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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】基板処理装置および供給弁
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20241127BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20241127BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20241127BHJP
   F16K 51/00 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
H01L21/30 564C
H01L21/30 569Z
B05C5/00 101
B05C11/10
F16K51/00 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021038356
(22)【出願日】2021-03-10
(65)【公開番号】P2022138462
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2023-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】柏山 真人
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-269608(JP,A)
【文献】特開2005-090639(JP,A)
【文献】特開2019-044619(JP,A)
【文献】特開2019-192814(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
B05C 11/10
F16K 51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対して処理液を吐出するノズルと、
前記ノズルに処理液を供給するための供給弁と、
前記ノズルと前記供給弁の出口を繋ぐノズル側配管と、を備え、
前記供給弁は、
流路ブロックと、
前記流路ブロックに形成された開閉弁室と、
前記流路ブロックに形成され、入口と前記開閉弁室との間で液体を流すように構成された入口側流路と、
前記流路ブロックに形成され、前記開閉弁室と前記出口との間で液体を流すように構成された出口側流路と、
前記開閉弁室内に配置された開閉弁体と、
前記開閉弁室と前記出口側流路との境界に設けられ、前記開閉弁室内で前記開閉弁体を受けるように構成された弁座と、
前記開閉弁体を前記弁座に押し当ることで前記開閉弁室から前記出口側流路への処理液の流れを停止し、また、押し当てた前記開閉弁体を前記弁座から離すことで、前記開閉弁室から前記出口側流路へ処理液を流す開閉駆動部と、
前記流路ブロックに形成され、前記開閉弁室に接続して前記開閉弁室内の気泡を排出するベント流路と、を備え、
前記ベント流路は、下方向に延びながら前記開閉弁室に接続することを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項に記載の基板処理装置において、
前記入口側流路は、下方向に延びながら前記開閉弁室に接続する共有流路を有し、
前記ベント流路は、前記共有流路を介して前記開閉弁室に接続して前記開閉弁室内の気泡を排出することを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板処理装置において、
前記開閉弁室の天井面は、前記ベント流路に気泡を案内するために傾斜面を有することを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
基板に対して処理液を吐出するノズルと、
前記ノズルに処理液を供給するための供給弁と、
前記ノズルと前記供給弁の出口を繋ぐノズル側配管と、を備え、
前記供給弁は、
流路ブロックと、
前記流路ブロックに形成された開閉弁室と、
前記流路ブロックに形成され、入口と前記開閉弁室との間で液体を流すように構成された入口側流路と、
前記流路ブロックに形成され、前記開閉弁室と前記出口との間で液体を流すように構成された出口側流路と、
前記開閉弁室内に配置された開閉弁体と、
前記開閉弁室と前記出口側流路との境界に設けられ、前記開閉弁室内で前記開閉弁体を受けるように構成された弁座と、
前記開閉弁体を前記弁座に押し当ることで前記開閉弁室から前記出口側流路への処理液の流れを停止し、また、押し当てた前記開閉弁体を前記弁座から離すことで、前記開閉弁室から前記出口側流路へ処理液を流す開閉駆動部と、
前記流路ブロックに形成され、前記開閉弁室に接続して前記開閉弁室内の気泡を排出するベント流路と、を備え、
前記供給弁は、
前記流路ブロックの前記入口側流路に形成され、処理液を収容する第1ポンプ室と、
前記第1ポンプ室内の容積を変化させる容積変化部材と、
前記容積変化部材を駆動してポンプ動作を行うポンプ駆動部と、
を更に備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
請求項に記載の基板処理装置において、
前記供給弁は、液処理ユニット内に前記ノズルおよび前記ノズル側配管と共に配置されることを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
請求項に記載の基板処理装置において、
上下方向に配置され、基板を各々処理する複数の液処理ユニットと、
前記複数の液処理ユニットの各々に処理液を送るための上流ポンプと、を更に備え、
前記複数の液処理ユニットは各々、前記ノズル、前記供給弁および前記ノズル側配管を備え、
前記供給弁は、前記第1ポンプ室に接するように設けられ、前記第1ポンプ室内で処理液の圧力を計測する第1圧力センサを備え、
前記上流ポンプは、
処理液を収容する第2ポンプ室と、
前記第2ポンプ室に接するように設けられ、前記第2ポンプ室内で処理液の圧力を計測する第2圧力センサと、を備え、
前記上流ポンプは、前記複数の液処理ユニットのいずれか1つの液処理ユニットに選択的に処理液を送る場合に、処理液が送られる前記液処理ユニットの前記供給弁の前記ポンプ駆動部と連携して、処理液が送られる前記液処理ユニットの前記第1圧力センサで計測された第1圧力値が予め設定された圧力値になるように、前記第2圧力センサで計測された第2圧力値を調整することを特徴とする基板処理装置。
【請求項7】
流路ブロックと、
前記流路ブロックに形成された開閉弁室と、
前記流路ブロックに形成され、入口と前記開閉弁室との間で液体を流すように構成された入口側流路と、
前記流路ブロックに形成され、前記開閉弁室と出口との間で液体を流すように構成された出口側流路と、
前記開閉弁室内に配置された開閉弁体と、
前記開閉弁室と前記出口側流路との境界に設けられ、前記開閉弁室内で前記開閉弁体を受けるように構成された弁座と、
前記開閉弁体を前記弁座に押し当ることで前記開閉弁室から前記出口側流路への液体の流れを停止し、また、押し当てた前記開閉弁体を前記弁座から離すことで、前記開閉弁室から前記出口側流路へ液体を流す開閉駆動部と、
前記流路ブロックに形成され、前記開閉弁室に接続して前記開閉弁室内の気泡を排出するベント流路と、を備え、
前記ベント流路は、下方向に延びながら前記開閉弁室に接続することを特徴とする供給弁。
【請求項8】
流路ブロックと、
前記流路ブロックに形成された開閉弁室と、
前記流路ブロックに形成され、入口と前記開閉弁室との間で液体を流すように構成された入口側流路と、
前記流路ブロックに形成され、前記開閉弁室と出口との間で液体を流すように構成された出口側流路と、
前記開閉弁室内に配置された開閉弁体と、
前記開閉弁室と前記出口側流路との境界に設けられ、前記開閉弁室内で前記開閉弁体を受けるように構成された弁座と、
前記開閉弁体を前記弁座に押し当ることで前記開閉弁室から前記出口側流路への液体の流れを停止し、また、押し当てた前記開閉弁体を前記弁座から離すことで、前記開閉弁室から前記出口側流路へ液体を流す開閉駆動部と、
前記流路ブロックに形成され、前記開閉弁室に接続して前記開閉弁室内の気泡を排出するベント流路と、
前記流路ブロックの前記入口側流路に形成され、処理液を収容する第1ポンプ室と、
前記第1ポンプ室内の容積を変化させる容積変化部材と、
前記容積変化部材を駆動してポンプ動作を行うポンプ駆動部と、
を備えることを特徴とする供給弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を処理する基板処理装置およびその基板処理装置に設けられる供給弁に関する。基板は、例えば、半導体基板、FPD(Flat Panel Display)用の基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などが挙げられる。FPDは、例えば、液晶表示装置、有機EL(electroluminescence)表示装置などが挙げられる。
【背景技術】
【0002】
従来、基板処理装置は、ノズル、配管および処理液供給源を備える。ノズルは、処理液として例えばレジスト液を基板上に吐出する。配管は、ノズルと処理液供給源とを結ぶ。配管には、上流から下流のノズルに向けて、ポンプ、開閉弁が順番に設けられる。開閉弁を開状態にしながら、ポンプで配管を通じてレジスト液を送ることで、ノズルからレジスト液が吐出される(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献1には、バッファタンクとノズルの間の配管にトラップタンクが設けられることが開示されている。バッファタンク内を加圧することにより、バッファタンク内の処理液はトラップタンクに供給される。更に、トラップタンク内を加圧することにより、トラップタンク内の処理液はノズルに供給される。
【0004】
特許文献2には、多段に積層されて設けられた複数の塗布モジュールに対して処理液を分配供給するディスペンス機構が開示されている。ディスペンス機構は、処理液供給源、加圧手段、および複数の塗布モジュールに対応する複数のディスペンスユニットを備える。複数のディスペンスユニットは各々、ポンプおよびノズルを備える。ノズルは、対応する塗布モジュールにおいて処理液を吐出する。ポンプは、対応する塗布モジュールの横(斜め下)に配置される。ポンプは、加圧手段によって処理液供給源から送られた処理液を内部に貯留する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-173902号公報
【文献】特開2007-005576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の基板処理装置は次の問題を有する。開閉弁は、開閉時に処理液(例えばレジスト液)中に気泡が発生する場合がある。発生した気泡は、開閉弁室に留まって、ある程度の大きさに成長する。そして、ある程度の大きさに成長した気泡は、開閉弁が開状態のときに、ノズルに送られ、ノズルから処理液と共に気泡が基板上に供給されるおそれがある。また、気泡は、パーティクル源になるおそれがある。これらは製品欠陥の原因となるおそれがある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、開閉弁に起因する気泡を除去することができる基板処理装置および供給弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。すなわち、本発明に係る基板処理装置は、基板に対して処理液を吐出するノズルと、前記ノズルに処理液を供給するための供給弁と、前記ノズルと前記供給弁の出口を繋ぐノズル側配管と、を備え、前記供給弁は、流路ブロックと、前記流路ブロックに形成された開閉弁室と、前記流路ブロックに形成され、入口と前記開閉弁室との間で液体を流すように構成された入口側流路と、前記流路ブロックに形成され、前記開閉弁室と前記出口との間で液体を流すように構成された出口側流路と、前記開閉弁室内に配置された開閉弁体と、前記開閉弁室と前記出口側流路との境界に設けられ、前記開閉弁室内で前記開閉弁体を受けるように構成された弁座と、前記開閉弁体を前記弁座に押し当ることで前記開閉弁室から前記出口側流路への処理液の流れを停止し、また、押し当てた前記開閉弁体を前記弁座から離すことで、前記開閉弁室から前記出口側流路へ処理液を流す開閉駆動部と、前記流路ブロックに形成され、前記開閉弁室に接続して前記開閉弁室内の気泡を排出するベント流路と、を備え、前記ベント流路は、下方向に延びながら前記開閉弁室に接続することを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係る基板処理装置によれば、供給弁は、開閉弁(開閉弁室、弁座、開閉弁体および開閉駆動部)を備える。開閉弁室には、開閉弁室内の気泡を排出するベント流路が接続される。これにより、開閉弁の開閉時に気泡が発生したとしても、ベント流路を通じて開閉弁室内の気泡を排出することができる。すなわち、開閉弁に起因する気泡を除去することができる。そのため、気泡が基板上に供給されることなどで、製品欠陥となることを防止することができる。
また、浮力で気泡が移動する方向にベント流路が延びているので、開閉弁室内の気泡を容易に除去することができる。
【0011】
また、上述の基板処理装置において、前記入口側流路は、下方向に延びながら前記開閉弁室に接続する共有流路を有し、前記ベント流路は、前記共有流路を介して前記開閉弁室に接続して前記開閉弁室内の気泡を排出することが好ましい。ベント流路は、入口側流路の共有流路に接続することで、共有流路を介して開閉弁室に接続する。そのため、流路ブロックを小さく形成することができる。また、共有流路が下方向に延びているので、ベント流路および共有流路は各々、下方向に延びることになる。そのため、開閉弁室内の気泡を更に容易に除去することができる。
【0012】
また、上述の基板処理装置において、前記開閉弁室の天井面は、前記ベント流路に気泡を案内するために傾斜面を有することが好ましい。傾斜面は、開閉弁室内に気泡を留めさせずにベント流路に容易に集めることができる。
【0013】
また、本発明に係る基板処理装置は、基板に対して処理液を吐出するノズルと、前記ノズルに処理液を供給するための供給弁と、前記ノズルと前記供給弁の出口を繋ぐノズル側配管と、を備え、前記供給弁は、流路ブロックと、前記流路ブロックに形成された開閉弁室と、前記流路ブロックに形成され、入口と前記開閉弁室との間で液体を流すように構成された入口側流路と、前記流路ブロックに形成され、前記開閉弁室と前記出口との間で液体を流すように構成された出口側流路と、前記開閉弁室内に配置された開閉弁体と、前記開閉弁室と前記出口側流路との境界に設けられ、前記開閉弁室内で前記開閉弁体を受けるように構成された弁座と、前記開閉弁体を前記弁座に押し当ることで前記開閉弁室から前記出口側流路への処理液の流れを停止し、また、押し当てた前記開閉弁体を前記弁座から離すことで、前記開閉弁室から前記出口側流路へ処理液を流す開閉駆動部と、前記流路ブロックに形成され、前記開閉弁室に接続して前記開閉弁室内の気泡を排出するベント流路と、を備え、前記供給弁は、前記流路ブロックの前記入口側流路に形成され、処理液を収容する第1ポンプ室と、前記第1ポンプ室内の容積を変化させる容積変化部材と、前記容積変化部材を駆動してポンプ動作を行うポンプ駆動部と、を更に備えることを特徴とするものである。
【0014】
本発明に係る基板処理装置によれば、供給弁は、開閉弁(開閉弁室、弁座、開閉弁体および開閉駆動部)を備える。開閉弁室には、開閉弁室内の気泡を排出するベント流路が接続される。これにより、開閉弁の開閉時に気泡が発生したとしても、ベント流路を通じて開閉弁室内の気泡を排出することができる。すなわち、開閉弁に起因する気泡を除去することができる。そのため、気泡が基板上に供給されることなどで、製品欠陥となることを防止することができる。
また、供給弁は、ポンプ(第1ポンプ室、容積変化部材およびポンプ駆動部)を備える。ポンプは、開閉弁が設けられる流路ブロックに設けられる。そのため、ポンプと開閉弁との距離が短くなる。そのため、ポンプと開閉弁との間の流路の長さによる圧力損失を小さく抑えると共に、ポンプと開閉弁との間の高低差による圧力損失を小さく抑えることができる。また、基板処理装置が複数の供給弁を備えた場合に、ポンプと開閉弁との距離および高低差が必ず一定となる。そのため、複数の供給弁の間で流路の長さによる圧力損失を揃えることが容易にできる。
【0015】
また、上述の基板処理装置において、前記供給弁は、液処理ユニット内に前記ノズルおよび前記ノズル側配管と共に配置されることが好ましい。供給弁のポンプ(第1ポンプ室、容積変化部材およびポンプ駆動部)をノズルにより近づけることができる。供給弁のポンプからノズルまでの流路および配管の長さによる圧力損失をより小さく抑えることができる。
【0016】
また、上述の基板処理装置において、上下方向に配置され、基板を各々処理する複数の液処理ユニットと、前記複数の液処理ユニットの各々に処理液を送るための上流ポンプと、を更に備え、前記複数の液処理ユニットは各々、前記ノズル、前記供給弁および前記ノズル側配管を備え、前記供給弁は、前記第1ポンプ室に接するように設けられ、前記第1ポンプ室内で処理液の圧力を計測する第1圧力センサを備え、前記上流ポンプは、処理液を収容する第2ポンプ室と、前記第2ポンプ室に接するように設けられ、前記第2ポンプ室内で処理液の圧力を計測する第2圧力センサと、を備え、前記上流ポンプは、前記複数の液処理ユニットのいずれか1つの液処理ユニットに選択的に処理液を送る場合に、処理液が送られる前記液処理ユニットの前記供給弁の前記ポンプ駆動部と連携して、処理液が送られる前記液処理ユニットの前記第1圧力センサで計測された第1圧力値が予め設定された圧力値になるように、前記第2圧力センサで計測された第2圧力値を調整することが好ましい。
【0017】
上流ポンプと各液処理ユニットとの高さ差は、ノズルからの処理液の吐出状態(吐出圧力、吐出量、吐出流量など)を不均一にさせる。そのため、各液処理ユニットの供給弁は、ポンプ(第1ポンプ室、容積変化部材およびポンプ駆動部など)を備える。これにより、各液処理ユニットにおける吐出状態を揃えることができる。また、各供給弁のポンプに送られる処理液の圧力が揃っていないと、各供給弁のポンプにおける圧力調整の負荷が増す。この点、本発明は、各供給弁のポンプに送られる処理液の圧力を揃えることができる。そのため、各供給弁のポンプにおける圧力調整の負荷を低減させることができる。
【0018】
また、本発明に係る供給弁は、流路ブロックと、前記流路ブロックに形成された開閉弁室と、前記流路ブロックに形成され、入口と前記開閉弁室との間で液体を流すように構成された入口側流路と、前記流路ブロックに形成され、前記開閉弁室と出口との間で液体を流すように構成された出口側流路と、前記開閉弁室内に配置された開閉弁体と、前記開閉弁室と前記出口側流路との境界に設けられ、前記開閉弁室内で前記開閉弁体を受けるように構成された弁座と、前記開閉弁体を前記弁座に押し当ることで前記開閉弁室から前記出口側流路への液体の流れを停止し、また、押し当てた前記開閉弁体を前記弁座から離すことで、前記開閉弁室から前記出口側流路へ液体を流す開閉駆動部と、前記流路ブロックに形成され、前記開閉弁室に接続して前記開閉弁室内の気泡を排出するベント流路と、を備え、前記ベント流路は、下方向に延びながら前記開閉弁室に接続することを特徴とするものである。
本発明に係る供給弁は、開閉弁(開閉弁室、弁座、開閉弁体および開閉駆動部)を備える。開閉弁室には、開閉弁室内の気泡を排出するベント流路が接続される。これにより、開閉弁の開閉時に気泡が発生したとしても、ベント流路を通じて開閉弁室内の気泡を排出することができる。すなわち、開閉弁に起因する気泡を除去することができる。そのため、気泡が基板上に供給されることなどで、製品欠陥となることを防止することができる。
また、浮力で気泡が移動する方向にベント流路が延びているので、開閉弁室内の気泡を容易に除去することができる。
【0019】
また、本発明に係る供給弁は、流路ブロックと、前記流路ブロックに形成された開閉弁室と、前記流路ブロックに形成され、入口と前記開閉弁室との間で液体を流すように構成された入口側流路と、前記流路ブロックに形成され、前記開閉弁室と出口との間で液体を流すように構成された出口側流路と、前記開閉弁室内に配置された開閉弁体と、前記開閉弁室と前記出口側流路との境界に設けられ、前記開閉弁室内で前記開閉弁体を受けるように構成された弁座と、前記開閉弁体を前記弁座に押し当ることで前記開閉弁室から前記出口側流路への液体の流れを停止し、また、押し当てた前記開閉弁体を前記弁座から離すことで、前記開閉弁室から前記出口側流路へ液体を流す開閉駆動部と、前記流路ブロックに形成され、前記開閉弁室に接続して前記開閉弁室内の気泡を排出するベント流路と、前記流路ブロックの前記入口側流路に形成され、処理液を収容する第1ポンプ室と、前記第1ポンプ室内の容積を変化させる容積変化部材と、前記容積変化部材を駆動してポンプ動作を行うポンプ駆動部と、を備えることを特徴とするものである。
本発明に係る供給弁は、開閉弁(開閉弁室、弁座、開閉弁体および開閉駆動部)を備える。開閉弁室には、開閉弁室内の気泡を排出するベント流路が接続される。これにより、開閉弁の開閉時に気泡が発生したとしても、ベント流路を通じて開閉弁室内の気泡を排出することができる。すなわち、開閉弁に起因する気泡を除去することができる。そのため、気泡が基板上に供給されることなどで、製品欠陥となることを防止することができる。
また、供給弁は、ポンプ(第1ポンプ室、容積変化部材およびポンプ駆動部)を備える。ポンプは、開閉弁が設けられる流路ブロックに設けられる。そのため、ポンプと開閉弁との距離が短くなる。そのため、ポンプと開閉弁との間の流路の長さによる圧力損失を小さく抑えると共に、ポンプと開閉弁との間の高低差による圧力損失を小さく抑えることができる。また、基板処理装置が複数の供給弁を備えた場合に、ポンプと開閉弁との距離および高低差が必ず一定となる。そのため、複数の供給弁の間で流路の長さによる圧力損失を揃えることが容易にできる。
【0020】
なお、本明細書は、次のような基板処理装置に係る発明も開示する。
【0021】
(1)本発明に係る基板処理装置は、上下方向に配置され、基板を各々処理する複数の液処理ユニットと、前記複数の液処理ユニットの各々に処理液を送るための上流ポンプと、を備え、前記複数の液処理ユニットは各々、基板に対して処理液を吐出するノズルと、前記ノズルに処理液を供給するための供給弁と、前記ノズルと前記供給弁の出口を繋ぐノズル側配管と、を備え、前記供給弁は、処理液を収容する第1ポンプ室と、前記第1ポンプ室に接するように設けられ、前記第1ポンプ室内で処理液の圧力を計測する第1圧力センサと、前記第1ポンプ室内の容積を変化させる容積変化部材と、前記容積変化部材を駆動してポンプ動作を行うポンプ駆動部と、を更に備え、前記上流ポンプは、処理液を収容する第2ポンプ室と、前記第2ポンプ室に接するように設けられ、前記第2ポンプ室内で処理液の圧力を計測する第2圧力センサと、を備え、前記上流ポンプは、前記複数の液処理ユニットのいずれか1つの液処理ユニットに選択的に処理液を送る場合に、処理液が送られる前記液処理ユニットの前記供給弁の前記ポンプ駆動部と連携して、処理液が送られる前記液処理ユニットの前記第1圧力センサで計測された第1圧力値が予め設定された圧力値になるように、前記第2圧力センサで計測された第2圧力値を調整することを特徴とするものである。
【0022】
前記(1)に記載の発明によれば、次の効果を有する。上流ポンプと各液処理ユニットとの高さ差は、ノズルからの処理液の吐出状態(吐出圧力、吐出量、吐出流量など)を不均一にさせる。そのため、各液処理ユニットの供給弁は、ポンプ(第1ポンプ室、容積変化部材およびポンプ駆動部など)を備える。これにより、各液処理ユニットにおける吐出状態を揃えることができる。また、各供給弁(各液処理ユニット)のポンプに送られる処理液の圧力が揃っていないと、各供給弁のポンプにおける圧力調整の負荷が増す。この点、本発明は、各供給弁のポンプに送られる処理液の圧力を揃えることができる。そのため、各供給弁のポンプにおける圧力調整の負荷を低減させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る基板処理装置および供給弁によれば、開閉弁に起因する気泡を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】(a)は、基板処理装置の概略構成を示す縦断面図であり、(b)は、基板処理装置の概略構成を示す横断面図である。
図2】基板処理装置の配管図である。
図3】上流ポンプの構成を示す縦断面図である。
図4】供給弁の構成を示す縦断面図である。
図5図4中の矢印A-Aから見た流路ブロックを部分的に示した図である。
図6】開閉弁の動作を説明するための図である。
図7】実施例2に係る供給弁の取り付け姿勢を示す縦断面図である。
図8】実施例2に係る供給弁を一部拡大した縦断面図である。
図9】変形例に係る基板処理装置の4個の塗布ユニットのうち、反射防止膜を形成する2個の塗布ユニットに塗布液を供給するための構成を示す配管図である。
図10】変形例に係る基板処理装置の4個の塗布ユニットのうち、レジスト膜を形成する2個の塗布ユニットに塗布液を供給するための構成を示す配管図である。
図11】変形例に係る供給弁の開閉弁およびベント流路等を示す縦断面図である。
【実施例1】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施例1を説明する。図1(a)は、基板処理装置の概略構成を示す縦断面図である。図1(b)は、基板処理装置の概略構成を示す横断面図である。
【0026】
<1.基板処理装置1の構成>
図1(a)および図1(b)を参照する。基板処理装置1は、基板Wを処理する。基板処理装置1は、インデクサブロック2と処理ブロック3を備える。
【0027】
インデクサブロック2は、複数(例えば2個または4個)のキャリア載置台5と、例えば2台の第1基板搬送機構6(ロボット)とを備える。キャリア載置台5には、基板Wを収容するキャリアCが載置される。2台の第1基板搬送機構6は、キャリア載置台5の各々に載置されたキャリアCと2個の基板載置部PS1,PS2との間で基板Wを搬送することができる。なお、2個の基板載置部PS1,PS2は、インデクサブロック2と処理ブロック3との境界およびその境界付近に配置される。2個の基板載置部PS1,PS2は、上下方向に配置される。
【0028】
処理ブロック3は、複数の処理ユニット7と第2基板搬送機構8(ロボット)を備える。第2基板搬送機構8は、X方向に長手の搬送スペース9に配置される(図1(b)参照)。第2基板搬送機構8は、2個の基板載置部PS1,PS2と複数の処理ユニット7との間で基板Wを搬送することができる。第1基板搬送機構6および第2基板搬送機構8は各々、電動モータを備え、その電動モータによって駆動される。
【0029】
図1(b)に示すように、複数の処理ユニット7は、搬送スペース9を挟み込むように配置される。複数の処理ユニット7は、4個の液処理ユニット11A,11B,11C,11Dとその他の処理ユニット12(例えば、熱処理ユニット)とに分けられる。図1(b)において、4個の液処理ユニット11A~11Dは、矢印RTで示すように搬送スペース9の第1の側面に配置される。また、その他の処理ユニット12は、矢印LTで示すように搬送スペース9の第2の側面に配置される。
【0030】
図1(a)に示すように、4個の液処理ユニット11A~11D(モジュールとも呼ばれる)は、積み重ねるように上下方向に配置される。液処理ユニット11A~11Dは各々、基板W上に処理液を供給することで基板Wを処理する。液処理ユニット11A~11Dは各々、2個の保持回転部14、ノズル16およびノズル移動機構18を備える。また、図2に示すように、液処理ユニット11A~11Dは各々、供給弁21およびノズル側配管22を備える。ノズル側配管22は、ノズル16と供給弁21の出口部材64とを繋ぐものである。
【0031】
なお、液処理ユニット11A~11Dに対応して、供給弁21を区別するときは、供給弁21A,21B,21C,21Dと呼ぶ。同様に、ノズル16を区別するときは、ノズル16A,16B,16C,16Dと呼ぶ。ノズル側配管22を区別するときは、ノズル側配管22A,22B,22C,22Dと呼ぶ。
【0032】
2個の保持回転部14は各々、水平姿勢で基板Wを保持して、保持した基板Wを回転させる。保持回転部14は各々、スピンチャック23と回転駆動部24を備える。スピンチャック23は、例えば、基板Wの載置面に設けられた吸引口から空気を吸引することで基板Wの裏面を保持する。回転駆動部24は、電動モータを備え、スピンチャック23を鉛直軸周りに回転させる。ノズル16は、保持回転部14に保持された基板Wに対して処理液を吐出する。ノズル移動機構18は、電動モータを備え、ノズル16を任意の位置に移動させる。
【0033】
図2を参照する。図2は、基板処理装置1の配管図である。なお、図示の便宜上、各液処理ユニット11A~11D内には、1つの保持回転部14が示される。基板処理装置1は、送り配管25、処理液ボトル27(処理液供給源)、気体供給部28、トラップタンク29、上流ポンプ31およびフィルタ33、分岐部34,35,36および4本の送り枝配管37A,37B,37C,37Dを備える。4本の送り枝配管37A,37B,37C,37Dを区別しないときは、送り枝配管37と呼ぶ。
【0034】
送り配管25の第1端は、処理液ボトル27内に挿入される。また、送り配管25の第2端は、第1分岐部34に接続される。処理液ボトル27は、処理液を収容する。処理液は、例えば、フォトレジスト液などのレジスト液、反射防止膜形成用の塗布液、レジストカバー膜形成用の塗布液、溶剤(例えばシンナー)、リンス液(例えばDIW)、現像液、またはエッチング液である。
【0035】
気体供給部28は、配管および弁を備えて、処理液ボトル27内に気体を供給する。これにより、処理液ボトル27に収容される処理液を送り配管25に送り出すことができる。気体は、例えば窒素などの不活性ガスである。トラップタンク29は、送り配管25に設けられている。トラップタンク29は、処理液を溜めることができると共に、図示しない液面センサによってトラップタンク29の残量を検出するように構成されている。
【0036】
また、トラップタンク29には、ベント配管30が接続される。ベント配管30には、開閉弁V21が設けられている。開閉弁V21は通常、閉じている。開閉弁V21が開状態でかつ後述する開閉弁V1,V7~V10が閉状態のときに、気体供給部28を作動させて処理液ボトル27からトラップタンク29に処理液を送る。これにより、気泡を含む処理液は、ベント配管30を通じて押し出されて排出または再利用される。
【0037】
上流ポンプ31は、4個の液処理ユニット11A~11Dの各々に選択的に処理液を送る。上流ポンプ31は、トラップタンク29と第1分岐部34との間の送り配管25に設けられる。図3に示すように、上流ポンプ31は、ポンプ室41、ダイアフラム43、ポンプ駆動部44および圧力センサ50を備える。ポンプ駆動部44は、第1ロッド45、変換機構47、電動モータ48を備えて、ポンプ動作を行う。
【0038】
ポンプ室41は、処理液を収容する。ダイアフラム43の周縁部は、ポンプ室41の内側壁に固定される。第1ロッド45の第1端は、ダイアフラム43の中央部に連結する。また、第1ロッド45の第2端は、変換機構47を介して電動モータ48の出力軸48A(ロータ)に連結する。変換機構47は、2以上の歯車を備え、電動モータ48の出力軸48Aの回転を第1ロッド45の軸方向AD1の直線移動に変換する。すなわち、電動モータ48は、ダイアフラム43の中央部を軸方向AD1に沿って前進および後退させる。これにより、ダイアフラム43が変形し、ポンプ室41の容積が変化する。圧力センサ50は、ポンプ室41に接するように設けられる。圧力センサ50は、ダイアフラム43と対向するように配置される。圧力センサ50は、ポンプ室41内で処理液の圧力を計測する。
【0039】
ダイアフラム43は、例えばローリングダイヤフラムが用いられる。なお、ポンプ室41は、本発明の第2ポンプ室に相当する。圧力センサ50は、本発明の第2圧力センサに相当する。
【0040】
図2を参照する。フィルタ33は、上流ポンプ31と第1分岐部34との間の送り配管25に設けられる。フィルタ33は、図示しないフィルタ本体を備える。フィルタ本体に処理液を通過させると、フィルタ本体によって処理液中に含まれる異物(ゴミ)および気泡が取り除かれる。フィルタ33には、ベント配管51が接続される。ベント配管51には、開閉弁V22が設けられる。開閉弁V22は通常、閉じている。開閉弁V22および後述する開閉弁V2が開状態でかつ、後述する開閉弁V1,V3~V6が閉状態のときに、上流ポンプ31を作動させて、上流ポンプ31からフィルタ33に処理液を送ることで、フィルタ本体を通過できなかった気泡を含む処理液は、ベント配管51を通じて排出または再利用される。
【0041】
第1分岐部34には、送り配管25の第2端が接続される。更に、第1分岐部34には、2本の送り枝配管37A,37Dの第1端が接続される。また、送り枝配管37Bは、第2分岐部35を介して送り枝配管37Dに接続される。送り枝配管37Cは、第3分岐部36を介して送り枝配管37Dに接続される。これにより、送り配管25を通じて第1分岐部34に送られた処理液を4本の送り枝配管37A~37Dの各々に送ることができる。そして、4本の送り枝配管37A~37Dの第2端は、4個の液処理ユニット11A~11Dの4個の供給弁21A~21Dにそれぞれ接続される。例えば、送り枝配管37Aの第2端は、最下段の液処理ユニット11Aの供給弁21Aに接続される。また、送り枝配管37Dの第2端は、最上段の液処理ユニット11Dの供給弁21Dに接続される。
【0042】
なお、図2において、送り枝配管37Bは、第2分岐部35を介して送り枝配管37Dに接続し、また、送り枝配管37Cは、第3分岐部36を介して送り枝配管37Dに接続している。この点、4本の送り枝配管37A~37Dは各々、送り配管25が接続される第1分岐部34に直接接続してもよい。
【0043】
ノズル側配管22Aには、流量計53Aが設けられる。同様に、ノズル側配管22Bには、流量計53Bが設けられる。ノズル側配管22Cには、流量計53Cが設けられる。ノズル側配管22Dには、流量計53Dが設けられる。例えば流量計53Aは、ノズル側配管22A内の処理液の流量を計測する。同様に、3つの流量計53B~53Dは、ノズル側配管22B~22D内の処理液の流量をそれぞれ計測する。
【0044】
<1-1.供給弁21(21A,21B,21C,21D)の構成>
供給弁21Aは、図2に示すように、液処理ユニット11A内の処理空間にノズル16Aおよびノズル側配管22Aと共に配置される。また、供給弁21Bは、液処理ユニット11B内の処理空間にノズル16Bおよびノズル側配管22Bと共に配置される。供給弁21C,21Dも同様である。なお、図1(b)に示すように、供給弁21は、2つの保持回転部14の中間に配置される。
【0045】
図4図5を参照する。図4は、供給弁21の構成を示す縦断面図である。図5は、図4中の矢印A-Aから見た流路ブロック61を部分的に示した図である。供給弁21は、ノズル16に処理液を供給するために用いられる。供給弁21は、開閉弁55(ディスペンスバルブ)、ポンプ57およびサックバック弁59を備える。供給弁21は、流路ブロック61、入口部材63および出口部材64を備える。処理液は、管状の入口部材63から供給弁21の内部に流入する。供給弁21の内部の処理液は、管状の出口部材64から流出する。
【0046】
流路ブロック61は、開閉弁55、ポンプ57およびサックバック弁59で共有される。流路ブロック61は、例えばPFA(パーフルオロアルコキシアルカン:perfluoroalkoxyalkane)などの熱可塑性および溶融流動性を有するフッ素樹脂その他の樹脂で形成されている。流路ブロック61は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン:polytetrafluoroethylene)などのフッ素樹脂で形成されていてもよい。
【0047】
流路ブロック61は、上面61T、下面61B、左側面61Lおよび右側面61Rを備える。流路ブロック61には、開閉弁室65、入口側流路67および出口側流路69が形成される。
【0048】
入口側流路67の第1端には、左側面61Lに開口するように入口67Aが形成される。入口側流路67の第2端は、開閉弁室65と接続する。すなわち、入口側流路67は、入口67Aと開閉弁室65との間で処理液(液体)を流すように構成される。入口部材63は、入口側流路67と連通するように、流路ブロック61の入口67Aに取り付けられる。
【0049】
出口側流路69の第1端は、開閉弁室65と接続する。出口側流路69の第2端には、右側面61Rに開口するように出口69Aが形成される。すなわち、出口側流路69は、開閉弁室65と出口69Aとの間で処理液を流すように構成される。出口部材64は、出口側流路69と連通するように、流路ブロック61の出口69Aに取り付けられる。
【0050】
供給弁21は、弁座71、ダイアフラム73(開閉弁体)および開閉駆動部75を更に備える。弁座71は、流路ブロック61に形成される。弁座71は、開閉弁室65と出口側流路69との境界(その境界付近を含む)に設けられる。弁座71は、開閉弁室65内で開閉弁体であるダイアフラム73を受けるように構成される。
【0051】
ダイアフラム73は、開閉弁室65内に配置される。ダイアフラム73は、肉厚部73Aと肉薄部73Bを備える。肉厚部73Aは、弁座71に押し当てられる部分である。肉厚部73Aの外縁部には、肉薄部73Bが形成される。肉薄部73Bの外縁部は、開閉弁室65の内側壁に固定される。ダイアフラム73は、開閉弁室65と、図4に示す空間76とを仕切る。ダイアフラム73は、開閉弁室65内の処理液が空間76に漏れ出さないように構成される。
【0052】
開閉駆動部75は、ダイアフラム73を弁座71に押し当ることで開閉弁室65から出口側流路69への処理液の流れを停止し、また、押し当てたダイアフラム73を弁座71から離すことで、開閉弁室65から出口側流路69へ処理液を流すように構成される。開閉駆動部75は、第2ロッド78、変換機構79および電動モータ80を備えている。第2ロッド78の第1端は、ダイアフラム73の肉厚部73Aと連結する。また、第2ロッド78の第2端は、変換機構79を介して電動モータ80の出力軸80A(ロータ)に連結する。変換機構79は、2以上の歯車を備え、電動モータ80の出力軸80Aの回転を第2ロッド78の軸方向AD2の直線移動に変換する。すなわち、電動モータ80は、ダイアフラム73の肉厚部73Aを軸方向AD2に沿って前進および後退させる。これにより、肉厚部73Aが弁座71に押し付けられ、また、肉厚部73Aが弁座71から離れる。
【0053】
開閉弁室65は、流路ブロック61の下面61Bに開口するように形成されている。ダイアフラム73および開閉駆動部75は、開閉弁室65の開口を塞ぐように流路ブロック61に取り付けられる。
【0054】
供給弁21は、開閉弁55の上流にポンプ57を備える。ポンプ57は、ポンプ室82、ダイアフラム83(容積変化部材)、ポンプ駆動部85および圧力センサ86を備える。ポンプ室82は、処理液を収容する。ポンプ室82は、流路ブロック61の入口側流路67に形成される。すなわち、ポンプ室82は、入口側流路67に介在するように形成される。ダイアフラム83は、ポンプ室82の容積を変化させるものである。ダイアフラム83の周縁部は、ポンプ室82の内側壁に固定される。ダイアフラム83は、例えばローリングダイヤフラムが用いられる。
【0055】
なお、ポンプ室82は、本発明の第1ポンプ室に相当する。圧力センサ86は、本発明の第1圧力センサに相当する。
【0056】
ポンプ駆動部85は、ダイアフラム83を駆動して駆動してポンプ動作を行う。ポンプ駆動部85は、第3ロッド88、変換機構89および電動モータ90を備える。第3ロッド88の第1端は、ダイアフラム83の中央部に連結される。第3ロッド88の第2端は、変換機構89を介して電動モータ90の出力軸90A(ロータ)に連結される。変換機構89は、2以上の歯車を備え、電動モータ90の出力軸90Aの回転を第3ロッド88の軸方向AD3の直線移動に変換する。そのため、ダイアフラム83の中央部は、軸方向AD3に沿って前進および後退する。これにより、ダイアフラム83が変形し、ポンプ室82内の容積が変化される。圧力センサ86は、ポンプ室82に接するように設けられる。圧力センサ86は、ダイアフラム83と対向するように配置される。圧力センサ86は、ポンプ室82内で処理液の圧力を計測する。
【0057】
また、供給弁21は、開閉弁55の下流にサックバック弁59を備える。サックバック弁59は、サックバック弁室92、ダイアフラム93およびサックバック駆動部95を備える。サックバック弁室92は、流路ブロック61の出口側流路69に形成される。すなわち、サックバック弁室92は、出口側流路69に介在するように形成される。ダイアフラム93の周縁部は、サックバック弁室92の内側壁に固定される。
【0058】
サックバック駆動部95は、第4ロッド98、変換機構100および電動モータ101を備える。第4ロッド98の第1端は、ダイアフラム93の中央部に連結される。また、第4ロッド98の第2端は、変換機構100を介して電動モータ101の出力軸101A(ロータ)に連結される。変換機構100は、2以上の歯車を備え、電動モータ101の出力軸101Aの回転を第4ロッド98の軸方向AD4の直線移動に変換する。そのため、ダイアフラム93の中央部は、軸方向AD4に沿って前進および後退する。これにより、サックバック弁室92の容積が変化する。
【0059】
また、図4に示すように、供給弁21は、ベント流路103と気泡排出部材105を備える。ベント流路103は、開閉弁室65に接続して開閉弁室65内の気泡を排出するためのものである。ベント流路103は、流路ブロック61に形成される。ベント流路103の第1端には、流路ブロック61の上面61Tに開口する排出口103Aが形成される。管状の気泡排出部材105は、ベント流路103と連通するように、流路ブロック61の排出口103Aに取り付けられる。ベント流路103の第2端は、入口側流路67(後述する共有流路67B)に接続する。すなわち、ベント流路103は、下方向に延びながら、入口側流路67(後述する共有流路67B)を介して開閉弁室65に接続される。更に具体的に説明する。
【0060】
入口側流路67は、入口部材63から水平方向に延びた後に、開閉弁室65の上方で下方向に方向転換し、開閉弁室65に接続する。入口側流路67のうち、ベント流路103と開閉弁室65の間の部分を共有流路67Bと呼ぶものとする。共有流路67Bは、下方向に延びながら開閉弁室65に接続する。更に、ベント流路103は、下方向に延びながら共有流路67Bに接続する。図4において、入口側流路67は、L字状に形成される。そのため、入口側流路67とベント流路103は、T字状の流路を形成する。これにより、ベント流路103は、共有流路67Bを介して開閉弁室65に接続して開閉弁室65内の気泡を排出する。このような構成により、開閉弁室65から共有流路67Bおよびベント流路103が上方向に直線状に延びるので、開閉弁室65内の気泡を円滑に排出することができる。なお、図4において、出口側流路69も、L字状に形成される。
【0061】
図2を参照する。基板処理装置1の残りの構成を説明する。基板処理装置1は、4本の戻り枝配管107A,107B,107C,107D、第1合流部109、第2合流部110、第3合流部111、戻り配管112および第4合流部114を備える。
【0062】
4本の戻り枝配管107A~107Dの第1端は、4個の供給弁21A~21Dにそれぞれ接続される。例えば、最下段の液処理ユニット11Aの供給弁21Aの気泡排出部材105には、戻り枝配管107Aが接続される。同様に、3個の供給弁21B~21Dの3個の気泡排出部材105には、戻り枝配管107B~107Dがそれぞれ接続される。
【0063】
戻り枝配管107Bの第2端は、第1合流部109を介して戻り枝配管107Aに接続される。同様に、戻り枝配管107Cの第2端は、第2合流部110を介して戻り枝配管107Aに接続される。そして、2本の戻り枝配管107A,107Dの第2端は、第3合流部111に接続される。第3合流部111には、更に戻り配管112の第1端が接続される。また、戻り配管112の第2端は、第4合流部114を介して送り配管25に接続される。第4合流部114は、処理液ボトル27とトラップタンク29との間に配置される。また、供給弁21Aを上流とし、第4合流部114を下流とするとき、上流側から、第1合流部109、第2合流部110、第3合流部111および第4合流部114の順番に配置される。このような構成により、供給弁21からトラップタンク29の上流に処理液または気泡を戻すことができる。
【0064】
なお、分岐部34,35,36および合流部109,110,111は各々、例えばT字管で構成される。第4合流部114は、三方弁で構成される。また、4本の戻り枝配管107A~107Dは各々、戻り配管112が接続される第3合流部111に直接接続していてもよい。
【0065】
また、基板処理装置1は、図2に示すように、10個の開閉弁V1~V10を備えている。開閉弁V1~V10および上述の開閉弁V21,V22は、例えば気体、ソレノイドまたは電動モータなどで駆動される。
【0066】
開閉弁V1は、トラップタンク29と上流ポンプ31との間の送り配管25に設けられる。開閉弁V2は、上流ポンプ31とフィルタ33との間の送り配管25に設けられる。開閉弁V3は、第1分岐部34と供給弁21Aとの間の送り枝配管37Aに設けられる。開閉弁V4は、第2分岐部35と供給弁21Bとの間の送り枝配管37Bに設けられる。開閉弁V5は、第3分岐部36と供給弁21Cとの間の送り枝配管37Cに設けられる。開閉弁V6は、第3分岐部36と供給弁21Dとの間の送り枝配管37Dに設けられる。
【0067】
開閉弁V7は、供給弁21Aと第1合流部109との間の戻り枝配管107Aに設けられる。開閉弁V8は、供給弁21Bと第1合流部109との間の戻り枝配管107Bに設けられる。開閉弁V9は、供給弁21Cと第2合流部110との間の戻り枝配管107Cに設けられる。開閉弁V10は、供給弁21Dと第3合流部111との間の戻り枝配管107Dに設けられる。
【0068】
上流ポンプ31は、4つの開閉弁V3~V6の開閉状態によって、4個の供給弁21A~21Dのいずれか1つに選択的に処理液を送り出す。具体的に説明する。供給弁21Aは、上流ポンプ31および開閉弁V1,V2,V3,V7,V22と連携して液送り動作を行う。供給弁21Bは、上流ポンプ31および開閉弁V1,V2,V4,V8,V22と連携して液送り動作を行う。供給弁21Cは、上流ポンプ31および開閉弁V1,V2,V5,V9,V22と連携して液送り動作を行う。供給弁21Dは、上流ポンプ31および開閉弁V1,V2,V6,V10,V22と連携して液送り動作を行う。
【0069】
なお、ノズル16から処理液を吐出する場合は、上流ポンプ31と連携せずに供給弁21のポンプ57だけで処理液を送り出す。
【0070】
また、上流ポンプ31は、4個の液処理ユニット11A~11Dのいずれか1つの例えば液処理ユニット11Dに選択的に処理液を送る場合に、処理液が送られる液処理ユニット11Dの供給弁21Dのポンプ駆動部85(すなわちポンプ57)と連携して、処理液が送られる液処理ユニット11Dの圧力センサ86で計測された第1圧力値P1が予め設定された正の圧力値PPになるように、上流ポンプ31の圧力センサ50で計測された第2圧力値P2を調整する。予め設定された正の圧力値PPは、4個の供給弁21A~21Dで同じ値が用いられる。この圧力調整は、開閉弁V2,V6を開状態にして、液処理ユニット11Dに処理液を送りながら行われる。この圧力調整は、第1圧力値P1と第2圧力値P2の差圧値DPを管理しながら行われる。
【0071】
ここで、予め設定された正の圧力値PPは、例えば5kPaであると仮定する。圧力センサ86(図4参照)で計測された第1圧力値P1は、例えば5kPaであり、高低差で決まる理論上の差圧値DP(第2圧力値P2-第1圧力値P1)は、例えば9kPaであると仮定する。この場合、上流ポンプ31は第2圧力値P2が14kPaとなるように、加圧する。差圧値DPは、上流ポンプ31と供給弁21A~21Dの各々との高低差によって決まる値である。そのため、差圧値DPは、供給弁21が高い位置にあるほど大きくなる。例えば、第2圧力値P2が14kPaであるにも関わらず、第1圧力値P1が例えば4kPaと低い場合には、ポンプ57の圧力センサ86で計測される第1圧力値P1が5kPaになるように、例えば上流ポンプ31は、上流ポンプ31の圧力センサ50で計測された第2圧力値P2を調整する。すなわち、ダイアフラム43および第1ロッド45の前進速度を上げることで、処理液を更に加圧する。上流ポンプ31は、更に加圧された処理液をポンプ57に送り出す。なお、ダイアフラム43および第1ロッド45の前進速度を下げることで、処理液が減圧される。
【0072】
なお、第2圧力値P2は、処理液が送られる液処理ユニット11Dのポンプ57で調整してもよいし、上流ポンプ31および、処理液が送られる液処理ユニット11Dのポンプ57の両方で調整してもよい。この場合、上流ポンプ31が処理液を送り出しているときに、ポンプ57は、ダイアフラム83および第3ロッド88の後退速度を下げることで、処理液を加圧する。また、ポンプ57は、ダイアフラム83および第3ロッド88の後退速度を上げることで、処理液を減圧する。
【0073】
図1(a)において、4個の液処理ユニット11A~11Dの下方には、収納エリアPA1が設けられる。収納エリアPA1内には、供給弁21A~21Dよりも上流の構成が配置される。例えば、収納エリアPA1内には、図2に示すような、送り配管25、処理液ボトル27、トラップタンク29、上流ポンプ31、フィルタ33、3個の分岐部34~36、および6個の開閉弁V1~V6などが配置される。また、図1(a)において、4個の液処理ユニット11A~11Dの側方には、配管エリアPA2が設けられる。配管エリアPA2内には、例えば、4本の送り枝配管37A~37D(一部)、4本の戻り枝配管107A~107D(一部)などが配置される。
【0074】
基板処理装置1は、図1(b)に示すコントローラ115と、図示しない記憶部(例えばメモリ)とを備えている。コントローラ115は、1つまたは複数の中央演算処理装置(CPU)を備えている。コントローラ115は、基板処理装置1の各構成(例えば保持回転部14、供給弁21、気体供給部28、上流ポンプ31、および開閉弁V1~V10,V21~V22)を制御する。記憶部には、基板処理装置1の動作に必要なコンピュータプログラムが記憶されている。
【0075】
<2.基板処理装置1の動作>
基板処理装置1の動作について説明する。基板Wは、4個の液処理ユニット11A~11Dのうち、例えば最上段の液処理ユニット11Dで液処理が行われるものとする。まず、液処理ユニット11Dの保持回転部14上に基板Wを搬送する。
【0076】
図1(a)、図1(b)において、キャリア載置台5には、キャリアCが搬送されている。第1基板搬送機構6は、キャリア載置台5に載置されたキャリアCから基板Wを取り出して、取り出した基板Wを2個の基板載置部PS1,PS2の一方に搬送する。この説明では、取り出した基板Wは、上段に配置された基板載置部PS2に搬送する。
【0077】
第2基板搬送機構8は、基板載置部PS2から基板Wを受け取って、受け取った基板Wを任意の処理ユニット7(11A~11B,12)に搬送する。例えば、その他の処理ユニット12で熱処理または冷却処理がされた後、基板Wは、最上段の液処理ユニット11Dに搬送されるものとする。また、基板Wは、液処理ユニット11Dの2個の保持回転部14の一方のスピンチャック23上に載置される。保持回転部14は、載置された基板Wを保持する。
【0078】
次に、図2図4図6を参照しつつ上流ポンプ31と供給弁21D等による液送り動作について説明する。図6は、開閉弁V1~V10,V22および供給弁21の開閉弁55の動作を説明するための図である。なお、図6において、4個の開閉弁V3~V6に関する項目「V3/V4/V5/V6」において、「開」は、4個の開閉弁V3~V6のいずれか1つが選択的に開状態になることを示す。また、「閉」は、4個の開閉弁V3~V6の全てが閉状態になることを示す。このことは、4個の開閉弁V7~V10に関する項目「V7/V8/V9/V10」および、4個の供給弁21A~21Dの4個の開閉弁55に関する項目「55」も同様である。
【0079】
〔ステップS01〕上流ポンプ31の吸引工程
図2において、開閉弁V1を開状態(ON状態)にし、また、開閉弁V2~V10,V22および4個の供給弁21A~21Dの開閉弁55を閉状態(OFF状態)にする。この状態で、上流ポンプ31は、上流ポンプ31のダイアフラム43および第1ロッド45を圧力センサ50から離れる方向に後退させる。これにより、ポンプ室41の容量が大きくなり、上流ポンプ31のポンプ室41内に処理液が吸引される。
【0080】
〔ステップS02〕フィルタ33による濾過工程
上流ポンプ31のポンプ室41内に吸引した処理液を送り配管25およびフィルタ33を通じて供給弁21Dのポンプ57のポンプ室82に送る。上流ポンプ31から供給弁21Dのポンプ57に処理液が送られる際に、処理液中の異物および気泡は、フィルタ33で除去される。
【0081】
具体的に説明する。まず、開閉弁V1~V10,V22および4個の供給弁21A~21Dの開閉弁55を閉状態にする。この状態で、上流ポンプ31は、圧力センサ50で計測された第2圧力値P2が予め設定された吐出圧になるように、ポンプ室41の容積を変化させる。
【0082】
そして、開閉弁V2,V6を開状態にし、また、開閉弁V1,V3~V5,V7~V10,V22および供給弁21A~21Dの開閉弁55を閉状態にする。この状態で、上流ポンプ31は、ダイアフラム43および第1ロッド45を圧力センサ50に近づける方向に前進させる。これにより、上流ポンプ31のポンプ室41の容積が小さくなり、ポンプ室41からフィルタ33に向けて処理液が送り出される。この上流ポンプ31の動作と同時に、液処理ユニット11Dの供給弁21Dのポンプ57は、ダイアフラム83および第3ロッド88を圧力センサ86から離す方向に後退させる。これにより、ポンプ57のポンプ室82の容積が大きくなり、供給弁21Dのポンプ57のポンプ室82内に処理液が吸引される。
【0083】
ここで、上流ポンプ31は、4個の液処理ユニット11A~11Dのいずれか1つの例えば液処理ユニット11Dに選択的に処理液を送る場合に、処理液が送られる液処理ユニット11Dの供給弁21Dのポンプ駆動部85(ポンプ57)と連携して、処理液が送られる液処理ユニット11Dの圧力センサ86(図4参照)で計測された第1圧力値P1が予め設定された正の圧力値PPになるように、上流ポンプ31の圧力センサ50で計測された第2圧力値P2を調整する。
【0084】
〔ステップS03〕ポンプ57のエア抜き工程
開閉弁V10を開状態にし、開閉弁V1~V9,V22および供給弁21A~21Dの開閉弁55を閉状態にする。この状態で、供給弁21Dのポンプ57は、ダイアフラム83および第3ロッド88を圧力センサ86に近づける方向に少し前進させる。この移動量は予め設定される。これにより、図4において、ポンプ室82の容積が少し小さくなり、ポンプ室82内の処理液が開閉弁室65側でなく、ベント流路103および気泡排出部材105側に送り出される。なお、ポンプ室82内から送り出された処理液は、入口側流路67、ベント流路103、気泡排出部材105および戻り枝配管107Dの順番で流れる。
【0085】
ここで、開閉弁55の開閉弁室65には、共有流路67B(入口側流路67)を介してベント流路103が接続されている。開閉弁室65内の気泡は、ベント流路103に移動することができる。ベント流路103に移動した気泡は更に、ポンプ57による処理液の流れにより、気泡排出部材105または戻り枝配管107Dに送られる。また、この工程において、ポンプ57またはポンプ57よりも上流で生じた気泡も戻り枝配管107D等に送ることができる。
【0086】
なお、戻り枝配管107Dに送られた気泡および処理液は、第3合流部111、戻り配管112、第4合流部114の順番で戻される。第4合流部114に戻された処理液は、処理液ボトル27に送られる。これにより、コストが高い処理液を廃棄するのではなく有効活用できる。
【0087】
〔ステップS04〕ポンプ57による吐出工程
まず、開閉弁V1~V10,V22および4個の供給弁21A~21Dの開閉弁55を閉状態にする。この状態で、供給弁21Dのポンプ57は、供給弁21Dの圧力センサ86で計測された第1圧力値P1が予め設定された吐出圧になるように、ポンプ室82の容積を変化させる。
【0088】
そして、供給弁21Dの開閉弁55を開状態にし、開閉弁V1~V10,V22および3個の供給弁21A~21Cの開閉弁55を閉状態にする。この状態で、供給弁21Dのポンプ57は、ダイアフラム83および第3ロッド88を前進させる。これにより、ダイアフラム83および第3ロッド88の移動量に応じて、ポンプ室82の容積が小さくなる。そのため、供給弁21Dのポンプ室82内の処理液が開閉弁室65および出口側流路69側に送り出され、ノズル16から処理液が吐出される。なお、ポンプ室82内の処理液は、入口側流路67および出口側流路69を通じて、開閉弁室65、サックバック弁室92、出口部材64の順番で送られる。出口部材64に送られた処理液は、ノズル側配管22D、ノズル16Dの順番で送られる(図2参照)。
【0089】
また、ポンプ室82から処理液を送り出している間、供給弁21Dのポンプ57は、供給弁21Dの圧力センサ86で計測された第1圧力値P1が予め設定された吐出圧を維持するように、ダイアフラム83および第3ロッド88の前進速度を上下させる。
【0090】
処理液が吐出されている間、保持回転部14は、保持された基板Wを回転してもよいし、回転せずに静止していてもよい。ノズル16Dから予め設定された量の処理液が吐出されると、供給弁21Dの開閉弁55を閉じると共に、供給弁21Dのポンプ57のダイアフラム83および第3ロッド88の移動を停止する。
【0091】
また、弁座71からダイアフラム73を離して供給弁21Dの開閉弁55を開状態にする場合(すなわち、ノズル16Dから処理液を吐出する場合)、供給弁21Dのサックバック弁59は、ダイアフラム93および第4ロッド98を前進させることで、サックバック弁室92の容積を小さくする。また、弁座71にダイアフラム73を押し付けて供給弁21Dの開閉弁55を閉状態にする場合(すなわち、ノズル16Dからの処理液の吐出を停止する場合)供給弁21Dのサックバック弁59は、ダイアフラム93および第4ロッド98を後退させることで、サックバック弁室92の容積を大きくする。容積が大きくなると、ノズル16D内の処理液が供給弁21D側に吸い込まれ、ノズル16Aから処理液の滴が落下することを防止できる。
【0092】
なお、吸引工程と吐出工程が同時に行われてもよい。この場合、例えば、吸引および吐出工程(ステップS01+S04)、濾過工程(ステップS02)、パージ(ステップS03)がこの順番で繰り返される。
【0093】
また、ステップS02において、例えば5ml(ミリリットル)の処理液がポンプ57のポンプ室82に送られて、ステップS04の吐出工程の後、ポンプ室82に例えば1mlの処理液が残っていたと仮定する。この場合、図6に示すステップS21のように動作させて、残りの処理液を第4合流部114側に戻してもよい。
【0094】
具体的には、開閉弁V10を開状態にし、開閉弁V1~V9,V22および供給弁21A~21Dの開閉弁55を閉状態にする。この状態で、供給弁21Dのポンプ57は、ダイアフラム83および第3ロッド88を圧力センサ86に近づける方向に前進させる。これにより、残りの処理液が戻り配管112を通じて第4合流部114側に戻される。処理液を流動させることで、処理液(例えばレジスト液)が固まって異物を発生させることを防止できる。この場合、ステップS01、ステップS02、ステップS03、ステップS04、ステップS21の順番で動作が行われる。なお、ステップS01は、ステップS04またはステップS21と並行して行われてもよい。
【0095】
なお、上流ポンプ31は、供給弁21Dに処理液を送った後、再度、供給弁21Dに処理液を送ってもよいし、他の3個の供給弁21A~21Cのいずれか(例えば供給弁21A)に選択的に処理液を送ってもよい。
【0096】
基板Wに処理液が吐出されて処理が行われた後、保持回転部14は、基板Wの回転を停止した状態で、基板Wの保持を解除する。第2基板搬送機構8は、液処理ユニット11Dの保持回転部14上の基板Wを受け取る。第2基板搬送機構8は、受け取った基板Wを必要に応じてその他の処理ユニット12に送った後、基板Wを基板載置部PS2に搬送する。第1基板搬送機構6は、基板載置部PS2に搬送された基板Wを受け取り、受け取った基板Wをキャリア載置台5に載置されたキャリアCに戻す。
【0097】
本実施例によれば、供給弁21は、開閉弁55(開閉弁室65、弁座71、ダイアフラム73および開閉駆動部75)を備える。開閉弁室65には、開閉弁室65内の気泡を排出するベント流路103が接続される。これにより、開閉弁55の開閉時に気泡が発生したとしても、ベント流路103を通じて開閉弁室65内の気泡を排出することができる。すなわち、開閉弁55に起因する気泡を除去することができる。そのため、気泡が基板W上に供給されることなどで、製品欠陥となることを防止することができる。
【0098】
また、ベント流路103は、下方向に延びながら開閉弁室65に接続する。浮力で気泡が移動する方向にベント流路103が延びているので、開閉弁室65内の気泡を容易に除去することができる。
【0099】
また、入口側流路67は、下方向に延びながら開閉弁室65に接続する共有流路67Bを有する。そして、ベント流路103は、共有流路67Bを介して開閉弁室65に接続して開閉弁室65内の気泡を排出する。ベント流路103は、入口側流路67の共有流路67Bに接続することで、共有流路67Bを介して開閉弁室65に接続する。そのため、流路ブロック61を小さく形成することができる。また、共有流路67Bが下方向に延びているので、ベント流路103および共有流路67Bが共に下方向に延びることになる。そのため、開閉弁室65内の気泡を更に容易に除去することができる。
【0100】
また、供給弁21は、ポンプ57(ポンプ室82、ダイアフラム83およびポンプ駆動部85)を備える。ポンプ57は、開閉弁55が設けられる流路ブロック61に設けられる。そのため、ポンプ57と開閉弁55との距離が短くなる。そのため、ポンプ57と開閉弁55との間の流路の長さによる圧力損失を小さく抑えると共に、ポンプ57と開閉弁55との間の高低差による圧力損失を小さく抑えることができる。また、基板処理装置1が複数の供給弁21を備えた場合に、ポンプ57と開閉弁55との距離および高低差が必ず一定となる。そのため、複数の供給弁21の間で流路の長さによる圧力損失を揃えることができる。
【0101】
また、例えば供給弁21Aは、液処理ユニット11A内の処理空間にノズル16Aおよびノズル側配管22Dと共に配置される。供給弁21Aのポンプ57(ポンプ室82、ダイアフラム83およびポンプ駆動部85)をノズル16Aにより近づけることができる。供給弁21Aのポンプ57からノズル16Aまでの流路および配管の長さによる圧力損失をより小さく抑えることができる。また、供給弁21Aの電動モータ90は、例えば上流ポンプ31の電動モータ48よりも小さいトルクの電動モータを用いることができる。その他の3個の供給弁21B~21Dも同様である。
【実施例2】
【0102】
次に、図面を参照して本発明の実施例2を説明する。なお、実施例1と重複する説明は省略する。
【0103】
実施例1の図4図5において、開閉弁室65の天井面65Aは、水平である。天井面65Aは、図5において、ドットのハッチングで示す部分である。この点、実施例2では、開閉弁室65の天井面65Aは、ベント流路103に気泡を案内するために傾斜面65Aを有している。傾斜面65Aは、開閉弁室65内に気泡を留めさせずにベント流路103に容易に集めることができる。
【0104】
図7は、実施例2に係る供給弁21の取り付け姿勢を示す図である。図7および後述する図8において、符号Zで示す矢印は、鉛直方向を示す。図7に示す実施例2の供給弁21は、図4に示す供給弁21を傾けたものである。すなわち、図7に示す供給弁21は、傾けられた姿勢で液処理ユニット11A~11D内に取り付けられる。
【0105】
どちらに傾けるかについて説明する。共有流路67Bと開閉弁室65との接続部分は、開閉弁室65内において入口部材63側に配置される。そのため、供給弁21は、入口部材63よりも出口部材64が低くなるように配置される。これにより、天井面65Aの略全面が傾斜するので、開閉弁室65内の気泡は、共有流路67Bおよびベント流路103に容易に案内される。
【0106】
なお、天井面65Aが傾斜すると共に、ベント流路103および共有流路67Bが開閉弁室65から上方向(斜め上方向を含む)に延びていることが求められる。これは、開閉弁室65の気泡を気泡排出部材105から排出し易くするためである。
【0107】
図8は、実施例2の変形例に係る供給弁21を一部拡大した縦断面図である。水平な上面61Tおよび下面61Bに対して、図8に示す天井面65Aは傾斜する。すなわち、天井面65Aの略全面が傾斜面65Aである。図5のドットのハッチングで示される天井面65Aは、弁座71を取り囲むように、ドーナツ状に形成される。そのため、図8に示す気泡BBは、弁座71の周りを通りながら天井面(傾斜面)65Aに沿って案内される。これにより、開閉弁室65内の気泡BBは、共有流路67Bおよびベント流路103に容易に案内される。なお、図7図8において、天井面(傾斜面)65Aは、曲面であってもよい。
【0108】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0109】
(1)上述した各実施例では、図1(a)、図2に示すように、基板処理装置1は、4段(4層)の液処理ユニット11A~11Dを備えていた。この点、基板処理装置1は、1段または2段以上の液処理ユニットを備えていてもよい。なお、2段以上の液処理ユニットは、上下方向に配置される。
【0110】
(2)上述した各実施例および各変形例では、基板処理装置1は、1個の処理液ボトル27から4個の液処理ユニット11A~11Dに処理液が送られるように構成されていた。この点、基板処理装置1は、複数(例えば2個)処理液ボトル27から1個または複数の液処理ユニットに処理液が送られるように構成されていてもよい。図9図10に示すように、例えば、基板処理装置1は、2個の塗布ユニットRESISTおよび2個の塗布ユニットBARCを備えているものとする。4個の塗布ユニットRESIST,BARC(液処理ユニット11A~11D)は、上下方向に積み重ねるように配置される。
【0111】
図9は、2個の塗布ユニットBARCに塗布液を供給するための構成を示す配管図である。2個の塗布ユニットBARCは各々、基板W上に反射防止膜を形成するものである。処理液ボトル120には、反射防止膜を形成するための塗布液が収容される。送り配管25Pの第1端は、処理液ボトル120内に挿入される。送り配管25Pの第2端は、分岐部121に接続する。また、分岐部121には、2本の送り枝配管37A,37Cが接続される。
【0112】
また、戻り枝配管107A,107Cの2個の第1端は、供給弁21A,21Cの2個の気泡排出部材105にそれぞれ接続される。戻り枝配管107A,107Cの2個の第2端は、合流部122に接続される。合流部122には、戻り配管112Pが接続される。なお、図9において、塗布ユニットBARCに関連する構成は、符号25Pのように、数字に「P」を付している。「P」を付した例えば送り配管25Pの機能は、図2に示す送り配管25の機能と同じである。
【0113】
図10は、2個の塗布ユニットRESISTに塗布液を供給するための構成を示す配管図である。2個の塗布ユニットRESISTは各々、基板Wの反射防止膜上にレジスト膜を形成するものである。処理液ボトル124には、レジスト液(塗布液)が収容される。送り配管25Qの第1端は、処理液ボトル124内に挿入される。送り配管25Qの第2端は、分岐部125に接続する。また、分岐部125には、2本の送り枝配管37B,37Dが接続される。
【0114】
また、戻り枝配管107B,107Dの2個の第1端は、供給弁21B,21Dの2個の気泡排出部材105にそれぞれ接続される。戻り枝配管107B,107Dの2個の第2端は、合流部126に接続される。合流部126には、戻り配管112Qが接続される。なお、図10において、塗布ユニットRESISTに関連する構成は、符号25Qのように、数字に「Q」を付している。「Q」を付した例えば送り配管25Qの機能は、図2に示す送り配管25の機能と同じである。また、例えば送り配管25Qは、図9に示す送り配管25Pとは別に設けられる。
【0115】
(3)上述した各実施例および各変形例では、図4に示すベント流路103は、鉛直下方向に延びながら共有流路67Bに接続し、また、共有流路67Bは、鉛直下方向に延びながら開閉弁室65に接続していた。この点、ベント流路103は、斜め下方向に延びながら共有流路67Bに接続し、また、共有流路67Bは、斜め下方向に延びながら開閉弁室65に接続してもよい。なお、本明細書において、下方向は斜め下方向を含み、上方向は斜め上方向を含む。
【0116】
また、ベント流路103および共有流路67Bは、開閉弁室65から直線状に伸びている。この点、ベント流路103および共有流路67Bは、開閉弁室65から円弧状を含む曲線状に延びてもよい。
【0117】
(4)上述した各実施例および各変形例では、図4に示す供給弁21の開閉弁55およびポンプ57は、1個の流路ブロック61に設けられていた。この点、必要に応じて、開閉弁55およびポンプ57は、2個の流路ブロックにそれぞれ設けられてもよい。この場合、2個の流路ブロックは、中空円筒状(管状)の中間配管で接続される。そして、ポンプ57が設けられる第1の流路ブロックから開閉弁55が設けられる第2の流路ブロックにその中間配管を通じて処理液が送られる。なお、図4に示す流路ブロック61は、2つの流路ブロック61が中間配管で繋がれるように構成されていない。
【0118】
また、開閉弁55とサックバック弁59は、2個の流路ブロックにそれぞれ設けられてもよい。この場合も同様に、2個の流路ブロックは、中空円筒状(管状)の中間配管で接続される。また、開閉弁55、ポンプ57、サックバック弁59は、3つの流路ブロックにそれぞれ設けられてもよい。
【0119】
(5)上述した各実施例および各変形例では、図4に示すように、ベント流路103は、入口側流路67の共有流路67Bを介して開閉弁室65に接続されていた。この点、図11に示すように、ベント流路103は、入口側流路67(共有流路67B)を介さずに開閉弁室65に直接接続されてもよい。この場合、図11の開閉弁室65は、図4の開閉弁室65よりも大きくなる。そのため、流路ブロック61、すなわち供給弁21が大型化する。また、ベント流路103を通じて処理液を第4合流部114側に戻すとき、処理液は、入口側流路67、開閉弁室65、ベント流路103の順番で送られる。
【0120】
また、図5の矢印VNTが指す位置にベント流路103を入口側流路67と個別に設けた場合は、矢印WDに示す方向に流路ブロック61を厚く形成しなければならない可能性がある。この場合も同様に、流路ブロック61、すなわち供給弁21が大型化する。
【符号の説明】
【0121】
1 … 基板処理装置
11A~11D … 液処理ユニット
16(16A~16D) … ノズル
21(21A~21D) … 供給弁
22 … ノズル側配管
31 … 上流ポンプ
41 … ポンプ室
50 … 圧力センサ
55 … 開閉弁
57 … ポンプ
61 … 流路ブロック
65 … 開閉弁室
65A … 天井面(傾斜面)
67 … 入口側流路
67A … 入口
67B … 共有流路
69 … 出口側流路
69A … 出口
71 … 弁座
73 … ダイアフラム
75 … 開閉駆動部
82 … ポンプ室
83 … ダイアフラム
85 … ポンプ駆動部
86 … 圧力センサ
103 … ベント流路
105 … 気泡排出部
115 … コントローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11