(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】電気加熱式担体及び排気ガス浄化装置
(51)【国際特許分類】
F01N 3/20 20060101AFI20241127BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20241127BHJP
B01J 27/224 20060101ALI20241127BHJP
B01J 35/50 20240101ALI20241127BHJP
B01J 35/57 20240101ALI20241127BHJP
F01N 3/28 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
F01N3/20 K
B01D53/94 222
B01D53/94 245
B01D53/94 280
B01D53/94 300
B01D53/94 ZAB
B01J27/224 A
B01J35/50 311
B01J35/57 F
F01N3/28 301Z
(21)【出願番号】P 2021561152
(86)(22)【出願日】2020-07-06
(86)【国際出願番号】 JP2020026464
(87)【国際公開番号】W WO2021106261
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-02-25
【審判番号】
【審判請求日】2023-09-07
(31)【優先権主張番号】P 2019215777
(32)【優先日】2019-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】水野 航
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 尚哉
【合議体】
【審判長】山本 信平
【審判官】北村 亮
【審判官】河端 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-74589(JP,A)
【文献】特開2018-172258(JP,A)
【文献】特開2003-347012(JP,A)
【文献】特開2016-14395(JP,A)
【文献】特開2019-171345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/20,F01N 3/28,B01D 53/94,B01J 27/224,B01J 35/50,B01J 35/57
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周壁と、前記外周壁の内側に配設され、一方の端面から他方の端面まで貫通して流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁と、を有するセラミックス製の柱状ハニカム構造体と、
前記柱状ハニカム構造体の外周壁の表面に配設されている電極層と、
前記電極層上に設けられている導電性の下地層と、
前記下地層上に接合部位により接続されている金属電極と、
前記接合部位を排気ガスから保護するための酸化防止層と、
を備え、
前記酸化防止層が、前記下地層と前記金属電極との間隙をシールするように前記電極層の外表面から前記金属電極の外表面に亘る方向において、
少なくとも前記下地層の側面の途中から前記金属電極の外表面の一部に亘って設けられている電気加熱式担体。
【請求項2】
外周壁と、前記外周壁の内側に配設され、一方の端面から他方の端面まで貫通して流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁と、を有するセラミックス製の柱状ハニカム構造体と、
前記柱状ハニカム構造体の外周壁の表面に配設されている電極層と、
前記電極層上に設けられている導電性の下地層と、
前記下地層上に接合部位により接続されている金属電極と、
前記接合部位を排気ガスから保護するための酸化防止層と、
を備え、
前記酸化防止層が、前記下地層と前記金属電極との間において、前記接合部位から離間して設けられている電気加熱式担体。
【請求項3】
前記柱状ハニカム構造体の外周壁の表面に配設された電極層が、前記柱状ハニカム構造体の外周壁の表面に、前記柱状ハニカム構造体の中心軸を挟んで対向するように配設されている一対の電極層である請求項1
または2に記載の電気加熱式担体。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか一項に記載の電気加熱式担体と、
前記電気加熱式担体を保持するための金属製の筒状部材と、
を有する排気ガス浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気加熱式担体及び排気ガス浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エンジン始動直後の排気ガス浄化性能の低下を改善するため、電気加熱触媒(EHC)が提案されている。EHCは、例えば、導電性セラミックスからなる柱状のハニカム構造体に金属電極を接続し、通電によりハニカム構造体自体を発熱させることで、エンジン始動前に触媒の活性温度まで昇温できるようにしたものである。EHCにおいては、触媒効果を十分に得られるようにするために、ハニカム構造体内での温度ムラを少なくして均一な温度分布にすることが望まれている。
【0003】
EHCに電流を流すためには、外部配線に接続された金属電極をEHCに接合させる必要がある。その接合方法としては、溶射による固定、レーザー溶接、またはロウ付け等がある。
【0004】
また、特許文献1には、金属端子(金属電極)側から熱エネルギーを加えて、ハニカム構造体の電極層上に、溶接によって金属電極を接合する技術が開示されている。そして、このような構成によれば、金属電極との接合信頼性を向上させた導電性ハニカム構造体を提供することができると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、電極層に応力緩和層(下地層)を設けて、溶接時の破損や熱サイクルによるセラミックス製ハニカム構造部への繰り返し疲労を軽減している。しかしながら、EHCは、通常、自動車等の排気ガス雰囲気中の高温下(800~1000℃)で使用されるため、溶接部位などの接合部位では接合時のエネルギーによって物性が変化しているため、この接合部位が自動車等の排気ガスに曝されると耐酸化性が低下しやすい。その結果、下地層によって応力緩和は可能であるが、酸化による材料強度が低下してしまい、接合部位が破損してしまう問題が生じる可能性がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みて創作されたものであり、下地層と金属電極とを接続する接合部位の酸化を良好に抑制することが可能な電気加熱式担体及び排気ガス浄化装置を提供することを課題とする。また、本発明は、金属電極を電極層に固定する固定層の酸化を良好に抑制することが可能な電気加熱式担体及び排気ガス浄化装置を提供することを別の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は鋭意検討したところ、下地層と金属電極とを接続する接合部位を排気ガスから保護するための酸化防止層を設けることで、上記課題が解決されることを見出した。すなわち、本発明は以下のように特定される。
(1)外周壁と、前記外周壁の内側に配設され、一方の端面から他方の端面まで貫通して流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁と、を有するセラミックス製の柱状ハニカム構造体と、
前記柱状ハニカム構造体の外周壁の表面に配設されている電極層と、
前記電極層上に設けられている導電性の下地層と、
前記下地層上に接合部位により接続されている金属電極と、
前記接合部位を排気ガスから保護するための酸化防止層と、
を備えた電気加熱式担体。
(2)外周壁と、前記外周壁の内側に配設され、一方の端面から他方の端面まで貫通して流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁と、を有するセラミックス製の柱状ハニカム構造体と、
前記柱状ハニカム構造体の外周壁の表面に配設されている電極層と、
前記電極層上に設けられている金属電極と、
前記金属電極を覆うように設けられ、前記金属電極を前記電極層に固定する固定層と、
前記固定層を覆うように設けられている酸化防止層と、
を備えた電気加熱式担体。
(3)(1)または(2)に記載の電気加熱式担体と、
前記電気加熱式担体を保持するための金属製の筒状部材と、
を有する排気ガス浄化装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、下地層と金属電極とを接続する接合部位の酸化を良好に抑制することが可能な電気加熱式担体及び排気ガス浄化装置を提供することができる。また、本発明によれば、金属電極を電極層に固定する固定層の酸化を良好に抑制することが可能な電気加熱式担体及び排気ガス浄化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態における電気加熱式担体のセルの延伸方向に垂直な断面模式図である。
【
図2】本発明の実施形態における柱状ハニカム構造体及び電極層の外観模式図である。
【
図3】本発明の実施形態における電気加熱式担体の下地層の配置例を示す平面模式図である。
【
図4】本発明の実施形態における柱状ハニカム構造体、電極層、下地層、接合部位、金属電極及び酸化防止層の断面模式図である。
【
図5】本発明の実施形態における柱状ハニカム構造体、電極層、下地層、接合部位、金属電極及び酸化防止層の断面模式図である。
【
図6】本発明の実施形態における柱状ハニカム構造体、電極層、下地層、接合部位、金属電極及び酸化防止層の断面模式図である。
【
図7】本発明の実施形態における柱状ハニカム構造体、電極層、下地層、接合部位、金属電極及び酸化防止層の断面模式図である。
【
図8】本発明の実施形態における柱状ハニカム構造体、電極層、下地層、接合部位、金属電極及び酸化防止層の断面模式図である。
【
図9】本発明の実施形態における柱状ハニカム構造体、電極層、下地層、接合部位、金属電極及び酸化防止層の断面模式図である。
【
図10】本発明の実施形態における柱状ハニカム構造体、電極層、下地層、接合部位、金属電極及び酸化防止層の断面模式図である。
【
図11】本発明の実施形態における柱状ハニカム構造体の下地層と金属電極とをレーザー溶接等によって接合する様子を表す模式図である。
【
図12】本発明の実施形態における柱状ハニカム構造体、電極層、固定層、金属電極及び酸化防止層の断面模式図である。
【
図13】本発明の実施形態における柱状ハニカム構造体、電極層、下地層、接合部位、金属電極及び酸化防止層の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0012】
(1.電気加熱式担体)
図1は、本発明の実施形態における電気加熱式担体10のセル18の延伸方向に垂直な断面模式図である。電気加熱式担体10は、柱状ハニカム構造体11と、柱状ハニカム構造体11の外周壁12の表面に配設された電極層13a、13bと、電極層13a、13b上に設けられた下地層16と、下地層16と接合部位20により接続されている金属電極14a、14bと、接合部位20を排気ガスから保護するための酸化防止層21とを備えている。
図1では、接合部位20と、接合部位20を排気ガスから保護するための酸化防止層21とが簡略化されているが、本発明の実施形態における電気加熱式担体10では種々の形態を有しており、後述の各実施形態において図面と共に詳述する。
【0013】
(1-1.柱状ハニカム構造体)
図2は本発明の実施形態における柱状ハニカム構造体11及び電極層13a、13bの外観模式図を示すものである。柱状ハニカム構造体11は、外周壁12と、外周壁12の内側に配設され、一方の端面から他方の端面まで貫通して流路を形成する複数のセル18を区画形成する隔壁19とを有する。
【0014】
柱状ハニカム構造体11の外形は柱状である限り特に限定されず、例えば、底面が円形の柱状(円柱形状)、底面がオーバル形状の柱状、底面が多角形(四角形、五角形、六角形、七角形、八角形等)の柱状等の形状とすることができる。また、柱状ハニカム構造体11の大きさは、耐熱性を高める(外周壁の周方向に入るクラックを抑制する)という理由により、底面の面積が2000~20000mm2であることが好ましく、5000~15000mm2であることが更に好ましい。
【0015】
柱状ハニカム構造体11は、セラミックス製であり、導電性を有する。導電性の柱状ハニカム構造体11が通電してジュール熱により発熱可能である限り、当該セラミックスの電気抵抗率については特に制限はないが、1~200Ωcmであることが好ましく、10~100Ωcmであることが更に好ましい。本発明において、柱状ハニカム構造体11の電気抵抗率は、四端子法により400℃で測定した値とする。
【0016】
柱状ハニカム構造体11の材質としては、限定的ではないが、アルミナ、ムライト、ジルコニア及びコージェライト等の酸化物系セラミックス、炭化珪素、窒化珪素及び窒化アルミ等の非酸化物系セラミックスからなる群から選択することができる。また、炭化珪素-金属珪素複合材や炭化珪素/グラファイト複合材等を用いることもできる。これらの中でも、耐熱性と導電性の両立の観点から、柱状ハニカム構造体11の材質は、珪素-炭化珪素複合材又は炭化珪素を主成分とするセラミックスを含有していることが好ましい。柱状ハニカム構造体11の材質が、珪素-炭化珪素複合材を主成分とするものであるというときは、柱状ハニカム構造体11が、珪素-炭化珪素複合材(合計質量)を、全体の90質量%以上含有していることを意味する。ここで、珪素-炭化珪素複合材は、骨材としての炭化珪素粒子、及び炭化珪素粒子を結合させる結合材としての珪素を含有するものであり、複数の炭化珪素粒子が、炭化珪素粒子間に細孔を形成するようにして、珪素によって結合されていることが好ましい。柱状ハニカム構造体11の材質が、炭化珪素を主成分とするものであるというときは、柱状ハニカム構造体11が、炭化珪素(合計質量)を、全体の90質量%以上含有していることを意味する。
【0017】
柱状ハニカム構造体11が、珪素-炭化珪素複合材を含んでいる場合、柱状ハニカム構造体11に含有される「骨材としての炭化珪素粒子の質量」と、柱状ハニカム構造体11に含有される「結合材としての珪素の質量」との合計に対する、柱状ハニカム構造体11に含有される「結合材としての珪素の質量」の比率が、10~40質量%であることが好ましく、15~35質量%であることが更に好ましい。10質量%以上であると、柱状ハニカム構造体11の強度が十分に維持される。40質量%以下であると、焼成時に形状を保持しやすくなる。
【0018】
セル18の延伸方向に垂直な断面におけるセルの形状に制限はないが、四角形、六角形、八角形、又はこれらの組み合わせであることが好ましい。これらのなかでも、四角形及び六角形が好ましい。セルの形状をこのようにすることにより、柱状ハニカム構造体11に排気ガスを流したときの圧力損失が小さくなり、触媒の浄化性能が優れたものとなる。構造強度及び加熱均一性を両立させやすいという観点からは、四角形が特に好ましい。
【0019】
セル18を区画形成する隔壁19の厚みは、0.1~0.3mmであることが好ましく、0.15~0.25mmであることがより好ましい。隔壁19の厚みが0.1mm以上であることで、ハニカム構造体の強度が低下するのを抑制可能である。隔壁19の厚みが0.3mm以下であることで、ハニカム構造体を触媒担体として用いて、触媒を担持した場合に、排気ガスを流したときの圧力損失が大きくなるのを抑制できる。本発明において、隔壁19の厚みは、セル18の延伸方向に垂直な断面において、隣接するセル18の重心同士を結ぶ線分のうち、隔壁19を通過する部分の長さとして定義される。
【0020】
柱状ハニカム構造体11は、セル18の流路方向に垂直な断面において、セル密度が40~150セル/cm2であることが好ましく、70~100セル/cm2であることが更に好ましい。セル密度をこのような範囲にすることにより、排気ガスを流したときの圧力損失を小さくした状態で、触媒の浄化性能を高くすることができる。セル密度が40セル/cm2以上であると、触媒担持面積が十分に確保される。セル密度が150セル/cm2以下であると柱状ハニカム構造体11を触媒担体として用いて、触媒を担持した場合に、排気ガスを流したときの圧力損失が大きくなりすぎることが抑制される。セル密度は、外周壁12部分を除く柱状ハニカム構造体11の一つの底面部分の面積でセル数を除して得られる値である。
【0021】
柱状ハニカム構造体11の外周壁12を設けることは、柱状ハニカム構造体11の構造強度を確保し、また、セル18を流れる流体が外周壁12から漏洩するのを抑制する観点で有用である。具体的には、外周壁12の厚みは好ましくは0.1mm以上であり、より好ましくは0.15mm以上、更により好ましくは0.2mm以上である。但し、外周壁12を厚くしすぎると高強度になりすぎてしまい、隔壁19との強度バランスが崩れて耐熱衝撃性が低下することから、外周壁12の厚みは好ましくは1.0mm以下であり、より好ましくは0.7mm以下であり、更により好ましくは0.5mm以下である。ここで、外周壁12の厚みは、厚みを測定しようとする外周壁12の箇所をセルの延伸方向に垂直な断面で観察したときに、当該測定箇所における外周壁12の接線に対する法線方向の厚みとして定義される。
【0022】
隔壁19は多孔質とすることができる。隔壁19の気孔率は、35~60%であることが好ましく、35~45%であることが更に好ましい。気孔率が35%以上であると、焼成時の変形をより抑制しやすくなる。気孔率が60%以下であるとハニカム構造体の強度が十分に維持される。気孔率は、水銀ポロシメータにより測定した値である。
【0023】
柱状ハニカム構造体11の隔壁19の平均細孔径は、2~15μmであることが好ましく、4~8μmであることが更に好ましい。平均細孔径が2μm以上であると、電気抵抗率が大きくなりすぎることが抑制される。平均細孔径が15μm以下であると、電気抵抗率が小さくなりすぎることが抑制される。平均細孔径は、水銀ポロシメータにより測定した値である。
【0024】
(1-2.電極層)
柱状ハニカム構造体11の外周壁12の表面に、電極層13a、13bが配設されている。電極層13a、13bは、柱状ハニカム構造体11の中心軸を挟んで対向するように配設された一対の電極層13a、13bであってもよい。
【0025】
電極層13a、13bの形成領域に特段の制約はないが、柱状ハニカム構造体11の均一発熱性を高めるという観点からは、各電極層13a、13bは外周壁12の外面上で外周壁12の周方向及びセルの延伸方向に帯状に延設することが好ましい。具体的には、各電極層13a、13bは、柱状ハニカム構造体11の両底面間の80%以上の長さに亘って、好ましくは90%以上の長さに亘って、より好ましくは全長に亘って延びていることが、電極層13a、13bの軸方向へ電流が広がりやすいという観点から望ましい。
【0026】
各電極層13a、13bの厚みは、0.01~5mmであることが好ましく、0.01~3mmであることが更に好ましい。このような範囲とすることにより均一発熱性を高めることができる。各電極層13a、13bの厚みが0.01mm以上であると、電気抵抗が適切に制御され、より均一に発熱することができる。5mm以下であると、キャニング時に破損する恐れが低減される。各電極層13a、13bの厚みは、厚みを測定しようとする電極層13a、13bの箇所をセルの延伸方向に垂直な断面で観察したときに、各電極層13a、13bの外面の当該測定箇所における接線に対する法線方向の厚みとして定義される。
【0027】
各電極層13a、13bの電気抵抗率を柱状ハニカム構造体11の電気抵抗率より低くすることにより、電極層13a、13bに優先的に電気が流れやすくなり、通電時に電気がセルの流路方向及び周方向に広がりやすくなる。電極層13a、13bの電気抵抗率は、柱状ハニカム構造体11の電気抵抗率の1/10以下であることが好ましく、1/20以下であることがより好ましく、1/30以下であることが更により好ましい。但し、両者の電気抵抗率の差が大きくなりすぎると対向する電極層13a、13bの端部間に電流が集中して柱状ハニカム構造部の発熱が偏ることから、電極層13a、13bの電気抵抗率は、柱状ハニカム構造体11の電気抵抗率の1/200以上であることが好ましく、1/150以上であることがより好ましく、1/100以上であることが更により好ましい。本発明において、電極層13a、13bの電気抵抗率は、四端子法により400℃で測定した値とする。
【0028】
各電極層13a、13bの材質は、金属、導電性セラミックス、又は金属及び導電性セラミックスとの複合材(サーメット)を使用することができる。金属としては、例えばCr、Fe、Co、Ni、Si又はTiの単体金属又はこれらの金属よりなる群から選択される少なくとも一種の金属を含有する合金が挙げられる。導電性セラミックスとしては、限定的ではないが、炭化珪素(SiC)が挙げられ、珪化タンタル(TaSi2)及び珪化クロム(CrSi2)等の金属珪化物等の金属化合物が挙げられる。金属及び導電性セラミックスとの複合材(サーメット)の具体例としては、金属珪素と炭化珪素の複合材、珪化タンタルや珪化クロム等の金属珪化物と金属珪素と炭化珪素の複合材、更には上記の一種又は二種以上の金属に熱膨張低減の観点から、アルミナ、ムライト、ジルコニア、コージェライト、窒化珪素及び窒化アルミ等の絶縁性セラミックスを一種又は二種以上添加した複合材が挙げられる。電極層13a、13bの材質としては、上記の各種金属及び導電性セラミックスの中でも、珪化タンタルや珪化クロム等の金属珪化物と金属珪素と炭化珪素の複合材との組合せとすることが、柱状ハニカム構造部と同時に焼成できるので製造工程の簡素化に資するという理由により好ましい。
【0029】
(1-3.下地層)
本発明の実施形態における電気加熱式担体10は、電極層13a、13b上に、下地層16が設けられている。下地層16は、電極層13a、13bの表面上に形成でき、略平板状(具体的には、電極層13a、13bの外側表面に沿うように湾曲状)に形成されている。下地層16は、導電性を有する。下地層16は、電極層13a、13bの熱膨張率(電極層13a、13bの線膨張係数は比較的小さい。)と金属電極14a、14bの熱膨張率(金属電極14a、14bの線膨張係数は比較的大きい。)との間の熱膨張率を有してもよく、この場合、電極層13a、13bと金属電極14a、14bとの間に生じる熱膨張差を吸収する機能を有している。
【0030】
下地層16は、導電性のセラミックスで構成することができる。下地層16を構成するセラミックスとしては、限定的ではないが、炭化珪素(SiC)が挙げられ、珪化タンタル(TaSi2)及び珪化クロム(CrSi2)等の金属珪化物等の金属化合物が挙げられ、更には、セラミックスの一種以上と金属の一種以上の組み合わせからなる複合材(サーメット)を挙げることができる。サーメットの具体例としては、金属珪素と炭化珪素の複合材、珪化タンタルや珪化クロム等の金属珪化物と金属珪素と炭化珪素の複合材、更には上記の一種又は二種以上の金属に熱膨張低減の観点から、アルミナ、ムライト、ジルコニア、コージェライト、窒化珪素及び窒化アルミ等の絶縁性セラミックスを一種又は二種以上添加した複合材が挙げられる。
【0031】
下地層16の数及び配置の仕方は制限されず、金属電極14a、14bを固定するのに必要な範囲内で適宜設定できる。また、下地層16の形状は、平面視で円形状、楕円形状、多角形状など、任意の形状に形成することができる。なお、下地層16の形状は、生産性及び実用性の観点から、円形又は矩形であることが好ましい。
【0032】
(1-4.金属電極)
金属電極14a、14bは、下地層16上に接合部位20により接続されている。金属電極14a、14bは、一方の金属電極14aが、他方の金属電極14bに対して、柱状ハニカム構造体11の中心軸を挟んで対向するように配設される一対の金属電極であってもよい。金属電極14a、14bは、電極層13a、13bを介して電圧を印加すると通電してジュール熱により柱状ハニカム構造体11を発熱させることが可能である。このため、電気加熱式担体10はヒーターとしても好適に用いることができる。印加する電圧は12~900Vが好ましく、64~600Vが更に好ましいが、印加する電圧は適宜変更可能である。
【0033】
金属電極14a、14bの材質としては、金属であれば特段の制約はなく、単体金属及び合金等を採用することもできるが、耐食性、電気抵抗率及び線膨張率の観点から例えば、Cr、Fe、Co、Ni及びTiよりなる群から選択される少なくとも一種を含む合金とすることが好ましく、ステンレス鋼及びFe-Ni合金がより好ましい。金属電極14a、14bの形状及び大きさは、特に限定されず、電気加熱式担体10の大きさや通電性能等に応じて、適宜設計することができる。
【0034】
金属電極14a、14bは2つ以上の電極部15を有していてもよい。各電極部15は、下地層16の外表面に固定されてもよい。ここで、電極部15は、溶接により下地層16に固定されてもよく、溶射により形成される固定層で電極層13a、13bに固定されてもよい。
【0035】
図3に示される実施形態では、金属電極14a、14bはそれぞれ3つの櫛状の電極部15を有し、それぞれの電極部15は2つの下地層16に固定されている。このように、櫛状の電極部15と電極層13a、13bとの電気的接続は、互いに離間した2つ以上の下地層16により実現されていてもよい。
【0036】
なお、電極部15は、
図3では櫛状に成形されているが、下地層16に固定され電極層13a、13bと電気的に接続し得る限り、または、溶射により電極層13a、13bに固定され得る限り、いかなる形状も採用できる。
【0037】
(1-5.酸化防止層)
本発明の実施形態における電気加熱式担体10は、接合部位20を排気ガスから保護するための酸化防止層21を備えている。本発明では、接合部位20と、接合部位20を保護する酸化防止層21との構成について、種々の形態を有している。以下、各実施形態において図面と共に詳述する。
【0038】
[実施形態1]
図4に、本発明の実施形態1における柱状ハニカム構造体11、電極層13a、13b、下地層16、接合部位20、金属電極14a、14b及び酸化防止層21aの断面模式図を示す。
図4に示す実施形態1では、電極層13a、13bと下地層16との間に、熱応力の更なる緩和のための第2の下地層または第2の電極層17を設けている。第2の下地層または第2の電極層17は設けなくてもよく、或いは、第2の下地層または第2の電極層17上に、熱応力の更なる緩和のための第3の層を、更に設けてもよい。
【0039】
下地層16と金属電極14a、14bとを接続する接合部位20は、例えば、下地層16上に金属電極14a、14bを設けた状態で、金属電極14a、14b側からレーザー溶接等を行ったときに、金属電極14a、14bの一部が溶融することで、下地層16と金属電極14a、14bとの間に生じる接合部位である。
図4に示す例では、下地層16と金属電極14a、14bとの間において、柱状の接合部位20が、それぞれ離間して3箇所に設けられた構成を模式的に示している。このような形態の接合部位20は、例えば、下地層16上に金属電極14a、14bを設けた状態で、金属電極14a、14b側からレーザー溶接により、3箇所のスポット溶接を行うことで形成することができる。接合部位20の大きさ、形状、及び、数等は、特に限定されない。
【0040】
本発明の実施形態1における柱状ハニカム構造体11の酸化防止層21aは、
図4の例のように、金属電極14a、14bの側面から、間隙22をシールして下地層16に亘り、さらに電極層13a、13bの表面まで連続して設けられている。酸化防止層21aは、これに限らず、
図5に示すように、金属電極14a、14bの側面から、間隙22をシールして下地層16の側面の途中までに亘って設けられていてもよい。このように、酸化防止層21aは、下地層16と金属電極14a、14bとの間隙22をシールするように設けられていれば、どのような形態であってもよい。
【0041】
また、下地層16上に金属電極14a、14bを設けた状態で、金属電極14a、14b側から超音波溶接を行うことで、下地層16と金属電極14a、14bとを接続する場合は、
図6に示すように、下地層16と金属電極14a、14bとの間の全面に亘って接合部位20aが生じる。この場合も同様に、酸化防止層21aは、下地層16と金属電極14a、14bとの間隙22をシールするように設けられている。
【0042】
酸化防止層21aの、下地層16と金属電極14a、14bとの間隙22をシールする部位は、特に金属電極14a、14bの熱膨張などによって荷重がかかりやすい。このため、強度を上げてクラックの発生を抑制するために、酸化防止層21aの厚みを10μm以上に形成することが好ましい。また、酸化防止層21aの厚みは、10~100μmであるのがより好ましい。
【0043】
本発明の実施形態1における柱状ハニカム構造体11の酸化防止層21aは、下地層16と金属電極14a、14bとの間隙22をシールするように、電極層13a、13bの外表面から金属電極14a、14bの外表面に亘って設けられている。ここで、下地層16と金属電極14a、14bとの間隙22とは、下地層16と金属電極14a、14bとの間の、例えば、数十μm程度の隙間である。一般に、接合部位20、20aは、下地層16と金属電極14a、14bとの間隙22から拡散する排気ガスに曝されることで、酸化するおそれがある。これに対し、本発明の実施形態1における柱状ハニカム構造体11では、酸化防止層21aが、下地層16と金属電極14a、14bとの間隙22をシールするように、電極層13a、13bの外表面から金属電極14a、14bの外表面に亘って設けられている。従って、間隙22からの排気ガスの侵入を抑制し、その結果、接合部位20、20aの酸化を良好に抑制することができる。
【0044】
酸化防止層21aの材料は、セラミックス、ガラス、またはセラミックスとガラスとの複合材料を用いることができる。複合材料は、例えば、ガラスを50体積%以上、より好ましくは60体積%以上、更により好ましくは70体積%以上含有した材料を用いることができる。酸化防止層21aを構成するセラミックスとしては、例えば、SiO2系、Al2O3系、SiO2-Al2O3系、SiO2-ZrO2系、SiO2-Al2O3-ZrO2系等のセラミックスを挙げることができる。また、酸化防止層21aを構成するガラスとしては、例えば、無鉛系のB2O3-Bi2O3系、B2O3-ZnO-Bi2O3系、B2O3-ZnO系、V2O5-P2O5系、SnO-P2O5系、SnO-ZnO-P2O5系、SiO2-B2O3-Bi2O3系、SiO2-Bi2O3-Na2O系、SiO2-Al2O3-MgO系等のガラスを挙げることができる。
【0045】
[実施形態2]
図7に、本発明の実施形態2における柱状ハニカム構造体11、電極層13a、13b、下地層16、接合部位20、金属電極14a、14b及び酸化防止層21bの断面模式図を示す。
【0046】
本発明の実施形態2における柱状ハニカム構造体11の酸化防止層21bは、接合部位20の表面に設けられている。このように、酸化防止層21bを、接合部位20の表面に設けることで、接合部位20が排気ガスに曝されることを抑制することができる。その結果、接合部位20の酸化を良好に抑制することができる。また、このような構成であれば、酸化防止層21bを、接合部位20の表面に設けるため、金属電極14a、14bの熱膨張などによる酸化防止層21bへの熱応力を低減することができる。その結果、クラックの発生をより良好に抑制することができる。
【0047】
図7に示す例では、酸化防止層21bは、接合部位20の表面から、金属電極14a、14bの端部までの空間を埋めるように設けられているが、これに限られない。例えば、酸化防止層21bは、
図8に示すように、接合部位20の表面から、金属電極14a、14bの端部の途中までの空間を埋めるように設けられていてもよい。酸化防止層21bは、本発明の実施形態1で示した酸化防止層21aと同様の材料を用いて形成することができる。また、接合部位20は、
図6に示すような、超音波溶接によって形成された接合部位20aであってもよい。
【0048】
[実施形態3]
図9に、本発明の実施形態3における柱状ハニカム構造体11、電極層13a、13b、下地層16、接合部位20、金属電極14a、14b及び酸化防止層21cの断面模式図を示す。
【0049】
本発明の実施形態3における柱状ハニカム構造体11の酸化防止層21cは、下地層16と金属電極14a、14bとの間において、接合部位20から離間して設けられている。このように、酸化防止層21cを、下地層16と金属電極14a、14bとの間において、接合部位20から離間して設けることで、接合部位20が排気ガスに曝されることを抑制することができる。その結果、接合部位20の酸化を良好に抑制することができる。また、このような構成であれば、酸化防止層21cが下地層16と金属電極14a、14bとの間に設けられるため、金属電極14a、14bの熱膨張などによる酸化防止層21cへの熱応力を低減することができる。その結果、クラックの発生を良好に抑制することができる。
【0050】
酸化防止層21cは、本発明の実施形態1で示した酸化防止層21aと同様の材料を用いて形成することができる。また、接合部位20は、
図6に示すような、超音波溶接によって形成された接合部位20aであってもよい。
【0051】
[実施形態4]
図10に、本発明の実施形態4における柱状ハニカム構造体11、電極層13a、13b、下地層16、接合部位20b、金属電極14a、14b及び酸化防止層21dの断面模式図を示す。
【0052】
本発明の実施形態4における柱状ハニカム構造体11の酸化防止層21dは、下地層16と金属電極14a、14bとの間に充填されている。このように、酸化防止層21dを、下地層16と金属電極14a、14bとの間に充填することで、接合部位20bが排気ガスに曝されることを抑制することができる。その結果、接合部位20bの酸化を良好に抑制することができる。また、このような構成であれば、酸化防止層21dが下地層16と金属電極14a、14bとの間に設けられるため、金属電極14a、14bの熱膨張などによる酸化防止層21dへの熱応力を低減することができる。その結果、クラックの発生を良好に抑制することができる。
【0053】
図11に、本発明の実施形態4における柱状ハニカム構造体11の下地層16と金属電極14a、14bとをレーザー溶接等によって接合する様子を表す模式図を示す。
図11の上図に示すように、まず、下地層16上に、酸化防止層形成材料で構成されたコート層23を設ける。次に、当該コート層23上に金属電極14a、14bを配置する。次に、金属電極14a、14bの上から、レーザー溶接などによってスポット溶接を行う。このとき、レーザー溶接などによってエネルギーを加えることで、金属電極14a、14bが溶融し、下層のコート層23の酸化防止層形成材料との混合体を形成する。当該混合体が接合部位20bとなる。コート層23を構成する酸化防止層形成材料は、本発明の実施形態1で示した酸化防止層21aと同様の材料を用いて形成することができる。このため、接合部位20bは、金属とガラス等の無機物との混合体となっている。
【0054】
また、
図11に示すように接合部位20bを形成することで、接合部位20b間に微小な気孔があったとしても、当該気孔に酸化防止層形成材料が充填されるため、接合部位20bの耐酸化性をより向上させることができる。
【0055】
[実施形態5]
図12に、本発明の実施形態5における電気加熱式担体の柱状ハニカム構造体11、電極層13a、13b、固定層24、金属電極14a、14b及び酸化防止層21eの断面模式図を示す。
【0056】
本発明の実施形態5における電気加熱式担体では、実施形態1で示した柱状ハニカム構造体11の外周壁の表面に電極層13a、13bが配設され、電極層13a、13b上に金属電極14a、14bが設けられている。また、金属電極14a、14bを覆うように固定層24が設けられており、固定層24を覆うように、酸化防止層21eが設けられている。固定層24は、金属電極14a、14bを電極層13a、13bに固定している。
【0057】
このように、金属電極14a、14bを覆うように固定層24を設け、更に固定層24を覆うように、酸化防止層21eを設けることで、接合部位となっている固定層24が排気ガスに曝されることを抑制することができる。その結果、固定層24の酸化を良好に抑制することができる。また、このような構成であれば、酸化防止層21eが金属電極14a、14bを覆う固定層24上に設けられるため、金属電極14a、14bの熱膨張などによる酸化防止層21eへの熱応力を低減することができる。その結果、クラックの発生を良好に抑制することができる。
【0058】
実施形態5における固定層24は、例えば、溶射によって形成することができる。電極層13a、13b上に金属電極14a、14bを設けた後、金属電極14a、14bを覆うように、溶射によって、NiCrAlYとムライトの混合溶射材等で構成された材料を設けることで固定層24を形成することができる。また、本発明の実施形態1で示した酸化防止層21aと同様の材料を用いて、固定層24を覆うように酸化防止層21eを形成することができる。
【0059】
[実施形態6]
図13(a)、
図13(b)、
図13(c)及び
図13(d)に、本発明の実施形態6における電気加熱式担体の柱状ハニカム構造体11、電極層13a、13b、第2の下地層または電極層17、下地層16、接合部位20d、金属電極14a、14b及び酸化防止層21f、21g、21h、21iの断面模式図を示す。
【0060】
本発明の実施形態5における電気加熱式担体では、実施形態1で示した柱状ハニカム構造体11の外周壁の表面に電極層13a、13bが配設され、電極層13a、13b上に第2の下地層または電極層17、及び、下地層16が設けられている。下地層16は、金属電極14a、14bがロウ付けされることで、金属電極14a、14bと接合部位20dで接合している。
【0061】
図13(a)に示す実施形態では、酸化防止層21fが、金属電極14a、14bの側面から、電極層13a、13bの外表面に亘って連続して設けられ、下地層16と金属電極14a、14bとの間隙をシールするように構成されている。
図13(b)に示す実施形態では、酸化防止層21gが、金属電極14a、14bの底面から、電極層13a、13bの外表面に亘って連続して設けられ、下地層16と金属電極14a、14bとの間隙をシールするように構成されている。
図13(c)に示す実施形態では、金属電極14a、14bと下地層16との間に接合部位20dを有さない間隙が設けられており、当該間隙に、接合部位20dと接するように酸化防止層21hが設けられている。
図13(d)に示す実施形態では、金属電極14a、14bと下地層16との間に接合部位20dを有さない間隙が設けられており、当該間隙に、接合部位20dと離間して酸化防止層21iが設けられている。
【0062】
図13(a)、
図13(b)、
図13(c)及び
図13(d)に示す実施形態によれば、酸化防止層21f、21g、21h、21iを設けることで、接合部位20dが排気ガスに曝されることを抑制することができる。その結果、接合部位20dの酸化を良好に抑制することができる。
【0063】
電気加熱式担体10に触媒を担持することにより、電気加熱式担体10を触媒体として使用することができる。複数のセル18の流路には、例えば、自動車排気ガス等の流体を流すことができる。触媒としては、例えば、貴金属系触媒又はこれら以外の触媒が挙げられる。貴金属系触媒としては、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)といった貴金属をアルミナ細孔表面に担持し、セリア、ジルコニア等の助触媒を含む三元触媒や酸化触媒、又は、アルカリ土類金属と白金を窒素酸化物(NOx)の吸蔵成分として含むNOx吸蔵還元触媒(LNT触媒)が例示される。貴金属を用いない触媒として、銅置換又は鉄置換ゼオライトを含むNOx選択還元触媒(SCR触媒)等が例示される。また、これらの触媒からなる群から選択される2種以上の触媒を用いてもよい。なお、触媒の担持方法についても特に制限はなく、従来、ハニカム構造体に触媒を担持する担持方法に準じて行うことができる。
【0064】
(2.電気加熱式担体の製造方法)
次に、本発明に係る電気加熱式担体10を製造する方法について例示的に説明する。本発明の電気加熱式担体10の製造方法は一実施形態において、電極層形成ペースト付き未焼成ハニカム構造部を得る工程A1と、電極層形成ペースト付き未焼成ハニカム構造部を焼成して柱状ハニカム構造体を得る工程A2と、柱状ハニカム構造体に金属電極を溶接する工程A3とを含む。
【0065】
工程A1は、ハニカム構造部の前駆体であるハニカム成形体を作製し、ハニカム成形部の側面に電極層形成ペーストを塗布して、電極層形成ペースト付き未焼成ハニカム構造部を得る工程である。ハニカム成形体の作製は、公知のハニカム構造部の製造方法におけるハニカム成形体の作製方法に準じて行うことができる。例えば、まず、炭化珪素粉末(炭化珪素)に、金属珪素粉末(金属珪素)、バインダ、界面活性剤、造孔材、水等を添加して成形原料を作製する。炭化珪素粉末の質量と金属珪素の質量との合計に対して、金属珪素の質量が10~40質量%となるようにすることが好ましい。炭化珪素粉末における炭化珪素粒子の平均粒子径は、3~50μmが好ましく、3~40μmが更に好ましい。金属珪素(金属珪素粉末)の平均粒子径は、2~35μmであることが好ましい。炭化珪素粒子及び金属珪素(金属珪素粒子)の平均粒子径はレーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。炭化珪素粒子は、炭化珪素粉末を構成する炭化珪素の微粒子であり、金属珪素粒子は、金属珪素粉末を構成する金属珪素の微粒子である。なお、これは、ハニカム構造部の材質を、珪素-炭化珪素系複合材とする場合の成形原料の配合であり、ハニカム構造部の材質を炭化珪素とする場合には、金属珪素は添加しない。
【0066】
バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。これらの中でも、メチルセルロースとヒドロキシプロポキシルセルロースとを併用することが好ましい。バインダの含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、2.0~10.0質量部であることが好ましい。
【0067】
水の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、20~60質量部であることが好ましい。
【0068】
界面活性剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。界面活性剤の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、0.1~2.0質量部であることが好ましい。
【0069】
造孔材としては、焼成後に気孔となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、グラファイト、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル等を挙げることができる。造孔材の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、0.5~10.0質量部であることが好ましい。造孔材の平均粒子径は、10~30μmであることが好ましい。10μmより小さいと、気孔を十分形成できないことがある。30μmより大きいと、成形時に口金に詰まることがある。造孔材の平均粒子径はレーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。造孔材が吸水性樹脂の場合には、造孔材の平均粒子径は吸水後の平均粒子径のことである。
【0070】
次に、得られた成形原料を混練して坏土を形成した後、坏土を押出成形してハニカム成形体を作製する。押出成形に際しては、所望の全体形状、セル形状、隔壁厚み、セル密度等を有する口金を用いることができる。次に、得られたハニカム成形体について、乾燥を行うことが好ましい。ハニカム成形体の中心軸方向長さが、所望の長さではない場合は、ハニカム成形体の両底部を切断して所望の長さとすることができる。乾燥後のハニカム成形体をハニカム乾燥体と呼ぶ。
【0071】
次に、電極層を形成するための電極層形成ペーストを調合する。電極層形成ペーストは、電極層の要求特性に応じて配合した原料粉(金属粉末、及び、セラミックス粉末等)に各種添加剤を適宜添加して混練することで形成することができる。電極層を積層構造とする場合、第一の電極層用のペースト中の金属粉末の平均粒子径に比べて、第二の電極層用のペースト中の金属粉末の平均粒子径を大きくすることにより、金属端子と電極層の接合強度が向上する傾向にある。金属粉末の平均粒子径はレーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。
【0072】
次に、得られた電極層形成ペーストを、ハニカム成形体(典型的にはハニカム乾燥体)の側面に塗布し、電極層形成ペースト付き未焼成ハニカム構造部を得る。電極層形成ペーストを調合する方法、及び電極層形成ペーストをハニカム成形体に塗布する方法については、公知のハニカム構造体の製造方法に準じて行うことができるが、電極層をハニカム構造部に比べて低い電気抵抗率にするために、ハニカム構造部よりも金属の含有比率を高めたり、金属粒子の粒径を小さくしたりすることができる。
【0073】
柱状ハニカム構造体の製造方法の変更例として、工程A1において、電極層形成ペーストを塗布する前に、ハニカム成形体を一旦焼成してもよい。すなわち、この変更例では、ハニカム成形体を焼成してハニカム焼成体を作製し、当該ハニカム焼成体に、電極層形成ペーストを塗布する。
【0074】
工程A2では、電極層形成ペースト付き未焼成ハニカム構造部を焼成して、柱状ハニカム構造体を得る。焼成を行う前に、電極層形成ペースト付き未焼成ハニカム構造部を乾燥してもよい。また、焼成の前に、バインダ等を除去するため、脱脂を行ってもよい。焼成条件としては、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気において、1400~1500℃で、1~20時間加熱することが好ましい。また、焼成後、耐久性向上のために、1200~1350℃で、1~10時間、酸化処理を行うことが好ましい。脱脂及び焼成の方法は特に限定されず、電気炉、ガス炉等を用いて焼成することができる。
【0075】
工程A3では、柱状ハニカム構造体上の電極層の表面に、下地層を形成するための導電性材料のペーストを塗布する。このように調製した導電性材料のペーストを曲面印刷機などで所定の配置となるように塗布し、これを乾燥した後、焼成することで、下地層を形成する。導電性材料のペーストとしては、まず始めに、金属粉(NiCr系材料、ステンレス等の金属粉)と酸化物粉(Cd、アルミナ、ムライト等の酸化物粉)を体積割合で金属比率20~85体積%、酸化物粉を15~80体積%で混合し、セラミックス原料を調製する。次いで、このセラミックス原料に対してバインダを1質量%、界面活性剤を1質量%、水を20~40質量%加えることにより、下地層形成ペーストを調製することができる。また、下地層は、導電性材料を溶射によって、所定の配置、形状となるように形成してもよい。
【0076】
次に、下地層上に、金属電極を溶接により固定する。溶接の方法について、以下に詳細に説明する。まず、下地層が形成されたハニカム構造体上に櫛状の電極を配置し、各櫛状の電極と下地層が重なった部分について、レーザー溶接または超音波溶接を行う。レーザー溶接を行う際のレーザースポット径としては、0.5~3.0mmの範囲が挙げられる。超音波溶接を行う際の振動周波数としては20kHz~40kHzとし、加圧力としては10N~30Nの範囲が挙げられる。
【0077】
このとき、レーザー溶接によって複数のスポット溶接を行うことで、
図4に示すような接合部位20を形成することができる。また、超音波溶接を行うことで、
図6に示すような接合部位20aを形成することができる。
【0078】
次に、下地層と金属電極との間隙をシールするように下地層の外表面から金属電極の外表面に亘って酸化防止層を設けることで、
図4~6に示すような酸化防止層21aを形成することができる。このとき、下地層と金属電極とを接合後、スプレー等で酸化防止剤を吹き付け、好ましくは真空雰囲気下で、800~1100℃、4~8時間焼成することで、酸化防止層21aを形成することができる。
【0079】
また、レーザー溶接によって複数のスポット溶接を行うことで、
図7~9に示すような接合部位20を形成した後、
図7~9に示すような酸化防止層21b、21cを形成することができる。このとき、下地層の接合部位以外の部分に酸化防止剤を塗布しておき、レーザー溶接等の方法にて金属電極を接合した後、好ましくは真空雰囲気下で、800~1100℃、4~8時間焼成することで、酸化防止層21b、21cを形成することができる。
【0080】
また、
図11に示すように、下地層と金属電極との間に、酸化防止層形成材料で構成されるコート層を設けた状態で、金属電極側からレーザー溶接することで、
図10に示すような酸化防止層21dを形成することができる。
【0081】
(3.排気ガス浄化装置)
上述した本発明の実施形態に係る電気加熱式担体は、排気ガス浄化装置に用いることができる。当該排気ガス浄化装置は、電気加熱式担体と、当該電気加熱式担体を保持する缶体とを有する。排気ガス浄化装置において、電気加熱式担体は、エンジンからの排気ガスを流すための排気ガス流路の途中に設置される。缶体としては、電気加熱式担体を収容する金属製の筒状部材等を用いることができる。
【実施例】
【0082】
以下、本発明及びその利点をより良く理解するための実施例を例示するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0083】
<実施例1>
(1.円柱状の坏土の作製)
炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末とを80:20の質量割合で混合してセラミックス原料を調製した。そして、セラミックス原料に、バインダとしてヒドロキシプロピルメチルセルロース、造孔材として吸水性樹脂を添加すると共に、水を添加して成形原料とした。そして、成形原料を真空土練機により混練し、円柱状の坏土を作製した。バインダの含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに7質量部とした。造孔材の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに3質量部とした。水の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに42質量部とした。炭化珪素粉末の平均粒子径は20μmであり、金属珪素粉末の平均粒子径は6μmであった。また、造孔材の平均粒子径は20μmであった。炭化珪素粉末、金属珪素粉末及び造孔材の平均粒子径は、レーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。
【0084】
(2.ハニカム乾燥体の作製)
得られた円柱状の坏土を碁盤目状の口金構造を有する押出成形機を用いて成形し、セルの流路方向に垂直な断面における各セル形状が正方形である円柱状ハニカム成形体を得た。このハニカム成形体を高周波誘電加熱乾燥した後、熱風乾燥機を用いて120℃で2時間乾燥し、両底面を所定量切断して、ハニカム乾燥体を作製した。
【0085】
(3.電極層形成ペーストの調製)
金属珪素(Si)粉末、炭化珪素(SiC)粉末、メチルセルロース、グリセリン、及び水を、自転公転攪拌機で混合して、電極層形成ペーストを調製した。Si粉末、及びSiC粉末は体積比で、Si粉末:SiC粉末=40:60となるように配合した。また、Si粉末、及びSiC粉末の合計を100質量部としたときに、メチルセルロースは0.5質量部であり、グリセリンは10質量部であり、水は38質量部であった。金属珪素粉末の平均粒子径は6μmであった。炭化珪素粉末の平均粒子径は35μmであった。これらの平均粒子径はレーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。
【0086】
(4.電極層形成ペーストの塗布及び焼成)
次に、この電極層形成ペーストを曲面印刷機によって、ハニカム乾燥体に対して適切な面積及び膜厚で塗布し、さらに熱風乾燥機で120℃、30分乾燥した後、ハニカム乾燥体と共にAr雰囲気にて1400℃で3時間焼成し、柱状ハニカム構造体とした。
【0087】
(5.下地層形成ペーストの調製)
金属粉(NiCr系材料、ステンレス等の金属粉)と酸化物粉(Cd、アルミナ、ムライト等の酸化物粉)を体積割合で金属比率20~85%、酸化物粉を15~80%で混合し、セラミックス原料を作製した。このセラミックス原料に対してバインダを1質量%、界面活性剤を1質量%、水を20~40質量%加えてペースト原料を作製した。レーザー回折法で測定した金属粉の平均粒子径は10μmであり、酸化物粉の平均粒子径は5μmであった。
【0088】
(6.下地層形成ペーストの塗布及び焼成)
上記の下地層形成ペーストを、曲面印刷機によって、柱状ハニカム構造体の電極層に対して塗布した。続いて、熱風乾燥機で120℃、30分乾燥した後、Ar雰囲気にて1100℃で1時間焼成した。
【0089】
ハニカム構造体は、底面が直径100mmの円形であり、高さ(セルの流路方向における長さ)が100mmであった。セル密度は93セル/cm2であり、隔壁の厚みは101.6μmであり、隔壁の気孔率は45%であり、隔壁の平均細孔径は8.6μmであった。電極層の厚みは0.3mmであり、下地層の厚みは0.2mmであった。ハニカム構造体、電極層及び下地層と同一材質の試験片を用いて400℃における電気抵抗率を四端子法により測定したところ、それぞれ5Ωcm、0.01Ωcm、0.001Ωcmであった。
【0090】
(7.電極の固定)
下地層が形成されたハニカム構造体上に櫛状の電極を配置し、各櫛状の電極と下地層が重なった部分について、実施例1~6、比較例1ではφ0.5mmの径でレーザー溶接した。また、実施例7~11、比較例2では超音波溶接を行った。また、実施例12~16、比較例3では、ロウ付けによる接合を行った。
次に、実施例1~16について、以下の形態で酸化防止層を形成した。
実施例1~3の酸化防止層については
図4(実施形態1)に示すように設け、実施例7~9の酸化防止層については、
図6(実施形態1)に示すように設け、実施例12~14の酸化防止層については、
図13(a)に示すように設けた。
実施例4、10の酸化防止層については、
図7(実施形態2)に示すように設け、実施例15の酸化防止層については、
図13(b)に示すように設けた。
実施例5、11の酸化防止層については、
図9(実施形態3)に示すように設け、実施例16の酸化防止層については、
図13(d)に示すように設けた。
実施例6の酸化防止層については、
図10(実施形態4)に示すように設けた。
実施例1~16で用いた酸化防止層の材料としては、いずれもSiO
2-Al
2O
3-MgOを用いた。また、各酸化防止層の厚みを後述の表1に示す。
【0091】
(8.耐酸化性評価試験)
上記の方法にて1対の金属電極を固定したハニカム構造体に対して耐酸化性評価試験を行った。耐酸化性評価試験は、5mm径で厚み0.3mmの円盤状の下地層を、隣接する下地層の中心間距離を5mmに設定して5×4列配置した試料を加熱炉内に設け、大気雰囲気下、1000℃で50時間での加熱を実施した。酸化状態の指標としては試料の初期抵抗値に対する抵抗上昇率を使用し、抵抗上昇率が小さいほど本発明の酸化抑制効果が大きいものと判断した。抵抗値としては、下地層2点間の抵抗を、ケルビンプローブを用いた4線抵抗測定法にて合計12点測定し、これらの平均値を算出した。試料の導通経路としては、(1)下地層表面、(2)下地層、(3)電極層、(4)下地層、(5)下地層表面という順序の経路とした。評価結果を表1に示す。
【0092】
【0093】
(9.考察)
接合方法に関わらず、実施例1~16の全てにおいて、下地層と金属電極とを接続する接合部位の酸化抑制効果を得ることができた。その中でも、酸化防止層の形態によって酸化抑制効果の大きさは異なり、さらに実施形態1で示す酸化防止層の形態(実施例1~3、7~9、12~14)の中でも、酸化抑制効果は互いに異なる結果となった。
実施形態1で示す酸化防止層の形態(実施例1~3、7~9、12~14)において、酸化防止層の厚みが200μmである実施例3、14が最も酸化抑制効果が小さく、酸化防止層の厚みが厚いことにより、下地層や金属電極との熱膨張差によって、酸化防止層にクラックが入ったことが要因と考えられる。同様の理由で、クラック状態を確認すると、酸化防止層の厚みが100μmである実施例2、13よりも酸化防止層の厚みが10μmである実施例1、12のほうが、クラックが小さかった。このため、酸化防止層の厚みによる酸化抑制効果の違いは、クラックに起因するものと考えられる。
次に、実施例4~6において、実施形態2~4で示す酸化防止層の形態を比較すると、酸化抑制効果は、実施例5の実施形態3で示す酸化防止層の形態<実施例4の実施形態2で示す酸化防止層の形態<実施例6の実施形態4で示す酸化防止層の形態、という結果となった。これは、上述のように、実施例4の実施形態2は
図7に示すように酸化防止層が設けられており、実施例5の実施形態3は
図9に示すように酸化防止層が設けられているため、金属電極と下地層の間に充填されている酸化防止膜の量が酸素の遮断能力に影響した結果と考えられる。
また、上述のように、実施例6の実施形態4では
図10に示すように酸化防止層が設けられており、接合部位の周辺を、全て酸化防止層が覆っていることで、クラック等により、酸化防止層の一部から酸素が侵入した場合においても、酸化抑制効果を維持できるため、最も酸化抑制効果が大きいものと考えられる。
【符号の説明】
【0094】
10 電気加熱式担体
11 柱状ハニカム構造体
12 外周壁
13a、13b 電極層
14a、14b 金属電極
15 電極部
16 下地層
17 第2の下地層または電極層
18 セル
19 隔壁
20、20a、20b、20c、20d 接合部位
21、21a、21b、21c、21d、21e、21f、21g、21h、21i 酸化防止層
22 間隙
23 コート層
24 固定層