(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
B62D 63/02 20060101AFI20241127BHJP
【FI】
B62D63/02
(21)【出願番号】P 2021049552
(22)【出願日】2021-03-24
【審査請求日】2024-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 洋介
(72)【発明者】
【氏名】廣角 直彦
(72)【発明者】
【氏名】浅野 貴文
(72)【発明者】
【氏名】稲場 拓巳
(72)【発明者】
【氏名】藏本 裕也
(72)【発明者】
【氏名】柳田 道太
(72)【発明者】
【氏名】小川 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】坂口 慶明
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-008874(JP,U)
【文献】特開2012-218654(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0070339(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第10318689(DE,A1)
【文献】特表2013-530079(JP,A)
【文献】特表平8-502921(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 63/00-63/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1前端部に対し第1後端部が鉛直上側に位置するシャーシと、
前記シャーシに対し、第2前端部および第2後端部が接続する第1状態と、前記第1状態よりも前記第2前端部が鉛直上側に位置する第2状態とに変移可能な車体と、
前記シャーシに設けられた一対の前輪、および、一対の後輪と、
を備え、
前記一対の前輪の外幅は、前記一対の後輪の内幅より小さい車両。
【請求項2】
第1後端部に対し第1前端部が鉛直上側に位置するシャーシと、
前記シャーシに対し、第2前端部および第2後端部が接続する第1状態と、前記第1状態よりも前記第2後端部が鉛直上側に位置する第2状態とに変移可能な車体と、
前記シャーシに設けられた一対の前輪、および、一対の後輪と、
を備え、
前記一対の後輪の外幅は、前記一対の前輪の内幅より小さい車両。
【請求項3】
前記シャーシの前記第1前端部と前記第1後端部との高さの差は、前記第1前端部の厚さより大きい、
請求項1に記載の車両。
【請求項4】
前記シャーシの前記第1前端部と前記第1後端部との高さの差は、前記第1後端部の厚さより大きい、
請求項2に記載の車両。
【請求項5】
前記車体と前記シャーシとの間に配され、前記シャーシに対し前記車体を起立した状態で保持する保持機構を備える、
請求項1~4のいずれか1項に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一対の前輪の外幅を調整可能な車両について開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、車両を駐車する際、一対の前輪の外幅を小さく調整することで、比較的狭い駐車スペースに車両を駐車させることができ、その分、空いた駐車スペースを有効活用することができる。しかし、更なる駐車スペースの有効活用が希求されている。
【0005】
そこで、本発明は、駐車スペースを有効活用することが可能な車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の車両は、第1前端部に対し第1後端部が鉛直上側に位置するシャーシと、シャーシに対し、第2前端部および第2後端部が接続する第1状態と、第1状態よりも第2前端部が鉛直上側に位置する第2状態とに変移可能な車体と、シャーシに設けられた一対の前輪、および、一対の後輪と、を備え、一対の前輪の外幅は、一対の後輪の内幅より小さい。
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の車両は、第1後端部に対し第1前端部が鉛直上側に位置するシャーシと、シャーシに対し、第2前端部および第2後端部が接続する第1状態と、第1状態よりも第2後端部が鉛直上側に位置する第2状態とに変移可能な車体と、シャーシに設けられた一対の前輪、および、一対の後輪と、を備え、一対の後輪の外幅は、一対の前輪の内幅より小さい。
【0008】
シャーシの第1前端部と第1後端部との高さの差は、第1前端部の厚さより大きくてもよい。
【0009】
シャーシの第1前端部と第1後端部との高さの差は、第1後端部の厚さより大きくてもよい。
【0010】
車体とシャーシとの間に配され、シャーシに対し車体を起立した状態で保持する保持機構を備えてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、駐車スペースを有効活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本実施形態の車両の概略斜視図である。
【
図2】
図2は、車両の駐車前の状態を示す概略側面図である。
【
図3】
図3は、車両の駐車後の状態を示す概略側面図である。
【
図4】
図4は、車両の駐車後の状態を示す概略上面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0014】
図1は、本実施形態の車両100の概略斜視図である。
図1に示すように、車両100は、車体110と、シャーシ120と、ヒンジ130と、前輪140と、後輪150と、駆動機構(保持機構)160とを含む。
図1に示される2台の車両100は、形状、大きさ、および、構成が同じである。
【0015】
以下では、車両100の進行方向を前方向(
図1中、左側)、車両100の後退方向を後方向(
図1中、右側)として説明する。また、車両100の進行方向に対し右側を右方向(
図1中、奥側)、車両100の進行方向に対し左側を左方向(
図1中、手前側)として説明する。また、車両100の鉛直方向上側を上方向(
図1中、上側)、車両100の鉛直方向下側を下方向(
図1中、下側)として説明する。
【0016】
車両100は、原動機の動力により車輪(前輪140および後輪150)を回転させ、路上を走行する4輪自動車である。車体110は、搭乗者が搭乗する搭乗スペースを内部に有する。搭乗者は、車体110の内部に形成された搭乗スペースに搭乗することで、車両100を運転することができる。車体110は、シャーシ120と別体に構成される。
【0017】
シャーシ120は、車体110に対し下方向に位置する。シャーシ120には、不図示の原動機および動力伝達機構が設けられる。原動機は、例えば、エンジンやモータであり、動力伝達機構は、原動機で発生した動力を車輪に伝達する機構である。ただし、これに限定されず、不図示の原動機および動力伝達機構は、車体110に設けられてもよい。
【0018】
ヒンジ130は、車体110とシャーシ120の間に配され、車体110の後端部110bとシャーシ120の後端部120bとを回動可能に接続する。ヒンジ130の中心軸は、前輪140および後輪150の車軸と平行な方向に延在する。車体110の前端部110aは、ヒンジ130の中心軸を中心として、シャーシ120の前端部120aから離隔する方向に回転することができる。このように、車体110は、シャーシ120に対し相対回転可能に構成される。
【0019】
車体110は、シャーシ120に対しヒンジ130を介して回動することで、
図1中左側に示す接続位置(接続状態)と、
図1中右側に示す離隔位置(離隔状態)とに姿勢が変移する。接続位置は、車体110の前端部110aがシャーシ120の前端部120aと接続し、後端部110bがシャーシ120の後端部120bと接続する位置である。離隔位置は、車体110の後端部110bがシャーシ120の後端部120bと接続し、前端部110aがシャーシ120の前端部120aから離隔する位置である。本実施形態では、車体110は、離隔位置に位置するとき、車体110のうち前端部110aが最も上方向に位置し、シャーシ120に対し起立した起立状態となる。換言すれば、車体110は、シャーシ120に対し、前端部(第2前端部)110aおよび後端部(第2後端部)110bが接続する第1状態と、該第1状態よりも前端部110aが上方向に位置する第2状態とに変移可能である。
【0020】
車両100は、車体110が接続状態にあるとき、搭乗スペース(搭乗室)に搭乗者が搭乗可能となり、搭乗スペースに搭乗者が搭乗した状態で路上を走行することができる。なお、車両100には、不図示のロック機構が設けられ、ロック機構は、搭乗者が搭乗した状態で車両100を走行している際に、車体110の前端部110aとシャーシ120の前端部120aとをロックする。これにより、搭乗者が車両100を運転中、車体110の前端部110aとシャーシ120の前端部120aとの接続状態が維持される。
【0021】
一方、ロック機構のロックが解除されると、車体110は、接続状態から離隔状態に変移可能となる。車両100は、車体110が離隔状態にあるとき、搭乗スペースに搭乗者が搭乗不可となり、搭乗スペースに搭乗者が搭乗した状態で路上を走行することができなくなる。車両100は、駐車スペースに駐車する際、例えば、駆動機構160により車体110を起立させる。ただし、これに限定されず、搭乗者が車体110を手動で起立させてもよい。
【0022】
前輪140は、シャーシ120の前側かつ左右方向(側方)に一対設けられる。後輪150は、シャーシ120の後側かつ左右方向(側方)に一対設けられる。前輪140の外径は、後輪150の外径よりも小さい。ただし、これに限定されず、前輪140の外径は、後輪150の外径と等しくてもよく、また、後輪150の外径より大きくてもよい。
【0023】
駆動機構160は、車体110とシャーシ120の間に一対設けられる。本実施形態では、駆動機構160は、車体110とシャーシ120の間に2つ設けられるが、これに限定されず、車体110とシャーシ120の間に1つ、あるいは、3つ以上設けられてもよい。駆動機構160は、例えば、油圧シリンダ、油圧アクチュエータ、電動シリンダ、電動アクチュエータなどを含む。
【0024】
駆動機構160は、一端が車体110の後端部120bに接続され、他端がシャーシ120の後端部120bに接続される。駆動機構160は、伸縮自在に構成され、一端と他端との間の長さを変更することができる。
【0025】
車体110は、駆動機構160が伸長した際に、接続状態から離隔状態に姿勢が変移する。駆動機構160は、例えば、ウォームギヤを有しており、車体110を離隔位置で保持することができる。一方、車体110は、駆動機構160が収縮した際に、離隔状態から接続状態に姿勢が変移する。
【0026】
図2は、車両100の駐車前の状態を示す概略側面図である。
図3は、車両100の駐車後の状態を示す概略側面図である。
図2および
図3に示すように、シャーシ120の前端部120aは、シャーシ120の後端部120bに対し下方向に位置する。換言すれば、シャーシ120の後端部120bは、シャーシ120の前端部120aに対し上方向に位置する。
【0027】
シャーシ120の下面は、前端部120aから後端部120bに向かって鉛直方向の高さが漸増するテーパ面である。同様に、シャーシ120の上面は、前端部120aから後端部120bに向かって鉛直方向の高さが漸増するテーパ面である。
【0028】
また、
図1に示すように、車体110の下面は、前端部110aから後端部110bに向かって鉛直方向の高さが漸増するテーパ面である。車体110の下面は、シャーシ120の上面と平行な面であり、車体110の接続位置においてシャーシ120の上面と接触可能な接触面である。なお、本実施形態では、シャーシ120の上面は、シャーシ120の下面と平行な面である。ただし、これに限定されず、シャーシ120の上面は、シャーシ120の下面と平行でなくてもよい。
【0029】
鉛直方向において、シャーシ120の前端部120aの下面と後端部120bの下面との高さの差は、シャーシ120の前端部120aの上面と下面との高さの差より大きい。つまり、シャーシ120の下面の前端部120aと後端部120bとの高さの差は、シャーシ120の前端部120aの厚さより大きい。
【0030】
これにより、シャーシ120の後端部120bの下面の高さは、シャーシ120の前端部120aの上面の高さよりも高くなる。なお、本実施形態では、シャーシ120の後端部120bの下面の高さは、一対の前輪140の高さ(外径)よりも高い。
【0031】
シャーシ120の後端部120bの下面の高さがシャーシ120の前端部120aの上面の高さよりも高いため、
図3に示すように、シャーシ120の後端部120bの下方向に、他の車両100のシャーシ120の前端部120aを導入させることができる。したがって、複数の車両100を駐車させる際に、複数の車両100のうち、一方の車両100の後端部120bと、他方の車両100の前端部120aとの衝突を回避することができる。
【0032】
車両100は、車体110を起立させた状態で、シャーシ120の前端部120aを、他の車両100のシャーシ120の後端部120bの下方向に進入させる。車体110が起立状態にあるので、複数の車両100を駐車させる際に、複数の車両100のうち、一方の車両100の車体110の前端部110aと、他方の車両100のシャーシ120の後端部120bとの衝突を回避することができる。
【0033】
図4は、車両100の駐車後の状態を示す概略上面斜視図である。
図4に示すように、一対の前輪140の外幅W1は、一対の後輪150の内幅W2よりも小さい。換言すれば、一対の後輪150の内幅W2は、一対の前輪140の外幅W1よりも大きい。
【0034】
外幅W1は、車両100の幅方向(
図4中、左右方向)における、一対の前輪140の外側の端面間の最大幅である。内幅W2は、車両100の幅方向における、一対の後輪150の内側の端面間の最小幅である。
【0035】
そのため、シャーシ120の前端部120aを他の車両100のシャーシ120の後端部120bの下方向に進入させたとき、一対の前輪140と他の車両100の一対の後輪150との衝突を回避することができる。つまり、複数の車両100を駐車させる際に、複数の車両100のうち、一方の車両100の一対の前輪140と、他方の車両100の一対の後輪150との衝突を回避することができる。
【0036】
本実施形態では、車両100の幅方向において、シャーシ120の前端部120aの幅は、後端部120bの幅よりも小さい。そのため、一対の前輪140の外幅W1を、シャーシ120の後端部120bの幅よりも小さくすることができる。
【0037】
図3に示すように、複数の車両100は、互いのシャーシ120の一部が鉛直方向に重複した状態で、駐車スペースに駐車される。そのため、複数の車両100が重複せずに駐車する場合に比べ、重複した領域の分だけ駐車スペースを小さくすることができ、重複した領域分だけ空いた駐車スペースを有効活用することができる。
【0038】
また、車両100は、駆動機構160を備え、駆動機構160は、起立状態の車体110を保持するため、起立状態の車体110の揺れを抑制し、駐車時において隣り合う車体110が互いに衝突することを回避することができる。
【0039】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0040】
上記実施形態では、シャーシ120の後端部120bが前端部120aに対し上方向に位置する例について説明した。また、ヒンジ130が車体110の後端部110bとシャーシ120の後端部120bとを接続する例について説明した。また、一対の前輪140の外幅W1が一対の後輪150の内幅W2より小さい例について説明した。
【0041】
しかし、これに限定されず、シャーシ120の前端部120aは、後端部120bに対し上方向に位置してもよい。つまり、シャーシ120は、前端部(第1前端部)120aおよび後端部(第1後端部)120bの一方に対し他方が上方向に位置してもよい。このとき、シャーシ120の前端部120aと後端部120bとの高さの差は、前端部120aの厚さより大きくてもよい。これにより、シャーシ120の後端部120bを、他の車両100のシャーシ120の前端部120aの下方向に進入させることができる。
【0042】
シャーシ120の前端部120aが後端部120bに対し上方向に位置する場合、ヒンジ130は、車体110の前端部110aとシャーシ120の前端部120aとを接続してもよい。このとき、車体110は、ヒンジ130の中心軸を中心として、後端部110bがシャーシ120の後端部120bから離隔する方向に回転し、後端部110bが最も上方向に位置する起立状態に姿勢が変移可能である。つまり、車体110は、シャーシ120に対し、前端部(第2前端部)110aおよび後端部(第2後端部)110bが接続する第1状態と、該第1状態よりも後端部110bが上方向に位置する第2状態とに変移可能であってもよい。これにより、シャーシ120の後端部120bを他の車両100のシャーシ120の前端部120aの下方向に進入させたとき、車体110の後端部110bと、他の車両100のシャーシ120の前端部120aとの衝突を回避することができる。
【0043】
シャーシ120の前端部120aが後端部120bに対し上方向に位置する場合、一対の後輪150の外幅は、一対の前輪140の内幅よりも小さくてもよい。つまり、一対の前輪140および一対の後輪150の一方の外幅は、一対の前輪140および一対の後輪150の他方の内幅より小さくてもよい。これにより、シャーシ120の後端部120bを他の車両100のシャーシ120の前端部120aの下方向に進入させたとき、一対の後輪150と、他の車両100の一対の前輪140との衝突を回避することができる。
【0044】
上記実施形態では、車両100が駆動機構160を備える例について説明した。しかし、駆動機構160は、必須の構成ではなく、車両100は、駆動機構160を備えていなくてもよい。
【0045】
上記実施形態では、シャーシ120の下面は、テーパ面である例について説明した。しかし、これに限定されず、シャーシ120の下面は、上記実施形態のように、前端部120aに対し後端部120bが上方向に位置していればよく、段差面を有してもよい。
【符号の説明】
【0046】
W1 外幅
W2 内幅
100 車両
110 車体
110a 前端部(第2前端部)
110b 後端部(第2後端部)
120 シャーシ
120a 前端部(第1前端部)
120b 後端部(第1後端部)
130 ヒンジ
140 前輪
150 後輪
160 駆動機構(保持機構)