(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】凍結保存用組成物およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
A01N 1/02 20060101AFI20241127BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20241127BHJP
A61K 31/4178 20060101ALI20241127BHJP
A61K 31/7084 20060101ALI20241127BHJP
A61K 31/7076 20060101ALI20241127BHJP
A61K 38/13 20060101ALI20241127BHJP
A61K 38/44 20060101ALI20241127BHJP
A61P 39/02 20060101ALI20241127BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241127BHJP
C12N 1/04 20060101ALI20241127BHJP
C12N 5/07 20100101ALI20241127BHJP
A61K 45/06 20060101ALI20241127BHJP
C12N 9/08 20060101ALN20241127BHJP
【FI】
A01N1/02
A61K31/496
A61K31/4178
A61K31/7084
A61K31/7076
A61K38/13
A61K38/44
A61P39/02
A61P43/00 121
C12N1/04
C12N5/07
A61K45/06
C12N9/08
(21)【出願番号】P 2020555745
(86)(22)【出願日】2018-12-31
(86)【国際出願番号】 US2018068205
(87)【国際公開番号】W WO2019133992
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-12-24
(32)【優先日】2017-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520235771
【氏名又は名称】エバーグリーン バイオサイエンシズ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ディクテンバーグ,ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】イセロヴィッチ,パヴェル
【審査官】奥谷 暢子
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-530881(JP,A)
【文献】特表2003-512371(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
A61K
A61P
C12N
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凍結保存、凍結融解サイクル、または冷却サイクルの間に、1つは複数の細胞、組織、臓器または生物を保存するためのカスパーゼ非依存性凍結保存組成物であって、ネクロトーシス阻害剤化合物およびBaxチャネル阻害剤化合物を含み、
前記ネクロトーシス阻害剤化合物の濃度が、0.2nM~10μMであり、前記Baxチャネル阻害剤化合物の濃度が、0.5nM~50μMであり、
(a)前記ネクロトーシス阻害剤
化合物は、5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン化合物
、5-(インドール-3-イルメチル)-(2-チオ-メチル)ヒダントイン化合物、1-([3S,3aS]-3-[3-フルオロ-4-[トリフルオロメトキシ]フェニル]-8-メトキシ-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[g]インダゾール-2-イル)-2-ヒドロキシエタノン化合物
、およびこれらのいずれかの薬学的に許容される塩からなる群より選択され、且つ
(b)前記Baxチャネル阻害剤化合物は、3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール化合物、
およびその
薬学的に許容される塩からなる群より選択され、
前記組成物が、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、アデノシン三リン酸(ATP)、シクロスポリンA、もしくはスーパーオキシドジスムターゼ、またはこれらの任意の組み合わせをさらに含む、カスパーゼ非依存性凍結保存組成物。
【請求項2】
前記スーパーオキシドジスムターゼが、マンガンスーパーオキシドジスムターゼまたは亜鉛スーパーオキシドジスムターゼを含む、請求項
1に記載のカスパーゼ非依存性凍結保存組成物。
【請求項3】
0.2nM~
10μMの
、5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン化合物、
5-(インドール-3-イルメチル)-(2-チオ-メチル)ヒダントイン化合物、1-([3S,3aS]-3-[3-フルオロ-4-[トリフルオロメトキシ]フェニル]-8-メトキシ-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[g]インダゾール-2-イル)-2-ヒドロキシエタノン化合物からなる群より選択されるネクロトーシス阻害剤化合物、0.5nM~50μMの3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール、5nM~500μMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、10nM~1mMのアデノシン三リン酸(ATP)、1nM~1mMのシクロスポリンA、および0.001KU~100KUのマンガンスーパーオキシドジスムターゼ、または亜鉛スーパーオキシドジスムターゼを含む、請求項1
又は2に記載のカスパーゼ非依存性凍結保存組成物。
【請求項4】
20nM~8μMのネクロトーシス阻害剤化合物であって、、前記ネクロトーシス阻害剤化合物が、5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン、5-(インドール-3-イルメチル)-(2-チオ-メチル)ヒダントイン、又は1-([3S,3aS]-3-[3-フルオロ-4-[トリフルオロメトキシ]フェニル]-8-メトキシ-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[g]インダゾール-2-イル)-2-ヒドロキシエタノンを含むネクロトーシス阻害剤化合物、5nM~20μMの3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、および0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼもしくは亜鉛スーパーオキシドジスムターゼを含む、請求項3に記載のカスパーゼ非依存性凍結保存組成物。
【請求項5】
20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)、5nMの3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、および0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼもしくは亜鉛スーパーオキシドジスムターゼを含む、請求項
3に記載のカスパーゼ非依存性凍結保存組成物。
【請求項6】
凍結保護剤をさらに含む、請求項1~
5のいずれか一項に記載のカスパーゼ非依存性凍結保存組成物。
【請求項7】
前記凍結保護剤が、DMSO、もしくは血清、またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項
6に記載のカスパーゼ非依存性凍結保存組成物。
【請求項8】
薬学的に許容される賦形剤または担体をさらに含む、請求項1~
7のいずれか一項に記載のカスパーゼ非依存性凍結保存組成物。
【請求項9】
凍結保存の方法であって、
(a)複数の細胞を、
0.2nM~10μMのネクロトーシス阻害剤化合物および
0.5nM~50μMのBaxチャネル阻害剤化合物を含むカスパーゼ非依存性凍結保存組成物と接触させるステップと、
(b)ステップ(a)の前記複数の細胞を含む前記組成物を冷却するステップと、を含み、
(i)前記ネクロトーシス阻害剤化合物は、5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン化合物
、5-(インドール-3-イルメチル)-(2-チオ-メチル)ヒダントイン化合物、1-([3S,3aS]-3-[3-フルオロ-4-[トリフルオロメトキシ]フェニル]-8-メトキシ-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[g]インダゾール-2-イル)-2-ヒドロキシエタノン化合物
、およびこれらのいずれかの薬学的に許容される塩からなる群より選択され、
(ii)前記Baxチャネル阻害剤は、3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール化合物、
およびその
薬学的に許容される塩からなる群より選択され、
(iii)
前記組成物が、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、アデノシン三リン酸(ATP)、シクロスポリンA、もしくはスーパーオキシドジスムターゼ、またはこれらの任意の組み合わせをさらに含み、
(iv)前記冷却が凍結融解サイクルを含む、
方法。
【請求項10】
前記カスパーゼ非依存性凍結保存組成物が、0.2nM~10μMの、5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン化合物、5-(インドール-3-イルメチル)-(2-チオ-メチル)ヒダントイン化合物、1-([3S,3aS]-3-[3-フルオロ-4-[トリフルオロメトキシ]フェニル]-8-メトキシ-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[g]インダゾール-2-イル)-2-ヒドロキシエタノン化合物からなる群より選択されるネクロトーシス阻害剤化合物、0.5nM~50μMの3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール、5nM~500μMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、10nM~1mMのアデノシン三リン酸(ATP)、1nM~1mMのシクロスポリンA、および0.001KU~100KUのマンガンスーパーオキシドジスムターゼ、または亜鉛スーパーオキシドジスムターゼを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記カスパーゼ非依存性凍結保存組成物が、20nM~8μMのネクロトーシス阻害剤化合物であって、前記ネクロトーシス阻害剤化合物が、5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン、5-(インドール-3-イルメチル)-(2-チオ-メチル)ヒダントイン、又は1-([3S,3aS]-3-[3-フルオロ-4-[トリフルオロメトキシ]フェニル]-8-メトキシ-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[g]インダゾール-2-イル)-2-ヒドロキシエタノンを含むネクロトーシス阻害剤化合物、5nM~20μMの3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、および0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼもしくは亜鉛スーパーオキシドジスムターゼを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記カスパーゼ非依存性凍結保存組成物が、20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン化合物、5nMの3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、および0.1KUのマンガンスーパーオキシドジスムターゼ、または亜鉛スーパーオキシドジスムターゼを含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項13】
複数の細胞における細胞可塑性、またはネクロトーシスもしくは壊死を処理、防止、阻害、またはその発生を低減する方法であって、前記方法は、前記複数の細胞を、
0.2nM~10μMのネクロトーシス阻害剤化合物および
0.5nM~50μMのBaxチャネル阻害剤化合物を含むカスパーゼ非依存性凍結保存組成物と接触させるステップを含み、
(i)前記ネクロトーシス阻害剤化合物が、5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン化合物
、5-(インドール-3-イルメチル)-(2-チオ-メチル)ヒダントイン化合物、1-([3S,3aS]-3-[3-フルオロ-4-[トリフルオロメトキシ]フェニル]-8-メトキシ-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[g]インダゾール-2-イル)-2-ヒドロキシエタノン化合物
、およびこれらのいずれかの薬学的に許容される塩からなる群より選択され、且つ
(ii)前記Baxチャネル阻害剤が、3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール化合物、
およびその
薬学的に許容される塩からなる群より選択され
、
前記組成物が、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、アデノシン三リン酸(ATP)、シクロスポリンA、もしくはスーパーオキシドジスムターゼ、またはこれらの任意の組み合わせをさらに含む、方法。
【請求項14】
前記カスパーゼ非依存性凍結保存組成物が、0.2nM~
10μMの
、5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン化合物、
5-(インドール-3-イルメチル)-(2-チオ-メチル)ヒダントイン化合物、1-([3S,3aS]-3-[3-フルオロ-4-[トリフルオロメトキシ]フェニル]-8-メトキシ-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[g]インダゾール-2-イル)-2-ヒドロキシエタノン化合物からなる群より選択されるネクロトーシス阻害剤化合物、0.5nM~50μMの3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール
二塩酸塩、5nM~500μMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、10nM~1mMのアデノシン三リン酸(ATP)、1nM~1mMのシクロスポリンA、および0.001KU~100KUのマンガンスーパーオキシドジスムターゼ、または亜鉛スーパーオキシドジスムターゼを含む、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
前記カスパーゼ非依存性凍結保存組成物が、20nM~8μMのネクロトーシス阻害剤化合物であって、前記ネクロトーシス阻害剤化合物が、5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン、5-(インドール-3-イルメチル)-(2-チオ-メチル)ヒダントイン、又は1-([3S,3aS]-3-[3-フルオロ-4-[トリフルオロメトキシ]フェニル]-8-メトキシ-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[g]インダゾール-2-イル)-2-ヒドロキシエタノンを含むネクロトーシス阻害剤化合物、5nM~20μMの3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、および0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼもしくは亜鉛スーパーオキシドジスムターゼを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記カスパーゼ非依存性凍結保存組成物が、20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)、5nMの3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、および0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼもしくは亜鉛スーパーオキシドジスムターゼを含む、請求項
14に記載の方法。
【請求項17】
前記ネクロトーシスまたは壊死が、老化または疾患に関連する、請求項
13~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記疾患が、心筋梗塞、ベータ細胞ネクロトーシスに続発する糖尿病、胆汁うっ滞性肝疾患、脳卒中、臓器虚血、虚血再灌流障害、肝疾患、癌の化学療法もしくは放射線療法による壊死、外傷性脳損傷、壊死性膵炎、病原体誘発ネクロトーシス、炎症、または神経変性疾患である、請求項
17に記載の方法。
【請求項19】
細胞可塑性、またはネクロトーシスもしくは壊死の前記発生を前記処理、防止、阻害、または低減することが、インビトロまたはインビボまたはエクスビボで、細胞可塑性、ネクロトーシス、または壊死の前記発生を処理、防止、阻害、または低減することを含む、請求項
13~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記複数の細胞が、組織培養細胞、初代細胞、卵細胞、組織、または臓器もしくはその一部分、またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項
13~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記組織培養細胞または初代細胞が、幹細胞、成体細胞、分化転換細胞、脱分化細胞、または分化細胞、またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項
20に記載の方法。
【請求項22】
前記複数の細胞がヒト細胞または動物細胞を含む、請求項
13~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記接触させることが、インビボ、エクスビボ、またはインビトロである、請求項
13~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
インビボまたはエクスビボで前記接触させることが、動物もしくはその一部分、臓器もしくはその一部分、または組織の灌流を含む、請求項
23に記載の方法。
【請求項25】
前記灌流が心臓灌流である、請求項
24に記載の方法。
【請求項26】
インビトロで接触させることが、前記複数の細胞を前記組成物に浸漬すること、前記複数の細胞の増殖培地に前記組成物を補充すること、非熱可逆エレクトロポレーションにより前記複数の細胞を前記組成物で灌流すること、またはバイオリアクター内で前記複数の細胞を前記組成物で灌流することを含む、請求項
23に記載の方法。
【請求項27】
前記複数の細胞の物理的、化学的、または熱力学的操作のステップをさらに含む、請求項
13~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記熱力学的操作が、前記複数の細胞を加熱または冷却することを含む、請求項
27に記載の方法。
【請求項29】
前記冷却が、凍結保存または凍結融解サイクル、またはこれらの組み合わせを含む、請求項
28に記載の方法。
【請求項30】
前記方法が、非接触の複数の細胞と比較して、前記凍結保存またはその凍結融解サイクル中の前記複数の細胞の壊死またはネクロプティックな(necroptic)死を防止、阻害、または低減する、請求項
13~16および
20~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記方法が、前記複数の細胞を、前記凍結保存またはその凍結融解サイクル中の物理的損傷から保護する、請求項
13~16および
20~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記方法が、非接触細胞と比較して、凍結保存中の前記複数の細胞の増殖能を増強する、請求項
13~16および
20~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記方法が、凍結保存またはその凍結融解サイクル中の前記複数の細胞への酸化的損傷を防止する、請求項
13~16および
20~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記方法が、凍結保存またはその凍結融解サイクル中の前記細胞の虚血を防止する、請求項
13~16および
20~33いずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記方法が、壊死経路シグナル伝達を阻害する、請求項
13~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記方法が、前記細胞の分化状態の変化を防止、阻害、または低減し、それにより非接触細胞と比較して、前記細胞の同一性を安定化させる、請求項
13~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記方法が前記細胞において代謝停止の状態を誘導する、請求項
13~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記代謝停止が酸素代謝の可逆的休止を含む、請求項
37に記載の方法。
【請求項39】
前記方法が、非接触の複数の細胞と比較して、前記細胞の生存率または潜在的生存率を改善する、請求項
13~38いずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記組成物が、凍結保護剤をさらに含む、請求項
13~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記凍結保護剤が、DMSO、または血清、またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項
40に記載の方法。
【請求項42】
前記組成物が、薬学的に許容される担体または賦形剤をさらに含む、請求項
13~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
過剰な壊死およびネクロトーシス細胞死を防止するのに使用するための組成物であって、凍結保存、凍結融解サイクル、もしくは冷却サイクル、またはそれらの組み合わせの間に、過剰な壊死およびネクロトーシス細胞死を防止するために、壊死またはネクロトーシスを誘導する損傷関連分子パターン(DAMP)のうちの少なくとも1つの阻害剤であって、
0.2nM~10μMのネクロトーシス阻害剤化合物および
0.5nM~50μMのBaxチャネル阻害剤化合物を含むカスパーゼ非依存性凍結保存組成物を含む阻害剤、を含み、
(a)前記ネクロトーシス阻害剤は、5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン化合物
、5-(インドール-3-イルメチル)-(2-チオ-メチル)ヒダントイン化合物、1-([3S,3aS]-3-[3-フルオロ-4-[トリフルオロメトキシ]フェニル]-8-メトキシ-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[g]インダゾール-2-イル)-2-ヒドロキシエタノン化合物
、およびこれらのいずれかの薬学的に許容される塩からなる群より選択され、且つ
(b)前記Baxチャネル阻害剤化合物は、3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール化合物、
およびその
薬学的に許容される塩からなる群より選択され
、
前記組成物が、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、アデノシン三リン酸(ATP)、シクロスポリンA、もしくはスーパーオキシドジスムターゼ、またはこれらの任意の組み合わせをさらに含む、組成物。
【請求項44】
0.2nM~
10μMの
、5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン化合物、
5-(インドール-3-イルメチル)-(2-チオ-メチル)ヒダントイン化合物、1-([3S,3aS]-3-[3-フルオロ-4-[トリフルオロメトキシ]フェニル]-8-メトキシ-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[g]インダゾール-2-イル)-2-ヒドロキシエタノン化合物からなる群より選択されるネクロトーシス阻害剤化合物、0.5nM~50μMの3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール、5nM~500μMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、10nM~1mMのアデノシン三リン酸(ATP)、1nM~1mMのシクロスポリンA、および0.001KU~100KUのマンガンスーパーオキシドジスムターゼ、または亜鉛スーパーオキシドジスムターゼを含む、請求項
43に記載の組成物。
【請求項45】
20nM~8μMのネクロトーシス阻害剤化合物であって、、前記ネクロトーシス阻害剤化合物が、5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン、5-(インドール-3-イルメチル)-(2-チオ-メチル)ヒダントイン、又は1-([3S,3aS]-3-[3-フルオロ-4-[トリフルオロメトキシ]フェニル]-8-メトキシ-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[g]インダゾール-2-イル)-2-ヒドロキシエタノンを含むネクロトーシス阻害剤化合物、5nM~20μMの3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、および0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼもしくは亜鉛スーパーオキシドジスムターゼを含む、請求項44に記載の組成物。
【請求項46】
前記カスパーゼ非依存性凍結保存組成物が、20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)、5nMの3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、および0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼもしくは亜鉛スーパーオキシドジスムターゼを含む、請求項
44に記載の組成物。
【請求項47】
壊死またはネクロトーシスを誘導するDAMPの前記阻害剤が更に、抗体、タンパク質、ペプチド、小分子またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項
43~46のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項48】
前記DAMPが、リポキシゲナーゼ阻害剤、スフィンゴミエリナーゼ阻害剤、ホスホリパーゼ阻害剤、セラミダーゼ阻害剤パターン認識受容体(PRR)リガンド、トール様受容体(TLR)リガンド、レチノイン酸誘導性遺伝子I様受容体(RIG-I-like)受容体(RLR)リガンド、ヌクレオチド結合ドメイン、およびロイシンリッチリピート含有分子(NLR)リガンド、C型レクチン受容体(CLR)リガンド、または死受容体リガンドを含む、請求項
43~47のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項49】
前記リガンドが、高移動度群ボックス1タンパク質(HMGB1)、熱ショックタンパク質(HSP)、リボ核タンパク質(RNP)、メッセンジャーリボ核酸(mRNA)、高移動度グループヌクレオソーム結合ドメイン1(HMGN1)、ヒアルロン酸、バイグリカン、硫酸ヘパリン、U1核小体低分子リボ核タンパク質(snRNP)、ミトコンドリアDNA、または二本鎖RNA(dsRNA)を含む、請求項
48に記載の組成物。
【請求項50】
前記細胞死受容体が、腫瘍壊死因子受容体1(TNFR1)、腫瘍壊死因子受容体2(TNFR2)、CD95/FAS受容体、TNF関連アポトーシス誘導リガンド受容体1(TRAILR1)、およびTRAILR2を含む、請求項
48に記載の組成物。
【請求項51】
前記死受容体リガンドが、脱ユビキチン化酵素、デスドメインを有するFAS関連タンパク質(FADD)、リボフラビンキナーゼ(RFK)、腫瘍壊死因子、TNFR2、FASリガンド(FASLまたはCD95L)、およびTNFR関連デスドメイン(TRADD)を含む、請求項
48に記載の組成物。
【請求項52】
前記脱ユビキチン化酵素が、A20(TNFAIP3)、OTUD7b、シリンドロマトーシス(cylD)およびUSP21を含む、請求項
51に記載の組成物。
【請求項53】
少なくとも一つの薬学的に許容される賦形剤または担体をさらに含み、前記少なくとも一つの薬学的に許容される賦形剤または担体がpH安定剤、糖、アミノ酸、もしくは抗生物質、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項
43~52のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年12月31日に出願された米国仮特許出願第62/612,552号に対する優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
哺乳動物の細胞、組織、および臓器の凍結保存のための組成物およびその方法が、本明細書に記載される。
【背景技術】
【0003】
過剰な細胞死は、生きたドナーから得られた細胞、組織、および臓器、または培養で増殖した細胞の臨床使用に対する主な障壁である。この問題は、細胞を調達してから使用するまでの期間が長く、長期保管中に細胞を安定させる必要がある場合に特に深刻である。概して、ドナー細胞、組織、または臓器の分離プロセスは、酵素的または機械的除去、細胞外タンパク質の酵素的消化、容器間の細胞移動、遠心分離、溶液への再懸濁、および濾過ステップを含むため、それ自体で細胞を損傷する。細胞はまた、増殖チャンバーへの播種中、トリチュレーションと呼ばれるプロセス中に重大な損傷を受ける可能性がある。インビトロでの日常的細胞操作も同様に、細胞損傷の主要な原因である。培養中の細胞は、細胞数のさらなる増幅とその後の成長を可能にするため、DNA導入などの実験的処理を導入するための手順操作を可能にするため、および細胞をそれらの環境から最初に取り出す必要がある下流の日常的測定ために、それらが成長するマトリックスから定期的に分離される。これらの手順は、しばしば多くの細胞の外膜の完全性を破壊し、穿刺や破裂を引き起こす。細胞に対するそのような物理的損傷は、代謝産物をそれらの細胞質から周囲の細胞外空間に漏出させる。生理学的レベルでは、原形質膜の完全性が損なわれると、細胞内での過剰なカルシウム放出、ATP濃度の低下、NAD濃度の低下、壊死やネクロトーシスに至る経路の活性化が生じる。
【0004】
さらに、単離された細胞、組織、および臓器は、除去された組織および臓器内の細胞を、酸素化の欠如、フリーラジカル生成、および虚血の重大な危険にさらす循環の中断により、生理学的損傷を受ける。これらの傷害は急速に組織内の細胞内の壊死およびネクロトーシスを引き起こし、特に動物またはヒト組織に由来する初代細胞では過剰な細胞死を引き起こし、最終的にはその後の臨床使用には不十分な材料を残す。これらの壊死細胞は、それらの内容物を隣接する細胞に漏出させ、それらに外部から死を合図させることも長い間認識されてきた。損傷関連分子パターン(DAMPS)として特徴付けられるこれらの細胞成分の漏出は、免疫原性応答を活性化し、これらの分子自体がパターン認識受容体を活性化して、隣接する細胞に知覚された炎症に対する応答としてネクロトーシスを活性化させ得る。さらに、生き残る細胞は、能力がより少ないコミットしたまたは分化した細胞がより分化能力の高い細胞に戻る過程である、脱分化を経験し得る。
【0005】
生理的損傷は、ストレス時に細胞の代謝を遅くしたり停止したりすることで部分的に防ぐことができる。1つのアプローチは、細胞と組織、および移植用の臓器を、単離から後で使用するまでの間、低体温で保持することである。細胞培養および個々の細胞の場合に利用できる、細胞代謝および結果として生じる酸化的損傷を停止するための別の選択肢は、凍結保存と呼ばれるプロセスである、細胞を氷点下の温度で保存することである。しかし、凍結保存自体と、凍結保存に関連する凍結融解サイクルは、細胞のすぐ近くの氷の結晶形成を介して細胞に損傷を引き起こし、時には細胞内にも、外部の原形質膜と内部のオルガネラの穿刺と破裂を再び引き起こす(凍結融解による損傷と呼ばれる)。単離と凍結保存に関連する細胞損傷の組み合わせは、ある分化状態から別の細胞型への細胞の分化転換、または細胞の脱分化を引き起こし、それにより、その後の単離細胞の使用をさらに複雑にする。
【0006】
現在の方法は、これらの傷害によるその後の細胞の損傷と死に対処しておらず、細胞と組織と臓器に過剰な損傷を与える。さらに、その後の壊死を止めるための解決策は実装されていない。同様に、いくつかの進歩がたとえあったとしても、凍結保存技術の改善につながっており、凍結融解プロセスでどの分子経路が細胞死に正確につながるのかは理解されていない。
【0007】
したがって、細胞が単離の過程で受ける物理的および生理学的損傷に起因する壊死、ネクロトーシスおよび脱分化を回避する、組織、細胞、および臓器を単離および/または保存する方法が継続的に必要である。さらに、細胞が凍結保存の過程で受ける物理的および生理学的損傷に起因する壊死、ネクロトーシスおよび脱分化を回避する、細胞を凍結保存する方法が継続的に必要である。最終的に、組織からの解放中、インビトロでの細胞操作の過程で細胞が被る物理的および生理学的損傷に起因する、細胞可塑性、ネクロトーシス、または壊死を低減させることが継続的に必要である。
【0008】
本明細書に開示される組成物およびその方法は、これらの必要性に取り組み、組成物の使用は、凍結保存中のネクロトーシスまたは壊死の発生を低減させ、複数の細胞における細胞可塑性の発生を処理、防止、阻害、または低減させることができる。
【発明の概要】
【0009】
一態様では、本明細書に開示されるのは、ネクロトーシス阻害剤およびBaxチャネル阻害剤を含む組成物である。別の態様において、ネクロトーシス阻害剤は、5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン化合物またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩を含み、Baxチャネル阻害剤は、3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩化合物、またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩を含む。
【0010】
関連する態様において、ネクロトーシス阻害剤は、3-p-メトキシフェニル-5,6-テトラメチレノチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン-2-メルカプトエチルシアニド化合物、(Z)-5-((3-(4-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-イル)メチレン)-2-イミノ-3-(チアゾール-2-イル)チアゾリジン-4-オン化合物、5-(インドール-3-イルメチル)-(2-チオ-3-メチル)ヒダントイン化合物、1-([[3S,3aS]-3-[3-フルオロ-4-[トリフルオロメトキシ]フェニル]-8-メトキシ-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[g]インダゾール-2-イル)-2-ヒドロキシエタノン化合物、(S)-N-(1-[2-クロロ-6-フルオロフェニル]エチル)-5-シアノ-1-メチル-1H-ピロール-2-カルボキサミド化合物、メチル-チオヒダントイン-トリプトファン化合物、(E)-N-(4-(N-(3-メトキシピラジン-2-イル)スルファモイル)フェニル)-3-(5-ニトロチオフェン-2-イル)アクリルアミド化合物、1-(4-(4-アミノフロ[2,3-d]ピリミジン-5-イル)フェニル)-3-(2-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)尿素化合物、または2,2-ジメチル-1-(5(S)-フェニル-4,5-ジヒドロ-ピラゾール-1-イル)-プロパン-1-オン化合物、または該ネクロトーシス阻害剤化合物の類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩を含む。
【0011】
別の関連する態様では、5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン化合物またはその類似体、誘導体、異性体、もしくはその薬学的に許容される塩の濃度は、約0.2nM~2μMである。別の関連する態様では、該3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩化合物、またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩の濃度は約0.5nM~50μMである。
【0012】
別の態様では、本明細書に開示される組成物は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、アデノシン三リン酸(ATP)、シクロスポリンA、またはスーパーオキシドジスムターゼ、またはこれらの任意の組み合わせをさらに含む。関連する態様では、スーパーオキシドジスムターゼはマンガンスーパーオキシドジスムターゼまたは亜鉛スーパーオキシドジスムターゼを含む。別の関連する態様では、該NADの濃度は約5nM~500μMである。別の関連する態様では、該ATPの濃度は約10nM~1mMである。別の関連する態様では、該シクロスポリンAの濃度は約1nM~1mMである。別の関連する態様では、該スーパーオキシドジスムターゼの濃度は、約0.001~100クニッツ単位(KU)である。
【0013】
別の態様では、本明細書に開示される組成物は、約20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)、約5nMの3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、約0.05mMニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、約0.01μMアデノシン三リン酸(ATP)、約0.01μMシクロスポリンA、および約0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼもしくは亜鉛スーパーオキシドジスムターゼを含む。
【0014】
関連する態様では、本明細書に記載の組成物は、凍結保護剤をさらに含む。別の関連する態様では、凍結保護剤は、DMSO、または血清、またはこれらの任意の組み合わせを含む。
【0015】
関連する態様では、本明細書に記載される組成物は、薬学的に許容される賦形剤または担体をさらに含む。
【0016】
一態様では、本明細書に開示されるのは、凍結保存の方法であり、この方法は、複数の細胞を、ネクロトーシス阻害剤およびBaxチャネル阻害剤を含む組成物と接触させるステップと、ステップ(a)の複数の細胞を含む組成物を冷却するステップと、を含み、ネクロトーシス阻害剤が5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン化合物、またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩を含み、Baxチャネル阻害剤が3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩を含む。
【0017】
一態様では、本明細書に開示されるのは、複数の細胞における細胞可塑性、またはネクロトーシスもしくは壊死の発生を処理、防止、阻害、または低減する方法であり、該方法は、該複数の細胞を、ネクロトーシス阻害剤およびBaxチャネル阻害剤を含む組成物と接触させるステップを含み、ネクロトーシス阻害剤が5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン化合物またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩を含み、およびBaxチャネル阻害剤が3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩を含む。
【0018】
関連する態様では、ネクロトーシスまたは壊死は老化または疾患に関連している。関連する別の態様では、疾患は心筋梗塞、ベータ細胞ネクロトーシスに続発する糖尿病、胆汁うっ滞性肝疾患、脳卒中、臓器虚血、虚血再灌流障害、肝疾患、癌の化学療法または放射線療法による壊死、外傷性脳損傷、壊死性膵炎である、病原体誘発ネクロトーシス、炎症、または神経変性疾患である。
【0019】
関連する態様では、細胞可塑性、またはネクロトーシスもしくは壊死の発生を処理、防止、阻害、または低減することが、細胞可塑性、ネクロトーシス、または壊死の発生をインビトロ、またはインビボで処理、防止、阻害、または低減することを含む。別の関連する態様では、複数の細胞は、組織培養細胞、初代細胞、卵細胞、組織、または臓器もしくはその一部分、またはこれらの任意の組み合わせを含む。別の関連する態様では、組織培養細胞または初代細胞は、幹細胞、成体細胞、分化転換細胞、脱分化細胞、または分化細胞、またはこれらの任意の組み合わせを含む。別の関連する態様では、複数の細胞はヒト細胞または動物細胞を含む。別の関連する態様では、接触させることが、インビボ、エクスビボ、またはインビトロである。別の関連する態様では、インビボまたはエクスビボで接触させることは、動物またはその一部分、臓器またはその一部分、または組織の灌流を含む。別の関連する態様では、灌流は心臓灌流である。別の関連する態様では、インビトロで接触させることは、複数の細胞を組成物に浸漬すること、複数の細胞の増殖培地に組成物を補充すること、非熱可逆的エレクトロポレーションにより複数の細胞を組成物で灌流させること、またはバイオリアクター内で該複数の細胞を該組成物で灌流させることを含む。
【0020】
関連する態様では、本明細書に開示される方法は、該複数の細胞の物理的、化学的、または熱力学的操作のステップをさらに含む。関連する態様では、熱力学的操作は、該複数の細胞を加熱または冷却することを含む。関連する態様では、冷却は、凍結保存またはその凍結融解サイクル、またはこれらの組み合わせを含む。
【0021】
関連する態様では、本明細書に開示される方法は、非接触の複数の細胞と比較して、該凍結保存またはその凍結融解サイクル中の該複数の細胞の壊死またはネクロプティックな(necroptic)死を防止、阻害または低減する。
【0022】
関連する態様では、本明細書に開示される方法は、該複数の細胞を、該凍結保存またはその凍結融解サイクル中の物理的損傷から保護する。別の関連する態様では、方法は、非接触細胞と比較して、凍結保存中の該複数の細胞の増殖能力を増強する。別の関連する態様では、本方法は、凍結保存またはその凍結融解サイクル中の該複数の細胞への酸化的損傷を防止する。別の関連する態様では、方法は、凍結保存またはその凍結融解サイクルの中の該細胞の虚血を防止する。別の関連する態様では、方法は壊死経路シグナル伝達を阻害する。別の関連する態様では、方法は、該細胞の分化状態の変化を防止、阻害、または低減し、それにより、非接触細胞と比較して該細胞の同一性を安定化させる。別の関連する態様では、方法は、該細胞において代謝停止の状態を誘導する。別の関連する態様では、代謝停止は、酸素代謝の可逆的休止を含む。別の関連する態様では、方法は、非接触の複数の細胞と比較して、該細胞の生存率または潜在的生存率を改善する。
【0023】
別の態様では、本明細書に開示される方法において、ネクロトーシス阻害剤化合物は、3-p-メトキシフェニル-5,6-テトラメチレノチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン-2-メルカプトエチルシアニド化合物、(Z)-5-((3-(4-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-イル)メチレン)-2-イミノ-3-(チアゾール-2-イル)チアゾリジン-4-オン、5-(インドール-3-イルメチル)-(2-チオ-3-メチル)ヒダントイン、メチル-チオヒダントイン-トリプトファン化合物、1-([3S,3aS]-3-[3-フルオロ-4-[トリフルオロメトキシ]フェニル]-8-メトキシ-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[g]インダゾール-2-イル)-2-ヒドロキシエタノン、(S)-N-(1-[2-クロロ-6-フルオロフェニル]エチル)-5-シアノ-1-メチル-1H-ピロール-2-カルボキサミド、(E)-N-(4-(N-(3-メトキシピラジン-2-イル)スルファモイル)フェニル)-3-(5-ニトロチオフェン-2-イル)アクリルアミド、1-(4-(4-アミノフロ[2,3-d]ピリミジン-5-イル)フェニル)-3-(2-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)尿素、または2,2-ジメチル-1-(5(S)-フェニル-4,5-ジヒドロ-ピラゾール-1-イル)-プロパン-1-オン、または該ネクロトーシス阻害剤化合物のうちのいずれか1つの誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩を含む。
【0024】
関連する態様では、本明細書に開示される方法において、5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン化合物またはその類似体、誘導体、異性体、もしくはその薬学的に許容される塩の濃度は約0.2nM~2μMであり、3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩化合物、またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩の濃度は、約0.5nM~50μMである。
【0025】
別の関連する態様では、本明細書に開示される方法において、組成物は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、アデノシン三リン酸(ATP)、シクロスポリンA、マンガン-スーパーオキシドジスムターゼ、または亜鉛-スーパーオキシドジスムターゼ、またはこれらの任意の組み合わせをさらに含む。別の関連する態様では、本明細書に開示される方法において、該NADの濃度は約5nM~500μMであり、該ATPの濃度は約10nM~1mMであり、該シクロスポリンAの濃度は約1nM~1mMであり、該マンガンスーパーオキシドジスムターゼまたは該亜鉛スーパーオキシドの濃度は約0.001KU~100.0KUである。
【0026】
別の関連する態様では、本明細書に開示される方法において、ネクロトーシス阻害剤5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン化合物またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩の濃度は約20nMであり、Baxチャネル阻害剤3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩化合物またはその類似体の濃度、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩の濃度は約5nM、該NADの濃度は約0.05nM、該ATPの濃度は約0.01μM、該シクロスポリンAの濃度は約0.01μM、および該マンガンスーパーオキシドジスムターゼまたは亜鉛スーパーオキシドの濃度は約0.1KUである。
【0027】
関連する態様では、本明細書に開示される方法において、組成物はさらに凍結保護剤を含む。別の関連する態様では、凍結保護剤は、DMSO、または血清、またはこれらの任意の組み合わせを含む。
【0028】
関連する態様では、本明細書に開示される方法において、組成物は、薬学的に許容される担体または賦形剤をさらに含む。
【0029】
以下の図面は本明細書の一部を形成し、本開示の特定の実施形態をさらに実証するために含まれ、明細書に開示される方法は、本明細書に提示される特定の実施形態の詳細な説明と組み合わせてこれらの図面の1つ以上を参照することによってよりよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1a】
図1A~1C。組織の切開と細胞操作により、いくつかの細胞型で活性酸素種(ROS)(Nox1の検出)、アポトーシス(CASP3の検出)、壊死(PIおよび/またはアネキシンVによる染色の検出)が生じる。
図1Aは、マウス皮質ニューロン組織の切開と細胞操作によるROS(Nox1の検出)を示す。切開によってROS(モック)がほとんど生成されなかったのに対し、切開直後の組織(フレッシュ)ではROS生成が数倍増加したが、凍結保存溶液(溶液)を含めるとROSレベルが減少した。
【
図1b】
図1Bは、非操作組織(モック)と比較して、切開後(フレッシュ)にアポトーシスが強化されたことを示しているが、ROS生成(
図1A)または壊死(
図1C)よりは少ないものの、凍結保存溶液を包含させる(+溶液)とこれを減少させてベースラインレベルに戻した。
【
図1c】
図1Cは、組織操作なし(モック)と比較して、組織切開および細胞操作後(フレッシュ)、壊死が強化され、この影響は、凍結保存溶液を包含させる(+溶液)ことでほぼ完全に取り除かれたことを示す。(
図1A~1Cの場合、溶液:20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)、5nMの3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、および0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼ。)
【
図2a】
図2A~2C。細胞の凍結/融解により、ROS、アポトーシス、壊死マーカーが時間の経過とともに多くの細胞型で有意に増加する。
図2Aは、凍結する前の組織(モック)と比較してニューロンの凍結/融解によりROS(Nox1の検出)を生成したこと(凍結)、この効果は、凍結保存溶液を含めることで(+溶液)ほぼ完全に消失されたことを示す。
【
図2b】
図2Bは、アポトーシスが、凍結前の組織(モック)と比較して、凍結/融解(凍結)後にわずかに強化され、この影響は、凍結プロセス中に凍結保存溶液を包含させること(+溶液)で減少したことを示す。
【
図2c】
図2Cは、壊死が、凍結前の組織(モック)と比較して、細胞の凍結/融解(凍結)後に大幅に強化され、この影響は、凍結保存溶液を包含させること(+溶液)でほぼ解消されたことを示す。(
図2A~2Cの場合溶液:20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)、5nMの3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、および0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼ。)CypD-シクロフィリンD
【
図3】運動ニューロンのCHAT1のレベルで判断すると、細胞の凍結/融解サイクルにより幹細胞の同一性が失われる。CHAT1のレベルで判断すると、細胞を凍結するために使用される溶液中の凍結保護剤は、運動ニューロンの同一性を維持していた。
図3は、培養して、CHAT1を発現させ(フレッシュ)、次に0.01μMのcyspA(シクロスポリンA)、または20nMのNec1、または5nMのiMAC2を含む溶液中で冷凍した幹細胞(運動ニューロン前駆細胞)が、これらの化合物の存在なしに冷凍して凍結後に非常に低いレベルのCHAT1+細胞を示す幹細胞(冷凍)と比較して、CHAT1レベルを維持したことを示す。ここに示すように、cyspA、Nec1、およびIMAC2は各々、凍結時に幹細胞に凍結保護を提供し、細胞の特性を維持した。
【
図4a】
図4A~4B。凍結保存溶液の一実施形態において、フレッシュな細胞対冷凍細胞の生存率を、切開された細胞(海馬ニューロン)の維持によって分析した。
図4Aは、本明細書で開示される凍結保存溶液が、それ自体で、切開直後の細胞ならびに凍結保存溶液の実施形態中で冷凍され、次いで融解された細胞の生存率を増加させることができたことを示す。(溶液:20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)、5nMの3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、および0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼ。)
図4Aおよび図全体の符号:「フレッシュ」は切開直後の細胞を表し、「フレッシュ+溶液」は、組成物溶液中の切開直後の細胞を表し、「凍結」は冷凍/融解細胞を表し、「凍結+溶液」は、組成物溶液中の冷凍/融解細胞を表す。
【
図4b】
図4Bは、細胞(海馬ニューロン)の代謝停止は、細胞の生存率を高め、凍結保存溶液の様々な成分によって提供される生存率のパーセントが示されることを示す。ニューロンの細胞生存率はインビトロで7日後の測定であった。ビヒクルには凍結保存溶液を添加しないが、ネクロスタチン1(Nec1)、シクロスポリンA(CspA)、iMAC2(iMAC2)、またはこれら3つの試薬の組み合わせ(組み合わせ)を、凍結/融解プロセスの前に細胞に導入した。一実施形態(組み合わせ+灌流)では、3試薬の凍結保存溶液を、生きている妊娠中のマウスに、子が雌親から分離される直前に短時間灌流し、次に海馬ニューロンをE18(胎生期18日目)の子から分離した。様々な成分の濃度は、
図4Aで使用されている濃度である。
【
図5】本明細書で使用する凍結プロセスは、細胞を損傷する過冷却効果を回避する。
図5は、従来の媒体に対する、本明細書に開示される凍結保存溶液のいずれかの実施形態(EVERGREEN(商標)媒体溶液:20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)、5nMの3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼ、EVERLAST(商標)としても知られる)中での凍結中の経時的な温度変化についての比較を示す。従来の媒体で発生する温度で初期の下降スパイクがないことが注目される。
【
図6a】
図6A~6D。生存率と増殖率:フレッシュ細胞対冷凍細胞生存率の時間経過:ニューロンと脂肪(脂肪組織)幹細胞。
図6Aは、本明細書に開示される凍結保存溶液の実施形態で切開直後の細胞が本明細書に開示される凍結保存溶液懸濁された場合(フレッシュ+溶液)、または本明細書に開示される凍結保存溶液の実施形態中で切開され、その後冷凍された場合(凍結+溶液)、皮質ニューロン細胞の生存率は維持されたことを示す。
【
図6b】
図6Bは、これらの凍結および非凍結条件に曝された細胞をプレーティングした後の時間(日)にわたるニューロン生存率の時間経過を示している。凍結保存溶液の含有のものを、凍結前に10%DMSOに曝露した同じ細胞(凍結)または凍結保護剤なしの切開直後の細胞(フレッシュ)と比較した。
【
図6c】
図6Cは、本明細書に開示される凍結保存溶液の実施形態で切開直後の細胞が懸濁された場合(フレッシュ+溶液)、または本明細書に開示される凍結保存溶液の実施形態中で切開され、その後冷凍された場合(凍結+溶液)、脂肪(脂肪組織由来)幹細胞の生存率は維持されたことを示す。
【
図6d】
図6Dは、これらの凍結および非凍結条件に曝された細胞をプレーティングした後の時間(日)にわたる脂肪幹細胞生存率の時間経過を示している。凍結保存溶液の含有のものを、凍結前に10%DMSOに曝露した同じ細胞(凍結)または凍結保護剤なしの切開直後の細胞(フレッシュ)と比較した。(
図6A~6Dの場合、溶液:20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)、5nMの3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、および0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼ。)
【
図7a】
図7A~7B。凍結保存液を用いる切開および凍結/融解後のアポトーシス。
図7Aは、本明細書で開示される凍結保存溶液の実施形態で懸濁されたフレッシュおよび冷凍細胞からの初期アポトーシス細胞(初代肝臓肝細胞)に対する凍結保護剤の効果の比較を、そのような溶液の不在下で懸濁された細胞(モック)と比較して示す。凍結保存溶液で処理されなかった凍結した細胞(モック)は、凍結前に10%DMSOに懸濁した。カスパーゼ3(緑)は、培養中の初期アポトーシス状態の細胞を標識化する。
【
図7b】
図7Bは、本明細書に開示される凍結保存溶液の実施形態に懸濁されたフレッシュなまたは凍結および融解された細胞における、またはそのような溶液の不在下(モック)における、アネキシンV標識によって定義されるアポトーシス細胞の数を示す。(
図7A~7Bの場合、溶液:20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)、5nMの3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、および0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼ。)
【
図8a】
図8A~8B。本明細書に開示される凍結保存溶液の実施形態で懸濁された皮質ニューロン細胞の切開および凍結/融解後の壊死。
図8Aは、本明細書で開示される凍結保存溶液の実施形態で懸濁されたフレッシュおよび冷凍細胞の溶液からの壊死細胞の存在の比較を、そのような溶液の不在下で懸濁された細胞と比較して示す。抗シクロフィリン抗体は、培養の初期アポトーシス状態の細胞を標識化する。
【
図8b】
図8Bは、凍結保存溶液の実施形態中でまたはそのような溶液の不在で行われた切開後の壊死細胞の割合を示す。(
図8A~8Bの場合、溶液:20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)、5nMの3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、および0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼ。)
【
図9a】
図9A~9B。皮質ニューロン組織の切開および凍結/融解後の活性酸素種(ROS)(マーカーとしてNox1)の生成。
図9Aは、フレッシュな(生理食塩水のみ中で切開され、凍結していない)ニューロン、凍結保存液で切開されたフレッシュなニューロン(フレッシュ+溶液)、本明細書で開示される凍結保存液の実施形態に懸濁中に凍結され、その後融解された(凍結+溶液)ニューロン、または従来の凍結保護剤(10%DMSO、ジメチルスルホキシド)の存在下で同様に処理したニューロン(凍結)におけるNox1染色を示す。フレッシュなまたは融解したニューロンをプレーティングし、接着後固定し、4時間標識化させた。NADPHオキシダーゼ(Nox1)は、細胞内のROSを標識化する。皮質ニューロン(グリアではない)のNeuN染色。
【
図9b】
図9Bは、切開直後の皮質ニューロン組織のみ(フレッシュ、青色バー)、本明細書に開示される凍結保存溶液の実施形態の懸濁液中で切開されたフレッシュな皮質ニューロン組織(フレッシュ+溶液、赤色バー)、本明細書に開示される凍結保存溶液の実施形態中に懸濁して冷凍細胞(凍結+溶液、黄色バー)で次いで融解されたもの、または10%DMSOの存在下で凍結し、次いで融解した細胞(緑色バー)、におけるROS生成(Nox1強度)を示す。(
図9A~9Bの場合、溶液:20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)、5nMの3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、および0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼ。)
【
図10a】
図10A~10B。運動ニューロンマーカーの神経細胞系は、従来の凍結保護剤(10%DMSO)を使用する場合よりも、組成物溶液と比較して大幅に保存される。
図10Aは、本明細書に開示される凍結保存溶液の存在下または不在下(10%DMSOのみ)での、凍結前または後のニューロンの顕微鏡写真を示す。
【
図10b】
図10Bは、従来の凍結保存溶液(10%DMSO)および本明細書に開示される凍結保存溶液の実施形態(「凍結後組成物」)での凍結前後の細胞における運動ニューロン細胞の同一性(CHAT1陽性、S100陽性免疫蛍光シグナルの存在によって測定)。(
図10A~10Bの場合、溶液:20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)、5nMの3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、および0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼ。)
【
図11a】
図11A~11B。初代マウス肝細胞(肝細胞)は、切開直後の組織と比較して、組成物溶液の存在下での凍結/融解後に同様の生理学的特性を示す。
図11Aは、本明細書に開示される凍結保存溶液の存在下または不在下(フレッシュ、凍結していない)でインキュベートされた、フレッシュな肝臓細胞と凍結された肝臓細胞(青色染色)であって、および固定前に短時間ガラクトサミンで刺激されず(-ガラクトサミン)またはガラクトサミンで刺激され、ガラクトサミン誘発転写の一般的な尺度としての、抗体結合ウリジン(赤色染色)で染色しているものの比較を示す。
【
図11b】
図11Bは、本明細書に開示される凍結保存溶液の実施形態に懸濁されたフレッシュな細胞および冷凍細胞における肝細胞転写活性の比較を示し、細胞が本明細書に開示される凍結保存溶液の存在下で維持される場合、肝細胞活性は、凍結/融解後も同様である。バーは、抗体結合ウリジン染色の尺度である(任意単位)。(
図11A~11Bの場合、溶液:20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)、5nMの3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、および0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼ。)
【
図12】ネクロスタチンのいくつかの類似体は、凍結/融解後の凍結保護効果において同様に機能する。
図12は、様々なネクロスタチンを含む凍結保存溶液の効果を示している。ネクロスタチン(Nec1(赤色バー)、Nec2(黄色バー)、Nec3(緑色バー)の存在は、従来の凍結保護剤(10%DMSO)で凍結保存された対照細胞(ビヒクル、青色バー)と比較して、初代マウス皮質ニューロン細胞の生存率を有意に高めた。様々なネクロスタチンの濃度は20nMであり、「溶液」の他の成分は同じままであり、すなわち、5nMの3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、および0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼである。
【
図13a】
図13A~13B。組成物溶液により壊死経路が停止される。
図13Aは、従来の凍結保存溶液(10%DMSO)および本明細書に開示される凍結保存溶液の実施形態(「組成物凍結」)における凍結前後の初代マウス肝細胞(肝細胞)の画像を示す。ここの細胞は、ネクロトーシスのマーカーとしてHMBG1(緑色)を認識する抗体で染色している。
【
図13b】
図13Bは、10%DMSO(「DMSO凍結」)と比較して、本明細書に開示される凍結保存溶液の実施形態の細胞懸濁液においてネクロトーシスマーカーが有意に阻害されたことを示す。(ここで使用した凍結保存溶液は、20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)、5nMの3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、および0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼである。)
【
図14】ネクロトーシス誘発THP-1細胞におけるTNF-α産生は、凍結保存溶液、EVERGREEN(商標)媒体溶液(EVERGREEN(商標)媒体溶液:20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)、5nMの3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、および0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼ;EVERLAST(商標)としても知られる)により有意に減少した。THP-1細胞を培養し、リポ多糖(LPS)と組み合わせた壊死性細胞ライセートにより誘発して炎症誘発性サイトカインを産生させた後のTNF-αのELISAアッセイの結果。モック刺激(1-3)後の、LPS刺激のみ(4-6)後の、凍結保存プロトコルで使用されるEVERGREEN(商標)媒体溶液の10%活性レベルの存在下でのLPS刺激(7-9)後の、凍結保存プロトコルで使用されるEVERGREEN(商標)媒体溶液の100%活性レベルの存在下でのLPS刺激(10-12)後の、TNF-αレベル(pg/mL)。(*)モック(1-3)とLPS単独(4-6)間、およびLPS単独(4-6)とLPS+10%EVERGREEN(商標)媒体溶液(7-9)間の有意差(p<0.01)。(**)LPS単独(4-6)とLPS+100%EVERGREEN(商標)媒体溶液(10-12)の間の有意差(p<0.001)。
【
図15】ネクロトーシス誘発THP-1細胞におけるIL-6産生は、凍結保存溶液(EVERGREEN(商標)媒体溶液:20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)、5nMの3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、および0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼ;EVERLAST(商標)としても知られる)により有意に減少した。THP-1細胞を培養し、リポ多糖(LPS)と組み合わせた壊死性細胞ライセートにより誘発して炎症誘発性サイトカインを産生させた後の、IL-6のELISAアッセイの結果。IL-6レベル(pg/mL)は、(1-3)モック刺激後、(4-6)LPS刺激のみ後、(7-9)凍結保存プロトコルで使用されるEVERGREEN(商標)媒体溶液の10%活性レベルの存在下でのLPS刺激後、(10-12)凍結保存プロトコルで使用されるEVERGREEN(商標)媒体溶液の100%活性レベルの存在下でのLPS刺激後、測定された。(*)モック(1-3)とLPS単独(4-6)間、およびLPS単独(4-6)とLPS+10%EVERGREEN(商標)媒体溶液(7-9)間の有意差(p<0.01)。(**)LPS単独(4-6)とLPS+100%EVERGREEN(商標)媒体溶液(10-12)の間の有意差(p<0.001)。
【
図16】凍結保存溶液(EVERGREEN(商標)媒体溶液:20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)、5nMの3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、および0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼ;EVERLAST(商標)としても知られる)は、サイトカイン放出測定において有意な一貫性をもたらした。変動率は、各(3回)実験(n=3)のパーセント誤差を平均し、各群(10%EVERGREEN(商標)、100%EVERGREEN(商標)で刺激された)の変動率を、モック(対照)刺激群の変動性に対する比率として表すことで計算された。これにより、EVERGREEN(商標)媒体溶液を使用しない場合(10%と100%の両方のレベルで)変動性が約100%増加する。
【
図17】凍結保存溶液(EVERGREEN(商標)媒体溶液:20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)、5nMの3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、および0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼ;EVERLAST(商標)としても知られる)は、DMSOと比較して、有意に一貫した凍結/融解後のニューロン生存率を付与した。EVERGREEN(商標)媒体溶液を使用して、ジメチルスルホキシド(DMSO)と比較して、マウスの初代海馬ニューロンを凍結し、融解後の生存率を測定してプロットした。5つの独立した実験を測定した。
【
図18】凍結保存溶液EVERGREEN(商標)媒体溶液:20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)、5nMの3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、および0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼ;EVERLAST(商標)としても知られる)は、凍結/融解後の神経細胞の生存率に有意な一貫性をもたらした。変動率は、各実験の平均値(n=5)を計算し、各群の個々の測定値を、個々の値の平均値に対する比率として表すことによって計算した。これから、パーセント偏差が計算され、平均に対する比率として表された。これにより、EVERGREEN(商標)媒体溶液を使用しない場合、変動性が約300%増加する。
【
図19A】
図19A~19H。海馬ニューロンは、凍結保存溶液(EVERGREEN(商標)媒体溶液:20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)、5nMの3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、および0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼ;EVERLAST(商標)としても知られる)を使用すると、凍結/融解の前(解剖直後)と後で区別ができない生理学的特性を示す。胎生17~19日間のニューロンのパッチクランプは、自発的および誘発されたニューロン活動の両方からの電流および電圧プロファイルを示す。
図19Aは、切開直後のマウス脳からの海馬ニューロンを示し、全細胞電流クランプ(静止膜電位で)の記録が培養におけるネットワーク活動を示していることを示す。縦棒は20ミリボルト(mV)の大きさを表し、横棒は2秒(秒)の記録を表する。
【
図19B】
図19Bは、EVERGREEN(商標)媒体溶液を使用する凍結/融解後の切開直後のマウス脳からの海馬ニューロンを示し、全細胞電流クランプ(静止膜電位で)の記録が培養におけるネットワーク活動を示す。縦棒は20ミリボルト(mV)の大きさを表し、横棒は2秒(秒)の記録を表する。
【
図19C】
図19Cは、活動電位放電の平均頻度を示す電流クランプデータの5分の記録間隔にわたる累積度数を示す。値は、少なくとも4つの独立した実験の平均+SE(標準誤差)であり、EVERGREEN(商標)媒体溶液を使用する凍結/融解の前または後のどちらでも統計的に有意差(p>0.7、スチューデントのt検定)はない。
【
図19D】
図19Dは、切開直後のマウス脳からの海馬ニューロンを示し、全細胞電圧クランプ(約60mVで)の記録が培養におけるネットワーク活動を示す。縦棒は200ピコアンペア(pA)の大きさを表し、横棒は2秒(秒)の記録を表する。
【
図19E】
図19Eは、EVERGREEN(商標)媒体溶液を使用する凍結/融解後の切開直後のマウスの脳からの海馬ニューロンを示し、全細胞電圧クランプ(約60mVで)の記録が培養におけるネットワーク活動を示す。縦棒は200ピコアンペア(pA)の大きさを表し、横棒は2秒(秒)の記録を表する。
【
図19F】
図19Fは、活動電位放電の平均頻度を示す電圧クランプデータの5分の記録間隔にわたる累積度数を示す。値は、少なくとも4つの独立した実験の平均+SE(標準誤差)であり、EVERGREEN(商標)媒体溶液を使用する凍結/融解の前または後のどちらでも、統計的に有意差(p>0.8)はない。
【
図19G】
図19Gは、EVERGREEN(商標)媒体溶液を使用する凍結/融解の前(左のトレース、切開直後の)と後(右のトレース)の両方での隣接する2つの結合した海馬ニューロンからの、静止電位での電流クランプモードで示される誘発シナプス前活動電位(下のトレース)と、シナプス後興奮性シナプス応答(上のトレース)(下のシナプス前ニューロンからの軸索の終わりに黒い丸として概略図の左側に示されている)を示す。ここでは、興奮性シナプス後電流(EPSC)は、処理間で統計的に異ならない(実測値、71+/-23pA前、対76+/-28pA後)。n=19~22のニューロンからの代表的なトレース、各処理について少なくとも3つの独立した実験(p>0.7、スチューデントのt検定)。縦棒は、電流クランプされたニューロン(シナプス前、下のトレース)の20ピコアンペア(pA)の大きさと興奮性シナプス応答(シナプス後、上のトレース)の20ミリボルト(mV)を表し、水平バーは、20ミリ秒(ms)の記録を表す。
【
図19H】
図19Hは、EVERGREEN(商標)媒体溶液を使用する凍結/融解の前(黒丸)と後(白丸)の両方の19個の海馬ニューロン(パートGで測定)のシナプス後応答に対するシナプス前(前/後)の誘発活動電位の振幅比を示す。EVERGREEN(商標)媒体溶液を使用する凍結/融解前後のニューロンの平均比率は統計的に異ならない(p>0.7、スチューデントのt検定)(凍結/融解前の平均値71+/-23pA対、凍結/融解後の平均値76+/-28pA)。X値は、各処理のニューロン数に対応する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下の詳細な説明において、本明細書に提示される組成物および方法の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細が記載される。他の例では、本明細書に開示される、組成物および方法、ならびに結果として生じる壊死およびネクロトーシスの阻害、虚血および酸化損傷の抑制、細胞生存率の改善、細胞の増殖可能性、および細胞同一性の安定化を不明瞭にしないために、周知の方法、手順、および成分は詳細には記載されていない。
【0032】
一実施形態において、本明細書に開示されるのは、ネクロトーシス阻害剤およびBaxチャネル阻害剤を含む、哺乳動物細胞、組織、臓器およびそれらの部分の凍結保存のための組成物である。別の実施形態において、本明細書に開示されるのは、(a)該細胞、組織、または臓器またはその部分を、ネクロトーシス阻害剤およびBaxチャネル阻害剤を含む組成物と接触させるステップと、(b)該細胞、組織、または臓器またはそれらの部分を含む組成物を冷却するステップと、を含む、哺乳動物細胞、組織および臓器の凍結保存方法である。さらなる実施形態において、本明細書に開示されるのは、組織からの解放の間、ならびに組織の凍結保存および凍結融解サイクルの間に、インビトロでの細胞操作の過程で生じる細胞の物理的および生理学的損傷から生じる細胞壊死を抑制、防止または回避する方法である。
【0033】
組成物
一実施形態において、本明細書に開示されるのは、ネクロトーシス阻害剤およびBaxチャネル阻害剤を含む組成物である。当業者は、ネクロトーシスが能動的壊死(生きている細胞または組織の死)のあらゆる形態を含み得ることを理解するであろう。いくつかの実施形態では、壊死は、細胞膜およびオルガネラ破壊、細胞膨潤およびミトコンドリア障害を含み、その後に細胞溶解が続き、炎症反応が伴う。いくつかの実施形態では、ネクロトーシスは、特に組織からの炎症シグナルおよびストレスに対する応答を含む。いくつかの実施形態では、ネクロトーシスは、調節された壊死を含む。
【0034】
一実施形態では、ネクロトーシスは、能動型またはプログラム型の壊死(細胞死)を含む。別の実施形態では、ネクロトーシスは、受容体共役タンパク質キナーゼ-1(RIPK1)に依存する壊死性細胞死を含む。別の実施形態では、ネクロトーシスは、受容体共役タンパク質キナーゼ-3(RIPK3)に依存する壊死性細胞死を含む。別の実施形態では、ネクロトーシスは、壊死に似た形態学的特徴をもたらす調節されたカスパーゼ非依存性細胞死メカニズムを含む。いくつかの実施形態では、TNF受容体の活性化は、RIPK1の活性化、およびその後のネクロソームを形成するRIPK3の動員をもたらす。別の実施形態では、ネクロトーシスは非アポトーシス細胞死経路を含む。
【0035】
一実施形態では、ネクロトーシス阻害剤は、あらゆる形態の能動的壊死を阻害する化合物を含む。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤は、あらゆる形態の壊死を阻害する化合物を含む。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤は、あらゆる形態のネクロトーシスを阻害する化合物を含む。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤は、受容体共役タンパク質キナーゼ-1(RIPK1)に依存する壊死性細胞死の阻害剤を含む。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤は、受容体共役タンパク質キナーゼ-3(RIPK3)に依存する壊死性細胞死の阻害剤を含む。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤は、壊死に似た形態学的特徴をもたらす、調節されたカスパーゼ非依存性細胞死メカニズムの阻害剤を含む。
【0036】
理論に縛られることを望まないが、受容体共役タンパク質キナーゼ(RIPK)の活性が、細胞がネクロトーシスを受けるのに重要であることが示されている。さらに、RIPキナーゼの活性は、細胞からのTNFαなどの炎症性メディエーターの放出を促進することも知られており、炎症を誘発し、さらにネクロトーシスを促進する可能性がある。一実施形態では、ネクロトーシス阻害剤は、RIPK阻害剤を含む。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤は、RIP1阻害剤を含む。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤は、RIP3阻害剤を含む。
【0037】
一実施形態では、ネクロトーシス阻害剤は、5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン(ネクロスタチン-1s)化合物、またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩を含む。別の実施形態では、ネクロスタチン-1sの構造は、式1で表される:
【化1】
【0038】
本明細書で使用する場合、「5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン」、「5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチルイミダゾリジン-2,4-ジオン」、「7-Cl-O-MH-Trp」、「ネクロスタチン-1s」、「Nec-1s」、「Nec-1安定」、「RIPK1阻害剤II」、「受容体共役タンパク質1阻害剤II」、「ネクローシス阻害剤IV」、および「7N-1」は、すべて同じ意味と品質で交換可能に使用することができる。
【0039】
当業者は、用語「類似体」が、別のものと同様の構造を有するが、官能基または部分構造などの特定の成分に関してそれとは異なる任意の化合物を包含し得ることを理解するであろう。「類似体」という用語は、「類似体化合物」と互換的に使用される。
【0040】
当業者は、「ネクロスタチン-1s類似体」という用語が、ネクロスタチン-1sと同様の構造を有するが、1つの原子または原子群または官能基または部分構造の、別の原子または原子群または官能基または部分構造による置換などの特定の成分に関してそれとは異なる化合物を包含し得ることを理解するであろう。
別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤は、当該技術分野で知られている任意のネクロスタチン-1s類似体である。
【0041】
別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤は、5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン(ネクロスタチン-1s)化合物またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩を含む。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤化合物は、3-p-メトキシフェニル-5,6-テトラメチレノチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン-2-メルカプトエチルシアニド(Nec-5)化合物またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩を含む。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤化合物は、(Z)-5-((3-(4-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-イル)メチレン)-2-イミノ-3-(チアゾール-2-イル)チアゾリジン-4-オン化合物(Nec-7)またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩を含む。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤化合物は、5-(インドール-3-イルメチル)-(2-チオ-3-メチル)ヒダントイン化合物(ネクロスタチン-1;Nec-1)またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩を含む。一実施形態では、Nec-1は式IIの構造によって表される
【化2】
【0042】
別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤化合物は、メチル-チオヒダントイン-トリプトファン化合物、またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩を含む。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤化合物は、1-([3S,3aS]-3-[3-フルオロ-4-[トリフルオロメトキシ]フェニル]-8-メトキシ-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[g]インダゾール-2-イル)-2-ヒドロキシエタノン化合物(Nec-3a)、またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩を含む。別の実施形態において、ネクロトーシス阻害剤化合物は、(S)-N-(1-[2-クロロ-6-フルオロフェニル]エチル)-5-シアノ-1-メチル-1H-ピロール-2-カルボキサミド化合物(Nec-4)、またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩を含む。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤化合物は、(E)-N-(4-(N-(3-メトキシピラジン-2-イル)スルファモイル)フェニル)-3-(5-ニトロチオフェン-2-イル)アクリルアミド化合物(ネクロスルホンアミド)、またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩を含む。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤化合物は、1-(4-(4-アミノフロ[2,3-d]ピリミジン-5-イル)フェニル)-3-(2-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)尿素化合物(RIP1阻害剤III)、またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩を含む。
【0043】
別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤化合物は、3-p-メトキシフェニル-5,6-テトラメチレノチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン-2-メルカプトエチルシアニド(Nec-5)化合物、(Z)-5-((3-(4-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-イル)メチレン)-2-イミノ-3-(チアゾール-2-イル)チアゾリジン-4-オン化合物(Nec-7)、5-(インドール-3-イルメチル)-(2-チオ-3-メチル)ヒダントイン化合物(Nec-1)、メチル-チオヒダントイン-トリプトファン化合物、1-([3S,3aS]-3-[3-フルオロ-4-[トリフルオロメトキシ]フェニル]-8-メトキシ-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[g]インダゾール-2-イル)-2-ヒドロキシエタノン化合物(Nec-3a)、(S)-N-(1-[2-クロロ-6-フルオロフェニル]エチル)-5-シアノ-1-メチル-1H-ピロール-2-カルボキサミド化合物(Nec-4)、(E)-N-(4-(N-(3-メトキシピラジン-2-イル)スルファモイル)フェニル)-3-(5-ニトロチオフェン-2-イル)アクリルアミド化合物(ネクロスルホンアミド)、1-(4-(4-アミノフロ[2,3-d]ピリミジン-5-イル)フェニル)-3-(2-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)尿素化合物(RIP1阻害剤III)、2,2-ジメチル-1-(5(S)-フェニル-4,5-ジヒドロ-ピラゾール-1-イル)-プロパン-1-オン(GSK’963)、または該ネクロトーシス阻害剤化合物のうちのいずれか1つの類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩を含む。
【0044】
別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤は、5-(1H-インドール-3-イルメチル)-3-メチル-2-チオキソ-4-イミダゾリジノン(ネクロスタチン-1)化合物、またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩を含む。本明細書で使用される場合、用語「5-(1H-インドール-3-イルメチル)-3-メチル-2-チオキソ-4-イミダゾリジノン」は、ネクロスタチン-1、「5-(インドール-3-イルメチル)-3-メチル-2-チオ-ヒダントイン」、「メチルチオヒダントイン-DL-トリプトファン」、または「MTH-DL-トリプトファン」、「MTH-Trp」、「RIP1阻害剤I」、「ネクロソーム阻害剤I」、「受容体共役タンパク質1阻害剤I」、「ネクローシス阻害剤II」、または「Nec-1」は、すべて同じ意味と品質で交換可能に使用することができる。
【0045】
当業者は、「ネクロスタチン-1類似体」という用語は、ネクロスタチン-1と同様の構造を有するが、1つの原子または原子群または官能基または部分構造の、別の原子または原子群または官能基または部分構造による置換などの特定の成分に関してそれとは異なる化合物を包含し得ることを理解するであろう。複数のネクロスタチン-1類似体が当該技術分野で記載されており、本明細書で企図されている(例えば、米国特許第8,324,262号、1~31欄および51~52欄、米国特許第8,658,689号2~31欄、米国特許第9,108,955号2~31欄および同第9,499,521号2~5欄、12~20欄および49~57欄、米国特許出願公開第2005/0119260号段落[0008]~[0103]、同第2013/0158024号段落[0009]~[0166]、同第2010/0190836号段落[0009]~[0168]、同第2012/0122889号段落[0008]~[0266]、および同第2014/0024657号段落[0008]~[0423]および[447]、PCT特許出願公開第WO2014/152182号、2~4頁、6~9頁、11~14頁、および同第WO2016/094846号、2~4頁、13~19頁、および39~50頁、およびEPO特許出願公開第EP3017825号段落[0009]、[0021]、および[0025]を参照されたく、それらのすべては、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)。
【0046】
別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤は、当該技術分野で知られている任意のネクロスタチン-1類似体またはネクロスタチン-1s阻害剤である。
【0047】
別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤は、5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン(Nec-1s)、3-p-メトキシフェニル-5,6-テトラメチレノチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン-2-メルカプトエチルシアニド(Nec-5)化合物、(Z)-5-((3-(4-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-イル)メチレン)-2-イミノ-3-(チアゾール-2-イル)チアゾリジン-4-オン化合物(Nec-7)、5-(インドール-3-イルメチル)-(2-チオ-3-メチル)ヒダントイン化合物(Nec-1)、メチル-チオヒダントイン-トリプトファン化合物、1-([3S,3aS]-3-[3-フルオロ-4-[トリフルオロメトキシ]フェニル]-8-メトキシ-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[g]インダゾール-2-イル)-2-ヒドロキシエタノン化合物(Nec-3a)、(S)-N-(1-[2-クロロ-6-フルオロフェニル]エチル)-5-シアノ-1-メチル-1H-ピロール-2-カルボキサミド化合物(Nec-4)、(E)-N-(4-(N-(3-メトキシピラジン-2-イル)スルファモイル)フェニル)-3-(5-ニトロチオフェン-2-イル)アクリルアミド化合物(ネクロスルホンアミド)、1-(4-(4-アミノフロ[2,3-d]ピリミジン-5-イル)フェニル)-3-(2-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)尿素化合物(RIP1阻害剤III)、または2,2-ジメチル-1-(5(S)-フェニル-4,5-ジヒドロピラゾール-1-イル)-プロパン-1-オン化合物(GSK’963)、または該ネクロトーシス阻害剤のうちのいずれか1つの類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩を含む。
【0048】
理論に縛られることを望まないが、ミトコンドリアはアポトーシスと調節された壊死の両方の中心的なオーケストレーターであると考えられている。いくつかの実施形態では、ミトコンドリアは調節された壊死の間に、ミトコンドリアが膨潤し、ATPを生成する能力を失い、その後破裂する、「不適応」と呼ばれるプロセスで機能不全になる。いくつかの実施形態において、不適応プロセスは、ミトコンドリア膜透過性遷移孔(MPTP)の開放によって部分的に駆動され、このプロセスは、次に、BaxおよびBakタンパク質媒介シグナル伝達を活性化する。いくつかの実施形態では、Bax(Bcl-2結合Xタンパク質)は、主に細胞質ゾルに見られるタンパク質である。いくつかの実施形態では、壊死の開始時に、Baxは立体配座シフトを受け、ミトコンドリア膜と結合するようになり、ミトコンドリア膜内に多量体孔を形成する。
【0049】
複数のBaxチャネル阻害剤が当該技術分野で記載されており、本明細書で企図されている(例えば、PCT特許出願公開第WO2014/110476号、18~40頁、およびEPO特許出願公開第EP1094063号、5~14頁を参照されたく、それらのずべては、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)。別の実施形態では、Baxチャネル阻害剤は、当該技術分野で知られている任意のBaxチャネル阻害剤である。別の実施形態では、Baxチャネル阻害剤は、Baxチャネル阻害剤の類似体、誘導体、異性体、または薬学的に許容される塩を含む。
【0050】
一実施形態では、Baxチャネル阻害剤は、3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩化合物、またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩を含む。
【0051】
一実施形態では、本明細書に開示されている組成物は、5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン化合物またはその類似体、誘導体、異性体、またはそれらの薬学的に許容される塩を含むネクロトーシス阻害剤、および3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩化合物、またはその類似体、誘導体、異性体、またはそれらの薬学的に許容される塩を含むBaxチャネル阻害剤を含む。
【0052】
一実施形態では、組成物は、5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン、3-p-メトキシフェニル-5,6-テトラメチルエノチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン-2-メルカプトエチルシアニド化合物、(Z)-5-((3-(4-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-イル)メチレン)-2-イミノ-3-(チアゾール-2-イル)チアゾリジン-4-オン化合物、5-(インドール-3-イルメチル)-(2-チオ-3-メチル)ヒダントイン化合物、1-([3S,3aS]-3-[3-フルオロ-4-[トリフルオロメトキシ]フェニル]-8-メトキシ-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[g]インダゾール-2-イル)-2-ヒドロキシエタノン化合物、(S)-N-(1-[2-クロロ-6-フルオロフェニル]エチル)-5-シアノ-1-メチル-1H-ピロール-2-カルボキサミド化合物、メチル-チオヒダントイン-トリプトファン化合物、(E)-N-(4-(N-(3-メトキシピラジン-2-イル)スルファモイル)フェニル)-3-(5-ニトロチオフェン-2-イル)アクリルアミド化合物、または1-(4-(4-アミノフロ[2,3-d]ピリミジン-5-イル)フェニル)-3-(2-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)尿素化合物、または2,2-ジメチル-1-(5(S)-フェニル-4,5-ジヒドロ-ピラゾール-1-イル)-プロパン-1-オン化合物からなる群から選択されるネクロトーシス阻害剤化合物、または該ネクロトーシス阻害剤化合物の類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩、およびBaxチャネル阻害剤またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩を含む。
【0053】
別の実施形態では、組成物は、5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン、3-p-メトキシフェニル-5,6-テトラメチルエノチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン-2-メルカプトエチルシアニド化合物、(Z)-5-((3-(4-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-イル)メチレン)-2-イミノ-3-(チアゾール-2-イル)チアゾリジン-4-オン化合物、5-(インドール-3-イルメチル)-(2-チオ-3-メチル)ヒダントイン化合物、1-([3S,3aS]-3-[3-フルオロ-4-[トリフルオロメトキシ]フェニル]-8-メトキシ-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[g]インダゾール-2-イル)-2-ヒドロキシエタノン化合物、(S)-N-(1-[2-クロロ-6-フルオロフェニル]エチル)-5-シアノ-1-メチル-1H-ピロール-2-カルボキサミド化合物、メチル-チオヒダントイン-トリプトファン化合物、(E)-N-(4-(N-(3-メトキシピラジン-2-イル)スルファモイル)フェニル)-3-(5-ニトロチオフェン-2-イル)アクリルアミド化合物、1-(4-(4-アミノフロ[2,3-d]ピリミジン-5-イル)フェニル)-3-(2-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)尿素化合物、または2,2-ジメチル-1-(5(S)-フェニル-4,5-ジヒドロ-ピラゾール-1-イル)-プロパン-1-オン化合物からなる群から選択されるネクロトーシス阻害剤化合物、または該ネクロトーシス阻害剤化合物の類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩、および3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩化合物、またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩を含むBaxチャネル阻害剤を含む。
【0054】
当業者は、「異性体」という用語が、光学異性体および類似体、構造異性体および類似体、配座異性体および類似体などを包含し得ることを理解するであろう。光学異性体は鏡像異性体としても知られており、一実施形態では、重ね合わせることができない(同一ではない)互いに鏡像である2つの立体異性体のうちの1つを含むことができる。
【0055】
一実施形態では、異性体は、ネクロトーシス阻害剤化合物の光学異性体を含む。本明細書に開示されているネクロトーシス阻害剤化合物が少なくとも1つのキラル中心を含有し得ることは、当業者に理解されるであろう。したがって、本明細書に開示されている組成物および方法で使用されるネクロトーシス阻害剤化合物は、光学活性形態またはラセミ体で存在し得る。いくつかの化合物は、多形も示し得る。一実施形態において、ネクロトーシス阻害剤化合物は、本明細書における凍結保存の方法において有用な特性を有する、任意のラセミ体、光学活性形態、多形体、もしくは立体異性体、またはそれらの混合物を包含し得ることを理解されたい。別の実施形態では、本明細書に記載されているネクロトーシス阻害剤化合物の任意のラセミ体、光学活性形態、多形体、もしくは立体異性体、またはそれらの混合物は、本明細書に開示されている細胞可塑性の発生を処理、防止、阻害、または低減する方法において有用な特性を有し得る。
【0056】
当業者は、用語「鏡像異性体」が、キラリティーの中心を有し、互いに重ね合わせることができない完全な鏡像である2つの立体異性体の1つである化合物を包含し得ることを理解するであろう。当該技術分野で知られているように、鏡像異性体は、平面偏光を回転させる能力が互いに異なり、CIP(カーン-インゴルド-プレローグ)規則に従ってS-またはR-鏡像異性体として分類することができる。S-およびR-配置は、キラル中心炭素原子の周りの4つの置換基の3次元配向を表す。
【0057】
一実施形態では、ネクロトーシス阻害剤化合物は、純粋な(R)異性体である。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤化合物は、純粋な(S)異性体である。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤化合物は、(R)および(S)異性体の混合物を含む。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤化合物は、等量の(R)および(S)異性体を含むラセミ混合物である。光学活性形態を調製する方法(例えば、再結晶化技術によるラセミ形態の分割、光学活性出発物質からの合成、キラル合成、またはキラル固定相を使用するクロマトグラフィ分離による)は、当該技術分野においてよく知られている。
【0058】
一実施形態では、Baxチャネル阻害剤化合物は、純粋な(R)異性体である。別の実施形態では、Baxチャネル阻害剤化合物は、純粋な(S)異性体である。別の実施形態では、Baxチャネル阻害剤化合物は、(R)および(S)異性体の混合物を含む。別の実施形態では、Baxチャネル阻害剤化合物は、等量の(R)および(S)異性体を含むラセミ混合物である。光学活性形態を調製する方法(例えば、再結晶化技術によるラセミ形態の分割、光学活性出発物質からの合成、キラル合成、またはキラル固定相を使用するクロマトグラフィ分離による)は、当該技術分野においてよく知られている。
【0059】
当業者は、用語「互変異性体」が、分子の1つの原子のプロトンが別の原子にシフトし、それによって元の化合物の構造異性体を形成する現象によって生成される化合物を含み得ることを理解するであろう。Jerry March,Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms and Structures,Fourth Edition,John Wiley & Sons,pages 69-74(1992)を参照されたい。互変異性体はまた、平衡状態で存在し、ある異性体から別の異性体に容易に変換される2つ以上の構造異性体の1つを指す。その例には、アセトン/プロペン-2-オールなどのケト-エノール互変異性体、グルコース/2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシ-ヘキサナールなどの環状鎖互変異性体、芳香族互変異性体などが含まれる。本明細書に記載されている化合物は、1つ以上の互変異性体を有することができ、したがって、様々な異性体を含む。これらの化合物のそのような異性体形態はすべて、本明細書に開示される組成物に明確に含まれる。
【0060】
当業者は、「誘導体」という用語が、本明細書に開示されるプロセスでの使用に好適な任意の薬学的に許容される誘導体または薬学的に許容されない誘導体を含み得ることを理解するであろう。当業者は、薬学的に許容されない誘導体が、薬学的使用に好適な化合物および誘導体を調製するために使用され得ることを理解するであろう。一実施形態では、本明細書に開示される組成物で使用または調製される誘導体は、薬学的に許容される誘導体である。
【0061】
当業者は、「薬学的に許容される塩」という用語が、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応等なしにヒトおよび動物の組織と接触して使用するのに好適でかつ妥当な利益/リスク比に相応する塩を包含得ることを理解するであろう。薬学的に許容される塩は当該技術分野でよく知られている。好適な塩のレビューについては、Berge et al.,J.Pharm.Sci.,1977,66,1-19を参照されたい。
【0062】
典型的には、薬学的に許容される塩は、必要に応じて所望の酸または塩基を使用することにより容易に調製することができる。塩は溶液から沈殿させ、濾過により収集することができるか、または溶媒の蒸発により回収することができる。塩はまた、本明細書に開示される組成物の化合物の最終的な単離および精製の間にインサイチュで、または遊離塩基を好適な有機酸と反応させることによって別々に調製することもできる。
【0063】
塩は、酸と塩基性窒素原子との反応から生じる酸付加塩を含み得る。「薬学的に許容される塩」という用語に包含される塩は、本明細書に開示される化合物の非毒性の塩を指す。好適な付加塩は、非毒性の塩を形成する酸から形成され、例は、酢酸塩、p-アミノ安息香酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、ビスメチレンサリチル酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、エデト酸カルシウム、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、シクロヘキシルスルファミン酸、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシレート、エタンジスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グルタル酸塩、グリコール酸塩、グリコリルアルサニレート(glycollylarsanilate)、ヘミ硫酸塩、ヘキシルレゾルシネート(hexylresorcinate)、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、リン酸水素塩、ヨウ化水素酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、イタコン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、臭化メチル、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、マレイン酸一カリウム塩、ムチン酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、N-メチルグルカミン、シュウ酸塩、オキサロ酢酸塩、パモ酸塩(エンボニン酸塩)、パルメート(palmate)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ピルビン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、プロピオン酸塩、糖酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシレート、トリエチオジド、トリフルオロ酢酸塩および吉草酸塩である。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物で調製される塩には、コハク酸塩、グルタル酸塩、およびヘミ硫酸塩が含まれる。
【0064】
一実施形態では、本明細書に開示される組成物に含まれるネクロトーシス阻害剤の濃度は、約0.2nM~2μMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤の濃度は、約0.2nM~約0.5nMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤の濃度は、約0.5nM~約5nMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤の濃度は、約5nM~約50nMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤の濃度は、約50nM~約500nMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤の濃度は、約50nM~約100nMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤の濃度は、約100nM~約200nMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤の濃度は、約200nM~約300nMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤の濃度は、約300nM~約400nMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤の濃度は、約400nM~約500nMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤の濃度は、約500nM~約1μMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤の濃度は、約500nM~約600nMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤の濃度は、約600nM~約700nMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤の濃度は、約700nM~約800nMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤の濃度は、約800nM~約900nMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤の濃度は、約900nM~約1μMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤の濃度は、約1μM~約2μMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤の濃度は、約1μM~約1.1μMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤の濃度は、約1μM~約1.2μMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤の濃度は、約1.2μM~約1.3μMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤の濃度は、約1.3μM~約1.4μMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤の濃度は、約1.4μM~約1.5μMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤の濃度は、約1.5μM~約1.6μMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤の濃度は、約1.6μM~約1.7μMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤の濃度は、約1.7μM~約1.8μMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤の濃度は、約1.8μM~約1.9μMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤の濃度は、約1.9μM~約2.0μMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤の濃度は、約2μM~約200μMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤の濃度は、約200μM~約500μMの範囲を含む。
【0065】
一実施形態では、本明細書に開示される組成物に含まれるネクロトーシス阻害剤の最終濃度は、約0.2nMである。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤の最終濃度は、約2.0nMである。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤の最終濃度は、約20nMである。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤の最終濃度は、約200nMである。別の実施形態では、ネクロトーシス阻害剤の最終濃度は、約2μMである。
【0066】
一実施形態では、本明細書に開示される組成物に含まれるネクロスタチン-1s化合物の濃度は、約0.2nM~2μMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロスタチン-1s化合物の濃度は、約0.2nM~約0.5nMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロスタチン-1s化合物の濃度は、約0.5nM~約5nMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロスタチン-1s化合物の濃度は、約5nM~約50nMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロスタチン-1s化合物の濃度は、約50nM~約500nMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロスタチン-1s化合物の濃度は、約50nM~約100nMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロスタチン-1s化合物の濃度は、約100nM~約200nMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロスタチン-1s化合物の濃度は、約200nM~約300nMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロスタチン-1s化合物の濃度は、約300nM~約400nMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロスタチン-1s化合物の濃度は、約400nM~約500nMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロスタチン-1s化合物の濃度は、約500nM~約1μMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロスタチン-1s化合物の濃度は、約500nM~約600nMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロスタチン-1s化合物の濃度は、約600nM~約700nMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロスタチン-1s化合物の濃度は、約700nM~約800nMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロスタチン-1s化合物の濃度は、約800nM~約900nMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロスタチン-1s化合物の濃度は、約900nM~約1μMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロスタチン-1s化合物の濃度は、約1μM~約2μMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロスタチン-1s化合物の濃度は、約1μM~約1.1μMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロスタチン-1s化合物の濃度は、約1μM~約1.2μMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロスタチン-1s化合物の濃度は、約1.2μM~約1.3μMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロスタチン-1s化合物の濃度は、約1.3μM~約1.4μMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロスタチン-1s化合物の濃度は、約1.4μM~約1.5μMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロスタチン-1s化合物の濃度は、約1.5μM~約1.6μMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロスタチン-1s化合物の濃度は、約1.6μM~約1.7μMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロスタチン-1s化合物の濃度は、約1.7μM~約1.8μMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロスタチン-1s化合物の濃度は、約1.8μM~約1.9μMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロスタチン-1s化合物の濃度は、約1.9μM~約2.0μMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロスタチン-1s化合物の濃度は、約2μM~約200μMの範囲を含む。別の実施形態では、ネクロスタチン-1s化合物の濃度は、約200μM~約500μMの範囲を含む。
【0067】
一実施形態では、本明細書に開示される組成物に含まれるネクロスタチン-1s化合物、またはネクロスタチン-1sの類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩の最終濃度は、約0.2nMである。別の実施形態では、本明細書に開示される組成物に含まれるネクロスタチン-1s化合物、またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩の最終濃度は、約2.0nMである。別の実施形態では、本明細書に開示される組成物に含まれるネクロスタチン-1s化合物、またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩の最終濃度は、約20nMである。別の実施形態では、本明細書に開示される組成物に含まれるネクロスタチン-1s化合物、またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩の最終濃度は、約200nMである。別の実施形態では、本明細書に開示される組成物に含まれるネクロスタチン-1s化合物、またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩の最終濃度は、約2μMである。
【0068】
一実施形態では、本明細書に開示される組成物に含まれるBaxチャネル阻害剤の濃度は、約0.5nM~約50μMの範囲を含む。別の実施形態では、Baxチャネル阻害剤の濃度は、約0.5nM~約5nMの範囲を含む。別の実施形態では、Baxチャネル阻害剤の濃度は、約5nM~約50nMの範囲を含む。別の実施形態では、Baxチャネル阻害剤の濃度は、約50nM~約500nMの範囲を含む。別の実施形態では、Baxチャネル阻害剤の濃度は、約500nM~約5μMの範囲を含む。別の実施形態では、Baxチャネル阻害剤の濃度は、約5μM~約50μMの範囲を含む。
【0069】
一実施形態では、本明細書に開示される組成物に含まれる3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩化合物、またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩の濃度は、約0.5nM~約50μMの範囲を含む。別の実施形態では、本明細書に開示される組成物に含まれる3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩化合物、またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩の濃度は、約0.5nM~約5nMの範囲を含む。別の実施形態では、本明細書に開示される組成物に含まれる3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩化合物、またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩の濃度は、約5nM~約50nMの範囲を含む。別の実施形態では、本明細書に開示される組成物に含まれる3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩化合物、またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩の濃度は、約50nM~約500nMの範囲を含む。別の実施形態では、本明細書に開示される組成物に含まれる3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩化合物、またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩の濃度は、約500nM~約5μMの範囲を含む。別の実施形態では、本明細書に開示される組成物に含まれる3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩化合物、またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩の濃度は、約5μM~約50μMの範囲を含む。
【0070】
一実施形態では、本明細書で開示される組成物に含まれる該Baxチャネル阻害剤の最終濃度は、約0.5nMである。別の実施形態では、本明細書で開示される組成物に含まれる該Baxチャネル阻害剤の最終濃度は、約5nMである。別の実施形態では、本明細書で開示される組成物に含まれる該Baxチャネル阻害剤の最終濃度は、約50nMである。別の実施形態では、本明細書で開示される該Baxチャネル阻害剤の最終濃度は、約500nMである。別の実施形態では、本明細書で開示される組成物に含まれる該Baxチャネル阻害剤の最終濃度は、約5μMである。別の実施形態では、本明細書で開示される組成物に含まれる該Baxチャネル阻害剤の最終濃度は、約50μMである。
【0071】
一実施形態では、本明細書に開示される組成物に含まれる3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩化合物、または類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩の最終濃度は、約0.5nMである。別の実施形態では、本明細書に開示される組成物に含まれる3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩化合物、または類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩の最終濃度は、約5nMである。別の実施形態では、本明細書に開示される組成物に含まれる3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩化合物、または類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩の最終濃度は、約50nMである。別の実施形態では、本明細書に開示される組成物に含まれる3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩化合物、または類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩の最終濃度は、約500nMである。別の実施形態では、本明細書に開示される組成物に含まれる3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩化合物、または類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩の最終濃度は、約5μMである。別の実施形態では、本明細書に開示される組成物に含まれる3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩化合物、または類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩の最終濃度は、約50μMである。
【0072】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示される組成物は、アデノシン三リン酸(ATP)をさらに含む。理論に縛られることを望まないが、いくつかの実施形態では、細胞のATPおよび活性酸素種の喪失が(両方ともミトコンドリアの不適応プロセスの結果として)生成され、細胞に有害であり、壊死性シグナル伝達をさらに推進すると考えられている。さらに、いくつかのの実施形態では、ATPの枯渇によりミトコンドリアによるCa2+の取り込みが可能になり、膜透過性遷移孔(PTP)の開口が生じ、いくつかの実施形態では、チトクロームCの放出、ミトコンドリアの膨潤および死につながる。したがって、いくつかの実施形態では、組成物中の該ATPは、組織からの細胞解離および凍結保存によって引き起こされる細胞膜破壊によるATPの損失を逆転または軽減し、それにより、ネクロトーシスの圧力を緩和する。追加の実施形態では、組成物中のATPは、ミトコンドリア呼吸の減速を最小化することによりミトコンドリア機能を保存し、細胞を破壊する過程で失われた失った細胞代謝産物の補充にも役立つ。
【0073】
一実施形態では、該ATPは、約10nM~約1mMの濃度で存在する。別の実施形態では、該ATPは、約10nM~約100nMの濃度で存在する。別の実施形態では、該ATPは、約100nM~約1μMの濃度で存在する。別の実施形態では、該ATPは、約1μM~約10μMの濃度で存在する。別の実施形態では、該ATPは、約10μM~約100μMの濃度で存在する。別の実施形態では、該ATPは、約100μM~約100mMの濃度で存在する。
【0074】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物に含まれるATPの最終濃度は、約10nMである。別の実施形態では、本明細書に開示される組成物に含まれるATPの最終濃度は、約100nMである。別の実施形態では、本明細書に開示される組成物に含まれるATPの最終濃度は、約1μMである。別の実施形態では、本明細書に開示される組成物に含まれるATPの最終濃度は、約10μMである。別の実施形態では、本明細書に開示される組成物に含まれるATPの最終濃度は、約100μMである。別の実施形態では、本明細書に開示される組成物に含まれるATPの最終濃度は、約1mMである。
【0075】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示される組成物は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)化合物をさらに含む。理論に縛られることを望まないが、いくつかの実施形態では、NADの細胞損失は、いくつかの実施形態では、解糖の阻害およびタンパク質のサーチュインファミリーの活性の低下を含む、様々なメカニズムを通じて細胞壊死にさらに寄与すると考えられている。NAD枯渇のさらなる効果は、いくつかの実施形態では、NADP/NADPH産生の減少である。いくつかの実施形態では、NADPHは、生合成反応の還元同等物を提供し、ROS(活性酸素種)のネクロトーシス誘導シグナルから保護する。したがって、いくつかの実施形態では、低NADレベルは、ネクロトーシス細胞死のいくつかのメディエーターの活性化のトリガーであると考えられている。したがって、いくつかの実施形態では、組成物中の該NADは、いくつかの実施形態では、組織からの細胞解離または凍結保存によって引き起こされる細胞膜破壊によるNADの損失を逆転または緩和する。他の実施形態では、組成物中の該NADは、ネクロトーシスシグナル伝達を抑制する。
【0076】
いくつかの実施形態において、NADの補充は、海馬におけるNADレベルの低下、および虚血/再灌流損傷後のリソソームからのカテプシンBのその後の放出を防止する。いくつかの実施形態では、高い細胞内NAPDHはCaMKIIにカスパーゼ-2をリン酸化および不活性化させ、カスパーゼ-2をそのプロカスパーゼ不活性酵素形態に保つことによる壊死の防止を含む複数の効果を有する。いくつかの実施形態では、NADはまた、細胞の分化状態に影響を及ぼし、それらの活性状態を維持して、脱分化および自己再生プログラムを防止する。したがって、いくつかの実施形態では、凍結組成物へのNADの添加は、化学還元経路の再生を確実にすることによって、過剰な細胞死および損失を防止する。さらに、NADに由来する十分な細胞NADPHにより、カスパーゼは十分に低い活性を維持し、分化経路に沿った退行を防ぎながら、細胞死(壊死)を回避する。したがって、いくつかの実施形態では、組成物中のNADは、細胞分化を抑制し、いくつかの実施形態では、組織からの細胞解離または凍結保存によって引き起こされる膜破壊に起因するストレスを経験している細胞における細胞同一性の維持をサポートする。
【0077】
一実施形態では、該NADは、約5nM~約500μMの濃度で存在する。別の実施形態では、該NADは、約5nM~約50nMの濃度で存在する。別の実施形態では、該NADは、約5nM~約50nMの濃度で存在する。別の実施形態では、該NADは、約50nM~約500nMの濃度で存在する。別の実施形態では、該NADは、約500nM~約5μMの濃度で存在する。別の実施形態では、該NADは、約5μM~約50μMの濃度で存在する。別の実施形態では、該NADは、約50μM~約500μMの濃度で存在する。
【0078】
一実施形態では、本明細書に開示される組成物に含まれるNADの最終濃度は、約5nMである。別の実施形態において、本明細書に開示される組成物に含まれる最終濃度は、約50nMである。別の実施形態では、本明細書に開示される組成物に含まれるNADの最終濃度は、約500nMである。別の実施形態では、本明細書に開示される組成物に含まれるNADの最終濃度は、約5μMである。別の実施形態では、本明細書に開示される組成物に含まれるNADの最終濃度は、約50μMである。別の実施形態では、本明細書に開示される組成物に含まれるNADの最終濃度は、約500μMである。
【0079】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示される組成物は、シクロスポリンAをさらに含む。一実施形態では、本明細書で開示される組成物は、シクロフィリンD(CypD)の阻害剤をさらに含む。別の実施形態では、該阻害剤はシクロスポリンAである。いくつかの実施形態では、シクロスポリンAは、カルシウム活性化に続くミトコンドリアの腫脹を妨げる免疫抑制薬であり、いくつかの実施形態では、肝臓を含む多くの細胞型の活性酸素種によって誘発される壊死性死から保護することが示されている。いくつかの実施形態では、シクロフィリンD(cypD)は、ミトコンドリアマトリックスに存在し、MPTPを制御するペプチジル-プロリルイソメラーゼであり、いくつかの実施形態では、壊死性細胞死につながるミトコンドリア機能障害の早期決定の中心となる。
【0080】
理論に縛られることを望まないが、いくつかの実施形態では、シクロフィリンDは、MPTPの開放状態を制御することにより、調節された壊死またはネクロトーシスを調節し、シクロスポリンAによるその阻害は、肝細胞のカルシウム-および酸化ストレスで誘発される死に対し保護的であることが示されたことが考えられている。いくつかの実施形態において、CypD阻害はまた、虚血性損傷からの保護をもたらし、そしていくつかの実施形態において、筋ジストロフィーを含む神経変性疾患のいくつかの態様を救うことができ、また肝毒性モデルにおいても救うことができる。したがって、虚血-再灌流傷害から生じるネクロトーシスは、いくつかの実施形態では、CypD活性に敏感であり、それがこの形態の傷害媒介性細胞死に直接関係している。
【0081】
一実施態様において、該シクロスポリンAは、約1nM~約1mMの濃度で存在する。別の実施態様において、該シクロスポリンAは、約1nM~約10nMの濃度で存在する。別の実施態様において、該シクロスポリンAは、約10nM~約100nMの濃度で存在する。別の実施態様において、該シクロスポリンAは、約100nM~約1μMの濃度で存在する。別の実施態様において、該シクロスポリンAは、約1μM~約10μMの濃度で存在する。別の実施態様において、該シクロスポリンAは、約10μM~約100μMの濃度で存在する。別の実施態様において、該シクロスポリンAは、約100μM~約1mMの濃度で存在する。
【0082】
一実施態様において、本明細書に開示される組成物に含まれるシクロスポリンAの最終濃度は、約1nMである。別の実施態様において、本明細書に開示される組成物に含まれるシクロスポリンAの最終濃度は、約10nMである。別の実施態様において、本明細書に開示される組成物に含まれるシクロスポリンAの最終濃度は、約100nMである。別の実施態様において、本明細書に開示される組成物に含まれるシクロスポリンAの最終濃度は、約1μMである。別の実施態様において、本明細書に開示される組成物に含まれるシクロスポリンAの最終濃度は、約10μMである。別の実施態様において、本明細書に開示される組成物に含まれるシクロスポリンAの最終濃度は、約100μMである。別の実施態様において、本明細書に開示される組成物に含まれるシクロスポリンAの最終濃度は、約1mMである。
【0083】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、スーパーオキシドジスムターゼをさらに含む。一実施形態では、スーパーオキシドジスムターゼは、Cu-Znスーパーオキシドジスムターゼである。別の実施形態では、スーパーオキシドジスムターゼは、Fe-Mnスーパーオキシドジスムターゼである。一実施形態では、スーパーオキシドジスムターゼは哺乳動物スーパーオキシドジスムターゼである。別の実施形態では、スーパーオキシドジスムターゼはヒトスーパーオキシドジスムターゼである。哺乳類には3タイプのスーパーオキシドジスムターゼがあり、SOD-1と呼ばれるタイプ1は細胞質型、SOD2と呼ばれるタイプ2はミトコンドリア型であり、SOD3と呼ばれるタイプ3は細胞外型である。
【0084】
理論に縛られることを望まないが、いくつかの実施形態では、細胞、組織、または臓器の、それらの自然環境からの除去は、代謝栄養の破壊および虚血を引き起こす正常な酸素化をもたらし、いくつかの実施形態では、次に、カルシウム過負荷および過酸化物、スーパーオキシド、ヒドロキシルラジカルなどの過剰な活性酸素種(ROS)の生成を引き起こすと考えられている。いくつかの実施形態では、高レベルの活性酸素が細胞構造を損傷し、酸化ストレスを引き起こし、それによって、いくつかの実施形態では、壊死を誘導する。したがって、いくつかの実施形態では、組成物中の前記スーパーオキシドジスムターゼが、虚血誘発活性酸素種を中和するスーパーオキシドジスムターゼは、一実施形態では、ヒトまたは動物組織から精製された天然スーパーオキシドジスムターゼであり得る。別の実施形態では、スーパーオキシドジスムターゼは、組換えスーパーオキシドジスムターゼであり、ヒト、動物または細菌の細胞培養で発現され、その後精製される。組換えタンパク質を発現および精製する方法は、当該技術分野でよく知られている。例えば、Sambrook et al.(MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL(Sambrook et al,eds.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,1989)、Ausubel et al.(CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY Ausubel et al.,eds.,John Wiley&Sons,New York,1987)を参照されたい。
【0085】
一実施形態では、該スーパーオキシドジスムターゼは、約0.001クニッツ単位(KU)~約100KUの濃度で存在する。別の実施形態では、該スーパーオキシドジスムターゼは、約0.001KU~約0.01KUの濃度で存在する。別の実施形態では、該スーパーオキシドジスムターゼは、約0.01KU~約0.1KUの濃度で存在する。別の実施形態では、該スーパーオキシドジスムターゼは、約0.1KU~約1KUの濃度で存在する。別の実施形態では、該スーパーオキシドジスムターゼは、約1KU~約10KUの濃度で存在する。別の実施形態では、該スーパーオキシドジスムターゼは、約10KU~約100KUの濃度で存在する。
【0086】
一実施形態では、本明細書に開示される組成物に含まれるスーパーオキシドジスムターゼの最終濃度は、約0.001クニッツ単位(KU)である。別の実施形態では、本明細書で開示される組成物に含まれるスーパーオキシドジスムターゼの最終濃度は、約0.01KUである。別の実施形態では、本明細書で開示される組成物に含まれるスーパーオキシドの最終濃度は、約0.1KUである。別の実施形態では、本明細書で開示される組成物に含まれるスーパーオキシドジスムターゼの最終濃度は、約1KUである。別の実施形態では、本明細書で開示される組成物に含まれるスーパーオキシドジスムターゼの最終濃度は、約10KUである。別の実施形態では、本明細書に開示される組成物に含まれるスーパーオキシドジスムターゼの最終濃度は、約100KUである。
【0087】
本明細書で使用する場合、「クニッツ単位」という用語は、クニッツアッセイで定義される酵素活性の単位を示す(Kunitz M.,1950 Crystalline Deoxyribonuclease II.Digestion of Thymus Nucleic AcidThe Kinetics of Reaction:J.Gen.Physiol.,33 363-377)。
【0088】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、ネクロトーシス阻害剤、例えば、5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン化合物またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩、およびBaxチャネル阻害剤、例えば3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩化合物、またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩を含み、そしてニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、アデノシン三リン酸(ATP)、シクロスポリンA、またはマンガンスーパーオキシドジスムターゼもしくは亜鉛スーパーオキシドジスムターゼ、またはそれらの任意の組み合わせをさらに含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、ネクローシス阻害剤、Baxチャネル阻害剤、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、アデノシン三リン酸(ATP)、シクロスポリンA、またはマンガンスーパーオキシドジスムターゼもしくは亜鉛スーパーオキシドジスムターゼを含み、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)化合物、3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩化合物、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、アデノシン三リン酸(ATP)、シクロスポリンA、マンガンスーパーオキシドジスムターゼまたは亜鉛スーパーオキシドジスムターゼを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)化合物、3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩化合物、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、アデノシン三リン酸(ATP)、シクロスポリンA、マンガンスーパーオキシドジスムターゼ、亜鉛スーパーオキシドジスムターゼ、またはこれらの組み合わせを含む。
【0091】
別の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)、5nMの3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼまたは亜鉛スーパーオキシドジスムターゼを含む(EVERGREEN(商標)媒体溶液(Media Solution)またはEVERLAST(商標))。
【0092】
さらなる実施形態では、本明細書に開示される組成物は、凍結保護剤をさらに含む。当業者は、用語「凍結保護剤」が、この薬剤なしの冷却効果と比較して、試料が氷点下の温度に冷却されたとき、細胞試料(例えば、細胞培養、組織、または臓器)における氷の結晶形成を最小限に抑え、加温後に試料に実質的に損傷を与えない化学物質を含み得ることを理解するであろう。好適な凍結保護剤は、天然または合成のいずれかであり得、ポリビニルピロリドン、デキストラン、マルトデキストリン、2,3-ブタンジオール、ヒドロキシエチルデンプン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グルコース、グリセロール、ジメチルホルムアミド、スクロース、ラフィノース、マルトデキストリン、スタキオース、ラクトース、デンプン、トレハロース、グルコース、シクロデキストリン(例、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリンまたはこれらの混合物)、マンニトール、デキストロース、カルボキシメチルセルロース、血清(ヒト、動物または適切な栄養サポートに不可欠であるサプリメントを含む合成代替品のいずれか)、および他の一般的に使用される薬剤(pH安定剤、糖、アミノ酸、安定剤、抗生物質など)、またはそれらの組み合わせであり、各々は、本明細書に開示される組成物の独立した実施形態を表すもの、を含む複数の追加の凍結保護剤が当該技術分野で知られている(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,440,390号を参照されたい)。
【0093】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物中の凍結保護剤の量は、1重量%~15重量%の範囲を含む。いくつかの実施形態では、その量は、約1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、約6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、または15重量%である。いくつかの実施形態では、その量は、少なくとも約1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、約6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、または15重量%である。いくつかの実施形態では、その量は多くても約1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、約6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、または15重量%である。
【0094】
いくつかの実施形態では、本組成物の凍結保護剤は、ジメチルスルホキシド(DMSO)を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物中のDMSOの量は、1重量%~15重量%の範囲を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される組成物中のDMSOの量は、3重量%~10重量%の範囲を含む。いくつかの実施形態では、その量は、約1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、約6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、または15重量%である。いくつかの実施形態では、その量は、少なくとも約1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、約6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、または15重量%である。いくつかの実施形態では、その量は多くても約1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、約6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、または15重量%である。
【0095】
いくつかの実施形態では、本組成物の凍結保護剤は血清を含む。一実施形態では、血清は、細胞、組織、および/またはヒト血清、動物血清、または臓器の適切な栄養サポートに不可欠であるサプリメントを含み得る合成血清代替物を含む。別の実施形態では、血清はヒト血清を含む。別の実施形態では、血清は動物血清を含む。別の実施形態では、血清は、合成血清代替物を含む。別の実施形態では、合成血清代替物は、細胞、組織、および/または臓器の適切な栄養サポートに不可欠であるサプリメントを含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物中の血清の量は、1重量%~15重量%の範囲を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される組成物中の血清の量は、3重量%~10重量%の範囲を含む。いくつかの実施形態では、その量は、約1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、約6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、または15重量%である。いくつかの実施形態では、その量は、少なくとも約1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、約6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、または15重量%である。いくつかの実施形態では、その量は多くても約1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、約6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、または15重量%である。
【0097】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、DMSOまたは血清、またはそれらの任意の組み合わせを含む凍結保護剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される組成物は、当該技術分野で知られている任意の凍結保護剤をさらに含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、薬学的に許容される賦形剤または担体をさらに含む。
【0099】
一実施形態では、本明細書に開示される組成物は、ネクローシス阻害剤、Baxチャネル阻害剤、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、アデノシン三リン酸(ATP)、シクロスポリンA、およびマンガンスーパーオキシドジスムターゼまたは亜鉛スーパーオキシドジスムターゼ、凍結保護剤、ならびに薬学的に許容される担体または賦形剤を含む。
【0100】
別の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)、3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、アデノシン三リン酸(ATP)、シクロスポリンA、マンガンスーパーオキシドジスムターゼまたは亜鉛スーパーオキシドジスムターゼ、凍結保護剤、および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む。
【0101】
別の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)、5nMの3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼまたは亜鉛スーパーオキシドジスムターゼ、凍結保護剤、および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む。
【0102】
当業者は、担体および賦形剤に関して「薬学的に許容される」という用語が、健全な医学的判断の範囲内で、合理的な利益/リスク比に見合った、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、またはその他の問題や合併症がない、ヒトおよび動物の組織との接触での使用に好な化合物、材料、組成物、および/または剤形を包含し得ることを理解するであろう。
【0103】
当業者は、「薬学的に許容される担体」という用語が、対象化合物の1つの臓器または体の一部分から別の臓器または体の一部分への運搬または輸送に関与する液体または固体の充填剤、希釈剤、または溶媒封入材料などの薬学的に許容される材料、組成物またはビヒクルを含み得ることを理解するであろう。各担体は、製剤の他の成分と適合し、患者に害を及ぼさないという意味で「許容可能」でなければならない。薬学的に許容される担体およびsとして役立ち得る材料のいくつかの例には、乳糖、ブドウ糖、ショ糖などの糖;トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなどのデンプン;セルロース、およびカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、酢酸セルロースなどのその誘導体;ポリソルベート80(すなわちTween 80)などの界面活性剤;粉末のトラガカント、麦芽、ゼラチン、タルク;ココアバターおよび坐剤ワックスなどのs;落花生油、綿実油、ベニバナ油、ごま油、オリーブ油、トウモロコシ油、大豆油などの油;プロピレングリコールなどのグリコール;グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールなどのポリオール;オレイン酸エチルやラウリン酸エチルなどのエステル類;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤、アルギン酸、パイロジェンフリー水、等張食塩水、リンガー溶液、エチルアルコール、pH緩衝液、ポリエステル、ポリカーボネートおよび/またはポリ無水物、および医薬製剤に使用される他の非毒性適合性物質が含まれる。
【0104】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、1つ以上の薬学的賦形剤または他の添加剤を含む。そのような賦形剤または添加剤は、1つ以上の安定化ポリオール、例えば、(制御放出を促進するための)高級多糖/ポリマー、ステアリン酸マグネシウム、ロイシンまたはトリロイシン(潤滑剤として)、およびリン脂質または界面活性剤を含み得る。
【0105】
当業者は、「薬学的に許容される賦形剤」という用語が、本明細書に記載される化合物以外の任意の成分(例えば、活性化合物を懸濁または溶解することができるビヒクル)を包含し、患者に無毒性および非炎症性である特性を有することを理解するであろう。賦形剤には、例えば、粘着防止剤(antiadherent)、酸化防止剤、結合剤、コーティング剤、圧縮助剤、崩壊剤、色素(着色剤)、皮膚軟化剤、乳化剤、充填剤(希釈剤)、フィルム形成剤またはコーティング剤、香味料、芳香剤、流動促進剤(流れ増強剤)、潤滑剤、防腐剤、印刷インキ、吸着剤、懸濁剤または分散剤、甘味料、または水和水が含まれ得る。例示的な賦形剤には、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム(二塩基性)、ステアリン酸カルシウム、クロスカルメロース、架橋ポリビニルピロリドン、クエン酸、クロスポビドン、システイン、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、マルチトール、マンニトール、メチオニン、メチルセルロース、メチルパラベン、微結晶性セルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポビドン、アルファ化デンプン、プロピルパラベン、パルミチン酸レチニル、シェラック、二酸化ケイ素、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、クエン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ソルビトール、デンプン(コーン)、ステアリン酸、ステアリン酸、スクロース、タルク、二酸化チタン、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、キシリトールが含まれるが、これらに限定されない。
【0106】
当業者は、用語「pH-安定剤」が緩衝液およびpH改変剤(pH-altering agent)を包含し得ることを理解するであろう。好適なpH安定剤には、リン酸三ナトリウム、無水炭酸ナトリウム、グリシン、クエン酸など、またはこれらの混合物が含まれる。香味剤は当業者によく知られており、フルーティフレーバーが含まれるが、これに限定されない。フレスコフォートフレーバーパーマシール(Frescofort Flavour Permaseal)、グレナディンフレーバーパーマシール(Grenadine Flavour Permaseal)、トゥッティフルッティフレーバー(Tutti Frutti Flavour)、またはこれらの組み合わせ。
【0107】
当業者は、用語「糖」が、製薬業界で一般的な、すべての既知の単糖、二糖および/またはオリゴ糖、例えば、スクロース(サッカロース)、グルコース、フルクトース、マルトース、ラクトース、ガラクトースおよび/またはデンプン加水分解物を包含し得ることを理解するであろう。本発明の組成物の実施形態は、特に糖としてスクロースを含有することを特徴とする。
【0108】
当業者は、「アミノ酸」という用語が、タンパク質が含まれる天然に存在するアミノカルボン酸の1つ、または天然には見られない合成アミノ酸を包含し得ることを理解するであろう。
【0109】
当業者は、「抗生物質」という用語が、微生物の多くの科に対して効果的な広域スペクトル抗生物質と、個々の微生物種に対して特に効果的な狭域スペクトル抗生物質を含む、微生物感染症の治療のための薬理学的に活性な物質を包含し得ることを理解するであろう。
【0110】
一実施形態では、「約」という用語は、示された数または数の範囲から、0.0001~5%の偏差を指す。一実施形態では、「約」という用語は、示された数または数の範囲から、1~10%の偏差を指す。一実施形態では、「約」という用語は、示された数または数の範囲から、最大25%の偏差を指す。
【0111】
いくつかの実施形態では、用語「含む」またはその文法形式は、製薬業界で知られているように、本明細書に開示される化合物などの示された活性薬剤の包含、ならびに他の活性薬剤、および薬学的に許容される担体、賦形剤、皮膚軟化剤、安定剤などの包含を指す。いくつかの実施形態において、用語「から本質的になる」は、有効成分のみが示された有効成分である組成物を指すが、製剤を安定化、保存などするためであるが、示された有効成分の処理効果に直接関与しない他の化合物が含まれ得る。いくつかの実施形態では、「から本質的になる」という用語は、示された有効成分のメカニズムとは異なるメカニズムを介して処理効果を発揮する成分を指す場合がある。いくつかの実施形態では、「から本質的になる」という用語は、処理効果を発揮し、示された有効成分のものとは異なる化合物のクラスに属する成分を指す場合がある。いくつかの実施形態では、「本質的になる」という用語は、本明細書に開示される作用とは異なる作用機序を介して作用することにより、処理効果を発揮し、示された有効成分とは異なる化合物のクラスに属する成分を指す場合がある。いくつかの実施形態では、「から本質的になる」という用語は、有効成分の放出を促進する成分を指す場合がある。いくつかの実施形態では、「からなる」という用語は、有効成分および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む組成物を指す。
【0112】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、本質的に、ネクローシス阻害剤、Baxチャネル阻害剤、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、アデノシン三リン酸(ATP)、シクロスポリンA、またはマンガンスーパーオキシドジスムターゼもしくは亜鉛スーパーオキシドジスムターゼ、またはそれらの任意の組み合わせからなる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、本質的に、ネクロトーシス阻害剤、Baxチャネル阻害剤、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、アデノシン三リン酸(ATP)、シクロスポリンA、またはマンガンスーパーオキシドジスムターゼもしくは亜鉛スーパーオキシドジスムターゼ、またはそれらの任意の組み合わせからなる。
【0113】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、本質的に、5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)化合物、3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩化合物、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、アデノシン三リン酸(ATP)、シクロスポリンA、およびマンガンスーパーオキシドジスムターゼまたは亜鉛スーパーオキシドジスムターゼからなる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、本質的に、5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)化合物、3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩化合物、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、アデノシン三リン酸(ATP)、シクロスポリンA、またはマンガンスーパーオキシドジスムターゼもしくは亜鉛スーパーオキシドジスムターゼ、または任意のそれらの組み合わせからなる。
【0114】
別の実施形態において、本明細書に開示される組成物は、本質的に、20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)、5nMの3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、および0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼまたは亜鉛スーパーオキシドジスムターゼからなる。
【0115】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、ネクローシス阻害剤、Baxチャネル阻害剤、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、アデノシン三リン酸(ATP)、シクロスポリンA、またはマンガンスーパーオキシドジスムターゼもしくは亜鉛スーパーオキシドジスムターゼ、またはそれらの任意の組み合わせからなる。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組成物は、ネクロトーシス阻害剤、Baxチャネル阻害剤、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、アデノシン三リン酸(ATP)、シクロスポリンA、またはマンガンスーパーオキシドジスムターゼもしくは亜鉛スーパーオキシドジスムターゼ、またはそれらの任意の組み合わせからなる。
【0116】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)化合物、3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩化合物、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、アデノシン三リン酸(ATP)、シクロスポリンA、マンガンスーパーオキシドジスムターゼまたは亜鉛スーパーオキシドジスムターゼからなる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)化合物、3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩化合物、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、アデノシン三リン酸(ATP)、シクロスポリンA、またはマンガンスーパーオキシドジスムターゼもしくは亜鉛スーパーオキシドジスムターゼ、またはそれらの任意の組み合わせからなる。
【0117】
別の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)、5nMの3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼまたは亜鉛スーパーオキシドジスムターゼからなる。
【0118】
本明細書で使用される単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈からそうでないことが明確に示されない限り、複数の言及を含む。例えば、用語「化合物」または「少なくとも1つの化合物」は、その混合物を含む複数の化合物を含んでもよい。
【0119】
本出願全体を通して、本明細書に開示される様々な実施形態は、範囲形式で提示されてもよい。範囲形式での記載は単に便宜上および簡潔さのためのものであり、本明細書で開示される組成物の範囲に対する柔軟性のない制限として解釈されるべきではないことが理解されたい。したがって、範囲の記載は、可能性のあるすべての部分範囲およびその範囲内の個々の数値を具体的に開示しているとみなされるべきである。例えば、1~6などの範囲の記載は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの部分範囲、および、その範囲内の個々の数字、例えば、1、2、3、4、5および6を具体的に開示しているとみなされるべきである。これは、範囲の広さにかかわりなく適用される。
【0120】
本明細書で数値範囲が示される場合は常に、示された範囲内に任意の引用された数字(小数または整数)を含むことを意味する。第1に示された数字と第2に示された数字との「間の範囲」は、および第1に示された数字「から」第2に示された数字「までの範囲」の表現は、本明細書では交換可能に使用され、第1の示された数字および第2に示された数字ならびにそれらの間の分数および整数のすべてを含むことを意味する。
【0121】
キット
さらに、本明細書に開示されているのは、上記の組成物の要素を含むすぐに使用することができるキットである。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に開示される化合物または組成物、および本明細書に記載される使用方法に好適な1つ以上の他の成分を含む。いくつかの実施形態では、キットは、ネクローシス阻害剤またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩、およびBaxチャネル阻害剤化合物、またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態において、キットは、ネクロトーシス阻害剤、またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩、およびBaxチャネル阻害剤化合物、またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、キットは、ネクロスタチン-1s化合物、またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩、およびBaxチャネル阻害剤化合物、またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、キットは、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、アデノシン三リン酸(ATP)、シクロスポリンA、またはスーパーオキシドジスムターゼ、またはそれらの任意の組み合わせをさらに含む。
【0122】
いくつかの実施形態では、組成物の要素の1つ以上は、元に戻せる(reconstituted)乾燥粉末として提供される。そのような実施形態では、キットはさらに乾燥剤を含み得る。いくつかの実施形態では、組成物の1つ以上の要素が液体として提供される。いくつかの実施形態では、組成物の要素は、一般に化合物または要素を他の成分と混合することにより、または化合物または組成物を他の成分に適用することにより、例えば細胞増殖培地に組成物を補充して、使用前に組成物を調製するための個々のバイアルのキットで提供される。いくつかの実施形態では、キットは、凍結保護剤、担体または賦形剤のうちの1つ以上をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、キットは、これらの追加の構成要素の2つ以上の組み合わせをさらに含み得る。
【0123】
いくつかの実施形態では、キットは、投与のための組成物の混合および調製に必要なすべてのブラケットおよび容器をさらに含む。いくつかの実施形態では、キット内の組成物の要素は予混合されている。いくつかの実施形態では、キットの組成物は無菌である。いくつかの実施形態では、キットは包装材料をさらに含む。いくつかの特定の実施形態では、包装材料は気密である。これらの実施形態では、包装材料は、例えば窒素、アルゴンなどのような不活性ガスで任意に満たされてもよい。いくつかの実施形態では、包装材料は、例えば、密封されたアルミニウムポーチなどの金属箔容器を含む。このような包装材料は、当業者によく知られている。追加の実施形態では、キットは、開示された組成物の要素または化合物を組み合わせる方法、および任意で、開示された組成物を他の成分(例えば、凍結保護剤、担体または賦形剤)と組み合わせて投与用の組成物を形成する方法を説明する説明書をさらに含む。
【0124】
方法
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、凍結融解サイクル中の壊死経路の進行を防ぎ、インビトロでの細胞操作および組織からの遊離中に生じる物理的、化学的および熱力学的損傷を修復するように作用する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、凍結保存を受けている細胞、組織、または臓器の壊死を抑制するように作用する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、細胞、組織または臓器における細胞可塑性、ネクロトーシス、または壊死の発生を阻害または低減するように作用する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、対象における、細胞可塑性、ネクロトーシス、または老化または疾患に関連する壊死の発生を処理、予防、阻害、または低減するのに有用である。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される組成物は、複数の細胞の凍結保存の方法で使用されてもよい。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組成物は、複数の細胞における細胞可塑性、またはネクロトーシスまたは壊死の発生を処理、予防、阻害、または低減する方法において使用され得る。
【0125】
本明細書に開示される方法で使用するための組成物は、上に記載されている。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている組成物のいずれも、本明細書に記載されている使用方法で使用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法で使用するための組成物内に含まれる成分の組み合わせおよび濃度は、上記で詳細に説明されている。
【0126】
一実施形態では、本明細書で提供されるのは、凍結保存の方法であって、この方法は、(a)複数の細胞を、本明細書で開示される組成物と接触させるステップと、(b)ステップ(a)の複数の細胞を含む組成物を冷却するステップと、を含む。
【0127】
一実施形態では、本明細書で提供されるのは、凍結保存の方法であって、この方法は、(a)複数の細胞を、ネクロトーシス阻害剤およびBaxチャネル阻害剤を含む組成物と接触させるステップと、(b)ステップ(a)の複数のセルを含む組成物を冷却するステップと、を含む。ネクロトーシス阻害剤およびBaxチャネル阻害剤の非限定的な例は、上で詳細に開示されている。別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、凍結保存の方法であって、この方法は、(a)複数の細胞を、ネクロスタチン-1s化合物、またはその類似体、誘導体、異性体、もしくはその薬学的に許容される塩を含むネクロトーシス阻害剤および、3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩を含むBaxチャネル阻害剤とを含む組成物と接触させるステップと、(b)複数の細胞を含む組成物を冷却するステップと、を含む。
【0128】
別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、凍結保存の方法であって、この方法は、(a)複数の細胞を、ネクロトーシス阻害剤化合物、またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩および、Baxチャネル阻害剤、またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩を含み、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、アデノシン三リン酸(ATP)、シクロスポリンA、マンガンスーパーオキシドジスムターゼ、亜鉛スーパーオキシドジスムターゼ、またはそれらの任意の組み合わせをさらに含む組成物と接触させるステップと、(b)複数の細胞を含む組成物を冷却するステップと、を含む。別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、凍結保存の方法であって、この方法は、(a)複数の細胞を、ネクロトーシス阻害剤化合物およびBaxチャネル阻害剤を含み、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、アデノシン三リン酸(ATP)、シクロスポリンA、マンガン-スーパーオキシドジスムターゼ、亜鉛-スーパーオキシドジスムターゼ、またはそれらの任意の組み合わせをさらに含む組成物と接触させるステップと、(b)複数の細胞を含む組成物を冷却するステップと、を含み、ネクロトーシス阻害剤化合物は、5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン化合物またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩を含み、Baxチャネル阻害剤化合物は、3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩を含む。
【0129】
別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、凍結保存の方法であって、この方法は、(a)複数の細胞を、ネクロトーシス阻害剤化合物、Baxチャネル阻害剤化合物を含み、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、アデノシン三リン酸(ATP)、シクロスポリンA、マンガンスーパーオキシドジスムターゼ、亜鉛スーパーオキシドジスムターゼ、またはそれらの任意の組み合わせをさらに含む組成物と接触させるステップと、(b)複数の細胞を含む組成物を冷却するステップと、を含み、ネクロトーシス阻害剤化合物は、5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン化合物またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩、3-p-メトキシフェニル-5,6-テトラメチレノチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン-2-メルカプトエチルシアニド化合物またはその誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩、(Z)-5-((3-(4-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-イル)メチレン)-2-イミノ-3-(チアゾール-2-イル)チアゾリジン-4-オンまたはその誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩、5-(インドール-3-イルメチル)-(2-チオ-3-メチル)ヒダントインまたはその誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩、メチルチオ-ヒダントイン-トリプトファン化合物、またはその誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩、1-([3S,3aS]-3-[3-フルオロ-4-[トリフルオロメトキシ]フェニル]-8-メトキシ-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[g]インダゾール-2-イル)-2-ヒドロキシエタノンまたはその誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩、(S)-N-(1-[2-クロロ-6-フルオロフェニル]エチル)-5-シアノ-1-メチル-1H-ピロール-2-カルボキサミドまたはその誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩、(E)-N-(4-(N-(3-メトキシピラジン-2-イル)スルファモイル)フェニル)-3-(5-ニトロチオフェン-2-イル)アクリルアミドまたはその誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩、1-(4-(4-アミノフロ[2,3-d]ピリミジン-5-イル)フェニル)-3-(2-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)尿素、または2,2-ジメチル-1-(5(S)-フェニル-4,5-ジヒドロ-ピラゾール-1-イル)-プロパン-1-オン、またはその誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩、を含み、およびBaxチャネル阻害剤は、3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩、を含む。
【0130】
別の実施形態において、本明細書で提供されるのは、凍結保存の方法であって、この方法は、(a)複数の細胞を、約0.2nM~2μMの5-((7-クロロ-1H-インドール)-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン化合物、またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩、約0.5nM~50μMの3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩化合物、またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩、約5nM~500μMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、約10nM~1mMのアデノシン三リン酸(ATP)、約1nM~1mMのシクロスポリンA、および0.001KU~100KUのマンガンスーパーオキシドジスムターゼ、亜鉛スーパーオキシドジスムターゼ、またはそれらの任意の組み合わせを含む組成物と接触させるステップと、(b)複数の細胞を含む組成物を冷却するステップと、を含む。別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、凍結保存の方法であって、この方法は、(a)複数の細胞を、約20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン化合物、またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩、約5nMの3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩化合物、またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩、約50μMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、約10nMのアデノシン三リン酸(ATP)、約10nMのシクロスポリンA、約0.1KUのマンガン-スーパーオキシドジスムターゼ、亜鉛-スーパーオキシドジスムターゼ、またはそれらの任意の組み合わせを含む組成物と接触させるステップと、(b)複数の細胞を含む組成物を冷却するステップと、を含む。別の実施形態において、本明細書で提供されるのは、凍結保存の方法であって、この方法は、(a)複数の細胞を本明細書で開示される任意の組成物と接触させるステップと、(b)複数の細胞を含む組成物を冷却するステップと、を含む。
【0131】
別の実施形態では、本明細書に提供されるのは、複数の細胞における細胞可塑性、ネクロトーシス、または壊死の発生を処理、予防、阻害、または低減する方法であって、この方法は、複数の細胞を本明細書に開示される組成物と接触させるステップを含む。別の実施形態では、本明細書に提供されるのは、複数の細胞における細胞可塑性、ネクロトーシス、または壊死の発生を処理、予防、阻害、または低減する方法であって、この方法は、複数の細胞を、ネクロトーシス阻害剤化合物およびBaxチャネル阻害剤化合物を含む組成物と接触させるステップを含む。別の実施形態では、本明細書に提供されるのは、複数の細胞における細胞可塑性、ネクロトーシス、または壊死の発生を処理、予防、阻害、または低減する方法であって、この方法は、複数の細胞を、ネクロトーシス阻害剤化合物およびBaxチャネル阻害剤を含む組成物と接触させるステップを含み、ネクロトーシス阻害剤化合物が、5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン化合物またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩を含み、Baxチャネル阻害剤が、3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩を含む。
【0132】
別の実施形態では、本明細書に提供されるのは、複数の細胞における細胞可塑性、ネクロトーシス、または壊死の発生を処理、予防、阻害、または低減する方法であって、この方法は、複数の細胞を、ネクロトーシス阻害剤化合物、およびBaxチャネル阻害剤を含み、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、アデノシン三リン酸(ATP)、シクロスポリンA、マンガンスーパーオキシドジスムターゼ、亜鉛スーパーオキシドジスムターゼ、またはそれらの任意の組み合わせをさらに含む組成物と接触させるステップを含み、ネクロトーシス阻害剤化合物が、5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン化合物またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩を含み、Baxチャネル阻害剤が、3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩を含む。
【0133】
別の実施形態では、本明細書に提供されるのは、複数の細胞における細胞可塑性、ネクロトーシス、または壊死の発生を処理、予防、阻害、または低減する方法であって、この方法は、複数の細胞を、ネクロトーシス阻害剤化合物およびBaxチャネル阻害剤を含み、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、アデノシン三リン酸(ATP)、シクロスポリンA、マンガン-スーパーオキシドジスムターゼ、亜鉛-スーパーオキシドジスムターゼ、またはそれらの任意の組み合わせをさらに含む組成物と接触させるステップを含み、ネクロトーシス阻害剤化合物が、5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン化合物、3-p-メトキシフェニル-5,6-テトラメチルエノチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン-2-メルカプトエチルシアニド化合物、(Z)-5-((3-(4-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-イル)メチレン)-2-イミノ-3-(チアゾール-2-イル)チアゾリジン-4-オン、5-(インドール-3-イルメチル)-(2-チオ-3-メチル)ヒダントイン、メチル-チオヒダントイン-トリプトファン化合物、1-([3S,3aS]-3-[3-フルオロ-4-[トリフルオロメトキシ]フェニル]-8-メトキシ-3,3a,4,5-テトラヒドロ-2H-ベンゾ[g]インダゾール-2-イル)-2-ヒドロキシエタノン、(S)-N-(1-[2-クロロ-6-フルオロフェニル]エチル)-5-シアノ-1-メチル-1H-ピロール-2-カルボキサミド、(E)-N-(4-(N-(3-メトキシピラジン-2-イル)スルファモイル)フェニル)-3-(5-ニトロチオフェン-2-イル)アクリルアミド、1-(4-(4-アミノフロ[2,3-d]ピリミジン-5-イル)フェニル)-3-(2-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)尿素、もしくは2,2-ジメチル-1-(5(S)-フェニル-4,5-ジヒドロ-ピラゾール-1-イル)-プロパン-1-オン、または該ネクロトーシス阻害剤化合物のうちのいずれか1つの誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩を含み、Baxチャネル阻害剤が、3,6-ジブロモ-α-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩を含む。
【0134】
別の実施形態では、本明細書に提供されるのは、複数の細胞における細胞可塑性、ネクロトーシス、または壊死の発生を処理、予防、阻害、または低減するための方法であって、この方法は、複数の細胞を、約0.2nM~2μMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン化合物、またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩、約0.5nM~50μMの3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩化合物、またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩、約5nM~500μMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、約10nM~1mMのアデノシン三リン酸(ATP)、約1nM~1mMのシクロスポリンA、および0.001KU~100KUのマンガン-スーパーオキシドジスムターゼ、亜鉛-スーパーオキシドジスムターゼ、またはそれらの任意の組み合わせを含む組成物と接触させるステップを含む。別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、複数の細胞における細胞可塑性、ネクロトーシス、または壊死の発生を処理、予防、阻害、または低減するための方法であって、この方法は、複数の細胞を、約20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン化合物、またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩、約5nMの3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩化合物、またはその類似体、誘導体、異性体、もしくは薬学的に許容される塩、約50μMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、約10nMのアデノシン三リン酸(ATP)、約10nMのシクロスポリンA、および約0.1KUのマンガン-スーパーオキシドジスムターゼ、亜鉛-スーパーオキシドジスムターゼ、またはこれらの任意の組み合わせを含む組成物と接触させるステップを含む。別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、複数の細胞における細胞可塑性、ネクロトーシス、または壊死の発生を処理、予防、阻害、または低減するための方法であって、この方法は、複数の細胞を本明細書に開示される組成物と接触させるステップを含む。
【0135】
いくつかの実施形態では、ネクロトーシスまたは壊死は、老化または疾患に関連している。当業者は、「疾患」という用語が、生物の一部または全部に影響を及ぼし、細胞可塑性、ネクロトーシス、または壊死を伴う特定の異常状態、構造または機能の障害を包含し得ることを理解するであろう。一実施形態では、疾患は心筋梗塞である。別の実施形態では、疾患は、ベータ細胞ネクロトーシスに続発する糖尿病である。別の実施形態では、疾患は胆汁うっ滞性肝疾患である。別の実施形態では、疾患は脳卒中である。別の実施形態では、疾患は臓器虚血である。別の実施形態では、疾患は虚血再灌流障害である。別の実施形態では、疾患は肝疾患である。別の実施形態では、疾患は、癌の化学療法または放射線療法による壊死である。別の実施形態では、疾患は外傷性脳損傷である。別の実施形態では、疾患は壊死性膵炎である。別の実施形態では、疾患は病原体誘発ネクロトーシスである。別の実施形態では、疾患は炎症である。別の実施形態では、疾患は神経変性疾患である。いくつかの実施形態では、疾患は、心筋梗塞、ベータ細胞ネクロトーシスに続発する糖尿病、胆汁うっ滞性肝疾患、脳卒中、臓器虚血、虚血再灌流障害、肝疾患、癌の化学療法または放射線療法による壊死、外傷性脳損傷、壊死性膵炎、病原体誘発ネクロトーシス、炎症、神経変性疾患を含む。
【0136】
いくつかの実施形態では、複数の細胞における細胞可塑性、または壊死もしくはネクロプティックな(necroptic)死の発生を防止、阻害、または低減するために本明細書に開示される方法は、その複数の細胞の、単離、操作、低温培養、または凍結保存およびその凍結融解サイクル中に使用される。いくつかの実施形態では、細胞可塑性、または壊死もしくはネクロプティックな死の発生を防止、阻害、または低減するための方法は、インビトロ、エクスビボ、またはインビボでの使用を含む。
【0137】
当業者は、「複数の細胞」という用語が、インビボでもしくはインビトロ培養で増殖した、またはエクスビボ培養で維持されたいずれかの任意の哺乳動物細胞または細胞群を包含し得ることを理解するであろう。本明細書に開示される使用方法について企図される細胞群は、任意の多細胞試料を含む。いくつかの実施形態では、多細胞試料は、単一の細胞型または複数の細胞型、組織、臓器、臓器の一部分、生物全体の特定のセグメントを含み、生物内であるか、生物から除去または抽出されたかを問わない。別の実施形態では、複数の細胞が生物全体を含む。
【0138】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、幹細胞、成体細胞、分化転換細胞、脱分化細胞、分化細胞を含む初代細胞を含み、インビトロ、インビボ、またはエクスビボで培養されるかどうかに関係なく、任意の細胞型での使用に好適である。いくつかの実施形態では、開示された方法に適合する細胞型には、生殖細胞(卵母細胞および精母細胞)、幹細胞、腺房細胞、脂肪細胞、肺胞細胞、エナメル芽細胞、線維輪細胞、くも膜細胞、星状細胞、胚盤葉、頭蓋冠細胞、癌性細胞(腺癌、線維肉腫、神経膠芽腫、肝細胞腫、黒色腫、骨髄性白血病、神経芽細胞腫、骨肉腫、肉腫)心筋細胞、軟骨細胞、脊索腫細胞、クロム親和性細胞、卵丘細胞、内皮細胞、内皮様細胞、鞘細胞(Ensheathing cell)、上皮細胞、線維芽細胞、線維芽細胞様細胞、生殖細胞、肝細胞、ハイブリドーマ、インスリン産生細胞、間隙細胞、膵島、ケラチノサイト、リンパ球細胞、マクロファージ、マスト細胞、メラノサイト、メニスカス細胞、メサンギウム細胞、間葉系前駆細胞、単球、単核細胞、骨髄芽球、筋芽細胞、筋線維芽細胞、神経細胞、核細胞、象牙芽細胞、卵母細胞、骨芽細胞、骨芽細胞様細胞、破骨細胞、破骨細胞前駆細胞、卵形細胞、乳頭細胞、実質細胞、周皮細胞、歯周靭帯細胞、骨膜細胞、血小板、肺細胞、前脂肪細胞、前体外膜細胞、腎細胞、サリスフェア細胞、シュワン細胞、分泌細胞、平滑筋細胞、精子細胞、星状細胞、幹細胞、幹細胞様細胞、スタトリ細胞(Stertoli Cell)、間質細胞、滑膜細胞、滑膜細胞、T細胞、腱細胞、Tリンパ芽球、栄養芽細胞、尿路上皮細胞、硝子体細胞などが含まれ、前記細胞は、例えば、限定されないが、以下の組織のいずれかに由来する:脂肪組織、副腎、羊水、羊膜嚢、大動脈、動脈(頸動脈、冠状動脈、肺)、胆管、膀胱、血液、骨、骨髄、脳(大脳皮質を含む)、乳房、気管支、軟骨、子宮頸部、絨毛膜絨毛、結腸、結膜、結合組織、角膜、歯髄、十二指腸、硬膜、耳、子宮内膜症の嚢胞、子宮内膜、食道、目、包皮、胆嚢、神経節、歯肉、頭/首、心臓、心臓弁、海馬、腸骨、椎間板、関節、頸静脈、腎臓、膝、涙腺、靭帯、肝臓、肺、リンパ節、乳腺、下顎骨、髄膜、中胚葉、微小血管系、粘膜、筋肉由来(MD)、骨髄性白血病、骨髄腫、鼻、上咽頭、神経、髄核、口腔粘膜、卵巣、膵臓、耳下腺、陰茎、胎盤、前立腺、腎臓、呼吸器、網膜、唾液腺、伏在静脈、坐骨神経、骨格筋肉、皮膚、小腸、括約筋、脊椎、脾臓、胃、滑膜、歯、腱、精巣、甲状腺、扁桃、気管、臍動脈、臍帯、臍帯血、臍帯静脈、臍帯(ワルトンゼリー)、尿路、子宮、脈管構造、心室、声帯および細胞、またはそれらの任意の組み合わせ、該組織は、例えば、限定されないが、以下の種のいずれかに由来する:ヒヒ、バッファロー、ネコ、ニワトリ、ウシ、イヌ、ヤギ、モルモット、ハムスター、ウマ、ヒト、サル、マウス、ブタ、ウズラ、ウサギなど。
【0139】
いくつかの実施形態では、複数の細胞は、組織培養細胞、初代細胞、生殖細胞、例えば卵細胞および/または精子、組織、臓器またはその一部分、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、該組織培養細胞または初代細胞は、幹細胞、成体細胞、分化転換細胞、脱分化細胞、または分化細胞、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、複数の細胞は、ヒト細胞または動物細胞を含む。
【0140】
当業者は、「インビボ」という用語が、その自然状態の生きている生物に対して実施される、本明細書に記載されている使用方法を包含することを理解するであろう。例えば、一実施形態では、インビボで複数の細胞を接触させることは、動物またはその一部分の灌流を含む。別の実施形態では、インビボで複数の細胞を接触させることは、無傷の動物における臓器またはその一部分の灌流を含む。
【0141】
当業者は、「エクスビボ」という用語が、生物の外部で行われる、本明細書に記載された使用方法を包含することを理解するであろう。例えば、一実施形態では、エクスビボで複数の細胞を接触させることは、それらが初代細胞である場合、自然条件の変化を最小限にして、細胞が由来する生物の外部の人工環境(無菌条件)で細胞を曝露することを包含し得る。例えば、一実施形態では、エクスビボで複数の細胞を接触させることは、対象から取り出された臓器またはその一部分の灌流を含む。別の実施形態では、エクスビボで複数の細胞を接触させることは、対象から取り出された組織またはその一部分の灌流を含む。いくつかの実施形態では、対象は動物またはヒトを含む。
【0142】
当業者は、「インビトロ」という用語が、人工環境で生じる本明細書に記載された使用方法を包含することを理解するであろう。例えば、一実施形態では、インビトロで複数の細胞を接触させることは、本明細書に開示される組成物を、生物(例えば動物)内ではなく、試験管または反応容器で、細胞培養液中で、ペトリ皿で、または当該技術分野で既知の別の人工環境で、複数の細胞と混合することを含む。
【0143】
一実施形態において、複数の細胞を本明細書に開示される組成物と接触させることは、インビボ、エクスビボ、またはインビトロで起こる。
【0144】
本明細書に開示される方法は、複数の細胞を本明細書に開示される組成物と接触させることを提供し、それにより、凍結保存を含む、誘導および単離または下流操作のプロセス中に損傷が生じる前に細胞を保存および保護する。接触ステップは、例えば、いくつかの実施形態では、生物からの複数の細胞の取り出しに先行して、インビボで行われ得る。別の実施形態では、インビボ接触ステップは全身性であり、本発明の組成物を生物のすべての細胞および臓器に送達する。別の実施形態では、インビボ接触ステップは局所的であり、本発明の組成物を細胞の調達部位に局所的に送達する。好適な送達方法は当業者に直ちに明らかであり、注射、静脈内灌流、冠動脈内心筋灌流、カテーテルによる動脈内臓器灌流、冠状静脈洞灌流、心臓内灌流または当該技術分野で既知の任意の方法を含む。
【0145】
この組成物を、例えば非熱可逆的エレクトロポレーションのプロセスを介して肉眼的組織(gross tissue)に、または三次元培養を使用する灌流バイオリアクターシステムに、および移植用の生体臓器に適用することも可能である。これらの化合物は優れた細胞浸透能力を持っているため、幅広い用途や種にわたる生物組織や生体物質の保護に最適である。
【0146】
いくつかの実施形態では、接触ステップは、インビトロで、例えば、組織培養物または生物から単離された細胞に対して行われる。いくつかの実施形態では、インビトロ接触ステップは、調達直後に、本明細書に開示される組成物に複数の細胞を浸漬することを含む。別の実施形態では、インビトロ接触ステップは、調達後短時間で複数の細胞を組成物に浸漬することを含む。別の実施形態では、インビトロ接触ステップは、インビトロ培養の増殖培地を本明細書に開示される組成物で置き換えることを含む。別の実施形態では、インビトロ接触ステップは、インビトロ培養の増殖培地に本明細書に開示される組成物を補充することを含む。別の実施形態では、インビトロ接触ステップは、非熱可逆的エレクトロポレーションによる、本明細書に開示される組成物を用いた急速注入を含む。別の実施形態では、インビトロ接触ステップは、灌流バイオリアクターにおいて、本明細書に開示される組成物に浸漬された複数の細胞をインキュベートすることを含む。別の実施形態では、インビトロ接触ステップは、本明細書に開示される組成物に浸漬された複数の細胞を3D培養物中でインキュベートすることを含む。別の実施形態では、複数の細胞を本明細書に開示される組成物と接触させることは、インビボまたはエクスビボで複数の細胞を接触させることを含み、該接触させることは、動物またはその一部分、臓器またはその一部分、または組織の灌流を含む。
【0147】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物は、動物またはヒトへの経心臓灌流を介して導入され、それによって数秒以内にすべての臓器および細胞に入る。これらの供給源から単離された組織および臓器は、その後、プレーティング、移動、または凍結するまで、その後のステップ全体にわたって組成物中に保持される。これには、このプロセス中に解離した細胞が含まれ、その後のプレーティングまたは凍結まで溶液中に保持される。いくつかの実施形態では、対象由来の臓器は、壊死およびネクロトーシスが回避され、組織内の細胞が保護されるように、必要な溶液が組成物を含むように再処方される特定の臓器移植手順で処理される。
【0148】
いくつかの実施形態では、灌流は心臓灌流を含む。いくつかの実施形態では、複数の細胞をインビトロで接触させることは、複数の細胞を本明細書に開示される組成物に浸漬すること、または複数の細胞の増殖培地に本明細書に開示される組成物を補充すること、または非熱可逆的エレクトロポレーションにより本明細書に記載される組成物で複数の細胞を灌流すること、またはバイオリアクターにおいて本明細書に開示される組成物で複数の細胞を灌流することを含む。
【0149】
いくつかの実施形態では、バイオリアクターは、複数の細胞を増殖および繁殖させるために使用される。いくつかの実施形態では、バイオリアクターを細胞の培養に使用することができ、その条件は、高細胞濃度に好適である。別の実施形態では、バイオリアクターは、細胞増殖のための閉鎖系を提供する。別の実施形態では、複数のバイオリアクターが一連の細胞増殖に使用される。別の実施形態では、本明細書に開示される方法で使用されるバイオリアクターは、シングルユースバイオリアクターである。別の実施形態では、使用されるバイオリアクターは、マルチユースバイオリアクターである。さらに別の実施形態では、バイオリアクターは、プロセスのパラメーターを監視および制御するための制御ユニットを備える。
【0150】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組成物は、例えば、非熱可逆的エレクトロポレーション、または三次元培養を使用する灌流バイオリアクターシステムを介して、動物またはヒトに由来する組織に迅速に注入される。他の組織注入機構も同様に使用することができる。他の実施形態では、組織は、増殖培地または他の支持溶液の交換時に組成物をインビトロで注入することができるインビトロ供給源に由来することができる。
【0151】
いくつかの実施形態では、ヒト対象に由来する組織は、調達時に、本明細書に開示される組成物で回収および灌流され得る。これは、調達部位で局所的に組成物で前処理することによって、または組織単離直後のインビトロで達成することができる。いくつかの実施形態では、組織を調達し、同時に組成物溶液で予め満たされた容器に入れることができる。
【0152】
いくつかの実施形態では、動物またはヒトに由来する組織を本明細書に開示される組成物に入れ、処理して凍結保存に供される細胞を遊離させるか、または細胞をインビトロで細胞培養に使用する。ここで、組織と細胞は継続的に組成物に曝され、溶液の変化は組成物の適切な添加を伴い、壊死とネクロトーシスからの保存と保護を可能にする。
【0153】
生きている動物(例えば、動物は妊娠した雌の成体動物を含む)の経心臓灌流を介する本明細書に開示される組成物の導入は、脳などの特権臓器を含む体軸を横切る胚組織への浸透を含む、すべての臓器および細胞の急速な保存をもたらす。また、本明細書に記載される組織または任意の複数の細胞へのインビトロでの単純な導入は、迅速な浸透および活性化を可能にする。これは、細胞が組織または細胞の調達技術で死に始める前に細胞の代謝状態を保存する驚くべき新しい方法であり、一種の「代謝停止」である。
【0154】
本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、複数の細胞を本明細書に開示される組成物と接触させるステップの後に、複数の細胞を物理的、化学的または熱力学的操作に供することができる。本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、複数の細胞を本明細書に開示される組成物と接触させるステップと同時に、複数の細胞を物理的、化学的または熱力学的操作に供することができる。本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、複数の細胞を本明細書に開示される組成物と接触させるステップの前に、複数の細胞を物理的、化学的または熱力学的操作に供することができる。
【0155】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法中の追加の処理ステップは、動物またはヒト、その臓器、またはその組織に由来する複数の細胞から個々の細胞を遊離させることを含む。別の実施形態では、追加の処理は、細胞外タンパク質のタンパク質分解消化を含む。別の実施形態では、追加の処理は細胞選別を含む。別の実施形態では、追加の処理は、例えば細胞増殖または分化を誘導または抑制するために、様々な化学物質およびシグナル伝達分子で細胞を処理することを含む。別の実施形態では、追加の処理は、例えば細胞を濃縮するための細胞の遠心分離および再懸濁を含む。
【0156】
いくつかの実施形態では、すべての中間操作は、細胞が本明細書に開示されている組成物に浸漬されている間に実行される。いくつかの実施形態では、すべての中間操作は、細胞が本明細書に開示される組成物が補充された増殖培地に浸漬されている間に実行される。
【0157】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、複数の細胞を加熱または冷却することを含む熱力学的操作を含む。別の実施形態では、冷却は、凍結保存または凍結融解サイクル、あるいはそれらの組み合わせを含む。別の実施形態では、冷却は、複数の凍結融解サイクルを含む。
【0158】
いくつかの実施形態では、複数の細胞を含む本明細書に記載の組成物を冷却するステップは、本明細書に開示される組成物に浸漬または灌流される複数の細胞の全体的な温度を下げることを含む。一実施形態では、例えば長期保管のために、温度を氷点下未満に下げる。別の実施形態では、温度は、その後の使用、例えば、移植、再移植、または複数の細胞からの特定のタイプの細胞の分離などの細胞の追加操作の前に、短期または中期的に凝固点に近い値に下げられる。
【0159】
いくつかの実施形態では、複数の細胞は、本明細書に開示される組成物に浸漬されるかまたは灌流され、細胞を含む組成物は急速に冷却される。別の実施形態では、複数の細胞は、本明細書に開示される組成物に浸漬されるかまたは灌流され、徐々に冷却される。別の実施形態では、冷却を受けている細胞内のタンパク質の変性を防ぐために、急速冷却が行われる。別の実施形態では、冷却を受けている細胞において代謝停止の状態を誘導するために、徐冷却が行われる。
【0160】
本明細書に開示される方法の、いくつかの実施形態では、組成物は、複数の細胞を組成物と接触させる前に予備冷却される。本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、組成物は、複数の細胞を組成物と接触させる前に、培養温度に一致するように予熱される。本明細書に開示される方法のいくつかの実施形態では、組成物は、複数の細胞を組成物と接触させると同時に冷却される。
【0161】
一実施形態では、本明細書で提供されるのは、複数の細胞における代謝停止の状態を誘導する方法であり、この方法は、(a)複数の細胞を本明細書で開示される組成物と接触させるステップを含む。別の実施形態では、複数の細胞において代謝停止の状態を誘導するための方法は、(a)複数の細胞を、ネクロトーシス阻害剤化合物およびBaxチャネル阻害剤を含む組成物と接触させるステップと(b)任意で、複数のセルを冷却するステップと、を含む。いくつかの実施形態では、代謝停止の状態は、酸素代謝の可逆的休止を含む。いくつかの実施形態では、代謝停止の状態は、本明細書に記載の凍結保存および/またはその凍結融解サイクルの最中またはその後に誘導される。いくつかの実施形態では、代謝停止の状態は、本明細書に記載されるような複数の細胞における、細胞可塑性、またはネクロトーシスもしくは壊死の発生を処理、予防、阻害、または低減する方法の間またはその後に誘導される。
【0162】
当業者は、用語「代謝停止」が、酸素代謝の停止を含む、代謝生化学経路の遅延および/または停止を包含し得ることを理解するであろう。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、代謝停止の状態を誘導することにより、生存率を保護し、細胞の同一性を保存する。例えば、本明細書に開示される別の実施形態では、本明細書に開示される方法は、新しい細胞型に再プログラム、脱分化、または分化転換される幹細胞および成体細胞において代謝停止を誘導し、再プログラム、脱分化、または分化転換される細胞の同一性が維持される。いくつかの実施形態では、代謝停止を誘導する本明細書に開示される方法は、細胞の代謝状態を保存し、それにより、組織または細胞調達手順によって引き起こされるストレスによる細胞死を防止する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、代謝停止を誘導し、細胞生存率を高める。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物を使用する本明細書に開示される方法は、本明細書に開示される組成物と接触させた複数の細胞の分化状態の変化を防止、阻害、または低減し、細胞の同一性は、非接触細胞集団または当該技術分野で既知の組成物と接触させた集団と比較して安定している。別の実施形態では、本明細書に開示される方法は、それらの細胞の同一性を保持する複数の細胞をもたらす。別の実施形態では、細胞の同一性は、該細胞の冷却中に保持される。別の実施形態では、細胞の同一性は、該細胞の凍結中に保持される。別の実施形態では、細胞の同一性は、該細胞の凍結保存の一部として行われる凍結融解サイクルの間およびその後に保持される。別の実施形態では、細胞の同一性は、該細胞の物理的操作中に保持される。別の実施形態では、細胞の同一性は、該細胞の保管中に保持される。
【0163】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、本明細書に開示される組成物と接触しない複数の対照細胞と比較して、凍結保存またはその凍結融解サイクル中の該複数の細胞の壊死またはネクロプティックな死を防止、阻害、または低減する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、本明細書に開示される組成物と接触しない複数の対照細胞と比較して、凍結融解サイクルを含む方法中の該複数の細胞の壊死またはネクロプティックな死を防止、阻害または低減する。
【0164】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、凍結保存ステップまたはその凍結融解サイクル中の物理的損傷から複数の細胞を保護する。別の実施形態では、その凍結融解サイクルの凍結保存による物理的損傷は、細胞の収縮および凍結時の氷形成による脱水を含む。細胞内水の急速な損失は、最初の細胞外氷の結晶形成とそれに続く浸透力の増加の結果として発生する可能性がある。この水の損失に伴い、細胞代謝産物の重要なレベルが同時に失われる。例えば、別の実施形態では、ATPおよびNADは、この凍結保存のプロセスまたはその凍結融解サイクルの間に失われ得る。別の実施形態では、細胞は、原形質膜で一時的に物理的に「突かれて」開いており、代謝産物が失われる可能性がある開放孔を一時的に露出している。
【0165】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、細胞内の過剰なカルシウム放出を阻害または低減することにより、細胞からの過剰なATP放出を阻害または低減することにより、細胞からの過剰なNAD放出を阻害または低減することにより、または壊死およびネクロトーシス、またはそれらの任意の組み合わせに至る経路の活性化を阻害することにより、複数の細胞を保護する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、酸素化の欠如、フリーラジカル生成、または虚血、またはそれらの任意の組み合わせを阻害または低減することにより、複数の細胞、例えば臓器またはその一部分、または組織を保護する。別の実施形態では、本明細書に開示の方法は、細胞内のCa2+濃度の増加、NADおよびATPレベルの低下につながる細胞内のPARPの活性化、または活性酸素種の増加、またはそれらの任意の組み合わせ、を阻害または低減することにより、複数の細胞を保護する。
【0166】
当業者は、「物理的損傷」という用語が、任意の生理学的細胞機能の破壊または細胞死を含み得ることを理解するであろう。生理的細胞機能の破壊の非限定的な例には、酸化ストレス(たとえば、脂質過酸化、DNAおよびRNAの酸化、タンパク質の酸化)、非特異的糖化、タンパク質の誤った折りたたみ、DNA変異、細胞構造の完全性の喪失、代謝ストレス、熱力学的ストレス、温度変動ショック、電離および非電離放射線損傷および化学的ストレス(例えば、酸または塩基性物質への暴露)などが含まれる。したがって、いくつか実施形態における「物理的損傷からの保護」という表現は、本明細書に開示される組成物と接触しない対照細胞と比較して、細胞死の防止または低減、または細胞機能の低下の防止または低減のいずれかを包含する。
【0167】
いくつかの実施形態では、凍結保存の方法は、非接触の複数の細胞または既知の凍結保存溶液と接触される複数の細胞と比較して、該複数の細胞の増殖能を増強する。別の実施形態では、細胞の保管の期間は、本明細書に開示される組成物を使用する凍結保存後に増加する。別の実施形態では、凍結保存の方法は、該複数の細胞の増殖能を増強し、本明細書に開示される組成物の使用は、当該技術分野で既知の組成物を使用して凍結保存された細胞と比較して、種および細胞型にわたって優れた融解後細胞生存率、増殖能および分化特性を提供する。別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、単離、操作、低温培養、またはそれらの凍結保存および凍結融解サイクルの間に複数の細胞における増殖能を増強する方法であって、この方法は、(a)複数の細胞をネクロトーシス阻害剤化合物およびBaxチャネル阻害剤を含む組成物と接触させるステップと、(b)任意で、複数の細胞を冷却するステップと、を含む。
【0168】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、組織または臓器内の単離された細胞または細胞の健康および生存率を保存し、それによって移植、再生および生殖医療用途、例えばバイオバンキング、および体外受精ための細胞の保存における細胞の医療効力および有用性を高める。したがって、別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、体外受精のために細胞を保存する方法であって、この方法は、(a)複数の細胞をネクロトーシス阻害剤化合物およびBaxチャネル阻害剤を含む組成物と接触させるステップと、(b)任意で、複数の細胞を冷却するステップと、を含む。別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、個別化された細胞医療試料のバイオバンキングのための方法であって、この方法は、(a)複数の細胞をネクロトーシス阻害剤化合物およびBaxチャネル阻害剤を含む組成物と接触させるステップと、(b)任意で、複数の細胞を冷却するステップと、を含む。別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、再生医療および美容外科のための細胞の保存方法であって、この方法は、(a)複数の細胞をネクロトーシス阻害剤化合物およびBaxチャネル阻害剤を含む組成物と接触させるステップと、(b)任意で、複数の細胞を冷却するステップと、を含む。
【0169】
当業者は、「増殖能を増強する」という用語が、本明細書に開示される組成物で処理されていない対照細胞と比較して、細胞の有糸分裂細胞分裂速度の測定可能な増加を含み得ることを理解するであろう。
【0170】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物を使用する本明細書に開示される方法は、非接触の複数の細胞または当該技術分野で既知の組成物によって接触された複数の細胞と比較して、細胞の生存率または潜在生存率を改善する。
【0171】
その寿命中の細胞損傷の主な原因は、酸化的細胞呼吸経路と、エネルギー生産と維持の通常のプロセスによるものである。これは、様々な細胞ストレッサーや環境条件の下で強化され、その間、細胞機構がこれらの変化を補償する能力が損なわれる。ストレッサーは、多くの細胞基質への過剰な酸化的損傷から保護する機構に負担をかけ、フィードバックループを引き起して、損傷を急速に拡大させ、細胞生存率の脆弱な段階をもたらす。
【0172】
この脆弱性の原因となる条件の一例は、凍結保存の凍結融解プロセス中に発生する温度変動ショックである。さらに、動物の臓器の切開中、生検中の組織からの細胞の分離、または細胞処理目的のバイオリアクターでの増殖と分化のための幹細胞の分離は、すべてプロセスで損傷を与える。この損傷には、組織や臓器から細胞を取り出すときの物理的損傷、この細胞の取り出しを促進する薬剤を導入するときの化学的損傷、および十分な酸素供給の欠如(虚血)または浸透圧の変化など、細胞が代謝栄養の供給源から取り出されたときの環境的損傷が含まれる。
【0173】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物を使用する本明細書に開示の凍結保存方法は、非接触の複数の細胞または既知の凍結保存溶液と接触された複数の細胞と比較して、該複数の細胞への酸化的損傷を防ぐ。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物を使用して本明細書に開示される凍結保存の方法は、非接触の複数の細胞または既知の凍結保存溶液と接触した複数の細胞と比較して、その凍結融解サイクルの凍結保存中の複数の細胞の虚血を防止する。
【0174】
いくつかの実施形態では、複数の細胞における凍結保存、または細胞可塑性、またはネクロトーシスもしくは壊死の発生を処理、予防、阻害または低減するために本明細書に開示される方法は、複数の細胞内の壊死経路シグナル伝達を阻害する。別の実施形態では、壊死経路の阻害は、経路の任意のレベルであり得る。
【0175】
一実施形態では、本明細書で提供されるのは、凍結保存の方法であって、該方法は、凍結保存およびその凍結融解サイクル中に複数の細胞に代謝停止の状態を誘導し、この方法は、(a)複数の細胞をネクロトーシス阻害剤化合物およびBaxチャネル阻害剤を含む組成物と接触させるステップと、(b)複数の細胞を冷却するステップと、を含む。一実施形態では、複数の細胞の生存率を改善する方法が本明細書で提供され、この方法は、(a)複数の細胞をネクロトーシス阻害剤化合物およびBaxチャネル阻害剤を含む組成物と接触させるステップと、(b)任意で、複数の細胞を冷却するステップと、を含む。
【実施例】
【0176】
組織切開と細胞操作は、いくつかの細胞型で研究された。いくつかの細胞型において、活性酸素種(ROS)の比較レベルは、Nox1レベルの関数として測定され、アポトーシスの比較レベルは、CASP3レベルの関数として測定され、壊死の比較レベルは、PIおよび/またはアネキシンVによる染色の関数として測定された。
【0177】
実施例1.凍結保存溶液は、組織切開と細胞操作に起因する活性酸素種(ROS)、アポトーシス、および壊死のレベルを低減した。
【0178】
マウス皮質ニューロン組織の組織切開および細胞操作を、凍結保存溶液(溶液(Soln、soln))の存在下および不在下で研究した。(
図1A~1Cの場合、溶液(Soln/soln):20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)、5nMの3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、および0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼ。)組織切開と切開直後の組織(フレッシュ)の細胞操作により、活性酸素種(ROS)が生成された(
図1A)が、切開されない組織(モック)ではほとんどROSが観察されなかった。切開直後の組織(フレッシュ)は、ROS生成において数倍の増加をもたらしたが、凍結保存溶液(溶液)を包含させると、切開直後の組織のROSレベルが減少した(フレッシュ+溶液)(
図1A)。
【0179】
図1Bは、非操作組織(モック)と比較して、切開後(フレッシュ)にアポトーシスが強化されたことを示しているが、ROS生成(
図1A)または壊死(
図1C)よりは少ないものの、凍結保存溶液を包含させる(+溶液)とこれを減少させてベースラインレベルに戻した。
図1Cは、組織操作なし(モック)と比較して、組織切開および細胞操作後(フレッシュ)、壊死が強化され、この影響は、凍結保存溶液を包含させる(+溶液)ことでほぼ完全に取り除かれたことを示す。
【0180】
実施例2.凍結保存溶液は、細胞の凍結とその後の融解に起因する活性酸素種(ROS)、アポトーシス、および壊死のレベルを低減した。
【0181】
ニューロンの細胞凍結/融解は、経時的に、多くの細胞型のROS、アポトーシス、および壊死マーカーのレベルに関して研究された。(
図2A~2Cの場合、溶液:20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)、5nMの3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、および0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼ)(CypD-シクロフィリンD)ニューロンの凍結/融解により、凍結前の組織(モック)と比較してROS(Nox1の検出)が生じ(凍結)、この影響は、凍結保存溶液を包含させることで(+溶液)ほぼ完全になくなった(
図2A)。アポトーシスは、凍結前の組織(モック)と比較して、凍結/融解(凍結)後にわずかに強化され、この影響は、凍結プロセス中に凍結保存溶液を包含させること(+溶液)で減少した(
図2B)。壊死は、凍結前の組織(モック)と比較して、細胞の凍結/融解(凍結)後に大幅に強化され、この影響は、凍結保存溶液を包含させること(+溶液)でほぼ解消された(
図2C)。
【0182】
実施例3.凍結保護剤溶液で冷凍された運動ニューロン幹細胞は、運動ニューロンの同一性を維持した。
【0183】
運動ニューロンのCHAT1のレベルで判断すると、細胞の凍結/融解サイクルにより幹細胞の同一性が失われる。CHAT1を培養して発現させ(フレッシュ)、次に0.01μMのcyspA(シクロスポリンA)、または20nMのNec1、または5nMのiMAC2を含む溶液中で冷凍した幹細胞(運動ニューロン前駆細胞)は、これらの化合物の存在なしに冷凍して凍結後に非常に低いレベルのCHAT1+細胞を示す幹細胞(冷凍)と比較して、CHAT1レベルを維持した(
図3)。ここに示すように(
図3)、cyspA、Nec1、およびIMAC2は各々、凍結時に幹細胞に凍結保護を提供し、細胞の特性を維持した。CHAT1のレベルで判断すると、細胞を凍結するために使用される溶液中の凍結保護剤は、運動ニューロンの同一性を維持していた。
【0184】
実施例4.凍結保存溶液は、冷凍の切開された海馬ニューロンの細胞生存率を維持した。
【0185】
凍結保存溶液の一実施形態において、フレッシュな細胞対冷凍細胞の生存率を、切開された細胞(海馬ニューロン)の維持によって分析した。ニューロンの細胞生存率をインビトロで7日後に測定した。ビヒクルには凍結保存溶液を添加しなかったが、ネクロスタチン1(Nec1)、シクロスポリンA(CspA)、iMAC2(iMAC2)、またはこれら3つの試薬の組み合わせ(組み合わせ)を、凍結/融解プロセスの前に細胞に導入した。一実施形態(組み合わせ+灌流)では、3試薬の凍結保存溶液を、生きている妊娠中のマウスに、子が雌親から分離される直前に短時間灌流し、次に海馬ニューロンをE18(胎生期18日目)の子から分離した。様々な成分の濃度は、
図4Aで使用されている濃度である。(溶液:20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)、5nMの3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、および0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼ。)
図4Aおよび図全体の符号:「フレッシュ」は切開直後の細胞を表し、「フレッシュ+溶液」は、組成物溶液中の切開直後の細胞を表し、「凍結」は冷凍/融解細胞を表し、「凍結+溶液」は、組成物溶液中の冷凍/融解細胞を表す。本明細書で開示される凍結保存溶液は、それ自体で、切開直後の細胞ならびに凍結保存溶液の実施形態において冷凍され、次いで融解された細胞の生存率を増加させることができた(
図4A)。細胞(海馬ニューロン)の代謝停止は、細胞の生存率を高め、凍結保存溶液の様々な成分によって提供される生存率のパーセントが示される(
図4B)。
【0186】
実施例5.凍結保存溶液を使用すると、細胞を損傷する過冷却効果を回避する。
【0187】
従来の媒体に対する、本明細書に開示される凍結保存溶液のいずれかの実施形態(EVERGREEN(商標)媒体溶液:20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)、5nMの3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼ)中での凍結中の経時的な温度変化について比較研究が行われた(
図5)。従来の媒体で発生した温度の初期の下降スパイクが顕著に見られなかった(
図5挿入図)。したがって、これらの結果は、本明細書で使用される凍結プロセスが細胞を損傷する過冷却効果を回避することを示した。
【0188】
実施例6.凍結保存溶液は、皮質ニューロン細胞と脂肪幹細胞の細胞生存率を長期にわたって維持した。
【0189】
皮質ニューロンと脂肪(脂肪組織)幹細胞の生存率と増殖率を、フレッシュなものと冷凍したものの両方で、凍結保存溶液に関して経時的に観察した。(
図6A~6Dの場合、溶液:20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)、5nMの3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、および0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼ。)
【0190】
本明細書に開示される凍結保存溶液の実施形態で切開直後の細胞が本明細書に開示される凍結保存溶液懸濁された場合(フレッシュ+溶液)、または本明細書に開示される凍結保存溶液の実施形態中で切開され、その後冷凍された場合(凍結+溶液)、皮質ニューロン細胞の生存率は維持された(
図6A)。
図6Bは、これらの凍結および非凍結条件に曝された細胞をプレーティングした後の時間(日)にわたるニューロン生存率の時間経過を示している。凍結保存溶液の含有のものを、凍結前に10%DMSOに曝露した同じ細胞(凍結)または凍結保護剤なしの切開直後の細胞(フレッシュ)と比較した。
【0191】
同様に、本明細書に開示される凍結保存溶液の実施形態で切開直後の細胞が懸濁された場合(フレッシュ+溶液)、または本明細書に開示される凍結保存溶液の実施形態中で切開され、その後凍結された場合(凍結+溶液)、脂肪(脂肪組織由来)幹細胞の生存率は維持された(
図6C)。
図6Dは、これらの凍結および非凍結条件に曝された細胞をプレーティングした後の時間(日)にわたる脂肪幹細胞生存率の時間経過を示している。凍結保存溶液の含有のものを、凍結前に10%DMSOに曝露した同じ細胞(凍結)または凍結保護剤なしの切開直後の細胞(フレッシュ)と比較した。
【0192】
実施例7.凍結保存溶液は、切開および凍結/融解後のアポトーシス細胞の数を低減した。
【0193】
凍結保存溶液を使用した場合と使用しない場合の、切開および凍結/融解後の初代肝臓肝細胞のアポトーシスを調査した。(
図7A~7Bの場合、溶液:20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)、5nMの3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、および0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼ。)
図7Aは、本明細書に開示される凍結保存溶液の実施形態に懸濁されたフレッシュな細胞および冷凍細胞からの初期アポトーシス細胞(初代肝臓肝細胞)に対する凍結保護剤の効果の比較を、そのような溶液のない状態で懸濁された細胞(モック)と比較して示す。凍結保存溶液で処理されなかった凍結した細胞(モック)は、凍結前に10%DMSOに懸濁した。カスパーゼ3(緑)は、培養中の初期アポトーシス状態の細胞を標識化する。
図7Bは、本明細書に開示される凍結保存溶液の実施形態に懸濁されたフレッシュなまたは凍結および融解された細胞における、またはそのような溶液の不在下(モック)における、アネキシンV標識によって定義されるアポトーシス細胞の数を示す。凍結保存溶液の添加により、アポトーシス細胞の数が低減した。
【0194】
実施例8.凍結保存溶液は、切開および凍結/融解後の壊死細胞の数を低減した。
【0195】
本明細書に開示される、凍結保存溶液の実施形態の存在下または不在下で懸濁された皮質ニューロン細胞の切開および凍結/融解後の壊死を調査した。(
図8A~8Bの場合、溶液:20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)、5nMの3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、および0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼ。)
【0196】
図8Aは、本明細書で開示される凍結保存溶液の実施形態で懸濁されたフレッシュおよび冷凍細胞の溶液からの壊死細胞の存在の比較を、そのような溶液の不在下で懸濁された細胞と比較して示す。抗シクロフィリン抗体は、培養の初期アポトーシス状態の細胞を標識化する。
図8Bは、凍結保存溶液の実施形態中でまたはそのような溶液の不在で行われた切開後の壊死細胞の割合を示す。凍結保存溶液の添加により、壊死細胞の数を低減した。
【0197】
実施例9.凍結保存溶液は、従来の凍結保護剤であるDMSOと比較して、切開および凍結/融解後の活性酸素種(ROS)の生成を低減した。
【0198】
本発明の凍結保存溶液(溶液)対、従来の凍結保護剤(DMSO)に関して、切開および凍結/融解後の皮質ニューロン組織における活性酸素種(ROS)(マーカーとしてのNox1)の生成を調査した。(
図9A~9Bの場合、溶液:20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)、5nMの3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、および0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼ。)
【0199】
図9Aは、フレッシュな(生理食塩水のみ中で切開され、凍結していない)ニューロン、凍結保存液で切開されたフレッシュなニューロン(フレッシュ+溶液)、本明細書で開示される凍結保存液の実施形態に懸濁中に凍結され、その後融解された(凍結+溶液)ニューロン、または従来の凍結保護剤(10%DMSO、ジメチルスルホキシド)の存在下で同様に処理したニューロン(凍結)におけるNox1染色を示す。フレッシュなまたは融解したニューロンをプレーティングし、接着後固定し、4時間標識化させた。NADPHオキシダーゼ(Nox1)は、細胞内のROSを標識化する。皮質ニューロン(グリアではない)のNeuN染色。
図9Bは、切開直後の皮質ニューロン組織のみ(フレッシュ、青色バー)、本明細書に開示される凍結保存溶液の実施形態の懸濁液中で切開されたフレッシュな皮質ニューロン組織(フレッシュ+溶液、赤色バー)、本明細書に開示される凍結保存溶液の実施形態中に懸濁して冷凍細胞(凍結+溶液、黄色バー)で次いで融解されたもの、または10%DMSOの存在下で凍結し、次いで融解した細胞(緑色バー)、におけるROS生成(Nox1強度)を示す。本発明の凍結保存溶液(溶液)の添加により、従来の凍結保護剤であるDMSOに対してROSの発生を低減した。
【0200】
実施例10.凍結保存溶液は、従来の凍結保護剤であるDMSOよりもはるかに多くの運動ニューロンマーカーの神経細胞系を保存した。
【0201】
本発明の凍結保存溶液と従来の凍結保護剤であるDMSOとの比較として、運動ニューロンマーカーの神経細胞系の保存(MN幹細胞同一性)を調査した。(
図10A~10Bの場合、溶液:20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)、5nMの3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、および0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼ。)
図10Aは、本明細書に開示される凍結保存溶液の存在下または不在下(10%DMSOのみ)での、凍結前または後のニューロンの顕微鏡写真を示す。
図10Bは、従来の凍結保存溶液(10%DMSO)および本明細書に開示される凍結保存溶液の実施形態(「凍結後組成物」)での凍結前後の細胞における運動ニューロン細胞の同一性(CHAT1陽性、S100陽性免疫蛍光シグナルの存在によって測定)。従来の凍結保存溶液であるDMSOを使用した後よりも組成物溶液を使用した後の方が、MN幹細胞の同一性が保存された。運動ニューロンマーカーの神経細胞系は、従来の凍結保護剤(10%DMSO)を使用する場合よりも、組成物溶液と比較して大幅に保存されていた。
【0202】
実施例11.凍結保存溶液は、凍結/融解後の肝細胞活性を保存した。
【0203】
凍結/融解後の肝細胞活性に対する凍結保存溶液の効果を、フレッシュな試料と比較して調査した。(
図11A~11Bの場合、溶液:20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)、5nMの3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、および0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼ。)
【0204】
図11Aは、本明細書に開示される凍結保存溶液の存在下または不在下(フレッシュ、凍結していない)でインキュベートされた、フレッシュな肝臓細胞と凍結された肝臓細胞(青色染色)であって、および固定前に短時間ガラクトサミンで刺激されず(-ガラクトサミン)またはガラクトサミンで刺激され、ガラクトサミン誘発転写の一般的な尺度としての、抗体結合ウリジン(赤い染色)で染色しているものの比較を示す。
図11Bは、本明細書に開示される凍結保存溶液の実施形態に懸濁されたフレッシュな細胞および冷凍細胞における肝細胞転写活性の比較を示し、細胞が本明細書に開示される凍結保存溶液の存在下で維持される場合、肝細胞活性は、凍結/融解後も同様である。バーは、抗体結合ウリジン染色の尺度である(任意単位)。初代マウス肝細胞(肝細胞)は、切開直後の組織と比較して、組成物溶液の存在下での凍結/融解後に同様の生理学的特性を示す。
【0205】
実施例12.凍結保護効果に関するいくつかのネクロスタチンの類似体の比較。
【0206】
いくつかのネクロスタチンの類似体が調査され、凍結/融解後の凍結保護効果において同様に機能することがわかった。
図12は、様々なネクロスタチンを含む凍結保存溶液の効果を示している。ネクロスタチン(Nec1(赤色バー)、Nec2(黄色バー)、Nec3(緑色バー)の存在は、従来の凍結保護剤(10%DMSO)で凍結保存された対照細胞(ビヒクル、青色バー)と比較して、初代マウス皮質ニューロン細胞の生存率を有意に高めた。様々なネクロスタチンの濃度は20nMであり、「溶液」の他の成分は同じままであり、すなわち、5nMの3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、および0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼである。
【0207】
実施例13.凍結保存溶液は、肝細胞のネクロトーシスマーカーを阻害した。
【0208】
初代マウス肝細胞(肝細胞)におけるネクロトーシスマーカーの発現を、本発明の凍結保存溶液または従来の凍結保存溶液DMSOのいずれかにおいて凍結化の前後で調査した。(ここで使用した凍結保存溶液は、20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)、5nMの3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、および0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼである。)
【0209】
図13Aは、従来の凍結保存溶液(10%DMSO)および本明細書に開示される凍結保存溶液の実施形態(「組成物凍結」)における凍結前後の初代マウス肝細胞(肝細胞)の画像を示す。ここの細胞は、ネクロトーシスのマーカーとしてHMBG1(緑色)を認識する抗体で染色している。
図13Bは、10%DMSO(「DMSO凍結」)と比較して、本明細書に開示される凍結保存溶液の実施形態の細胞懸濁液においてネクロトーシスマーカーが有意に阻害されたことを示す。
【0210】
実施例14.ネクロトーシス誘発THP-1細胞におけるTNF-α産生は、凍結保存溶液を使用すると有意に減少した。
【0211】
ネクロトーシス誘発THP-1細胞におけるNF-α産生を、凍結保存溶液(EVERGREEN(商標)媒体溶液:20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)、5nMの3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、および0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼ、EVERLAST(商標)に関して調査した。手短に言えば、壊死細胞溶解物が最初に生成され、THP-1細胞サイトカイン産生のアッセイで使用された。THP-1細胞を取り、1mlあたり100万細胞で、完全培地(RPMI 1640、2mMのグルタミン、10%ウシ胎仔血清、100U/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシンを補充)の60mmディッシュで培養し、および0.5μg/mlのLPSで刺激することにより、壊死細胞溶解物を生成した。約12時間後、細胞を収集し、PBSで短時間に(10倍の容量で2回)洗浄し、100万細胞/mLで完全培地に再懸濁した。次に、これらの細胞を、液体窒素で繰り返し凍結(5~6サイクル)し、37℃まで融解することにより、壊死を誘導するために使用した。15K R.P.M.(24Kxg)、4°Cで20分間遠心分離することによりライセートを作製し、新たな培地で50%の体積/体積比で培養したばかりのTHP-1細胞に加えた。この培地に、最大のサイトカイン産生のために0.5μg/mLのLPSも添加した。製造業者のプロトコルに従って、ELISAキット(R&D Systems、ミネソタ州ミネアポリス)を使用して、培養上清中のTNF-αおよびIL-6タンパク質濃度を測定した。各試料は、標準として知られているサイトカインタンパク質測定値を参考にして、二重にアッセイされた。データは、3つの独立した実験の平均+平均の標準誤差(S.E.M)である。p値はスチューデントT検定を使用して計算された。
【0212】
THP-1細胞を培養し、リポ多糖(LPS)と組み合わせた壊死性細胞ライセートにより誘発して炎症誘発性サイトカインを産生させた後のTNF-αのTELISAアッセイの結果。
図14は、モック刺激(1-3)後の、LPS刺激のみ(4-6)後の、凍結保存プロトコルで使用されるEVERGREEN(商標)媒体溶液の10%活性レベルの存在下でのLPS刺激(7-9)後の、凍結保存プロトコルで使用されるEVERGREEN(商標)媒体溶液の100%活性レベルの存在下でのLPS刺激(10-12)後の、TNF-αレベル(pg/mL)を示す。(*)モック(1-3)とLPS単独(4-6)間、およびLPS単独(4-6)とLPS+10%EVERGREEN(商標)媒体溶液(7-9)間の有意差(p<0.01)。(**)LPS単独(4-6)とLPS+100%EVERGREEN(商標)媒体溶液(10-12)間の有意差(p<0.001)。
【0213】
ネクロトーシス誘発THP-1細胞におけるTNF-α産生は、本発明のEVERGREEN(商標)凍結保存溶液により有意に減少した。
【0214】
実施例15.ネクロトーシス誘発THP-1細胞におけるIL-6産生は、凍結保存溶液を使用すると有意に減少した。
【0215】
ネクロトーシス誘発THP-1細胞におけるIL-6産生を、本発明の凍結保存溶液(EVERGREEN(商標)媒体溶液:20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)、5nMの3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、および0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼ;EVERLAST(商標)の効果に関して調査した。
【0216】
手短に言えば、壊死細胞溶解物が最初に生成され、THP-1細胞サイトカイン産生のアッセイで使用された。THP-1細胞を取り、1mlあたり100万細胞で、完全培地(RPMI 1640、2mMのグルタミン、10%ウシ胎仔血清、100U/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシンを補充)の60mmディッシュで培養し、および0.5μg/mlのLPSで刺激することにより、壊死細胞溶解物を生成した。約12時間後、細胞を収集し、PBSで短時間に(10倍の容量で2回)洗浄し、100万細胞/mLで完全培地に再懸濁した。次に、これらの細胞を、液体窒素で繰り返し凍結(5~6サイクル)し、37℃まで融解することにより、壊死を誘導するために使用した。15K R.P.M.(24Kxg)、4°Cで20分間遠心分離することによりライセートを作製し、新たな培地で50%の体積/体積比で培養したばかりのTHP-1細胞に加えた。この培地に、最大のサイトカイン産生のために0.5μg/mLのLPSも添加した。製造業者のプロトコルに従って、ELISAキット(R&D Systems、ミネソタ州ミネアポリス)を使用して、培養上清中のTNF-αおよびIL-6タンパク質濃度を測定した。各試料は、標準として知られているサイトカインタンパク質測定値を参考にして、二重にアッセイされた。データは、3つの独立した実験の平均+平均の標準誤差(S.E.M)である。p値はスチューデントT検定を使用して計算された。
【0217】
THP-1細胞を培養し、リポ多糖(LPS)と組み合わせた壊死性細胞ライセートにより誘発して炎症誘発性サイトカインを産生させた後の、IL-6のELISAアッセイの結果。
図15は、(1~3)モック刺激後、(4~6)LPS刺激のみ後、(7~9)凍結保存プロトコルで使用されるEVERGREEN(商標)媒体溶液の10%活性レベルの存在下でのLPS刺激後、(10~12)凍結保存プロトコルで使用されるEVERGREEN(商標)媒体溶液の100%活性レベルの存在下でのLPS刺激後、測定されたIL-6レベル(pg/mL)を示す。(*)モック(1~3)とLPS単独(4~6)間、およびLPS単独(4~6)とLPS+10%EVERGREEN(商標)媒体溶液(7~9)間の有意差(p<0.01)。(**)LPS単独(4~6)とLPS+100%EVERGREEN(商標)媒体溶液(10~12)間の有意差(p<0.001)。
【0218】
ネクロトーシス誘発THP-1細胞におけるIL-6産生は、本発明のEVERGREEN(商標)凍結保存溶液により有意に減少した。
【0219】
実施例16.凍結保存溶液を使用するIL-6サイトカイン放出測定の一貫性。
【0220】
本発明の凍結保存溶液EVERGREEN(商標)媒体溶液:20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)、5nMの3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、および0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼ;EVERLAST(商標)は、サイトカイン放出測定において有意な一貫性をもたらした(
図16)。変動率は、各(3回)実験(n=3)のパーセント誤差を平均し、各群(10%EVERGREEN(商標)、100%EVERGREEN(商標)で刺激された)の変動率を、モック(対照)刺激群の変動性に対する比率として表すことで計算された。これにより、EVERGREEN(商標)を使用しない場合(10%と100%の両方のレベルで)変動性が約100%増加する。
【0221】
実施例17.本発明の凍結保存溶液を用いた場合、従来の凍結保存溶液を用いた場合よりも、凍結/融解後のニューロンの生存率の一貫性が高い。
【0222】
本発明の凍結保存溶液EVERGREEN(商標)媒体溶液:20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)、5nMの3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、および0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼ;EVERLAST(商標)は、従来の凍結保存溶液であるDMSOと比較して、凍結/融解後に有意に一貫した高いニューロン生存率をもたらした(
図17)。EVERGREEN(商標)媒体溶液を使用して、ジメチルスルホキシド(DMSO)と比較して、マウスの初代海馬ニューロンを凍結し、融解後の生存率を測定してプロットした。5つの独立した実験を測定した。
【0223】
実施例18.従来の凍結保存溶液と比較した、本発明の凍結保存溶液による凍結融解後の神経細胞生存率の一貫性。
【0224】
本発明の凍結保存溶液EVERGREEN(商標)媒体溶液:20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)、5nMの3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、および0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼ;EVERLAST(商標)は、従来の凍結保存溶液であるDMSOと比較して、凍結/融解後の神経細胞の生存率に有意な一貫性をもたらした(
図18)。変動率は、各実験の平均値(n=5)を計算し、各群の個々の測定値を、個々の値の平均値に対する比率として表すことによって計算した。これから、パーセント偏差が計算され、平均に対する比率として表された。これにより、EVERGREEN(商標)媒体溶液を使用しない場合、変動性が約300%増加する。
【0225】
実施例19.本発明の凍結保存溶液を用いて、神経細胞活動を凍結融解後も維持した。
【0226】
本発明の凍結保存溶液EVERGREEN(商標)媒体溶液:20nMの5-((7-クロロ-1H-インドール-3-イル)メチル)-3-メチル-2,4-イミダゾリジンジオン)、5nMの3,6-ジブロモ-a-(1-ピペラジニルメチル)-9H-カルバゾール-9-エタノール二塩酸塩、0.05mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、0.01μMのアデノシン三リン酸(ATP)、0.01μMのシクロスポリンA、および0.1クニッツ単位のマンガンスーパーオキシドジスムターゼ;EVERLAST(商標)における凍結融解の効果を神経細胞活動について調査した。
【0227】
簡単に言えば、海馬ニューロンを切開直後(前)か、エバーグリーン媒体とともに凍結し、48~72時間後に融解し(後)、インビトロで培養液に入れた。インビトロで17~19日後のニューロン培養物をZeiss Axiozoomステージ上の記録チャンバーに入れ、標準的な記録媒体で洗浄した。ニューロンは、130mMのK-グルコン酸、pH7.3、10mMのKCl、0.1mMのEGTA、5mMのNaCl、10mMのHEPES、0.3mMのナトリウムGTP、および5mMのホスホクレアチン、1mMのMg-ATP(範囲5~10MΩ抵抗)を含むパッチクランプピペットで記録された。シグナルはAxoPatch 200A/AxoClamp2アンプで増幅され、pClamp8で記録された。
【0228】
図19Aは、切開直後のマウス脳からの海馬ニューロンを示し、全細胞電流クランプ(静止膜電位で)の記録が培養におけるネットワーク活動を示していることを示す。縦棒は20ミリボルト(mV)の大きさを表し、横棒は2秒(秒)の記録を表する。
図19Bは、EVERGREEN(商標)媒体溶液を使用する凍結/融解後の切開直後のマウス脳からの海馬ニューロンを示し、全細胞電流クランプ(静止膜電位で)の記録が培養におけるネットワーク活動を示す。縦棒は20ミリボルト(mV)の大きさを表し、横棒は2秒(秒)の記録を表する。
図19Cは、活動電位放電の平均頻度を示す電流クランプデータの5分の記録間隔にわたる累積度数を示す。値は、少なくとも4つの独立した実験の平均+SE(標準誤差)であり、EVERGREEN(商標)媒体溶液を使用する凍結/融解の前または後のどちらでも統計的に有意差(p>0.7、スチューデントのt検定)はない。
【0229】
図19Dは、切開直後のマウス脳からの海馬ニューロンを示し、全細胞電圧クランプ(約60mVで)の記録が培養におけるネットワーク活動を示す。縦棒は200ピコアンペア(pA)の大きさを表し、横棒は2秒(秒)の記録を表する。
図19Eは、EVERGREEN(商標)媒体溶液を使用する凍結/融解後の切開直後のマウスの脳からの海馬ニューロンを示し、全細胞電圧クランプ(約60mVで)の記録が培養におけるネットワーク活動を示す。縦棒は200ピコアンペア(pA)の大きさを表し、横棒は2秒(秒)の記録を表する。
図19Fは、活動電位放電の平均頻度を示す電圧クランプデータの5分の記録間隔にわたる累積度数を示す。値は、少なくとも4つの独立した実験の平均+SE(標準誤差)であり、EVERGREEN(商標)媒体溶液を使用する凍結/融解の前または後のどちらでも、統計的に有意差(p>0.8)はない。
【0230】
図19Gは、EVERGREEN(商標)媒体溶液を使用する凍結/融解の前(左のトレース、切開直後の)と後(右のトレース)の両方での隣接する2つの結合した海馬ニューロンからの、静止電位での電流クランプモードで示される誘発シナプス前活動電位(下のトレース)と、シナプス後興奮性シナプス応答(上のトレース)(下のシナプス前ニューロンからの軸索の終わりに黒い丸として概略図の左側に示されている)を示す。ここでは、興奮性シナプス後電流(EPSC)は、処理間で統計的に異ならない(実測値、71+/-23pA前、対76+/-28pA後)。n=19~22のニューロンからの代表的なトレース、各処理について少なくとも3つの独立した実験(p>0.7、スチューデントのt検定)。縦棒は、電流クランプされたニューロン(シナプス前、下のトレース)の20ピコアンペア(pA)の大きさと興奮性シナプス応答(シナプス後、上のトレース)の20ミリボルト(mV)を表し、水平バーは、20ミリ秒(ms)の記録を表す。
図19Hは、EVERGREEN(商標)媒体溶液を使用する凍結/融解の前(黒丸)と後(白丸)の両方の19個の海馬ニューロン(パートGで測定)のシナプス後応答に対するシナプス前(前/後)の誘発活動電位の振幅比を示す。EVERGREEN(商標)媒体溶液を使用する凍結/融解前後のニューロンの平均比率は統計的に異ならない(p>0.7、スチューデントのt検定)(凍結/融解前の平均値71+/-23pA対、凍結/融解後の平均値76+/-28pA)。X値は、各処理のニューロン数に対応する。
【0231】
したがって、海馬ニューロンは、エバーグリーン媒体溶液を使用する凍結/融解前(切開直後)と後と区別できない生理学的特性を示す。胎生17~19日のニューロンのパッチクランプは、自発的および誘発されたニューロン活動の両方からの電流および電圧プロファイルを示す。
【0232】
特定の実施形態の前述の説明は、本発明の一般的な性質を完全に明らかにするので、他の人は、現在の知識を適用することにより、過度の実験なしに、および一般的な概念から逸脱することなく、そのような特定の実施形態の様々な用途に容易に変更および/または適合することができる。したがって、そのような適合および変更は、開示された実施形態の均等物の意味および範囲内で理解されるべきであり、そのように意図されている。本明細書で使用される表現または用語は、説明を目的としたものであり、限定を目的としたものではないことを理解されたい。開示された様々な機能を実行するための手段、材料、およびステップは、本発明から逸脱することなく、様々な代替形態をとることができる。