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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】伸縮可能な多軸脊椎システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/70 20060101AFI20241127BHJP
【FI】
A61B17/70
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021571291
(86)(22)【出願日】2020-06-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-15
(86)【国際出願番号】 IB2020000423
(87)【国際公開番号】W WO2020260940
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-06-02
(31)【優先権主張番号】16/429,198
(32)【優先日】2019-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513070381
【氏名又は名称】アピフィックス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100154449
【弁理士】
【氏名又は名称】谷 征史
(72)【発明者】
【氏名】アルニン,ウリ
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-511415(JP,A)
【文献】特開2012-213623(JP,A)
【文献】米国特許第5468241(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0036240(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の椎弓根スクリューと、
前記第1の椎弓根スクリューに取り付けられた第1の多軸ジョイントと、
端部において前記第1の多軸ジョイントに設けられた第1のコネクタを有する第1の伸延ロッドと、
前記第1のコネクタを前記第1の多軸ジョイントに固定する第1の締結具と、
第2の多軸ジョイントと、
端部において前記第2の多軸ジョイントに設けられた第2のコネクタを有する第2の伸延ロッドと、
第2の椎弓根スクリューと、
前記第2の椎弓根スクリューが設けられた伸長部材と、
前記伸長部材と結合された接続要素と、
前記接続要素を前記第2の多軸ジョイントに固定する伸長部材締結具と、
ハウジングと、
一対の伸延締結具と
を備え、
前記第1の伸延ロッドおよび前記第2の伸延ロッドは、それぞれ前記ハウジング内において回転するように配置され、
前記第1の伸延ロッドおよび前記第2の伸延ロッドは、それぞれ前記ハウジング内において、前記ハウジング内の回転とは独立して直線的に移動するように配置され、
前記第1の締結具が前記第1の多軸ジョイントの一部に対して締結された時に、前記第1のコネクタが前記第1の多軸ジョイントから自由に外れず、かつ、前記第1の多軸ジョイントが自由に多軸運動し、
前記伸長部材締結具が前記第2の多軸ジョイントの一部に対して締結された時に、前記接続要素が前記第2の多軸ジョイントから自由に外れず、前記第2の多軸ジョイントが自由に多軸運動し、前記伸長部材が前記第2の多軸ジョイントに対して自由に多軸運動し、かつ、前記伸長部材が前記第2の伸延ロッドに対して自由に直線的に移動せず、
前記伸長部材は、前記第2の多軸ジョイントを頂点とした立体角の範囲の半径に沿って長手方向に位置合わせ可能であり、前記伸長部材は、前記第2の伸延ロッドと自由に同一線上になるように配置され、
前記第1の椎弓根スクリューおよび前記第2の椎弓根スクリューが椎骨の椎弓根に挿入された後で、
前記第1の伸延ロッドおよび前記第2の伸延ロッドのうち少なくとも一方は、前記伸延締結具のうち一方の伸延締結具によって、前記ハウジング内の所望の並進位置に取り付けられるように配置され、
前記第1の伸延ロッドおよび前記第2の伸延ロッドのうち少なくとも一方は、前記伸延締結具のうち一方の伸延締結具によって、前記ハウジング内の所望の回転位置に取り付けられるように配置され、
前記ハウジングは、前記第1の伸延ロッドと前記第2の伸延ロッドを引き離すための、水、生理的食塩水または空気のうちいずれかの流体を導入するための流体入口を備える、
脊椎システム。
【請求項2】
前記伸長部材は、複数の椎弓根スクリューを受け入れるように構成されている、請求項1に記載の脊椎システム。
【請求項3】
前記伸長部材は、伸長ロッドである、請求項2に記載の脊椎システム。
【請求項4】
第1の多軸ジョイントを備える第1の椎弓根スクリューと、
端部において前記第1の多軸ジョイントに設けられた第1のコネクタを有する第1の伸延ロッドと、
前記第1のコネクタを前記第1の多軸ジョイントに固定する第1の締結具と、
第2の多軸ジョイントと、
端部において前記第2の多軸ジョイントに設けられた第2のコネクタを有する第2の伸延ロッドと、
第2の椎弓根スクリューと、
前記第2の椎弓根スクリューが設けられた伸長部材と、
前記伸長部材と結合された接続要素と、
前記接続要素を前記第2の多軸ジョイントに固定する伸長部材締結具と、
ハウジングと、
一対の伸延締結具と
を備え、
前記第1の伸延ロッドおよび前記第2の伸延ロッドは、それぞれ前記ハウジング内において回転するように配置され、
前記第1の伸延ロッドおよび前記第2の伸延ロッドは、それぞれ前記ハウジング内において、前記ハウジング内の回転とは独立して直線的に移動するように配置され、
前記第1の締結具が前記第1の多軸ジョイントの一部に対して締結された時に、前記第1のコネクタが前記第1の多軸ジョイントから自由に外れず、かつ、前記第1の多軸ジョイントが自由に多軸運動し、
前記伸長部材締結具が前記第2の多軸ジョイントの一部に対して締結された時に、前記接続要素が前記第2の多軸ジョイントから自由に外れず、前記第2の多軸ジョイントが自由に多軸運動し、前記伸長部材が前記第2の多軸ジョイントに対して自由に多軸運動し、かつ、前記伸長部材が前記第2の伸延ロッドに対して自由に直線的に移動せず、
前記伸長部材は、前記第2の多軸ジョイントを頂点とした立体角の範囲の半径に沿って長手方向に位置合わせ可能であり、前記伸長部材は、前記第2の伸延ロッドと自由に同一線上になるように配置され、
前記第1の椎弓根スクリューおよび前記第2の椎弓根スクリューが椎骨の椎弓根に挿入された後で、
前記第1の伸延ロッドおよび前記第2の伸延ロッドのうち少なくとも一方は、前記伸延締結具のうち一方の伸延締結具によって、前記ハウジング内の所望の並進位置に取り付けられるように配置され、
前記第1の伸延ロッドおよび前記第2の伸延ロッドのうち少なくとも一方は、前記伸延締結具のうち一方の伸延締結具によって、前記ハウジング内の所望の回転位置に取り付けられるように配置され、
前記ハウジングは、前記第1の伸延ロッドと前記第2の伸延ロッドを引き離すための、水、生理的食塩水または空気のうちいずれかの流体を導入するための流体入口を備える、
脊椎システム。
【請求項5】
前記伸長部材は、複数の椎弓根スクリューを受け入れるように構成されている、請求項4に記載の脊椎システム。
【請求項6】
前記伸長部材は、伸長ロッドである、請求項5に記載の脊椎システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脊椎インプラントおよび人工関節に関し、特に、伸縮可能かつその場で多軸運動を維持するように設計された脊椎椎弓根スクリューを用いたシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
脊柱側弯症は、かなりの人口に影響を及ぼしている。現在、多くの外科的治療において、2つ以上の椎骨の間に配置されるように設計された脊椎間の椎弓根スクリューを用いたシステムが採用されている。
【0003】
標準的な椎弓根スクリューシステムは通常、いくつかの悪影響が知られている脊椎固定術と関連づけて用いられている。そのため、一部の患者の脊柱側弯症を予防または矯正することができる非固定システムを有することは価値がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、スクリューが2つの椎骨の椎弓根に挿入された後で拡張可能であり、かつ、1つまたは複数の多軸ジョイントを介して脊椎運動を維持することのできる脊椎椎弓根スクリューを用いたシステムを向上させることである。
【0005】
したがって、本発明の非限定的な実施形態によると、脊椎システムは、端部に設けられた第1のコネクタを有する第1の伸延ロッドと、端部に設けられた第2のコネクタを有する第2の伸延ロッドであって、前記ロッドの両方はハウジング内を移動するように配置され、前記コネクタはそれぞれ多軸ジョイントに設けられて締結具によって固定され、前記多軸ジョイントはそれぞれ椎弓根スクリューに取り付けられるか、または椎弓根スクリューの一部であり、前記締結具を締結した後であっても前記コネクタが前記多軸ジョイントから外れず、前記多軸ジョイントが常に多軸運動を自由に行うように、前記締結具は前記多軸ジョイントの一部に対して締結されるが、前記多軸ジョイントの多軸運動を妨げない、第2の伸延ロッドと、を備える。
【0006】
本発明の実施形態によると、前記第1および第2の伸延ロッドの少なくとも一方は、前記ハウジングに沿って伸延締結具によって所望の位置に取り付けられている。
【0007】
本発明の実施形態によると、前記第1および第2の伸延ロッドの少なくとも一方は、前記伸延締結具によって所定の位置にロックされる前にその長手方向軸周りに回転する。
【0008】
本発明の実施形態によると、前記伸延ロッドの少なくとも一方は、少なくとも部分的にねじが設けられ、前記ハウジング内の雌ねじと噛み合う。
【0009】
本発明の実施形態によると、前記伸延ロッドの両方は、少なくとも部分的にねじが設けられて前記ハウジング内の雌ねじと噛み合い、前記伸延ロッドの一方のねじは右ねじであり、前記伸延ロッドの他方のねじは左ねじである。
【0010】
本発明の実施形態によると、前記ハウジングは、流体を導入するための流体入口を備える。
【0011】
本発明の実施形態によると、前記ハウジングは、前記第1および第2の伸延ロッドの少なくとも一方に付勢力を与えるように動作する付勢装置を備える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明は、図面と共に以下の詳細な説明から十分に理解され、認識されるであろう。
図1図1は、本発明の非限定的な実施形態に従って構成され、動作する、伸延前の初期の収縮した構成における脊椎システムの簡略された図である。
図2図2は、拡大/伸延した構成における脊椎システムの簡略された図である。
図3図3は、拡大/伸延した構成における前記システムの簡略された断面図である。
図4図4は、ねじ付き要素を用いて伸延された、本発明の非限定的な実施形態に従って構成され、動作する、脊椎システムの簡略された図である。
図4A図4Aは、脊椎システムに固定的または回動可能に取り付け可能な伸長部材を含む、本発明の非限定的な実施形態に従って構成され、動作する、脊椎システムの簡略された図である。
図5図5は、液圧または空気圧によって伸延された、本発明の非限定的な実施形態に従って構成され、動作する、脊椎システムの簡略された図である。
図6図6は、付勢装置を用いて伸延された、本発明の非限定的な実施形態に従って構成され、動作する、脊椎システムの簡略された図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1から図3を参照して、本発明の非限定的な実施形態に従って構成され、動作する、脊椎システム100を示す。
【0014】
脊椎システム10は、端部に設けられた第1のコネクタ14を有する第1の伸延ロッド12と、端部に設けられた第2のコネクタ18を有する第2の伸延ロッド16とを含む。ロッド12および16の両方は、ハウジング20内で移動(例えば、平行移動または摺動)するように配置される。コネクタ14および18の両方は、それぞれ、多軸ジョイント22(例えば、球状のヘッドであるが、これに限定されるものではない)に設けられ、ナット等の締結具24で固定されたリングを有する。多軸ジョイント22は、椎弓根スクリュー26に取り付けられるか、またはその一部であってもよい。締結具24は、多軸ジョイント22の一部(図では上部)に対して締結されるが、多軸ジョイントの多軸運動を妨げない。したがって、締結具24を締結した後であっても、コネクタ14または18が多軸ジョイントから外れず、多軸ジョイントは常に多軸運動を自由に行う。
【0015】
伸延締結具28および30は、ハウジング20に沿って、第1および第2の伸延ロッド12および16をそれぞれ所望の位置に締結してもよい。
【0016】
椎弓根スクリュー26を患者の椎骨に挿入した後、伸延器(図示せず)または他の適切な手段を用いてスクリュー間の距離を伸延または拡張(用語は互換的に使用される)することが可能である。図2に伸延位置を示す。伸延した後、伸延締結具28および30を、椎弓根スクリュー間の距離を固定するのに用いることができる。
【0017】
図1および図2に示すように、第1および第2の伸延ロッド12および16を、伸延締結具28および30によって所定の位置にロックされる前にそれぞれその長手方向軸周りに回転させてもよい。例えば、それらの伸延ロッドの一つを回転させ他を回転させないか、または両方を回転させてもよい。他の例として、伸延ロッドの一つのみを伸延させ他方を伸延させない、または両方を伸延させてもよい。伸延されていないロッドは、どちらであっても、伸延締結具によって所定の位置にロックされてもよく、または、ロックされないままでもよい。その場合、このロッドは、平行移動または回転移動を自由にできる。
【0018】
次に図4を参照して、本発明の非限定的な実施形態に従って構成され、動作する脊椎システムを示す。図において、同様の構成要素は同様の番号で示される。本実施形態において、伸延ロッド42および44は、ハウジング20において、少なくとも一部にねじが設けられて雌ねじ46と噛み合う。ハウジングに対してロッドを回転させる、つまり、ハウジングを固定してロッドを回転させる、もしくは、ロッドを回転させずにハウジングを回転させる、または、ロッドとハウジングの両方を回転させることによって、伸延を行ってもよい。ある実施形態において、ロッド42のねじ43は右ねじであって、ロッド44のねじ45は左ねじである。このようにして、ハウジングを一方向に回転させることにより、ロッド42および44が同時に互いに反対方向に移動する。椎弓根スクリュー間を所望の距離に伸延させた後、伸延締結具(図示せず)を用いてシステムを所望の位置に固定してもよい。
【0019】
次に図4Aを参照して、図4の脊椎システムの別の例を示す。ただし、図4Aの実施形態は別の実施形態によっても実現可能であり、ハウジングとねじ込み係合する伸延ロッドに限定されるものではない。
【0020】
図4Aの例において、伸長部材70は、接続要素72に結合されたロッドであり、接続要素72はU字型であってもよい。接続要素72は、スクリュー等の締結具74によって、伸延ロッド44の多軸ジョイント22に結合されてもよい。締結具24について上述したように、ここでも、締結具74は多軸ジョイント22の一部に対して締結されるが、多軸ジョイント22の多軸運動を妨げない。したがって、締結具74を締結した後であっても伸長部材70は多軸ジョイント22から離れず、多軸ジョイント22は常に多軸運動を自由に行う。そのため、伸長部材70と伸延ロッド44との間で自由に多軸運動を行うことができる。
【0021】
伸長部材70は、一つまたは二つの椎弓根スクリュー76を有する脊椎構造に固定されてもよい。伸長部材70は、ロッド44と同一直線上にあってもよく、または、ロッド44に対して傾斜していてもよい。
【0022】
次に図5を参照して、本発明の非限定的な実施形態に従って構成され、動作する脊椎システムを示す。図において、同様の構成要素は同様の番号で示される。本実施形態において、伸延は液圧または空気圧を用いて行われる。例えば、ハウジング20は、流体(例えば、水、生理的食塩水、空気等)を導入するための流体入口52が設けられていてもよい。流体圧力はロッド12および16に作用し、ロッド間の距離を増加させる。ハウジング20内の流体を封止するシールリング(図示せず)を設けてもよい。外科的処置の間または外科的処置後の任意の時点で、流体を導入してもよい。
【0023】
ある実施形態において、一方のロッドをハウジングに取り付け、他方のロッドを流体(液圧または空気圧)力によって伸延してもよい。
【0024】
次に図6を参照して、本発明の非限定的な実施形態に従って構成され、動作する脊椎システムを示す。図において、同様の構成要素は同様の番号で示される。本実施形態において、コイルスプリングまたは可撓性バンド等の、ハウジングに設けられた付勢装置62を用いて伸延を行う。付勢装置62は、金属またはエラストマー材料によって構成されてもよい。付勢装置62は、ロッド12および16に一定または可変のばね力を加えてもよい。
【0025】
ある実施形態において、一方のロッドはハウジングに取り付けられ、他方のロッドはばね力によって伸延されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図4A
図5
図6