(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】飛沫拡散防止装置
(51)【国際特許分類】
G10G 7/00 20060101AFI20241127BHJP
G10D 9/00 20200101ALI20241127BHJP
【FI】
G10G7/00
G10D9/00
(21)【出願番号】P 2021032816
(22)【出願日】2021-03-02
【審査請求日】2024-02-09
(31)【優先権主張番号】P 2020198304
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000178675
【氏名又は名称】ヤマシンフィルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170070
【氏名又は名称】坂田 ゆかり
(72)【発明者】
【氏名】加々美 裕
(72)【発明者】
【氏名】石塚 信
【審査官】大野 弘
(56)【参考文献】
【文献】実開昭48-092919(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10G 7/00
G10D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管楽器が有する音響放射部の開口端に設けられる飛沫拡散防止装置であって、
シート状のシート部材と、
前記シート部材が着脱可能に設けられる枠体と、
を備え、
前記枠体は、正面から見たときに十字形状又は中空の多角形状を有する形状であり、側面から見たときに長手方向に略沿った第1線及び第2線を有する平棒状であり、
前記第1線及び前記第2線は、前記長手方向と略直交する幅方向に離間しており、
前記枠体の前記第1線を含む第1端面には、前記音響放射部が挿入される第1挿入部が設けられ、前記枠体の前記第2線を含む第2端面には、前記シート部材が挿入される第2挿入部が設けられており、
前記第1挿入部に前記音響放射部が挿入され、前記第2挿入部に前記シート部材が挿入された状態において、前記シート部材は、前記開口端との間に隙間を開けた状態で配置される
ことを特徴とする飛沫拡散防止装置。
【請求項2】
前記シート部材は、厚さ方向に沿って見たときの形状が円形状であり、
前記枠体を正面から見たときに、前記第1挿入部は第1円に沿って配置されており、前記第2挿入部は第2円に沿って配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の飛沫拡散防止装置。
【請求項3】
前記第2円の直径は、前記第1円の直径の略8割である
ことを特徴とする請求項2に記載の飛沫拡散防止装置。
【請求項4】
前記第1線及び前記第2線は直線であり、
前記第1線と前記第2線とは、前記幅方向に略20mm~略80mm離間している
ことを特徴とする請求項3に記載の飛沫拡散防止装置。
【請求項5】
前記枠体は、前記第1挿入部を複数有し、
複数の前記第1挿入部は、前記幅方向において異なる位置に配置されており、かつ、前記枠体を正面から見たときにそれぞれ大きさが異なる円に沿って配置されている
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の飛沫拡散防止装置。
【請求項6】
前記枠体は、前記第2挿入部を複数有し、
複数の前記第2挿入部は、前記幅方向において異なる位置に配置されている
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の飛沫拡散防止装置。
【請求項7】
前記枠体を側面から見たときに、前記第1挿入部及び前記第2挿入部は、前記長手方向の中央に向くように設けられた開口部を有し、前記開口部を挟むように、前記長手方向と略平行な第1直線部と、前記第1直線部に対して傾いている第2直線部とを有し、
前記第1挿入部及び前記第2挿入部は、前記開口部に向かうにつれて広くなり、奥に向かうにつれて狭くなる
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の飛沫拡散防止装置。
【請求項8】
前記枠体は、2枚の板状部材を有し、
2枚の前記板状部材を組み合わせて、前記枠体を前記十字形状とし、
前記板状部材は、前記第2挿入部に前記シート部材が挿入されたときに前記シート部材が当接する端面を有する
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の飛沫拡散防止装置。
【請求項9】
前記シート部材は、複数の不織布を積層して形成されており、周縁に沿って溶着されている
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の飛沫拡散防止装置。
【請求項10】
前記シート部材は、2枚の第1不織布と、前記第1不織布に挟まれた第2不織布とを有し、
前記第1不織布の坪量は、前記第2不織布の坪量よりも高い
ことを特徴とする請求項9に記載の飛沫拡散防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛沫拡散防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、唾液の出口部分に、唾液を収集する唾液収集具を着脱可能に貼着した吹奏楽器の唾液収集具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明では、丸孔の周囲に円環形状の唾液収集具が貼付されている。しかしながら、特許文献1に記載の発明では、唾液収集具を貼着しても音響放射部の開口が露出することには変わりがなく、飛沫の拡散を防止することはできない。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、管楽器の演奏時に飛沫の拡散を防止することができる飛沫拡散防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る飛沫拡散防止装置は、例えば、管楽器が有する音響放射部の開口端に設けられる飛沫拡散防止装置であって、シート状のシート部材と、前記シート部材が着脱可能に設けられる枠体と、を備え、前記枠体は、正面から見たときに十字形状又は中空の多角形状を有する形状であり、側面から見たときに長手方向に略沿った第1線及び第2線を有する平棒状であり、前記第1線及び前記第2線は、前記長手方向と略直交する幅方向に離間しており、前記枠体の前記第1線を含む第1端面には、前記音響放射部が挿入される第1挿入部が設けられ、前記枠体の前記第2線を含む第2端面には、前記シート部材が挿入される第2挿入部が設けられており、前記第1挿入部に前記音響放射部が挿入され、前記第2挿入部に前記シート部材が挿入された状態において、前記シート部材は、前記開口端との間に隙間を開けた状態で配置されることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る飛沫拡散防止装置によれば、シート状のシート部材が着脱可能に設けられる枠体は、正面から見たときに十字形状又は中空の多角形状を有する形状であり、側面から見たときに長手方向に略沿った第1線及び第2線を有する平棒状であり、第1線及び第2線は、前記長手方向と略直交する幅方向に離間している。枠体の第1線を含む第1端面に形成された第1挿入部に管楽器の音響放射部が挿入され、枠体の第2線を含む第2端面に形成された第2挿入部にシート部材が挿入された状態において、シート部材は、開口端との間に隙間を開けた状態で配置される。これにより、管楽器の演奏時に飛沫の拡散を防止することができる。
【0008】
前記シート部材は、厚さ方向に沿って見たときの形状が円形状であり、前記枠体を正面から見たときに、前記第1挿入部は第1円に沿って配置されており、前記第2挿入部は第2円に沿って配置されていてもよい。これにより、円形状の開口端及びシート部材を第1挿入部、第2挿入部で確実に狭持することができる。
【0009】
前記第2円の直径は、前記第1円の直径の略8割であってもよい。これにより、開口端とシート部材との距離によらず、飛沫拡散防止効果を得ることができる。
【0010】
前記第1線及び前記第2線は直線であり、前記第1線と前記第2線とは、前記幅方向に略20mm~略80mm離間していてもよい。これにより、管楽器の演奏時に飛沫の拡散を確実に防止することができる。
【0011】
前記枠体は、前記第1挿入部を複数有し、複数の前記第1挿入部は、前記幅方向において異なる位置に配置されており、かつ、前記枠体を正面から見たときにそれぞれ大きさが異なる円に沿って配置されていてもよい。これにより、大きさが異なる複数種類の音響放射部ルに対応することができる。
【0012】
前記枠体は、前記第2挿入部を複数有し、複数の前記第2挿入部は、前記幅方向において異なる位置に配置されていてもよい。これにより、開口端とシート部材との距離を調整することができる。
【0013】
前記枠体を側面から見たときに、前記第1挿入部及び前記第2挿入部は、前記長手方向の中央に向くように設けられた開口部を有し、前記開口部を挟むように、前記長手方向と略平行な第1直線部と、前記第1直線部に対して傾いている第2直線部とを有し、前記第1挿入部及び前記第2挿入部は、前記開口部に向かうにつれて広くなり、奥に向かうにつれて狭くなっていてもよい。これにより、第1挿入部に音響放射部を容易に挿入することができ、第2挿入部にシート部材を容易に挿入することができる。
【0014】
前記枠体は、2枚の板状部材を有し、2枚の前記板状部材を組み合わせて、前記枠体を前記十字形状とし、前記板状部材は、前記第2挿入部に前記シート部材が挿入されたときに前記シート部材が当接する端面を有してもよい。これにより、シート部材の変形を防止することができる。
【0015】
前記シート部材は、複数の不織布を積層して形成されており、周縁に沿って溶着されていてもよい。これにより、シート部材の強度を増し、シート部材の変形を防止することができる。
【0016】
前記シート部材は、2枚の第1不織布と、前記第1不織布に挟まれた第2不織布とを有し、前記第1不織布の坪量は、前記第2不織布の坪量よりも高くてもよい。これにより、使用時にシート部材の変形や破損を防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、管楽器の演奏時に飛沫の拡散を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】飛沫拡散防止装置1の概略を示す斜視図である。
【
図2】飛沫拡散防止装置1をトランペット100に取り付けた状態の概略を示す斜視図である。
【
図5】(A)は板状部材21の概略を示す図であり、(B)は板状部材22の概略を示す図である。
【
図6】枠体20の概略を示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は左側面図である。
【
図7】飛沫拡散防止の効果を測定した様子を示す図であり、(A)は側面図であり、(B)は正面図である。
【
図8】飛沫拡散防止効果を測定した様子を示す図であり、(A)はシート部材の直径が60mm、開口端102とシート部材との距離が20mmの場合であり、(B)はシート部材の直径が80mm、開口端102とシート部材との距離が20mmの場合であり、(C)はシート部材の直径が100mm、開口端102とシート部材との距離が20mmの場合であり、(D)はシート部材の直径が100mm、開口端102とシート部材との距離が40mmの場合であり、(E)はシート部材の直径が100mm、開口端102とシート部材との距離が80mmの場合である。
【
図9】変形例にかかる第1挿入部25-1、第2挿入部26-1を有する板状部材21-1、22-1で構成された枠体20-1の概略を示す側面図である。
【
図10】変形例にかかる枠体を構成する板状部材21-2の概略を示す図である。
【
図11】飛沫拡散防止装置2の概略を示す図であり、(A)は正面図であり、(B)は左側面図である。
【
図12】変形例にかかる飛沫拡散防止装置3~5の概略を示す正面図であり、(A)は飛沫拡散防止装置3を示し、(B)は飛沫拡散防止装置4を示し、(C)は飛沫拡散防止装置5を示す。
【
図13】飛沫拡散防止装置6の概略を示す図である。
【
図14】2枚の板状部材21A、22Aの概略を示す図であり、(A)は板状部材21Aを示し、(B)は板状部材22Aを示す。
【
図15】複数の第2挿入部26、26Aを有する板状部材21A-1の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施形態である飛沫拡散防止装置1の概略を示す斜視図である。
図2は、飛沫拡散防止装置1をトランペット100に取り付けた状態の概略を示す斜視図である。
【0021】
トランペット、ホルン、サクソフォン等の管楽器は、呼気を取り込むマウスピースと、呼気が通過する管状部と、音の出口である音響放射部とを有する。本実施の形態では、管楽器としてトランペット100を例に説明するが、飛沫拡散防止装置1をトランペット100以外の管楽器に適用することも可能である。トランペット100は、音響放射部であるベル101を有し、ベル101の先端は開口している。この開口を開口端102とする。
【0022】
以下、トランペット100の本体側から開口端102に向かう方向を前方とする。開口端102はトランペット100の最も前側に位置し、飛沫拡散防止装置1は、開口端102の前方(正面側)に取り付けられる。また、飛沫拡散防止装置1及びトランペット100を前方(正面)から見た状態を正面視とする。
【0023】
飛沫拡散防止装置1は、主として、シート部材10と、枠体20と、を有する。飛沫拡散防止装置1は、開口端102に設けられる。飛沫拡散防止装置1が開口端102に設けられると、シート部材10は、開口端102との間に隙間を開けた状態で、開口端102と略平行に配置される。その結果、シート部材10が演奏時の飛沫の拡散を防止する。
【0024】
シート部材10は、シート状であり、好ましくは複数の不織布を積層して形成されている。なお、シート部材10は、不織布に限らず、例えば、濾紙、布、樹脂製等のメッシュ、紙のシートに綿を接着させたもので形成してもよい。また、シート部材10は、複数の濾紙、布、樹脂等のメッシュ等を積層してもよいし、1枚の濾紙、布、樹脂等のメッシュ等で構成してもよい。
【0025】
図3は、シート部材10の正面図である。シート部材10は、厚さ方向に沿って見たときの形状が円形状であり、周縁に沿って溶着(例えば、熱溶着)されている。言い換えれば、溶着部10aがシート部材10の周縁に沿って並んでいる。
【0026】
シート部材10の直径は、開口端102(
図2参照)の直径より小さい。具体的には、シート部材10の直径は、開口端102の直径の略8割であることが望ましい。シート部材10の直径については、後に詳述する。
【0027】
本実施の形態では、シート部材10として不織布を用いることが好ましい。不織布であれば、音によってシート部材10が振動することによるノイズが発生しにくい。また、軽いため楽器演奏時の奏者への負担も少ない。不織布は、例えば、ポリプロピレン(PP)を用いたメルトブロー不織布である。なお、不織布は、メルトブロー不織布に限られず、例えばスパンボンド不織布やサーマルボンド不織布であってもよい。また、不織布の材料は、ポリプロピレンに限られず、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)であってもよい。
【0028】
図4は、シート部材10の分解斜視図である。シート部材10は、2枚の第1不織布11、12と、第2不織布13とを有する。第2不織布13の両側を第1不織布11、12に挟むことで、シート状のシート部材10となる。
【0029】
第1不織布11、12及び第2不織布13の厚さは、0.5mm~0.6mmであり、本実施の形態では0.55~0.58mmである。不織布を3枚重ね、周縁に沿って溶着することで、シート部材10の強度が保たれ、使用時におけるシート部材10の変形を防止する。
【0030】
第1不織布11、12の坪量は、第2不織布13の坪量よりも高い。本実施の形態では、第1不織布11、12の坪量は略30g/m2であり、第2不織布13の坪量は略15g/m2である。これにより、シート部材10の表面強度が保たれ、使用時におけるシート部材10の破損を防止する。
【0031】
図1、2の説明に戻る。枠体20は、シート部材10が着脱可能に設けられる部材であり、枠体20を介してシート部材10が開口端102の前面に設けられる。枠体20は、ベル101が挿入される第1挿入部25と、シート部材10が挿入される第2挿入部26と、を有する。
【0032】
図5は、枠体20が有する2枚の板状部材21、22の概略を示す図であり、(A)は板状部材21を示し、(B)は板状部材22を示す。
図6は、枠体20の概略を示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は左側面図である。
図6の矢印は、前方から後方を見るとき(正面視)の方向を示す。
【0033】
枠体20は、2枚の板状部材21、22を有する。枠体20(板状部材21、22)は、例えば発泡ポリエチレンにより製造される。板状部材21、22は、平板状の部材であり、板厚tが略5mmである。なお、板状部材21、22の材質は発泡ポリエチレンに限られず、発泡ポリエチレン以外の樹脂でもよいし、金属でもよいが、ベル101が挿入されたときに傷つかないように柔らかく、軽量な樹脂、例えば発泡ポリウレタンや発泡ポリスチレン等の発泡プラスチックであることが望ましい。
【0034】
図6(A)に示すように、2枚の板状部材21、22を組み合わせて、正面から見たときの枠体20の形状を十字形状としている。これにより、ベル101の前面が枠体20に覆われず、音の劣化を防止することができる。また、板状部材21、22の板厚tが幅wより薄い。したがって、枠体20と開口端102との当接面積、及び、正面から見たときの枠体20の面積を減らし、音の劣化をより効果的に防止することができる。
【0035】
また、2枚の板状部材21、22を組み立てて枠体20とすることで、枠体20が板状部材21、22に分解可能であり、持ち運びが容易となる。
【0036】
板状部材21、22は、第1挿入部25と、第2挿入部26と、溝27とを有する。本実施の形態では、第2円C2の直径が第1円C1の直径より小さい。この場合、板状部材21、22は、溝27の位置のみが異なる。また、板状部材21、22は、長手方向に沿って2つの端面28、29を有する。
【0037】
図6(B)に示すように、枠体20は、側面から見たときに、長手方向に略沿った第1線及び第2線(後に詳述)を有する平棒状である。端面28を側面から見たときに視認される線が第1線であり、端面29を側面から見たときに視認される線が第2線である。本実施の形態では、端面28、29は平面であり、第1線及び第2線は直線である。
【0038】
第1線及び第2線、すなわち端面28、29は、長手方向と略直交する幅方向に離間している。端面28と端面29とが幅方向に離間している距離wは、略20mm以上であり、略20mm~略40mmであることが望ましい。距離wは、ベル101に飛沫拡散防止装置1を設けたときの開口端102とシート部材10との距離である。距離wについては後に詳述する。
【0039】
端面28には第1挿入部25が設けられ、端面29には第2挿入部26が設けられる。第2挿入部26にシート部材10が挿入されたときに、シート部材10が端面29に当接する。
【0040】
枠体20を正面から見たときに、第1挿入部25は第1円C1に沿って配置されており、第2挿入部26は第2円C2に沿って配置されている。第1円C1及び第2円C2は、実際には視認できない仮想の円であり、
図6(A)において二点鎖線で示している。第1挿入部25、第2挿入部26をそれぞれ第1円C1、第2円C2に沿って配置することで、円形状の開口端102及びシート部材10を第1挿入部25、第2挿入部26が確実に狭持することができる。
【0041】
第1円C1の直径と第2円C2の直径は同じであってもよいが、第2円C2の直径は、第1円C1の直径より小さい方が好ましい。具体的には、第2円C2の直径を第1円C1の直径の略8割、すなわち、シート部材10の直径を、開口端102の直径の略8割とすることが望ましい。この点については後に詳述する。
【0042】
第1挿入部25、第2挿入部26は、枠体20を側面から見たときに、長手方向の中央に向くように設けられた開口部25a、26aを有する。また、第1挿入部25、第2挿入部26は、枠体20を側面から見たときに、それぞれ、長手方向と略平行な第1線及び第2線(本発明の第1直線部に相当)に対して傾いている直線部25b、26bを有する。言い換えれば、第1挿入部25、第2挿入部26は、開口部25a、26aを挟むように、長手方向と略平行な第1線(端面28)、第2線(端面29)と、第1線(端面28)、第2線(端面29)に対して傾いている直線部25b、26bとを有する。
【0043】
第1挿入部25、第2挿入部26は、開口部25a、26aに向かうにつれて広くなり、奥に向かうにつれて狭くなる。言い換えれば、第1線(端面28)と直線部25bとの距離及び第2線(端面29)と直線部26bとの距離は、枠体20を側面から見たときに端(
図6(B)における上端又は下端)に向かうにつれて狭くなる。したがって、第1挿入部25及び第2挿入部26にベル101やシート部材10を挿入しやすくなる。
【0044】
次に、シート部材10の直径(第2円C2の直径と第1円C1の直径との比)、及び、ベル101に飛沫拡散防止装置1を設けたときの開口端102とシート部材10との距離(端面28と端面29とが幅方向に離間している距離w)について説明する。
【0045】
図7は、飛沫拡散防止の効果を測定した様子を示す図であり、(A)は側面図であり、(B)は正面図である。
【0046】
トランペット100のマウスピース103に隣接してスモーク発生装置111を設け、マウスピース103の周囲にスモークを発生させた(
図7の白抜き矢印参照)。また、マウスピース103の後方にエアブロー発生装置112及び流量計113を設け、エアブロー発生装置112で前方に向けたエアブローを発生させる(
図7の黒矢印参照)とともに、エアブロー、すなわちスモークの流量を流量計113で測定した。本測定では、流量を100L/分に設定した。
【0047】
また、開口端102の前方に直径が異なる3種類のシート部材10-1、10-2、10-3を設けた。シート部材10-1は直径が60mmであり、シート部材10-2は直径が80mmであり、シート部材10-3は直径が100mmである。シート部材10-1、10-2、10-3は図示しないホルダにより保持した。ホルダは、正面視においてトランペット100と重ならないように配置した。本測定は、開口端102とシート部材10-1、10-2、10-3との距離を0mm~80mmの間で変更した。
【0048】
また、レーザ発生装置114を設け、レーザ発生装置114により開口端102から排出されるスモーク(
図7の点線矢印参照)に向けてレーザ光を照射した。また、開口端102の側面に動画撮像装置115を設け、スモークの様子を連続的に撮像した。
【0049】
飛沫拡散防止の効果の測定は、暗室内で、マウスピース103から呼気に相当するスモークをトランペット100内に吹き込み、開口端102から排出されるスモークがシート部材10-1、10-2、10-3により遮られる様子を動画撮像装置115で測定するとともに、スモークの様子を目視することで行った。
【0050】
飛沫拡散防止の効果を測定した結果を表1に示す。表1に示すように、シート部材10-1、10-2、10-3の直径と、開口端102とシート部材10-1、10-2、10-3との距離とを変化させて、飛沫拡散防止の効果を測定した。なお、本実験において、開口端102の直径は略120mmであった。
【表1】
【0051】
なお、表1における×、△、〇は、スモークを目視することにより、スモークが前方に移動していないかどうかの官能評価を行った評価結果である。
【0052】
図8は、飛沫拡散防止効果を測定した様子を示す図であり、(A)はシート部材10-1の直径が60mm、開口端102とシート部材10-1との距離が20mmの場合であり、(B)はシート部材10-2の直径が80mm、開口端102とシート部材10-2との距離が20mmの場合であり、(C)はシート部材10-3の直径が100mm、開口端102とシート部材10-3との距離が20mmの場合であり、(D)はシート部材10-3の直径が100mm、開口端102とシート部材10-3との距離が40mmの場合であり、(E)はシート部材10-3の直径が100mm、開口端102とシート部材10-3との距離が80mmの場合である。
図8は、スモークが開口端102から排出され始めてから略5秒経過したときに動画撮像装置115により撮像された画像である。
図8においては、紙面右方向が前方である。
【0053】
表1における評価結果が×の場合、例えば
図8(A)に示すように、直径が60mmのシート部材10-1を用い、開口端102とシート部材10-1との距離を20mmとした場合には、開口端102から排出されたスモークがシート部材10-1により遮られずに前方に向けて移動している。また、表1における評価結果が△の場合、例えば
図8(B)に示すように、直径が80mmのシート部材10-2を用い、開口端102とシート部材10-2との距離を20mmとした場合には、開口端102から排出されたスモークが一旦シート部材に当たった後で、シート部材10-2の前方に回りこんでいる。
【0054】
それに対し、表1における評価結果が〇の場合、例えば
図8(C)、(D)、(E)に示すように、直径が100mmのシート部材10-3を用い、開口端102とシート部材との距離を20mm、40mm又は80mmとした場合には、開口端102から排出されたスモークがシート部材10-3に当たってから、開口端102とシート部材10-3との間の隙間を鉛直上向き(
図8における紙面上方)又は鉛直下向き(
図8における紙面下方)に移動している。
【0055】
以上、飛沫拡散防止効果を測定した結果、シート部材10の直径が100mm、開口端102とシート部材10との距離が20mm~80mmであれば、シート部材10により飛沫拡散が防止できる(飛沫が前方に飛ばない)ことが分かった。特に、シート部材10の直径が100mm、開口端102とシート部材との距離が20mmの場合に、飛沫拡散の防止効果が最も高いことが分かった。なお、シート部材10の直径が100mmの場合とは、シート部材10の直径がベル101の開口端102の直径(略120mm)の略8割の場合と同義である。
【0056】
本実施の形態によれば、管楽器の演奏時に飛沫の拡散を防止することができる。また、シート部材10の直径を開口端102の直径の略8割とすることで、開口端102とシート部材10との距離によらず、飛沫拡散防止効果を得ることができる。特に、シート部材10の直径を開口端102の直径の略8割とし、かつ、開口端102とシート部材10との距離を略20mm~略80mmとすることで、管楽器の演奏時に飛沫の拡散を確実に防止することができる。そして、取り扱いの容易さ及び飛沫拡散防止効果を考慮すると、シート部材10の直径を開口端102の直径の略8割とし、かつ、開口端102とシート部材10との距離を略20mmとするのが最適である。
【0057】
また、本実施の形態によれば、2枚の板状部材21、22を組み合わせて枠体20を十字形状とすることで、ベル101の前面が枠体20に覆われず、音の劣化を防止することができる。また、枠体20が2枚の板状部材21、22に分解可能であるため、持ち運びが容易となる。
【0058】
また、本実施の形態によれば、2枚の板状部材21、22、シート部材10が当接する端面29を有するため、シート部材10の変形を防止することができる。
【0059】
また、本実施の形態によれば、枠体20を正面から見たときに、ベル101が挿入される第1挿入部25を第1円C1に沿って配置し、シート部材10が挿入される第2挿入部26を第1円C1の直径より小さい第2円C2に沿って配置することで、円形状の開口端102及びシート部材10を第1挿入部25、第2挿入部26で確実に狭持することができる。
【0060】
また、本実施の形態によれば、第1挿入部25は、枠体20を側面から見たときに長手方向の中央に向くように設けられた開口部25aを有し、開口部25aに向かうにつれて広くなり、奥に向かうにつれて狭くなるため、第1挿入部25にベル101(開口端102)を容易に挿入することができる。また、第2挿入部26は、枠体20を側面から見たときに長手方向の中央に向くように設けられた開口部26aを有し、開口部26aに向かうにつれて広くなり、奥に向かうにつれて狭くなるため、第2挿入部26にシート部材10を容易に挿入することができる。
【0061】
第1挿入部25、第2挿入部26は、開口部25a、26aに向かうにつれて広くなり、奥に向かうにつれて狭くなる。言い換えれば、第1線(端面28)と直線部25bとの距離及び第2線(端面29)と直線部26bとの距離は、枠体20を側面から見たときに端(
図6(B)における上端又は下端)に向かうにつれて狭くなる。したがって、第1挿入部25及び第2挿入部26にベル101やシート部材10を挿入しやすくなる。
【0062】
また、本実施の形態によれば、2枚の第1不織布11、12及び第2不織布13を積層してシート部材10とし、シート部材10の周縁に沿って溶着しているため、シート部材10の強度が増し、シート部材10の変形を防止することができる。
【0063】
また、本実施の形態によれば、第1不織布11、12の坪量を第2不織布13の坪量よりも高くすることで、使用時におけるシート部材10の変形や破損を防止することができる。
【0064】
なお、本実施の形態では、第1挿入部25にベル101が挿入され、第2挿入部26にシート部材10が挿入された状態では、側面から見たときに、直線状のシート部材10が、開口端102との間に隙間を開けた状態で開口端102と略平行に配置されたが、シート部材10の形状及び配置はこれに限られない。第1挿入部25にベル101が挿入され、第2挿入部26にシート部材10が挿入された状態において、側面から見たときに、シート部材10が、開口端102との間に隙間があればよく、シート部材と開口端102とが略平行でなくてもよい。例えば、シート部材が複数のプリーツを有しており、プリーツを膨らませた状態でシート部材を枠体20に設けてもよい。
【0065】
また、例えば、シート部材が湾曲しており(例えば、半球状)、開口端102とシート部材との距離がシート部材の位置によって異なっていてもよい。この場合には、シート部材の開口面が開口端102と対向するようにシート部材を枠体20に設け、開口面が開口端102との間に隙間を設ければよい。また、この場合には、枠体のシート部材が当接する端面を、シート部材と同様の曲率で湾曲させ、シート部材を枠体に設けたときにシート部材を湾曲した端面に当接させてもよい。
【0066】
また、本実施の形態では、第1挿入部25、第2挿入部26は、枠体20を側面から見たときに、開口部25a、26aを挟むように、長手方向と略平行な第1線(端面28)、第2線(端面29)と、第1線(端面28)、第2線(端面29)に対して傾いている直線部25b、26bとを有したが、第1挿入部25、第2挿入部26の形状はこれに限られない。
図9は、変形例にかかる第1挿入部25-1、第2挿入部26-1を有する板状部材21-1、22-1で構成された枠体20-1の概略を示す側面図である。例えば、第1挿入部25-1は、開口部25aを挟むように、長手方向に沿った直線部25cと、直線部25cに対して傾いている直線部25bを有し、長手方向に沿った直線部25dの長手方向外側に直線部25cが設けられており、直線部25dが直線部25cに対して凸となっていてもよい。なお、直線部25dが直線部25cに対して凹でもよい。また、例えば、第2挿入部26-1は、開口部26aを挟むように、長手方向と略平行な第2線(端面29)と、第2線に向かって凸となる円弧形状の曲線部26cとを有してもよい。この場合には、直線部25cと第2線(端面29)との距離が略20mm~略80mmとすることが望ましい。
【0067】
また、第1円C1の直径と第2円C2の直径とは同じでもよい。
図10は、変形例にかかる枠体を構成する板状部材21-2の概略を示す図である。この場合は、2枚の板状部材21-1で枠体を構成することができるため、生産性に優れる。
【0068】
<第2の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態は、飛沫拡散防止装置1が、正面から見たときに十字形状の枠体20を有したが、枠体の形状はこれに限られない。
【0069】
本発明の第2の実施の形態は、枠体が中空の多角形状を有する形態である。以下、本発明の第2の実施の形態にかかる飛沫拡散防止装置2について説明する。以下、第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0070】
図11は、飛沫拡散防止装置2の概略を示す図であり、(A)は正面図であり、(B)は左側面図である。飛沫拡散防止装置2は、主として、シート部材10と、枠体20Aと、を有する。飛沫拡散防止装置2は、開口端102に設けられる。
【0071】
枠体20Aは、3枚の板状部材23を有する。
図11(A)に示すように、3枚の板状部材23を組み合わせて、正面から見たときの枠体20Aの形状を三角形状としている。枠体20Aの内部は空洞であり、したがって枠体20は中空の三角形状である。これにより、ベル101の前面が枠体20Aに覆われず、音の劣化を防止することができる。また、板状部材23の板厚tが幅wより薄い。したがって、枠体20Aと開口端102との当接面積、及び正面から見たときの枠体20の面積を減らし、音の劣化をより効果的に防止することができる。
【0072】
なお、3枚の板状部材23が固定されて枠体20Aが形成されていてもよいし、3枚の板状部材23を着脱可能にして枠体20Aを組み立て可能に形成してもよい。
【0073】
板状部材23は、平板状の部材であり、第1挿入部25と、第2挿入部26とを有する。また、板状部材23は、長手方向に沿って2つの端面28A、29Aを有する。
【0074】
図11(B)に示すように、枠体20Aは、側面から見たときに、長手方向に略沿った第1線及び第2線(後に詳述)を有する平棒状である。端面28Aを側面から見たときに視認される線が第1線であり、端面29Aを側面から見たときに視認される線が第2線である。本実施の形態では、端面28A、29Aは平面であり、第1線及び第2線は直線である。
【0075】
第1線及び第2線、すなわち端面28A、29Aは、長手方向と略直交する幅方向に離間している。端面28Aと端面29Aとが幅方向に離間している距離wは、飛沫拡散防止装置1と同様、略20mm以上であり、略20mm~略80mmであることが望ましい。距離wは、ベル101に飛沫拡散防止装置1を設けたときの開口端102とシート部材10との距離である。
【0076】
端面28Aには第1挿入部25が設けられ、端面29Aには第2挿入部26が設けられる。第2挿入部26にシート部材10が挿入されたときに、シート部材10が端面29Aに当接する。
【0077】
枠体20Aを正面から見たときに、第1挿入部25は第1円C1に沿って配置されており、第2挿入部26は第2円C2に沿って配置されている。第1円C1及び第2円C2は、実際には視認できない仮想の円であり、
図11(A)において二点鎖線で示している。
【0078】
本実施の形態によれば、第1挿入部25にベル101が挿入され、第2挿入部26にシート部材10が挿入された状態では、側面から見たときに、シート部材10を、開口端102との間に隙間を開けた状態で配置することで、管楽器の演奏時に飛沫の拡散を防止することができる。
【0079】
なお、本実施の形態では、正面から見たときの形状が三角形状である枠体20Aを有したが、枠体の形状はこれに限られない。
図12は、変形例にかかる飛沫拡散防止装置3~5の概略を示す正面図であり、(A)は飛沫拡散防止装置3を示し、(B)は飛沫拡散防止装置4を示し、(C)は飛沫拡散防止装置5を示す。
図12(A)に示す飛沫拡散防止装置3は、正面から見たときの形状が四角形状である枠体20Bを有する。
【0080】
また、飛沫拡散防止装置2、3は、枠体20A、20Bが中空の多角形状であったが、枠体が中空の多角形状の部分と、中空の多角形状以外の部分とを含む形状であってもよい。
図12(B)に示す飛沫拡散防止装置4は、正面から見たとき形状が三角形状を有する枠体20Cを有する。また、
図12(C)に示す飛沫拡散防止装置5は、正面から見たとき形状が四角形状を有する枠体20Dを有する。このように、枠体20C、20Dは、中空の多角形状の部分を有していればよく、中空の多角形状以外の部分(ここでは、棒状部)を有してもよい。
【0081】
<第3の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態は、板状部材21、22が一対の第1挿入部25を有したが、板状部材の形状はこれに限られない。
【0082】
本発明の第3の実施の形態は、ベル101が設けられる挿入部が板状部材に複数対設けられた形態である。以下、本発明の第3の実施の形態にかかる飛沫拡散防止装置6について説明する。以下、第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0083】
図13は、飛沫拡散防止装置6の概略を示す図である。
図13は、飛沫拡散防止装置6を側面から見ており、紙面上方が正面である。
図13においては、説明のため、ベル101にハッチングをかけている。
【0084】
飛沫拡散防止装置6は、主として、シート部材10と、枠体20Eと、を有する。飛沫拡散防止装置6は、開口端102に設けられる。
【0085】
枠体20Eは、例えば発泡ポリエチレンにより製造され、2枚の板状部材21A、22Aを有する。2枚の板状部材21A、22Aを組み合わせて、正面から見たときの枠体20Eの形状を十字形状としている。
【0086】
図14は、2枚の板状部材21A、22Aの概略を示す図であり、(A)は板状部材21Aを示し、(B)は板状部材22Aを示す。
【0087】
板状部材21A、22Aは、ベル101が挿入される第1挿入部25、25A、25Bと、シート部材10が挿入される第2挿入部26と、溝27とを有する。板状部材21A、22Aは、長手方向に沿って2つの端面28、29を有する。板状部材21Aと板状部材22Aとは、板状部材21Aは端面29に溝27が設けられており、板状部材22Aは端面28に溝27が設けられている点のみが異なる。
【0088】
複数の第1挿入部25、25A、25Bは、板状部材21A、22Aの端面28側に設けられている。第1挿入部25、25A、25Bは、幅方向(端面28、29と略直交する方向)において異なる位置に配置されている。本実施の形態では、端面28に第1挿入部25Bが設けられ、第1挿入部25Bの外側(端面28の反対側)に第1挿入部25Aが設けられ、第1挿入部25Aの外側に第1挿入部25が設けられている。
【0089】
板状部材21A、22Aには、第1挿入部25、25A、25Bがそれぞれ2つずつ、対向するように設けられている。対向する2つの第1挿入部25の距離D1は、対向する2つの第1挿入部25Aの距離D2より大きく、対向する2つの第1挿入部25Aの距離D2は、対向する2つの第1挿入部25Bの距離D3より大きい。
【0090】
言い換えれば、枠体20Eを正面から見たときに、第1挿入部25は第1円C1(
図6参照)に沿って配置されており、第1挿入部25Aは第1円C1よりも小さい円C3(図示省略)に沿って配置されており、第1挿入部25Aは円C3よりも小さい円C4(図示省略)に沿って配置されている。例えば、第1円C1は直径が8.5インチであり、円C3は直径が8.0インチであり、円C4は直径7.5インチである。つまり、枠体20Eを正面から見たときに、第1挿入部25、25A、25Bは、それぞれ、大きさが異なる円に沿って配置されている。これにより、第1挿入部25、25A、25Bに異なる大きさのベル101を挿入することができる。
【0091】
第1挿入部25、25A、25Bは、枠体20を側面から見たときに、長手方向の中央に向くように設けられた開口部25aを有する。また、第1挿入部25、25A、25Bは、枠体20E(板状部材21A、22A)を側面から見たときに、それぞれ、長手方向と略平行な直線部25e、25f、端面28に対して傾いている直線部25bを有する。
【0092】
第1挿入部25、25A、25Bは、それぞれ、開口部25aに向かうにつれて広くなり、奥に向かうにつれて狭くなる。言い換えれば、直線部25eと直線部25bとの距離、直線部25fと直線部25bとの距離、端面28と直線部25bとの距離は、枠体20Eを側面から見たときに端(
図12における上端又は下端)に向かうにつれて狭くなる。
したがって、第1挿入部25、25A、25Bにベル101を挿入しやすくなる。
【0093】
直線部25eと端面29、直線部25fと端面29、端面28と端面29は、長手方向と略直交する幅方向に離間している。端面28と端面29との幅方向の距離w3は略20mm以上である。直線部25fと端面29との幅方向の距離w2は、端面28と端面29との幅方向の距離w3より大きく、直線部25eと端面29との幅方向の距離w1は、直線部25fと端面29との幅方向の距離w2より大きい。ただし、距離w1~w3は、略20mm~略40mmであることが望ましい。これにより、第1挿入部25、25A、25Bのいずれかにベル101を設けることで、開口端102とシート部材10との距離をシート部材10により飛沫拡散が防止できる(飛沫が前方に飛ばない)距離に保つことができる。
【0094】
本実施の形態によれば、複数の第1挿入部25、25A、25Bが設けられた飛沫拡散防止装置6を用いることで、複数種類のベルに対応することができる。
【0095】
なお、本実施の形態では、
図13に示すように、第1挿入部25と第1挿入部25Aとの距離h1と、第1挿入部25Aと第1挿入部25Bとの距離h2とが略同一であったが、第1挿入部25、25A、25Bの幅方向の位置が異なっていればよく、距離h1と距離h2とが異なってもよい。
【0096】
また、本実施の形態では、枠体20Eが3対の第1挿入部25、25A、25Bを有したが、枠体が有する第1挿入部の数は2対以上であればよい。
【0097】
また、本実施の形態では、板状部材21A、22Aが複数の第1挿入部25、25A、25Bを有したが、第2挿入部を複数設けてもよい。
図15は、複数の第2挿入部26、26Aを有する板状部材21A-1の概略を示す図である。
【0098】
複数の第2挿入部26、26Aは、板状部材21A-1の端面29側に設けられている。第2挿入部26、26Aは、幅方向において異なる位置に配置されている。本変形例では、端面29に第2挿入部26Aが設けられ、第2挿入部26Aの外側に第2挿入部26が設けられている。
【0099】
対向する2つの第2挿入部26の距離と、対向する2つの第2挿入部26Aの距離とは略同一である。シート部材10を第2挿入部26、26Aのどちらかに設けることで、開口端102とシート部材10との距離を調整することができる。
【0100】
第2挿入部26、26Aは、それぞれ、開口部26aに向かうにつれて広くなり、奥に向かうにつれて狭くなる。言い換えれば、直線部26dと直線部26bとの距離、端面29と直線部26bとの距離は、枠体20Eを側面から見たときに端(
図12における上端又は下端)に向かうにつれて狭くなる。したがって、第2挿入部26、26Aにシート部材10を挿入しやすくなる。
【0101】
なお、
図14に示す例では、板状部材21A-1が、第1挿入部25、25A、25Bと第2挿入部26、26Aを有したが、第1挿入部25A、25Bは必須ではない。また、
図14に示す例では、対向する2つの第2挿入部26の距離と、対向する2つの第2挿入部26Aの距離とが略同一であるが、対向する2つの第2挿入部26の距離と、対向する2つの第2挿入部26Aの距離とが異なっていてもよい。また、
図14に示す例では、板状部材21A-1が2対の第2挿入部26、26Aを有したが、枠体が有する第2挿入部の数は2対以上であればよい。
【0102】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、上記の実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成に他の構成の追加、削除、置換等をすることが可能である。
【0103】
また、本発明において、「略」とは、厳密に同一である場合のみでなく、同一性を失わない程度の誤差や変形を含む概念である。例えば、「略円筒形状」とは、厳密に円筒形状の場合には限られない。また、例えば、単に略中央等と表現する場合において、厳密に中央等の場合のみでなく、略中央等の場合を含むものとする。
【符号の説明】
【0104】
1、2、3、4、5、6:飛沫拡散防止装置
10、10-1、10-2、10-3:シート部材
10a :溶着部
11、12:第1不織布
13 :第2不織布
20、20-1、20A、20B、20C、20D、20E:枠体
21、21A、21-1、21A-1、21-2、22、22A、22-1、23:板状部材
25、25A、25B、25-1:第1挿入部
26、26A、26-1:第2挿入部
25a、26a:開口部
25b、25c、25d、25e、25f、26b、26d:直線部
26c :曲線部
27 :溝
28、28A、29、29A:端面
100 :トランペット
101 :ベル
102 :開口端
103 :マウスピース
111 :スモーク発生装置
112 :エアブロー発生装置
113 :流量計
114 :レーザ発生装置
115 :動画撮像装置