(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】水晶発振器
(51)【国際特許分類】
H03B 5/32 20060101AFI20241127BHJP
H01L 25/00 20060101ALI20241127BHJP
H01L 23/13 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
H03B5/32 H
H01L25/00 B
H01L23/12 C
(21)【出願番号】P 2021053165
(22)【出願日】2021-03-26
【審査請求日】2023-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000232483
【氏名又は名称】日本電波工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】今野 勇司
【審査官】石田 昌敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-163540(JP,A)
【文献】特開2020-022017(JP,A)
【文献】特開2013-046275(JP,A)
【文献】特開2017-034328(JP,A)
【文献】特開2016-208192(JP,A)
【文献】特開2016-189512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03B 5/30- 5/42
H01L 25/00
H01L 23/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水晶振動片を実装する水晶室と、前記水晶室の底面に設けられ前記水晶振動片が固定される2つの水晶用パッドと、発振回路を含むICチップが実装されるIC室と、前記IC室の底面の前記ICチップが実装される領域以外の領域に設けられ、配線によって前記水晶用パッドに接続されている2つのモニタパッドと、を備え、かつ、前記水晶室及び前記IC室は互いの底部が背中合わせに積層された構造のセラミック製パッケージ、並びに、前記水晶室に実装された当該水晶振動片、前記IC室に実装された当該ICチップ、アンダーフィル材を備え、然も、
前記2つのモニタパッドは、前記ICチップを挟んだ2領域に分けて設けてあり、
前記IC室の底面には、前記ICチップを実装するため、前記2つのモニタパッドを結ぶ線分に平行に2列に並んでいる複数個のバンプを設けてあり、
前記ICチップの前記2つのモニタパッドを結ぶ線分に平行な寸法をSと表したとき、前記IC室の底面の前記複数個のバンプを設けた領域以外の領域の、前記2つのモニタパッドの一方のモニタパッドからS/3~S/2で決まる所定位置までの領域は、非配線領域としてあり、
前記IC室の底面の前記ICチップの下方に当たる領域では、前記2列に並んでいる複数個のバンプのいずれか1つの列の中央付近のバンプと、前記2つのモニタパッドのうちの他方のモニタパッドとの間にのみ、配線を設けてあり、
前記一方のモニタパッドから前記水晶用パッドへの配線は、
前記ICチップ側の領域以外の領域に引き出してある構造を備える、水晶発振器を製造するに当たり、
前記他方のモニタパッドを設けた領域のみから、前記アンダーフィル材を注入することを特徴とする水晶発振器の製造方法。
【請求項2】
前記セラミック製パッケージは、前
記一方のモニタパッドに近接する部分に、キャスタレーションを備えており、
前
記一方のモニタパッドから前記水晶用パッドへの配線は、前記キャスタレーションを介して行ってあることを特徴とする請求項1に記載の水晶発振器の製造方法。
【請求項3】
前記セラミック製パッケージは、底部の前記一方のモニタパッドに接する部分に、ビアホールを備えており、
前
記一方のモニタパッドから前記水晶用パッドへの配線は、前記ビアホールを介して行ってあることを特徴とする請求項
1に記載の水晶発振器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IC(集積回路)チップをアンダーフィル材で保護した構造を有する水晶発振器であって、アンダーフィル材でのボイド発生を低減できる水晶発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
水晶発振器の一種として、水晶室とIC室とが積層され、断面がいわゆるH型となっている水晶発振器がある(例えば特許文献1)。
この水晶発振器では、水晶振動片を収容するキャビティから成る水晶室と、発振回路を含む集積回路(IC)チップを収容するキャビティから成るIC室とを、背中合わせに積層した構造の、セラミック製パッケージが、用いられている(特許文献1の
図3)。
【0003】
この水晶発振器では、IC室の底面にICチップを接続するバンプが設けてある。このバンプに、ICチップの配線パッドを接続することによって、ICチップはIC室に実装されている。ICチップの回路面の保護およびICチップのIC室への実装強度を高めるため、IC室の底面とICチップとの間、及び、ICチップ全面に、樹脂が充填されている(特許文献1の段落3等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記構造の水晶発振器では、IC室の底面とICチップとの間に樹脂いわゆるアンダーフィル材を充填する際に気泡を巻き込むと、後に加わる熱の影響で、気泡が破裂する場合がある。いわゆるボイドの破裂問題である。従って、IC室の底面とICチップとの間にアンダーフィル材を充填する際は、気泡を生じさないことが重要である。
その手段の1つは、IC室の底面とICチップとの間隙を広げることである。特許文献1では、IC室の底面に設けるバンプを2段のバンプとすることで、上記間隙を広げている。しかし、水晶発振回路の低背化の要求が益々高まることを考えると、バンプの高さを高くするにも限界がある。また、2段のバンプを形成すること自体、技術的にもコスト的にも、問題がある。
【0006】
一方、H型構造の水晶発振器の場合、ICチップの所定端子と水晶振動片とを接続する配線や、ICチップへの電源供給配線やICチップから外部への発振出力用の配線などの配線が必要である。従って、IC室の底面の、ICチップの下方の領域に、配線の一部を引き回す必要がある。すると、配線を引き回した領域では、配線の厚さ分だけ、アンダーフィル材を充填する間隔がさらに狭くなる。具体的には、IC室の底面とICチップの下面との間隔は、近年では、15~30μm程度であり、配線の厚みは10μm程度である。従って、IC室の底面とICチップの下面との間隔は、配線がある領域では、5~20μmになってしまい、アンダーフィル材の充填の際のさらなる弊害になる。
【0007】
また、H型構造の水晶発振器では、IC室の底面のICチップ以外の領域に、水晶振動子の発振周波数をモニタするためのモニタパッドを備えたものがある。水晶発振器の製造途中において、水晶振動子の周波数調整を行う際の、周波数をモニタするためである。従って、モニタパッドの配線も、アンダーフィル材を充填する際の弊害の一因になる。
従って、IC室の底面に設ける各種配線は、アンダーフィル材の充填に影響がないように引き回すことが重要である。
この出願はこのような点に鑑みなされたものであり、従って、本発明の目的は、いわゆるH型構造を有したセラミック製パッケージを用いた水晶発振器であって、IC室の底面とICチップとの間にアンダーフィル材を充填する際のボイド発生を低減できる構造を有した水晶発振器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的の達成を図るため、この発明の水晶発振器によれば、水晶振動片を実装する水晶室と、前記水晶室の底面に設けられ前記水晶振動片が固定される2つの水晶用パッドと、発振回路を含むICチップが実装されるIC室と、前記IC室の底面の前記ICチップが実装される領域以外の領域に設けられ、配線によって前記水晶用パッドに接続されている2つのモニタパッドと、を備え、かつ、前記水晶室及び前記IC室が背中合わせに積層された構造のセラミック製パッケージ、並びに、前記水晶室に実装された当該水晶振動片、前記IC室に実装された当該ICチップ、及びアンダーフィル材を備える水晶発振器において、
前記2つのモニタパッドは、前記ICチップを挟んだ2領域に分けて設けてあり、
前記IC室の底面の、前記2つのモニタパッドの少なくとも一方のモニタパッドから前記ICチップの下方の所定位置までの領域は、配線が無い非配線領域としてあり、かつ、
前記少なくとも一方のモニタッドから前記水晶用パッドへの配線は、前記半導体チップ側の領域以外の領域に引き出してあることを特徴とする。
【0009】
この発明を実施するに当たり、前記半導体チップの前記2つのモニタパッドを結ぶ線分に平行な寸法をSと表し、前記所定位置までの前記半導体チップ下での寸法をTと表したとき、T=S/3~S/2としてあることが好ましい(
図2(B)参照)。
【0010】
この発明を実施するに当たり、前記セラミック製パッケージは、前記少なくとも一方のモニタパッドに近接する部分に、キャスタレーションを備えており、
前記少なくとも一方のモニタパッドから前記水晶用パッドへの配線は、前記キャスタレーションを介して行ってあることが好ましい。
【0011】
この発明を実施するに当たり、前記セラミック製パッケージは、底部の前記少なくとも一方のモニタパッドに接する部分に、ビアホールを備えており、
前記少なくとも一方のモニタパッドから前記水晶用パッドへの配線は、前記ビアホールを介して行ってあることが好ましい。
【0012】
この発明を実施するに当たり、前記2つのモニタパッドの一方のモニタパッドから前記ICチップの下方の所定位置までの領域を前記非配線領域とする場合は、前記2つのモニタパッドの他方のパッドを設けた領域を、アンダーフィル材の注入点とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
この発明の水晶発振器によれば、2つのモニタパッドのうちの少なくとも一方のモニタパッドから水晶用パッドに接続する配線は、半導体チップの方向ではない他の方向にのみ引き出してあり、ICチップに向かう領域では所定位置まで非配線領域となっている。従って、IC室の底面のICチップの下方領域に引き回す配線の面積を、減らすことができる。従って、ICチップの底面とIC室の底面との間に存在する空気は、ICチップの底面とIC室の底面との間にアンダーフィル材を注入した際、非配線領域の作用によって配線の抵抗を受けることなく外部に押し出される。従って、IC室の底面とICチップとの間にアンダーフィル材を充填する際のボイド発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】(A)、(B)、(C)は、実施形態の水晶発振器10を説明するための図である。
【
図2】(A)、(B)は、実施形態の水晶発振器10のモニタパッドと水晶振動片との間の配線引き回しを、キャスタレーションによって行った例を説明するための図である。
【
図3】(A)、(B)は、実施形態の水晶発振器10におけるアンダーフィル材の注入例を説明するための図である。
【
図4】(A)、(B)は、実施形態の水晶発振器10のモニタパッドと水晶振動片との間の配線引き回しを、ビアホールによって行った例を説明するための図である。
【
図5】(A)、(B)は、比較例の水晶発振器100の、特に本発明と相違する点を示した図であり、特に
図3(A)、(B)と対比する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照してこの発明の実施形態について説明する。なお、説明に用いる各図は本発明を理解できる程度に概略的に示してあるにすぎない。また、説明に用いる各図において、同様な構成成分については同一の番号を付して示し、その説明を省略する場合もある。また、以下の実施形態中で述べる形状、寸法、材質等はこの発明の範囲内の好適例に過ぎない。従って、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0016】
1. 第1の実施形態
図1(A)、(B)、(C)は、第1の実施形態の水晶発振器10の全体を説明するための図である。特に
図1(A)は水晶発振器10の上面図、
図1(B)は水晶発振器10の底面図、
図1(C)は
図1(A)図のP-P線に沿った水晶発振器10の断面図である。ただし、
図1(A)では、
図1(C)に示した蓋部材50を外した状態を示してある。
【0017】
実施形態の水晶発振器10は、セラミック製パッケージ20と、水晶振動片30と、ICチップ40と、蓋部材50と、アンダーフィル材60と、を備えている。以下、各構成成分について具体的に説明する。
セラミック製パッケージ20は、水晶室21と、IC室23とを備え、かつ、水晶室21及びIC室23を、底部同士で合わせた積層構造、いわゆるH型構造のセラミック製パッケージである。なお、水晶室21及びIC室23の底部は、この例の場合、所定の配線やビアホールを設けた2枚のセラミックグリーンシートを積層し焼結した構成としてある。詳細は
図2を参照して後述する。
【0018】
水晶室21は、水晶振動片30を実装するものである。水晶室21は、この例の場合、平面視で長方形状の開口を持つ所定深さの凹部21aを有している。水晶室21の凹部21aの底面には、水晶振動片30を接続固定するための水晶用第1パッド21x及び水晶用第2パッド21yを、設けてある。この場合、水晶振動片30を片持ち支持する例であるため、水晶用第1パッド21x及び水晶用第2パッド21yは、水晶室21の1つの辺の近傍であって1つの辺に沿った互いに離れた2か所に設けてある。
水晶室21は、蓋部材50によって封止される。この例では、シーム溶接によって封止される例を示している。従って、水晶室21の凹部21aを囲う土手部上に、シーム封止用のシールリング21bが、ロー材21cによって固定してある。
【0019】
IC室23は、発振回路を含むICチップ40を実装するものである。IC室23は、この例の場合、平面視で長方形状の開口を持つ所定深さの凹部23zを備えている。IC室23の底面には、ICチップ40を実装するための複数個のバンプ、図示例では第1バンプ~第6バンプの6個のバンプ23a~23fと、詳細は後述するが、ICチップ40の実装領域以外の領域に水晶振動片30の周波数をモニタするための第1モニタパッド23x及び第2モニタパッド23yを、設けてある。詳細は後述するが、第1モニタパッド23xは、配線によって、水晶用第1パッド21xに接続してあり、第2モニタパッド23y、配線によって、水晶用第2パッド21yに接続してある。
また、IC室23の凹部23zを囲う土手部の天面に、この例の場合は、4つの外部接続端子25g~25jを設けてある。また、セラミック製パッケージ20の4つの辺の外側の壁に、この例の場合第1~第4のキャスタレーション20a~20dを設けてある
【0020】
また、水晶振動片30は、この例の場合は、ATカット水晶片30aと、水晶片30aの表裏に設けた励振用電極30bと、励振用電極から水晶片の一辺に引き出された引出電極30cと、で構成してある。水晶振動片30は、引出電極30cの位置で、導電性接着剤70によって、水晶用第1パッド21x及び水晶用第2パッド21yに接続固定してある。なお、水晶振動片30は、他の振動モードのものであっても良い。
ICチップ40は、水晶振動片30用の発振回路等を内蔵したものである。ICチップ40は、水晶発振器10の仕様に応じ温度補償回路等の他の回路を含むことが出来る。ICチップは、外部接続用の複数個の配線パッド、この例では6つの配線パッド41a~41fを備えている。6つの配線パッド41a~41fを、IC室の第1~第6バンプ23a~23fに、フリップチップボンディング等の手法で接続することによって、ICチップ40はIC室23に実装してある。
【0021】
次に、本願発明の特徴である第1モニタパッド23x及び第2モニタパッド23yの配置と、他の構成成分に対する配線引き回しについて、
図1に加え、
図2(A)、(B)を参照して説明する。なお、
図2(A)は、水晶室21の底面を水晶室21の上方から見た平面図であり、
図2(B)はIC室23を水晶室21側から透視して見た平面図である。なお、
図2(A),(B)では、説明に必要な構成成分のみを示してある。また、
図2(B)では、ICチップ40内の発振回路をブロック図として付記してある。
第1モニタパッド23x及び第2モニタパッド23yは、ICチップ40を挟んだ2領域に分けて、直線上に設けてある。具体的には、
図1(B)に示したように、IC室23の底面であって、ICチップ40の右側の空き領域に第1モニタパッド23xを設けてあり、左側の空き領域に第2モニタパッド23yを設けてある。そして、IC室23の底面の、2つのモニタパッドの少なくとも一方、この例で第1モニタパッド23xからICチップ40の下方の所定位置までの領域を、配線が無い非配線領域Zとしてある。ただし、非配線領域Zとは、半導体チップ40用のバンプが在る部分を除く趣旨である。
【0022】
非配線領域Zは、なるべく広い方が、アンダーフィル材の充填時に配線が当該充填を阻害しないので、好ましい。しかし、非配線領域Zが広過ぎると、半導体チップ搭載用のバンプ23a~23f等の形成面積を狭くしてしまうし、また、必要な配線を形成し難くするので、好ましくない。従って、非配線領域Zを半導体チップ40の下方のどの位置(所定位置)まで設けるかは、上記の点を考慮して決める。例えば、半導体チップの第1モニタパッド23xと第2モニタパッド23yを結ぶ線分に平行な寸法をSと表し、前記所定位置までの前記半導体チップ下での寸法をTと表したとき(
図2(B)参照)、T=S/3~S/2としてあることが好ましい。より好ましくはT=S/2とすることが良い。
【0023】
また、第1モニタパッド23xから水晶用第1パッド21xへの配線は、半導体チップ40側の領域以外の領域に引き出してある。具体的には、この例では、セラミック製パッケージ20は、第1モニタパッド23xに近接する部分に、キャスタレーション20bを備えており、第1モニタパッド23xから水晶用第1パッド21xへの配線は、キャスタレーション20bの方向に引き出してある。しかも、第1モニタパッド23xは、キャスタレーション20bを経由し、さらに水晶室21の底面の配線21xaを経由して、水晶用第1パッド21xに接続してある。ここで、水晶用第1パッド21xは、ICチップ40の発振回路に接続する必要がある。これに関しては、水晶室21及びIC室23の底部に設けたビア配線21dを経由し、さらに、ICチップ40のバンプ23eを経由して行ってある。
また、第2モニタパッド23yは、キャスタレーション20dを介して水晶用第2パッド21yに接続してあると共に、第2モニタパッド23yの半導体チップ40の側に引き出した配線によって、半導体チップ40のバンプ23bに接続してある。
【0024】
この第1の実施形態の水晶発振器10では、水晶振動片を水晶室に実装し、かつ、半導体チップ40をIC室に実装した後に、
図3(A)、(B)に示したように、第
2モニタパッド23
yの上方にアンダーフィル材60の充填装置のノズル80を位置させて、アンダーフィル材60をIC室23の底面に供給することが好ましい。このようにすると、
半導体チップ40の底面とIC室の底面との間にアンダーフィル材60が進行する際、半導体チップ40の底面とIC室の底面との間の空気は、非配線領域Zの作用によって配線の抵抗を受けることなく外部に押し出される。従って、アンダーフィル材充填時の気泡巻き込みを生じ難くできる。
【0025】
2. 第2の実施形態
次に、
図4(A)、(B)を参照して、第2の実施形態の水晶発振器90について説明する。なお、
図4(A)、(B)は、第2の実施形態の水晶発振器90の要部を説明する図であって、
図2(A),(B)に対応する図である。
第2の実施形態の水晶発振器90の第1の実施形態の水晶発振器10との相違点は、第1モニタパッド23xと水晶用第1パッド21xとの配線引き回し構造である。
第2の実施形態の水晶発振器90では、セラミック製パッケージの水晶室21及びIC室23の底部であって、第1モニタパッド23xに接する位置にビアホール21eを備えている。そして、第1モニタパッド23xから水晶用第1パッド21xへの配線は、このビアホール21eを介して行ってある。具体的には、第1モニタパッド23xから水晶用第1パッド21xへの配線は、ビアホール21eを経由し、さらに、水晶室21内の配線21xaを経由して、水晶用第1パッド21xに至るように行ってある。
この第2実施形態の場合も、アンダーフィル材の充填は、第1モニタパッド23xの位置から行うことで、非配線領域Zの効果を得ることができる。
【0026】
3. 比較例
次に、この発明の理解を深めるために、比較例を説明する。
図5(A)、(B)はそのための説明図であり、比較例の水晶発振器100の、特に本発明と相違する点を示した図である。
図5(A)は、
図3(A)と、
図5(B)は
図3(B)と対比するための図である。
比較例の水晶発振器100では、IC室23の底面の、第1モニタパッド23x及び第2モニタパッド23y各々から半導体チップ40の下方に当たる領域まで、配線101を設けた構造となっている。従って、ICチップ40とIC室2の底面との間にアンダーフィル材を注入する場合、第1モニタパッド23x及び第2モニタパッド23yのどちらから注入しても、配線101の影響を受けてしまうため、アンダーフィル材を充填する際に気泡を噛みやすいという問題が生じやすい。本発明では、非配線領域Zを設けたため、気泡噛みを低減できる。
【0027】
上述においては、第1モニタパッド23x及び第2モニタパッド23yの一方のモニタパッドである第1モニタパッド23xの側に非配線領域Zを設ける例を説明したが、第1モニタパッド23x及び第2モニタパッド23yの双方のICチップ40側を非配領域Zとする場合があっても良い。ただし、第1モニタパッド23x及び第2モニタパッド23yの一方の側にのみ非配線領域Zを設けた方が、配線設計の自由度を高められる。
【符号の説明】
【0028】
10:第1の実施形態の水晶発振器 20:セラミック製パッケージ
20a~20d:キャスタレーション 21:水晶室
21a:凹部 21b:シールリング
21c:ロー材 21d、21e:ビアホール
21x:水晶用第1パッド 21y:水晶用第2パッド
23:IC室 23a~23f:ICチップ用バンプ
23g~23j:外部接続端子
23x:第1モニタパッド 23y:第2モニタパッド
23z:凹部
30:水晶振動片 30a:水晶片
30b:励振用電極 30c:引き出し電極
40:半導体チップ(ICチップ) 50:蓋部材
60:アンダーフィル材 70:導電性接着剤
80:アンダーフィル材充填装置のノズル
90:第2の実施形態の水晶発振器
S:半導体チップの寸法 T:非配線領域の所定位置までの寸法
Z:非配線領域 100:比較例の水晶発振器
101:配線