(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】製袋充填機における超音波横シール装置
(51)【国際特許分類】
B65B 51/22 20060101AFI20241127BHJP
B65B 51/16 20060101ALI20241127BHJP
B65B 9/067 20120101ALI20241127BHJP
【FI】
B65B51/22 100
B65B51/16
B65B9/067
(21)【出願番号】P 2022016121
(22)【出願日】2022-02-04
【審査請求日】2023-08-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000136387
【氏名又は名称】株式会社フジキカイ
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【氏名又は名称】山田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【氏名又は名称】山本 喜幾
(72)【発明者】
【氏名】玉川 幸司
(72)【発明者】
【氏名】飯田 健雄
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/069986(WO,A1)
【文献】特開平02-029317(JP,A)
【文献】米国特許第04430148(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 9/00
B65B 51/00
B65B 7/00
B29C 65/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状成形されて縦シールが施された筒状包装材を、該筒状包装材中に供給された物品を挟む前後でホーン
のシール部およびアンビル
のシールバーにより挟持して、筒状包装材の搬送方向と交差する幅方向に横シールを施すと共に切断する製袋充填機における超音波横シール装置であって、
前記ホーンのシール部には、包装材切断位置を挟む前後で筒状包装材の幅方向に直線状に延在する一対のシール面を備え、
前記アンビル
のシールバーには、前記ホーン
の各シール面と対面して、筒状包装材を挟持して横シールを施す
対向面を備え、該対向面に、ホーンにおけるシール面の前後幅の範囲内で山部と谷部とが連続する波形状
となる突出部を、
前記筒状包装材の幅方向に向けて該筒状包装材の幅寸法より長く形成した
ことを特徴とする製袋充填機における超音波横シール装置。
【請求項2】
筒状成形されて縦シールが施された筒状包装材を、該筒状包装材中に供給された物品を挟む前後でホーンおよびアンビルにより挟持して、筒状包装材の搬送方向と交差する幅方向に横シールを施すと共に切断する製袋充填機における超音波横シール装置であって、
前記アンビルには、前記ホーンにおける包装材切断位置を挟む前後一対のシール面とで筒状包装材を挟持して横シールを施す際に前記ホーンの各シール面と対面して、筒状包装材の幅方向に連続する波形状の突出部を、前記ホーンにおけるシール面の前後幅の範囲内に形成し
、
前記突出部は、前記筒状包装材における縦シール部が重なって包装材が3重または4重となる第1領域を挟持する部位の山部または谷部の間隔を、前記縦シール部外であって包装材が2重となる第2領域を挟持する部位の対応する山部または谷部の間隔より広くした
ことを特徴とす
る製袋充填機における超音波横シール装置。
【請求項3】
前記突出部は、同じ弧状
の山部と谷部と
が連続する波形状として、前記筒状包装材の幅方向に
向けて形成したことを特徴とする請求項1記載の製袋充填機における超音波横シール装置。
【請求項4】
前記突出部の山部と谷部との接続部は、前記
筒状包装材の幅方向と直交しない斜面により形成したことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の製袋充填機における超音波横シール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状成形された包装材に縦シールが施され、筒状包装材中に供給された物品を挟む前後位置で横シールを施す製袋充填機における超音波横シール装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
横形製袋充填機などの包装機では、原反ロールから引き出されて製袋手段で案内されるフィルム(包装材)は、幅方向の両端縁部が重合されて筒状に成形され、その重合部にフィルムの搬送方向に向けた縦シールを施すと共に、筒状フィルム中へ供給された各物品の前後位置において搬送方向と交差する横シールを施してピロー包装品を得ている。包装機において、超音波シール装置による線状のシール線により横シールが施されたピロー包装品を得る場合は、ホーンとアンビルとによってフィルムを挟持し、ホーンからの超音波振動がフィルムの挟持部に伝達されてフィルムが溶着することで、線状のシール線となる横シールが施される。ホーンとアンビルとによるフィルムの挟持部は、フィルム端縁部の重合方式(合掌貼りや封筒貼り)によって、縦シール部を含んでフィルムが4層で重なる4重の重なり部または3層で重なる3重の重なり部と、縦シール部を含まないフィルムが2層で重なる2重の重なり部との厚みが異なる重合部が存在する。このため、4重または3重の重なり部では、ホーンとアンビルとにより過度な圧力で挟持されてホーンからの超音波振動が伝達されるので、重合部にピンホールができたり、エッジ切れ(シール切れ)が生じたりするシール不良が生ずる一方で、2重の重なり部では密封不足が生じるなど、幅方向の全域に亘って適正にシールできない問題がある。
【0003】
前記の問題に鑑み、横シール部の全体に均一に超音波を伝達するため、縦シール部が位置するフィルムの厚みの変化に対応してアンビルに凹みを設けるようにした、いくつかの技術が提案されている。例えば、特許文献1には、飲料用の紙容器を製造するための超音波シール装置として、筒状包装材をホーンとの間で押圧するアンビルを、一部が接触する左アンビルと右アンビルとで構成すると共に、その接触部付近に、押圧時に縦シール部を収容する凹みを設けている。また、左アンビルと右アンビルの横方向の位置を変えることにより、凹みの位置と大きさを変更可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の超音波シール装置は、縦シール部の横方向における位置と幅を検知する検知手段を備え、該検知手段で得た縦シール部の位置と幅の情報から、左アンビルと右アンビルとによる凹みの位置と大きさを、横シール時に調整可能に構成されている。このような対応は、紙を基材としてフィルムが貼り合わされた厚手の複合包装材が採用される飲料用の製袋充填などにおいて、シート状の包装材が巻き出された後に、容器用罫線を施し、包装材の端部どうしを重ねて貼り、その重ねて貼られた部分に縦シールを施して角筒状に成形してから横シール位置まで搬送するようにした包装機では、包装材の蛇行などが生じにくく、従って、そのような対応装置とすることは効果的である。しかしながら、横形製袋充填機では、薄手の包装材が採用され、筒状包装材の中に供給された物品の周囲がフリーとなって案内されるので、横シール位置まで搬送される包装材は蛇行し易い。そして、縦シール部の位置と幅を検知した部位が、横シール位置まで至るまでに筒状包装材の周方向の捩れやよれなどによって、縦シール部の検知部位が変位してしまっており、このため、前記凹みの位置合わせを正確になし得ないといった問題が生じる。そして、縦シール部が凹みに収まらずに4重または3重の重なり部に対応したシールをなし得ず、シール部にピンホールやエッジ切れなどが生じて密封不良となってしまう問題が指摘される。
【0006】
本発明は、超音波シールした横シール部にピンホールやエッジ切れなどの密封不良を生じることなく、密封包装が可能な製袋充填機における超音波横シール装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の請求項1に係る発明の製袋充填機における超音波横シール装置は、
筒状成形されて縦シールが施された筒状包装材(10)を、該筒状包装材(10)中に供給された物品(12)を挟む前後でホーン(20)のシール部(30)およびアンビル(22)のシールバー(36)により挟持して、筒状包装材(10)の搬送方向と交差する幅方向に横シールを施すと共に切断する製袋充填機における超音波横シール装置であって、
前記ホーン(20)のシール部(30)には、包装材切断位置を挟む前後で筒状包装材(10)の幅方向に直線状に延在する一対のシール面(34,34)を備え、
前記アンビル(22)のシールバー(36)には、前記ホーン(20)の各シール面(34)と対面して、筒状包装材(10)を挟持して横シールを施す対向面(42)を備え、該対向面(42)に、ホーン(20)におけるシール面(34)の前後幅の範囲内で山部(50a,52a,56a,58a)と谷部(50b,52b,56b,58b)とが連続する波形状となる突出部(50,52,54)を、前記筒状包装材(10)の幅方向に向けて該筒状包装材(10)の幅寸法より長く形成したことを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、横シール時に筒状包装材にはホーンとアンビルとによる加圧力が幅方向に直線状に集中しないので、縦シール部が重なって包装材が3重または4重となる領域と、2重となる領域とに対して適正な超音波振動を与えることができ、包装材の溶着面の軟化・溶融が充分なものとなり、ピンホールやエッジ切れなどの密封不良を招くことなく、良好に横シールを施すことができる。また、筒状包装材において包装材が3重または4重となる領域を収容する凹部をアンビルに設けるものではないので、筒状包装材の蛇行などによって縦シール部が位置ずれした場合においても、筒状包装材の幅方向の全長に亘って良好な横シールを施すことができる。更に、回転方式の横シール装置の場合に、アンビルの突出部が周回してホーンのシール面とで筒状包装材が挟まれる際に、包装材の全幅方向でホーンのシール面とアンビルの突出部とが一直線状に衝突して加圧されてしまうことがなく、シール加圧力を回転方向に分散して、効果的に横シールを施すことができる。更にまた、アンビルの波形状の突出部は、ホーンにおけるシール面の前後幅の範囲内に形成したので、横シール時には突出部の山部と谷部がシール面から前後にはみ出すことはなく、超音波振動を包装材の挟持部へ効果的に伝達して、包装材の溶着面の効果的な軟化・溶融を図ることができる。
【0008】
本願の請求項2に係る発明の製袋充填機における超音波横シール装置は、
筒状成形されて縦シールが施された筒状包装材(10)を、該筒状包装材(10)中に供給された物品(12)を挟む前後でホーン(20)およびアンビル(22)により挟持して、筒状包装材(10)の搬送方向と交差する幅方向に横シールを施すと共に切断する製袋充填機における超音波横シール装置であって、
前記アンビル(22)には、前記ホーン(20)における包装材切断位置を挟む前後一対のシール面(34,34)とで筒状包装材(10)を挟持して横シールを施す際に前記ホーン(20)の各シール面(34)と対面して、筒状包装材(10)の幅方向に連続する波形状の突出部(50,52,54)を、前記ホーン(20)におけるシール面(34)の前後幅の範囲内に形成し、
前記突出部(54)は、前記筒状包装材(10)における縦シール部(14)が重なって包装材が3重または4重となる第1領域(44)を挟持する部位(56)の山部(56a)または谷部(56b)の間隔(P2)を、前記縦シール部(14)外であって包装材が2重となる第2領域(46)を挟持する部位(58)の対応する山部(58a)または谷部(58b)の間隔(P3)より広くしたことを特徴とする。
請求項2に係る発明によれば、前述した請求項1に係る発明の作用効果に加えて、厚みが異なる第1領域と第2領域において、横シール時に、包装材の重なり厚が異なる部位に対応して包装材への加圧力が分散され、高速での包装など、包装条件によっては溶着し難い材質の包装材においても、第1領域および第2領域の夫々の包装材に適度な超音波振動が伝達されて、良好に密封された横シール部を形成することができる。
【0009】
請求項3に係る発明では、前記突出部(50,52)は、同じ弧状の山部(50a,52a)と谷部(50b,52b)とが連続する波形状として、前記筒状包装材(10)の幅方向に向けて形成したことを特徴とする。
請求項3に係る発明によれば、同じ弧状の山部と谷部とを連続するよう接続しているので、アンビルの突出部の形成に係る加工が容易となる。また、横シール時の包装材への加圧力を均等化でき、筒状包装材の幅方向の全長に亘って良好な横シールを施すことができる。
【0010】
請求項4に係る発明では、前記突出部(50,54)の山部(50a,56a)と谷部(50b,56b)との接続部(50c,56c)は、前記筒状包装材(10)の幅方向と直交しない斜面により形成したことを特徴とする。
請求項4に係る発明によれば、横シール時において、溶融したシーラントが一部に留まってしまうことなく効果的に流れ易くなり、シーラントがシール領域に適正に流れて密封シールを施すことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、横シール時に筒状包装材にはホーンとアンビルとによる加圧力が、幅方向に直線状に集中しないので、縦シール部が重なって包装材が3重または4重となる領域と、2重となる領域とに対して包装材への超音波振動を適正に伝達することができ、ピンホールやエッジ切れなどの密封不良を招くことなく、良好に横シールを施すことができる。また、筒状包装材の蛇行などによって縦シール部が位置ずれした場合においても、筒状包装材の幅方向の全長に亘って良好な横シールを施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】超音波横シール装置の要部概略側面図である。
【
図4】(a)はシールバーにおける対向面の平面図であり、(b)は筒状フィルムの断面図である。
【
図5】アンビルのフィルム搬送方向に沿う縦断面図である。
【
図6】第1別実施例のアンビルにおける対向面の平面図である。
【
図7】第2別実施例のアンビルにおける対向面の平面図である。
【
図8】横シール部で発生するエッジ切れ不良を示す拡大写真である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係る製袋充填機における超音波横シール装置の好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。実施例では、超音波横シール装置が採用される包装機として横形製袋充填機を例に挙げて説明する。
【実施例】
【0014】
横形製袋充填機(包装機)は、原反ロールから引き出した帯状フィルム(包装材)を、その長手方向両端縁部を合掌状に重合して筒状フィルム(筒状包装材)10として成形する製袋手段と、筒状フィルム10に向けて物品12を所定間隔毎に供給する供給コンベヤと、前記合掌状に重合した筒状フィルム10の重合部にフィルム搬送方向に向けた縦シールを施す縦シール装置と、前記筒状フィルム10の重合部を挟持して縦シール装置に向けて筒状フィルム10を搬送するフィルム搬送手段と、筒状フィルム10中に所定間隔毎に供給された物品12の前後位置で筒状フィルム10を挟持し、フィルム搬送方向と交差する方向(幅方向)に横シール・切断を施す超音波横シール装置と、の夫々を備える。超音波横シール装置では、縦シール装置により重合部に縦シールが施された縦シール部14が袋胴部に折り重なる状態で、筒状フィルム10を横シール・切断する。
【0015】
図1に示す如く、前記超音波横シール装置は、筒状フィルム10の搬送路を挟んで相互に反対方向に回転する一対の回転軸16,18の内の一方の回転軸(第1回転軸)16に配設されたホーン20と、他方の回転軸(第2回転軸)18に配設されたアンビル22と、第1回転軸16に配設された振動発生手段24と、を備える。振動発生手段24は、超音波を発生するコンバータや、超音波を増幅するブースタなどを備え、ホーン20を所定の振幅で超音波振動するよう構成され、前記フィルム搬送手段で搬送される筒状フィルム10を、ホーン20とアンビル22とにより所定圧力で挟持して、超音波振動にて幅方向に横シールを施すよう構成される。一対の回転軸16,18は、幅方向に離間する一対の支持部材26,26に回転自在に支持されて、一対の支持部材26,26の間において、実施例では搬送路を挟んで上側にホーン20が配置されると共に、下側にアンビル22が配置される。また、アンビル22が配設された第2回転軸18は、図示しないサーボモータなどの駆動モータに、歯車機構やチェン-スプロケット機構などの伝達機構28を介して連繋され、駆動モータによってホーン20とアンビル22は相互に反対方向に回転駆動される。
【0016】
図1、
図2に示す如く、前記ホーン20は、周方向に離間して径方向に延出する複数(実施例では180°間隔で2つ)の第1シール部30が設けられ、各第1シール部30の外周面は、ホーン20の回転半径に対応する円弧状に形成されている。また、第1シール部30に、外周面から径方向に凹む凹部32が幅方向に延在するよう形成されると共に、該凹部32を挟んで回転方向の両側に、凹凸のない円弧状のシール面34,34が幅方向に直線状に延びるように形成されている。
【0017】
図1、
図2に示す如く、前記アンビル22は、前記ホーン20の各第1シール部30と対をなす径方向に突出するシールバー36が、周方向に離間してホルダ22aに対して着脱交換可能に設けられる。アンビル22には、径方向に貫通する貫通孔38が、各シールバー36の外周面で開口するよう幅方向に所定長さで形成されており、該貫通孔38内に、切断手段40が径方向に往復移動自在に支持される。各シールバー36には、貫通孔38を挟んで回転方向の両側に、ホーン20における一対のシール面34,34と対をなす一対の対向面42,42が幅方向に延びるように形成されている。対向面42は、アンビル22の回転半径に対応する円弧状に形成されている。
図3~
図5に示す如く、対向面42には、該対向面42から突出して筒状フィルム10の幅方向に連続して、所定幅の波形状に突出する突出部50が設けられている。突出部50の幅方向の長さは、筒状フィルム10の幅寸法より長く設定されている。そして、搬送中の筒状フィルム10に対してホーン20とアンビル22が回転して、筒状フィルム10中に所定間隔毎に供給された物品12を挟む前後両側において、筒状フィルム10を幅方向の全長に亘ってホーン20のシール面34と突出部50とで筒状フィルム10を挟持し、ホーン20から発せられる超音波振動が挟持部へ伝達されて包装材のシーラントが溶融し、筒状フィルム10の搬送方向と交差して、密封された横シール部が形成される。包装機では、
図4(b)に示す如く、前記縦シール装置により合掌状の重合部に縦シールが施された縦シール部14は袋胴部に折り重なるように倒される。そして、超音波横シール装置では、縦シール部14が袋胴部に折り重なることでフィルムが4重となる第1領域44および縦シール部14外でフィルムが2重となる第2領域46a,46bを、シール面34と突出部50とで一度に挟持して横シールする。なお、筒状フィルム10の幅方向の中央で合掌状に重合して縦シールが施された重合部が一側へ倒される構成においては、筒状フィルム10における第1領域44を挟む幅方向の一方および他方に位置する第2領域46a,46bの幅寸法は異なる。また、縦シールが施された重合部が一定幅に形成される構成において、左右の第2領域46a,46bの幅の比は、帯状フィルム10の幅寸法に応じて変化する。
【0018】
前記切断手段40は、
図2に示す如く、各シールバー側に刃部40aを備えると共に、該切断手段40を径方向に往復移動する図示しない往復動手段に連繋されている。往復動手段は、前記シール面34と突出部50とで筒状フィルム10を挟持するタイミングにおいて切断手段40を作動し、突出部50から径方向に刃部40aが瞬間的に突出して、シール面34と突出部50とで挟持されている筒状フィルム10を横方向に切断するよう構成される。なお、突出部50から突出する刃部40aは、前記ホーン20における筒状フィルム10の切断位置を挟む前後に位置する一対のシール面34,34の間の前記凹部32に非接触で受け入れられる。
【0019】
図4に示す如く、前記突出部50は、筒状フィルム10の横シール時において、平面視においてフィルム搬送方向の前後に山部50aと谷部50bとが位置して接続された波形状に形成されて、ホーン20とアンビル22との回転によって筒状フィルム10を横シールする際には、筒状フィルム10を挟んでホーン20のシール面34に対して突出部50は線接触で衝突しないよう構成される。山部50aおよび谷部50bは、何れも弧状に形成されると共に、同一半径R1の円弧による弧状で接続されて接続部50cには直線部を有することなく、同じ弧状で形成した山部50aおよび谷部50bが連続して接続された波形状とされている。このように、山部50aと谷部50bとの接続部50cは、本実施例のように筒状フィルム10の幅方向と直交することなく傾斜する斜面により形成されていることが望ましい。実施例では、接続部50cは、幅方向に隣り合う接続部50c,50cが、フィルム搬送方向の前または後に向けて開放する側に向けて拡開するように傾斜して、シール面34と突出部50との挟持部で溶融したシーラントが一部に留まってしまうことがなく効果的に流れることで、密封不良が生じることなく、良好なシール部を得ることができる。また、突出部50は、対面するホーン20におけるシール面34の幅方向と交差する方向の前後幅の範囲内に形成される。すなわち、突出部50の前後幅(波の山の頂部から谷の底部までの寸法である波部の高さ寸法)L1は、ホーン20のシール面34の前後幅L2(
図2参照)より短かく設定されて、筒状フィルム10に横シールを施す際に、ホーン20のシール面34から突出部50が前後にはみ出ないよう構成される。
図4、
図5に示す如く、前記突出部50は、全幅に亘って対向面42から同じ高さMと幅Nで突出し、その突出端(山の頂部と谷の底部)は、何れも、例えば幅Fが0.1mm程度の幅狭の平坦面を有して該突出端を挟む両側が弧状となる断面形状に形成される。また、突出部50は、該突出部50の前後幅L1、山部50aと谷部50bとの間隔P、突出部50の高さMおよび突出部50の幅N、山部50aおよび谷部50bの半径R1の寸法は、例えば、L1:3.0mm、P:2.5mm、M:0.2mm、N:0.5mm、R1:0.75mmに設定される。
【0020】
次に、実施例に係る横形製袋充填機における超音波横シール装置の作用について説明する。
【0021】
実施例の超音波横シール装置では、前記ホーン20のシール面34とで筒状フィルム10を挟持するアンビル22の突出部50を、筒状フィルム10の幅方向に連続する波形状に形成したので、筒状フィルム10の横シール時には、幅方向に直線的な圧力が加わることはなく、所定範囲に加圧力が分散されて、第1領域44と、第2領域46とに対して超音波振動を適正に与えることができ、フィルムの溶着面の軟化・溶融が充分なものとなり、ピンホールやエッジ切れなどの密封不良を招くことなく、良好に横シールを施すことができる。また、横シール時に、突出部50がホーン20のシール面34から前後にはみ出ないよう構成してあるので、ホーン20から発せられる超音波振動はシール面34と突出部50とでの挟持部へ効果的に伝達され、包装材のシーラントを効果的に溶融することができる。また、縦シール部14の重なり部の位置に合わせてアンビル22に凹部を設けるものではないので、筒状フィルム10の蛇行などにより縦シール部14が筒状フィルム10の幅方向にずれた(移動した)際にも、ずれの程度によってシール不良が生ずることなく、筒状フィルム10の幅方向の全長に亘って密封されて適正な横シール部を形成することができる。更に、実施例の回転方式の横シール装置では、アンビル22の突出部50が、筒状フィルム10を挟んでホーン20のシール面34に回転方向と直交する方向に直線状に衝突して加圧されることなく加圧力をシール面34の周回方向に分散することで、エッジ切れを招くことなく、より一層効果的に横シールを施すことができる。
【0022】
また、前記突出部50における山部50aと谷部50bとの接続部50cは、筒状フィルム10の幅方向に対して直交する直線部とすることなく、傾斜させたので、溶融したシーラントが一部に留まってしまうことがなく効果的に流れることで、密封不良が生じることなく、密封性をより高めることができる。突出部50は、同じ円弧となる同一サイズの弧状の山部50aと谷部50bとを筒状フィルム10の幅方向に連続するよう接続して形成しているので、アンビル22の突出部50の形成に係る加工が容易であり、横シール時の包装材への加圧力を、突出部50の前後幅方向(波部の高さ方向)で均等化でき、筒状フィルム10の幅方向の全長に亘って良好な横シールを施すことができる。
【0023】
(別実施例について)
図6、
図7は、アンビル22に設けられる突出部の別実施例を示すものであって、実施例と異なる部分についてのみ説明し、既出の同一部材には同じ符号を付すものとする。
【0024】
図6に示す第1別実施例の突出部52は、実施例より山部52aおよび谷部52bの間隔を狭く設定したものであって、山部52aおよび谷部52bは、何れも弧状に形成されている。また、山部52aと谷部52bとの接続部52cは、フィルム搬送方向に直交する直線部により形成される。このような第1別実施例の突出部52においても、前述した実施例と同様の作用効果を得ることができる。第1別実施例の構成では、例えば、突出部52の各部の寸法は、突出部52の高さMおよび突出部52の幅Nは前記実施例と同じで、前後幅L3、山部52aと谷部52bとの間隔P1、山部52aおよび谷部52bの半径R2は、L3:2.5mm、P1:2.0mm、R2:1.5mmに設定される。
【0025】
図7に示す第2別実施例の突出部54は、波形の形状が異なる第1連続部56および第2連続部58を、幅方向に連続するように接続したものであって、筒状フィルム10の縦シール部14が重なる前記第1領域44に対応して第1連続部56が位置すると共に、筒状フィルム10の第2領域46に対応して第2連続部58が位置するよう構成される。なお、第1連続部56および第2連続部58は同じ高さで形成される。第1連続部56を構成する山部56aおよび谷部56bの間隔P2は、第2連続部58を構成する山部58aおよび谷部58bの間隔P3より広く設定されている。このように、第1連続部56における単位面積当たりの山部56aおよび谷部56bの数を、第2連続部58における単位面積当たりの山部58aおよび谷部58bの数より少なくすることで、横シール時に筒状フィルム10を横シールする際の、該筒状フィルム10への単位面積当たりの加圧力が、前記第2領域46に対応する第2連続部58より前記第1領域44に対応した第1連続部56の方が低くなるようにしてある。また、第1連続部56は、前記実施例の突出部50と同じ形状に形成されると共に、第2連続部58は、第1別実施例の突出部52と同じ形状に形成される。
【0026】
第2別実施例の突出部54は、横シール時に筒状フィルム10に加わる加圧力を、第2領域46に対応する第2連続部58より、第1領域44に対応する第1連続部56の方が低くなるようにした。これにより、厚みの異なる第1領域44と第2領域46とにおいて、横シール時に筒状フィルム10に加わる加圧バランスが調整されることで、高速での包装など、包装条件によっては溶着し難い材質のフィルムにおいても、第1領域44および第2領域46の夫々の包装材に適度な超音波振動が伝達されて密封した横シール部を形成することができる。なお、第2別実施例の突出部54においても、前述した実施例と同様の作用効果を得ることができる。第2別実施例の構成では、例えば、突出部54の各部の寸法は、突出部54の高さMおよび突出部54の幅Nは前記実施例と同じで、前後幅L4、第1連続部56での山部56aと谷部56bとの間隔P2、第2連続部58での山部58aと谷部58bとの間隔P3は、L4:6.0mm、P2:4.5mm、P3:1.0mmに設定される。また、第1連続部56の山部56aおよび谷部56bは、半径R3が2.0mmの弧状に形成されるのに対し、第2連続部58の山部58aおよび谷部58bは、半径R4が1.5mmの弧状に形成される。
【0027】
本例では、厚みが40μで、延伸ポリプロピレン(OP)と無延伸ポリプロピレン(CP)とを積層したOP/CPフィルムを使用し、幅が50mmとなる筒状フィルムについて、実施例構造の超音波横シール装置により、ホーンとアンビルとによるフィルムの挟持圧を0.15~0.2Mpaに設定すると共に、筒状フィルムのカット長さ(カットピッチ)が80mmで、包装速度を300袋/分に設定して横シールを施す試験を行った。また、試験例で使用したアンビルに設けた突出部の各部分の諸元は、以下に示す通りとした。
・突出部の前後幅L1:3.0mm
・山部と谷部との間隔P:2.5mm
・突出部の高さM:0.2mm
・突出部の幅N:0.5mm
なお、実施例、第1別実施例および第2別実施例の説明において、各突出部50,52,54における各部分の例示した前記寸法は、何れも厚みが40μの帯状フィルムを包装対象とする場合で示したものである。
【0028】
なお、比較例として、平らなシール面を備えたホーンと、シール面に1条または2条で幅方向に直線状に延びるように突出した突出部を設けたアンビルとで包装材を挟持してシールするようにした従来装置において、同一包装条件で横シールを施した場合は、筒状フィルムにおける第1領域に対応する横シール部において、
図8に示す如く、ホーンとアンビルとによる挟持部位において溶融したシーラントが、挟持部位外に溶け出すことでフィルムに過度に圧力が加わってエッジ切れが発生した。
これに対し、本実施例によれば、筒状フィルムの第1領域の横シール部では、ピンホールやエッジ切れなどを招くことなく、また第2領域の横シール部は密封シールされ、筒状フィルムの幅方向の全長に亘って密封不良のない良好な横シールが施されていることが検証できた。
【0029】
(変更例)
本発明は実施例等の構成に限定されるものではなく、例えば、以下のようにも変更実施可能である。また、以下の変更例に限らず、実施例等に記載した構成については、本発明の主旨の範囲内において種々の実施形態を採用し得る。
(1) 実施例では、ホーン20およびアンビル22に、シールヘッド30およびシールバー36を2組ずつ設けたが、1組または3組以上であってもよい。
(2) 実施例では、回転軸16,18に設けたホーン20およびアンビル22により横シールを施す回転シール方式としたが、ホーン20とアンビル22とで包装材を挟んでフィルムの搬送方向に移動しつつ超音波シールを施すボックスモーション方式を採用することができる。
(3) 帯状フィルムの端縁部を封筒貼りして縦シール部が形成され、第1領域44が3層で重なった筒状フィルム10を横シールする際のアンビル22にも適用することができる。
(4) 突出部50,52,54の山部50a,52a,56a,58aおよび谷部50b,52b,56b,58bの形状は、弧状に限らず斜面が直線でV字状に交わるよう形成されていてもよい。
(5) 全ての突出部50,52,54についての接続部50c,52c,56c,58cを、シールする包装材の性状や各種包装条件などに対応して筒状フィルム10の搬送方向に沿う方向へ傾斜する構成(筒状フィルム10の幅方向に対して直交しない構成)を採用することができる。また、第2別実施例における第1連続部56の前後幅(波部の高さ寸法=波の山の頂部から谷の底部までの寸法)と、第2連続部58の前後幅(波部の高さ寸法=波の山の頂部から谷の底部までの寸法)とが異なる寸法で形成されるようになっていてもよい。
(6) 包装材として、合成樹脂製のフィルムに限らず、例えば、60μ~80μ程度の厚みで紙を基材としてCPPなどのシーラントフィルムを貼り合わせた複合包装材に適用することもできる。
(7) 縦形製袋充填機や、その他の横形、縦形充填機の横シール装置としても採用することができる。
【符号の説明】
【0030】
10 筒状フィルム(筒状包装材),12 物品,14 縦シール部,20 ホーン
22 アンビル,34 シール面,44 第1領域,46 第2領域,50 突出部
50a 山部,50b 谷部,50c 接続部,52 突出部,52a 山部
52b 谷部,54 突出部,56 第1連続部(第1領域を挟持する部位)
56a 山部,56b 谷部,56c 接続部
58 第2連続部(第2領域を挟持する部位),58a 山部,58b 谷部
P2 第1領域を挟持する部位の山部または谷部の間隔
P3 第2領域を挟持する部位の山部または谷部の間隔