(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】情報処理システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A01K 29/00 20060101AFI20241127BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20241127BHJP
【FI】
A01K29/00 B
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2022522194
(86)(22)【出願日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 JP2021018207
(87)【国際公開番号】W WO2021230316
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-11-11
(31)【優先権主張番号】P 2020084721
(32)【優先日】2020-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020090781
(32)【優先日】2020-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】518247173
【氏名又は名称】株式会社RABO
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】伊豫 愉芸子
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-5556(JP,A)
【文献】特開2018-174885(JP,A)
【文献】特開2020-5534(JP,A)
【文献】特許第6630906(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0141959(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 29/00
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象のペットに関する測定データを取得する測定データ取得部と、
取得した前記測定データに基づいて特定の行動の回数及び前記行動にかかった時間を
検出し、
前記行動の回数の増加及び減少の少なくともいずれか、ならびに、前記行動にかかった時間の増加及び減少の少なくともいずれかに基づいて、前記ペットの健康リスクを検出する検出部と、
検出した前記ペットの前記健康リスクに関する情報を出力する出力部と、
を有する、情報処理システム。
【請求項2】
検出対象のペットに関する測定データを取得する測定データ取得部と、
取得した前記測定データに基づいて特定の行動の回数及び運動量を
検出し、
前記行動の回数の増加及び減少の少なくともいずれか、ならびに、前記運動量の増加及び減少の少なくともいずれかに基づいて、前記ペットの健康リスクを検出する検出部と、
検出した前記ペットの前記健康リスクに関する情報を出力する出力部と、
を有する、情報処理システム。
【請求項3】
前記検出部は、前記検出対象のペットの過去の前記測定データを機械学習により作成した学習モデルに適用することにより前記
行動の回数及び前記行動にかかった時間を生成する、請求項
1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記検出部は、前記検出対象のペットの過去の前記測定データを機械学習により作成した学習モデルに適用することにより前記行動の回数及び前記運動量を生成する、請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記出力部は、検出された前記健康リスクの検出状況が前記健康リスクの種別に応じて設定された通知条件を満たすか否かを判断し、前記通知条件を満たす場合に出力する、請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記検出部は、前記測定データの変化点を検出し、
前記出力部は、前記変化点の時期に関する情報を出力する、請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記検出対象のペットと同一の環境下で飼育される第二のペットの前記測定データを取得する第二の測定データ取得部をさらに備え、
前記検出部は、前記健康リスクが検出された場合に、前記検出対象の前記測定データと前記第二のペットの前記測定データとの比較に基づいて、前記健康リスクの確からしさを判断する、請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記出力部は、
前記行動の回数又は前記行動にかかった時間の少なくともいずれかの増加及び減少の少なくともいずれかに対して提案可能な1つ以上のソリューションに関する情報を記憶するソリューション情報記憶部から1つ以上のソリューションを選択して、選択されたソリューションに関する情報を出力する、請求項
1に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記出力部は、前記行動の回数又は前記運動量の少なくともいずれかの増加及び減少の少なくともいずれかに対して提案可能な1つ以上のソリューションに関する情報を記憶するソリューション情報記憶部から1つ以上のソリューションを選択して、選択されたソリューションに関する情報を出力する、請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記提案の前の第一の期間に取得された前記測定データと、前記提案後の第二の期間に取得された前記測定データとを比較して、前記ソリューションの効果又は活用度を判定する判定部をさらに備える、請求項
8又は9に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記判定部が、前記ソリューションの効果が低いと判定した場合に、
前記出力部は、前記ソリューションとは別のソリューションに関する情報を出力する、請求項
10に記載の情報処理システム。
【請求項12】
前記出力部は、提案可能な1つ以上の前記ソリューションの中から、優先度に従って所定数の前記ソリューションを選択し、選択されたソリューションに関する情報を出力する、請求項
8又は9に記載の情報処理システム。
【請求項13】
前記出力部は、過去において効果の実績が高いソリューション又は活用の実績が高いソリューションを優先して選択する、請求項
12に記載の情報処理システム。
【請求項14】
プロセッサが、
検出対象のペットに関する測定データを取得することと、
取得した前記測定データに基づいて特定の行動の回数及び前記行動にかかった時間を
検出し、
前記行動の回数の増加及び減少の少なくともいずれか、ならびに、前記行動にかかった時間の増加及び減少の少なくともいずれかに基づいて、前記ペットの健康リスクを検出することと、
検出した前記ペットの前記健康リスクに関する情報を出力することと、
を含む、方法。
【請求項15】
プロセッサが、
検出対象のペットに関する測定データを取得することと、
取得した前記測定データに基づいて特定の行動の回数及び運動量を
検出し、
前記行動の回数の増加及び減少の少なくともいずれか、ならびに、前記運動量の増加及び減少の少なくともいずれかに基づいて、前記ペットの健康リスクを検出することと、
検出した前記ペットの前記健康リスクに関する情報を出力することと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はペットの健康状態を把握するためのサービスを提供するための情報処理システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ペットの排泄物の重量を算出できる動物用トイレを用い、ペットの健康状態の異変を判定することが記載されている。また、特許文献2には、愛玩動物に装着したセンサから得られる健康状態から、愛玩動物に提供する餌に含まれる成分構成を決定し、成分構成情報を出力する管理サーバが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6585523号
【文献】特開2020-5534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献には、動物の排泄や餌以外の行動に基づいた健康管理については触れられていない。
【0005】
そこで、本開示は、ペットの行動に関するデータを分析することによって、ペットの健康状態の変化を検知することが可能な情報処理システムおよび方法を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によれば、検出対象のペットに関する測定データを取得する測定データ取得部と、取得した前記測定データに基づいて前記ペットの状態の変化を検出する検出部と、前記検出した前記ペットの状態の変化に対応する情報を出力する出力部と、を有する、情報処理システムが提供される。
【0007】
また、本開示によれば、プロセッサが、検出対象のペットに関する測定データを取得することと、取得した前記測定データに基づいて前記ペットの状態の変化を検出することと、前記検出した前記ペットの状態の変化に対応する情報を出力することと、を含む、方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、ペットの健康状態をより的確に把握することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施の形態によるシステムの構成例を示す図である。
【
図2】本開示の実施の形態による宅内における動物のセンシングを説明する概念図である。
【
図3】本開示の実施の形態によるサーバのハードウェア構成例を示す図である。
【
図4】本開示の第1の実施の形態によるサーバのソフトウェア構成例を示す図である。
【
図5】本開示の第1および第2の実施の形態による測定データ取得部及び測定データ記憶部の構成例である。 である。
【
図6】本開示の第1および第2の実施の形態による動物情報生成部及び動物情報記憶部の構成例である。
【
図7】本開示の第1および第2の実施の形態による行動種別の分析の流れについての説明図である。
【
図8】本開示の第1および第2の実施の形態による入力されたデータ分析について説明する図である。
【
図9】本開示の第1および第2の実施の形態の説明図である。
【
図10】本開示の第1および第2の実施の形態による摂食量の測定方法を説明する図である。
【
図11】本開示の第1および第2の実施の形態による排泄量の測定方法を説明する図である。
【
図12】本開示の第1および第2の実施の形態による体重の測定方法を説明する図である。
【
図13】本開示の第1および第2の実施の形態による摂食量の測定方法を説明する図である。
【
図14】本開示の第1および第2の実施の形態による個体識別方法を説明する図である。
【
図15】本開示の第1の実施の形態によるリスク評価情報の構成例である。
【
図16】本開示の第1の実施の形態による通知判断情報の構成例である。
【
図17】本開示の第1の実施の形態による処理のフローを示した図である。
【
図18】本開示の第2の実施の形態によるサーバのソフトウェア構成例を示す図である。
【
図19】本開示の第2の実施の形態による提案基準情報の構成例を説明する図である。
【
図20】本開示の第2の実施の形態によるソリューション情報の構成例を説明する図である。
【
図21】本開示の第2の実施の形態による判定情報の構成例を説明する図である。
【
図22】本開示の第2の実施の形態によるユーザ端末の画面表示例を説明する図である。
【
図23】本開示の第2の実施の形態による処理のフローを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態の内容を列記して説明する。本開示の一実施形態は、以下のような構成を備える。
(項目1-1)
検出対象のペットに関する測定データを取得する測定データ取得部と、
取得した前記測定データに基づいて前記ペットの状態の変化を検出する検出部と、
前記検出した前記ペットの状態の変化に対応する情報を出力する出力部と、
を有する、情報処理システム。
(項目1-2)
前記検出部は、前記検出対象のペットの過去の前記測定データに基づいて機械学習により作成した学習モデルに適用することにより得られる動物情報に基づいて、前記ペットの状態の変化を検出する、項目1-1に記載の情報処理システム。
(項目1-3)
前記検出部は、前記動物情報に含まれる定量情報および/または定性情報と数量情報の組み合わせの少なくとも1の情報を用いて、前記ペットの状態の変化を検出する、項目1-2に記載の情報処理システム。
(項目1-4)
前記検出部は、前記検出対象のペットに対応する群の測定データから得られる情報に基づいて、前記ペットの状態の変化を検出する、項目1-1~1-3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
(項目1-5)
前記検出部は、前記検出対象のペットの過去の測定データから得られる情報に基づいて、前記ペットの状態の変化を検出する、項目1-1~1-4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
(項目1-6)
前記検出部は、前記ペットの状態の変化に基づいて、前記ペットの健康リスクを検出し、
前記出力部は、検出した前記ペットの健康リスクに関する情報を出力する、項目1-1~1-5のいずれか1項に記載の情報処理システム。
(項目1-7)
前記出力部は、検出された前記健康リスクの検出状況が前記健康リスクの種別に応じて設定された通知条件を満たすか否かを判断し、前記通知条件を満たす場合に出力する、項目1-6に記載の情報処理システム。
(項目1-8)
前記検出部は、前記測定データの変化点を検出し、
前記出力部は、前記変化点の時期に関する情報を出力する、項目1-6または1-7に記載の情報処理システム。
(項目1-9)
前記検出対象のペットと同一の環境下で飼育される第二のペットの前記測定データを取得する第二の測定データ取得部をさらに備え、
前記検出部は、前記健康リスクが検出された場合に、前記検出対象の前記測定データと前記第二のペットの前記測定データとの比較に基づいて、前記健康リスクの確からしさを判断する、項目1-6~1-8のいずれか1項に記載の情報処理システム。
(項目1-10)
前記出力部は、前記ペットの状態の変化に対して提案可能な1つ以上のソリューションに関する情報を記憶するソリューション情報記憶部から1つ以上のソリューションを選択して、選択されたソリューションに関する情報を出力する、項目1-1~1-9のいずれか1項に記載の情報処理システム。
(項目1-11)
前記提案の前の第一の期間に取得された前記測定データと、前記提案後の第二の期間に取得された前記測定データとを比較して、前記ソリューションの効果又は活用度を判定する判定部をさらに備える、項目1-10に記載の情報処理システム。
(項目1-12)
前記判定部が、前記ソリューションの効果が低いと判定した場合に、
前記出力部は、前記ソリューションとは別のソリューションに関する情報を出力する、項目1-11に記載の情報処理システム。
(項目1-13)
前記出力部は、提案可能な1つ以上の前記ソリューションの中から、優先度に従って所定数の前記ソリューションを選択し、選択されたソリューションに関する情報を出力する、項目1-10~1-12のいずれか1項に記載の情報処理システム。
(項目1-14)
前記出力部は、過去において効果の実績が高いソリューション又は活用の実績が高いソリューションを優先して選択する、項目1-13に記載の情報処理システム。
(項目1-15)
前記測定データは加速度データであり、
前記加速度データから特定の行動の指標を算出する行動情報生成部をさらに備え、
前記検出部は前記行動の指標に基づいて前記ペットの状態の変化を検出する、項目1-1~1-14のいずれか1項に記載の情報処理システム。
(項目1-16)
プロセッサが、
検出対象のペットに関する測定データを取得することと、
取得した前記測定データに基づいて前記ペットの状態の変化を検出することと、
前記検出した前記ペットの状態の変化に対応する情報を出力することと、
を含む、方法。
【0011】
また、本開示の他の実施形態は、以下のような構成を備える。
(項目2-1)
検出対象のペットに関する測定データを取得する測定データ取得部と、
取得した前記測定データを前記検出対象のペットの過去の前記測定データに基づいて機械学習により作成した学習モデルに適用することにより、前記ペットの健康リスクを検出するリスク評価部と、
前記検出結果を通知する通知部とを有する、ペットの健康異常通知システム。
(項目2-2)
前記通知部は、検出された前記健康リスクの検出状況が前記健康リスクの種別に応じて設定された通知条件を満たすか否かを判断し、
前記通知条件を満たす場合に通知することを特徴とする、項目2-1に記載の健康異常通知システム。
(項目2-3)
前記リスク評価部は、前記測定データの変化点を検出し、
前記通知部は、前記変化点の時期に関する情報を通知する、項目2-1又は2-2に記載の健康異常通知システム。
(項目2-4)
前記検出対象のペットと同一の環境下で飼育される第二のペットの前記測定データを取得する第二の測定データ取得部をさらに備え、
前記リスク評価部は、前記健康リスクが検出された場合に、前記検出対象の前記測定データと前記第二のペットの前記測定データとの比較に基づいて、前記健康リスクの確からしさを判断する、項目2-1~2-3のいずれか1項に記載の健康異常通知システム。
【0012】
また、本開示の他の実施形態は、以下のような構成を備える。
(項目3-5)
ペットに関する測定データを取得する測定データ取得部と、
取得した前記測定データに基づいて前記ペットの状態の変化を検知する検知部と、
前記変化に対して提案可能な1つ以上のソリューションを記憶するソリューション情報記憶部から1つ以上のソリューションを選択し、ユーザに提案するソリューション提案部とを備える、情報処理システム。
(項目3-6)
前記提案の前の第一の期間に取得された前記測定データと、前記提案後の第二の期間に取得された前記測定データとを比較して、前記ソリューションの効果又は活用度を判定する判定部をさらに備える、項目3-1に記載の情報処理システム。
(項目3-7)
前記判定部が、前記ソリューションの効果が低いと判定した場合に、
前記ソリューション提案部は、前記ソリューションとは別のソリューションを提案する、項目3-2に記載の情報処理システム。
(項目3-8)
前記ソリューション提案部は、提案可能な1つ以上の前記ソリューションの中から、優先度に従って所定数の前記ソリューションを選択して提案する、項目3-1~3-3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
(項目3-9)
前記ソリューション提案部は、過去の効果実績又は活用度実績の高いソリューションを優先して選択する、項目3-4に記載の情報処理システム。
(項目3-10)
前記測定データは加速度データであり、
前記加速度データから特定の行動の指標を算出する行動情報生成部をさらに備え、
前記検知部は前記行動の指標に基づいて前記ペットの状態の変化を検知する、項目3-1~3-5のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【0013】
<実施の形態の詳細>
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
<概要>
本開示の実施の形態によるシステムは、ペットに装着した加速度センサや重量センサ8等の各種センサから得られる測定データをもとにペットの健康状態をモニタリングし、異常を検知するものである。
図1に示すように、本開示のシステムは、サーバ1と、サーバ1に、インターネット等のネットワークを介して接続される、ペットセンサ5、重量センサ8、通信端末2、ユーザ端末3を含む。
図1には、説明の便宜のために、各々1つのペットセンサ5、重量センサ8、通信端末2、及びユーザ端末3が図示されているが、各々複数の端末が、本システムのネットワークに接続可能である。
【0015】
ペットに装着するペットセンサ5としては、例えば加速度センサ、温度センサ等がありえる。また、重量センサ8としては、ペットの体重を測定するもの、ペットの排泄物(便、尿)を測定するもの、ペットの摂食量(餌、水)を測定するものがあり、ベッドやトイレ、食器自体に備えられてもよいし、それらを載せる台に設置されてよい。
【0016】
各センサが取得したデータは、通信端末2を介してサーバ1に送信される。サーバ1では、得られたデータを分析することによってペットの状態をモニタリングし、健康リスクを評価し、必要な通知をユーザに提供する。本開示において健康リスクとは、特定の疾病に罹患している可能性が高いことや、近い将来罹患する可能性が高いことを意味する。また、他の実施形態では、サーバ1では、得られたデータを分析することによってペットの状態をモニタリングし、健康状態の変化を検出し、必要なソリューションを提案する。提案されたソリューションは、その後に取得された測定データを分析することによって、その効果(ソリューションによって状態が改善したか)、及びその活用度(ソリューションを活用しているか)が評価される。
【0017】
サーバ1は、サービスを、アプリケーションを介してユーザ端末3に対して提供することができる。ユーザ端末3は、アプリケーションをサーバ1または別のサーバからダウンロードし、このアプリケーションを実行し、ブラウザ等のウェブページの閲覧ソフトウェアを介してサーバ1にアクセスすることで、サーバ1と情報を送受信することでき、また、サービスを受けることが可能となる。
【0018】
通信端末2は、重量センサ8及び動物、例えばネコ6に装着されたペットセンサ5と近距離無線通信を行うことで、各データを取得することができる。より具体的には、まず、
図2に示すように、ネコなどの動物6に対し、首輪状(またはペンダント状)のウェアラブルデバイスが取り付けられる。ウェアラブルデバイスには、加速度センサ及び/または温度センサが内蔵される。重量センサ8及びペットセンサ5は、データをBLUETOOTH(登録商標) LAW ENERGY(BLE)等の近距離無線通信を通じて、同じ宅内に設置される受信装置7に送信し、受信装置7は、ルータ等の通信端末2にデータを転送し、通信端末2は、データをネットワークを介してサーバ1に送信する。なお、重量センサ8及びペットセンサ5は、データをBLUETOOTH(登録商標) LAW ENERGY(BLE)等の近距離無線通信を通じて、ユーザ端末3に直接送信することとしてもよい。ここで、受信装置7は、一例として、Linux(登録商標)ベースのオペレーションシステムを搭載し、また、気温を測定する温度センサ等各種センサを搭載することができる。しかしながら、受信装置7は、組み込みのチップセット等、OSを搭載しないものであってももちろんよい。
【0019】
ペットセンサ5は、例えば加速度センサである。加速度センサ5は、
図2に示すように、互いに直交する3軸方向(x軸、y軸、z軸方向)の加速度を検出するセンサであり、ネコの首部に装着する首輪に内蔵される。
図2に示すように、ネコの前後方向をX方向、左右方向をY方向、上下方向をZ方向と定義し、ネコの動きに応じて各方向の加速度信号が検出できるよう首輪をネコに取り付ける。センサの種類はこれに限らず、ジャイロセンサやモーションセンサ等、ネコの動きに関する情報を取得できるあらゆるセンシング装置を採用可能である。
【0020】
ユーザ端末3としては、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、或いはスマートフォン、タブレット、携帯端末、その他情報端末等であってもよい。
【0021】
<ハードウェア構成>
本実施の形態によるサーバ1とユーザ端末3とは、以下のようなハードウェア構成を有する。なお、以下の構成は一例であり、これ以外の構成を有していても良い。
【0022】
サーバ1は、データベース(図示せず)と接続されシステムの一部を構成する。サーバ1は、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、或いはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。
【0023】
図3に示すように、サーバ1は、少なくとも、制御部10、メモリ11、ストレージ12、送受信部13、入出力部14等を備え、これらはバス15を通じて相互に電気的に接続される。
【0024】
制御部10は、サーバ1全体の動作を制御し、各要素間におけるデータの送受信の制御、及びアプリケーションの実行及び認証処理に必要な情報処理等を行う演算装置である。例えば制御部10はCPU(Central Processing Unit)であり、ストレージ12に格納されメモリ11に展開されたプログラム等を実行して各情報処理を実施する。
【0025】
メモリ11は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性記憶装置で構成される主記憶と、フラッシュメモリやHDD(Hard Disc Drive)等の不揮発性記憶装置で構成される補助記憶と、を含む。メモリ11は、制御部(プロセッサ)10のワークエリア等として使用され、また、サーバ1の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、及び各種設定情報等を格納する。
【0026】
ストレージ12は、アプリケーション・プログラム等の各種プログラムを格納する。各処理に用いられるデータを格納したデータベース(図示せず)がストレージ12に構築されていてもよい。
【0027】
送受信部13は、サーバ1をネットワークに接続する。なお、送受信部13は、Bluetooth(登録商標)及びBLE(Bluetooth Low Energy)の近距離通信インターフェースを備えていてもよい。
【0028】
入出力部14は、キーボード・マウス類等の情報入力機器、及びディスプレイ等の出力機器である。
【0029】
バス15は、上記各要素に共通に接続され、例えば、アドレス信号、データ信号及び各種制御信号を伝達する。
【0030】
<第1の実施形態>
以下、本開示の第1の実施形態について説明する。本実施形態では、サーバ1が、得られたデータを分析することによってペットの状態をモニタリングし、健康リスクを評価し、必要な通知をユーザに提供する。
図4は、本開示の第1の実施形態に係るシステムにおけるサーバ1のソフトウェア構成例を示す図である。サーバ1は、測定データ取得部21、動物情報生成部22、リスク評価部23、通知部24、測定データ記憶部31、動物情報記憶部32、ユーザ情報記憶部33、リスク情報記憶部34、通知判断情報記憶部35を備えることができる。
【0031】
なお、測定データ取得部21、動物情報生成部22、リスク評価部23、通知部24、は、サーバが備える制御部10がストレージ12に記憶されているプログラムをメモリ11に読み出して実行することにより実現され、測定データ記憶部31、動物情報記憶部32、ユーザ情報記憶部33、リスク情報記憶部34、通知判断情報記憶部35は、メモリ11およびストレージ12の少なくともいずれかにより提供される記憶領域の一部として実現される。
【0032】
測定データ取得部21は、各種測定データ取得手段から動物の状態に関するデータを取得する。測定データ取得部21は、
図5に示すように、行動測定データ取得部211、重量データ取得部212、環境データ取得部213を含んでよい。動物の状態に関するデータとは、動物の行動、活動、体調、周囲環境のデータを含む。ここでいう測定データ取得手段とは、加速度センサ等のペットセンサ5や重量センサ8、カメラ等、データを取得するデバイスを含む。また、測定データ取得部21で取得した各種のデータは、測定データ記憶部31に格納される。測定データ記憶部31は、
図5に示すように、行動測定データ記憶部311、重量データ記憶部312、環境データ記憶部313を含んでよく、それぞれ対応する測定データ取得部21から取得したデータが格納される。測定データ取得部21及び測定データ記憶部31は、これらのデータ以外に、動物の体温データや画像データ等、他のデータを取得する取得部及び記憶部を備えてもよい。
【0033】
行動測定データ取得部211は、ペットセンサ5によって検出され、通信端末2を介して送信された行動測定データを、サーバ1の送受信部13を介して受信する。受信された行動測定データは、行動測定データ記憶部311に格納される。または、行動測定データは、
図1において示す、分析サーバ9に内蔵されるストレージに格納することもできる。行動測定データは、ペットセンサ5が加速度センサの場合は加速度データである。そのほか、行動測定データは、画像データであってもよい。
【0034】
ペットセンサ5は、例えば加速度センサである。加速度センサ5は、
図2に示すように、互いに直交する3軸方向(x軸、y軸、z軸方向)の加速度を検出するセンサであり、ネコなどの動物の首部に装着する首輪に内蔵される。
図2に示すように、動物の前後方向をX方向、左右方向をY方向、上下方向をZ方向と定義し、動物の動きに応じて各方向の加速度信号が検出できるよう首輪を動物に取り付ける。センサの種類はこれに限らず、ジャイロセンサやモーションセンサ等、動物の動きに関する情報を取得できるあらゆるセンシング装置を採用可能である。
【0035】
重量データ取得部212は、重量測定手段から重量データを取得する。重量測定手段は、重量センサ8を備え、食事量や排泄量、体重を測定できるデバイスであれば特に制限はない。用途に応じて、トイレ、食器、水入れ等のペット用アイテムをのせることができる形状(例えばボード型)を備えていることが好ましい。重量測定手段とサーバ1とは通信ネットワークにより接続される。重量データは、時系列に取得されることが好ましい。取得された重量データは、時間情報とともに重量データ記憶部312に格納される。重量データ記憶部312は、重量データ取得部212が取得した重量データを各重量測定手段ごとに記憶する。重量データは、時間データとともに記憶される時系列データであることが好ましい。
【0036】
環境データ取得部213は、動物が飼育されている環境データを取得する。例えば、環境データ取得部213は、室内外に設置した温度計や湿度計から得られる気温データ、室温データ、湿度データ等を取得する。また、インターネット上から動物がいるエリアの気候に関するデータを入手してもよい。さらに、環境データ取得部213は、災害に関する情報を取得する。災害に関する情報とは、地震、火災、洪水、津波、落雷、竜巻などの発生情報である。災害に関する情報は、室内外に設置した各種センサから取得してもよいし、インターネット上で提供されている災害情報を取得してもよく、その方法は特に問わない。取得された環境データは、環境データ記憶部313に格納される。
【0037】
動物情報生成部22は、各種測定データを分析することによって、測定対象の動物の活動に関する動物情報を生成する。すなわち、生データである測定データから、意味のある情報(特定の測定対象の重量、特定の行動の回数、時間等)を生成したものが「動物情報」である。動物情報生成部22は、
図6に示すように、行動情報生成部221、重量情報生成部222等を備えることができる。また、動物情報生成部22が生成した動物に関するデータは、動物情報記憶部32に格納される。動物情報記憶部32は、行動情報記憶部321、重量情報記憶部322を含んでよい。
【0038】
行動情報生成部221は、受信した行動測定データをもとに、分析サーバ9と連携しながら(または、本行動情報生成部221における単独の処理によって)、動物の行動データを生成する。
【0039】
ここで、行動情報とは、行動情報記憶部321に格納される、運動データ、睡眠データ、食事データ、トイレデータ、位置データ等を含む。より具体的には、運動データとして、運動の有無、時間とともに1日においてどれくらいの活動をしているのかといった活動量等の集計データ、睡眠データとして、睡眠の有無と時間とともに1日においてどれくらいの睡眠をしているのかといった集計データ、食事データとして、食事行動の有無と時間とともに食事を何回食べたか、いつ食べたかといった集計データ、摂水行動の有無と時間とともに水を何回飲んだか、いつ飲んだかといった集計データ、トイレデータとして、排便行動の有無と時間とともに排便を何回したか、いつしたかといった集計データ、また、排尿行動の有無と時間とともに排尿を何回したか、いつしたかといった集計データ、が挙げられる。また、位置データとして、どの方向に移動したか、どの位置にいたか、その他のデータとして毛づくろいの時間と回数等が挙げられる。要するに、特定のラベル付が可能な行動の時間、回数等の情報であればよい。また、図示しないが、計測時の動物の体温が計測されてもよい。
【0040】
次に、行動情報の生成フローについて説明する。まず、行動情報生成部221は、行動測定データ取得部211において検出された測定データを確認する。続いて、行動情報生成部221は、測定データをもとに行動種別を判定する。行動種別の判定方法は、いくつかの既知の行動分析方法によって実現し得るが、例えば、加速度センサ5から得られたxyz軸方向の加速度データ(Gx、Gy、Gz)を、ウェーブレット変換を用いて、振動をもった信号を時刻毎に周期と振幅に分解し、各々の時刻における信号の周期性を行動スペクトルとして認識し、スペクトルの類似性に従って、事前に登録した行動要素と比較することで行動を分類することができる。
【0041】
事前に登録した行動要素の情報が無い場合は、新しい行動要素として認識し、後述の異常行動を示すデータとして、例えば、獣医師に提供することができる。または、例えば、加速度センサ5から得られた加速度データをフーリエ変換し、時間軸に沿って算出される周波数成分の平均値やピーク値を、同じまたは別の動物の行動種別(運動、睡眠、食事、トイレ等)に対応する既知の周波数と比較することで行動を特定したり、加速度成分を高速フーリエ変換(FFT)することにより算出された周波数成分を基に、特徴的な波形やスペクトル値を抽出し、同じまたは別の動物の行動種別(運動、睡眠、食事、トイレ等)に対応する既知の特徴的波形またはスペクトル値と比較することで、行動を特定することができる。また、加速度センサ5で算出される、各軸方向の姿勢(θx、θy、θz)から動物の姿勢を把握することで、行動種別を推測することもできる。
【0042】
行動種別が判定されると、行動情報生成部221は、行動種別を示すデータを行動情報として、測定データを測定した日時(または受信した日時、行動情報を生成した日時)とともに生成する。
【0043】
ここで、行動種別の分析の流れについて、
図7を参照して更に説明を行う。加速度センサ5から取得した加速度データ101に対して、上述したウェーブレット変換により得られたスペクトルデータ又はフーリエ変換等により得られた成分データにすべくデータの前処理102が行われる。このように前処理されたデータは、続いて、二値モデル群によるスコアリング103がされる。本実施の形態による二値モデルは、WALKモデル、RUNモデル、EATモデル、STAYモデルなどと言った具体的に表現(解釈)可能な活動のモデルと比較分析し、前処理102されたデータのうち特定の部分がどの行動と推測できるかをスコアリングする。例えば、
図8に示されるように、入力されたデータを各モデルで分析することにより確からしさがスコアリングされる。図示されている例においては、「歩く」が91、「走る」が62、「食べる」が21、「止まる」が8であり、最も高いスコアは「歩く」の91であるため、二値モデル群によるスコアリング結果としては「歩く」という行動に分類される。
【0044】
続いて、
図7に戻り、多値モデル群によるスコアリング104が行われる。本実施の形態による多値モデル群によるスコアリングは、二値モデルにより得られた結果が拮抗していた場合などに、どちらの二値モデル群による結果を優先させるべきかを機械学習に基づいて判定する。例えば、
図8よる例では、「歩く」が91、「走る」が62という結果化がでており、「走る」という評価のスコアも比較的高い。この場合、過去の二値モデル群への入力データと判定結果の組み合わせから今回のケースで優先すべきはいずれの二値モデルなのかどうかを判定する。このように、本実施の形態においては、各行動の判定に特化した二値モデル群の結果を多値モデル群によって更に評価を行うことにより、データの正確性を向上させている。
【0045】
図7に戻り、判定された行動をルールベースに基づき、さらにデータの補正が行われる。例えば、猫の行動上一定時間継続することが多いような「食べる」や「寝る」などの判定区間中に、突発的に「走る」などの通常起こりにくい行動を二値モデルが判定した場合、もしくは判定不能な場合に、この区間の二値モデルの予測結果を棄却し、ルールによって他の行動と推定する補正を行う。補正が完了すると、当該行動に予め登録されていた行動ラベルの付与106がなされる。
【0046】
本実施の形態においては、特に、各動物の個体差や環境による個別的要因に対応するため、ユーザからのフィードバック107を受けることとしている。具体的には、
図9に示されるように、自己の管理している動物を観察等しながら、現在の行動を(手動により)記録する。当該記録と加速度センサのデータを関連付けることにより、目視等による教師データを収集することができる。このようにして得られたフィードバックデータ108は、蓄積され、二値モデル群のモデルの精度を上げるために利用される。
【0047】
以上のように生成された行動情報は、行動情報記憶部321に格納される。行動情報は、時間データとともに記憶される時系列データであることが好ましい。
【0048】
重量情報生成部222は、重量データ取得部212が取得した重量データを分析して、各種測定対象(体重、食事量、摂水量、排便量、排尿量等)を算出する。重量情報生成部222は、重量算出部を備える。重量算出部は、重量データ取得部212が取得した重量データを分析して、目的の測定対象の重量情報を出力する。重量取得手段が、複数の測定モードを設定できる場合は、重量算出部は、設定された測定モードに沿って重量を算出する。測定モードとは、下記のように少なくとも測定対象を定めるものであり、ユーザが設定することもできるし、重量測定手段に載せられたアイテムを認識して自動で設定されてもよい。
以下に、各測定モードごとの重量の算出方法の一例を示す。
【0049】
<食事量・摂水量・体重測定モード>
図10は、食事量・摂水量・体重を測定する場合の例を示す。動物が食事又は水を飲むために重量測定手段の上にのった場合、時系列の重量データは例えば
図10のような挙動を示す。動物が重量測定手段の上にのる前の時点での重量と、動物がのった時の重量との差ΔW1は、動物の体重とみることができる。また、動物が重量測定手段の上にのる前の時点での重量と、動物が食事・摂水を終わって降りた時点での重量との差ΔW2は、餌又は水の減少量、すなわち摂食量・摂水量であるとみることができる。動物が重量測定手段の上にのっている最中に、動物が動くことによって重量データにブレが生じる場合は、平均値や、一定時間以上動きがなくなった時の重量データを採用する等、適宜最適な値を採用することとして良い。
【0050】
<排泄量・体重測定モード>
図11は、排泄量・体重を測定する場合の例を示す。動物が排便又は排尿するために重量測定手段の上のトイレに入った場合、時系列の重量データは例えば
図11のような挙動を示す。動物がトイレに入った時の重量と、動物がトイレから出たときの重量との差ΔW3は、動物の体重とみることができる。体重は、動物がトイレに入る前の時点での重量と、トイレに入った直後の重量との差を採用してもよい。また、動物がトイレに入る前の時点での重量と、動物がトイレから出た後の時点での重量との差ΔW4は、排泄量とみることができる。動物がトイレの中に入っている最中に、動物が動くことによって重量データにブレが生じる場合は、平均値や、一定時間以上動きがなくなった時の重量データを採用する等、適宜最適な値を採用することとして良い。
【0051】
<体重測定モード>
図12は、体重を測定する場合の例を示す。動物がベッドで睡眠をとったりくつろいだりするために重量測定手段の上のベッド等にのった場合、時系列の重量データは例えば
図14のような挙動を示す。動物がベッドに入った時の重量と、動物がベッドから出たときの重量との差ΔW5は、動物の体重とみることができる。
【0052】
以上のように、重量算出部は、時系列の重量データの変化から、各種測定対象の重量を推定することができる。測定対象の種類とその算出方法は上述したものに限られず、任意に設定することができる。
【0053】
重量情報生成部222は、さらに重量情報評価部を備えてもよい。重量情報評価部は、重量算出部が算出した重量情報と行動データを突き合わせて、重量情報の確からしさを評価する。重量情報評価部は、測定対象の重量情報が取得された時間(t1~t2)における行動データを行動情報記憶部321から参照し、その時のペットの行動が重量情報の測定対象と合致しているかを確認する。例えば、食事量測定モードで測定している場合に、重量データが変動したときは、前述したように重量データの変化量を「食事量」として判断するが、
図13のようにその時間帯(t1~t2)における行動データが「食事」を示していれば、当該重量情報は食事量であることが確からしいと判断できる。一方で、その時間帯における行動データが「食事」ではない場合(例えば「遊んでいる」など)は、当該重量情報は食事量を示すものではない可能性があると判断する。このように、重量情報評価部は、重量情報と同時間帯における行動データが重量情報と合致している場合に、当該重量情報が確からしいと判断し、合致していない場合に当該重量情報を不確かなデータとしてタグ付けしたり、削除したりすることができる。
【0054】
重量情報生成部222は、さらに重量種別特定部を備えてもよい。重量種別特定部は、行動データによって、ごはんを食べているときと水を飲んでいるとき、または、排便をしているときと排尿をしているときを区別することができる場合は、重量算出部が算出した重量情報をさらに具体的に特定することができる。例えば、食事量・摂水量・体重測定モードで、重量測定手段の上に食器と水入れの両方を置いた場合、ΔW2は食事量と摂水量のいずれかもしくは両方の合計を示している。ここで、t1~t2における行動データが「食事」を示していれば、ΔW2は食事量であると判断することができる。同様に、排泄量・体重測定モードにおいて、ΔW4は排便量、排尿量のいずれかもしくは両方の合計を示しているが、当該重量データが取得された時間帯における行動データが「排便」であった場合、ΔW4は排便量であると判断することができる。このように、重量種別特定部は、同時間帯における行動データから、重量情報の測定対象をより具体的に特定することができる。
【0055】
重量情報生成部222は、さらに個体識別部を備えてもよい。個体識別部は、多頭飼いの場合に、重量算出部が算出した重量情報が、どの個体によるものであるかを判断することができる。多頭飼いの場合、一つの重量測定手段の上にのった個体がどの個体であるかを識別することは通常困難である。個体識別部は、測定対象の重量データが取得された時間帯(t1~t2)における、各個体の行動データを参照し、重量情報が紐づけられるべき個体を特定する。
図14に示す例においては、t1~t2における個体A、個体Bの行動データから、重量測定手段が取得した重量データは、食事をしていた個体Aのものであることを判断する。このように、個体識別部は、重量情報ごとに合致する行動データを示す個体を選択し、重量情報に個体情報を付与することができる。
【0056】
また、各個体のセンサから得られる加速度データ等の波形から個体が識別されてもよい。同じ行動であっても、個体ごとに波形に固有の特徴が出ることが知られている。測定対象の重量データが取得された時間帯における行動波形データについて、あらかじめ登録した各個体の行動ごとの波形と照らし合わせて特徴を比較することによって、個体を識別することができる。
【0057】
個体の識別は、上記載方法の他に、各種の方法を採用してもよい。例えば、個体の識別は、重量測定手段を撮影することのできる画像取得手段によって得られた画像を分析することによって行ってもよい。ビデオカメラなどの画像取得手段によって経時的に動画像を撮影し、重量測定手段の上にのっている個体を画像認識によって識別することができる。個体識別部は、測定対象の重量データが取得された時刻における画像データから、重量情報が紐づけられるべき個体を特定することができる。
【0058】
個体識別部は、ペットの首輪等から個体情報を含むデータをBLUETOOTH(登録商標) LAW ENERGY(BLE)等の電波強度の強弱によって、重量測定手段の近くにいる個体を識別してもよい。重量測定手段若しくはその近傍に、BLEの受信手段を備えておき、より近くにいる個体を認識することができる。
【0059】
個体識別部は、体重によって個体を識別することとしてもよい。あらかじめ個体の体重を登録しておき、各測定モードで体重を算出した際に、当該登録体重を参照することによって、個体を識別することができる。
【0060】
以上のように個体識別部は複数の方法によって個体を識別することができるが、このうち一つ以上を採用することができ、複数の方法を組み合わせて個体識別を行ってもよい。
【0061】
重量情報生成部222が生成した重量情報は、重量情報記憶部322に格納される。例えば、測定日時ごとに測定対象と、測定対象の重量(例:食事量)が格納されてよい。この他に、多頭飼いの場合は個体名や個体IDの情報を含んでもよい。
【0062】
ユーザ情報記憶部33は、ユーザ(飼い主)の基本情報と、ユーザが飼育する動物の基本情報を管理する。ユーザの基本情報とは、性別、年齢、職業、住所等の情報が挙げられる。ユーザが飼育する動物の基本情報は、名前、種類(犬、猫など)、品種、年齢、性別、居住地、飼育環境(屋外、屋内)、遺伝子情報、多頭飼いの有無、健康情報等を含む。健康情報としては、通院歴、病歴等が挙げられる。ひとりのユーザについて複数の動物の情報を登録することができる。また、これらのユーザの基本情報及び動物の基本情報は、例えばユーザに付与されたユーザIDに紐づけて管理される。また、動物についてIDが付与されてもよい。
【0063】
リスク評価部23は、生成された動物情報に基づいて、対象動物の健康上のリスクを評価する。リスク評価の手法は、複数あってよく、リスク評価部23は、いずれか一つの手法によりリスクを評価してもよいし、複数の手法による評価結果を総合した総合評価を行ってもよい。評価手法については後述する。なお、リスク評価部23は検出部の一例である。
【0064】
本実施の形態におけるサーバ1は、動物情報データと疾病との対応関係を記憶したリスク情報記憶部34を備えてもよい。
図15は、リスク情報記憶部34に記憶されるリスク情報の構成例である。特定の疾病のリスクと、動物情報データの種別とその変化が対応付けられる。疾病はIDなどの識別情報を付与されてもよく、また動物情報データや変化についても適宜識別情報を付与してもよい。例えば、「膀胱炎」のリスク評価には、動物情報として排泄回数の増加、排泄時間の増加、及び運動量の減少、を指標として用いる。同様に、「皮膚炎」のリスク評価には、動物情報として毛づくろい回数の増加及び毛づくろい時間の増加を指標として用い、「腎不全」のリスク評価には、動物情報として飲水量の変化、排泄回数の変化、及び運動量の減少を指標として用いる。また、変化の基準として、所定の閾値などの条件を含むことができる。閾値は数値で表されてもよい。これらの疾病と動物情報の組み合わせは一例であり、適宜変更可能である。例えば、「膀胱炎」のリスク評価において排泄回数と排泄時間のどちらか一方が指標として選択されてもよい。リスク評価部23は、各動物情報データの変化がリスク情報記憶部34における特定の疾病のリスクがあると判断すべき条件に該当するか否かを判定する。
【0065】
リスク情報記憶部34には、各リスクをユーザに通知するか否かを判断するための通知判断条件に関する情報を含むことができる。
図16は、通知判断情報の一例である。
図16に示すように、通知判断条件は複数用意されてもよい。例えば、リスク評価部23により何らかの異常値が検出された場合は必ず通知すること、異常値の検出が所定日数以上継続してあった場合に通知すること、異常値の検出頻度が所定以上であった場合に通知すること、自己データの分析による異常値の検出と、他個体データの比較分析による異常値の検出の双方において異常と判断された場合に通知すること、などを設定することができる。通知判断条件はこれらに限られず、適宜設定することができる。また、
図15に示すように、疾病ごとに通知条件は異なるものを設定することもできる。すなわち、その疾病の重要性や、動物情報の特性に応じて適切な通知基準を定めることができ、過剰な通知でユーザを必要以上に不安にさせることを防ぐことができる。また、異常の度合いを複数の段階で判定する場合は、異常の度合いに応じて通知条件を変えるように設定してもよい。例えば、異常度が低い場合は通知条件をBとし、異常度が高い場合は通知条件をAとする、等とすることができる。
【0066】
通知部24は、リスク評価部23が行ったリスク評価結果を提供する。通知する先は、飼い主であるユーザでもよいし、獣医師、ペット保険会社等であってもよい。また、ユーザがあらかじめ他のユーザを通知先として登録してもよい。他のユーザは例えば家族や友人など共同飼い主としてペットを見守る者である。また、通知には条件を設け、過剰な通知が行われないように設定してもよい。その場合は、各疾病について通知判断情報に設定されている通知条件を満たすことを確認し、通知する。また、通知条件をユーザが選択可能にすることもできる。なお、通知部24は出力部の一例である。通知部24による出力の態様は特に限定されず、例えばユーザや医師等の使用する端末への表示であってもよいし、医療機関やサービサーの管理するサーバのデータベースへの出力等であってもよいし、紙葉等の印刷媒体への印字等による出力であってもよいし、音声等による出力であってもよい。
【0067】
以下、リスク評価の具体例について説明する。
【0068】
<教師あり学習による疾病予測>
リスク評価部23は、機械学習によって疾病予測を行ってもよい。動物情報記憶部32に記憶されている罹患履歴の明らかな動物の過去の動物情報データを入力データとし、当該動物の疾病データを教師データとして学習モデルが作成され得る。リスク評価部23は、作成した学習モデルに、評価対象動物の動物情報データを当てはめて、特定の疾病に罹患する可能性を評価する。予測に用いる動物情報データに特に制限はないが、疾病に関係のある排泄の回数・時間・排泄量、活動量、食事の回数・量、毛づくろい回数・時間等のデータを1つ以上用いることが好ましい。例えば、排泄回数と運動量を膀胱炎の予測に用いる場合、膀胱炎に罹患した記録のある動物の、罹患する直前の排泄回数と運動量の動物情報が入力データとなり得る。また、評価対象個体の膀胱炎リスクを評価する場合は、当該動物の排泄回数と運動量の動物情報を学習モデルに当てはめて、膀胱炎のリスクを評価することができる。また、毛づくろい回数と毛づくろい時間を皮膚炎の予測に用いる場合、皮膚炎に罹患した記録のある動物の、罹患する直前の毛づくろい回数と毛づくろい時間の動物情報が入力データとなり得る。また、評価対象個体の皮膚炎リスクを評価する場合は、当該動物の毛づくろい回数と毛づくろい時間を学習モデルに当てはめて、皮膚炎のリスクを評価することができる。
【0069】
<自己データとの比較による異常検知>
リスク評価部23は、評価対象個体の動物情報を分析して異常値を検知することによって、健康上のリスクを評価してもよい。動物は個体差が大きいため、自己のデータにおける変化を捕捉することによってリスク評価を行うことは有用である。リスク評価部23は、評価対象個体の動物情報を、動物情報記憶部32から読み出し、所定の処理を行うことによってリスクを評価する。例えば、過去の所定期間における平均値に対する差が所定割合以上である場合をリスクありと評価してもよい。具体的には、リスク評価部23は、同一の個体について、過去の動物情報(または測定データ)と現在の動物情報(または測定データ)を比較することにより、該個体の異常を検知してもよい。より具体的には、先週の動物情報において走っていた状態の平均時間が10分であるのに対し、今週の動物情報において走っていた状態の平均時間が82分である場合に、リスク評価部23は該個体に元気がないことを検知し、通知部24が該個体が元気でないことを通知するものであってもよい。この場合、通知をするか否かのしきい値は、例えば個体ごとに決められていてもよいし、個体の種類ごとに決められていてもよい。また、通知部24による、これらの異常検出の通知頻度は、必要に応じて設定できるものであってもよい。例えば、疾病罹患中の間は活動量が下がるため、一定期間は異常に関する通知を行わないなど、個別に設定できるものであってもよい。例えば、通知部24は、上述した動物情報の履歴に基づいて、通知の頻度や通知の態様等を調整してもよい。
【0070】
リスク評価部23は、また、統計的な手法によって異常値を判定してもよい。すなわち、時系列データである動物情報データをもとに、自己回帰モデルにより推定値を算出し、実際の動物情報データが大きく異なるとき、そのデータは過去のデータ系列と乖離していると判断することができる。自己回帰モデルはARモデル、MAモデル、ARMAモデル、MRIMAモデルなど既知のモデルをデータの特性に合わせて適宜採用することができる。
【0071】
また、時系列データである動物情報データをもとにマハラノビス距離を算出し、当該マハラノビス距離が大きい場合に、過去のデータ系列の集合から乖離していると判断することができる。マハラノビス距離の算出方法については既知のものを利用することができる。また、過去の時系列データには、時系列データの新しさに応じて相対的に重みが増えるように重み付け処理を行った加重データを用いてもよい。
【0072】
リスク評価部23は、統計的な処理によって、データの変化が始まった時点を示す変化点を検知してもよい。すなわち、リスク評価部23は、異常の閾値を超えた時点よりも前の時点で、異常の兆候と認定できるデータを探索する。変化点を検知することによって、いつから変化が表れ始めたのかを把握することができ、ユーザがその要因を探るのに有用である。自己データの分析による異常値の検知には、上記の方法に限定されず、外れ値検知、変化点検知の手法として知られたものを適宜採用することができる。
【0073】
<他個体データとの比較による異常検知>
リスク評価部23は、評価対象個体の動物情報データと、評価対象個体とは別の個体の動物情報データとを比較することによって異常値を検出してもよい。比較対象とする他個体の集団は、評価対象個体と種類(犬、猫など)、品種、年齢、性別、居住地、飼育環境(屋外、屋内)、遺伝子情報、多頭飼いの有無、健康情報などの属性が一つ以上共通する類似個体を抽出してもよい。また、これらの属性はある程度の幅をもって「類似」としてもよい。例えば、評価対象個体が種類=犬、品種=トイプードル、年齢=3歳、性別=オスであれば、種類=犬、品種=小型犬、年齢=2歳~4歳、性別=オスに該当する個体を類似個体として設定するなど、適宜幅を設定できる。他にも、群は、例えば、動物の年齢や種類等の属性に応じて分別される群を意味する。これにより、ある個体が、通常の群における健康な状態とは異なる状態とが比較により検出された場合に、通知部24は該個体が異常であることを通知し得る。また、通知部24は、群に係る動物情報との比較に基づいて、通知を行うか否かを決定してもよい。例えば、動物の行動様態には季節性が見られる。そのため、単に個体の過去の動物情報だけを比較対象とした場合、健康であるにも関わらず、特定の行動の増減に基づく異常のリスクが通知される可能性がある。そのため、単に過去と現在の動物情報の比較だけでなく、群の動物情報との比較も行うことで、より精度高くリスクを評価することができる。
【0074】
リスク評価部23は、他個体の動物情報データと評価対象動物の動物情報データとを比較し、評価対象動物の健康リスクを評価する。例えば、動物情報データの所定期間における平均値や変化率が、他個体の集団における平均値や変化率と比較したときの差異が所定値(割合)以上である場合に、リスク評価部23は、異常であると検知してもよい。また、他個体の集団における確率分布において、上位・下位の所定範囲に該当する場合に異常であると検知することもできる。他個体のデータの比較方法は上記に限られず、適宜既知の方法を採用することができる。
【0075】
また、上記のいずれの方法においても、健康リスクを判定する基準は複数の段階で設定されてもよい。例えば、基準となる閾値を複数設け、異常の度合い(低・中・高)を判断することができる。
【0076】
上記の手法において、取得する動物情報データのうちどのデータをリスク評価に利用するかは、リスク情報記憶部34に登録された動物情報データと疾病との関係性により選択することができる。動物の疾病に対して、その兆候として表れる行動の変化については、例えば、飲水量の変化・トイレの回数の変化・運動量の減少が見られた場合に、腎不全の疑い、トイレ回数の増加がみられた場合に糖尿病の疑い、トイレの回数や時間の増加・運動量の減少が見られた場合に膀胱炎の疑い、毛づくろいの回数や時間の増加が見られた場合に皮膚炎の疑い、等がある。本システムによれば、排泄や食事、運動量、毛づくろい等の行動の回数や時間、および量のデータを取得することができるため、知りたい疾病リスクに応じて関係のある動物情報データを選択し分析することによって、リスクを評価することができる。
【0077】
図17は、本開示の実施の形態におけるサーバ1の動作フローである。
【0078】
まず、測定データ取得部は、評価対象の動物に関する測定データを取得する(S301)。測定データは、動物に装着した加速度センサや温度センサ、食事量や排泄量、体重を測定する重量センサなどから得られる各種のデータである。取得した測定データは、測定データ記憶部31に記憶される。
【0079】
動物情報生成部22は、得られた測定データに基づいて、動物情報を生成する(S302)。動物情報は、測定データがセンサから得られる生データであるのに対し、当該生データを分析することによって得られる情報であり、各行動(食事・排泄・遊び・睡眠・散歩・毛づくろいなど)の回数や時間、及び食事や排せつの重量データ、体重、等の情報である。生成された動物情報データは、動物情報記憶部32に記憶される。
【0080】
リスク評価部23は、生成された動物情報に基づいて、対象動物の健康上のリスクを評価する。評価方法は上記で述べたいずれの方法を採用してもよく、また既知の他の方法を採用してもよい。リスク評価部23は、検出された動物情報の変化が、特定の疾病リスクに該当するかを、リスク評価情報に基づいて判断する(S303)。リスク評価情報の条件を満たす変化が検出された場合は、当該疾病リスクがあると判断する(S304=Yes)。
【0081】
通知部24は、リスク評価部23が疾病リスクがあると判断した場合に、通知判断情報記憶部35に記憶される通知条件を満たすかを判断する(S304)。疾病ごとに通知条件が異なる場合は、対象の疾病について設定されている通知条件を通知判断情報記憶部35から読み出し、所定の通知条件を満たすかを判断する。通知すべきと判断された場合、出力部は、リスク情報をユーザ端末などの所定の通知先に出力することによって通知を行う(S305)。
【0082】
本開示によれば、ペットの生活における変化を検出して、ペットの健康上のリスクをユーザに知らせることができる。また、本開示によれば、ペットの行動に関する幅広い情報を取得することによって、疾病リスクに対して複数の情報に基づく確度の高い判断をすることができる。また、検出された異常をユーザに通知するための通知条件を柔軟に設定することによって、通知が多すぎることによる弊害を抑制することができる。
【0083】
(変形例1)
本変形例は、多頭飼いのユーザの場合を想定したものである。本変形例は、評価対象個体と同一環境で飼育される複数個体のデータに基づいて評価対象個体で検出された健康リスクの確からしさを判断する。
【0084】
以下、評価対象個体を第一の動物、当該動物のデータを第一の動物情報とし、評価対象個体と同一環境で飼育される他の個体を第二の動物、当該第二の動物のデータを第二の動物情報とする。測定データ取得部21及び動物情報生成部22は、第二の動物についても第一の動物と同様に処理を行い、各種の動物情報を継続して生成するものとする。
【0085】
リスク評価部23は、第一の動物情報に基づいて、評価対象個体である第一の動物の健康リスクを評価する。そして、何らかのリスクが検知された場合に、異常が検知された期間における第二の動物情報を読み出し、比較する。そして、第二の動物情報においても同様の傾向がみられるか否かを確認する。すなわち、第一の動物情報において、摂食量の著しい低下が見られた期間において、第二の動物情報においても摂食量の低下という傾向が見られた場合、第一の動物の健康悪化の兆候というよりは、飼育環境に起因する他の要因が関係している可能性が高い。例えば、餌を変えたことが2頭の食欲を低下させている、室温が高すぎるために食欲がなくなっている、食器付近の環境がいつもと異なる(音の出る物が新たに食器の近くに置かれた、など)などがあり得る。また、2頭とも活動量が増加した場合、新しいおもちゃが導入された、来客があった等、環境の変化で興奮していることが要因である可能性がある。このように、多頭飼いのデータ同士を比較し、同様の傾向があるかを確認することによって、要因は必ずしも明らかでなくても、飼育環境の変化等が要因で動物情報が異常値を示している可能性がある、つまり検出された健康リスクの確からしさが低いと判断することができる。
【0086】
リスク評価部23は、第二の動物情報との比較の結果、同様の傾向がみられた場合に、健康異常ではないと判断して通知を行わない。または、異常が検出された旨の通知をする際に、飼育環境の影響かもしれない旨の情報を付加して通知をしてもよい。
【0087】
(変形例2)
本変形例では、リスク評価部23による異常検知の方法の変形例について説明する。
【0088】
例えば、リスク評価部23は、動物情報または測定データと、特定の症状に基づくしきい値との比較に基づいて動物の異常を検知してもよい。また、リスク評価部23は、上述した過去の動物情報との比較や、群の動物情報との比較、しきい値との比較とを適宜組み合わせた結果に基づいて動物の異常を検知してもよい。例えば、個体の過去の動物情報の統計分布と、群や全体の過去の動物情報の統計分布とを用いて、リスク評価部23は、動物の状態の変化を検出してもよい。具体的には、群や全体の動物情報の統計分布(つまり一般的な分布)と個体の動物情報の統計分布との間に差異がある場合は、各統計分布に重みをつけて得られる統合された統計分布を用いて、該個体に特化したしきい値等が設定されてもよい。これにより、リスクの評価の精度が向上し得る。
【0089】
なお、動物情報として含まれる情報(パラメータ)は、例えば尿量や体重、排便量等の定量情報、水飲み、食事、歩く等の定性的な活動に関する情報(定性情報)が含まれる。しきい値を用いて動物の状態の変化を検出するにあたっては、例えば定性情報については、例えば、かかる活動の回数(頻度)や時間等の数量情報との組み合わせによってしきい値を設定することができる。すなわち、リスク評価部23は、これらの定量情報や、定性情報と数量情報の組み合わせ等に基づいて、動物の状態の変化を検出し得る。例えば、尿重が所定の割合以上に増加し、かつ、動物が歩いたり走っている時間が長くなる傾向にあることに基づいて、リスク評価部23は動物の甲状腺に何らかの異常がある可能性を検出してもよい。
【0090】
また、動物情報として取得するスパンの大きさは特に限定されない。例えば、取得される動物情報のスパンは、秒、分、時間、日、週、月等の単位で適宜決められ得る。これらのスパンは、動物情報として含まれる各パラメータに求められる確からしさ(すなわち、動物の状態の変化を検出するために必要な時間の長さ)に応じて適宜決められ得る。また、比較的短いスパンにおいては、けいれんや発咳等の異常行動そのものを、リスク評価部23が検出することも可能である。
【0091】
<第2の実施形態>
本開示の第2の実施形態に係るシステムは、ペットに装着した加速度センサや重量センサ8等の各種センサから得られる測定データをもとにペットの状態をモニタリングし、必要なソリューションを提案するものである。
図18は、本開示の第2の実施形態に係るシステムにおけるサーバ1のソフトウェア構成例を示す図である。サーバ1は、測定データ取得部21、動物情報生成部22、検出部25、ソリューション選択部26、出力部27、判定部28、測定データ記憶部31、動物情報記憶部32、ユーザ情報記憶部33、提案基準情報記憶部36、ソリューション情報記憶部37、判定情報記憶部38を備えることができる。
【0092】
なお、測定データ取得部21、動物情報生成部22、検出部25、ソリューション選択部26、出力部27、判定部28は、サーバが備える制御部10がストレージ12に記憶されているプログラムをメモリ11に読み出して実行することにより実現され、測定データ記憶部31、動物情報記憶部32、ユーザ情報記憶部33、提案基準情報記憶部36、ソリューション情報記憶部37、判定情報記憶部38は、メモリ11およびストレージ12の少なくともいずれかにより提供される記憶領域の一部として実現される。
【0093】
ここで、測定データ取得部21、動物情報生成部22、測定データ記憶部31および動物情報記憶部32のそれぞれが有する機能は、第1の実施形態に係る各機能部が有する機能と同様であるため、説明を省略する。
【0094】
ユーザ情報記憶部33は、ユーザ(飼い主)の基本情報と、ユーザが飼育する動物の基本情報を管理する。ユーザの基本情報とは、性別、年齢、職業、住所等の情報が挙げられる。ユーザが飼育する動物の基本情報は、名前、種類(犬、猫など)、品種、年齢、性別、居住地、飼育環境(屋外、屋内)、遺伝子情報、多頭飼いの有無、健康情報等を含む。健康情報としては、通院歴、病歴等が挙げられる。ひとりのユーザについて複数の動物の情報を登録することができる。また、これらのユーザの基本情報及び動物の基本情報は、例えばユーザに付与されたユーザIDに紐づけて管理される。また、動物についてIDが付与されてもよい。
【0095】
また、ユーザの基本情報として、ソリューションの優先度に関する情報を記憶することもできる。ソリューションの優先度とは、本システムにおいて提案されるソリューションの種類について、優先的に選択する順番などである。例えば、ソリューションの種類として、グッズの導入、餌の導入、薬の使用、サプリメントの使用等がある場合、薬やサプリメントの使用はできるだけ避けたい場合は、これらの優先度を低く設定する。ユーザ情報記憶部33には、各ソリューションの優先順位の情報を格納してもよいし、特に避けるべき、若しくは選択すべきソリューションの情報を格納してもよい。
【0096】
提案基準情報記憶部36は、動物情報における各指標(体重、食事・排泄の回数・量・時間、活動量、毛づくろい、遊び、睡眠など各種行動の回数・時間など)の状態やその変化について、ソリューションを提案するべき基準を設定しておくことができる。
図19は、提案基準情報記憶部36に記憶される提案基準情報の構成例である。提案基準情報は、各基準がIDに紐づけられて格納される。例えば、過去一週間における体重の平均値が、過去の所定期間における平均値と比較して10%増加した場合、「体重増加」(ID:001)を検出する。
図19に示した基準の設定はあくまで一例であり、適宜設定することができる。また、対象個体自身における変化だけではなく、他個体と比べた基準を設定してもよい。例えば、動物種(犬、猫など)、品種(猫ならアメリカンショートヘア、アビシニアン、雑種など)、年齢、性別、遺伝子情報、持病の有無、持病の種類、飼育環境(屋外、屋内)、多頭飼いの有無などの属性が1つ以上共通する個体をグルーピングして他個体データとし、当該他個体のデータと比較した統計的な数値を基準としてもよい。すなわち、ある指標の値が他個体の上位10%に該当することや、他個体の平均値からの乖離度が所定値以上である、等といった基準を設定することができる。基準は、一つの指標に基づいて設定してもよいし、複数の指標に基づいて規定してもよい。例えば、体重と活動量から動物の消費カロリーを算出し、算出した消費カロリーの増減や、摂取カロリーと消費カロリーとの差を基準とする等、複数のデータに基づいて新たな指標を求め、それを基準としてもよい。消費カロリーの算出に用いる指標の種類や、算出式は適宜選択すればよい。
【0097】
ソリューション情報記憶部37は、動物情報(体重、食事・排泄の回数・量・時間、活動量、毛づくろい、遊び、睡眠など各種行動の回数・時間など)の状態や変化を検出した場合に、どのようなソリューションを提供するかを定めて記憶する。
図20は、ソリューション情報記憶部37に格納される情報の構成例である。各動物情報の状態や変化に応じて、1つまたは複数のソリューションが対応付けられる。ソリューションは、グッズの導入、薬やサプリメントの摂取、食事内容の変更、飼育環境の変更等、動物の生活に関して何らかの変化を与えるものであれば何でもよい。ソリューションは例えば、体重増加に対しては、運動量を増やすための運動器具を導入すること、ダイエットフードを導入すること、毛づくろいの回数や時間が増加した場合には、皮膚炎が疑われるので、皮膚炎用サプリメントを使用する、エリザベスカラーを使用する、トイレ回数・時間が増加した場合には、膀胱炎の疑いがあるので、トイレ環境を改善する、摂水量を増やすために水用の器の数を増やす、などである。これらはあくまで一例であり限定されるものではない。各ソリューションにはソリューションIDが付与されてもよい。ソリューションIDは、動物情報の状態や変化とソリューションの内容との組合せで、例えば「変化ID+ソリューションID」のように付与されてもよく、例えば
図20の例では、変化ID:001に対するソリューションである「運動器具の導入」には、「001001」が付与されている。ソリューションIDの付与ルールは一例であり、これに制限されるものではない。
【0098】
各ソリューションには、タイプ別の分類情報を付加してもよい。分類情報は例えば、運動器具の導入やエリザベスカラーの使用は「グッズ」、ダイエットフードの導入は「食事」、皮膚炎用サプリメントの使用は「薬・サプリ」、等であるが、これに制限されない。分類情報は、ユーザの好みに合わせてソリューションの優先順位を決定する場合に有用である。例えば、薬・サプリの使用は敬遠したいユーザの場合、「薬・サプリ」の分類情報が付与されているソリューションの優先順位を下げること等ができる。分類情報も分類IDで付与されてもよい。
【0099】
また、各ソリューションには、効果や活用度の過去実績の情報を付加することもできる。効果や活用度の過去実績とは、過去に当該ソリューションを選択した際に、どれくらい効果があったか、また活用されたか、を示す指標であり、他の動物個体における実績でもよいし、対象の動物個体自体のみにおける実績でもよい。過去の効果や活用度の実績を付加することによって、ソリューションの優先順位を調整することができる。
【0100】
活用度と効果の過去の実績は、例えば、過去に同じソリューションを提案された動物における効果判定・活用度判定の結果を用いて算出することができる。効果・活用の有無で実績を算出する場合、「効果・活用が「有り」であった回数/過去の提案回数」を実績としてもよい。例えば、過去に提案された回数が100回で、そのうち効果があったと判定された回数が30回、活用されたと判定された回数が50回であった場合、効果実績は30%、活用度実績は50%である。また、対象の動物個体におけるデータだけを実績値に用いる場合は、当該対象個体の過去の提案ソリューションについて、「効果・活用が「有り」であった回数/過去の提案回数」を実績としてもよい。
【0101】
判定情報記憶部38は、各ソリューションについて、どれくらい活用されているか、またどれくらい効果があったかを判定するための基準となる情報を含む。
図21は、判定情報記憶部38に格納される判定情報の構成例である。各ソリューションについて、活用度判定基準及び効果判定基準のどちらか、または両方が設定される。活用度判定基準や効果判定基準は、基本的には動物情報の変化の有無又は変化量によって規定することができる。例えば、運動器具の導入というソリューションに対する活用度判定基準は、動物の活動量が一定程度増加したことで判定することができ、具体的には、「導入後の1日当たりの活動量の平均が、導入前の平均値よりも10%以上増加したこと」などとする。また、体重増加に対するソリューションに対する効果判定基準としては、体重が一定程度減少したことを基準とすることができ、具体的には、「導入後の体重が導入前の体重よりも5%以上減少したこと」などとする。判定基準は、基準となる数値(例えば元の数値との変化量(差)や、変化割合の値)で規定してもよいし、単に数値の増加・減少で規定してもよい。また、ソリューションによって活用度判定が困難、若しくは不要な場合は、活用度判定基準を設けないこともあり得る。例えば、サプリメントの使用など、測定データからはその活用の度合いが分かりにくいものや、エリザベスカラーの使用やトイレ環境改善等、飼い主であるユーザが実施すればすなわち活用されたことになるものは、活用度判定基準を設けないこともできる。
【0102】
検出部25は、動物情報から、動物の生活における変化を検出する。検出においては、あらかじめ各指標(体重、食事・排泄の回数・量・時間、活動量、毛づくろい、遊び、睡眠など各種行動の回数・時間など)について、ソリューションを提案するべき基準を提案基準情報記憶部36に設定しておく。検出部25は、得られた動物情報を、提案基準情報に当てはめて、基準を満たすものがないかを確認する。例えば、検出部25は、ある日の体重情報を取得すると、当日を含む直近一週間の平均体重を計算し、過去の所定期間における平均値と比較する。直近の平均体重が過去の平均体重よりも10%増加していた場合、検出部25は、「体重増加」(ID:001)を検出し、体重増加に対するソリューションの提案を行うよう、ソリューション選択部26に検出した情報を出力する。
【0103】
また、検出部25は、機械学習による異常検知アルゴリズムによって変化を検出することもできる。その場合は、測定対象の動物の各測定データ(動物情報)の時系列データを機械学習した学習モデルに、新たに得られたデータを読み込ませることによって、所定の運動情報についての異常値を検出することができる。
【0104】
ソリューション選択部26は、検出部25が検出した動物情報の変化をもとに、ユーザに提案するソリューションを選択する。ソリューション選択部26は、検出した変化のIDに対応付けられているソリューションをソリューション情報記憶部37から読み出す。例えば、変化のIDが001の場合は、運動器具の導入、ダイエットフードの導入、の2つのソリューションが設定されている。ソリューション選択部26は、変化IDに紐づけられたすべてのソリューションを選択してもよいし、その中からさらに所定数を選んでもよい。ソリューション選択部26は、選んだソリューションのソリューションIDを出力部27に伝える。
【0105】
ソリューション選択部26は、所定数以下のソリューションを選択することとしてもよい。その場合は、所定数より多いソリューションの中から、優先度の高いものから順に選択する。優先度は、ユーザの基本情報にあらかじめ登録されたソリューションのタイプの好みや、過去の効果判定結果、活用度判定結果に基づいて設定することができる。ユーザの好みによって決める場合は、ソリューション選択部26は、ユーザ情報記憶部33からユーザIDに紐づけられている好み情報を読み出し、好みとされているソリューションタイプと一致するタイプのソリューションを選択する。また、過去の効果判定結果、活用度判定結果に基づいて選択する場合は、ソリューション選択部26は、各ソリューションについて記録された過去の効果判定結果又は活用度判定結果が良好なものを優先して選択する。
【0106】
出力部27は、選択されたソリューションIDに基づいて、ソリューションの内容をユーザ端末3に出力する。
図22は、ユーザ端末3の画面表示例である。出力する内容は、検出した変化の情報、ソリューションの概要、過去の効果判定結果、活用度判定結果、ECサイトへのリンク等(グッズや食品の購入に関連するソリューションの場合)が含まれる。また、出力部27は、他のソリューションの提案を要求する入力ボタンを設置してもよい。他のソリューションの要求が入力された場合には、ソリューション選択部26は異なるソリューションを選択し、出力部27が表示する。例えば、ソリューション選択部26は、先に提案されたソリューションの次に優先度の高いソリューションを選択する。
【0107】
判定部28は、ソリューションを提案した後に、そのソリューションを実行したか(活用度)、及び、それにより効果があったかを判定する。判定に当たっては、提案したソリューションを実行開始したことをユーザから入力を受けることとしてもよい。または、ECサイトで提案したグッズや食品、薬などをユーザが購入したこと、ペットの飼育環境を撮影した画像中に提案したグッズ等が認識されたことをもって実行開始を判断してもよい。
【0108】
判定部28は、ソリューションの提案後、若しくは実行開始後に測定データ取得部21が取得したデータを分析し、判定情報記憶部38に設定されている活用度判定基準又は効果判定基準に照らして判定を行う。活用度判定基準を満たしていた場合は、動物がソリューションを十分に活用していたと判断し、効果判定基準を満たしていた場合は、ソリューションの効果があったと判断する。判定は、活用の有無、効果の有無だけではなく、活用の度合いや効果の度合いを数値で判定してもよい。判定結果は、ソリューション情報記憶部37やユーザ情報記憶部33等のデータベースに記憶されるとともに、出力部27がユーザ端末3に出力する。
【0109】
活用度判定又は効果判定の結果が良くなかった場合、ソリューション選択部26は、別のソリューションを選択して、再度ユーザに提案することとしてもよい。その場合は、提案済みのソリューションを選択肢の中から除外して、次に優先度の高い他のソリューションを選択する。
【0110】
図23は、本開示の実施の形態におけるサーバ1の動作フローである。
【0111】
まず、測定データ取得部21は、日常的に各種測定データを取得する(S401)。動物情報生成部22は、測定データに基づいて、体重、食事・排泄の回数・量・時間、活動量、毛づくろい、遊び、睡眠など各種行動の回数・時間などの運動情報を生成する(S402)。
【0112】
検出部25は、運動情報データに基づいて、ソリューションを提案すべき変化が起きていないかを確認する(S403)。具体的には、提案基準情報記憶部36に登録される基準を満たす変化を、その変化IDとともに検出する。変化が検出された場合(S403=Yes)、検出された変化IDをソリューション選択部26に伝える。
【0113】
ソリューション選択部26は、ソリューション情報記憶部37において設定されたソリューションの中から、検出された変化に対するものを読み出す(S404)。また、提案するソリューションの数が決まっている場合は、優先度に基づいて所定数のソリューションを選択する。優先度は、ユーザのソリューションの分類に関する好みに合致することや、過去の活用度・効果の実績が良好であることに基づいて設定されることができる。ソリューション選択部26は、選択したソリューションIDを出力部27に伝え、出力部27は、選択されたソリューションに関連する情報をユーザ端末3に出力する(S405)。
【0114】
ソリューションの提案後、測定データ取得部21による測定データの取得、及び動物情報の生成が再度行われる(S406、S407)。なお、測定データ取得部21及び動物情報生成部22は、ソリューションの提案の有無にかかわらず継続的にデータ取得及び分析を行っていることが好ましい。
【0115】
判定部28は、ソリューションの提案後に取得されたデータに基づいて、効果判定及び活用度判定を行う(S408)。判定部28は実施したソリューションにかかる効果判定及び活用度判定の基準を判定情報記憶部38から読み出し、当該基準に沿って判定を行う。また、ユーザから当該ソリューションを実行開始したことの通知を受け取った時点以降を、ソリューションの効果・活用度の判定期間とすることもできる。
【0116】
判定の結果は、ソリューション情報記憶部37やユーザ情報記憶部33等の記憶部に記録する(S409)。各ソリューションについて、効果や活用の有無のデータが蓄積していくため、ソリューション選択時の優先順位に活用することができる。判定の結果、所定の効果がなかった場合、または活用されなかった場合(S408=No)、ソリューション選択部26は、前回選択したものとは別のソリューションを提案することができる(S404)。
【0117】
本開示によれば、ペットの生活における変化を検出して、適切なソリューションを飼い主であるユーザに提案することができ、提案したソリューションの効果をデータの変化に基づいて検証することができる。また、飼い主が不在にしていることが多い場合、ペットに与えたソリューションを、どれくらいペットが活用しているかを把握することは難しいが、活用度についてもデータを分析することによって判定できる。
【0118】
また、過去の活用度や効果の実績に基づいて次のソリューションを選択することによって、対象個体の好みや性質に適したソリューション提案が可能となる。
【0119】
なお、第1の実施形態の変形例2において説明した動物情報の比較の変形例や、動物情報の種類に基づく検出、および比較対象とする動物情報のスパン等の取り方については、本実施形態に係る検出部25においてもその機能を発揮することが可能である。
【0120】
上述した実施の形態は、本開示の理解を容易にするための例示に過ぎず、本開示を限定して解釈するためのものではない。本開示は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができると共に、本開示にはその均等物が含まれることは言うまでもない。
【0121】
また、上記の各実施形態に記載された技術は互いに組み合わせることが可能である。例えば、リスク評価部23により検出されたペットの状態の変化点の情報に基づいて、ソリューション選択部26がかかる変化点の情報に適したソリューションを選択することとしてもよい。また、ソリューション選択部26により選択されたソリューションの活用度や効果の情報や履歴等の情報に基づいて、リスク評価部23が健康リスクについて評価するものであってもよい。その他、リスク評価部23、通知部24、検出部25、ソリューション選択部26、出力部27および判定部28が、他の実施形態に係る機能部により得られる情報に基づく処理を行ってもよい。
【符号の説明】
【0122】
1 サーバ
2 通信端末
3 ユーザ端末
5 ペットセンサ
8 重量センサ
21 測定データ取得部
22 動物情報生成部
23 リスク評価部
24 通知部
25 検出部
26 ソリューション選択部
27 出力部
28 判定部
31 測定データ記憶部
32 動物情報記憶部
33 ユーザ情報記憶部
34 リスク情報記憶部
35 通知判断情報記憶部
36 提案基準情報記憶部
37 ソリューション情報記憶部
38 判定情報記憶部