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特許7594326液体計測装置及び液体計測装置を用いた生薬の効能判定方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】液体計測装置及び液体計測装置を用いた生薬の効能判定方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/15 20060101AFI20241127BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20241127BHJP
   G01N 33/14 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
G01N33/15 Z
G01N27/416 341G
G01N33/14
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023193132
(22)【出願日】2023-11-13
【審査請求日】2024-02-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】723016122
【氏名又は名称】今田 幸太
(72)【発明者】
【氏名】今田 幸太
【審査官】大瀧 真理
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-170912(JP,A)
【文献】特開2006-094837(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102590321(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101766654(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/14 - 33/15
G01N 27/26 - 27/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
判定対象物の電気的な活性変動を記録することにより生薬の効能の有無を判定する方法であり、液体計測装置(1)を用いて判定対象物の種類ごとに作成された生薬の効能判定手順に従って作成された判定対象の液体(9)を液体計測装置(1)の電極装置(2)に密閉するように収容し、かかる状態の判定対象の液体(9)を収容した電極装置(2)の第1電極(4)及び第2電極(5)と判定対象の液体(9)の反応から発生する電圧または電流の揺れを判定対象物の種類ごとに作成された生薬の効能判定手順の通り計測記録装置(3)を用いて計測記録し、その計測記録を判定対象物の種類ごとに作成された生薬の効能判定基準と比較する事によって生薬の効能の有無を判定する
ことを特徴とする生薬の効能判定方法。
【請求項2】
定対象物の種類ごとに作成された生薬の効能判定手順の通りに前記液体計測装置(1)を使用して判定対象物の生薬の効能の有無を判定した後の前記判定対象の液体(9)を収容した状態の前記電極装置(2)または判定対象物の種類ごとに作成された生薬の効能判定手順に従って作成された前記判定対象の液体(9)を収容した前記電極装置(2)を静置する。判定対象物の種類ごとに作成された生薬の効能判定手順に指定された静置時間経過後、前記電極装置(2)内部および前記第1電極(4)と前記第2電極(5)の表面に析出する析出物を判定対象物の種類ごとに作成された生薬の効能判定基準と比較する事によって生薬の効能の有無を判定する
ことを特徴とする請求項1記載の生薬の効能判定方法。
【請求項3】
前記請求項1または前記請求項2記載の生薬の効能判定手順であり生薬の効能が確認された判定対象物に対して作成される生薬の効能が確認された判定対象物と同一種類の全ての判定対象物に適用される生薬の効能判定手順で、前記液体計測装置(1)に使用される前記電極装置(2)の形状及び前記第1電極(4)と前記第2電極(5)に使用する伝導体の指定、判定対象物を抽出する方法と抽出時間及び判定対象物を抽出した前記判定対象の液体(9)の静置発酵時間を備える前記判定対象の液体(9)の作成手順、前記判定対象の液体(9)を前記液体計測装置(1)でどのように計測するかを指定する計測方法と計測時間および計測記録間隔を備える計測手順、計測終了後の前記判定対象の液体(9)を収容した状態の前記電極装置(2)または未使用の前記電極装置(2)に新たに作成した前記判定対象の液体(9)を収容した前記電極装置(2)を静置する方法と静置する時間を備える観察手順、判定対象物の種類ごとに作成された生薬の効能判定基準と前記液体計測装置(1)で計測された記録または前記電極装置(2)内部の様子や前記第1電極(4)及び前記第2電極(5)の表面の状態を比較する事で判定対象物の生薬の効能の有無を判定する判定手順を備える
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の生薬の効能判定方法。
【請求項4】
前記請求項1または前記請求項2記載の生薬の効能判定基準であり生薬の効能が確認された判定対象物に対して作成される生薬の効能が確認された判定対象物と同一種類の全ての判定対象物に適用される生薬の効能判定基準で、生薬の効能が確認された判定対象物を含む同一産地且つ同一製法の判定対象物の複数の計測記録と生薬の効能が確認されない同一種類の判定対象物の複数の計測記録を比較し、その計測記録の電圧または電流の正負以外の差から導き出される経過時間ごとの電圧または電流の閾値と電圧または電流の変動条件による生薬の効能の有無の判定基準または指定時間経過後の前記第1電極(4)と前記第2電極(5)の表面や前記電極装置(2)内部における析出物の有無による生薬の効能の有無の判定基準を備える
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の生薬の効能判定方法。
【請求項5】
前記請求項3記載の生薬の効能判定手順に基づく茶の生薬の効能判定手順であり、判定対象の茶を電気的に絶縁可能な容器で10分間水に煮沸抽出後24時間静置発酵して作成された判定対象の液体(9)を前記第1電極(4)と前記第2電極(5)に銅を使用した前記電極装置(2)に収容して前記液体計測装置(1)で48時間、電圧を1秒ごとに計測記録する。その計測記録を茶の生薬の効能判定基準と比較するという手順を備える
ことを特徴とする茶の生薬の効能判定方法。
【請求項6】
前記請求項3記載の生薬の効能判定手順に基づく茶の生薬の効能判定手順であり、前記請求項5にて計測に使用した前記判定対象の液体(9)を収容した状態の前記電極装置(2)または新たに判定対象の茶を電気的に絶縁可能な容器で10分間水に煮沸抽出後24時間静置発酵して作成された判定対象の液体(9)を前記第1電極(4)と前記第2電極(5)に銅を使用した前記電極装置(2)に収容した状態の前記電極装置(2)の第1電極端子(6)と第2電極端子(7)を電気的に短絡し、14日間静置して茶の生薬の効能判定基準と比較する。生薬の効能を有する判定条件を満たす場合は新たに判定対象の茶を電気的に絶縁可能な容器で10分間水に煮沸抽出後24時間静置発酵して作成された判定対象の液体(9)を前記第1電極(4)と前記第2電極(5)にアルミニウムを使用した前記電極装置(2)に収容した状態の前記電極装置(2)の第1電極端子(6)と第2電極端子(7)を電気的に短絡し、96時間静置して茶の生薬の効能判定基準と比較するという手順を備える
ことを特徴とする請求項5記載の茶の生薬の効能判定方法。
【請求項7】
前記請求項4記載の生薬の効能判定基準に基づく茶の生薬の効能判定基準であり、前記請求項5記載の茶の生薬の効能判定手順の通り計測された記録から茶の生薬の効能の有無を判定するための茶の生薬の効能判定基準で、計測開始後24時間以降に電圧が一度±10mV以内に1時間ほど収束し、その後±10mVを超えて電圧が発生する事または計測開始後24時間以前から24時間以降まで±10mV以内を維持し、その後±10mVを超えて電圧が発生する事で判定対象の茶が生薬の効能を有すると判定する
ことを特徴とする請求項5記載の茶の生薬の効能判定方法。
【請求項8】
前記請求項4記載の生薬の効能判定基準に基づく茶の生薬の効能判定基準であり、前記請求項6記載の茶の生薬の効能判定手順の通り作成された前記判定対象の液体(9)を収容した前記電極装置(2)の状態を観察することにより茶の生薬の効能の有無を判定するための茶の生薬の効能判定基準で、前記第1電極(4)と前記第2電極(5)に銅を用いた前記電極装置(2)内部の前記判定対象の液体(9)と酸化還元反応により発生した気体の間にカビの発生が無いこと、且つ前記第1電極(4)と前記第2電極(5)にアルミニウムを用いた前記電極装置(2)の前記第1電極(4)および前記第2電極(5)の表面に赤茶色の析出物の発生を確認する事で判定対象の茶が生薬の効能を有すると判定する
ことを特徴とする請求項5記載の茶の生薬の効能判定方法。
【請求項9】
外部の電源から電極に電圧を印加することなく、判定対象の液体(9)を収容した状態の電極装置(2)から発電させることにより、判定対象の液体(9)と電極装置(2)の第1電極(4)及び第2電極(5)の酸化還元反応から発生する電圧または電流の揺れを一定間隔ごとに計測して生薬の効能の有無を判定する記録を作成するための液体計測装置(1)であり、前記の液体計測装置(1)は電極装置(2)のすべての電極が判定対象の液体(9)に直接接して酸化還元反応する同一の伝導体を有し、電極装置(2)に判定対象の液体(9)を収容した状態で第1電極(4)と第2電極(5)の間に電位差を発生させる電極装置(2)と電極装置(2)の第1電極(4)に接続された第1電極端子(6)と第2電極(5)に接続された第2電極端子(7)の間に発生する電圧または電流の揺れを計測記録する計測記録装置(3)を備える
ことを特徴とする液体計測装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食品や漢方等の摂取対象物における生薬の効能の有無の判定に関する物である。
【背景技術】
【0002】
生薬には漢方として日本薬局方に登録されて医薬品医療機器等法上、医薬品として扱われるものと登録されておらず食品や飲料等として扱われるものがある。前者の場合は日本薬局方の生薬総則及び生薬試験法が適用され、その判定方法は生薬試験法に記載されるにおい、味、顕微鏡検査及びクロマトグラフィー法等の各種成分検査法である。後者の場合は普通の食品等として販売される場合、生薬としての効能の判定方法は特に規定されていないがその成分を調べる方法は前者と同じである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】厚生労働省 第十八改正日本薬局方
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで発明者生産の茶において一部、腫瘍が萎縮するという事例が発生した。このため、茶における生薬の効能と判定方法を調べてみたが、本草学の古典や茶の成分に関する物ばかりで同じ場所で生産した茶において生薬の効能の有無に差がある理由やその判定方法を説明する書籍や論文は存在しなかった。また、もしその様な同一種類の食品、飲料や漢方等の摂取対象物(以下、判定対象物とする)における生薬の効能の有無の明確な判定方法が存在するのであれば、茶は日本薬局方に登録され、判定方法や生産方法が確立しているはずであるが、その様な実態は全く無く、お茶は健康に良い程度の謳い文句が巷の広告に存在するのみである。同様な事例は他の判定対象物にも多数あり効果は謳われているものの、その科学的根拠は各種クロマトグラフィー法を用いた成分分析等の成分とその量を同定するものであり、同一種類の判定対象物において生薬の効能の有無の違いを明確に判定する方法は存在していない。
【0005】
そこで本発明の装置及び生薬の効能判定方法を用いて判定対象物から抽出された抽出物の活性状態を電気的に計測することで、同じ場所で生産された同一種類の判定対象物であっても生薬の効能の有無を判定する方法を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の生薬の効能判定方法は、判定対象物の電気的な活性状態から生薬の効能の有無を判定するための方法であり、判定対象物を抽出して判定対象の液体9を作成し、作成した判定対象の液体9から発生する電圧または電流を液体計測装置1によって計測する事で判定対象物の生薬の効能の有無を判定する事を特徴としている。
【0007】
本発明の生薬の効能の有無を判定するための液体計測装置1は、電子が持つ波としての特性を利用して判定対象物から抽出された抽出物を含む判定対象の液体9の活性を計る装置であり、電極装置2に判定対象の液体9を収容した状態で酸化還元反応を生ずる電極装置2と判定対象の液体9を収容した状態の電極装置2から発生する電圧または電流を計測記録する計測記録装置3を備えることを特徴としている。
【0008】
前記電極装置2は判定対象の液体9に対して酸化還元反応する同一の伝導体からなる表面を有する第1・第2電極4・5を備え、判定対象の液体9を収容した状態で発生する酸化還元反応による電子の揺れを計測記録装置3に伝える第1電極4に電気的に接続された第1電極端子6と第2電極5に電気的に接続された第2電極端子7を備える事を特徴としている。
【0009】
前記電極装置2の第1・第2電極4・5は同一形状の板状であり互いに最も大きな平面を対向且つ平行に配置した形状を有し、電圧または電流計測開始時に第1・第2電極端子6・7の第1・第2電極4・5に対する接続面もしくは角、点とその対面もしくは角、点を除く全ての面が判定対象の液体9に接する形状を有する事を特徴としている。
【0010】
前記電極装置2の第1・第2電極端子6・7は絶縁体である栓8中を通り第1・第2電極4・5にそれぞれ電気的に接続される。また、栓8と容器10は計測開始時に判定対象の液体9を気泡なく収容出来る形状を有し、計測開始時の判定対象の液体に対する第1・第2電極の深度16は第1・第2電極4・5ともに同一であることを特徴としている。
【0011】
前記電極装置2の望ましい第1・第2電極4・5の配置や形状であるが第1・第2電極の厚さ14はその形状を維持できる限り薄い事が望ましく第1・第2電極の間隔15の2倍未満であることが望ましい。また、その間隔は第1・第2電極4・5間が判定対象の液体9で満たされる限りにおいて狭小であることが望ましく第1・第2電極間の体積17が第1・第2電極の相互に対面する最も大きな平面の外側の体積18の2分の1未満である事が望ましい。第1・第2電極の相互に対面する最も大きな平面の面積19は容器10に接触しない限り広い事が望ましく、その形状は図中では便宜上、長方形としているが正方形や円、楕円、長円等でも良い。
【0012】
本発明の生薬の効能判定方法である液体計測装置1を使用した判定対象物の生薬の効能判定方法は、判定対象物の種類ごとに作成された生薬の効能判定手順に従って判定対象物から判定対象の液体9を作成し、電極装置2に判定対象の液体9を収容して電極装置2から発生する電圧または電流を計測記録装置3で計測記録し、その計測記録を判定対象物の種類ごとに作成された生薬の効能判定基準と比較する事によって判定対象物の活性状態を判断し、生薬の効能の有無を判定することを特徴としている。
【0013】
前記液体計測装置1に使用される計測記録装置3は計測装置11および記録装置12から構成される。判定対象物の生薬の効能の有無の判定に用いる計測記録は第1電極端子6及び第2電極端子7に電圧を印加せず電子が持つ波としての特性を利用して判定対象物から抽出された抽出物を含む判定対象の液体9と第1・第2電極4・5に用いられる伝導体の間の酸化還元反応によって発生する電圧または電流の揺れを判定対象物の種類ごとに指定された間隔で指定された時間記録するため、計測記録装置3は計測しようとする判定対象物に指定された計測記録間隔及び計測記録時間の条件を満たすものを使用する必要があり計測装置11の電極装置2と接続する計測端子から電極装置2への電流の漏れは有ってはならない。
【0014】
前記液体計測装置1を用いた生薬の効能判定方法で生薬の効能を確認できない場合は判定対象物の種類ごとに作成された生薬の効能判定手順に電極装置2を使用した生薬の効能判定方法が指定されている場合は、電極装置2を使用して生薬の効能の有無を判定出来る。その場合、電極装置2を使用した生薬の効能判定方法は電極装置2に判定対象の液体9を収容した状態で判定対象物の種類ごとに作成された生薬の効能判定手順の通りに静置し、指定時間経過後に電極装置2内部や第1・第2電極4・5表面に析出する析出物を判定対象物の種類ごとに作成された生薬の効能判定基準と比較する事によって生薬の効能の有無を判定することを特徴としている。
【0015】
前記生薬の効能判定手順は生薬の効能が確認された判定対象物に作成される生薬の効能が確認された判定対象物と同一種類の全ての判定対象物の生薬の効能の有無を判定するための手順であり、計測に使用される電極装置2の形状及び第1・第2電極4・5に使用する伝導体の指定、判定対象物を判定対象の液体9に抽出する方法と抽出時間及び抽出した判定対象の液体9の静置発酵時間を備える判定対象の液体9の作成手順、判定対象の液体9の作成手順にて作成された判定対象の液体9を液体計測装置1で計測する際の計測方法や計測時間及び計測記録間隔を備える計測手順、計測終了後の判定対象の液体9を収容した状態の電極装置2または未使用の電極装置2に新たに作成した判定対象の液体9を収容した電極装置2を静置する方法と静置する時間を備える観察手順生薬の効能判定基準と計測記録および/または電極装置2の様子を比較する事で判定対象物の生薬の効能の有無を判定する判定手順の五つの手順の内、二つ以上を備えることを特徴としている。
【0016】
前記生薬の効能判定手順は前記生薬の効能判定基準と共に作成される。生薬の効能が確認された生薬の効能判定手順および生薬の効能判定基準が存在しない判定対象物に生薬の効能判定手順を作成する場合は、生薬の効能が確認された判定対象物を含む同一生産場所且つ同一生産方法で生産された判定対象物と生薬の効能が確認されていない同一種類の判定対象物を複数計測して計測記録に明確な差が発生するまで電極装置2の形状や第1・第2電極4・5に使用される伝導体、判定対象の液体9に判定対象物を抽出する方法や抽出時間、判定対象物を抽出した判定対象の液体9の静置発酵方法と静置時間、液体計測装置1に判定対象の液体9を収容して計測する時の電圧または電流の計測時間と計測記録間隔をそれぞれ調整し、生薬の効能判定基準として採用する計測記録の差が明確に出やすい手順を探し出す必要がある。また、電極装置2を静置観察する事による生薬の効能判定手順は計測記録による生薬の効能判定手順とは別に手順を作成する必要がある場合がある。
【0017】
前記生薬の効能判定手順における判定対象の液体9の作成方法は判定対象物を抽出する溶媒や容器の種類を選定し、判定対象物が原材料から抽出され加水及び加熱処理等が施された飲料の場合はそのままで、固形物の場合は選定した容器に入れた溶媒で判定対象物を煮沸抽出し、粘度の高い液体等の場合は選定した溶媒で薄めて判定対象の液体9とする。この際判定対象の液体9の元となる判定対象物を抽出する溶媒や容器は図10および図13から分かるように第1・第2電極4・5に使用される伝導体の特性を考慮しなければならない。
【0018】
前記生薬の効能判定基準は生薬の効能判定手順と同じく生薬の効能が確認された判定対象物に作成される生薬の効能が確認された判定対象物と同一種類の全ての判定対象物の生薬の効能の有無を判定するための基準であり、生薬の効能が確認された判定対象物を含む同一産地且つ同一製法の複数の判定対象物の計測記録と生薬の効能が確認されない同一種類の判定対象物の複数の計測記録を比較し、その電圧または電流の正負以外の差から導き出される経過時間ごとの電圧または電流の閾値と電圧または電流の変動条件による生薬の効能の有無の判定および/または指定時間経過後の第1・第2電極4・5表面や電極装置2内部の判定対象の液体9と発生した気体以外の析出物の有無による生薬の効能の有無の判定を備えることを特徴としている。
【0019】
前記生薬の効能判定手順および生薬の効能判定基準の作成は、判定対象物の種類によって反応する伝導体の種類や電圧または電流の発生傾向がそれぞれ異なる為、判定対象物の種類ごとに生薬の効能判定手順および生薬の効能判定基準を作成する必要がある。
【0020】
本発明による茶の生薬の効能判定方法であり、前記生薬の効能判定手順に基づいた液体計測装置1を用いた計測記録による茶の生薬の効能判定手順は、判定対象の茶を電気的に絶縁可能な容器で10分間水に煮沸抽出後24時間電気的に絶縁状態にして十分冷却発酵させて判定対象の液体9を作成し、作成した判定対象の液体9を第1・第2電極4・5に銅を使用した電極装置2に収容して1秒間隔にて48時間液体計測装置1で計測記録する。計測終了後、液体計測装置1で計測された計測記録を茶の生薬の効能判定基準と比較し生薬の効能を有する基準を満たしているかを判定するという手順を有することを特徴としている。
【0021】
前記生薬の効能判定手順に基づいた電極装置2の観察による茶の生薬の効能判定手順は、液体計測装置1を用いた計測記録による茶の生薬の効能判定手順終了後の判定対象の液体9を収容した状態の電極装置2または新たに判定対象の茶を電気的に絶縁可能な容器で10分間水に煮沸抽出後24時間電気的に絶縁状態にして十分冷却発酵させて判定対象の液体9を作成し、作成した判定対象の液体9を第1・第2電極4・5に銅を使用した電極装置2に収容した状態で第1・第2電極端子6・7を電気的に短絡して14日間静置後観察する。観察した電極装置2の状態を茶の生薬の効能判定基準と比較して生薬の効能を有する判定条件を満たす場合は新たに判定対象の茶を電気的に絶縁可能な容器で10分間水に煮沸抽出後24時間電気的に絶縁状態にして十分冷却発酵させて判定対象の液体9を作成し、作成した判定対象の液体9を第1・第2電極4・5にアルミニウムを使用した電極装置2に収容した状態で第1・第2電極端子6・7を電気的に短絡して96時間静置後観察し、茶の生薬の効能判定基準と比較するという手順を有することを特徴としている。
【0022】
前記茶の生薬の効能判定手順を作成した際の電極装置2の第1・第2電極4・5の形状は縦60ミリメートル、横10ミリメートルの長方形の面を有する厚さ0.3ミリメートルの第1・第2電極4・5を1ミリメートルの間隔で平行に並べた形状を有すことを特徴とし、図6の様な形状となる。
【0023】
前記茶の生薬の効能判定手順を用いた茶の生薬の効能判定方法は液体計測装置1を用いた計測記録による茶の生薬の効能判定手順を10回以上同一形状の電極装置2を用いた液体計測装置1で繰り返して生薬の効能の有無の検出率を導き出し、液体計測装置1を用いた計測記録による茶の生薬の効能判定手順で生薬の効能を有する判定が出ない場合は電極装置2の観察による茶の生薬の効能判定手順によって判定対象となる茶の生薬の効能の有無を判定することで判定対象の茶が生産される場所でどの程度、生薬の効能を有する茶が生産されているかを検出率から推定することが可能である。
【0024】
前記茶の生薬の効能判定手順に用いられる茶の生薬の効能判定基準であり液体計測装置1を用いた計測記録による茶の生薬の効能判定基準は、計測開始後24時間以降に電圧が一度±10mV以内に1時間ほど収束もしくは計測開始後24時間以前から24時間以降まで±10mV以内を維持し、その後±10mVを超えて電圧が発生する事で判定対象の茶が生薬の効能を有すると判定することを特徴としている。
【0025】
前記茶の生薬の効能判定手順に用いられる茶の生薬の効能判定基準であり電極装置2の観察による茶の生薬の効能判定基準は、第1・第2電極4・5に銅を使用した電極装置2に判定対象の液体9を収容した状態で判定対象の液体9と発生した気泡の間にカビの発生が無いこと、且つ第1・第2電極4・5にアルミニウムを使用した電極装置2に判定対象の液体9を収容した状態で第1・第2電極4・5に赤茶色の析出物の発生を確認する事で判定対象の茶が生薬の効能を有すると判定することを特徴としている。
【0026】
前記茶の生薬の効能判定手順と茶の生薬の効能判定基準を用いた茶の生薬の効能判定方法は次のような作業手順となる。同一生産場所・同一製法の判定対象の茶を適当に計測回数分用意して前項の液体計測装置1を用いた計測記録による茶の生薬の効能判定手順にて同一形状の電極装置2を使用した液体計測装置1で10回以上計測記録し、液体計測装置1を用いた計測記録による茶の生薬の効能判定基準と計測記録を比較して生薬の効能を有すると判定される計測記録の数を導き出し、その数を計測回数で割ることによって生薬の効能を有する茶の検出率を導き出す。生薬の効能を有すると判定される計測記録が0の場合は電極装置2の観察による茶の生薬の効能判定手順にて電極装置2の観察による茶の生薬の効能判定基準と比較して計測回数分の1未満の検出率が存在するかを判定することによって判定対象の茶が生産される場所でどの程度の茶が生薬の効能を有するかを推定することが出来る。また、茶の生薬の効能判定方法の作業手順を図示すると図17および図18のようなフローチャートとなる。
【発明の効果】
【0027】
今まで判定対象物の成分の種類や量から生薬の効能を判定する方法は存在したが、判定対象物の活性に関しては判定方法が存在しなかった。当方法では判定対象物が保持する電気量から発生する電子の揺れを計測し比較することや電子の揺れによって生成される析出物によって同一種類の複数の判定対象物に対して、たとえ同一産地、同一製法で生産された判定対象物であっても生薬の効能の有無を判定することが可能である。
【0028】
主な医薬用生薬の試験は研究室でもなければ実施不可能な設備を要し且つ手間の掛かるものばかりだが、当発明は判定対象物に応じた金属板・ガラスコップ・蓋・判定対象物を煮沸抽出するホーロー薬缶・記録が出来る計測機器と電極や蓋を加工する工具が有れば誰でも何処でも判定実験を実施する事が出来る。また、要する電力は計測記録装置3の電力程度で大きな電源を要しない為、湯を沸かす熱源以外は持ち運びおよび判定対象物の生産現場での判定作業が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明に係る液体計測装置の概要図である。
図2】本発明に係る液体計測装置の構成を示す詳細図である。
図3】本発明に係る電極装置の形状を表す断面図である。
図4】本発明に係る電極装置の形状を表す断面図である。
図5】本発明に係る電極装置の形状を表す断面図である。
図6】本発明に係る開発の際に作成及び使用した電極装置の電極部分の寸法及び形状を表した三角図である。
図7】本発明に係る同一種類の食品で生薬の効能が確認されたものと確認されなかったものの計測記録の比較の一例である。
図8】生薬の効能が確認された茶と同じ圃場で収穫された2019年産の茶の採取日別の計測記録を比較したグラフである。
図9】生薬の効能が確認されない市販の茶の計測記録を比較したグラフである。
図10】液体中に生薬の成分が無い状態の例として水を銅電極で計測記録したグラフである。
図11】本発明に係る生薬の効能を有する異なる食品の銅電極による計測結果の差の一例である。
図12】本発明に係る電極に使用する伝導体の種類における計測結果の差の一例である。
図13】液体中に生薬の成分が無い状態の例として水をアルミニウム電極で計測記録したグラフである。
図14】生産年度が異なる生薬の効能が確認された茶と霊芝とかわら茸を主な素材とする漢方をアルミニウム電極で計測記録した比較グラフである。
図15】生薬の効能が確認された茶を計測したアルミニウム電極表面の電圧発生源の析出の様子である。
図16】生薬の効能が確認された茶と生薬の効能が確認されない茶を計測した銅電極の違いの様子である。
図17】銅電極を用いた茶の生薬の効能判定における判定フローチャートである。
図18】銅電極で判定出来なかった場合のアルミニウム電極を用いた茶の生薬の効能判定における判定フローチャートである。
図19】生薬の効能が確認された茶の円柱形状の銅電極を使用した計測記録である。
図20】生薬の効能が確認された茶の異形形状の銅電極を使用した計測記録である。
図21】生薬の効能が確認された茶と市販の生薬の効能が確認されない茶を用いた普通に淹れた茶の銅電極を使用した計測記録の比較グラフである。
図22】生薬の効能が確認された茶と市販の生薬の効能が確認されない茶を用いた10分煮沸した茶の銅電極を使用した計測記録の比較グラフである。
図23】市販の緑茶のアルミニウム電極を使用した計測記録の比較グラフである。
図24】生薬の効能が確認された5月20日に摘採された茶と市販の番茶のアルミニウム電極を使用した計測記録の比較グラフである。
図25】市販のペットボトルの緑茶と市販の紅茶のアルミニウム電極を使用した計測記録の比較グラフである。
図26】生薬の効能が確認されない市販の茶の銅電極を使用した電圧計測記録の内で例外的な事例である。
図27】生薬の効能が確認されない市販の茶の銅電極を使用した電圧計測記録の内で例外的な事例の解釈の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の好適な実施形態を図面を参照して説明する。
【0031】
図1に本発明の生薬の効能判定方法における液体計測装置1の使用方法の概要図を示す。液体計測装置1は判定対象の液体9から発生する電子の揺れを計測記録する装置であり電極装置2と計測記録装置3から構成される。液体計測装置1を使用した計測記録から生薬の効能の有無を判定する場合は電圧または電流計測時に判定対象の液体9を収容した電極装置2と計測記録装置3を接続した状態で使用し、電極装置2の状態から生薬の効能の有無を判定する場合は判定対象の液体9を収容した電極装置2の第1・第2電極端子6・7をワニ口クリップ付きリード線等で電気的に短絡して電極装置2単体で使用する。
【0032】
図2に本発明に係る液体計測装置1の構成を表す詳細図を示す。判定対象物から作成した判定対象の液体9中の抽出物の活性は電子が持つ波としての特性を利用して判定対象の液体9と第1・第2電極4・5の酸化還元反応から発生する第1・第2電極4・5間の電圧または電流の揺れを計測することにより判定するため、判定対象の液体9を収容するための栓8と容器10は電気的に絶縁性を有するものを使用し、第1・第2電極4・5は判定対象物に対応した判定対象の液体9と酸化還元反応する同一素材の伝導体を使用する。第1・第2電極4・5は栓8中を通ってそれぞれ第1・第2電極端子6・7に電気的に接続され、液体計測装置1使用時は計測装置11の計測端子とワニ口クリップ付きリード線等で電気的に接続される。計測装置11は記録装置12と信号ケーブル等13で接続され一定間隔ごとに計測値を記録する。このため記録装置12には十分な記録容量を有する電算機等を使用し、計測装置11の計測端子から電極装置2への電流の漏れはあってはならない。計測装置11は図1図2では便宜上電圧計としているが電流計でもよい。また、計測装置11と記録装置12が一体となった計測記録装置3を使用してもよい。
【0033】
図3図4および図5に本発明に係る電極装置2の形状を示す。電圧または電流検出部分である第1・第2電極4・5は第1・第2電極端子6・7との接続面もしくは角、点とその対面もしくは角、点を除く全ての面が判定対象の液体9に接する形状であり且つ判定対象の液体9と酸化還元反応する同一の伝導体からなる表面を有する。第1電極4と第2電極5は同一形状の板状であり最も大きな平面を対向かつ平行に配置した形状を有する。第1・第2電極の厚さ14は使用時に電極の形状を維持できる限りにおいて薄い事が望ましく第1・第2電極の間隔15の2倍未満の厚さである事が望ましい。判定対象の液体に対する第1・第2電極の深度16は計測開始時に第1・第2電極4・5共に同一である。第1・第2電極の間隔15は計測開始時に第1電極4と第2電極5の間を判定対象の液体9が気泡なく満たす限りにおいて狭小であることが望ましく第1・第2電極間の体積17が第1・第2電極の相互に対向する平面の外側の体積18の二分の一未満であることが望ましい。第1・第2電極の相互に対向する平面の面積19は容器10に接触しない限り大きな面積を有することが望ましい。第1電極端子6及び第2電極端子7は第1・第2電極4・5に電気的に接続され、それを固定する栓8は計測開始時に容器10に気泡なく判定対象の液体9を収容する構造を有し且つ電気的に絶縁性を有する。第1・第2電極端子6・7間は電極装置2に判定対象の液体9を収容する前の状態では電気的に絶縁状態でなければならない。図4においては便宜上、第1・第2電極4・5の最も大きな平面を長方形に図示しているが、正方形、円、楕円、長円等の任意の形状でよい。電極の一例として本発明の開発の際に作成し使用した電極の寸法図を図6に例示する。
【0034】
当発明の液体計測装置1を使用した生薬の効能判定方法の一例として生薬の効能を有する茶の計測記録と生薬の効能が確認されない茶の計測記録を茶の生薬の効能判定基準に基づいて判定する際の比較例を図7に例示し解説する。図7は液体計測装置1を使用して茶の電圧を計測した記録をグラフとして比較したものであるが、茶の場合は電極装置2の第1・第2電極4・5に銅を使用すると図7の様に判定対象の液体9中の抽出物の活性が強く生薬の効能が確認された茶の銅電極を使用した記録20は、生薬の効能が確認されない茶の銅電極を使用した記録21と比較して計測開始直後から徐々に電圧が大きくなり、計測開始後24時間以降である30時間から32時間の間に一度電圧が±10mVの範囲内に1時間以上収束した後、長時間に渡り±10mVを超えて大きく電圧を発生し第1・第2電極4・5に銅電極を使用した場合の茶の生薬の効能判定範囲22と24時間以降に1時間以上±10mV以内に電圧が収束するという条件を満たしている事が分かる。
【0035】
前記生薬の効能判定方法における生薬の効能判定手順と生薬の効能判定基準の作成方法の一例として茶の生薬の効能判定手順と茶の生薬の効能判定基準を検証した際の計測記録の比較グラフと写真を図8から図18に例示し生薬の効能判定手順と生薬の効能判定基準に必要な作業の構成と作成方法を以下に説明する。
【0036】
まず、生薬の効能が確認された茶と同じ圃場で収穫された茶の採取日別の計測記録を比較したグラフを図8に、生薬の効能が確認されない市販の茶の計測記録を比較したグラフを図9に、判定対象の液体9中に生薬の成分が無い状態の代表として5種類の水の計測グラフを図10に例示する。計測には第1・第2電極4・5に銅を使用した電極装置2を使用している。図8は生薬の効能が確認された茶と同じ圃場で収穫された2019年産の茶、23件の記録であるが23件中4件が計測開始後24時間経過以降まで±10mVを超える放電が無い、もしくは計測開始後からの放電が終わった後の24時間経過以降に1時間以上一度電圧が±10mV以内に収まり、その後±10mVを超えて電圧を発生している。図9は生薬の効能が確認されない市販の茶を適当に選んだ計測記録であるが、いずれも計測開始後24時間経過以降の発生電圧は±10mV未満である。図10は鉄瓶で煮沸した水道水8.5pH、ホーロー容器で煮沸した水道水8.0pH、精製水8.0pH、クエン酸で酸度調整した精製水5.0pH及びクエン酸で酸度調整した精製水2.7pHの記録であるが、いずれも計測開始直後から±10mVを超える電圧は発生していない。これらの計測値から第1・第2電極4・5に銅を使用して茶の生薬の効能の有無を判定する場合は、明確な違いである計測開始後24時間以降に±10mVを超える電圧を発生していることが生薬の効能を有する判定基準となる事が分かる。
【0037】
次に生薬の効能が確認された二つの異なる判定対象物における発生電圧を検証した際の計測グラフを図11に例示する。図11は生薬の効能が確認された茶の計測記録と霊芝とかわら茸を主な素材とする漢方の計測記録を比較したグラフであるが、生薬の効能が確認された霊芝とかわら茸を主な素材とする漢方の銅電極を使用した記録23は生薬の効能が確認された茶の銅電極を使用した記録20に対して計測開始後24時間以内は大きく放電せず電子を拘束し32時間経過後に100mV近く大きく電圧が発生しており、計測開始後24時間以降に±10mVを超えて電圧が発生することが生薬の効能の有無を判定する目安となるが判定対象物の種類によって電圧の発生傾向が異なる事が分かる。また、計測開始直後に発生する電圧が小さく、計測初期に電子の拘束力が強いものが生薬の効能を有する傾向にある事がグラフから見て取れる。
【0038】
次に第1・第2電極4・5に使用される伝導体の違いによる差を検証する。図12は生薬の効能が確認された茶の銅電極を使用した記録20と生薬の効能が確認された茶のアルミニウム電極を使用した記録24を比較した物であるが、発生する電圧または電流は電極に使用される伝導体の伝導率や特性と判定対象物に含まれる伝導体に反応する抽出物の特性によって大きく異なり、銅電極を使用した場合の茶の生薬の効能判定範囲22と計測開始後24時間以降に一度電圧が±10mVの範囲内に1時間以上収束するという条件はアルミニウム電極では判定基準として使用できない事が分かる。このため生薬の効能判定基準を作成する場合は電極に使用される伝導体の種類ごとに同じ検証手順を実施し、その伝導体を第1・第2電極4・5に使用した電極装置2が判定対象物に対して生薬の効能の有無を判定出来る特性を有しているか否かを特定しなければならない。
【0039】
前記検証より、銅以外の伝導体を第1・第2電極4・5に使用して茶の生薬の効能判定が可能かを入手の簡単なアルミニウムを用いて検証する。まず液体中に生薬の効能が無い状態の代表例としてアルミニウムを使用した電極装置2で水を計測し、その特性を把握する。図13は第1・第2電極4・5にアルミニウムを使用してそれぞれ酸度を変えた水を計測記録した比較グラフである。グラフ中の点線はそれぞれホーロー薬缶で煮沸した水道水9.3pH、精製水7.9pH、クエン酸で酸度調整した精製水4.9pH、クエン酸で酸度調整した精製水2.7pHであり、実線は鉄瓶で煮沸した水のアルミニウム電極を使用した記録25・8.6pHである。鉄瓶で煮沸した水のアルミニウム電極を使用した記録25以外は計測開始後30時間以降ほぼ±10mV以内に収束しているが実線の鉄瓶で煮沸した水のアルミニウム電極を使用した記録25は判定対象の液体9中の鉄分が第1・第2電極4・5のアルミニウムに反応して他の計測記録よりも大きく長時間に渡って電圧の揺れを発生している。このことから第1・第2電極4・5にアルミニウムを使用した場合は判定対象の液体9中の鉄分の存在を判別出来る事が分かる。
【0040】
次にアルミニウム電極で計測した生薬の効能が確認された茶及び生薬の効能が確認された茶と同じ圃場で摘採された茶の計測記録と霊芝とかわら茸を主な素材とする漢方の計測記録をグラフとして比較してみる。図14の点線は生産年度がそれぞれ異なる生薬の効能が確認された茶及び生薬の効能が確認された茶と同じ圃場で摘採された茶の計測記録、実線は霊芝とかわら茸を主な素材とする漢方の計測記録であるが特に類似する特徴は見て取れない。この事からアルミニウムを用いた電極装置2の計測記録からは生薬の効能の有無は判別不可能である事が分かる。ところが計測終了後、第1・第2電極端子6・7を短絡し48時間静置してから電極を観察すると図15の写真の様に生薬の効能を有する茶を計測したアルミニウムを用いた電極装置2の第1・第2電極4・5表面に赤茶色の析出物27が析出している。アルミニウム電極表面におけるこの特徴は生薬の効能が確認されない茶では何れも確認されていない。
【0041】
前記電極装置2を用いた生薬の効能判定方法の実験は銅電極を使用した電極装置2でも実施しており、図16の通り銅を用いた電極装置2の場合は生薬の効能が確認された茶では計測終了後14日経過しても特に析出物は確認されず、生薬の効能が確認されない市販の茶では計測終了後14日経過しない内に判定対象の液体9と計測開始後に発生した気泡の間にカビが発生した。
【0042】
前記各計測記録の比較と観察の結果から当発明の液体計測装置1を用いた生薬の効能判定方法は二通りの方法が存在する。一つは液体計測装置1を用いて判定対象の液体9から発生する電圧または電流を計測して計測記録を判定対象物の種類ごとの基準と比較し生薬の効能を判定する方法であり、もう一つは電極装置2に判定対象の液体9を収容して静置し、内部の様子を観察して判定対象物の種類ごとの基準と比較することで生薬の効能の有無を判定する方法である。この二つの生薬の効能判定方法の実施には判定対象物の種類毎に生薬の効能判定基準と生薬の効能判定手順が必要であり、判定対象物にそれらが存在しない場合は実験によって生薬の効能判定手順と生薬の効能判定基準を作成する必要がある。また、生薬の効能判定手順と生薬の効能判定基準が存在しない種類の判定対象物に生薬の効能判定手順と生薬の効能判定基準を作成する場合は、その判定対象物を摂取した時に生薬の効能が明確に発生していることが前提となる。
【0043】
前記生薬の効能判定手順は判定対象物を判定対象の液体9に抽出する方法と抽出時間及び判定対象物を抽出した後の判定対象の液体9の静置発酵時間を備える作成手順、作成手順で作成した判定対象の液体9を液体計測装置1で計測する際の計測方法や計測時間及び計測記録間隔を備える計測手順、計測後の判定対象の液体9を収容した電極装置2または作成手順で作成した判定対象の液体9を収容した電極装置2を静置する方法と静置時間を備える観察手順、計測記録または観察結果と生薬の効能判定基準を比較検証する判定手順を備え、その組み合わせによって判定対象物が生産される場所で、どの程度の生薬の効能を有する判定対象物が生産されているかを検出率から推定することが可能となる。また、生薬の効能判定手順は判定対象物に応じた電極装置2の形状および第1・第2電極4・5に使用する伝導体の指定や判定対象の液体9を作成する際の判定対象物の抽出先となる溶媒、判定対象の液体9を作成するための容器の指定を備える。
【0044】
前記の通り、生薬の効能判定手順の作成は判定対象物において生薬の効能が確認された上で、第1・第2電極4・5に使用される伝導体の種類の選別、判定対象の液体9の作成方法や液体計測装置1を用いた計測方法及び電極装置2の観察方法の検討、生薬の効能を有する判定対象物の記録と同一産地且つ同一製法にて生産された判定対象物の複数の記録と生薬の効能が確認されない同一種類の判定対象物の複数の記録を第1・第2電極4・5に使用される伝導体の種類ごとにそれぞれ計測し、異なる種類の生薬の効能が確認された判定対象物の記録や判定基準を参考にして計測に使用される伝導体の種類ごとの発生電圧または電流の閾値と変動による判定条件の決定、判定対象の液体9を収容した電極装置2の観察による第1・第2電極4・5表面や電極装置2内部における析出物及びカビ等の析出の有無による判定条件の決定を行う必要がある。
【0045】
前記生薬の効能判定手順および生薬の効能判定基準の作成において、判定対象物を抽出して判定対象の液体9とした場合、その抽出物はそれぞれ判定対象物の特徴に応じた時間をかけて抽出先の溶媒と反応し判定対象の液体9を帯電させる。生薬の効能判定手順および生薬の効能判定基準が存在する種類の判定対象物であれば、その生薬の効能判定手順および生薬の効能判定基準に従って計測、観察を行い生薬の効能の有無を判定すれば良いが、生薬の効能判定手順および生薬の効能判定基準が存在しない判定対象物の生薬の効能判定手順および生薬の効能判定基準を作成する場合は計測前における判定対象の液体9の静置時間と計測時における計測初期の放電の有無の見極めが重要であり、単純に計測開始後に電圧または電流が大きく発生することが抽出物の活性を明示し判定対象物の生薬の効能を証明する訳では無い。例えば分かりやすい図7の生薬の効能が確認された茶の銅電極を使用した記録20に関して説明すると判定対象の液体9の作成手順における判定対象の液体9の電気的な絶縁静置時間は24時間であり計測開始後9時間から30時間が作成手順中に帯電した電子の初期放電、30時間から32時間までの±10mV以内および32時間以降の±10mVを超えて発生した電圧の部分が抽出物の活性判定対象であり、生薬の効能を有する判定基準を満たす部分となる。
【0046】
前記生薬の効能判定手順および生薬の効能判定基準は、判定対象物に既に生薬の効能判定手順および生薬の効能判定基準が存在している場合でも、判定精度の向上や判定時間の短縮等の有効な方法が発見される度に電極形状や手順を纏めた生薬の効能判定手順および生薬の効能判定基準が追加または更新されるべきものであり、必ずしも1種類の判定対象物に1つの生薬の効能判定手順および生薬の効能判定基準が対になる訳では無い。当実施形態に記載の茶の生薬の効能判定手順および茶の生薬の効能判定基準は茶における生薬の効能判定手順および生薬の効能判定基準の一つであり最も簡単に実施出来る判定方法を実験により導き出したものの一例である。
【0047】
液体計測装置1を用いた計測記録による茶の生薬の効能判定手順は、前記図7の計測結果から判定対象の茶を電気的に絶縁可能な容器で10分間水に煮沸抽出して判定対象の液体9を作成し、そのまま24時間電気的に絶縁状態にして抽出物を十分発酵させた上で第1・第2電極4・5に銅を使用した電極装置2に判定対象の液体9を収容して1秒間隔にて48時間液体計測装置1で計測記録する。計測終了後、液体計測装置1で計測された計測記録を茶の生薬の効能判定基準と比較し生薬の効能を有する基準を満たしているかを判定する。という手順で茶の生薬の効能判定が可能であることがわかる。
【0048】
電極装置2の静置観察による茶の生薬の効能判定手順は、前記図15および図16の観察結果から前記液体計測装置1を用いた計測記録による茶の生薬の効能判定手順終了後に判定対象の液体9を収容した状態の電極装置2または新たに判定対象の茶を電気的に絶縁可能な容器で10分間水に煮沸抽出し24時間電気的に絶縁状態にして抽出物を十分冷却発酵させて作成した判定対象の液体9を第1・第2電極4・5に銅を使用した電極装置2に収容した状態で第1・第2電極端子6・7を電気的に短絡して14日間静置後観察し、茶の生薬の効能判定基準と比較して生薬の効能を有する判定条件を満たす場合は新たに判定対象の茶を電気的に絶縁可能な容器で10分間水に煮沸抽出し24時間電気的に絶縁状態にして抽出物を十分冷却発酵させて作成した判定対象の液体9を第1・第2電極4・5にアルミニウムを使用した電極装置2に収容した状態で第1・第2電極端子6・7を電気的に短絡して96時間静置後観察し、茶の生薬の効能判定基準と比較する。という手順で茶の生薬の効能判定が可能であることがわかる。
【0049】
前記図7から図11の計測記録の比較から液体計測装置1を用いた計測記録による茶の生薬の効能判定基準は、計測開始後24時間以降に電圧が一度±10mV以内に1時間ほど収束もしくは計測開始後24時間以前から24時間以降まで±10mV以内を維持し、その後±10mVを超えて電圧が発生する事で判定対象の茶が生薬の効能を有すると判定出来ることがわかる。
【0050】
前記図15および図16の観察結果から電極装置2の静置観察による茶の生薬の効能判定基準は、第1・第2電極4・5に銅を使用した電極装置2に判定対象の液体9を収容した状態で判定対象の液体9と発生した気泡の間にカビの発生が無いこと、且つ第1・第2電極4・5にアルミニウムを使用した電極装置2に判定対象の液体9を収容した状態で第1・第2電極4・5表面に赤茶色の析出物の発生を確認する事で判定対象の茶が生薬の効能を有すると判定出来ることがわかる。
【0051】
前記検証から図8の通り液体計測装置1を用いた計測記録による茶の生薬の効能判定手順で計測した計測記録のうち茶の生薬の効能判定基準を満たした生薬の効能が確認された茶と同じ圃場で収穫された茶の計測記録は23分の4であり、生薬の効能を有する茶であれば適当に選択した茶を10件計測すれば少なくとも1件は液体計測装置1を用いた計測記録による茶の生薬の効能判定基準を満たすと判断出来る。この事から茶の生薬の効能判定方法は液体計測装置1を用いた計測記録による茶の生薬の効能判定手順を10回以上同一圃場、同一生産方法の茶で繰り返して発生電圧が液体計測装置1を用いた計測記録による茶の生薬の効能判定基準を満たすかを判定し、更に何れの計測記録も液体計測装置1を用いた計測記録による茶の生薬の効能判定基準を満たさない場合は電極装置2の静置観察による茶の生薬の効能判定手順を用いて電極装置2を観察することによって生薬の効能の有無を判定し同一圃場、同一生産方法の茶における生薬の効能を有する茶の検出率を割り出すことが出来る。また、生薬の効能を有する茶の検出率を割り出す手順は図17及び図18の様なフローチャートとなる。
【実施例
【0052】
当発明開発の際に実施した検証実験とその結果を図に例示し液体計測装置1と生薬の効能判定方法の発明に係る過程を以下に解説する。
【0053】
発明者生産の茶にて腫瘍の萎縮が確認された際、まず他の茶との違いは何かを調べるため酸度と糖度を調べたが特に市販されている茶と差異は無かった。そこで茶を電気的に計測する方法を検討し、茶から発生する電圧と電流の揺れを計測する方法を考案、以下の手順の検証実験を実施した。
【0054】
まず、最終的に決定した茶の生薬の効能判定に用いる電極装置2の形状と生薬の効能判定方法の実験の手順を当段落から段落61に説明する。電極装置2に使用する容器10や電圧または電流検出部分の第1・第2電極4・5等の部品であるが、容器10には座りの良い50ミリリットルのガラス製三角フラスコ、容器10に気泡なく判定対象の液体9を収容するための栓8には第1・第2電極端子6・7を通すための加工がしやすいコルクを使用した。第1・第2電極4・5には0.3ミリメートル厚の純銅版とアルミニウム板を用い、縦100ミリメートル、横10ミリメートルに二枚切り出した。第1・第2電極4・5の判定対象の液体9に対する接触部分は縦60ミリメートル、横10ミリメートルとなる。第1・第2電極4・5は最も面積の大きい面を対向且つ並行に配置し、間隔は1ミリメートルとした。第1・第2電極4・5の栓8への固定及び電極間隔の維持には絶縁素材で酸に強い市販のホットボンドを使用して図6の電極間隔固定位置26部分を固定し、第1・第2電極端子6・7は計測装置11と接続する為のワニ口クリップで挟む長さを残してカットしておく。実際に使用した計測用電極の寸法図を図6に示す。
【0055】
電極装置2の各部品は事前に煮沸消毒して十分乾燥させた上で組み立て第1・第2電極端子6・7間の抵抗を測定して第1・第2電極4・5間が電気的に絶縁状態であることを確認しておく。
【0056】
内容物を電気的に絶縁可能なホーロー薬缶などで1リットルの水を煮沸する。
【0057】
煮沸している状態の水に判定対象の茶を5グラム、不織布パックなどに入れて投入し、そのまま10分間煮沸する。
【0058】
10分煮沸後、注水口、注ぎ口ともに蓋をして24時間静置。抽出物を含む判定対象の液体9の冷却と発酵を行う。食品の入った不織布パックは判定対象の液体9が常温となった時点で取り出しておく。
【0059】
計測装置11は計測前に別の電流計等で計測端子からの電流漏れが無いかを確認しておく。判定対象の液体9から発生する電圧または電流を計測するため、計測端子からの電流漏れがある電圧計や電流計は計測に使用してはならない。
【0060】
判定対象の液体9を容器10に満水状態まで注ぎ電極を差し込んで計測装置11を第1・第2電極端子6・7に繋ぎ48時間、1秒間隔で電圧または電流を計測記録する。判定対象の液体9で満たした容器10に電極を差し込む際、第1電極4と第2電極5の間の面および外側の面が完全に判定対象の液体9に接触している事を確認する。気泡が有る場合は計測前に気泡を取り除く。
【0061】
計測終了後、電極装置2を液体計測装置1から分離し、第1・第2電極端子6・7を短絡して静置、電極装置2の様子を観察する。以上が計測および観察実験の手順である。
【0062】
液体計測装置1に用いる電極装置2の第1・第2電極4・5の形状の検証は次の通り。電極素材には銅を使用し、第1・第2電極4・5の形状は板状、円柱、第1電極4と第2電極5を異形にする、第1電極4と第2電極5の間に誘導用の電極を挟む、第1・第2電極4・5の距離を大きく取る等試行してみたが、第1・第2電極4・5が同形状で円柱状の場合は電圧の発生による生薬の効能検出位置28が想定した計測時間である48時間を超過して発生しており生薬の効能を示す電圧の大きな変動が何時発生するか分からない。また、第1電極4と第2電極5の大きさを異なるものにすると電圧がプラスもしくはマイナス側に引き寄せられている様で何ボルトを中心にすれば良いか分からない。など、特徴を把握しにくい結果が出た。そこで元々の発想起点である「生薬が文字通り生きた状態を表すのであれば電極を神経に模して生体反応を捉えればよい」の神経の感度が最も大きくなる様、同じ形状且つ大きさの第1・第2電極4・5の対向面の面積を出来る限り大きく取り、電極厚さと電極間隔を出来る限り薄く、狭くして判定対象の液体9が第1・第2電極4・5に反応した時に第1・第2電極4・5の対向面を通る電気力線が広く大きく確保される様にする事で、図7の計測記録の様な明確な発生電圧の差を得る事が出来た。参考として生薬の効能が確認された茶の円柱形状の銅電極を使用した計測記録を図19に、第1・第2電極4・5の大きさをそれぞれ違うものにした生薬の効能が確認された茶の異形形状の銅電極を使用した計測記録を図20に例示する。
【0063】
茶の生薬の効能判定手順における判定対象の液体9の作成手順は3種類の手順によって作成した判定対象の液体9を計測し、明確な差が発生する手順を検証した。図21に普通に淹れた茶の銅電極を使用した計測記録の比較グラフ、図22に10分煮沸した茶の銅電極を使用した計測記録の比較グラフ、図7から図9が10分煮沸後24時間電気的に絶縁し静置発酵した茶の銅電極を使用した計測記録の比較グラフである。何れもグラフ中の実線が生薬の効能が確認された茶であり、点線が生薬の効能が確認されない市販の茶の記録である。図21図22のグラフでは明確な基準となる閾値の線を引くことが出来ない事がグラフから見て取れるが図7及び図9では銅電極を使用した場合の茶の生薬の効能判定範囲22の様に明確に閾値を設定出来る事が分かる。この事から茶の生薬の効能の有無を判定する場合は判定対象の液体9の作成手順として茶を電気的に絶縁状態で10分煮沸し24時間電気的に絶縁状態で発酵させる事が生薬の効能の有無の判定に適切であると判断出来る。
【0064】
主たる茶の生薬の効能判定方法となる液体計測装置1を用いた計測記録による茶の生薬の効能判定基準を検証した際の計測記録を比較したグラフを図8及び図9に、液体中に生薬の成分が無い状態の例として水を銅電極で計測記録したグラフを図10に例示する。図8は生薬の効能が確認された茶と同じ圃場で採取された2019年の茶の採取日毎の記録であり、図9は生薬の効能が確認されない市販の茶の記録である。第1・第2電極4・5に銅を使用した場合、判定対象の液体9中に生薬の成分が存在しなければ図10の様に電圧は±10mV以内に収まる。次に生薬の効能が確認されない市販の茶の電圧発生傾向を見ると図9の様に計測開始から24時間までは±10mV以上電圧が発生するが計測開始後24時間以降は発生電圧が±10mV以内に収まる。図9図10から生薬の効能が無い茶は茶を電気的に絶縁状態で煮沸抽出して24時間静置し抽出物を十分発酵させると計測開始後24時間ほどで放電し、その後は活性が無くなり電圧は±10mV以上発生しなくなる。これに対して図8は計測開始後24時間以降に一度1時間以上電圧が±10mV以内に収束して、更にそれ以降に±10mVを超えて電圧が発生している記録が4件存在している。このことから銅電極を使用した場合の茶の生薬の効能判定範囲22を満たす計測記録の内で生薬の効能を有すると判定される計測記録は計測開始後24時間以降に一度1時間以上±10mV以内に電圧が収束し、その後±10mVを超えて電圧が発生するかが判定基準の一つとなる事が判る。
【0065】
図11は生薬の効能を有する判定対象物の電圧発生傾向を調べるため、生薬の効能を有する異なる二つの判定対象物の計測記録をグラフとして比較したものである。生薬の効能が確認された茶の銅電極を使用した記録20と比較して生薬の効能が確認された霊芝とかわら茸を主な素材とする漢方の銅電極を使用した記録23は計測開始後24時間の間、発生電圧が±10mV以内に収束しており24時間以降に電圧が徐々に大きくなり、33時間後に100mVを超えて電圧が発生している事を見ても分かるように生薬の効能判定基準は判定対象の液体9が計測開始後24時間以前は電子の拘束力が強く発生電圧が抑制され24時間以降に銅電極に大きく反応して±10mVを超えて電圧を発生しているかが判定基準の一つとなる事が分かる。
【0066】
図12は生薬としての効能が確認された茶を第1・第2電極4・5に銅を使用した電極装置2と第1・第2電極4・5にアルミニウムを使用した電極装置2で計測記録した比較グラフであるが、生薬の効能が確認された茶の銅電極を使用した記録20と生薬の効能が確認された茶のアルミニウム電極を使用した記録24では電圧の発生傾向が異なり銅電極を使用した場合の茶の生薬の効能判定範囲22はアルミニウムを用いた電極装置2では使用できない事が分かる。
【0067】
図13は第1・第2電極4・5にアルミニウムを使用した電極装置2で生薬の成分が存在しない状態を検証したグラフで、30時間以降大きく±10mVを超える電圧が発生していない点線のグラフはそれぞれホーロー薬缶で煮沸した水道水9.3pH、精製水7.9pH、クエン酸で酸度調整した精製水4.9pH、クエン酸で酸度調整した精製水2.7pHであり、24時間以降も±10mV以上大きく電圧が発生している実線は鉄瓶で煮沸した水のアルミニウム電極を使用した記録25・8.6pHである。鉄瓶で煮沸した水のアルミニウム電極を使用した記録25は水に溶け出した鉄分とアルミニウム電極表面が反応することによって電圧を継続的に発生させており酸化還元反応が24時間以降も続いている。電極装置2の第1・第2電極4・5に銅を使用した図10のグラフを見ても分かるが計測開始後24時間以降の電圧発生は判定対象の液体9の酸度の違いによるものでは無く、判定対象の液体9中の判定対象物からの抽出物と第1・第2電極4・5との酸化還元反応の継続力、つまり活性の強さである。ここで問題になるのは電極に使用する伝導体の種類によっては判定対象物に生薬の効能が無い場合でも判定対象の液体9に溶け出した判定対象物の抽出物によって長時間大きく電圧が発生する組み合わせが存在する事である。
【0068】
図14は生薬の効能を有する判定対象物を第1・第2電極4・5にアルミニウムを使用した電極装置2で計測した記録である。実線は生薬の効能が確認された霊芝とかわら茸を主な素材とする漢方の計測記録であり点線は生薬の効能を有する茶の計測記録であるが何れも類似する特徴は見出せない。このことから第1・第2電極4・5にアルミニウムを使用した電極装置2を用いて計測した生薬の効能を有する判定対象物の記録からは生薬の効能の有無を特定出来るような共通点は存在しない事が分かる。
【0069】
図23図24図25はそれぞれアルミニウム電極で茶を計測した記録であるが、図23は市販の生薬の効能が確認されない新茶の計測記録2種類、図24は生薬の効能が確認された茶と同じ圃場で摘採された茶の計測記録と市販の生薬の効能が確認されない番茶の計測記録2種の3種類、図25は市販の生薬の効能が確認されないペットボトルの緑茶の計測記録と市販の生薬の効能が確認されない紅茶の計測記録3種類である。それぞれの図に時間ごとの電圧の振幅に共通する特徴29があり図23は5月前半の1番茶、図24は5月後半の1番番茶、図25の紅茶は日の出から日の入りまでが最も長い月に摘採された2番茶であると推測できる。市販のペットボトルの緑茶の摘採時期は不明であるが電圧波形の特徴を見ると恐らく日の出から日の入りまでが最も長い月に摘採された2番茶を使用していると思われる。これらの図からアルミニウム電極で計測した茶の記録からは茶のおおよその摘採時期が判別できる事が分かる。
【0070】
図15及び図16は計測終了後の電極装置2の観察の様子であるが、第1・第2電極4・5表面や電極装置2内部の様子からも生薬の効能の有無を判定する事が出来る。図15は計測終了後48時間経過したアルミニウムを使用した第1・第2電極4・5表面の様子を撮影したものであるが、生薬の効能が確認された茶の場合は図15のような赤茶色の析出物27が析出する。このような特徴は生薬の効能が確認されない市販の茶では発生しない。また、図16は生薬の効能が確認された茶と生薬の効能が確認されない市販の茶を銅を用いた電極装置2で計測した後、経過観察したものであるが生薬の効能が確認されない市販の茶は判定対象の液体9と発生した気泡の間にカビの発生を確認したのに対して生薬の効能が確認された茶はカビの発生が見られないという特徴がある。
【0071】
図26は生薬の効能が確認されない市販の茶の銅電極を使用した電圧計測記録の内で例外的な事例であるが、100件中1件未満の確率で計測開始後24時間経過以前から電圧が±10mV以内に収束せずにほぼ一定の電圧を発生し続ける場合がある。主に第1電極4と第2電極5の間を判定対象の液体9に発生したカビが電気的に短絡することにより起こる現象であるが、この場合生薬の効能を有する条件である計測開始後24時間以降に1時間以上±10mV以内に収束していない為、生薬の効能を有しないと判断できる。また、この場合は図27の様に計測開始後24時間以降の電圧計測値の平均値である約-21mVを中心に想定される判定基準のずれ30分判定基準をずらすと24時間以降の電圧の変動値が±10mV以内に収まっている事が分かる。
【符号の説明】
【0072】
1 液体計測装置
2 電極装置
3 計測記録装置
4 第1電極
5 第2電極
6 第1電極端子
7 第2電極端子
8 栓
9 判定対象の液体
10 容器
11 計測装置
12 記録装置
13 信号ケーブル等
14 第1・第2電極の厚さ
15 第1・第2電極の間隔
16 判定対象の液体に対する第1・第2電極の深度
17 第1・第2電極間の体積
18 第1・第2電極の相互に対向する平面の外側の体積
19 第1・第2電極の相互に対向する平面の面積
20 生薬の効能が確認された茶の銅電極を使用した記録
21 生薬の効能が確認されない茶の銅電極を使用した記録
22 銅電極を使用した場合の茶の生薬の効能判定範囲
23 生薬の効能が確認された霊芝とかわら茸を主な素材とする漢方の銅電極を使用した記録
24 生薬の効能が確認された茶のアルミニウム電極を使用した記録
25 鉄瓶で煮沸した水のアルミニウム電極を使用した記録
26 電極間隔固定位置
27 赤茶色の析出物
28 生薬の効能検出位置
29 時間ごとの電圧の振幅に共通する特徴
30 想定される判定基準のずれ
【要約】      (修正有)
【課題】判定対象物を電気的に計測する事によって同一種類の判定対象物における生薬の効能の有無を判定する手段を提供する。
【解決手段】同一種類の判定対象物の生薬の効能の有無を判定する為にその抽出物の活性を電気的に計測する。判定対象物の種類ごとに作成された生薬の効能判定手順通りに生薬の効能を判定する判定対象物を抽出して判定対象の液体9を作成し、十分冷却・発酵させた上で電圧または電流検出部分の第1・第2電極4・5に判定対象の液体9に対して酸化還元反応する同一の伝導体を用いた電極装置2に収容し、電子が持つ波としての特性を利用して第1・第2電極端子6・7間に発生する電圧または電流の揺れを計測記録装置3にて計測記録する。計測した記録を同一種類の判定対象物の計測結果から導き出された生薬の効能判定基準と比較し生薬の効能を有すると判断される基準を満たしているか否かによって生薬の効能の有無を判定する。
【選択図】図1
図1
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