IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ リンナイ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-食器洗浄機 図1
  • 特許-食器洗浄機 図2
  • 特許-食器洗浄機 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】食器洗浄機
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/42 20060101AFI20241127BHJP
【FI】
A47L15/42 M
A47L15/42 B
A47L15/42 D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021141236
(22)【出願日】2021-08-31
(65)【公開番号】P2023034810
(43)【公開日】2023-03-13
【審査請求日】2024-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】佐橋 敏男
【審査官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-028123(JP,A)
【文献】特開2002-315714(JP,A)
【文献】特開2020-130543(JP,A)
【文献】実開昭54-148073(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2009/0260662(US,A1)
【文献】特開2000-254073(JP,A)
【文献】国際公開第2019/012878(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 15/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面が開放された機体内に前方に引き出し自在に収納される、上面が開放された洗浄槽と、洗浄槽が機体内に収納された収納位置に存するときに洗浄槽の上面を閉塞する、機体内の上部に洗浄槽の出し入れに連動して上下動するように設けられた上蓋とを備える食器洗浄機であって、
機体内に、収納位置に存する洗浄槽よりも後方に位置させて設置される給水弁と、給水弁と洗浄槽との間に配設される給水ホースとを備え、洗浄槽の出し入れに伴い給水ホースが連れ動きするようにしたものにおいて、
給水弁を上方から覆う上方覆い部分と、給水弁を前方から覆う、上方覆い部分に連設された前方覆い部分とを有するカバー部材を備え、上方覆い部分及び前方覆い部分は、給水ホースの前記連れ動きに追従して可動するように構成されることを特徴とする食器洗浄機。
【請求項2】
前記カバー部材は、前記上方覆い部分から前記前方覆い部分に亘り、可撓性を有する樹脂製シートで一体に形成されることを特徴とする請求項1記載の食器洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前面が開放された機体内に前方に引き出し自在に収納される、上面が開放された洗浄槽と、洗浄槽が機体内に収納された収納位置に存するときに洗浄槽の上面を閉塞する、機体内の上部に洗浄槽の出し入れに連動して上下動するように設けられた上蓋とを備える食器洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の食器洗浄機として、機体内に、収納位置に存する洗浄槽よりも後方に位置させて設置される給水弁と、給水弁と洗浄槽との間に配設される給水ホースとを備え、洗浄槽の出し入れに伴い給水ホースが連れ動きするようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、洗浄槽の引き出し時に、上蓋から落下する水滴が洗浄槽の上縁で跳ね返って給水弁に落下し、給水弁のソレノイド部に水滴が付着する可能性がある。そこで、水滴が給水弁に落下することを防止するために、従来、給水弁を上方から覆う防水壁を設けたものも知られている。
【0004】
尚、洗浄槽の引き出し時に、上蓋から落下して洗浄槽の上縁で後方に跳ね返った水滴が、前方から給水弁に当たる可能性もある。然し、上記従来例のものでは給水弁に前方から水滴が当たることを防止できない。この場合、上記防水壁に、給水弁を前方から覆うようにして垂下壁を設けることも考えられる。然し、これでは、垂下壁に給水ホースが干渉して、洗浄槽の出し入れに追従した給水ホースの連れ動きが妨げられてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-315714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、水滴が給水弁に上方だけでなく前方から当たることも防止でき、且つ、洗浄槽の出し入れに伴う給水ホースの連れ動きも妨げられないようにした食器洗浄機を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、前面が開放された機体内に前方に引き出し自在に収納される、上面が開放された洗浄槽と、洗浄槽が機体内に収納された収納位置に存するときに洗浄槽の上面を閉塞する、機体内に設けられた上蓋とを備える食器洗浄機であって、機体内に、収納位置に存する洗浄槽よりも後方に位置させて設置される給水弁と、給水弁と洗浄槽との間に配設される給水ホースとを備え、洗浄槽の出し入れに伴い給水ホースが連れ動きするようにしたものにおいて、給水弁を上方から覆う上方覆い部分と、給水弁を前方から覆う、上方覆い部分に連設された前方覆い部分とを有するカバー部材を備え、上方覆い部分及び前方覆い部分は、給水ホースの前記連れ動きに追従して可動するように構成されることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、給水弁がカバー部材の上方覆い部分及び前方覆い部分で上方から前方に亘って覆われることになるため、水滴が給水弁に上方だけでなく前方から当たることも防止できる。更に、洗浄槽の出し入れに伴う給水ホースの連れ動きに追従してカバー部材の上方覆い部分及び前方覆い部分が可動するため、給水ホースの当該連れ動きがカバー部材によって妨げられることもない。
【0009】
また、本発明において、カバー部材は、上方覆い部分から前方覆い部分に亘り、可撓性を有する樹脂製シートで一体に形成されることが望ましい。これによれば、上方覆い部分及び前方覆い部分を可動にするヒンジ等の構造体が不要になり、コストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態の食器洗浄機の切断側面図。
図2図1のII-II線で切断した断面図。
図3】実施形態の食器洗浄機の機体後板を部分的に切除した状態の背面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に示す本発明の実施形態の食器洗浄機は、システムキッチンに組み込んで設置されるビルトイン式のものであり、前面が開放された機体1内に前方に引出し自在に収納される、上面が開放された洗浄槽2を備えている。洗浄槽2の前面には、機体1の前面を閉塞する前蓋21が取付けられている。また、機体1内の上部には、洗浄槽2が機体1内に収納された収納位置に存するときに洗浄槽2の上面を閉塞する上蓋3が、洗浄槽2の出し入れに連動して上下動するように設けられている。
【0012】
洗浄槽2内には、食器等の被洗浄物Wを支持する下カゴ22と上カゴ23とが収納されると共に、これらカゴ22,23に向けて洗浄水を噴射する洗浄ノズル24が設けられている。洗浄ノズル24は、洗浄槽2の下部で水平方向にのび、長手方向中央部で鉛直軸線回りに旋回自在な下ノズル241と、下ノズル241の長手方向中央部に立設された上方にのびるセンターノズル242とを有している。下かご22の中央部には、これに載置する被洗浄物Wがセンターノズル242に干渉することを防止できるように、センターノズル242を囲うノズルガード枠221が立設されている。
【0013】
洗浄槽2の底部には、残菜フィルタ25を介して洗浄槽2内に連通する洗浄水の溜り部26が設けられている。洗浄槽2の底部下側には、溜り部26に連通する洗浄ポンプ4が設置されている。そして、洗浄ポンプ4を正転させたとき、洗浄槽2内の洗浄水が溜り部26と洗浄ポンプ4とを介して洗浄ノズル24に供給され、洗浄ポンプ4を逆転させたとき、洗浄水が洗浄槽2から排水されるようにしている。また、図示しないが、洗浄槽2の底部にはヒータが設けられている。
【0014】
図2図3も参照して、食器洗浄機は、更に、機体1内に、収納位置に存する洗浄槽2よりも後方に位置させて設置される給水弁5と、給水弁5と洗浄槽2との間に配設される給水ホース51と、洗浄槽2の後壁後面に取付けた、洗浄槽2内に送風ダクト61を介して空気を送風する乾燥ファン6とを備えている。本実施形態において、給水弁5は、機体1の後板11の内面に取付けられている。そして、給水弁5の入口側に機体1の外部にのびる給水用外部配管52が接続されている。尚、給水弁5は、ソレノイド部5aを2個有する2連電磁弁で構成されている。
【0015】
洗浄ポンプ4に連なる排水経路には、洗浄槽2の後壁後面の下部に取付けた水位検知タンク41と、機体1の後板11の下部に取付けた排水トラップ42とが介設されている。水位検知タンク41内には、フロート411と、洗浄槽2内の水位が所定レベルに上昇して、フロート411が所定高さに到達したときに、フロート411に付設される図示省略した磁石の磁力でオンするリードスイッチから成る水位検知スイッチ412とが設けられている。また、洗浄ポンプ4と水位検知タンク41との間に第1排水ホース43が配設されると共に、水位検知タンク41と排水トラップ42との間に第2排水ホース44が配設され、排水トラップ42の出口側に機体1の外部に配置される排水用外部配管45が接続されている。
【0016】
食器洗浄機の運転スイッチをオンすると、先ず、給水弁5を介して洗浄槽2に給水され、この水に図外の洗剤供給手段から洗剤が混入されて洗浄水が生成される。そして、洗浄槽2内の水位が所定レベルに上昇して水位検知スイッチ412がオンしたとき、給水を停止する。その後、洗浄水をヒータで加熱しつつ、洗浄ポンプ4を正転させて洗浄水を洗浄ノズル24から噴射させ、洗浄槽2内に収納された被洗浄物Wを洗浄する洗浄工程を所定時間行う。洗浄工程完了後は、洗浄ポンプ4を逆転させて、洗浄槽2内の洗浄水を排水する。次に、洗浄槽2に給水した後、洗浄ポンプ4を正転させて洗浄ノズル24から水を噴射させ、被洗浄物Wをすすぐすすぎ工程を所定時間行う。すすぎ工程完了後は、洗浄ポンプ4を逆転させて洗浄槽2内の水を排水し、次に、洗浄槽2内の空気をヒータで加熱しつつ、乾燥ファン6を駆動して洗浄槽2内に空気を送風し、被洗浄物Wを送風された空気で乾燥させる乾燥工程を所定時間行う。
【0017】
ところで、給水ホース51と第2排水ホース44は、洗浄槽2の出し入れに伴い連れ動きする。具体的には、洗浄槽2の後壁の後面上部に固定したブラケット27aに支軸27bを支点にして前後方向に揺動自在に支持されるホースクランパ27を設け、このホースクランパ27に給水ホース51及び第2排水ホース44の一部分を挟持させている。給水弁5と排水トラップ42は、ホースクランパ27よりも下方に配置されている。洗浄槽2が収納位置に存するときは、ホースクランパ27が洗浄槽2の後壁後面に沿う横向き姿勢になって、給水ホース51及び第2排水ホース44が給水弁5及び排水トラップ42とホースクランパ27との間で横向きのU字状に湾曲した状態になり、洗浄槽2が前方に引き出されたときは、ホースクランパ27が後方に揺動して後ろ向き姿勢になり、給水ホース51及び第2排水ホース44が給水弁5及び排水トラップ42とホースクランパ27との間で前後方向にのびた状態になる。尚、洗浄槽2の後壁後面には、洗浄槽2が収納位置に存するときに給水ホース51及び第2排水ホース44が横向きのU字状に湾曲した状態になるように案内する上部と下部のガイドリブ28U,28Lが突設されている。
【0018】
また、本実施形態の食器洗浄機は、洗浄槽2の引き出し時に、上蓋3から落下する水滴が洗浄槽2の上縁で跳ね返って給水弁5に当たることを防止するために、カバー部材7を備えている。このカバー部材7は、給水弁5を上方から覆う上方覆い部分71と、給水弁5を前方から覆う、上方覆い部分71に連設された前方覆い部分72とを有している。尚、排水トラップ42は、給水弁5とほぼ同一の横方向範囲に配置されており、前方覆い部分72により排水トラップ42も前方から覆われる。上方覆い部分71及び前方覆い部分72は、洗浄槽2の出し入れに伴う給水ホース51及び第2排水ホース44の連れ動きに追従して可動するように構成されている。
【0019】
これによれば、給水弁5がカバー部材7の上方覆い部分71及び前方覆い部分72で上方から前方に亘って覆われることになるため、水滴が給水弁5に上方だけでなく前方から当たることも防止できる。更に、洗浄槽2の出し入れに伴う給水ホース51及び第2排水ホース44の連れ動きに追従してカバー部材7の上方覆い部分71及び前方覆い部分72が可動するため、給水ホース51及び第2排水ホース44の当該連れ動きがカバー部材7によって妨げられることもない。
【0020】
尚、本実施形態では、カバー部材7を、上方覆い部分71から前方覆い部分72に亘り、可撓性を有する樹脂製シートで一体に形成している。また、カバー部材7の横方向一方の側縁は、機体1の横方向一方の側板に達し、横方向他方の側縁7aは、給水弁5及び排水トラップ42の設置部よりも横方向他方に所定距離離れた部分に達している。そして、前方覆い部分72の後側で、給水ホース51と第2排水ホース44を夫々給水弁5の出口側と排水トラップ42の入口側に接続し、カバー部材7の横方向他方の側縁7aからカバー部材7の横方向外側に導出された給水ホース51及び第2排水ホース44の部分を上方覆い部分71よりも上方位置でホースクランパ27まで取り回すようにしている。このものでは、洗浄槽2の引き出しに伴う給水ホース51及び第2排水ホース44の連れ動きに追従して上方覆い部分71及び前方覆い部分72がめくれ上がるように可動する。
【0021】
尚、カバー部材7は、上方覆い部分71から機体1の後板11に沿って上方にのびる延長部分73を有している。そして、この延長部分73の上縁部を後板11の上縁部に接着することで、カバー部材7を後板11に取付けている。
【0022】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、カバー部材7の上方覆い部分71と前方覆い部分72とを夫々硬質部材で構成し、上方覆い部分71と前方覆い部分72とを可動とするヒンジ等の構造体を設けることも可能である。但し、これではコストが高くなる。これに対し、上記実施形態の如く、カバー部材7を、上方覆い部分71から前記前方覆い部分72に亘り、可撓性を有する樹脂製シートで一体に形成すれば、上方覆い部分71と前方覆い部分72とを可動とする構造体が不要になり、コストダウンを図ることができる。
【符号の説明】
【0023】
1…機体、2…洗浄槽、3…上蓋、5…給水弁、51…給水ホース、7…カバー部材、71…上方覆い部分、72…前方覆い部分。
図1
図2
図3