(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】ルアー
(51)【国際特許分類】
A01K 85/10 20060101AFI20241127BHJP
A01K 85/12 20060101ALI20241127BHJP
A01K 85/16 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
A01K85/10
A01K85/12
A01K85/16
(21)【出願番号】P 2023117596
(22)【出願日】2023-07-19
【審査請求日】2023-07-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523274218
【氏名又は名称】豊岡 裕一
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】豊岡 裕一
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第4881341(US,A)
【文献】米国特許第6243982(US,B1)
【文献】特許第7189608(JP,B2)
【文献】米国特許第4382345(US,A)
【文献】登録実用新案第3169104(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 85/00 - 85/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の板材であって、内側方向への凹状の折り曲げ部を有さずに楕円形又は長円形に形成された筒形状の環状部を有するボディと、
前記環状部の長手方向に沿って前記ボディの前記板材を前記長手方向の一端側と他端側で貫通して配置されたシャフトと、
を備え、
前記ボディは、前記環状部の外周面から突出した突出部を有さず、
前記ボディは、前記シャフトの軸を中心にして回転可能であり、
前記環状部は、前記一端側と前記他端側に前記シャフトに対するねじれが形成されず、
前記環状部の短手方向の長さに対する長手方向の長さの割合は1.4を超えるルアー。
【請求項2】
帯状の板材であって、内側方向への凹状の折り曲げ部を有さずに楕円形又は長円形に形成された筒形状の環状部を有するボディと、
前記環状部の長手方向に沿って前記ボディの前記板材を前記長手方向の一端側と他端側で貫通して配置されたシャフトと、
を備え、
前記ボディは、帯状の板材であって、前記環状部の前記他端側において前記環状部の外周面から互いに異なる方向へ突出した二つの突出部を更に有し、
前記ボディは、前記シャフトの軸を中心にして回転可能であり、
前記環状部は、前記一端側と前記他端側に前記シャフトに対するねじれが形成されず、
前記突出部は、前記環状部に対してねじられずに設けられており、
前記環状部の短手方向の長さに対する長手方向の長さの割合は1.4を超えるルアー。
【請求項3】
板材であって、楕円形又は長円形に形成された環状部を有するボディと、
前記環状部の長手方向に沿って前記ボディの前記板材を少なくとも2か所で貫通して配置されたシャフトと、
一端が前記シャフトに接続された線状部材であるリングシャフトと、前記リングシャフトの他端に接続された環状部材であるリングと、を有し、前記リングの内部に針が挿通可能に設置される針動作抑制具と、
を備え、
前記ボディは、前記シャフトの軸を中心にして回転可能であり、
前記環状部の短手方向の長さに対する長手方向の長さの割合は1.4を超えるルアー。
【請求項4】
前記シャフトの軸方向は、前記環状部の前記長手方向の中心軸に対して平行又は斜め方向に設けられている請求項1から
3のいずれか1項に記載のルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルアーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ルアーには、種々の形状や構造があり、それぞれのタイプで魚を誘引する工夫がされている。例えば、ルアーが針金状のワイヤを備え、ワイヤ周りに板材が回転可能に設けられることによって、水中で板材が回転するタイプのものがある。板材が回転することで、水中や水面近くでのルアーに動きを持たせることができ、魚が誘引されやすくなることがある。
【0003】
下記の特許文献1には、長方形を基本形とする細長いプレートの両端付近にそれぞれ穴をあけて、プレートをたわめて二つの穴にシャフトを通した形態のルアーが開示されている。また、下記の特許文献2及び3には、円環状部材に設けられた二つの穴にシャフトを挿通させて、円環状部材をシャフト周りに回転させるルアーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3169104号公報
【文献】米国特許第4881341号明細書
【文献】米国特許第7716870号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ルアーが釣り糸から張力を受けないで沈むときや張力を受けながら進むとき、ボディが回転したり、揺れ動いたりすることで、より効果的に魚がルアーに引き寄せられることが知られている。発明者は、糸によってルアーが引かれるとき、ルアーの構成の違いによって、ルアーが直線的な動きになる場合と蛇行しながら泳ぐ動きをする場合とがあるという知見を得た。また、ルアーのボディの近傍に針が取り付けられているとき、ボディに対して針が絡むという問題がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、糸によってルアーが引かれるとき、蛇行しながら泳ぐ動きをさせることが可能なルアーを提供することを目的とする。また、針の適切な可動範囲を実現しつつ、針の動作範囲を抑制することが可能なルアーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のルアーは以下の手段を採用する。
すなわち、本発明に係るルアーは、板材であって、楕円形又は長円形に形成された環状部を有するボディを備え、前記ボディは、前記環状部の長手方向に沿った軸を中心にして回転可能であり、前記環状部の短手方向の長さに対する長手方向の長さの割合は1.4を超える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、糸によってルアーが引かれるとき、ルアーに蛇行しながら泳ぐ動きをさせることができる。また、別の本発明によれば、針の適切な可動範囲を実現しつつ、針の動作範囲を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るルアーを示す斜視図である。
【
図2】同実施形態に係るルアーの製作方法を示す説明図である。
【
図3】ルアーが沈下するときの動きを示す説明図である。
【
図4】ルアーが曳行されるときの動きを示す説明図である。
【
図5】釣り手の操作によってルアーが浮き沈みする状態を示す説明図である。
【
図6】ルアーが沈下するときのルアーの回転及び軌道を示す説明図であり、引張力が作用しない状態で沈下するときを示す。
【
図7】ルアーが沈下するときのルアーの回転及び移動する状態を示す説明図であり、引張力が作用した状態で沈下するときを示す。
【
図8】本発明の第1実施形態に係るルアーの変形例を示す斜視図である。
【
図9】本発明の第1実施形態に係るルアーの変形例を示す斜視図であり、
図9(B)~(D)は重りの周辺部分のみを示している。
【
図10】ルアーが水中で曳行されて泳ぐときの動きを示す説明図である。
【
図11】本発明の第1実施形態に係るルアーの変形例を示す斜視図である。
【
図12】本発明の第2実施形態に係るルアーを示す斜視図である。
【
図13】同実施形態に係るルアーを示す斜視図である。
【
図14】同実施形態に係るルアーを示す斜視図である。
【
図15】同実施形態に係るルアーを示す斜視図である。
【
図16】本発明の第3実施形態に係るルアーを示す斜視図である。
【
図17】本発明の第4実施形態に係るルアーを示す斜視図である。
【
図18】同実施形態に係るルアーの製作方法の一例を示す説明図である。
【
図19】同実施形態に係るルアーの製作方法の他の例を示す説明図である。
【
図20】同実施形態に係るルアーの第1実施例を示す斜視図である。
【
図21】同実施形態に係るルアーの第1実施例の変形例を示す斜視図である。
【
図22】同実施形態に係るルアーの第1実施例の変形例を示す斜視図である。
【
図23】同実施形態に係るルアーの第2実施例を示す正面図である。
【
図26】同実施形態に係るルアーの第3実施例を示す斜視図である。
【
図27】同実施形態に係るルアーの第4実施例を示す斜視図である。
【
図28】同実施形態に係るルアーの第4実施例の変形例を示す斜視図である。
【
図29】本発明の第1実施形態に係るルアーを示す斜視図であり、針動作抑制具を備える例を示す。
【
図30】針動作抑制具の製作方法の一例を示す説明図である。
【
図31】針動作抑制具の製作方法の他の例を示す説明図である。
【
図32】針動作抑制具の変形例を示す斜視図である。
【
図33】本発明の第1実施形態に係るルアーの変形例を示す斜視図であり、針動作抑制具を備える例を示す。
【
図34】本発明の第1実施形態に係るルアーの変形例を示す斜視図であり、針動作抑制具を備える例を示す。
【
図35】ルアーを示す斜視図であり、本発明の一実施形態に係る針動作抑制具を備える例を示す。
【
図36】ルアーを示す斜視図であり、本発明の一実施形態に係る部品動作抑制具を備える例を示す。
【
図37】本発明の第2実施形態に係るルアーを示す斜視図であり、本発明の一実施形態に係る部品動作抑制具を備える例を示す。
【
図38】ルアーを示す斜視図であり、本発明の一実施形態に係る部品動作抑制具を備える例を示す。
【
図39A】真鍮製のボディが引かれる時の回転に関して、ボディの環状部の高さに対する長さの割合とボディの環状部の幅の関係を示すグラフである。
【
図39B】真鍮製のボディが沈下する時の回転に関して、ボディの環状部の高さに対する長さの割合とボディの環状部の幅の関係を示すグラフである。
【
図39C】アルミニウム製のボディが引かれる時の回転に関して、ボディの環状部の高さに対する長さの割合とボディの環状部の幅の関係を示すグラフである。
【
図39D】アルミニウム製のボディが沈下する時の回転に関して、ボディの環状部の高さに対する長さの割合とボディの環状部の幅の関係を示すグラフである。
【
図40】比較例(米国特許明細書のFIG.1に記載されたルアー)が沈下する時の状態を示す説明図である。
【
図41】同比較例が引かれる時の状態を示す説明図である。
【
図42】比較例(米国特許明細書のFIG.3に記載されたルアー)が沈下する時の状態を示す説明図である。
【
図43】同比較例が引かれる時の状態を示す説明図である。
【
図44】比較例(米国特許明細書のFIG.4に記載されたルアー)が沈下する時の状態を示す説明図である。
【
図45】同比較例が引かれる時の状態を示す説明図である。
【
図46】それぞれボディを示す正面図であり、ボディの前部のみ又は前部及び後部にねじれが形成されている場合(
図46(A)から(C))、ボディの前部及び後部にねじれが形成されていない場合(
図46(D)及び(E))、ボディの後部にねじれが形成されている場合を示す(
図46(F))。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
以下に、本発明の第1実施形態に係るルアー10について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係るルアー10は、
図1に示すように、ボディ1と、シャフト2などを備える。本実施形態に係るルアー10は、水中で、ボディ1がシャフト2の軸周りに回転したり、ボディ1が揺れ動いたりする。その結果、ルアー10で音が発生し、光が反射(フラッシング)する。また、ルアー10は、水中で不規則な軌道(例えば蛇行など)で泳ぐ。さらに、ルアー10は、重力が優位に作用するとき、ボディ1がほぼ水平状態を保ちつつ、シャフト2の軸周りに回転しながら水中で下方に沈下する。ボディ1が水平状態を保っているとき、シャフト2の軸方向が水平となっている。
【0011】
<ルアーの構成>
ボディ1は、例えば、帯状の板材によって形成され、環状部3と、尾部4を有する。ボディ1は、全体に魚を模した形状を有しており、環状部3が魚の胴体、尾部4が魚の尾ひれに相当する。板材は、例えば金属(ブラス(真鍮)、アルミニウム、ステンレス、鉄など)、又は、プラスチック等である。ボディ1の素材を変更することによって、重量(ウエイト)や、ボディ1の回転速度、ルアー10の沈下速度が調整される。軽い素材の場合、重い素材と比べて、回転速度や沈下速度が遅くなる。
【0012】
環状部3は、楕円形又は長円形であり、帯状の板材によってほぼ筒形状を有する。尾部4は、環状部3の一端側において、外側方向に突出して形成される。尾部4は、例えば環状部3の一端側において外周面から互いに異なる2方向に分岐して突出した形状を有する。尾部4は、本発明に係る突出部の一例である。ボディ1の環状部3及び尾部4は、例えば板材が曲げられて、又は、金型によって成形されて形成される。
【0013】
ボディ1の形状は、より魚の形に近いものでもよい。例えば、ボディ1の前方の幅を先細りにしたり、環状部3と尾部4が連結する板材の交差部分において板材の幅を狭くしたりしてもよい。また、尾部4の後端の端面が直線状ではなく、V字形状に内側に切り欠かれてもよい。
【0014】
ボディ1には、前部と後部に貫通孔5が形成されており、それぞれの貫通孔5にシャフト2が挿通される。シャフト2は、ボディ1の前部では板材1枚分の部分を貫通し、ボディ1の後部では板材2枚が交差する部分で貫通する。シャフト2は、環状部3の長手方向に沿って配置され、ボディ1の前方の外部及び後方の外部まで延びて配置される。シャフト2は、例えばステンレス線などである。
【0015】
ボディ1とシャフト2は、接着剤等によって互いに固定されておらず、ボディ1がシャフト2の軸を中心にして回転可能に設けられる。
【0016】
シャフト2の前部にはアイ6が形成される。アイ6にはスイベル7が接続される。アイ6は、例えばシャフト2の端部が円形に曲げられて形成される。糸80はスイベル7に結ばれる。スイベル7がシャフト2のアイ6に接続されることによって、ルアー10に接続される糸80の糸よれが軽減される。なお、ここでは、アイ6が前部に形成されてスイベル7が接続されるシャフト2について説明したが、シャフト2及びスイベル7の代わりに、ストレートスイベルとも呼ばれるスイベルの一端にシャフトが一体的に接続されているものを使用してもよい。これにより、上述した短いスイベル7をシャフト2のアイ6に接続する場合と比べて、ルアー10のシルエットがすっきりとする。
【0017】
ボディ1の前方において、アイ6とボディ1との間には1個又は複数個のビーズ8が設置される。また、ボディ1の後方において、カップワッシャー11とボディ1との間にビーズ9が設置される。ビーズ8,9のそれぞれの貫通孔にシャフト2が挿通される。ビーズ8,9の数や大きさが調整されることによって、ルアー10の前後の重さがほぼ等しくなり、重心がルアー10の中心付近となるように調節され設定される。これにより、シャフト2の軸方向が水平となって釣り合う。ビーズ8,9がボディ1の前後に設置されることによって、ボディ1のシャフト2の軸周りの回転が滑らかになる。ビーズ8,9は、ブラス(真鍮)やタングステン等である。
【0018】
シャフト2の後部にはフックアイ12が形成される。フックアイ12には針81が接続される。フックアイ12は、例えばシャフト2の端部が円形に曲げられて形成される。
【0019】
カップワッシャー11は、ボディ1に対してビーズ9よりも外側であり、ビーズ9とフックアイ12の間に設置される。カップワッシャー11の貫通孔にシャフト2が挿通される。カップワッシャー11は、径が大きい方がフックアイ12側となるように設置される。カップワッシャー11が設置されることによって、針81がカップワッシャー11に当たって針81の動く範囲が限定されるため、針81がボディ1に絡まりにくくなる。
【0020】
フックアイ12にはスプリットリング13が接続される。スプリットリング13を介してフックアイ12と針81が連結される。なお、スプリットリング13を用いないで、フックアイ12と針81が直接連結されてもよい。スプリットリング13を介して連結される場合、スプリットリング13の直径分だけ針81の動く範囲が大きくなり、針81が環状部3の中に入り込み絡まることがある。これに対して、スプリットリング13を介さずに連結される場合、針81の動く範囲が狭まり、針81のアイやシャンクがカップワッシャー11に当たる。そのため、針81が環状部3の中に深く入り込むことがなく、針81の針先がボディ1に触れる程度であるため、針81がボディ1に絡まなくなり、ボディ1の回転動作を阻害することがない。これは、針81がシングルフックとトリプルフックの場合のいずれでも同様である。
【0021】
<ルアーの製作方法>
次に、
図2を参照して、ルアー10の製作方法について説明する。
まず、製作するルアー10のボディ1の幅に合わせて真鍮又はアルミニウムなどの板材が帯状に切断される。
図2(A)に示すように、切断されて得られた帯状の板材31の3か所にシャフト2を挿通するための貫通孔5が形成される。シャフト2をボディ1の環状部3の長手方向の中心軸と一致するように設ける場合(
図1、
図3参照)は、真ん中の貫通孔5は板材31の中心Cに形成される。シャフト2をボディ1の環状部3の中心軸から斜め方向にずらして設置する場合(
図4、
図8参照)は、真ん中の貫通孔5は板材31の中心Cから外れた位置に形成される。
【0022】
次に、
図2(B)に示すように、端部側の二つの貫通孔5において、板材31の幅方向に対して平行方向に切込み5aが形成される。そして、
図2(C)に示すように、板材31が楕円形又は長円形となるように、板材31の中心Cから板材31が折り曲げられる。左右の切込み5aを合わせることによって、
図2(D)に示すように、ルアー10のボディ1が完成する。シャフト2については、まず、
図2(E)に示すように、ステンレス線等の線材の端部を環状にしてフックアイ12を形成する。スプリットリング13を介さずにフックアイ12と針81を直接連結する場合は、針81のアイをフックアイ12となるシャフト2の先端に通しておき、針81が連結された状態のフックアイ12を形成する。なお、ルアー10の完成後は、フックアイ12をほどくことができないため、針81を交換するためには、針81のアイをニッパー等で切断して針81を取り外す必要がある。次に針81を接続する場合はスプリットリング13を介してフックアイ12に針81を接続する。
【0023】
そして、
図2(F)に示すように、フックアイ12が形成されたシャフト2に、カップワッシャー11とビーズ9を挿通し、カップワッシャー11とビーズ9を接着剤等でシャフト2に固定する。カップワッシャー11のみがシャフト2に固定される場合と異なり、カップワッシャー11とビーズ9が一緒にシャフト2に固定されることによって、強度が高まり、カップワッシャー11がシャフト2から外れにくくなる。なお、ビーズ9とボディ1の間に別のビーズが挿通されてもよい。ビーズ9はシャフト2を軸にしてシャフト2の周りに回転しないが、シャフト2の軸周りに回転可能な別のビーズが挿通されることによって、ボディ1の回転がより滑らかになる。
【0024】
さらに、
図2(G)に示すように、既に作成済みのボディ1の後部の貫通孔5から前部の貫通孔5までシャフト2を挿通する。その後、
図1に示すように、シャフト2にビーズ8を挿通し、スイベル7が付けられたアイ6をシャフト2の端部に形成する。シャフト2の端部では、ビーズ8は、シャフト2を軸に回転する動きができ、ビーズ8によって、ボディ1の回転が滑らかになる。ビーズ8,9は、ブラス(真鍮)ビーズやタングステンビーズ等が使用され、ルアー10の前後の重さがほぼ等しくなるように、ビーズ8,9の素材やビーズ8,9の個数等で調節される。
【0025】
以上より、ルアー10が完成する。ルアー10が適切に動作するかどうかを検査するため、シャフト2が固定された状態にしたとき、ボディ1がシャフト2の軸周りに回転するかどうかを確認する。例えば、板材31に形成した貫通孔5の径が小さすぎると、ボディ1がシャフト2に固定されてしまい回転しづらくなる。なお、ルアー10のボディ1の製作方法は上述した例に限定されない。例えば、3Dプリンターなどで製作したモデルに基づいて金型を作製し、金型からボディ1を製造するようにしてもよい。または、ボディ1が3Dプリンターによって直接造形されて作成されてもよい。これにより、環状部3と尾部4の接続部分において滑らかな形状のボディ1を形成することができる。
【0026】
<ルアーの動き>
図3にルアー10が沈下するときの動きを示す。
ルアー10がキャストされて(投げ込まれて)着水すると、ボディ1が水中でシャフト2の軸周りに回転しながら下方に沈下する。このとき、ボディ1の貫通孔5の内面とシャフト2が互いにこすれて音が発生する。また、ボディ1が回転しながら、光がボディ1に当たって反射することで、光が点滅するような効果が表れる。
【0027】
ボディ1は、ルアー10の水中での沈下時だけでなく、糸80によって引っ張られる曳行時においても回転する。ボディ1の回転方向は、決まった方向ではなく、ルアー10の前方から見て時計回りのときもあれば反時計回りのときもある。また、沈下時又は曳行時の途中でボディ1の回転方向が変わる場合もある。
【0028】
図4にルアー10が曳行されるときの動きを示す。
ルアー10が水中に投げ込まれて、リールによって糸80が巻かれながらルアー10が引っ張られて来るとき、ボディ1はシャフト2の軸周りに回転しながら、水中で不規則な軌道(例えば蛇行など)で泳ぐ。このとき、ボディ1の貫通孔5の内面とシャフト2が互いにこすれて音が発生する。
【0029】
リールによる糸巻きを停止すると、ルアー10は、重力が優位に作用して、ボディ1がほぼ水平状態を保ちつつ、シャフト2の軸周りに回転しながら水中で下方に沈下する。
【0030】
図5に示すように、竿の動きやリールを巻く速さが変化することによって、ルアー10は浮いたり沈んだりする。釣り手は、竿やリールによって、意図的にルアー10を浮き沈みさせることができ、広範囲を探ることができる。リールが巻かれないとき、ルアー10は沈下するが、沈下時にボディ1が回転し続けてルアー10の動きが止まらないため、魚を誘うことができる。
【0031】
ルアー10のシャフト2の軸方向は、
図1及び
図3に示すように、ボディ1の環状部3の長手方向の中心軸と一致するように設けられてもよいし、
図4に示すように、環状部3の長手方向の中心軸に対して斜め方向となるように中心軸からずらされて設けられてもよい。シャフト2がボディ1の環状部3の中心軸からずらされて設けられると、ルアー10が曳行されるとき、シャフト2が環状部3の中心軸と一致するように設けられる場合よりもさらに動きが大きく不規則な軌道(例えば蛇行など)で泳ぐ。
【0032】
糸の張り方によって、ルアー10を螺旋状に沈ませたり下方にスライドさせながら沈ませたりすることができ、沈むときの動作が一つではないため、魚にルアーであると見切られにくい。ルアー10の沈下には、糸からの引張力が作用しない状態で沈下するときと、釣り手が糸を緩めずにルアー10に糸からの引張力が作用して糸が張った状態で沈下するときの2通りがある。
【0033】
ルアー10において、糸からの引張力が作用しないで沈下するときと、糸が張った状態で沈下するときのいずれの場合もルアー10を正面から見て、時計回りに回転したときは、左へスライドしながら沈下し、反時計回りに回転したときは、右へスライドしながら沈下する。ボディ1が回転しながら沈下するときは、ルアー10が左右にスライドしないで真っ直ぐ垂直に沈下することはない。
【0034】
糸からの引張力が作用しないで沈下するとき、ルアー10は水平状態を保つ。他方、糸が張った状態でルアー10が沈下するとき、糸の影響を受けて、ルアー10の前部がやや上を向いた状態になるため、後部はやや下がり、斜めの姿勢になって沈下する。いずれの場合も、ボディ1は、シャフト2の軸周りに回転しながら沈下する。
【0035】
糸からの引張力が作用しない状態のルアー10の沈下には、次の2パターンがある。(1)ルアー10は、上述したとおり、水平状態を保ちながら、ボディ1の回転方向に応じて右又は左へスライドしながら沈下する。(2)ルアー10は、ボディ1をシャフト2の軸周りに回転させながら、螺旋状に沈下する。ルアー10の軌道は、
図6に示すように、螺旋状となる。
【0036】
図7に示すように、糸からの引張力が作用して糸が張った状態のルアー10の沈下には、次の2パターンがある。(1)ルアー10は、上述したとおり、前部がやや上を向いた状態で、ボディ1の回転方向に応じて右又は左へスライドしながら沈下する。(2)上記の(1)の状態で沈下している途中で、ボディ1の回転方向が逆になり、右へスライドしていた場合は、反対に左へスライドして沈下するようになり、左へスライドしていた場合は、反対に右へスライドして沈下するようになる。沈下の途中でボディ1が逆方向に回転し始めるときがあり、回転方向の変化に応じてスライドする方向も変化する。
【0037】
釣り手は、糸を緩めてルアー10に対して糸からの引張力を作用させないか、糸を張った状態でルアー10に対して糸からの引張力を作用させるかをコントロールできるが、その後の沈下パターンについてはコントロールできない。
【0038】
また、ルアー10のシャフト2が、環状部3の長手方向の中心軸と一致するように設けられる場合と、シャフト2が環状部3の長手方向の中心軸からずらされて設けられる場合とで、沈下の状態に大きな違いはない。なお、上述した沈下の状態は、水流のない浴槽で行った結果であり、水深の深いところや水流があるところでは異なる可能性もある。また、使用される糸は、ナイロンライン、フロロライン、PEラインなどがあるが、上述した沈下の状態はナイロンラインを使用して行った結果である。また、糸の太さや糸の種類によっても沈下の状態が異なる可能性もある。
【0039】
なお、シャフト2が環状部3の中心軸からずらして設置されるときのボディ1の貫通孔5の位置に関して、ルアー10の前方に中心軸からずらして貫通孔5が設けられて、ルアー10の後方に中心軸上に貫通孔5が設けられる場合と、反対に、ルアー10の前方に中心軸上に貫通孔5が設けられて、ルアー10の後方に中心軸からずらして貫通孔5が設けられる場合がある。いずれの場合も、糸によって引かれたとき、及び、沈下するときにボディ1が回転し、ルアー10の動きを損なわない。
【0040】
魚が水面を意識しているときのルアー10の引き方として、トップウォータールアーのように水面を狙ってルアー10を引くことが有効である。釣り手が竿を立ててリールを速く巻くと、ルアー10は、泳ぐスピードが上がり、水面に浮上する。このとき、ボディ1が回転しながら、ルアー10は、ポコポコと音を立てて泡を出しながら泳ぐ。このように、ルアー10の引き方を工夫することで、ルアー10に水面で泳がせる動きをさせることができ、魚に強くアピールすることができる。
【0041】
水中に投げ入れられたルアー10は、リールが巻かれて引っ張られるとき、蛇行する動きをすることがある。ボディ1は、一方向のみに回転するときと、ルアー10の前方から見たとき時計回りと反時計回りの両方向に回転するときがある。ボディ1の両方向の回転は、曳行時にルアー10が蛇行する要因の一つとなっている。
【0042】
<ルアーの作用効果>
以下、本実施形態に係るルアー10の作用効果について説明する。
ルアー10がキャストされて(投げ込まれて)着水すると、ボディ1がシャフト2の軸周りに回転しながらほぼ水平状態を保ちつつ、下方に沈下する。釣り手がリールを巻く動作を止めた場合でも、ルアー10は沈下しながらボディ1が回転し続けてルアー10の動きが止まらないことから、ルアー10が魚にアピールするため、魚が釣れる確率が高まる。
【0043】
水中でボディ1が回転するとき、光がボディ1に当たって反射することで点滅する(フラッシング)ように光ることで、魚を誘うことができる。また、水中でボディ1が回転するとき、ボディ1の貫通孔5の内面とシャフト2が互いにこすれて金属的な音が発生することで、音によって魚を誘うことができる。音による誘引は、水の色が濁っていてルアー10が目立たない時などに有効である。
【0044】
なお、対象とする魚が音を好む場合、ルアー10は、上述したとおり音が発生する構成でよいが、反対に音を好まない場合、ルアー10は、音が発生しない構成とすることが望ましい。この場合、ボディ1の前部と後部の貫通孔5にプラスチックチューブを挿通し、接着剤等でボディ1とプラスチックチューブが固定される。シャフト2はプラスチックチューブ内部に挿通される。これにより、ボディ1が回転するときにボディ1とシャフト2がこすれて発生する金属的な音が生じない。
【0045】
リールによって糸が巻かれながらルアー10が引っ張られて来るとき、ボディ1はシャフト2の軸周りに回転しながら、水中で不規則な軌道(例えば蛇行など)で泳ぐ。ルアーが直線的な軌道で泳ぐ場合と異なり、ルアー10に対して魚が警戒しづらいため、ルアー10への反応が鈍くなりにくい、すなわち、魚がルアー10にスレにくい。
【0046】
<ルアーの変形例>
図8に示すように、ルアー10の尾部4は、二つの先端部4aの間隔が狭く設定されてもよいし(
図8(A))、二つの先端部4aの間隔が広く設定されてもよい(
図8(B))。また、尾部4の板材は、環状部3の板材に対してねじられずに延長方向に設けられてもよいし、環状部3の板材に対してねじられて設けられてもよい。尾部4の先端部4a間の幅や尾部4のねじりを調節することによって、ボディ1が一方向のみに回転するだけでなく、時計回りと反時計回りの両方向に回転するように調整できる。なお、ルアー10の全体の重量が大きくなると蛇行しにくいため、重量の調節を行うことが望ましい。
【0047】
図9(A)~
図9(C)に示すように、ルアー10には、さらに重り14が設けられてもよい。重り14は、アーム(シンカーシャフト)15を介してシャフト2に設置される。アーム15は、例えばステンレス線であり、アイ6を形成した線材の先端を延長して形成される。アーム15は、ボディ1の重心位置付近の下方まで延びて設けられ、アーム15の先端に重り14が設置される。重り14がボディ1の重心位置よりも前方又は後方に取り付けられると、ルアー10が水平状態を維持しながら沈下できないため、重り14は、ボディ1の重心位置の鉛直方向下方にバランス良く設置されることが望ましい。重り14は、例えば球形状、弾丸形状などを有し、例えば鉛やタングステンなどである。
【0048】
また、
図1などに示すように、ボディ1の後部に針81が付けられる場合に限られず、
図9(C)に示すように、針82は、重り14の後部に設置されてもよい。針82は、アーム15の先端に形成されたアイ23に接続される。アイ23は、重り14を支持するためのステンレス線等のアーム15を延長して環状にすることによって形成される。この場合、ボディ1の後部だけでなく、ボディ1の中央付近に噛みつこうとする魚も針82にかけることができ、魚を釣れる可能性が高まる。
【0049】
さらに、
図9(D)に示すように、魚に対するアピール力を向上させるため、
図9(A)~
図9(C)に示した重り14の部分にタコベイト24が装着されてもよい。タコベイト24が装着されることで、特に海釣りで有効なルアーとなる。タコベイト24は、ソフトルアーであり、漁師がカツオをトローリングで釣るとき等に使用されている。
【0050】
上述したとおり、アーム15が、シャフト2の一端を延ばした線材で形成されて、アーム15に重り14が設置されることによって、シャフト2の回転が生じない。これにより、アイ6に結ばれる糸のよれが低減される。
【0051】
図10にルアー10が水中で曳行されて泳ぐときの動きを示す。
図9(A)~
図9(C)に示すようなアーム15を介して重り14が設置されたルアー10では、ルアー10が水中に投げ込まれて、リールによって糸が巻かれながらルアー10が引っ張られて来るとき、ボディ1が左右に倒れるように泳いだり、ボディ1の後部(尾部4側)が左右に振られるように泳いだりする(ウォブリングアクション)。これらの動きは、重り14の重量や形状が変更されることによって調整可能である。
【0052】
図11(A)に示すように、重り14がシャフト2に直接設置されてもよい。ボディ1の前方外側であってボディ1とビーズ8の間、及び、ボディ1の後方外側であってボディ1とビーズ9の間に重り14が設置される。この場合、ルアー10の前後の重さがほぼ等しくなるように設置されることによって、沈下時にルアー10が水平姿勢を保ち、ボディ1の回転が損なわれない。なお、本実施形態においてルアー10に重り14が設けられている場合、重り14の重さがボディ1に対してかなり大きい場合は、沈下時にボディ1の回転による影響を受けにくく、右又は左へスライドすることなく、垂直方向に沈下する。
【0053】
また、
図11(B)に示すように、U字状の部材であるクレビス16が、ボディ1の前方と後方でシャフト2に挿通され、クレビス16の中心に重り14が設置されてもよい。クレビス16は、例えばステンレス線であって、ステンレス線の両端がそれぞれ円形に曲げられて形成された小さい環を有する。クレビス16の両端に形成された環にシャフト2が挿入される。クレビス16に重り14が設置されて、クレビス16がシャフト2に固定されることによって、シャフト2の回転を防止又は抑制できる。これにより、アイ6に結ばれる糸のよれが低減される。
【0054】
さらに、
図11(C)に示すように、重り14は、ボディ1の内側に位置するシャフト2に設置されてもよい。この場合、ボディ1の回転を妨げないように、ボディ1と重り14の大きさを考慮して、重り14はボディ1の内面に接触しない大きさとする必要がある。
【0055】
ルアー10の重量(ウエイト)は、ボディ1のサイズや素材、設置される重り14などによって調節可能である。これにより、ルアー10が目標深さ(水中の表層、中層又は深層)に安定的に位置するように、釣り手がルアー10を引くことができる。例えば、深いエリアにいる魚を狙って深層でルアー10を引きたい場合、ルアー10の重量が重くなるように設定する。反対に表層でルアー10を引きたい場合、ルアー10の重量が軽くなるように設定する。
【0056】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るルアー20について説明する。
ルアー20は、ワイヤーベイトである。ルアー20は、
図12~
図15に示すように、ボディ1と、アーム17と、ヘッド18等を備える。従来のスピナーベイトの動きは直線的であるが、ルアー20は、ボディ1が回転したり左右に振れることで、全体的に左右に揺れながら泳ぐ。
【0057】
ボディ1は、例えば、
図12に示すように、アーム17の一端側に取り付けられて、アーム17によって形成されたシャフトの周りに回転する。
【0058】
尾部4は、環状部3の板材に対してねじれを有して、尾部4で受ける抵抗によってボディ1が回転するように構成される。ボディ1がプロペラのようにひねられた形状を有することにより、ボディ1の回転方向が一方向に安定する。
【0059】
本実施形態に係るボディ1は、通常のスピナーベイトに設置されているブレード(スプーン)に置き換えられて設けられる。アーム17は、ステンレス線などの線状部材であり、長さ方向中央付近に屈曲部のラインアイ17aを有する。ラインアイ17aは、線状部材のアーム17が屈曲された屈曲形状を有し、ラインアイ17aには糸が接続される。アーム17は、一端側においてボディ1が設けられ、他端側においてヘッド18が接続される。アーム17の一端側の直線部分は、ボディ1に設けられた前部と後部の貫通孔5に挿通される。このように、アーム17が形成されることによって、ボディ1が回転して生じる振動がアーム17を介してヘッド18に伝達される。ボディ1に挿通されるアーム17の軸方向がボディ1の環状部3の長手方向の中心軸に対して斜め方向に配置される場合、回転時に生じるヘッド18の振動をより大きくすることができる。振動するヘッド18が魚にアピールすることから、魚が誘引される。
【0060】
アーム17がボディ1に設けられた貫通孔5に挿通されることによって、ブレードが設置されるスピナーベイトと異なり、ボディ1が回転するときにボディ1とアーム17がこすれて発生する金属的な音が生じる。これにより、音によって魚を誘うことができるため、水が濁っていてルアー10の存在に気づかれにくい時などに有効である。
【0061】
なお、ボディ1の尾部4は、
図1で示した例のように、環状部3の板材に対してねじれが設けられなくてもよい。尾部4にねじれが形成されたボディ1のほうが、ねじれが形成されていないボディ1に比べて、ルアー20を引いてきたときに回転しやすく、速いスピードで引いてきても確実に回転する。他方、尾部4にねじれが形成されていないボディ1は、速く引いてくると回転しないときがある。また、尾部4にねじれが形成されているボディ1は、回転方向が常に一方向であるのに対して、尾部4にねじれが形成されていないボディ1は、時計回りと反時計回りの両方のどちらかに回転し、回転方向が一つの方向ではない。
【0062】
また、尾部4のねじれの有無に応じて、ルアー20の動きも異なる。尾部4にねじれが形成されているボディ1を使用したルアー20は、直線的な動きであるのに対して、尾部4にねじれが形成されていないボディ1を使用したルアー20は、回転方向が途中で変わることなどにより、左右に揺れながら泳ぐ。
【0063】
ルアー20が沈下する場合、
図12に示したルアー20は水平状態を保つことができたとしても、尾部4が長いため、ボディ1は回転しづらい。ねじれが形成されていないボディ1を使用したルアー20は、沈下時に水平状態を保ちながら、ボディ1は時計回り又は反時計回りに回転しやすい。
【0064】
また、ルアー20は、
図12に示したアーム17がボディ1に挿通される場合に限られない。ルアー20は、
図13に示すように、アーム17のヘッド18とは反対側の先端17bにおいて、ボディ1がアイ19及びスイベル21を介して接続されてもよい。ボディ1は、アイ19と接続されたスイベル21によって、環状部3の長手方向に沿った軸を中心にして回転可能である。
【0065】
図13に示す例では、ボディ1の外周には、アイ19が例えば二つ設けられる。アイ19は、ボディ1の環状部3の中心軸上と、環状部3の中心軸からずらした位置に設置される。アーム17の先端17bは、二つのアイ19のどちらかに接続され、接続されるアイ19によってスピナーベイトの動きを変えることができる。中心軸からずらした位置のアイ19にアーム17が接続される場合、中心軸上のアイ19にアーム17が接続される場合よりもスピナーベイトが大きく左右に揺れて泳ぐ。
【0066】
図14に示す例では、ルアー20は、ボディ1の前部と後部の貫通孔5にシャフト2が挿通されており、シャフト2がアーム17の先端17bと接続される。このルアー20は、従来のスピナーベイトのブレードの代わりにシャフト2及びボディ1を取り付けたものである。アーム17の先端17bにはアイ22が形成され、シャフト2の先端にはアイ6が形成されており、アーム17のアイ22とシャフト2のアイ6が互いに接続される。スイベルを使用せずに、アーム17のアイ22にシャフト2のアイ6が直接接続されることから、シャフト2が回転しなくなり、ボディ1が回転したとき、シャフト2とボディ1の前後の貫通孔5がこすれて音が発生する。従来のスピナーベイトでは、ルアー20のようなこすれ音を発生させることができない。
【0067】
スイベルを使用せずに、アーム17のアイ22にシャフト2のアイ6が直接接続されると、ボディ1が回転しにくくなる。そこで、
図14に示すように、尾部4を長くしてねじれを設けて尾部4がプロペラ形状を有するようにすることで、ボディ1が回転しやすくなる。
図14に示す尾部4にねじれが形成されているボディ1を使用したルアー20では、水平状態を保てずに、尾部4が上、環状部3が下になって沈下する。このように水平状態を保てずに沈下するが、尾部4にねじれが形成されているため、沈下時にシャフト2の軸周りにボディ1が回転する。なお、ボディ1の尾部4は、
図1で示した例のように、環状部3の板材に対してねじれが設けられなくてもよい。
【0068】
図15に示すように、ルアー20は、通常のバズベイトに設置されているペラに置き換えられてボディ1が設けられてもよい。ボディ1の前部と後部の貫通孔5には、アーム17のヘッド18とは反対側の直線部分が挿通されている。ボディ1は、アーム17の軸周りに回転する。ボディ1の素材は、アルミニウムとすることで浮きやすくなる。また、ボディ1の尾部4を長くし、環状部3の板材に対してねじれを有して、プロペラのようにひねられた形状を有するようにすると、ボディ1が回転しやすくなり、水面に浮きやすくなる。また、従来のバズベイトのペラと異なり、ボディ1は、水面だけでなく水中でも回転しやすいため、水面でトップウォータールアーとして使用する以外に、水中に沈ませて使用することもできる。
【0069】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係るルアー30について説明する。
図16(A)及び
図16(B)に示すルアー30は、シンキングペンシル27と組み合わされたものである。
図16(A)に示すルアー30において、ボディ1の外周には、スイベル26と接続されるアイ19が設けられる。ボディ1は、アイ19と接続されたスイベル26によって、環状部3の長手方向に沿った軸を中心にして回転可能である。ボディ1は、ステンレス線等のアーム25及びスイベル26を介してシンキングペンシル27と接続される。アーム25は、シンキングペンシル27の上側から上方及び後方へ延びている。ボディ1で生じる振動がアーム25を介して伝達され、魚が泳いでいるようにシンキングペンシル27が左右に揺れて動く。
【0070】
図16(B)に示すルアー30において、シンキングペンシル27に接続されるボディ1は、ステンレス線等のアーム28に設置される。アーム28は、シンキングペンシル27の下側から下方及び後方へ延びている。アーム28は、ボディ1の前部と後部の貫通孔5に挿通される。アーム28は、シンキングペンシル27の前部に設けられるアイ6から、シンキングペンシル27の下方まで延びて設けられ、シンキングペンシル27の重心付近の下方にボディ1が設置される。なお、シンキングペンシル27をボディ1よりも重くして、
図16(B)のシンキングペンシル27とボディ1が上下逆になった形でもよい。この場合、アーム28は、シンキングペンシル27の上側から上方及び後方へ延びて設けられ、シンキングペンシル27の重心付近の上方にボディ1が設置される。
【0071】
シンキングペンシル27がボディ1よりも軽い場合、水中ではシンキングペンシル27の下方にボディ1が位置する。シンキングペンシル27の腹部中央や後部それぞれに針83が設けられているとき、針83の下にボディ1が位置するため根がかりを回避できる。ボディ1が回転することで生じる振動がアーム28を介してシンキングペンシル27に伝達され、シンキングペンシル27が揺れて動く。また、ボディ1がアーム28の軸周りに回転したとき、ボディ1の貫通孔5の内面とシャフト2がこすれて音が発生する。なお、
図16(A)に示したアイ19が設けられるボディ1についても、
図16(B)のようにシンキングペンシル27の下方に位置するように設けられてもよい。この場合、アーム25は、
図16(B)に示したアーム28のように、シンキングペンシル27の下側から下方及び後方へ延びるように設置され、ボディ1は、アーム25及びスイベル26を介してシンキングペンシル27と接続される。なお、
図16(B)では、ボディ1の尾部4においてねじれが形成されている場合について示したが、ボディ1の尾部4は、
図1で示した例のように、環状部3の板材に対してねじれが設けられなくてもよい。
【0072】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係るルアー40について説明する。なお、第1から第3実施形態で説明したルアー10,20,30と重複する構成要素については詳細な説明を省略する。
【0073】
ルアー40は、
図17に示すように、第1から第3実施形態のルアー10,20,30のボディ1と異なり、ボディ41において尾部4が形成されず、ボディ41は環状部3のみを有する。ルアー40の動きは、尾部4を有するルアー10とほぼ同じである。したがって、ルアー20と同様に、ルアー40は、スピナーベイトのブレードの代わりとして使用することもできる。また、ルアー40は、重り14を装着したタイプにも使用でき、この構成もルアー10の場合と同様の動きをする。
【0074】
沈下時、尾部4を有しないルアー40においても、回転しつつ、水平状態を維持しながら下方方向に沈む。ボディ41の重さが1g以下の場合でも、同様である。
【0075】
尾部4のないルアー40では、ボディ41の重さが1g以下になると、ルアー40を引いてきたときにボディ41が回転しづらくなる。この場合、ボディ41の形状を円形に近い楕円から一方向に長い細長の楕円に変形させると回転しやすくなる。ただし、ボディ41の幅が小さい場合は、細長形状の楕円であってもルアー40を引いたときに回転しづらい。ルアー40が回転しない場合であっても、ルアー40を引いてきたとき、ボディ41はゆらゆらと左右に揺れて動くため、魚へアピールすることはできる。
【0076】
なお、第1実施形態に係る、尾部4を有するルアー10では、ボディ1の重さが1g以下で、円形に近い楕円であっても、ルアー10を引いてきたときにボディ41が回転する。
【0077】
<ルアー40の製作方法>
次に、
図18及び
図19を参照して、本実施形態に係るルアー40の製作方法について説明する。
まず、
図18(A)に示すように、例えば、金属(例えば、真鍮、アルミニウムなど)からなる円管(パイプ)42が、パイプカッターなどによって、製作しようとするボディ41の幅に合わせて切断される。そして、
図18(B)に示すように、切断されて得られた環状部3の2か所にシャフト2を挿通するための貫通孔5が形成される。
【0078】
次に、
図18(C)又は
図18(D)に示すように、環状部3の外形が楕円形又は長円形となるように、環状部3を変形させる。これにより、ルアー40のボディ41の形状が形成される。
図18(C)に示すように、貫通孔5は、挿通されるシャフト2が環状部3の長手方向に対して平行となる位置に形成される。または、
図18(D)に示すように、貫通孔5は、挿通されるシャフト2が環状部3の長手方向に対して斜めとなる位置に形成されてもよい。なお、シャフト2が環状部3の長手方向に対して斜めになるように、シャフト2が環状部3の中心軸からずらして設置されるときのボディ41の貫通孔5の位置は、ルアー40の前方又は後方で中心軸からずらして貫通孔5が設けられる。第1実施形態のルアー10と異なり、ルアー40は、尾部4を有しないことから、後方の貫通孔を中心軸からずらして形成しやすい。
【0079】
図19に示すように、ルアー40は、円管ではなく板材からも製作することができる。まず、製作しようとするルアー40のボディ41の幅に合わせて真鍮又はアルミニウムなどの板材が帯状に切断される。
図19(A)に示すように、切断されて得られた帯状の板材43の2か所にシャフト2を挿通するための貫通孔5が形成される。
【0080】
そして、
図19(B)に示すように、板材が楕円形又は長円形となるように、板材43が折り曲げられ、帯状の板材43の端部同士が接着剤などで固定される。これにより、
図19(C)に示すように、貫通孔5が形成された環状部3が形成される。
【0081】
シャフト2の製作工程や、環状部3からなるボディ41とシャフト2の組み合わせ工程は、上述した第1実施形態のシャフト2やボディ1と同様であるため省略する。なお、ルアー40のボディ41の製作方法は上述した例に限定されない。例えば、3Dプリンターなどで製作したモデルに基づいて金型を作製し、金型からボディ41を製造するようにしてもよい。または、ボディ41が3Dプリンターによって直接造形されて作成されてもよい。これにより、
図19(C)で表れているつなぎ目などがない滑らかな形状のボディ41を形成することができる。
【0082】
<ルアーの変形例>
図示しないが、シャフト2が延長されて、ボディ1,41が複数、すなわち、2個以上連結されたルアーとしてもよい。連結される複数のボディは、尾部4を有する複数のボディ1が連結される場合、尾部4を有しない複数のボディ41が連結される場合、尾部4を有するボディ1と尾部4を有しないボディ41が組み合わされて連結される場合がある。
【0083】
複数のボディが連結された場合でも、沈下時には、ボディがシャフト2の周りに回転しながら下方に沈み、糸によって引かれる時には、ボディはシャフト2の軸周りに回転しながら、水中で不規則に揺れて泳ぐ。
【0084】
複数のボディが連結された場合についても、糸が張った状態で沈下するときは、前部がやや上を向く。複数のボディが同じ方向で回転する場合は、ボディが1個ずつ設けられる場合と同様に、時計回りのときは左へスライドしながら沈下し、反時計回りのときは右へスライドしながら沈下する。複数のボディが同一方向で回転しないとき、例えば、ボディが2個連結されている場合において、前部のボディが時計回りに、後部のボディが反時計回りに回転するとき、沈下するルアーを上から見ると、時計回りに螺旋状に沈下する。
【0085】
<ルアー40の第1実施例>
図20において、ボディ41を用いたルアー40の第1実施例を示す。
シャフト2の上部には、糸を結ぶためのワイヤ32が設けられる。ワイヤ32は、例えばステンレス線などの線状部材であって、ステンレス線の両端が円形に曲げられて形成された小さい環状のラインアイ32aを有する。ワイヤ32は、フックアイ12を形成したシャフト2の線材の先端を延長して形成される。ワイヤ32には、ワイヤ32の長手方向の中心よりも前方に糸を接続するためのラインアイ32aが形成される。ワイヤ32は、前方で重り33とビーズ8の間に接続される。
【0086】
シャフト2の前部にはアイ6が形成される。ルアー40は、ラインアイ32aだけでなく、アイ6にも糸を結ぶことができる。なお、シャフト2に設置されるビーズ8,9、フックアイ12、カップワッシャー11、スプリットリング13については、上述した実施形態と同様であるため、説明を省略する。スプリットリング13を介してフックアイ12と針(リアフック)81が接続される。
【0087】
重り33は、アイ6の後方かつボディ41の前方に設置される。
アーム15には重り14が挿通され、アーム15は、重り14の後方にアーム15Aとして延長される。アーム15とアーム15Aは、同一の線材である。アーム15及びアーム15Aは、例えばステンレス線であり、アイ6を形成したシャフト2の線材の先端を延長して形成される。重り14の下部にはフックアイ34が設置される。フックアイ34にはスプリットリング35が接続され、スプリットリング35を介して針(フロントフック)82が連結される。なお、フックアイ34は、両側にアイが設けられたスイベルの一方のアイである。このスイベルの他方のアイは、重り14内に設けられ、重り14内のアイにはアーム15が挿通されている。
【0088】
アーム15Aは、後方で、ビーズ9とカップワッシャー11の間に接続される。アーム15Aは、シャフト2と接続されており、アーム15とアーム15Aによってルアー40の強度を向上させることができる。
【0089】
<ルアー40の作用効果>
ラインアイ32aに糸が結ばれて、ルアー40が引っ張られて来るとき、ボディ41が回転したり左右に揺られたりして動く。また、ルアー40は、リールを巻きながら竿を小刻みにしゃくる(トゥイッチング)と、ボディ41が回転し、音を出しながら不規則に泳ぐ。そのため、ルアー40は、トゥイッチングで使用するのが効果的である。
【0090】
アイ6に糸が結ばれてもよく、この場合にルアー40が引っ張られて来ると、ボディ41が回転しながら泳ぐ。ルアー40が沈下する際、糸が張った状態であるとき、ルアー40は、ボディ41が回転しつつ、水平状態を維持しながら垂直方向に沈む。
図20に示したルアー40は、重り33,14が前方に設けられていることから、重りのない場合と異なり、糸が張った状態であるとき、やや上向きではなく、水平状態で沈下する。糸からの引張力が作用しないでルアー40が沈下するときは、前部が下がり、後部が上がった状態で沈下する。このとき、沈下時のルアー40の姿勢に応じてボディ41が回転したり回転しなかったりする。前部が下がりすぎた状態で沈下すると、水平状態とは大きくかけ離れてしまうため、ボディ41は回転しない。
【0091】
<ルアー40の変形例>
ルアー40の変形例について説明する。
図21及び
図22に示すルアー40は、基本的には
図20で示したルアー40と同じ動きをする。
【0092】
図21には、
図20で示したルアー40と異なり、ルアー40において、重り14、アーム15及びアーム15Aが設置されない構成を示す。このタイプでは、前部のアイ6に糸が結ばれて使用されるとき、沈下時に糸が張った状態にしておけば、ルアー40が水平状態を保ち、ボディ41が回転する。
図21に示したルアー40は、
図20に示した場合と同様に、糸が張った状態であるとき、やや上向きではなく、水平状態で沈下し、ボディ41が回転する。沈下時に糸からの引張力が作用しないと、前部がほぼ真下を向いて沈下するため、ボディ41は回転しない。
【0093】
図22には、ルアー40において、重り14がアーム15を介して設置され、かつ、
図20で示したルアー40と異なり、アーム15Aが設置されない構成を示す。このタイプでは、アーム15Aが接続されていないため、強度が低下するが、対象とする魚のサイズが小さければ使用可能である。
図22に示すルアー40では、ルアー40のウエイトを軽くしたいときなどは、重り14を取り付けずに使用することもできる。
図22に示したルアー40は、
図20に示した場合と同様に、糸が張った状態であるとき、やや上向きではなく、水平状態で沈下して、ボディ41が回転する。糸からの引張力が作用しないときは、沈下時の姿勢に応じてボディ41が回転したり回転しなかったりする。
【0094】
<ルアー40の第2実施例>
図23から
図25において、ボディ41を用いたルアー40の第2実施例を示す。
図23、
図24及び
図25は、それぞれルアー40を示す正面図、背面図及び斜視図である。なお、シャフト2及びシャフト2に設置されるボディ41、ビーズ8,9については、上述した実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0095】
シャフト2の鉛直方向上部には、糸を結ぶためのラインアイ36が設けられる。ラインアイ36は、例えばステンレス線などの線状部材であって、糸を接続するための環部が形成される。ラインアイ36を形成するステンレス線は、重り37の中を通されて、重り37の下部においてワイヤアイ38を形成する。重り37の上部にラインアイ36が位置する。
【0096】
アーム39及びアーム44は、例えばステンレス線などの線状部材であって、それぞれラインアイ36から延びてシャフト2を形成している。シャフト2とアーム39及びアーム44は、同一の線材である。アーム39とアーム44の長さは同じであり、シャフト2、アーム39及びアーム44によって、ほぼ二等辺三角形が形成されて、ラインアイ36が頂点に位置する。ラインアイ36とワイヤアイ38を結ぶ線は、シャフト2の軸方向の中央であり、かつ、シャフト2の軸方向に対して垂直方向である。
【0097】
重り37には、ラインアイ36とワイヤアイ38を形成するステンレス線が挿通されている。重り37の上下方向の中央には、スイベル45が取り付けられる。
図24に示すように、重り37には、スイベル45を取り付けるための穴37Aが垂直方向に形成されており、その穴37Aの中にスイベル45が設置される。スイベル45は、両側にそれぞれリングを備えている。スイベル45の一側のリングは、重り37の中に挿入されて、重り37の内部で上下方向に挿通されるステンレス線がそのリングの内部に通される。これにより、スイベル45が重り37と一体化される。スイベル45の他側のリングは、重り37の外側に位置する。針84は、スプリットリング46を介して、スイベル45に取り付けられる。針84は、
図23から
図25に示すように、トリプルフックでもよいし、この例に限られず、シングルフック又はダブルフックでもよい。
【0098】
ワイヤアイ38は、シャフト2よりも下方に位置する。ワイヤアイ38に対してワイヤ47が接続される。ワイヤ47の一端には、開閉式アイ48が設置される。開閉式アイ48によって、重り37の下部に設けられたワイヤアイ38に対してワイヤ47を容易に接続でき、かつ、容易に取り外すこともできる。開閉式アイ48は、釣り上げる魚が大型で、引きが強いとき、破損する可能性があるため、開閉式アイ48の代わりにワイヤ47の線状部材によってアイが形成されてもよい。この場合、スプリットリングを介してワイヤアイ38にワイヤ47のアイが取り付けられる。
【0099】
ワイヤ47の他端には、ワイヤ47の線状部材によってフックアイ49が形成され、スプリットリング51を介してワイヤ47のフックアイ49に針85が接続される。針85には、
図23から
図25に示すように、タコベイト29を取り付けることができる。なお、針85には、タコベイト29の代わりにワーム、フェザー、ラバースカートなどが取り付けられてもよい。
【0100】
また、シャフト2の軸方向の中央には、チューブ52が設置されてもよい。チューブ52にはケミカルライト等の発光体が取り付け可能である。なお、第1実施形態のルアー10等においても、シャフト2が存在する場合には、同様に、シャフト2にケミカルライト等の発光体を取り付けることができる。
【0101】
なお、
図26に示すように、ボディ41及びボディ41の中央上方に設けたラインアイ36を用いたルアー40の他の例として、ボディ41の前方及び後方において、シャフト2の延長上にフックアイ12を一つずつ形成して、フックアイ12に針81を設けるようにしてもよい。
【0102】
図26に示す例において、重り14は、ボディ41の前方及び後方(ビーズ8と前方のフックアイ12の間、ビーズ9と後方のフックアイ12の間)に一つずつ設置されて、前後の重さが均等になるように装着される。なお、このルアー40は対称形状であり、前後の区別はないが、シャフト2の一端部を前方、シャフト2の他端側を後方とした。前後の重さが均等であるため、ラインアイ36に糸を結んで垂らしたとき、ルアー40は、傾くことなく、水平を保つ。前後の針81がボディ41に絡むのを防止するためカップワッシャー11が取り付けられるとよい。ルアー40は、上下に動かされたときに水平を保ったまま、ボディ41を回転させ、音を発生させる。
【0103】
<ルアー40の作用効果>
ラインアイ36に糸が結ばれて使用される
図23から
図25に示すルアー40は、ルアー40を投げて引いてくる釣り方(キャスティング)、船やボートから真下に降ろして竿(ロッド)を上下にあおることによってルアー40を動かす釣り方(バーチカルジギング)のいずれにも使用できる。
【0104】
キャスティングとバーチカルジギングのいずれの場合も、ボディ41は、シャフト2の軸を中心にして回転する。ボディ1の回転方向は、決まった方向ではなく、時計回りのときもあれば反時計回りのときもある。
【0105】
キャスティングの場合、ルアー40を引いてくるとき、重り37が前方に、ボディ41が後方に位置する。ボディ41がシャフト2の軸周りに回転し、音が発生する。タコベイト29は、重り37の後方で少し揺れながら泳ぐ。ルアー40の引きを停止すると、ボディ41は水平状態を保ちつつ、シャフト2の軸周りに回転しながら沈下する。
図23から
図25に示したルアー40は、重り37の重さがボディ41に対してかなり大きい場合は、沈下時にボディ41の回転による影響を受けにくく、右又は左へスライドすることなく、垂直方向に沈下する。
【0106】
バーチカルジギングの場合、垂直に落とされたルアー40が上方に引かれると、ルアー40は、
図23や
図24で示した状態となり、重り37が上方、タコベイト29が下方となる。ボディ41は水平を保ち、シャフト2を軸にして時計回り又は反時計回りに回転し、音が発生する。ルアー40が下方に沈下する際は、ボディ41が上方、重り37が下方になる。ボディ41は水平を保ち、シャフト2を軸にして時計回り又は反時計回りに回転し、音が発生する。上下にルアー40が動かされたとき、ワイヤ47の長さの範囲内でタコベイト29は水中でゆらゆら、ふわふわと揺れ動いて足部を閉じたり開いたりしながら泳ぐ。ワイヤ47の長さが長いほどタコベイト29はより大きな範囲で泳ぐようになる。長さの異なるワイヤ47を用意しておいて、取り換えながら、そのときの魚の反応を見るとよい。
【0107】
ワイヤ47を設置せず、重り37の下部のワイヤアイ38にスプリットリングを介して針85だけを接続してもよいし、針85にタコベイト29を付けて接続してもよい。これにより、ルアー40全体のシルエットがコンパクトになるため、魚の反応が良くなる場合がある。
【0108】
シャフト2に設置されたチューブ52にケミカルライト等の発光体が取り付けられた場合、ボディ41で光が反射し、魚へのアピールを増加させられる。夜釣りの場合に特に有効である。
【0109】
図23から
図25に示すルアー40は、キャスティング及びバーチカルジギングのいずれの場合も、ルアー40が引かれたときボディ41が回転し、ルアー40の引きが停止されて沈下するときボディ41が回転することで、魚にアピールする。ルアー40は、ボディ41の回転が速く、音を発生しつつ光を反射するため、魚を惹き付ける。ボディ41が回転するときの波動や音、光が魚を寄せて、ワイヤ47によってゆらゆら泳ぐタコベイト29に魚が食らいつく。ルアー40は、集魚効果の高いボディ41の動きと、ゆらゆらと自然に泳ぐタコベイト29の泳ぎが組み合わされることによって、多くの魚を寄せて、タコベイト29に噛みつかせる(バイトさせる)ことができる。
【0110】
ルアー40は、沈下時にボディ41が回転して、水の抵抗を受けやすいため、沈下速度が比較的遅い。沈下速度を上げるためには、ボディ41のサイズを小さくして重り37の重さを重くするとよい。これにより、水の抵抗が小さくなり重量が増すため、ルアー40の沈下速度を上げることができる。なお、針84や針85が糸に絡みやすい場合は、針84をシングルフックに変更したり取り外したりすると問題が解消することがある。
【0111】
<重り37について>
重り37の形状は、
図23から
図25に示した例に限定されない。重り37の形状に応じて、ルアー40の動きやシルエット、沈下速度が変化する。重り37の形状を平たくしたり、より長くしたりしたルアー40を使用することによって、動きに変化を付けて、魚の反応を見ることができる。また、重り37は、メタルジグやペンシルベイトのように、魚を模した色や形とすることで、外観を本物の魚のように見せることができる。
【0112】
重り37の重さは、水深や潮の流れに応じて変更すると有効である。例えば、より深いポイントでは、重り37の重さをより重くすることによって、ルアー40をポイントまで早く到達させることができる。
【0113】
重り37に色を付けることで、魚の反応が良くなる場合がある。色々なカラーを試すことで、そのときの魚の反応を見ることができる。重り37に魚が噛みつくことがあるため、重り37の中央に針84が装着されている。
【0114】
<ワイヤ47等について>
本実施例で説明したワイヤ47、それに付随する開閉式アイ48、フックアイ49、スプリットリング51、針85及びタコベイト29は、他の実施形態のルアー10や
図20から
図22に示したルアー40にも適用できる。また、ミノーやクランクベイトなどの従来のルアーにも取り付けることができる。この場合、後部のフックアイにワイヤ47を接続すると泳ぎが安定する。ワイヤ47の開閉式アイ48が後部のフックアイに接続される。また、タコベイト29の代わりにワーム、フェザー、ラバースカートなどが取り付けられてもよい。
【0115】
<ルアー40の第3実施例>
図27において、ボディ41を用いたルアー40の第3実施例を示す。
ボディ41の前方にはヘッド53が設置され、ボディ41の後方には胴体後部55が設置される。ヘッド53の前方側の先端にアイ6が設置され、アイ6において糸が接続される。
【0116】
ヘッド53は、例えば魚の頭部の形状を有し、木製、プラスチック製又は金属製(例えば鉛、アルミニウム等)などである。胴体後部55は、例えば魚の胴体後部の形状を有し、木製、プラスチック製又は金属製などである。重り14の位置や重さを調整することによって、沈下時にもボディ41をシャフト2の軸周りに回転させ、水平状態に保った状態で沈下させることができる。
【0117】
ヘッド53の内部又は胴体後部55の内部には、鉛又はタングステン等の重りが内蔵されて、ルアー40の前後の重さがほぼ等しくなるように調整される場合もある。ヘッド53の下部には、リップ54が設置される。リップ54が設置されることによって、糸によって引かれたときにルアー40が抵抗を受けて、ルアー40が左右に揺れる動きをする。
【0118】
ビーズ8,9は、ボディ41とヘッド53の間と、ボディ41と胴体後部55の間のそれぞれに設置される。胴体後部55の後方側の端部には、カップワッシャー11、フックアイ12が設けられ、フックアイ12に取り付けられたスプリットリング13を介して針81が接続される。
【0119】
アーム15は、一端がヘッド53に接続され、アーム15の他端には重り14が設置される。アーム15は、ヘッド53の内部でシャフト2と接続される。重り14は、アーム15Aを介してシャフト2に設置される。重り14の下部にはフックアイ34が設置される。フックアイ34にはスプリットリング35が接続され、スプリットリング35を介して針(フロントフック)81が連結される。重り14とフックアイ34の間にカップワッシャー56が設けられることによって、針81がボディ41やアーム15、アーム15Aに絡みにくくなる。
【0120】
アーム15Aは、一端がアーム15と接続され、他端が胴体後部55と接続される。アーム15Aは、胴体後部55の内部でシャフト2と接続される。アーム15とアーム15Aによってルアー40の強度を向上させることができる。
【0121】
糸によってルアー40が引かれると、ルアー40は左右に揺れ、ボディ41が回転しながら泳ぐ。沈下するとき、ルアー40はボディ41が回転しながら水平に沈む。ルアー40が引かれたり沈下したりするときのボディ41の回転方向は、シャフト2を軸にして、時計回り又は反時計回りであり、一方向ではない。
【0122】
図28には、第1実施形態に係るルアー10の変形例を示す。
図28に示すルアー10において、ボディ1は、第1実施形態で説明した構成であって尾部4を有する。ルアー10は、重り14がアーム15を介して設置され、かつ、
図27に示す実施例と異なり、アーム15A及び胴体後部55が設置されない。ルアー10は、
図27で示したルアー40と基本的には同じ動きをする。ルアー10が引かれたとき、ルアー10は、
図27で示したルアー40よりも、ボディ1が回転しやすく、ボディ1の回転速度も速い。
【0123】
上述した実施例及び変形例では、ヘッド53においてリップ54が設置された例を示したが、リップ54が設置されないで、ルアーがシンキングペンシルのように使用されてもよい。
【0124】
<針動作抑制具60について>
図1等の実施形態で示したルアー10等では、針がボディ1に絡んで、ボディ1が水中で回転しなくなることを防ぐため、カップワッシャー11を用いる例を説明した。しかし、カップワッシャー11を用いたとしても、特に針が三つ付いたトリプルフックである場合、ボディ1と針の絡みが生じる場合がある。
【0125】
そこで、以下で説明するとおり、カップワッシャー11に代えて針の動作範囲を制御することが可能な針動作抑制具60が設置されるとよい。針動作抑制具60によれば、ボディ1に対する針の絡みを防止できる。
【0126】
図29に示すように、針動作抑制具60は、例えば、リングシャフト61と、リング62を備える。リング62に針のアイやシャンクが当たることによって、針の動作範囲が狭まり、針がボディ1に触れることがなく、針がボディ1に絡まなくなる。リングシャフト61は、例えばステンレス線などの線状部材であり、一端がシャフト2に接続され、他端がリング62に接続される。リング62は、環状部材であり、リング62の内部に針が挿通可能に設置される。リングシャフト61の長さやリング62のサイズが調整されることによって、針81がボディ1側へ移動してリング62から外れてしまったり、針81がリング62に絡んだりすることはない。
【0127】
リングシャフト61の長さに応じて、ルアー10の後部に設けられたフックアイ12とリング62までの距離が調節される。フックアイ12とリング62までの距離は、設置されるスプリットリング13の直径ほどの長さであることが望ましい。これよりも長くしていくと、リング62によって針81の動作範囲が狭まり、針の動きが小さくなっていく。この距離を更に長くすると、リング62が針81の針先に近すぎるため、魚に針81がかかりにくくなってしまう。反対にフックアイ12とリング62までの距離を短くしていくと、リング62によって針81の動作範囲を抑制できず、針81の動きが大きくなる。その結果、針81がボディ1に絡むようになる。
【0128】
スプリットリング13や針81がリング62の開口内部に当接することから、リング62の開口サイズに応じて、針81の動作範囲が調節される。これにより、針81がボディ1に届かないように調節できることから、針81がボディ1に絡まなくなる。
図29では、針81がシングルフックの例を示したが、針81はダブルフックでもよいしトリプルフックでもよい。いずれの場合でもリング62によって針81の動作範囲が制御されるため、針81はボディ1に絡まなくなる。
【0129】
針81の動作範囲を大きくしたい場合には、リング62のサイズを大きくし、針81の動作範囲を小さくしたい場合は、リング62のサイズを小さくする。但し、リング62のサイズを大きくしすぎると、針81がリング62を通り抜けてボディ1側へ移動してリング62から外れてしまったり、針81がリング62に絡んでしまったりする。また、ルアー10のバランスが悪くなり、ルアー10のアクションを阻害してしまう。設置されるスプリットリング13が内側を通らなくなるほどリング62のサイズを小さくしすぎると、スプリットリング13を外しにくくなり針81を交換しづらくなる。
【0130】
リング62の形状は、例えば円形である。なお、リング62の形状は円形に限られず、例えば、楕円形、三角形、四角形など任意である。リング62の形状を工夫することによって、針などの動作範囲や動作方向を調節できる。
【0131】
以下、針動作抑制具60の実施例及び製作方法について説明する。
針動作抑制具60は、例えばシャフト2を形成するための線状部材の後端が延長されることによって形成される。具体的には、まず、
図30(A)に示すように、ステンレス線等の線状部材からなるシャフト2を形成する際、フックアイ12を形成する。その際、シャフト2よりも後端側の線状部材の余長を切らずに残しておく。
【0132】
そして、
図30(B)に示すように、フックアイ12の次に線状部材によってリング62を形成する。フックアイ12とリング62の間の線状部材は、リングシャフト61となる。
図30(C)に示すように、シャフト2の軸方向の延長上にリング62が配置されるように線状部材が曲げられる。これにより、針動作抑制具60が形成される。
図30(D)に示すように、針81は、スプリットリング13を介してフックアイ12に接続される。このとき、針動作抑制具60のリング62の内部に針81のアイ側が挿通される。
【0133】
また、針動作抑制具60は、シャフト2とは別の線状部材によって形成されて、シャフト2に接続され固定されてもよい。具体的には、
図31(A)に示すように、針動作抑制具60は、リングシャフト61と、リング62と、支持部63を備える。ステンレス線等の線状部材の一端側にリング62を形成し、線状部材の他端側において、支持部63を形成する。支持部63は、コイル形状を有し、例えば、線状部材がらせん状に巻回されることによって形成される。形成されたリング62と支持部63の間の線状部材は、リングシャフト61となる。これにより、針動作抑制具60が形成される。
【0134】
図31(B)に示すように、コイル形状を有する支持部63の内部には、シャフト2が挿通される。針動作抑制具60の支持部63は、シャフト2のフックアイ12の位置まで通される。支持部63とフックアイ12が互いに当接する位置で、シャフト2に対して支持部63を接着剤等で固定する。これにより、シャフト2と針動作抑制具60が一体化される。
【0135】
さらに、針動作抑制具60は、
図32に示すように、使用の耐えられる強度を有するステンレス等の金属製の成形部材として形成されてもよい。針動作抑制具60は、リングシャフト61と、リング62と、支持部63を備える。支持部63は、例えば管状部材である。リングシャフト61の一端側にリング62が一体的に形成され、リングシャフト61の他端側に支持部63が一体的に形成される。
図32に示す針動作抑制具60についても、
図31(B)で示したように、支持部63の内部にシャフト2が挿通され、支持部63とフックアイ12が互いに当接する位置で、シャフト2に対して支持部63が接着剤等で固定される。
【0136】
なお、
図31及び
図32のいずれの場合も、支持部63は、シャフト2に対して接着剤等で固定されなくてもよい。すなわち、ボディ1がシャフト2に沿って動く範囲(遊び)が小さくなるように、ボディ1の前後にビーズ8又はビーズ9を1個以上設置する。または、ビーズ8,9を2個以上設置しなくてもボディ1がシャフト2に沿って動く範囲(遊び)が小さくなるように、シャフト2の長さを適切に調節する。これにより、ボディ1及び針動作抑制具60がシャフト2に沿って移動しすぎないことから、針81の動作範囲を抑制できなくなることを防止できる。
【0137】
以上、針動作抑制具60によれば、針81がトリプルフックの場合においても、針81がボディ1に絡むことを確実に防止できる。ルアーに対して針が動かないように固定すると、魚に針がかかりにくくなり、また、魚をかけても針が魚からはずれやすくなってしまう。これに対して、針動作抑制具60は、リング62によって針81の動作範囲が抑制されるが、適切な可動範囲を実現できるため、固定された針に比べて、魚がかかりやすく、魚がかかったときは針が魚から外れにくい。針動作抑制具60にはリングシャフト61やリング62が設けられるが、針81とフックアイ12を接続するためのスプリットリング13を外すことができるため、針81の交換も可能である。
【0138】
<針動作抑制具60の他の適用例>
上述した針動作抑制具60は、
図9(C)に示したボディ1の下部に重り14と針82を装着したルアー10にも適用可能である。
図33には、針動作抑制具60を適用したルアー10を示している。このルアー10には針81,82としてトリプルフックがボディ1の中央下部と後部に使用されている。そして、後部の針81に対して、針動作抑制具60の支持部63がコイル状に形成されたものが取り付けられている。なお、針81,82は、トリプルフックではなく、シングルフック又はダブルフックでもよい。
【0139】
図33において、重り14には貫通孔が形成され、重り14の貫通孔には、アイ6を形成して延長されたアーム15の線材の先端が通される。アーム15の端部には、ルアー10の中央下部付近にアイ23が形成される。重り14はアーム15に対して接着剤等によって固定される。針82は、スプリットリング13を介してアイ23に取り付けられる。
【0140】
中央下部の針82に対して適用される針動作抑制具60は、リングシャフト61の前方側の端部が重り14に形成された貫通孔に挿通されて、接着剤等によって固定される。リングシャフト61は、
図33に示すように、ボディ1側に位置させることが望ましい。これにより、針81を交換する際にリングシャフト61が邪魔にならず、スプリットリング13の取り外しが容易になる。
図33に示す例では、アイ23からリング62までの距離は、スプリットリング13の直径と針82のアイ82aの直径の合計長さであり、針82のアイ82a側がリング62内を通った状態である。このような長さに設定することによって、針82は動く範囲が抑制されてボディ1に絡まない。また、針82が適切に動くため、魚がかかりやすく、かつ、釣り上げているときに魚が外れにくくなる(バラしにくくなる)。
【0141】
リングシャフト61の長さやリング62のサイズ、及び、リングシャフト61に対するリング62の角度を調整することによって、針82の動作範囲を制御できる。リングシャフト61の長さを短くすると、針82の動作範囲が大きくなり、短くしすぎると針82がボディ1に絡むおそれが生じる。リングシャフト61の長さを長くすると、針82の動作範囲が小さくなり、長くしすぎると針先とリング62が近くなるため、魚の口にかかりにくくなる。
【0142】
リング62のサイズを大きくすると、針82の動作範囲が大きくなり、リング62のサイズを小さくすると、針82の動作範囲が小さくなる。
【0143】
リングシャフト61に対するリング62の角度を調節することによって、針82の動作方向が制御可能である。
図33に示すように、ほぼ水平方向のリングシャフト61に対して、リング62が下方向に傾斜するように調節することで、針82がボディ1に触れないようにして、できるだけ下方向に針82が動くようにすることができる。
【0144】
図34(A)には、重り57がアーム(シンカーシャフト)15に固定されず、アイ23を介してアーム15の先端に重り57がぶら下げられているルアー10を示す。重り57には、アーム15の先端のアイ23に接続される上部アイ58と、針82を接続するためのフックアイ59が設けられる。ワッシャー64は、上部アイ58と重り57の間に設置される。これにより、重り57が前方に振れたとき、ワッシャー64がアーム15と接触することで、前方への重り57の動きを抑制でき、針82がアーム15に絡まない。上部アイ58とフックアイ59は、同一のステンレス線等の線状部材によって形成される。線状部材は、ワッシャー64と重り57の内部を挿通されて、線状部材の一端に上部アイ58が形成され、線状部材の他端にフックアイ59が形成される。
【0145】
重り57は、アーム15の先端でぶら下げられた状態であるため、所定の範囲で自在に動くことができる。重り57は、例えば鉛、タングステンなどである。重り57がルアー10の中央下部に位置するように取り付けられることで、ルアー10が水中を沈下する際に水平姿勢が維持され、ボディ1が回転する。
【0146】
重り57に取り付けられる針82は、スプリットリング13を介してフックアイ59と接続される。また、重り57には、フックアイ59の下方において円弧状のリング65が設けられる。リング65の両端は重り57に固定されており、リング65と重り57の間に針82のアイ82a側が通るように針82がフックアイ59に接続されている。これにより、針82の動作範囲が制御され、針82がボディ1やアーム15に絡みにくくなる。
【0147】
図34(A)に示したルアー10は、水中で引かれると、重り57が左右に揺れて、ボディ1の回転が時計回りから反時計回りに、又は反時計回りから時計回りに変化する。この回転方向の変化が繰り返されることにより、ルアー10は、揺れ動いたり蛇行したりして泳ぐ。このようなルアー10の動きは、ボディ1を形成する板状部材の厚さや、金属又はプラスチック等の板状部材の材質、ボディ1のサイズ、重り57の重さによって変化する。これらを適宜選択、調整することで、ルアー10の揺れる動きを大きくしたり、蛇行しやすくしたりすることができる。反対に、ルアー10が揺れ動かず、蛇行しないように調整することもできる。
【0148】
図34(A)に示したルアー10において、アーム15の先端のアイ23に重り57の上部アイ58が直接接続される。これにより、アイ23と上部アイ58がスプリットリングを介して接続される場合と異なり、重り57の動きが大きくなり過ぎず、針82がボディ1やアーム15に絡みにくくなる。重り57の形状は、特に限定されないが、
図34(A)に示すように、ナス型のものが横に振れやすく、ルアー10が揺れ動いたり蛇行したりしやすい。
【0149】
図34(B)に示すように、重り57は、針が取り付けられるものに限られず、針のないものでもよい。この場合は、針が取り付けられていないため、重り57が大きく動いてもボディ1に絡むことがない。そのため、重り57の動きを制御する必要がないので、スプリットリング13を介してアーム15の先端のアイ23に重り57の上部アイ66が取り付けられてもよい。スプリットリング13を用いる場合は、重り57の交換が可能になる。例えば、より重量のある重り57に交換することで、水深のある場所でルアー10を底の方に沈めて使用することができる。
【0150】
図35には、ボディ71が本発明のものではなく、一般的なものを使用したルアー70を示している。ルアー70は、針81とブレード72が接続されたシンキングペンシルである。
図35に示すように、シンキングペンシル等のプラグなどに対して、針動作抑制具60や、針81及びブレード72を装着することによって、ブレード72の回転による音や振動が得られる。なお、
図35で示したボディ71は、シンキングペンシルであるが、ボディ71は、ミノーやペンシルベイト、クランクベイト等のプラグ、また、メタルジグとしてもよい。
【0151】
針動作抑制具60は、以下のとおり、針によってボディ71に傷跡がつくのを防止するために使用することもできる。上述したプラグは通常、後部のアイ73には、針81及びブレード72ではなく、トリプルフックの針がスプリットリングによって接続されている。この後部に取り付けられた針(リアフック)や、前部に取り付けられたトリプルフックの針83(フロントフック)に針動作抑制具60を適用することにより、トリプルフックの針先がボディ71に接触し、塗装が剥げて傷跡(この傷跡は、ローリングマークと呼ばれている。)が付くことを防止でき、ルアー70を長持ちさせることができる。
【0152】
図35に示すように、針動作抑制具60が設けられるルアー70において、後部のスプリットリング76には、針81だけでなく、ブレード72が装着されてもよい。
図35には、ボディ71の後部のアイ73において、スプリットリング74、スイベル75、スプリットリング76が順に接続されている。スイベル75が設けられることによって、ブレード72が回転可能になる。ブレード72は、ルアー70が水中で引かれたとき、又は、沈下するとき回転する。ブレード72と共にスプリットリング76に針81が接続されることによって、ブレード72に魚が噛みついたときにも魚を釣ることができる。針81もスイベル75によってブレード72と一緒に回転可能である。なお、スプリットリング76において、ブレード72のみが装着されて、針81がない構成でもよい。
【0153】
リングシャフト61は、前方側の一端がボディ71の後部に固定される。リング62がブレード72の回転を妨げない程度にリングシャフト61の長さが調整される。リング62の直径は、ブレード72の幅(ブレード72の長手方向に対して垂直方向の長さ)よりも小さいことが望ましい。これにより、ブレード72と針81がボディ71側に移動して、リング62内を通過してしまい、リング62から外れてしまうことを防止できる。但し、ブレード72の回転が妨げられないように、リング62を小さくしすぎないほうがよい。
【0154】
ルアー70を引いてくると、ブレード72が回転し、リング62にブレード72がぶつかる。ブレード72はリング62にぶつかりながら回転するため、ぶつかったときに音が発生する。リング62にブレード72がぶつかったとき生じる振動は、リングシャフト61を介してボディ71まで伝達し、ボディ71が振動する。これに対して、針動作抑制具60のない従来の構成では、ブレード72の衝突音が発生せず、また、ボディ71の振動も弱い。
【0155】
上述したとおり、針動作抑制具60は、ルアーに設けられる針以外のブレード72に対しても動作範囲を制御することができる。したがって、ルアーにおいて針ではない他の仕掛け用部品(ブレードやワイヤなど)の動作を抑制したい部分に、針動作抑制具が設置されてもよい。以下、針動作抑制具を部品動作抑制具という。
【0156】
例えば、
図36に示すように、ブレード72を使用したスピナーベイトなどのルアー90において、ブレード72の近傍に部品動作抑制具68が装着される。部品動作抑制具68のリングシャフト61は、アーム17に接続される。ブレード72の前部が部品動作抑制具68のリング62に収容され、リング62によってブレード72の動作範囲が抑制される。ブレードを使用した、部品動作抑制具68がない従来のルアー(スピナーベイト)と異なり、
図36に示したルアー90では、ブレード72が回転又は揺れ動くと、部品動作抑制具68のリング62にブレード72がぶつかり音が発生する。このように、ブレード72がリング62にぶつかることによって、ルアー90全体が振動し、従来のルアーに比べて振動が大きくなる。
【0157】
また、
図37に示すように、ブレード72の代わりに本実施形態に係るシャフト2及びボディ1が取り付けられているワイヤーベイトのルアー20において、部品動作抑制具68がボディ1の前方に装着される。部品動作抑制具68のリングシャフト61は、アーム17に接続される。ルアー20は、シャフト2の前部がリング62に収容されて、シャフト2及びボディ1の動作範囲が抑制される。
図37に示した例では、シャフト2の前部には、アイ6とビーズ8の間にチューブ67が設けられており、チューブ67の内部にはシャフト2が挿通されている。チューブ67は、ボディ1の前方へのずれを防止する。チューブ67は、プラスチック製又は金属製などである。金属製のチューブ67は、リング62とぶつかることによって音が発生する。ワイヤーベイトのルアー20では、ボディ1のサイズを大きくすると、ボディ1の下方に位置する針82が環状部3に入り込み、ボディ1に絡まるおそれがある。部品動作抑制具68を用いることによって、シャフト2及びボディ1の動作範囲を抑制でき、針82とボディ1の絡まりを防止できる。
【0158】
さらに、
図38に示すように、ルアー70において、部品動作抑制具68がボディ71とワイヤ47との接続部分に装着される。ルアー70は、ミノー等のプラグなどのボディ71の後部のアイ73にワイヤ47が接続される。ワイヤ47は、一端にフックアイ49を介して針85が設けられ、他端にアイ50を介してボディ71が接続される。アイ50は、スプリットリング74によって、ボディ71の後部のアイ73に接続される。また、ワイヤ47のアイ50側の端部には、部品動作抑制具68のリングシャフト61が接続される。ボディ71の後部は、部品動作抑制具68のリング62に収容される。
【0159】
これにより、リング62にボディ71の後部が当たるため、ワイヤ47の動作範囲が抑制される。部品動作抑制具68が設けられずに、
図23等で示した開閉式アイ48などによってボディ71の後部のアイ73にワイヤ47が装着された場合、ワイヤ47が自由に動ける範囲が広すぎるため、ボディ71にフロントフックとして設置された針83や糸にワイヤ47や針85が絡まりやすい。これに対して、部品動作抑制具68を使用することによって、ワイヤ47の動作範囲を抑制でき、ボディ71の針83や糸にワイヤ47や針85が絡まりにくくなる。なお、
図38では、針85にワーム86が取り付けられた例を示しているが、ワーム86の代わりにタコベイト、フェザーなどが取り付けられてもよい。また、ボディ71がミノー以外のペンシルベイト等のプラグとされた場合にも、同じように部品動作抑制具68を装着可能である。
【0160】
またさらに、例えば、
図23から
図25に示したルアー40において部品動作抑制具を適用できる。重り37の下部のワイヤアイ38に取り付けられたワイヤ47に対して部品動作抑制具を設置することにより、ワイヤ47の動作範囲を抑制でき、小さな範囲でタコベイト29を泳がせることができ、針85が糸に絡みにくくなる。
【0161】
<ボディ1,41の形状及び比重について>
次に、ボディ1,41の形状及び比重について説明する。
上述したとおり、ルアー10,20,30,40は、糸によって引かれたときや、沈下するときにおいて、ボディ1,41が回転するようにボディ1,41が構成される。但し、ボディ1,41の形状によっては、ボディ1,41が回転しづらい場合や回転しない場合がある。
【0162】
第1実施形態に係る尾部4のあるボディ1、第4実施形態に係る尾部4のないボディ41のいずれの場合も、円形ではなく、楕円形とすることで回転しやすくなる傾向にある。楕円形を有する場合であっても、円形に近い形状では、回転しづらい場合、又は、回転が生じない場合がある。
【0163】
また、ボディ1,41の環状部3の幅(
図1及び
図17参照)が回転のしやすさに影響する。環状部3の幅が広いほうが回転やすく、環状部3の幅が狭いほうが回転しづらくなる。
【0164】
さらに、ボディ1,41の材質も回転のしやすさに影響する。例えば、比重の小さいアルミニウムよりも比重の大きい真鍮のほうが回転しやすい傾向にある。ボディ1,41の重さに関して、尾部4のないボディ41では1g以下の場合、ボディ41の回転が生じにくいという知見が得られた。
【0165】
また、発明者は、シャフト2がボディ41の環状部3の中心軸と一致するように設けられている場合において、ボディ41の材質が真鍮又はアルミニウムであるときのボディ41の環状部3の形状と回転の関係を調べた(重さ1g以下)。
図39Aから
図39Dは、ボディ41の回転に関して、ボディ41の環状部3の高さに対する長さの割合とボディ41の環状部3の幅の関係を示すグラフである。
図39Aには、真鍮製のボディ41が引かれる時、
図39Bには、真鍮製のボディ41が沈下する時、
図39Cには、アルミニウム製のボディ41が引かれる時、
図39Dには、アルミニウム製のボディ41が沈下する時それぞれの回転に関する結果を示している。
【0166】
形状と回転の関係を調べるため、対象としたボディ41の環状部3の形状は、真円形(真鍮:外径15mm、アルミニウム:外径25mm)から1mmずつ高さを低く設定していった(それに伴い、長さが長く設定される。)(環状部3の高さ及び長さについて
図18(C)参照)。各形状において、糸によってルアー40が引かれる場合、及び、ルアー40が沈下する場合の回転の有無を観察した。
【0167】
図39Aに示すように、真鍮製のボディ41が引かれる時、環状部3の幅が7mmである場合、環状部3の高さに対する長さの割合が約1.8を超えると、確実に回転し、環状部3の幅が4mmである場合であっても、環状部3の高さに対する長さの割合が約3.7を超えると、確実に回転する。
図39Bに示すように、真鍮製のボディ41が沈下する時、環状部3の幅が7mmである場合、環状部3の高さに対する長さの割合が約1.4を超えると、確実に回転し、環状部3の幅が4mmである場合であっても、環状部3の高さに対する長さの割合が約2.0を超えると、確実に回転する。
【0168】
図39Cに示すように、アルミニウム製のボディ41が引かれる時、環状部3の幅が7mmである場合、環状部3の高さに対する長さの割合が約5.3を超えると、確実に回転するが、環状部3の高さに対する長さの割合が約9.5前後で回転が不安定になる。環状部3の幅が5mmである場合は、環状部3の高さに対する長さの割合が約6.5で、確実に回転する。
図39Dに示すように、アルミニウム製のボディ41が沈下する時、環状部3の幅が7mmである場合、環状部3の高さに対する長さの割合が約3.6を超えると、確実に回転するが、環状部3の高さに対する長さの割合が約9.5前後で回転が不安定になる。環状部3の幅が4mmである場合は、環状部3の高さに対する長さの割合が約7.4で、確実に回転する。
【0169】
図39Aから
図39Dに示されるとおり、ルアー40を引く時とルアー40が沈下する時において、アルミニウムよりも真鍮のほうが回転しやすい形状が多い。すなわち、環状部3の幅が狭い場合(例えば4mm)や、環状部3の高さに対する長さの割合が小さい(真円形に近い形状)場合、反対に高さに対する長さの割合が大きい(より細長い楕円形状)場合でも真鍮のほうがアルミニウムよりも回転しやすい。
【0170】
また、ルアー40を引く時とルアー40が沈下する時において、真鍮、アルミニウムのいずれの場合も、環状部3は、円形に近い形状よりも、楕円形とすることで回転しやすくなる。ただし、アルミニウムの場合、環状部3の高さに対する長さの割合が7以上で、より細長い楕円形状の場合には回転しづらくなる。また、環状部3の幅が4mmから7mmと広くなるにつれて回転しやすくなる傾向にある。
【0171】
<比較例について>
発明者は、米国特許第4881341号明細書(以下「米国特許明細書」という。)に掲載のルアー(比較例)について実験を行い、本実施形態に係るルアーとの比較を行った。本実施形態では、ルアー10,20,30,40が水平状態を維持しながら沈下するように、シャフト2に通したビーズ8,9や
図11に示す重り14で調節して、前後の重さが同じにされている。米国特許明細書に記載されたルアーは、本実施形態と異なり、水平状態を維持しながら沈下する構成を有していない。また、本実施形態ではカップワッシャー11によって針81がボディ1等に絡まないようにしている。これに対して、米国特許明細書に記載されたルアーは、針のサイズを大きくすると、回転するボディやボディ内のシャフトに針が絡みやすい。
【0172】
米国特許明細書のFIG.1に記載されたルアーは、スピナ20,30は、環形状を有さず、それぞれ独立した楕円の一部である楕円弧形状である。明細書の記載によると、スピナ20は、幅が0.1875インチ、曲げる前の長さが3インチであり、スピナ30は、幅が0.375インチ、曲げる前の長さが1.5インチである。
【0173】
米国特許明細書のFIG.1に記載されたルアーは、
図40に示すように、沈下時において、水平状態を維持して沈下した。スピナ30は、矢印の方向に必ず回転し、スピナ20は、回転することなく、シャフト12に対して下方に位置して垂れ下がった状態で左右に細かく揺れ動いた。また、スピナ30とシャフト12がこすれて音が発生した。
【0174】
米国特許明細書のFIG.1に記載されたルアーは、
図41に示すように引かれると、スピナ20が矢印の方向に回転し、スピナ30は、シャフト12に対して下方に位置して垂れ下がった状態となる。ルアーを何回か試みて引いてくると、スピナ30が回転する場合もあったが、回転方向はスピナ20と同じ方向となる。これは、スピナ20が回転するとシャフト12も一緒に回転し、シャフト12の回転につられてスピナ30がスピナ20と同一方向に回転するためと推測される。米国特許明細書には、スピナ20とスピナ30が逆方向に回転すると記載されているが、本願の発明者が作製した米国特許明細書のFIG.1に記載されたルアーではスピナ20とスピナ30が逆方向に回転する動きは観察されなかった。
【0175】
米国特許明細書のFIG.3に記載されたルアーは、スピナ60は、環形状を有さず、楕円の一部である楕円弧形状であり、スピナ65は、環形状を有するが、図面によると、短手方向長さに対する長手方向長さの割合は、約1.11である。明細書の記載によると、スピナ65は、幅が0.1875インチ、曲げる前の長さが4インチである。
【0176】
米国特許明細書のFIG.3に記載されたルアーは、
図42に示すように、沈下時において、水平状態を維持して沈下した。このとき、スピナ60は、シャフト62に対して下方に位置して垂れ下がった状態で、左右に細かく揺れ動いた。スピナ65は、動いたとしてもわずかに揺れ動く程度であり、ほとんど動かなかった。
【0177】
米国特許明細書のFIG.3に記載されたルアーは、
図43に示すように引かれると、スピナ60とスピナ65は、それぞれ矢印の方向に回転する。スピナ60とスピナ65の回転方向は異なり、逆方向に回転する。スピナ60,65の回転方向は一定であり、
図42に示した矢印の方向に必ず回転する。また、スピナ60,65は回転時にシャフト62とこすれて音が発生した。
【0178】
米国特許明細書のFIG.4に記載されたルアーは、スピナ70,75は、それぞれ環形状を有するが、図面によると、短手方向長さに対する長手方向長さの割合は、スピナ70が約1.29であり、スピナ75が約1.25である。明細書の記載によると、スピナ70は、幅が0.25インチ、曲げる前の長さが5インチであり、スピナ75は、幅が0.3125インチ、曲げる前の長さが4インチである。
【0179】
米国特許明細書のFIG.4に記載されたルアーは、
図44に示すように、沈下時において、後部が少し下がった状態で矢印の方向に沈下した。スピナ70とスピナ75は、回転しなかった。
【0180】
米国特許明細書のFIG.4に記載されたルアーは、
図45に示すように、矢印の方向に引かれた場合、スピナ70とスピナ75は、回転しづらく、回転したり回転しなかったりする。ルアーが速い速度で引かれると、スピナ70とスピナ75は、両方とも図示した矢印のとおり同一の方向に回転する。外側のスピナ70に比べて、内側のスピナ75のほうが回転しやすい。スピナ70が回転せずに内側のスピナ75のみが回転する場合もある。米国特許明細書には、スピナ70とスピナ75が逆方向に回転すると記載されているが、本願の発明者が作製した米国特許明細書のFIG.4に記載されたルアーではスピナ70とスピナ75が逆方向に回転する動きは観察されなかった。これは、内側のスピナ75が外側のスピナ70に比べて回転しやすいため、スピナ75が回転するとシャフト72も一緒に回転し、シャフト72の回転につられてスピナ70がスピナ75と同一方向に回転するためと推測される。
【0181】
<ボディ1,41のねじれについて>
また、発明者は、ボディ41の前部のみ又はボディ41の前部及び後部においてシャフト2に対するねじれが形成されている場合(
図46(A)から(C))と、ボディ1,41の両側の端部においてシャフト2に対するねじれが形成されていない場合(
図46(D)及び(E))と、ボディ41の後部においてシャフト2に対するねじれが形成されている場合(
図46(F))の比較を行った。
【0182】
ボディ1,41の素材は、真鍮である。尾部4のないボディ41については、曲げる前の板材の長さが100mm、幅は10mmであり、尾部4のあるボディ1については、曲げる前の板材の長さが130mm、幅は10mmであって、尾部4の長さをそれぞれ15mmとした。環状部3の楕円の大きさは、尾部4の有無に関わらず等しい。シャフト2に通されたビーズ8,9は、同じ大きさのブラス(真鍮)製である。シャフト2は、径0.8mmのステンレス製である。
【0183】
図46(A)に示すように、ボディ41の前部のみにねじれが形成されている場合、沈下時において、ボディ41は、回転しながら水平の状態に保たれたまま沈む。ボディ41の回転方向は一方向ではなく、都度変化する。シャフト2の軸方向に対して平行にボディ41を見たとき、ボディ41は時計回りに回転したり反時計回りに回転したりする。ボディ41の回転方向は釣り手の意志でコントロールすることはできない。
【0184】
また、
図46(A)に示すように、ボディ41の前部のみにねじれが形成されている場合、糸によってルアー40が引かれると、
図46(A)の矢印に示すように、ボディ1は必ず同じ方向に回転し、反対方向には回転しない。沈下時に矢印とは反対方向に回転したとしても、糸によってルアー40が引かれると、ボディ41は矢印の方向の回転に切り替わる。ボディ41は矢印の方向のみに回転するため、ルアー40を引いている釣り手から見るとルアー40が左方向に少しずつ曲がって進む。ボディ41の回転速度は、沈下時に比べてやや遅い。ルアー40が速く引かれると、ボディ41の回転はさらに遅くなる。
【0185】
図46(B)に示すように、ボディ41の前部のみに形成されるねじれの度合いが
図46(A)の例よりも大きい場合、沈下時の動きは
図46(A)と同じである。糸によってルアー40が引かれるときの動きも
図46(A)と同じであるが、違いとしては、沈下時とほぼ同じ回転速度でボディ41が回転する点にある。ルアー40が速く引かれると、ボディ41の回転速度は増加する。
【0186】
図46(C)に示すように、ボディ41の前部に形成されるねじれの度合いが
図46(B)の例よりもさらに大きい場合、ボディ41の後部にもねじれが形成される。この場合、沈下時において、ボディ41は回転しながら沈下するが、沈下時における姿勢が安定せず、前部側又は後部側のいずれかが少し下がった状態で沈下しやすくなり、安定して水平に保たれにくい。また、ボディ41の回転方向は一方向ではなく、都度変化する。シャフト2の軸方向に対して平行にボディ41を見たとき、ボディ41は時計回りに回転したり反時計回りに回転したりする。
【0187】
また、
図46(C)に示す例では、糸によってルアー40が引かれると、回転速度は、沈下時に比べて遅く、ルアー40が速く引かれた場合でも、沈下時の回転速度よりも遅い。回転方向は、一定ではなく、引かれている途中で回転方向が変化する場合もある。ルアー40が速く引かれると、回転速度が少し増加するが、一方向にしか回転しなくなる。ルアー40は蛇行しながら泳ぐ動きをすることもある。
【0188】
図46(D)に示すように、ボディ41の前部及び後部にねじれが形成されない場合、沈下時において、ボディ41は、回転しながら水平に保たれたまま沈む。ボディ41の回転方向は一方向ではなく、都度変化する。シャフト2の軸方向に対して平行にボディ41を見たとき、ボディ41は時計回りに回転したり反時計回りに回転したりする。
【0189】
また、
図46(D)に示す例では、糸によってルアー40が引かれるとき、ボディ41の回転速度は、前部及び後部にねじれが形成されたボディ41や尾部4が設けられたボディ1よりも遅い。回転方向は、一定ではなく、引かれている途中で回転方向が変化する場合もある。ルアー40が速く引かれると、ボディ1は回転しにくくなる。ルアー40は蛇行しながら泳ぎやすい。
【0190】
図46(E)に示すように、ボディ1の後部に尾部4が設置されて、かつ、ボディ1の尾部4にねじれが形成されない場合、沈下時において、ボディ1は、回転しながら水平に保たれたまま沈む。ボディ1の回転方向は一方向ではなく、都度変化する。シャフト2の軸方向に対して平行にボディ1を見たとき、ボディ1は時計回りに回転したり反時計回りに回転したりする。
【0191】
また、
図46(E)に示す例では、糸によってルアー10が引かれると、ボディ1の回転速度は、沈下時に比べて遅くなる。
図46(E)のボディ1は、
図46(D)に示したボディ41よりも回転しやすい。ボディ1の回転方向は、一定ではなく、引かれている途中で回転方向が変化する場合もある。ルアー10は蛇行しながら泳ぐ動きをすることもある。ルアー10が速く引かれた場合、ボディ1は回転しにくくなる。
【0192】
図46(F)に示すように、ボディ1の後部に尾部4が設置されて、かつ、ボディ1の尾部4にねじれが形成される場合、沈下時において、ボディ1が回転しながら水平に保たれたまま沈む。ボディ1の回転方向は一方向ではなく、都度変化する。シャフト2の軸方向に対して平行にボディ1を見たとき、ボディ1は時計回りに回転したり反時計回りに回転したりする。
【0193】
また、
図46(F)に示す例では、糸によってルアー10が引かれると、ボディ1の回転速度は、沈下時と同じくらいの速度で回転する。
図46(F)の矢印に示すように、ボディ1は必ず同じ方向に回転し、反対方向には回転しない。ルアー10が速く引かれると、ボディ1の回転速度は増加する。
【0194】
上述した
図46(A)から
図46(F)の6つの実施例について、沈下時のボディ1,41の回転速度は、ほぼ変わらない。沈下時におけるボディ1,41の回転方向は、一方向ではなく、都度変化する。シャフト2の軸方向に対して平行にボディ1,41を見たとき、ボディ1,41は時計回りに回転したり反時計回りに回転したりする。
【0195】
図46(A)から
図46(F)の6つの実施例について、ボディ1,41は水平に保たれながら沈下する。但し、
図46(C)に示すように、ボディ41の前部に形成されるねじれの度合いが大きく、ボディ41の後部にもねじれが形成される場合は、沈下姿勢が安定せず、水平に保たれた状態で沈下しないことがある。
【0196】
ルアー10,40が引かれたとき、
図46(A)及び
図46(B)に示すように、ボディ41の前部のみにねじれが形成される場合や、
図46(F)に示すように、ボディ1の後部に尾部4が設けられて、かつ、ボディ1の尾部4にねじれが形成される場合、ボディ1は必ず同じ方向に回転し、反対方向には回転せず、直線的な動きになる。他方、
図46(C)に示すように、ボディ41の前部と後部にねじれが形成される場合や、
図46(E)に示すように、尾部4にねじれが形成されずにボディ1の後部に尾部4が設置される場合、ボディ1,41の回転方向は、一定ではなく、引かれている途中で回転方向が変化し、ルアー10,40は蛇行しながら泳ぐ動きをすることもある。
図46(D)に示すように、ボディ41の前部及び後部にねじれが形成されない場合において最も蛇行しやすくなる。
【0197】
ねじれが形成されているボディ1,41において、ねじれが形成されていることによって、シャフト2との交差部分で摩擦が大きくなることはないと推測される。摩擦によって、ボディ1,41が回転しづらくなったり、シャフト2とボディ1,41が回転時こすれて大きな音が発生したりすることもなかった。
【0198】
実際に釣りをしているときの魚の反応を見ながら、ボディ1,41の回転速度やルアー10,40が引かれるときの動きを考慮して、上述したルアー10,40を使い分けると、釣果につながる可能性がある。例えば、ボディ1,41の回転が速く直線的に泳ぐルアー10,40を選択したい場合は、
図46(B)に示すように、前部のみにねじれが大きく形成されたボディ41や、
図46(F)に示すように、後部に尾部4が設けられて、かつ、尾部4にねじれが形成されたボディ1がよい。また、ボディ1,41の回転が遅く蛇行して泳ぐルアー10,40を選択したい場合は、
図46(D)に示すように、前部及び後部にねじれが形成されておらず尾部4のないボディ41や、
図46(E)に示すように、前部及び後部にねじれが形成されておらず尾部4のあるボディ1がよい。
【符号の説明】
【0199】
1,41 :ボディ
2 :シャフト
3 :環状部
4 :尾部
5 :貫通孔
6 :アイ
7 :スイベル
8,9 :ビーズ
10,20,30,40 :ルアー
11 :カップワッシャー
12 :フックアイ
13 :スプリットリング
14,33,37,57 :重り
15,15A,17 :アーム
16 :クレビス
18 :ヘッド
27 :シンキングペンシル
29 :タコベイト
60 :針動作抑制具
61 :リングシャフト
62 :リング
63 :支持部
80 :糸
81,82,83,84,85 :針
【要約】
【課題】ボディをシャフト周りに確実に回転させながら、安定して水平姿勢を維持させたまま沈ませたり、引かれる時に不規則な軌道で進行させたりすることが可能なルアーを提供すること。
【解決手段】ルアー10は、板材であって、楕円形又は長円形に形成された環状部3を有するボディ1を備え、ボディ1は、環状部3の長手方向に沿った軸を中心にして回転可能であり、環状部3の短手方向の長さに対する長手方向の長さの割合は1.4を超える。
【選択図】
図1