(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】運転支援装置、運転支援方法、および運転支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20241127BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20241127BHJP
【FI】
G08G1/16 C
B60W50/14
(21)【出願番号】P 2021113618
(22)【出願日】2021-07-08
【審査請求日】2024-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】391008559
【氏名又は名称】株式会社トランストロン
(74)【代理人】
【識別番号】100170070
【氏名又は名称】坂田 ゆかり
(72)【発明者】
【氏名】上之原 通
【審査官】西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-205773(JP,A)
【文献】国際公開第2020/065708(WO,A1)
【文献】特開2020-126362(JP,A)
【文献】特開2020-183652(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
B60W 50/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の車速を含む車両情報を取得する車両情報取得部と、
前記自車両の後方を走行する後続車と前記自車両との車間距離を計測する計測部と、
前記車両情報取得部及び前記計測部で得られた情報に基づいて前記後続車の加速度又は前記自車両に対する前記後続車の速度である相対速度を求める第1算出部と、
前記加速度又は前記相対速度に基づいて前記後続車の減速の度合いに基づいた不快ポイントを求め、当該不快ポイントを累積加算して累積不快ポイントを算出する第2算出部と、
前記累積不快ポイントが閾値以上となった場合に
、前記自車両の運転者に
前記累積不快ポイントに基づいた内容の通知を行う通知部と
、を備え、
前記通知部は、前記累積不快ポイントが第1閾値未満の場合
には指導に相当する通知内容を通知し、前記累積不快ポイントが前記第1閾値以上の場合
かつ前記第1閾値より大きい第2閾値未満の場合には注意に相当する通知内容を通知し、前記累積不快ポイントが前記第2閾値以上の場合には警告に相当する通知内容を通知し、かつ、前記累積不快ポイントが前記第2閾値以上であり、前記自車両と前記後続車とが一定距離以上離れていない場合には、前記後続車が前記自車両の前方に進入して前記後続車のブレーキランプが点灯するまで継続して通知を行う
ことを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
前記自車両の後方を撮像する撮像部と、
前記撮像部で撮像された画像に基づいて前記後続車がパッシングしたか否かを検知する検知部と、を備え、
前記第2算出部は、前記パッシングが検知された場合に所定の前記不快ポイントを加算する
ことを特徴とする請求項
1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記自車両に設けられたマイクロホンと、
前記マイクロホンで取得された音に基づいてクラクションが鳴ったか否かを検知する第2検知部と、を備え、
前記第2算出部は、前記クラクションが鳴ったことが検知された場合に所定の前記不快ポイントを加算する
ことを特徴とする請求項1
又は2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記自車両の前後左右方向を撮像する第2撮像部を備え、
前記通知部は、前記第2撮像部で撮像された画像に基づいて前記自車両が車線変更可能か否かを検知し、車線変更が可能である場合には
前記累積不快ポイントに基づいた内容の通知として車線変更を促し、車線変更が可能でない場合には
前記累積不快ポイントに基づいた内容の通知として加速を促す
ことを特徴とする請求項1から
3のいずれか一項に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記通知部は、前記自車両と前記後続車とが前記一定距離以上離れた場合には通知を終了する
ことを特徴とする請求項
1に記載の運転支援装置。
【請求項6】
前記車両情報に基づいて前記自車両の停車を検知し、当該停車が検知された後に前記不快ポイントが発生したときの状況に関する情報を通知する第2通知部を備えた
ことを特徴とする請求項1から
5のいずれか一項に記載の運転支援装置。
【請求項7】
自車両の車速を含む車両情報と、前記自車両の後方を走行する後続車の車速及び前記自車両と前記後続車との車間距離を取得するステップと、
前記取得された情報に基づいて前記後続車の加速度又は前記自車両に対する前記後続車の速度である相対速度を求めるステップと、
前記加速度又は前記相対速度に基づいて前記後続車の減速の度合いに基づいた不快ポイントを求め、当該不快ポイントを累積加算して累積不快ポイントを算出するステップと、
前記累積不快ポイントが閾値以上となった場合に
、前記自車両の運転者に
前記累積不快ポイントに基づいた内容の通知
をするステッ
プと、を含み、
前記累積不快ポイントに基づいた内容の通知をするステップでは、前記累積不快ポイントが第1閾値未満の場合
には指導に相当する通知内容を通知し、前記累積不快ポイントが前記第1閾値以上の場合
かつ前記第1閾値より大きい第2閾値未満の場合には注意に相当する通知内容を通知し、前記累積不快ポイントが前記第2閾値以上の場合には警告に相当する通知内容を通知し、かつ、前記累積不快ポイントが前記第2閾値以上であり、前記自車両と前記後続車とが一定距離以上離れていない場合には、前記後続車が前記自車両の前方に進入して前記後続車のブレーキランプが点灯するまで継続して通知を行う
とを特徴とする運転支援方法。
【請求項8】
コンピュータを、
自車両の車速を含む車両情報、及び、前記自車両の後方を走行する後続車の車速及び前記自車両と前記後続車との車間距離に基づいて前記後続車の加速度又は前記自車両に対する前記後続車の速度である相対速度を求める第1算出部、
前記加速度又は前記相対速度に基づいて前記後続車の減速の度合いに基づいた不快ポイントを求め、当該不快ポイントを累積加算して累積不快ポイントを算出する第2算出部、
前記累積不快ポイントが閾値以上となった場合に
、前記自車両の運転者に
前記累積不快ポイントに基づいた内容の通知
をする通知部であって、前記累積不快ポイントが第1閾値未満の場合
には指導に相当する通知内容を通知し、前記累積不快ポイントが前記第1閾値以上の場合
かつ前記第1閾値より大きい第2閾値未満の場合には注意に相当する通知内容を通知し、前記累積不快ポイントが前記第2閾値以上の場合には警告に相当する通知内容を通知し、かつ、前記累積不快ポイントが前記第2閾値以上であり、前記自車両と前記後続車とが一定距離以上離れていない場合には、前記後続車が前記自車両の前方に進入して前記後続車のブレーキランプが点灯するまで継続して通知を行う通知部、
として機能させることを特徴とする運転支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置、運転支援方法、および運転支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自車両の走行に関する情報である走行情報を取得し、取得部によって取得された走行情報に基づいて、自車両が他車両に対してあおり運転を行っているか否かを判定し、あおり運転を行っていると判定された場合、自車両に対してあおり運転に関する通知情報を通知する運転支援装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の装置では、あおり運転がされているかどうかの判定のみであるため、あおり運転に至る前に自車両に対して通知を行うことはできない。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、自車両に対してあおり運転が行われている場合のみならず、あおり運転が行われるおそれがある場合にも運転者に通知を行うことができる運転支援装置、運転支援方法、および運転支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る運転支援装置は、例えば、自車両の車速を含む車両情報を取得する車両情報取得部と、前記自車両の後方を走行する後続車と前記自車両との車間距離を計測する計測部と、前記車両情報取得部及び前記計測部で得られた情報に基づいて前記後続車の加速度又は前記自車両に対する前記後続車の速度である相対速度を求める第1算出部と、前記加速度又は前記相対速度に基づいて前記後続車の減速の度合いに基づいた不快ポイントを求め、当該不快ポイントを累積加算して累積不快ポイントを算出する第2算出部と、前記累積不快ポイントが閾値以上となった場合に前記自車両の運転者に通知を行う通知部であって、前記累積不快ポイントが第1閾値未満の場合と、前記累積不快ポイントが前記第1閾値以上の場合とで異なる内容を通知する通知部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の他態様に係る運転支援方法は、例えば、自車両の車速を含む車両情報と、前記自車両の後方を走行する後続車の車速及び前記自車両と前記後続車との車間距離を取得するステップと、前記取得された情報に基づいて前記後続車の加速度又は前記自車両に対する前記後続車の速度である相対速度を求めるステップと、前記加速度又は前記相対速度に基づいて前記後続車の減速の度合いに基づいた不快ポイントを求め、当該不快ポイントを累積加算して累積不快ポイントを算出するステップと、前記累積不快ポイントが閾値以上となった場合に前記自車両の運転者に通知するステップであって、前記累積不快ポイントが第1閾値未満の場合と、前記累積不快ポイントが前記第1閾値以上の場合とで異なる内容を通知するステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
本発明の他態様に係る運転支援プログラムは、例えば、コンピュータを、自車両の車速を含む車両情報、及び、前記自車両の後方を走行する後続車の車速及び前記自車両と前記後続車との車間距離に基づいて前記後続車の加速度又は前記自車両に対する前記後続車の速度である相対速度を求める第1算出部、前記加速度又は前記相対速度に基づいて前記後続車の減速の度合いに基づいた不快ポイントを求め、当該不快ポイントを累積加算して累積不快ポイントを算出する第2算出部、前記累積不快ポイントが閾値以上となった場合に前記自車両の運転者に通知する通知部であって、前記累積不快ポイントが第1閾値未満の場合と、前記累積不快ポイントが前記第1閾値以上の場合とで異なる内容を通知する通知部、として機能させることを特徴とする。
なお、コンピュータプログラムは、インターネット等のネットワークを介したダウンロードによって提供したり、CD-ROMなどのコンピュータ読取可能な各種の記録媒体に記録して提供したりすることができる。
【0009】
本発明の上記いずれかの態様では、後続車の加速度に基づいて不快ポイントを求め、当該不快ポイントを累積加算した累積不快ポイントが閾値以上となった場合に自車両の運転者に通知を行う。そして、累積不快ポイントが第1閾値未満の場合と、累積不快ポイントが第1閾値以上の場合とで異なる内容を通知する。これにより、自車両に対してあおり運転が行われている場合のみならず、あおり運転が行われるおそれがある場合にも運転者に通知を行うことができる。
【0010】
前記通知部は、前記累積不快ポイントが前記第1閾値以上かつ前記第1閾値より大きい第2閾値未満の場合と、前記累積不快ポイントが前記第2閾値以上の場合とで異なる内容を通知してもよい。これにより、あおり運転のおそれの程度に応じて通知内容を変え、より実効性の高い通知を行うことができる。
【0011】
前記自車両の後方を撮像する撮像部と、前記撮像部で撮像された画像に基づいて前記後続車がパッシングしたか否かを検知する検知部と、を備え、前記第2算出部は、前記パッシングが検知された場合に所定の前記不快ポイントを加算してもよい。また、前記自車両に設けられたマイクロホンと、前記マイクロホンで取得された音に基づいてクラクションが鳴ったか否かを検知する第2検知部と、を備え、前記第2算出部は、前記クラクションが鳴ったことが検知された場合に所定の前記不快ポイントを加算してもよい。これにより、累積不快ポイントと後続車の運転者の不快感、すなわち、あおり運転が行われるおそれとの差が小さくなり、正確な通知を行うことができる。
【0012】
前記自車両の前後左右方向を撮像する第2撮像部を備え、前記通知部は、前記第2撮像部で撮像された画像に基づいて前記自車両が車線変更可能か否かを検知し、車線変更が可能である場合には車線変更を促し、車線変更が可能でない場合には加速を促してもよい。このように、あおり運転回避の実効性が高い車線変更を優先して通知することで、より効果的にあおり運転を防ぐことができる。また、車線変更が可能でない場合にも、あおり運転を回避できる可能性を高くすることができる。
【0013】
前記通知部は、前記累積不快ポイントが前記第2閾値以上であり、前記自車両と前記後続車とが一定距離以上離れていない場合には、前記後続車が前記自車両の前方に進入して前記後続車のブレーキランプが点灯するまで継続して通知を行ってもよい。このように、あおり運転が発生するまで通知を止めないようにすることで、あおり運転の危険があるにもかかわらず通知を止める事態を避けることができる。
【0014】
前記通知部は、前記自車両と前記後続車とが前記一定距離以上離れた場合には通知を終了してもよい。なお、自車両と後続車とが一定距離以上離れた場合とは、後続車が後方に一定距離以上離れた場合、車両又は後続車が車線変更をしてから後続車が車両を追い抜き、さらに後続車が一定距離以上前方に離れた場合、車両又は後続車が別の道路に進入した場合等を含む。これにより、あおり運転が発生し得ない状況になった場合に通知を止めることができる。
【0015】
前記車両情報に基づいて前記自車両の停車を検知し、当該停車が検知された後に前記不快ポイントが発生したときの状況に関する情報を通知する第2通知部を備えてもよい。これにより、運転者の運転技能を改善することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、自車両に対してあおり運転が行われている場合のみならず、あおり運転が行われるおそれがある場合にも運転者に通知を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1の実施の形態に係る運転支援装置1が支援を行う対象である車両C1と後続車C2との関係を模式的に示す図である。
【
図2】運転支援装置1の電気的な機能ブロックの概略を示す図である。
【
図4】運転支援装置1のハードウェア構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【
図5】運転支援装置1が累積不快ポイントを算出する処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】運転支援装置1が累積不快ポイントに基づいて車両C1の運転者に通知を行う処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】運転支援装置1が車両C1の運転者への通知を終了する処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】運転支援装置2の電気的な機能ブロックの概略を示す図である。
【
図9】運転支援装置2が累積不快ポイントを算出する処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る運転支援装置の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。運転支援装置は、自車両に対してあおり運転が行われた、又は、あおり運転が行われるおそれがある場合に、自車両の運転手に適切な通知を行う装置である。
【0019】
<第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態に係る運転支援装置1が支援を行う対象である車両C1と後続車C2との関係を模式的に示す図である。運転支援装置1は、車両C1(自車両)に搭載されている。車両C1(自車両)の後方を走行する後続車C2が車両C1に対してあおり運転を行う又は行う可能性があるときに、運転支援装置1は、車両C1の運転手に対して、車線変更や加速を促す通知を行う。
【0020】
図2は、運転支援装置1の電気的な機能ブロックの概略を示す図である。運転支援装置1は、主として、制御部20と、計測部31と、撮像部32(本発明の撮像部、第2撮像部に相当)と、マイクロホン33とを備える。運転支援装置1は、車両C1に設けられている通信部10、車速センサ11、アクセルセンサ12、ブレーキセンサ13等と接続されている。なお、運転支援装置1自体が通信部10、車速センサ11、アクセルセンサ12及びブレーキセンサ13を有していてもよい。また、車両C1は、車速センサ11、アクセルセンサ12及びブレーキセンサ13以外の様々なセンサを有していてもよい。
【0021】
通信部10は、道路に設けられた情報発信装置等と通信を行う機能部である。通信部10は、
図1に示すように、無線通信Cを用いて、法定速度、渋滞情報、速度規制情報、車線規制情報を含む交通情報を情報発信装置Tから受信する。通信部10で取得された交通情報は、目標速度決定部26(後に詳述)に入力される。
【0022】
図2の説明に戻る。車速センサ11は、車両C1の車速を計測するセンサである。アクセルセンサ12は、車両C1のアクセルペダルの踏み込み量を検出するセンサである。ブレーキセンサ13は、車両C1のブレーキペダルの踏み込み量を検出するセンサである。車速、アクセルペダルの踏み込み量及びブレーキペダルの踏み込み量は、車両C1の車両情報に含まれる。車速センサ11、アクセルセンサ12及びブレーキセンサ13で検知された車両情報は、車両情報取得部21(後に詳述)に入力される。
【0023】
計測部31は、車両C1と後続車C2との車間距離を計測する。計測部31は、例えばレーダセンサにより構成される。レーダセンサは、
図1に示すように、例えばミリ波レーダRを車両C1の進行方向後方に向かって放射し、その反射波に基づいて後続車C2の位置を計測する。
【0024】
図2の説明に戻る。撮像部32は、車両C1の前後左右方向を撮像する全方位カメラである。撮像部32で撮像された画像は、パッシング検知部25(後に詳述)及び通知部27(後に詳述)に入力される。
【0025】
マイクロホン33は、車両C1の内部及び周囲の音を集音する。マイクロホン33で収音された音は、クラクション検知部24(後に詳述)に入力される。
【0026】
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)56(
図4参照)等の演算装置や記憶装置54(
図4参照)により、ソフトウェア資源として、少なくとも、車両情報取得部21、加速度算出部22(本発明の第1算出部に相当)、不快ポイント算出部23(本発明の第2算出部に相当)、クラクション検知部24(本発明の第2検知部に相当)、パッシング検知部25(本発明の検知部に相当)、目標速度決定部26、及び通知部27(本発明の通知部及び第2通知部に相当)を有する。制御部20は、ECU(Electronic Control Unit)により実現されていてもよい。
【0027】
車両情報取得部21は、車速センサ11、アクセルセンサ12、ブレーキセンサ13等により取得された車両情報を取得する機能部である。車両情報取得部21は、TCU(Telematic Control Unit、テレマティクス制御ユニット)により実現されていてもよい。
【0028】
加速度算出部22は、車両情報取得部21及び計測部31で得られた情報に基づいて後続車C2の加速度を求める機能部である。
【0029】
計測部31は、後続車C2に向けてミリ波レーダRを連続して照射し、その反射波に基づいて後続車C2の相対位置を連続して計測する。加速度算出部22は、連続して計測された後続車C2の相対位置に基づいて、後続車C2の相対速度及び相対加速度を連続して求める。なお、後続車C2の相対速度及び相対加速度とは、車両C1に対する後続車C2の速度及び加速度である。
【0030】
また、車両情報取得部21は、車両C1の車両情報を連続して取得する。加速度算出部22は、連続して取得された車両C1の車両情報、特にアクセルセンサ12及びブレーキセンサ13で検知された情報に基づいて、車両C1の加速度を連続して求める。
【0031】
そして、加速度算出部22は、車両C1の加速度と車両C1と後続車C2との相対加速度に基づいて、後続車C2の加速度を求める。車両C1の加速度及び車両C1と後続車C2との相対加速度が連続して求められているため、加速度算出部22は、後続車C2の加速度を連続して求める。
【0032】
不快ポイント算出部23は、後続車C2の加速度に基づいて不快ポイントを求め、不快ポイントを累積加算して累積不快ポイントを算出する機能部である。不快ポイントは、後続車C2の減速の度合いに基づいた値である。不快ポイント算出部23は、後続車C2の加速度が負の値、すなわち後続車C2がブレーキを踏んでいる場合に不快ポイントを求める。
【0033】
不快ポイント算出部23は、後続車C2の加速度と不快ポイントとを関連付けた不快ポイント情報を有している。
図3は、不快ポイント情報の一例を示す図である。不快ポイントの絶対値が大きい場合には後続車C2が急ブレーキを踏んでおり、あおり運転がなされているおそれが高いことを意味する。
【0034】
不快ポイント情報においては、加速度に応じて異なる値の不快ポイントが関連付けられている。例えば、加速度の絶対値が1m/s2未満の場合には不快ポイントが0であり、加速度の絶対値が1m/s2以上かつ2.4m/s2(急減速に相当)未満の場合には不快ポイントが1であるまた、加速度の絶対値が5.5m/s2以上の場合(フルブレーキを踏んだ場合に相当)には、不快ポイントが5である。不快ポイント算出部23は、不快ポイント情報に基づいて、後続車C2の加速度に応じた不快ポイントを求める。
【0035】
後続車C2の加速度は連続して求められるため、不快ポイント算出部23は不快ポイントを連続して求める。そして、不快ポイント算出部23は、連続して求められた不快ポイントを累積加算して累積不快ポイントを算出する。このように累積不快ポイントを求めることで、後続車C2があおり運転をするおそれの指標となる累積不快ポイントを求めることができる。
【0036】
図1の説明に戻る。クラクション検知部24は、マイクロホン33から取得した音に基づいて、クラクションが鳴ったか否かを検知する機能部である。パッシング検知部25は、撮像部32で撮像された画像に基づいて、後続車C2がパッシングしたか否かを検知する機能部である。クラクション検知部24及びパッシング検知部25による検知結果は、不快ポイント算出部23に入力される。
【0037】
不快ポイント算出部23は、クラクション検知部24及びパッシング検知部25から検知結果を取得し、クラクションが鳴った場合及び後続車C2がパッシングした場合に不快ポイントを加算する。以下、クラクションが鳴ったり、後続車C2がパッシングしたりした等の行動を不快行動という。なお、不快行動はクラクションが鳴った場合や後続車C2がパッシングした場合に限定されない。
【0038】
不快行動があるときには、後続車C2の運転手が不快に感じると同時に怒りの感情が生まれたことを意味し、あおり運転に発展しやすい。したがって、不快ポイント算出部23は、不快行動が検知された場合には、加速度に基づく不快ポイント、すなわち不快ポイント情報に格納された不快ポイントの値よりも大きな値の不快ポイント(例えば、10)を累積不快ポイントに加算する。これにより、累積不快ポイントと実際の不快感との差が小さくなり、累積不快ポイントの正確性が高くなる。不快ポイント算出部23で算出された累積不快ポイントは、通知部27に入力される。
【0039】
図2の説明に戻る。目標速度決定部26は、制限速度に基づいて車両C1の目標速度を決定する機能部である。制限速度は、通信部10を介して目標速度決定部26に入力される。目標速度決定部26は、制限速度、又は、制限速度に所定の値(例えば10km/h)を加算した速度を目標速度とする。
【0040】
目標速度決定部26は、車両情報取得部21から車両C1の速度を取得する。例えば、目標速度決定部26は、車両C1の速度が制限速度より10km/h以上低い場合には制限速度を目標速度とし、その他の場合には制限速度に10km/hを加算した速度を目標速度とする。目標速度決定部26で決定された目標速度は、通知部27に入力される。
【0041】
なお、目標速度決定部26は、通信部10を介して速度規制情報を取得した場合には、制限速度に変えて、速度規制情報により規制された速度に基づいて車両C1の目標速度を決定してもよい。
【0042】
通知部27は、累積不快ポイントが閾値以上となった場合に車両C1の運転者に通知を行う機能部である。また、通知部27は、累積不快ポイントが閾値A(本発明の第1閾値に相当)未満の場合と、累積不快ポイントが閾値A以上かつ閾値B(本発明の第2閾値に相当)未満の場合と、前記累積不快ポイントが閾値B以上の場合とで異なる内容を通知する。なお、閾値Bは閾値Aより大きい。通知部27の処理については、後に詳述する。
【0043】
通知部27は、例えば、車両C1に設けられたスピーカから音声により通知を行うが、車両C1の内部に配設される適宜の表示部に表示することで通知を行ってもよい。
【0044】
図4は、運転支援装置1のハードウェア構成の一例を概略的に示すブロック図である。運転支援装置1は、制御装置50と、通信装置52と、記憶装置54と、を備える。制御装置50は、CPU(Central Processing Unit)56及びメモリ58を主に備えて構成される。
【0045】
制御装置50では、記憶装置54又はメモリ58等に格納された所定のプログラムをCPUが実行することにより、各種の機能部として機能する。
【0046】
通信装置52は、外部の装置と通信するための通信インターフェース等で構成される。通信装置52は、端末装置等との間で各種の情報を送受信する。
【0047】
記憶装置54は、ハードディスク等で構成される。この記憶装置54は、制御装置50における処理の実行に必要な各種プログラムや各種の情報、及び処理結果の情報を記憶する。
【0048】
なお、運転支援装置1は、専用又は汎用のサーバ・コンピュータ等の情報処理装置を用いて実現することができる。また、運転支援装置1は、単一の情報処理装置により構成されるものであってもよく、通信ネットワーク上に分散した複数の情報処理装置により構成されるものであってもよい。また、
図3は、運転支援装置1が有する主要なハードウェア構成の一部を示しているに過ぎず、運転支援装置1は、サーバ装置が一般的に備える他の構成を備えることができる。
【0049】
図5は、運転支援装置1が累積不快ポイントを算出する処理の流れを示すフローチャートである。
図5に示す処理は、車両C1の運転中には連続して繰り返し行われる。
【0050】
まず、車両情報取得部21は車両C1の車両情報を取得し、取得した車両情報を加速度算出部22に入力する(ステップSP11)。また、加速度算出部22は、計測部31から後続車C2との車間距離を取得する(ステップSP12)。なお、ステップSP11とステップSP12との順はこれに限られず、同時に行ってもよいし、ステップSP12の後でステップSP11を行ってもよい。
【0051】
次に、加速度算出部22は、後続車C2の加速度を算出する(ステップSP13)。そして、加速度算出部22は、不快ポイント情報に基づいて、ステップSP13で算出された加速度が不快ポイント情報に含まれる閾値(ここでは、1m/s2、2.4m/s2、4m/s2又は5.5m/s2)以上か否かを判定する(ステップSP14)。
【0052】
加速度が不快ポイント情報に含まれる閾値以上である場合(ステップSP14でYES)には、不快ポイント算出部23は、ステップSP13で算出された加速度に基づいて不快ポイント(加速度に基づく不快ポイント)を求め、当該求められた不快ポイントを加算して累積不快ポイントを算出する(ステップSP15)。
図5に示す処理を開始する前は累積不快ポイントが0に設定されているため、
図5に示す処理を最初に行う場合には、ステップSP14で発生した不快ポイントが累積不快ポイントとなる。
図5に示す処理が2回目以降の場合には、現在の累積不快ポイントに、新たに発生した不快ポイントを加算して新たに累積不快ポイントを求める。その後、不快ポイント算出部23は処理をステップSP16に進め
【0053】
加速度が不快ポイント情報に含まれる閾値以上でない場合(ステップSP14でNO)には、不快ポイント算出部23は、ステップSP15を行わず、処理をステップSP16に進める。
【0054】
不快ポイント算出部23は、クラクション検知部24及びパッシング検知部25による検知結果を取得し、不快行動があったか否かを判定する(ステップSP16)。不快行動があった場合(ステップSP16でYES)には、不快ポイント算出部23は、不快行動に基づく不快ポイントを現在の累積不快ポイントに加算して、新たな累積不快ポイントを算出する(ステップSP17)。その後、不快ポイント算出部23は、処理をステップSP11に戻す。
【0055】
不快行動がない場合(ステップSP16でNO)には、不快ポイント算出部23は、ステップSP17を行わず、処理をステップSP11に戻す。
【0056】
図6は、運転支援装置1が累積不快ポイントに基づいて車両C1の運転者に通知を行う処理の流れを示すフローチャートである。運転支援装置1は、累積不快ポイントに応じて段階的(本実施の形態では、3段階)に通知を行う。
図6に示す処理は、
図5に示す処理と平行して、車両C1の運転中には連続して繰り返し行われる。
【0057】
まず、通知部27は、累積不快ポイントが閾値A(例えば、3)未満か否か判定する(ステップSP21)。累積不快ポイントが閾値A未満である場合(ステップSP21でYES)には、通知部27は、指導に相当する通知内容を運転手に通知する(ステップSP22)。指導に相当する通知内容は、例えば、(1)「後ろから接近している車があります。早めに車線変更するとよいでしょう。」、(2)「後ろから接近している車があります。○○km/hまで加速するとよいでしょう。」というものである。なお「○○km/h」は、目標速度決定部26から入力された目標速度である。
【0058】
累積不快ポイントが閾値A以上である場合(ステップSP21でNO)には、通知部27は、累積不快ポイントが閾値B(例えば、7)未満か否か判定する(ステップSP23)。累積不快ポイントが閾値B未満である場合(ステップSP23でYES)には、通知部27は、注意に相当する通知内容を運転手に通知する(ステップSP24)。注意に相当する通知内容は、例えば、(1)「後ろの車両が追い抜きたがっているようです。車線変更してください。」、(2)「後ろの車両が追い抜きたがっているようです。○○km/hまで加速してください。」というものである。
【0059】
累積不快ポイントが閾値B以上である場合(ステップSP23でNO)には、通知部27は、警告に相当する通知内容を運転手に通知する(ステップSP25)。警告に相当する通知内容は、例えば、(1)「後ろの車両からあおり運転をされているかもしれません。至急車線変更してください。」、(2)「後ろの車両からあおり運転をされているかもしれません。至急○○km/hまで加速してください。」というものである。
【0060】
なお、ステップSP22、SP24、SP25において、通知部27は、撮像部32で撮像された画像に基づいて車両C1が車線変更可能か否かを検知し、車線変更が可能である場合には(1)の内容を通知して車線変更を促し、車線変更が可能でない場合には(2)の内容を通知して加速を促してもよい。例えば、
図2に示すように、車両C1が走行している道路が片側2車線以上ある場合には、通知部27は、車線変更が可能であることを検知してもよい。
【0061】
図7は、運転支援装置1が車両C1の運転者への通知を終了する処理の流れを示すフローチャートである。
図7に示す処理は、通知部27が通知を行った後に開始される。
【0062】
通知部27は、累積不快ポイントが閾値B(本発明の第2閾値に相当)未満か否か判定する(ステップSP31)。累積不快ポイントが閾値B未満である場合(ステップSP31でYES)には、通知部27は、車両C1と後続車C2とが一定距離以上離れたか否かを判定する(ステップSP32)。車両C1と後続車C2とが一定距離以上離れた場合(ステップSP32でYES)には、通知部27は、あおり運転のおそれがなくなったと判定し、通知を終了する(ステップSP35)。後続車C2との車間距離が一定距離以上でない場合(ステップSP32でNO)には、通知部27は、処理をステップSP31に戻す。
【0063】
累積不快ポイントが閾値B以上である場合(ステップSP31でNO)には、通知部27は、撮像部32で撮像された画像に基づいて、車両C1と後続車C2とが一定距離以上離れたか否かを判定する(ステップSP33)。車両C1と後続車C2とが一定距離以上離れた場合とは、後続車C2が後方に一定距離以上離れた場合、車両C1又は後続車C2が車線変更をしてから後続車C2が車両C1を追い抜き、さらに後続車C2が一定距離以上前方に離れた場合、車両C1又は後続車C2が別の道路に進入した場合等であり、あおり運転が発生し得ない状況になった場合である。車両C1と後続車C2とが一定距離以上離れた場合(ステップSP33でYES)には、通知部27は通知を終了する(ステップSP35)。
【0064】
車両C1と後続車C2とが一定距離以上離れていない場合(ステップSP33でNO)には、通知部27は、撮像部32で撮像された画像に基づいて、あおり運転が発生したか否かを判定する(ステップSP34)。通知部27は、後続車C2が車線変更して車両C1を追い抜いた後、後続車C2が車両C1の前方に進入してブレーキを踏んだ(後続車C2のブレーキランプが点灯した)場合に、あおり運転が発生したと判定する。あおり運転が発生した場合(ステップSP34でYES)には、通知部27は通知を終了する(ステップSP35)。あおり運転が発生しなかった場合(ステップSP34でNO)には、通知部27は処理をステップSP33に戻す。つまり、通知部27は、車両C1と後続車C2とが一定距離以上離れていない場合には、あおり運転が発生するまで継続して通知を行う。
【0065】
通知部27は、通知を終了した(ステップSP35)ら、累積不快ポイントをリセットして0に戻し(ステップSP36)、
図7に示す処理を終了する。なお、ステップSP35とステップSP36との順はこれに限られず、同時に行ってもよいし、ステップSP36の後でステップSP35を行ってもよい。
【0066】
制御部20は、
図7の処理を終了した後も、車両C1が停車するまで
図5~7に示す処理を繰り返し行う。通知部27は、車両情報取得部21から車両情報を取得し、車両情報に基づいて車両C1が停車したか否かを検知する。停車とは、例えば、車両C1の速度が0になり、かつ、シフトレバーがパーキングレンジに切り替えられた場合である。車両C1が停車したか否かは、車両情報に基づいて検知可能である。
【0067】
通知部27は、車両C1の停車が検知された後に、不快ポイントが発生したときの状況に関する情報を車両C1の運転手に通知する。例えば、不快ポイント算出部23は、不快ポイントが発生した(ステップSP14でYES)ときの車両C1の速度を記憶装置54又はメモリ58に記憶しておき、このときの車両C1の速度が制限速度以下であった場合には、通知部27は、速度を上げて走行することを促す通知をする。
【0068】
本実施の形態によれば、不快ポイント算出部23が後続車C2の加速度に基づいた不快ポイントを累積加算して累積不快ポイントを求め、通知部27が累積不快ポイントに基づいた内容(累積不快ポイントが小さいときは指導、累積不快ポイントが大きいときは警告等)の通知を行うことで、車両C1に対してあおり運転が行われている場合のみならず、あおり運転が行われるおそれがある場合にも運転者に通知を行うことができる。また、あおり運転のおそれの程度に応じて通知内容が異なるため、より実効性の高い通知を行うことができる。
【0069】
特に、後続車C2の加速度、すなわち後続車C2の急ブレーキに基づいて不快ポイントを求めることで、
図1に示すような追い越し車線の走行中に限られず、一般道の走行中にも好適である。例えば、一般道を走行中に信号が赤に変わりそうなときに、車両C1が進むか止まるか迷った結果、信号の直前で急ブレーキをかけて停止した場合、後続車C2も急ブレーキをかけることで、後続車C2の運転手が怒りの感情を抱いてあおり運転が起きてしまうこともあり得る。後続車C2の加速度に基づいて不快ポイントを求めることで、このような場合にも不快ポイントを算出することができる。
【0070】
また、本実施の形態によれば、後続車C2のパッシングやクラクションを鳴らすといった不快行動があったときに不快ポイントを大幅に加算することで、累積不快ポイントと後続車C2の運転者の不快感、すなわち、あおり運転が行われるおそれとの差が小さくなり、正確な通知を行うことができる。
【0071】
また、本実施の形態によれば、車線変更が可能である場合には、通知部27は、あおり運転回避の実効性が高い車線変更を優先して通知することで、より効果的にあおり運転を防ぐことができる。また、車線変更が可能でない場合には、通知部27は、制限速度に基づいて求められた目標速度まで加速を促すことで、車線変更ができないときにもあおり運転を回避できる可能性を高くすることができる。
【0072】
また、本実施の形態によれば、累積不快ポイントが閾値B以上の場合かつ車両C1と後続車C2とが一定距離以上離れていない場合に通知を止めないようにすることで、あおり運転の危険があるにもかかわらず通知を止める事態を避けることができる。
【0073】
また、本実施の形態によれば、車両C1の停車が検知された後に不快ポイントが発生したときの状況に関する情報を通知することで、運転者の運転技能を改善することができる。
【0074】
なお、本実施の形態では、制御部20が車両C1に設けられていたが、制御部20全体又は制御部20の機能の一部は、車両C1以外の位置に設けられていてもよい。この場合には、車両C1と制御部20とはネットワーク等を介して接続されていればよい。
【0075】
また、本実施の形態では、通信部10が道路に設けられた情報発信装置と通信を行うことで法定速度や、速度規制情報を含む交通情報を情報発信装置から受信したが、法定速度や速度規制情報をカーナビゲーションシステムから取得してもよい。また、撮像部32が撮像した画像に道路標識が含まれている場合には、画像に含まれる道路標識に基づいて法定速度や速度規制情報を取得してもよい。
【0076】
また、本実施の形態では、車両C1の前後左右方向を撮像する全方位カメラを撮像部32として用いたが、撮像部32の形態はこれに限られない。例えば、撮像部32が4台のカメラを含み、4台のカメラがそれぞれ車両C1の前方、後方、左方向、右方向を撮像してもよい。
【0077】
また、本実施の形態では、不快ポイント算出部23は、不快行動が検知された場合には、不快ポイント情報に格納された不快ポイントの値よりも大きな値の不快ポインを累積不快ポイントに加算したが、不快行動に基づく不快ポイントを累積不快ポイントに加算することは必須ではない。この場合には、マイクロホン33や撮像部32は必須ではない。
【0078】
また、本実施の形態では、通知部27は、撮像部32で撮像された画像に基づいて車線変更可能か否か検知し、車線変更が可能な場合には車線変更を促す通知を行ったが、当該処理は必須ではない。例えば、通知部27は、常に車線変更と加速との両方を促す通知を行ってもよい。この場合には、撮像部32は必須ではない。また、不快行動に基づく不快ポイントを用いる場合には、撮像部32は車両C1の後方のみを撮像可能なものであってもよい。
【0079】
<第2の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態は、後続車C2の加速度に基づいて不快ポイントを求めたが、不快ポイントを求める方法はこれに限られない。本発明の第2の実施の形態は、後続車C2の相対速度に基づいて不快ポイントを求める形態である。以下、第2の実施の形態に係る運転支援装置2について説明する。なお、第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0080】
図8は、運転支援装置2の電気的な機能ブロックの概略を示す図である。運転支援装置1は、主として、制御部20Aと、計測部31と、撮像部32と、マイクロホン33とを備える。運転支援装置2は、通信部10、車速センサ11、アクセルセンサ12、ブレーキセンサ13等と接続されている。なお、運転支援装置2自体が通信部10、車速センサ11、アクセルセンサ12及びブレーキセンサ13を有していてもよい。
【0081】
制御部20Aは、CPU(Central Processing Unit)56等の演算装置や記憶装置54により、ソフトウェア資源として、少なくとも、車両情報取得部21、相対速度算出部22A(本発明の第1算出部に相当)、不快ポイント算出部23A(本発明の第2検知部に相当)、クラクション検知部24、パッシング検知部25、目標速度決定部26、及び通知部27を有する。制御部20Aは、ECUにより実現されていてもよい。
【0082】
相対速度算出部22Aは、車両情報取得部21及び計測部31で得られた情報に基づいて、後続車C2の相対速度を求める機能部である。
【0083】
計測部31は、後続車C2に向けてミリ波レーダRを連続して照射し、その反射波に基づいて後続車C2の相対位置を連続して計測する。相対速度算出部22Aは、連続して計測された後続車C2の相対位置に基づいて、後続車C2の相対速度を連続して求める。
【0084】
不快ポイント算出部23Aは、後続車C2の相対速度に基づいて、後続車C2の減速の度合いに基づいた不快ポイントを求め、不快ポイントを累積加算して累積不快ポイントを算出する機能部である。
【0085】
不快ポイント算出部23Aは、後続車C2の相対速度が小さくなった場合に不快ポイントを求める。例えば、車両C1が50km/hで走行しているときに、後続車C2が70km/hで近づいてきた場合を考える。このとき、後続車C2の相対速度は20km/hである。後続車C2が車両C1に近づくと、後続車C2は徐々に速度を落とし、50km/hで走行することとなり、このときの後続車C2の相対速度は0km/hである。この結果、後続車C2の相対速度が20km/hから0km/hと小さくなるため、不快ポイント算出部23Aは不快ポイントを求める。
【0086】
なお、不快ポイント算出部23Aは、後続車C2の相対速度が小さくなり、かつ、相対速度が小さくなった状態で一定時間経過した場合に不快ポイントを求めてもよい。また、不快ポイント算出部23Aは、車両C1の速度が制限速度以下の場合にのみ不快ポイントを求めてもよい。
【0087】
不快ポイント算出部23Aは、相対速度の変化と不快ポイントとを関連付けた不快ポイント情報(図示省略)を有している。不快ポイント情報では、相対速度の変化の絶対値が閾値(例えば、20km/h)未満の場合には不快ポイントが0であり、相対速度の変化の絶対値が閾値以上の場合には不快ポイントが1である。例えば、後続車C2の相対速度が20km/hから0km/hと小さくなった場合には、相対速度の変化は-20km/hとなり、その絶対値が閾値以上であるため、不快ポイントを1とする。
【0088】
なお、不快ポイント算出部23Aは、相対速度の変化の絶対値が第2閾値(例えば、30km/h)以上の場合には不快ポイントを3とし、所定時間における相対速度の変化の絶対値が閾値以上第2閾値以下の場合には不快ポイントを2としてもよい。また、不快ポイント算出部23Aは、所定時間(例えば、10秒)における相対速度の変化の絶対値が閾値以上の場合に不快ポイントを求めてもよい。
【0089】
後続車C2の相対速度は連続して求められるため、不快ポイント算出部23Aは不快ポイントを連続して求める。そして、不快ポイント算出部23Aは、連続して求められた不快ポイントを累積加算して累積不快ポイントを算出する。
【0090】
図9は、運転支援装置2が累積不快ポイントを算出する処理の流れを示すフローチャートである。
図9に示す処理は、車両C1の運転中には連続して繰り返し行われる。
【0091】
まず、車両情報取得部21は車両C1の車両情報を取得し、取得した車両情報を相対速度算出部22Aに入力する(ステップSP11A)。また、相対速度算出部22Aは、計測部31から後続車C2との車間距離を取得する(ステップSP12)。なお、ステップSP11AとステップSP12との順はこれに限られず、同時に行ってもよいし、ステップSP12の後でステップSP11Aを行ってもよい。
【0092】
次に、相対速度算出部22Aは、車両C1と後続車C2との相対速度を算出する(ステップSP13A)。そして、不快ポイント算出部23Aは、不快ポイント情報に基づいて、ステップSP13Aで求められた相対速度の変化の絶対値が閾値(第1閾値、第2閾値を含む)以上か否かを判定する(ステップSP14A)。
【0093】
車両C1と後続車C2との相対速度の変化の絶対値が閾値以上である場合(ステップSP14AでYES)には、不快ポイント算出部23Aは、ステップSP13Aで算出された相対速度に基づいて不快ポイント(相対速度に基づく不快ポイント)を求め、当該求められた不快ポイントを加算して累積不快ポイントを算出する(ステップSP15A)。
図9に示す処理を開始する前は累積不快ポイントが0に設定されているため、
図9に示す処理を最初に行う場合には、ステップSP15Aで発生した不快ポイントが累積不快ポイントとなる。
図9に示す処理が2回目以降の場合には、現在の累積不快ポイントに、新たに発生した不快ポイントを加算して新たに累積不快ポイントを求め、処理をステップSP16に進める。
【0094】
車両C1と後続車C2との相対速度の変化の絶対値が閾値以上でない場合(ステップSP14AでNO)には、不快ポイント算出部23Aは、ステップSP15Aを行わず、処理をステップSP16に進める。
【0095】
次に、不快ポイント算出部23Aは、クラクション検知部24及びパッシング検知部25による検知結果を取得し、不快行動があったか否かを判定する(ステップSP16)。不快行動があった場合(ステップSP16でYES)には、不快ポイント算出部23Aは、不快行動に基づく不快ポイントを現在の累積不快ポイントに加算して、新たな累積不快ポイントを算出する(ステップSP17)。その後、不快ポイント算出部23Aは、処理をステップSP11Aに戻す。
【0096】
不快行動がない場合(ステップSP16でNO)には、不快ポイント算出部23Aは、ステップSP17を行わず、処理をステップSP11Aに戻す。
【0097】
本実施の形態によれば、車両C1と後続車C2との相対速度に基づいた不快ポイントを累積加算して累積不快ポイントを求め、通知部27が累積不快ポイントに基づいた内容の通知を行うことで、車両C1に対してあおり運転が行われている場合のみならず、あおり運転が行われるおそれがある場合にも運転者に通知を行うことができる。
【0098】
特に、車両C1と後続車C2との相対速度に基づいて不快ポイントを求めるため、後続車C2が急ブレーキを踏まずに徐々に減速した場合にも、相手の不快度合い、すなわち不快ポイントを求めることができる。
【0099】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0100】
1、2 :運転支援装置
10 :通信部
11 :車速センサ
12 :アクセルセンサ
13 :ブレーキセンサ
20 :制御部
21 :車両情報取得部
22 :加速度算出部
22A :相対速度算出部
23、23A:不快ポイント算出部
24 :クラクション検知部
25 :パッシング検知部
26 :目標速度決定部
27 :通知部
31 :計測部
32 :撮像部
33 :マイクロホン
50 :制御装置
52 :通信装置
54 :記憶装置
58 :メモリ