IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イビデン株式会社の特許一覧

特許7594419熱伝導性樹脂組成物、放熱構造体及び熱伝導性樹脂組成物の製造方法
<>
  • 特許-熱伝導性樹脂組成物、放熱構造体及び熱伝導性樹脂組成物の製造方法 図1
  • 特許-熱伝導性樹脂組成物、放熱構造体及び熱伝導性樹脂組成物の製造方法 図2
  • 特許-熱伝導性樹脂組成物、放熱構造体及び熱伝導性樹脂組成物の製造方法 図3
  • 特許-熱伝導性樹脂組成物、放熱構造体及び熱伝導性樹脂組成物の製造方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】熱伝導性樹脂組成物、放熱構造体及び熱伝導性樹脂組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20241127BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20241127BHJP
   C08K 7/04 20060101ALI20241127BHJP
   C08K 9/00 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
C08L101/00
C08K3/22
C08K7/04
C08K9/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020199622
(22)【出願日】2020-12-01
(65)【公開番号】P2022087605
(43)【公開日】2022-06-13
【審査請求日】2023-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】熊野 圭司
(72)【発明者】
【氏名】柴田 英昇
(72)【発明者】
【氏名】岡部 隆彦
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-013759(JP,A)
【文献】特開2012-031401(JP,A)
【文献】国際公開第2015/056523(WO,A1)
【文献】特開2010-006923(JP,A)
【文献】特開2012-007057(JP,A)
【文献】特開2010-229269(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂と、前記樹脂中に含まれるアルミナ粒子と、からなる熱伝導性樹脂組成物であって、
平均粒子径が互いに異なる少なくとも3種類のアルミナ粒子を含み、かつ、いずれの種類のアルミナ粒子の平均粒子径も30μm以下であり、
前記少なくとも3種類のアルミナ粒子は、第1のアルミナ粒子と、前記第1のアルミナ粒子よりも平均粒子径が小さい第2のアルミナ粒子と、前記第2のアルミナ粒子よりも平均粒子径が小さい第3のアルミナ粒子と、を含み、
前記第1のアルミナ粒子の平均粒子径が10~30μmであり、
前記第2のアルミナ粒子の平均粒子径が1.5~5μmであり、
前記第3のアルミナ粒子の平均粒子径が0.1~1μmであり、
前記第1のアルミナ粒子の形状が、球状又は丸み状であり、
前記第2のアルミナ粒子の形状が、不定形であり、
前記第3のアルミナ粒子の形状が、不定形であり、
前記第1のアルミナ粒子、前記第2のアルミナ粒子及び前記第3のアルミナ粒子の含有割合を体積比でそれぞれR1、R2及びR3とすると、R1≧(R2+R3)、R1>R2>R3、及び、R1≧2×R3の関係をすべて満たし、
R1が50~65体積%であり、R2が26~30体積%であり、R3が5~24体積%であることを特徴とする熱伝導性樹脂組成物。
【請求項2】
前記少なくとも3種類のアルミナ粒子の充填率が80体積%以上、95体積%以下である請求項に記載の熱伝導性樹脂組成物。
【請求項3】
熱伝導率が3.5W/m・K以上である請求項1又は2に記載の熱伝導性樹脂組成物。
【請求項4】
前記少なくとも3種類のアルミナ粒子が分散剤で表面処理されたものである請求項1~のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物。
【請求項5】
更に、アルミナ繊維を含む請求項1~のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物。
【請求項6】
熱源と、放熱部材と、前記熱源と前記放熱部材との間に配置された請求項1~のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物と、からなることを特徴とする放熱構造体。
【請求項7】
樹脂と、前記樹脂中に含まれるアルミナ粒子と、からなる熱伝導性樹脂組成物の製造方法であって、
平均粒子径が互いに異なり、かつ、いずれの種類のアルミナ粒子の平均粒子径も30μm以下である少なくとも3種類のアルミナ粒子と、樹脂材料とを混合する混合工程を含み、
前記少なくとも3種類のアルミナ粒子は、第1のアルミナ粒子と、前記第1のアルミナ粒子よりも平均粒子径が小さい第2のアルミナ粒子と、前記第2のアルミナ粒子よりも平均粒子径が小さい第3のアルミナ粒子と、を含み、
前記第1のアルミナ粒子の平均粒子径が10~30μmであり、
前記第2のアルミナ粒子の平均粒子径が1.5~5μmであり、
前記第3のアルミナ粒子の平均粒子径が0.1~1μmであり、
前記第1のアルミナ粒子の形状が、球状又は丸み状であり、
前記第2のアルミナ粒子の形状が、不定形であり、
前記第3のアルミナ粒子の形状が、不定形であり、
前記第1のアルミナ粒子、前記第2のアルミナ粒子及び前記第3のアルミナ粒子の配合割合を体積比でそれぞれR1、R2及びR3とすると、R1≧(R2+R3)、R1>R2>R3、及び、R1≧2×R3の関係をすべて満たし、
R1が50~65体積%であり、R2が26~30体積%であり、R3が5~24体積%であることを特徴とする熱伝導性樹脂組成物の製造方法。
【請求項8】
前記少なくとも3種類のアルミナ粒子と前記樹脂とを含む熱伝導性樹脂組成物中における前記少なくとも3種類のアルミナ粒子の充填率が80体積%以上、95体積%以下である請求項に記載の熱伝導性樹脂組成物の製造方法。
【請求項9】
前記少なくとも3種類のアルミナ粒子が分散剤で表面処理されたものである請求項7又は8に記載の熱伝導性樹脂組成物の製造方法。
【請求項10】
前記混合工程において、前記少なくとも3種類のアルミナ粒子及び前記樹脂に加えて、更に、アルミナ繊維を混合する請求項7~9のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱伝導性樹脂組成物、放熱構造体及び熱伝導性樹脂組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子は、通電のための導体と、絶縁材料とを含んで構成される。近年半導体素子の高出力化によって発熱量が増大しているため、半導体素子から発せられる熱をいかに放散させるかが重要な課題となっている。
【0003】
特許文献1には、高熱伝導性樹脂組成物が記載されている。
この組成物は、平均球形度0.85以上である平均粒子径10~50μmの球状酸化アルミニウム粉末と、平均粒子径0.3~1μmの酸化アルミニウム粉末とを配合割合が体積比で5:5~9.5:0.5で80~90体積%含有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5755977号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された組成物では平均粒子径が異なる2成分のアルミナ粒子を使用しているが、2成分であるため、組成物中のアルミナ粒子の充填率を充分に向上させることが難しい。そのため、このような組成物では高い熱伝導率を得ることが難しいという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、熱伝導性に優れた熱伝導性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明の熱伝導性樹脂組成物は、樹脂と、上記樹脂中に含まれるアルミナ粒子と、からなる熱伝導性樹脂組成物であって、平均粒子径が互いに異なる少なくとも3種類のアルミナ粒子を含み、かつ、いずれの種類のアルミナ粒子の平均粒子径も30μm以下であり、上記少なくとも3種類のアルミナ粒子は、第1のアルミナ粒子と、上記第1のアルミナ粒子よりも平均粒子径が小さい第2のアルミナ粒子と、上記第2のアルミナ粒子よりも平均粒子径が小さい第3のアルミナ粒子と、を含み、上記第1のアルミナ粒子、上記第2のアルミナ粒子及び上記第3のアルミナ粒子の含有割合を体積比でそれぞれR1、R2及びR3とすると、R1≧(R2+R3)の関係を満たすことを特徴とする。
【0008】
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、平均粒子径が互いに異なる少なくとも3種類のアルミナ粒子を含み、かつ、いずれの種類のアルミナ粒子の平均粒子径も30μm以下であり、更に、第1~第3の3種類のアルミナ粒子の含有割合(体積%)がR1≧(R2+R3)の関係を満たすことから、熱伝導性樹脂組成物におけるアルミナ粒子の充填率が向上する。そのため、高い熱伝導率を有する熱伝導性樹脂組成物とすることができる。
【0009】
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、更に、R1>R2>R3の関係を満たすことが好ましい。
【0010】
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、更に、R1≧2×R3の関係を満たすことが好ましい。
【0011】
本発明の熱伝導性樹脂組成物では、上記第1のアルミナ粒子の平均粒子径が10~30μmであり、上記第2のアルミナ粒子の平均粒子径が1.5~5μmであり、上記第3のアルミナ粒子の平均粒子径が0.1~1μmであることが好ましい。
【0012】
本発明の熱伝導性樹脂組成物では、上記少なくとも3種類のアルミナ粒子の充填率が80体積%以上、95体積%以下であることが好ましい。
アルミナ粒子の充填率を80体積%以上とすることにより、熱伝導率を高める効果がより好適に発揮される。
【0013】
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、熱伝導率が3.5W/m・K以上であることが好ましい。熱伝導率が3.5W/m・K以上であると熱伝導性に特に優れ、熱伝導性樹脂組成物としてより好適に使用することができる。
【0014】
本発明の熱伝導性樹脂組成物では、上記少なくとも3種類のアルミナ粒子が分散剤で表面処理されたものであることが好ましい。
当該粒子であると、樹脂、特にシリコーン樹脂とのなじみをよくし、熱伝導性樹脂組成物におけるアルミナ粒子の充填率をより効果的に向上することができる。その結果、より高い熱伝導率を有する熱伝導性樹脂組成物とすることができる。
【0015】
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、更に、アルミナ繊維を含むことが好ましい。
アルミナ繊維は一般的にアルミナ粒子よりも長く、効果的な伝熱パスが形成されるため、更にアルミナ繊維を含むと、より高い熱伝導率を有する熱伝導性樹脂組成物とすることができる。
【0016】
本発明の放熱構造体は、熱源と、放熱部材と、上記熱源と上記放熱部材との間に配置された本発明の熱伝導性樹脂組成物と、からなることを特徴とする。
当該構造であると、熱源からの熱を熱伝導性樹脂組成物を介して放熱部材に好適に熱伝導させることができる。
【0017】
本発明の熱伝導性樹脂組成物の製造方法は、樹脂と、上記樹脂中に含まれるアルミナ粒子と、からなる熱伝導性樹脂組成物の製造方法であって、平均粒子径が互いに異なり、かつ、いずれの種類のアルミナ粒子の平均粒子径も30μm以下である少なくとも3種類のアルミナ粒子と、樹脂材料とを混合する混合工程を含み、上記少なくとも3種類のアルミナ粒子は、第1のアルミナ粒子と、上記第1のアルミナ粒子よりも平均粒子径が小さい第2のアルミナ粒子と、上記第2のアルミナ粒子よりも平均粒子径が小さい第3のアルミナ粒子と、を含み、上記第1のアルミナ粒子、上記第2のアルミナ粒子及び上記第3のアルミナ粒子の配合割合を体積比でそれぞれR1、R2及びR3とすると、R1≧(R2+R3)の関係を満たすことを特徴とする。
【0018】
本発明の熱伝導性樹脂組成物の製造方法では、平均粒子径が互いに異なり、かつ、いずれの種類のアルミナ粒子の平均粒子径も30μm以下である少なくとも3種類のアルミナ粒子と、樹脂材料とを混合し、更に、第1~第3の3種類のアルミナ粒子の配合割合(体積%)をR1≧(R2+R3)とすることから、作製された熱伝導性樹脂組成物におけるアルミナ粒子の充填率が向上する。そのため、高い熱伝導率を有する熱伝導性樹脂組成物を作製することができる。
【0019】
本発明の熱伝導性樹脂組成物の製造方法では、更に、R1>R2>R3の関係を満たすことが好ましい。
【0020】
本発明の熱伝導性樹脂組成物の製造方法では、更に、R1≧2×R3の関係を満たすことが好ましい。
【0021】
本発明の熱伝導性樹脂組成物の製造方法では、上記第1のアルミナ粒子の平均粒子径が10~30μmであり、上記第2のアルミナ粒子の平均粒子径が1.5~5μmであり、上記第3のアルミナ粒子の平均粒子径が0.1~1μmであることが好ましい。
【0022】
本発明の熱伝導性樹脂組成物の製造方法では、上記少なくとも3種類のアルミナ粒子と上記樹脂とを含む熱伝導性樹脂組成物中における上記少なくとも3種類のアルミナ粒子の充填率が80体積%以上、95体積%以下であることが好ましい。
アルミナ粒子の充填率を80体積%以上とすることにより、熱伝導率を高めるとの効果がより好適に発揮される。
【0023】
本発明の熱伝導性樹脂組成物の製造方法では、上記少なくとも3種類のアルミナ粒子が分散剤で表面処理されたものであることが好ましい。
当該粒子であると、樹脂、特にシリコーン樹脂とのなじみをよくし、熱伝導性樹脂組成物におけるアルミナ粒子の充填率をより効果的に向上することができる。その結果、より高い熱伝導率を有する熱伝導性樹脂組成物を作製することができる。
【0024】
本発明の熱伝導性樹脂組成物の製造方法では、上記混合工程において、上記少なくとも3種類のアルミナ粒子及び上記樹脂に加えて、更に、アルミナ繊維を混合することが好ましい。
アルミナ繊維は一般的にアルミナ粒子よりも長く、効果的な伝熱パスが形成されるため、更にアルミナ繊維を混合すると、より高い熱伝導率を有する熱伝導性樹脂組成物を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の熱伝導性樹脂組成物の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図2図2は、本発明の熱伝導性樹脂組成物の別の実施形態を模式的に示す断面図である。
図3図3は、本発明の熱伝導性樹脂組成物の別の実施形態を模式的に示す断面図である。
図4図4は、放熱構造体の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【0026】
(発明の詳細な説明)
以下、本発明の熱伝導性樹脂組成物及び放熱構造体について詳述する。
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、樹脂と、上記樹脂中に含まれるアルミナ粒子と、からなる熱伝導性樹脂組成物であって、
平均粒子径が互いに異なる少なくとも3種類のアルミナ粒子を含み、かつ、いずれの種類のアルミナ粒子の平均粒子径も30μm以下であり、
上記少なくとも3種類のアルミナ粒子は、第1のアルミナ粒子と、上記第1のアルミナ粒子よりも平均粒子径が小さい第2のアルミナ粒子と、上記第2のアルミナ粒子よりも平均粒子径が小さい第3のアルミナ粒子と、を含み、
上記第1のアルミナ粒子、上記第2のアルミナ粒子及び上記第3のアルミナ粒子の含有割合を体積比でそれぞれR1、R2及びR3とすると、R1≧(R2+R3)の関係を満たすことを特徴とする。
【0027】
図1は、本発明の熱伝導性樹脂組成物の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図1に示す熱伝導性樹脂組成物10は、樹脂20と、樹脂20に含まれる3種類のアルミナ粒子とからなる。
樹脂20のマトリックス中に、3種類のアルミナ粒子として、第1のアルミナ粒子31、第2のアルミナ粒子32、第3のアルミナ粒子33が含まれている。
図1には、第1のアルミナ粒子31と第2のアルミナ粒子32の形状が球状で、第3のアルミナ粒子の形状が不定形である形態を示している。
【0028】
樹脂としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂及びポリエチレン樹脂からなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。
これらの中では、エポキシ樹脂又はシリコーン樹脂であることが好ましい。
エポキシ樹脂又はシリコーン樹脂は絶縁性が高いため熱伝導性樹脂組成物を半導体素子等に接触させて使用する場合に絶縁性を確保することができるため好ましい。
【0029】
第2のアルミナ粒子は、第1のアルミナ粒子よりも平均粒子径が小さく、第3のアルミナ粒子は第2のアルミナ粒子よりも平均粒子径が小さい。
また、いずれの種類のアルミナ粒子の平均粒子径も30μm以下である。
すなわち、熱伝導性樹脂組成物には平均粒子径が30μmを超える種類のアルミナ粒子を含まないことが好ましい。
【0030】
本発明の熱伝導性樹脂組成物では、第1のアルミナ粒子、上記第2のアルミナ粒子及び上記第3のアルミナ粒子の含有割合を体積比でそれぞれR1、R2及びR3とすると、R1≧(R2+R3)の関係を満たす。
平均粒子径の大きい第1のアルミナ粒子の割合が多いので、熱伝導性樹脂組成物におけるアルミナ粒子の占める体積が大きく、熱伝導性が高くなる。そして、第1のアルミナ粒子の粒子間の空間を平均粒子径が中程度である第2のアルミナ粒子が埋める。さらに、第2のアルミナ粒子の粒子間の空間を平均粒子径が小さい第3のアルミナ粒子が埋める。
このように平均粒子径が異なる3種類の粒子を使用することにより、アルミナ粒子の粒子間の空間がより小さいアルミナ粒子により埋められることになり、熱伝導性樹脂組成物におけるアルミナ粒子の充填率が向上する。その結果、高い熱伝導率を有する熱伝導性樹脂組成物とすることができる。
【0031】
熱伝導性樹脂組成物中に平均粒子径の小さいアルミナ粒子を大量に配合してアルミナ粒子の充填率を向上させようとするとアルミナ粒子間の界面が大量に生じて、粒子間の界面の存在による熱伝導率の低下が生じるが、平均粒子径の大きい第1のアルミナ粒子の割合を高くすることにより粒子間の界面を減らすことができるので、高い熱伝導率を有する熱伝導性樹脂組成物とすることができる。
【0032】
また、熱伝導性樹脂組成物中の第1のアルミナ粒子、第2のアルミナ粒子及び第3のアルミナ粒子の含有割合を体積比でそれぞれR1、R2及びR3とすると、R1>R2>R3の関係を満たすことが好ましい。R2とR3を比較したときにR2がR3より大きいと、粒子間の界面を減らすことができるので、熱伝導性樹脂組成物の熱伝導率をより向上させることができる。
【0033】
また、熱伝導性樹脂組成物中の第1のアルミナ粒子及び第3のアルミナ粒子の含有割合を体積比でそれぞれR1及びR3とすると、R1≧2×R3の関係を満たすことが好ましい。R1がR3の2倍より大きいということは、相対的にR3が少ないことを意味しており、R3が少ないと粒子間の界面を減らすことができるので、熱伝導性樹脂組成物の熱伝導率をより向上させることができる。
【0034】
熱伝導性樹脂組成物中の各アルミナ粒子の含有割合は、R1≧(R2+R3)の関係を満たすことを前提として、第1のアルミナ粒子の含有割合(R1)が、全アルミナ粒子中で50~65体積%であることが好ましく、第2のアルミナ粒子の含有割合(R2)が、全アルミナ粒子中で26~30体積%であることが好ましく、第3のアルミナ粒子の含有割合(R3)が、全アルミナ粒子中で5~24体積%であることが好ましい。
【0035】
各アルミナ粒子の好ましい平均粒子径は以下の通りである。
第1のアルミナ粒子の平均粒子径が10~30μmであることが好ましい。
第2のアルミナ粒子の平均粒子径が1.5~5μmであることが好ましい。
第3のアルミナ粒子の平均粒子径が0.1~1μmであることが好ましい。
各アルミナ粒子の平均粒子径が上記範囲になるような関係であると、熱伝導性樹脂組成物の熱伝導率をより向上させることができる。
【0036】
熱伝導性樹脂組成物におけるアルミナ粒子の平均粒子径は、SEM(走査型電子顕微鏡)による観察により測定することができる。測定条件は加速電圧2kV、倍率10000倍程度とすることが好ましい。
【0037】
第1のアルミナ粒子、第2のアルミナ粒子、第3のアルミナ粒子のそれぞれの形状は、特に限定されるものではないが、球状(sphere)、丸み状(roundish)、不定形等の形状を用いることができる。
球状とは、いわゆる真球状とほぼ真球のものを含む概念である。真球度としては0.85以上の粒子を意味する。
丸み状とは、丸みを帯びている形状であり、球状のものほど真球度が高くないものを含む概念である。真球度としては0.85未満の粒子を意味する。
不定形とは、角ばった部位を含んでいてもよく、その短軸と長軸の長さが異なっていてもよい形状である。不定形の粒子は材料であるアルミナの塊の破砕によって得ることができるので破砕状の粒子ともいう。
【0038】
第1のアルミナ粒子の形状は球状又は丸み状であることが好ましい。また、第2のアルミナ粒子の形状は球状又は不定形であることが好ましい。第3のアルミナ粒子の形状は不定形であることが好ましい。
【0039】
アルミナ粒子の真球度は、実体顕微鏡、例えば「モデルSMZ-10型」(ニコン社製)、又は、走査型電子顕微鏡にて撮影した粒子像を画像解析装置、例えば(日本アビオニクス社製など)に取り込み、次のようにして測定することができる。すなわち、写真から粒子の投影面積(A)と周囲長(PM)を測定する。周囲長(PM)に対応する真円の面積を(B)とすると、その粒子の球形度はA/Bとして表示できる。そこで、試料粒子の周囲長(PM)と同一の周囲長をもつ真円を想定すると、PM=2πr、B=πrであるから、B=π×(PM/2π)となり、個々の粒子の球形度は、球形度=A/B=A×4π/(PM)として算出することができる。このようにして得られた任意の粒子200個の球形度を求めその平均値を平均球形度とする。
【0040】
第1のアルミナ粒子、第2のアルミナ粒子及び第3のアルミナ粒子は、そのα-アルミナ化率が90重量%以上であるアルミナ粒子であることが好ましい。
【0041】
本発明の熱伝導性樹脂組成物では、少なくとも3種類のアルミナ粒子の充填率が80体積%以上、95体積%以下であることが好ましい。熱伝導性樹脂組成物におけるアルミナ粒子の充填率は、熱伝導性樹脂組成物に含まれるすべての種類のアルミナ粒子の体積が、熱伝導性樹脂組成物全体の体積に占める割合(百分率)である。
アルミナ粒子の充填率を80体積%以上とすることにより、熱伝導率を高める効果がより好適に発揮される。アルミナ粒子の充填率を95%を超えて大きくすることは、熱伝導性樹脂組成物の形状維持の観点から難しい。
特許文献1に記載されたような、平均粒子径が異なる2成分のアルミナ粒子を使用する場合は、充填率を充分に向上させることが難しい。
【0042】
熱伝導性樹脂組成物に含まれるアルミナ粒子の充填率の算出については、以下のようにすることができる。
樹脂がエポキシ樹脂等の有機成分からなる樹脂の場合には加熱により有機成分を消失させてアルミナ粒子のみを残し、アルミナ粒子の体積と元の熱伝導性樹脂組成物の体積から充填率を求めることができる。
樹脂がシリコーン樹脂等の無機成分を含む樹脂の場合は加熱により樹脂を除去することが難しい。この場合、熱伝導性樹脂組成物の重さと、樹脂の比重、アルミナ粒子の比重からアルミナ粒子の重量割合を求めて、アルミナ粒子の重量割合に基づき熱伝導性樹脂組成物に含まれるアルミナ粒子の体積割合を求めて、充填率を求めることができる。
【0043】
本発明の熱伝導性樹脂組成物では、少なくとも3種類のアルミナ粒子が分散剤で表面処理されたものであることが好ましい。
分散剤としては、シラン化合物が好ましく、メトキシ型、エトキシ型、シラザン、シロキサンなどが好ましい。また、一般的なシランカップリング剤などに使用される化合物でも良い。
アルミナ粒子が分散剤で表面処理されたものであると、樹脂、特にシリコーン樹脂とのなじみをよくし、熱伝導性樹脂組成物におけるアルミナ粒子の充填率をより効果的に向上することができる。その結果、より高い熱伝導率を有する熱伝導性樹脂組成物とすることができる。
分散剤としては特に限定されるものではなく、無機フィラーの表面処理に使用される分散剤を使用することができる。
【0044】
図2は、本発明の熱伝導性樹脂組成物の別の実施形態を模式的に示す断面図である。
図2に示す熱伝導性樹脂組成物11では、アルミナ粒子の形状が異なる。図2には、第1のアルミナ粒子41の形状が丸み状であり、第2のアルミナ粒子42の形状が不定形であり、第3のアルミナ粒子33の形状が不定形である例を示している。
【0045】
図3は、本発明の熱伝導性樹脂組成物の別の実施形態を模式的に示す断面図である。
図3に示す熱伝導性樹脂組成物12は、図1に示す熱伝導性樹脂組成物10と同様の第1のアルミナ粒子31、第2のアルミナ粒子32及び第3のアルミナ粒子33を含むことに加えて、さらにアルミナ繊維51を含んでいる。
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、アルミナ繊維を含むことが好ましい。
アルミナ繊維は一般的にアルミナ粒子よりも長く、効果的な伝熱パスが形成されるため、更にアルミナ繊維を含むと、より高い熱伝導率を有する熱伝導性樹脂組成物とすることができる。
アルミナ繊維を含む場合、アルミナ繊維の平均繊維長は10~50μmであることが好ましく、平均繊維径は2~8μmであることが好ましい。アルミナ繊維は分散剤により表面処理されていてもよく、表面処理されていなくてもよいが、アルミナ繊維が分散剤で表面処理されたものであると、樹脂、特にシリコーン樹脂とのなじみをよくし、熱伝導性樹脂組成物におけるアルミナ粒子の充填率をより効果的に向上することができる。
【0046】
熱伝導性樹脂組成物がアルミナ繊維を含む場合、熱伝導性樹脂組成物中におけるアルミナ繊維の割合は1~20重量%とすることが好ましく、3~20重量%とすることがより好ましい。
【0047】
また、本発明の熱伝導性樹脂組成物は、アルミナ繊維と共に、又は、アルミナ繊維に代えて他の種類の無機繊維を含んでいてもよい。他の種類の無機繊維としては、シリカ-アルミナ繊維、シリカ繊維、ジルコニア繊維、チタニア繊維、生体溶解性繊維等が挙げられる。
【0048】
熱伝導性樹脂組成物の厚みは、50μm以上、10mm以下であることが好ましい。
また、100μm以上であることがより好ましく、5mm以下であることがより好ましい。
また、金属材料に比べると熱伝導性樹脂組成物は熱伝導率が低いので、熱伝導性樹脂組成物の厚さが厚すぎる(例えば10mmを超える)と、熱伝導性樹脂組成物を使用することによる全体の熱伝導性の低下が生じることがある。
熱伝導性樹脂組成物は、シート状に成形された熱伝導シートであってもよく、フィルム状に成形された熱伝導フィルムであってもよい。また、その他の形状に成形又は加工された樹脂材料、流動性を有するペースト状や、粘性が大きいパテ状の樹脂材料等であってもよい。更に、シート状、フィルム状の熱伝導性樹脂組成物の表面には、粘着性やタック性を付与した層が配置されても良い。
【0049】
熱伝導性樹脂組成物は、その熱伝導率が3.5W/m・K以上であることが好ましく、4.0W/m・K以上であることがより好ましく、5.0W/m・K以上であることがさらに好ましい。
熱伝導性樹脂組成物の熱伝導率は、レーザーフラッシュ法により測定することできる。
【0050】
続いて、本発明の放熱構造体について説明する。
本発明の放熱構造体は、熱源と、放熱部材と、上記熱源と上記放熱部材との間に配置された本発明の熱伝導性樹脂組成物と、からなることを特徴とする。
【0051】
図4は、放熱構造体の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図4には、熱源としての半導体素子110と放熱部材としてのヒートシンク200の間に熱伝導性樹脂組成物10が配置された形態の放熱構造体100を示している。
この形態であると、半導体素子110から発生した熱を熱伝導性樹脂組成物10を介してヒートシンク200に熱伝導させることができる。
【0052】
図4には、半導体素子110と熱伝導性樹脂組成物10の間、及び、熱伝導性樹脂組成物10とヒートシンク200の間、のそれぞれに熱伝導グリス115が配置された様子を示している。
熱伝導グリスは半導体素子と熱伝導性樹脂組成物の間の空間、及び、熱伝導性樹脂組成物とヒートシンクの間の空間を埋めて接触性を高めて熱伝導性を向上させるために配置されているが、熱伝導性グリスを使用することは必須ではなく、半導体素子110と熱伝導性樹脂組成物10を直接接触させてもよく、熱伝導性樹脂組成物10とヒートシンク200を直接接触させてもよい。
【0053】
放熱構造体の熱源としては、半導体素子の他に発光素子(LED素子等)、コンデンサ、抵抗素子、電池、モーター等が挙げられる。
また、放熱部材としては、ヒートシンク、放熱ブロック、放熱フィン、熱拡散シート、ヒートパイプ等を使用することができる。
【0054】
続いて、本発明の熱伝導性樹脂組成物の製造方法について説明する。
本発明の熱伝導性樹脂組成物の製造方法は、樹脂と、上記樹脂中に含まれるアルミナ粒子と、からなる熱伝導性樹脂組成物の製造方法であって、平均粒子径が互いに異なり、かつ、いずれの種類のアルミナ粒子の平均粒子径も30μm以下である少なくとも3種類のアルミナ粒子と、樹脂材料とを混合する混合工程を含み、上記少なくとも3種類のアルミナ粒子は、第1のアルミナ粒子と、上記第1のアルミナ粒子よりも平均粒子径が小さい第2のアルミナ粒子と、上記第2のアルミナ粒子よりも平均粒子径が小さい第3のアルミナ粒子と、を含み、上記第1のアルミナ粒子、上記第2のアルミナ粒子及び上記第3のアルミナ粒子の配合割合を体積比でそれぞれR1、R2及びR3とすると、R1≧(R2+R3)の関係を満たすことを特徴とする。
【0055】
上記の本発明の熱伝導性樹脂組成物の製造方法によると、本発明の熱伝導性樹脂組成物を好適に製造することができる。
【0056】
混合工程に先立ち、少なくとも3種類のアルミナ粒子を準備する。第1のアルミナ粒子、第2のアルミナ粒子、第3のアルミナ粒子の詳細については先に説明した通りであり、各アルミナ粒子をその配合割合が体積比でR1≧(R2+R3)の関係を満たすように準備する。
アルミナ粒子として、分散剤で表面処理されたものを準備して使用することも好ましい。
【0057】
混合工程において、少なくとも3種類のアルミナ粒子と樹脂材料を混合して、熱伝導性樹脂組成物を調製する。樹脂材料としては先に説明した樹脂の前駆体を含む前駆体樹脂組成物を使用することができる。前駆体樹脂組成物には、各樹脂の前駆体に加えて、溶剤、硬化剤、可塑剤等の添加剤が添加されていてもよい。
また、必要に応じてアルミナ繊維及び/又は他の無機繊維を混合してもよい。
【0058】
熱伝導性樹脂組成物は、混合工程において混合した、熱伝導性樹脂組成物を成形することによって得られる。
熱伝導性樹脂組成物の形状によって成形方法は任意に設定することができ、プレス成型、ドクターブレード法、押出成形、射出成形、シート成形、フィルム成形等の方法を使用することができる。
また、所定の形状に成形した後に切削、研磨等の機械加工を行って所望の形状にしてもよい。
熱伝導性樹脂組成物を構成する樹脂が熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂といった硬化性の樹脂である場合は、樹脂材料とアルミナ粒子を混合し、成形して得られた樹脂前駆体に対して熱硬化や光硬化の処理を行えばよい。
【0059】
本発明の熱伝導性樹脂組成物の製造方法では、平均粒子径が互いに異なり、かつ、いずれの種類のアルミナ粒子の平均粒子径も30μm以下である少なくとも3種類のアルミナ粒子と、樹脂材料とを混合し、更に、第1~第3の3種類のアルミナ粒子の配合割合(体積%)をR1≧(R2+R3)とすることから、作製された熱伝導性樹脂組成物におけるアルミナ粒子の充填率が向上する。そのため、高い熱伝導率を有する熱伝導性樹脂組成物を作製することができる。
【0060】
[実施例]
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[原料の準備]
表1に示す配合に従い、分散剤をエタノールと混合し、その混合液を原材料アルミナ粉末に撹拌しながら滴下した。その後、乾燥機で100℃10時間で乾燥することで、分散剤で表面処理を施したアルミナ粒子を得た。
表1に示す原材料アルミナ粉末及び分散剤としては以下のものを使用した。
【0061】
原材料アルミナ粉末:
平均粒子径(d50)39μm、丸み状
平均粒子径(d50)18μm、丸み状
平均粒子径(d50)22μm、丸み状
平均粒子径(d50)16μm、球状
平均粒子径(d50)2.0μm、球状
平均粒子径(d50)2.2μm、不定形
平均粒子径(d50)4.0μm、不定形
平均粒子径(d50)0.26μm、不定形
分散剤:シラン系エトキシ型分散剤
【0062】
表1に示したアルミナ粒子1-1、1-2及び1-3は第1のアルミナ粒子、アルミナ粒子2-1、2-2は第2のアルミナ粒子、アルミナ粒子3-1は第3のアルミナ粒子としてそれぞれ使用することを念頭に置いた平均粒子径を有するアルミナ粒子である。
アルミナ粒子4-1はその平均粒子径が30μmを超えているので、熱伝導性樹脂組成物の製造に使用する第1のアルミナ粒子、第2のアルミナ粒子、第3のアルミナ粒子のいずれにも該当しない粒子(表2では「その他のアルミナ粒子」に分類)である。
【0063】
【表1】
【0064】
また、アルミナ繊維(サフィル社製)を1500℃で処理することでα-アルミナ率を80%以上にし、平均繊維長が30μm、平均繊維径が3.5μmとなるようにしたアルミナ繊維を準備した。
【0065】
樹脂としては、付加反応型液状シリコーン樹脂(信越化学工業社製、商品名「KE-109E-A/B」)を準備した。
【0066】
(実施例1~6、比較例1~5)
上記のとおり準備した樹脂と、アルミナ粒子を表2に示す配合(体積%)で加え、自転公転ミキサーであるシンキ―社製「あわとり練太郎」を用いて、回転速度1700rpmで10分混合して、熱伝導性樹脂組成物を製造した。実施例6においてはアルミナ繊維を使用した。
各アルミナ粒子とアルミナ繊維の配合は、アルミナ粒子とアルミナ繊維の合計を10とした割合で示した。樹脂は、下記の条件での熱プレスにより成形が可能であり、かつ、熱伝導性樹脂組成物充填率が最大になるだけの量を配合した。
この熱伝導性樹脂組成物を治具の上に設置し、150℃、5MPaの圧力をかけながら15分間プレスすることで、厚み1mmの熱伝導性樹脂組成物の前駆体を製造した。その後、150℃4時間加熱することで、熱伝導性樹脂組成物を得た。
この熱伝導性樹脂組成物を200mm×200mmに加工して、レーザーフラッシュ法熱定数測定装置(アルバック理工株式会社製TC-1200RH)を用いて熱伝導率を測定した。
上記で得られた熱伝導性樹脂組成物の熱伝導率を測定した結果を表2に示した。
また、熱伝導性樹脂組成物中のアルミナ粒子の充填率を示した。
【0067】
【表2】
【0068】
表2に示す結果から、実施例1~6においては充填率を80体積%以上とすることができ、アルミナ粒子の充填率が高くなっているので、熱伝導率が3.5W/m・K以上と高くなっている。
アルミナ繊維を加えた実施例6ではアルミナ粒子の構成が類似している実施例1と比較して熱伝導率が高くなっている。
【0069】
比較例1、2はアルミナ粒子として1種又は2種のアルミナ粒子しか含まないため、充填率が低く熱伝導率が低くなっている。
比較例3は最も大きいアルミナ粒子の平均粒子径が30μmを超えているため、充填率が低く熱伝導率が低くなっている。
比較例4、5は第1~第3の3種類のアルミナ粒子の含有割合(体積%)がR1≧(R2+R3)の関係を満たしていない。相対的に小さい粒子の割合が大きいので、粒子間の界面の存在による熱伝導率の低下の影響が大きくなり、熱伝導率が低くなっている。
【符号の説明】
【0070】
10、11、12 熱伝導性樹脂組成物
20 樹脂
31、41 第1のアルミナ粒子
32、42 第2のアルミナ粒子
33 第3のアルミナ粒子
51 アルミナ繊維
100 放熱構造体
110 半導体素子
115 熱伝導グリス
200 ヒートシンク
図1
図2
図3
図4