(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】イグラチモド含有固形製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/352 20060101AFI20241127BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20241127BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20241127BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20241127BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
A61K31/352
A61K9/20
A61K47/32
A61K47/38
A61P29/00 101
(21)【出願番号】P 2019146797
(22)【出願日】2019-08-08
【審査請求日】2022-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000228590
【氏名又は名称】日本ケミファ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100214477
【氏名又は名称】砂原 一公
(74)【代理人】
【識別番号】100146259
【氏名又は名称】橋本 諭志
(74)【代理人】
【識別番号】100124822
【氏名又は名称】千草 新一
(74)【代理人】
【識別番号】100217098
【氏名又は名称】清 一雄
(72)【発明者】
【氏名】横田 淳
(72)【発明者】
【氏名】山崎 一
(72)【発明者】
【氏名】芦原 悠太
(72)【発明者】
【氏名】水上 允人
(72)【発明者】
【氏名】玉来 彩子
【審査官】梅田 隆志
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109512786(CN,A)
【文献】特開2001-240540(JP,A)
【文献】特開2017-081850(JP,A)
【文献】特開2013-023463(JP,A)
【文献】特開2010-053047(JP,A)
【文献】医薬品添加物規格2018,2018年,pp.669-670.,URL: https://www.mhl w.go.jp/content/11120000/000336088.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61P 1/00-43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イグラチモド、並びに、部分けん化物であるポリビニルアルコール及びポリビニルアルコールが部分けん化物であるポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体からなる群より選択される少なくとも1種以上の結合剤を含む造粒物、を含有することを特徴とする、固形製剤(但し、前記造粒物は、その平均粒径が
3μm未満の造粒物を除く)。
【請求項2】
さらに、賦形剤を含有する、請求項1に記載の固形製剤。
【請求項3】
さらに、崩壊剤を含有する、請求項1又は2に記載の固形製剤。
【請求項4】
前記賦形剤が結晶セルロースである、請求項2又は3に記載の固形製剤。
【請求項5】
前記崩壊剤がカルメロースカルシウムである、請求項3又は4に記載の固形製剤。
【請求項6】
前記結合剤の含有率が固形製剤の全重量に対して0.1重量%~10重量%である、請求項1~5のいずれか1項に記載の固形製剤。
【請求項7】
前記結合剤の含有率が固形製剤の全重量に対して0.5重量%~5重量%である、請求項1~5のいずれか1項に記載の固形製剤。
【請求項8】
錠剤である、請求項1~7のいずれか1項に記載の固形製剤。
【請求項9】
イグラチモド、並びに、部分けん化物であるポリビニルアルコール及びポリビニルアルコールが部分けん化物であるポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体からなる群より選択される少なくとも1種以上の結合剤を用いて、湿式造粒することにより造粒物を製造し、
前記造粒物に添加物を混合した後に、圧縮成形することを特徴とする、
固形製剤を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イグラチモドの製剤からの溶出性が改善された固形製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
イグラチモド(一般名)は、化学名がN-[7-[(メタンスルホニル)アミノ]-4-オキソ-6-フェノキシ-4H-1-ベンゾピラン-3-イル]ホルムアミドであり、B細胞による免疫グロブリンの産生及び単球/マクロファージや滑膜細胞による炎症性サイトカインの産生を抑制する作用を有し、抗リウマチ剤として使用されている(非特許文献1、非特許文献2)。
【0003】
イグラチモドの溶解性については、「アセトニトリルに溶けにくく、エタノール(99.5)に極めて溶けにくく、水にほとんど溶けない。」ことが記載されており(非特許文献1、非特許文献2)、イグラチモドは水難溶性の薬物であることが示されている。
【0004】
水難溶性の薬物を含有する固形製剤は溶出不良となる場合があることが知られており、その溶出性を改善する方法としては機械的粉砕による微細化法が一般的であるが、イグラチモドは帯電および凝集しやすい特徴もあることから、取り扱いの面で問題がある。
【0005】
特許文献1には、3-ホルミルアミノ-7-メチルスルホニルアミノ-6-フェノキシ-4H-1-ベンゾピラン-4-オン(イグラチモドに相当する。)、結晶セルロースおよび崩壊剤を造粒機に投入し、混合末とした後、次いで水を添加し混合した後、結合剤の溶液を添加し造粒することで溶出性を改善する、機械的微粉砕を行わない製剤化方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献】
【0007】
【文献】「ケアラム(登録商標)錠」 医薬品インタビューフォーム 2017年1月改訂(改訂第6版)
【文献】「コルベット(登録商標)錠」 医薬品インタビューフォーム 2018年1月改訂(第1版)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、イグラチモドを含有する固形製剤において、機械的粉砕等の特殊な製造工程を経ることなく、イグラチモドの溶出性を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、イグラチモドを有効成分として含有する固形製剤を製造するにあたり、ポリビニルアルコール及びポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体からなる群より選択される少なくとも1種以上の結合剤を含有することにより、固形製剤からの薬物の溶出性を改善できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、以下の発明を包含する。
<1> イグラチモド、並びに、ポリビニルアルコール及びポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体からなる群より選択される少なくとも1種以上の結合剤を含有することを特徴とする、固形製剤。
<2> さらに、賦形剤を含有する、<2>に記載の固形製剤。
<3> さらに、崩壊剤を含有する、<1>又は<2>に記載の固形製剤。
<4> 前記賦形剤が結晶セルロースである、<2>又は<3>に記載の固形製剤。
<5> 前記崩壊剤がカルメロースカルシウムである、<3>又は<4>に記載の固形製剤。
<6> 前記結合剤の含有率が固形製剤の全重量に対して0.1重量%~10重量%である、<1>~<5>のいずれかに記載の固形製剤。
<7> 前記結合剤の含有率が固形製剤の全重量に対して0.5重量%~5重量%である、<1>~<5>のいずれかに記載の固形製剤。
<8> 錠剤である、<1>~<7>のいずれかに記載の固形製剤。
【発明の効果】
【0011】
本発明の固形製剤によれば、水難溶性であるイグラチモドの溶出性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は日局第2液を用いた溶出試験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の固形製剤について詳細に説明する。
【0014】
イグラチモドは、本技術において開示されている方法にしたがって容易に製造可能であり、その適切な例には特開平2-49778号公報に開示されている方法などがある。
【0015】
ポリビニルアルコールは、通常、酢酸ビニルを重合させた後、完全又は部分的にけん化することにより製造されるから、本発明のポリビニルアルコールには完全又は部分的にけん化物が包含され得る。本発明で用いられるポリビニルアルコールとしては市販のものを用いることができ、例えばゴーセノール(登録商標) EG-05PW(三菱ケミカル製)を用いることができる。
【0016】
本発明で用いられるポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体としては市販のものを用いることができ、例えばPOVACOAT(登録商標)、大同化成工業社製)を用いることができる。
【0017】
本発明の固形製剤における結合剤の含有率は、固形製剤の全重量に対して0.1重量%~10重量%、0.5重量%~5重量%、又は1重量%~3重量%とすることができ、より好ましくは2重量%、最も好ましくは1.9重量%である。
【0018】
本発明の固形製剤は、所望により、医薬的に許容可能な添加物の少なくとも一つをさらに含有することができる。このような添加物としては、例えば、結合剤、崩壊剤、賦形剤、滑沢剤、乳化剤、安定剤、香料、着色剤、矯味剤、希釈剤等が挙げられる。
【0019】
本発明で用いることができる結合剤としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、寒天、水アメ、ミツロウ、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、プルラン、ペクチン、部分α化デンプン、デキストリン、キサンタンガム、アラビアゴム、グァーガム、カルボキシビニルポリマー、アンモニオアルキルメタクリレートコポリマー、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルエチルセルロース、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー、マクロゴール、メタクリル酸コポリマー等が挙げられる。これら結合剤は、ポリビニルアルコール及びポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体からなる群より選択される少なくとも1種以上の結合剤に対して、添加されていないか、1種又は2種以上を混合して用いてもよい。
【0020】
本発明で用いることができる賦形剤としては、例えば、結晶セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース等)等のセルロース類、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、部分α化デンプン、ヒドロキシプロピルスターチなどのデンプン類、ブドウ糖、乳糖(無水乳糖含む)、白糖(精製白糖含む)、精製白糖、粉糖、トレハロース、デキストラン、デキストリンなどの糖類、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール、マルチトール、粉末還元麦芽糖水アメなどの糖アルコール類、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、および、これらに置換基が付いた誘導体等の二糖類、グリセリン脂肪酸エステル、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、無水リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、リン酸水素カルシウム水和物、乳酸カルシウム、炭酸水素ナトリウムなどの無機塩が挙げられ、これらの中から1種又は2種以上混合して用いてもよい。
【0021】
本発明で用いることができる崩壊剤としては、例えば、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース(カルメロース)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、デンプン、部分α化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム等が挙げられ、これらの中から1種又は2種以上混合して用いてもよい。
【0022】
本発明で用いることができる滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、硬化油、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、カルナウバロウ及びタルク等が挙げられ、これらの中から1種又は2種以上混合して用いてもよい。
【0023】
本発明で用いることができる流動化剤としては、例えば、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ステアリン酸、及びタルク等が挙げられ、これらの中から1種又は2種以上混合して用いてもよい。
【0024】
本発明で用いることができる甘味剤としては、例えば、アスパルテーム、サッカリン、ステビア、アマチャ末、スクラロース、アセスルファムカリウム、白糖、ソルビトール、還元麦芽糖水アメ、サッカリン、カンゾウ、及びタウマチン等が挙げられ、これらの中から1種又は2種以上混合して用いてもよい。
【0025】
本発明で用いることができる香料としては、例えば、オレンジ、バニラ、ストロベリー、ヨーグルト、メントール、ウイキョウ油、ケイヒ油、トウヒ油、ハッカ油、及び緑茶末等が挙げられ、これらの中から1種又は2種以上混合して用いてもよい。
【0026】
本発明で用いることができる着色剤としては、例えば、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタン、タルク、食用黄色4号、食用黄色4号アルミニウムレーキ、食用黄色5号、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色102号、食用青色1号、メチレンブルー、カルミン、及びリボフラビン等が挙げられ、これらの中から1種又は2種以上混合して用いてもよい。
【0027】
本発明で用いることができる矯味剤としては、例えば、グルタミン酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、塩化ナトリウム、及びメントール等が挙げられ、これらの中から1種又は2種以上混合して用いてもよい。
【0028】
本発明で用いることができる可塑剤としては、例えば、クエン酸トリエチル、グリセリン、トリアセチン、ヒマシ油、マクロゴール、プロピレングリコール、及びモノステアリン酸グリセリン等が挙げられ、これらの中から1種又は2種以上混合して用いてもよい。
【0029】
本発明で用いることができる安定化剤としては、医薬の製剤分野において、それ自体公知の安定化剤を使用することができる。
【0030】
本発明の固形製剤は、2以上の原薬を含む配合錠とすることもできる。イグラチモドと配合できる別の種類の原薬としては、例えば、他の抗リウマチ薬、非ステロイド抗炎症薬、免疫抑制薬、生物学的製剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
本発明の固形製剤としては、例えば、錠剤、顆粒剤、細粒剤、カプセル剤、丸剤などの経口投与に適した固形製剤が挙げられ、なかでも錠剤が好ましく、単層錠がより好ましい。本発明の固形製剤が錠剤である場合、錠剤の形状は、丸形、オーバル形、オブロング形等のいずれであってもよい。また、必要に応じてコーティング剤によってコーティングすることもできる。さらに、識別性向上のためのマーク、文字等の印字を施すことも可能であり、分割用の割線を付してもよい。
【0032】
本発明の固形製剤は、一般的な製造方法によって作成することが可能であり、例えば以下の製造方法によって作成することが可能である。
まず、イグラチモド、並びに、ポリビニルアルコール及びポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体からなる群より選択される少なくとも1種以上の結合剤を用いて造粒物を製造し、顆粒を得る。造粒方法は流動層造粒法、攪拌造粒法等の医薬の製剤分薬において、それ自体公知の造粒方法が挙げられる。また、得られた顆粒を崩壊剤及び滑沢剤等と混合した後に、打錠機によって圧縮成形し錠剤としても良い。さらに、得られた錠剤に通気型パン式コーティング装置等によってフィルムコーティングを施しても良い。イグラチモドと添加物を粉末のまま又は顆粒としてカプセルへ封入することでカプセル剤とすることもできる。
【実施例】
【0033】
以下に試験例及び実施例を記載して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0034】
実施例1
イグラチモド25.0重量部、結晶セルロース(旭化成製、PH-101)86.0重量部及びカルメロースカルシウム(五徳薬品製、ECG-505)9.0重量部をそれぞれ秤取した後にめのう乳鉢を用いて混合し、混合末を得た。
別途、ポリビニルアルコール(三菱ケミカル製、ゴーセノールEG-05PW)1.9重量部を精製水51重量部に添加し溶解し、結合液を得た。
先の混合末に上記結合液を添加し、めのう乳鉢を用いて湿式造粒した。さらに精製水25重量部を添加し、めのう乳鉢を用いて湿式造粒し、造粒末を得た。得られた造粒末を乾燥し、24号篩に通して整粒することで、整粒末を得た。
得られた整粒末に、結晶セルロース(旭化成製、UF-702)56.3重量部及びカルメロースカルシウム5.0重量部を添加して混合し、さらにステアリン酸マグネシウム(太平化学産業製)1.8重量部を添加して混合することで打錠末を得た。
得られた打錠末を径7.5mm錠剤、質量185mgとなるように単発打錠機(簡易錠剤成形機HNDTAB―200型、市橋精機社製)にて打錠し、イグラチモド含有錠剤を得た。
【0035】
実施例2
下記表1の処方にて、結合剤として実施例1においてポリビニルアルコールの代わりにポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体(大同化成工業製、POVACOAT)を使用する以外は、上記実施例1と同様の製法により、イグラチモド含有錠剤を得た。
【0036】
比較例1
下記表1の処方にて、結合剤として実施例1においてポリビニルアルコールの代わりにヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達製、HPC-L)を使用する以外は、上記実施例1と同様の製法により、イグラチモド含有錠剤を得た。
【0037】
比較例2
下記表1の処方にて、結合剤として実施例1においてポリビニルアルコールの代わりにヒプロメロース(信越化学工業製、TC-5R)を使用する以外は、上記実施例1と同様の製法により、イグラチモド含有錠剤を得た。
【0038】
比較例3
下記表1の処方にて、結合剤として実施例1においてポリビニルアルコールの代わりにメチルセルロース(信越化学工業製、メトローズSM-4)を使用する以外は、上記実施例1と同様の製法により、イグラチモド含有錠剤を得た。
【0039】
【0040】
試験例1
溶出試験
実施例1、2及び比較例1~3で製造した錠剤について、以下の通りイグラチモドの溶出率を測定した。
試験液には第十七改正日本薬局方に記載の溶出試験第2液900mLを用い、パドル法にて毎分50回転の条件で試験を行った。溶出試験開始から5、10、15、30、60、120、360分後に溶出液をそれぞれ20mL採取し、直ちに試験液20mLを補う。採取した溶出液を孔径0.45μmのフィルターでろ過し、試料とした。得られた試料中に含まれるイグラチモドを液体クロマトグラフィーにより下記の条件で測定し、これらの溶出率を求めた。その結果を
図1に示す。
【0041】
試験条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:257nm)
カラム:内径4.6mm、長さ15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填する。
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相:0.04mol/Lリン酸二水素アンモニウム溶液:アセトニトリル混液=3:2
【0042】
図1より、結合剤としてポリビニルアルコール又はポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体を用いた本発明のイグラチモド含有錠剤は、高い溶出率を示した。
特に、特許文献1の処方(組成)を模した比較例1の錠剤が、比較例2及び3に比べて優れた溶出率を示すことが再現された系において、本発明の錠剤は、さらに溶出率が改善されたものであることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明によれば、水難溶性であるイグラチモドを有効成分とする、溶出性を改善した固形製剤を提供することができる。