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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】作業管理方法及び作業管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/02 20240101AFI20241127BHJP
【FI】
G06Q50/02
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021026606
(22)【出願日】2021-02-22
(65)【公開番号】P2022128207
(43)【公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】吉峰 拓海
(72)【発明者】
【氏名】宮内 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】近藤 拓也
【審査官】松野 広一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-008614(JP,A)
【文献】特開2019-041613(JP,A)
【文献】特開2004-199667(JP,A)
【文献】特開2014-199512(JP,A)
【文献】国際公開第2013/168481(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/097872(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業推定部により、圃場で作業を行っているときの作業車両の稼働情報に基づき、前記作業に関する作業情報を推定することと、
出力部により、前記稼働情報に含まれる時刻情報、または前記稼働情報に含まれる前記作業車両の位置情報に基づき、第1出力条件を満たしているかを判定することと、
前記出力部により、前記第1出力条件を満たしているとき、前記作業情報を出力することと、
を含み、
前記作業情報を推定することは、前記作業推定部の負荷状況に基づき、前記作業情報を推定する処理が完了する予定時刻を算出することと、
前記作業情報を出力することは、前記稼働情報に含まれる時刻情報、または前記稼働情報に含まれる前記作業車両の位置情報に基づき判定される第2出力条件を満たしているとき、前記予定時刻を出力することと、
を含む作業管理方法。
【請求項2】
前記作業情報を推定することは、
ユーザが過去に前記作業情報を確認した時刻において、1日のうちの前記作業情報を確認した頻度が最も多い時間帯を算出することと、
前記作業情報を推定する推定処理を前記時間帯の前に完了するように前記推定処理を行うことと、
を含む請求項1に記載の作業管理方法。
【請求項3】
圃場で作業を行っているときの作業車両の稼働情報に基づき、前記作業に関する作業情報を推定する作業推定部と、
前記稼働情報に含まれる時刻情報、または前記稼働情報に含まれる前記作業車両の位置情報に基づき判定される出力条件を満たしているとき、前記作業情報を出力する出力部と、
を備え、
前記作業推定部は、前記稼働情報と前記作業推定部の負荷状況とに基づき、前記作業情報を推定する処理が完了する予定時刻を算出し、
前記出力部は、前記稼働情報に含まれる時刻情報、または前記稼働情報に含まれる前記作業車両の位置情報に基づき判定される第2出力条件を満たしているとき、前記予定時刻を出力する
作業管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業管理方法、作業管理システム、及び作業管理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、栽培管理の分析に圃場における農作業に関する情報を用いることが研究されている。
【0003】
特許文献1には、収穫機の各時刻の位置と、各時刻の収穫量情報とに基づき、収穫を行った収穫領域を特定する技術が開示されている。ユーザ、例えば作業者や圃場の所有者などが操作を行うことなく、収穫領域が特定されることで、ユーザの利便性が向上されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-041613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、収穫領域などの作業情報を推定する場合、ユーザは、推定された作業情報に間違いがないかを確認する必要がある。この確認作業は、ユーザが自発的にサーバにアクセスすることで行われる。このため、ユーザが確認作業を忘れて、作業情報が確認されることなく、日時が経過する場合がある。このとき、ユーザは、作業情報を忘れてしまい、正確な作業情報を設定できない場合がある。
【0006】
上記の状況に鑑み、本開示は、ユーザに推定された作業情報を通知することで、ユーザによる確認忘れを低減する作業管理方法を提供することを目的の1つとする。他の目的については、以下の記載及び実施の形態の説明から理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、発明を実施するための形態で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態との対応関係の一例を示すために、参考として、括弧付きで付加されたものである。よって、括弧付きの記載により、特許請求の範囲は、限定的に解釈されるべきではない。
【0008】
上記目的を達成するための一実施の形態による作業管理方法は、圃場で作業を行っているときの作業車両(30)の稼働情報に基づき、作業に関する作業情報を推定することを含む。また、作業管理方法は、稼働情報に含まれる時刻情報、または稼働情報に含まれる作業車両(30)の位置情報に基づき、第1出力条件を満たしているかを判定することを含む。さらに、作業管理方法は、出力条件を満たしているとき、作業情報を送信することを含む。
【0009】
上記目的を達成するための一実施の形態による作業管理方法は、圃場で作業を行っているときの作業車両(30)の稼働情報に基づき、作業に関する作業情報を推定することを含む。また、作業管理方法は、第1出力条件を満たしているとき、作業情報を送信することを含む。第1出力条件は、現在時刻が、ユーザが過去に作業情報を確認した時刻において、1日のうちの作業情報を確認した頻度が最も多い時間帯であることを含む。
【0010】
上記目的を達成するための一実施の形態による作業管理システム(1000)は、作業推定部(160)と、出力部(170)とを備える。作業推定部(160)は、圃場で作業を行っているときの作業車両(30)の稼働情報に基づき、作業に関する作業情報を推定する。出力部(170)は、稼働情報に含まれる時刻情報、または稼働情報に含まれる作業車両の位置情報に基づき判定される第1出力条件を満たしているとき、作業情報を出力する。
【0011】
上記目的を達成するための一実施の形態による作業管理システム(1000)は、作業推定部(160)と、出力部(170)とを備える。作業推定部(160)は、圃場で作業を行っているときの作業車両(30)の稼働情報に基づき、作業に関する作業情報を推定する。出力部(170)は、第1出力条件を満たしているとき、作業情報を出力する。第1出力条件は、現在時刻が、ユーザが過去に作業情報を確認した時刻において、1日のうちの作業情報を確認した頻度が最も多い時間帯であることを含む。
【0012】
上記目的を達成するための一実施の形態による作業管理プログラム(320)は、圃場で作業を行っているときの作業車両(30)の稼働情報に基づき、作業に関する作業情報を推定することを演算装置(120)に実行させる。また、作業管理プログラム(320)は、稼働情報に含まれる時刻情報、または稼働情報に含まれる作業車両(30)の位置情報に基づき、出力条件を満たしているかを判定することを演算装置(120)に実行させる。さらに、作業管理プログラム(320)は、出力条件を満たしているとき、作業情報を送信することを演算装置(120)に実行させる。
【0013】
上記目的を達成するための一実施の形態による作業管理プログラム(320)は、圃場で作業を行っているときの作業車両(30)の稼働情報に基づき、作業に関する作業情報を推定することを演算装置(120)に実行させる。また、作業管理プログラム(320)は、第1出力条件を満たしているとき、作業情報を送信することを演算装置(120)に実行させる。第1出力条件は、現在時刻が、ユーザが過去に作業情報を確認した時刻において、1日のうちの作業情報を確認した頻度が最も多い時間帯であることを含む。
【発明の効果】
【0014】
上記の形態によれば、ユーザに推定された作業情報を通知することで、ユーザは確認忘れを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施の形態における作業管理システムの概略図である。
図2】一実施の形態において、作業管理システムがユーザに作業情報を報知する処理を説明するための図である。
図3】一実施の形態における作業管理システムが実行する機能ブロックを表す図である。
図4】一実施の形態における作業管理システムによる処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施の形態)
本発明の本実施の形態による作業管理システム1000を、図面を参照して説明する。本実施の形態において、図1に示すように、作業管理システム1000は、作業管理装置100と、端末200とを備える。作業管理装置100は、ネットワーク20、例えばインターネットを介して、端末200と、作業車両30と通信可能に接続されている。
【0017】
作業管理装置100は、作業車両30から圃場での稼働情報を取得して、取得した稼働情報に基づき、作業に関する作業情報、例えば作業期間、作業種別、作業領域などを推定する推定処理を行う。作業種別は、圃場で行われた作業の種類、例えば耕起、整地、施肥、植付などを表す。作業領域は、作業が行われた領域を表し、例えば圃場内で作業が行われた領域や、作業が行われた圃場全体の領域を表す。
【0018】
また、作業管理装置100は、推定された作業情報を設定された時刻に端末200に出力する。端末200は、作業情報に基づき、ユーザ、例えば作業者、圃場の所有者などに作業情報を通知する。ユーザは、作業管理システム1000からの通知により、作業情報を確認することができる。
【0019】
このように、作業管理システム1000が推定された作業情報をユーザに通知することで、ユーザによる確認忘れを低減することができる。また、推定処理が完了した後に作業管理システム1000がユーザに通知することで、推定処理が完了する前のユーザによる作業管理装置100への不要なアクセスを低減し、ユーザの作業効率を向上させる。
【0020】
なお、作業車両30から取得する稼働情報は、圃場で作業を行っているときの作業車両30の状態を表す情報を含み、例えば作業車両30の速度、操舵角、エンジン回転数、各種クラッチのON/OFF状況、作業車両30の各時刻の位置情報、各種情報が出力されたときの時刻を表す時刻情報などを表す情報を含む。作業車両30が作業機械を牽引する車両、例えばトラクターであるとき、稼働情報には、作業機械に動力を伝達するときのPTO(power take-off)回転数、作業機械の姿勢を示すヒッチ高さやリフトアーム角度などの情報が含まれてもよい。
【0021】
作業管理装置100の構成を説明する。作業管理装置100は、入出力装置110と、演算装置120と、通信装置130と、記憶装置140とを備える。作業管理装置100は、例えば、コンピュータである。入出力装置110には、演算装置120が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置110は、演算装置120が処理を実行した結果を出力する。入出力装置110は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。入出力装置110は省略されてもよい。
【0022】
通信装置130は、ネットワーク20に電気的に接続され、ネットワーク20を介して各々の装置との通信を行う。通信装置130は、作業車両30から取得する稼働情報を演算装置120に転送する。また、演算装置120が生成した信号を端末200に転送する。通信装置130は、例えば、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0023】
記憶装置140は、作業種別を推定するための様々なデータ、例えば作業データ300と、設定データ310と、作業管理プログラム320とを格納する。記憶装置140は、作業管理プログラム320を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。作業管理プログラム320は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体1に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよく、または、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。
【0024】
作業データ300は、圃場の作業に関するデータ、例えば作業車両30からの稼働情報から算出されるデータを含む。例えば、作業データ300は、作業期間を表す作業期間情報と、作業領域を表す作業領域情報と、作業種別を表す作業種別情報とを含む。作業期間情報と、作業領域情報と、作業種別情報とは、作業データ300に関連付けて登録されている。作業期間は、圃場の作業を開始した時刻と終了した時刻とを表す。作業領域は、圃場の作業が行われた領域、例えば位置と形状とを表す。作業種別は、圃場で行われた作業の種類、例えば耕起、整地、施肥、植付などを表す。
【0025】
設定データ310は、作業管理装置100が端末200に作業情報を出力する時刻に関するデータを含む。例えば、作業管理装置100は、作業車両30が設定領域、例えば作業車両30の保管場所に到達したときに作業情報を出力するとする。例えば、作業車両30は、図2に示すように、圃場440から経路420に沿って保管場所400に移動するときを考える。この場合、作業管理装置100は、作業車両30が保管場所400に到達したとき、例えば作業車両30が保管場所400に含まれる領域に入ったとき、作業情報を出力する。設定データ310は、設定領域、例えば保管場所400の領域を表す設定領域情報を含む。また、作業管理装置100は、出力時刻、例えば毎日決まった時刻に作業情報を出力してもよい。この場合、設定データ310は、出力時刻を表す出力時刻情報を含む。また、作業管理装置100は、作業車両30が停止してから設定時間を経過したときに、作業情報を出力してもよい。この場合、設定データ310は、設定時間を表す設定時間情報を含む。
【0026】
作業データ300と、設定データ310とは、図1に示す演算装置120に読み出され、作業情報を設定した時刻に出力するための様々なデータ処理に使用される。演算装置120は、作業管理プログラム320を記憶装置140から読み出し実行して、作業種別を推定して、設定された時刻に推定された作業種別を表す情報を出力する。例えば、演算装置120は、中央演算処理装置(CPU;Central Processing Unit)などを含む。
【0027】
演算装置120は、作業管理プログラム320を読み出し実行することで、図3に示すように、データ保持部150と、作業推定部160と、出力部170とを実現する。データ保持部150は、作業データ300と、設定データ310とを保持する。作業推定部160は、作業車両30から得られた稼働情報に基づき、作業種別を推定して、作業データ300に登録する。出力部170は、推定された作業種別を設定された時刻に出力する。
【0028】
次に、端末200の構成を説明する。端末200は、図1に示すように、入出力装置210と、演算装置220と、通信装置230と、記憶装置240とを備える。端末200は、例えば、コンピュータ、タブレット、携帯電話などを含む。入出力装置210には、演算装置220が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置210は、演算装置220が処理を実行した結果を出力する。入出力装置210は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。
【0029】
通信装置230は、ネットワーク20に電気的に接続され、ネットワーク20を介して各々の装置との通信を行う。通信装置230は、作業管理装置100から取得する作業情報を演算装置220に転送する。また、演算装置220が生成した信号を作業管理装置100に転送する。通信装置230は、例えば、無線LAN(Local Area Network)の送受信機、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0030】
記憶装置240は、作業管理装置100から取得した作業情報をユーザに通知するための様々なデータ、例えば報知プログラム330を格納する。記憶装置240は、報知プログラム330を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。報知プログラム330は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体2に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよく、または、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。報知プログラム330は、記憶媒体1に記録されて提供されてもよい。
【0031】
演算装置220は、報知プログラム330を読み出し実行することで、図3に示すように、入出力装置210と協働して、作業管理装置100から取得した作業情報をユーザに通知する報知部250を実現する。報知部250は、作業管理装置100により推定された作業情報を取得して、ユーザに作業情報を報知する。例えば、報知部250は作業管理装置100により推定された作業領域と、作業期間と、作業種別とを表示する。報知部250は、ユーザの操作により、作業データ300に登録された情報を更新する。
【0032】
(作業管理装置の動作)
作業車両30は、エンジンを停止すると、稼働情報を作業管理装置100の演算装置120に送信する。作業管理装置100の演算装置120は、作業車両30から稼働情報を受信すると、作業管理プログラム320を読み出し実行する。作業管理プログラム320を実行することで、演算装置120は、図4に示す処理を実行する。
【0033】
ステップS110において、演算装置120で実現される作業推定部160は、作業車両30から稼働情報を受信して、受信された稼働情報に基づき、作業期間と作業領域とを推定する。例えば、作業推定部160は、作業車両30が起動された時刻から作業車両30が停止された時刻までを作業期間として推定する。また、作業推定部160は、作業車両30の作業を開始する時刻と終了する時刻、例えば作業車両30に牽引される作業機械が駆動する時刻と停止する時刻とに基づき、作業期間を推定してもよい。作業期間は、作業車両30が圃場に入った時刻と圃場から出た時刻とに基づき推定されてもよい。また、作業期間は、作業車両30のエンジンが始動する時刻と、作業車両30が停止、例えばエンジンが停止する時刻とに基づき推定されてもよい。作業推定部160は、推定した作業期間を作業データ300に登録する。
【0034】
作業推定部160は、推定した作業期間における作業車両30の位置情報に基づき、作業領域を推定する。具体的には、作業車両30は、測位装置、例えばGNSS(Global Navigation Satellite System)の受信機を備え、作業期間に移動した各時刻の位置を表す位置情報を取得する。取得した位置情報は、作業車両30から作業管理装置100の演算装置120に伝達される。演算装置120により実現される作業推定部160は、取得した位置情報に基づき、作業領域を推定する。例えば、作業領域は、取得した位置情報に表される位置を含む任意の閉じた図形、例えば多角形、矩形などで表される。例えば、作業領域は、取得した位置情報のすべてを囲むような図形で表される。作業推定部160は、推定した作業領域を対応する作業期間と関連付けて作業データ300に登録する。これにより、作業領域は、判定した作業期間に関連付けられる。
【0035】
ステップS120において、作業推定部160は、作業車両30から受信される稼働情報に基づき、作業種別を推定する。例えば、作業推定部160は、機械学習により得られた学習済みモデルを用いて、作業種別を推定する。この場合、学習済みモデルは、稼働情報から作業種別を推定するように、学習されている。また、作業推定部160は、作業種別を、作業車両30または作業機械の機種に基づき推定してもよい。この場合、データ保持部150は、作業車両30または作業機械の機種と、作業種別とを関連付ける作業対応データを記憶装置140に格納して保持する。作業推定部160は、作業対応データに基づき、作業種別を推定する。
【0036】
作業推定部160は、推定された作業種別を対応する作業期間と関連付けて作業データ300に登録する。これにより、作業種別は、ステップS110において推定された作業期間と作業領域とに関連付けられる。
【0037】
ステップS130において、出力部170は、推定された作業情報を出力するための出力条件を取得する。初めに、出力部170は、1以上の出力条件のうち、選択された出力条件を取得する。出力条件は、図1に示す端末200の入出力装置210に出力条件を選択するための条件選択操作が入力されることで、選択される。図3に示す端末200の報知部250は、入出力装置210に条件選択操作が入力されると、作業管理装置100のデータ保持部150に選択された出力条件を表す条件選択信号を出力する。データ保持部150は、条件選択信号に基づき、設定データ310に選択された出力条件を表す条件選択情報を登録する。出力部170は、設定データ310から条件選択情報を取得する。
【0038】
出力条件は、例えば第1出力条件と、第2出力条件と、第3出力条件とを含む。第1出力条件は、作業車両30が設定領域に到達したことを含む。設定領域は、図1に示す端末200の入出力装置210に設定領域を設定するための領域設定操作が入力されることで、設定される。図3に示す端末200の報知部250は、入出力装置210に領域設定操作が入力されると、作業管理装置100のデータ保持部150に設定領域を表す領域設定信号を出力する。データ保持部150は、領域設定信号に基づき、設定データ310に設定された設定領域を表す設定領域情報を登録する。
【0039】
第2出力条件は、現在時刻が出力時刻に達したことを含む。出力時刻は、図1に示す端末200の入出力装置210に出力時刻を設定するための時刻設定操作が入力されることで、設定される。図3に示す端末200の報知部250は、入出力装置210に時刻設定操作が入力されると、作業管理装置100のデータ保持部150に出力時刻を表す時刻設定信号を出力する。データ保持部150は、時刻設定信号に基づき、設定データ310に設定された出力時刻を表す設定時刻情報を登録する。
【0040】
第3出力条件は、作業車両30が停止した時刻から設定時間を経過したことを含む。設定時間は、図1に示す端末200の入出力装置210に設定時間を設定するための時間設定操作が入力されることで、設定される。図3に示す端末200の報知部250は、入出力装置210に時間設定操作が入力されると、作業管理装置100のデータ保持部150に設定時間を表す時間設定信号を出力する。データ保持部150は、時間設定信号に基づき、設定データ310に設定された設定時刻を表す設定時間情報を登録する。
【0041】
図4に示すステップS140において、出力部170は、取得された条件選択情報に表された出力条件を満たすかを判定する。出力部170は、出力条件を満たすと判定すると、ステップS150の処理を実行する。出力部170は、出力条件を満たさないと判定すると、出力条件を満たすまで待つ。
【0042】
例えば、第1出力条件が選択されているとき、出力部170は、第1出力条件を満たすかを判定する。具体的には、作業者は、圃場での作業を終えると、図1に示す作業車両30を保管場所400に移動して、作業車両30のエンジンを停止する。作業車両30は、エンジンが停止されると、作業管理装置100の演算装置120に稼働情報を出力する。図3に示す演算装置120で実現される出力部170は、稼働情報から作業車両30の位置情報を抽出する。出力部170は、抽出した位置情報のうち、最も新しい位置情報を作業車両30のエンジンが停止された停止位置として取得する。また、出力部170は、設定データ310から設定領域情報を取得する。出力部170は、設定領域情報に表された設定領域に停止位置が含まれるかを判定する。出力部170は、停止位置が設定領域に含まれるとき、出力条件を満たすと判定して、ステップS150の処理を実行する。停止位置が設定領域に含まれないとき、出力部170は、出力条件を満たさないと判定して、作業車両30から稼働情報が出力されることを待つ。
【0043】
第2出力条件が選択されているとき、出力部170は、第2出力条件を満たすかを判定する。具体的には、出力部170は、設定データ310から設定時刻情報を取得して、取得した設定時刻情報に表される出力時刻と現在の時刻とを比較する。出力部170は、現在の時刻が出力時刻に達しているとき、出力条件を満たすと判定して、ステップS150の処理を実行する。現在の時刻が出力時刻に達していないとき、出力部170は、出力条件を満たさないと判定して、出力時刻に達するまで待つ。
【0044】
第3出力条件が選択されているとき、出力部170は、第3出力条件を満たすかを判定する。具体的には、出力部170は、設定データ310から設定時間情報を取得する。図1に示す作業車両30は、エンジンが停止されると、作業管理装置100の演算装置120に稼働情報を出力する。図3に示す演算装置120で実現される出力部170は、稼働情報を受信したときに、エンジンが停止されたと判定する。出力部170は、稼働情報を受信してから、設定時間情報に表された設定時間が経過したかを判定する。出力部170は、稼働情報を受信してから経過時間が経過しているとき、出力条件を満たすとして、ステップS150の処理を実行する。稼働情報を受信してから経過時間が経過していないとき、出力部170は、出力条件を満たさないと判定して、稼働情報を受信してから経過時間が経過するまで待つ。
【0045】
図4に示すステップS150において、出力部170は、作業推定部160により推定された作業情報をユーザに報知するための処理を実行する。具体的には、図3に示す出力部170は、推定された作業情報を表す報知信号を端末200の報知部250に出力する。例えば、出力部170は、作業情報を含む電子メールを送信する。端末200の報知部250は、電子メールを受信して、図1に示す端末200の入出力装置210に作業情報を表示する。
【0046】
ユーザは、表示された作業情報を確認して、作業情報を確定するための操作を図1に示す端末200の入出力装置210に入力する。例えば、ユーザは、電子メールに記載されている作業情報を確認して、端末200の入出力装置210に、作業管理装置100の記憶装置140に記憶された作業データ300を表示する操作を入力する。図3に示す端末200の報知部250は、ユーザの操作に応じて、作業管理装置100のデータ保持部150に作業データ300を要求する要求信号を送信する。データ保持部150は、要求信号に応じて、作業データ300に含まれる作業情報を報知部250に送信する。報知部250は、作業情報を受信すると、受信した作業情報、例えば作業領域と、作業種別とを入出力装置210に表示する。
【0047】
ユーザは、表示された作業情報が間違っているとき、作業情報を修正するための修正操作を入出力装置210に入力する。報知部250は、修正操作に基づき、作業情報を修正するための修正情報、例えば修正後の作業種別を表す情報を作業管理装置100のデータ保持部150に送信する。データ保持部150は、受信した修正情報に基づき、作業データ300を更新する。
【0048】
ユーザは、表示された作業情報が正しいとき、作業情報を確定するための確定操作を入出力装置210に入力する。報知部250は、確定操作に基づき、作業情報が正しいことを表す情報を作業管理装置100のデータ保持部150に送信する。データ保持部150は、受信した情報に基づき、作業データ300の作業情報を確定する。
【0049】
このように、作業管理システム1000が推定された作業情報をユーザに通知する。これにより、ユーザによる確認忘れを低減することができる。
【0050】
(変形例)
実施の形態において説明した構成は一例であり、機能を阻害しない範囲で構成を変更することができる。設定データ310に設定されている出力条件の数は、3つに限定されず、1以上であれば任意に選択されてよい。また、設定されている出力条件は、前述の実施の形態に限定されず、任意に設定されてもよい。
【0051】
出力部170は、図4に示すステップS130において、1以上の出力条件から1つの出力条件を選択する例を示したが、2以上の出力条件を選択してもよい。例えば、選択した2以上の出力条件のうち、いずれか1つの出力条件を満たすときに、出力部170は、作業情報を出力する。また、選択した2以上の出力条件のうち、すべての出力条件を満たすときに、出力部170は、作業情報を出力してもよい。
【0052】
出力部170は、ユーザが過去に作業情報を確認した時刻に基づき、出力条件を設定してもよい。ユーザが作業情報を確認するとき、図3に示す端末200の報知部250は、作業管理装置100のデータ保持部150に作業データ300を要求される要求信号を出力する。データ保持部150は、要求される要求信号を受信した時刻を、ユーザが作業用法を確認した時刻として記憶する。
【0053】
出力部170は、現在時刻が、過去に作業情報を確認した時刻において、1日のうちの作業情報を確認した頻度が最も多いアクセス時間帯であることを出力条件として設定してもよい。例えば、出力部170は、過去に作業情報を確認した時刻に基づき、1日のうちの作業情報を確認した回数が最も多いアクセス時間帯を算出する。出力部170は、算出したアクセス時間帯に達することを出力条件として設定する。これにより、出力部170は、1日のうちの作業情報を確認した頻度が最も大きいときに作業情報を出力する。
【0054】
また、出力部170は、過去に作業情報を確認した時刻に基づき、1日のうちの作業情報を確認した時刻の平均時刻を、1日のうちの作業情報を確認した頻度が最も多いアクセス時間帯として算出してもよい。例えば、出力部170は、算出された平均時刻より所定の時間早い時刻に達することを出力条件として設定してもよい。この場合、ユーザが作業情報を確認するよりも所定の時間早い時刻に、出力部170は作業情報を出力する。
【0055】
出力部170は、ステップS110において、推定処理が完了する予定時刻をユーザに報知するための処理を実行してもよい。例えば、出力部170は、受信した稼働情報と、図1に示す作業管理装置100の演算装置120の負荷状況とに応じて、推定処理が完了する予定時刻を算出する。出力部170は、算出された予定時刻を表す予定情報を、図3に示す端末200の報知部250に出力する。例えば、出力部170は、予定情報を含む電子メールを送信する。端末200の報知部250は、電子メールを受信して、図1に示す端末200の入出力装置210に推定処理が完了する予定時刻を表示する。ユーザが予定時刻を確認することで、作業管理システム1000は、推定処理が完了する前のユーザによる作業管理装置100への不要なアクセスを低減することができる。
【0056】
出力部170は、設定データ310に含まれる処理スケジュールに基づき、推定処理が完了する予定時刻を算出してもよい。処理スケジュールは、作業推定部160が複数の作業車両30から稼働情報を受信するときに、作業推定部160が推定処理を行う稼働情報の順番を表す。また、処理スケジュールは、作業推定部160が各稼働情報の推定処理を開始する予定時刻を表してもよい。出力部170は、設定データ310から処理スケジュールを取得し、処理スケジュールに基づき、受信した稼働情報に対する推定処理を開始する予定時刻を算出する。算出した予定時刻に基づき、出力部170は、推定処理が完了する予定時刻を算出する。
【0057】
作業推定部160は、ユーザが過去に作業情報を確認した時刻に基づき、作業推定部160が推定処理を開始する時刻を決定してもよい。例えば、作業推定部160は、1日のうちの作業情報を確認した頻度が最も多いアクセス時間帯に達する前に、推定処理を完了するように推定処理を開始する時刻を算出する。具体的には、作業推定部160は、過去に作業情報を確認した時刻において、1日のうちの作業情報を確認した頻度が最も多いアクセス時間帯を算出する。また、作業推定部160は、稼働情報に基づき、推定処理に要する処理時間を算出する。作業推定部160は、算出されたアクセス時間帯が開始するよりも、算出された処理時間以上早い時刻を、推定処理を開始する時刻として算出する。算出した時刻は、設定データ310の処理スケジュールに推定処理を開始する時刻として登録される。作業推定部160は、処理スケジュールに登録された時刻に、図4に示すステップS110を実行して、推定処理を開始する。
【0058】
また、出力部170は、予定情報を設定された時刻に端末200に出力してもよい。例えば、出力部170は、1以上の出力条件のうち、選択された出力条件を満たすとき、予定情報を端末200に出力する。出力条件を満たすかを判定する処理は、図4に示すステップS130とS140と同じ処理でもよい。
【0059】
出力部170は、図4に示すステップS150において、作業情報の代わりに推定処理が完了したことを表す情報を出力してもよい。この場合、端末200の報知部250は、推定処理が完了したことを入出力装置210に表示する。ユーザは、入出力装置210に表示された情報を確認して、作業情報を表示するための操作を入力する。報知部250は、ユーザの操作に応じて、作業管理装置100のデータ保持部150から作業情報を取得して、取得した作業情報を表示する。
【0060】
作業管理装置100の出力部170は、出力条件を満たす前に、図4に示すステップS150の処理を実行して、作業情報を表す報知信号を端末200の報知部250に送信してもよい。この場合、報知信号は、選択された出力条件を表す情報を含み、出力部170は、作業管理装置100と端末200とで実現される。例えば、第1出力条件が選択されているとき、端末200で実現される出力部170は、端末200の位置を取得して、端末200の位置が設定領域に含まれているとき、作業情報を報知部250に出力する。報知部250は、出力された作業所法を入出力装置210に表示する。この場合、端末200は、自機の位置を測定するための測位装置を備える。第2出力条件が選択されているとき、端末200の出力部170は、設定された出力時刻に達したとき、作業情報を報知部250に出力する。報知部250は出力された作業情報を入出力装置210に表示する。第3出力条件が選択されているとき、作業管理装置100の出力部170は、作業車両の停止を確認すると、作業車両30が停止した時刻から設定時間が経過した報知時刻を算出する。作業管理装置100の出力部170は、算出した報知時刻を表す情報を含む報知信号を端末200の出力部170に送信する。出力部170は、報知信号に基づき、報知時刻に達したとき、作業情報を出力する。報知部250は、出力された作業情報を入出力装置210に表示する。
【0061】
作業車両30の稼働情報は、エンジンを停止したときに作業管理装置100に送信される例を示したが、これに限定されず、任意のタイミングで作業管理装置100に送信されてもよい。作業車両30は、稼働しているとき、所定の間隔で稼働情報を作業管理装置100の演算装置120に送信してもよい。
【0062】
この場合、出力部170は、図4に示すステップS140において、作業車両30が設定データ310に設定された設定領域、例えば保管場所400の領域に入ったとき、出力条件を満たすと判定してもよい。例えば、出力部170は、所定の間隔で受信する稼働情報から、作業車両30の位置情報を取得する。直近に受信した位置情報が設定領域に含まず、その直前に受信した位置情報が設定情報に含まれないとき、出力部170は、作業車両30が設定領域に入ったと判定する。出力部170は、作業車両30が設定領域に入ったと判定すると、図4に示すステップS150の処理を実行する。
【0063】
また、出力部170は、作業車両30が停止してから設定データ310に設定された設定時間が経過したときに、出力条件を満たすと判定してもよい。例えば、出力部170は、所定の間隔で受信する稼働情報から、作業車両30の位置情報を取得する。直近に受信した位置情報が表す位置と、その直前に受信した位置情報が表す位置とが同じであるとき、出力部170は、作業車両30が停止したと判定する。出力部170は、作業車両30が停止したと判定してから設定時間だけ経過したとき、図4に示すステップS150の処理を実行する。出力部170は、作業車両30が所定の時間以上移動していないとき、例えば作業車両30の位置情報が表す位置が所定の時間継続して同じであるとき、作業車両30が停止したと判定してもよい。また、出力部170は、例えば作業車両30の位置情報が表す位置が所定の時間で移動した距離が閾値以下であるとき、作業車両30が停止したと判定してもよい。
【0064】
以上において説明した実施の形態および変形例は一例であり、各実施の形態および変形例で説明した構成は、機能を阻害しない範囲で、任意に変更してもよく、または/および、任意に組み合わせてもよい。さらに、必要となる機能を実現できれば、実施の形態および変形例で説明した一部の機能を省略してもよい。例えば、作業管理システム1000は、端末200を省略して、端末200をシステム外の装置としてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1、2 :記憶媒体
20 :ネットワーク
30 :作業車両
100 :作業管理装置
110 :入出力装置
120 :演算装置
130 :通信装置
140 :記憶装置
150 :データ保持部
160 :作業推定部
170 :出力部
200 :端末
210 :入出力装置
220 :演算装置
230 :通信装置
240 :記憶装置
250 :報知部
300 :作業データ
310 :設定データ
320 :作業管理プログラム
330 :報知プログラム
400 :保管場所(設定領域)
420 :経路
440 :圃場
1000 :作業管理システム
図1
図2
図3
図4