(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】ランキンサイクル装置
(51)【国際特許分類】
F01K 25/10 20060101AFI20241127BHJP
【FI】
F01K25/10 P
(21)【出願番号】P 2021001248
(22)【出願日】2021-01-07
【審査請求日】2023-11-15
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「未利用熱エネルギーの革新的活用技術研究開発」に係る委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004314
【氏名又は名称】弁理士法人青藍国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100202201
【氏名又は名称】兒島 淳一郎
(72)【発明者】
【氏名】倉本 哲英
(72)【発明者】
【氏名】本間 雅也
【審査官】佐々木 淳
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-164379(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111811172(CN,A)
【文献】特開2015-082829(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01K 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ、蒸発器、分岐部、膨張機、合流部、凝縮器、流量調整器及び冷却室を備え、
作動流体が流れる流体流路が構成され、
前記流体流路は、
前記ポンプ、前記蒸発器、前記分岐部、前記膨張機、前記合流部及び前記凝縮器がこの順で並ぶ循環流路と、
前記分岐部と前記合流部とを接続し、前記流量調整器が設けられたバイパス流路と、を有し、
前記流体流路のうち前記蒸発器から前記分岐部を経由して前記流量調整器に至る部分を特定流路と定義したとき、前記冷却室は前記特定流路に設けら
れ、
前記冷却室は、タンクであり、
前記冷却室の内部空間の下端は、前記凝縮器の内部空間の上端よりも低い位置にある、
ランキンサイクル装置。
【請求項2】
前記冷却室は、前記バイパス流路のうち前記流量調整器よりも上流側の部分に設けられている、
請求項1に記載のランキンサイクル装置。
【請求項3】
前記冷却室の
前記内部空間の
前記下端は、前記膨張機の内部空間の下端よりも低い位置にある、
請求項1又は2に記載のランキンサイクル装置。
【請求項4】
ポンプ、蒸発器、分岐部、膨張機、合流部、凝縮器、流量調整器及び冷却室を備え、
作動流体が流れる流体流路が構成され、
前記流体流路は、
前記ポンプ、前記蒸発器、前記分岐部、前記膨張機、前記合流部及び前記凝縮器がこの順で並ぶ循環流路と、
前記分岐部と前記合流部とを接続し、前記流量調整器が設けられたバイパス流路と、を有し、
前記流体流路のうち前記蒸発器から前記分岐部を経由して前記流量調整器に至る部分を特定流路と定義したとき、前記冷却室は前記特定流路に設けられ、
ファンをさらに備え、
前記凝縮器及び前記冷却室が設けられた媒体流路が構成され、
前記媒体流路では、前記ファンにより冷却媒体の流れが形成される
、
ランキンサイクル装置。
【請求項5】
前記冷却室は、前記媒体流路のうち前記凝縮器よりも下流側の部分に設けられている、
請求項
4に記載のランキンサイクル装置。
【請求項6】
ポンプ、蒸発器、分岐部、膨張機、合流部、凝縮器、流量調整器及び冷却室を備え、
作動流体が流れる流体流路が構成され、
前記流体流路は、
前記ポンプ、前記蒸発器、前記分岐部、前記膨張機、前記合流部及び前記凝縮器がこの順で並ぶ循環流路と、
前記分岐部と前記合流部とを接続し、前記流量調整器が設けられたバイパス流路と、を有し、
前記流体流路のうち前記蒸発器から前記分岐部を経由して前記流量調整器に至る部分を特定流路と定義したとき、前記冷却室は前記特定流路に設けられ、
筐体と、
少なくとも1つの仕切りと、をさらに備え、
前記仕切りは、前記筐体の内部空間を複数の収容空間に仕切り、
前記複数の収容空間から選択される1つの収容空間に、前記冷却室及び前記凝縮器が収容されている
、
ランキンサイクル装置。
【請求項7】
ポンプ、蒸発器、分岐部、膨張機、合流部、凝縮器、流量調整器及び冷却室を備え、
作動流体が流れる流体流路が構成され、
前記流体流路は、
前記ポンプ、前記蒸発器、前記分岐部、前記膨張機、前記合流部及び前記凝縮器がこの順で並ぶ循環流路であって、気液分離器が設けられていない循環流路と、
前記分岐部と前記合流部とを接続し、前記流量調整器が設けられたバイパス流路と、を有し、
前記流体流路のうち前記蒸発器から前記分岐部を経由して前記流量調整器に至る部分を特定流路と定義したとき、前記冷却室は前記特定流路に設けられ、
前記冷却室は、前記バイパス流路のうち前記流量調整器よりも上流側の部分に設けられ、
前記冷却室の内部空間の下端は、前記膨張機の内部空間の下端よりも低い位置にある、
ランキンサイクル装置。
【請求項8】
前記流体流路のうち前記冷却室から前記合流部を経由して前記凝縮器に至る部分を接続流路と定義したとき、前記凝縮器の内部空間の上端は、前記接続流路の上端よりも高い位置にある、
請求項1から
7のいずれか一項に記載のランキンサイクル装置。
【請求項9】
前記冷却室の内容積及び前記凝縮器の内容積の合計は、前記蒸発器の内容積よりも大きい、
請求項1から
8のいずれか一項に記載のランキンサイクル装置。
【請求項10】
前記冷却室の熱容量は、前記蒸発器の熱容量の10%以上である、
請求項1から
9のいずれか一項に記載のランキンサイクル装置。
【請求項11】
前記循環流路のうち前記蒸発器から前記分岐部を経由して前記膨張機に至る部分の少なくとも一部において、配管が延びており、
前記配管は、断熱材で覆われており、
前記冷却室を構成する部材の熱伝導率は、前記断熱材の熱伝導率よりも大きい、
請求項1から
10のいずれか一項に記載のランキンサイクル装置。
【請求項12】
ランキンサイクル装置の停止方法であって、
前記ランキンサイクル装置は、ポンプ、蒸発器、分岐部、膨張機、合流部、凝縮器、流量調整器及び冷却室を備え、
前記ランキンサイクル装置では、作動流体が流れる流体流路が構成され、
前記流体流路は、
前記ポンプ、前記蒸発器、前記分岐部、前記膨張機、前記合流部及び前記凝縮器がこの順で並ぶ循環流路と、
前記分岐部と前記合流部とを接続し、前記流量調整器が設けられたバイパス流路と、を有し、
前記流体流路のうち前記蒸発器から前記分岐部を経由して前記流量調整器に至る部分を特定流路と定義したとき、前記冷却室は前記特定流路に設けられ、
前記冷却室は、タンクであり、
前記冷却室の内部空間の下端は、前記凝縮器の内部空間の上端よりも低い位置にあり、
前記停止方法は、液相状態のひとつながりの前記作動流体の貯留を前記凝縮器の前記内部空間と前記冷却室の前記内部空間とで分担し、これにより前記ひとつながりの前記作動流体の気液境界を前記凝縮器の前記内部空間に形成することを含む、
停止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ランキンサイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のランキンサイクル装置は、循環流路及びバイパス流路を備える。循環流路は、ポンプ、蒸発器、膨張機及び凝縮器を有する。バイパス流路は、膨張機を迂回する。バイパス流路は、流量調整器を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、信頼性の高いランキンサイクル装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示におけるランキンサイクル装置は、
ポンプ、蒸発器、分岐部、膨張機、合流部、凝縮器、流量調整器及び冷却室を備え、
作動流体が流れる流体流路が構成され、
前記流体流路は、
前記ポンプ、前記蒸発器、前記分岐部、前記膨張機、前記合流部及び前記凝縮器がこの順で並ぶ循環流路と、
前記分岐部と前記合流部とを接続し、前記流量調整器が設けられたバイパス流路と、を有し、
前記流体流路のうち前記蒸発器から前記分岐部を経由して前記流量調整器に至る部分を特定流路と定義したとき、前記冷却室は前記特定流路に設けられている。
【発明の効果】
【0006】
本開示に係る技術によれば、信頼性の高いランキンサイクル装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態1における熱発電システムの構成図
【
図2】ランキンサイクル装置の各構成要素の鉛直方向の位置を説明するための模式図
【
図4】流体流路における作動流体の状態を示すモリエル線図
【
図5】ランキンサイクル装置の基本制御を示すフローチャート
【
図6A】ランキンサイクル装置の停止時における作動流体の状態の説明図
【
図6B】ランキンサイクル装置の起動中における作動流体の状態の説明図
【
図7A】参考例のランキンサイクル装置の停止時における作動流体の状態の説明図
【
図7B】参考例のランキンサイクル装置の起動中における作動流体の状態の説明図
【
図8】流量調整器の直ぐ上流側に位置する配管における作動流体の温度の経時変化を示すグラフ
【
図9A】ランキンサイクル装置の通常制御中における作動流体の状態の説明図
【
図9B】ランキンサイクル装置の停止制御完了後における作動流体の状態の説明図
【
図10A】参考例のランキンサイクル装置の通常制御中における作動流体の状態の説明図
【
図10B】参考例のランキンサイクル装置の停止制御完了後における作動流体の状態の説明図
【
図11】実施の形態2における熱発電システムの構成図
【
図12】実施の形態2における発電ユニットの構成図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見等)
本発明者らが本開示に想到するに至った当時、ランキンサイクル装置についての検討がなされていた。一例に係る従来のランキンサイクル装置は、循環流路及びバイパス流路を備える。循環流路は、ポンプ、蒸発器、膨張機及び凝縮器を有する。バイパス流路は、膨張機を迂回する。バイパス流路は、流量調整器を有する。
【0009】
通常、ランキンサイクル装置の蒸発器に供給される加熱媒体の温度は、冷凍サイクル装置の蒸発器に供給される加熱媒体の温度よりも、大幅に高い。一数値例では、蒸発器に供給される加熱媒体の温度は、冷凍サイクル装置では-10℃から50℃程度であり、ランキンサイクル装置では100℃から200℃程度である。このため、ランキンサイクル装置の蒸発器では、作動流体と加熱媒体とが熱交換することにより、作動流体が高温に加熱され易い。蒸発器で高温に加熱された作動流体は、流量調整器へと流入しうる。
【0010】
ランキンサイクル装置の運転時のみならず停止時にも、蒸発器に高温の加熱媒体が供給されることがある。ランキンサイクル装置が停止しておりかつ蒸発器に高温の加熱媒体が供給されている状況では、蒸発器における作動流体の温度が上昇する。この状況が長期間にわたって続くと、蒸発器における作動流体の温度は、ランキンサイクル装置の運転中に比べて大幅に高くなりうる。
【0011】
ランキンサイクル装置が長期間停止した後にポンプを起動させると、蒸発器の直ぐ下流における作動流体の温度は、急激に上昇してピーク値に至り、その後低下して略安定状態となる。同様に、流量調整器に流入する作動流体の温度は、急激に上昇してピーク値に至り、その後低下して略安定状態となる。本発明者らは、流量調整器に流入する作動流体の温度の上記ピーク値を低いレベルに抑えることにより、流量調整器の信頼性ひいてはランキンサイクル装置の信頼性を確保することを検討した。
【0012】
そして、検討に基づき、本発明者らは、本開示の主題を構成するに至った。本開示は、信頼性の高いランキンサイクル装置を提供できる技術を提供する。
【0013】
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、又は、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
【0014】
添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0015】
(実施の形態1)
以下、
図1から
図10Bを用いて、実施の形態1を説明する。
【0016】
[1-1.構成]
図1は、本実施の形態における熱発電システム100の構成図である。熱発電システム100は、熱流路40及びランキンサイクル装置50を備える。ランキンサイクル装置50は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する。
【0017】
熱源30は、加熱媒体Gを生成する。熱流路40は、加熱媒体Gをランキンサイクル装置50に供給する。本実施の形態では、熱源30は、工場等の設備である。加熱媒体Gは、設備から排出される排ガスである。熱流路40は、例えばダクト等により構成されうる。
【0018】
ランキンサイクル装置50は、流体流路14を備える。流体流路14には、作動流体が充填されている。流体流路14において、作動流体が流れる。流体流路14は、循環流路15及びバイパス流路16を備える。
【0019】
本実施の形態では、作動流体は、有機作動流体である。具体的には、作動流体は、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)系の作動流体である。HFO系の作動流体は、HFOを含む作動流体を意味する。作動流体におけるHFOの含有率は、例えば50質量%以上であり、80質量%以上であってもよい。HFOとしては、HFO1336mzz(Z)、HFO1336mzz(E)、これらの混合物等が例示される。作動流体として、HFOを含まない公知の作動流体を採用することもできる。
【0020】
ランキンサイクル装置50は、ポンプ1、蒸発器2、分岐部81、膨張機3、合流部82及び凝縮器4を備える。循環流路15において、ポンプ1、蒸発器2、分岐部81、膨張機3、合流部82及び凝縮器4がこの順に並んでいる。ポンプ1、蒸発器2、膨張機3及び凝縮器4は、配管によって環状に接続されている。
【0021】
バイパス流路16は、膨張機3を迂回する流路である。バイパス流路16は、循環流路15における膨張機3の入口側の部分と循環流路15における膨張機3の出口側の部分とを接続している。具体的には、バイパス流路16は、分岐部81において循環流路15から分岐し、合流部82において循環流路15に合流している。分岐部81は、循環流路15における蒸発器2よりも下流側かつ膨張機3よりも上流側に位置する。合流部82は、循環流路15における膨張機3よりも下流側かつ凝縮器4よりも上流側に位置する。
【0022】
ランキンサイクル装置50は、流量調整器5を備える。流量調整器5は、バイパス流路16に設けられている。
【0023】
ランキンサイクル装置50は、冷却室17を備える。流体流路14のうち蒸発器2から分岐部81を経由して流量調整器5に至る部分を、特定流路14xと定義する。このとき、冷却室17は、特定流路14xに設けられている。冷却室17及び流量調整器5は、配管によって接続されている。
【0024】
以下、熱発電システム100の各構成要素について説明する。
【0025】
ポンプ1は、作動流体を加圧して、作動流体を搬送する。本実施の形態では、ポンプ1の回転数は可変である。
【0026】
蒸発器2には、熱源30から加熱媒体Gが供給される。蒸発器2は、加熱媒体Gから熱を受け取り、作動流体に熱を与える。これにより、作動流体は、加熱され、蒸発する。蒸発器2が受け取る熱の量は、加熱媒体Gの温度及び流量に応じて決まる。蒸発器2は、受け取る熱の量が所定範囲に収まるように構成されうる。本実施の形態では、蒸発器2は、フィンアンドチューブ熱交換器である。
【0027】
工場等の設備の稼働中において、設備から排出される加熱媒体Gの温度及び流量は、経時的に大きく変動しない傾向にある。そのため、蒸発器2において、加熱媒体Gの温度及び流量は、概ね安定状態にある。
【0028】
一例では、熱源30は、製品を乾燥させる乾燥工程に用いられる。熱源30は、安定状態に維持される。このようにすれば、各製品の乾燥状態及び品質が均一に保たれうる。また、加熱媒体Gの温度及び流量が安定する。
【0029】
本実施の形態では、加熱媒体Gの温度及び流量が上記のような安定状態をとることを想定して、蒸発器2が設計されている。具体的には、この安定状態において加熱媒体Gから作動流体へと所定量の熱を移動させる熱交換がなされるように、蒸発器2が設計されている。より具体的には、ポンプ1は、外気温度に応じて予め設定された回転数で運転される。この運転がなされているときに、蒸発器2から流出する作動流体の温度が所定温度となり膨張機3に流入する作動流体の状態が所定状態となるように、蒸発器2が設計されている。
【0030】
本実施の形態の蒸発器2では、伝熱管の段数、伝熱管の列数、伝熱管の長さ、フィンのピッチ、フィンの枚数等が適切に設定されている。これらの設定を通じて、加熱媒体Gと作動流体との間の適切な熱交換が実現されうる。
【0031】
膨張機3は、作動流体を膨張させる。これにより、圧力エネルギーが機械エネルギーに変換される。本実施の形態では、膨張機3は、容積型である。容積型の膨張機としては、ロータリ式の膨張機、スクロール式の膨張機等が例示される。
【0032】
ランキンサイクル装置50は、発電機18を備える。膨張機3には、発電機18が接続されている。発電機18は、膨張機3によって回転させられる。これにより、発電機18において発電が行われる。つまり、機械エネルギーが電気エネルギーに変換される。発電機18には、図示しないコンバータが接続されている。コンバータにより、発電機18及び膨張機3の回転数を制御できる。
【0033】
凝縮器4は、作動流体を凝縮させる。具体的には、凝縮器4は、冷却媒体によって作動流体を冷却する。これにより、作動流体が凝縮する。本実施の形態では、凝縮器4は、フィンアンドチューブ熱交換器である。
【0034】
ランキンサイクル装置50は、ファン7を備える。ランキンサイクル装置50では、媒体流路21が構成されている。媒体流路21では、凝縮器4が設けられている。媒体流路21では、ファン7により冷却媒体の流れが形成される。本実施の形態では、冷却媒体は、空気である。媒体流路21は、送風路である。後述の
図3から理解されるように、本実施の形態では、媒体流路21内に、凝縮器4が収容されている。
【0035】
循環流路15は、第1流路15a及び第2流路15bを含む。第1流路15aは、ポンプ1から蒸発器2を経由して膨張機3に至る流路である。第2流路15bは、膨張機3から凝縮器4を経由してポンプ1に至る流路である。
【0036】
典型的には、流量調整器5は、弁である。本実施の形態では、流量調整器5は、可変弁である。可変弁の開度は、0%(全閉)から100%(全開)の間で任意に設定可能である。流量調整器5が可変弁であれば、膨張機3を流れる作動流体の流量とバイパス流路16を流れる作動流体の流量との比率を調整できる。具体的には、本実施の形態では、流量調整器5は、電動式リニア制御弁である。
【0037】
流量調整器5には、冷却室17から作動流体が流入する。冷却室17において、作動流体が冷却されうる。これにより、流量調整器5の信頼性を確保できる。
【0038】
冷却室17は、バイパス流路16のうち流量調整器5よりも上流側の部分に設けられている。ランキンサイクル装置50の通常運転時において、循環流路15を作動流体が循環する。冷却室17の上記配置によれば、通常運転時において冷却室17が原因の圧力損失が生じ難い。このことは、膨張機3の入口及び出口の間の作動流体の圧力差を高める観点から有利である。この圧力差を高めることにより、発電機18による発電電力を大きくできる。
【0039】
典型例では、流体流路14の流路断面積は、冷却室17の外部から冷却室17の入口17aを介して冷却室17の内部空間に入るときに拡大する。流体流路14の流路断面積は、冷却室17の内部空間から冷却室17の出口17bを介して冷却室17の外部に出るときに縮小する。
【0040】
本実施の形態では、冷却室17は、作動流体を貯留しうる。具体的には、冷却室17は、タンクである。冷却室17がタンクである場合、冷却室17の内容積を確保し易い。また、この場合、作動流体を貯留し易い。
【0041】
冷却室17は、冷却室17の入口17aに接続された配管及び冷却室17の出口17bに接続された配管に比べて大きい流路断面積を有する配管であってもよい。冷却室17は、直線状の配管に比べ流路の冗長性を増す配管であってもよい。冗長性を増す配管として、スパイラル状に延びる配管、ジグザグ状に延びる配管、1又は複数の折り返しを含む配管等が例示される。冷却室17は、冷却室17の入口17aと出口17bとの間で並列に延びる複数の配管であってもよい。冷却室17は、フィンが設けられた配管であってもよい。その他、冷却室17は、公知の熱交換器であってもよい。
【0042】
循環流路15のうち蒸発器2から分岐部81を経由して膨張機3に至る部分の少なくとも一部において、配管が延びている。この配管は、断熱材で覆われている。この構成によれば、循環流路15において作動流体が循環しているときに、上記部分において作動流体の温度が下がり難い。このことは、膨張機3の入口及び出口の間の作動流体の圧力差を高める観点から有利である。この圧力差を高めることにより、発電機18による発電電力を大きくできる。
【0043】
典型例では、冷却室17を構成する部材の熱伝導率は、上記断熱材の熱伝導率よりも大きい。この構成によれば、冷却室17内の作動流体の温度が冷却室17の外部の冷却媒体の温度よりも高い場合、冷却室17内の作動流体が冷却され易い。この文脈において、熱伝導率は、25℃の時の値である。本実施の形態では、冷却室17は、断熱材を有さない。冷却室17は、金属を主成分とする配管であってもよく、金属を主成分とするタンクであってもよく、その両方を含んでいてもよい。冷却室17の外部の冷却媒体は、典型的には、空気である。
【0044】
上記断熱材として、ポリウレタン、ポリスチレン、グラスウール、ロックウール等が例示される。上記断熱材は、発泡体でありうる。
【0045】
本実施の形態では、ランキンサイクル装置50は、再熱器6を備える。再熱器6は、第1部分6a及び第2部分6bを含む。第1部分6aは、循環流路15におけるポンプ1よりも下流側かつ蒸発器2よりも上流側の部分である。第2部分6bは、循環流路15における膨張機3よりも下流側かつ凝縮器4よりも上流側の部分である。再熱器6において、第1部分6aを流れる作動流体と第2部分6bを流れる作動流体との間で熱交換が行われる。この熱交換によって、第1部分6aを流れる作動流体の温度が上昇し、第2部分6bを流れる作動流体の温度が低下する。
【0046】
図2は、本実施の形態のランキンサイクル装置50の各構成要素の鉛直方向の位置を説明するための模式図である。
図2では、再熱器6等の図示は省略している。なお、
図2に示す各構成要素の鉛直方向の位置関係は、限定的なものではなく、一例に過ぎない。
【0047】
冷却室17の内部空間の下端は、膨張機3の内部空間の下端よりも低い位置にある。この構成によれば、分岐部81における作動流体が、膨張機3よりも冷却室17へと流れ易い。ここで、「内部空間の下端」は、対象要素の内部に設けられた作動流体が存在しうる空間のうち最も低い部分を指す。
【0048】
上記及び下記の文脈において、「低い位置」、「高い位置」、「同じ高さの位置」、「下端」及び「上端」は、鉛直方向VDに関する位置である。
【0049】
具体的には、冷却室17の入口17aは、膨張機3の入口3aよりも低い位置にある。より具体的には、冷却室17の内部空間の上端が、膨張機3の内部空間の下端よりも低い位置にある。
【0050】
バイパス流路16の少なくとも一部は、膨張機3の内部空間の下端よりも低い位置にある。この構成によれば、膨張機3よりもバイパス流路16に作動流体が流れ易い。具体的には、バイパス流路16の上端は、膨張機3の内部空間の下端よりも低い位置にある。この文脈において、バイパス流路16の少なくとも一部及びバイパス流路16の上端の「流路」は、作動流体が存在しうる空間を指す。
【0051】
分岐部81は、蒸発器2の出口2bと同じ高さの位置又は蒸発器2の出口2bよりも低い位置にある。この構成によれば、蒸発器2から分岐部81に作動流体が流れ易い。
【0052】
冷却室17の入口17aは、分岐部81と同じ高さの位置又は分岐部81よりも低い位置にある。この構成によれば、分岐部81から冷却室17に作動流体が流れ易い。
【0053】
流量調整器5は、冷却室17の出口17bと同じ高さの位置又は冷却室17の出口17bよりも低い位置にある。この構成によれば、冷却室17から流量調整器5に作動流体が流れ易い。
【0054】
合流部82は、流量調整器5と同じ高さの位置又は流量調整器5よりも低い位置にある。この構成によれば、流量調整器5から合流部82に作動流体が流れ易い。
【0055】
凝縮器4の入口4aは、合流部82と同じ高さの位置又は合流部82よりも低い位置にある。この構成によれば、合流部82から凝縮器4に作動流体が流れ易い。
図2の例では、入口4aは、凝縮器4の鉛直方向VDの中心位置よりも高い位置にある。
【0056】
膨張機3の入口3aは、分岐部81と同じ高さの位置又は分岐部81よりも低い位置にある。この構成によれば、分岐部81から膨張機3に作動流体が流れ易い。
【0057】
合流部82は、膨張機3の出口3bと同じ高さの位置又は膨張機3の出口3bよりも低い位置にある。この構成によれば、膨張機3から合流部82に作動流体が流れ易い。
【0058】
流体流路14のうち冷却室17から合流部82を経由して凝縮器4に至る部分を、接続流路14yと定義する。このとき、本実施の形態では、凝縮器4の内部空間の上端は、接続流路14yの上端よりも高い位置にある。厳密には、接続流路14yは、流体流路14のうち冷却室17の出口17bから合流部82を経由して凝縮器4の入口4aに至る部分である。この文脈において、接続流路14yの「流路」は、作動流体が存在しうる空間を指す。
【0059】
本実施の形態では、冷却室17の内部空間の下端は、凝縮器4の内部空間の上端よりも低い位置にある。この構成によれば、冷却室17が、凝縮器4の内部空間に気液境界を形成させることに寄与し易い。この作用は、冷却室17の内部空間の上端が凝縮器4の内部空間の上端よりも低い位置にある場合に、特に発現し易い。また、この作用は、凝縮器4の内部空間の上端が接続流路14yの上端よりも高い位置にある場合に、特に発現し易い。上記の文脈において、「内部空間の上端」は、対象要素の内部に設けられた作動流体が存在しうる空間のうち最も高い部分を指す。
【0060】
なお、
図2の例では、凝縮器4には、液相状態の作動流体及び気相状態の作動流体が貯留されている。つまり、凝縮器4の内部空間において作動流体の気液境界が形成されている。冷却室17には、液相状態の作動流体が貯留されている。
図2の点線DLにより示されているように、凝縮器4の気液境界の高さは、冷却室17における液相状態の作動流体の上端の高さと同じである。
【0061】
図1に戻って、本実施の形態では、ランキンサイクル装置50は、第1圧力センサ8a及び第2圧力センサ8bを備える。第1圧力センサ8aは、第1流路15aに設けられている。第2圧力センサ8bは、第2流路15bに設けられている。具体的には、第1圧力センサ8aは、循環経路15における蒸発器2よりも下流側かつ膨張機3よりも上流側の部分に設けられている。第2圧力センサ8bは、循環経路15における膨張機3よりも下流側かつ再熱器6よりも上流側の部分に設けられている。
【0062】
第1圧力センサ8aは、第1流路15aにおける作動流体の圧力を検出する。第2圧力センサ8bは、第2流路15bにおける作動流体の圧力を検出する。具体的には、第1圧力センサ8aは、膨張機3の入口における作動流体の圧力である入口圧力を検出する。第2圧力センサ8bは、膨張機3の出口における作動流体の圧力である出口圧力を検出する。入口圧力及び出口圧力から、サイクルの高圧とサイクルの低圧との圧力差を特定できる。
【0063】
本実施の形態では、ランキンサイクル装置50は、第1温度センサ9a及び第2温度センサ9bを備える。
【0064】
第1温度センサ9aは、循環経路15における蒸発器2よりも下流側かつ膨張機3よりも上流側の部分における作動流体の温度を検出する。本実施の形態では、第1温度センサ9aは、この部分に設けられている。第1温度センサ9aは、膨張機3の入口における作動流体の温度を検出しうる。
【0065】
第2温度センサ9bは、凝縮器4に供給されるべき冷却媒体の温度を検出する。本実施の形態では、第2温度センサ9bは、外気温度を検出する外気温度センサである。本実施の形態では、第2温度センサ9bは、凝縮器4における冷却媒体の吸い込み部に設けられている。
【0066】
本実施の形態では、ランキンサイクル装置50は、制御装置20を備える。制御装置20は、各センサから取得した信号に基づき、ポンプ1、膨張機3、発電機18、ファン7、流量調整器5等の制御対象を制御する。
【0067】
本実施の形態のランキンサイクル装置50では、発電ユニット60が構成されている。
図3は、実施の形態1における発電ユニット60の構成図である。
【0068】
発電ユニット60は、膨張機3、発電機18、凝縮器4、ファン7、ポンプ1、再熱器6、冷却室17、流量調整器5、制御器20、筐体67及び少なくとも1つの仕切り73を備える。膨張機3、発電機18、凝縮器4、ファン7、ポンプ1、再熱器6、冷却室17、流量調整器5、制御器20及び仕切り73は、筐体67に収容されている。蒸発器3は、発電ユニット60の外部に設けられている。
【0069】
図3の例では、少なくとも1つの仕切り73は、1つの仕切り73である。仕切り73は、筐体67の内部空間を、第1収容空間75と第2収容空間76とに仕切っている。第1収容空間75には、膨張機3、発電機18、ポンプ1、再熱器6、冷却室17、流量調整器5及び制御器20が収容されている。第2収容空間76には、凝縮器4及びファン7が収容されている。第2収容空間76は、媒体流路21を構成している。
【0070】
仕切り73は、例えば、板状の部材である。仕切り73の材料は、金属、樹脂、セラミック等の公知の材料である。仕切り73を構成し得る金属として、鉄、ステンレス、アルミニウム等が挙げられる。
【0071】
一例では、仕切り73は、第1収容空間75と第2収容空間76の間を連通する穴、隙間等の通路が存在しないように、筐体67の内部空間を完全に仕切っている。しかし、部品の配置等の設計上の都合により、第1収容空間75と第2収容空間76とが仕切り73によって完全に隔てられていなくてもよい。
【0072】
筐体67及び仕切り73は、ランキンサイクル装置50の所有物であるとも言える。なお、
図3は、各要素が第1収容空間75と第2収容空間76のいずれに収容されているかを説明するものであって、各要素の鉛直方向VD及び垂直方向の位置を説明することを意図したものではない。
【0073】
[1-2.動作]
図4は、流体流路14における作動流体の状態を示すモリエル線図である。ランキンサイクル装置50が定常運転を行っているとき、作動流体の状態は、
図4に示すモリエル線図に沿って変化する。定常運転は、後述の通常制御に基づく運転に対応しうる。
【0074】
図4において、横軸は、エンタルピである。縦軸は、圧力である。一点鎖線L1は、飽和液線である。二点鎖線L2は、飽和蒸気線である。
【0075】
矢印PUMは、ポンプ1による昇圧を表す。矢印RH1は、再熱器6による加熱を表す。矢印EVは、蒸発器2による加熱を表す。矢印EXは、膨張機3による膨張を表す。矢印RH2は、再熱器6による冷却を表す。矢印CONは、凝縮器4による冷却を表す。これらの矢印が表す作用によって、作動流体の状態は、状態(1)、状態(2)、状態(3)、状態(4)、状態(5)及び状態(6)の順に変化する。
【0076】
状態(1)は、循環流路15における凝縮器4よりも下流側かつポンプ1よりも上流側の部分における作動流体の状態である。状態(1)は、過冷却液の状態である。ブロック矢印SCは、作動流体の過冷却度を模式的に表している。状態(1)は、状態(6)に比べ、エンタルピが低い。
【0077】
状態(2)は、循環流路15におけるポンプ1よりも下流側かつ再熱器6の第1部分6aよりも上流側の部分における作動流体の状態である。状態(2)は、過冷却液の状態である。状態(2)は、状態(1)に比べ、圧力が高い。
【0078】
状態(3)は、循環流路15における再熱器6の第1部分6aよりも下流側かつ蒸発器2よりも上流側の部分における作動流体の状態である。状態(3)は、過冷却液の状態である。状態(3)は、状態(2)に比べ、エンタルピが高い。再熱器6における熱交換量が大きい変形例では、状態(3)は、気液2相の状態である。この変形例では、
図4において、状態(3)の位置は、飽和液線L1の右側となる。
【0079】
状態(4)は、循環流路15における蒸発器2よりも下流側かつ膨張機3よりも上流側の部分における作動流体の状態である。状態(4)は、過熱蒸気の状態である。ブロック矢印SHは、作動流体の過熱度を模式的に表している。状態(4)は、状態(3)に比べ、エンタルピが高い。
【0080】
状態(5)は、循環流路15における膨張機3よりも下流側かつ再熱器6の第2部分6bよりも上流側の部分における作動流体の状態である。状態(5)は、過熱蒸気の状態である。状態(5)は、状態(4)に比べ、圧力及びエンタルピが低い。
【0081】
状態(6)は、循環流路15における再熱器6の第2部分6bよりも下流側かつ凝縮器4よりも上流側の部分における作動流体の状態である。状態(6)は、気液2相の状態である。状態(6)は、状態(5)に比べ、エンタルピが低い。再熱器6における熱交換量が小さい変形例では、状態(6)は、過熱蒸気の状態である。この変形例では、
図4において、状態(6)の位置は、飽和蒸気線L2の右側となる。
【0082】
状態(2)、状態(3)及び状態(4)は、第1流路15aにおける作動流体の状態であり、相対的に高圧の状態である。状態(5)、状態(6)及び状態(1)は、第2流路15bにおける作動流体の状態であり、相対的に低圧の状態である。ブロック矢印PDは、第1流路15aにおける作動流体と第2流路15bにおける作動流体との圧力差を表す。以下、第1流路15aにおける作動流体の圧力を、高圧PHと称することがある。第2流路15bにおける作動流体の圧力を、低圧PLと称することがある。高圧PHと低圧PLの圧力差を、圧力差PDと称することがある。
【0083】
上述の通り、本実施の形態では、ランキンサイクル装置50の構成要素が、制御装置20によって制御される。具体的には、制御装置20は、起動制御、通常制御及び停止制御を行う。起動制御は、ランキンサイクル装置50を起動させるための制御である。通常制御は、ランキンサイクル装置50のサイクルの安定時に行われる制御である。停止制御は、ランキンサイクル装置50を停止させるための制御である。
【0084】
以下、制御装置20が行う制御について、
図5を参照しながら説明する。以下の説明では、各アクチュエータの起動制御における目標回転数を初期目標回転数と称することがある。以下の説明では、アクチュエータは、具体的には、ポンプ1、ファン7及び膨張機3である。
【0085】
図5は、ランキンサイクル装置50の基本制御を示すフローチャートである。
【0086】
ステップS1において、制御装置20は、ランキンサイクル装置50に運転信号が入力されたか否かを判断する。運転信号が入力されている場合、ステップS2に進む。運転信号が入力されていない場合、再度ステップS1が行われる。
【0087】
ステップS2において、制御装置20は、ファン7を所定回転数で所定時間だけ運転する。
【0088】
ステップS2の後、ステップS3において、制御装置20は、第2温度センサ9bの検出値Tcを取得する。上述のとおり、本実施の形態では、第2温度センサ9bは、外気温度センサである。検出値Tcは、外気温度Tairに対応する。
【0089】
ステップS3の後、ステップS4において、制御装置20は、各アクチュエータの初期目標回転数を設定する。具体的には、制御装置20は、外気温度Tairに基づいて、ポンプ1の初期回転数Rp0、ファン7の初期回転数Rf0及び膨張機3の初期目標回転数Re0を設定する。
【0090】
ステップS4の後、ステップS5において、制御装置20は、ランキンサイクル装置50の起動制御を実行する。
【0091】
起動制御において、制御装置20は、流量調整器5の開度を小さくする。具体的には、制御装置20は、流量調整器5の開度を全開(100%)から全閉(0%)まで、徐々に変更する。
【0092】
起動制御において、制御装置20は、ポンプ1の回転数を、ゼロから初期目標回転数Rp0へと制御する。具体的には、制御装置20は、ポンプ1の回転数を、徐々に上昇させる。
【0093】
起動制御において、制御装置20は、膨張機3の回転数を、ゼロから初期目標回転数Re0へと制御する。具体的には、制御装置20は、膨張機3の回転数を、徐々に上昇させる。
【0094】
起動制御において、制御装置20は、ファン7の回転数を、ゼロから初期目標回転数Rf0へと制御する。具体的には、制御装置20は、ファン7の回転数を初期目標回転数Rf0に到達させる。
【0095】
起動制御の初期段階では、分岐部81から膨張機3を経由して合流部82へと流れる作動流体の流量は、実質的にゼロである。作動流体は、バイパス経路16を流れる。具体的には、作動流体は、分岐部81から、冷却室17及び流量調整器5をこの順に経由して、合流部82に流れる。
【0096】
起動制御において、流量調整器5の開度は、全開(100%)から全閉(0%)まで徐々に小さくなる。これにより、バイパス流路16に流れる作動流体の流量が徐々に減少する。一方、膨張機3を流れる作動流体の流量が徐々に増加する。
【0097】
制御装置20は、流量調整器5の開度の制御が完了し、かつ、ポンプ1、ファン7及び膨張機3の回転数が初期目標値に達すると、起動制御を終了させる。
【0098】
起動制御の終了後、ステップS6において、制御装置20は、通常制御を実行する。
【0099】
通常制御において、制御装置20は、流量調整器5の開度を、起動制御で小さくした後の値に維持する。具体的には、制御装置20は、流量調整器5の開度を全閉に維持する。
【0100】
通常制御において、制御装置20は、第1温度センサ9aの検出値Taを取得する。先の説明から理解されるように、検出値Taから、膨張機3の入口における作動流体の温度を検出できる。
【0101】
通常制御において、制御装置20は、検出値Taが所定の目標値となるように、ポンプ1の回転数を制御する。
【0102】
通常制御において、制御装置20は、第1圧力センサ8aの検出値を取得する。この検出値から、膨張機3の入口における作動流体の圧力である入口圧力を検出できる。
【0103】
通常制御において、制御装置20は、第2圧力センサ8bの検出値を取得する。この検出値から、膨張機3の出口における作動流体の圧力である出口圧力を検出できる。
【0104】
通常制御において、制御装置20は、第1圧力センサ8aの検出値から第2圧力センサ8bの検出値を差し引いた差分を計算する。以下では、この差分を、圧力差ΔP1と称することがある。圧力差ΔP1から、高圧と低圧との圧力差PDを把握できる。
【0105】
通常制御において、制御装置20は、膨張機3の目標圧力差ΔP0を設定する。具体的には、膨張機3の目標圧力差ΔP0と外気温度Tairとは予め対応付けられている。制御装置20には、外気温度Tairに対応付けられた目標圧力差ΔP0を選択する。
【0106】
通常制御において、制御装置20は、圧力差ΔP1が目標圧力差ΔP0に追従するように、膨張機3の回転数を制御する。
【0107】
ステップS7において、制御装置20は、ランキンサイクル装置50に停止信号が入力されたか否かを判断する。停止信号が入力されている場合、ステップS8に進む。停止信号が入力されていない場合、再度ステップS7が行われる。
【0108】
ステップ8において、制御装置20は、ランキンサイクル装置50の停止制御を行う。具体的には、流量調整器5を開くとともに、ポンプ1及び膨張機3の回転数を減少させて最終的に停止させる。これにより、ランキンサイクル装置50が停止する。
【0109】
上述の説明から理解されるように、起動制御により、ランキンサイクル装置50が起動する。停止制御により、ランキンサイクル装置50が停止する。以下、起動制御及び停止制御に伴う作動流体の温度、圧力及び状態の変化について、
図6Aから
図10Bを参照しながら説明する。
図6Aから
図10Bでは、再熱器6の図示は省略している。
【0110】
図6Aから
図10Bを参照した説明では、加熱媒体Gは、200℃のガスであるものとする。以下では、ガスである加熱媒体Gを熱源ガスGと表記することがある。外気温度は、16℃であるものとする。
【0111】
まず、起動制御に伴う作動流体の温度、圧力及び状態の変化について、
図6Aから
図8を参照して説明する。
【0112】
起動制御が行われる前には、ランキンサイクル装置50は停止している。
図6Aは、ランキンサイクル装置50の停止時における流体流路14の作動流体の状態を例示する。停止時においては、作動流体は循環していない。
【0113】
図6Aに示す停止時において、蒸発器2における作動流体の温度は、熱源ガスGの温度とほぼ同じである。すなわち、蒸発器2における作動流体の温度は、ほぼ200℃である。
【0114】
発電ユニット60は、蒸発器2から所定距離離れた外気中に設けられている。このため、蒸発器2と発電ユニット60との間の配管における作動流体の温度は、熱源ガスGの温度及び外気温度の両方の影響を受ける。発電ユニット60内における作動流体の温度は、熱源ガスGの温度よりもむしろ外気温度の影響を受け易い。よって、発電ユニット60内における作動流体の温度は、蒸発器2における作動流体の温度に比べ、低温となり易い。なお、この例では蒸発器2と発電ユニット60との間の配管が断熱施工されているが、配管における作動流体の温度は、配管の周囲の温度の影響を受けうる。
【0115】
一数値例では、蒸発器2よりも下流側かつ発電ユニット60よりも上流側に位置する配管における作動流体の温度は、30℃である。分岐部81に位置する配管における作動流体の温度は、16℃である。冷却室17よりも下流側かつ流量調整器5よりも上流側に位置する配管における作動流体の温度は、16℃である。
【0116】
図6Aの例では、蒸発器2における作動流体は、気相状態にある。膨張機3における作動流体は、気相状態にある。ただし、膨張機3における作動流体は、気液2相状態にありうる。冷却室17における作動流体は、液相状態にある。ただし、冷却室17における作動流体は、気液2相状態にありうる。凝縮器4における作動流体は、気液2相状態にある。ただし、凝縮器4における作動流体は、液相状態にありうる。
【0117】
図6Bは、ランキンサイクル装置50の起動制御中における流体流路14の作動流体の状態を例示する。起動制御により、流体流路14の作動流体の状態は
図6Aの状態から
図6Bの状態に変化する。
【0118】
具体的には、起動制御により、ポンプ1が起動する。ポンプ1が起動すると、蒸発器2における作動流体が、分岐部81、冷却室17、流量調整器5、合流部82及び凝縮器4へとこの順に流れる。作動流体の温度は、作動流体が蒸発器2から冷却室17に至る配管を流れている間に低下する。また、作動流体の温度は、作動流体が冷却室17の入口17aから出口17bに流れている間に低下する。
【0119】
一数値例では、蒸発器2よりも下流側かつ発電ユニット60よりも上流側に位置する配管における作動流体の温度は、200℃である。分岐部81に位置する配管における作動流体の温度は、180℃である。冷却室17よりも下流側かつ流量調整器5よりも上流側に位置する配管における作動流体の温度は、160℃である。
【0120】
次に、参考例のランキンサイクル装置55について説明する。ランキンサイクル装置55は、発電ユニット65を有する。以下、ランキンサイクル装置55を参考ランキンサイクル装置55と称し、発電ユニット65を参考発電ユニット65と称することがある。参考発電ユニット65と発電ユニット60の相違点は、参考発電ユニット65は冷却室17を有さない点である。
【0121】
図7Aは、参考ランキンサイクル装置55の停止時における流体流路14の作動流体の状態を例示する。
【0122】
図7Aに示す停止時において、蒸発器2における作動流体の温度は、熱源ガスGの温度とほぼ同じである。すなわち、蒸発器2における作動流体の温度は、ほぼ200℃である。
【0123】
一数値例では、蒸発器2よりも下流側かつ参考発電ユニット65よりも上流側に位置する配管における作動流体の温度は、30℃である。分岐部81に位置する配管における作動流体の温度は、16℃である。流量調整器5の直ぐ上流側に位置する配管における作動流体の温度は、16℃である。
【0124】
上述のとおり、停止時の参考ランキンサイクル装置55における作動流体の温度は、停止時のランキンサイクル装置50における作動流体の温度とほぼ同じである。ただし、参考ランキンサイクル装置55は、ランキンサイクル装置50とは異なり、冷却室17を有さない。このため、参考ランキンサイクル装置55の膨張機3では、ランキンサイクル装置50の膨張機3よりも、作動流体が多くの液相成分を含んでいる。参考ランキンサイクル装置55の凝縮器4では、ランキンサイクル装置50の凝縮器4よりも、作動流体が多くの液相成分を含んでいる。
【0125】
図7Aの例では、膨張機3における作動流体は、液相状態にある。ただし、膨張機3における作動流体は、気液2相状態にありうる。凝縮器4における作動流体は、液相状態にある。ただし、凝縮器4における作動流体は、気液2相状態にありうる。
【0126】
図7Bは、参考ランキンサイクル装置55の起動制御中における流体流路14の作動流体の状態を例示する。起動制御により、流体流路14の作動流体の状態は
図7Aの状態から
図7Bの状態に変化する。
【0127】
具体的には、起動制御により、ポンプ1が起動する。ポンプ1が起動すると、蒸発器2における作動流体が、分岐部81、流量調整器5、合流部82及び凝縮器4へとこの順に流れる。作動流体の温度は、作動流体が配管を流れている間に低下する。
【0128】
一数値例では、蒸発器2よりも下流側かつ参考発電ユニット65よりも上流側に位置する配管における作動流体の温度は、200℃である。分岐部81に位置する配管における作動流体の温度は、180℃である。流量調整器5の直ぐ上流側に位置する配管における作動流体の温度は、180℃である。
図7Bの例では、
図6Bの例に比べ、流量調整器5の直ぐ上流側に位置する配管における作動流体の温度が高い。
【0129】
図8は、流量調整器5の直ぐ上流側に位置する配管における作動流体の温度の経時変化を示すグラフである。以下、この温度を、流量調整器5の入口温度と称することがある。
図8の横軸は、時刻である。
図8において、tpは、起動制御におけるポンプ1の起動開始時刻である。
図8の縦軸は、流量調整器5の入口温度である。
図8の実線は、冷却室17がある場合の流量調整器5の入口温度を示す。つまり、
図8の実線は、
図6A及び
図6Bに示すランキンサイクル装置50に対応する。
図8の点線は、冷却室17がない場合の流量調整器5の入口温度を示す。つまり、
図8の点線は、
図7A及び
図7Bに示す参考ランキンサイクル装置55に対応する。
【0130】
図8から理解されるように、冷却室17が存在することによって、流量調整器5の入口温度のピーク値が抑制される。このことは、冷却室17により、流量調整器5の温度が過度に上昇することが防止され、流量調整器5の信頼性が向上することを意味する。
【0131】
次に、停止制御に伴う作動流体の温度、圧力及び状態の変化について、
図9Aから
図10Bを参照して説明する。
【0132】
図9Aは、ランキンサイクル装置50の通常制御中における流体流路14の作動流体の状態を例示する。通常制御中においては、作動流体は、略安定状態にある。
【0133】
一数値例では、
図9Aに示す通常制御中において、蒸発器2よりも下流側かつ発電ユニット60よりも上流側に位置する配管における作動流体の温度は、120℃である。分岐部81に位置する配管における作動流体の温度は、120℃である。
【0134】
蒸発器2の内部空間、膨張機3の内部空間及び凝縮器4の内部空間のそれぞれは、入口部分と出口部分とを有する。
図9Aの例では、蒸発器2の入口部分における作動流体は、液相状態にある。蒸発器2の出口部分における作動流体は、気相状態にある。膨張機3の入口部分における作動流体は、蒸発器2の出口部分と同様、120℃で気相状態にある。冷却室17における作動流体は、気相状態にある。ただし、冷却室17における作動流体は、気液2相状態にありうる。凝縮器4の入口部分における作動流体は、気相状態にある。ただし、凝縮器4の入口部分における作動流体は、気液2相状態にありうる。凝縮器4の出口部分における作動流体は、液相状態にある。作動流体は、このような状態変化を行いながら、循環流路15を循環している。
【0135】
図9Bは、ランキンサイクル装置50の停止制御完了後における流体流路14の作動流体の状態を例示する。停止制御により、流体流路14の作動流体の状態は
図9Aの状態から
図9Bの状態に変化する。
【0136】
具体的には、停止制御により、流量調整器5が開かれるとともに、ポンプ1及び膨張機3の回転数がゼロへと減少する。これにより、ランキンサイクル装置50が停止する。この停止状態においては、蒸発器2内に存在していた液相状態の作動流体は、熱源ガスGによって加熱される。これにより、作動流体は、一旦気相状態となる。そして、作動流体は、外気雰囲気下に設置された低温の発電ユニット60側へと向かう。
【0137】
冷却室17の内部空間及びバイパス流路16は、膨張機3の内部空間よりも低い位置にある。このため、蒸発器2から分岐部81に到達した作動流体は、膨張機3よりもバイパス流路16へと流れ易い。バイパス流路16に流入した作動流体は、冷却室17において冷却される。このため、冷却室17及び凝縮器4において、作動流体は、液相状態又は気液2相状態で貯留される。
【0138】
図9Bの例では、矢印により示しているように、作動流体の気液境界は、凝縮器4の内部空間に形成されている。気液境界は、気相状態の作動流体と液相状態の作動流体との間の境界である。具体的には、
図2を参照した説明から理解されるように、冷却室17があるため、凝縮器4の内部空間のみならず冷却室17の内部空間にも液相状態の作動流体が貯留されうる。冷却室17の内部空間は、あたかも凝縮器4の内部空間を拡張するかのように作用し、液相状態の作動流体の貯留を凝縮器4の内部空間と分担する。この分担により、冷却室17がない場合に比べ、気液境界が鉛直方向VDの低い位置に形成され易くなる。結果として、気液境界が、蒸発器2に近い位置ではなく、凝縮器4の内部空間に形成され易くなる。
【0139】
外気温度は16℃であり、気液境界が存する凝縮器4の温度は外気温度と同程度まで速やかに冷却される。このため、ランキンサイクル装置50の停止状態においては、作動流体の圧力は、速やかに低下し、作動流体の16℃における飽和圧力に落ち着く。この圧力は、十分に低い。つまり、ランキンサイクル装置50の構成によれば、停止後の配管内部の圧力は、十分に低いレベルまで速やかに低下する。このため、ランキンサイクル装置50の次回起動時に、高圧PHが過度に上昇する事態を招き難い。このように、本実施の形態によれば、ランキンサイクル装置50の信頼性を確保し易い。
【0140】
また、上述のとおり、蒸発器2から分岐部81に到達した作動流体は、膨張機3には流入し難い。このため、膨張機3において液相状態で貯留する事態が生じ難い。このため、ランキンサイクル装置50の次回起動時に、膨張機3内のオイルが液相状態の作動流体と一緒に膨張機3外に流出する事態を招き難い。このように、本実施の形態によれば、膨張機3ひいてはランキンサイクル装置50の信頼性を確保し易い。
【0141】
図10Aは、参考ランキンサイクル装置55の通常制御中における流体流路14の作動流体の状態を例示する。
【0142】
一数値例では、
図10Aに示す通常制御中において、蒸発器2よりも下流側かつ参考発電ユニット65よりも上流側に位置する配管における作動流体の温度は、120℃である。分岐部81に位置する配管における作動流体の温度は、120℃である。
【0143】
図10Aの例では、蒸発器2の入口部分における作動流体は、液相状態にある。蒸発器2の出口部分における作動流体は、気相状態にある。膨張機3の入口部分における作動流体は、蒸発器2の出口部分と同様、120℃で気相状態にある。凝縮器4の入口部分における作動流体は、気相状態にある。ただし、凝縮器4の入口部分における作動流体は、気液2相状態にありうる。凝縮器4の出口部分における作動流体は、液相状態にある。
【0144】
図10Bは、参考ランキンサイクル装置55の停止制御完了後における流体流路14の作動流体の状態を例示する。停止制御により、流体流路14の作動流体の状態は
図10Aの状態から
図10Bの状態に変化する。
【0145】
具体的には、停止制御により、流量調整器5が開かれるとともに、ポンプ1及び膨張機3の回転数がゼロへと減少する。これにより、参考ランキンサイクル装置55が停止する。この停止状態においては、蒸発器2内に存在していた液相状態の作動流体は、熱源ガスGによって加熱される。これにより、作動流体は、一旦気相状態となる。そして、作動流体は、外気雰囲気下に設置された低温の参考発電ユニット65側へと向かう。
【0146】
参考ランキンサイクル装置55では、冷却室17が存在しない。このため、蒸発器2から分岐部81に到達した作動流体は、膨張機3に流入し易い。膨張機3に流入した作動流体は、膨張機3で冷却される。このため、膨張機3において液相状態の作動流体が貯留される事態が生じ易い。
【0147】
図10Bの例では、矢印により示しているように、作動流体の気液境界は、流体流路14における蒸発器2よりも下流側かつ膨張機3よりも上流側に位置する配管に形成されている。
図10Aを参照した説明から理解されるように、通常運転中の当該配管における作動流体の温度は、約120℃である。外気温度は、16℃である。しかし、以下の理由で、参考ランキンサイクル装置55が停止した後直ちに当該配管における作動流体の温度が約120℃から16℃付近まで低下するわけではない。
【0148】
図9Bにおいて気液境界が形成されている凝縮器4は、熱交換器であるため、外気温度によって冷え易い。例えば、凝縮器4は、外気に面している、ファン7により冷却されうる等といった状況にある。その凝縮器4に比べ、
図10Bにおいて気液境界が形成されている上記配管は、冷え難い。典型的には、上記配管は、断熱材に覆われており、作動流体と外気と熱交換がむしろ妨げられるように構成されている。
【0149】
一数値例では、蒸発器2よりも下流側かつ膨張機3よりも上流側に位置する上記配管における作動流体の温度は、約120℃から約80℃まで比較的速やかに下がるが、その後、80℃から16℃付近まで低下するには時間がかかる。このため、参考ランキンサイクル装置55の停止状態においては、作動流体の圧力は、作動流体の約80℃における飽和圧力まではスムーズに低下するが、そこから作動流体の16℃における飽和圧力に下がるまでには時間がかかる。作動流体の約80℃における飽和圧力は、十分に低いとは言えない。つまり、参考ランキンサイクル装置55の構成では、停止後の配管内部の圧力が高い状況が長時間にわたり維持され易い。参考ランキンサイクル装置55の次回起動時までに配管内部の圧力が十分に下がっていない場合には、高圧PHが過度に上昇しうる。このため、参考ランキンサイクル装置55の信頼性は確保し難い。この問題は、蒸発器2の内容積が凝縮器4の内容積よりも大きい場合に、特に発生し易い。
【0150】
また、上述のとおり、蒸発器2から分岐部81に到達した作動流体は、膨張機3に流入し、膨張機3において液相状態で貯留され易い。このため、参考ランキンサイクル装置55の次回起動時に、膨張機3内のオイルが液相状態の作動流体と一緒に膨張機3外に流出し易い。このため、膨張機3の信頼性を確保し難い。
【0151】
本実施の形態では、冷却室17の内容積VT及び凝縮器4の内容積VCの合計は、蒸発器2の内容積VEよりも大きい。停止制御によりランキンサイクル装置50が停止した後に気液境界が形成される位置は、内容積VT、VC及びVEに依存しうる。VT+VC>VEであれば、気液境界が、凝縮器4に形成され易い。このため、ランキンサイクル装置50の停止後において、気液境界における作動流体の温度が外気温度付近まで低下し易い。このため、外気温度付近における飽和圧力へと作動流体の圧力を速やかに低下させることができる。このため、ランキンサイクル装置50の次回起動時に、高圧PHが過度に上昇する事態を招き難い。このため、ランキンサイクル装置50の信頼性を確保し易い。この文脈において、内容積とは、対象要素の内部に設けられた作動流体が存在しうる空間の体積を指す。
【0152】
一例では、内容積VT及び内容積VCの合計は、内容積VEの1倍よりも大きく2倍よりも小さい。このようにすれば、ランキンサイクル装置50の安全性を確保し易い。一具体例では、内容積VT及び内容積VCの合計は、内容積VEの1.5倍程度である。
【0153】
本実施の形態では、冷却室17の熱容量は、蒸発器2の熱容量の10%以上である。冷却室17の熱容量が大きければ、冷却室17において作動流体の温度を低下させ易い。このため、温度が過度に高い作動流体が流量調整器5に流入する事態を回避し易い。なお、冷却室17の熱容量は、冷却室17を構成する部材の材質の比熱と重量との積で算出される。蒸発器2の熱容量は、蒸発器2を構成する部材の材質の比熱と重量との積で算出される。熱量バランス計算によれば、冷却室17の熱容量が蒸発器2の熱容量の10%であれば、流量調整器5に流入する作動流体の温度を、加熱媒体Gの温度の10%程度低下させることができる。この文脈において、比熱は、25℃の時の値である。蒸発器2の全構成部品が、蒸発器2を構成する部材に該当する。例えば、フィン、筐体、管等は、蒸発器2を構成する部材に該当しうる。
【0154】
蒸発器2の材料の主成分として、銅、鉄、ステンレス等の金属が例示される。本実施の形態では、蒸発器2の材料の主成分は、ステンレスである。
【0155】
ここで、主成分は、一例では、50質量%を超える成分である。一具体例では、主成分は、80質量%を超える成分である。
【0156】
冷却室17の材料の主成分として、銅、鉄、ステンレス等の金属が例示される。本実施の形態では、冷却室17の材料の主成分は、ステンレスである。ステンレスの比熱は、銅の比熱よりも鉄の比熱よりも大きい。このため、冷却室17の材料の主成分がステンレスであれば、ランキンサイクル装置50の起動中における流量調整器5の温度上昇を抑制し易い。
【0157】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態のランキンサイクル装置50のバイパス流路16では、流量調整器5よりも上流側に冷却室17が設けられている。冷却室17の内部空間は、膨張機3の内部空間よりも低い位置にある。
【0158】
ランキンサイクル装置50の起動中において、蒸発器2内の作動流体は、高温でありうる。しかし、本実施の形態によれば、作動流体は、冷却室17を通過する際に冷却されうる。このため、流量調整器5に流入する作動流体の温度が過度に上昇することを防止できる。これにより、流量調整器5ひいてはランキンサイクル装置50の信頼性を確保できる。
【0159】
ランキンサイクル装置50の停止後において、蒸発器2内の作動流体は、暫くの間高温に維持されうる。この場合、蒸発器2内に存在していた液相状態の作動流体は、加熱媒体Gによって加熱される。これにより、作動流体は、一旦気相状態となる。そして、作動流体は、蒸発器2から下流側へと向かう。しかし、本実施の形態では、冷却室17は、膨張機3よりも低い位置にある。このため、作動流体は、膨張機3ではなく冷却室17に向かって流れ易い。このため、作動流体は膨張機3に流入し難く、液相状態の作動流体が膨張機3に滞留する事態が生じ難い。このため、ランキンサイクル装置50の次回起動時に、膨張機3内のオイルが液相状態の作動流体と一緒に膨張機3外に流出する事態を招き難い。これにより、膨張機3ひいてはランキンサイクル装置50の信頼性を確保できる。
【0160】
なお、膨張機3の直ぐ上流側に気液分離器を設けることにより液相状態の作動流体が膨張機3に滞留する事態を防止することは可能である。ただし、そのように気液分離器を設けると、ランキンサイクル装置50の通常運転時において循環流路15を作動流体が循環する際に、気液分離器が圧力損失を引き起こす。これに対し、本実施の形態では、循環流路15ではなくバイパス流路16に冷却室17が設けられている。このようにすれば、圧力損失の問題が生じ難い。ただし、本開示は、循環流路15に気液分離器を設けられた形態を排除しない。また、本開示は、バイパス流路16に気液分離器を設けられた形態を排除しない。
【0161】
ランキンサイクル装置50の停止後において、気液境界は、流体流路14のうち蒸発器2よりも下流側に形成されうる。本実施の形態では、凝縮器4の内部空間のみならず冷却室17の内部空間にも液相状態の作動流体が貯留されうる。結果として、気液境界が、蒸発器2に近い位置ではなく、凝縮器4という温度が下がり易い位置に形成され易くなる。このため、外気温度付近における飽和圧力へと作動流体の圧力を速やかに落ち着かせることができる。これにより、ランキンサイクル装置50の次回起動時に、高圧PHが過度に上昇する事態を招き難い。これにより、ランキンサイクル装置50の信頼性を確保できる。
【0162】
本実施の形態では、冷却室17の内容積VT及び凝縮器4の内容積VCの合計が、蒸発器2の内容積VEよりも大きい。このため、凝縮器4及び冷却室17が貯留可能な液相状態の作動流体の量を大きくし易い。このため、気液境界が、蒸発器2に近い位置ではなく、凝縮器4に形成され易い。
【0163】
本実施の形態では、冷却室17の熱容量は、蒸発器2の熱容量の10%以上である。このようにすれば、流量調整器5に流入する作動流体の温度を低下させ易い。このため、流量調整器5に流入する作動流体の温度が過度に上昇することを防止できる。これにより、流量調整器5ひいてはランキンサイクル装置50の信頼性を確保できる。
【0164】
なお、
図6Aから
図10Bで例示した各部の温度は一例に過ぎない。これらの温度は、熱発電システム100の仕様によって変化しうる。熱発電システム100の仕様は、例えば、蒸発器2、凝縮器4、冷却室17の内容積、熱容量等である。
【0165】
以下、他の実施の形態について説明する。先の実施の形態と後の実施の形態とで共通する要素には同じ参照符号を付し、それらの説明を省略することがある。各実施の形態に関する説明は、技術的に矛盾しない限り、相互に適用されうる。技術的に矛盾しない限り、各実施の形態は、相互に組み合わされてもよい。
【0166】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2について、
図11及び
図12を参照しながら説明する。
図11は、実施の形態2における熱発電システム101の構成図である。
図12は、実施の形態2における発電ユニット61の構成図である。
【0167】
[2-1.構成]
実施の形態2のランキンサイクル装置51は、媒体流路21に凝縮器4のみならず冷却室17が設けられている点で、実施の形態1のランキンサイクル装置50と異なる。このことは、以下の理由で、ランキンサイクル装置51の信頼性を確保する観点から有利である。具体的には、冷却室17は、媒体流路21のうち、凝縮器4とファン7の間の部分に設けられている。より具体的には、冷却室17は媒体流路21のうち凝縮器4よりも下流側の部分に設けられており、そのため冷却媒体は凝縮器4に供給されその後冷却室17に供給される。本実施の形態でも、冷却媒体は空気であり、媒体流路21は送風路である。
図12から理解されるように、本実施の形態では、媒体流路21内に、凝縮器4及び冷却室17が収容されている。
【0168】
第1に、冷却室17が媒体流路21に設けられていると、起動制御によりランキンサイクル装置51を起動させるときに、冷却室17をファン7により冷却できる。これにより、冷却室17における作動流体の温度を低下させることができる。このため、流量調整器5に流入する作動流体の温度を低下させることができる。このため、流量調整器5ひいてはランキンサイクル装置51の信頼性を確保できる。
【0169】
第2に、通常制御によりランキンサイクル装置51を運転させているときに、凝縮器4が作動流体との熱交換により冷却されると、凝縮器4近傍の冷却媒体は加熱される。冷却室17が媒体流路21のうち凝縮器4の下流側の部分に設けられていると、上記熱交換により加熱された冷却媒体が、冷却室17へと流れる。これにより、冷却室17が加熱される。このように、通常制御中において、冷却室17は、作動流体を加熱する加熱室として機能しうる。このため、冷却室17において作動流体が液相状態で滞留し難い。このため、ランキンサイクル装置51においてランキンサイクルを維持するのに必要な作動流体の量を抑えることができる。
【0170】
第3に、冷却室17が媒体流路21に設けられていると、停止制御によりランキンサイクル装置50を停止させるときに、冷却室17をファン7により冷却できる。これにより、冷却室17における作動流体の温度を外気温度付近まで速やかに低下させることができる。このため、ランキンサイクル装置51の次回起動時に、高圧PHが過度に上昇する事態を招き難い。例えば、ランキンサイクル装置51の停止から再起動までの期間が短い場合であっても、次回起動時に、高圧PHが過度に上昇する事態を招き難い。また、次回起動時の流量調整器5の温度が過度に上昇する事態を招き難い。このため、ランキンサイクル装置51の信頼性を確保できる。
【0171】
本実施の形態では、停止制御によりポンプ1及び膨張機3を停止させた後に、ファン7の余熱冷却遅延運転を行う。余熱冷却遅延運転では、ファン7が一定時間にわたり回転することにより、凝縮器4の余熱が冷却される。この余熱冷却遅延運転により、冷却室17を冷却できる。
【0172】
本実施の形態では、バイパス流路16における配管の少なくとも一部もまた、媒体流路21に設けられている。このことは、ランキンサイクル装置51の信頼性を確保する観点から有利である。
【0173】
バイパス流路16における分岐部81と冷却室17の間に位置する配管の少なくとも一部は、媒体流路21に設けられうる。バイパス流路16における冷却室17と流量調整器5の間に位置する配管の少なくとも一部は、媒体流路21に設けられうる。
【0174】
本実施の形態では、流量調整器5は、媒体流路21に設けられている。このようにすれば、流量調整器5をファン7により冷却できる。ただし、流量調整器5は、媒体流路21に設けられていなくてもよい。
【0175】
図12に示すように、実施の形態2では、少なくとも1つの仕切り73は、筐体67の内部空間を、複数の収容空間に仕切っている。当該複数の収容空間から選択される1つの収容空間に、冷却室17、流量調整器5及び凝縮器4が収容されている。具体的には、冷却室17、流量調整器5及び凝縮器4は、第1収容空間75ではなく第2収容空間76に収容されている。このため、冷却室17及び流量調整器5は、相対的に高温の膨張機3あるいはその周辺雰囲気からよりも、相対的に低温の凝縮器4あるいはその周辺雰囲気からの影響を受け易い。このため、冷却室17及び流量調整器5の温度は、上昇し難い。流量調整器5の耐熱温度を超える事態が生じ難い。なお、流量調整器5は、第2収容空間76に収容されていてもよく、第1収容空間75に収容されていてもよい。この点は、実施の形態1においても同様である。
【0176】
[2-2.効果等]
実施の形態2では、冷却室17は、媒体流路21に設けられている。このため、ランキンサイクル装置50の起動時に、冷却室17をファン7により冷却でき、流量調整器5に流入する作動流体の温度を低下させることができる。ランキンサイクル装置50の通常運転時に、冷却室17をファン7により加熱でき、このため冷却室17において作動流体が液相状態で滞留し難い。また、ランキンサイクル装置50の停止時に、冷却室17をファン7により外気温度付近まで速やかに冷却できる。このため、ランキンサイクル装置50の停止から再起動までの期間が短い場合であっても、次回起動時に高圧PHが過度に上昇する事態を招き難い。
【0177】
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態を説明した。しかし、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略等を行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0178】
上記実施の形態では、作動流体は、有機作動流体である。ただし、作動流体は、無機作動流体であってもよい。無機作動流体としては、水が例示される。
【0179】
上記実施の形態では、ポンプ1は、回転数可変型である。ただし、ポンプ1は、一定速型であってもよい。
【0180】
上記実施の形態では、膨張機3は、容積型である。ただし、膨張機3は、速度型であってもよい。速度型の膨張機としては、半径流タービン、斜流タービン、軸流タービン等が例示される。
【0181】
上記実施の形態では、凝縮器4は、フィンアンドチューブ熱交換器である。ただし、凝縮器4は、プレート熱交換器、二重管式熱交換器等であってもよい。上記実施の形態では、凝縮器4に流れる冷却媒体は、気体である。ただし、冷却媒体は、液体でもあってもよい。液体の冷却媒体としては、水、ブライン(不凍液)等が例示される。
【0182】
上記実施の形態では、流量調整器5は、可変弁であり、具体的には電動式リニア制御弁である。可変弁である流量調整器5の他の例は、ニードル弁である。また、流量調整器5は、開閉弁であってもよい。開閉弁は、開度が0%及び100%の2値のいずれかに設定される弁を指す。開閉弁として、電動ボールバルブが例示される。電動ボールバルブは、弁の部分と弁前後の配管とで流路断面積の変化が小さい。このため、電動ボールバルブによれば、作動流体を循環させる際の流路抵抗を小さくできる。
【0183】
膨張機3の入口圧力は、蒸発器2における作動流体の蒸発温度から特定してもよい。膨張機3の出口圧力は、再熱器6又は凝縮器4における作動流体の凝縮温度から特定してもよい。
【0184】
ランキンサイクルの状態変化は、
図4に示す態様のものに限定されない。
図4では、配管における圧力損失、配管における放熱損失等の各種の損失が無視されている。現実には、モリエル線図はこれらが反映された形状をとる。
【0185】
ポンプ1の初期目標回転数Rp0、ファン7の初期目標回転数Rf0、膨張機3の初期目標回転数Re0及び膨張機3の目標差圧ΔP0を、外気温度及び別のパラメータに依存させることも可能である。別のパラメータの例は、蒸発器2に流入する加熱媒体Gの温度の検出値である。この検出値は、第2温度センサ9bによって得られる。Rp0、Rf0、Re0及びΔP0を第2温度センサ9bの検出値に応じて細かく設定することにより、ランキンサイクル装置50の運転効率が向上しうる。
【0186】
外気温度と蒸発器2に流入する加熱媒体Gの温度との両方を考慮して各アクチュエータの目標値を設定することにより、ランキンサイクル装置50の運転効率が更に向上しうる。加熱媒体Gの温度に限らず、加熱媒体Gの風量、風速等を併せて考慮すれば、ランキンサイクル装置50の運転効率が更に向上しうる。
【0187】
上記実施の形態では、蒸発器2は、フィンアンドチューブ熱交換器である。ただし、蒸発器2は、フィンアンドチューブ熱交換器以外の熱交換器であってもよい。例えば、蒸発器2は、プレート熱交換器であってもよい。
【0188】
上記実施の形態では、ランキンサイクル装置50は、直接接触型ランキンサイクルである。直接接触型ランキンサイクルであるランキンサイクル装置50では、蒸発器2が加熱媒体Gと直接接触する。ただし、ランキンサイクル装置50は、バイナリ式ランキンサイクル装置であってもよい。バイナリ式ランキンサイクル装置であるランキンサイクル装置50では、加熱媒体Gと蒸発器2との間に、熱交換媒体が流れる熱交換サイクルが構成される。加熱媒体Gの熱が、熱交換媒体を介して、蒸発器2を流れる作動流体に与えられる。熱交換媒体は、例えば、水、シリコーンオイル等である。
【0189】
例えば起動制御の一期間においては、膨張機3に流入する作動流体の温度は、加熱媒体Gの温度と同等でありうる。ただし、これらの間の温度差が発生することもありうる。例えば、この温度差は、バイナリ式ランキンサイクル装置では発生し易い。
【0190】
上述の説明から理解されるように、冷却室17は、凝縮器4の内容積をあたかも増加させるかのように作用することによって、蒸発器2の内容積に対する凝縮器4の内容積の比率を調整するのと同等の効果を奏しうる。一般的に、プレート式熱交換器の内容積は、フィンアンドチューブ熱交換器の内容積よりも小さい。そのため、蒸発器2がフィンアンドチューブ熱交換器であり、凝縮器4がプレート熱交換器である場合には、蒸発器2の内容積に対する凝縮器4の内容積の比率を確保し難い。このことは、この場合には、上記作用効果が好適に発現され易いことを意味する。
【0191】
上記実施の形態では、冷却室17は、バイパス流路16に設けられている。ただし、冷却室17は、バイパス流路16に設けられていなくてもよい。
図13は、変形例における熱発電システム102の構成図である。
図13の例では、冷却室17は、循環流路15のうち蒸発器2よりも下流側かつ分岐部81よりも上流側の位置に設けられている。このようにしても、ランキンサイクル装置52の起動中において、流量調整器5の温度が過度に上昇することが防止され、流量調整器5の信頼性が向上する。
図13において、符号62は、発電ユニットである。
【0192】
ランキンサイクル装置が、図示した要素の全てを有していることは必須ではない。例えば、再熱器6は省略可能である。
【産業上の利用可能性】
【0193】
本開示に係る技術は、バイパス経路を有するランキンサイクル装置に適用されうる。本開示に係る技術は、直接接触型ランキンサイクル装置にもバイナリ式ランキンサイクル装置にも適用されうる。直接接触型ランキンサイクル装置は、蒸発器が加熱媒体に直接接触するものである。バイナリ式ランキンサイクル装置は、蒸発器と加熱媒体との間に水冷媒回路等の別のサイクルを有するものである。
【符号の説明】
【0194】
1 ポンプ
2 蒸発器
3 膨張機
4 凝縮器
5 流量調整器
6 再熱器
6a 第1部分
6b 第2部分
7 ファン
8a 第1圧力センサ
8b 第2圧力センサ
9a 第1温度センサ
9b 第2温度センサ
14 流体流路
14x 特定流路
14y 接続流路
15 循環流路
15a 第1流路
15b 第2流路
16 バイパス流路
17 冷却室
18 発電機
20 制御装置
21 媒体流路
30 熱源
40 熱流路
50,51,52 ランキンサイクル装置
55 参考ランキンサイクル装置
60,61,62 発電ユニット
65 参考発電ユニット
67 筐体
73 仕切り
75 第1収容空間
76 第2収容空間
81 分岐部
82 合流部
100,101,102 熱発電システム
G 加熱媒体
VD 鉛直方向