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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】建物
(51)【国際特許分類】
   E04H 9/14 20060101AFI20241127BHJP
   B63C 9/06 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
E04H9/14 Z
B63C9/06
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021007828
(22)【出願日】2021-01-21
(65)【公開番号】P2021127680
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2023-10-12
(31)【優先権主張番号】P 2020021127
(32)【優先日】2020-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 賢司
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-148126(JP,A)
【文献】特開2014-201303(JP,A)
【文献】特開2017-053123(JP,A)
【文献】特開2017-072016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 9/00 - 9/16
B63C 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎と、該基礎の上部に載置された建物本体とを有し、
該建物本体は、前記基礎に対し昇降ガイドによって昇降自在に設置され、
該昇降ガイドは、前記基礎から立設された前記建物本体の柱であり、
前記昇降ガイドは、内柱と外柱とを有する多重構造の伸縮柱とされ
前記内柱と前記外柱との間には、ローラ式ガイドが設けられ
前記ローラ式ガイドは、平面的に見て、前記内柱と前記外柱との4つのコーナー部の対角線上に位置するように一対または二対設けられていることを特徴とする建物。
【請求項2】
請求項1に記載の建物であって、
前記内柱の上端部の外面、および、前記外柱の下端部の内面には、前記内柱に対する前記外柱の抜け止めを行わせるストッパーが設けられていることを特徴とする建物。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の建物であって、
少なくとも、前記建物本体には、前記建物本体が上昇したときに、少なくとも前記建物本体に接続される上水道配管および下水道配管の一方または両方を保護する保護部材が取付けられるか、
または、前記建物本体には、少なくとも給水タンクおよび排水タンクの一方または両方が備えられるかしていることを特徴とする建物。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の建物であって、
前記基礎と前記建物本体との間には、浮力によって前記建物本体を浮かせる浮体が設置され、
該浮体は、前記建物本体の床下に、前記基礎の内側に沿って設置された、前記床下および前記基礎を断熱する断熱材であり、
前記断熱材は、前記建物本体の昇降時にガイドとなることを特徴とする建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の降雨量の増大によって建物の浸水被害が多発している。その対策として、例えば、特許文献1では、建物に対して緊急避難カプセルを付設するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-71346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のように、建物に緊急避難カプセルを付設した場合には、緊急避難カプセルによって住人を保護できても、建物を浸水被害から保護できないなどの問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記した問題点の改善に寄与することを主な目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に対して、本発明は、
基礎と、該基礎の上部に載置された建物本体とを有し、
該建物本体は、前記基礎に対し昇降ガイドによって昇降自在に設置され
該昇降ガイドは、前記基礎から立設された前記建物本体の柱であり、
前記昇降ガイドは、内柱と外柱とを有する多重構造の伸縮柱とされ、
前記内柱と前記外柱との間には、ローラ式ガイドが設けられ
前記ローラ式ガイドは、平面的に見て、前記内柱と前記外柱との4つのコーナー部の対角線上に位置するように一対または二対設けられている建物を特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、上記構成によって、洪水時に建物本体を、基礎に設けられた昇降ガイドによって、基礎から上昇させることで、浸水被害から住人と建物本体とを同時に保護することなどができる。
また、平面的に見て、内柱と外柱との4つのコーナー部の対角線上に位置するようにローラ式ガイドを一対または二対設けている。これにより、コーナー部に位置するローラ式ガイドがコーナー部を形成する二辺に対する隙間を同時に確保形成するため、コーナー部の対角線上に位置するように少なくとも一対のローラ式ガイドを設けるだけで、内柱と外柱との4つの全ての辺に対する隙間を同時に確保形成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施の形態にかかる建物の斜視図である。
図2図1の建物本体が上昇した状態を示す斜視図である。
図2A】伸縮配管の全体斜視図である。
図2B】伸縮配管の伸縮部の縦断面図である。
図3】建物ユニットを構成するユニットフレームの斜視図である。
図4】(a)は伸縮柱の下部の斜視図である。(b)は、伸縮柱の横断面図である。
図5】伸縮柱の伸縮の前後の状態を並べて示した図であり、(a)は図4(b)の伸縮柱のA-A線に沿った断面図、(b)は図4(b)の伸縮柱のB-B線に沿った断面図である。
図6】伸縮柱の変形例であり、(a)は伸縮柱の横断面図、(b)は伸縮柱の収縮状態の縦断面図、(c)は伸縮柱の伸長途中の状態の縦断面図、(d)は(b)の伸縮柱の上端側の部分拡大図、(e)は(c)の外柱の下端側の部分拡大図である。
図7】実施例2にかかる建物本体が上昇した状態を示す斜視図である。
図8】実施例3にかかる建物本体が上昇した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
図1図8は、この実施の形態の各実施例を説明するためのものである。このうち、図1図5は、実施例1を説明するためのものであり、図6は、実施例1の変形例を説明するためのものであり、図7は、実施例2を説明するためのものであり、図8は、実施例3を説明するためのものである。
【実施例1】
【0010】
<構成>以下、この実施例の構成について説明する。
【0011】
図1図2)に示すように、この実施例の建物1は、基礎2と、基礎2の上部に載置された建物本体3とを有している。
【0012】
ここで、建物1は、どのような構造のものであっても良い。この実施例では、建物1は、ユニット建物5となっている。ユニット建物5は、工場で予め製造した箱型の建物ユニット6を建築現場へ搬送して建築現場で組み立てることにより、短期間のうちに構築し得るようにした建物1である。例えば、鉄骨系の建物ユニット6の場合、建物ユニット6は、その基本骨格(または基本構造)に図3に示すようなボックスラーメン構造のユニットフレーム11を有している。ユニットフレーム11は、金属製の4本の柱7の上端間を金属製の4本の天井梁8で矩形状に連結すると共に、4本の柱7の下端間を金属製の4本の床梁9で矩形状に連結したものである。
【0013】
基礎2は、建物本体3を敷地の地面に支持させるための鉄筋コンクリート製の固定構造物であり、建物本体3と共に建物1の一部を構成する。基礎2は、少なくとも建物本体3を地面よりも高い位置に設置するための立上部12を有している。立上部12は、地面から上方へ向けて所要の高さで延びる壁状の部分である。立上部12は、少なくとも、建物本体3の外周に沿ってほぼ均一高さおよびほぼ均一幅に設けられる外周立上部12aを有している。立上部12は、外周立上部12aの内側に、必要に応じて、建物本体3の間取りに合わせた別の立上部12(内側立上部)が設けられる。内側立上部は、外周立上部12aと等しい、ほぼ均一高さおよびほぼ均一幅に形成される。基礎2には、立上部12の下に、少なくとも立上部12の内側の地面を覆う平坦部14(スラブ部)を有するベタ基礎と、平坦部14を有さない布基礎とがある。なお、この実施例では、基礎2は、ベタ基礎となっている。また、単に基礎2または立上部12と記載した場合、外周立上部12aを指すことが多いが、必ずしも外周立上部12aに限るものでもない。
【0014】
立上部12の上側には、通常、床下21への通気を行わせるための通気穴や通気隙間などが形成される。この通気穴や通気隙間があることによって、洪水時などに基礎2の立上部12の内側に水が入り込む。これによって、立上部12は、内外の水位が同じになる。洪水とは、地上に水が溢れる災害のことである。洪水は、例えば、多量降雨に伴う河川や下水道の氾濫や、地震時の津波などによって発生する。
【0015】
基礎2の上部に載置とは、基礎2(の立上部12)の上に建物本体3が乗っている状態のことである。通常の場合、建物本体3は、基礎2の立上部12の上に載置される。更に、建物本体3は、基礎2の立上部12の上端部(天端部)から上方へ突出するように埋設されたアンカーボルト13(図4)によって、基礎2から動かないように基礎2に直接そして完全に固定される。しかし、この実施例の場合には、このような基礎2に対して建物本体3が完全に動かなくなるような既存と同じ固定は行われない。
【0016】
建物本体3は、建物1の主要部または本体部分(居住部分など)を構成する構造物(地上構造物)である。住宅などの建物1では、建物本体3を、1階建てや、2階建てや、3階建て以上の多階建てに構成したものが存在している。この実施例では、建物本体3は、2階建てとなっているが、これに限るものではない。ユニット建物5の場合、建物本体3は、複数の建物ユニット6によって構成される。複数の建物ユニット6は連結されて一体化される。
【0017】
以上のような構成に対し、この実施例では、以下のような特徴を有している。
【0018】
(1)図5に示すように、建物本体3は、基礎2に対し昇降ガイド31によって昇降自在に設置されても良い。
【0019】
ここで、建物本体3は、基礎2の立上部12の上に、基礎2に対する上下方向の距離を変えられるように設置される。これにより、建物本体3は、基礎2に対して、全体が一体に持ち上がったり浮き上がったり(昇降)する。
【0020】
昇降ガイド31は、上下方向へ延びて、建物本体3の基礎2に対する昇降(上下移動)を案内するガイド部材である。昇降ガイド31は、例えば、洪水により建物本体3が基礎2から浮き上がって、または、洪水に対し建物本体3が持ち上げられて基礎2から上方へ離れる際に、建物本体3に対する昇降案内機能を発揮する。
【0021】
昇降ガイド31は、例えば、建物本体3の屋外(の敷地部分)にガイド柱のようなものを設置するなど、建物本体3の昇降を案内できれば、どのようなものを、どこにどのように設けても良い。この実施例では、昇降ガイド31は、基礎2に設けるようにしている。そして、地面に固設された基礎2の立上部12の上に、建物本体3が上へ動かせる状態で設置され、その建物本体3を基礎2に設けられた昇降ガイド31が上下に案内することで、昇降ガイド31は、建物本体3の昇降(上下移動)を補助する。
【0022】
昇降ガイド31は、基礎2の立上部12(外周立上部12a、内側立上部)や、立上部12の内側の平坦部14(スラブ部)のうちの、少なくともいずれか1つ以上に対して、単数または複数取付けることが可能である。この実施例では、昇降ガイド31は、主に外周立上部12aに複数設置するようにしている。
【0023】
(2)昇降ガイド31は、基礎2から立設された建物本体3の柱7であっても良い。
【0024】
ここで、建物本体3の柱7は、建物本体3の基本骨格として使われる縦長の構造材(構造柱)のことである。建物ユニット6の場合、建物本体3の柱7は、ユニットフレーム11を構成する4本の柱7に相当する。なお、建物ユニット6では、ユニットフレーム11を構成する4本の柱7の間に中間の柱7を設置して、中間の柱7を昇降ガイド31にすることも構造的には可能である。
【0025】
建物本体3には、例えば、壁材や断熱用の部材などを取付けるための間柱や縦桟部材などのような、建物本体3の基本骨格にはならない縦部材も各種存在している。しかし、これらのような縦部材は、この実施例の柱7(構造柱)に含まなくても良い。
【0026】
建物本体3が基本骨格としての柱7を備えている場合、柱7を昇降ガイド31にすることで、構造的に無理なく建物本体3の基本骨格に昇降ガイド31を組み込むことができる。よって、建物1は、構造的に無理なく建物本体3と基礎2との間に昇降ガイド31を設置することができる。柱7を昇降ガイド31にすることで、建物本体3を基礎2に対して高く上昇させることが可能になる。また、柱7を昇降ガイド31とすることで、例えば、建物本体3の屋外に設けるガイド柱のような日常生活にとって邪魔になる昇降ガイド31をなくすと共に、屋外のガイド柱のような建物1の見栄えの悪化などを解消することが可能になる。
【0027】
また、屋外に設けるガイド柱は、敷地上の制限の範囲内でしか設けられない、などの理由により、安定して多くの本数を設置するのが難しい。また、上記以外にも、例えば、ガイド柱は、単体で自立できるように強い支持構造を備えなければならない、地震や強風などに対して傾いたり曲がったりしないように、常に正確に上下方向を向いた状態を保てなければならない、などの屋外のガイド柱を設け難い理由がある。
【0028】
これに対し、建物本体3の基本骨格に使われる柱7を、建物本体3の昇降を案内する昇降ガイド31にした場合には、上記した屋外に設けるガイド柱のような問題がない。また、昇降ガイド31は、建物本体3に対する柱7の設置本数の範囲内で自由に設けることができるので、昇降ガイド31をより多く確保できる。即ち、建物本体3には多数の柱7が用いられるため、柱7を昇降ガイド31にすると、昇降ガイド31を必要な本数だけ確保して、昇降ガイド31に十分な支持強度を持たせることが容易であり、構成的に有利である。昇降ガイド31に十分な支持強度があると、建物本体3が上昇されたときの安定性が高くなるので、安心感も高くなる。
【0029】
なお、建物本体3の柱7は、全てを昇降ガイド31にしても良いし、必要な位置および必要な本数の柱7のみを昇降ガイド31にしても良い。この場合、昇降ガイド31にしない柱7については、通常の柱仕様にして、その下端部は基礎2に対して固定しないようにする。
【0030】
具体的には、柱7は、建物本体3の外周に沿った部分に位置するものの全部、大部分または一部を昇降ガイド31にするのが好ましい。特に、建物本体3の外周のコーナー部分またはその周辺に位置する柱7については、全部または大部分を昇降ガイド31にするのが好ましい。この場合、昇降ガイド31は、上記したように、外周立上部12aに取付けられる。また、上記に加えて、建物本体3の内側に位置する柱7は、その全部、大部分または一部を適宜昇降ガイド31にしても良い。この場合、昇降ガイド31は、内側立上部(立上部12)に適宜取付けられる。
【0031】
建物本体3は、少なくとも下階の柱7が昇降ガイド31とされる。例えば、鉄骨系の建物ユニット6を用いたユニット建物5の場合、下階に設置されるボックスラーメン構造のユニットフレーム11を構成する柱7は、全てまたはいずれかを昇降ガイド31にする。ユニットフレーム11は、それぞれ4本の柱7を有しており、建物本体3には、複数のユニットフレーム11が使われる。そのことから、ユニット建物5に使用される柱7の本数は、通常の建物1の場合よりもかなり多くなるので、ユニット建物5は、柱7を昇降ガイド31にするのには構造的に有利な建物1である。
【0032】
建物本体3の柱7は、通常、上下方向へ延びて1階分の高さに相当する長さを有している。これにより、柱7を昇降ガイド31にすることで、少なくとも、建物本体3を1階分程度の高さだけ上昇させることが可能になる。なお、建物本体3が多階建ての場合、例えば、柱7は、複数階の高さに及ぶ長さの通し柱としても良い。通し柱を昇降ガイド31にすることで、建物本体3を通し柱の長さとほぼ等しい複数階分の高さだけ上昇させることが可能になる。
【0033】
柱7を昇降ガイド31にするためには、柱7は、建物本体3と一体に昇降動する部分(昇降部分)と、建物本体3に対して上下方向に相対的に移動される部分(固定部分)とを有する構造にする。例えば、柱7は、その本体を基礎2に固定して昇降ガイド31の固定部分とする。また、柱7の本体(固定部分)に対し、柱7の本体に沿って昇降する部分を設けて、この部分は昇降ガイド31の昇降部分にする。そして、この昇降部分を使って建物本体3を構築するか、または、昇降部分を建物本体3に対して取付ける、などの昇降ガイド31の構造が考えられるが、好ましくは、昇降ガイド31は以下のようにする。
【0034】
(3)図4図5に示すように、昇降ガイド31は、内柱41と外柱42とを有する多重構造の伸縮柱43としても良い。
【0035】
ここで、内柱41は、伸縮柱43において外柱42の内側に出入自在に嵌合(内嵌)される柱状をした金属製の縦部材である。内柱41は、昇降ガイド31の固定部分となる。内柱41は、中空筒体(内筒)としても中実体としても良い。この実施例では、内柱41は中空筒体となっている。
【0036】
外柱42は、伸縮柱43において内柱41の外側に嵌合(外嵌)される柱状をした金属製の縦部材である。外柱42は昇降ガイド31の昇降部分となる。外柱42は、中空筒体(外筒)とされる。外柱42と内柱41は、ほぼ同じ長さとするのが好ましいが、若干異なる長さにしても良い。
【0037】
伸縮柱43は、外柱42と内柱41との間に、例えば、ロック機構を備えても良い。ロック機構は、ロックすることで互いに嵌合された外柱42と内柱41とを一時的に長手方向(上下方向)に相対移動(出入動)できないように伸縮柱43の伸縮動を規制する機構である。また、ロック機構は、ロックを解除することで外柱42と内柱41とを長手方向に相対移動できるように伸縮柱43の伸縮動を解放する機構である。
【0038】
ロック機構は、例えば、外柱42と内柱41との間に亘ってロックピンを抜き挿しする構造などとしても良い。このように、外柱42と内柱41との間にロック機構を備えることにより、例えば、伸縮柱43の取り扱いが容易になる。また、ロック機構を備えることで、工場での伸縮柱43を使った建物ユニット6などの製造や、建築現場への建物ユニット6の搬送や、建築現場での基礎2への伸縮柱43の取付けなどの作業を容易に行うことが可能になる。
【0039】
伸縮柱43は、伸縮動する柱状部材のことである。伸縮柱43は、外柱42と内柱41とをほぼ同じ断面形状で大きさの異なる相似形にして、外柱42の内部に内柱41を同心状に挿入配置してなる多重構造(二重構造)を有している。伸縮動とは、例えば、外柱42に対して内柱41が出入りすることで、伸縮柱43の全体としての長さが変わる動きのことである。
【0040】
この実施例では、外柱42と内柱41は、断面形状が正四角形状となっているが、断面形状はこれに限るものではなく、三角形以上の多角形状や、真円、長円、楕円などの円形状などとしても良い。なお、伸縮柱43は、外柱42および内柱41の断面形状にコーナー部分が有る場合には、コーナー部分に対して適宜R加工やC面取り加工などを施しても良い。R加工やC面取り加工は、外柱42と内柱41とが筒状部材位の場合には、内周側と外周側との一方または両方に施すことができる。
【0041】
伸縮柱43は、一般的な建物1やユニット建物5などに対して様々に使うことができる部材である。伸縮柱43は、建物本体3の柱7(構造柱)に使って柱7を昇降ガイド31にするのが最も好ましい。しかし、伸縮柱43は、例えば、建物本体3の柱7(構造柱)とは別の部材(例えば、束部材など)に使って、別の部材を昇降ガイド31にすることもできる。
【0042】
束部材は、地面(または基礎2の平坦部14)に対して建物本体3の下部を支持する縦向きの支持部材である。例えば、伸縮柱43を束部材として使用する場合には、伸縮柱43は、束部材に必要な長さ(ほぼ基礎2の立上部12と同じ高さ)に形成する。そして、束部材としての伸縮柱43は、基礎2の平坦部14と建物本体3の床下21との間に縦向きにして単数または複数設置する。伸縮柱43で構成された束部材を昇降ガイド31にした場合、昇降ガイド31は、建物本体3を立上部12の倍程度の高さまで持ち上げることが可能になる。
【0043】
そして、伸縮柱43を建物本体3の柱7(構造柱)に使用する場合には、伸縮柱43は、柱7の長さに形成する。伸縮柱43は、長手方向を上下方向に向けて設置する。このとき、伸縮柱43は、外柱42の下端部から内柱41が長手方向(下方)に出入りするように互いに嵌合された状態にする。そして、内柱41は、その下端部を基礎2の立上部12の上端部に当接配置する。更に、内柱41は、その下端部を立上部12に上記したアンカーボルト13によって締結固定する。外柱42は、そのまま建物本体3の構造材(柱本体)として使用して、外柱42を建物本体3と一体化する。
【0044】
このように伸縮柱43を立上部12の上端部に柱7として取付けることで、伸縮柱43は、内柱41が建物本体3に対して相対的に上下方向に移動する部分(または、基礎2と一体になる固定部分)として機能する。また、伸縮柱43は、外柱42が建物本体3と一体に昇降動する部分(昇降部分または可動部分)として機能することになる。これにより、建物1は、伸縮柱43の伸縮動によって、基礎2に対し建物本体3が全体として一体に昇降する構造となる。
【0045】
しかも、伸縮柱43の外柱42は、通常の柱7と同様に使うことができ、また、内柱41は、建物本体3の屋内に露出されることなく、建物本体3に影響を与えない状態で、外柱42に出入り自在に内蔵される。そのため、昇降ガイド31は通常の柱7とほぼ同様の使い勝手で使用できるものとなる。そして、伸縮柱43で構成された柱7を昇降ガイド31にした場合、昇降ガイド31は、建物本体3を柱7の倍程度の高さにまで高く持ち上げることが可能なものとなる。
【0046】
内柱41の下端側の側面には、内柱41の下端面を基礎2のアンカーボルト13に取付けるための作業用の切欠部45(図4)が形成される。切欠部45は、内柱41の下端側の一面~三面までのいずれかの側面に亘って、固定作業に必要な大きさに形成することができる。この実施例では、切欠部45は内柱41の下端部の側面に三面に亘って設けられているが、これに限るものではない。内柱41の下端面には、上下方向の貫通穴が形成されており、この貫通穴をアンカーボルト13に通して上からナットを締結することで、内柱41は立上部12に締結固定される。
【0047】
外柱42については、基礎2およびアンカーボルト13には直接固定されないようにするが、外柱42の下端部は、通常時に、立上部12の上端部に接地させるようにしても良い。このように外柱42の下端部を立上部12に接地させることにより、建物本体3は、外柱42を介して基礎2に荷重が直接支持されるため、基礎2の立上部12の上に建物本体3を安定して支持させることができると共に、昇降自在な状態を常時保てるようになる。但し、外柱42は、その下端部を、立上部12から若干浮かせるように設置しても良い。
【0048】
なお、伸縮柱43は、外柱42と内柱41との間に、単数または複数の中間柱(中間筒)を介在設置することができる。これにより、伸縮柱43は、三重構造以上の多重構造となる。このように、伸縮柱43を三重構造以上の多重構造とすることで、建物本体3を二重構造の伸縮柱43よりも高く浮き上がらせたり、持ち上げたりすることが可能になる。
【0049】
(4)伸縮柱43は、外柱42と内柱41との間に、ローラ式ガイド46を設けても良い。
【0050】
ここで、伸縮柱43は、外柱42と内柱41とを、直接接触されるように摺接嵌合しても良い。この実施例では、伸縮柱43は、外柱42と内柱41との間に、所要の隙間(嵌合隙間)を形成している。この隙間に、図5(a)に示すような、ローラ式ガイド46を介在させることで、外柱42と内柱41とは、直接接触されない状態に保たれる。このローラ式ガイド46は、外柱42と内柱41との隙間の間隔を一定に保つと共に、外柱42に対して内柱41を滑らかに移動(または出入)させるためのものである。ローラ式ガイド46は、少なくとも一つのガイドローラを有している。
【0051】
ローラ式ガイド46は、平面的に見て、例えば、外柱42と内柱41との4つのコーナー部の少なくともいずれかの位置や、4つの辺の少なくともいずれかの位置などに適宜取付けられる。
【0052】
ローラ式ガイド46は、外柱42と内柱41との4つのコーナー部の対角線上に位置するように一対または二対設けるのが好ましい。このように、ローラ式ガイド46を外柱42と内柱41とのコーナー部に設けることにより、コーナー部を形成する二辺に対する外柱42と内柱41との間の隙間を同時に確保形成することができる。また、上記により、上記した隙間を小さくしつつ、隙間に対してより大きなローラ式ガイド46を設置することができる。そして、ローラ式ガイド46は、4つのコーナー部の対角線上に位置するように一対設けるだけで、外柱42と内柱41との4つ全ての辺に対する隙間を同時に確保形成することが可能になる。
【0053】
この実施例では、ローラ式ガイド46は、側方から見て、外柱42と内柱41との間の隙間に、例えば、外柱42および内柱41の長手方向(上下方向)の中間部のほぼ全域に亘って上下方向に所要の間隔を有する状態で複数並べて取付けるようにしている。これにより、内柱41に対して外柱42を常時安定した状態で伸縮動させることが可能になる。
【0054】
ローラ式ガイド46は、内柱41の外側面に、外側面に沿って上下方向に複数並ぶように外向きに取付けても良い。この場合、外柱42と内柱41との上下方向への相対的な移動に対し、ガイドローラは、外柱42の内側面に沿って転動する。但し、上記したローラ式ガイド46は、外柱42の内側面に、上記と同様に内側面に沿って上下方向に複数並ぶように内向きに取付けても良い。この場合、外柱42と内柱41との上下方向への相対的な移動に対し、ガイドローラは、内柱41の外側面に沿って転動する。
【0055】
そして、図5(b)に示すように、伸縮柱43は、内柱41に対する外柱42の抜け止めを行わせるために、ストッパー47,48を備えても良い。ストッパー47は、外柱42の下端部(またはその近傍)の内面に設けられ、ストッパー48は、内柱41の上端部(またはその近傍)の外面に設けられる。ストッパー47,48は、平面的に見て、外柱42と内柱41との4つのコーナー部の少なくともいずれかの位置や、4つの辺の少なくともいずれかの位置などに、隙間内へ突出するように設けられる。
【0056】
ストッパー47,48は、平面的に見て、伸縮柱43の最大伸長時に互いに上下方向に係止する位置に設置される。また、ストッパー47,48は、ローラ式ガイド46と干渉しない位置に設置される。この実施例では、ローラ式ガイド46は、伸縮柱43の4つのコーナー部における一つの対角線上に位置するように一対設けられ、ストッパー47,48は、伸縮柱43の4つのコーナー部における別の対角線上に位置するように一対設けられている。ただし、ローラ式ガイド46とストッパー47,48との位置関係は、これに限るものではない。
【0057】
図6は、伸縮柱43に設けられるローラ式ガイド46の変形例である。この変形例では、伸縮柱43は、外柱42の下端部(またはその近傍)の内面と、内柱41の上端部(またはその近傍)の外面とに対し、それぞれローラ式ガイド46を取付けるようにしている。このローラ式ガイド46は、それぞれ一つずつガイドローラを有するものとなっており、平面的に見て、伸縮柱43の4つのコーナー部の全ての位置に取付けられている。そして、側方から見た場合に、伸縮柱43は、外柱42または内柱41の長手方向の中間部の位置にローラ式ガイド46を取付けないようにしている。
【0058】
外柱42の下端部のローラ式ガイド46は、内柱41(のコーナー部)へ向けて内向きに取付けられる。内柱41の上端部のローラ式ガイド46は、外柱42(のコーナー部)へ向けて外向きに取付けられる。
【0059】
このように、外柱42の下端部と内柱41の上端部とに上下に分けてローラ式ガイド46を設けることで、構成の簡素化を図ることができる。また、このようにしても、外柱42と内柱41との間の隙間を一定に保つと共に、伸縮柱43の伸縮動の際に、外柱42に対して内柱41を滑らかに移動(または出入)させることが可能となる。
【0060】
この場合、外柱42の下端部のローラ式ガイド46と内柱41の上端部のローラ式ガイド46は、伸縮柱43の最大伸長時に互いに干渉する位置に設置する。これにより、上下のローラ式ガイド46は、それぞれストッパー47,48としての機能も果たすので、専用のストッパー47,48を不要化できる。
【0061】
なお、建物1は、上記したような昇降ガイド31に替えてまたは加えて、例えば、係留ワイヤーや係留用チェーンなどの索条部材(係留索、以下、分かり易いように係留ワイヤーという)を単数または複数備えても良い。係留ワイヤーは、基礎2から上昇された建物本体3が、基礎2から横方向に離れて行かないように建物本体3を係留する。
【0062】
係留ワイヤーは、建物本体3と基礎2との間や、建物本体3と敷地との間などに設置することができる。係留ワイヤーは、少なくとも、想定される建物本体3の昇降移動量とほぼ同じ長さかそれよりも長くなるものを使用する。
【0063】
そして、係留ワイヤーには、巻取機(ウィンチ)などの長さ調整機構を取付けて長さや張力を調整可能とするのが好ましい。長さ調整機構は、例えば、通常時の建物本体3が浮き上がる前のときに係留ワイヤーが最適な長さ、または、所要の張力でピンと張った状態になるようにする。そして、長さ調整機構は、洪水時の建物本体3が浮き上がっているときや、洪水後に水が引いて浮き上がった建物本体3が元の位置に戻るときなどに、係留ワイヤーが最適な長さ、または、所要の張力でピンと張った状態に保たれるように機能する。
【0064】
また、例えば、係留ワイヤーに替えて、または、係留ワイヤーに加えて、建物本体3は、単数または複数のポール状または棒状をした係留部材で、係留ワイヤーと同様に係留するようにしても良い。この場合、ポール状の係留部材には、ダンパなどのような緩衝可能な長さ調整機構を取付けるのが好ましい。
【0065】
但し、係留ワイヤーや係留部材は、敷地内への設置が昇降ガイド31ほど容易ではない。また、係留ワイヤーや係留部材は、全てを同調させて長さや張力の調整を行わせることが必要になる。そのため、例えば、建物本体3への設置が容易で、伸縮動が自然に同調して行われる昇降ガイド31と比べると、係留ワイヤーや係留部材は、構成的に不利である。また、係留ワイヤーや係留部材は、係留機能がメインであるため、十分な案内機能を有していないので、案内機能をメインとする昇降ガイド31と比べると、機能的にも不利である。よって、建物本体3を正確に上下方向に案内できて、設置が容易な昇降ガイド31を用いるのが好ましい。
【0066】
そして、上記したような昇降ガイド31(や係留ワイヤーや係留部材)などを備えた建物本体3は、例えば、ジャッキやリフターなどの持上装置を用いることで強制的に基礎2から上昇させるまたは持ち上げることが可能である。持上装置は、住人による操作や、水位検知器などを用いた高さ制御などによって作動させることができる。しかし、この実施例では、建物本体3は、以下のようにして上昇されるようにしている。
【0067】
(5)図2図1)に示すように、基礎2と建物本体3との間には、浮力によって建物本体3を浮かせる浮体4が設置されても良い。
【0068】
ここで、基礎2と建物本体3との間とは、物理的に基礎2と建物本体3との中間となる位置、または、基礎2と建物本体3との両方に関連する相互関係的な位置のことなどである。
【0069】
浮体4は、洪水時に浮力によって建物本体3を浮き上がらせるものである。浮体4は、基礎2や建物本体3とは別に設けられる。なお、浮体4は、単体で用いても良いが、上記したジャッキやリフターなどの持上装置に加えて用いることもできる。浮体4と、ジャッキやリフターなどの持上装置との両方を用いることで、浮体4および持上装置のそれぞれの負担を減らすことが可能となる。この実施例では、浮体4は単体で用いるようにしている。
【0070】
なお、浮体4は、建物本体3の外側に設置することもできるが、この実施例では、後述するように、浮体4を基礎2(の立上部12)の内側で建物本体3の下側に設置することで、浮体4が基礎2と建物本体3との間に設置されるようにしている。これにより、浮体4は、基礎2の内側に収容され、建物本体3により上から覆われて屋外からは見えなくなる。そして、浮体4を基礎2の内側に設置することで、浮体4は基礎2によって損傷から保護される。
【0071】
浮体4を基礎2の内側に設置した場合、通常程度の降雨時には基礎2の内側に水が入らず、洪水時には、基礎2を通って浮体4の下側に確実に水が入るように構成するのが好ましい。そのために、建物1は、基礎2の上側となる位置やそれよりも高い位置に、上記した通気穴や通気隙間を備えるようにしている。通気穴や通気隙間は、例えば、基礎2の立上部12の上側部分または上端部の位置や、基礎2と建物本体3との間の位置に設ける。そして、洪水時に、通気穴や通気隙間を通った水を浮体4の下側へ導くために、建物1は、基礎2や、浮体4や、基礎2と浮体4との間などに、隙間や導水路などを適宜備えても良い。
【0072】
また、浮体4を基礎2の内側に設置することで、基礎2(の立上部12)を浮体4に対する昇降用のガイド体(の一部)にして、基礎2に沿って浮体4を昇降させることができる。浮体4が基礎2よりも高く浮き上がり得るようになっている場合には、浮体4の側面や浮体4の下部の周縁部などに対して、例えば、下狭まりとなる導入テーパ部を設けておくようにしても良い。これにより、基礎2よりも高く浮き上がって基礎2の上に出た浮体4が、水が引いて下がるときに、導入テーパ部によって浮体4を基礎2の内側へ再び納め易くなる。この場合、導入テーパ部には、浮体4が損傷しないように、金属製や樹脂製のガードを取付けておくのが好ましい。
【0073】
浮体4は、基礎2と建物本体3との間(この実施例では、基礎2の立上部12の内側で建物本体3の下側の位置)に設置できて、建物本体3を浮かせるだけの浮力を発生できるものであれば何でも良い。浮体4は、例えば、中空の密閉容器またはタンク(エアタンクなど)やポンツーン(筺船)などとしても良い。
【0074】
また、浮体4は、例えば、エアバッグのようなものとしても良い。エアバッグは、通常時には折り畳んで容器に収納した状態にしておき、洪水時に、例えば、インフレータやコンプレッサーなどによって膨らませて使用するもの(袋体)である。洪水時にエアバッグを膨らませることで、建物本体3を浮力によって浮き上がらせ得るので、エアバッグは浮体4となる。
【0075】
これらの各種の浮体4は、単独で用いても、複数種類を適宜組み合わせて使用しても良い。この実施例で使われる浮体4については、後述する。
【0076】
浮体4は、基礎2の内側などに対し、単数または複数設けることができる。この実施例では、浮体4は、建物本体3の下部とほぼ同じ形状で、上下方向の厚みが均等なものを単数設けるようにしている。
【0077】
上記したように基礎2の内側が間取りに応じて立上部12(内側立上部)で複数に区分けされまたは仕切られている場合には、浮体4は、基礎2の内側の立上部12による仕切形状に合わせて複数に分けて設けることができる。この場合、全ての仕切部分に浮体4を設けるのが好ましいが、状況によっては、浮体4を設けない仕切部分があっても良い。
【0078】
(6)浮体4は、建物本体3の床下21に設置された断熱材22であっても良い。
【0079】
ここで、床下21は、基礎2(の立上部12)の内側に位置して、建物本体3の1階部分を構成する床の下面よりも下側の部分や下側の空間のことである。なお、建物本体3の1階部分の下部(下面)については、浸水被害を受けないようにまたは受け難いように、完全防水構造や通常よりも防水性を高めた構造にしておくのが好ましい。
【0080】
断熱材22は、断熱を行うための部材である。建物1の断熱材22は、建物本体3の壁の内部や床下21などに設けられている。建物1に使われる断熱材22には、各種のものが存在している。浮体4は、単一種類の断熱材22で構成しても良いし、複数種類の断熱材22を組み合わせて構成しても良い。また、浮体4は、単一構造の断熱材22、または、複数(複数個または/および複数種類)の断熱材22で構成しても良い。浮体4を複数の断熱材22で構成した場合には、複数の断熱材22は、建物本体3が浮いたときにバラバラにならないように、一体化しておく。
【0081】
ユニット建物5では、通常、断熱材22に発泡体が使われているが、この発泡体は軽くて水を吸わず、損傷しても浮力が失われない素材なので、浮体4として使用するのに適している。また、発泡体は撥水性を有しているので、建物本体3の下部に設置することで、建物本体3の下部の防水対策を行わせることもできる。そのため、建物本体3の1階部分の下部の防水構造をなくす、または、簡略化する効果も期待できる。浮体4とする発泡体は、建物本体3を水に浮かせることができれば、発泡ウレタンや発泡スチロールなどどのようなものを使っても良い。
【0082】
浮体4として使われる断熱材22は、床下21に設置するものとされる。床下21の断熱材22は、建物本体3の下部に固定するのが好ましいが、建物本体3が基礎2から浮き上がったときなどに建物本体3の下部から外れない状態で設置されていれば、断熱材22は、建物本体3の下部に対して固定しなくても良いし、固定しても良い。例えば、上記したように、建物本体3の外周に沿った柱7を昇降ガイド31としている場合には、これらの柱7(昇降ガイド31)が、内側に設置された浮体4を取り囲んで拘束する。そのため、昇降ガイド31が、浮体4に対する外れ留めとして機能するので、断熱材22を建物本体3の下部に固定しない状態で設置することも可能になる。
【0083】
断熱材22は、通常の仕方で床下21に設置しただけでは、建物本体3に対する浮体4にはならないので、断熱材22を浮体4として使用可能にするためには、断熱材22を通常とは異なる仕方で床下21に設置する必要がある。そのために、床下21の断熱材22は、通常よりも体積が大きくなるように多量に設置する。
【0084】
例えば、断熱材22を発泡倍率が40倍の発泡スチロールとした場合、1立方メートル当りの発泡スチロールの浮力は、約975kgになる。そして、例えば、床面積が65.55平方メートル(縦10m、横7.5m、基礎2の幅が10cm~15cm程度)の木造2階建ての建物1の場合、統計的な建物本体3の重さは約30トン程度となる。鉄骨2階建ての建物1の場合、上記建物本体3の統計的な重さは約40トン程度となる。また、家財道具は、約1トン程度と想定される。そのため、かなり余裕を持たせて、建物本体3は50トンの総重量があるものと仮定することができる。
【0085】
そして、50トンの建物本体3の床面積を65.55平方メートルとして計算した場合、必要な発泡スチロールは、面積がほぼ65.55平方メートル(実際には、少なくとも基礎2の幅分だけ面積が小さくなる)で、約80cmの一定の厚み(上下方向の寸法)のものとなる。このような、面積および厚みの発泡スチロールを用いれば、上記した建物本体3を浮かせるだけの浮力が十分に得られることになる。
【0086】
また、建物本体3の床面積と総重量との間にはある程度の相関関係が存在するため、建物本体3の床面積や総重量が変化しても、基本的に似たような計算結果が得られるものと考えられる。そして、この厚さ80cmという値は、十分な余裕を持った値であるため、建物本体3の床面積とほぼ等しい面積を有する発泡スチロールを、最低限約80cm以上の一定の厚みにして用いれば、ほとんどの場合、建物本体3を浮き上がらせ得ることになる。断熱材22を80cm程度の厚みで設置することは、現実的に十分に実施可能である。そのため、この計算結果は、多くの建物1にとって広く該当する値として基準値にすることが可能である。
【0087】
なお、この80cmを浮体4となる断熱材22の厚みの基準にすることで、実際に断熱材22を浮体4にして設置する場合における、断熱材22(浮体4)の設定を容易化することができる。即ち、断熱材22は、建物本体3の具体的な床面積や総重量などに合わせて、断熱材22の面積や厚みを増減させるような数値調整を行うだけで良いことになる。このような数値調整は、一から断熱材22の面積や厚みを求めるよりも簡単にできる。
【0088】
そして、基礎2については、立上部12を、その高さが、建物本体3を浮かせるのに必要な浮体4の厚みとほぼ同じかそれよりも高くなるように形成する。この場合、基礎2の立上部12を、少なくとも地面から80cm以上の高さにすることで、建物本体3の床面積とほぼ同じ面積で厚さが約80cmの発泡スチロール(断熱材22)を基礎2の内側に納めることが可能となる。
【0089】
更に、例えば、浮体4を建物本体3の床面積よりも一回り程度小さくしたい場合には、建物1は、その分だけ、浮体4の厚みと立上部12の高さを増やせば良い。また、例えば、浮体4を、建物本体3の床形状とは異なる大きさや、異なる平面形状にしたい場合には、その分だけ、浮体4の厚みと立上部12の高さを増やせば良い。これらの形状変更により、基礎2と浮体4との間には、所要の隙間や導水路などを形成することができる。また、浮体4が十分な浮力を有していれば、浮体4は、厚みを一定でなくすることも可能であるが、この場合にも、浮体4の各部の厚みに合わせて基礎2を形成すれば良い。
【0090】
なお、80cm以上の高さの基礎2は、通常の基礎2よりも高くなる(ほぼ倍程度以上の高さとなる)ため、それだけでも建物1は地面からの設置位置が高くなる。よって、必要な浮体4の厚み分だけ基礎2を高くすることは、それだけで洪水対策としても有効である。厚さが約80cmの浮体4を内部に収容する基礎2を、通常の基礎2と同じ高さにしたい場合には、通常よりも高くなる分だけ基礎2の内側を地中に掘り下げて、その部分に浮体4の下半部を収容させれば良い。
【0091】
そして、浮体4を建物本体3の床下21に設置することに伴い、これまで床下21に設置されていた機器や構成物などの床下設置物は、床下21に設置できなくなるので、建物1の屋内や屋上に移設する。また、空調装置の室内機や室外機などの機器(空調機器)も、建物1の屋内や屋上への設置に変更する。更に、エコキュートやエネファームや家庭用蓄電池や電気自動車用充電装置などのような通常の場合には屋外に設置される機器(屋外設備)も、建物1の屋内や屋上に設置する。
【0092】
なお、これらの機器類(上記した床下設置物や空調機器や屋外設備など)を屋内などに設置できない場合には、これらの機器類が建物本体3と一緒に浮き上がるように、機器類を建物本体3に対して一体化する。または、機器類は、個別に、または、まとめて浮体4を取付けることで、機器類を建物本体3と共に浮上させるようにする。例えば、家庭用蓄電池や電気自動車用充電装置などの電力供給を行う機器を建物本体3と一体化して建物本体3と同時に昇降させるようにすることで、電力供給を行う機器が水没から免れて機能を保全されるため、非常時の電源を確保することが可能となる。
【0093】
更に、この実施例では、図2に示すように、上水道配管25や下水道配管26などの建物本体3に接続される配管は、以下のようにしている。上水道配管25や下水道配管26は、建物本体3と、公共の上水道や下水道との間を接続するように、敷地内に設置された配管である。上水道配管25や下水道配管26は、基礎2の内側に取り回された部分が建物本体3に接続される。
【0094】
即ち、上水道配管25や下水道配管26(の基礎2の内側の部分)は、通常の固定管としても良い。しかし、上水道配管25や下水道配管26は、上昇する建物本体3から外れないようにするために、可撓性または可変性を有する長尺配管27とすることができる。長尺配管27は、建物本体3の上昇できる高さ(最大上昇可能高さ、または、伸縮柱43の最大伸長量)またはそれ以上の高さを想定した余長および可撓性または可変性を持ったものとする。また、上水道配管25や下水道配管26は、上昇する建物本体3から外れないようにするために、図2Aに示すように、上記した余長分だけ伸縮動などが可能な伸縮構造などを有するもの(伸縮配管28)とすることができる。
【0095】
構造的には、上水道配管25は、可撓性または可変性を有する長尺配管27とするのが好ましく、下水道配管26は、伸縮配管28とするのが好ましいが、これに限るものではない。但し、少なくとも下水道配管26については、周囲が洪水の水で汚れることを考慮すると、通常の固定管にして、上昇した建物本体3から外れる(建物本体3が上昇したときに脱落する)ように取付けることも許容される。
【0096】
可撓性または可変性を有する長尺配管27や伸縮配管28は、浮体4と干渉しないように浮体4を避けて床下21に設置する。例えば、可撓性または可変性を有する長尺配管27や伸縮配管28は、上記したような基礎2の浮体4を設けない仕切部分に対して設けるようにする。これらのような配管構造や配管設置構造とすることにより、上水道配管25や下水道配管26は、建物本体3の浮き上がりまたは持ち上げに追従して変形し、外れないようにまたは外れ難くなる。そして、洪水時に復旧されるまでの短期間の間、最低限度の生活を維持可能な構造の建物1が得られる。
【0097】
可撓性または可変性を有する長尺配管27は、基礎2の内側に設置される部分を、例えば、蛇行形状や、ループ状に束ねた形状などとするのが好ましい。長尺配管27は、少なくともその可撓部分や可変部分が、柔軟な樹脂製の可撓管や回転継手などによって形成される。
【0098】
伸縮配管28は、基礎2の内側に設置される部分を、例えば、蛇行形状や階段形状などとするのが好ましい。伸縮配管28における伸縮動とは、伸縮配管28の全体としての長さが変わる動きのことである。伸縮配管28は、例えば、二重管構造の伸縮部281や、回転継手部282や、屈曲部283などを適宜備えたものとされる。
【0099】
伸縮配管28においては、建物本体3の最大上昇可能高さに対応できるようにするために、伸縮部281や、回転継手部282や、屈曲部283を、適宜単数または複数設けることができる。伸縮部281は、伸縮配管28の直線部分に建物本体3の最大上昇可能高さに応じた数だけ設けるのが好ましい。回転継手部282や、屈曲部283は、複数の伸縮部281の間を繋ぐように設けられる。伸縮部281は図中X方向への伸縮が可能とされ、回転継手部282は図中Y方向への回転が可能とされる。なお、回転継手部282は、配管の熱伸縮などを、図中Z方向へ僅かな抜き挿しの動きによって吸収できるように構成しても良い。
【0100】
図2Bに示すように、伸縮部281は、内筒281aや、外筒281bや、シール部281cや、ストッパー部281dなどを有するものとされる。例えば、内筒281aは伸縮配管28における建物本体3の側に接続される。外筒281bは、伸縮配管28における公共の上水道や下水道の側となる部分に形成される。
【0101】
外筒281bは、配管の端部の径寸法を、所要の長さに亘って内筒281aよりも拡大した長尺の受口状をした大径管とされる。内筒281aは差口となって、外筒281bの内部に長手方向に出入り自在に嵌合される。外筒281bの長さまたは外筒281bに対する内筒281aの嵌合量が、ほぼ伸縮部281の伸縮可能な長さとなる。
【0102】
シール部281cは、ゴムなどの弾性部材でできた柔軟なリング状のものとされる。シール部281cは、外筒281bの端部(開口端)の内周部に内筒281aとの間を塞ぐように設けられる。外筒281bは、その端部に、シール部281cを設置するためのシール設置部281eを周方向に連続するように設けても良い。シール設置部281eは、シール部281cのほぼ幅および厚み分だけ外筒281bの端部を外周側に拡大した段差部や周溝などとしても良い。
【0103】
ストッパー部281dは、内筒281aの外筒281bへ挿入した先端部の外周部に、内筒281aと外筒281bとの隙間分程度またはそれ以下の突出量で外方へ張り出された、周方向に連続するフランジなどとされる。ストッパー部281dは、シール部281cの内周部分に一体に形成されたシール用のリップ部281fによって長手方向に係止されることで、シールおよび最大伸長時の抜け止めが行われる。リップ部281fは、シール部281cから外筒281bの内方で奥方へ向けて斜めに張り出すように周方向に連続して突設されて、内筒281aの外周面に弾接される。ストッパー部281dは、外筒281bの奥部における、配管に対して径が拡大するように変化している部分(径変化部281g)に突き当たることで、縮小時の位置規制が行われる。
【0104】
<作用>この実施例の作用について説明する。
【0105】
建築現場で地面に基礎2を打設形成し、基礎2の上に建物本体3を構築することで建物1が作られる。通常の建物1においては、基礎2の上に土台を設置し、土台に対して柱7を立設するなどの手順に従って建物1が構築される。また、ユニット建物5においては、予め工場で製造した建物ユニット6を建築現場へ搬送して、建築現場で基礎2の上に建物ユニット6を載置し、基礎2に固定することで短期間のうちにユニット建物5が構築される。
【0106】
この実施例では、建物1は、構造材である柱7(構造柱)に、昇降ガイド31として伸縮柱43を用いている。ユニット建物5の場合には、建物ユニット6は、工場にて柱7に伸縮柱43を用いて製造する。工場では、伸縮柱43は、通常の柱7とほぼ同様に使って建物ユニット6を製造することができる。
【0107】
また、建築現場では、基礎2の内側に浮体4となる断熱材22を設置して、その上に建物本体3を構築することで、浮体4が基礎2と建物本体3との間に介在設置される。この際、浮体4は、必要に応じて建物本体3の下部に固定しても良い。これらにより、洪水時に建物本体3が水に浮かぶ建物1が完成される。なお、基礎2は、その内側などに、浮体4に替えてまたは加えてジャッキやリフターなどの持上装置を設けるようにしても良い。これにより、持上装置によって持ち上げることができる建物1が完成される。
【0108】
この実施例の伸縮柱43の場合、伸縮柱43は、その内柱41の下端部を基礎2に埋設されたアンカーボルト13に固定することで、基礎2に建物本体3を取付ける。これにより、内柱41が基礎2に一体に固定され、内柱41に対して外柱42が上下方向に伸縮動自在な状態となる。そのため、外柱42を柱本体にして構築された建物本体3は、基礎2の上に取付けられた状態で、内柱41に沿って外柱42と共に上昇できる(浮き上がれるか、または、上へ持ち上げられる)ようになる(昇降自在となる)。
【0109】
このようにして構築された建物1は、外見や住宅としての機能については通常のものと何ら変わりがない。また、建物本体3の屋外などには、日常生活にとって邪魔になるもの(建物本体3を上昇させるための構成など)がない。そのため、住人は、特に支障なく日常生活を送ることができる。そして、洪水時には、建物本体3の全体が基礎2に対し昇降ガイド31に沿って、浮体4の浮力により水位の上昇に応じた分だけ浮き上がることで、建物本体3の浸水被害を防止することができる。建物本体3は、住人が中に居る状態のままで、特に操作を行わなくても自然に浮き上がる。なお、浮体4に替えてまたは加えて基礎2の内側にジャッキやリフターなどの持上装置を設けた場合には、建物本体3は持上装置で持ち上げるようにする。持上装置で建物本体3を持ち上げる場合には、持上装置の操作や、水位検知器などを用いた高さの制御などが適宜行われる。
【0110】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0111】
(効果 1)建物本体3は、基礎2に対し昇降ガイド31によって昇降自在な状態で設置されても良い。これにより、基礎2に取付けられた昇降ガイド31が、基礎2の上に設置されている建物本体3の上昇(真上への移動または変位)を案内する。そのため、例えば、洪水時に、建物本体3を、基礎2に設けられた昇降ガイド31に沿って基礎2から浮かび上がらせたり持ち上げたりすることができる。
【0112】
この際、昇降ガイド31は、建物本体3を傾くことなく安定して真上に上昇させると共に、建物本体3が基礎2から横へ離れて行ってしまわないように、昇降ガイド31によって建物本体3を基礎2の上に留めるように機能する。
【0113】
なお、昇降ガイド31の基礎2に対する取付ける位置は、立上部12(外周立上部12a、内側立上部)や平坦部14とすることができるが、少なくとも外周立上部12aに取付けると、建物本体3をより広い範囲で安定して支持できるので好ましい。
【0114】
また、建物本体3は、上記したように、浮体4の浮力によって基礎2から浮かせるようにしても良いし、建物本体3は、ジャッキやリフターなどの持上装置を用いて基礎2から強制的に持ち上げるようにしても良い。また、建物本体3は、浮体4と持上装置との両方を用いて基礎2から上昇させるようにしても良い。
【0115】
そして、昇降ガイド31は、水が引いた後には、昇降ガイド31に沿って下降(真下へ移動または変位)するように建物本体3を案内することで、建物本体3を再び基礎2の上へと確実に戻すように機能する。浮体4を用いた場合、建物本体3は水位の低下に従って自然に下降される。持上装置を用いた場合、建物本体3は持上装置の操作や上記した高さ制御などによって下降させる。
【0116】
これにより、住人と建物本体3との両方を浸水被害から保護することができる。建物本体3が保護されることで、建物本体3の修理費などの経済的負担もほぼなくなり、住人は生命や財産などを失わなくて済むので、洪水後も建物本体3にそのまま安心して住み続けることができる。
【0117】
また、昇降ガイド31を基礎2に取付けることによって、昇降ガイド31を屋外から目立たないように、または、見えないように設置して、建物1の見栄えの悪化を防止することが可能になる。そして、昇降ガイド31を基礎2に取付けることで、建物本体3の外側に、日常生活にとって邪魔になる昇降ガイド31(例えば、建物本体3の屋外に設けられるガイド柱など)をなくすことができる。
【0118】
(効果 2)基礎2から立設された建物本体3の柱7は、昇降ガイド31としても良い。これにより、建物1においては基礎2に対して立設する柱7を建物本体3の基本骨格(構造柱)にしているものが多いため、建物本体3の柱7を昇降ガイド31にすることで、昇降ガイド31を容易かつ確実に建物1に設置することができる。しかも、昇降ガイド31を建物本体3の基本骨格に組み込むことができる。そのため、例えば、基礎2と建物本体3との間に、柱7とは別の昇降ガイド31を設ける必要をなくし得る。
【0119】
また、柱7がそのまま建物本体3の昇降ガイド31になるため、昇降ガイド31を屋外からも屋内からも分からないように建物本体3に設置して、建物1の見栄えや住心地の悪化を防止することができる。そして、柱7が昇降ガイド31になることで、建物本体3の外側などに、日常生活にとって邪魔になる昇降ガイド31(例えば、建物本体3の屋外に設けられるガイド柱など)をなくすことができると共に、建物本体3を高く上昇させることができる。そして、建物本体3の屋外に建物本体3とは別の昇降ガイド31(ガイド柱など)を設ける場合と比べて、昇降ガイド31は十分に高い支持強度を得ることができる。
【0120】
(効果 3)昇降ガイド31は、内柱41と外柱42とを有する多重構造の伸縮柱43で構成しても良い。多重構造の伸縮柱43は、外柱42に内柱41を嵌合(内嵌)して、外柱42に対し内柱41が長手方向(上下方向)に出入りし得るようにすることで、全体としての長さが変化される伸縮構造を備えている。伸縮柱43は、内柱41と外柱42との嵌合量が最大の伸縮動可能量となるため、大きな伸縮性が得られることから、建物本体3を(ほぼ伸縮柱43の長さの分だけ)高く持ち上げたり浮かせたりすることが可能となる。
【0121】
そのため、伸縮柱43は昇降ガイド31として使うのに適しており、伸縮柱43を用いることで、構造的に無理なく基礎2に昇降ガイド31を設置して建物本体3を高く上昇させることができる。伸縮柱43は、建物本体3の柱7や、柱7以外の縦部材(例えば、束部材)などに使用して、昇降ガイド31にすることができる。
【0122】
そして、例えば、建物本体3の柱7に伸縮柱43を用いた場合には、柱7がそのまま昇降ガイド31になるため、建物本体3に容易に昇降ガイド31を組み込んで建物本体3の上昇を案内させることができる。しかも、柱7を伸縮柱43にすることで、昇降ガイド31としての柱7は、建物本体3と柱7(昇降ガイド31)との関係が既存の建物1とほぼ同じになる。この場合、伸縮柱43の内柱41の下端部を基礎2に固定し、外柱42を使って建物本体3を構築することで(または、外柱42を建物本体3に対する固定部分にすることで)、建物本体3に昇降ガイド31を使った柱7を設置することができる。
【0123】
(効果 4)伸縮柱43は、内柱41と外柱42との間に、ローラ式ガイド46を設けても良い。これにより、外柱42と内柱41との間の隙間(嵌合隙間)を、ローラ式ガイド46によって一定に保つと共に、外柱42に対して内柱41を滑らかに移動(または出入)させることができる。よって、洪水時に重量の大きい建物本体3を、ローラ式ガイド46を備えた伸縮柱43でスムーズに上下方向へ案内して確実に上昇させることができる。
【0124】
(効果 5)建物1は、基礎2と建物本体3との間に、浮力によって建物本体3を浮かせる浮体4を設置しても良い。これにより、洪水時に浮体4がその浮力によって建物本体3を基礎2から浮かせることで、建物本体3が洪水の水面よりも高くなるため、浸水被害から住人と建物本体3とを同時に保護し、建物本体3の内部への水浸入を防止することができる。建物本体3は全体が、浮体4の浮力によって洪水による水位の上昇分だけ自然に浮き上がるので、建物本体3を浮上させるための動力や操作や制御が不要であり、しかも動作が確実である。
【0125】
また、基礎2と建物本体3との間に浮体4を設置することによって、建物本体3の外側に日常生活にとって邪魔にならないように浮体4を設置することが可能となる。そして、浮体4を基礎2と建物本体3との間に設置することで、浮体4の持つ防水性により建物本体3の下部の防水を行わせて、建物本体3の内部への水浸入を防止することが期待できる。
【0126】
(効果 6)浮体4は、建物本体3の床下21に設置される断熱材22で構成しても良い。断熱材22は、建物本体3などの床面積や総重量などに基づいて求めた所要の厚みや体積となるように形成して床下21に設置することで、浮体4となって建物本体3を実際に浮かせることが可能となる。これにより、建物1の断熱のために用いられている断熱材22は、その体積をより大きくして床下21に設置するだけで、浮体4としても有効活用できるようになる。そして、床下21に設置した体積の大きい断熱材22は、通常時には建物1の断熱材22として機能すると共に、洪水時には建物本体3の浮体4として機能するので、構造に無駄がない。また、浮体4とする断熱材22には、断熱のために建物本体3の床下21に既に使用されているのと同じものが使えるため、建物本体3の床下21に無理なく浮体4を設置することができる。
【0127】
また、建物本体3は、床下21に浮体4としての断熱材22を設置することにより、建物本体3の外側に日常生活にとって邪魔にならないように浮体4を設置できる。そして、浮体4としての断熱材22を建物本体3の床下21に設置することで、浮体4としての断熱材22が持つ撥水性によって建物本体3の下部の防水を行わせて、建物本体3の内部への水浸入をより確実に防止できる。
【実施例2】
【0128】
<構成>以下、この実施例の構成について説明する。
【0129】
この実施例では、図7に示すように、建物本体3には、建物本体3が上昇したときに、少なくとも建物本体3に接続される上水道配管25および下水道配管26の一方または両方を保護する保護部材51が取付けられるようにしている。
【0130】
ここで、保護部材51は、上水道配管25や下水道配管26を保護できるのであれば、どのようなものを用いても良い。
【0131】
保護部材51は、例えば、保護を行う上水道配管25や下水道配管26の周囲を直接取り巻くように設置しても良い。保護部材51を、保護を行う上水道配管25や下水道配管26の周囲を取り巻くように直接設置する場合、通常時から上水道配管25や下水道配管26を保護した状態となるように、保護部材51はそれぞれに対して個別に直接巻き付けても良い。上水道配管25や下水道配管26に個別に保護部材51を取付ける場合には、保護部材51は、防水性のシートを用いても良い。上水道配管25や下水道配管26を、可撓性または可変性を有する長尺配管27や、伸縮配管28などとした場合には、保護部材51は、建物本体3の浮き上がりや持ち上げに伴う配管の変形に対応できるように余裕を持たせて設置する。
【0132】
この実施例では、保護部材51は、建物本体3の外周を全周に亘ってほぼ連続して取り巻くように設置することで、基礎2の外周部(外周立上部12a)の内側部分全体を上水道配管25および下水道配管26ごと一度に保護できるようにしている。
【0133】
この場合、保護部材51は、ネット(保護ネット)やシート(保護シート)などのような柔軟な面状(布状)または膜状の部材とするのが好ましい。ネットやシートには、洪水時に、保護部材51の内部に水が入る(水が通る)のを妨げないものを使用することができる。保護部材51は、内部に異物が入り込まないように、異物を捕集または異物の通過を阻止できる程度の粗さの網目や開口部を有するのが好ましい。網目や開口部は、捕集する異物に、例えば、落ち葉と同じ程度の大きさのものなどを想定した大きさや形状に設けることができる。
【0134】
保護部材51は、例えば、通常時には折り畳んだり丸めたりした状態で、建物本体3の外壁の下部や、基礎2の立上部12の上部や、建物本体3の外壁と基礎2の立上部12との境界部分の外周に沿って、目立たないように設置されるのが好ましい。保護部材51は、洪水時には、建物本体3の浮き上がり量または持ち上げ量に応じた分だけ引き出されて、または、全てが引き出されて、建物本体3の外壁の下部と基礎2の立上部12との間を覆うように展開されるものとするのが好ましい。
【0135】
そのために、例えば、保護部材51は、ロールスクリーン状としても良い。ロールスクリーン状の保護部材51は、例えば、本体(の巻取部分)を建物本体3の外壁の下部に固定し、本体から(下へ)引き出されるスクリーン(保護部材51)の縁部(下縁部)を基礎2の立上部12の上部に取付けるように設置することができる。または、ロールスクリーンの本体(の巻取部分)とスクリーンの縁部(上縁部)を、上記とは上下反対にして、基礎2の立上部12と建物本体3の外壁の下部とにそれぞれ設置しても良い。
【0136】
また、例えば、保護部材51は、上縁部を建物本体3の外壁の下部に固定し、下縁部を基礎2の立上部12の上部に固定しても良い。そして、保護部材51は、中間の余長となる部分を二重にして横向きとなるように巻いた状態や、中間部を上下方向に蛇腹状に折り畳んだ状態にして横長のケースに収容しても良い。ケースは、建物本体3の外壁の下部または基礎2の立上部12の上部に沿って取付けることができる。ケースは、建物本体3や基礎2に対し固定状態で設置しても良いし、建物本体3が浮き上がるまたは持ち上げられるときに一部または全部が建物本体3や基礎2から外れるように取付けても良い。
【0137】
保護部材51は、建物本体3の外壁を構成する各辺に沿って、横方向に連続するようにそれぞれ取付けるのが好ましい。建物本体3の外壁を構成する各辺を一度に覆えない場合には、保護部材51は複数に分けて、連続するように横に並べた状態で取付けるなどするのが好ましい。
【0138】
<作用効果>この実施例によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
【0139】
建物本体3に対し、建物本体3が上昇したときに、少なくとも建物本体3に接続されている上水道配管25および下水道配管26の一方または両方を保護する保護部材51が取付けられても良い。これにより、洪水時に保護部材51によって上水道配管25や下水道配管26を保護して、上水道配管25や下水道配管26の洪水による損傷を防止し、上水道配管25や下水道配管26の機能の保全を図ることができる。そのため、建物1は、洪水が治まって復旧されるまでの短期間の間、最低限度の生活を維持可能な構造となる。
【0140】
例えば、保護部材51を、上水道配管25や下水道配管26の周囲を直接取り巻くように個別に設置した場合には、保護部材51は、上水道配管25や下水道配管26をそれぞれ直接保護することができる。
【0141】
例えば、保護部材51を、建物本体3の外周を全周に亘って連続して取り巻くように設置した場合には、基礎2の内側全体を保護することで、併せて上水道配管25や下水道配管26を間接的に保護することができる。
【0142】
この際、保護部材51は、例えば、ロールスクリーン状などとする。これにより、保護部材51は、通常時には、建物本体3の外壁の下部や、基礎2の立上部12の上部や、建物本体3の外壁と基礎2の立上部12との境界部分の外周に沿って目立たないように設置することができる。また、保護部材51は、洪水時には、例えば、建物本体3の浮き上がり量または持ち上がり量に応じた分だけ保護部材51が引き出されて、建物本体3の外壁の下部と基礎2の立上部12との間を覆うことができる。また、保護部材51を巻いた状態や蛇腹状に折り畳んでケースに収容したものの場合も、ロールスクリーン状のものとほぼ同様に機能する。
【0143】
なお、上記以外の構成・作用・効果については、上記実施例と同様であるため、上記実施例の記載を以てこの実施例の記載とする。
【実施例3】
【0144】
<構成>以下、この実施例の構成について説明する。
【0145】
この実施例では、図8に示すように、建物本体3に、少なくとも給水タンク61および排水タンク62の一方または両方が備えられるようにしている。
【0146】
ここで、給水タンク61は、飲料水などの水(上水)を貯留するタンクである。給水タンク61は、上水道配管25と建物本体3内に設けられる各種の水栓などとの間に設置される。給水タンク61は、建物本体3と一体に昇降するように設置される。
【0147】
給水タンク61は、建物本体3内に水を供給するのに必要な給水圧を得るために、建物本体3の水栓よりも高い位置に設置するのが好ましい。そのために、給水タンク61は、例えば、下階の上部や、下階の天井と上階の床との間や、上階や、上階の天井と屋根との間や、屋上などのような高い位置に設置するのが好ましい。給水タンク61は、下階の下部や、下階の床下21などのような建物本体3の水栓よりも低い位置に設置することもできるが、その場合には、給水タンク61には水を強制的に圧送するための給水ポンプを取付けるようにする。また、下階の床下21の給水タンク61は、例えば、浮体4に埋設されるように設置して、浮体4によって浮かせることができる。
【0148】
給水タンク61は、建物本体3に対して単数または複数設置することができる。給水タンク61を単数設ける場合には、給水タンク61は建物本体3内の主要な水栓に近い位置に設けるようにしても良いが、浮いた状態の建物本体3のバランスを取るために、建物本体3の中央部に設置しても良い。給水タンク61を複数設ける場合には、各給水タンク61は建物本体3内の各水栓に近い位置にそれぞれ分散して設けるようにしても良い。または、各給水タンク61は浮いた状態の建物本体3のバランスを取るために、建物本体3や給水タンク61の重量配分を考慮した上で、建物本体3の各部にほぼ均等なバランスになるように分散設置しても良い。
【0149】
建物本体3に給水タンク61を設ける場合には、上水道配管25の基礎2の内側に位置する部分は、通常の固定管や、可撓性または可変性を有する長尺配管27や、伸縮配管28などとすることができる。そして、上水道配管25は、建物本体3が浮き上がったり持ち上がったりしたときや、可撓性または可変性や伸縮性の限界を超えたときに給水タンク61との接続部分から外れるようにしても良い。
【0150】
上水道配管25を給水タンク61から外れるようにした場合、給水タンク61は、上水道配管25との接続部分に、シャット弁や逆止弁などの弁装置63を設けるようにする。この弁装置63は、給水タンク61の内部に貯留している水(上水)が流出しないように、また、外部から洪水の水が給水タンク61の内部へ入り込まないようにする。
【0151】
なお、給水タンク61を複数設ける場合、複数の給水タンク61は、それぞれ独立に設置して、上水道配管25に個別に接続することができる。この場合には、弁装置63は、各給水タンク61に対してそれぞれ設ける。また、複数の給水タンク61は、互いに接続しても良い。この場合には、弁装置63は、上水道配管25に直接接続された最も上流側の給水タンク61のみに設けるようにすれば良い。
【0152】
また、給水タンク61は、建物本体3内に上水道配管25とは別の独立した給水系統を設けて、その給水系統に設置することも可能である。
【0153】
一方、排水タンク62は、建物本体3で生じた排水を一時的に貯留するタンクである。排水タンク62は、建物本体3内に設けられる台所や風呂やトイレや洗面所の各排水口などと、下水道配管26との間に設置される。排水タンク62は、建物本体3と一体に昇降するように設置される。排水タンク62は、排水口から排水が自然流下などによって流出されるように、下階の床下21などのような建物本体3の排水口よりも低い位置に設置するのが好ましい。下階の床下21の排水タンク62は、例えば、浮体4に埋設されるように設置して、浮体4によって浮かせることができる。
【0154】
排水タンク62は、建物本体3に対して単数または複数設置することができる。排水タンク62を単数設ける場合には、排水タンク62は建物本体3内の主要な排水口に近い位置に設けるようにしても良いが、浮いた状態の建物本体3のバランスを取るために、建物本体3の中央部に設置しても良い。排水タンク62を複数設ける場合には、各排水タンク62は建物本体3内の各排水口に近い位置にそれぞれ分散して設けるようにしても良い。また、各排水タンク62は浮いた状態の建物本体3のバランスを取るために、建物本体3や排水タンク62の重量配分を考慮した上で、建物本体3の各部にほぼ均等なバランスになるように分散設置しても良い。
【0155】
建物本体3に排水タンク62を設ける場合には、下水道配管26の基礎2の内側の部分は、通常の固定管や、可撓性または可変性を有する長尺配管27や、伸縮配管28などとすることができる。そして、下水道配管26は、建物本体3が浮き上がったり持ち上がったりしたときや、可撓性または可変性や伸縮性の限界を超えたときに排水タンク62との接続部分から外れるようにしても良い。
【0156】
下水道配管26を排水タンク62から外れるようにした場合、排水タンク62は、下水道配管26との接続部分に、シャット弁や逆止弁などの弁装置64を設けるようにする。この弁装置64は、排水タンク62の内部に溜まった汚水が外部へ漏れ出さないように、また、外部から洪水の水が排水タンク62の内部へ入り込まないようにする。
【0157】
なお、排水タンク62を複数設ける場合、複数の排水タンク62は、それぞれ独立に設置して、下水道配管26に個別に接続することができる。この場合には、弁装置64は、各排水タンク62に対してそれぞれ設ける。また、複数の排水タンク62は、互いに接続しても良い。この場合には、弁装置64は、下水道配管26に直接接続された最も下流側の排水タンク62のみに設けるようにすれば良い。
【0158】
また、排水タンク62は、建物本体3内に下水道配管26とは別の独立した排水系統を設けて、その排水系統に設置することも可能である。
【0159】
<作用>この実施例の作用について説明する。
【0160】
通常時には、建物本体3は、基礎2の上に載置された状態で設置されている。洪水時には、建物本体3は、基礎2から上昇される。
【0161】
そして、建物本体3の外部の上水道配管25からの水(上水)は、通常時には、給水タンク61を介して建物本体3内の水栓へ送られる。このとき、給水タンク61には水が貯留されると共に、給水タンク61に貯留された水は水栓から水を出すことで常に入れ替えられる。
【0162】
洪水時には、建物本体3が給水タンク61ごと基礎2から浮き上がり(または持ち上げられ)、上水道配管25は、建物本体3と共に上昇した給水タンク61から外れたり、建物本体3が上昇した分だけ変形して追随したりすることになる。上水道配管25は、変形による対応の限界を超えた場合には給水タンク61から外れることになる。給水タンク61は、上水道配管25が外れると、シャット弁や逆止弁などの弁装置63によって、内部に貯留した水が外部へ流出しないように、また、外部から洪水の水が内部へ入り込まないようになる。
【0163】
上水道配管25が給水タンク61から外れていなければ、断水していない間は、上水道配管25からの水は、通常時と同様に、給水タンク61を介して建物本体3内の水栓へ送られる。そして、上水道配管25が給水タンク61から外れたり、断水したりした場合には、給水タンク61に貯留された水を建物本体3内の水栓へ送ることができる。給水タンク61は、空になるまで給水を行うことができる。
【0164】
一方、建物本体3内で生じた排水は、通常時には、排水口から排水タンク62を介して外部の下水道配管26へと自然流下や圧送や真空吸引などにより排水される。この際、排水タンク62には、排水が溜まることなく、空の状態に保たれる。
【0165】
洪水時には、建物本体3が排水タンク62ごと基礎2から浮き上がり(または持ち上げられ)、建物本体3の外部の下水道配管26は、建物本体3と共に上昇した排水タンク62から外れたり、建物本体3が上昇した分だけ変形して追随したりすることになる。下水道配管26は、変形による対応の限界を超えた場合には排水タンク62から外れることになる。排水タンク62は、下水道配管26が外れると、シャット弁や逆止弁などの弁装置64によって、内部に貯留した排水が外部に漏れ出さないように、また、外部から洪水の水が内部へ入り込まないようになる。
【0166】
下水道配管26が排水タンク62から外れていなければ、建物本体3の排水口からの排水は、通常時と同様に、排水タンク62を介して外部の下水道配管26へと排水される。そして、下水道配管26が排水タンク62から外れた場合には、排水口からの排水は、弁装置64によって閉じた排水タンク62に貯留される。排水タンク62は、満杯になるまで排水を貯留することができる。
【0167】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0168】
建物本体3は、少なくとも給水タンク61および排水タンク62の一方または両方を備えるようにしても良い。このように、建物本体3が少なくとも給水タンク61および排水タンク62の一方または両方を備えることで、洪水時に上水道配管25や下水道配管26が建物本体3(の給水タンク61や排水タンク62)から外れても給水または排水を支障なく行うことができる。給水または排水は、給水タンク61および排水タンク62の容量の範囲内で行われる。そのため、建物1は、洪水時に復旧されるまでの短期間の間、最低限度の生活を維持可能な構造となる。
【0169】
なお、上記以外の構成・作用・効果については、上記各実施例と同様であるため、上記各実施例の記載を以てこの実施例の記載とする。
【符号の説明】
【0170】
1 建物
2 基礎
3 建物本体
4 浮体
7 柱
21 床下
22 断熱材
25 上水道配管
26 下水道配管
31 昇降ガイド
41 内柱
42 外柱
43 伸縮柱
46 ローラ式ガイド
51 保護部材
61 給水タンク
62 排水タンク
63 弁装置
64 弁装置
図1
図2
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8