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特許7594514分類システム、分類方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】分類システム、分類方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/02 20060101AFI20241127BHJP
   A61B 5/0245 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
A61B5/02 310Z
A61B5/02 310B
A61B5/0245 200
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021145621
(22)【出願日】2021-09-07
(65)【公開番号】P2023038746
(43)【公開日】2023-03-17
【審査請求日】2024-04-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】306018376
【氏名又は名称】クラシエ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100190355
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 紀央
(72)【発明者】
【氏名】黄 子綾
【審査官】▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-074940(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105411542(CN,A)
【文献】特開2009-183608(JP,A)
【文献】国際公開第94/022363(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02-5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脈波センサが内蔵されたウェアラブル端末に、互いに異なる圧力の大きさを表示させ、前記ウェアラブル端末を押さえつけることにより測定位置に互いに異なる大きさの圧力を印加させた状態で測定を行うように促すメッセージを表示させる測定支援部と、
前記測定支援部による前記メッセージの表示にしたがって、互いに異なる大きさの圧力を印加させた測定状態で測定された脈波データを取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記脈波データに、脈拍数に基づいて前記脈波データを分類する第1分類、脈拍時間のばらつき度合に基づいて前記脈波データを分類する第2分類、前記互いに異なる大きさの圧力を印加させたそれぞれの測定状態における前記脈波データの相違に基づいて前記脈波データを分類する第3分類、波形の特徴量に基づいて前記脈波データを分類する第4分類のそれぞれを行う分類部と、
前記分類部により分類された分類結果に基づいて前記脈波データのタイプを判定する判定部と、
を備える分類システム。
【請求項2】
前記測定支援部は、浮取、中取、及び沈取の別に応じた圧力を、前記互いに異なる圧力の大きさとして前記メッセージを表示させ、
前記取得部は、前記測定支援部による表示にしたがって、浮取、中取及び沈取のそれぞれに対応する測定状態で測定された前記脈波データを取得する、
請求項1に記載の分類システム。
【請求項3】
前記測定支援部は、寸、関、尺のそれぞれに対応する測定位置に前記脈波センサが触れるように前記ウェアラブル端末を装着して測定を行うように促す前記メッセージを表示させ、
前記取得部は、前記測定支援部による表示にしたがって、寸、関、尺のそれぞれに対応する測定位置で測定された前記脈波データを取得し、
前記分類部は、前記第4分類において、寸、関、尺のそれぞれに対応する部位で測定された前記脈波データにおける波形の特徴量に基づいて前記脈波データを分類する、
請求項1又は請求項2に記載の分類システム。
【請求項4】
前記分類部は、前記第4分類において、正規化した前記脈波データにおける波形の特徴量に基づいて前記脈波データを分類する、
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の分類システム。
【請求項5】
学習用の前記脈波データにおける脈の波形から抽出した特徴量と、当該学習用の前記脈波データにおける前記第4分類の分類結果との対応関係を学習モデルに学習させることにより、前記脈波データにおける脈の波形の特徴量から前記第4分類の分類結果を予測する学習済モデルを生成する学習部、
を更に備え、
前記分類部は、前記学習済モデルを用いて前記第4分類を行う、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の分類システム。
【請求項6】
コンピュータが行う分類方法であって、
測定支援部が、脈波センサが内蔵されたウェアラブル端末に、互いに異なる圧力の大きさを表示させ、前記ウェアラブル端末を押さえつけることにより測定位置に互いに異なる大きさの圧力を印加させた状態で測定を行うように促すメッセージを表示させ、
取得部が、前記測定支援部による前記メッセージの表示にしたがって、互いに異なる大きさの圧力を印加させた測定状態で測定された脈波データを取得し、
分類部が、前記取得部によって取得された前記脈波データに、脈拍数に基づいて前記脈波データを分類する第1分類、脈拍時間のばらつき度合に基づいて前記脈波データを分類する第2分類、前記互いに異なる大きさの圧力を印加させたそれぞれの測定状態における前記脈波データの相違に基づいて前記脈波データを分類する第3分類、波形の特徴量に基づいて前記脈波データを分類する第4分類のそれぞれを行い、
判定部が、前記分類部により分類された分類結果に基づいて前記脈波データのタイプを判定する、
分類方法。
【請求項7】
コンピュータに、
脈波センサが内蔵されたウェアラブル端末に、互いに異なる圧力の大きさを表示させ、前記ウェアラブル端末を押さえつけることにより測定位置に互いに異なる大きさの圧力を印加させた状態で測定を行うように促すメッセージを表示させ、
前記メッセージの表示にしたがって、互いに異なる大きさの圧力を印加させた測定状態で測定された脈波データを取得させ、
前記取得された前記脈波データに、脈拍数に基づいて前記脈波データを分類する第1分類、脈拍時間のばらつき度合に基づいて前記脈波データを分類する第2分類、前記互いに異なる大きさの圧力を印加させたそれぞれの測定状態における前記脈波データの相違に基づいて前記脈波データを分類する第3分類、及び波形の特徴量に基づいて前記脈波データを分類する第4分類を行わせ、
前記分類された分類結果に基づいて前記脈波データのタイプを判定させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分類システム、分類方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
東洋医学において、脈診が行われてきた。脈診では、専門医が患者の脈に触れて拍動の強さや早さ、硬さや太さ、浮き沈みなどを把握することにより疾病の状態が診察される。例えば、脈診では、複数種類(例えば28種類)の脈象(脈のタイプ)の何れに患者の脈が該当するかが専門医により判断され、その判断結果に基づいて診察が行われる。このような脈診は、人の感覚で伝承されており、習得するまでに長い年月を必要とすることから、経験がない者にとって脈象を判断することが困難であった。特許文献1には、経験がない者であっても脈象を判断できるように、信号処理技術を用いて脈象を定量的に判定する技術が開示されている。
【0003】
一方、特許文献2には、光電式の脈拍測定装置が開示されている。光電式の脈拍測定装置は、光を人体に照射し、血液の脈動による吸光度の差を利用することで脈拍を測定している。このような光電式の脈拍測定装置は、現在、スマートウォッチ等のウェアラブル装置で広く利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-16268号公報
【文献】特開平9-122090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、血圧計のカフを腕に巻いて測定を行う。このためスマートウォッチ等のウェアラブル装置と比較して測定が煩わしいという問題があった。また、特許文献2の脈拍測定装置はコンパクトであるが、ウェアラブル装置に内蔵されて心拍数(脈拍数)や血中酸素飽和度(SpO2)などを測定するに留まり、脈診の考え方に基づいて体調の状態を判断する脈拍測定装置としてはほとんど利用されてこなかった。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、スマートウォッチ等のウェアラブル装置に利用されている汎用的な脈拍測定装置を用いて、東洋医学における脈診の考え方に基づいた脈の分類をすることができる分類システム、分類方法、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上述した課題を解決するために、本発明は、浮取、中取及び沈取のそれぞれに対応する測定状態で測定された脈波データを取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記脈波データに、脈拍数に基づいて前記脈波データを分類する第1分類、脈拍時間のばらつき度合に基づいて前記脈波データを分類する第2分類、浮取、中取及び沈取のそれぞれの測定状態における脈波データの相違に基づいて前記脈波データを分類する第3分類、波形の特徴量に基づいて前記脈波データを分類する第4分類のそれぞれを行う分類部と、前記分類部により分類された分類結果に基づいて前記脈波データのタイプを判定する判定部と、を備える分類システムである。
【0008】
本発明は、コンピュータが行う分類方法であって、取得部が、浮取、中取及び沈取のそれぞれに対応する測定状態で測定された脈波データを取得し、分類部が、前記取得部によって取得された前記脈波データに、脈拍数に基づいて前記脈波データを分類する第1分類、脈拍時間のばらつき度合に基づいて前記脈波データを分類する第2分類、浮取、中取及び沈取のそれぞれの測定状態における脈波データの相違に基づいて前記脈波データを分類する第3分類、波形の特徴量に基づいて前記脈波データを分類する第4分類のそれぞれを行い、判定部が、前記分類部により分類された分類結果に基づいて前記脈波データのタイプを判定する、分類方法である。
【0009】
本発明は、コンピュータに、浮取、中取及び沈取のそれぞれに対応する測定状態で測定された脈波データを取得させ、前記取得された前記脈波データに、脈拍数に基づいて前記脈波データを分類する第1分類、脈拍時間のばらつき度合に基づいて前記脈波データを分類する第2分類、浮取、中取及び沈取のそれぞれの測定状態における脈波データの相違に基づいて前記脈波データを分類する第3分類、及び波形の特徴量に基づいて前記脈波データを分類する第4分類を行わせ、前記分類された分類結果に基づいて前記脈波データのタイプを判定させる、プログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、スマートウォッチ等のウェアラブル装置に利用されている汎用的な脈拍測定装置を用いて、東洋医学における脈診の考え方に基づいた脈の分類をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る分類システム1の構成の例を示すブロック図である。
図2】実施形態に係る測定端末10の構成の例を示すブロック図である。
図3】実施形態に係る分類サーバ20の構成の例を示すブロック図である。
図4】実施形態に係る脈波情報220の例を示す図である。
図5】実施形態に係る脈象を説明する図である。
図6】実施形態に係る脈象を説明する図である。
図7】実施形態に係る脈象を説明する図である。
図8】実施形態に係る脈象を説明する図である。
図9】実施形態に係る脈波データの例を示す図である。
図10】実施形態に係る脈象を説明する図である。
図11】実施形態に係る分類サーバ20が行う処理の流れを示すフローチャートである。
図12】実施形態の変形例1に係る分類システム1の構成の例を示すブロック図である。
図13】実施形態の変形例1に係る学習サーバ30の構成の例を示すブロック図である。
図14】実施形態の変形例1に係る分類システム1が行う処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
〔分類システム1の概要〕
分類システム1の概要について説明する。本実施形態では、東洋医学の脈診の考え方に基づいてユーザの健康を支援するサービス(以下、健康支援サービスという)が分類システム1により提供される。健康支援サービスでは、脈診の考え方に基づいてユーザの脈象(脈のタイプ)が判定され、その判定結果や判定結果に基づく健康管理上のアドバイスなどがユーザに提供される。
【0014】
〔分類システム1の構成〕
分類システム1の構成について説明する。図1は、実施形態に係る分類システム1の構成の例を示すブロック図である。分類システム1は、例えば、測定端末10と、分類サーバ20とを備える。測定端末10と分類サーバ20とは、通信ネットワークNWを介して通信可能に接続される。
【0015】
測定端末10はコンピュータである。例えば、測定端末10は、例えば、ウェアラブル端末、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、携帯電話、タブレット端末等である。測定端末10には、例えば、健康支援サービスを提供するアプリケーションソフトウェア(以下、健康支援アプリという)がインストールされている。測定端末10は、健康支援アプリを介してユーザの脈波を測定し、測定した脈波を示す情報(脈波データ)を、分類サーバ20に送信する。
【0016】
例えば、図1に示すように、測定端末10は、Bluetooth(登録商標)などの無線通信、或いは、USB(Universal Serial Bus)などを介して、脈波センサ100と通信可能に接続される。
【0017】
脈波センサ100は、ユーザの脈を測定する。脈波センサ100は、少なくとも脈を測定することができれば任意のセンサであってよいが、例えば、光学式の光電式の脈拍測定装置である。脈波センサ100は、脈を測定する測定位置に装着され、測定位置に光を照射する。ここでの測定位置は手首であり、より詳しくは、左右前腕の橈骨茎状突起内側で触れる橈骨動脈の拍動部位である。脈波センサ100は、照射した光が測定位置を透過した光、或いは測定位置で反射した光を受光する。脈波センサ100は、照射した光の一部が測定位置における血液の血流量に応じて吸収される性質を利用し、受光した光の光量と血流量との関係に基づいて脈拍を測定する。脈波センサ100は、測定した脈拍を示す情報を脈波データとして測定端末10に送信する。測定端末10は、脈波センサ100から脈波データを受信する。これにより、測定端末10はユーザの脈波を測定する。
【0018】
なお、測定端末10は、脈波センサ100を内蔵し、脈波センサ100によって測定された脈波データを、脈波センサ100を介して取得することによってユーザの脈波を測定してもよい。
【0019】
分類サーバ20はコンピュータである。例えば、分類サーバ20は、クラウド装置、サーバ装置、パーソナルコンピュータ等である。分類サーバ20は、例えば、健康支援サービスを提供する。例えば、分類サーバ20は、ユーザの脈波データを測定端末10から受信し、受信した脈波データにおける脈象を判定する。分類サーバ20は、脈象を判定した判定結果を測定端末10に送信する。
【0020】
分類サーバ20は、脈波データを分類した分類結果に基づいて、脈象(脈波データのタイプ)を決定し、その結果を測定端末10に送信する。この図の例では、ユーザの脈象が「洪脈」であると判定された場合における測定端末10の表示例が示されている。
【0021】
〔測定端末10の構成〕
測定端末10の構成について説明する。図2は、実施形態に係る測定端末10の構成の例を示すブロック図である。測定端末10は、例えば、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、表示部14と、入力部15とを備える。
【0022】
通信部11は、通信ネットワークNWを介して分類サーバ20と通信を行う。また、通信部11は、脈波センサ100によって測定された脈波データを受信する。
【0023】
記憶部12は、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access read/write Memory)、ROM(Read Only Memory)などの記憶媒体、あるいはこれらの組合せによって構成される。記憶部12は、測定端末10の各種処理を実行するためのプログラム、及び各種処理を行う際に利用される一時的なデータを記憶する。
【0024】
制御部13は、測定端末10がハードウェアとして備えるCPU(Central Processing Unit)にプログラムを実行させることによって実現される。制御部13は、測定端末10を統括的に制御する。制御部13は、例えば、健康支援アプリに係るプログラムに応じて表示部14及び入力部15を制御する。
【0025】
制御部13は、健康支援アプリのプログラムに応じた処理を実行する。制御部13は、例えば、健康支援アプリのアイコンがタップ操作された場合に、健康支援アプリを起動させる。これにより、健康支援アプリへのログインが実行される。ログインが成功すると、例えば、表示部14に、健康支援アプリの起動画像が表示される。
【0026】
制御部13は、例えば、取得部130と、測定支援部131と、装置制御部132と、を備える。取得部130は、各種の情報を取得する。取得部130は、脈波センサ100によって測定された脈波データを、通信部11を介して取得する。また、例えば、取得部130は、ユーザのアプリ操作によって入力された情報を、入力部15を介して取得する。
【0027】
測定支援部131は、脈を測定するユーザを支援する。一般に、脈診には様々な診断方法があるが、例えば、六部定位脈診では、両腕の橈骨動脈の拍動部位に沿った三つ測定位置(寸、関、尺という)、計六つの測定位置のそれぞれの脈を診ることが行われている。また、六部定位脈診では、浮取、中取、沈取のそれぞれの三つの測定状態にて脈を診ることが行われている。浮取は測定位置に指を軽くあてて脈を診ることである。沈取は力を入れて指を沈めて脈を診ることである。また、中取は、浮取と沈取のちょうど中間あたりの力で測定位置に指をあてて脈を診ることである。そして、両腕の寸、関、尺のそれぞれにおける、浮取、中取及び沈取のそれぞれの脈に基づいて総合的に脈象が判断される。
【0028】
本実施形態では、測定支援部131により、このような測定位置及び測定状態に従った測定が行われるように、ユーザを支援する。例えば、測定支援部131は、ガイダンス画像を表示部14に表示させる。
【0029】
具体的に、左手の「寸」の測定位置における浮取を測定する場合、例えば、測定支援部131は、左手の寸の位置に印が付された測定位置を示す画像を表示部14に表示する。そして、測定支援部131は、「左手の「寸」の浮取を測定します。画像を参考にして、左手の「寸」の位置に軽く脈波センサ100が触れるように装着してください」などのメッセージを表示させる。測定支援部131は、脈波センサ100に安定した波形が取得されている場合、「測定を開始します」などの測定開始メッセージを表示し、測定開始メッセージを表示させてから所定時間(例えば、1分間)経過後に「測定が終了しました」などの測定終了メッセージを表示する。
【0030】
或いは、右手の「尺」の測定位置における沈取を測定する場合、例えば、測定支援部131は、右手の尺の位置に印が付された測定位置を示す画像を表示部14に表示する。そして、測定支援部131は、「右手の「尺」の沈取を測定します。画像を参考にして、右手の「尺」の位置に脈波センサ100が触れるように装着して、脈波センサ100を上から押さえつけてください」などのメッセージを表示させる。測定支援部131は、脈波センサ100に安定した波形が取得されている場合、「測定を開始します」などの測定開始メッセージを表示し、測定開始メッセージを表示させてから所定時間(例えば、1分間)経過後に「測定が終了しました」などの測定終了メッセージを表示する。
【0031】
測定支援部131は、このようにして取得された脈波データを、その属性情報と共に、測定端末10に送信する。ここでの属性情報は、脈波データに関する情報であって、(寸、関、尺などの別を示す)測定位置、(浮取、中取、及び沈取などの別を示す)測定状態等を示す情報である。また、属性情報として、測定時間、測定日時などを示す情報が含まれていてもよい。
【0032】
なお、脈診において、いくつかの測定位置及びいくつかの測定状態における測定が省略される場合がある。例えば、左手の脈のみが測定され、右手が省略される場合がある。このように測定位置や測定状態が省略された場合であっても、判定可能な脈象の数が減少する可能性はあるが、脈象を判定することが可能である。このような観点に基づいて、本実施形態では、ユーザの希望などに応じて、測定位置及び測定状態が選択されてもよい。この場合、測定された脈波データと、その属性情報に基づいて脈象が判定される。
【0033】
また、測定支援部131は、測定のタイミングをユーザに通知するようにしてもよい。測定支援部131は、例えば、アラームを鳴動させたり、「測定を行いましょう」などのメッセージを表示したりすることにより、測定のタイミングをユーザに通知する。測定支援部131は、例えば、ユーザが目覚めた直後の安静時、日中、就寝前など、一日に複数回、異なる時間帯のそれぞれの脈が測定されるようにする。
【0034】
装置制御部132は、測定端末10を統括的に制御する。例えば、装置制御部132は、通信部11が受信した脈波データを、取得部130に出力する。装置制御部132は、測定支援部131によって出力された脈波データとその属性情報を通信部11に出力することによって、分類サーバ20に送信する。
【0035】
表示部14は、例えば、液晶ディスプレイなどの表示装置を含み、制御部13の制御に応じて画像を表示する。入力部15は、例えば、マウスやキーボード、タッチパネルなどの入力装置を含み、ユーザのアプリ操作によって入力された情報を、制御部13に出力する。
【0036】
〔分類サーバ20の構成〕
分類サーバ20の構成について説明する。図3は、実施形態に係る分類サーバ20の構成の例を示すブロック図である。分類サーバ20は、例えば、通信部21と、記憶部22と、制御部23とを備える。
【0037】
通信部21は、通信ネットワークNWを介して測定端末10と通信を行う。
【0038】
記憶部22は、HDD、フラッシュメモリ、EEPROM、RAM、ROMなどの記憶媒体、あるいはこれらの組合せによって構成される。記憶部22は、分類サーバ20の各種処理を実行するためのプログラム、及び各種処理を行う際に利用される一時的なデータを記憶する。
【0039】
制御部23は、分類サーバ20がハードウェアとして備えるCPUにプログラムを実行させることによって実現される。制御部23は、分類サーバ20を統括的に制御する。
【0040】
制御部23は、健康支援サービスの提供に応じた処理を実行する。制御部23は、例えば、取得部230と、分類部231と、判定部232と、装置制御部233とを備える。取得部230は、測定端末10から送信された脈波データを、通信部21を介して取得し、取得した脈波データを、分類部231に出力する。
【0041】
分類部231は、脈波データを分類する。分類部231は、脈拍数、規則性、圧、波形のそれぞれの観点に基づいて脈波データを分類する。ここでの脈拍数は、所定の単位時間(例えば、1分間)に脈波データが脈動した回数である。規則性は、脈のリズムであり、1回の脈に要した時間(脈拍時間という)のばらつきの度合いである。圧は、浮取、中取及び沈取で脈波データが相違するか否かである。波形は、脈の強度の時系列変化である。分類部231は、分類結果を脈波情報220に記憶させる。分類部231が脈波データを分類する具体的な方法は後で詳しく説明する。
【0042】
判定部232は、分類部231により分類された分類結果に基づいて、脈象を判定する。判定部232は、判定した脈象を脈波情報220に記憶させる。判定部232が脈象を判定する具体的な方法は後で詳しく説明する。
【0043】
装置制御部233は、分類サーバ20を統括的に制御する。例えば、装置制御部233は、通信部21が受信した脈波データを、取得部230に出力する。装置制御部233は、判定部232によって判定された判定結果(脈象)、及びその判定結果に基づく健康管理上のアドバイスなどを測定端末10に送信する。
【0044】
〔脈波情報220の構成〕
脈波情報220の構成について説明する。図4は、実施形態に係る脈波情報220の例を示す図である。脈波情報220は、例えば、脈ID、測定日時、測定位置、測定状態、ユーザID、分類結果、及び脈象などの各項目に対応する情報が記憶される。脈IDは、脈波データを一意に識別する識別情報である。測定日時は、脈IDにて識別される脈波データが測定された日時を示す情報である。
【0045】
測定位置は、脈IDにて識別される脈波データが測定された測定位置(寸、関、尺など)を示す情報である。測定状態は、脈IDにて識別される脈波データが測定された測定状態(浮取、中取、及び沈取など)を示す情報である。ユーザIDは、脈IDにて識別される脈波データが測定されたユーザを識別する情報である。
【0046】
分類結果は、分類部231による分類結果を示す情報である。分類結果は、例えば、脈拍数、規則性、圧、波形などの項目に対応づけて示される。脈象は、判定部232による判定結果としての脈象を示す情報である。
【0047】
〔分類部231が脈波データを分類する方法〕
分類部231が脈波データを分類する方法について、図5から図9を用いて説明する。図5から図9は、脈診における脈象を説明する図である。
【0048】
図5には脈拍数による分類の例が示されている。図5に示すように、脈診では、脈が、脈拍数に基づいて、「遅脈」、「穏脈」、「数脈」、「疾脈」の4つの脈象に分類される。例えば、脈拍数が60[回/分]以下の脈は「遅脈」に分類される。脈拍数が65[回/分]程度の脈は「穏脈」に分類される。脈拍数が90[回/分]以上の脈は「数脈」に分類される。脈拍数が110[回/分]以上の脈は「疾脈」に分類される。なお、脈拍数が65程度~90[回/分]未満の脈は、「中脈」として分類される。中脈は、基準とする脈であり、中脈の際に基づいて、ユーザの健康状態が判断される。
【0049】
分類部231は、脈波データ(図9参照)から脈拍数を算出する。例えば、分類部231は、所定の単位時間(例えば、1分間)に含まれる、脈波データのピーク(図9における点P2)の個数を、脈拍数とする。そして、分類部231は、算出した脈拍数に基づいて、図5に示す区分にしたがって、脈波データを分類する。ここで分類部231が行う分類は「第1分類」の一例である。
【0050】
図6には規則性による分類の例が示されている。図6に示すように、脈診では、脈が、規則性に基づいて、「促脈」、「結脈」、「代脈」の3つの脈象に分類される。例えば、脈拍数が90[回/分]以上で不規則に欠落する脈は「促脈」に分類される。脈拍数が60[回/分]以下で不規則に欠落する脈は「結脈」に分類される。また脈拍数によらず、規則的に欠落する脈は「代脈」に分類される。
【0051】
分類部231は、脈波データから規則性の指標として脈拍時間のばらつきを算出する。例えば、分類部231は、脈波データを周波数解析することにより、脈の周波数特性を算出する。分類部231は、脈の周波数特性のS/N比を算出する。ここでのS(シグナル)は、脈のリズムの主成分の大きさであり、具体的には周波数特性において最も周波数成分が大きい周波数の強度である。ここでのN(ノイズ)は、脈のリズムにおける主成分以外の成分の大きさであり、具体的には周波数特性において最も周波数成分が小さい周波数の強度である。そして、分類部231は、算出したS/N比に基づいて脈拍時間のばらつきを算出する。例えば、分類部231は、S/N比が所定の閾値以上である場合、ばらつきが少ない、つまり欠落がないと判定する。一方、分類部231は、S/N比が所定の閾値未満である場合、ばらつきが大きい、つまり欠落があると判定する。
【0052】
分類部231は、脈波データにおけるばらつきが大きいと判定した場合、欠落が不規則であるか規則的であるかを判定する。例えば、分類部231は、脈波データの周波数特性に基づいて、S2/N比を算出する。ここでのS2(第2シグナル)は、2番目に周波数成分が大きい周波数の強度である。例えば、分類部231は、S2/N比が所定の閾値以上である場合、欠落が規則的であると判定する。一方、分類部231は、S2/N比が所定の閾値未満である場合、欠落が不規則であると判定する。そして、分類部231は、図6に示す区分にしたがって、脈波データを分類する。ここで分類部231が行う分類は「第2分類」の一例である。
【0053】
図7には圧による分類の例が示されている。図7に示すように、脈診では、脈が、浮取と沈取とで相違するか否かに基づいて、「浮脈」、「沈脈」、「伏脈」、「虚脈」、「実脈」の5つの脈象に分類される。例えば、浮取で最も強度が大きく、中取、及び沈取で強度が小さくなる脈は「浮脈」に分類される。
【0054】
分類部231は、脈波データの属性情報から、浮取、中取及び沈取のそれぞれの測定状態で測定された脈波データを取得する。分類部231は、取得した脈波データの強度、例えば、脈波データにおける振幅(図9における、強度VMとVSとの差分)を比較する。分類部231は、比較結果に基づいて、図7に示す区分に従った分類を行う。ここで分類部231が行う分類は「第3分類」の一例である。
【0055】
図8及び図9には波形による分類の例が示されている。図8に示すように、脈診では、脈の太さ、緊張、長さ、血流状態などに基づいて、「細脈」、「大脈」、「洪脈」、「弦脈」等、9つの脈象に分類される。図9には、脈波データが模式的に示されている。図9の横軸は時間、縦軸は脈の強度を示す。例えば、脈波データには、脈の開始点に相当する点P1、脈のピークに相当する点P2、及び脈の終了点に相当する点P3からなる時系列変化が繰り返し示されている。
【0056】
図8に示す脈の太さは、脈波データにおける振幅の大きさである。緊張は、脈波データにおける立上りの急峻さ(図9における、点P1から点P2までの強度の変化率)である。ここでの長さは、測定位置に応じた脈波データの相違である。血流状態は、脈波データにおける立上り、及び立下り(図9における、点P2から点P3まで)の時系列変化である。図8に示す血流状態は、点P2から点P3までの立下りの過程において、再度の立上り(図9における、破線の波形データの点P4から点P5)があるか否か、及び再度の立上りがある場合における、その時系列変化などである。
【0057】
分類部231は、脈波データの波形を抽出する。例えば、分類部231は、脈波データを、脈の周期(図9における時間TSからTEまで)に相当する時間で正規化することにより脈波データの波形を抽出する。或いは、分類部231は、脈波データを、脈の振幅に相当する時間で正規化することにより脈波データの波形を抽出する。脈波データを正規化することにより、波形による分類を簡単にすることができる。
【0058】
例えば、分類部231は、振幅の大きさに基づいて、図7における脈の太さの区分にしたがった分類を行う。分類部231は、正規化した脈波データにおける立上りの急峻さに基づいて、図7における脈の緊張の区分にしたがった分類を行う。分類部231は、寸、関、尺などのそれぞれの測定位置に応じた脈波データを取得し、取得した脈波データの波形を比較することにより、図7における脈の長さの区分にしたがった分類を行う。分類部231は、正規化した脈波データにおける立上り及び立下りの変化率などの時系列変化に基づいて、図7における脈の血流状態の区分にしたがった分類を行う。ここで分類部231が行う分類は「第4分類」の一例である。
【0059】
〔判定部232が脈象を判定する方法〕
判定部232が脈象を判定する方法について説明する。判定部232は、分類部231の分類結果に基づいて、脈象を判定する。判定部232は、分類部231により脈拍数、規則性、圧、及び波形のそれぞれについて分類された結果、1つの脈波データが、1又は複数の脈象に分類される場合、その1又は複数の脈象を脈波データの脈象とする。或いは、判定部232は、脈拍数、規則性、圧、及び波形のそれぞれの分類結果に基づいて脈象が複合的に判定される場合には、その区分に応じて脈象を判定する。
【0060】
図10は、複合的な分類の例が示されている。図10に示すように、脈診では、例えば、脈拍数に基づいて数脈に分類され、波形に基づいて滑脈及び短脈に分類される脈が、「動脈」に分類される。判定部232は、分類部231による分類結果に基づいて、図10に示すような区分にしたがって、脈象を判定する。
【0061】
〔分類サーバ20が行う処理の流れ〕
分類サーバ20が行う処理の流れを、図11を用いて説明する。まず、分類サーバ20は、脈波データを取得する(ステップS10)。分類サーバ20は、取得した脈波データを、その脈拍数に基づいて分類する(ステップS11)。分類サーバ20は、取得した脈波データを、その規則性に基づいて分類する(ステップS12)。分類サーバ20は、取得した脈波データを、その圧に基づいて分類する(ステップS13)。分類サーバ20は、取得した脈波データを、その波形に基づいて分類する(ステップS14)。そして、分類サーバ20は、ステップS11~S14で実施した分類の分類結果に基づいて、脈波データの脈象を判定する(ステップS15)。
【0062】
以上説明したように、実施形態に係る分類システム1は、取得部230と、分類部231と、判定部232とを備える。取得部230は、浮取、中取及び沈取のそれぞれに対応する測定状態で測定された脈波データを取得する。分類部231は、取得部230によって取得された前記脈波データを分類する。分類部231は、脈拍数の代表値に基づいて前記脈波データを分類する第1分類を行う。分類部231は、脈拍数のばらつき度合に基づいて前記脈波データを分類する第2分類を行う。分類部231は、浮取、中取、及び沈取のそれぞれの状態における脈波データの相違に基づいて前記脈波データを分類する第3分類を行う。分類部231は、波形の特徴量に基づいて前記脈波データを分類する第4分類を行う。判定部232は、分類部231により分類された分類結果に基づいて脈象(脈波データのタイプ)を決定する。これにより、実施形態に係る分類システム1は、スマートウォッチ等のウェアラブル装置に利用されている汎用的な脈拍測定装置を用いて、東洋医学における脈診の考え方に基づいた脈の分類をすることができる。
【0063】
〔実施形態の変形例1〕
実施形態の変形例1について説明する。本変形例では、学習済モデルを用いて波形による分類を行う点において、上述した実施形態と相違する。学習済モデルは、波形と脈象との対応関係を学習したモデルである。学習済モデルを用いて波形による分類を行うことにより、波形に係る信号処理を省略し、分類サーバ20の処理負荷を低減させることが可能となる。
【0064】
図12は、実施形態の変形例1に係る分類システム1の構成の例を示すブロック図である。本変形例では、分類システム1は、学習サーバ30を更に備える。学習サーバ30は、コンピュータである。例えば学習サーバ30は、クラウド装置、サーバ装置、パーソナルコンピュータ等である。学習サーバ30は、学習済モデルを生成する。学習サーバ30は、分類サーバ20から、分類対象である脈波データを受信する。学習サーバ30は、学習済モデルを用いて、分類対象である脈波データが該当する脈象を推定し、推定結果を分類サーバ20に通知する。
【0065】
図13は実施形態の変形例1に係る学習サーバ30の構成の例を示すブロック図である。学習サーバ30は、例えば、通信部31と、記憶部32と、制御部33とを備える。
【0066】
通信部31は、通信ネットワークNWを介して分類サーバ20と通信を行う。記憶部32は、HDD、フラッシュメモリ、EEPROM、RAM、ROMなどの記憶媒体、あるいはこれらの組合せによって構成される。記憶部32は、学習サーバ30の各種処理を実行するためのプログラム、及び各種処理を行う際に利用される一時的なデータを記憶する。
【0067】
制御部33は、学習サーバ30がハードウェアとして備えるCPUにプログラムを実行させることによって実現される。制御部33は、学習サーバ30を統括的に制御する。制御部33は、例えば、取得部330と、学習部331と、推定部332と、装置制御部333とを備える。
【0068】
取得部330は、各種の情報を取得する。取得部330は、学習用の学習データセットを、通信部31を介して取得する。学習用の学習データセットは、学習済モデルの生成に用いられるデータである。また、取得部330は、分類サーバ20から送信された分類対象である脈波データを、通信部31を介して取得する。
【0069】
学習部331は、学習済モデルを生成する。学習部331は、学習用の学習データセットを、取得部330を介して取得する。学習用の学習データセットは、学習用の脈波データ(入力データ)に、その学習用の脈波データの(出力データ)が対応付けられて組(セット)になった情報である。例えば、脈診を行うことができる専門医によって判断された結果を利用して、学習用の脈波データに、その脈象を設定することにより学習用の学習データセットが予め作成される。
【0070】
学習部331は、CNN(Convolutional Neural Network)などの学習モデルに、学習データセットを用いた機械学習を実行することにより、学習済モデルを生成する。ここでの機械学習の方法は、例えば、教師有り学習である。
【0071】
学習部331は、学習モデルに、学習用のデータセットの入力データを入力する。学習部331は、入力データを入力させた場合に学習モデルから出力されるデータが、学習データセットの出力データに近づくように、学習モデルのパラメータ(重みW及びバイアス成分bなど)を調整する。これにより、学習部331は、学習モデルに、脈波データと、その波形による分類に基づく脈象との対応関係を学習させる。
【0072】
学習部331は、所定の終了条件を充足するまで繰り返し学習モデルを学習させる。ここでの終了条件は、例えば、学習モデルから出力されるデータと、学習用のデータセットの(出力データ)との誤差が所定の範囲内となるなどの条件である。学習部331は、所定の終了条件を充足するまで学習させた学習モデルを、学習済モデルとし、学習済モデルを示す情報を、学習済モデル320として記憶部32に記憶させる。
【0073】
なお、学習モデルは、CNNに限定されることはない。学習モデルとして、例えば、決定木、階層ベイズ、SVM(Support Vector Machine)などの手法が用いられてもよい。
【0074】
推定部332は、学習済モデル320を用いた推定を行う。推定部332は、分類対象である脈波データを、取得部330を介して取得する。推定部332は、取得した脈波データを学習済モデル320に入力する。これにより、学習済モデル320は、入力された脈波データを波形に基づいて分類した場合における脈象を推定した推定結果を出力する。推定部332は、学習済モデル320から出力された推定結果を取得する。これにより、推定部332は、学習済モデル320を用いた推定を行う。
【0075】
装置制御部333は、学習サーバ30を統括的に制御する。例えば、装置制御部333は、通信部31が受信した脈波データを、取得部330に出力する。装置制御部333は、推定部332によって推定された推定結果を分類サーバ20に送信する。
【0076】
図14は、実施形態の変形例1に係る分類システム1が行う処理の流れを示すシーケンス図である。図14におけるステップS20~S23、及びS28は、図11におけるステップS10~S13、及びS15と同様であるため、その説明を省略する。
【0077】
分類サーバ20は、脈波データを学習サーバ30に送信し、波形に基づく分類を行うように、学習サーバ30に要求する(ステップS24)。学習サーバ30は、分類サーバ20から送信された脈波データを取得し(ステップS25)、学習済モデルを用いて、波形に基づく分類の分類結果(脈象)を推定する(ステップS26)。学習サーバ30は、推定結果を分類サーバ20に送信する。これにより、分類サーバ20は、学習サーバ30から通知された推定結果を、脈波データを波形に基づいて分類した分類結果とする。
【0078】
なお、上記では、学習サーバ30に学習済モデル320が記憶されているが、これに限定されない。分類サーバ20に学習済モデル320を記憶させてもよい。この場合、分類サーバ20は、学習サーバ30にアクセスすることなく、自装置に保存された学習済モデル320を用いて脈象を推定することができる。
【0079】
以上説明したように、実施形態の変形例1に係る分類システム1は、学習部331を更に備える。学習部331は、学習済モデル320を生成する。学習済モデル320は、脈波データにおける波形による分類の分類結果を予測するモデルである。学習部331は、学習用の脈波データと当該学習用の脈波データにおける波形による分類の分類結果との対応関係を学習モデルに学習させることにより学習済モデルを生成する。分類部231は、学習済モデル320を用いて、脈波データにおける波形による分類を行う。これにより、実施形態の変形例1に係る分類システム1は、学習済モデルを用いて波形による分類を行うことができ、分類サーバ20が波形に係る信号処理を実施する必要がない。このため、処理負荷を低減させることが可能となる。
【0080】
なお、上記では、脈波データを学習済モデルに入力することにより、その脈波データにおける波形による分類を行う場合を例示したが、これに限定されない。脈波データから抽出される特徴量を学習済モデルに入力することにより、その脈波データにおける波形による分類を行うようにしてもよい。この場合における特徴量とは、例えば、脈波データを正規化したデータ、脈波データにおける最大値、最小値、傾きの最大値や最小値などを示す情報である。この場合、学習済モデルは、学習用の脈波データから抽出した特徴量と、その学習用の脈波データにおける脈象との対応関係を学習したモデルとなる。このように、脈波データから抽出した特徴量を用いることにより、脈波データそのものより、学習済モデルに入力するデータ容量を少なくすることが可能である。
【0081】
また、上述の分類システム1、測定端末10、分類サーバ20、及び学習サーバ30の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部または外部に設けられた記録媒体も含まれる。配信サーバの記録媒体に記憶されるプログラムのコードは、端末装置で実行可能な形式のプログラムのコードと異なるものでもよい。すなわち、配信サーバからダウンロードされて端末装置で実行可能な形でインストールができるものであれば、配信サーバで記憶される形式は問わない。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に端末装置で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0082】
1…分類システム
10…測定端末
131…測定支援部
20…分類サーバ
230…取得部
231…分類部
232…判定部
233…装置制御部
30…学習サーバ
320…学習済モデル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14