(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】1,3-オキサチオラン-2-チオン誘導体及びその使用
(51)【国際特許分類】
C07F 7/18 20060101AFI20241127BHJP
C08G 18/10 20060101ALI20241127BHJP
C08G 18/28 20060101ALI20241127BHJP
C07D 327/04 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
C07F7/18 Q CSP
C08G18/10
C08G18/28 090
C07D327/04
(21)【出願番号】P 2021524274
(86)(22)【出願日】2019-11-06
(86)【国際出願番号】 FR2019052622
(87)【国際公開番号】W WO2020094974
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2022-10-31
(32)【優先日】2018-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】501305888
【氏名又は名称】ボスティク エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】コリン, ボリ
(72)【発明者】
【氏名】ミショー, ギョーム
(72)【発明者】
【氏名】フーカイ, ステファーヌ
(72)【発明者】
【氏名】シモン, フレデリック
【審査官】早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107955571(CN,A)
【文献】特表2007-502306(JP,A)
【文献】特開2015-196684(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
C07F
C08G18
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I)の化合物:
であって、式中、
- R
aはR
1又はR
2を表し;
- R
bはR
1又はR
2を表し;
ただし、R
aがR
2を表す場合、R
bはR
1を表し、R
aがR
1を表す場合、R
bはR
2を表すことを条件とし;
- R
1及びR
2のうちの各基は、互いに独立して、
・ 水素;
・ 1から60個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキル基;
・ 基
[式中、
・ R
3は、1から20個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状の二価アルキレン基を表し、
・ R
4は、直鎖状若しくは分岐状、脂肪族若しくは環状、飽和若しくは不飽和アルキル基、アルキルアリール基、アリールアルキル基又はアリール基を表し、前記アルキル、アルキルアリール、アリールアルキル又はアリール基は、それぞれ、1から60個の炭素原子を含み、
・ R
j及びR
iのうちの各基は、互いに独立して、1から10個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキル基を表し、
・ R
kは、互いに独立して、2から4個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキレン基を表し;
・ x、y、及びzのうちのそれぞれは、互いに独立して、基の数平均分子量(Mn)が45から20000g/molの範囲にあるような整数を表す];
・ -R
5-O-C(O)-R
6基[式中、R
5は、結合又は1から20個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状の二価アルキレン基を表し、R
6は、1から60個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状、脂肪族若しくは環状、飽和若しくは不飽和アルキル;6から20個の炭素原子を含むアリール;又は7から20個の炭素原子を含むアリールアルキルを表す];
・ -R
7-C(O)-O-R
8基[式中、R
7は、結合又は1から20個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状の二価アルキレン基を表し、R
8は、1から60個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状、脂肪族若しくは環状、飽和若しくは不飽和アルキル、又は7から20個の炭素原子を含むアリールアルキルを表す];
・ -R
9-C(O)-NR
10R
11基[式中、R
9は、結合又は1から20個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状の二価アルキレン基を表し、R
10及びR
11は、互いに独立して、水素原子、又は1から60個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状、脂肪族若しくは環状アルキル基を表す]
からなる群から選択される基を表し;
- R
12は、水素原子、1から60個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状、環状若しくは脂肪族アルキル基、又は-R
13-SiR
14
p(OR
15)
3-p基を表し;
- R
13は、1から10個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、環状又は脂肪族アルキレン基を表し;
- R
14は、1から10個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、環状又は脂肪族アルキル基を表し;
- 各R
15は、互いに独立して、1から10個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、環状又は脂肪族アルキル基を表し;又は、2つのR
15基が一緒になって、3から12個の炭素原子を含む環を形成してもよく(p=0又は1の場合);
- pは、0、1、又は2を表す、
化合物。
【請求項2】
以下の式(II)又は(III)の化合物:
[式中、R
1、R
12、R
13、R
14、R
15、及びpは請求項1に記載されたとおりである]
から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
以下の式(IV)、(V)、(VI)、(VII)及び(VIII)の化合物:
- 式(IV)の化合物は、
請求項2で定義される式(II)の化合物であり、式中、R
1は、1から60個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキル基を表し;R
12、R
13、R
14、R
15、及びpは請求項1に記載されたとおりである;
- 以下の式(V)の化合物:
[式中、
R
i
、R
j
、R
k
、x、y、z、R
3、R
4、R
12、R
13、R
14、R
15、及びpは請求項1に記載されたとおりである];
- 以下の式(VI)の化合物:
[式中、R
3、R
4、
R
5
、R
6
、R
i、R
j、R
k、x、y、z、R
12、R
13、R
14、R
15、及びpは請求項1に記載されたとおりである];
- 以下の式(VII)の化合物:
[式中、R
7、R
8、R
12、R
13、R
14、R
15、及びpは請求項1に記載されたとおりである];
- 以下の式(VIII)の化合物:
[式中、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、
R
15
及びpは請求項1に記載されたとおりである];
から選択されることを特徴とする、請求項1及び2のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項4】
- p=0;及び/又は
- R
15=メチル;及び/又は
- R
13=プロピレン;及び/又は
- R
12=H、ブチル、又は-CH
2-CH(CH
2CH
3)-CH
2-CH
2-CH
2-CH
3
を特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
R
1が、
・ 1から20個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、脂肪族飽和アルキル基である;
・ 基
[式中、
・ R
3は、1から20個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状の二価アルキレン基を表し;
・ R
4は、1から12個の炭素原子を含む、直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキル基を表し;
・ R
j及びR
iのうちの各基は、互いに独立して、1から10個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキル基を表し、
・ R
kは、互いに独立して、2から4個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキレン基を表し;
・ x、y、及びzのうちのそれぞれは、互いに独立して、基の数平均分子量(Mn)が45から20000g/molの範囲にあるような整数を表す]
を表すことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
以下の化合物:
[式中、yは請求項1に記載されたとおりである]
から選択されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
式(IX)の化合物:
[式中、R
12、R
13、R
14、R
15、及びpは請求項1から6のいずれか一項に記載されたとおりである]と;
以下の式(X)の化合物:
[式中、R
1及びR
2のうちの各基は、互いに独立して、
・ 水素;
・ 1から60個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキル基;
・ 基
[式中、
・ R
3は、1から20個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状の二価アルキレン基を表し、
・ R
4は、直鎖状若しくは分岐状、脂肪族若しくは環状、飽和若しくは不飽和アルキル基、アルキルアリール基、アリールアルキル基又はアリール基を表し、前記アルキル、アルキルアリール、アリールアルキル又はアリール基は、それぞれ、1から60個の炭素原子を含み、
・ R
j及びR
iのうちの各基は、互いに独立して、1から10個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキル基を表し、
・ R
kは、互いに独立して、2から4個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキレン基を表し;
・ x、y、及びzのうちのそれぞれは、互いに独立して、基の数平均分子量(Mn)が45から20000g/molの範囲にあるような整数を表す];
・ -R
5-O-C(O)-R
6基[式中、R
5は、結合又は1から20個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状の二価アルキレン基を表し、R
6は、1から60個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状、脂肪族若しくは環状、飽和若しくは不飽和アルキル;6から20個の炭素原子を含むアリール;又は7から20個の炭素原子を含むアリールアルキルを表す];
・ -R
7-C(O)-O-R
8基[式中、R
7は、結合又は1から20個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状の二価アルキレン基を表し、R
8は、1から20個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状、脂肪族若しくは環状、飽和若しくは不飽和アルキル、又は7から20個の炭素原子を含むアリールアルキルを表す];
・ -R
9-C(O)-NR
10R
11基[式中、R
9は、結合又は1から20個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状の二価アルキレン基を表し、R
10及びR
11は、互いに独立して、水素原子、又は1から60個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状、脂肪族若しくは環状アルキル基を表す]
からなる群から選択される基を表す]
との間の反応を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載された式(I)の化合物を調製するための方法。
【請求項8】
- 請求項1から6のいずれか一項に記載された式(I)の少なくとも1つの化合物と、
- 以下の式(XII)のプレポリマー:
[式中、tは2から4の範囲の整数又は非整数を表し、Bは多価有機基を表す]
との間の反応の工程を含む、ポリウレタンPを得るための方法。
【請求項9】
以下の工程:
- E1)
iii)少なくとも1つのポリイソシアネートと、
iv)少なくとも1つのポリオールとの
NCO/OHモル比(r1)が厳密に1より大きくなるような量での、重付加反応を介する式(XII)の-NCO末端基を有するポリウレタンプレポリマーの調製:
及び
- E2)工程E1)の終了時に形成された生成物と、請求項1から6のいずれか一項に記載された式(I)の少なくとも1つの化合物との反応
を含む調製方法を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
以下の式(XIII):
[式中、
- Bは多価有機基を表し;
- tは、2から4の範囲の整数又は非整数を表し;
- R
aはR
1又はR
2を表し;
- R
bはR
1又はR
2を表し;
ただし、R
aがR
2を表す場合、R
bはR
1を表し、R
aがR
1を表す場合、R
bはR
2を表すことを条件とし;
- R
1及びR
2のうちの各基は、互いに独立して、
・ 水素;
・ 1から60個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキル基;
・ 基
[式中、
・ R
3は、1から20個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状の二価アルキレン基を表し、
・ R
4は、直鎖状若しくは分岐状、脂肪族若しくは環状、飽和若しくは不飽和アルキル基、アルキルアリール基、アリールアルキル基又はアリール基を表し、前記アルキル、アルキルアリール、アリールアルキル又はアリール基は、それぞれ、1から60個の炭素原子を含み、
・ R
j及びR
iのうちの各基は、互いに独立して、1から10個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキル基を表し、
・ R
kは、互いに独立して、2から4個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキレン基を表し;
・ x、y、及びzのうちのそれぞれは、互いに独立して、基の数平均分子量(Mn)が45から20000g/molの範囲にあるような整数を表す];
・ -R
5-O-C(O)-R
6基[式中、R
5は、結合又は1から20個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状の二価アルキレン基を表し、R
6は、1から60個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状、脂肪族若しくは環状、飽和若しくは不飽和アルキル;6から20個の炭素原子を含むアリール;又は7から20個の炭素原子を含むアリールアルキルを表す];
・ -R
7-C(O)-O-R
8基[式中、R
7は、結合又は1から20個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状の二価アルキレン基を表し、R
8は、1から60個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状、脂肪族若しくは環状、飽和若しくは不飽和アルキル、又は7から20個の炭素原子を含むアリールアルキルを表す];
・ -R
9-C(O)-NR
10R
11基[式中、R
9は、結合又は1から20個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状の二価アルキレン基を表し、R
10及びR
11は、互いに独立して、水素原子、又は1から60個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状、脂肪族若しくは環状アルキル基を表す]
からなる群から選択される基を表し;
- R
12は、水素原子、1から60個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状、環状若しくは脂肪族アルキル基、又は-R
13-SiR
14
p(OR
15)
3-p基を表し;
- R
13は、1から10個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、環状又は脂肪族アルキレン基を表し;
- R
14は、1から10個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、環状又は脂肪族アルキル基を表し;
- 各R
15は、互いに独立して、1から10個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、環状又は脂肪族アルキル基を表し;又は、2つのR
15基が一緒になって、3から12個の炭素原子を含む環を形成してもよく(p=0又は1の場合);
- pは、0、1、又は2を表す]
を有する、ポリウレタンP’。
【請求項11】
以下の式(XV)、(XVI)又は(XVII):
[式中、R
1、R
12、R
13、R
14、R
15、及びpは請求項10に記載されたとおりである]
のうちの1つを有することを特徴とする、請求項10に記載のポリマーP’。
【請求項12】
- p=0;及び/又は
- R
15=メチル;及び/又は
- R
13=プロピレン;及び/又は
- R
12=H、ブチル、又は-CH
2-CH(CH
2CH
3)-CH
2-CH
2-CH
2-CH
3
を特徴とする、請求項10及び11のいずれか一項に記載のポリマーP’。
【請求項13】
R
1が、
- 1から8個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、飽和脂肪族アルキル基;
又は
- 基
[式中、
・ R
3は、1から5個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状の二価アルキレン基を表し;
・ R
4は、1から8個の炭素原子を含む、直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキルを表し;
・ x=z=0;
・ yは0又は2であり;
・ R
j及びR
iのうちの各基は、互いに独立して、1から10個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキル基を表す]
を表すことを特徴とする、請求項10から12のいずれか一項に記載のポリマーP’。
【請求項14】
請求項10から13のいずれか一項に記載のポリウレタンP’、並びに、触媒、充填剤、酸化防止剤、光安定剤/UV吸収剤、金属不活性化剤、帯電防止剤、発泡剤、殺生物剤、可塑剤、潤滑剤、乳化剤、染料、顔料、レオロジー剤、耐衝撃性改良剤、接着促進剤、蛍光増白剤、難燃剤、防湿剤、核形成剤、溶剤、反応性希釈剤及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を含む配合物。
【請求項15】
接着剤、コーティング又はマスチックの調製のための、請求項14に記載の配合物、又は請求項8及び9のいずれか一項に記載のポリウレタンP、又は請求項10から13のいずれか一項に記載のポリウレタンP’、の使用。
【請求項16】
以下の式(X)の化合物:
[式中、
- R
1は、基:
を表し;
- R
2は水素を表し;
- R
3はメチレンを表し;
- R
4は、直鎖状若しくは分岐状、脂肪族若しくは環状、飽和若しくは不飽和アルキル基、アルキルアリール基、アリールアルキル基又はアリール基を表し、前記アルキル、アルキルアリール、アリールアルキル又はアリール基は、それぞれ、1から60個の炭素原子を含み;
- R
j及びR
iのうちの各基は、互いに独立して、1から10個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキル基を表し;
- R
kは、互いに独立して、2から4個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキレン基を表し;
- x、y、及びzのうちのそれぞれは、互いに独立して、基の数平均分子量(Mn)が45から20000g/molの範囲にあるような整数を表し;
- ただし、x+y+z>0を条件とする]。
【請求項17】
以下の式(A-1)、(A-2)又は(A-3)の化合物:
[式中、R
4、R
k、R
j、R
i、x、y及びzは請求項16に記載されたとおりであり、
ここで、x>1、y>1及びz>1である]
から選択される、請求項16に記載の式(X)の化合物。
【請求項18】
- R
kはブチレンを表し;及び/又
は
- R
jはメチル基を表す
ことを特徴とする、請求項16及び17のいずれか一項に記載の式(X)の化合物。
【請求項19】
以下の化合物:
から選択される、請求項16から18のいずれか一項に記載の式(X)の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、1,3-オキサチオラン-2-チオン誘導体、それを調製するための方法、及びその使用に関する。
【0002】
本発明はまた、前記1,3-オキサチオラン-2-チオン誘導体から得られるシリルポリウレタン、及びそれを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
技術的背景
シリルポリマーは、通常、接着剤、マスチック、コーティングとして、例えば航空、自動車、又は建設業界で使用される。このようなポリマーは、一般に、ポリエーテル又はポリウレタンタイプの主鎖に直接的又は間接的に連結されたアルコキシシランタイプの末端基を含む。
【0004】
シリルポリウレタンは、アルコキシシラン官能基を含むヒドロキシシラン誘導体から得ることができる。しかしながら、ヒドロキシシランは、特に、ヒドロキシシランのヒドロキシル官能基とアルコキシシラン官能基との間の可能なトランスアルコキシル化のために、典型的には安定性の問題を有する。この副反応は、分子内及び/又は分子間反応による二次的オリゴマー生成物をもたらす可能性があり、これは、シリルポリウレタンの架橋特性に影響を及ぼし、機械的特性の低下につながる可能性がある。
【0005】
さらに、シリルポリウレタンは典型的に粘度が高いため、取り扱いや使用がより困難になる。
【0006】
したがって、上記の欠点の少なくとも1つを有利に解決することができる新規なメルカプトシラン誘導体が必要とされている。
【0007】
上記の欠点の少なくとも1つを有さない新規シリルポリウレタンの必要性も存在する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
発明の説明
本特許出願では、別途記載がない限り、
- パーセンテージ形式で表された量は、重量/重量パーセントに対応する;
- アルコール化合物のヒドロキシル価は、生成物1グラム当たりのヒドロキシル官能基の数を表し、生成物1グラム当たりのヒドロキシル官能基の分析に使用される水酸化カリウム(KOH)のミリグラムの当量数の形で表される。
- 23℃(又は100℃)での粘度測定は、標準ISO2555に準拠したブルックフィールド粘度計を使用して行われ得る。典型的には、23℃(又は100℃)で行われる測定は、粘度範囲に適したスピンドルを備え、回転速度が20回転/分(rpm)のブルックフィールドRVT粘度計を使用して実施され得る。
- g/molで表される、ポリオールの数平均分子量(Mn)は、そのヒドロキシル価及び官能価から計算される。
【0009】
A.シリル誘導体
本発明は式(I)の化合物に関する:
[式中、
- R
aはR
1又はR
2を表し;
- R
bはR
1又はR
2を表し;
ただし、R
aがR
2を表す場合、R
bはR
1を表し、R
aがR
1を表す場合、R
bはR
2を表すことを条件とし;
- R
1及びR
2のうちの各基は、互いに独立して、
・ 水素;
・ 1から60個の炭素原子、好ましくは1から20個の炭素原子、優先的には1から12個の炭素原子、有利には1から8個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキル基;
・ 基
[式中、
・ R
3は、1から20個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状の二価アルキレン基を表し、
・ R
4は、直鎖状若しくは分岐状、脂肪族若しくは環状、飽和若しくは不飽和アルキル基、アルキルアリール基、アリールアルキル基又はアリール基を表し、前記アルキル、アルキルアリール、アリールアルキル又はアリール基は、それぞれ、1から60個の炭素原子、好ましくは1から20個の炭素原子、優先的には1から12個の炭素原子、有利には1から8個の炭素原子を含み、
・ R
j及びR
iのうちの各基は、互いに独立して、1から10個の炭素原子、好ましくは1から6個の炭素原子、優先的には1から2個の炭素原子、特にメチル又はエチルを含む直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキル基を表し;
・ R
kは、互いに独立して、2から4個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキレン基を表し、特にR
kは、エチレン又はブチレンを表し;
・ x、y、及びzのうちのそれぞれは、互いに独立して、基の数平均分子量(Mn)が45から20000g/mol、好ましくは45から10000g/mol、優先的には45から5000g/mol、有利には45から1000g/mol、例えば45から500g/molの範囲にあるような整数を表す];
・ -R
5-O-C(O)-R
6基[ここで、1から20個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状の二価アルキレン基であり、R
6は、1から60個の炭素原子、好ましくは1から20個の炭素原子、優先的には1から12個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状、脂肪族若しくは環状、飽和若しくは不飽和アルキル;6から20個の炭素原子を含むアリール;又は7から20個の炭素原子を含むアリールアルキルを表す];
・ -R
7-C(O)-O-R
8基[式中、R
7は、
結合又は1から20個の炭素原子を含
む直鎖状若しくは分岐状の二価アルキレン基を表し、R
8は、1から60個の炭素原子、好ましくは1から20個の炭素原子、優先的には1から12個の炭素原子、有利には1から8個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状、脂肪族若しくは環状、飽和若しくは不飽和アルキル、又は7から20個の炭素原子を含むアリールアルキルを表す];
・ -R
9-C(O)-NR
10R
11基[式中、R
9は、
結合又は1から20個の炭素原子を含
む直鎖状若しくは分岐状の二価アルキレン基を表し、R
10及びR
11は、互いに独立して、水素原子、又は1から60個の炭素原子、好ましくは1から20個の炭素原子、優先的には1から12個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状、脂肪族若しくは環状アルキルを表す]
からなる群から選択される基を表し;
- R
12は、水素原子、1から60個の炭素原子、好ましくは1から20個の炭素原子、優先的には1から12個の炭素原子、特に1から8個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状、環状若しくは脂肪族アルキル基、又は-R
13-SiR
14
p(OR
15)
3-p基を表し;
- R
13は、1から10個の炭素原子、好ましくは1から5個の炭素原子、有利には1から3個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、環状又は脂肪族アルキレン基を表し;
- R
14は、1から10個の炭素原子、好ましくは1から5個の炭素原子、有利には1から3個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、環状又は脂肪族アルキル基を表し;
- 各R
15は、互いに独立して、1から10個の炭素原子、好ましくは1から5個の炭素原子、有利には1から3個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、環状又は脂肪族アルキル基を表し;又は、2つのR
15基が一緒になって、3から12個の炭素原子を含む環を形成してもよく(p=0又は1の場合);
- pは、0、1、又は2を表す]。
好ましくは、上記の式(I)において、R
a=R
2及びR
b=R
1である。
【0010】
式(I)の化合物の中で、特に、以下の式(I-A)及び(I-B)の化合物について言及することができる:
式中、R
1、R
12、R
13、R
14、R
15、及びpは前に定義されたとおりである。
【0011】
式(I)の化合物は、好ましくは式(I-A)の化合物である。
【0012】
好ましくは、上記の式(I)、(I-A)又は(I-B)の化合物は、R2がHを表す化合物である。
【0013】
一実施態様によれば、上記の式(I)の化合物は、以下の式(II)又は(III)の化合物から選択される:
式中、R
1、R
12、R
13、R
14、R
15、及びpは前に定義されたとおりである。
【0014】
好ましくは、式(II)の化合物は、以下の式(IV)、(V)、(VI)、(VII)及び(VIII)の化合物から選択される:
- 式(IV)の化合物は、式(II)の化合物であり、式中、R
1は、1から60個の炭素原子、好ましくは1から20個の炭素原子、優先的には1から12個の炭素原子、有利には1から8個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキル基を表し;R
12、R
13、R
14、R
15、及びpは前に定義されたとおりである;
- 以下の式(V)の化合物:
[式中、R
3、R
4、R
i、R
j、R
k、x、y、z、R
12、R
13、R
14、R
15、及びpは前に定義されたとおりである];
- 以下の式(VI)の化合物:
[式中、R
5、R
6、R
12、R
13、R
14、R
15、及びpは前に定義されたとおりである];
- 以下の式(VII)の化合物:
[式中、R
7、R
8、R
12、R
13、R
14、R
15、及びpは前に定義されたとおりである];
- 以下の式(VIII)の化合物:
[式中、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、及びpは前に定義されたとおりである]。
【0015】
一実施態様によれば、上記の式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)及び(VIII)の化合物は、以下の化合物である:
- p=0;及び/又は
- R15=メチル;及び/又は
- R13=プロピレン;及び/又は
- R12=H、ブチル、又は-CH2-CH(CH2CH3)-CH2-CH2-CH2-CH3(2-エチルヘキシル)。
【0016】
一実施態様によれば、上記の式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)及び(VIII)の化合物は、以下の化合物である:
- p=0;及び
- R15=メチル;及び
- R13=プロピレン;及び
- R12=H、ブチル、又は-CH2-CH(CH2CH3)-CH2-CH2-CH2-CH3(2-エチルヘキシル)。
【0017】
好ましくは、上記の式(I)、(I-A)及び(I-B)の化合物は、以下の化合物である:
- R
2=H;及び
- R
1は、
・ 1から20個の炭素原子、好ましくは1から12個の炭素原子、優先的には4から8個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、脂肪族飽和アルキル基;優先的には、R
1はブチル又は2-エチルヘキシル基:-CH
2-CH(CH
2CH
3)-CH
2-CH
2-CH
2-CH
3である;
・ 基
[式中、
・ R
3は、1から20個の炭素原子、好ましくは1から12個の炭素原子、優先的には1から5個の炭素原子、例えばメチレンを含む直鎖状又は分岐状の二価アルキレン基を表し;
・ R
4は、1から12個の炭素原子を含む、直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキル基を表し;
・ R
j及びR
iのうちの各基は、互いに独立して、1から10個の炭素原子、好ましくは1から6個の炭素原子、優先的には1から2個の炭素原子、特にメチル又はエチルを含む直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキル基を表し;
・ R
kは、互いに独立して、2から4個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキレン基を表し、特にR
kは、エチレン又はブチレンを表し;
・ x、y、及びzのうちのそれぞれは、互いに独立して、基の数平均分子量(Mn)が45から20000g/mol、好ましくは45から10000g/mol、優先的には45から5000g/mol、有利には45から1000g/mol、例えば45から500g/molの範囲にあるような整数を表す]
を表す。
【0018】
好ましくは、上記の式(II)及び(III)の化合物は、R
1が、
・ 1から20個の炭素原子、好ましくは1から12個の炭素原子、優先的には4から8個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、脂肪族飽和アルキル基;優先的には、R
1はブチル又は2-エチルヘキシル基:-CH
2-CH(CH
2CH
3)-CH
2-CH
2-CH
2-CH
3である;
・ 基
[式中、
・ R
3は、1から20個の炭素原子、好ましくは1から12個の炭素原子、優先的には1から5個の炭素原子、例えばメチレンを含む直鎖状又は分岐状の二価アルキレン基を表し;
・ R
4は、1から12個の炭素原子を含む、直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキル基を表し;
・ R
j及びR
iのうちの各基は、互いに独立して、1から10個の炭素原子、好ましくは1から6個の炭素原子、優先的には1から2個の炭素原子、特にメチル又はエチルを含む直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキル基を表し;
・ R
kは、互いに独立して、2から4個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキレン基を表し、特にR
kは、エチレン又はブチレンを表し;
・ x、y、及びzのうちのそれぞれは、互いに独立して、基の数平均分子量(Mn)が45から20000g/mol、好ましくは45から10000g/mol、優先的には45から5000g/mol、有利には45から1000g/mol、例えば45から500g/molの範囲にあるような整数を表す]
を表す化合物である。
【0019】
好ましくは、上記の式(V)の化合物は、以下の化合物である:
- R3は、1から5個の炭素原子、優先的にはメチレンを含む直鎖状又は分岐状の二価アルキレン基を表し;
- R4は、1から8個の炭素原子、好ましくは4から8個の炭素原子を含む、直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキルを表し;
- x=z=0;
- yは0又は2であり;
- Rj及びRiのうちの各基は、互いに独立して、1から10個の炭素原子、好ましくは1から6個の炭素原子、優先的には1から2個の炭素原子、特にメチル又はエチルを含む直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキル基を表す。
【0020】
好ましい実施態様によれば、式(I)の化合物は、以下の化合物から選択される:
式中、yは前に定義されたとおりであり、特にyは2に等しい。
式中、yは前に定義されたとおりであり、特にyは2に等しい。
式中、yは前に定義されたとおりであり、特にyは2に等しい。
【0021】
B.シリル誘導体を調製するための方法
本発明はまた、式(IX)の化合物:
[式中、R
12、R
13、R
14、R
15、R
15、及びpは前に定義されたとおりである]と;
以下の式(X)の化合物:
[式中、R
1及びR
2のうちの各基は、互いに独立して、
・ 水素;
・ 1から60個の炭素原子、好ましくは1から20個の炭素原子、優先的には1から12個の炭素原子、有利には1から8個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキル基;
・ 基
[式中、
・ R
3は、
結合又は1から20個の炭素原子を含
む直鎖状若しくは分岐状の二価アルキレン基を表し、
・ R
4は、直鎖状若しくは分岐状、脂肪族若しくは環状、飽和若しくは不飽和アルキル基、アルキルアリール基、アリールアルキル基又はアリール基を表し、前記アルキル、アルキルアリール、アリールアルキル又はアリール基は、それぞれ、1から60個の炭素原子、好ましくは1から20個の炭素原子、優先的には1から12個の炭素原子、有利には1から8個の炭素原子を含み、
・ R
j及びR
iのうちの各基は、互いに独立して、1から10個の炭素原子、好ましくは1から6個の炭素原子、優先的には1から2個の炭素原子、特にメチル又はエチルを含む直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキル基を表し;
・ R
kは、互いに独立して、2から4個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキレン基を表し、特にR
kは、エチレン又はブチレンを表し;
・ x、y、及びzのうちのそれぞれは、互いに独立して、基の数平均分子量(Mn)が45から20000g/mol、好ましくは45から10000g/mol、優先的には45から5000g/mol、有利には45から1000g/mol、例えば45から500g/molの範囲にあるような整数を表す];
・ -R
5-O-C(O)-R
6基[式中、R
5は、
結合又は1から20個の炭素原子を含
む直鎖状若しくは分岐状の二価アルキレン基を表し、R
6は、1から60個の炭素原子、好ましくは1から20個の炭素原子、優先的には1から12個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状、脂肪族若しくは環状、飽和若しくは不飽和アルキル;6から20個の炭素原子を含むアリール;又は7から20個の炭素原子を含むアリールアルキルを表す];
・ -R
7-C(O)-O-R
8基[式中、R
7は、
結合又は1から20個の炭素原子、優先的には1から12個の炭素原子、特に1から8個の炭素原子を含
む直鎖状若しくは分岐状の二価アルキレン基を表し、R
8は、1から20個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状、脂肪族若しくは環状、飽和若しくは不飽和アルキル、又は7から20個の炭素原子を含むアリールアルキルを表す];
・ -R
9-C(O)-NR
10R
11基[式中、R
9は、
結合又は1から20個の炭素原子を含
む直鎖状若しくは分岐状の二価アルキレン基を表し、R
10及びR
11は、互いに独立して、水素原子、又は1から60個の炭素原子、好ましくは1から20個の炭素原子、優先的には1から12個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状、脂肪族若しくは環状アルキル基を表す]
からなる群から選択される基を表す]
との間の反応を含む、上記の式(I)の化合物を調製するための方法に関する。
【0022】
式(IX)の化合物の中で、例えば、以下の化合物について言及することができる:
- 4-アミノブチルトリエトキシシラン;
- 3-アミノプロピルトリス(メトキシエトキシエトキシ)シラン
- N-(n-ブチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン;
- 3-アミノプロピルジメチルエトキシシラン;
- 3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン;
- 3-アミノプロピルジイソプロピルエトキシシラン;
- 3-アミノプロピルトリエトキシシラン;
- 3-アミノプロピルトリメトキシシラン;
- 3-N-メチルアミノプロピルトリエトキシシラン;
- エチル N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アスパルテート;
- エチル N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2-アミノメチルサクシネート;
- エチル N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2-アミノメチルマロネート;
- ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミン。
【0023】
好ましくは、式(IX)の化合物は、N-(n-ブチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン及び3-アミノプロピルトリメトキシシランである。
【0024】
一実施態様によれば、上記の式(X)の化合物は、以下の式(XI)を有する:
[式中、R
1は前に定義されたとおりである]。
好ましくは、上記の式(X)及び(XI)において、R
1は、
- 水素;
- 1から60個の炭素原子、好ましくは1から20個の炭素原子、優先的には1から18個の炭素原子、有利には1から12個の炭素原子、特に1から8個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキル基;
- 基
[式中、
・ R
3は、1から20個の炭素原子、好ましくは1から12個の炭素原子、優先的には1から5個の炭素原子、例えばメチレンを含む直鎖状又は分岐状の二価アルキレン基を表し;
・ R
4は、1から12個の炭素原子を含む、直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキル基を表し;
・ R
j及びR
iのうちの各基は、互いに独立して、1から10個の炭素原子、好ましくは1から6個の炭素原子、優先的には1から2個の炭素原子、特にメチル又はエチルを含む直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキル基を表し;
・ R
kは、互いに独立して、2から4個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキレン基を表し、特にR
kは、エチレン又はブチレンを表し;
・ x、y、及びzのうちのそれぞれは、互いに独立して、基の数平均分子量(Mn)が45から20000g/mol、好ましくは45から10000g/mol、優先的には45から5000g/mol、有利には45から1000g/mol、例えば45から500g/molの範囲にあるような整数を表す]
を表す。
【0025】
【0026】
反応は、無水条件下で行われ得る。
【0027】
反応は、10℃から100℃、好ましくは10℃から80℃の範囲の温度で行われ得る。
【0028】
反応は、溶媒、例えば、トルエン、酢酸エチル、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、アセトン、ブタノン、又はそれらの混合物の存在下で行われ得る。好ましくは、反応はテトラヒドロフラン中で行われる。
【0029】
好ましくは、反応は、1.2から0.8、好ましくは1.1から0.9の範囲の化合物(X)/化合物(IX)のモル比で実施される;比率は優先的には1である。
【0030】
反応時間は、使用する試薬の性質、それらの濃度、及び反応温度に応じて著しく変化し得る。反応は、赤外分光法、C=SのIRバンドの消失を監視すること、又は1H及び/又は13C NMRによって監視され得る。
【0031】
反応の終わりに、式(I)の化合物は、特に反応溶媒を蒸発させることによって回収することができ、任意選択で精製工程に供してもよい。
【0032】
式(X)の上記の化合物は、触媒としてのアルカリ金属ハロゲン化物の存在下、以下の式:
[式中、R
1及びR
2は前に定義されたとおりである]を有する化合物と、CS
2との間の反応を含む方法によって得ることができる。
【0033】
アルカリ金属ハロゲン化物は、塩化ナトリウム、塩化カリウム又はリチウム、ヨウ化物又は臭化物であり得る。例えば、LiBr、LiCl、LiI、NaCl、NaBr、NaI、KCl、KBr又はKIについて言及することができる。
【0034】
好ましくは、反応はLiBrの存在下で行われる。
【0035】
反応は、例えば、ケトン、アミド、エーテル、アルコール、ニトリル、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの溶媒の存在下で行われ得る。溶媒は、例えば、アセトン、DMF、メタノール、エタノール、2-プロパノール、アセトニトリル、プロピオニトリル、THF、又はそれらの混合物であり得る。
【0036】
反応は、0℃から100℃、好ましくは10℃から60℃の範囲の温度で行われ得る。
【0037】
本発明はまた、以下の式(A)の化合物に関する:
[式中、
- R
4は、直鎖状若しくは分岐状、脂肪族若しくは環状、飽和若しくは不飽和アルキル基、アルキルアリール基、アリールアルキル基又はアリール基を表し、前記アルキル、アルキルアリール、アリールアルキル又はアリール基は、それぞれ、1から60個の炭素原子、好ましくは1から20個の炭素原子、優先的には1から12個の炭素原子、有利には1から8個の炭素原子を含み;
- R
j及びR
iのうちの各基は、互いに独立して、1から10個の炭素原子、好ましくは1から6個の炭素原子、優先的には1から2個の炭素原子、特にメチル又はエチルを含む直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキル基を表し;
- R
kは、互いに独立して、2から4個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキレン基を表し、特にR
kは、エチレン又はブチレンを表し;
- x、y、及びzのうちのそれぞれは、互いに独立して、基の数平均分子量(Mn)が45から20000g/mol、好ましくは45から10000g/mol、優先的には45から5000g/mol、有利には45から1000g/mol、例えば45から500g/molの範囲にあるような整数を表し;
- ただし、x+y+z>0を条件とする]。
【0038】
一実施態様によれば、式(A)の化合物は、以下の式(A-1)、(A-2)又は(A-3)の化合物である:
[式中、R
4、R
k、R
j、R
i、x、y及びzは前に定義されたとおりであり、
ここで、x>1、y>1及びz>1である]。
【0039】
好ましくは、上記の式(A)、(A-1)、(A-2)及び(A-3)において:
- Rkはブチレンを表し;及び/又は
- RiはHを表し;及び/又は
- Rjはメチル基を表す。
【0040】
さらにより優先的には、上記の式(A)、(A-1)、(A-2)及び(A-3)において:
- Rkはブチレンを表し;及び/又は
- RiはHを表し;及び/又は
- Rjはメチル基を表す。
【0041】
好ましくは、上記の式(A)、(A-1)、(A-2)及び(A-3)において、R4はブチル基を表す。
【0042】
yが1以外である場合、各Rjは、yの各値に対して同一でも異なっていてもよい。
【0043】
xが1以外である場合、各Rkは、xの各値に対して同一でも異なっていてもよい。
【0044】
zが1以外である場合、各Riは、zの各値に対して同一でも異なっていてもよい。
【0045】
式(A)又は(A-1)の化合物の中で、例えば、以下の化合物について言及することができる:
【0046】
C.組成物C
本発明はまた、異なる式(I)の2つの化合物を含む組成物Cに関し、式(I)は前に定義されたとおりである。
【0047】
一実施態様によれば、上記の組成物Cは、
- 式(I-A)の化合物:
及び
- 式(IX-B)の化合物:
[式中、R
1、R
2、R
12、R
13、R
14、R
15、及びpは前に定義されたとおりである]
を含む。
【0048】
好ましくは、上記の組成物Cにおいて:
- 式(I-A)のR1基は、式(I-B)のR1基と同じであり;
- 式(I-A)のR2基は、式(I-B)のR2基と同じであり;
- 式(I-A)のR12基は、式(I-B)のR12基と同じであり;
- 式(I-A)のR13基は、式(I-B)のR13基と同じであり;
- 式(I-A)のR14基は、式(I-B)のR14基と同じであり;
- 式(I-A)のR15基は、式(I-B)のR15基と同じであり;
- 式(I-A)のpは、式(I-B)のpと同じである。
【0049】
一実施態様によれば、上記の組成物Cは、
- 式(II)の化合物:
及び
- 式(III)の化合物:
[式中、R
1、R
12、R
13、R
14、R
15、及びpは前に定義されたとおりである]
を含む。
【0050】
好ましくは、上記の組成物Cにおいて:
- 式(II)のR12基は、式(III)のR12基と同じであり;
- 式(II)のR1基は、式(III)のR1基と同じであり;
- 式(II)のR13基は、式(III)のR13基と同じであり;
- 式(II)のR14基は、式(III)のR14基と同じであり;
- 式(II)のR15基は、式(III)のR15基と同じであり;
- 式(II)のpは、式(III)のpと同じである。
【0051】
本発明はまた、ポリマーを調製するための、前に定義された式(I)の化合物又は上記の組成物Cの化合物の使用に関する。
【0052】
D.ポリマー
本発明はまた、
- 上記で定義された式(I)の少なくとも1つの化合物と、
- 以下の式(XII)のプレポリマー、好ましくはポリウレタンプレポリマー:
[式中、tは2から4の範囲の整数又は非整数を表し、Bは多価有機基を表す]
との間の反応の工程を含む方法によって得られるポリウレタンPに関する。
【0053】
好ましくは、本発明によるポリウレタンPは、
- 上記の式(II)、好ましくは上記の式(IV)又は(V)の化合物と;
- 上記の式(XII)のプレポリマー
との間の反応の工程を含む方法によって得られる。
【0054】
式(XII)のプレポリマーは、-NCO基で終端されたプレポリマーの調製のための当業者に知られている任意の方法を介して得ることができる。
【0055】
一実施態様によれば、上記の式(XII)のプレポリマーは、
a)好ましくはジイソシアネート、トリイソシアネート、及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つのポリイソシアネートと、
b)好ましくはポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つのポリオールとの
NCO/OHモル比(r1)が厳密に1より大きくなる、好ましくは1.2から2の範囲であるような量での、重付加反応によって得られるポリウレタンである。
【0056】
一実施態様によれば、本発明によるポリウレタンPは、以下の工程:
- E1)
i)好ましくはジイソシアネート、トリイソシアネート、及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つのポリイソシアネートと、
ii)好ましくはポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つのポリオールとの
NCO/OHモル比(r1)が厳密に1より大きくなるような量での、重付加反応を介する、上記の式(XII)の-NCO末端基を有するポリウレタンプレポリマーの調製:
及び
- E2)工程E1)の終了時に形成された生成物と、前に定義された式(I)の少なくとも1つの化合物との、特にNCO/SHモル比(r2)が好ましくは1.3から5の間であるような量での反応
を含む方法によって調製される。
【0057】
本発明の文脈において、特に言及しない限り、(r1)は、工程E1の反応媒体中に存在する全てのポリイソシアネート(単数又は複数)及びポリオール(単数又は複数)によって担持されるヒドロキシル基(OH)の数に対するイソシアネート基(NCO)の数のモル比に対応するNCO/OHモル比である。
【0058】
本発明の文脈において、特に言及しない限り、(r2)は、全てのイソシアネート(単数又は複数)(特に、NCO末端基を有するポリウレタンプレポリマー、及び任意選択で、工程E1の終わりに反応しなかったポリイソシアネート(単数又は複数)に関して))、及び工程E2)の反応媒体中に存在する式(I)の化合物(単数又は複数)によってそれぞれ担持されるメルカプト基の数に対するイソシアネート基の数のモル比に対応するNCO/SHモル比である。
【0059】
工程E1)の間にNCO末端基を有するポリウレタンが、ポリイソシアネート又は連続して添加されたいくつかのポリイソシアネートの混合物から得られる場合、比率(r1)の計算では、第一に工程E1)の反応媒体中に存在する全てのポリイソシアネートによって担持されるNCO基を考慮に入れ、第二に工程E1の反応媒体中に存在するポリオール(単数又は複数)によって担持されるOH基を考慮に入れる。
【0060】
工程E1)の間、重付加反応は、好ましくは95℃未満の温度で、好ましくは無水条件下で行われる。
【0061】
工程E1)
本発明に従って使用される上記の式(XII)のプレポリマーを調製するために使用され得るポリオール(単数又は複数)は、数平均分子量(Mn)が300から20000g/モル、好ましくは400から15000g/モル、好ましくは500から12,000g/モルの範囲のものから選択され得る。
【0062】
好ましくは、それらのヒドロキシル官能価は2から3の範囲である。ヒドロキシル官能価は、ポリオール1モル当たりのヒドロキシル官能基の平均数である。
【0063】
本発明に従って使用され得るポリオール(単数又は複数)は、ポリオール1グラムあたり9から570ミリグラムのKOH(mg KOH/g)、好ましくは35から430mgのKOH/g、より好ましくは55から340mgのKOH/gの範囲の(平均)ヒドロキシル価(IOH)を有し得る。
【0064】
ポリオール(単数又は複数)は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、及びそれらの混合物から選択することができる。好ましくは、工程E1)は、ポリエーテルポリオールを用いて行われる。
【0065】
本発明に従って使用され得るポリエーテルポリオール(単数又は複数)は、好ましくは、ポリオキシアルキレンポリオールから選択され、その直鎖状又は分岐状アルキレン部分は、2から4個の炭素原子、より優先的には2から3個の炭素原子を含む。
【0066】
より優先的には、本発明に従って使用され得るポリエーテルポリオール(単数又は複数)は、好ましくは、ポリオキシアルキレンジオール又はポリオキシアルキレントリオールから選択され、その直鎖状又は分岐状アルキレン部分は、1から4個の炭素原子、より優先的には2から3個の炭素原子を含む。
【0067】
本発明に従って使用され得るポリオキシアルキレンジオール又はトリオールの例として、以下について言及することができる:
- 300から20000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有するポリオキシプロピレンジオール又はトリオール(ポリプロピレングリコール(PPG)ジオール又はトリオールとも表される);
- 300から15000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有するポリオキシエチレンジオール又はトリオール(ポリエチレングリコール(PEG)ジオール又はトリオールとも表される)。
- 300から20000g/molの範囲の数平均分子量を有するポリオキシブチレンジオール又はトリオール((PBG)ジオール又はトリオールとも表される);
- 250から4000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有するポリテトラメチレンジオール又はトリオール(polyTHF又はPTMEGとも表される)。
- エチレンオキシド、プロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドに基づく、250から4000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有するジオール若しくはトリオールコポリマー又はターポリマー;
- 及びそれらの混合物。
【0068】
上記のポリエーテルポリオールは、従来の方法で調製することができ、広く市販されている。それらは、塩基性触媒(例えば、水酸化カリウム)又は二重金属/シアン化物錯体に基づく触媒の存在下で、対応するアルキレンオキシドの重合によって得られ得る。
【0069】
ヒドロキシル官能価が2に等しいポリプロピレングリコールの中で、以下について言及することができる:
- Voranol(登録商標)EP1900:数平均分子量が約4008g/mol、ヒドロキシル価IOHが28mg KOH/gに等しい二官能性PPG。
- Acclaim(登録商標)8200:数平均分子量が8016g/mol、ヒドロキシル価IOHが14mg KOH/gに等しい二官能性PPG;
- Acclaim(登録商標)12200:数平均分子量が11222g/mol、ヒドロキシル価IOHが10mg KOH/gに等しい二官能性PPG;
- Acclaim(登録商標)18200:数平均分子量が17265g/mol、ヒドロキシル価IOHが6.5mg KOH/gに等しい二官能性PPG。
【0070】
ヒドロキシル官能価が3に等しいポリプロピレングリコールの中で、以下について言及することができる:
- Voranol(登録商標)CP755:数平均分子量が約710g/mol、ヒドロキシル価IOHが237mg KOH/gに等しい三官能性PPG;
- Voranol(登録商標)CP3355:数平均分子量が約3544g/mol、ヒドロキシル価IOHが47.5 mg KOH/gに等しい三官能性PPG;
- Acclaim(登録商標)6300:数平均分子量が約5948g/mol、ヒドロキシル価IOHが28.3mg KOH/gに等しい三官能性PPG。
【0071】
ヒドロキシル官能価が2に等しいポリテトラメチレングリコールの中で、以下について言及することができる:
- Terathane(登録商標)PTMEG250:数平均分子量が約4008g/mol、ヒドロキシル価IOHが230から270mg KOH/gの範囲の二官能性PolyTHF。
- Terathane(登録商標)PTMEG2900:数平均分子量が約4008g/mol、ヒドロキシル価IOHが37.7から39.7mg KOH/gの範囲の二官能性PolyTHF。
【0072】
本発明の文脈において、「ポリエーテルポリオールのヒドロキシル官能価」という語句は、ポリエーテルポリオールの1モル当たりのヒドロキシル官能基の平均数を意味する。
【0073】
ポリエステルポリオールは、ポリエステルジオール及びポリエステルトリオールから、好ましくはポリエステルジオールから選択することができる。
【0074】
言及され得るポリエステルジオール又はトリオールの例には、以下が含まれる:
- 1000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有し、ヒドロキシル価が108から116mg KOH/gの範囲である、Cray Valley社により販売されるRealkyd(登録商標)XTR10410。これは、アジピン酸、ジエチレングリコール及びモノエチレングリコールとの縮合から得られる生成物である。
- 240から8000g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有する、Perstorp社により標準CAPA Polyolとして販売されるポリカプロラクトンジオール又はトリオール。
【0075】
ポリカーボネートポリオールは、特に300g/モルから12000g/モルの範囲の数平均分子量(Mn)を有するポリカーボネートジオール又はトリオールから選択され得る。
【0076】
言及され得るポリカーボネートジオールの例は、以下が含まれる:
- それぞれの数平均分子量(Mn)が1000及び2000g/molに等しく、ヒドロキシル価がそれぞれ112及び56mg KOH/gである、Novomer社により販売されるConverge Polyol212-10及びConverge Polyol212-20、
- 数平均分子量(Mn)が326g/mol、ヒドロキシル価が344mg KOH/gである、Covestroにより販売されるDesmophen(登録商標)CXP2716、
- 数平均分子量(Mn)が500から3000g/molの範囲で、ヒドロキシル価が224から37mg KOH/gの範囲である、Kurarayにより販売されるポリオールC-590、C1090、C-2090、及びC-3090。
【0077】
上記の式(XII)のプレポリマーを調製するために使用され得るポリイソシアネート(単数又は複数)は、連続的に添加され得るか、又は混合物の形態で反応され得る。
【0078】
一実施態様によれば、使用することができるポリイソシアネート(単数又は複数)は、好ましくは以下からなる群から選択されるジイソシアネート(単数又は複数)である。イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ヘプタンジイソシアネート、オクタンジイソシアネート、ノナンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、ウンデカンジイソシアネート、ドデカンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(4,4’-HMDI)、ノルボルナンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、エチルシクロヘキサンジイソシアネート、プロピルシクロヘキサンジイソシアネート、メチルジエチルシクロヘキサンジイソシアネート、シクロヘキサンジメチレンジイソシアネート、1,5-ジイソシアナト-2-メチルペンタン(MPDI)、1,6-ジイソシアナト-2,4,4-トリメチルヘキサン、1,6-ジイソシアナト-2,2,4-トリメチルヘキサン(TMDI)、4-イソシアナトメチル-1,8-オクタンジイソシアネート(TIN)、(2,5)-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(2,5-NBDI)、(2,6)-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(2,6-NBDI)、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(1,3-H6-XDI)、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(1,4-H6-XDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)(特にm-キシリレンジイソシアネート(m-XDI))、トルエンジイソシアネート(特に2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)及び/又は2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI))、ジフェニルメタンジイソシアネート(特に4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI)及び/又は2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’-MDI))、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)(特にテトラメチル(メタ)キシレンジイソシアネート)、及びそれらの混合物。
【0079】
好ましくは、ポリイソシアネート(単数又は複数)は、トルエンジイソシアネート(特に、異性体2,4-TDI、異性体2,6-TDI又はそれらの混合物)、メタキシリレン、IPDI、及びそれらの混合物から選択される。好ましくは、ポリイソシアネートはイソホロンジイソシアネート(IPDI)である。
【0080】
使用され得るポリイソシアネート(単数又は複数)は、通常、広く市販されている。例として、以下を挙げることができる。95%程度の純度を有する2,4-TDIに対応する、Vencorex社により販売されるScuranate(登録商標)TX;99重量%を超える純度を有する2,4-TDIに対応する、Vencorex社により販売されるScuranate(登録商標)T100;IPDIに対応する、Covestroにより販売されるDesmodur(登録商標)、又はHDIイソシアネートに対応する、Covestroにより販売されるDesmodur(登録商標)N3300;m-XDIに対応する、三井化学により販売されるTakenateTM500;m-H6XDIに対応する、三井化学により販売されるTakenateTM600;H12MDIに対応する、Evonikにより販売されるVestanat(登録商標)H12MDI。
【0081】
好ましくは、ポリイソシアネートはイソホロンジイソシアネート(IPDI)である。
【0082】
工程E1)の重付加反応は、少なくとも1つの反応触媒の存在下又は非存在下で行われ得る。
【0083】
工程E1)の重付加反応中に使用され得る反応触媒(単数又は複数)は、少なくとも1つのポリイソシアネートと少なくとも1つのポリオールとの反応によるポリウレタンの形成を触媒するための当業者に知られている任意の触媒であり得る。
【0084】
工程E1)の反応媒体の重量に対して、最大0.3重量%の範囲の量の触媒が使用され得る。特に、工程E1)の反応媒体の総重量に対して、0.02重量%から0.2重量%の触媒を使用することが好ましい。
【0085】
工程E2)
工程E2)は、無水条件下で行われ得る。
【0086】
工程E2)は、40℃から100℃、好ましくは60℃から100℃の範囲の温度で行われ得る。
【0087】
工程E2)の重付加反応は、少なくとも1つの反応触媒の存在下又は非存在下で行われ得る。
【0088】
工程E2)の重付加反応中に使用され得る反応触媒(単数又は複数)は、メルカプト化合物とNCO末端プレポリマーとの間のこのタイプの反応を触媒するための当業者に知られている任意の触媒であり得る。
【0089】
工程E2)の反応媒体の重量に対して、最大0.3重量%の範囲の量の触媒が使用され得る。特に、工程E2)の反応媒体の総重量に対して、0.02重量%から0.2重量%の触媒を使用することが好ましい。
【0090】
式(XII)のプレポリマーは、前記プレポリマーの総質量に対して、0.1%から15%、好ましくは0.2%から10%、優先的には0.5%から8%、有利には0.6%から3%の範囲のNCO基の質量含有量を含み得る。
【0091】
本発明は、特に、以下の式(XIII)を有するポリウレタンP’に関する:
[式中、
- Bは多価有機基を表し;
- tは、2から4の範囲の整数又は非整数を表し;
- R
aはR
1又はR
2を表し;
- R
bはR
1又はR
2を表し;
ただし、R
aがR
2を表す場合、R
bはR
1を表し、R
aがR
1を表す場合、R
bはR
2を表すことを条件とし;
- R
1及びR
2のうちの各基は、互いに独立して、
・ 水素;
・ 1から60個の炭素原子、好ましくは1から20個の炭素原子、優先的には1から12個の炭素原子、有利には1から8個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキル基;
・ 基
[式中、
・ R
3は、
結合又は1から20個の炭素原子を含
む直鎖状若しくは分岐状の二価アルキレン基を表し、
・ R
4は、直鎖状若しくは分岐状、脂肪族若しくは環状、飽和若しくは不飽和アルキル基、アルキルアリール基、アリールアルキル基又はアリール基を表し、前記アルキル、アルキルアリール、アリールアルキル又はアリール基は、それぞれ、1から60個の炭素原子、好ましくは1から20個の炭素原子、優先的には1から12個の炭素原子、有利には1から8個の炭素原子を含み、
・ R
j及びR
iのうちの各基は、互いに独立して、1から10個の炭素原子、好ましくは1から6個の炭素原子、優先的には1から2個の炭素原子、特にメチル又はエチルを含む直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキル基を表し;
・ R
kは、互いに独立して、2から4個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキレン基を表し、特にR
kは、エチレン又はブチレンを表し;
・ x、y、及びzのうちのそれぞれは、互いに独立して、基の数平均分子量(Mn)が45から20000g/mol、好ましくは45から10000g/mol、優先的には45から5000g/mol、有利には45から1000g/mol、例えば45から500g/molの範囲にあるような整数を表す];
・ -R
5-O-C(O)-R
6基[式中、R
5は、
結合又は1から20個の炭素原子を含
む直鎖状若しくは分岐状の二価アルキレン基を表し、R
6は、1から60個の炭素原子、好ましくは1から20個の炭素原子、優先的には1から12個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状、脂肪族若しくは環状、飽和若しくは不飽和アルキル;6から20個の炭素原子を含むアリール;又は7から20個の炭素原子を含むアリールアルキルを表す];
・ -R
7-C(O)-O-R
8基[式中、R
7は、
結合又は1から20個の炭素原子を含
む直鎖状若しくは分岐状の二価アルキレン基を表し、R
8は、1から60個の炭素原子、好ましくは1から20個の炭素原子、優先的には1から12個の炭素原子、有利には1から8個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状、脂肪族若しくは環状、飽和若しくは不飽和アルキル、又は7から20個の炭素原子を含むアリールアルキルを表す];
・ -R
9-C(O)-NR
10R
11基[式中、R
9は、
結合又は1から20個の炭素原子を含
む直鎖状若しくは分岐状の二価アルキレン基を表し、R
10及びR
11は、互いに独立して、水素原子、又は1から60個の炭素原子、好ましくは1から20個の炭素原子、優先的には1から12個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状、脂肪族若しくは環状アルキル基を表す]
からなる群から選択される基を表し;
- R
12は、水素原子、1から60個の炭素原子、好ましくは1から20個の炭素原子、優先的には1から12個の炭素原子、特に1から8個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状、環状若しくは脂肪族アルキル基、又は-R
13-SiR
14
p(OR
15)
3-p基を表し;
- R
13は、1から10個の炭素原子、好ましくは1から5個の炭素原子、有利には1から3個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、環状又は脂肪族アルキレン基を表し;
- R
14は、1から10個の炭素原子、好ましくは1から5個の炭素原子、有利には1から3個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、環状又は脂肪族アルキル基を表し;
- 各R
15は、互いに独立して、1から10個の炭素原子、好ましくは1から5個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、環状又は脂肪族アルキル基を表し;又は、2つのR
15基が一緒になって、3から12個の炭素原子を含む環を形成してもよく(p=0又は1の場合);
- pは、0、1、又は2を表す]。
【0092】
Ra、Rb、R1、R2、R12、R13、R14、R15及びpの中からのそれぞれの各出現は、各繰り返し単位において同一であっても異なっていてもよい。例えば、t=2の場合、同一であっても異なっていてもよい2つの繰り返し単位がある。例えば、t=3の場合、同一であっても異なっていてもよい3つの繰り返し単位がある。
【0093】
ポリウレタンP’は、上記のポリウレタンPの特定の例であり得る。
【0094】
ポリウレタンP’は、好ましくは、以下の式(XIV)を有する:
[式中、
- Bは多価有機基を表し;
- R
aはR
1又はR
2を表し;
- R
bはR
1又はR
2を表し;
ただし、R
aがR
2を表す場合、R
bはR
1を表し、R
aがR
1を表す場合、R
bはR
2を表すことを条件とし;
- R
1及びR
2のうちの各基は、互いに独立して、
・ 水素;
・ 1から60個の炭素原子、好ましくは1から20個の炭素原子、優先的には1から12個の炭素原子、有利には1から8個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキル基;
・ 基
[式中、
・ R
3は、
結合又は1から20個の炭素原子を含
む直鎖状若しくは分岐状の二価アルキレン基を表し、
・ R
4は、直鎖状若しくは分岐状、脂肪族若しくは環状、飽和若しくは不飽和アルキル基、アルキルアリール基、アリールアルキル基又はアリール基を表し、前記アルキル、アルキルアリール、アリールアルキル又はアリール基は、それぞれ、1から60個の炭素原子、好ましくは1から20個の炭素原子、優先的には1から12個の炭素原子、有利には1から8個の炭素原子を含み、
・ R
j及びR
iのうちの各基は、互いに独立して、1から10個の炭素原子、好ましくは1から6個の炭素原子、優先的には1から2個の炭素原子、特にメチル又はエチルを含む直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキル基を表し;
・ R
kは、互いに独立して、2から4個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキレン基を表し、特にR
kは、エチレン又はブチレンを表し;
・ x、y、及びzのうちのそれぞれは、互いに独立して、基の数平均分子量(Mn)が45から20000g/mol、好ましくは45から10000g/mol、優先的には45から5000g/mol、有利には45から1000g/mol、例えば45から500g/molの範囲にあるような整数を表す];
・ -R
5-O-C(O)-R
6基[式中、R
5は、
結合又は1から20個の炭素原子を含
む直鎖状若しくは分岐状の二価アルキレン基を表し、R
6は、1から60個の炭素原子、好ましくは1から20個の炭素原子、優先的には1から12個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状、脂肪族若しくは環状、飽和若しくは不飽和アルキル;6から20個の炭素原子を含むアリール;又は7から20個の炭素原子を含むアリールアルキルを表す];
・ -R
7-C(O)-O-R
8基[式中、R
7は、
結合又は1から20個の炭素原子を含
む直鎖状若しくは分岐状の二価アルキレン基を表し、R
8は、1から60個の炭素原子、好ましくは1から20個の炭素原子、優先的には1から12個の炭素原子、有利には1から8個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状、脂肪族若しくは環状、飽和若しくは不飽和アルキル、又は7から20個の炭素原子を含むアリールアルキルを表す];
・ -R
9-C(O)-NR
10R
11基[式中、R
9は、
結合又は1から20個の炭素原子を含
む直鎖状若しくは分岐状の二価アルキレン基を表し、R
10及びR
11は、互いに独立して、水素原子、又は1から60個の炭素原子、好ましくは1から20個の炭素原子、優先的には1から12個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状、脂肪族若しくは環状アルキル基を表す]
からなる群から選択される基を表し;
- R
12は、水素原子、1から60個の炭素原子、好ましくは1から20個の炭素原子、優先的には1から12個の炭素原子、特に1から8個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状、環状若しくは脂肪族アルキル基、又は-R
13-SiR
14
p(OR
15)
3-p基を表し;
- R
13は、1から10個の炭素原子、好ましくは1から5個の炭素原子、有利には1から3個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、環状又は脂肪族アルキレン基を表し;
- R
14は、1から10個の炭素原子、好ましくは1から5個の炭素原子、有利には1から3個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、環状又は脂肪族アルキル基を表し;
- 各R
15は、互いに独立して、1から10個の炭素原子、好ましくは1から5個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、環状又は脂肪族アルキル基を表し;又は、2つのR
15基が一緒になって、3から12個の炭素原子を含む環を形成してもよく(p=0又は1の場合);
- pは、0、1、又は2を表す]。
【0095】
Ra、Rb、R1、R2、R12、R13、R14、R15及びpのうちのそれぞれの各出現は、同一であっても異なっていてもよい。
【0096】
「Ra、Rb、R1、R2、R12、R13、R14、R15及びpのうちのそれぞれの各出現は同一であっても異なっていてもよい」という語句は、例えば、式(XIV)におけるRaの各出現は、式(XIV)において同一又は異なる可能性があること、又はpの各出現は、同一又は異なる可能性があることを意味する。これは、言及されている全ての基についても同様である。例えば、式(XIV)のRa基はHを表し得るが、他のRa基は-CHR1基を表し得る。
【0097】
一実施態様によれば、上記の式(XIV)において、Ra、Rb、R1、R2、R12、R13、R14、R15及びpのうちのそれぞれの各出現は、同一である。
【0098】
本発明によるポリウレタンP’は、好ましくは、以下の式(XV)、(XVI)又は(XVII)のうちの1つを有する:
式中、R
1、R
12、R
13、R
14、R
15、及びpは前に定義されたとおりである。
【0099】
一実施態様によれば、上記の式(XIII)、(XIV)、(XV)、(XVI)及び(XVII)のポリウレタンP’は、以下のものである:
- p=0;及び/又は
- R15=メチル;及び/又は
- R13=プロピレン;及び/又は
- R12=H、ブチル、又は-CH2-CH(CH2CH3)-CH2-CH2-CH2-CH3(2-エチルヘキシル)。
【0100】
特に、上記の式(XIX)、(XX)、(XXI)、(XXII)及び(XXIII)のポリウレタンP’は、以下のものである:
- p=0;及び
- R15=メチル;及び
- R13=プロピレン;及び
- R12=H、ブチル、又は-CH2-CH(CH2CH3)-CH2-CH2-CH2-CH3(2-エチルヘキシル)。
【0101】
好ましくは、式(XV)、(XVI)又は(XVII)のポリウレタンP’において、R
1基は以下を表す:
- 1から8個の炭素原子、優先的には4個の炭素原子、又は-CH
2-CH(CH
2CH
3)-CH
2-CH
2-CH
2-CH
3(2-エチルヘキシル)を含む直鎖状又は分岐状、飽和脂肪族アルキル基;
又は
基
[式中、
・ R
3は、1から5個の炭素原子、優先的にはメチレンを含む直鎖状又は分岐状の二価アルキレン基を表し;
・ R
4は、1から8個の炭素原子、好ましくは4から8個の炭素原子を含む、直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキルを表し;
・ x=z=0;
・ yは0又は2であり;
・ R
j及びR
iのうちの各基は、互いに独立して、1から10個の炭素原子、好ましくは1から6個の炭素原子、優先的には1から2個の炭素原子、特にメチル又はエチルを含む直鎖状又は分岐状、脂肪族又は環状、飽和又は不飽和アルキル基を表す]。
【0102】
本発明はまた、接着剤、マスチック又はコーティングの調製のための上記のポリウレタン(P及びP’)の使用に関する。
【0103】
本発明によるシリルポリウレタンは、有利には、既存のシリルポリウレタンよりも粘度が低く、取り扱い及び使用が容易になる。
【0104】
E.ポリマー組成物
本発明は、本発明による少なくとも1つ、好ましくは少なくとも3つのポリウレタン(単数又は複数)P(又はP’)を含む組成物Vに関する。
【0105】
組成物Vは、100から3000mPa.sの範囲の、100℃で測定されたブルックフィールド粘度を有し得る。
【0106】
好ましくは、組成物Vは、
- 上記で定義された式(XV)のポリマーP’;
- 上記で定義された式(XVI)のポリマーP’;及び
- 上記で定義された式(XVII)のポリマーP’
を含み;
R1、R12、R13、R14、R15、及びpのうちのそれぞれの各出現は、好ましくは同一である。
【0107】
F.配合物
本発明は、本発明による少なくとも1つのポリウレタンP又はポリウレタンP’、及び、触媒、充填剤、酸化防止剤、光安定剤/UV吸収剤、金属不活性化剤、帯電防止剤、発泡剤、殺生物剤、可塑剤、潤滑剤、乳化剤、染料、顔料、レオロジー剤、耐衝撃性改良剤、接着促進剤、蛍光増白剤、難燃剤、防湿剤、核形成剤、溶剤、反応性希釈剤及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を含む配合物に関する。
【0108】
上記の配合物は、有利には、上記で定義された式(XV)のポリマーP’を含む。
【0109】
通常使用される充填剤は、例えば、無機又は有機粉末、例えば、炭酸カルシウム及びケイ酸塩、並びに無機繊維材料、例えば、ガラス繊維である。炭素繊維などの有機充填剤、有機充填剤と無機充填剤の混合物、例えばガラス繊維と炭素繊維の混合物、又は炭素繊維と無機充填剤の混合物を使用することも可能である。充填剤は、配合物の総重量に対して1重量%から75重量%の範囲の量で添加することができる。
【0110】
本発明による配合物に使用されるUV安定剤、酸化防止剤及び金属不活性化剤は、有利には、良好な移行抵抗性及び高い熱安定性を有する。例えば、以下のa)からt)のグループから選択される。グループa)からg)及びi)の化合物は光安定剤/UV吸収剤であるが、化合物j)からt)は安定剤として機能する。
a)4,4-ジアリールブタジエン
b)桂皮酸エステル、
c)ベンゾトリアゾール、
d)ヒドロキシベンゾフェノン、
e)ジフェニルシアノアクリレート、
f)オキサミド、
g)2-フェニル-1,3,5-トリアジン、
h)酸化防止剤、
i)ニッケル誘導体、
j)立体障害アミン
k)金属不活性化剤、
l)亜リン酸エステル及びホスホニト、
m)ヒドロキシルアミン、
n)ニトロン、
o)アミンオキシド、
p)ベンゾフラノン及びインドリノン、
q)チオシネルギスト、
r)過酸化物破壊剤、
s)ポリアミド安定剤、及び
t)基本的な共安定剤。
【0111】
触媒は、配合物の総重量に対して、0.01重量%から約10重量%の範囲の比率で任意選択で使用される。
【0112】
触媒は以下から選択され得る:
- 有機チタン誘導体、例えば、チタンアセチルアセトネート(DuPont社からTyzor(登録商標)AA75の名称で市販されている)、Ti(OnBu)4(DoRF KetalからTyzor(登録商標)TnBTの名称で市販されている);
- 有機アルミニウム誘導体、例えばアルミニウムキレート(KingIndustries社からK-KAT(登録商標)5218の名称で市販されている);
- 有機亜鉛誘導体、例えばZn[O(C=O)C9H19]2(OMG Borchers社からBorchi(登録商標)KAT15の商品名で入手可能);
- 有機ビスマス誘導体、例えばBi[O(C=O)C9H19]2(OMG Borchers社からBorchi(登録商標)KAT315の商品名で入手可能);
- 有機スズ誘導体、例えばジブチルスズジラウレート(又はDBTL)、ジブチルスズジラウレート(DOTDL)、ジオクチルスズビスアセチルアセトナート(Tibkat(登録商標)223の名称で入手可能)又はTibkat(登録商標)425(ジオクチルスズオキシドとビニルトリメトキシシランの混合物);
- 有機アミン:アミジンが優先され、例えば、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)及び1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン(DBN)、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(TBD)、ジ-o-トリルグアニジン(DOTG)、並びにC1からC6のモノ、ジ、及びトリアルキルアミン、特にトリエチルアミン及びtert-ブチルアミン。
【0113】
有利に使用される添加剤の選択は、本発明による配合物の最終的な使用に依存し、これは、当業者によって適用仕様の官能基として調整され得る。
【0114】
溶媒は、例えば非プロトン性溶媒、プロトン性溶媒及びそれらの混合物から選択される有機溶媒であり得る。
【0115】
本発明はまた、接着剤、マスチック又はコーティングの調製のための上記の配合物の使用に関する。
【0116】
上記の全ての実施態様は、互いに組み合わせることができる。
【0117】
本発明の文脈において、「xとyの間」又は「xからyの範囲」という語句は、境界x及びyを含む範囲を意味する。例えば、「0%から25%の間」の範囲には、特に値0%と25%が含まれる。
【0118】
次に、本発明を以下の実施例で説明するが、これらの実施例は純粋に例示として与えられており、その範囲を限定するために解釈されるべきではない。
【実施例】
【0119】
供給者:
E1:Sigma-Aldrichから入手可能な2-ブチルオキシラン;
E2:Sigma-Aldrich及びCovestroから入手可能な2-(ブトキシメチル)オキシラン;
E3:Sigma-Aldrichから入手可能な2-[[(2-エチルヘキシル)オキシ]メチル]オキシラン;
E4:Dow GlobalTechnologiesの国際公開第2015/148192号に記載されている手順に従って合成されたポリプロピレングリコールモノグリシジルエーテルモノブチルエーテル(CAS番号:62412-80-0);
Silquest A-1110:Momentiveから入手可能な3-アミノプロピルトリメトキシシラン;
Dynasylan 1189:Evonikにより販売されるN-(n-ブチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン;
Acclaim 12200:Bayerから入手可能なポリプロピレングリコール、IOH=11.0mg KOH/g及びMn=11200g/モルを有する。
Borchi KAT 315:OMG Borchersから入手可能なビスマスネオデカノエート;
TIB KAT 223:TIB Chemicalsから入手可能なジオクチルスズビス(アセチルアセトナート)。
【0120】
実施例1:化合物S1からS4の調製
2モルのCS2(152.78g)を、2リットルの反応器内で15℃に事前に冷却した300mlのTHFに入れる。次いで、128℃のオーブン内であらかじめ乾燥させた臭化リチウム1mol(86.85g)を激しく攪拌しながら5分かけて(39℃での発熱)加え、LiBrが完全に溶解し、混合物が15℃に戻るまで、攪拌をさらに約5分間維持する。緑色の溶液が得られる。次いで、2モルのエポキシ誘導体(化合物E1、E2、E3又はE4)を、温度を15~23℃の間に維持しながら約5時間かけてゆっくりと注ぎ、次いで、混合物を15℃で撹拌しながら20時間放置する。均質なオレンジ色の溶液が得られる。
600mlの酢酸エチルを反応媒体に徐々に加え、溶解が完了するまで撹拌を続ける。有機相の最初の洗浄を、臭化リチウム(pH=8.2)を抽出するために700mlの水で行い、続いて700mlの塩水(178g NaCl/リットル)で2回目の洗浄を行う。pHをチェックし、中性であることを確認する。有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、次いで濾過し、35℃で減圧下で濃縮して、溶媒及び微量のCS2を除去する。
【0121】
【0122】
実施例2:シリル誘導体の調製
2.0molの5-ブチル-1,3-オキサチオラン-2-チオン(実施例1で得られた化合物S1)(352.3g)を2リットルの反応器内の300mlの乾燥THFに入れ、続いて室温で2.1molの3-アミノプロピルトリメトキシシラン(Silquest A-1110)(376.5g)を、2-チオン-1,3-オキサチオラン-5-イル基に特徴的な赤外線バンド(赤外線ではC=Sバンド)が完全に消失し、チオカルバメート結合に特徴的なバンド(赤外線ではC=Sバンド)が出現し、チオール官能基に特徴的なバンド(赤外線ではSHバンド)が出現する時点まで添加する。次いで、THFを減圧下で除去し、以下の式を有する生成物を定量的に得た:
【0123】
実施例3:シリル誘導体の調製
実施例1を繰り返し、化合物S1を実施例1で得られた化合物S2(412.3g)に置き換えて、以下の式を有する生成物を定量的に得る。
【0124】
実施例4:シリル誘導体の調製
実施例1を繰り返し、化合物S1を実施例1で得られた化合物S4(644.3g)に置き換えて、以下の式を有する生成物を定量的に得る。
【0125】
実施例5:シリル誘導体の調製
実施例1で得られた2.0モルの化合物S4(644.3g)を、2リットルの反応器中の300mlの乾燥THFに入れ、続いて23℃で2.1モルのDynasylan1189(Evonik)(494.3g)を加え、混合物を50℃で3時間撹拌し続ける。次いで、THFを減圧下で除去して、以下の式を有する生成物を定量的に得た:
【0126】
実施例6:NCO末端プレポリマー(P0)の調製
683.5gのAcclaim12200(Bayerから入手可能なPPG、IOH=11.0mg KOH/g又はMn=11200g/molを有する)を2リットルの反応器中に入れ、110℃で2時間真空下に置く(含水量≦0.02重量%)。次に、反応器を、窒素ブランケット下で、46.6gのイソホロンジイソシアネート(IPDI)及び0.4gのBorchi KAT 315(OMGBorchersから入手可能なビスマスネオデカノエート)を導入するように、70℃に冷却する。混合物は、1.7%のNCO重量パーセント、すなわち0.40meq.NCO/gに達するまで撹拌を続ける。730.1gのNCO末端ポリウレタンプレポリマー(P0)が得られる。
【0127】
実施例7:シリルポリマーP1の調製(比較)
237.6g(0.096mol又は96meq.NCO)のプレポリマー(P0)及び17.9g(0.1mol又は100meq.NH2)の3-アミノプロピルトリメトキシシラン(MomentiveのSilquest A-1110)を、NH2/NCOモル比=1.04で、窒素下で2Lの反応器中に導入する。混合物を70℃に加熱し、-NCO官能基のバンド特性が赤外分光法で検出できなくなるまで攪拌する。255.5gのシリルポリウレタン(P1)が得られ、この生成物は湿気から保護されたアルミニウムカートリッジにパッケージされる。得られたシリルポリウレタンの粘度は、100℃で5500mPa.sである。
【0128】
実施例8:シリルポリマーP2の調製
237.6g(0.096mol又は96meq.NCO)のプレポリマー(P0)、実施例2で得られた35.5gの化合物(0.1mol)(SH/NCOモル比=1.04)、及び0.1gのTIB KAT 223(TIB Chemicalsから入手可能なジオクチルスズビス(アセチルアセトン))を2L反応器中の窒素下に置く。混合物を90℃に加熱し、-NCO官能基のバンド特性が赤外分光法で検出できなくなるまで攪拌する。273.2gのシリルポリウレタン(P2)が得られ、この生成物は湿気から保護されたアルミニウムカートリッジにパッケージされる。得られたシリルポリウレタンの粘度は、100℃で1620mPa.sである。
【0129】
実施例9:シリルポリマーP3の調製
237.6g(0.096mol又は96meq.NCO)のプレポリマー(P0)、実施例3で得られた38.5gの化合物(0.1mol)(SH/NCOモル比=1.04)、及び0.1gのTIB KAT 223(TIB Chemicalsから入手可能なジオクチルスズビス(アセチルアセトン))を2L反応器中の窒素下に置く。混合物を90℃に加熱し、-NCO官能基のバンド特性が赤外分光法で検出できなくなるまで攪拌する。276.2gのシリルポリウレタン(P3)が得られ、この生成物は湿気から保護されたアルミニウムカートリッジにパッケージされる。得られたシリルポリウレタンの粘度は、100℃で1510mPa.sである。
【0130】
実施例10:シリルポリマーP4の調製
237.6g(0.096mol又は96meq.NCO)のプレポリマー(P0)、50.1gの実施例4の化合物(0.1mol)(SH/NCOモル比=1.04)、及び0.1gのTIB KAT 223(TIB Chemicalsから入手可能なジオクチルスズビス(アセチルアセトン))を2L反応器中の窒素下に置く。混合物を90℃に加熱し、-NCO官能基のバンド特性が赤外分光法で検出できなくなるまで攪拌する。287.8gのシリルポリウレタン(P4)が得られ、この生成物は湿気から保護されたアルミニウムカートリッジにパッケージされる。得られたシリルポリウレタンの粘度は、100℃で1360mPa.sである。このように、シリルポリマーP2、P3及びP4の粘度は、有利には、シリルポリマーP1(比較)(100℃において)の粘度よりも低い粘度を有し、これは特により容易な取り扱い及び使用を可能にする。さらに、粘度が低いことは、有利には、配合物における可塑剤の追加の使用を回避することを可能にする。