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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】電源システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20241127BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20241127BHJP
   B60L 58/20 20190101ALI20241127BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20241127BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
H02J7/00 302C
H02J7/00 P
H02J7/02 F
B60L58/20
H01M10/44 P
H01M10/48 P
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021046313
(22)【出願日】2021-03-19
(65)【公開番号】P2022145064
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】大石 新
(72)【発明者】
【氏名】小熊 宏和
(72)【発明者】
【氏名】山田 保雄
(72)【発明者】
【氏名】長澤 稔
(72)【発明者】
【氏名】金丸 善博
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-162251(JP,A)
【文献】特開2020-202605(JP,A)
【文献】特開2020-150705(JP,A)
【文献】特開2020-195221(JP,A)
【文献】特開2020-195215(JP,A)
【文献】特開2020-202656(JP,A)
【文献】特開2017-73917(JP,A)
【文献】特開2017-169311(JP,A)
【文献】特開2017-73916(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 7/02
B60L 58/20
H01M 10/44
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1蓄電装置及び当該第1蓄電装置が接続された第1電力線を有する第1電力回路と、
閉回路電圧に対する使用電圧範囲が前記第1蓄電装置と重複しかつ静的電圧が前記第1蓄電装置よりも低い第2蓄電装置及び当該第2蓄電装置が接続された第2電力線を有する第2電力回路と、
前記第1電力線と前記第2電力線との間で電圧を変換する電圧変換器と、
前記第1電力線と回転電機との間で電力を変換する電力変換器と、
前記第1蓄電装置の第1電圧を取得する第1電圧取得手段と、
前記第2蓄電装置の第2電圧を取得する第2電圧取得手段と、
前記回転電機における要求電力を取得する要求電力取得手段と、
前記要求電力に基づいて前記電力変換器、前記電圧変換器、及び前記第2電力回路を操作する電力制御手段と、を備える電源システムであって、
前記電力制御手段は、前記第2蓄電装置の出力制限が要求されている間に前記第1電圧と前記第2電圧との電圧差が第1電圧差閾値未満になった場合、前記第2蓄電装置を前記第2電力線から遮断することを特徴とする電源システム。
【請求項2】
前記電力制御手段は、前記第2蓄電装置の出力制限が要求されている間に前記電圧差が前記第1電圧差閾値未満になった場合、前記第2蓄電装置の入出力電力の絶対値が電力閾値以下になるように前記電圧変換器を操作し、前記第2蓄電装置の入出力電力が前記電力閾値以下になった後、前記第2蓄電装置を前記第2電力線から遮断することを特徴とする請求項1に記載の電源システム。
【請求項3】
前記電力制御手段は、前記第2蓄電装置を前記第2電力線から遮断した後、前記第2蓄電装置の出力制限が解除された場合、又は、前記電圧差が第2電圧差閾値以上になった場合、前記第2蓄電装置を前記第2電力線に接続することを特徴とする請求項1又は2に記載の電源システム。
【請求項4】
前記第1及び第2電圧取得手段は、それぞれ前記第1及び第2蓄電装置の閉回路電圧の下限を前記第1及び第2電圧として取得することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源システムに関する。より詳しくは、2つの蓄電装置を備える電動車両用の電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、動力発生源として駆動モータを備える電動輸送機器や、動力発生源として駆動モータと内燃機関とを備えるハイブリッド車両等の電動車両の開発が盛んである。このような電動車両には、駆動モータに電気エネルギを供給するために蓄電装置(バッテリ、及びキャパシタ等)や燃料電池等の電源装置も搭載されている。また近年では、電動車両に特性が異なる複数の電源装置を搭載するものも開発されている。
【0003】
特許文献1には、駆動モータやインバータ等によって構成される駆動部と第1蓄電装置とを接続する電力回路と、この電力回路と電圧変換器を介して接続された第2蓄電装置と、この電圧変換器をスイッチング制御する制御装置と、を備える電動車両の電源システムが示されている。制御装置は、運転者からの要求に応じて電圧変換器を通過する電流である通過電流に対する目標電流を設定するとともに、通過電流が目標電流になるように電圧変換器のスイッチング制御を行い、第1蓄電装置から出力される電力と第2蓄電装置から出力される電力とを合成し、駆動モータに供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-169311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この電源システムのように、2つの蓄電装置を電圧変換器で接続した場合、第2蓄電装置から出力される電力は、基本的には電圧変換器のスイッチング制御によって制御することが可能である。しかしながら例えば加速時のように駆動モータで大きな電力が要求されると、第1蓄電装置を流れる電流が増加し、第1蓄電装置の閉回路電圧が第2蓄電装置の静的電圧より低くなってしまう場合がある。この場合、第2蓄電装置が放電に転じてしまい、電圧変換器を第2蓄電装置側から第1蓄電装置側へ意図しない電流が流れてしまう場合がある。
【0006】
本発明は、高電圧の第1蓄電装置と低電圧の第2蓄電装置とを接続する電圧変換器において、第2蓄電装置からの意図しない放電を抑制できる電源システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る電源システム(例えば、後述の電源システム1)は、第1蓄電装置(例えば、後述の第1バッテリB1)及び当該第1蓄電装置が接続された第1電力線(例えば、後述の第1電力線21p,21n)を有する第1電力回路(例えば、後述の第1電力回路2)と、閉回路電圧に対する使用電圧範囲が前記第1蓄電装置と重複しかつ静的電圧が前記第1蓄電装置よりも低い第2蓄電装置(例えば、後述の第2バッテリB2)及び当該第2蓄電装置が接続された第2電力線(例えば、後述の第2電力線31p,31n)を有する第2電力回路(例えば、後述の第2電力回路3)と、前記第1電力線と前記第2電力線との間で電圧を変換する電圧変換器(例えば、後述の電圧変換器5)と、前記第1電力線と回転電機(例えば、後述の駆動モータM)との間で電力を変換する電力変換器(例えば、後述の電力変換器43)と、前記第1蓄電装置の第1電圧(例えば、後述の第1閉回路電圧下限CCVmin1)を取得する第1電圧取得手段(例えば、後述の電子制御ユニット群7、及び第1バッテリセンサユニット81)と、前記第2蓄電装置の第2電圧(例えば、後述の第2閉回路電圧下限CCVmin2)を取得する第2電圧取得手段(例えば、後述の電子制御ユニット群7、及び第2バッテリセンサユニット82)と、前記回転電機における要求電力を取得する要求電力取得手段(例えば、後述のペダル類P、及びマネジメントECU71)と、前記要求電力に基づいて前記電力変換器、前記電圧変換器、及び前記第2電力回路を操作する電力制御手段(例えば、後述の電子制御ユニット群7)と、を備え、前記電力制御手段は、前記第2蓄電装置の出力制限が要求されている間に前記第1電圧と前記第2電圧との電圧差が第1電圧差閾値(例えば、後述の第1電圧差閾値A)未満になった場合、前記第2蓄電装置を前記第2電力線から遮断することを特徴とする。
【0008】
(2)この場合、前記電力制御手段は、前記第2蓄電装置の出力制限が要求されている間に前記電圧差が前記第1電圧差閾値未満になった場合、前記第2蓄電装置の入出力電力の絶対値が電力閾値(例えば、後述の電力閾値B)以下になるように前記電圧変換器を操作し、前記第2蓄電装置の入出力電力が前記電力閾値以下になった後、前記第2蓄電装置を前記第2電力線から遮断することが好ましい。
【0009】
(3)この場合、前記電力制御手段は、前記第2蓄電装置を前記第2電力線から遮断した後、前記第2蓄電装置の出力制限が解除された場合、又は、前記電圧差が第2電圧差閾値(例えば、後述の第2電圧差閾値C)以上になった場合、前記第2蓄電装置を前記第2電力線に接続することが好ましい。
【0010】
(4)この場合、前記第1及び第2電圧取得手段は、それぞれ前記第1及び第2蓄電装置の閉回路電圧の下限を前記第1及び第2電圧として取得することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
(1)本発明の電源システムでは、第1蓄電装置を有する第1電力回路と、閉回路電圧に対する使用電圧範囲が第1蓄電装置と重複しかつ静的電圧が第1蓄電装置よりも低い第2蓄電装置を有する第2電力回路とを電圧変換器で接続し、第1電力回路と回転電機とを電力変換器で接続する。電力制御手段は、回転電機における要求電力に基づいて電力変換器、電圧変換器、及び第2電力回路を操作する。このような電源システムでは、例えば加速要求に応じて要求電力が増加すると、電力制御手段は、要求電力に応じた出力電力が電力変換器から回転電機に供給されるように電力変換器や電圧変換器を操作し、第1蓄電装置から出力される電力と第2蓄電装置から出力される電力とを合成する。ここで何らかの理由によって第2蓄電装置からの放電を抑制(禁止を含む)したい場合、電力制御手段は要求電力の全て又は大部分が第1蓄電装置から出力される電力で賄われるように電圧変換器や電力変換器を操作する。しかしながら第1蓄電装置を流れる電流が増加すると、第1蓄電装置の閉回路電圧が第2蓄電装置の静的電圧より低くなってしまい、第2蓄電装置から意図せず電力が出力される場合がある。これに対し本発明では、第2蓄電装置の出力制限が要求されている間に第1蓄電装置の第1電圧と第2蓄電装置の第2電圧との電圧差が第1電圧差閾値未満になった場合、第2蓄電装置を第2電力回路の第2電力線から遮断する。よって本発明によれば、第2蓄電装置は、第2電力線、ひいては第1電力回路から確実に切り離されるので、第2蓄電装置からの意図しない放電を確実に抑制できる。
【0012】
なお本願出願人による特開2020-162251号公報には、第1蓄電装置の出力電力を第2蓄電装置の状態に基づいて算出した制限電力を超えないように電力変換器を操作することにより、第2蓄電装置からの意図しない放電を抑制する技術が示されている。このため特開2020-162251号公報に示された技術によれば、第1蓄電装置の出力電力を制限する必要があり、要求電力を回転電機に供給できなくなってしまう場合がある これに対し本発明によれば、第1蓄電装置の出力電力を抑制する必要が無いので、第2蓄電装置からの意図しない放電を抑制しつつ、要求電力を回転電機に供給し続けることができる。
【0013】
(2)本発明において、電力制御手段は、第2蓄電装置の出力制限が要求されている間に電圧差が第1電圧差閾値未満になった場合、第2蓄電装置の入出力電力の絶対値が電力閾値以下になるように電圧変換器を操作し、第2蓄電装置の入出力電力が電力閾値以下になった後、第2蓄電装置を第2電力線から遮断する。これにより、第2蓄電装置に放電電流又は充電電流が流れている状態で第2蓄電装置を第2電力線から遮断してしまうことによって車両挙動に与えてしまう影響を抑制することができる。
【0014】
(3)本発明において、電力制御手段は、第2蓄電装置を第2電力線から遮断した後、第2蓄電装置の出力制限が解除された場合、又は、電圧差が第2電圧差閾値以上になった場合、第2蓄電装置を第2電力線に接続する。これにより、必要が生じた場合には速やかに第2蓄電装置から第1電力回路へ電力を供給することができる。
【0015】
(4)本発明において、第1及び第2電圧取得手段は、それぞれ第1及び第2蓄電装置の閉回路電圧の下限を第1及び第2電圧として取得する。これにより第2蓄電装置からの意図しない放電を確実に抑制できるよう、適切なタイミングで第2蓄電装置を第2電力線から遮断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る電源システムを搭載する車両の構成を示す図である。
図2】第1バッテリ及び第2バッテリの使用電圧範囲を比較した図である。
図3】電圧変換器の回路構成の一例を示す図である。
図4】電力マネジメント処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
図5】電圧変換器における目標通過電力を算出する手順を示すフローチャートである。
図6】遮断判定処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
図7】第1バッテリの第1閉回路電圧下限を算出する手順を示すフローチャートである。
図8】第2バッテリの第2閉回路電圧下限を算出する手順を示すフローチャートである。
図9】遮断判定処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る電源システム1を搭載する電動車両V(以下、単に「車両」という)の構成を示す図である。
【0018】
車両Vは、駆動輪Wと、この駆動輪Wに連結された回転電機としての駆動モータMと、この駆動モータMと後述の第1バッテリB1及び第2バッテリB2との間での電力の授受を行う電源システム1と、を備える。なお本実施形態では、車両Vは、主として駆動モータMで発生する動力によって加減速するもの例に説明するが、本発明はこれに限らない。車両Vは、動力発生源として駆動モータMとエンジンとを搭載する所謂ハイブリッド車両としてもよい。
【0019】
駆動モータMは、図示しない動力伝達機構を介して駆動輪Wに連結されている。電源システム1から駆動モータMに三相交流電力を供給することによって駆動モータMで発生させたトルクは、図示しない動力伝達機構を介して駆動輪Wに伝達され、駆動輪Wを回転させ、車両Vを走行させる。また駆動モータMは、車両Vの減速時には発電機の機能を発揮し、回生電力を発電するとともに、この回生電力の大きさに応じた回生制動トルクを駆動輪Wに付与する。駆動モータMによって発電された回生電力は、電源システム1のバッテリB1,B2に適宜充電される。
【0020】
電源システム1は、第1バッテリB1を有する第1電力回路2と、第2バッテリB2を有する第2電力回路3と、これら第1電力回路2と第2電力回路3とを接続する電圧変換器5と、駆動モータMを含む各種電気負荷を有する負荷回路4と、これら電力回路2,3,4及び電圧変換器5を操作することにより、これら回路2,3,4における電力の流れを制御する電力制御手段としての電子制御ユニット群7と、を備える。電子制御ユニット群7は、それぞれコンピュータであるマネジメントECU71と、モータECU72と、コンバータECU73と、第1バッテリECU74と、第2バッテリECU75と、を備える。
【0021】
第1バッテリB1は、化学エネルギを電気エネルギに変換する放電と、電気エネルギを化学エネルギに変換する充電との両方が可能な二次電池である。以下では、この第1バッテリB1として、電極間をリチウムイオンが移動することで充放電を行う所謂リチウムイオン蓄電池を用いた場合について説明するが、本発明はこれに限らない。
【0022】
第1バッテリB1には、第1バッテリB1の内部状態を推定するための第1バッテリセンサユニット81が設けられている。第1バッテリセンサユニット81は、第1バッテリECU74において第1バッテリB1の充電率(バッテリの蓄電量を百分率で表したもの)や温度等を取得するために必要な物理量を検出し、検出値に応じた信号を第1バッテリECU74へ送信する複数のセンサによって構成される。より具体的には、第1バッテリセンサユニット81は、第1バッテリB1の端子電圧を検出する電圧センサ、第1バッテリB1を流れる電流を検出する電流センサ、及び第1バッテリB1の温度を検出する温度センサ等によって構成される。
【0023】
第2バッテリB2は、化学エネルギを電気エネルギに変換する放電と、電気エネルギを化学エネルギに変換する充電との両方が可能な二次電池である。以下では、この第2バッテリB2として、電極間をリチウムイオンが移動することで充放電を行う所謂リチウムイオン蓄電池を用いた場合について説明するが、本発明はこれに限らない。第2バッテリB2は、例えばキャパシタを用いてもよい。
【0024】
第2バッテリB2には、第2バッテリB2の内部状態を推定するための第2バッテリセンサユニット82が設けられている。第2バッテリセンサユニット82は、第2バッテリECU75において第2バッテリB2の充電率や温度等を取得するために必要な物理量を検出し、検出値に応じた信号を第2バッテリECU75へ送信する複数のセンサによって構成される。より具体的には、第2バッテリセンサユニット82は、第2バッテリB2の端子電圧を検出する電圧センサ、第2バッテリB2を流れる電流を検出する電流センサ、及び第2バッテリB2の温度を検出する温度センサ等によって構成される。
【0025】
ここで第1バッテリB1の特性と第2バッテリB2の特性とを比較する。
第1バッテリB1は、第2バッテリB2よりも出力重量密度が低くかつエネルギ重量密度が高い。また第1バッテリB1は第2バッテリB2よりも容量が大きい。すなわち、第1バッテリB1は、エネルギ重量密度の点で第2バッテリB2よりも優れる。なお、エネルギ重量密度とは、単位重量あたりの電力量[Wh/kg]であり、出力重量密度とは、単位重量あたりの電力[W/kg]である。したがって、エネルギ重量密度が優れている第1バッテリB1は、高容量を主目的とした容量型の蓄電器であり、出力重量密度が優れている第2バッテリB2は、高出力を主目的とした出力型の蓄電器である。このため電源システム1では、第1バッテリB1を主電源として用い、第2バッテリB2をこの第1バッテリB1を補う副電源として用いる。
【0026】
図2は、電源システム1における第1バッテリB1及び第2バッテリB2の使用電圧範囲を比較した図である。図2において、左側は第1バッテリB1の使用電圧範囲を示す図であり、右側は第2バッテリB2の使用電圧範囲を示す図である。図2において、横軸はバッテリを流れる電流を示し、縦軸はバッテリの電圧を示す。
【0027】
図2に示すように、バッテリB1,B2の静的電圧(すなわち、バッテリに電流が流れていない状態における電圧であって、開回路電圧ともいう)は、充電率が高くなるほど高くなる特性がある。したがってバッテリB1,B2の静的電圧に対する使用電圧範囲の上限は、充電率が最大値(例えば、100%)のときにおける各々の静的電圧であり、下限は、充電率が最小値(例えば、0%)のときにおける各々の静的電圧である。図2に示すように、第2バッテリB2の静的電圧に対する使用電圧範囲の上限は、第1バッテリB1の静的電圧に対する使用電圧範囲の上限よりも低い。このため車両Vの走行中、第2バッテリB2の静的電圧は、基本的には第1バッテリB1の静的電圧よりも低く維持される。
【0028】
図2に示すように、バッテリB1,B2の閉回路電圧(すなわち、バッテリに電流が流れている状態における電圧)も、充電率が高くなるほど高くなる特性がある。またバッテリB1,B2には内部抵抗が存在することから、その閉回路電圧は、放電電流が大きくなるほど静的電圧から低くなり、充電電流が大きくなるほど静的電圧から高くなる特性がある。したがってバッテリB1,B2の閉回路電圧に対する使用電圧範囲の上限は、各々の静的電圧に対する使用電圧範囲の上限よりも高く、下限は、各々の静的電圧に対する使用電圧範囲の下限よりも低くなっている。換言すれば、バッテリB1,B2の閉回路電圧に対する使用電圧範囲は、各々の静的電圧に対する使用電圧範囲を含む。図2に示すように、第1バッテリB1の閉回路電圧に対する使用電圧範囲は、第2バッテリB2の閉回路電圧に対する使用電圧範囲と重複する。
【0029】
また充電電流が大きくなりすぎるとバッテリB1,B2の劣化が促進されることから、これらバッテリB1,B2の閉回路電圧に対する使用電圧範囲の上限は、これらバッテリB1,B2の状態に基づいて、これらバッテリB1,B2が劣化しないように定められる。以下では、これらバッテリB1,B2の閉回路電圧の使用範囲の上限を、劣化上限電圧ともいう。
【0030】
また放電電流が大きくなりすぎると、バッテリB1,B2の劣化が促進されることから、これらバッテリB1,B2の閉回路電圧に対する使用電圧範囲の下限は、これらバッテリB1,B2の状態に基づいて、これらバッテリB1,B2が劣化しないように定められる。以下では、これらバッテリB1,B2の閉回路電圧に対する使用電圧範囲の下限を、劣化下限電圧ともいう。
【0031】
図1に戻り、第1電力回路2は、第1バッテリB1と、この第1バッテリB1の正負両極と電圧変換器5の高圧側の正極端子及び負極端子とを接続する第1電力線21p,21nと、これら第1電力線21p,21nに設けられた第1正極コンタクタ22p及び第1負極コンタクタ22nと、を備える。
【0032】
第1コンタクタ22p,22nは、外部からの指令信号が入力されていない状態では開成して第1バッテリB1の両電極と第1電力線21p,21nとの導通を絶ち、指令信号が入力されている状態では閉成して第1バッテリB1と第1電力線21p,21nとを接続するノーマルオープン型である。これら第1コンタクタ22p,22nは、第1バッテリECU74から送信される指令信号に応じて開閉する。なお第1正極コンタクタ22pは、第1電力回路2や負荷回路4等に設けられる複数の平滑コンデンサへの突入電流を緩和するためのプリチャージ抵抗を有するプリチャージコンタクタとなっている。
【0033】
第2電力回路3は、第2バッテリB2と、この第2バッテリB2の正負両極と電圧変換器5の低圧側の正極端子及び負極端子とを接続する第2電力線31p,31nと、これら第2電力線31p,31nに設けられた第2正極コンタクタ32p及び第2負極コンタクタ32nと、第2電力線31pに設けられた電流センサ33と、を備える。
【0034】
第2コンタクタ32p,32nは、外部からの指令信号が入力されていない状態では開成して第2バッテリB2の両電極と第2電力線31p,31nとの導通を絶ち(すなわち、第2バッテリB2を第2電力線31p,32nから遮断し)、指令信号が入力されている状態では閉成して第2バッテリB2と第2電力線31p,31nとを接続するノーマルオープン型である。これら第2コンタクタ32p,32nは、第2バッテリECU75から送信される指令信号に応じて開閉する。なお第2正極コンタクタ32pは、第1電力回路2や負荷回路4等に設けられる複数の平滑コンデンサへの突入電流を緩和するためのプリチャージ抵抗を有するプリチャージコンタクタとなっている。
【0035】
電流センサ33は、第2電力線31pを流れる電流、すなわち電圧変換器5を流れる電流である通過電流に応じた検出信号をコンバータECU73へ送信する。なお本実施形態では、通過電流の向きは、第2電力回路3側から第1電力回路2側を正とし、第1電力回路2側から第2電力回路3側を負とする。
【0036】
負荷回路4は、車両補機42と、駆動モータMが接続された電力変換器43と、これら車両補機42及び電力変換器43と第1電力回路2とを接続する負荷電力線41p,41nと、を備える。
【0037】
車両補機42は、バッテリヒータ、エアコンプレッサ、DCDCコンバータ、及び車載充電器等の複数の電気負荷によって構成される。車両補機42は、負荷電力線41p,41nによって第1電力回路2の第1電力線21p,21nに接続されており、第1電力線21p,21nにおける電力を消費することによって作動する。車両補機42を構成する各種電気負荷の作動状態に関する情報は、例えばマネジメントECU71へ送信される。
【0038】
電力変換器43は、負荷電力線41p,41nによって、車両補機42と並列になるように第1電力線21p,21nに接続されている。電力変換器43は、第1電力線21p,21nと駆動モータMとの間で電力を変換する。電力変換器43は、例えば、複数のスイッチング素子(例えば、IGBT)をブリッジ接続して構成されるブリッジ回路を備えた、パルス幅変調によるPWMインバータであり、直流電力と交流電力とを変換する機能を備える。電力変換器43は、その直流入出力側において第1電力線21p,21nに接続され、その交流入出力側において駆動モータMのU相、V相、W相の各コイルに接続されている。電力変換器43は、モータECU72の図示しないゲートドライブ回路から所定のタイミングで生成されるゲート駆動信号に従って各相のスイッチング素子をオン/オフ駆動することにより、第1電力線21p,21nにおける直流電力を三相交流電力に変換して駆動モータMに供給したり、駆動モータMから供給される三相交流電力を直流電力に変換して第1電力線21p,21nに供給したりする。
【0039】
電圧変換器5は、第1電力回路2と第2電力回路3とを接続し、これら両回路2,3の間で電圧を変換する。この電圧変換器5には、既知の昇圧回路が用いられる。
【0040】
図3は、電圧変換器5の回路構成の一例を示す図である。電圧変換器5は、第1バッテリB1が接続される第1電力線21p,21nと、第2バッテリB2が接続される第2電力線31p,31nと、を接続し、これら第1電力線21p,21n及び第2電力線31p,31nの間で電圧を変換する。電圧変換器5は、第1リアクトルL1と、第2リアクトルL2と、第1ハイアーム素子53Hと、第1ローアーム素子53Lと、第2ハイアーム素子54Hと、第2ローアーム素子54Lと、負母線55と、低圧側端子56p,56nと、高圧側端子57p,57nと、図示しない平滑コンデンサと、を組み合わせて構成されるフルブリッジ型のDCDCコンバータである。
【0041】
低圧側端子56p,56nは、第2電力線31p,31nに接続され、高圧側端子57p,57nは第1電力線21p,21nに接続される。負母線55は、低圧側端子56nと高圧側端子57nとを接続する配線である。
【0042】
第1リアクトルL1は、その一端側が低圧側端子56pに接続され、その他端側が第1ハイアーム素子53Hと第1ローアーム素子53Lとの接続ノード53に接続される。第1ハイアーム素子53H及び第1ローアーム素子53Lは、それぞれ、IGBTやMOSFET等の既知のパワースイッチング素子と、このパワースイッチング素子に接続された還流ダイオードと、を備える。これらハイアーム素子53H及びローアーム素子53Lは、高圧側端子57pと負母線55との間で、直列に、この順で接続される。
【0043】
第1ハイアーム素子53Hのパワースイッチング素子のコレクタは高圧側端子57pに接続され、そのエミッタは第1ローアーム素子53Lのコレクタに接続される。第1ローアーム素子53Lのパワースイッチング素子のエミッタは、負母線55に接続される。第1ハイアーム素子53Hに設けられる還流ダイオードの順方向は、第1リアクトルL1から高圧側端子57pへ向かう向きである。また第1ローアーム素子53Lに設けられる還流ダイオードの順方向は、負母線55から第1リアクトルL1へ向かう向きである。
【0044】
第2リアクトルL2は、その一端側が低圧側端子56pに接続され、その他端側が第2ハイアーム素子54Hと第2ローアーム素子54Lとの接続ノード54に接続される。第2ハイアーム素子54H及び第2ローアーム素子54Lは、それぞれ、IGBTやMOSFET等の既知のパワースイッチング素子と、このパワースイッチング素子に接続された還流ダイオードと、を備える。これらハイアーム素子54H及びローアーム素子54Lは、高圧側端子57pと負母線55との間で、直列に、この順で接続される。
【0045】
第2ハイアーム素子54Hのパワースイッチング素子のコレクタは高圧側端子57pに接続され、そのエミッタは第2ローアーム素子54Lのコレクタに接続される。第2ローアーム素子54Lのパワースイッチング素子のエミッタは、負母線55に接続される。第2ハイアーム素子54Hに設けられる還流ダイオードの順方向は、第2リアクトルL2から高圧側端子57pへ向かう向きである。また第2ローアーム素子54Lに設けられる還流ダイオードの順方向は、負母線55から第2リアクトルL2へ向かう向きである。
【0046】
電圧変換器5は、コンバータECU73の図示しないゲートドライブ回路から所定のタイミングで生成されるゲート駆動信号に従い、第1ハイアーム素子53H及び第2ローアーム素子54Lと、第1ローアーム素子53L及び第2ハイアーム素子54Hとを交互にオン/オフ駆動することにより、第1電力線21p,21nと第2電力線31p,31nとの間で電圧を変換する。
【0047】
図2を参照して説明したように、車両Vの走行中、第2バッテリB2の静的電圧は、基本的には第1バッテリB1の静的電圧よりも低く維持される。したがって基本的には、第1電力線21p,21nの電圧は第2電力線31p,31nの電圧よりも高い。そこでコンバータECU73は、第1バッテリB1から出力される電力と第2バッテリB2から出力される電力との両方を用いて駆動モータMを駆動する場合には、電圧変換器5において昇圧機能が発揮されるように電圧変換器5を操作する。昇圧機能とは、低圧側端子56p,56nが接続されている第2電力線31p,31nにおける電力を昇圧して、高圧側端子57p,57nが接続されている第1電力線21p,21nに出力する機能をいい、これにより第2電力線31p,31n側から第1電力線21p,21n側へ正の通過電流が流れる。また第2バッテリB2の放電を抑制し、第1バッテリB1から出力される電力のみで駆動モータMを駆動する場合、コンバータECU73は、電圧変換器5をオフにし、第1電力線21p,21nから第2電力線31p,31nへ電流が流れないようにする。ただしこの場合、第2電力線31p,31nの電圧が第1電力線21p,21nの電圧よりも高くなった場合、第2バッテリB2が放電に転じ、第2電力線31p,31nから第1電力線21p,21nへ、ハイアーム素子53H,54Hの還流ダイオードを介して正の通過電流が流れる場合がある。
【0048】
また減速時に駆動モータMから第1電力線21p,21nに出力される回生電力によって第1バッテリB1や第2バッテリB2を充電する場合には、コンバータECU73は、電圧変換器5において降圧機能を発揮されるように電圧変換器5を操作する。降圧機能とは、高圧側端子57p,57nが接続されている第1電力線21p,21nにおける電力を降圧して、低圧側端子56p,56nが接続されている第2電力線31p,31nに出力する機能をいい、これにより第1電力線21p,21n側から第2電力線31p,31n側へ負の通過電流が流れる。
【0049】
図1に戻り、第1バッテリECU74は、主に第1バッテリB1の状態監視及び第1電力回路2のコンタクタ22p,22nの開閉操作を担うコンピュータである。第1バッテリECU74は、第1バッテリセンサユニット81から送信される検出値を用いた既知のアルゴリズムに基づいて、第1バッテリB1の内部状態を表す様々なパラメータ、より具体的には、第1バッテリB1を構成する各セルのセル電圧、第1バッテリB1の温度、第1バッテリB1の内部抵抗、第1バッテリB1の閉回路電圧、第1バッテリB1の劣化上限電圧、第1バッテリB1の劣化下限電圧、第1バッテリB1の電流、第1バッテリB1から出力可能な電力の上限である第1出力上限、及び第1バッテリB1の充電率等を算出する。第1バッテリECU74において取得した第1バッテリB1の内部状態を表すパラメータに関する情報は、例えばマネジメントECU71へ送信される。
【0050】
第2バッテリECU75は、主に第2バッテリB2の状態監視及び第2電力回路3のコンタクタ32p,32nの開閉操作を担うコンピュータである。第2バッテリECU75は、第2バッテリセンサユニット82から送信される検出値を用いた既知のアルゴリズムに基づいて、第2バッテリB2の内部状態を表す様々なパラメータ、より具体的には、第2バッテリB2を構成する各セルのセル電圧、第2バッテリB2の温度、第2バッテリB2の内部抵抗、第2バッテリB2の閉回路電圧、第2バッテリB2の劣化上限電圧、第2バッテリB2の劣化下限電圧、第2バッテリB2の電流、第2バッテリB2から出力可能な電力の上限である第2出力上限、及び第2バッテリB2の充電率等を算出する。第2バッテリECU75において取得した第2バッテリB2の内部状態を表すパラメータに関する情報は、例えばマネジメントECU71へ送信される。
【0051】
マネジメントECU71は、主に電源システム1全体における電力の流れを管理するコンピュータである。マネジメントECU71は、後に図4を参照して説明する電力マネジメント処理を実行することにより、駆動モータMで発生するトルクに対する指令に相当するトルク指令信号と、電圧変換器5を通過する電力に対する指令に相当する通過電力指令信号とを生成する。
【0052】
モータECU72は、主に第1電力回路2から駆動モータMへの電力の流れを管理するコンピュータである。モータECU72は、マネジメントECU71から送信されるトルク指令信号に基づいて、この指令に応じたトルクが駆動モータMにおいて発生するように電力変換器43を操作する。
【0053】
コンバータECU73は、主に電圧変換器5を通過する電力である通過電力の流れを管理するコンピュータである。コンバータECU73は、マネジメントECU71から送信される通過電力指令信号に応じて、指令に応じた通過電力が電圧変換器5を通過するように電圧変換器5を操作する。より具体的には、コンバータECU73は、通過電力指令信号に基づいて、電圧変換器5における通過電流に対する目標である目標電流を算出するとともに、電流センサ33によって検出される通過電流(以下、「実通過電流」ともいう)が目標電流になるように、既知のフィードバック制御アルゴリズムに従って電圧変換器5を操作する。
【0054】
図4は、電力マネジメント処理の具体的な手順を示すフローチャートである。この電力マネジメント処理は、マネジメントECU71において所定の周期で繰り返し実行される。
【0055】
初めにS1では、マネジメントECU71は、車両補機42において要求されている電力である要求補機電力Pauxを算出し、S2に移る。マネジメントECU71は、車両補機42から送信される各種電気負荷の作動状態に関する情報に基づいて要求補機電力Pauxを算出する。
【0056】
次にS2では、マネジメントECU71は、駆動モータMにおいて要求されている電力である要求駆動電力Pmot_dを算出し、S3に移る。マネジメントECU71は、運転者によるアクセルペダルやブレーキペダル等のペダル類P(図1参照)の操作量に基づいて運転者による要求駆動トルクを算出し、この要求駆動トルクを電力に換算することによって要求駆動電力Pmot_dを算出する。従って本実施形態において、要求電力取得手段は、ペダル類P及びマネジメントECU71によって構成される。
【0057】
次にS3では、マネジメントECU71は、要求補機電力Pauxと要求駆動電力Pmot_dとを合算することにより、総要求電力Ptotalを算出し、S4に移る。
【0058】
次にS4では、マネジメントECU71は、電圧変換器5における通過電力(すなわち、第2バッテリB2の入出力電力)に対する目標に相当する目標通過電力Pcnv_cmdを算出し、S5に移る。なおこの目標通過電力Pcnv_cmdを算出する具体的な手順については、後に図5を参照して説明する。
【0059】
次にS5では、マネジメントECU71は、第1バッテリB1から出力可能な電力の上限に相当する第1出力上限P1_limを取得し、S6に移る。
【0060】
次にS6では、マネジメントECU71は、総要求電力Ptotalから目標通過電力Pcnv_cmdを減算することによって得られる電力は、第1出力上限P1_lim以下であるか否かを判定する。ここで総要求電力Ptotalから目標通過電力Pcnv_cmdを減算して得られる電力とは、第1バッテリB1の出力電力に対する要求に相当する。したがってS6の判定は、第1バッテリB1の出力電力が第1出力上限P1_limを超えることなく運転者による要求を満たすことができるか否かを判定することに相当する。マネジメントECU71は、S6の判定結果がYESである場合にはS7に移り、NOである場合にはS8に移る。
【0061】
S7では、マネジメントECU71は、電力変換器43を介して第1電力回路2から駆動モータMへ供給する電力に対する目標に相当する目標駆動電力Pmot_cmdを算出し、S9に移る。上述のようにS6の判定結果がYESである場合、第1バッテリB1の出力電力が第1出力上限P1_limを超えることなく運転者の要求を満たすことができることから、マネジメントECU71は、S2で算出した要求駆動電力Pmot_dを目標駆動電力Pmot_cmdとする。
【0062】
S8では、マネジメントECU71は、目標駆動電力Pmot_cmdを算出し、S9に移る。上述のようにS6の判定結果がNOである場合、運転者の要求を満たそうとすると、第1バッテリB1の出力電力が第1出力上限P1_limを超えてしまうことから、マネジメントECU71は、第1バッテリB1の出力電力が第1出力上限P1_limを超えないように、目標駆動電力Pmot_cmdを算出する。より具体的には、マネジメントECU71は、例えば、第1出力上限P1_limと目標通過電力Pcnv_cmdとの和から要求補機電力Pauxを減算することによって目標駆動電力Pmot_cmdを算出する。これにより、第1バッテリB1の出力電力は、第1出力上限P1_limとなり、この第1出力上限P1_limを超えることはない。
【0063】
次にS9では、マネジメントECU71は、S4で算出した目標通過電力Pcnv_cmdに応じた通過電力指令信号を生成し、これをコンバータECU73へ送信し、S10に移る。コンバータECU73は、この通過電力指令信号に基づいて電圧変換器5を操作する。これにより、第2バッテリB2から第1電力回路2へ目標通過電力Pcnv_cmdに応じた電力が出力される。
【0064】
次にS10では、マネジメントECU71は、目標駆動電力Pmot_cmdに基づいてトルク指令信号を生成し、これをモータECU72へ送信し、電力マネジメント処理を終了する。より具体的には、マネジメントECU71は、目標駆動電力Pmot_cmdをトルクに変換することによって目標駆動トルクを算出し、この目標駆動トルクに応じたトルク指令信号を生成する。モータECU72は、このトルク指令信号に基づいて電力変換器43を操作する。これにより、第1電力回路2から駆動モータMへ、目標駆動電力Pmot_cmdに応じた電力が出力される。このようにマネジメントECU71では、S7又はS8における処理を経て算出される目標駆動電力Pmot_cmdに基づいてトルク指令信号を生成することにより、第1バッテリB1から出力される電力は第1出力上限P1_limを超えることはない。
【0065】
図5は、マネジメントECU71によって、電圧変換器5における通過電力に対する目標通過電力Pcnv_cmdを算出する手順を示すフローチャートである。
【0066】
始めにS21では、マネジメントECU71は、第2バッテリB2の出力制限要求フラグの値が“1”であるか否かを判定する。この第2バッテリB2の出力制限要求フラグとは、第2バッテリB2の出力電力に対し制限が要求されている状態であることを示すフラグであり、第2バッテリECU75における図示しない処理によって更新される。一般的なバッテリは、温度が過剰に高くなった状態で放電すると劣化を促進してしまうおそれがある。このため第2バッテリECU75は、第2バッテリB2の温度が劣化抑制温度より高い場合、この第2バッテリB2の劣化を防ぐため、第2バッテリB2の出力制限を要求するべく、出力制限要求フラグの値を“1”にセットする。また第2バッテリECU75は、第2バッテリB2の温度が劣化抑制温度以下である場合、第2バッテリB2の出力制限を解除するべく、出力制限要求フラグの値を“0”にリセットする。マネジメントECU71は、S21における判定結果がNOである場合にはS22に移り、YESである場合にはS25に移る。
【0067】
S22では、マネジメントECU71は、第2コンタクタ32p,32nはオフであるか否か、すなわち第2コンタクタ32p,32nは開成しており第2バッテリB2は第2電力線31p,31nから遮断された状態であるか否かを判定する。マネジメントECU71は、S22の判定結果がYESである場合には、S23に移り、第2コンタクタ32p,32nをオンにするべく、第2バッテリECU75へ第2コンタクタ32p,32nをオンにする指令を送信した後、S24に移る。またマネジメントECU71は、S22の判定結果がNOである場合には、第2コンタクタ32p,32nをオンにしたままS24に移る。
【0068】
S24では、マネジメントECU71は、所定のアルゴリズムに基づいて目標通過電力Pcnv_cmdを算出した後、図4のS5に戻る。より具体的には、マネジメントECU71は、第1バッテリECU74から送信される第1バッテリB1の内部状態を表すパラメータに関する情報、第2バッテリECU75から送信される第2バッテリB2の内部状態を表すパラメータに関する情報、及び要求駆動電力Pmot_d等に基づいて、目標通過電力Pcnv_cmdを算出する。すなわち、マネジメントECU71は、例えば加速時であって第2バッテリB2からの電力の出力が求められている場合でありかつ第2バッテリB2の充電率が十分である場合には、目標通過電力Pcnv_cmdを正の所定値とし、第2バッテリB2から電力を出力させる。またマネジメントECU71は、例えば第2バッテリB2の充電率が低下しており第2バッテリB2の充電が求められている場合には、目標通過電力Pcnv_cmdを負の所定値とし、第1電力回路2における電力の一部を第2バッテリB2に供給する。
【0069】
S25では、マネジメントECU71は、第2コンタクタ32p,32nはオフであるか否かを判定する。マネジメントECU71は、S25の判定結果がNOである場合には、第1バッテリB1や第2バッテリB2等の状態に応じた適切なタイミングで第2コンタクタ32p,32nをオフにする遮断判定処理(S26参照)を実行した後、図4のS5に戻る。またマネジメントECU71は、S25の判定結果がYESである場合には、第1バッテリB1や第2バッテリB2等の状態に応じた適切なタイミングで第2コンタクタ32p,32nをオンにする復帰判定処理(S27参照)を実行した後、図4のS5に戻る。
【0070】
図6は、遮断判定処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
始めにS31では、マネジメントECU71は、第1バッテリECU74から送信される第1バッテリB1の内部状態を表す様々なパラメータに基づいて、第1バッテリB1の閉回路電圧の下限に相当する第1閉回路電圧下限CCVmin1を算出し、S32に移る。より具体的には、マネジメントECU71は、後に図7を参照して説明する手順に従って第1閉回路電圧下限CCVmin1を算出する。
【0071】
次にS32では、マネジメントECU71は、第2バッテリECU75から送信される第2バッテリB2の内部状態を表す様々なパラメータに基づいて、第2バッテリB2の閉回路電圧の下限に相当する第2閉回路電圧下限をCCVmin2算出し、S33に移る。より具体的には、マネジメントECU71は、後に図8を参照して説明する手順に従って第2閉回路電圧下限CCVmin2を算出する。
【0072】
次にS33では、マネジメントECU71は、第1閉回路電圧下限CCVmin1から第2閉回路電圧下限CCVmin2を減算して得られる電圧差は、正値である第1電圧差閾値A以上であるか否かを判定する。
【0073】
マネジメントECU71は、S33における判定結果がYESである場合、第1閉回路電圧下限CCVmin1は第2閉回路電圧下限CCVmin2よりも十分に高く、第2コンタクタ32p,32nをオフにせずとも、第2電力回路3から第1電力回路2へ意図しない電流が流れることは無いと判断し、S34に移る。S34では、マネジメントECU71は、第2バッテリB2に対し要求されている出力制限の範囲内で目標通過電力Pcnv_cmdを算出し、図4のS5に戻る。
【0074】
マネジメントECU71は、S33における判定結果がNOである場合、すなわち第1閉回路電圧下限CCVmin1と第2閉回路電圧下限CCVmin2との電圧差は第1電圧差閾値A未満である場合、第2コンタクタ32p,32nをオフにしなければ、第2電力回路3から第1電力回路2へ意図しない電流が流れてしまうおそれがあると判断し、S35に移る。
【0075】
S35では、マネジメントECU71は、第2コンタクタ32p,32nをオフにする前に電圧変換器5の通過電力を0近傍まで低下させるべく、目標通過電力Pcnv_cmdを0とし、ステップS36に移る。
【0076】
S36では、マネジメントECU71は、電流センサ33の検出信号に基づいて、第2バッテリB2の入出力電力に相当する電圧変換器5の実通過電力Pwpを算出し、ステップS37に移る。S37では、マネジメントECU71は、実通過電力Pwpの絶対値が0より僅かに大きな値に定められた電力閾値B以下であるか否かを判定する。
【0077】
マネジメントECU71は、S36における判定結果がNOである場合、すなわちS35において目標通過電力Pcnv_cmdを0に設定しているにも関わらず、実通過電力Pwpの絶対値が電力閾値B以下まで低下していない場合には、実通過電力Pwpの絶対値が電力閾値B以下へ向けて低下するのを待機するべく、第2コンタクタ32p,32nをオンに維持したまま図4のS5に戻る。
【0078】
マネジメントECU71は、S36における判定結果がYESである場合、すなわち実通過電力Pwpの絶対値が電力閾値B以下まで低下した場合には、S38に移る。S38では、マネジメントECU71は、第2コンタクタ32p,32nをオフにするべく、第2バッテリECU75へ第2コンタクタ32p,32nをオフにする指令を送信した後、図4のS5に戻る。
【0079】
図7は、第1バッテリB1の第1閉回路電圧下限CCVmin1を算出する手順を示すフローチャートである。
【0080】
マネジメントECU71は、第1バッテリB1の内部抵抗R1(S41参照)、第1バッテリB1の閉回路電圧CCV1(S42参照)、及び第1バッテリB1の電流I1(S43参照)を第1バッテリECU74から取得した後、下記式(1)に基づいて第1バッテリB1の静的電圧OCV1を算出する(S44参照)。
【数1】
【0081】
次にマネジメントECU71は、第1バッテリB1の第1出力上限P1_lim(S45参照)、及び第1バッテリB1の複数のセル電圧の最低値である最低セル電圧VCmin1(S46参照)を第1バッテリECU74から取得した後、下記式(2)に基づいて第1バッテリB1の第1高出力時電圧CCVlim1を算出する(S47参照)。なお第1高出力時電圧CCVlim1とは、第1バッテリB1の出力を第1出力上限P1_limとした場合における第1バッテリB1の閉回路電圧に相当する。
【数2】
【0082】
次にマネジメントECU71は、下記式(3)に示すように、最低セル電圧VCmin1に第1バッテリB1のセル数NC1を乗算して得られる電圧と、第1高出力時電圧CCVlim1と、のうちどちらか小さい方を第1閉回路電圧下限CCVmin1とし、図7に示す処理を終了する(S48参照)。
【数3】
【0083】
図8は、第2バッテリB2の第2閉回路電圧下限CCVmin2を算出する手順を示すフローチャートである。
【0084】
マネジメントECU71は、第2バッテリB2の内部抵抗R2(S51参照)、第2バッテリB2の閉回路電圧CCV2(S52参照)、及び第2バッテリB2の電流I2(S53参照)を第2バッテリECU75から取得した後、下記式(4)に基づいて第2バッテリB2の静的電圧OCV2を算出する(S54参照)。
【数4】
【0085】
次にマネジメントECU71は、第2バッテリB2の第2出力上限P2_lim(S55参照)、及び第2バッテリB2の複数のセル電圧の最低値である最低セル電圧VCmin2(S56参照)を第2バッテリECU75から取得した後、下記式(5)に基づいて第2バッテリB2の第2高出力時電圧CCVlim2を算出する(S57参照)。なお第2高出力時電圧CCVlim2とは、第2バッテリB2の出力を第2出力上限P2_limとした場合における第2バッテリB2の閉回路電圧に相当する。
【数5】
【0086】
次にマネジメントECU71は、下記式(6)に示すように、最低セル電圧VCmin2に第2バッテリB2のセル数NC2を乗算して得られる電圧と、第2高出力時電圧CCVlim2と、のうちどちらか小さい方を第2閉回路電圧下限CCVmin2とし、図8に示す処理を終了する(S58参照)。
【数6】
【0087】
図9は、復帰判定処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
始めにS61では、マネジメントECU71は、図7を参照して説明した手順に従って第1バッテリB1の第1閉回路電圧下限CCVmin1を算出し、S61に移る。次にS62では、マネジメントECU71は、図8を参照して説明した手順に従って第2バッテリB2の第2閉回路電圧下限CCVmin2を算出し、S63に移る。
【0088】
次にS63では、マネジメントECU71は、第1閉回路電圧下限CCVmin1から第2閉回路電圧下限CCVmin2を減算して得られる電圧差は、正値である第2電圧差閾値C以上であるか否かを判定する。なお第2コンタクタ32p,32nのハンチングを防ぐため、第2電圧差閾値Cは、第1電圧差閾値Aよりもやや大きな値に設定される。
【0089】
マネジメントECU71は、S63における判定結果がNOである場合、すなわち第1閉回路電圧下限CCVmin1と第2閉回路電圧下限CCVmin2との電圧差は第2電圧差閾値C未満である場合、第2コンタクタ32p,32nをオンにすると第2電力回路3から第1電力回路2へ意図しない電流が流れてしまうおそれがあると判断し、S64に移る。S64では、マネジメントECU71は、第2コンタクタ32p,32nをオフで維持したまま目標通過電力Pcnv_cmdを0とした後、図4のS5に戻る。
【0090】
マネジメントECU71は、S63における判定結果がYESである場合、第1閉回路電圧下限CCVmin1は第2閉回路電圧下限CCVmin2よりも十分に高く、第2コンタクタ32p,32nをオンにしても第2電力回路3から第1電力回路2へ意図しない電流が流れることは無いと判断し、S65に移る。S65では、マネジメントECU71は、第2コンタクタ32p,32nをオンにするべく、第2バッテリECU75へ第2コンタクタ32p,32nをオンにする指令を送信した後、S66に移る。S66では、マネジメントECU71は、第2バッテリB2に対し要求されている出力制限の範囲内で目標通過電力Pcnv_cmdを算出し、図4のS5に戻る。
【0091】
以上のように図5図9に示す処理では、マネジメントECU71は、第2バッテリB2の出力制限が要求されている間(図5のS21参照)に、第1閉回路電圧下限CCVmin1と第2閉回路電圧下限CCVmin2との電圧差が第1電圧差閾値A未満になった場合(図6のS33参照)、実通過電力Pwpの絶対値が電力閾値B以下になるように電圧変換器5を操作し(図6のS35~S37参照)、実通過電力Pwpの絶対値が電力閾値B以下になった後、第2バッテリB2を第2電力線31p,31nから遮断する(図6のS38参照)。またマネジメントECU71は、以上の手順によって第2バッテリB2を第2電力線31p,31nから遮断した後、第2バッテリB2の出力制限が解除された場合(図5のS21参照)、又は、第1閉回路電圧下限CCVmin1と第2閉回路電圧下限CCVmin2との電圧差が第2電圧差閾値C以上になった場合(図9のS63参照)、第2バッテリB2を第2電力線31p,31nに接続する(図5のS23及び図9のS64参照)。
【0092】
本実施形態に係る電源システム1によれば、以下の効果を奏する。
(1)電源システム1では、第1バッテリB1を有する第1電力回路2と、閉回路電圧に対する使用電圧範囲が第1バッテリB1と重複しかつ静的電圧が第1バッテリB1よりも低い第2バッテリB2を有する第2電力回路3とを電圧変換器5で接続し、第1電力回路2と駆動モータMとを電力変換器43で接続する。電子制御ユニット群7は、駆動モータMにおける要求駆動電力Pmot_dに基づいて電力変換器43、電圧変換器5、及び第2電力回路3を操作する。このような電源システム1では、例えば加速要求に応じて要求駆動電力Pmot_dが増加すると、電子制御ユニット群7は、要求駆動電力Pmot_dに応じた出力電力が電力変換器43から駆動モータMに供給されるように電力変換器43や電圧変換器5を操作し、第1バッテリB1から出力される電力と第2バッテリB2から出力される電力とを合成する。ここで何らかの理由によって第2バッテリB2からの放電を抑制(禁止を含む)したい場合、電子制御ユニット群7は要求駆動電力Pmot_dの全て又は大部分が第1バッテリB1から出力される電力で賄われるように電圧変換器5や電力変換器43を操作する。しかしながら第1バッテリB1を流れる電流が増加すると、第1バッテリB1の閉回路電圧が第2バッテリB2の静的電圧より低くなってしまい、第2バッテリB2から意図せず電力が出力される場合がある。これに対し本発明では、第2バッテリB2の出力制限が要求されている間に第1バッテリB1の第1閉回路電圧下限CCVmin1と第2バッテリB2の第2閉回路電圧下限CCVmin2との電圧差が第1電圧差閾値A未満になった場合、第2バッテリB2を第2電力回路3の第2電力線31p,31nから遮断する。よって電源システム1によれば、第2バッテリB2は、第2電力線31p,31n、ひいては第1電力回路2から確実に切り離されるので、第2バッテリB2からの意図しない放電を確実に抑制できる。また電源システム1によれば、本願出願人による特開2020-162251号公報に記載の電源システムのように、第1バッテリB1の出力電力を抑制する必要が無いので、第2バッテリB2からの意図しない放電を抑制しつつ、要求駆動電力Pmot_dを駆動モータMに供給し続けることができる。
【0093】
(2)電源システム1において、電子制御ユニット群7は、第2バッテリB2の出力制限が要求されている間に上記電圧差が第1電圧差閾値A未満になった場合、電圧変換器5における実通過電力Pwpの絶対値が電力閾値B以下になるように電圧変換器5を操作し、実通過電力Pwpが電力閾値B以下になった後、第2バッテリB2を第2電力線31p,31nから遮断する。これにより、第2バッテリB2に放電電流又は充電電流が流れている状態で第2バッテリB2を第2電力線31p,31nから遮断してしまうことによって車両挙動に与えてしまう影響を抑制することができる。
【0094】
(3)電源システム1において、電子制御ユニット群7は、第2バッテリB2を第2電力線31p,31nから遮断した後、第2バッテリB2の出力制限が解除された場合、又は、電圧差が第2電圧差閾値C以上になった場合、第2バッテリB2を第2電力線31p,31nに接続する。これにより、必要が生じた場合には速やかに第2バッテリB2から第1電力回路2へ電力を供給することができる。
【0095】
(4)電源システム1において、マネジメントECU71は、第1バッテリB1及び第2バッテリB2の閉回路電圧の下限を第1閉回路電圧下限CCVmin1及び第2閉回路電圧下限CCVmin2として算出する。これにより第2バッテリB2からの意図しない放電を確実に抑制できるよう、適切なタイミングで第2バッテリB2を第2電力線31p,31nから遮断することができる。
【0096】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限らない。本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0097】
V…車両
M…駆動モータ(回転電機)
P…ペダル類(要求電力取得手段)
1…電源システム
2…第1電力回路
21p,21n…第1電力線
22p,22n…第1コンタクタ
B1…第1バッテリ(第1蓄電装置)
3…第2電力回路(第2電力回路)
31p,31n…第2電力線
32p,32n…第2コンタクタ
33…電流センサ
B2…第2バッテリ(第2蓄電装置)
43…電力変換器
5…電圧変換器
7…電子制御ユニット群(電力制御手段、第1電圧取得手段、第2電圧取得手段)
71…マネジメントECU(要求電力取得手段)
72…モータECU
73…コンバータECU
74…第1バッテリECU
75…第2バッテリECU
81…第1バッテリセンサユニット(第1電圧取得手段)
82…第2バッテリセンサユニット(第2電圧取得手段)
図1
図2
図3
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図7
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図9