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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】車両用バッテリユニット
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/267 20210101AFI20241127BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20241127BHJP
   H01M 10/6567 20140101ALI20241127BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20241127BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20241127BHJP
   H01M 50/262 20210101ALI20241127BHJP
   H01M 50/264 20210101ALI20241127BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20241127BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20241127BHJP
   H05K 7/20 20060101ALN20241127BHJP
【FI】
H01M50/267
H01M10/613
H01M10/6567
H01M10/6556
H01M50/211
H01M50/262 S
H01M50/264
H01M50/249
H01M50/204 401H
H05K7/20 N
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020045039
(22)【出願日】2020-03-16
(65)【公開番号】P2021150013
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】藤本 真二
(72)【発明者】
【氏名】圷 重光
【審査官】山下 裕久
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-157564(JP,A)
【文献】特開2015-179613(JP,A)
【文献】特開2019-192392(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0088911(US,A1)
【文献】特表2018-527704(JP,A)
【文献】国際公開第2011/148641(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0019507(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-298
H01M 10/613
H01M 10/6567
H01M 10/6556
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の第1の仕様の複数の扁平型バッテリセルを積層して構成された高圧バッテリと、
所定の第2の仕様の複数の扁平型バッテリセルを積層して構成された低圧バッテリと、
前記高圧バッテリと前記低圧バッテリとを相互に絶縁された状態で一体化された複合バッテリユニットとして当該積層の方向に加圧して支持する支持体と、
を備え、
前記支持体は、前記複合バッテリユニットの当該積層の方向の両端部に設けられた一対のエンドプレートと、前記一対のエンドプレート間を、前記複合バッテリユニットを間に挟んで結ぶ一対のサイドプレートとを有し、前記サイドプレートは前記複合バッテリユニットの構成要素である前記扁平型バッテリセルをその幅方向のタブが折り曲げられた状態で支持し、
前記高圧バッテリの出力電圧を変換するDC-DCコンバータが前記複合バッテリユニットに付設され、
前記DC-DCコンバータに、前記DC-DCコンバータと前記複合バッテリユニットとの間に介挿された熱伝導絶縁部材の中に設けられた冷却回路が付設された車両用バッテリユニット。
【請求項2】
前記第1の仕様と前記第2の仕様とは同仕様である、請求項1に記載の車両用バッテリユニット。
【請求項3】
前記支持体は、前記高圧バッテリと前記低圧バッテリとを当該積層の方向に連結して支持する、請求項1又は2に記載の車両用バッテリユニット。
【請求項4】
前記複合バッテリユニットの状態を管理するバッテリ管理装置(BMS)が前記複合バッテリユニットに付設された、請求項1からの何れか一項に記載の車両用バッテリユニット。
【請求項5】
前記支持体は、当該車両用バッテリユニットが車両に搭載された状態で、前記高圧バッテリの正極端子が負極端子よりも前記車両の車体から離隔して位置するように前記複合バッテリユニットを支持する、請求項1からの何れか一項に記載の車両用バッテリユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用バッテリユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
板形状を成すフレームに単電池を保持させて小モジュールを形成し、その小モジュールをフレームの厚み方向に複数個積層して積層ユニットを形成し、積層ユニットを積層方向の両面からヒートシンクで加圧して一体的に保持することで車両用バッテリユニット構成することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-116427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の車両用バッテリユニットは、電動車両における駆動用モータの高電圧の電源に適する。一方、電動車両においてもヘッドライトやカーナビゲーションシステム等の電源として相対的に低電圧の補器用バッテリが別途に搭載されるのが一般的である。
しかしながら、近年、車両には多くの電気機器が搭載され、それらの設置スペースは極めて多くの制約を受ける。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされものであり、高電圧のバッテリと低電圧のバッテリとを一体的に統合し、設置に係る制約の多い条件にも適合する車両用バッテリユニットを提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)所定の第1の仕様の複数の扁平型バッテリセル(例えば、後述する扁平型バッテリセル16)を積層して構成された高圧バッテリ(例えば、後述する高圧バッテリ4)と、所定の第2の仕様の複数の扁平型バッテリセル(例えば、後述する扁平型バッテリセル20)を積層して構成された低圧バッテリ(例えば、後述する低圧バッテリ5)と、前記高圧バッテリと前記低圧バッテリとを相互に絶縁された状態で一体化された複合バッテリユニット(例えば、後述する複合バッテリユニット3)として当該積層の方向に加圧して支持する支持体(例えば、後述する支持体6)と、
を備えた車両用バッテリユニット。
【0007】
(2)前記第1の仕様と前記第2の仕様とは同仕様である、(1)に記載の車両用バッテリユニット。
【0008】
(3)前記支持体は、前記高圧バッテリと前記低圧バッテリとを当該積層の方向に連結して支持する、(1)又は(2)に記載の車両用バッテリユニット。
【0009】
(4)前記高圧バッテリの出力電圧を変換するDC-DCコンバータ(例えば、後述するDC-DCコンバータ11)が前記複合バッテリユニットに付設された、(1)から(3)の何れかに記載の車両用バッテリユニット。
【0010】
(5)前記DC-DCコンバータに冷却回路(例えば、後述する冷却回路13)が付設された、(4)に記載の車両用バッテリユニット。
【0011】
(6)前記支持体は、前記複合バッテリユニットの当該積層の方向の両端部に設けられた一対のエンドプレート(例えば、後述するエンドプレート7,8)と、前記一対のエンドプレート間を、前記複合バッテリユニットを間に挟んで結ぶ一対のサイドプレート(例えば、後述するサイドプレート9,10)とを有し、前記サイドプレートは前記複合バッテリユニットの構成要素である前記扁平型バッテリセルをその幅方向のタブが折り曲げられた状態で支持する、(1)から(5)の何れかに記載の車両用バッテリユニット。
【0012】
(7)前記複合バッテリユニットの状態を管理するバッテリ管理装置(BMS)(例えば、後述するBMS15)が前記複合バッテリユニットに付設された、(1)から(6)の何れかに記載の車両用バッテリユニット。
【0013】
(8)前記支持体は、当該車両用バッテリユニットが車両に搭載された状態で、前記高圧バッテリの正極端子(例えば、後述する正極出力端子19)が負極端子(例えば、後述する負極出力端子18)よりも前記車両の車体から離隔して位置するように前記複合バッテリユニットを支持する、(1)から(7)の何れかに記載の車両用バッテリユニット。
【発明の効果】
【0014】
(1)の車両用バッテリユニットでは、支持体によって、高圧バッテリと低圧バッテリとが複合バッテリユニットとして一体化されて複合バッテリユニットの構成要旨である扁平型バッテリセルの積層方向に加圧して支持されているため、扁平型バッテリセルが十全に機能し、且つ、電源部がコンパクトになり、車両の設置に係る制約の多い条件にもよく適合する。
【0015】
(2)の車両用バッテリユニットでは、高圧バッテリを構成する扁平型バッテリセルと低圧バッテリを構成する扁平型バッテリセルとが同じ仕様のものであるため、同じ扁平型バッテリセルの直列接続の数を変えることによって高圧バッテリと低圧バッテリとが区分されるため、部品の種類が少なくなり、製造時の管理コストが低減される。
【0016】
(3)の車両用バッテリユニットでは、支持体によって、高圧バッテリと低圧バッテリとがそれらを構成する扁平型バッテリセルの積層方向に連結して支持されるため、扁平型バッテリセル相互間に積層方向押圧力が作用して構造的に安定した複合バッテリユニットが形成される。
【0017】
(4)の車両用バッテリユニットでは、高圧バッテリの出力電圧を変換するDC-DCコンバータが複合バッテリユニットに付設されているため、車両用バッテリユニットから車両駆動用電動機までの電源ケーブルルートが簡素になる。
【0018】
(5)の車両用バッテリユニットでは、DC-DCコンバータに冷却回路が付設されているため、DC-DCコンバータの冷却回路をバッテリの冷却回路と兼用させることができ冷却系の構成が簡素化される。
【0019】
(6)の車両用バッテリユニットでは、支持体は、複合バッテリユニットの当該積層の方向の両端部に設けられた一対のエンドプレートと、一対のエンドプレート間を、複合バッテリユニットを間に挟んで結ぶ一対のサイドプレートとを有する。このサイドプレートによって複合バッテリユニットの構成要素である扁平型バッテリセルをその幅方向のタブが折り曲げられた状態で支持する。従って、全体的にコンパクトな車両用バッテリユニットが実現する。
【0020】
(7)の車両用バッテリユニットでは、複合バッテリユニットの状態を管理するバッテリ管理装置(BMS)が複合バッテリユニットに付設されているため、複合バッテリユニット3に関する管理系統が簡素化される。
【0021】
(8)の車両用バッテリユニット1では、支持体6は、当該車両用バッテリユニット1が車両に搭載された状態で、高圧バッテリの正極端子が負極端子よりも車体から離隔して位置するように複合バッテリユニットを支持する。このため、メンテナンスに際して高圧バッテリの正極出力端子がアース(車体)に短絡するおそれが低減する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態としての車両用バッテリユニットを表す平面図である。
図2図1の車両用バッテリユニットのA-A線断面図である。
図3】本発明の他の実施形態としての車両用バッテリユニット要部断面図である。
図4】本発明の他の実施形態としての車両用バッテリユニット要部断面図である。
図5】本発明の他の実施形態としての車両用バッテリユニット要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態としての車両用バッテリユニットを表す平面図である。
図2図1の車両用バッテリユニットのA-A線断面図である。
図1及び図2において、車両用バッテリユニット1は断面にて図示のバッテリケース2に複合バッテリユニット3が収納されて構成されている。複合バッテリユニット3は、高圧バッテリ4と低圧バッテリ5とが支持体6によって相互に絶縁された状態で一体化されて、複合バッテリユニットの構成要旨である扁平型バッテリセルの積層方向に加圧して支持されるように構成されている。高圧バッテリ4は、所定の第1の仕様の複数の扁平型バッテリセルを積層して構成されている。ここに第1の仕様とは、例えば、平均電圧が数ボルトのラミネート電池である。また、全固体バッテリであり得る。全固体バッテリである場合にも、支持体6によって、扁平型バッテリセルの積層方向に加圧して支持されるため十全に機能する。低圧バッテリ5は、所定の第2の仕様の複数の扁平型バッテリセルを積層して構成されている。ここに第2の仕様とは、例えば、平均電圧が数ボルトの電池であり、第1の仕様と同仕様であり得る。車両用バッテリユニット1は、特に、HVやHEVにおける車両用バッテリユニットとして構成される。高圧バッテリ4は、主に車両走行用の電動機等を駆動するために用いられる。低圧バッテリ5は、一般的な車両の補機の電源として用いられる。
【0024】
支持体6は、複合バッテリユニット3の扁平型バッテリセルの積層方向の両端部に設けられた一対のエンドプレート7,8と、この一対のエンドプレート7,8間を、複合バッテリユニット3を間に挟んで結ぶ一対のサイドプレート9,10とを有している。即ち、複合バッテリユニット3の高圧バッテリ4側の端部にエンドプレート7が設けられ、複合バッテリユニット3の低圧バッテリ5側にエンドプレート8が設けられる。サイドプレート9,10は、一対のエンドプレート7,8間を一定のテンションを維持して結ぶように配される。従って、高圧バッテリ4及び低圧バッテリ5には、それらの扁平型バッテリセルの積層方向に常時押圧力が作用して加圧して支持される。各扁平型バッテリセルはそれらの幅方向にタブ(不図示)を有する。一対のエンドプレート7,8は複合バッテリユニット3の構成要素である扁平型バッテリセルをそれらのタブが折り曲げられた状態で支持する。
【0025】
複合バッテリユニット3には高圧バッテリ4の出力電圧を変換するDC-DCコンバータ11が付設されている。DC-DCコンバータ11は高圧バッテリ4の出力電圧が印加される2本の電力線間に電気的に接続されて、電圧を変換する、所謂双方向のDC-DCコンバータであり得る。図1ではDC-DCコンバータ11の外平面投影で見た外形と配置とを破線にて図示している。
【0026】
DC-DCコンバータ11には冷却回路13が付設されている。冷却回路13はDC-DCコンバータ11と複合バッテリユニット3の一つの壁面或いはタブ接続面上との間に介挿された熱伝導絶縁部材14の中に設けられた冷却液の循環路として構成される。冷却回路13には外部の冷却液ポンプと熱交換器とによって熱交換される冷却液が図1に矢線図示の如くに流れる。
【0027】
複合バッテリユニット3には、バッテリの状態を管理するバッテリ管理装置(BMS)15が付設されている。図2に概念的に示された如く、本例では、BMS15はDC-DCコンバータ11内にDC-DCコンバータ回路と共に収納されている。DC-DCコンバータ11とBMS15とは同一基盤上に形成されてもよい。
【0028】
次に、図1を参照して、高圧バッテリ4、低圧バッテリ5の構成について具体的に説明する。
高圧バッテリ4は、複数の扁平型バッテリセル16が積層されて構成される。各扁平型バッテリセル16は図2の視座で上辺の左右両端近傍位置に正極及び負極の電極タブ(不図示)を有する。これら複数の扁平型バッテリセル16は、図1の接続導体17によって直列に接続される。
【0029】
詳細には、一つの扁平型バッテリセル16に対してもう一つの扁平型バッテリセル16を表裏の関係を逆にして、互い違いに重ね合わせる。このように重ね合わせると、一つの扁平型バッテリセル16の正極タブが隣接するもう一つの扁平型バッテリセル16の負極タブと近接し、一つの扁平型バッテリセル16の負極タブが隣接するもう一つの扁平型バッテリセル16の正極タブと近接する。
【0030】
従って、このように近接する正極及び負極の電極タブを接続導体17によって接続することにより短い配線(幅の狭い導体)で扁平型バッテリセル16の直列接続体としての高圧バッテリ4を構成することができる。
【0031】
直列接続の始端に当たる扁平型バッテリセル16(図1では上方側のもの)の正極タブに連なる導体が高圧バッテリ4の正極出力端子19としてバッテリケース2の外部に導出される。直列接続の終端に当たる扁平型バッテリセル16(図1では下方側のもの)の負極タブに連なる導体が高圧バッテリ4の負極出力端子18としてバッテリケース2の外部に導出される。
【0032】
低圧バッテリ5は、複数の扁平型バッテリセル20が積層されて構成される。各扁平型バッテリセル20は図2の視座で上辺の左右両端近傍位置に正極及び負極の電極タブ(不図示)を有する。これら複数の扁平型バッテリセル20は、図1の接続導体21によって直列に接続される。
【0033】
高圧バッテリ4の場合と同様に、一つの扁平型バッテリセル20に対してもう一つの扁平型バッテリセル20を表裏の関係を逆にして、互い違いに重ね合わせる。このように重ね合わせると、一つの扁平型バッテリセル20の正極タブが隣接するもう一つの扁平型バッテリセル20の負極タブと近接し、一つの扁平型バッテリセル20の負極タブが隣接するもう一つの扁平型バッテリセル20の正極タブと近接する。
【0034】
従って、このように近接する正極及び負極の電極タブを接続導体21によって接続することにより短い配線(幅の狭い導体)で扁平型バッテリセル16の直列接続体としての低圧バッテリ5を構成することができる。
【0035】
直列接続の始端に当たる扁平型バッテリセル20(図1では上方側のもの)の正極タブに連なる導体が低圧バッテリ5の正極出力端子22としてバッテリケース2の外部に導出される。直列接続の終端に当たる扁平型バッテリセル20(図1では下方側のもの)の負極タブに連なる導体が低圧バッテリ5の負極出力端子23としてバッテリケース2の外部に導出される。
【0036】
図1及び図2において、車両用バッテリユニット1のバッテリケース2は、バッテリケース本体24が蓋体25で封止されるように構成されている。蓋体25に設けられた貫通孔(不図示)から、高圧バッテリ4の正極出力端子19及び負極出力端子18、並びに、低圧バッテリ5の正極出力端子22及び負極出力端子23が外部に導出される。また冷却回路13バッテリケース本体24の適所に冷却回路13が外部と連通する貫通孔が設けられる。なお、バッテリケース本体24の底部26にバッテリケース2を車両の所定部位に設置するための脚部27が図示の4箇所に設けられている。
【0037】
図2を参照して説明したように、複合バッテリユニット3には、バッテリ管理装置(BMS)15が付設されている。本例では、BMS15は、高圧バッテリ4を構成する各扁平型バッテリセル16,16の状態(起電力)を検出するセル電圧センサ(CVS)を含んで構成される。図2では、CVSのリード線28が各扁平型バッテリセル16,16からBMS15を収納したDC-DCコンバータ11に引き込まれている。
【0038】
なお、図1の車両用バッテリユニットでは、支持体6は、車両用バッテリユニット1が車両に搭載された状態で、高圧バッテリ4の正極端子が負極端子よりも車体から離隔して位置するように複合バッテリユニット3を支持する。
【0039】
図1及び図2を参照して説明した車両用バッテリユニット1では、複合バッテリユニット3における高圧バッテリ4の正極出力端子19および負極出力端子18をバッテリケース2から外部に導出する側の面である上面にDC-DCコンバータ11を、熱伝導絶縁部材14を介して接触させるように設けた。しかしながら、DC-DCコンバータ11の配置はこれに限られず、次に、図3から図5を参照して説明するように種々選択できる。
【0040】
図3から図5は、それぞれ、本発明の他の実施形態としての車両用バッテリユニットを図1におけるA-A線に想到する位置で見た要部断面図である。
図3から図5において、図1及び図2との対応部には同一の符号附して示し、それら対応部については、図1及び図2における説明を援用する。
【0041】
図3の車両用バッテリユニット1aでは、複合バッテリユニット3における高圧バッテリ4の正極出力端子19および負極出力端子18をバッテリケース2から外部に導出する側の面と直交する面である側面にDC-DCコンバータ11を、熱伝導絶縁部材14を介して接触させるように設けている。
【0042】
図4の車両用バッテリユニット1bでは、複合バッテリユニット3における高圧バッテリ4の正極出力端子19および負極出力端子18をバッテリケース2から外部に導出する側の面と反対側の面である底面にDC-DCコンバータ11を、熱伝導絶縁部材14を介して接触させるように設けている。
【0043】
図5の車両用バッテリユニット1cでは、複合バッテリユニット3が収納されるバッテリケース2はその脚部27が当該バッテリケース2の断面における長手方向の一端部側に設けられ、結果的に、脚部27が接触を予定している車体の取り付け面に対し、比較的小面積の投影面から比較的高く伸びた形態をとる。図示のように、車両用バッテリユニット1cでは、複合バッテリユニット3における高圧バッテリ4の正極出力端子19および負極出力端子18をバッテリケース2から外部に導出する側の面であるバッテリケース2の側面に平行な面にDC-DCコンバータ11を、熱伝導絶縁部材14を介して接触させるように設けている。
【0044】
本実施形態の車両用バッテリユニットによれば、以下の効果を奏する。
【0045】
(1)の車両用バッテリユニット1では、支持体6によって、高圧バッテリ4と低圧バッテリ5とが複合バッテリユニット3として一体化され複合バッテリユニット3の構成要旨である扁平型バッテリセル16の積層方向に加圧して支持されているため、扁平型バッテリセル16が十全に機能し、且つ、電源部がコンパクトになり、車両の設置に係る制約の多い条件にもよく適合する。
【0046】
(2)の車両用バッテリユニット1では、高圧バッテリ4を構成する扁平型バッテリセル16と低圧バッテリ5を構成する扁平型バッテリセル20とが同じ仕様のものであるため、同じ扁平型バッテリセルの直列接続の数を変えることによって高圧バッテリと低圧バッテリとが区分されるため、部品の種類が少なくなり、製造時の管理コストが低減される。
【0047】
(3)の車両用バッテリユニットでは、支持体6によって、高圧バッテリ4と低圧バッテリ5とがそれらを構成する扁平型バッテリセル16,20の積層方向に連結して支持されるため、扁平型バッテリセル相互間に積層方向押圧力が作用して構造的に安定した複合バッテリユニット3が形成される。
【0048】
(4)の車両用バッテリユニットでは、高圧バッテリ4の出力電圧を変換するDC-DCコンバータ11が複合バッテリユニット3に付設されているため、車両用バッテリユニット1から車両駆動用電動機までの電源ケーブルルートが簡素になる。
【0049】
(5)の車両用バッテリユニット1では、DC-DCコンバータ11に冷却回路13が付設されているため、DC-DCコンバータ11の冷却回路13をバッテリの冷却回路と兼用させることができ冷却系の構成が簡素化される。
【0050】
(6)の車両用バッテリユニット1では、支持体6は、複合バッテリユニット3の当該積層の方向の両端部に設けられた一対のエンドプレート7,8と、一対のエンドプレート間を、複合バッテリユニット3を間に挟んで結ぶ一対のサイドプレート9,10とを有する。このサイドプレート9,10によって複合バッテリユニット3の構成要素である扁平型バッテリセル16をその幅方向のタブが折り曲げられた状態で支持する。従って、全体的にコンパクトな車両用バッテリユニットが実現する。
【0051】
(7)の車両用バッテリユニット1では、複合バッテリユニット3の状態を管理するバッテリ管理装置(BMS)15が複合バッテリユニット3に付設されているため、複合バッテリユニット3に関する管理系統が簡素化される。
【0052】
(8)の車両用バッテリユニット1では、支持体6は、当該車両用バッテリユニット1が車両に搭載された状態で、高圧バッテリ4の正極出力端子19が負極出力端子18よりも車体から離隔して位置するように複合バッテリユニット3を支持する。このため、メンテナンスに際して高圧バッテリ4の正極出力端子19がアース(車体)に短絡するおそれが低減する。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限られない。本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜変更してもよい。例えば、上述の図1の例では、高圧バッテリ4は扁平型バッテリセルを直列接続する構成を採ったが、このような直列接続による直列接続体を複数並列接続して、大容量化をはかった高圧バッテリとした構成してもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…車両用バッテリユニット
2…バッテリケース
3…複合バッテリユニット
4…高圧バッテリ
5…低圧バッテリ
6…支持体
7、8…エンドプレート
9、10…サイドプレート
11…DC-DCコンバータ
13…冷却回路
14…熱伝導絶縁部材
15…バッテリ管理装置(BMS)
16…扁平型バッテリセル
17…接続導体
18…負極出力端子
19…正極出力端子
20…扁平型バッテリセル
21…接続導体
22…正極出力端子
23…負極出力端子
24…バッテリケース本体
25…蓋体
26…底部
27…脚部
28…リード線
図1
図2
図3
図4
図5