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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20241127BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20241127BHJP
   F01N 3/18 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
E02F9/00 P
F01N3/08 B
F01N3/18 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020173829
(22)【出願日】2020-10-15
(65)【公開番号】P2022065320
(43)【公開日】2022-04-27
【審査請求日】2023-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002457
【氏名又は名称】弁理士法人広和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】生井 喜雄
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-101881(JP,A)
【文献】特開2017-053315(JP,A)
【文献】国際公開第2016/021046(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00
F01N 3/08
F01N 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走可能な車体と、前記車体の前側に設けられた作業装置とを備え、
前記車体は、センタフレーム及び左右のサイドフレームを有し前側に前記作業装置が取付けられた車体フレームと、
前記車体フレームの後側に搭載されたエンジンと、
前記エンジンに隣接して前記車体の左右方向の一側に配置され前記エンジンによって駆動される油圧ポンプと、
前記油圧ポンプの上側に設けられ前記エンジンから排出される排気ガス中の窒素酸化物を除去する尿素選択還元触媒を含む排気ガス後処理装置と、
前記油圧ポンプを跨いで前記車体フレームに取付けられ前記排気ガス後処理装置を支持する後処理装置支持部材と、
前記尿素選択還元触媒の還元剤である尿素水を前記尿素選択還元触媒に供給する尿素水供給装置と、
前記油圧ポンプの前側に位置して前記車体フレームに搭載された貯油タンクと、
前記車体フレームに取付けられ前記貯油タンクを前記車体フレームの左右方向から覆うタンクカバーと、を含んで構成してなる建設機械において、
前記貯油タンクには、前記タンクカバーと左右方向で間隔をもって対面する平面状の平坦周壁面が設けられ、
前記後処理装置支持部材には、前記車体フレームの前記サイドフレームに向けて張出し、前記油圧ポンプが収容されるポンプ室と前記貯油タンクが収容されるタンク室との間を仕切る張出し部が設けられ、
前記尿素水供給装置は、前記貯油タンクの前記平坦周壁面と、前記後処理装置支持部材の前記張出し部と、前記タンクカバーとによって囲まれる空間内に配置されることを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記貯油タンクは、上下方向で対面する底面及び上面と、前記平坦周壁面を含む多角形の断面形状を有し前記底面と前記上面との間を接続する周壁面とを含んで構成され、
前記車体フレームには、前記センタフレーム上に立設され前後方向に延びる縦板が設けられ、
前記貯油タンクは、前記車体フレームの前記縦板と前記タンクカバーとの間で前記縦板に隣接して配置され、
前記尿素水供給装置は、前記貯油タンクの前記平坦周壁面に取付けられていることを特徴とする請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記貯油タンクの上面には、前記平坦周壁面から前記タンクカバーに向けて突出し、前記尿素水供給装置を上側から覆うカバー部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば排気ガス中の窒素酸化物を浄化する排気ガス浄化装置を備えた油圧ショベル等の建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械を代表する油圧ショベルは、自走可能な車体と、この車体の前側に設けられた作業装置とからなり、油圧ショベルの車体は、下部走行体と、下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体とにより構成されている。上部旋回体は、ベースとなる車体フレームを有し、車体フレームの前側には作業装置が取付けられ、車体フレームの後側にはカウンタウエイトが取付けられている。また、車体フレームには、原動機としてのエンジン、エンジンによって駆動される油圧ポンプ、油圧ポンプからの圧油(作動油)により上部旋回体を旋回させる旋回モータ等が搭載されている。
【0003】
エンジンは、カウンタウエイトの前側に配置され、旋回モータは、エンジンの前側に配置されている。エンジンと旋回モータとの間には、通常、仕切り部材(ファイヤウォール)が設けられ、作動油が給排される旋回モータとエンジンとの間を仕切ることにより、旋回モータ等に付着した作動油がエンジンからの熱によって加熱されるのを防止している(特許文献1参照)。
【0004】
一方、油圧ショベルのエンジンには、一般にディーゼルエンジンが用いられ、このディーゼルエンジンは、排気ガスと共に窒素酸化物(以下、NOxという)を排出する。このため、油圧ショベルには、エンジンから排出される排気ガスを浄化するための排気ガス後処理装置が設けられ、この排気ガス後処理装置は、排気ガス中のNOxを除去する尿素選択還元触媒を含んでいる。尿素選択還元触媒は、還元剤としての尿素水溶液が供給されることにより、排気ガス中のNOxを無害な窒素ガスと水とに分解する。このため、油圧ショベルには、還元剤である尿素水を収容する尿素水タンクと、尿素水タンク内の尿素水を尿素選択還元触媒に供給する尿素水供給装置とが設けられている(特許文献2参照)。
【0005】
特許文献2による油圧ショベルは、尿素選択還元触媒に対する尿素水の噴射量を制御する尿素水噴射制御部と、排気ガス中のNOx量を検出するNOxセンサと、NOxセンサからの信号を尿素水噴射制御部に供給するNOxコントローラとを有している。この油圧ショベルには、エンジンや油圧ポンプが発生する熱に対して、NOxコントローラを遮蔽する遮蔽部材が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-57590号公報
【文献】特開2017-53315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
NOxを浄化するために用いられる尿素水は、60℃程度の高温下で保持された場合には早期に品質が劣化して使用できなくなり、高温になるほど品質の劣化が早まる。このため、尿素水を蓄える尿素水タンクは、通常、エンジン、油圧ポンプからの熱の影響を受けにくく、温度が低く保たれる場所に配置されている。しかし、尿素水タンク内の尿素水を尿素選択還元触媒に供給する尿素水ポンプ、及び尿素水に混入した異物を捕捉するフィルタ等を備えた尿素水供給装置が、エンジン等からの熱に晒された場合には、尿素選択還元触媒に供給される尿素水の品質が劣化してしまうという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、尿素水供給装置を、エンジンや油圧ポンプが発生する熱から遮蔽することができるようにした建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態は、自走可能な車体と、前記車体の前側に設けられた作業装置とを備え、前記車体は、センタフレーム及び左右のサイドフレームを有し前側に前記作業装置が取付けられた車体フレームと、前記車体フレームの後側に搭載されたエンジンと、前記エンジンに隣接して前記車体の左右方向の一側に配置され前記エンジンによって駆動される油圧ポンプと、前記油圧ポンプの上側に設けられ前記エンジンから排出される排気ガス中の窒素酸化物を除去する尿素選択還元触媒を含む排気ガス後処理装置と、前記油圧ポンプを跨いで前記車体フレームに取付けられ前記排気ガス後処理装置を支持する後処理装置支持部材と、前記尿素選択還元触媒の還元剤である尿素水を前記尿素選択還元触媒に供給する尿素水供給装置と、前記油圧ポンプの前側に位置して前記車体フレームに搭載された貯油タンクと、前記車体フレームに取付けられ前記貯油タンクを前記車体フレームの左右方向から覆うタンクカバーと、を含んで構成してなる建設機械において、
前記貯油タンクには、前記タンクカバーと左右方向で間隔をもって対面する平面状の平坦周壁面が設けられ、前記後処理装置支持部材には、前記車体フレームの前記サイドフレームに向けて張出し、前記油圧ポンプが収容されるポンプ室と前記貯油タンクが収容されるタンク室との間を仕切る張出し部が設けられ、前記尿素水供給装置は、前記貯油タンクの前記平坦周壁面と、前記後処理装置支持部材の前記張出し部と、前記タンクカバーとによって囲まれる空間内に配置されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施形態によれば、尿素水供給装置が、貯油タンクの平坦周壁面と、後処理装置支持部材の張出し部と、タンクカバーとによって囲まれる空間内に配置されることにより、尿素水供給装置を、エンジン、油圧ポンプ等が発生する熱から遮蔽することができる。この結果、尿素水供給装置を通じて尿素選択還元触媒に供給される尿素水が高温に晒されるのを防止し、尿素水の品質を良好に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態が適用された油圧ショベルを示す右側面図である。
図2】油圧ショベルの平面図である。
図3】旋回フレームにエンジン、油圧ポンプ、作動油タンク等が搭載された状態を示す平面図である。
図4】旋回フレームにエンジン、排気ガス後処理装置、作動油タンク等が搭載された状態を示す平面図である。
図5】旋回フレーム、排気ガス後処理装置、後処理装置支持部材、作動油タンク、尿素水供給装置等を示す斜視図である。
図6】後処理装置支持部材と閉塞板とを示す分解斜視図である。
図7】後処理装置支持部材に閉塞板を取付けた状態を示す斜視図である。
図8】旋回フレーム、後処理装置支持部材、作動油タンク、タンクカバー等を図5中の矢示VIII-VIII方向から見た断面図である。
図9】排気ガス後処理装置を概略的に示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態による建設機械を、油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、図1ないし図9を参照しつつ詳細に説明する。なお、実施形態では、油圧ショベルの走行方向を前後方向とし、油圧ショベルの走行方向と直交する方向を左右方向として説明する。
【0013】
建設機械を代表するクローラ式の油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3とを備え、これら下部走行体2と上部旋回体3とにより車体が構成されている。上部旋回体3の前側には作業装置4が設けられ、油圧ショベル1は、上部旋回体3を旋回させつつ作業装置4を俯仰動させることにより、土砂の掘削作業等を行う。
【0014】
上部旋回体3は、車体フレームとしての旋回フレーム5を有し、旋回フレーム5は、下部走行体2上に旋回可能に取付けられている。旋回フレーム5の前端側には作業装置4が取付けられ、旋回フレーム5の後端側には、作業装置4との重量バランスをとるカウンタウエイト6が設けられている。旋回フレーム5の前部左側には、オペレータが搭乗するキャブ7が設けられ、旋回フレーム5の前部右側には、上面に階段状の乗降ステップが形成された物品収納庫8が設けられている。また、旋回フレーム5には、カウンタウエイト6よりも前側に位置して後述のエンジン9、油圧ポンプ12、排気ガス後処理装置20、後処理装置支持部材33、作動油タンク38、尿素水供給装置44等が搭載されている。
【0015】
図3ないし図5に示すように、旋回フレーム5は、左右方向の中央部に配置され前後方向に延びるセンタフレーム5Aと、センタフレーム5Aの左側に配置され前後方向に延びる左サイドフレーム5Bと、センタフレーム5Aの右側に配置され前後方向に延びる右サイドフレーム5Cとにより大略構成されている。センタフレーム5Aは、厚肉な鋼板等からなる底板5Dと、底板5D上に立設され、左右方向で対面しつつ前後方向に延びる左縦板5Eおよび右縦板5Fとを含んで構成されている。
【0016】
センタフレーム5Aと左サイドフレーム5Bとの間には、左右方向に延びる複数の左張出しビーム5Gが前後方向に間隔をもって設けられている。これら複数の左張出しビーム5Gを介して、センタフレーム5Aの左側に左サイドフレーム5Bが取付けられている。一方、センタフレーム5Aと右サイドフレーム5Cとの間には、左右方向に延びる複数の右張出しビーム5Hが前後方向に間隔をもって設けられている。これら複数の右張出しビーム5Hを介して、センタフレーム5Aの右側に右サイドフレーム5Cが取付けられている。
【0017】
複数の右張出しビーム5Hのうち最も後側に配置された右張出しビーム5H1には、後述する後処理装置支持部材33の後支持脚34が取付けられる。また、右張出しビーム5H1の前側に配置された右張出しビーム5H2には、後述する後処理装置支持部材33の前支持脚35が取付けられる。さらに、右張出しビーム5H2の前側に配置された右張出しビーム5H3,5H4には、後述する作動油タンク38が取付けられる。
【0018】
エンジン9は、カウンタウエイト6よりも前側に位置して旋回フレーム5の後部側に設けられている。エンジン9は、旋回フレーム5に対し、防振部材(図示せず)を介して弾性的に支持されている。エンジン9は、ディーゼルエンジンにより構成され、クランク軸(図示せず)が左右方向に延びる横置き状態で旋回フレーム5に搭載されている。エンジン9には、エンジン9によって回転駆動される冷却ファン9Aが設けられている。
【0019】
エンジン9の前側には、左右方向に延びるファイヤウォール10が設けられている。ファイヤウォール10は、作動時に高温となるエンジン9と、旋回モータ、コントロールバルブ等の油圧機器(図示せず)との間を仕切っている。これにより、ファイヤウォール10とカウンタウエイト6との間には、後述する建屋カバー15によって覆われるエンジン室11が形成され、このエンジン室11内にエンジン9が収容されている。
【0020】
油圧ポンプ12は、エンジン9に隣接して旋回フレーム5の左右方向の一側(右側)に設けられている。油圧ポンプ12は、エンジン9によって駆動されることにより、油圧ショベル1に搭載された各種の油圧機器に向けて作動用の圧油を吐出する。油圧ポンプ12の上側には、排気ガス後処理装置20が配置されている。ここで、エンジン9と油圧ポンプ12との境界部には、油圧ポンプ12をエンジン9が発生する熱から遮蔽する隔壁部材(図示せず)が設けられている。これにより、エンジン9の右側には、エンジン室11から隔絶されたポンプ室13が形成され、このポンプ室13内に油圧ポンプ12が収容されている。
【0021】
熱交換器14は、エンジン9に隣接して旋回フレーム5の左右方向の他側(左側)に設けられている。熱交換器14は、エンジン冷却水を冷却するラジエータ、作動油を冷却するオイルクーラ等を含んで構成されている。冷却ファン9Aは、エンジン9によって回転駆動されることにより建屋カバー15内に外気を吸込み、この外気を冷却風として熱交換器14に供給する。熱交換器14は、供給された冷却風によってエンジン冷却水、作動油等を冷却する。
【0022】
建屋カバー15は、カウンタウエイト6の前側に位置して旋回フレーム5上に設けられ、建屋カバー15の内部には、エンジン9、油圧ポンプ12、熱交換器14等の旋回フレーム5に搭載された各種の搭載機器が収容されている。建屋カバー15は、搭載機器を上方から覆う上面カバー15Aと、搭載機器を左側方から覆う左側面カバー15Bと、搭載機器を右側方から覆う右側面カバー15Cとを含んで構成され、サポート部材(図示せず)によって旋回フレーム5上に支持されている。
【0023】
上面カバー15Aの上側には、エンジンカバー16と、熱交換器カバー17と、後処理装置カバー18とが左右方向に隣接して設けられている。エンジンカバー16は、上面カバー15Aから上方に隆起する箱状に形成され、エンジン9等の点検作業を行うために上面カバー15Aに形成された点検用開口(図示せず)を開閉可能に覆っている。熱交換器カバー17は、エンジンカバー16の左側に配置され、前記点検用開口を通じて上面カバー15A上に突出した熱交換器14の上部を覆っている。後処理装置カバー18は、エンジンカバー16の右側に配置され、後述する排気ガス後処理装置20を開閉可能に覆っている。
【0024】
左側面カバー15Bは、上面カバー15Aの左端部と旋回フレーム5の左サイドフレーム5Bとの間に配置され、カウンタウエイト6の左端部からキャブ7の後端まで延在している。左側面カバー15Bは、熱交換器14と左右方向で対面し、熱交換器14等を左側方から開閉可能に覆っている。
【0025】
右側面カバー15Cは、上面カバー15Aの右端部と旋回フレーム5の右サイドフレーム5Cとの間に配置され、カウンタウエイト6の右端部から物品収納庫8の後端まで延在している。右側面カバー15Cは、例えば後カバー15C1と、タンクカバー15C2と、前カバー15C3とにより構成され、これら後カバー15C1、タンクカバー15C2、前カバー15C3の外側面(右側面)は、同一平面を形成している。
【0026】
ここ、後カバー15C1は、油圧ポンプ12と左右方向で対面し、油圧ポンプ12を右側方から開閉可能に覆っている。タンクカバー15C2は、後カバー15C1の前側に隣接して配置されている。タンクカバー15C2は、作動油タンク38を右側方から開閉可能に覆っている。前カバー15C3は、タンクカバー15C2の前側に隣接して配置されている。前カバー15C3は、作動油タンク38の前側に配置された燃料を貯留する燃料タンク19を右側方から覆っている。
【0027】
排気ガス後処理装置20は、後処理装置支持部材33に支持された状態で油圧ポンプ12の上側に設けられている。排気ガス後処理装置20は、排気管21を介してエンジン9に接続され、エンジン9からの排気ガスに含まれる有害物質を処理する。排気ガス後処理装置20は、例えば図9に示すように、第1の後処理装置22と第2の後処理装置28とを含んで構成されている。
【0028】
第1の後処理装置22は、前後方向に延びる円筒状の筒体23を備えている。筒体23は、両端が閉塞された密閉容器として形成され、筒体23の上流側には流入口23Aが設けられ、この流入口23Aには排気管21の先端が接続されている。筒体23内には酸化触媒24が配設されている。酸化触媒24は、例えばセラミックス製のセル状筒体からなり、その軸方向には多数個の貫通孔が形成され、内面に貴金属等がコーティングされている。酸化触媒24は、所定の温度下で各貫通孔に排気ガスを流通させることにより、この排気ガスに含まれる一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)等を酸化して除去する。また、酸化触媒24は、必要に応じて粒子状物質(PM)を燃焼して除去する。
【0029】
接続管25は、第1の後処理装置22と第2の後処理装置28との間を接続している。接続管25の入口側は、第1の後処理装置22の筒体23に接続され、接続管25の途中部位には尿素水噴射弁26が取付けられている。尿素水噴射弁26は、例えば物品収納庫8内に配置された尿素水タンク(図示せず)に尿素水管路27を介して接続され、後述の尿素水供給装置44によって供給された尿素水を、接続管25内を流通する排気ガスに向けて噴射する。
【0030】
第2の後処理装置28は、接続管25の出口側に接続されている。第2の後処理装置28は、第1の後処理装置22の筒体23と平行して前,後方向に延びる円筒状の筒体29を備えている。筒体29は、両端が閉塞された密閉容器として形成され、筒体29内には、尿素選択還元触媒30と酸化触媒31とが設けられている。
【0031】
尿素選択還元触媒30は、例えばセラミックス製のセル状筒体からなり、その軸方向には多数の貫通孔が形成され、内面に貴金属がコーティングされている。尿素選択還元触媒30は、エンジン9から排出された排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を、尿素水噴射弁26から噴射された尿素水溶液中のアンモニアによって選択的に還元反応させ、窒素と水に分解する。酸化触媒31は、第1の後処理装置22の酸化触媒24と同様に、セラミックス製のセル状筒体からなり、その軸方向には多数の貫通孔が形成され、内面に貴金属がコーティングされている。これにより、酸化触媒31は、尿素選択還元触媒30が窒素酸化物を還元した後に残留したアンモニアを酸化し、窒素と水に分離する。
【0032】
尾管32は、筒体29の下流側となる後側部位に設けられ、下端側が筒体29内に挿入されると共に上端が筒体29から上向きに突出している。従って、エンジン9から排出された排気ガスは、排気管21を通じて排気ガス後処理装置20に導入され、排気ガス後処理装置20によって浄化処理された後に、尾管32を介して外部に排出される。
【0033】
次に、旋回フレーム5上に排気ガス後処理装置20を支持する後処理装置支持部材33について説明する。
【0034】
後処理装置支持部材33は、油圧ポンプ12を上側から跨いで旋回フレーム5に取付けられ、排気ガス後処理装置20を油圧ポンプ12の上側で支持している。図5ないし図8に示すように、後処理装置支持部材33は、後支持脚34と、前支持脚35と、架台37とを含んで構成されている。
【0035】
後支持脚34は、旋回フレーム5を構成する右張出しビーム5Hのうち最後部の右張出しビーム5H1に取付けられている。後支持脚34は、右張出しビーム5H1の上面に当接する下板34Aと、下板34Aから上方に向けて延びる後縦板34Bと、後縦板34Bの上端に固着された上板34Cとを有している。後縦板34Bは、例えばU字状の断面形状を有するみぞ形鋼を用いて形成されている。後支持脚34は、下板34Aがボルトを用いて右張出しビーム5H1に固定されることにより、油圧ポンプ12の後側に配置された状態で旋回フレーム5に取付けられている。
【0036】
前支持脚35は、右張出しビーム5H1の前側に配置された右張出しビーム5H2に取付けられ、後支持脚34と前後方向で対をなしている。前支持脚35は、右張出しビーム5H2の上面に当接する下板35Aと、下板35Aから上方に向けて延びる前縦板35Bと、前縦板35Bの上端に固着された上板35Cとを有している。前縦板35Bは、例えばU字状の断面形状を有するみぞ形鋼を用いて形成されている。前支持脚35は、下板35Aがボルトを用いて右張出しビーム5H2に固定されることにより、油圧ポンプ12の前側に配置された状態で旋回フレーム5に取付けられている。
【0037】
図7に示すように、前支持脚35を構成する前縦板35Bの左右方向の幅寸法Aは、後支持脚34を構成する後縦板34Bの左右方向の幅寸法Bよりも大きく設定されている(A>B)。そして、前支持脚35の下板35Aを右張出しビーム5H2に固定した状態で、前縦板35Bの左端部35B1側は、後支持脚34の後縦板34Bと前後方向で対面し、前縦板35Bの右端部35B2は、後縦板34Bよりも右サイドフレーム5C側まで延在する(図8参照)。
【0038】
このように、前縦板35Bの右端部35B2が、右サイドフレーム5Cに隣接する位置まで延在することにより、前縦板35Bの右端部35B2側は、作動油タンク38の後述する右壁板41Dよりも右側方に張出した張出し部35Dとなっている。ここで、後縦板34Bよりも広幅に形成された前縦板35Bには、軽量化等を目的として、左端部35B1から右端部35B2に向けて円弧状に切欠かれた切欠部35Eが形成されている。前縦板35Bの張出し部35Dには、切欠部35Eの周縁部に裏ナットを用いた複数(例えば2個)のボルト孔35Fが設けられている。
【0039】
閉塞板36は、前縦板35Bに取付けられている。閉塞板36は、平板状の板体からなり、前縦板35Bのボルト孔35Fに螺着される2本のボルト36Aによって前縦板35Bに着脱可能に固定され、切欠部35Eを閉塞する。これにより、旋回フレーム5に後処理装置支持部材33と作動油タンク38とを取付けた状態で、前縦板35Bの張出し部35Dが、後述のタンク室42とポンプ室13との間を仕切る構成となっている。
【0040】
架台37は、後支持脚34の上板34Cと前支持脚35の上板35Cとに取付けられている。架台37は、油圧ポンプ12の上側を跨いで後支持脚34と前支持脚35との間を前後方向に延在し、排気ガス後処理装置20を油圧ポンプ12の上側で支持している。架台37は、後支持脚34の上側に立設された後面板37Aと、前支持脚35の上側に立設された前面板37Bと、後面板37Aと前面板37Bとの間を前後方向に延びた取付台座37Cとにより大略構成されている。
【0041】
後面板37Aの下端には下板37A1が設けられ、この下板37A1は、後支持脚34の上板34Cにボルトを用いて固定されている。前面板37Bの下端には下板37B1が設けられ、この下板37B1は、前支持脚35の上板35Cにボルトを用いて固定されている。取付台座37Cは、前後方向に延びる角筒状の上台座37C1と、上台座37C1の上面よりも低い位置に配置された平板状の下台座37C2とを有している。取付台座37Cの後端は、溶接等の手段を用いて後面板37Aに固定され、取付台座37Cの前端は、溶接等の手段を用いて前面板37Bに固定されている。
【0042】
取付台座37Cの下台座37C2には、排気ガス後処理装置20を構成する第1の後処理装置22が取付けられ、上台座37C1には、第2の後処理装置28が取付けられている。これにより、排気ガス後処理装置20は、後処理装置支持部材33によって支持された状態で、油圧ポンプ12の上側に配置されている。
【0043】
貯油タンクとしての作動油タンク38は、油圧ポンプ12の前側で、かつ右縦板5Fとタンクカバー15C2との間に位置して旋回フレーム5に搭載されている。作動油タンク38は、燃料タンク19と後処理装置支持部材33の前支持脚35との間に互いに隣接して配置され、油圧ショベル1に搭載された各種の油圧アクチュエータに供給される作動油を貯留している。作動油タンク38は、旋回フレーム5の右縦板5Fと右サイドフレーム5Cとの間で、複数の右張出しビーム5Hのうち2本の右張出しビーム5H3,5H4上に取付けられている。
【0044】
図5および図8に示すように、作動油タンク38は、上下方向で対面する底面および上面としての底板39および上板40と、これら底板39と上板40との間を接続する周壁面としての周壁板41とを含んで構成されている。底板39は、前後方向に延びる多角形状(長方形の左後側の角部を面取りした五角形状)の平板として形成され、ボルト等を用いて右張出しビーム5H3,5H4上に取付けられている。上板40は、前後方向に延びる長方形状の平板として形成され、底板39と間隔をもって対面している。上板40と建屋カバー15の上面カバー15Aとは、同一平面を形成している。
【0045】
周壁板41は、多角形(例えば六角形)の断面形状を有する角筒状に形成されている。具体的には、周壁板41は、前後方向で対面しつつ左右方向に延びる前壁板41Aおよび後壁板41Bと、左右方向で対面しつつ前後方向に延びる左壁板41Cおよび右壁板41Dと、後壁板41Bと左壁板41Cとが交わる角部に配置された2面の傾斜面からなる傾斜壁板41E,41Fとの六つの平坦面によって囲まれた六面体により構成されている。ここで、前壁板41Aは、燃料タンク19と僅かな間隔をもって対面し、後壁板41Bは、後処理装置支持部材33の前支持脚35(前縦板35B)と僅かな間隔をもって対面している。また、左壁板41Cは、旋回フレーム5の右縦板5Fと僅かな間隔をもって対面している。
【0046】
このように、作動油タンク38を、旋回フレーム5の右縦板5F側に片寄せて配置することにより、作動油タンク38の右壁板41Dは、建屋カバー15を構成するタンクカバー15C2と左右方向で大きな間隔をもって対面している。即ち、本実施形態では、作動油タンク38(周壁板41)の右壁板41Dが平坦周壁面を構成している。これにより、建屋カバー15内には、後処理装置支持部材33(前支持脚35)の張出し部35Dによってポンプ室13から仕切られたタンク室42が形成され、このタンク室42に作動油タンク38が収容されている。
【0047】
タンク室42は、旋回フレーム5の右縦板5Fと、タンクカバー15C2と、燃料タンク19と、後処理装置支持部材33の前支持脚35とによって囲まれたほぼ直方体の空間として形成されている。作動油タンク38は、右縦板5Fに片寄せた状態でタンク室42に収容されているため、タンク室42内には、作動油タンク38の右壁板41Dと、後処理装置支持部材33(前支持脚35)の張出し部35Dと、タンクカバー15C2とによって囲まれた物品収容空間43が形成されている。
【0048】
ここで、仮に作動油タンクが円筒状の周壁板を有している場合、円筒状の周壁板とタンク室42との間には、タンク室42の四隅に分散した複数の空間が形成され、各空間の収容スペースが縮小してしまう。これに対し、本実施形態では、作動油タンク38に、タンクカバー15C2と左右方向で対面する平坦周壁面である右壁板41Dを設け、この右壁板41Dとタンクカバー15C2との間に、作動油タンク38の前後方向の長さ寸法に対応した一つの物品収容空間43を形成している。これにより、作動油タンク38の容量を十分に確保しつつ、作動油タンク38とタンクカバー15C2との間に、大きな収容スペースを有する物品収容空間43を形成することができる構成となっている。
【0049】
尿素水供給装置44は、物品収容空間43内に位置して作動油タンク38の右壁板41Dに取付けられている。尿素水供給装置44は、尿素水を尿素水噴射弁26に供給する尿素水ポンプと、尿素水に混入した異物を捕捉する尿素水フィルタとを含んで構成されている。尿素水供給装置44は、物品収納庫8内に配置された尿素水タンク(図示せず)と、排気ガス後処理装置20に取付けられた尿素水噴射弁26との間を接続する尿素水管路27の途中に設けられ、尿素水タンクに貯留された還元剤である尿素水を、尿素水噴射弁26に向けて供給する。
【0050】
図5に示すように、尿素水供給装置44は、作動油タンク38の右壁板41Dに固定されている。これにより、尿素水供給装置44は、物品収容空間43内に安定して保持されている。ここで、エンジン9が作動して冷却ファン9Aが回転すると、建屋カバー15内に吸込まれた外気(冷却風)が熱交換器14に供給された後、エンジン9に沿って油圧ポンプ12側へと流れる。この冷却風の一部は、図8に示すように、エンジン室11からタンク室42に流入しようとする冷却風の流れF1と、ポンプ室13からタンク室42に流入しようとする冷却風の流れF2とを生成する。この場合、冷却風の流れF1は、作動油タンク38によってタンク室42への流入が阻止され、冷却風の流れF2は、作動油タンク38と後処理装置支持部材33の張出し部35Dとによって、タンク室42への流入が阻止される。
【0051】
従って、油圧ショベル1の作動時にエンジン9および油圧ポンプ12が熱を発生したとしても、これらエンジン9および油圧ポンプ12からの熱気が、タンク室42内に形成された物品収容空間43に流入するのを阻止することができる。これにより、物品収容空間43内に配置された尿素水供給装置44を、エンジン9および油圧ポンプ12が発生する熱から遮蔽することができ、尿素水供給装置44から尿素水噴射弁26に供給される尿素水の品質が劣化するのを抑えることができる構成となっている。
【0052】
作動油タンク38の上板40には、カバー部材としての上面カバー45が設けられている。上面カバー45は、上板40の前後方向の長さ寸法とほぼ等しい長さ寸法を有する長方形の平板によって形成され、溶接等の手段を用いて上板40に固定されている。上面カバー45は、作動油タンク38を構成する周壁板41の右壁板41Dから右側方に突出し、タンクカバー15C2の上端部まで延在している。これにより、上面カバー45は、右壁板41Dに取付けられた尿素水供給装置44を上側から覆い、尿素水供給装置44を、排気ガス後処理装置20が発生する熱からも遮蔽している。
【0053】
本実施形態による油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、以下、その動作について説明する。
【0054】
キャブ7に搭乗したオペレータが、エンジン9を作動させることにより、油圧ポンプ12が駆動される。油圧ポンプ12からの圧油は、コントロールバルブ(図示せず)を介して油圧ショベル1の各種の油圧アクチュエータに供給される。この状態で、オペレータが走行用の操作レバーを操作することにより、下部走行体2を前進または後退させることができる。また、オペレータが作業用の操作レバーを操作することにより、上部旋回体3を旋回させつつ作業装置4を用いて土砂の掘削作業等を行うことができる。
【0055】
油圧ショベル1の稼動時には、排気ガス後処理装置20を構成する第1の後処理装置22に設けられた酸化触媒24は、エンジン9から排出される排気ガス中の一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)等を酸化して除去する。一方、第2の後処理装置28に設けられた尿素選択還元触媒30は、尿素水噴射弁26から尿素水が噴射されることにより、排気ガス中の窒素酸化物(NOx)を無害な窒素ガスと水に分解する。さらに、第2の後処理装置28に設けられた酸化触媒31は、残留アンモニアを酸化して除去する。このようにして、エンジン9から排出された排気ガスは、排気ガス後処理装置20によって浄化された後、尾管32を通じて大気中に排出される。
【0056】
ここで、本実施形態では、油圧ショベル1の上部旋回体3に、作動油タンク38に設けられた右壁板41Dと、後処理装置支持部材33の前支持脚35に設けられた張出し部35Dと、タンクカバー15C2とによって囲まれた物品収容空間43が形成されている。そして、物品収容空間43内には、尿素水を尿素水噴射弁26に供給する尿素水供給装置44が、作動油タンク38の右壁板41Dに固定された状態で収容されている。
【0057】
エンジン9の作動時には、冷却ファン9Aによって建屋カバー15内に外気(冷却風)が吸込まれ、この冷却風は、熱交換器14に供給された後、エンジン9に沿って油圧ポンプ12側へと流れる。この冷却風の一部は、エンジン室11からタンク室42に流入しようとする冷却風の流れF1と、ポンプ室13からタンク室42に流入しようとする冷却風の流れF2とを生成する(図8参照)。しかし、冷却風の流れF1は、作動油タンク38によってタンク室42への流入が阻止され、冷却風の流れF2は、作動油タンク38と後処理装置支持部材33の張出し部35Dとによって、タンク室42への流入が阻止される。
【0058】
従って、油圧ショベル1の作動時にエンジン9および油圧ポンプ12が熱を発生したとしても、これらエンジン9および油圧ポンプ12からの熱気が、タンク室42内に形成された物品収容空間43に流入するのを阻止することができる。これにより、物品収容空間43内に配置された尿素水供給装置44を、エンジン9および油圧ポンプ12が発生する熱から遮蔽することができ、尿素水供給装置44が、エンジン9および油圧ポンプ12が発生する熱に晒されるのを防止できる。この結果、尿素水供給装置44から尿素水噴射弁26に供給される尿素水の温度上昇を抑えることができ、尿素水の品質を適正に保つことができる。
【0059】
さらに、作動油タンク38の上板40には上面カバー45が設けられ。この上面カバー45は、作動油タンク38の右壁板41Dから右側方に張出し、タンクカバー15C2の上端部まで延在している。これにより、作動油タンク38の右壁板41Dに取付けられた尿素水供給装置44を、上面カバー45によって上側からも覆うことができる。従って、尿素水供給装置44を、排気ガス後処理装置20が発生する熱からも遮蔽することができ、尿素水噴射弁26に供給される尿素水の温度上昇を抑えることができる。
【0060】
かくして、実施形態では、旋回フレーム5と、エンジン9と、油圧ポンプ12と、尿素選択還元触媒30を含む排気ガス後処理装置20と、後処理装置支持部材33と、尿素水供給装置44と、作動油タンク38と、タンクカバー15C2とを含む油圧ショベル1において、作動油タンク38には、タンクカバー15C2と左右方向で間隔をもって対面する平面状の右壁板41Dが設けられ、後処理装置支持部材33には、旋回フレーム5の右サイドフレーム5Cに向けて張出し、油圧ポンプ12が収容されるポンプ室13と作動油タンク38が収容されるタンク室42との間を仕切る張出し部35Dが設けられ、尿素水供給装置44は、作動油タンク38の右壁板41Dと、後処理装置支持部材33の張出し部35Dと、タンクカバー15C2とによって囲まれる物品収容空間43内に配置されている。
【0061】
この構成によれば、尿素水供給装置44を、エンジン9、油圧ポンプ12等が発生する熱から遮蔽することができる。この結果、尿素水供給装置44によって尿素水噴射弁26から尿素選択還元触媒30に供給される尿素水が高温に晒されるのを防止することができ、尿素水の品質を良好に保つことができる。
【0062】
実施形態では、作動油タンク38は、上下方向で対面する底板39及び上板40と、右壁板41Dを含む多角形の断面形状を有し底板39と上板40との間を接続する周壁板41とを含んで構成され、旋回フレーム5には、センタフレーム5A上に立設され前後方向に延びる左縦板5Eおよび右縦板5Fが設けられ、作動油タンク38は、旋回フレーム5の右縦板5Fとタンクカバー15C2との間で右縦板5Fに隣接して配置され、尿素水供給装置44は、作動油タンク38の右壁板41Dに取付けられている。この構成によれば、作動油タンク38の右壁板41Dとタンクカバー15C2との間に、大きな収容スペースを有する物品収容空間43を形成することができる。また、作動油タンク38の右壁板41Dを利用して尿素水供給装置44を取付けることにより、尿素水供給装置44を取付るための専用の部材を用いることなく、物品収容空間43内に尿素水供給装置44を安定して保持することができる。
【0063】
実施形態では、作動油タンク38の上板40には、右壁板41Dからタンクカバー15C2に向けて突出し、尿素水供給装置44を上側から覆う上面カバー45が設けられている。この構成によれば、上面カバー45によって尿素水供給装置44を上側から覆うことにより、尿素水供給装置44を、排気ガス後処理装置20が発生する熱からも遮蔽することができる。
【0064】
なお、実施形態では、タンクカバー15C2との間に物品収容空間43を形成する貯油タンクとして、作動油タンク38を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば燃料タンクをタンクカバーと対面する位置に配置し、燃料タンクとタンクカバーとの間に物品収容空間を形成してもよい。
【0065】
また、実施形態では、平坦周壁面を有する貯油タンクとして、多角形(六角形)の断面形状を有する周壁板41を備えた作動油タンク38を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば楕円を長径部分で切断した半楕円形の断面形状を有する一面の平坦周壁面を備えた貯油タンクを用いても良い。
【0066】
さらに、実施形態では、建設機械としてクローラ式の下部走行体2を備えた油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばホイール式の下部走行体を備えた油圧ショベルに適用してもよく、また、油圧クレーン等の他の建設機械にも広く適用することができる。
【符号の説明】
【0067】
2 下部走行体(車体)
3 上部旋回体(車体)
4 作業装置
5 旋回フレーム(車体フレーム)
5A センタフレーム
5B 左サイドフレーム
5C 右サイドフレーム
5F 右縦板(縦板)
9 エンジン
12 油圧ポンプ
13 ポンプ室
15C 右側面カバー
15C2 タンクカバー
20 排気ガス後処理装置
30 尿素選択還元触媒
33 後処理装置支持部材
35 前支持脚
35D 張出し部
38 作動油タンク(貯油タンク)
39 底板
40 上板
41 周壁板(周壁面)
41D 右壁板(平坦周壁面)
42 タンク室
43 物品収容空間(空間)
44 尿素水供給装置
45 上面カバー(カバー部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9