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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】撮像装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/63 20230101AFI20241127BHJP
【FI】
H04N23/63 110
H04N23/63 330
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020061114
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021163999
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】風見 祐介
【審査官】▲徳▼田 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-137797(JP,A)
【文献】特開2010-093362(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/63
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置であって、
撮影して得られた画像を出力する撮像手段と、
前記画像における追尾する被写体の位置を検出する検出手段と、
前記被写体の位置に基づいて、前記画像内に前記被写体を含む部分領域を設定する設定手段と、
前記撮像装置の状態が第1の状態であるか第2の状態であるかに応じて、前記画像と前記部分領域と用いて、互いに異なる2つの構成のいずれかを有する追尾画像を生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された前記追尾画像を表示する表示手段と、
画像を記録する記録手段と、を有し、
前記設定手段は、前記部分領域の予め決められた目標位置に前記被写体を配置するように、前記部分領域を設定し、
前記第1の状態は、被写体の追尾が指示され、且つ、画像の記録が指示される前にライブビュー表示をしている状態、または、被写体の追尾が指示され、且つ、画像の撮影及び記録を行っている状態であって、
前記撮像装置の状態が前記第1の状態である場合に、前記生成手段は、前記部分領域の画像を前記画像と同じサイズに拡大して、第1の追尾画像を生成し、
前記第1の状態において、前記記録手段は、前記生成手段により生成された前記第1の追尾画像を記録し、
前記撮像装置の状態が前記第2の状態である場合に、前記生成手段は、前記画像に、前記部分領域を示す情報を重畳して、第2の追尾画像を生成する
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記部分領域を示す情報は、前記部分領域を示す枠であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第2の状態は、被写体の追尾が指示され、且つ、連写が指示された場合に、連写撮影の間にライブビュー表示を行う状態であることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
撮像装置の制御方法であって、
撮像手段が、撮影して得られた画像を出力する撮像工程と、
検出手段が、前記画像における追尾する被写体の位置を検出する検出工程と、
設定手段が、前記被写体の位置に基づいて、前記画像内に前記被写体を含む部分領域を設定する設定工程と、
生成手段が、前記撮像装置の状態が第1の状態であるか第2の状態であるかに応じて、前記画像と前記部分領域とを用いて、互いに異なる2つの構成のいずれかを有する追尾画像を生成する生成工程と、
表示手段が、前記生成工程で生成された前記追尾画像を表示する表示工程と、
記録手段が、画像を記録する記録工程と、を有し、
前記設定工程では、前記部分領域の予め決められた目標位置に前記被写体を配置するように、前記部分領域を設定し、
前記第1の状態は、被写体の追尾が指示され、且つ、画像の記録が指示される前にライブビュー表示をしている状態、または、被写体の追尾が指示され、且つ、画像の撮影及び記録を行っている状態であって、
前記撮像装置の状態が前記第1の状態である場合に、前記生成工程では、前記部分領域の画像を前記画像と同じサイズに拡大して、第1の追尾画像を生成し、
前記第1の状態において、前記記録工程では、前記生成工程で生成された前記第1の追尾画像を記録し、
前記撮像装置の状態が前記第2の状態である場合に、前記生成工程では、前記画像に、前記部分領域を示す情報を重畳して、第2の追尾画像を生成する
ことを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項5】
コンピュータに、請求項に記載の制御方法の各工程を実行させるためのプログラム。
【請求項6】
請求項に記載のプログラムを記憶したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被写体を撮影画面内の所定位置へフレーミングするよう、自動的に被写体追尾をする被写体追尾制御機能を備える撮像装置が提案されている。
【0003】
特許文献1では、像ブレを補正するためのブレ補正機構を、撮影画面内の被写体の動きに合わせて追尾するように駆動することで、被写体が撮影画面内の所定位置に配置されるように追尾する、光学式追尾方式を適用した撮像装置が開示されている。一方、光学式追尾方式とは異なる被写体の追尾方式として、電子式追尾方式が知られている。電子式追尾方式を適用した場合、撮像装置は、撮影画面内の被写体の動きに合わせて、撮影画面内の被写体の位置が所定位置に配置されるように画像を切り出すことで被写体の追尾を実現する。また、切り出した画像をライブビュー表示することも行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-93362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
被写体追尾制御機能を備える撮像装置においては、撮像装置が自動的に被写体が撮影画面内の所定位置に配置されるように被写体追尾を行う。そのため、例えば、撮影者が撮影を行う前に、液晶表示素子(LCD)等にライブビュー表示される被写体を確認することが容易になる。
【0006】
特に、電子式追尾方式による被写体追尾制御では、切り出した画像を用いることによりライブビュー表示される被写体像の大きさも拡大されることになるため、被写体の確認を更に容易に行うことが可能となる。
【0007】
しかしながら、画面内の被写体が所定位置に配置されるように画像を切り出すと、得られた画像の画角は狭くなってしまう。例えば、移動する被写体を連写で撮影する場合、各撮影の間には短い時間だけライブビュー表示(以下、「コマ間ライブビュー表示」と呼ぶ。)される。撮影者は、コマ間ライブビュー表示を確認しながら被写体を追う動作(フレーミング操作)を行う必要がある。この時、コマ間ライブビュー表示として、画角の狭い切り出し画像を表示した場合、被写体の周囲を確認しづらく、結果として、フレーミング操作が困難になる、という課題があった。
【0008】
本発明は上記問題点を鑑みてなされたものであり、画像の切り出しにより自動的に被写体を追尾する場合に、見易いライブビュー表示を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の撮像装置は、撮影して得られた画像を出力する撮像手段と、前記画像における追尾する被写体の位置を検出する検出手段と、前記被写体の位置に基づいて、前記画像内に前記被写体を含む部分領域を設定する設定手段と、前記撮像装置の状態が第1の状態であるか第2の状態であるかに応じて、前記画像と前記部分領域と用いて、互いに異なる2つの構成のいずれかを有する追尾画像を生成する生成手段と、前記生成手段により生成された前記追尾画像を表示する表示手段と、画像を記録する記録手段と、を有し、前記設定手段は、前記部分領域の予め決められた目標位置に前記被写体を配置するように、前記部分領域を設定し、前記第1の状態は、被写体の追尾が指示され、且つ、画像の記録が指示される前にライブビュー表示をしている状態、または、被写体の追尾が指示され、且つ、画像の撮影及び記録を行っている状態であって、前記撮像装置の状態が前記第1の状態である場合に、前記生成手段は、前記部分領域の画像を前記画像と同じサイズに拡大して、第1の追尾画像を生成し、前記第1の状態において、前記記録手段は、前記生成手段により生成された前記第1の追尾画像を記録し、前記撮像装置の状態が前記第2の状態である場合に、前記生成手段は、前記画像に、前記部分領域を示す情報を重畳して、第2の追尾画像を生成する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、画像の切り出しにより自動的に被写体を追尾する場合に、見易いライブビュー表示を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態の実施形態における撮像装置の構成を示すブロック図。
図2】実施形態における被写体の追尾制御処理を示すフローチャート。
図3】本実施形態における撮影処理を示すフローチャート。
図4】本実施形態における切り出し領域を説明する図。
図5】本実施形態における第1の追尾画像の生成を説明する図。
図6】本実施形態における第2の追尾画像の生成を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0013】
図1は、本発明における撮像装置の構成を示す図である。
撮像装置100は、例えば、デジタル一眼レフカメラやデジタルコンパクトカメラ、デジタルビデオカメラ等である。更に、本発明は、カメラ付き携帯端末、監視カメラ、Webカメラ等にも適用できる。本実施形態の撮像装置100は、撮像画像から被写体の領域を切り出すことで被写体を追尾する電子式追尾方式の追尾制御機能を有する。
【0014】
また、撮像装置100は、装置に加わる振れにより生じる画像のブレ(像ブレ)を補正するブレ補正機構を有する。本実施形態では、CPU101が、光学補正系122を駆動することで、ブレ補正機能を実現する。なお、像ブレの補正については、画像の縦方向または横方向のいずれか一方の像ブレの補正に関して説明し、他の方向の像ブレの補正については、同様の制御であるため説明を省略する。
【0015】
振れ検出部102は、例えば、振動ジャイロ等の角速度センサで構成され、手振れや体の揺れ等による撮像装置100に加わる振れの量を角速度信号として検出し、その角速度信号をA/D変換器103に供給する。A/D変換器103は、振れ検出部102からの角速度信号をデジタル化して、角速度データとしてCPU101内部のDC成分除去フィルタ104に供給する。
【0016】
DC成分除去フィルタ104は、A/D変換器103からの角速度データに含まれる低周波数成分を遮断して高周波数成分を出力する。DC成分除去フィルタ104は、例えば、任意の周波数帯域で特性を変更し得る機能を有するハイパスフィルタである。なお、DC成分除去フィルタ104は、ハイパスフィルタの代わりに、A/D変換器103の出力から、A/D変換器103の出力に対して高周波数成分の信号を遮断するローパスフィルタを通過させた信号を減算する構成にしてもよい。
焦点距離演算部105は、撮像光学系121の焦点距離を算出し、光学補正系122を駆動するのに最適な値となるようにDC成分除去フィルタ104の出力を補正する。
【0017】
積分器106は、任意の周波数帯域でその特性を変更し得る機能を有している。積分器106は、焦点距離演算部105からの出力を積分し、光学補正系122の駆動量を算出する。光学補正データ出力制御部107は、光学補正系122が可動範囲内で駆動されるように、積分器106の出力を制限して、減算器108に供給する。
【0018】
光学補正系位置検出部109は、磁石と、磁石に対向する位置に供えられた、例えばホールセンサとからなり、光学補正系122の光軸と垂直な方向への移動量を検出し、その検出値をA/D変換器110に出力する。A/D変換器110は光学補正系位置検出部109からの出力をA/D変換し、得られた光学補正系122の位置データを減算器108に供給する。
【0019】
減算器108は、A/D変換器110から出力された位置データを、光学補正データ出力制御部107の出力から減算し、その結果である偏差データ、すなわち、光学式手振れ補正の補正量データを制御フィルタ演算部117に供給する。
【0020】
制御フィルタ演算部117は、減算器108から出力される補正量データを所定のゲインで増幅する増幅器と、位相補償フィルタとで構成される。補正量データは、制御フィルタ演算部117において、増幅器及び位相補償フィルタによる信号処理が行われ、パルス幅変調部118に出力される。
【0021】
パルス幅変調部118は、制御フィルタ演算部117を通過して供給されたデータを、パルス波のデューティー比を変化させるPWM波形に変調して、モータ駆動部119に供給する。モータ120は、光学補正系122の駆動用の、例えばボイスコイル型モータであり、モータ駆動部119によって駆動されることで、光学補正系122を光軸と垂直な方向に移動する。これにより、光学補正データ出力制御部107の出力に対して、光学補正系122の光軸と垂直な方向への移動量を追従させる、フィードバック制御系が構成される。
【0022】
撮像光学系121は、ズームやフォーカス等の動作を行い、入射した被写体像を撮像素子123に結像する。光学補正系122は、光軸と垂直な方向に移動されることにより光軸を偏向する、光学的に振れ補正可能な補正系であり、例えば補正レンズ(シフトレンズ)である。シフトレンズの駆動によって、装置に加わる振れにより生じる像ブレ(撮像面の被写体の移動)が補正された像が、撮像素子123に結像される。撮像素子123は、撮像光学系121及び光学補正系122からなる光学系を介して結像される被写体像を、画像信号に変換して出力する。信号処理部124は、撮像素子123から出力される画像信号に基づいて、例えば、NTSCフォーマットに準拠した画像データを生成して、撮像画像メモリ125に供給する。
【0023】
被写体検出部126は、撮像画像メモリ125に保持された画像データから、追尾の対象となる被写体を検出すると共に、検出した被写体の画像内における位置を検出する。なお、ここで検出される被写体の位置は、画像における位置座標である。被写体の検出方法としては、従来より様々な方法が提案されており、それらの方法を用いればよい。また、被写体の位置としては、検出された被写体の領域の中心または重心としたり、顔が検出されている場合には、顔の中心または重心としてもよい。また、追尾の対象となる被写体は、保存された画像データに限定されるものではない。例えば、撮影者が、随時、表示デバイス135の画面に連続的にライブビュー表示される映像を見ながら、操作部136により指定するように構成してもよい。
【0024】
切り出し領域決定部127は、被写体検出部126で検出された追尾の対象となる被写体を含む部分領域を、切り出し領域として設定する。その際に、切り出し領域における目標位置(例えば、切り出し領域の中心位置)付近に被写体が配置されるように、切り出し領域を決定する。
【0025】
なお、目標位置は、撮影画面の中央位置に限定されるものではない。例えば、撮影者が、随時、表示デバイス135の画面に連続的にライブビュー表示される映像を見ながら操作部136を操作することによって、表示デバイス135の画面上で任意の位置を目標位置として指定することも可能である。
【0026】
追尾画像生成部128は、切り出し領域決定部127により決定された切り出し領域の座標に基づき、撮像画像から切り出し領域の切り出しを行う。さらに、切り出した領域の画像に対し、元の撮像画像と同等のサイズにするための拡大処理や、切り出した領域を撮影画面の中心に位置させるための配置処理を施した追尾画像を作成する。
【0027】
画像選択制御部129は、撮像装置100の状態に応じて、撮像画像メモリ125に格納された撮像画像及び追尾画像生成部128により作成された追尾画像のいずれを、表示デバイス135に表示させるか、記録媒体132に記録するかを決定する。そして、決定に応じて、撮像画像メモリ125に格納された撮像画像または追尾画像生成部128により作成された追尾画像を、記録画像メモリ130及び表示画像メモリ133のいずれかに記憶させる。
【0028】
記録制御部131は、記録画像メモリ130から記録する画像を読み出し、読み出した画像を、記録媒体132に記録する。記録媒体132は、ハードディスク等の磁気記録媒体や半導体メモリ等の情報記録媒体である。
表示制御部134は、表示画像メモリ133から表示する画像を読み出し、読み出した画像を、表示デバイス135に表示する。表示デバイス135は、液晶表示素子(LCD)等により画像を表示する。
【0029】
操作部136は、ズームレバーまたはズームボタン等のズーム操作部材や、撮影開始を指示するレリーズスイッチ、被写体の指定や撮像装置100の設定を行うタッチパネルや操作スイッチ等を含む。操作部136の操作信号は、CPU101に入力される。
【0030】
次に図2を用いて、本実施形態における被写体の追尾制御について説明する。
図2は、本実施形態における撮像装置100による被写体の追尾制御処理を示すフローチャートである。なお、図2の各ステップは、CPU101により実行される。
【0031】
撮像装置100は、電源が投入されると、各種の初期化処理を行った後、ユーザによる動作指示の待ち状態となる。
まずS201において、撮像光学系121及び光学補正系122を介して入射した光を撮像素子123により光電変換して生成された撮像画像を取得し、撮像画像メモリ125に記憶する。
【0032】
次にS202において、ユーザによる操作部136の操作により、被写体追尾モードの実行が指示されたか否かを判定する。被写体追尾モードの実行が指示された場合、S203に進み、被写体追尾モードの実行指示が無い場合、S204に進む。
【0033】
S203において、追尾対象の被写体が選択され、被写体追尾を開始することが可能か否かを判定する。被写体が選択され、被写体追尾の開始が可能な場合、S205に進む。一方、被写体追尾の開始が不可能な場合は、S204に進む。
【0034】
S204では、S201で取得した撮像画像を表示デバイス135に表示する。つまり、S202にて被写体追尾モードの実行指示が無いと判定された場合や、S203において、被写体追尾の開始が不可能と判定された場合は、S201で取得した撮像画像がそのまま表示デバイス135に表示される。
【0035】
S205において、被写体検出部126は、S201で取得した撮像画像における被写体及びその位置(以下、「被写体位置」と記す。)を検出する。ここで検出される被写体位置は、撮像画像における位置座標である。
【0036】
S206において、切り出し領域決定部127は、検出された被写体位置から切り出し領域を決定する。切り出し領域は、S205で検出された被写体位置を、予め設定された切り出し領域における目標位置(例えば、切り出し領域の中心位置)に位置付けることが可能な領域に決定される。
【0037】
ここで、本実施形態における切り出し領域について、図4を用いて説明する。図4(a)は、S201で取得した撮像画像401の一例を示す図である。撮像画像401において、被写体402は追尾制御の対象となる被写体であり、撮像画像401内における被写体402の位置がS205において検出される被写体位置である。
【0038】
図4(b)は、予め設定された切り出し領域における目標位置が、切り出し領域の中心位置であった場合における、図4(a)に対する切り出し領域403の一例を示している。つまり、切り出し領域403の中心位置に被写体402が配置されるように、切り出し領域403を決定する。
【0039】
なお、図4(b)に示す例では、予め設定された切り出し領域における目標位置を、切り出し領域の中心位置としているが、本発明はこれに限定されるものでは無く、任意の位置に設定してもよい。例えば、予め設定された切り出し領域における目標位置を、切り出し領域の水平方向の左端、垂直方向の中央と定めても良い。図4(c)は、予め設定された切り出し領域における目標位置が、切り出し領域の水平方向の左端、垂直方向の中央であった場合に、図4(a)に示す例における切り出し領域403’を示している。この場合、切り出し領域403’の水平方向の左端、垂直方向の中央に被写体402が配置されるように、切り出し領域403’を決定する。
【0040】
S207において、追尾画像生成部128は、S206で決定された切り出し領域に基づき、第1の追尾画像の生成を行う。ここで、本実施形態における第1の追尾画像の生成について、図5を用いて説明する。なお、ここでは、図4(b)に示すように、S201で取得した撮像画像401に対して、S206において切り出し領域403が設定されている場合を例にとって説明する。
【0041】
図5(a)は、図4(b)から生成される第1の追尾画像501の一例を示す。つまり、切り出し領域403を元の撮像画像401と同じ大きさに拡大した画像が、第1の追尾画像501となる。これにより、被写体402は、第1の追尾画像501の中心位置に配置される。一方で、この場合、第1の追尾画像501における被写体402の大きさは、撮像画像401における被写体402よりも大きくなる。
【0042】
なお、図5(a)に示す例では、切り出し領域403を元の撮像画像401と同じ大きさに拡大して第1の追尾画像501としたが、切り出し領域403の大きさを変更せず、画像の中心位置に切り出し領域403を配置した構成の画像としても構わない。図5(b)は、切り出し領域403の大きさを変更しない場合に生成される第1の追尾画像502の例を示す。つまり、切り出し領域403を拡大せずに画像の中心に配置し、その周囲に単一色のデータを配置した画像を合成し、これを第1の追尾画像502とする。これにより、被写体402は、第1の追尾画像502の中心位置に配置される。
【0043】
この場合、第1の追尾画像502における被写体402の大きさは、撮像画像401における被写体402の大きさと等しくなる。このように、撮像画像401における被写体402の大きさと、第1の追尾画像502における被写体の大きさが等しいため、撮像画像401と第1の追尾画像502を連続的にライブビュー表示した場合等において、被写体の大きさが変化することによるユーザの違和感を低減することが可能となる。
【0044】
S208において、画像選択制御部129はS207で生成された第1の追尾画像を表示画像メモリ133に格納し、格納された第1の追尾画像を表示制御部134が表示デバイス135に表示する。つまり、S202にて被写体追尾モードの実行指示があると判定され、かつ、S203において、被写体追尾の開始が可能と判定された場合は、S207で生成された第1の追尾画像が表示デバイス135に表示される。
【0045】
S209において、ユーザから撮影指示があるか否かを判定する。ユーザからの撮影指示があった場合には、S210に進み、撮影指示が無い場合には、S201に戻る。
S210において、撮影処理を行う。ここで行われる撮影処理について、図3を用いて説明する。
【0046】
図3は、本実施形態における撮像装置100による撮影処理の例を説明するフローチャートである。図3の各ステップは、CPU101により実行される。
撮像装置100は、撮影処理が開始されると、S300において、AF(自動焦点)処理やAE(自動露出)処理等の撮影準備動作を行う。その後、S301において、撮像光学系121を介して入射した光を撮像素子123により光電変換して生成された撮像画像を取得する。
【0047】
S302において、被写体検出部126は、S301で取得された撮像画像内の被写体位置を検出する。なお、S302における被写体位置の検出方法は、S205と同様である。
【0048】
S303において、切り出し領域決定部127は、S302で検出された被写体位置から切り出し領域を決定する。なお、S303における切り出し領域の決定方法は、S206と同様である。
【0049】
S304において、追尾画像生成部128は、S303で決定された切り出し領域に基づき、記録用の追尾画像の生成を行う。S304における記録用の追尾画像の生成方法は、S207で説明した方法と同様である。本実施形態では、S304における記録用の追尾画像として、S207において、図5(a)で示すように、切り出した領域を元の撮像画像と同じ大きさに拡大した画像としている。しかしながら、例えば、図5(b)に示すように、切り出した領域の大きさを変更せず、画像の中心に切り出し領域を配置する構成としても良い。
【0050】
S305において、画像選択制御部129は、S304で生成された第1の追尾画像を記録画像メモリ130に格納し、格納された第1の追尾画像を記録制御部131が記録媒体132に記録し、撮影処理を終了する。
【0051】
なお、本実施形態においては、撮影処理においても、S302で撮像画像から被写体位置の検出を行い、さらに、S303にて、切り出し領域の決定を実施する構成とした。しかしながら、撮影処理においては、それらを行わず、撮影処理の直前に決定された切り出し領域に基づき、S304にて記録用の追尾画像の生成を行う構成としても構わない。
【0052】
以上のように撮影処理を終了すると、図2のS221に進む。
S211において、ユーザから撮影指示が継続されているか否かを判定する。ユーザからの撮影指示が継続されている場合には、S212に進む。一方、ユーザからの撮影指示が無い場合には、S201に戻る。
【0053】
撮影処理後、S212において、撮像素子123及び撮像光学系121を介して生成された撮像画像を取得する。
S213において、被写体検出部126は、S205と同様の被写体位置の検出方法により、S212で取得された撮像画像における被写体位置を検出する。
【0054】
S214において、切り出し領域決定部127は、S206と同様の切り出し領域の決定方法により、S213で検出された被写体位置から切り出し領域を決定する。
S215において、追尾画像生成部128は、S214で決定された切り出し領域に基づき、第2の追尾画像の生成を行う。
【0055】
ここで、本実施形態における第2の追尾画像の生成について、図6を用いて説明する。
図6(a)は、S212で取得した撮像画像601の一例を示す図である。撮像画像601において、被写体602は追尾制御の対象となる被写体であり、撮像画像601内における被写体602の位置がS213において検出される被写体位置である。
【0056】
図6(b)は、切り出し領域における目標位置が、切り出し領域の中心位置である場合に、図6(a)から生成される第2の追尾画像603の一例を示す。図6(b)に示すように、第2の追尾画像603は、撮像画像601に対し、S214において決定される切り出し領域の範囲を示す枠604を重畳させた画像とする。第2の追尾画像603により、ユーザは撮像画像601と同一の画像内で、切り出し領域として設定される範囲を、枠604の位置として把握することが可能となる。また、第2の追尾画像603における被写体602は、画像内の位置及び大きさ共に、撮像画像601内における被写体602と同一である。
【0057】
なお、本実施形態では、第2の追尾画像は、S214で決定された切り出し領域の範囲を示す枠を、撮像画像に対し重畳表示した画像とした。しかしながら、切り出し領域の範囲を示すことができる情報であれば、枠に限定されない。また、例えば、第2の追尾画像として、切り出し領域の範囲を示す情報が不要であれば、撮像画像そのものを第2の追尾画像としても構わない。つまり、図6(a)の撮像画像601を第2の追尾画像とする。
【0058】
S216において、画像選択制御部129はS215で生成された第2の追尾画像を表示画像メモリ133に格納し、格納された追尾画像を表示制御部134が表示デバイス135に表示する。
【0059】
S217において、撮影のための諸条件が成立し、撮影処理を行えるか否かを判定する。撮影処理が行えると判定された場合には、S210に戻る。一方、撮影処理が行えないと判定された場合には、S212に戻る。なお、撮影のための諸条件とは、例えば、S212にて取得された撮像画像から得られるAF処理やAE処理を行うための情報が、必要回数分だけ取得できたか否かとする。ただし、撮影のための諸条件はこれに限定されず、撮影処理を行うために必要な要件が他にあれば、それを条件としても良い。
【0060】
つまり、S211にてユーザから撮影指示が継続されている場合は、次に撮影処理が実行されるまでの間、S215で生成された第2の追尾画像が表示デバイス135に表示される。
【0061】
上記の通り本実施形態によれば、被写体追尾が可能な場合においては、撮影処理を行うより前のライブビュー表示としては、被写体の位置が予め設定された目標位置に位置する第1の追尾画像を表示する。その際に、第1の追尾画像として、切り出した領域を元の撮像画像と同じ大きさに拡大した画像を用いることにより、ユーザに対して、被写体の確認を容易に行うことが可能なライブビュー表示を提供することが可能となる。
【0062】
さらに、連続した撮影処理である連写撮影を行う際の、各撮影の間のコマ間ライブビュー表示として、被写体の位置を予め設定された目標位置にするための切り出し領域を示す、例えば枠等の情報を撮像画像に重畳させた第2の追尾画像を表示する。つまり、第2の追尾画像では、切り出し領域を重畳表示するだけで、実際の切り出しは行わない。これにより、連写撮影中は、被写体の追尾制御を行いつつ、第1の追尾画像よりも画角の広い第2の追尾画像を表示することにより、ユーザに対して、連写撮影中のフレーミング操作を容易に行うことが可能なコマ間ライブビュー表示を提供することが可能となる。
<他の実施形態>
なお、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置に適用してもよい。
【0063】
また、本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0064】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0065】
100:撮像装置、101:CPU、126:被写体検出部、127:切り出し領域決定部、128:追尾画像生成部、129:画像選択制御部、130:記録画像メモリ、131:記録制御部、132:記録媒体、133:表示画像メモリ、134:表示制御部、135:表示デバイス
図1
図2
図3
図4
図5
図6