(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】金属イオン水生成装置及び洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 33/34 20200101AFI20241127BHJP
D06F 39/08 20060101ALI20241127BHJP
D06F 39/02 20060101ALI20241127BHJP
C02F 1/461 20230101ALI20241127BHJP
【FI】
D06F33/34
D06F39/08 301Z
D06F39/02 Z
C02F1/461 101
(21)【出願番号】P 2021124223
(22)【出願日】2021-07-29
【審査請求日】2024-03-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【氏名又は名称】加藤 浩二
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】長友 芳郎
【審査官】村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-239599(JP,A)
【文献】特開2005-261830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 33/34
D06F 39/08
D06F 39/02
C02F 1/461
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水が流入する流入部と水が流出する流出部とを有する流水部と、
前記流水部に水が流れていることを検知する流水検知部と、
前記流水検知部が水の流れを検知しているときに、前記流水部の水に金属イオンを供給する金属イオン供給部と、
前記流水検知部が水の流れを連続して検知しない非流水時間を計測し、前記非流水時間が第1所定時間を経過した後は前記金属イオン供給部による金属イオンの供給を行わない第1制御を実行する制御部と
を備える、金属イオン水生成装置。
【請求項2】
前記第1所定時間は、洗濯機の脱水工程の時間よりも長い、請求項1に記載の金属イオン水生成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記流水検知部が水の流れを連続して検知した流水時間を計測し、前記流水時間が前記第1所定時間よりも短い第2所定時間を経過するまで、前記金属イオン供給部による金属イオンの供給を行わない第2制御を実行する請求項1または請求項2に記載の金属イオン水生成装置。
【請求項4】
前記第2所定時間は、洗濯機の洗い工程で水を補給する時間よりも長い、請求項3に記載の金属イオン水生成装置。
【請求項5】
前記第1制御の有効または無効を切り替える切替部をさらに備える、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の金属イオン水生成装置。
【請求項6】
前記流入部と前記流出部との間で前記流水部から分岐した分岐管を有する、請求項1から請求項5の何れか1項に記載の金属イオン水生成装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6の何れか1項に記載の金属イオン水生成装置の前記流出部から流出した水を貯留する貯留部と、
前記流出部と前記貯留部との間に設けられ、前記貯留部への水の供給を行う給水部と
を備え、
前記給水部は、最後のすすぎ工程のときに、第1の給水と、前記第1の給水から前記第1所定時間を経過する前に行う第2の給水とを実行する、洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属イオン水を生成する金属イオン水生成装置及び洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に金属イオン水生成装置が開示されている。金属イオン水生成装置の内部には、洗濯機に給水される水が流れる管が備えられている。管の内部には、金属電極が備えられている。そして、管の内部に水が流れると、水は金属電極と接触する。水と金属電極とが接した状態で金属電極に通電させると、金属電極から水に対して金属イオンが供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている金属イオン水生成装置は、水が流れるたびに金属イオンが水に供給される。
【0005】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、金属電極の消耗を抑制することができる金属イオン水生成装置及び洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面によれば、金属イオン水生成装置は、流水部と、流水検知部と、金属イオン供給部と、制御部とを備える。流水部は、流入部と、流出部とを備える。流入部には、水が流入する。流出部からは、水が流出する。流水検知部は、流水部に水が流れていることを検知する。金属イオン供給部は、流水部に流れている水に金属イオンを供給する。制御部は、非流水時間を計測する。非流水時間は、水の流れを流水検知部で連続して検知しない時間である。制御部は、非流水時間が第1所定時間を経過した後は、第1制御を実行する。第1制御は、金属イオン供給部による金属イオンの供給を行わない制御である。
【0007】
本発明の他の一局面によれば、洗濯機は、上記の金属イオン水生成装置の前記流出部から流出した水を貯留する貯留部と、前記流出部と前記貯留部との間に設けられ、前記貯留部への水の供給を行う給水部とを備え、前記給水部は、最後のすすぎ工程のときに、第1の給水と、前記第1の給水から前記第1所定時間を経過する前に行う第2の給水とを実行する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の金属イオン水生成装置によれば、金属イオン水生成装置における金属電極の消耗を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態1に係る金属イオン水生成装置が、洗濯機に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係る金属イオン水生成装置の外観を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態1に係る金属イオン水生成装置の縦断面の斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態1に係る金属イオン水生成装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明の実施形態1に係る金属イオン水生成装置の第1制御を示したタイムチャートである。
【
図6】本発明の実施形態1に係る金属イオン水生成装置の第2制御を示したタイムチャートである。
【
図7】本発明の実施形態2に係る金属イオン水生成装置の構成を示すブロック図である。
【
図8】本発明の実施形態2に係る金属イオン水生成装置の第3制御を示したタイムチャートである。
【
図9】本発明の実施形態3に係る金属イオン水生成装置の構成を示すブロック図である。
【
図10】本発明の実施形態4に係る洗濯機の構成を示すブロック図である。
【
図11】本発明の実施形態4に係る洗濯機において実行する第1給水と第2給水とを示したタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施形態1]
図1は、本発明の実施形態に係る金属イオン水生成装置が、洗濯機に取り付けられた状態を示す斜視図である。
図2は、本発明の実施形態に係る金属イオン水生成装置の外観を示す斜視図である。
図3は、本発明の実施形態に係る金属イオン水生成装置の縦断面の斜視図である。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0011】
図1に示すように、洗濯機システム1は、金属イオン水生成装置10と、洗濯機20とを備える。金属イオン水生成装置10は、洗濯機20および水道30に接続される。水道30から流出した水は、金属イオン水生成装置10に流入する。また、金属イオン水生成装置10は、電源ケーブル50を介して電源40と接続されている。電源40は、電源ケーブル50を介して金属イオン水生成装置10に電力を供給している。金属イオン水生成装置10は、金属イオン水生成装置10に供給される電力を使用して、金属イオン水生成装置10に流入した水に金属イオンを供給する。これにより金属イオン水生成装置10は、金属イオン水を生成する。
【0012】
金属イオン水生成装置10により生成された金属イオン水は、金属イオン水生成装置10から流出して、洗濯機20に給水される。一方で、金属イオン水生成装置10が、金属イオン水生成装置10に流入した水に金属イオンを供給しない場合もある。流入した水に金属イオンを供給しない場合は、金属イオン水生成装置10に流入した水がそのまま流出して、洗濯機20に給水される。すなわち、洗濯機20には、金属イオン水または水が給水される。洗濯機20は、金属イオン水または水を使用して衣服などの洗濯物に対して洗濯を行う。
【0013】
洗濯機20における洗濯物の洗濯は、給水、洗い、すすぎ、そして脱水の順に行われる。
【0014】
給水は、洗い工程に必要な量の金属イオン水または水を洗濯機20に給水する工程である。洗い工程は、洗濯機20に給水された金属イオン水または水と、洗濯機20に投入された洗濯用洗剤とを使用して、洗濯物に付着した汚れを洗濯物から分離させる工程である。洗い工程では、まず金属イオン水または水に、洗濯用洗剤を混合させる。そして、洗濯用洗剤を混合した金属イオン水または水を使用して洗濯物を洗う。洗い工程中において、金属イオン水または水が不足している場合には、洗濯機20に対して短時間給水である補給水を実行する。
【0015】
すすぎは、洗濯物から分離された汚れその他洗濯物に付着した洗濯用洗剤を、金属イオン水または水を使用して洗濯物から除去する工程である。すすぎ工程では、例えば、洗濯機20に短時間給水であるシャワー給水と、シャワー給水よりも長い時間の給水とをそれぞれ1回以上実行することによって洗濯物のすすぎを行う。なお、シャワー給水は省略することができる。洗濯を行う洗濯物の種類、重量によっては、すすぎ工程は1回だけはなく、複数回実行される。
【0016】
脱水は、洗濯物に吸収された水分を、洗濯物から除去する工程である。脱水工程では、洗濯機20に対する給水は実行されない。
【0017】
以上、洗濯機20における洗濯について説明したが、洗濯において、洗濯物に行われる給水が、最後のすすぎ工程において実行されるものが最後の給水となる。したがって、最後のすすぎ工程における最後の給水時に金属イオン水を使用すれば、後の工程で洗濯物に付着した金属イオンが、水により洗濯物から除去されることはない。また、洗濯物に金属イオンの効果を付与するためには、金属イオン水の給水を1回実行すれば十分である。つまり、すすぎ工程における最後の給水時に、金属イオン水を洗濯機20に対して給水すれば、金属イオンの効果を洗濯物に付与することができる。
【0018】
金属イオン水生成装置10は、流水部110を備える。
【0019】
流水部110は、流入部111と、流出部112とを備える。流入部111は、水道30などの水源とつながっている。流入部111は、水道30から流出した水が、流水部110に流入する部位である。一方で、流出部112は、水道30から流水部110に流入した水が、金属イオン水または水として流水部110から流出する部位である。
【0020】
流水部110は、流入部111と、流出部112との間に、分岐管113を有することが好ましい。分岐管113は、流水部110から分岐した管である。分岐管113には、流水部110を流れる金属イオン水の一部または流水部110を流れる水の一部が、流れる。分岐管113から流出した金属イオン水または水は、洗濯機20における洗濯以外の用途に利用することもできる。洗濯以外の用途としては、浴室等の掃除などが挙げられる。浴室等の掃除に金属イオン水を使用することで、浴室等に金属イオン水の効果を付与することができる。
【0021】
図2に示すように、金属イオン水生成装置10は、流入突出部114と、流出突出部115と、筐体116とを備える。流入突出部114および流出突出部115は、筐体116から突出して形成される。流水部110は、流入突出部114、流出突出部115、および筐体116の内部を通る。また、流入突出部114および流出突出部115は、筐体116の内部における流水部110と、筐体116の外部における流水部110とを、それぞれ連通している。水道30から流水部110に流入した水は、筐体116の外部における流水部110を流れて、筐体116の内部における流水部110に流入突出部114から流入する。筐体116の内部における流水部110を流れた水の一部は、金属イオンを供給されて金属イオン水となる。筐体116の内部における流水部110に流れた金属イオン水または水は、筐体116の外部における流水部110に流出突出部115から流出する。すなわち、金属イオン水または水は、筐体116の内部における流水部110を、流入突出部114から流出突出部115の方向に向かって流れる。
【0022】
図3に示すように、金属イオン水生成装置10は、さらに流水検知部120と、金属イオン供給部130とを備える。
【0023】
流水検知部120は、フロート121を備える。フロート121は、流水部110の内部、かつ筐体116の内部に備えられる。フロート121は、流水部110を流れる水量に応じて、流水部110に沿って流れる。また、フロート121は、水量が所定値以上となると、流出突出部115の方向に向かって移動する。フロート121の流出突出部115の方向への移動が、流水検知部120が水の流れを検知した状態となる。流水検知部120が、水の流れを検知することで、金属イオン供給部130が、水に金属イオンを供給する。
【0024】
金属イオン供給部130は、金属電極131を備える。金属電極131は、フロート121よりも、流出突出部115側、かつ筐体116の内部に備えられる。水が金属電極131に接触している状態で金属電極131に通電すると、金属イオンが水に供給される。金属電極131に供給される電力には、電源40から供給される電力の一部を使用する。通電された金属電極131は、金属電極131を構成している金属の金属イオンを水に溶出させて、金属イオンを水に供給する。これにより、金属イオン水が生成される。一方で、金属電極131は、金属イオンを水に供給すると、金属が金属イオンとして水に溶出されるため、金属電極131が小さくなる。すなわち、金属電極131は、消耗する。金属イオン水生成装置10が金属イオンを生成するためには、消耗して一定以下の大きさとなった金属電極131は交換する必要がある。
【0025】
金属電極131の陽極側は銀板である。したがって、陽極から銀イオンが溶出して銀イオン水が生成される。銀イオンは、抗菌効果を有する。よって、銀イオン水を使用して洗濯された洗濯物には抗菌効果が付与される。なお、金属電極131の陽極側は銀板に限られず、目的とする効果に応じて使用する金属の種類を選択することができる。
【0026】
金属イオン水生成装置10について
図4を参照して説明する。
図4は、本発明の実施形態1に係る金属イオン水生成装置の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、金属イオン水生成装置10は、流水部110、流水検知部120、金属イオン供給部130、および制御部150を備える。
【0027】
制御部150は、非流水時間計測部141と、流水時間計測部142とを備える。非流水時間計測部141および流水時間計測部142は、水の流れの検知有無について、流水検知部120から入力される。非流水時間計測部141は、流水検知部120が、水の流れを連続して検知しない非流水時間を計測する。一方で、流水時間計測部142は、流水検知部120が、水の流れを連続して検知する流水時間を計測する。
【0028】
また、制御部150は、第1所定時間入力部151と、第2所定時間入力部152と、すすぎ脱水判定部153と、短時間給水判定部154と、金属イオン供給停止部155とを、さらに備える。
【0029】
第1所定時間入力部151には、第1所定時間があらかじめ設定されている。また、第1所定時間入力部151には、非流水時間計測部141から非流水時間が入力される。すすぎ脱水判定部153には、第1所定時間入力部151から、第1所定時間および非流水時間が入力される。すすぎ脱水判定部153は、第1所定時間と、非流水時間とを比較する。そして、非流水時間が第1所定時間を経過したか否かを判定する。金属イオン供給停止部155には、すすぎ脱水判定部153で行った判定結果が入力される。金属イオン供給停止部155は、非流水時間が第1所定時間を経過した場合に、金属イオン供給部130による金属イオンの供給を行わない第1制御を実行する。すなわち、金属イオン水生成装置10は、非流水時間が第1所定時間を経過した後は金属イオン供給部130による金属イオンの供給を行わない。
【0030】
一方で、第2所定時間入力部152には、第2所定時間があらかじめ設定されている。また、第2所定時間入力部152には、流水時間計測部142から流水時間が入力される。短時間給水判定部154には、第2所定時間入力部152から、第2所定時間および流水時間が入力される。短時間給水判定部154は、第2所定時間と、流水時間とを比較する。そして、流水時間が第2所定時間を経過したか否かを判定する。金属イオン供給停止部155には、短時間給水判定部154で行った判定結果が入力される。金属イオン供給停止部155は、流水時間が第2所定時間を経過する場合まで金属イオン供給部130による金属イオンの供給を行わない第2制御を実行する。すなわち金属イオン水生成装置10は、流水時間が第2所定時間を経過するまで金属イオン供給部130による金属イオンの供給を行わない。
【0031】
図5を参照して第1制御について説明する。
図5は、本発明の実施形態1に係る金属イオン水生成装置の第1制御を示したタイムチャートである。
【0032】
図5において、最下段は時間の経過を示す。
図5に示すタイムチャートは、紙面の左側から右側に向かって時間が経過する。下から2段目は、洗濯回数を示す。
図5に示す例では、洗濯は2回行われている。下から3段目は、洗濯機20における洗濯の工程を示す。洗濯機20における洗濯の工程には、前述のように給水、洗い、すすぎ、および脱水の工程がある。上から2段目は、洗濯機20に対する給水有無を示す。給水ON、すなわち横軸に凸部がある場合は、凸部がある時間において洗濯機20に対して給水が実行されていることを示す。最上段は、金属イオン水生成装置10の金属イオン水生成有無を示す。金属イオンON、すなわち横軸に凸部がある場合は、凸部がある時間において金属イオンが水に供給されていることを示す。なお、最上段には、実線の凸部の他に、点線の凸部が示されている。点線の凸部がある時間においては、金属イオンの供給は行われていない。点線の凸部は、本来金属イオンを供給するはずであったが、第1制御を実行することにより金属イオンの供給が行われていないことを示す。
【0033】
図5に示すように、第1所定時間は、洗濯機20の脱水工程よりも長い時間である。このように第1所定時間を設定すると、洗濯2回目における最初の給水時に、金属イオン水は生成されない。よって、金属電極131の消耗を抑制することができて、金属電極131の交換頻度を低減することができる。
【0034】
図6を参照して第2制御について説明する。
図6は、本発明の実施形態1に係る金属イオン水生成装置の第2制御を示したタイムチャートである。
図6において、チャートの表示方法は、
図5と同様である。ただし、
図5と異なり、
図6は洗濯1回目のみを示す。そして、洗濯回数を表示する段は示していない。また、最上段の点線の凸部については、第2制御を実行することにより金属イオンの供給が行われていないことを示す。
【0035】
第2所定時間は、第1所定時間よりも短い時間である。また、
図6に示すように、第2所定時間は、前述の短時間給水時間よりも長いことが好ましい。このように第2所定時間を設定すると、補給水およびシャワー給水などの短時間給水時に、水に金属イオンが供給されない。よって、金属電極131の消耗を抑制することができて、金属電極の交換頻度を低減することができる。
【0036】
[実施形態2]
本発明の実施形態2に係る金属イオン水生成装置10について
図7を参照して説明する。
図7は、本発明の実施形態2に係る金属イオン水生成装置の構成を示すブロック図である。
【0037】
洗濯物に金属イオンの効果を付与するのに必要となる金属イオンの量は、洗濯物の重量などにより異なる。したがって、洗濯物の重量などに応じて、必要十分な量の金属イオンを洗濯機20に給水する水に供給することができれば、金属電極131の消耗を最適な度合に抑制することができる。本発明の実施形態2に係る金属イオン水生成装置10は、洗濯物に応じて、必要十分な量の金属イオンを洗濯機20に供給する水に供給する。
【0038】
図7に示すように、本発明の実施形態2に係る金属イオン水生成装置10は、本発明の実施形態1に加えて、上限時間設定部160と、上限時間更新部170とを備える。
【0039】
上限時間設定部160は、洗濯機20に対して給水される水に金属イオンを供給する上限時間を設定する。これにより過剰な量の金属イオンが、洗濯機20に対して給水される水に供給されるのを抑制する。上限時間設定部160は、給水時間入力部161と、上限時間判定部162とを備える。給水時間入力部161には、あらかじめ上限時間が設定される。また、給水時間入力部161には、流水時間計測部142から流水時間が入力される。上限時間判定部162には、給水時間入力部161から上限時間および流水時間が入力される。上限時間判定部162は、上限時間と、流水時間とを比較する。そして、流水時間が上限時間を経過したか否かを判定する。金属イオン供給停止部155には、上限時間判定部162で行った判定結果が入力される。金属イオン供給停止部155は、流水時間が上限時間を経過した場合に、金属イオン供給部130による金属イオンの供給を行わない第3制御を実行する。すなわち、金属イオン水生成装置10は、流水時間が上限時間を経過した後は金属イオン供給部130による金属イオンの供給を行わない。
【0040】
一方で、上限時間を設定すると、重量の大きな洗濯物に対しては、金属イオンの供給が不十分となる場合がある。よって、洗濯物の重量に応じて、上限時間を設定する必要がある。上限時間更新部170は、上限時間設定部160で設定された上限時間が、洗濯機20に対する給水の時間よりも短い場合に、上限時間を洗濯機20に対する給水の長さ以上に更新する。上限時間更新部170は、比較部171と、上限時間更新設定部172とを備える。比較部171には、給水時間入力部161から、上限時間および流水時間が入力される。比較部171は、上限時間の長さと、流水時間の長さとを比較する。上限時間更新設定部172は、上限時間の長さが、流水時間の長さよりも短ければ、今回の洗濯における流水時間の長さ以上の時間を、新たな上限時間として給水時間入力部161に入力する。給水時間入力部161には、上限時間に代わって、新たな上限時間が設定される。これにより、洗濯ごとに適切な上限時間に更新される。よって、洗濯物の重量にかかわらず、必要十分な量の金属イオンを洗濯機20に供給する水に供給することができる。
【0041】
図8を参照して第3制御について説明する。
図8は、本発明の実施形態2に係る金属イオン水生成装置の第3制御を示したタイムチャートである。
図8において、チャートの表示方法は、
図5と同様である。だたし、
図5と異なり、洗濯2回目を洗濯1回目の下に表示している。
【0042】
図8に示すように、洗濯2回目において、最初の給水時間は、洗濯1回目の給水時間よりも長くなる。つまり、洗濯2回目の方が、洗濯1回目よりも重量が大きな洗濯物を洗濯している。ここで、洗濯機20に対して給水される水に金属イオンが供給される時間は、洗濯2回目における給水時と、洗濯1回目における給水時とでは、同じ長さである。よって、洗濯1回目の洗濯物に対しては十分な量の金属イオンが供給されるが、洗濯2回目の洗濯物に対しては十分な量の金属イオンが供給されない。しかしながら、洗濯2回目の給水時に、上限時間を、洗濯2回目の給水時間以上とする新たな上限時間に更新される。よって、洗濯2回目におけるすすぎ工程時の給水時に供給される金属イオンの供給時間は、新たな上限時間によって定められる。これにより、洗濯2回目におけるすすぎ工程で、洗濯2回目における洗濯物には十分な量の金属イオンが供給される。
【0043】
以上より、上限時間の設定を行うことで、金属イオン水生成装置10は、金属イオンの供給を開始してから、定められた上限時間が経過すると金属イオンの供給を行わなくなる。そして、上限時間は、洗濯機20に対する給水時の給水時間により更新される。よって、洗濯機20に対する給水時の給水時間が、上限時間よりも長い場合に、上限時間は、給水時間以上の長さの新たな上限時間に更新される。これにより、洗濯物の大きさに応じて、必要十分な量の金属イオンを供給することができる。
【0044】
[実施形態3]
本発明の実施形態3に係る金属イオン水生成装置10について
図9を参照して説明する。
図9は、本発明の実施形態3に係る金属イオン水生成装置の構成を示すブロック図である。
【0045】
図9に示すに、本発明の実施形態3は、本発明の実施形態2に加えて、切替部180を備える。
【0046】
切替部180は、非流水時間計測部141が、水の流れの検知有無について、流水検知部120から入力されるのを有効または無効にする。流水検知部120からの入力を有効にした場合は、非流水時間計測部141は、非流水時間を計測することができる。よって、第1制御が有効になる。一方で、流水検知部120からの入力を無効にした場合は、非流水時間計測部141は、非流水時間を計測できなくなる。これにより、第1制御が無効になる。すなわち、ユーザが任意に第1制御の有効または無効を切り替えることができる。
【0047】
また、切替部180は、流水時間計測部142が、水の流れの検知有無について、流水検知部120から入力されるのをも有効または無効にする。これにより流水時間計測部142における流水時間の計測が有効または無効となり、第2制御および第3制御が有効または無効になる。よって、ユーザが任意に第2制御および第3制御の有効または無効を切り替えることができる。
【0048】
[実施形態4]
本発明の実施形態4に係る洗濯機20について
図10を参照して説明する。
図10は、本発明の実施形態4に係る洗濯機の構成を示すブロック図である。
【0049】
金属イオン水生成装置10の流出部112から流出した金属イオン水または水は、洗濯機20に給水される。洗濯機20は、給水部210と、貯留部220とを備える。給水部210は、流出部112と、貯留部220との間に設けられる。洗濯機20に給水された金属イオン水または水は、給水部210に流入する。給水部210は、貯留部220に金属イオン水または水を供給する。給水部210に流入した金属イオン水または水は、給水部210を通過して貯留部220に流入する。貯留部220は、金属イオン水または水を貯留する。
【0050】
給水部210は、給水流路部211と、給水調整部212とを備える。給水流路部211には、給水部210に流入した金属イオン水または水が流入する。給水流路部211に流入した金属イオン水または水は、給水流路部211を通過する。一方で、給水調整部212は、給水流路部211を通過する金属イオン水または水の量を調整する。給水調整部212は、あらかじめ設定された手順にしたがって、給水流路部211を通過する金属イオン水または水の量を調整する。給水流路部211を通過した金属イオン水または水は、貯留部220に供給される。また、給水調整部212は、給水流路部211を通過する金属イオン水または水の量を調整して、最後のすすぎ工程の際、第1給水と、第2給水とを実行する。
【0051】
貯留部220は、洗濯物を収納して洗濯を行う部位である。貯留部220は、給水部210より供給された金属イオン水または水を使用して洗濯物の洗濯を行う。
【0052】
図11を参照して、実施形態4に係る洗濯機20が、最後のすすぎ工程の際に実施する第1の給水と、第2の給水と、について説明する。
図11は、本発明の実施形態4に係る洗濯機において実行する第1給水と第2給水とを示したタイムチャートである。
図11において、チャートの表示方法は、
図5と同様である。ただし、
図5と異なり、
図11は洗濯1回目のみを示す。そして、洗濯回数を表示する段は示していない。
【0053】
図11に示すように、最後のすすぎ工程の際に、給水調整部212は、第1の給水と、第2の給水とを実行する。第2の給水は、第1の給水を実行した後、第1所定時間を経過する前に実行される。このようにすると、金属イオン水生成装置10は、第2の給水の際に金属イオン水を生成する。前述のように、最後のすすぎ工程において実行される給水が、洗濯における最後の給水となる。すなわち、第2の給水が洗濯における最後の給水となる。そして、第2の給水には金属イオン水が含まれる。よって、最後のすすぎ工程前での給水の状況によらず、確実に洗濯物に金属イオンの効果を付与することができる。さらに、最後のすすぎ工程より前に生成される金属イオン水の量を最小にするように、第1所定時間および第2所定時間を設定することもできる。これにより、金属電極131の消耗を抑制することができて、金属電極の交換頻度を低減することができる。
【0054】
また、前述のように、
図10に示す給水調整部212は、あらかじめ設定された手順での給水を実行する。したがって、給水調整部212にあらかじめ設定された手順に沿って金属イオン水を生成するように、金属イオン水生成装置10を制御することもできる。給水調整部212にあらかじめ設定された手順での給水の一例について説明する。例えば、ある洗濯工程において、洗濯機20への給水を行う際、給水調整部212は、まず3秒間の給水を実行する。3秒間の給水では、その洗濯工程において必要とする金属イオン水または水の全量についての給水は実行せず、一部の量についての給水を実行するのみである。洗濯機20は、3秒間の給水の後、2秒間給水を停止し、その後に残りの給水を行う。給水調整部212にあらかじめ設定された給水の手順が分かれば、最後のすすぎ工程における給水の際にのみ、金属イオン水生成装置10が金属イオン水を生成するように制御することもできる。よって、金属イオンの効果を確実に洗濯物に付与するとともに、金属電極131の消耗を抑制することができて、金属電極131の交換頻度を低減することができる。
【0055】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の構成から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、金属イオン水生成装置を提供するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0057】
1 洗濯機システム
10 金属イオン水生成装置
110 流水部
120 流水検知部
130 金属イオン供給部
150 制御部
160 上限時間設定部
170 上限時間更新部
180 切替部
20 洗濯機
210 給水部
220 貯留部
30 水道
40 電源
50 電源ケーブル