒体移動機構と、
前記棒体の長手方向に沿って前記肉群の一側方と接触可能な長手方向長さを有する抵抗体とからなり、
前記抵抗体は、所定の盛付位置の盛付面より上方位置に移動可能な抵抗体移動機構に接続され、
前記肉群の他側方を盛付位置に接触させ、前記肉群の一側方を前記棒体で下方から支持して持ち上げて前記抵抗体に接触させることで前記抵抗体に暫定的に保持された状態で、前記棒体移動機構により前記前後移動部を作動させて前記棒体を引き抜くことを特徴とする。
【0009】
また、棒体が肉群を二つ折りで支持し、前記肉群の上面に接触する押圧部を有する押圧体を有し、
前記押圧体は、前記棒体から独立して上下方向に昇降可能な昇降部を有することが好ましい。
【0010】
また、本発明の食肉盛付方法は、一又は複数枚の切断肉からなる肉群を盛付位置のトレーに盛り付ける食肉盛付方法であって、
棒体の長手方向に沿って前記肉群の一側方と接触可能な長手方向長さを有する抵抗体を抵抗体移動機構により盛付位置の盛付面より上方位置に移動させる抵抗体移動ステップと、
片持ち状の棒体により前記肉群の一側方を下方から二つ折りに支持して持ち上げた状態で、棒体移動機構により前記肉群を盛付方向に移動させる肉群移動ステップと、
前記肉群の他側方を盛付位置の盛付面に接触させた状態で、前記棒体で持ち上げて支持する前記肉群の一側方を前記抵抗体に接触させることで前記抵抗体に暫定的に保持される接触ステップとを有し、
前記接触ステップ後に、前記棒体を前記肉群から引き抜く引抜ステップを有することを特徴とする。
【0011】
また、肉群移動ステップ後に、肉群から押圧体による上方からの支持を解除して棒体のみの支持状態とする押圧体解除ステップを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明により、片持ち状の棒体に支持する肉群の一側方を抵抗体に接触させていったん保持して前後移動部を有する移動機構により棒体を引き抜くことで、棒体に肉群が引きずられることなく、綺麗に整列した状態で盛り付ける食肉盛付装置を提供することができる。
さらに肉群の他側方を盛付位置の盛付面に接触させつつ肉群の一側方を盛付面より上方で抵抗体に接触させることで、2点で肉群を接触させることで、安定的に棒体を引き抜き、引き抜く際の肉群のずれを防止して、綺麗に整列した状態で盛り付けることが可能になる。
【0014】
請求項2に記載の発明により、棒体が挿入され、押圧体で上方から押さえることで、肉群を把持することで支持することができる。また、押圧体は昇降部により棒体から独立して昇降可能とすることで、肉群を上下方向から挟む把持動作と棒体から離間して把持(上方からの押さえ)を解く開放動作を行うことを可能としている。
【0015】
請求項3に記載の発明により、片持ち状の棒体に支持する肉群を抵抗体に接触させていったん保持して前後移動部を有する移動機構により棒体を引き抜くことで、棒体に肉群が引きずられることがない。また、肉群の他側方を盛付位置の盛付面に接触させつつ肉群の一側方を盛付面より上方で抵抗体に接触させることで、2点で肉群を接触させることで、安定的に棒体を引き抜き、引き抜く際の肉群のずれを防止して、綺麗に整列した状態で盛り付ける盛付方法を提供することが可能になる。
【0016】
請求項4に記載の発明により、押圧体で肉群を上下方向から挟む把持動作から棒体から離間して把持(上方からの押さえ)を解く開放動作を行うことを可能としている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係る食肉盛付装置全体の正面斜視図である。
【
図2】
図1の把持位置及び盛付位置の部分拡大図である。
【
図3】本発明の盛付位置と第1実施形態の抵抗体を示す部分斜視図である。
【
図4】本発明の第1実施形態の抵抗体を示すものであって、(a)が背面図、(b)が側面図であり、(c)が抵抗形態を説明する領域Aの拡大図である。
【
図5】本発明の第1実施形態の抵抗体のうち、1つの基部と抵抗部との組み合わせを示すものであって、(a)が引き抜き方向下流側のもの、(b)がその他のものを示す斜視図である。
【
図6】本発明の第1実施形態の抵抗体であって、正面側から見た状態の斜視図である。
【
図7】本発明の第1実施形態の抵抗体を用いた動作フロー図である。
【
図8】本発明の第1実施形態の抵抗体を用いた盛り付け方法を示す側方端面図であり、(a)が棒体により肉群を盛付位置に移動させる肉群移動ステップを示し、(b)が抵抗体を移動させる抵抗体移動ステップと押下部により位置決めをする肉群位置決めステップを示し、(c)が肉群を抵抗体に接触させる接触ステップを示し、(d)が引抜ステップ後に肉群が倒れて盛付が完了する状態を示す。
【
図9】本発明の第2実施形態の抵抗体を示す背面側から見た斜視図である。
【
図10】本発明の第2実施形態の抵抗体であって、1つの基部と抵抗部との組み合わせを示す背面図である。
【
図11】本発明の第2実施形態の抵抗体にスクレーパーを備えた別実施形態を示す背面側からの斜視図である。
【
図12】本発明の第2実施形態の抵抗体を用いた動作フロー図である。
【
図13】本発明の第2実施形態の抵抗体を用いた盛り付け状態を示す側方端面図であり、(a)が棒体により肉群を盛付位置に移動させる肉群移動ステップを示し、(b)が押圧体解除ステップを示し、(c)が抵抗体を移動させる抵抗体移動ステップを示し、(d)が棒体を上昇させて抵抗体に肉群を接触させる接触ステップを示す。
【
図14】本発明の第3実施形態の抵抗体を示す正面側から見た斜視図である。
【
図15】本発明の第3実施形態の抵抗体を用いた動作フロー図である。
【
図16】本発明の第3実施形態の抵抗体を用いた盛り付け状態を示す側方端面図であり、(a)が抵抗体を移動させる抵抗体移動ステップを示し、(b)が棒体により肉群を盛付位置に移動させる肉群移動ステップを示し、(c)が押圧体を上昇させる押圧体解除ステップを示し、(d)が抵抗体に肉群を接触させる接触ステップを示す。
【
図17】本発明の実施形態の一例となる肉群を示す拡大斜視図である。
【
図18】本発明の実施形態に係る把持機構の部分拡大斜視図である。
【
図20】把持機構による把持動作の説明図であり、(a)が棒体を挿入前の状態を示す端面図、(b)が(a)の状態から挿入を開始した状態を示す端面図、(c)が押圧体を降下した状態を示す端面図、(d)が上昇機構により把持機構を持ち上げた状態の端面図である。
【
図21】把持機構による把持動作の説明図であって肉群を二つ折りにした状態での把持動作を示すものであって、(a)が棒体を挿入前の状態を示す端面図、(b)が(a)の状態から挿入を開始した状態を示す端面図、(c)が押圧体を降下した状態を示す端面図、(d)が上昇機構により把持機構を持ち上げた状態の端面図である。
【
図22】
図1の移動機構を説明するための部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る食肉盛付装置の実施形態を添付の図面に基づいて説明する。本発明は以下の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲で種々の変形、付加等が可能である。本実施形態の説明において、先ず食肉盛付装置101の概要とともに抵抗体1の実施形態と抵抗体1を用いたトレーT1への盛付方法を説明し、その後に食肉盛付装置全体を詳細に説明する。
【0019】
本実施形態の食肉盛付装置101の概要は、
図1に示すように、搬送される肉群Sを把持位置115に供給する肉搬送機構110と、搬送される肉群Sを把持する把持機構130と、把持した肉群Sを盛付位置172に移動する棒体移動機構150とを有する。なお、本実施形態において棒体移動機構150とは、棒体131と押圧体140とからなる把持機構130のみでなく、肉群Sを支持する棒体131のみを移動させる機構も含めたものを意味し、後述の抵抗体1を移動させる機構は抵抗体移動機構2としている。
【0020】
本実施形態にかかる抵抗体1を用いた盛り付けは、
図1、
図2及び
図3に示すように、把持機構130により支持された肉群Sを盛付位置172に配送されたトレーT1に盛り付けるに際し、把持機構130の棒体131を肉群Sから引き抜き、肉群Sを整列した状態で盛り付けるものである。通常、棒体131により肉群Sを下方から支持している棒体131を引き抜くと、引き抜く棒体131に引きずられてしまって肉群Sの鱗列、整列状態が乱れ、きれいに列盛りや片折りにより盛り付けることができない。この引き抜き行為を正確に行って、トレーT1にきれいに盛り付けるための装置及び方法に関するものである。
【0021】
本実施形態の食肉盛付装置は、肉群Sを支持する棒体131と、棒体131を盛付位置に移動させる棒体移動機構150を有する。棒体131は、一又は複数のスライス肉からなり、鱗列、整列した状態で肉群Sを下方から支持するものであり、その詳細な実施形態は後述の通りである。棒体131は、基端を棒体移動機構150に固定して棒体移動機構150により盛付方向にスライド移動自在とし、先端を自由端とする片持ち状にしている。本実施形態の棒体131は、後述する把持機構130の一部であり、棒体131に対して押圧体140を上方から押さえて把持することで肉群Sを支持するものであるが、後述する抵抗体1を使用するに際しては棒体131のみで肉群Sを二つ折りにした状態で支持する場合にも好適に使用できる。そこで、本説明において、肉群Sの支持とは、把持機構130による棒体131と押圧体140による上下の把持だけでなく、棒体131のみによって下方から肉群Sを保持する状態を含めた意味として用いる。
【0022】
把持機構130は、後述のように、上昇移動部151、スライド移動部152、前後移動部153からなる棒体移動機構150の移動を組み合わせることにより前後(搬送方向・引き抜き方向、
図1の矢印線A1方向)、左右(盛付方向・スライド、
図1の矢印線A2方向)、上下(
図1の矢印線A3方向)、の3軸方向に移動可能としている。
【0023】
棒体移動機構150の前後移動部153は、さらに棒体131の前後方向の移動により肉群Sから引き抜く引抜機構を兼ねている。棒体移動機構150は、肉群Sを棒体131が支持した状態で肉搬送機構110から盛付位置172にスライド移動し、肉群SをトレーT1に盛り付けた後に、搬送機構110に復帰移動する往復移動自在としている。この棒体移動機構150により、棒体131が支持する肉群SをトレーT1に移動させることができる。
【0024】
次に、本実施形態の抵抗体1について説明する。
図3に示すように、抵抗体1は、抵抗体移動機構2と接続するためのアーム3と、アーム3に接続する基部4と、基部4に配置する抵抗部5を基本的な形態としている。
【0025】
抵抗体移動機構2は、後述する棒体移動機構150である上昇移動部151、スライド移動部152、前後移動部153と同じく、レールと走行部とを有する移動機構であり、上下(上昇移動部2b)、左右(スライド移動部2a)に適宜移動可能としている(
図1参照)。図示しないが、前後に移動する前後移動部を備えたものであってもよく、レールと走行部による構成以外でもシリンダやエア等の移動機構であってもよい。
【0026】
本実施形態の抵抗部5は、
図4(a)、(b)、(c)に示すように、比較的硬質のシリコンや樹脂からなるベルト状、帯状部材であり、肉群Sを接触させる表面である接触面に抵抗形態6を配するものである。本実施形態における抵抗形態6は、接触面に複数配列され突出する細かな突起であるが、引き抜き方向(前後方向)と対向する方向に複数の溝体を形成する凹凸やその他の形態でもよい。
【0027】
抵抗部5は基部4に配置するが、基部4に隙間なく密接するものではなく、基部4と抵抗部5の裏面(接触面の反対側)との間に空隙を有するように遊着されて固定される。本実施形態ではベルト状の抵抗部5の両端を基部に取り付けて固定し、抵抗部5にその硬質性から一定の張力をもたせつつ、基部4と抵抗部5の裏面との間に空隙34を有して遊着している。この遊着とは、抵抗部5の中央部分が基部4から接触面側に凸となるように突出していることが好ましいが、必ずしもこれに限定するものではなく、基部4と抵抗部5の裏面側の間に所定の空隙34を形成しておればよい。抵抗部5に張力をもたせつつ遊着することにより、抵抗部5の表面(接触面)に、性質上所定の粘性を有する肉群Sが接触した際に、肉群Sに接触したときに弾性的に接触して肉群Sのずれを抑制し、抵抗部5の抵抗形態により肉群Sを数秒程度の暫定的な保持が可能となる。
【0028】
抵抗体1の抵抗部5は、棒体131の長手方向(前後方向)に沿う長手方向長さを有するものであり、棒体131に支持された肉群Sと所定長さで接触可能にしている。
図9に示す第2実施形態、
図14に示す第3実施形態のように帯状ベルトからなる抵抗部5c、5cを棒体131の長手方向にかけて3つに分割して配する場合でもよいが、
図4(a)に示すように、棒体131の長手方向と直交する方向に帯状ベルトからなる抵抗部5aを複数掛け渡して棒体131の長手方向に沿う方向に所定の長さを有する抵抗部5が配されるものであってもよい。
【0029】
抵抗部5の長手方向長さは、棒体131の長手方向長さと同じ長さを有することまでは必要ではないが、棒体131の基端部分には所定の長さを有することが好ましい。例えば、
図4(a)の実施形態では、棒体131の長手方向長さの5分の1の長手方向長さを有する抵抗部5を、棒体131の基端部分に対応する位置に配し、基端側から先端側にかけてより短い長手方向長さを有する抵抗部5を適宜配している。棒体131を引き抜くに際して、基端部分に最も皺やずれが生じやすく、当該基端部分の肉群Sの皺やずれを防止するために少なくとも棒体131の基端部分に対応する位置には一定の長さの抵抗部5を配することが好適である。
【0030】
抵抗体1の具体的な実施形態について説明する。第1の実施形態にかかる抵抗体10について、
図3、
図4、
図5、
図6を示して説明する。第1の実施形態にかかる抵抗体10は、正面側からみて抵抗体10の抵抗部5aの表面(接触面)が搬送方向側に向いたものである。抵抗体10は、抵抗体搬送機構2に接続するL字状に折曲するアーム3と、アーム3に接続された複数の基部4aと、基部4aに配置される複数の抵抗部5aとからなる。本実施形態の基部4aと抵抗部5aとの組み合わせたものは、前後方向(引き抜き方向、
図3のA1方向)にかけて4つ並び、棒体131の引き抜き方向の最も下流側に位置するものが他のものより、引き抜き方向(矢印線A1)長さが大きい形状としている。
【0031】
基部4aは、折曲したアーム3に固定する上板31aと、上板31aの一方端縁から内側(盛付方向の反対側)に傾斜しつつ垂下しする垂下板31bと、垂下板31bの下縁から外側(盛付方向側)に向けて突出する下板31cとからなり、平板を側面から見て略Z字形状に折り曲げて形成している。下板31cは水平な板体であってもよいが、本実施形態は下方に向けて凸となるように湾曲した形態を有する。上板31aの内側から外側方向の長さに対して、下板31cの内側から外側方向の長さは短い。垂下板31bの傾斜は下板31cの外側縁と上板31aの外側縁とがほぼ同程度の外側位置にあるようにしている。
【0032】
上板31aには、中央よりやや外側の位置に抵抗部5aを差し入れて固定するためのスリット状の上差込孔32を有している。垂下板31bは、下方に抵抗部5aを固定する下差込孔33を有している。上差込孔32,下差込孔33はいずれも引き抜き方向A1の長さにかけて長い長孔形状としている。
【0033】
第1の実施形態の基部4aに配されるベルト状の抵抗部5aは、一端を上差込孔32に、他端を下差込孔33に挿入して取り付けたものである。より具体的には、上差込孔32に通したうえで、基部4cの表面との間に空隙34を有し、さらに基部4aの表面と下板31cを覆うようにして跨いで他端を下差込孔33に通し、上板31aと垂下板31bとの折曲位置と下板31cの先端縁に掛け渡すようにして一定の張力を有するように遊着する。このとき、下差込孔33からは基部4aの裏面側から空隙34に向けて抵抗部5aの他端を突出させた突出部分35を有する。この突出部分35を有することで、基部4aの表面と抵抗部5aの裏面との間の空隙34を常時確保することができる。また、下板31cを抵抗部5aが覆うように跨いだ部分であって下板31cの下面となる部分が、肉群Sを上方から下方に向けて押し下げて位置決めすることができる押下部36が形成される。
【0034】
第1の実施形態にかかる抵抗体10を用いた盛り付け方法について
図7、
図8を示して説明する。
図8(a)に示すように、把持機構130により支持された肉群Sをスライド移動部152により盛付位置172にスライド移動させる(肉群移動ステップ・S11)。次に、
図8(b)に示すように抵抗体移動機構2の上昇移動部、スライド移動部、前後移動部により抵抗体10の抵抗部5aを盛付位置の盛付面より上方であって、肉群Sの棒体131で支持する一側方と反対側の他側方に移動させる(抵抗体移動ステップ・S12)。そして、抵抗体移動ステップ後に、抵抗体10を抵抗体移動機構2により降下させて基部4aの下方にある押下部36により肉群Sの他側方を盛付面に押し付けて位置決めする(肉群位置決めステップ・S13)。そして、把持機構130により支持された肉群Sから押圧体140による上方からの支持を昇降部141により解除して棒体131のみによる支持状態とする押圧体解除ステップがある。次に、
図8(c)に示すように押圧体解除ステップ後に、肉群Sの一側方を下方から支持する棒体131をさらに上昇移動させて抵抗体10の抵抗部5aに接触させる(接触ステップ・S14)。この接触ステップにより肉群Sが抵抗部5aに接触して抵抗部5aの抵抗によりいったん暫定的に保持された状態で、
図8(d)に示すように棒体131を先端側から基端側に向けての引き抜き方向へ引き抜き移動を行い、棒体131から肉群Sを引き抜く(引抜ステップ・S15)。その後、抵抗部5aにより暫定的に保持された肉群Sの一側方がトレーT1に落下して盛り付けられる。
【0035】
引抜ステップは、肉群Sの盛付方向(矢印線A2方向)側の一側方を棒体131で支持した状態で、その反対側となる盛付方向反対側の他側方を盛付位置172の上平面である盛付面に接触させ、盛付方向の一側方の肉群Sを抵抗体1の抵抗部5aに接触させた状態で、棒体131を引き抜く。この動作により肉群Sを上下2点で接触させた状態で引き抜きを行って、肉群Sの整列状態が乱れることを防止することができる。これは、第2、第3の実施形態でも同様である。
【0036】
さらに第1の実施形態では、肉群Sの他側方を盛付位置172に押下部36で押し付けており、肉群Sを位置決めすることで、さらに肉群Sの整列状態を保持した状態で、棒体131を抜き取り、トレーT1に盛り付けることが可能になる。
【0037】
また、引抜ステップにおいて、棒体131を回転させて抜き取ることが好適である。本実施形態の棒体131は後述するように断面形状が、水平状の底面135と、底面135の盛付方向側端から湾曲状に立ち上がる湾曲面136と、湾曲面136の上端から底面135の盛付方向側端と反対側の端(下端縁137a)へ下り傾斜する傾斜面137を有する(
図19参照)。この棒体の傾斜面137と底面135の接点が下方を向くように、棒体131を回転させて引き抜くことで、棒体131と肉群Sとの接触面を少なくして安定的に引き抜き行為を行うことができる。これは、第2、第3の実施形態でも同様である。
【0038】
さらに接触ステップは、棒体131を若干持ち上げるように上昇させて肉群Sを抵抗体1に接触させることが好適である。上昇させながら接触させることで、肉群Sが抵抗体1に接触状態を暫定的に保持しやすくし、棒体131をスムーズに抜き取ることが可能になる。
【0039】
また、押圧体解除ステップは、肉群Sを二つ折りにする片折りとするか、肉群を二つ折りにしないかで行う工程を変更することが好適である。棒体131で肉群の中央部Sc(
図17参照)付近で支持して二つ折りで支持する場合(片折りをする場合)には、盛付後も二つ折り状態(片折り状態)となる。この二つ折り状態で支持すると棒体131のみによる下方からの支持のみで所定時間を支持できるが、肉群Sを二つ折りで支持しないように搬送方向側端部Sa(
図17参考)で支持する場合には押圧体140による上方からの押圧を解除すると肉群Sが時間の経過によりずれ落ちる可能性がある。この場合には、押圧体解除ステップは棒体131を抵抗体1に接触させた後に押圧体解除ステップを行うことが好ましい。
【0040】
次に、第2の実施形態にかかる抵抗体20について説明する。第2の実施形態にかかる抵抗体20は、
図9、
図10に示すように、正面側からみて抵抗体20の抵抗部5bの表面(接触面)が下方向側に向いたものである。抵抗体移動機構に接続するL字型に折曲した平板状のアーム3に、基部4bが3つ並んで接続されている。基部4bは、平板状でアーム3に接続する基部上板21a、基部上板21aから連続して垂下する基部垂下板21b、基部垂下板の下端から水平状の平面に連続する基部底板21cが一体的に形成された側面からみて略Z状の形態である。基部底板21cには、基板の前後に壁部を有する張出基部22が接続棒23、23により接続して配されている。張出基部22は、基部底板21cの下方に張り出すように配されるものであり、基部底板21cに対して上下動可能に接続されたものである。
【0041】
張出基部22の基板に前後方向(矢印線A1方向)の両側から上方に立ち上がる壁部を有し、基板上平面から上方に向けて突出する接続棒23、23が前側と後側に2つずつの合計4つが形成されている。本実施形態では接続棒23、23の全てに棒表面にネジ切りがなされているが、どれか1つになされていてもよい。この接続棒23、23を基部底板21cに形成されている基部接続孔24、24に通し、ナット状の接続保持具25を配することで接続棒23、23を所定位置で保持することができる。接続保持具25は、一つであっても良いが、接続棒23、23のすべてに配しても良い。この接続棒23と基部接続孔24と接続保持具25による固定により、張出基部22の張出高さを適宜変更することができ、抵抗部5bの遊着状態を適宜変更して、肉群Sとの接触や暫定的な保持状態を調整することが可能になる。
【0042】
上記の構成により、張出基部22は、基部4bから下方に張り出して、所定の位置で保持することができる。この状態で、ベルト状の抵抗部5bの一端に開孔された抵抗部接続孔に基部底板21cから上方に突出した接続棒23に通し、基部底板21cの一側方に開けられた差込孔を通して下方に出し、張出基部22を覆って旋回するように掛け渡し、基部底板21cの他側方に開けられた差込孔を通して上方に出し、ベルト状の抵抗部5bの他端に開孔された抵抗部接続孔に接続棒23を通すことで、抵抗部5bが張出基部22を跨いで基部4bに配することができる。この場合においても、抵抗部5bは張出基部22の両側の壁部に掛け渡すように接触することで一定の張力を有して抵抗部5bと基部4bとの間に空隙34を有するよう遊着される。
【0043】
第2実施形態にかかる抵抗体20は、上記に示す張出基部22を跨いで抵抗部5bを配したものを3つ並列に並べたものであるが、
図11に示すように、最も棒体131の引き抜き方向下流側に位置するものを下方に折曲したスクレーパー27に変更するものであってもよい。このスクレーパー27は、水平面28aの先端側が下方に傾斜するように折曲した傾斜面28bを有し、この傾斜面28bの先端を一部切り欠いた切り欠き28cを有する。図示しないが、この切り欠き28cが棒体131に接触し、棒体131を引き抜くに際し、肉群Sを水平面28aと傾斜面28bで抑え、肉群Sが引きずられて整列が乱れることを防止することができる。
【0044】
第2の実施形態にかかる抵抗体20を用いた盛り付け方法について、
図12,
図13により説明する。
図13(a)に示すように把持機構130により支持された肉群Sをスライド移動部152によりスライド移動させる(肉群移動ステップ・S21)。次に、
図13(b)に示すように把持機構130により支持された肉群Sから押圧体140による上方からの支持を昇降部141により解除して棒体131のみによる支持状態とする押圧体解除ステップがある。次に、
図13(c)に示すように抵抗体移動機構2の上昇移動部、スライド移動部により抵抗体20の抵抗部5bを盛付位置の盛付面より上方であって、肉群Sの棒体131の上方に移動させる(抵抗体移動ステップ・S22)。そして、
図13(d)に示すように抵抗体移動ステップ後に、肉群Sの他側方が盛付位置の盛付面に接触する状態で棒体131を上昇させて肉群の一側方を抵抗体20の抵抗部5bに接触させる(接触ステップ・S23)。この接触ステップにより肉群Sが抵抗部5bに接触して抵抗部5bの抵抗によりいったん暫定的に保持された状態で、棒体131を先端側から基端側に向けての引き抜き方向へ引き抜き移動を行い、棒体131から肉群Sを引き抜く(引抜ステップ・S24)。その後、抵抗部5bにより暫定的に保持された肉群Sの一側方がトレーT1に落下して盛り付けられる。
【0045】
第3の実施形態にかかる抵抗体30について、
図14を示して説明する。第3の実施形態にかかる抵抗体30は、最も簡易的な実施形態であって、正面側からみて抵抗体30の抵抗部5cの表面(接触面)が搬送方向反対側に向いたものである。抵抗体移動機構2に接続する長板状のアーム3と、アーム3の先端に接続され、アーム3の長手方向と直交する方向に延びる平板状の基部4cとを有する。平板上の基部4cは長手方向に直交する方向に向けた縦に長い差込孔11、11が6つ形成される。抵抗体30に配する3つの抵抗部5c、5cは、基部4cの表面側から裏面側にかけて両端を差込孔11、11に通し、一定の張力を有して基部4cとの間に空隙34を有するように遊着する。
【0046】
第3の実施形態にかかる抵抗体30を用いた盛り付け方法について、
図15、
図16を示して説明する。
図16(a)に示すように抵抗体移動機構2の上昇移動部、スライド移動部により抵抗体30の抵抗部5cを盛付位置の盛付面より上方に移動させる(抵抗体移動ステップ・S31)。次に、
図16(b)に示すように把持機構130により支持された肉群Sを盛付位置にスライド移動させ(肉群移動ステップ・S32)、
図16(c)に示すように把持機構130により支持された肉群Sから押圧体140による上方からの支持を昇降部141により解除して棒体131のみによる支持状態とする(押圧体解除ステップ・S33)。そして、
図16(d)に示すように押圧体解除ステップ後に、肉群Sの他側方が盛付位置172の盛付面に接触する状態で肉群Sの一側方を抵抗体30の抵抗部5cに接触させる(接触ステップ・S34)。この接触ステップにより肉群Sが抵抗部5cに接触して抵抗部5cの抵抗によりいったん暫定的に保持された状態で、前後移動部153により棒体131を先端側から基端側に向けての引き抜き方向へ引き抜き移動を行い、棒体131から肉群Sを引き抜く(引抜ステップ・S35)。その後、抵抗部5cにより暫定的に保持された肉群Sの一側方がトレーT1に落下して盛り付けられる。
【0047】
次に、本実施形態にかかる食肉盛付装置101の全体について、説明する。本実施形態は、肉搬送機構110の上流で、図示しない食肉スライサーにより肉塊がスライスされ、所定の枚数を一部重ねた状態(肉群S)で搬送される。すなわち、
図1に示すように、近年のスライサーは、盛付容器に盛り付ける一群ごとにスライスして搬送させる。盛付容器に盛り付ける肉群Sは、一般的に複数の細長い薄切り肉が、肉の長手方向と直交する方向に一定間隔ごとにずらして順々に重ね合わせて鱗列していることが多い。近年のスライサーはスライスした前記鱗列状態にした肉群Sを肉搬送機構110から搬送させる。そのため、食肉盛付装置101は、肉搬送機構110で搬送される肉群Sを、そのままの状態でトレーT1に盛り付けることが必要となる。
【0048】
肉群Sは、1または複数枚の切断肉からなる。本実施形態では、
図17に示すように、鱗列された複数の薄切り肉からなる肉群Sを前提に説明をするが、ステーキ用やカツ用等の所定の厚みを有する1枚の切断肉であってもよい。本実施形態では盛付容器に盛り付けられる食肉は、搬送される1つの肉群Sを対象とするものであるが、本実施形態を応用することにより、1枚または複数枚からなる1つの肉群Sだけでなく、複数の肉群Sを1つの盛付容器に盛り付けるように制御することも可能である。
【0049】
本実施形態において説明する肉群Sは、各々の肉の長手方向が肉搬送機構110の搬送方向(
図1、
図17に示す矢印A1の方向)と直交する方向になるようにしており、複数枚の切断肉からなる場合には1の切断肉の搬送方向上流側に次の切断肉が一定間隔をずらして一部重なるようにして、鱗列状体となっている。
図17において肉群Sは、搬送方向の一方の側方となる盛付方向側の端部を把持機構130が把持する位置である盛付方向側端部Saを仮想線で示し、盛付方向側端部Saと反対側となる反対側端部Sb、中央部Scも仮想線で示している。このように鱗列した肉群Sを盛付方向側端部Saで把持機構130が把持することで、重なった複数枚からなる肉群Sの全てを支持することができる。なお、本実施形態において肉群Sを片折りで盛り付けるために、把持機構130の支持は、二つ折り状態(片折り)とするために、盛付方向側側端部Saよりも中央部Sc寄りで支持するものであってもよい。
【0050】
本実施形態では
図1、
図17に示す矢印A2の方向を盛付方向としている。盛付方向とは、平面視において、搬送方向の一方の側方であって、搬送方向と厳密に直交する方向に限定されない。盛付方向が搬送方向と直交する方向であることは望ましいが、トレーT1の配置位置や肉群Sの把持位置115との関係で盛付方向が搬送方向(例えば前後方向)から正確な直交する方向(例えば左右方向のうち右方向)だけでなく、その前後を含めた範囲を含むものである。
【0051】
本実施形態において、
図1に示すように、所定の長手方向長さを有する肉搬送機構110の下流側において把持機構130により肉群Sを把持する位置となる把持位置115があり、この把持位置115からみて搬送方向と直交する方向にトレーT1が供給されている。このトレーT1に棒体移動機構150により把持機構130が移動して肉群Sを盛り付けるものである。
【0052】
盛付容器であるトレーT1は、
図1及び
図2に示すように、盛付容器供給機構170により、肉群Sが盛り付けられる盛付位置172まで供給される。盛付位置172は、把持位置115から搬送方向の一方の側方に位置するもので、搬送方向と直交する方向であればよりよい。盛付位置172のトレーT1は、搬送部111若しくはガイド部105の上面と同じ高さとすることが好ましく、または、本実施形態のように若干低い位置に位置してもよい。この若干低い位置とは長手方向を30mm以上とする肉群Sを供給する場合に、10mm以下の高低差は許容される。後述するように、スライド移動された肉群Sを滑らせるように搬送状態と同じ状態で盛り付けるため、トレーT1のフランジの高さ位置は、搬送部111若しくはガイド部105の高さと略同じ高さであることが好ましい。
【0053】
本実施形態における盛付容器供給機構170による供給方向は、肉搬送機構110の搬送方向と並行となっている。つまり、肉搬送機構110と盛付容器供給機構170とが並列した状態となっている。なお、肉搬送機構110及び盛付容器供給機構170はいずれもベルトコンベヤ等の周知の搬送手段としている。
【0054】
トレーT1は四角形状の有底箱形とし、本実施形態では樹脂製のトレーを用いている。トレーT1は、肉群Sを折り畳まずに載置可能な寸法の底部を有し,箱壁の上縁の全周に亘る角枠形状のフランジを外周側に突出して有している。例えば前後方向の寸法を120~300mmとし、左右方向の寸法を196~300mmとし、深さを20~35mmとして、長方形状または正方形状としている。なお、トレーT1はフランジを有していれば、多角形状や円盤形状などその他の箱形であってもよい。
【0055】
先ず、肉搬送機構110について説明する。
図1及び
図2に示すように、肉搬送機構110は肉群Sの長手方向の寸法よりも幅が広く無端状のコンベヤ(帯ベルト)からなる搬送部111とし、搬送部111はその上面(搬送面)に肉群Sを載置して搬送方向に沿って上流側から下流側に向けて搬送する。
図2で示す肉搬送機構110は上流側が図面上左側であり、下流側が図面上右側としている。肉搬送機構110の長手方向中央付近よりも下流側に把持機構130により把持される把持位置115があり、この把持位置115よりも上流側で搬送される肉群Sを第1の撮影部120により撮影する撮影位置117を有している。
【0056】
第1の撮影部120は、撮影位置117の上方に配置するカメラであり、肉搬送機構110により搬送される状態の肉群Sを上方から撮影している。撮影部120は肉搬送機構110の側方側(盛付方向側)に立ち上がる側方壁からせり出すように配置されている。撮影した肉群Sの情報は肉の形状、搬送部111上の位置情報などからなり、肉群Sの盛付方向側端部Sa(
図17参照)の位置を特定する特定情報も取得し、把持機構130による把持動作の制御に用いられる。
【0057】
次に把持機構130について説明する。
図18に示すように、把持機構130は、棒体131と、押圧体140とからなる。本実施形態の把持機構130は、搬送方向に対向する方向を長手方向とする棒体131を肉群Sの盛付方向側から、搬送部111上面と肉群Sとの間に挿入し、肉群Sの盛付方向側端から約20乃至35mm程度中央側に位置となる盛付方向側端部Saの位置で止める。肉群Sの盛付方向側端部Saの下方に棒体131が挿入され、押圧体140で上方から押さえることで、肉群Sを把持することで支持する。上記と同じく、より二つ折り状態とするには側端部Saよりも中央Sc寄りの位置で支持するものであってもよい。
【0058】
棒体131は、所定長さを有する細長い棒形状であり、基端部133が後述する棒体移動機構150に接続され、先端部134が開放端となっている。棒体131の長手方向長さは、一定幅でずらして重ね合わせた肉群Sの搬送方向の長さより長くする必要はあるが、特に長さを限定するものではない。
【0059】
棒体131は、
図19に示すように、その形状が、水平状の底面135と、底面135の盛付方向側端から湾曲状に立ち上がる湾曲面136と、湾曲面136の上端から底面135の盛付方向側端と反対側の端(下端縁137a)へ下り傾斜する傾斜面137を有する。傾斜面137は、棒体131の挿入方向に向けて下方傾斜するようにしており、その下端縁137aから肉群Sと搬送部111の上面との間に挿入し易くしている。本実施形態における棒体131は、上記のような断面略三角形状が好ましいが、断面を楕円形状や円形状にするものやその他の形態であってもよい。
【0060】
棒体131の湾曲面136と傾斜面137との接線となる上辺から垂直方向の下向きに下ろした仮想直線136aと、この仮想直線136aと底面135との交点136bは、底面135の盛付方向への長さのうち中央点135aよりも盛付方向側に位置し、傾斜面137の傾斜角度θ1は比較的小さな角度(鋭角)となる。なお、仮想直線136a、交点136b、中央点135aはいずれも仮想のもので、実施形態に表れるものではない。
【0061】
押圧体140は、
図18、
図19に示すように、肉群Sの上面に接触する下面(押圧部144)を有し、盛付方向と反対側の方向に長く形成される。押圧体140は、昇降部141により棒体131に接近、離間するように上下方向に昇降自在とし、昇降部141を介して棒体移動機構150に取り付けられる。つまり押圧体140は昇降部141により棒体131から独立して上下方向に昇降可能としている。
【0062】
押圧体140は盛付方向と反対側の方向へ、下向きに傾斜した下面(押圧部144)を有する板状としている。押圧体140は、昇降部141に遊動自在に固定する基部142と、基部142の下縁から盛付方向と反対側の方向へ突出する櫛状の傾斜部143と、傾斜部143の下面に固定される押圧部144とからなる。
【0063】
傾斜部143は、複数の歯を盛付方向と反対側の方向に所定の間隔を置いて有し、複数の歯は下向きに傾斜している。傾斜部143は基部142に連結した連結縁143aが棒体131よりも盛付方向側に位置するようにしている。
【0064】
押圧部144は、棒体131の上方に存し、棒体131の長手方向の全長に沿う様に設けられている。押圧部144は、傾斜部143の傾斜に沿うように盛付方向と反対側に向け、下向きに傾斜(θ2)した当接板となる。押圧部144の傾斜する面は、
図19に示すように棒体131の傾斜面137と同じ角度の傾斜となっておらず、傾斜面137との上下方向の距離が盛付方向と反対側になるほど広くなるように緩やかに傾斜させている。基部142が遊動自在に固定され、棒体131よりも盛付方向側に位置していることで、押圧部144は、傾斜部143を介して弾性的に支持されており、肉群Sの厚みに応じて、押圧部144が肉群Sに接触する位置を基点に遊動して、傾きを変更可能としている。
【0065】
押圧体140は、肉群Sの肉厚よりも十分長い距離を置いて棒体131から上方に離れた位置を初期位置としている。押圧体140は昇降部141により、棒体131に接近して棒体131と共に肉群Sを上下方向から挟む把持動作と、棒体131から離間して把持(上方からの押さえ)を解く開放動作を行う。
【0066】
この把持動作について説明する。
図20(a)に示すように、上述した第1の撮影部120による肉群Sの形状や搬送部111上の位置を把握し、肉群Sの盛付方向側端部Sa(
図17参照)を検出、確認する。把持位置115まで搬送された肉群Sの盛付方向側に棒体131を移動させる。本実施形態では把持位置115において肉群Sの盛付方向側に棒体131が位置すればよく、棒体131を把持位置115に移動させた後、肉群Sが把持位置115に搬送されたり移動を搬送と同時期に行う形態であってもよい。
【0067】
次に、
図20(b)に示すように、棒体131の傾斜面137の下端部137aから、肉群Sの下面と搬送部111の上面との間に挿入する。そして、棒体131を盛付方向側端部Saの位置まで挿入して挿入を止める。さらに
図20(c)に示すように、昇降部141により、押圧体140を降下し、緩やかに傾斜した押圧部144を肉群Sに上方から押し当てて把持する。
【0068】
この把持において、
図20(d)に示すように、棒体131は傾斜面137の上端で肉群Sを持ち上げ、押圧体140は押圧部144の接触位置で押し付けて把持しているが、この押し付けは長手方向(搬送方向)に沿う線状(端面視点状)にしか接触しておらず、棒体131とともに肉群Sの盛付方向側端部Saのみにより把持し、肉群Sの盛付方向側端部Saと反対側の部分は開放され、肉群S自体は片持ち状に把持された状態となる。押圧体140による上方からの押さえ(把持)は肉群Sが押圧部144による摩擦抵抗により滑らず、肉群Sの組織を押し潰して壊すことが無い程度の力加減としている。
【0069】
また、上記は肉群Sの盛付方向側端部Saで把持する動作について説明したが、
図21(a)から(d)に示すように、中央部Sc付近にまで棒体131を挿入して二つ折りで肉群Sを把持して、片折りによる盛り付けを行う動作を示している。
【0070】
次に、棒体移動機構150について説明する。
図22に示すように、棒体移動機構150は、上下方向の上昇移動、盛付方向へのスライド移動、搬送方向への前後移動の3軸方向に自由度を有して棒体131や押圧体140からなる把持機構130を纏めて移動させる。棒体移動機構150は、把持機構130を移動させることにより、棒体131を肉群Sと搬送部111との間に挿入するスライド移動と、把持した肉群Sを把持した状態で上昇して掬い上げる上昇移動と、把持位置115から盛付位置172に肉群Sを移送する盛付方向へのスライド移動と、棒体131を把持位置115に移動させる際や肉群Sから抜き取る際に行う引き抜き方向への前後移動とを行う。
【0071】
棒体移動機構150は、
図22に示すように、把持機構130を上下方向に移動させる上昇移動部151と、把持機構130を盛付方向に平行してスライド移動させるスライド移動部152と、把持機構130を搬送方向(前後方向)に移動させる前後移動部153とからなる。棒体移動機構150は、コンピュータなどの図示しない制御部により駆動制御され、制御部は第1の撮影部120及び後述する第2の撮影部(図示しない)により特定された情報などを処理する情報処理部を兼ねている。
【0072】
上昇移動部151は、上下方向に沿うように設けた上昇レール151bと、上昇レール151bにガイドされて移動する上昇走行部151cと、上昇走行部151cを動かす上昇駆動源151aとからなる。上昇移動部151は上昇走行部151cに把持機構130(棒体131及び押圧体140の昇降部141)を固定し、上昇走行部151cの移動に伴い把持機構130(棒体131及び押圧体140)を上下方向に沿うように往復自在に移動させる。
【0073】
スライド移動部152は、盛付方向に沿うように設けたスライドレール152bと、スライドレール152bにガイドされて移動するスライド走行部151cと、スライド走行部152cを動かすスライド駆動源152aとからなる。スライド移動部152はスライド走行部152cに上昇移動部151を固定して、スライド走行部152cの移動に伴い上昇移動部151を盛付方向に沿うように往復自在に移動させる。
【0074】
前後移動部153は、搬送方向に沿うように設けた前後レール153bと、前後レール153bにガイドされて移動する前後走行部153cと、前後走行部153cを動かす前後駆動源153aとからなる。前後移動部153は前後走行部153cにスライド移動部152を固定し、前後走行部153cの移動に伴いスライド移動部152を前後方向に往復自在に移動させる。
【0075】
把持機構130は、上昇移動部151、スライド移動部152、前後移動部153からなる移動機構150の移動を組み合わせることにより上下、左右(盛付方向・スライド)、前後(搬送方向)の3軸方向に移動可能としている。
【0076】
把持機構130により把持された肉群Sを棒体移動機構150により盛付位置172に盛り付ける動作及び把持機構130の開放動作について説明する。上述のとおり、
図20(d)に示すように、把持機構130の棒体131と押圧体140により、肉群Sの盛付方向側端部Saで把持され、肉群Sは片持ち状に把持される。この状態で、上昇移動部151により把持機構130で把持された肉群Sを上昇させて持ち上げる。
【0077】
この上昇移動部151による肉群Sの持ち上げは、肉群Sの開放端となる反対側端部Sbが搬送部111の上面に接触した状態を保つことが必要となる。完全に持ち上げてしまうと、肉群Sが盛付方向へ移動させるときに暴れてしまい、搬送された状態をそのままにして綺麗に盛り付けることができなくなる。出願人は、搬送された肉群Sを盛付位置172にそのままの状態で移動させることに研究開発を重ね、片持ち状の肉群Sを、その開放端側の端部Sbを接地させた状態でスライド移動させることが、最も肉群Sの型崩れがなく、綺麗に搬送状態のまま盛り付けることが可能であることが判明した。そのため、肉群Sの反対側端部Sbは搬送部111の上面111aに接触する状態とし、具体的には5~15mm程度の上昇が好ましい。この接触する状態とは、肉群Sの開放端側が完全に設置しない状態を除くものであり、肉群Sの反対側端部Sbの一部が接触しておればよい。薄切り肉では肉群Sの中央部Scに至るまでの多くの部分が接地した状態となるが、ステーキ肉等の厚切り肉は弾性が低く、接地する部分が少なくなる。
【0078】
次に、上昇移動部151により持ち上げられた肉群Sを把持機構130で把持された状態でスライド移動部152により盛付位置172がある盛付方向に移動させる。盛付容器であるトレーT1は既に盛付容器供給機構170(
図1参照)により盛付位置172に供給されており、盛付位置172にあるトレーT1の上方に肉群Sを移動させる。その後の盛付位置における盛付けについては上記に説明したとおりである。
【0079】
この盛付方法によると、肉群Sの盛付方向側端部Saを把持機構130により把持し、反対側端部Sbが接地する状態を保ちつつ把持機構130を上昇させることで、肉群Sを片持ち状にし、さらに開放端(端部Sb)を接地する状態にする。この状態で盛付方向に移動させることで、肉群Sを滑らせるように移動させることができ、肉群Sが暴れたりして型崩れを起こすことがなく、搬送状態のままで肉群Sを綺麗に盛り付けることが可能になる。
【0080】
さらに搬送状態の肉群Sの型崩れを無くすためのガイド部105について説明する。一般的に、肉搬送機構と盛付容器供給機構を並列して配列すると、両者間に大きな隙間が生じてしまう。先行技術ではこの隙間をハンド等でトレーに供給している。本実施形態のように、
図1及び
図2に示す肉搬送機構110と盛付容器供給機構170が並列する場合には、両者間(把持位置115と盛付位置172との間)に、段差が生じず、隙間を無くすことが好ましく、肉搬送機構110の上面から連続するガイド部105を配置している。特に、本実施形態の盛付は、片持ち状にした肉群Sの反対側端部Sbを接地させながら移動させるために、大きな隙間が生じずに搬送方向に連続して同じ高さとなる同一平面上にするガイド部105を配置する。
【0081】
肉搬送機構110の上面から連続するガイド部105とは、肉搬送機構110の上面とガイド部105との隙間がなく、段差(高低差)がないことが好ましいが、小さい隙間や小さい段差は許容する。具体的には本実施形態の隙間は長手方向が約30mm程度の肉群Sである場合には10mm以下の隙間とし、段差も10mm以下としている。この隙間、段差はガイド部105と盛付容器供給機構170のトレーT1との間も同様とすることが好ましい。
【0082】
また、ガイド部105は水平な上面を有する板材部材であるところ、ガイド部105の把持位置側の側縁及び盛付位置側の側縁に、上面から下面に傾斜する傾斜面105a、105aが形成される。
【0083】
ガイド部105は、
図22に示すように、平らな上面により搬送部111から盛付位置172までの間において肉群Sの垂れ下がる反対側端部Sbを滑らせることができる。ガイド部105と把持位置115、ガイド部105と盛付位置172との間に各々10mm以下の隙間や段差が生じてしまったとしても、外方に向けて下方傾斜する傾斜面105a、105aにより、肉の接地部分が飛び跳ねて暴れることなく、把持された肉群Sはガイド部105上を滑りながら盛付位置172に移動される。
【0084】
さらに、図示しないが盛付容器であるトレーT1を一部傾斜させてもよい。盛付方向手前側(ガイド部105側)から奥側にかけて上昇するように傾斜させていてもよい。このように傾斜させることで、肉群Sを盛り付けるときに棒体131を抜いたときの落下高さを低くして、型崩れをより無くすことができる。
【0085】
次に、撮影部120による制御について説明する。
図1に示すように、上述する第1の撮影部120の他に、図示しない第2の撮影部が配置される。第2の撮影部は、盛付位置172の上方に配置するカメラであり、トレーT1に盛り付けられた状態の肉群S及びトレーT1を上方から撮影している。第2の撮影部により撮影した肉群Sなどの情報はトレーT1に盛り付けられた肉の形状、状態の位置情報からなる。この位置情報をもとに例えば肉群SのトレーT1の中央からの位置ずれの有無や肉群SのトレーT1上の偏りの有無などを検出して次の盛付動作を補正する。
【0086】
第1の撮影部120及び第2の撮影部による撮影情報を用いた制御方法について説明する。初期状態として、肉群Sは、図示しないスライサーによりスライスされて、肉搬送機構110により把持位置115に向けて搬送部111上を搬送される。
【0087】
図1、
図2に示すように、肉群Sは、撮影位置117に搬送されると、第1の撮影部120により肉群Sの形状などを撮影される。撮影情報が制御部に送られ、不良品であると判定した場合には把持動作に移行せずに不良品として処理する。不良品の処理として例えば搬送部111から不良品専用の容器に排出する。
【0088】
次に、不良品でないと判定した場合、第1の撮影部120の撮影情報により、搬送される肉群Sごとに盛付方向側端部Saを特定する。この状態で、棒体131を搬送部111よりも上方で待機させる。第1の撮影部120により肉群Sが不良品かどうかを判定して、不良品でないと判定した場合には把持機構130による把持動作に移行する。
【0089】
肉群Sが把持位置115に到達すると、撮影情報に基づき棒体131の底面135が搬送部111の上面111aに沿うように、上昇移動部151、スライド移動部152、前後移動部153により位置させ、肉群Sの盛付方向側に配置する。そして、棒体131を肉群Sの盛付方向側から、スライド移動部152により盛付方向と反対側にスライド移動させ、肉群Sと搬送部111の上面111aとの間に挿入し、検出した盛付方向側端部Saの位置で止める。
【0090】
棒体131の挿入後、押圧体140を降下させ、肉群Sに接触させ、押圧部144の傾きを弾性的に変更させて棒体131とにより肉群Sを片持ち状に挟むように把持する。この把持した状態で、上昇移動部151により把持機構130ごと肉群Sの盛付方向側端部Saを持ち上げる。この上昇移動部151による上昇移動は、肉群Sの反対側端部Sbが接地するように持ち上げるものであって、一律に10mm程度の高さとしてもよいが、第1の撮影部120により撮影された肉群Sの長さ情報に応じて上昇高さを変更してもよい。
【0091】
把持機構130はスライド移動部152により把持位置115から盛付位置172に到達するように、盛付方向へ移動する。そしてこの移動に伴い把持された肉群Sは移送され、接地する肉群Sの反対側端部Sbと中央部Scが搬送部111の上面やガイド部105の上面を滑るように移動される。
【0092】
肉群Sは、盛付位置172に供給されたトレーT1の上方まで移動され、垂れ下がる肉群Sの反対側端部Sbや中央部ScがトレーT1に載置される。この状態で抵抗体1が作動して、肉群Sの上面に弾性的に当接してトレーT1に整然と盛り付ける。抵抗体1の降下動作前に押圧体140の押圧を解除する。
【0093】
さらに棒体131が肉群Sから引き抜き出され、盛付位置172からさらに盛付方向へ移動する。これにより、把持機構130による把持が完全に解除され肉群S全体がトレーT1に盛り付けられる。
【0094】
トレーT1に盛り付けられた肉群Sは、さらに第2の撮影部により撮影され、トレーT1に盛り付けられた肉の形状、状態の位置情報が制御部に送られる。第2の撮影部による情報から肉群SのトレーT1の中央からの位置ずれの有無や肉群SのトレーT1上の偏りの有無などを検出して次回の棒体移動機構150による盛付動作を補正する。
【0095】
肉群Sが盛り付けられたトレーT1は、盛付容器排出機構175により排出され、盛付容器供給機構170により盛付位置172に新たなトレーT1が供給される。
【符号の説明】
【0096】
1・10・20・30…抵抗体、2…抵抗体移動機構、3…アーム、4・4a・4b・4c…基部、5・5a・5b・5c…抵抗部、22…張出基部、23…接続棒、24…基部接続孔、25…接続保持具、27…スクレーパー、21a・31a…上板、21b・31b…垂下板、21c・31c…下板、32…上差込孔、33…下差込孔、34…空隙、36…押下部、101…食肉盛付装置、131…棒体、150…棒体移動機構、153…前後移動部、172…盛付位置、S…肉群、S11・S21・S32…肉群移動ステップ、S12・S22・S31…抵抗体移動ステップ、S13…肉群位置決めステップ、S14・S23・S34…接触ステップ、S15・S24・S35…引抜ステップ。