(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】特定の結晶化ハーフタイムを有するポリエステル
(51)【国際特許分類】
C08G 63/199 20060101AFI20241127BHJP
C08J 5/18 20060101ALI20241127BHJP
H01L 31/048 20140101ALI20241127BHJP
【FI】
C08G63/199
C08J5/18 CFD
H01L31/04 560
(21)【出願番号】P 2021533472
(86)(22)【出願日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 US2019065923
(87)【国際公開番号】W WO2020123775
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-12-09
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594055158
【氏名又は名称】イーストマン ケミカル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129311
【氏名又は名称】新井 規之
(74)【代理人】
【識別番号】100220098
【氏名又は名称】宮脇 薫
(72)【発明者】
【氏名】ポーター,デヴィッド・スコット
(72)【発明者】
【氏名】リー,ウェンタオ
(72)【発明者】
【氏名】ゲッツ,サラ・エクスレイ
(72)【発明者】
【氏名】プレスリー,エアリアル・デニス
(72)【発明者】
【氏名】デサイ,アミット・バサント
(72)【発明者】
【氏名】フー,ユエ・レイチェル
(72)【発明者】
【氏名】アダムス,スティーブン・ジェイ
【審査官】赤澤 高之
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-517139(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0125567(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 63/00-91
C08J 5/18
H01L 31/048
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】
の繰返し単位を含む半結晶質ポリエステル
[式中、Aは、脂肪族、芳香族または複素環式基であり;R
1は、1,4-ブタンジオール残基および1,4-シクロヘキサンジメタノール残基からなる群より選択され;R
2は、ネオペンタンジオール残基であり;mは、両端を含めて50~99であり;nは、両端を含めて1~50であり;xは、両端を含めて1~200であり;前記半結晶質ポリエステルは、0.3分以上の最小結晶化ハーフタイムを示す、ここで最小結晶化ハーフタイムとは、半結晶質ポリエステルが
ガラス転移温度(Tg)と融解温度(Tm)との中間の温度において達成可能な最大結晶化度
の半分を達成するのに要する最小時間である]。
【請求項2】
前記最小結晶化ハーフタイムが0.5分以上である、請求項1に記載の半結晶質ポリエステル。
【請求項3】
前記最小結晶化ハーフタイムが0.6分以上である、請求項2に記載の半結晶質ポリエステル。
【請求項4】
前記半結晶質ポリエステルが240℃~275℃の融点を有する、請求項1に記載の半結晶質ポリエステル。
【請求項5】
R
1が1,4-ブタンジオール残基である、請求項1に記載の半結晶質ポリエステル。
【請求項6】
R
1が1,4-シクロヘキサンジメチル残基である、請求項1に記載の半結晶質ポリエステル。
【請求項7】
mが、両端を含めて65~95である、請求項1に記載の半結晶質ポリエステル。
【請求項8】
nが、両端を含めて5~35である、請求項1に記載の半結晶質ポリエステル。
【請求項9】
nが、両端を含めて10~20である、請求項1に記載の半結晶質ポリエステル。
【請求項10】
請求項1に記載の半結晶質ポリエステルを含む組成物。
【請求項11】
さらに、強化材、離型剤、充填剤、表面摩擦改良剤、光安定剤および熱安定剤、押し出し助剤、帯電防止剤、着色剤、染料、顔料、蛍光増白剤、抗菌剤、偽造防止マーカー、疎水性および親水性増強剤、粘度調整剤、スリップ剤、強化剤、付着促進剤、トナーおよび着色剤からなる群より選択される少なくとも1つの成分を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1に記載の半結晶質ポリエステルを含むフィルム。
【請求項13】
前記フィルムが単層フィルムである、請求項12に記載のフィルム。
【請求項14】
前記単層フィルムが二軸延伸されている、請求項13に記載のフィルム。
【請求項15】
前記フィルムが太陽電池モジュールのバックシートである、請求項12に記載のフィルム。
【請求項16】
前記単層フィルムが太陽電池モジュールのバックシートである、請求項12に記載のフィルム。
【請求項17】
請求項12に記載のフィルムを含む太陽電池モジュール。
【請求項18】
請求項1に記載の半結晶質ポリエステルを含む射出成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、一般に、改善されたポリエステル、そのような改善されたポリエステルを含有する組成物、ならびに、そのような改善されたポリエステルから形成されるフィルムおよび射出成形品などの物品に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]ポリエステルは、しばしば世界でもっとも利用されているクラスのポリマーと見なされ、最近報告された公表世界生産量(リサイクルを含む)は7500万トンを軽く越える。このレベルの商業的成功は、ある程度ポリエステルの相対費用、製造可能性、および競争力のある性能属性の魅力的な組み合わせに起因すると思われる。ポリエステルは、その物理的、化学的および熱的特性により、多種多様な最終用途での施用に有用および望ましいものになっている。ポリエチレンレレフタレート(PET)は、おそらく多くの最終用途に関しもっとも一般的なタイプのポリエステルの1つである。
【0003】
[0003]これら商業的出来高にもかかわらず、ポリエステルは、一般的に、特定の最終用途市場、例えば、射出成形品、特に、ボンネットの下の自動車部品など、より高温での施用で用いられるものの製造において、あまり良好に浸透してこなかった。例えば、米国特許第4486561号では、PETは“必ずしも射出成形での使用に最適な材料ではない。なぜなら、良好な成形性を保証するには比較的高い金型温度、例えば120°~140℃を使用しなければならないためである”と規定されている。商業的に価格競争力がある、射出成形が可能な、および/またはより高い融点温度の、ポリエステルを開発する試みは、上首尾に進んでいるとは言い難い。
【0004】
[0004]同様に、本発明の譲受人に発行された米国特許第4355080号で言及されているように、特定の旧世代のポリエステルは一般に“とりわけ屋外暴露条件下での老化による脆化および表面劣化に起因して、看板、窓などのためのシート材料として認められていない”。‘080特許の発明は、“アクリルポリマーをポリエステル基材の表面に圧縮積層して、長期屋外暴露に対して表面特性および物理的特性の優れた保持を有する永久的に接着された複合シートを生産することができる”という発明を介して、この問題点に対処している。この解決策は耐候性に対処していると主張されているが、追加的な材料および加工段階が必要になり、製造費用が著しく増大する。同様にポリエステルの耐候性に関し注目に値するのは米国特許第7132499号であり、改善された耐候性を有するポリエステル容器について記載されており、該容器は、(A)100重量部のポリエステル樹脂と、(B)0.01~10重量部の特定のトリアジン紫外線吸収剤とを含むポリエステル樹脂組成物で作製されている。ポリマーの欠陥を添加剤で解決する多くの一般的な試みと同様に、添加剤材料は、費用を増大させ、組成物の加工性に影響を及ぼす可能性があるほか、有効性は限定的で、組成物の性能の他の観点に対し望ましくない副作用を有する場合がある。
【0005】
[0005]広くポリエステル性能のさまざまな観点を改良するために、汎用的なポリエステルポリマー構造内の改変が検討されてきた。例えば、米国特許第3256241号には、1,4-ビシクロ[2.2.2]オクタンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を、ジヒドロキシ化合物またはそのエステル形成性誘導体と反応させることにより調製されるポリエステルについて記載されている。これらのポリエステル製品は、一般的に、屋外および屋内の両方における良好な光安定性によって特徴付けられる;しかしながら、結晶化ハーフタイム(crystallization half-time)および他の特性により、それらは、ポリエチレンレレフタレート(PET)のようなより一般的なポリエステルと比べて最終製品の製造に現在使用されている装置およびシステムでの加工への適合性が低い(不適合でないとしても)ものになっている。さらに、‘241特許に記載されているポリエステルに、射出成形品の形成が良好に行われるか、または高温での施用に適した融点に達すると予想されているものはない。
【0006】
[0006]最新かつ最高の性能仕様に合うようにポリエステルおよびポリエステル組成物を改善するためのこれらの技術にもかかわらず、費用効果的に性能仕様を満たし、長時間にわたりそれを維持する一方、既存の最終製品製造システムの加工性の要件を満たす、改善されたポリエステルが依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第4486561号
【文献】米国特許第4355080号
【文献】米国特許第7132499号
【文献】米国特許第3256241号
【発明の概要】
【0008】
[0007]第1の観点において、本発明は、式:
【0009】
【0010】
の繰返し単位を含む半結晶質ポリエステルに関し、式中、Aは、脂肪族、芳香族または複素環式基であり;R1は、1,4-ブタンジオールおよび1,4-シクロヘキサンジメタノール残基からなる群より選択され;R2は、ネオペンタンジオール残基であり;mは、両端を含めて50~99であり;nは、両端を含めて1~50であり;xは、両端を含めて1~200であり;前記半結晶質ポリエステルは、約0.3分以上、または約0.5分以上、または約0.6分以上、または約0.7分以上の最小結晶化ハーフタイムを示す。
【0011】
[0008]他の観点において、本発明は、本発明の第1の観点のポリエステルを含む組成物に関する。
[0009]さらに他の観点において、本発明は、本発明の第1の観点の半結晶質ポリエステルを含むフィルム、とりわけ単層フィルムに関する。
【0012】
[0010]さらに他の観点において、本発明は、本発明の第1の観点の半結晶質ポリエステルを含む射出成形品に関する。
[0011]さらに他の観点において、本発明は、式:
【0013】
【0014】
の繰返し単位を有する半結晶質ポリエステル[式中、Aは、脂肪族、芳香族または複素環式基であり;R1は、1,4-ブタンジオールおよび1,4-シクロヘキサンジメタノール残基からなる群より選択され;R2は、ネオペンタンジオール残基であり;mは、両端を含めて50~99であり;nは、両端を含めて1~50であり;xは、両端を含めて1~200であるか、両端を含めて80~160であり;前記半結晶質ポリエステルは、約0.3分以上、または約0.5分以上、または約0.6分以上、または約0.7分以上の最小結晶化ハーフタイムを示す]の作製方法を対象とし、
該方法は、
(A)式
【0015】
【0016】
の化合物を、(i)パラジウム化合物を含む遷移金属触媒および(ii)酸化剤と、所望により
(I)式
【0017】
【0018】
[式中、Rは、水素;ならびに、C1-C6アルコキシ、ハロ、ニトロおよびシアノから選ばれる基の1以上によって置換されていてもよいC1-C12アルキルから選ばれ;R*は、水素;C1-C6アルコキシ、ハロ、ニトロおよびシアノから選ばれる基の1以上によって置換されていてもよいC1-C12アルキル;ならびに、アルカリ金属カチオンから選ばれる]の化合物;または
(II)式
【0019】
【0020】
のC1-C12アルカノイルオキシ部分を少なくとも1つ有する化合物;
のうちの少なくとも1つの存在下で接触させて、式
【0021】
【0022】
[式中、各R1は、独立して、水素または式
【0023】
【0024】
の基である]の化合物をもたらす段階;
(B)式
【0025】
【0026】
[式中、各R1は、独立して、水素または式
【0027】
【0028】
の基である]の化合物を、強酸の存在下で一酸化炭素と接触させた後、(i)水または(ii)式R-OHのアルコールのうちの少なくとも1つでクエンチして、式
【0029】
【0030】
の化合物をもたらす段階;
(C)所望により、式
【0031】
【0032】
の化合物を酸化剤と処理して、式
【0033】
【0034】
の化合物をもたらす段階;
(D)化合物
【0035】
【0036】
のうちの少なくとも1つを、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコールおよび1,4-シクロヘキサンジメタノールからなる群より選択される二官能性ヒドロキシル化合物と反応させる段階;ならびに
(E)得られた生成物を1以上の重縮合反応段階に付してポリエステルを形成する段階;
を含む。
【0037】
[0012]本発明の他の観点は、本明細書中で開示し特許請求する通りである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
[0013]“残基”という用語は、本明細書中で用いられる場合、重縮合および/またはエステル化反応を介して対応するモノマーからポリマーに組み込まれる任意の有機構造を意味する。“繰返し単位” という用語は、本明細書中で用いられる場合、カルボニルオキシ基を介して結合しているジカルボン酸残基およびジオール残基を有する有機構造を意味する。“半結晶質” という用語は、本明細書中で用いられる場合、ポリエステルが、実質的に非晶質であるが部分的に結晶質の形態を有することを示し、ポリエステルが、実質的に不規則なポリマー領域を、若干の規則的な領域とともに含むことを意味する。本発明のポリエステルの結晶化ハーフタイムは、半結晶質としてのそれらの特徴をある程度示している。
【0039】
[0014]本発明は、第1の観点において、式(II)の繰返し単位を含む半結晶質ポリエステルを対象とする
【0040】
【0041】
[式中、Aは、脂肪族、芳香族または複素環式基であり;R1は、1,4-ブタンジオールおよび1,4-シクロヘキサンジメタノール残基からなる群より選択され;R2は、ネオペンタンジオール残基であり;mは、両端を含めて50~99であり;nは、両端を含めて1~50であり;xは、両端を含めて1~200であるか、両端を含めて80~160であり;前記半結晶質ポリエステルは、約0.3分以上、または約0.5分以上、または約0.6分以上、または約0.7分以上の最小結晶化ハーフタイムを示す]。本発明のこの観点のポリエステルは、さまざまな態様において、1以上の望ましい性能特性を示し、したがって、そのような特性において高レベルの性能が必要とされる用途および実用的要素(utility)にとりわけ有用である。
【0042】
[0015]本明細書中で用いられる“ポリエステル”は、一般に、制限なしで、ホモポリマーのほか、コポリマー、ターポリマーなどを含むことを意図しており、典型的には、二官能性カルボン酸もしくはそのエステル、しばしばジカルボン酸、またはそのような酸もしくはエステルの混合物を、二官能性ヒドロキシル化合物、しばしばジオールもしくはグリコール、またはそのようなジオールもしくはグリコールの混合物と反応させることにより調製される。あるいは、二官能性カルボン酸はヒドロキシカルボン酸であることができ、二官能性ヒドロキシル化合物は、2つのヒドロキシル置換基を持つ芳香核、例えばヒドロキノンなどであることができる。ポリエステルおよびポリエステル製造は一般に周知であり、例えば、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第7781562号に例示されている。該特許の内容および開示物を本明細書中で参考として援用する。
【0043】
[0016]上記式中の置換基または基“A”は、脂肪族基、芳香族基および複素環式基からなる基より選択される。基Aに適した例としては、限定されるものではないが、コハク酸、セバシン酸、アゼライン酸、アジピン酸、商品名Empol(登録商標)1010で市販されているもののような二量体酸、グルタル酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル酸、炭酸、ピメリン酸、ジメチルマロン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、フタル酸、スベリン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸、4,4’-スルホニル二安息香酸、ジグリコール酸、1,3-フェニレンジオキシ二酢酸、5-(ソジオスルホ)イソフタル酸および4,4’-スチルベンジカルボン酸の残基が挙げられる。
【0044】
[0017]1以上の態様において、R1およびR2は、それぞれ独立して、1,2-エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、ネオペンチルグリコール、ネオペンタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、イソソルビド、ポリ(オキシテトラメチレングリコール)、ビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジメタノールおよび1,4-ベンゼンジメタノール残基、ならびにそれらの混合物からなる群より選択される。1以上の態様において、R1は、1,2-エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノールおよびビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジメタノール残基からなる群より選択され、R2は、1,2-エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンタンジオール、ネオペンチルグリコールおよび2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール残基からなる群より選択される。1以上の態様において、R1は1,4-ブタンジオール残基である。1以上の態様において、R1は1,4-シクロヘキサンジメタノール残基である。1以上の態様において、R2はネオペンタンジオール残基である。
【0045】
[0018]“m”の値は、両端を含めて50~99、または両端を含めて65~95、または両端を含めて80~90であることができる。nの値は、両端を含めて1~50、または両端を含めて5~35、または両端を含めて10~20であることができる。xの値は、両端を含めて1~200であることができる。したがって、本発明の半結晶質ポリエステルは、他のポリエステル繰返し単位を包含していてもよい。本発明の半結晶質ポリエステルは、好ましくは、1~100mol%の上記式(II)の繰返し単位を含む。
【0046】
[0019]そのような他のポリエステル繰返し単位は当技術分野で周知であり、先に挙げた米国特許第7781562号に例示されている。手短に述べると、そのような繰返し単位は、1以上の二官能性カルボン酸および/または多官能性カルボン酸と、1以上の二官能性ヒドロキシル化合物および/または多官能性ヒドロキシル化合物との反応により調製される。典型的には、二官能性カルボン酸はジカルボン酸であることができ、二官能性ヒドロキシル化合物は、例えば、グリコールおよびジオールのような二価アルコールであることができる。“グリコール”という用語は、本出願で用いられる場合、限定されるものではないが、ジオール、グリコール、および/または多官能性ヒドロキシル化合物、例えば、分岐剤を含む。あるいは、二官能性カルボン酸は、ヒドロキシカルボン酸、例えば、p-ヒドロキシ安息香酸などであることができ、二官能性ヒドロキシル化合物は、2つのヒドロキシル置換基を持つ芳香核、例えば、ヒドロキノンなどであることができる。したがって、例えば、ジカルボン酸残基は、ジカルボン酸モノマーまたはその関連する酸ハロゲン化物、エステル、塩、無水物、またはそれらの混合物から誘導することができる。したがって、本明細書中で用いられる場合、ジカルボン酸という用語は、ポリエステルを作製するためのジオールとの反応プロセスに有用なジカルボン酸およびジカルボン酸の任意の誘導体を、その関連する酸ハロゲン化物、エステル、半エステル、塩、半塩、無水物、混合無水物、またはそれらの混合物を含めて、包含するものとする。さらに、本出願で用いられる場合、“二酸” という用語は、多官能性酸、例えば分岐剤を含む。
【0047】
[0020]上記式で繰返し単位に関して用いた表示は、任意の特定のポリマー形態を単独で指定または示すわけではないことに、留意すべきである。それでもなお、1以上の態様において、本発明のポリエステルは半結晶質ポリエステルである。
【0048】
[0021]一態様において、本発明の半結晶質ポリエステルは、約0.3分以上、または約0.5分以上、または約0.6分以上、または約0.7分以上の最小結晶化ハーフタイムを有する。
【0049】
[0022]1以上の態様において、本発明の半結晶質ポリエステルは、当技術分野で公知のDSC技術を標準的な市販の装置で用いて測定して、240℃~275℃、または255℃~275℃の融点を有する。本発明のとりわけ適した半結晶質コポリマーは、240℃~275℃の融点を有し、R1として1,4-シクロヘキサンジメタノール残基を含む。
【0050】
[0023]本発明の半結晶質ポリエステルは、1以上の態様において、改善された耐候性を示す。耐候性およびその測定のための分析法は当技術分野で周知であり、ASTM法D1435-12およびD4364-13(促進)によって例示されている。
【0051】
[0024]他の観点において、本発明は、上記式(I)の繰返し単位を含むポリエステルの形成方法を対象とする。本発明の方法は、
(A)式
【0052】
【0053】
の化合物を、(i)パラジウム化合物を含む遷移金属触媒および(ii)酸化剤と、所望により
(I)式
【0054】
【0055】
[式中、Rは、水素;ならびに、C1-C6アルコキシ、ハロ、ニトロおよびシアノから選ばれる基の1以上によって置換されていてもよいC1-C12アルキルから選ばれ;R*は、水素;C1-C6アルコキシ、ハロ、ニトロおよびシアノから選ばれる基の1以上によって置換されていてもよいC1-C12アルキル;ならびに、アルカリ金属カチオンから選ばれる]の化合物;または
(II)式
【0056】
【0057】
のC1-C12アルカノイルオキシ部分を少なくとも1つ有する化合物;
のうちの少なくとも1つの存在下で接触させて、式
【0058】
【0059】
[式中、各R1は、独立して、水素または式
【0060】
【0061】
の基である]の化合物をもたらす工程;
(B)式
【0062】
【0063】
[式中、各R1は、独立して、水素または式
【0064】
【0065】
の基である]の化合物を、強酸の存在下で一酸化炭素と接触させた後、(i)水または(ii)式R-OHのアルコールのうちの少なくとも1つでクエンチして、式
【0066】
【0067】
の化合物をもたらす工程;
(C)所望により、式
【0068】
【0069】
の化合物を酸化剤と処理して、式
【0070】
【0071】
の化合物をもたらす工程;
(D)化合物
【0072】
【0073】
のうちの少なくとも1つを、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコールおよび1,4-シクロヘキサンジメタノールからなる群より選択される二官能性ヒドロキシル化合物と反応させる工程;ならびに
(E)得られた生成物を1以上の重縮合反応工程に付してポリエステルを形成する工程;
を含む。
【0074】
[0025]適した化合物およびそれらの製造方法は当技術分野で公知であり、例えば、本発明の譲受人に譲渡されたWO2018/075301 A1号に記載されている。該特許の内容および開示物を本明細書中で参考として援用する。とりわけ適した化合物は、4-(メトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボン酸およびジメチルビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジカルボキシレートからなる群より選択されるビシクロ[2.2.2]オクタン化合物である。
【0075】
[0026]本発明は、他の観点において、式(II)の繰返し単位を含む半結晶質ポリエステルを含む組成物を対象とする
【0076】
【0077】
[式中、Aは、脂肪族、芳香族または複素環式基であり;R1は、1,4-ブタンジオール残基および1,4-シクロヘキサンジメタノール残基からなる群より選択され;R2は、ネオペンタンジオール残基であり;mは、両端を含めて50~99であり;nは、両端を含めて1~50であり;xは、両端を含めて1~200であるか、両端を含めて80~160であり;前記半結晶質ポリエステルは、約0.3分以上、または約0.5分以上、または約0.6分以上、または約0.7分以上の最小結晶化ハーフタイムを示す]。
【0078】
[0027]本発明の組成物は、好ましくは、少なくとも5重量パーセント、または少なくとも10重量パーセント、または少なくとも20重量パーセント、または少なくとも30重量パーセント、または少なくとも40重量パーセント、または少なくとも50重量パーセントの本発明の半結晶質ポリエステルを含むことができる。
【0079】
[0028]本発明の組成物はさらに、少なくとも1つの他のポリマーを包含していてもよい。本発明の組成物に適したポリマーとしては、非限定的な例として、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリスチレン、セルロースエステル、ポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。
【0080】
[0029]本発明の組成物はまた、1以上の他の従来の添加剤および成分を含有することができる。例えば、強化材(reinforcement)、離型剤、充填剤、表面摩擦改良剤、光安定剤および熱安定剤、押し出し助剤、帯電防止剤、着色剤、染料、顔料、蛍光増白剤、抗菌剤、偽造防止マーカー、疎水性および親水性増強剤、粘度調整剤、スリップ剤、強化剤(toughener)、付着促進剤などのような添加剤を用いることができる。着色剤は、トナーと呼ばれることもあり、望ましいニュートラル色相および/または明度を、そのような特徴を指定している最終用途で施用される組成物に付与するために加えることができる。これらのような所望による成分、およびそれらの選択濃度は、典型的には、個々の組成物の特定の最終用途の仕様および適応性に基づいて選択される。
【0081】
[0030]他の態様において、本発明は、本発明の半結晶質ポリエステルを含むフィルムを対象とする。一態様において、フィルムは単層フィルムである。本発明のフィルムは、一態様において、1mil~約14milの厚さを有する。本発明のフィルムは、米国特許第5958581号に例示されているような当技術分野で周知の方法によって製造することができる。該特許の内容および開示物を本明細書中で参考として援用する。本発明のフィルムの重要な特徴は、一軸延伸または二軸延伸することができるという点である。延伸ポリエステルフィルムを製造するための方法および装置ならびに延伸ポリエステルフィルム自体は、当技術分野で周知であり、例えば米国特許第4020141号および第6368532号に記載されている。該特許の内容および開示物を本明細書中で参考として援用する。したがって、1以上の態様において、本発明のフィルムは、二軸延伸フィルムまたは二軸延伸単層フィルムである。
【0082】
[0031]本発明のフィルムは、一般に、フィルムが長期にわたり風雨、直射日光および/または紫外線に暴露される最終用途での施用に有用であることができる。したがって、例示的で非限定的な一例において、本発明のフィルムは、太陽電池モジュールのバックシートとして有用である。太陽電池モジュールおよびその製造ならびにモジュールのバックシートは、一般に、米国特許第9082912B2号および米国公開特許出願第2008/0053512A1号に例示されているように、当技術分野で公知である。これらの内容および開示物を本明細書中で参考として援用する。
【0083】
[0032]他の観点において、本発明は、本発明の半結晶質ポリエステルを含む射出成形品を対象とする。射出成形品は、例えば、米国特許第5707667号および第3533594号に記載されているような公知の従来の射出成形法および装置を用いて形成される任意の物品である。該特許の内容および開示物を本明細書中で参考として援用する。
【0084】
[0033]以下の実施例は、特殊性を例示し、本発明の多くの観点および利点を詳述するために提供されるが、決して本発明の範囲を限定すると解釈されるものではない。当業者なら、本発明の範囲を逸脱する変動、修正および適応を容易に理解するであろう。これらの実施例の全体を通して、示されたパラメーターの測定において、これらのパラメーターを実際に測定する場合は、以下の実験技術および分析技術を採用した:
[0034]ポリエステルのインヘレント粘度は、25℃において0.5g/100mLの濃度の60/40(重量/重量)のフェノール/テトラクロロエタンで決定した。
【0085】
[0035]融解温度(Tm)およびガラス転移温度(Tg)は、TA Instruments Q2000モデル示差走査熱量計(DSC)を用いて決定した。約3mgの試料を秤量し、アルミニウムパンに入れた。上部に適した蓋を置き、所定の位置に押しつけた (crimp)。その後、対照となる空のアルミニウムパンと共に試料をDSCセルに入れた。炉蓋をセル上に置き、温度走査を開始した。機器により試料を0℃に冷却して、第1の加熱走査を開始した。この加熱走査の間に、試料を20℃/分の速度で最高温度まで加熱した後、等温的に1分間保持して、確実に試料を完全に溶融させた。つぎに、機器により試料を20℃/分の速度で0℃まで冷却し、等温的に30秒間保持して、機器をそのまま平衡化させた。その後、試料の2回目の加熱を20℃/分の速度で最高温度まで行った。データをUniversal Analysisソフトウェアに移し、ガラス転移温度(Tg)、加熱による結晶化(Tch)、Tm、または冷却による結晶化(Tcc)などの転移を統合した。
【0086】
[0036]結晶化ハーフタイムは、Perkin Elmer 8500 DSC機器で測定した。測定は、温度に対する試料の熱流を測定することにより行った。試料を調製したら、Pyrusオペレーティングソフトウェアを開き、適切な識別情報をインプットした。試料を、対照となる空のパンと共にDSCセルに入れた。炉蓋を所定の位置に置き、試験を開始した。機器により試料を0℃からTmaxに加熱し、Tmaxで等温的に2分間保持して、確実に試料を完全に溶融させた。その後、到達するように設計されている機器の最高速度、最高600℃/分で、試料を第1の指定結晶化温度まで冷却し、所定の時間、典型的には30分間にわたり等温的に保持した。追加的な結晶化温度が存在する場合、試料を600℃/分の速度でTmaxに再加熱し、等温的に2分間保持することになる。その後、先に記載したように、次の結晶化温度まで冷却する。この加熱、冷却および等温保持のパターンを、すべての結晶化温度が試験されるまで続けることになる。試験が終了したら、熱流対時間のグラフ上で、等温保持の開始と結晶化ピークの極大を統合することにより、データを解析した。等温保持の開始時間をピークの極大の時間から差し引き、結果は結晶化温度における結晶化ハーフタイムであった。“最小結晶化ハーフタイム”(本明細書中でt1/2と表すこともある)は、所定の結晶化温度において達成可能な最大結晶化度のほぼ半分を達成するのに要する最小時間である。t1/2は結晶化温度Tcに部分的に依存し、t1/2は、典型的にはガラス転移温度(Tg)と融解温度(Tm)のほぼ中間の温度においてその最小値、すなわち、最高結晶化速度である。
【実施例】
【0087】
実施例1(対照)
[0037]0.10molの4-(メトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボン酸、0.15molの1,4-ブタンジオール、0.0029gの酸化チタンの混合物のモノマー組成物を、窒素用の入口、金属スターラー、および短い蒸留塔を備える250mLフラスコに入れた。該フラスコを200℃の金属浴に入れた。撹拌速度を200RPMに設定した。フラスコの内容物を200℃で5分間加熱した後、温度を3時間かけて徐々に255℃まで上昇させた。反応混合物を255℃で10分間保持した後、続いて10分間にわたり、フラスコ内部の圧力が100mmHgに達するまで徐々に減圧した。続いて5分間にわたり、フラスコ内部の圧力をさらに0.5mmHgに低下させた。撹拌速度を100RPMに設定した。0.5mmHgの圧力を3時間の合計時間にわたり維持して、過剰な未反応ジオールを除去した。0.872のIV、53.6℃のTg、および193.6℃のTmを有するポリエステル(ポリ(1,4-ブチレン1,4-ビシクロ[2.2.2]オクタンジカルボキシレート)を得た。急速な結晶化が観察され、したがって、結晶化ハーフタイムは測定されなかった。
実施例2
[0038]実施例1に記載のポリエステルの形成に用いた手順を、以下のモノマー組成物を用いて実施例2で使用した:0.10molのジメチルビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジカルボキシレート、0.135molの1,4-ブタンジオール、および0.015molのネオペンチルグリコール。0.905のIV、47.0℃のTg、および182.0℃のTmを有するポリエステル(ポリ[(1,4-ブチレン1,4-ビシクロ[2.2.2]オクタンジカルボキシレート)-コ-(ネオペンチレン1,4-ビシクロ[2.2.2]オクタンジカルボキシレート)]、1,4-ブチレン:ネオペンチレン=90:10)を得た。その後、この材料の結晶化ハーフタイムを複数の温度で測定し、測定した結晶化ハーフタイムは以下のとおりであった:80℃で2.1分、90℃で1.0分、100℃で0.7分、105℃で0.6分、110℃で0.6分、115℃で0.7分、120℃で0.8分、130℃で1.3分、および140℃で2.1分。したがって、試料は0.6分の最小結晶化ハーフタイムによって特徴付けられる。
【0088】
実施例3
[0039]実施例1に記載のポリエステルの形成に用いた手順を、以下のモノマー組成物を用いて実施例3で使用した:0.10molのジメチルビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジカルボキシレート、0.132molの1,4-ブタンジオール、および0.018molのネオペンチルグリコール。0.998のIV、48.0℃のTg、および165.0℃のTmを有するポリエステル(ポリ[(1,4-ブチレン1,4-ビシクロ[2.2.2]オクタンジカルボキシレート)-コ-(ネオペンチレン1,4-ビシクロ[2.2.2]オクタンジカルボキシレート)]、1,4-ブチレン:ネオペンチレン=88:12)を得た。その後、この材料の結晶化ハーフタイムを複数の温度で測定し、測定した結晶化ハーフタイムは以下のとおりであった:80℃で0.9分、90℃で0.4分、100℃、105℃、110℃および115℃で0.3分、120℃で0.4分、130℃で0.9分、および140℃で1.7分。したがって、試料は0.3分の最小結晶化ハーフタイムによって特徴付けられる。
実施例4
[0040]実施例1に記載のポリエステルの形成に用いた手順を、以下のモノマー組成物を用いて実施例4で使用した:0.10molのジメチルビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジカルボキシレート、0.128molの1,4-ブタンジオール、および0.023molのネオペンチルグリコール。0.904のIV、42.0℃のTg、および151.0℃のTmを有するポリエステル(ポリ[(1,4-ブチレン1,4-ビシクロ[2.2.2]オクタンジカルボキシレート)-コ-(ネオペンチレン1,4-ビシクロ[2.2.2]オクタンジカルボキシレート)]、1,4-ブチレン:ネオペンチレン=85:15)を得た。その後、この材料の結晶化ハーフタイムを複数の温度で測定し、測定した結晶化ハーフタイムは以下のとおりであった:80℃で10.8分、90℃で5.8分、100℃で4.6分、105℃で4.5分、110℃で4.9分、115℃で5.6分、120℃で7.2分、130℃で14.2分、および140℃で20.0分。したがって、試料は4.5分の最小結晶化ハーフタイムによって特徴付けられる。
【0089】
実施例5(対照)
[0041]0.10molの4-(メトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボン酸、0.11molの1,4-シクロヘキサンジメタノール(シス/トランス=31/69)、0.0029gの酸化チタンの混合物を、窒素用の入口、金属スターラー、および短い蒸留塔を備える250mLフラスコに入れた。該フラスコを200℃の金属浴に入れた。撹拌速度を200RPMに設定した。フラスコの内容物を200℃で5分間加熱した後、温度を3時間かけて徐々に255℃まで上昇させた。温度を、さらに10分かけて徐々に280℃まで上昇させた。反応混合物を280℃で保持した。フラスコ内部の圧力を5分かけて400mmHgに低下させた。圧力をさらに100mmHgに低下させ、撹拌速度を5分かけて100RPMに低下させた。圧力をさらに0.5mmHgに低下させ、撹拌速度を5分かけて50RPMに低下させた。0.5mmHgの圧力を3時間の合計時間にわたり維持して、過剰な未反応ジオールを除去した。0.629のIV、131℃のTg、および299.0℃のTmを有するポリエステル(ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレン1,4-ビシクロ[2.2.2]オクタンジカルボキシレート)を得た。その後、この材料の結晶化ハーフタイムを複数の温度で測定し、測定した結晶化ハーフタイムは以下のとおりであった:210℃で0.1分、220℃で0.2分、および230℃で0.3分。この材料の170℃、180℃、190℃および200℃における結晶化ハーフタイムは短すぎて(0.1分未満)正確に決定できなかった。
実施例6
[0042]実施例5に記載のポリエステルの形成に用いた手順を、以下のモノマー組成物を用いて実施例7で使用した:0.10molの4-(メトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボン酸、0.097molの1,4-シクロヘキサンジメタノール(シス/トランス=31/69)、および0.018molのネオペンチルグリコール。0.689のIV、123℃のTg、および274℃のTmを有するポリエステル(ポリ[(1,4-シクロヘキサンジメチレン1,4-ビシクロ[2.2.2]オクタンジカルボキシレート)-コ-(ネオペンチレン1,4-ビシクロ[2.2.2]オクタンジカルボキシレート)]、1,4-シクロヘキサンジメチレン:ネオペンチレン=88:12)を得た。その後、この材料の結晶化ハーフタイムを複数の温度で測定し、測定した結晶化ハーフタイムは以下のとおりであった:160℃で2.4分、170℃で1.4分、175℃で0.5分、185℃で0.4分、195℃で0.4分、205℃で0.5分、および215℃で0.8分。したがって、試料は0.4分の最小結晶化ハーフタイムによって特徴付けられた。
【0090】
実施例7
[0043]実施例5に記載のポリエステルの形成に用いた手順を、以下のモノマー組成物を用いて実施例8で使用した:0.10molの4-(メトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボン酸、0.096molの1,4-シクロヘキサンジメタノール(シス/トランス=31/69)、および0.023molのネオペンチルグリコール。0.610のIV、110℃のTg、および255℃のTmを有するポリエステル(ポリ[(1,4-シクロヘキサンジメチレン1,4-ビシクロ[2.2.2]オクタンジカルボキシレート)-コ-(ネオペンチレン1,4-ビシクロ[2.2.2]オクタンジカルボキシレート)]、1,4-シクロヘキサンジメチレン:ネオペンチレン=85:15)を得た。その後、この材料の結晶化ハーフタイムを複数の温度で測定し、測定した結晶化ハーフタイムは以下のとおりであった:160℃で13.4分、170℃で7.1分、180℃で6.1分、190℃で6.0分、および200℃で7.8分。したがって、試料は6.0分の最小結晶化ハーフタイムによって特徴付けられた。
実施例8(対照)
[0044]実施例5に記載のポリエステルの形成に用いた手順を、以下のモノマー組成物を用いて実施例9で使用した:0.10molの4-(メトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-1-カルボン酸、0.088molの1,4-シクロヘキサンジメタノール(シス/トランス=31/69)、および0.030molのネオペンチルグリコール。0.765のIV、116℃のTg、および244℃のTmを有するポリエステル(ポリ[(1,4-シクロヘキサンジメチレン1,4-ビシクロ[2.2.2]オクタンジカルボキシレート)-コ-(ネオペンチレン1,4-ビシクロ[2.2.2]オクタンジカルボキシレート)]、1,4-シクロヘキサンジメチレン:ネオペンチレン=80:20)を得た。110℃~200℃でのこの材料の結晶化ハーフタイムは著しく遅く(30分を超える)、したがって、決定しなかった。
【0091】
[0045]本発明のさまざまな態様の上記説明は、例示および説明の目的のために提示した。それは、包括的である、または本発明を開示した態様に厳密に限定するものではない。上記教示を考慮すると、多くの修正または変動が可能である。検討した態様は、本発明の原理およびその適用の最良の例示を提供し、これにより、当業者が、さまざまな態様において、企図される特定用途に合うようにさまざまな修正を加えて、本発明を利用することが可能になるように、選択し、記載した。そのような修正および変動はすべて、それらが適正、合法的および公正に権利が与えられる全幅に従って解釈すると、添付の特許請求の範囲によって決定される本発明の範囲内にある。
本明細書は以下の発明の開示を包含する。
[項目1]式:
【化1】
の繰返し単位を含む半結晶質ポリエステル
[式中、Aは、脂肪族、芳香族または複素環式基であり;R
1
は、1,4-ブタンジオール残基および1,4-シクロヘキサンジメタノール残基からなる群より選択され;R
2
は、ネオペンタンジオール残基であり;mは、両端を含めて50~99であり;nは、両端を含めて1~50であり;xは、両端を含めて1~200であり;前記半結晶質ポリエステルは、約0.3分以上の最小結晶化ハーフタイムを示す]。
[項目2]前記最小結晶化ハーフタイムが0.5分以上である、項目1に記載の半結晶質ポリエステル。
[項目3]前記最小結晶化ハーフタイムが0.6分以上である、項目2に記載の半結晶質ポリエステル。
[項目4]前記半結晶質ポリエステルが240℃~275℃の融点を有する、項目1に記載の半結晶質ポリエステル。
[項目5]R
1
が1,4-ブタンジオール残基である、項目1に記載の半結晶質ポリエステル。
[項目6]R
1
が1,4-シクロヘキサンジメチル残基である、項目1に記載の半結晶質ポリエステル。
[項目7]mが、両端を含めて65~95である、項目1に記載の半結晶質ポリエステル。
[項目8]nが、両端を含めて5~35である、項目1に記載の半結晶質ポリエステル。
[項目9]nが、両端を含めて10~20である、項目1に記載の半結晶質ポリエステル。
[項目10]項目1に記載の半結晶質ポリエステルを含む組成物。
[項目11]さらに、強化材、離型剤、充填剤、表面摩擦改良剤、光安定剤および熱安定剤、押し出し助剤、帯電防止剤、着色剤、染料、顔料、蛍光増白剤、抗菌剤、偽造防止マーカー、疎水性および親水性増強剤、粘度調整剤、スリップ剤、強化剤、付着促進剤、トナーおよび着色剤からなる群より選択される少なくとも1つの成分を含む、項目10に記載の組成物。
[項目12]項目1に記載の半結晶質ポリエステルを含むフィルム。
[項目13]前記フィルムが単層フィルムである、項目12に記載のフィルム。
[項目14]前記単層フィルムが二軸延伸されている、項目13に記載のフィルム。
[項目15]前記フィルムが太陽電池モジュールのバックシートである、項目12に記載のフィルム。
[項目16]前記単層フィルムが太陽電池モジュールのバックシートである、項目12に記載のフィルム。
[項目17]項目12に記載のフィルムを含む太陽電池モジュール。
[項目18]項目1に記載の半結晶質ポリエステルを含む射出成形品。