(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】毛髪化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/36 20060101AFI20241127BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20241127BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20241127BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20241127BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
A61K8/36
A61K8/39
A61K8/41
A61K8/891
A61Q5/00
(21)【出願番号】P 2020122204
(22)【出願日】2020-07-16
【審査請求日】2023-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鐵 真希男
(72)【発明者】
【氏名】笹原 久武
【審査官】桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-083771(JP,A)
【文献】特開2005-089372(JP,A)
【文献】特開平10-273427(JP,A)
【文献】特開昭63-183517(JP,A)
【文献】特開2019-034927(JP,A)
【文献】特開2017-105760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/36
A61K 8/39
A61K 8/41
A61K 8/89
A61Q 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)~(D):
(A)重量平均分子量が300以上3,000以下のジメチルポリシロキサン
(B)下記一般式(1)で表される4級アンモニウム塩
【化1】
(式中、R
1は直鎖又は分岐鎖の炭素数12以上26以下のアルキル基又はアルケニル基、R
5CONH(CH
2)
p-、R
5COO(CH
2)
p-又はR
6-O-(CH
2)
p-(R
5は直鎖又は分岐鎖の炭素数11以上25以下のアルキル基又はアルケニル基、R
6は直鎖又は分岐鎖の炭素数12以上26以下のアルキル基又はアルケニル基を示し、pは1以上4以下の数を示す。)で表される基を示す。R
2、R
3及びR
4はそれぞれ独立に炭素数1以上3以下のアルキル基を示す。X
-は陰イオンを示す。)
(C)(c1)炭素数16以上24以下の直鎖飽和脂肪酸と、(c2)炭素数16以上24以下の分岐飽和脂肪酸とから構成される混合脂肪酸
(D)下記一般式(2)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル
R
11O-(PO)
n-(EO)
m-R
12 (2)
(式中、R
11は炭素数6以上18以下のアルキル基、R
12は水素原子又はメチル基を示す。POはプロピレンオキシド、EOはエチレンオキシドを示す。n及びmは平均付加モル数を示し、nは1.5以上10.0以下、mは0以上8.0以下である。)
を含有し、質量比[(A)/(B)]が4.0以上12.0以下である毛髪化粧料組成物。
【請求項2】
更に水を含有する、請求項1に記載の毛髪化粧料組成物。
【請求項3】
成分(c2)が下記一般式(c2-1)で表される分岐飽和脂肪酸を主成分とするものである、請求項1又は2に記載の毛髪化粧料組成物。
【化2】
(式中、aは0以上20以下、bは1以上3以下、cは0以上20以下の数を示し、a、b、cの合計は11以上21以下である。)
【請求項4】
成分(c2)に対する成分(c1)の質量比[(c1)/(c2)]が0.1以上10.0以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の毛髪化粧料組成物。
【請求項5】
成分(A)の含有量が1.5質量%以上10.0質量%以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の毛髪化粧料組成物。
【請求項6】
成分(A)~(D)の合計含有量が3.0質量%以上20.0質量%以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の毛髪化粧料組成物。
【請求項7】
水中油型エマルション組成物である、請求項1~6のいずれか1項に記載の毛髪化粧料組成物。
【請求項8】
毛髪化粧料組成物の製品形態がヘアリンス、ヘアトリートメント、又はヘアコンディショナーである、請求項1~7のいずれか1項に記載の毛髪化粧料組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の毛髪化粧料組成物を毛髪に適用する工程と、次いで該毛髪化粧料組成物を水で洗い流す工程とを有する、毛髪の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
シャンプー洗髪後の水で濡れた毛髪(頭髪)中に含まれる水分は除去しにくいため、タオル、ドライヤー等を用いた乾燥行動は一般的に面倒な時間のかかる行動であるという意識をもつ人が多い。近年、生活様式の多様化から日々の生活にゆとり、快適さを求める要望が強まり、洗髪後の髪の乾燥行為を簡便に済ませたいと望む人が増えてきている。
一方、毛髪を十分に乾かさないまま放置すると髪形のまとまりが損なわれ、寝ぐせ、ぼさぼさの髪になる原因の一つになる。
【0003】
毛髪化粧料組成物についての上記要望に関して、以下のような提案がなされている。
特許文献1には、揮発性シリコーンとメチルフェニルポリシロキサン、エタノールをそれぞれ所定量含有し、洗髪等で濡れた頭髪に適用することによって乾燥を速めることのできる頭髪乾燥用組成物が開示されている。
特許文献2には、特定のアミノ変性ジメチルポリシロキサンの水中油型エマルジョン組成物からなる毛髪処理組成物が、毛髪の乾燥時間を改善できることが開示されている。
特許文献3及び4には、特定のアンモニウム塩、及び、特定の重量平均分子量を有する特定量のジメチルポリシロキサンを含有し、且つ所定の要件を満たす毛髪化粧料が、毛髪間に残留する水分を重力で自然排水させて毛髪の乾燥時間を短縮できることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平1-168608号公報
【文献】特表2011-511830号公報
【文献】国際公開第2019/031143号
【文献】国際公開第2019/031176号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2の開示は、いずれも水で濡れた毛髪に塗布してすすぎ流さずに使用する、いわゆるアウトバス用の頭髪乾燥用又は毛髪処理組成物に関するものであり、洗髪から乾燥行動にかけての簡便化という観点の技術とは異なる。
特許文献3、4の開示は、毛髪へ塗布後すすぎ流して用いる、いわゆるインバス用の毛髪化粧料に関するものであり、実施例にはジメチルポリシロキサンを水中で乳化してなるエマルションタイプの毛髪化粧料が記載されている。しかしながら該毛髪化粧料は、保存安定性の面では改善の余地があった。
【0006】
本発明の課題は、洗髪後の毛髪に適用すると、毛髪間に残留する水分を重力で可能な限り自然排水(落下)させることで毛髪の乾燥時間を短縮できると共に、保存安定性にも優れる毛髪化粧料組成物を提供することにある。
【0007】
本発明者らは、特定の重量平均分子量を有するジメチルポリシロキサン、特定の4級アンモニウム塩、特定の混合脂肪酸、及び特定のポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含有し、該ジメチルポリシロキサンと4級アンモニウム塩との質量比が特定の範囲にある毛髪化粧料組成物が、上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち本発明は、下記[1]及び[2]に関する。
[1]下記成分(A)~(D):
(A)重量平均分子量が300以上3,000以下のジメチルポリシロキサン
(B)下記一般式(1)で表される4級アンモニウム塩
【化1】
(式中、R
1は直鎖又は分岐鎖の炭素数12以上26以下のアルキル基又はアルケニル基、R
5CONH(CH
2)
p-、R
5COO(CH
2)
p-又はR
6-O-(CH
2)
p-(R
5は直鎖又は分岐鎖の炭素数11以上25以下のアルキル基又はアルケニル基、R
6は直鎖又は分岐鎖の炭素数12以上26以下のアルキル基又はアルケニル基を示し、pは1以上4以下の数を示す。)で表される基を示す。R
2、R
3及びR
4はそれぞれ独立に炭素数1以上3以下のアルキル基を示す。X
-は陰イオンを示す。)
(C)(c1)炭素数16以上24以下の直鎖飽和脂肪酸と、(c2)炭素数16以上24以下の分岐飽和脂肪酸とから構成される混合脂肪酸
(D)下記一般式(2)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル
R
11O-(PO)
n-(EO)
m-R
12 (2)
(式中、R
11は炭素数6以上18以下のアルキル基、R
12は水素原子又はメチル基を示す。POはプロピレンオキシド、EOはエチレンオキシドを示す。n及びmは平均付加モル数を示し、nは1.5以上10.0以下、mは0以上8.0以下である。)
を含有し、質量比[(A)/(B)]が4.0以上12.0以下である毛髪化粧料組成物。
[2][1]に記載の毛髪化粧料組成物を毛髪に適用する工程と、次いで該毛髪化粧料組成物を水で洗い流す工程とを有する、毛髪の処理方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、洗髪後の毛髪に適用し、すすぎ流して用いることにより、毛髪の乾燥行動を始める前に、毛髪間に残留する水分を重力で可能な限り自然排水(落下)させることで毛髪の乾燥時間を短縮できると共に、保存安定性にも優れる毛髪化粧料組成物を提供できる。該毛髪化粧料組成物を用いて毛髪処理を行うことで、洗髪後の濡れた毛髪をタオルで拭き取り、ドライヤーで乾燥する通常の乾燥行動に入る前の段階で毛髪の水分量を大幅に低減することができるので、毛髪の乾燥行動の負担を軽減できる。
【0009】
[毛髪化粧料組成物]
本発明の毛髪化粧料組成物は、下記成分(A)~(D):
(A)重量平均分子量が300以上3,000以下のジメチルポリシロキサン
(B)下記一般式(1)で表される4級アンモニウム塩
【化2】
(式中、R
1は直鎖又は分岐鎖の炭素数12以上26以下のアルキル基又はアルケニル基、R
5CONH(CH
2)
p-、R
5COO(CH
2)
p-又はR
6-O-(CH
2)
p-(R
5は直鎖又は分岐鎖の炭素数11以上25以下のアルキル基又はアルケニル基、R
6は直鎖又は分岐鎖の炭素数12以上26以下のアルキル基又はアルケニル基を示し、pは1以上4以下の数を示す。)で表される基を示す。R
2、R
3及びR
4はそれぞれ独立に炭素数1以上3以下のアルキル基を示す。X
-は陰イオンを示す。)
(C)(c1)炭素数16以上24以下の直鎖飽和脂肪酸と、(c2)炭素数16以上24以下の分岐飽和脂肪酸とから構成される混合脂肪酸
(D)下記一般式(2)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル
R
11O-(PO)
n-(EO)
m-R
12 (2)
(式中、R
11は炭素数6以上18以下のアルキル基、R
12は水素原子又はメチル基を示す。POはプロピレンオキシド、EOはエチレンオキシドを示す。n及びmは平均付加モル数を示し、nは1.5以上10.0以下、mは0以上8.0以下である。)
を含有し、質量比[(A)/(B)]が4.0以上12.0以下である。
【0010】
本発明の毛髪化粧料組成物は、本発明の有効性の観点から、更に水を含有することが好ましく、水中油型エマルション組成物の形態であることがより好ましい。
本発明の毛髪化粧料組成物は、水中油型エマルション組成物の形態である場合でも、重量平均分子量が300以上3,000以下のジメチルポリシロキサン(A)(以下「成分(A)」ともいう)を水中で安定して分散させることができ、保存安定性に優れる。
【0011】
本発明の毛髪処理料組成物の剤型は特に制限されず、液体状、泡状、ペースト状、クリーム状等、任意の剤型とすることができるが、液体状、ペースト状又はクリーム状とすることが好ましく、液体状とすることがより好ましい。
本発明の毛髪化粧料組成物の製品形態としては、ヘアリンス、ヘアトリートメント、ヘアコンディショナー、ヘアパック等の、浴室内で洗髪後に使用されるもの、すなわち毛髪に適用後、すすぎ流して使用されるものが好ましく挙げられる。これらの中では、ヘアリンス、ヘアトリートメント、又はヘアコンディショナーであることが本発明の効果を発揮させる観点からより好ましい。
【0012】
本発明の毛髪化粧料組成物は、洗髪後の毛髪に適用すると、毛髪間に残留する水分を重力で可能な限り自然排水させることで毛髪の乾燥時間を短縮できると共に、保存安定性にも優れるものである。その理由は定かではないが、以下のように考えられる。
本発明に用いられる成分(A)は分子量が低く、低粘度であるため、毛髪への塗布時に毛髪表面に広がり易く、しかも表面張力が低いことから水を弾く能力が強い。このため、水中で疎水膜を作り、毛髪表面及び毛髪間に含まれる水分を重力により自然排水させる効果を有すると考えられる。
前記一般式(1)で表される4級アンモニウム塩(B)(以下「成分(B)」ともいう)は、前述した成分(A)の作用効果を強化すると考えられる。そのため、本発明の毛髪化粧料組成物を毛髪に適用し、次いで洗い流すことで、洗髪後の毛髪表面及び毛髪間に残留する水分を重力により速やかに落下排水させることができ、毛髪が束にならずにばらけ易くなり、乾燥時間を短縮できると考えられる。
また成分(A)は低分子量であることから、成分(A)の液滴は水中に乳化分散させると合一しやすく、保存安定性に劣る傾向がある。これに対し、特定の混合脂肪酸(C)(以下「成分(C)」ともいう)、及び前記一般式(2)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル(D)(以下「成分(D)」ともいう)は、いずれも毛髪化粧料組成物中で成分(A)の液滴を取り囲み、安定して乳化分散させる効果が高いため、これらを組み合わせて用いることにより保存安定性に優れる毛髪化粧料組成物が得られると考えられる。成分(C)は、成分(A)を乳化分散させる効果は高いが、高融点であるため乳化状態を安定して保つ効果に劣る直鎖飽和脂肪酸と、比較的低融点である分岐飽和脂肪酸とを共に含むことで、適度な融点に調整され、成分(A)の液滴を乳化分散させる効果と、該液滴を包含して乳化状態を安定に保つ効果とを発現できると考えられる。
さらにモノ長鎖型4級アンモニウム塩である成分(B)も、成分(A)の液滴を水中で安定に分散させる効果が高い。そして、毛髪化粧料組成物中の成分(B)に対する成分(A)の質量比[(A)/(B)]を特定範囲とすることで、保存安定性をより向上させることができると考えられる。
【0013】
<成分(A):ジメチルポリシロキサン>
本発明に用いられる成分(A)は、重量平均分子量が300以上3,000以下の低分子量ジメチルポリシロキサンである。成分(A)は前述した作用機構により、毛髪表面及び毛髪繊維間に残留する水分の自然排水性を向上させる効果を有する。
なお本発明における重量平均分子量とは、実施例に記載の方法により測定されるポリスチレン換算分子量である。
【0014】
成分(A)の重量平均分子量は、毛髪の自然排水性を向上させる観点、タオルドライ後の毛髪のばらけやすさの観点、及び毛髪の乾燥時間を短縮する観点から、好ましくは320以上、より好ましくは350以上であり、そして、好ましくは2,800以下、より好ましくは2,500以下、更に好ましくは2,000以下、より更に好ましくは1,500以下、より更に好ましくは1,200以下、より更に好ましくは1,000以下、より更に好ましくは800以下である。そして、成分(A)の重量平均分子量は、300以上3,000以下であり、好ましくは300以上2,800以下、より好ましくは300以上2,500以下、更に好ましくは300以上2,000以下、より更に好ましくは320以上1,500以下、より更に好ましくは350以上1,500以下、より更に好ましくは350以上1,200以下、より更に好ましくは350以上1,000以下、より更に好ましくは350以上800以下である。
【0015】
成分(A)として、重量平均分子量の異なる2種以上のジメチルポリシロキサンを用いてもよい。その場合、成分(A)の重量平均分子量とは、個々のジメチルポリシロキサンの重量平均分子量の加重平均を意味する。したがって例えば、重量平均分子量が300未満、あるいは3,000を超えるジメチルポリシロキサンであっても、重量平均分子量の加重平均値が300以上3,000以下の範囲であれば本発明に用いることができる。
但し、重量平均分子量が50,000以上のジメチルポリシロキサンは、毛髪への塗布時に、毛髪表面に広がり難いため、水中で均一な疎水膜を作り難く、毛髪の自然排水効果を阻害するおそれがあるため、使用しないことが好ましい。
【0016】
成分(A)に用いられるジメチルポリシロキサンとしては、直鎖状ジメチルポリシロキサン及び環状ジメチルポリシロキサンからなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。これらの中では、毛髪の自然排水性を向上させる観点、タオルドライ後の毛髪のばらけやすさの観点、及び毛髪の乾燥時間を短縮する観点から、直鎖状ジメチルポリシロキサンがより好ましい。
成分(A)に用いられる直鎖状又は環状ジメチルポリシロキサンの25℃における動粘度は、毛髪の自然排水性を向上させる観点、タオルドライ後の毛髪のばらけやすさの観点、及び毛髪の乾燥時間を短縮する観点から、好ましくは0.5mm2/s以上、より好ましくは1mm2/s以上であり、そして、好ましくは25mm2/s以下、より好ましくは20mm2/s以下、更に好ましくは10mm2/s以下である。2種以上の直鎖状又は環状ジメチルポリシロキサンを用いる場合は、混合後のジメチルポリシロキサンの25℃における動粘度が上記範囲となることが好ましい。
動粘度の測定は、実施例記載の方法により行うことができる。
【0017】
直鎖状ジメチルポリシロキサンの市販品例としては、信越化学工業株式会社製のKF-96シリーズ、ダウ・東レ株式会社製のDOWSIL SH200C Fluidシリーズ、2-1184 Fluid、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製のSilsoft DML、Element14 PDMS 5-JC、Element14 PDMS 10-JC、Element14 PDMS 20-JC等が挙げられる。
環状ジメチルポリシロキサンとしては、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン等が挙げられる。環状ジメチルポリシロキサンの市販品例としては、信越化学工業株式会社製のKF-995、ダウ・東レ株式会社製のDOWSIL SH 245 Fluid、DC345 Fluid、DOWSIL DC246 Fluid、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製のTSF405、SF1258、Silsoft1217等が挙げられる。
【0018】
<成分(B):一般式(1)で表される4級アンモニウム塩>
本発明に用いられる成分(B)は、下記一般式(1)で表される4級アンモニウム塩である。成分(B)はトリートメント成分として作用すると共に、前述した作用機構により成分(A)の作用効果を効果的に強化し、且つ毛髪化粧料組成物の保存安定性を向上させることができる。
【化3】
(式中、R
1は直鎖又は分岐鎖の炭素数12以上26以下のアルキル基又はアルケニル基、R
5CONH(CH
2)
p-、R
5COO(CH
2)
p-又はR
6-O-(CH
2)
p-(R
5は直鎖又は分岐鎖の炭素数11以上25以下のアルキル基又はアルケニル基、R
6は直鎖又は分岐鎖の炭素数12以上26以下のアルキル基又はアルケニル基を示し、pは1以上4以下の数を示す。)で表される基を示す。R
2、R
3及びR
4はそれぞれ独立に炭素数1以上3以下のアルキル基を示す。X
-は陰イオンを示す。)
【0019】
一般式(1)中、R1及びR6における直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基の炭素数は、成分(A)の作用効果を強化する観点、及び保存安定性向上の観点から、12以上26以下であり、好ましくは12以上22以下、より好ましくは14以上20以下、更に好ましくは14以上18以下である。その具体例としては、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種ペンタデシル基、各種ヘキサデシル基、各種ヘプタデシル基、各種オクタデシル基、各種イコシル基、各種ドコシル基、各種ドデセニル基、各種トリデセニル基、各種テトラデセニル基、各種ペンタデセニル基、各種ヘキサデセニル基、各種ヘプタデセニル基、各種オクタデセニル基、各種イコセニル基、各種ドコセニル基等が挙げられる。なお、ここでいう「各種」とは、直鎖及びあらゆる分岐鎖のものを含むことを示す。
【0020】
一般式(1)中、R5における直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基の炭素数は、成分(A)の作用効果を強化する観点、及び保存安定性向上の観点から、11以上25以下であり、好ましくは11以上21以下、より好ましくは13以上19以下、更に好ましくは13以上17以下である。その具体例としては、各種ウンデシル基、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種ペンタデシル基、各種ヘキサデシル基、各種ヘプタデシル基、各種オクタデシル基、各種イコシル基、各種ドコシル基、各種ウンデセニル基、各種ドデセニル基、各種トリデセニル基、各種テトラデセニル基、各種ペンタデセニル基、各種ヘキサデセニル基、各種ヘプタデセニル基、各種オクタデセニル基、各種イコセニル基、各種ドコセニル基等が挙げられる。
R5CONH(CH2)p-、R5COO(CH2)p-又はR6-O-(CH2)p-におけるpは1以上4以下の数を示し、好ましくは2以上4以下の数である。
【0021】
成分(A)の作用効果を強化する観点、保存安定性向上の観点、及び入手容易性の観点から、一般式(1)中、R1は好ましくは炭素数12以上26以下の直鎖アルキル基であり、より好ましくは炭素数12以上22以下の直鎖アルキル基、更に好ましくは炭素数14以上20以下の直鎖アルキル基、より更に好ましくは炭素数14以上18以下の直鎖アルキル基であり、より更に好ましくはn-テトラデシル(ミリスチル)基、n-ヘキサデシル(セチル)基、及びn-オクタデシル(ステアリル)基からなる群から選ばれる1種以上であり、より更に好ましくはn-ヘキサデシル(セチル)基である。
【0022】
一般式(1)中、R2、R3及びR4である炭素数1以上3以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基が挙げられ、成分(A)の作用効果を強化する観点から、好ましくはメチル基又はエチル基であり、より好ましくはメチル基である。
【0023】
一般式(1)中、陰イオンであるX-としては、有機又は無機の陰イオンが挙げられる。陰イオンX-の具体例としては、ハロゲンイオン、炭素数1以上3以下のアルキル硫酸エステルイオン、炭素数1以上3以下のアルキルリン酸エステルイオン、炭素数12以上18以下の脂肪酸イオン、又は炭素数1以上3以下のアルキル基が1個以上3個以下置換していてもよいベンゼンスルホン酸イオン等が挙げられる。これらの中では、好ましくはハロゲンイオン、又は炭素数1以上3以下のアルキル硫酸エステルイオンであり、より好ましくは塩素イオン、臭素イオン、メチル硫酸エステルイオン、又はエチル硫酸エステルイオン、更に好ましくは塩素イオン又はメチル硫酸エステルイオン、より更に好ましくは塩素イオンである。
【0024】
成分(B)の好適例としては、ラウリル(C12)トリメチルアンモニウム、ミリスチル(C14)トリメチルアンモニウム、セチル(C16)トリメチルアンモニウム、ステアリル(C18)トリメチルアンモニウム、アラキル(C20)トリメチルアンモニウム、ベヘニル(C22)トリメチルアンモニウム、オクタデシロキシプロピルトリメチルアンモニウムの、塩化物、臭化物、メチルサルフェート、エチルサルフェート等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を用いることができる。これらの中では、成分(A)の作用効果を強化する観点、保存安定性向上の観点、及び入手容易性の観点から、塩化ミリスチル(C14)トリメチルアンモニウム、塩化セチル(C16)トリメチルアンモニウム、及び塩化ステアリル(C18)トリメチルアンモニウムからなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、塩化セチル(C16)トリメチルアンモニウムが更に好ましい。
【0025】
成分(B)の市販品例としては、花王株式会社製のコータミン24P(塩化ラウリルトリメチルアンモニウム)、コータミン60W(塩化セチルトリメチルアンモニウム)、コータミン86W(塩化ラウリルトリメチルアンモニウム)、コータミン2285E(塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム)、コータミンE-80K(塩化オクタデシロキシプロピルトリメチルアンモニウム)等が挙げられる。
【0026】
<成分(C):混合脂肪酸>
本発明に用いられる成分(C)は、(c1)炭素数16以上24以下の直鎖飽和脂肪酸と、(c2)炭素数16以上24以下の分岐飽和脂肪酸とから構成される混合脂肪酸である。成分(C)はトリートメント成分として作用すると共に、毛髪化粧料組成物中で成分(A)の液滴を安定して乳化分散させ、保存安定性を向上させる効果を奏する。
【0027】
(成分(c1):炭素数16以上24以下の直鎖飽和脂肪酸)
成分(c1)は炭素数16以上24以下の直鎖飽和脂肪酸であり、トリートメント成分として作用すると共に、成分(A)の液滴を乳化分散させる効果が高い成分である。
成分(c1)の炭素数は、成分(A)の液滴の分散性を高める観点から、好ましくは16以上22以下、より好ましくは16以上20以下、更に好ましくは16以上18以下であり、より更に好ましくは18である。
成分(c1)の具体例としては、パルミチン酸(C16)、ステアリン酸(C18)、エイコサン酸(C20)、ベヘン酸(C22)、及びテトラコサン酸(C24)等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、成分(A)の液滴の乳化分散性を高める観点から、好ましくはパルミチン酸、ステアリン酸、エイコサン酸、及びベヘン酸からなる群から選ばれる1種以上、より好ましくはパルミチン酸、ステアリン酸、及びエイコサン酸からなる群から選ばれる1種以上、更に好ましくはパルミチン酸及びステアリン酸からなる群から選ばれる1種以上、より更に好ましくはステアリン酸である。
【0028】
(成分(c2):炭素数16以上24以下の分岐飽和脂肪酸)
成分(c2)は炭素数16以上24以下の分岐飽和脂肪酸であり、トリートメント成分として作用すると共に、成分(c1)よりも低融点であることから、成分(A)の液滴を包含して乳化状態を安定に保つ効果が高い成分である。
成分(c2)の炭素数は、成分(C)全体の融点を低下させ、成分(A)の液滴を包含して乳化状態を安定に保つ観点から、好ましくは16以上22以下、より好ましくは16以上20以下、更に好ましくは16以上18以下であり、より更に好ましくは18である。
【0029】
成分(c2)は、成分(C)全体の融点を低下させ、成分(A)の液滴を包含して乳化状態を安定に保つ観点から、下記一般式(c2-1)で表される分岐飽和脂肪酸を主成分とするものであることが好ましい。ここでいう「主成分」とは、成分(c2)中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上を占めることを意味する。
【化4】
(式中、aは0以上20以下、bは1以上3以下、cは0以上20以下の数を示し、a、b、cの合計は11以上21以下である。)
一般式(c2-1)中、aは0以上20以下、bは1以上3以下、cは0以上20以下の数を示す。成分(C)全体の融点を低下させ、成分(A)の液滴を包含して乳化状態を安定に保つ観点から、aは好ましくは0以上10以下、より好ましくは0以上5以下、更に好ましくは0以上2以下、より更に好ましくは0であり、bは、好ましくは1以上2以下、より好ましくは1である。
一般式(c2-1)中、a、b、cの合計は11以上21以下であり、成分(C)全体の融点を低下させ、成分(A)の液滴を包含して乳化状態を安定に保つ観点から、好ましくは13以上であり、また、好ましくは19以下、より好ましくは17以下である。
【0030】
一般式(c2-1)で表される分岐飽和脂肪酸としては、14-メチルペンタデカン酸、15-メチルヘキサデカン酸、16-メチルヘプタデカン酸、17-メチルオクタデカン酸、18-メチルノナデカン酸、19-メチルエイコサン酸、20-メチルヘンエイコサン酸、14-メチルヘキサデカン酸、15-メチルヘプタデカン酸、16-メチルオクタデカン酸、17-メチルノナデカン酸、18-メチルエイコサン酸、19-メチルヘンエイコサン酸等が挙げられる。
中でも、成分(A)の作用効果を強化する観点、及び乳化状態の安定性向上の観点から、一般式(c2-1)で表される分岐飽和脂肪酸は、bが1であり、a、b、cの合計が15である、メチル分岐を1つ有するイソステアリン酸であることが好ましい。
「化粧品原料基準 第二版注解I(1984)薬事日報社」p87(C)イソステアリン酸に記載されている分岐飽和脂肪酸は、メチル基が側鎖であり、位置は特定されていないが、オレイン酸からダイマー酸を合成する際に副生される不飽和側鎖脂肪酸に水素添加して得られるC18側鎖脂肪酸であると記載されている。
イソステアリン酸の市販品例としては、高級アルコール工業株式会社製のイソステアリン酸EXが挙げられる。
【0031】
なお、成分(c2)は、前記一般式(c2-1)で表される分岐飽和脂肪酸を主成分とすることが好ましいが、一般式(c2-1)で表される分岐飽和脂肪酸以外に、分岐鎖長及び分岐位置が異なる分岐飽和脂肪酸、例えば、メチル分岐以外の分岐鎖を有する分岐飽和脂肪酸等を1種又は2種以上含有していてもよい。
【0032】
毛髪化粧料組成物中の成分(c2)に対する成分(c1)の質量比[(c1)/(c2)]は、成分(A)の液滴の乳化分散性を高める観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.8以上であり、成分(C)全体の融点を低下させ、成分(A)の液滴を包含して乳化状態を安定に保つ観点から、好ましくは10.0以下、より好ましくは8.0以下、更に好ましくは5.0以下、より更に好ましくは3.0以下である。そして、毛髪化粧料組成物中の成分(c2)に対する成分(c1)の質量比[(c1)/(c2)]は、好ましくは0.1以上10.0以下、より好ましくは0.1以上8.0以下、更に好ましくは0.5以上5.0以下、より更に好ましくは0.8以上3.0以下である。
【0033】
<成分(D):一般式(2)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル>
本発明に用いられる成分(D)は、下記一般式(2)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルである。
R11O-(PO)n-(EO)m-R12 (2)
(式中、R11は炭素数6以上18以下のアルキル基、R12は水素原子又はメチル基を示す。POはプロピレンオキシド、EOはエチレンオキシドを示す。n及びmは平均付加モル数を示し、nは1.5以上10.0以下、mは0以上8.0以下である。)
成分(D)は毛髪化粧料組成物中で成分(A)の液滴を安定して乳化分散させ、保存安定性を向上させる効果を奏する。
【0034】
一般式(2)中、R11は炭素数6以上18以下のアルキル基であり、成分(A)の液滴を安定して乳化分散させる観点から、好ましくは炭素数6以上14以下、より好ましくは炭素数6以上12以下、更に好ましくは炭素数6以上10以下のアルキル基である。その具体例としては、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種ウンデシル基、各種ドデシル基、各種トリデシル基、各種テトラデシル基、各種ペンタデシル基、各種ヘキサデシル基、各種ヘプタデシル基、各種オクタデシル基等が挙げられ、好ましくは、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種ウンデシル基、各種ドデシル基、各種トリデシル基、及び各種テトラデシル基からなる群から選ばれる1種以上、より好ましくは各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種ウンデシル基、及び各種ドデシル基からなる群から選ばれる1種以上、更に好ましくは各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、及び各種デシル基からなる群から選ばれる1種以上である。ここでいう「各種」とは、直鎖及びあらゆる分岐鎖のものを含むことを示す。
一般式(2)中、R12は水素原子又はメチル基であり、好ましくは水素原子である。
一般式(2)中、nはPO(プロピレンオキシド)の平均付加モル数を示し、1.5以上10.0以下、好ましくは1.5以上8.0以下、より好ましくは1.5以上5.0以下、更に好ましくは2.0以上4.0以下である。また、mはEO(エチレンオキシド)の平均付加モル数を示し、0以上8.0以下、好ましくは0以上5.0以下、より好ましくは0以上3.0以下、更に好ましくは0以上1.5以下、より更に好ましくは0である。すなわち成分(D)は、より更に好ましくは、前記一般式(2)におけるR11が好ましくは前記範囲であるポリオキシプロピレンアルキルエーテルである。
なお、成分(D)として、前記一般式(2)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルを2種以上用いることもできる。
【0035】
成分(D)の市販品例としては、花王株式会社製のカオーソフケアGP-1(PPG-3カプリリルエーテル)等が挙げられる。
【0036】
(毛髪化粧料組成物中の各成分の含有量)
毛髪化粧料組成物中の各成分の含有量は、洗髪後の毛髪に適用すると、毛髪間に残留する水分を重力で可能な限り自然排水させることで毛髪の乾燥時間を短縮できると共に、保存安定性にも優れる毛髪化粧料組成物とする観点から、以下のとおりである。
【0037】
毛髪化粧料組成物中の成分(A)の含有量は、質量比[(A)/(B)]が4.0以上12.0以下となる限り特に制限されないが、毛髪の自然排水性を向上させる観点、タオルドライ後の毛髪のばらけやすさの観点、及び毛髪の乾燥時間を短縮する観点から、好ましくは1.5質量%以上、より好ましくは2.0質量%以上、更に好ましくは2.5質量%以上であり、保存安定性向上の観点から、好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは8.0質量%以下、更に好ましくは7.0質量%以下である。そして、毛髪化粧料組成物中の成分(A)の含有量は、好ましくは1.5質量%以上10.0質量%以下、より好ましくは2.0質量%以上8.0質量%以下、更に好ましくは2.5質量%以上7.0質量%以下である。
【0038】
毛髪化粧料組成物中の成分(B)の含有量は、質量比[(A)/(B)]が4.0以上12.0以下となる限り特に制限されないが、トリートメント効果を付与する観点、成分(A)の作用効果を強化する観点、及び保存安定性向上の観点から、好ましくは0.15質量%以上、より好ましくは0.20質量%以上、更に好ましくは0.25質量%以上であり、成分(A)の作用効果を強化する観点、及び保存安定性向上の観点から、好ましくは2.5質量%以下、より好ましくは2.0質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、更に好ましくは1.0質量%以下である。そして、毛髪化粧料組成物中の成分(B)の含有量は、好ましくは0.15質量%以上2.5質量%以下、より好ましくは0.15質量%以上2.0質量%以下、更に好ましくは0.20質量%以上1.5質量%以下、より更に好ましくは0.25質量%以上1.0質量%以下である。
【0039】
毛髪化粧料組成物中の成分(B)に対する成分(A)の質量比[(A)/(B)]は、毛髪の自然排水性を向上させる観点、タオルドライ後の毛髪のばらけやすさの観点、及び毛髪の乾燥時間を短縮する観点から、4.0以上であり、好ましくは5.0以上、より好ましくは6.0以上、更に好ましくは7.0以上、より更に好ましくは8.0以上であり、トリートメント効果を付与する観点、成分(A)の作用効果を強化する観点、及び保存安定性向上の観点から、12.0以下であり、好ましくは11.5以下、より好ましくは11.0以下、更に好ましくは10.5以下である。そして、毛髪化粧料組成物中の成分(B)に対する成分(A)の質量比[(A)/(B)]は、4.0以上12.0以下であり、好ましくは5.0以上12.0以下、より好ましくは6.0以上11.5以下、更に好ましくは7.0以上11.0以下、より更に好ましくは8.0以上10.5以下である。
【0040】
毛髪化粧料組成物中の成分(C)の含有量は、トリートメント効果を付与する観点、成分(A)の液滴を安定して乳化分散させ、保存安定性を向上させる観点から、好ましくは0.02質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.10質量%以上であり、成分(A)の作用効果を強化する観点、及び保存安定性向上の観点から、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下、更に好ましくは0.50質量%以下である。そして、毛髪化粧料組成物中の成分(C)の含有量は、好ましくは0.02質量%以上5.0質量%以下、より好ましくは0.05質量%以上3.0質量%以下、更に好ましくは0.10質量%以上1.0質量%以下、より更に好ましくは0.10質量%以上0.50質量%以下である。
【0041】
毛髪化粧料組成物中の成分(D)の含有量は、保存安定性向上の観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、更に好ましくは0.04質量%以上であり、成分(A)の作用効果を強化する観点、及び保存安定性向上の観点から、好ましくは2.0質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.50質量%以下、更に好ましくは0.20質量%以下である。そして、毛髪化粧料組成物中の成分(D)の含有量は、好ましくは0.01質量%以上2.0質量%以下、より好ましくは0.02質量%以上1.0質量%以下、更に好ましくは0.04質量%以上0.50質量%以下、より更に好ましくは0.04質量%以上0.20質量%以下である。
【0042】
毛髪化粧料組成物中の成分(A)~(D)の合計含有量は、成分(A)の作用効果を強化する観点、及び保存安定性向上の観点から、好ましくは3.0質量%以上、より好ましくは3.2質量%以上、更に好ましくは3.4質量%以上であり、水中油型エマルション組成物とする観点からは、好ましくは20.0質量%以下、より好ましくは15.0質量%以下、更に好ましくは10.0質量%以下である。そして、毛髪化粧料組成物中の成分(A)~(D)の合計含有量は、好ましくは3.0質量%以上20.0質量%以下、より好ましくは3.2質量%以上15.0質量%以下、更に好ましくは3.4質量%以上10.0質量%以下である。
【0043】
毛髪化粧料組成物が水を含有する場合、該組成物中の水の含有量は、水中油型エマルション組成物とする観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、より更に好ましくは60質量%以上であり、毛髪化粧料組成物としての作用効果を発現する観点から、好ましくは97.0質量%以下、より好ましくは96.5質量%以下である。
【0044】
(毛髪化粧料組成物中のその他の成分とその含有量)
本発明の毛髪化粧料組成物には、所望の効果を付与する観点から、更に、油剤、脂肪族高級アルコール、多価アルコール、成分(A)以外のシリコーン、シリコーン及びタンパク質を除く各種ポリマー等を含有させることができ、更に可溶化剤、成分(B)及び成分(D)以外の界面活性剤、希釈剤、感触向上剤、毛髪補修剤、キレート剤、酸化防止剤、保湿剤、紫外線吸収剤、pH調整剤、防腐剤、着色剤、香料等の任意成分を適宜添加することができる。
【0045】
油剤としては、室温で液状のものが好ましく、その具体例としては、α-オレフィンオリゴマー、流動イソパラフィン、流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素油;トリオクタン酸グリセリル、アボカド油、オリーブ油、ゴマ油、コメヌカ油、サフラワー油、ダイズ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマシ油、綿実油、ミンク油、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル等のトリグリセリド;オレイン酸、イソステアリン酸等の脂肪酸;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、カプリル酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸イソステアリル、ジオレイン酸プロピレングリコール、オレイン酸イソデシル、イソステアリン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セチル、2-エチルヘキサン酸ステアリル、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール等のエステル油等が挙げられる。
但し、上記油剤は、成分(A)の効果を弱め、毛髪の自然排水性を低下させるおそれがあるため、その含有量は、毛髪化粧料組成物中、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下であり、含まない方が好ましい。
【0046】
脂肪族高級アルコールとしては、好ましくは炭素数8以上26以下、より好ましくは炭素数12以上22以下、更に好ましくは炭素数16以上20以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有するアルコール等が挙げられる。具体的には、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、オレイルアルコール、及びこれらの混合物が挙げられる。
但し、上記脂肪族高級アルコールは、成分(A)の効果を弱め、毛髪の自然排水性を低下させるおそれがあるため、その含有量は、毛髪化粧料組成物中、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下、より更に好ましくは1質量%以下であり、含まない方が好ましい。
【0047】
多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(数平均分子量1000未満)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(数平均分子量1000未満)、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、イソプレングリコール、1,3-ブチレングリコール等が挙げられる。
但し、上記多価アルコールは、成分(A)の効果を弱め、毛髪の自然排水性を低下させるおそれがあるため、その含有量は、毛髪化粧料中、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは1質量%以下であり、含まない方が好ましい。
【0048】
成分(A)以外のシリコーンとしては、重量平均分子量3,000を超えるジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチコノール等の鎖状ポリシロキサン;ポリエーテル変性(ポリオキシエチレン(POE)変性、ポリオキシプロピレン(POP)変性等)、ポリアミノ変性、アルコール変性(グリセリン変性等)、脂肪酸変性、フッ素変性等の変性シリコーン、シリコーン樹脂等が挙げられる。
但し、成分(A)以外のシリコーンの含有量は、毛髪化粧料組成物中、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下であり、含まない方が好ましい。
【0049】
シリコーンやタンパク質を除く各種ポリマーとしては、天然系のポリマー、及びそれらを加水分解した低分子のポリマーが挙げられる。更には、(i)これらのポリマーに脂肪酸やアルコール等の疎水基を付加反応させて疎水化したポリマー、(ii)カチオン基、アニオン基、ベタイン等の両性基等の親水基を付加させて得られた親水性ポリマー、(iii)疎水基と親水基の両方を付加させて得られた両親媒性のポリマー等が挙げられる。
具体的には、炭素数16~18の脂肪酸をエステル結合させた多糖類、炭素数1~18の高級アルコールをエーテル結合させた多糖類、カチオン化多糖類(カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム等)、アルキルカチオン化多糖類(アルキルカチオン変性セルロース)等が挙げられる。
ポリマーとして、上記天然系のポリマー以外に合成ポリマーも用いることができる。合成ポリマーとしては、不飽和結合基や、環状基を有する官能基を反応させ、重合させて得られたポリマー等が挙げられ、例えばアクリル酸及びその誘導体、オキサゾリン及びその誘導体などを反応させた重合体等が挙げられる。
但し、これらのポリマーは、成分(A)の効果を弱め、毛髪の自然排水性を低下させるおそれがあるため、各成分それぞれの含有量は、毛髪化粧料組成物中、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下、更に好ましくは0.05質量%以下であり、含まない方が好ましい。
【0050】
本発明の毛髪化粧料組成物には、毛髪へのダメージ低減等の観点から、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、酵素、没食子酸及びその誘導体、ステロール及びその誘導体、植物抽出物、及びデキストリン脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上を含有することができる。但し、これらの成分は、成分(A)の効果を弱め、毛髪の自然排水性を低下させるおそれがあるため、各成分それぞれの含有量は、毛髪化粧料組成物中、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下、更に好ましくは0.05質量%以下であり、含まない方が好ましい。
【0051】
本発明の毛髪化粧料組成物には、油剤、ポリマー、植物抽出物等の各種配合成分の溶解性、分散性を高める観点から、更に成分(B)及び成分(D)以外の界面活性剤を含有することができる。具体的には、(i)アニオン性界面活性剤、(ii)両性界面活性剤、(iii)成分(D)以外のノニオン性界面活性剤、(iv)成分(B)以外のカチオン性界面活性剤を含むことができる。但し、これらの成分は、他の成分との関係により成分(A)の効果を弱め、且つ保存安定性を低下させるおそれがあるため、各成分それぞれの含有量は、毛髪化粧料組成物中、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下、より更に好ましくは0.05質量%以下であり、含まない方が好ましい。
【0052】
<毛髪化粧料組成物の製造>
本発明の毛髪化粧料組成物は、常法により製造することができる。例えば、イオン交換水等の精製水を好ましくは50℃以上、より好ましくは55℃以上、そして、好ましくは95℃以下、より好ましくは75℃以下に加熱し、成分(A)と成分(B)を混合し、均一にした後、必要に応じて、更に、任意成分を添加して均一にし、放冷する。場合によっては、酸又は塩基を加え、pHを調整して本発明の毛髪化粧料組成物を得ることができる。
【0053】
[毛髪の処理方法]
本発明の毛髪の処理方法は、前記本発明の毛髪化粧料組成物を毛髪に適用する工程と、次いで該毛髪化粧料組成物を水で洗い流す工程とを有する。具体的な処理方法としては、例えば下記の方法が挙げられる。
まず、本発明の毛髪化粧料組成物を、好ましくは洗髪後の濡れた毛髪に、塗布、流延又は噴霧等により適用し、毛髪全体に塗り広げる。この際、毛髪化粧料組成物は手で毛髪に適用してもよく、ブラシ等の道具を用いて適用してもよい。毛髪化粧料組成物を適用後、該組成物を毛髪の内部に浸透させるために、放置する時間を設けてもよい。その時間は10分間以内が好ましく、30秒間以上5分間以下がより好ましい。
次いで、毛髪化粧料組成物を、水で洗い流す工程を行う。水の温度は、身体に負担にならない温度であればよく、好ましくは15℃以上50℃以下、より好ましくは25℃以上45℃以下である。洗い流す時間は特に制限されないが、5秒間以上3分間以下が好ましい。
上記処理を行うことにより、洗髪後の濡れた毛髪をタオルで拭き取り、ドライヤーで乾燥する通常の乾燥行動に入る前の段階で、毛髪表面及び毛髪間に残留する水分が重力により速やかに自然排水され、毛髪の水分量を大幅に低減することができる。このため、その後の毛髪のタオルでの拭き取り、ドライヤー乾燥時間を短縮でき、乾燥行動を軽減することができる。
【実施例】
【0054】
(1)ジメチルポリシロキサンの重量平均分子量(Mw)の測定
ジメチルポリシロキサンの重量平均分子量(Mw)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。
カラムには、ミックスゲルカラム(昭和電工株式会社製、Shodex K-804L)を2本接続したものを用い、移動相及び希釈溶媒として、クロロホルム(関東化学株式会社製、高速液体クロマトグラフィー用)、検出器として、示差屈折率(RI)検出器を用いて、標準物質として分子量が既知の単分散ポリスチレンを用いてMwを算出した。
【0055】
(2)ジメチルポリシロキサンの動粘度の測定
ジメチルポリシロキサンの動粘度は、日本工業規格JIS Z8803:2011「液体の粘度測定方法」に基づき、ウベローデ粘度計を用いて25℃で測定した。
【0056】
(3)毛髪の自然排水率(%)
化学処理履歴のないアジア人直毛の毛髪束(毛髪長さ約20cm、乾燥重量9g)を下記配合処方のプレーンシャンプーを用いて温水道水で洗浄し、十分にすすぎ流した。シャンプー後の濡れた状態の毛髪束に、各例の毛髪化粧料組成物(ヘアコンディショナー)3gを塗布し、毛髪束全体に十分になじませた後、温水道水で5秒間すすぎ流した後、水滴が垂れてこない状態まで指で毛束をしごいて水を切った。次いで、上皿天秤の上に処理毛髪束をのせ、水の含有量が毛髪束の乾燥重量(9g)と同量の9g(合計18g)となるように、水道水を毛髪束に含浸させた。
その後、上皿天秤の鉛直線上に毛髪束を毛先が上皿の上約5cmとなるところまで懸架し、したたり落ちる水滴の重量(排水量)を経時で測定した。
懸架3分後の排水量を秤量し、下記式により、毛髪の自然排水率(%)を算出した。
毛髪の自然排水率(%)=〔懸架3分後の排水量(g)/懸架前の毛束の含水量(g)〕×100
(懸架前の毛束の含水量(g)=毛髪の乾燥重量(g))
自然排水率(%)が50%以上であれば乾燥時間の短縮を認識でき、値が大きいほど結果が良好であることを意味する。
【0057】
〔プレーンシャンプーの配合処方(pH7.0)〕
25%ポリオキシエチレン(2.5)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム塩
62.0質量%
ラウリン酸ジエタノールアミド 2.3質量%
エデト酸二ナトリウム 0.15質量%
安息香酸ナトリウム 0.5質量%
塩化ナトリウム 0.8質量%
75%リン酸 適量
香料、メチルパラベン 微量
精製水 残量
合計 100質量%
【0058】
(4)タオルドライ後の毛髪のばらけやすさ
化学処理履歴のないアジア人直毛の毛髪束(毛髪長さ約20cm、乾燥重量9g)を前記プレーンシャンプーを用いて温水道水で洗浄後、十分にすすぎ流した。シャンプー後の濡れた状態の毛髪束に各例の毛髪化粧料組成物(ヘアコンディショナー)3gを塗布し、毛髪束全体に十分になじませた後、温水道水で5秒間すすぎ流した後、水滴が垂れてこない状態まで指で毛束をしごいて水を切った。次いで、上皿天秤の上に処理毛髪束をのせ、水の含有量が毛髪束の乾燥重量(9g)と同量の9g(合計18g)となるように、水道水を毛髪束に含浸させた。
32cm×16cmのアクリル板(厚み4mm、重量293g)上にのせた二つ折りにした40cm×16cm四方のペーパータオル(大王製紙株式会社製、商品名:エリエール(R)プロワイプ ソフトタオルホワイト、乾燥重量約10g)の上に前述の水を含浸させた毛髪束を毛束が曲がらないように横たえ、その上に同じ40cm×16cm四方のペーパータオルをのせ32cm×16cmのアクリル板(厚み4mm、重量293g)で挟み込み、金属性の重り(850g)をのせて2分間タオルプレスした。
その後、毛髪束の根本を持ち、約30°の振幅で3回振った後、専門パネリスト3名による官能評価により、毛髪束の細かさ(ばらけやすさ)を以下の3段階で評点をつけ、3名の合計点(満点:9点)で評価した。
評点3:毛髪束のどの部分もかなり細かくばらけている。
評点2:細かい束もあるが、部分的に太い束が残っている。
評点1:細かい束がほとんどなく、大部分が太い束で残っている。
合計点が8点以上であれば、「毛髪のばらけやすさ」の有意差が十分に認識できる。
【0059】
(5)保存安定性評価(AFSサイクル;Accelerated Four Seasons Cycle Test)
各例の毛髪化粧料組成物(ヘアコンディショナー)をスクリュー管(容量:50mL)に30gずつ充填し、密閉して、温度サイクル試験に供した。これは40℃の温度変化を6時間で1サイクルとするものである。1サイクル目は0℃~40℃で始まり、2サイクル目は-1℃~39℃、3サイクル目は-2℃~38℃・・・というように、1サイクル毎に1℃ずつ上下の温度が変化する。168時間後に、下限温度-28℃を迎え、そこから下限温度が0℃に向かうように1℃ずつ上がっていくものである。2週間後(336時間後)、スクリュー管を取り出し、組成物の分層状態を目視評価し、以下の基準で判定した。A又はB判定であれば合格とする。
A:組成物の分離がない、又は、組成物液面にごく僅かに油の遊離が認められる程度である。
B:組成物液面に油の遊離が認められるが、実使用上許容できるレベルである。
C:組成物が分離し、乳化層の量よりも、分離した上層(油層)の量が多い。
D:保存前の時点で乳化不良が認められる。
【0060】
実施例1~5、比較例1~9
広口規格びん(東京硝子器械株式会社製、PS-No.6)に表1に記載の各原料(水を含む)を全て加え、合計量を35gとして密栓し、65℃の温水浴中で1時間程度加温し、混合した。原料を十分に混合した時点でびんを温水浴から取出し、目視により均一に乳化、分散するまで手で振盪した後、25℃環境下で静置、放冷し、温度が25℃となったヘアコンディショナーを得た。
得られたヘアコンディショナーを用いて、前記方法により各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0061】
なお、表1中の各成分の詳細は、以下のとおりである。
<成分(A)>
*1:KF-96L-2cs(ジメチルポリシロキサン、信越化学工業株式会社製、Mw:392、動粘度:2mm2/s、25℃)
*2:KF-96L-10cs(ジメチルポリシロキサン、信越化学工業株式会社製、Mw:1,290、動粘度:10mm2/s、25℃)
*3:KF-96L-100cs(ジメチルポリシロキサン、信越化学工業株式会社製、Mw:8,870、動粘度:100mm2/s、25℃)
<成分(B)>
*4:コータミン60W(塩化セチルトリメチルアンモニウム、花王株式会社製、有効分30%)
<成分(B’)>
*5:コータミンD2345P(塩化ジアルキル(12-18)ジメチルアンモニウム、花王株式会社製、有効分75%)
<成分(C)>
*6:ルナックS-98(ステアリン酸、花王株式会社製)
*7:イソステアリン酸EX(イソステアリン酸、高級アルコール工業株式会社製)
<成分(D)>
*8:KAO-SOFCARE GP-1(PPG-3カプリリルエーテル、花王株式会社製)
【0062】
【0063】
表1より、本実施例の毛髪化粧料組成物により処理された毛髪は自然排水率が高く、タオルドライ後にもばらけやすいため、毛髪の乾燥行動の負担を低減することができることがわかる。また毛髪化粧料組成物の経時での分離が少なく、保存安定性にも優れるものであることがわかる。
これに対し、成分(B)に替えてジ長鎖アルキル型のカチオン性界面活性剤を用いた比較例1、成分(A)に替えて重量平均分子量が3,000を超えるジメチルポリシロキサンを用いた比較例2、成分(C)又は(D)のいずれかを含有しない比較例3及び4、質量比[(A)/(B)]が本発明の規定範囲外である比較例5~7、並びに、成分(C)として成分(c1)又は(c2)のいずれか一方のみを含有する比較例8及び9の毛髪化粧料組成物では、毛髪の乾燥行動の負担低減効果と、保存安定性向上効果とを両立することができなかった。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明によれば、洗髪後の毛髪に適用し、すすぎ流して用いることにより、毛髪の乾燥行動を始める前に、毛髪間に残留する水分を重力で可能な限り自然排水(落下)させることで毛髪の乾燥時間を短縮できると共に、保存安定性にも優れる毛髪化粧料組成物を提供できる。該毛髪化粧料組成物を用いて毛髪処理を行うことで、洗髪後の濡れた毛髪をタオルで拭き取り、ドライヤーで乾燥する通常の乾燥行動に入る前の段階で毛髪の水分量を大幅に低減することができるので、毛髪の乾燥行動の負担を軽減できる。