(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】茶を基材とする複合板材の製造方法及び使用
(51)【国際特許分類】
B27N 3/02 20060101AFI20241127BHJP
【FI】
B27N3/02 A
(21)【出願番号】P 2023071170
(22)【出願日】2023-04-24
【審査請求日】2023-04-24
(31)【優先権主張番号】202210823395.X
(32)【優先日】2022-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523155733
【氏名又は名称】▲シン▼物科技(深▲セン▼)有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZENCE OBJECT TECHNOLOGY (SHENZHEN) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】202, Gaoping Building, No. 64-80, East Qiao Street, Longgang Xu Community, Longgang Street, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518000, China
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】陳 鵬基
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-175325(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109648680(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第113481742(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27N 1/00 - 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量部組成に基づいて原料を配合し、原料の組成は、廃棄された茶滓60-70部、茶柱20-50部、穀稈粉12-30部、茶ペクチン繊維素10-30部、コーヒーかす30-40部、相容化剤2-5部、潤滑剤0.2-1.5部、着色剤2-3部、酸化防止剤0.1-3部、安定剤0.1-3部であるステップ1と、
茶柱を60~80℃のお湯に浸した後に洗浄して乾かしかつ10-20メッシュまで粉砕して茶粉を得るステップ2と、
廃棄された茶滓、茶粉、穀稈粉、茶ペクチン繊維素、コーヒーかす、相容化剤、潤滑剤を120~150℃で20~30min混合するステップ3と、
50~60℃まで冷却し、さらに着色剤、酸化防止剤、安定剤を入れて均一に混合し、50~118℃で液圧成型し、茶を基材とする複合板材を得るステップ4と、を含む
ことを特徴とする茶を基材とする複合板材の製造方法。
【請求項2】
前記原料組成を、廃棄された茶滓40-50部、茶柱20-50部、穀稈粉12-30部、茶ペクチン繊維素10-30部、コーヒーかす30-40部、相容化剤2-5部、潤滑剤0.2-1.5部、着色剤2-3部、酸化防止剤0.1-3部、安定剤0.1-3部、強化樹脂ガラス繊維粉15~30部のように入れ替える、
ことを特徴とする請求項1に記載の茶を基材とする複合板材の製造方法。
【請求項3】
原料に強化樹脂ガラス繊維粉を含む場合、前記ステップ3は、廃棄された茶滓、茶粉、穀稈粉、茶ペクチン繊維素、コーヒーかす、強化樹脂ガラス繊維粉、相容化剤、潤滑剤を120~150℃で20~30min混合する、
ことを特徴とする請求項2に記載の茶を基材とする複合板材の製造方法。
【請求項4】
前記原料組成を、廃棄された茶滓30-40部、茶柱20-50部、穀稈粉12-30部、茶ペクチン繊維素10-30部、コーヒーかす30-40部、相容化剤2-5部、潤滑剤0.2-1.5部、着色剤2-3部、酸化防止剤0.1-3部、安定剤0.1-3部、工業用木粉30-40部のように入れ替える、
ことを特徴とする請求項1に記載の茶を基材とする複合板材の製造方法。
【請求項5】
前記原料組成を、廃棄された茶滓30-40部、茶柱20-50部、穀稈粉12-30部、茶ペクチン繊維素10-30部、コーヒーかす30-40部、相容化剤2-5部、潤滑剤0.2-1.5部、着色剤2-3部、酸化防止剤0.1-3部、安定剤0.1-3部、工業用木粉20-30部、強化樹脂ガラス繊維粉15~20部のように入れ替える、
ことを特徴とする請求項1に記載の茶を基材とする複合板材の製造方法。
【請求項6】
原料に強化樹脂ガラス繊維粉を含む場合、前記ステップ3は、廃棄された茶滓、茶粉、穀稈粉、茶ペクチン繊維素、コーヒーかす、強化樹脂ガラス繊維粉、工業用木粉、相容化剤、潤滑剤を120~150℃で20~30min混合する、
ことを特徴とする請求項
5に記載の茶を基材とする複合板材の製造方法。
【請求項7】
前記茶ペクチン繊維素の製造方法は、茶柱、茶葉、茶滓のうちの少なくとも1種を乾燥滅菌した後に粉砕して粉に研磨し、60~80℃で蒸解して圧搾し、続いて水に浸して茶ペクチン繊維素を得て、濾過してかつ乾燥すると、完成する、
ことを特徴とする請求項1~
6のいずれか
1項に記載の茶を基材とする複合板材の製造方法。
【請求項8】
請求項1~
6のいずれか
1項に記載する製造方法で得た茶を基材とする複合板材
のエコ家具における使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築板材技術分野に関し、具体的には茶を基材とする複合板材の製造方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
中国は茶葉の生産大国であって、茶葉の総生産量、栽培面積及び総生産額のいずれも世界で一位を占める。新型の茶系飲料産業の迅速な成長に伴い、毎年発生する茶葉廃棄物は数千万トンに達する。統計によると、毎年茶葉の生産加工過程において、茶柱の廃棄物は茶葉の総比重の20%以上を占める。茶滓は生産廃棄物として、積み重ねられて腐乱し又は燃却され、浪費をもたらすだけでなく、環境汚染及び温室効果ガス排出をもたらし、かつ現在茶滓を主に肥料及び飼料にして再利用することが殆どで、茶系飲料の販売量は日増しに多くになり、それに伴って茶滓の数量も増加している。また、国民のコーヒーに対する需要が徐々に増加するに従い、コーヒーかすの発生量も軽視できなくなり、そのため廃棄する茶柱、茶葉の不良品、コーヒーかすなどの農業廃棄物、食材廃棄物を開発して再利用することは速やかな解決が望まれる問題になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の技術に存在する問題に対し、本発明は、茶を基材とする複合板材の製造方法及び使用を提供し、該茶を基材とする複合原料は茶葉繊維、茶滓、コーヒーかすなどの農業廃棄物、食材廃棄物を複合し、生分解が可能で、機械強度が高く、吸着性が優れているなどの利点を有する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の技術的解決手段は以下の通りである:
第一態様であって、本発明は茶を基材とする複合板材の製造方法を提供し、
【0005】
重量部組成に基づいて原料を配合し、原料の組成は、廃棄された茶滓60-70部、茶柱20-50部、穀稈粉12-30部、茶ペクチン繊維素10-30部、コーヒーかす30-40部、相容化剤2-5部、潤滑剤0.2-1.5部、着色剤2-3部、酸化防止剤0.1-3部、安定剤0.1-3部であるステップ1と、
茶柱を60~80℃のお湯に浸した後に洗浄して乾かしかつ10-20メッシュまで粉砕して茶粉を得るステップ2と、
廃棄された茶滓、茶粉、穀稈粉、茶ペクチン繊維素、コーヒーかす、相容化剤、潤滑剤を120~150℃で20~30min混合するステップ3と、
【0006】
50~60℃まで冷却し、さらに着色剤、酸化防止剤、安定剤を入れて均一に混合し、50~118℃で液圧成型し、茶を基材とする複合板材を得るステップ4と、を含む。
【0007】
さらに、前記原料組成を、廃棄された茶滓40-50部、茶柱20-50部、穀稈粉12-30部、茶ペクチン繊維素10-30部、コーヒーかす30-40部、相容化剤2-5部、潤滑剤0.2-1.5部、着色剤2-3部、酸化防止剤0.1-3部、安定剤0.1-3部、強化樹脂ガラス繊維粉15~30部のように入れ替える。
【0008】
さらに、原料に強化樹脂ガラス繊維粉を含む場合、前記ステップ3は、廃棄された茶滓、茶粉、穀稈粉、茶ペクチン繊維素、コーヒーかす、強化樹脂ガラス繊維粉、相容化剤、潤滑剤を120~150℃で20~30min混合する。
【0009】
さらに、前記原料組成を、廃棄された茶滓30-40部、茶柱20-50部、穀稈粉12-30部、茶ペクチン繊維素10-30部、コーヒーかす30-40部、相容化剤2-5部、潤滑剤0.2-1.5部、着色剤2-3部、酸化防止剤0.1-3部、安定剤0.1-3部、工業用木粉30~40部のように入れ替える。
【0010】
さらに、原料に強化樹脂ガラス繊維粉を含む場合、前記ステップ3は、廃棄された茶滓、茶粉、穀稈粉、茶ペクチン繊維素、コーヒーかす、工業用木粉、相容化剤、潤滑剤を120~150℃で20~30min混合する。
【0011】
さらに、前記原料組成を廃棄された茶滓30-40部、茶柱20-50部、穀稈粉12-30部、茶ペクチン繊維素10-30部、コーヒーかす30-40部、相容化剤2-5部、潤滑剤0.2-1.5部、着色剤2-3部、酸化防止剤0.1-3部、安定剤0.1-3部、工業用木粉20-30部、強化樹脂ガラス繊維粉15~20部のように入れ替える。
【0012】
さらに、原料に強化樹脂ガラス繊維粉を含む場合、前記ステップ3は、廃棄された茶滓、茶粉、穀稈粉、茶ペクチン繊維素、コーヒーかす、強化樹脂ガラス繊維粉、工業用木粉、相容化剤、潤滑剤を120~150℃で20~30min混合する。
【0013】
さらに、前記茶ペクチン繊維素の製造方法は、茶柱、茶葉、茶滓のうちの少なくとも1種を乾燥滅菌した後に粉砕して粉に研磨し、60~80℃で蒸解して圧搾し、続いて水に浸して茶ペクチン繊維素を得て、濾過してかつ乾燥すると、完成することである。
さらに、前記コーヒーかすの含水量は、10%以下である。
任意選択的に、前記液圧成型を加熱プレス成形に置き換える。
第二態様であって、本発明は茶を基材とする複合板材を提供し、上記方法を用いて製造する。
さらに、前記茶を基材とする複合板材の耐圧強度は400Mpa以上であり、静菌時間は8h以上であり、耐折回数は1900回以上である。
第三態様であって、本発明は上記茶を基材とする複合板材のエコ家具用品における使用を提供する。
前記エコ家具用品は、室内家具、台所と浴室板材製品、ドア、床板などを含む。
【発明の効果】
【0014】
従来技術に比べて、本発明の利点は以下の通りである:
本発明の茶を基材とする複合板材の製造方法は中国の現在の茶業界における浪費が多く、廃棄物が多いという問題を解決し、同時に食材廃棄物の中のコーヒー粉を十分に利用し、製造工程が簡単で、反応条件が穏和で、得た材料は分解可能で、静菌性、吸湿性があり、強度が高く、コストが低いという利点を有し、完全に生分解を実現でき、茶葉繊維吸着性、香り徐放特性を有し、現在市販されている高級木材に代替でき、板材は多辺で形状が任意で、様々な延伸建築材料に応じて使用し、使用形式が多様で広範である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の説明において、説明すべきは、実施例に具体的な条件が明記されていない場合、通常の条件又はメーカが提案した条件に従って行うことである。使用される試薬又は機器は、メーカを明記されていない場合、市販により購入及び取得できる通常製品である。
【0016】
以下においては発明を実施するための形態を踏まえ本発明についてさらに詳しく説明し、それによって当業者が発明のアイデア、技術的解決手段に対してさらに完璧で、正確で踏み込んだ理解をすることを助け、本発明の保護範囲は以下の実施例を含むがそれらに限定されず、本願の精神と範囲から逸脱しない前提の下でいかなる本発明の技術的解決手段の詳細と形式に対して行った修正も本発明の保護範囲に収まる。
【0017】
本実施例において、茶ペクチン繊維素の製造方法は以下の通りである:茶柱、茶葉、茶滓のうちの少なくとも1種を乾燥滅菌した後に粉砕して粉に研磨し、70℃で蒸解して圧搾し、続いて水に浸して茶ペクチン繊維素を得て、濾過してかつ乾燥すると、完成する。
実施例1
本実施例は茶を基材とする複合板材の製造方法を提供し、具体的には、
【0018】
重量部組成に基づいて原料を配合し、原料の組成は、廃棄された茶滓60部、茶柱35部、穀稈粉20部、茶ペクチン繊維素20部、コーヒーかす40部、相容化剤3部、潤滑剤1.5部、着色剤2部、酸化防止剤1部、安定剤1部であり、コーヒーかすの含水量は10%以下であるステップ1と、
茶柱を70℃のお湯に浸した後に洗浄して乾かしかつ10-20メッシュまで粉砕して茶粉を得るステップ2と、
廃棄された茶滓、茶粉、穀稈粉、茶ペクチン繊維素、コーヒーかす、相容化剤、潤滑剤を140℃で20min混合するステップ3と、
55℃まで冷却し、着色剤、酸化防止剤、安定剤をさらに入れて均一に混合し、80℃で液圧成型し、茶を基材とする複合板材を得るステップ4と、を含む。
【0019】
本実施例1における茶を基材とする複合板材を検出し、耐圧強度は418Mpaであり、静菌時間は10時間以上に達し、耐折回数は1985回に達し、吸湿能力が強い。
実施例2
本実施例は茶を基材とする複合板材の製造方法を提供し、具体的には、
【0020】
重量部組成に基づいて原料を配合し、原料の組成は、廃棄された茶滓40部、茶柱35部、穀稈粉20部、茶ペクチン繊維素20部、コーヒーかす30部、相容化剤3部、潤滑剤1部、着色剤3部、酸化防止剤3部、安定剤1部、強化樹脂ガラス繊維粉20部であり、コーヒーかすの含水量は10%以下であるステップ1と、
茶柱を80℃のお湯に浸した後に洗浄して乾かしかつ10-20メッシュまで粉砕して茶粉を得るステップ2と、
廃棄された茶滓、茶粉、穀稈粉、茶ペクチン繊維素、コーヒーかす、強化樹脂ガラス繊維粉、相容化剤、潤滑剤を140℃で25min混合するステップ3と、
50℃まで冷却し、着色剤、酸化防止剤、安定剤をさらに入れて均一に混合し、80℃で液圧成型し、茶を基材とする複合板材を得るステップ4と、を含む。
【0021】
本実施例1における茶を基材とする複合板材を検出し、耐圧強度は429Mpaであり、静菌時間は8.5時間に達し、耐折回数は1922回に達し、吸湿能力が強い。
実施例3
本実施例は茶を基材とする複合板材の製造方法を提供し、具体的には、
【0022】
重量部組成に基づいて原料を調合し、原料の組成は、廃棄された茶滓30部、茶柱50部、穀稈粉15部、茶ペクチン繊維素30部、コーヒーかす30部、相容化剤4部、潤滑剤1部、着色剤1部、酸化防止剤2部、安定剤2部、工業用木粉35部であり、コーヒーかすの含水量は10%以下であるステップ1と、
茶柱を70℃のお湯に浸した後に洗浄して乾かしかつ10-20メッシュまで粉砕して茶粉を得るステップ2と、
廃棄された茶滓、茶粉、穀稈粉、茶ペクチン繊維素、コーヒーかす、工業用木粉、相容化剤、潤滑剤を120℃で30min混合するステップ3と、
55℃まで冷却し、着色剤、酸化防止剤、安定剤をさらに入れて均一に混合し、80℃で液圧成型し、茶を基材とする複合板材を得るステップ4と、を含む。
【0023】
本実施例1における茶を基材とする複合板材を検出し、耐圧強度は408Mpaであり、静菌時間は10時間以上に達し、耐折回数は1943回に達し、吸湿能力が強い。
実施例4
本実施例は茶を基材とする複合板材の製造方法を提供し、具体的には、
【0024】
重量部組成に基づいて原料を配合し、原料の組成は、廃棄された茶滓30部、茶柱40部、穀稈粉30部、茶ペクチン繊維素10部、コーヒーかす40部、相容化剤5部、潤滑剤0.5部、着色剤3部、酸化防止剤3部、安定剤0.5部、工業用木粉20部、強化樹脂ガラス繊維粉20部であり、コーヒーかすの含水量は10%以下であるステップ1と、
茶柱を70℃のお湯に浸した後に洗浄して乾かしかつ10-20メッシュまで粉砕して茶粉を得るステップ2と、
【0025】
廃棄された茶滓、茶粉、穀稈粉、茶ペクチン繊維素、コーヒーかす、強化樹脂ガラス繊維粉、工業用木粉、相容化剤、潤滑剤を140℃で20min混合するステップ3と、
55℃まで冷却し、着色剤、酸化防止剤、安定剤をさらに入れて均一に混合し、80℃で液圧成型し、茶を基材とする複合板材を得るステップ4と、を含む。
【0026】
本実施例1における茶を基材とする複合板材を検出し、耐圧強度は421Mpaであり、静菌時間は10時間以上に達し、耐折回数は1962回に達し、吸湿能力が強い。
本発明により製造される茶を基材とする複合板材は、現在市販されている高級木材に代替して使用でき、いかなる家具製品にも用いることができる。
【0027】
以上に記載の実施例は本発明のいくつかの実施形態を表現するだけであり、その説明は具体的かつ詳細であるが、それによって本発明の特許範囲に対する制限として理解されるべきではない。指摘すべきことは、本分野の当業者にとって、本発明のアイデアを逸脱しないことを前提に、また若干の変形及び改善を行うことができ、これは全て本発明の保護範囲に属する。従って、本発明特許の保護範囲は添付の請求項に準ずるものとする。