(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】センサ及び検査装置
(51)【国際特許分類】
G01R 33/02 20060101AFI20241127BHJP
G01R 33/09 20060101ALI20241127BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
G01R33/02 V
G01R33/09
G01R33/02 R
A61B5/00 B
(21)【出願番号】P 2022024482
(22)【出願日】2022-02-21
【審査請求日】2024-03-01
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期/フィジカル空間デジタルデータ処理基盤/サブテーマII:超低消費電力IoTデバイス・革新的センサ技術/超高感度センサシステムの研究開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】喜々津 哲
(72)【発明者】
【氏名】東 祥弘
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 聡志
【審査官】島田 保
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-208121(JP,A)
【文献】特開2018-155719(JP,A)
【文献】特開2021-67568(JP,A)
【文献】特開2018-96895(JP,A)
【文献】特開2004-354181(JP,A)
【文献】特開2017-111148(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0109534(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 33/00-33/26
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1磁性部材と、
第2磁性部材であって、前記第2磁性部材は、前記第1磁性部材から前記第2磁性部材への第1方向において前記第1磁性部材から離れた、前記第2磁性部材と、
第1絶縁領域を含む絶縁部材であって、前記第1絶縁領域は、前記第1磁性部材と前記第2磁性部材との間に設けられた、前記絶縁部材と、
第1接続領域を含む第1配線と、
第2接続領域を含む第2配線と、
第1磁性層及び第1対向磁性層を含む第1磁気素子であって、前記第1磁性層から前記第1対向磁性層への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記第1方向に沿う前記第1磁気素子の長さは、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差する第3方向に沿う前記第1磁気素子の長さよりも長く、前記第1磁気素子は、第1部分領域、第2部分領域、第3部分領域、第4部分領域及び第5部分領域を含み、前記第1部分領域は、前記第1方向において、前記第4部分領域と前記第5部分領域との間にあり、前記第2部分領域は、前記第1方向において、前記第4部分領域と前記第1部分領域との間にあり、前記第3部分領域は、前記第1方向において、前記第1部分領域と前記第5部分領域との間にあり、前記第1部分領域から前記第1絶縁領域への方向は、前記第2方向に沿い、前記第2部分領域から前記第1接続領域への方向は、前記第2方向に沿い、前記第2部分領域は、前記第1接続領域と電気的に接続され、前記第3部分領域から前記第2接続領域への方向は、前記第2方向に沿い、前記第3部分領域は、前記第2接続領域と電気的に接続され、前記第4部分領域から前記第1磁性部材の少なくとも一部への方向は、前記第2方向に沿い、前記第5部分領域から前記第2磁性部材の少なくとも一部への方向は、前記第2方向に沿う、前記第1磁気素子と、
前記第1方向に延びる第1導電部材であって、前記第1導電部材から前記第1磁気素子への方向は、前記第2方向に沿う前記第1導電部材と、
を含む第1素子を備えた、センサ。
【請求項2】
第1磁性部材と、
第2磁性部材であって、前記第2磁性部材は、前記第1磁性部材から前記第2磁性部材への第1方向において前記第1磁性部材から離れた、前記第2磁性部材と、
第1絶縁領域を含む絶縁部材であって、前記第1絶縁領域は、前記第1磁性部材と前記第2磁性部材との間に設けられた、前記絶縁部材と、
第1接続領域を含む第1配線と、
第2接続領域を含む第2配線と、
第1磁性層及び第1対向磁性層を含む第1磁気素子であって、前記第1磁性層から前記第1対向磁性層への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記第1方向に沿う前記第1磁気素子の長さは、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差する第3方向に沿う前記第1磁気素子の長さよりも長く、前記第1磁気素子は、第1部分領域を含み、前記第1部分領域から前記第1絶縁領域への方向は前記第2方向に沿い、前記第1接続領域は、前記第1部分領域の一部と電気的に接続され、前記第2接続領域は、前記第1部分領域の別の一部と電気的に接続され、前記第1部分領域の前記一部から前記第1部分領域の前記別の一部への方向は、前記第3方向の成分を含む、前記第1磁気素子と、
前記第1方向に延びる第1導電部材であって、前記第1導電部材から前記第1磁気素子への方向は、前記第2方向に沿う前記第1導電部材と、
を含む第1素子を備えた、センサ。
【請求項3】
前記第1磁気素子は、前記第1磁性層と前記第1対向磁性層との間に設けられた第1非磁性層を含み、
前記第1非磁性層は、Cu、Au及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、請求項1または2に記載のセンサ。
【請求項4】
第1磁性部材と、
第2磁性部材であって、前記第2磁性部材は、前記第1磁性部材から前記第2磁性部材への第1方向において前記第1磁性部材から離れた、前記第2磁性部材と、
第1絶縁領域を含む絶縁部材であって、前記第1絶縁領域は、前記第1磁性部材と前記第2磁性部材との間に設けられた、前記絶縁部材と、
第1接続領域を含む第1配線と、
第2接続領域を含む第2配線と、
第1磁性層及び第1対向磁性層を含む第1磁気素子であって、前記第1磁性層から前記第1対向磁性層への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記第1方向に沿う前記第1磁気素子の長さは、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差する第3方向に沿う前記第1磁気素子の長さよりも長く、前記第1磁気素子は、第1部分領域を含み、前記第1部分領域は、前記第2接続領域と前記第1絶縁領域との間にあり、前記第1接続領域は前記第1部分領域と前記第1絶縁領域との間にあり、前記第1接続領域は、前記第1磁性層と前記第1対向磁性層の一方と電気的に接続され、前記第2接続領域は、前記第1磁性層と前記第1対向磁性層の他方と電気的に接続された、前記第1磁気素子と、
前記第1方向に延びる第1導電部材であって、前記第1導電部材から前記第1磁気素子への方向は、前記第2方向に沿う前記第1導電部材と、
を含む第1素子を備えた、センサ。
【請求項5】
前記第1磁気素子は、前記第1磁性層と前記第1対向磁性層との間に設けられた第1非磁性層と含み、
前記第1非磁性層は、Mg、Al、Ta及びTiよりなる群から選択された少なくとも1つと、酸素と、を含む、請求項4に記載のセンサ。
【請求項6】
前記第1磁性部材は、第1部分と第1他部分とを含み、前記第1部分は、前記第1方向において前記第1絶縁領域と前記第1他部分との間にあり、
前記第1部分の前記第3方向に沿う幅は、前記第1他部分の前記第3方向に沿う幅よりも狭い、請求項1~5のいずれか1つに記載のセンサ。
【請求項7】
前記第1導電部材は、第1導電領域を含み、
前記第1導電領域は、前記第2方向において前記第1部分と重なり、
前記第1導電領域の前記第3方向に沿う幅は、前記第1部分の前記第3方向に沿う前記幅よりも広く、前記第1他部分の前記第3方向に沿う前記幅よりも狭い、請求項6に記載のセンサ。
【請求項8】
第3磁性部材と、
第4磁性部材と、
をさらに備え、
前記第4磁性部材は、前記第3方向において前記第3磁性部材から離れ、
前記第1絶縁領域は、前記第3磁性部材と前記第4磁性部材との間に設けられた、請求項1~7のいずれか1つに記載のセンサ。
【請求項9】
前記第3磁性部材は、第3部分と第3他部分とを含み、前記第3部分は、前記第3方向において前記第1絶縁領域と前記第3他部分との間にあり、
前記第3部分の前記第1方向に沿う幅は、前記第3他部分の前記第1方向に沿う幅よりも狭い、請求項8に記載のセンサ。
【請求項10】
第1回路を含む制御部をさらに備え、
前記第1導電部材は、第1導電部分及び第1他導電部分を含み、前記第1他導電部分から前記第1導電部分への方向は、前記第1方向に沿い、
前記第1回路は、前記第1導電部分及び前記第1他導電部分と電気的に接続され、
前記第1回路は、前記第1導電部材に交流成分を含む第1電流を供給可能である、請求項1~9のいずれか1つに記載のセンサ。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1つに記載のセンサと、
前記センサから得られる出力信号を処理する処理部と、
を備えた検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、センサ及び検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、磁性層を用いたセンサがある。センサにおいて、特性の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、特性の向上が可能なセンサ及び検査装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、センサは、第1素子を含む。第1素子は、第1磁性部材、第2磁性部材、絶縁部材、第1配線、第2配線、第1磁気素子及び第1導電部材を含む。前記第2磁性部材は、前記第1磁性部材から前記第2磁性部材への第1方向において前記第1磁性部材から離れる。前記絶縁部材は、第1絶縁領域を含む。前記第1絶縁領域は、前記第1磁性部材と前記第2磁性部材との間に設けられる。前記第1配線は、第1接続領域を含む。前記第2配線は、第2接続領域を含む。前記第1磁気素子は、第1磁性層及び第1対向磁性層を含む。前記第1磁性層から前記第1対向磁性層への第2方向は、前記第1方向と交差する。前記第1方向に沿う前記第1磁気素子の長さは、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差する第3方向に沿う前記第1磁気素子の長さよりも長い。前記第1磁気素子は、第1部分領域、第2部分領域、第3部分領域、第4部分領域及び第5部分領域を含む。前記第1部分領域は、前記第1方向において、前記第4部分領域と前記第5部分領域との間にある。前記第2部分領域は、前記第1方向において、前記第4部分領域と前記第1部分領域との間にある。前記第3部分領域は、前記第1方向において、前記第1部分領域と前記第5部分領域との間にある。前記第1部分領域から前記第1絶縁領域への方向は、前記第2方向に沿う。前記第2部分領域から前記第1接続領域への方向は、前記第2方向に沿う。前記第2部分領域は、前記第1接続領域と電気的に接続される。前記第3部分領域から前記第2接続領域への方向は、前記第2方向に沿う。前記第3部分領域は、前記第2接続領域と電気的に接続される。前記第4部分領域から前記第1磁性部材の少なくとも一部への方向は、前記第2方向に沿う。前記第5部分領域から前記第2磁性部材の少なくとも一部への方向は、前記第2方向に沿う。前記第1導電部材は、前記第1方向に延びる。前記第1導電部材から前記第1磁気素子への方向は、前記第2方向に沿う。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1(a)~
図1(d)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
【
図2】
図2(a)~
図2(c)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的平面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的平面図である。
【
図5】
図5(a)及び
図5(b)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的平面図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的平面図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的平面図である。
【
図9】
図9は、センサの特性を例示するグラフである。
【
図11】
図11(a)及び
図11(b)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的平面図である。
【
図15】
図15(a)及び
図15(b)は、第1実施形態に係るセンサの動作を例示する模式図である。
【
図17】
図17は、第1実施形態に係るセンサの動作を例示する模式図である。
【
図18】
図18は、第2実施形態に係る検査装置を示す模式的斜視図である。
【
図19】
図19は、第2実施形態に係る検査装置を示す模式的平面図である。
【
図20】
図20は、実施形態に係るセンサ及び検査装置を示す模式図である。
【
図21】
図21は、実施形態に係る検査装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1(a)~
図1(d)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図1(a)は、平面図である、
図1(b)は、
図1(a)のA1-A2線断面図である。
図1(c)は、
図1(a)のB1-B2線断面図である。
図1(d)は、
図1(a)のC1-C2線断面図である。
図2(a)~
図2(c)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図2(a)及び
図2(b)は平面図である。
図2(b)は、
図1(a)のA1-A2線断面に対応する断面図である。これらの図においては、図が見易くなるように、一部の要素が抜き出されて描かれている。
【0009】
図1(a)に示すように、実施形態に係るセンサ110は、第1素子10Aを含む。第1素子10Aは、素子部10Uに含まれて良い。第1素子10Aは、第1磁性部材51、第2磁性部材52、絶縁部材81、第1配線41、第2配線42、第1磁気素子11及び第1導電部材21を含む。
【0010】
第1磁性部材51から第2磁性部材52への第1方向D1をY軸方向とする。Y軸方向に対して垂直な1つの方向をZ軸方向とする。Y軸方向及びZ軸方向に対して垂直な方向をX軸方向とする。
【0011】
第2磁性部材52は、第1方向D1において、第1磁性部材51から離れる。
【0012】
絶縁部材81は、第1絶縁領域81aを含む。第1絶縁領域81aは、第1磁性部材51と第2磁性部材52との間に設けられる。
【0013】
第1配線41は、第1接続領域41cを含む。第2配線42は、第2接続領域42cを含む。
【0014】
第1磁気素子11は、第1磁性層11a及び第1対向磁性層11bを含む。第1磁性層11aから第1対向磁性層11bへの第2方向D2は、第1方向D1と交差する。第2方向D2は、例えば、Z軸方向である。
【0015】
この例では、第1磁気素子11は、第1非磁性層11nを含む。第1非磁性層11nは、第1磁性層11aと第1対向磁性層11bとの間に設けられる。この例では、第1非磁性層11nは、導電性である。第1非磁性層11nは、例えば、Cu、Au及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0016】
図2(c)に示すように、第1方向D1に沿う第1磁気素子11の長さを長さL11とする。第3方向D3に沿う第1磁気素子11の長さ(幅)を長さW11とする。第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2を含む平面と交差する。第3方向D3は、例えば、X軸方向である。長さL11は、長さW11よりも長い。
【0017】
例えば、外部からの磁界が印加されていないときに、第1磁性層11aの磁化11aM(
図1(b)参照)は、第1方向D1に沿う。外部からの磁界が印加されていないときに、第1対向磁性層11bの磁化11bM(
図1(b)参照)は、第1方向D1に沿う。これらの磁化は、例えば、磁性層の形状異方性に基づいて良い。第1方向D1は、磁性層の例えば、磁化容易軸に沿う。第3方向D3は、例えば、磁性層の磁化困難軸に沿う。
【0018】
長さL11は、例えば、1μm以上10mm以下である。長さW11は、例えば、10nm以上100μm以下である。
【0019】
第1磁気素子11は、第1部分領域p1、第2部分領域p2、第3部分領域p3、第4部分領域p4及び第5部分領域p5を含む。
図1(b)、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、第1部分領域p1は、第1方向D1において、第4部分領域p4と第5部分領域p5との間にある。第2部分領域p2は、第1方向D1において、第4部分領域p4と第1部分領域p1との間にある。第3部分領域p3は、第1方向D1において、第1部分領域p1と第5部分領域p5との間にある。これらの複数の部分領域の間の境界は、不明確で良い。
【0020】
図2(b)に示すように、第1部分領域p1から第1絶縁領域81aへの方向は、第2方向D2に沿う。第2部分領域p2から第1接続領域41cへの方向は、第2方向D2に沿う。第2部分領域p2は、第1接続領域41cと電気的に接続される。第3部分領域p3から第2接続領域42cへの方向は、第2方向D2に沿う。第3部分領域p3は、第2接続領域42cと電気的に接続される。第4部分領域p4から第1磁性部材51の少なくとも一部への方向は、第2方向D2に沿う。第5部分領域p5から第2磁性部材52の少なくとも一部への方向は、第2方向D2に沿う。
【0021】
第2方向D2において、第1磁性部材51と第2磁性部材52との間の領域と重なる領域が、第1部分領域p1に対応する。第2方向D2において、第1接続領域41cと重なる領域が、第2部分領域p2に対応する。第2方向D2において、第2接続領域42cと重なる領域が、第3部分領域p3に対応する。第2方向D2において、第1接続領域41cと重ならず、第1磁性部材51と重なる領域が、第4部分領域p4に対応する。第2方向D2において、第2接続領域42cと重ならず、第2磁性部材52と重なる領域が、第5部分領域p5に対応する。
【0022】
第1導電部材21は、第1方向D1に延びる。第1導電部材21の第1方向D1に沿う長さL21は、第1導電部材21の第3方向D3に沿う長さW21(幅)よりも長い。1つの例において、長さL21は1μm以上50mm以下である。1つの例において、長さW21は、100nm以上10mm以下である。
【0023】
第1導電部材21から第1磁気素子11への方向は、第2方向D2に沿う。例えば、第1磁気素子11の一部は、第2方向D2において、第1導電部材21と第1磁性部材51との間にある。例えば、第1磁気素子11の別の一部は、第2方向D2において、第1導電部材21と第2磁性部材52との間にある。
【0024】
例えば、第1素子10Aの周りに存在する磁界(例えば検出対象磁界Ht(図)1(a)参照)は、第1磁性部材51及び第2磁性部材52により集められる。集められた磁界は、第1磁性部材51と第2磁性部材51との間を通過する。集められた磁界が第1磁気素子11を通過する。磁界に応じて、第1磁気素子11に設けられる磁性層の磁化の向きが変化する。この例では、第1対向磁性層11bの磁化11bMの向きが変化する。一方、第1磁性層11aの磁化11aMの向きは実質的に固定されている。磁界に応じて、これらの磁化の向きの間の角度が変化する。角度の変化に応じて第1磁気素子11の電気抵抗が変化する。電気抵抗の変化は、例えば、MR(magnetoresistance effect)効果による。電気抵抗の変化を検出することで、検出対象磁界Htを検出できる。
【0025】
第1磁性部材51及び第2磁性部材52は、例えば、MFC(Magnetic Flux Concentrator)として機能する。
【0026】
第1磁性部材51及び第2磁性部材52より集められた磁界は、第1磁気素子11の第1部分領域p1を通過する。磁界は、第4部分領域p4及び第5部分領域p5を実質的に通過しない。第1部分領域p1の電気抵抗は、磁界に応じて変化する。一方、第4部分領域p4及び第5部分領域p5の電気抵抗は、実質的に変化しない。実施形態においては、第1部分領域p1の近くの第2部分領域p2に第1配線41の第1接続領域41cが接続される。第1部分領域p1の近くの第3部分領域p3に第3配線42の第2接続領域42cが接続される。これにより、電気抵抗が変化する第1部分領域p1の電気抵抗が効率的に検出される。
【0027】
例えば、第1配線41が第4部分領域p4に接続され、第2配線42が第5部分領域p5に接続される参考例が考えられる。この参考例においては、検出される電気抵抗は、電気抵抗が変化しない第4部分領域p4及び第5部分領域p5の電気抵抗を含む。このため、電気抵抗の変化が小さい。
【0028】
これに対して、実施形態においては、電気抵抗が変化する第1部分領域p1の電気抵抗が効率的に検出される。実施形態において検出される電気抵抗の変化は、参考例において検出される電気抵抗の変化よりも大きい。実施形態においては、より高い感度が得られる。実施形態によれば、特性の向上が可能なセンサが提供できる。
【0029】
実施形態において、電気抵抗が変化しない第4部分領域p4及び第5部分領域p5が設けられることで、第1磁気素子11の全体の長さ(長さL11)を長くできる。これにより、第1磁気素子11に含まれる磁性層の磁化を安定にできる。例えば、意図しない磁区の発生が抑制できる。これにより、例えば、安定した電気抵抗が得られる。例えば、ノイズが抑制される。第1磁気素子11の電気抵抗を小さい電流で検出できる。例えば、消費電力を抑制できる。
【0030】
図2(a)に示すように、第1接続領域41cの第1方向D1に沿う長さを長さL41cとする。第2接続領域42cの第1方向D1に沿う長さを長さL42cとする。これらの長さは過度に長くない方が良い。長さL41cは、例えば、長さL11の1/10000倍以上1/10倍以下であることが好ましい。長さL42cは、長さL11の1/10000倍以上1/10倍以下であることが好ましい。長さL41c及び長さL42cが100μm以下であることで、電気抵抗が変化する領域の電気抵抗を効率的に検出できる。これにより、高い感度がより得やすくなる。長さL41c及び長さL42cが10nm以上であることで、安定した電気的接続が得易い。
【0031】
図1(b)に示すように、実施形態において、第1配線41の少なくとも一部は、第2方向D2において、第1磁性部材51と重なっても良い。第2配線42の少なくとも一部は、第2方向D2において、第2磁性部材52と重なっても良い。例えば、第1接続領域41cは、第2方向D2において第1磁性部材51と重なって良い。第2接続領域42cは、第2方向D2において第2磁性部材52と重なって良い。
【0032】
第1接続領域41cの一部は、第2方向D2において第1絶縁領域81aと重なっても良い。第2接続領域42cの一部は、第2方向D2において第1絶縁領域81aと重なっても良い。
【0033】
例えば、
図2(a)及び
図2(c)に示すように、第1磁気部材51の第3方向D3に沿う長さW51(幅)は、長さW11よりも長く、長さW21よりも長い。第2磁気部材52の第3方向D3に沿う長さW52(幅)は、長さW11よりも長い。磁性部材の幅が広いことで、検出対象磁界Htを効率的に集められる。後述するように、磁性部材の幅は、第1方向D1に沿って変化しても良い。
【0034】
図2(a)に示すように、第1磁性部材51の第1方向D1に沿う長さ(厚さ)を長さL51とする。長さL51は、例えば、0.1μm以上10mm以下である。第2磁性部材52の第1方向D1に沿う長さ(厚さ)を長さL52とする。長さL52は、例えば、0.1μm以上10mm以下である。長さL52は、長さL51と実質的に同じで良い。
【0035】
図2(b)に示すように、第1磁気素子11の第2方向D2に沿う長さ(厚さ)を長さt11とする。長さt11は、例えば、5nm以上100nm以下である。第1導電部材21の第2方向D2に沿う長さ(厚さ)を長さt21とする。長さt21は、例えば、10nm以上100μm以下である。第1磁性部材51の第2方向D2に沿う長さ(厚さ)を長さt51とする。長さt51は、例えば、100nm以上100μm以下である。第2磁性部材52の第2方向D2に沿う長さ(厚さ)を長さt52とする。長さt52は、例えば、100nm以上100μm以下である。長さt52は、長さt51と実質的に同じで良い。
【0036】
第1磁性部材51の第2方向D2に沿う長さ(厚さ)を長さt51とする。長さt51は、例えば、100nm以上100μm以下である。第2磁性部材52の第2方向D2に沿う長さ(厚さ)を長さt52とする。長さt52は、例えば、100nm以上100μm以下である。長さt52は、長さt51と実質的に同じで良い。
【0037】
図1(c)及び
図1(d)に示すように、絶縁部材81は、第2絶縁領域81bを含んで良い。第2絶縁領域81bは、第1導電部材21と第1磁気素子11との間にある。絶縁部材81は、第3絶縁領域81cを含んで良い。第3絶縁領域81cは、第1接続領域41cと第1磁性部材51との間にある。絶縁部材81は、第4絶縁領域81dを含んで良い。第4絶縁領域81dは、第2接続領域42cと第2磁性部材52との間にある。
【0038】
図1(a)に示すように、センサ110は、制御部70を含んでも良い。制御部70は、センサ110とは別に設けられても良い。制御部70は、第1回路71を含む。
図1(a)に示すように、第1導電部材21は、第1導電部分21e及び第1他導電部分21fを含む。第1他導電部分21fから第1導電部分21eへの方向は、第1方向D1に沿う。第1回路71は、第1導電部分21e及び第1他導電部分21fと電気的に接続される。第1回路71は、第1導電部材21に交流成分を含む第1電流i1を供給可能である。例えば、第1電流i1は、交流成分と直流成分を含んで良い。第1電流i1により第1磁界Ha(
図1(a)参照)が発生する。第1磁界Haは、交流磁界成分を含む。例えば、交流成分及び直流成分を含んで良い。第1電流i1の交流成分の変化に応じて、第1磁界Haの交流磁界成分が変化する。
【0039】
第1電流i1により生じる第1磁界Haが第1磁気素子11に印加される。第1電流i1の交流成分の変化に応じた交流磁界成分の変化により、第1磁気素子11の電気抵抗が変化する。第1磁気素子11の電気抵抗は、第1電流i1の変化に応じて変化する。
【0040】
第1磁気素子11には、第1電流i1に基づく第1磁界Haと、検出対象磁界Htと、が印加される。第1磁気素子11の電気抵抗を第1磁界Haの交流磁界成分の周波数に基づいて処理することで、ノイズを抑制して、検出対象磁界Htを高感度で検出できる。第1電流i1の例については、後述する。
【0041】
実施形態においては、第1磁気素子11に第3方向D3の成分を含む交流磁界(第1磁界Ha)が印加され、その交流磁界(第1磁界Ha)の交流成分の周波数に基づいて、電気抵抗の変化を含む信号を処理することで、検出対象磁界Htを高感度で検出できる。第1導電部材21は、第3方向D3の成分を含む交流磁界(第1磁界Ha)を生じさせる、第1導電部材21は、交流磁界を発生させる磁界発生部28である。
【0042】
図1(a)に示すように、制御部70は、第2回路72及び第3回路73を含んでも良い。第2回路72は、第1磁気素子11に検出電流idを供給可能である。検出電流idは、例えば電気抵抗を検出するための電流である。検出電流idは、例えば直流電流で良い。
【0043】
第3回路73は、第1磁気素子11の電気抵抗の変化に対応する信号を検出可能である。例えば、第3回路73は、第1配線41と第2配線42との間の電気抵抗に対応する値を検出可能である。電気抵抗に対応する値の検出結果に基づいて、検出対象磁界を高感度で検出できる。
【0044】
センサ110において、第1磁性部材51及び第2磁性部材52の形状は、実質的に長方形である。このような構成を第1構造とする。実施形態において、これら磁性部材は、種々の変形が可能である。以下、第1磁性部材51及び第2磁性部材52などのMFCに関するいくつかの例について説明する。以下の説明において、磁性部材を除く部分は、センサ110の構成と同様で良い。
【0045】
図3は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的平面図である。
図3に示すように、実施形態に係るセンサ111において、磁性部材は、第2構造CF2を有する。第2構造CF2において、第1磁性部材51及び第2磁性部材52の幅が、第1方向D1に沿って変化する。
【0046】
第1磁性部材51は、第1部分a1と第1他部分b1とを含む。第1部分a1は、第1方向D1において第1絶縁領域81aと第1他部分b1との間にある。第1部分a1の第3方向D3に沿う幅Wa1は、第1他部分b1の第3方向D3に沿う幅Wb1よりも狭い。
【0047】
第2磁性部材52は、第2部分a2と第2他部分b2とを含む。第2部分a2は、第1方向D1において第1絶縁領域81aと第2他部分b2との間にある。第2部分a2の第3方向D3に沿う幅Wa2は、第2他部分b2の第3方向D3に沿う幅Wb2よりも狭い。
【0048】
第2構造CF2において、第1磁性部材51の第2磁性部材52の側の部分の幅が狭い。第2磁性部材52の第1磁性部材51の側の部分の幅が狭い。これらの磁性部材は、テーパ状である。これにより、検出対象磁界Htがより集中する。検出対象磁界Htがより効率的に第1磁気素子11の第1部分領域p1に印加される。より高感度の検出が可能である。
【0049】
第1導電部材21は、第1導電領域21aを含む。第1導電領域21aは、第2方向D2において第1部分a1と重なる。第1導電領域21aの第3方向D3に沿う幅を幅Wa21とする。実施形態において、幅Wa21は、第1部分a1の第3方向D3に沿う幅Wa1よりも広く、第1他部分b1の第3方向D3に沿う幅Wb1よりも狭いことが好ましい。検出対象磁界Htをより効率的に第1磁気素子11に集中させることができる。
【0050】
第1導電部材21は、第2導電領域21bを含む。第2導電領域21bは、第2方向D2において第2部分a2と重なる。第2導電領域21bの第3方向D3に沿う幅を幅Wb21とする。実施形態において、幅Wb21は、第2部分a2の第3方向D3に沿う幅Wa2よりも広く、第2他部分b2の第3方向D3に沿う幅Wb2よりも狭いことが好ましい。より効率的に検出対象磁界Htを第1磁気素子11に集中させることができる。
【0051】
図4は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的平面図である。
図4に示すように、実施形態に係るセンサ112において、磁性部材は、第3構造CF3を有する。第3構造CF3において、幅Wa1は、幅Wb1よりも狭い。幅Wa2は、幅Wb2よりも狭い。第3構造CF3においては、第1部分a1は、角状である。第2部分a2は、角状である。
【0052】
図5(a)及び
図5(b)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図5(a)は平面図である。
図5(b)は、
図5(a)のX1-X2線断面図である。
図5に示すように、実施形態に係るセンサ113において、磁性部材は、第4構造CF4を有する。第4構造CF4において、第3磁性部材53及び第4磁性部材54が設けられる。これを除く第4構造CF4の構成は、第2構造CF2の構成と同様で良い。
【0053】
第4磁性部材54は、第3方向D3において第3磁性部材53から離れる。第1絶縁領域81aは、第3磁性部材53と第4磁性部材54との間に設けられる。第3磁性部材53及び第4磁性部材54が設けられることで、第3方向D3の成分を含む磁界を集めることができる。例えば、第1導電部材21に第1電流i1が流れて生じる第1磁界Haを効率よく集めることができる。第1電流i1の変化に対応する第1磁気素子11の電気抵抗の変化を大きくできる。
【0054】
第3磁性部材53の第1方向D1に沿う長さ(幅)を長さL53(
図5(a)参照)とする。長さL53は、例えば、1μm以上100μm以下である。第4磁性部材54の第1方向D1に沿う長さ(幅)を長さL54(
図5(a)参照)とする。長さL54は、例えば、1μm以上100μm以下である。
【0055】
第3磁性部材53の第3方向D3に沿う長さを長さW53(
図5(a)参照)とする。長さW53は、例えば、10μm以上10mm以下である。第4磁性部材54の第3方向D3に沿う長さ(幅)を長さW54(
図5(a)参照)とする。長さW54は、例えば、10μm以上10mm以下である。
【0056】
第3磁性部材53の第2方向D2に沿う長さ(厚さ)を長さt53(
図5(b)参照)とする。長さt53は、例えば、100nm以上100μm以下である。第4磁性部材54の第2方向D2に沿う長さ(厚さ)を長さt54(
図5(c)参照)とする。長さt54は、例えば、100nm以上100μm以下である。長さt54は、長さt53と実質的に同じで良い。長さt53及び長さt54は、長さt51及び長さt52と実質的に同じで良い。
【0057】
図6は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的平面図である。
図6に示すように、実施形態に係るセンサ114において、磁性部材は、第5構造CF5を有する。第5構造CF5において、第1磁性部材51及び第2磁性部材52は、第3構造CF3におけるそれらの構成を有する。第5構造CF5において、幅Wa1は、幅Wb1よりも狭い。幅Wa2は、幅Wb2よりも狭い。第5構造CF5において、第4構造CF4に関して説明した第3磁性部材53及び第4磁性部材54が設けられる。
【0058】
図7は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的平面図である。
図7に示すように、実施形態に係るセンサ115は、磁性部材は、第6構造CF6を有する。第6構造CF6において、第1~第4磁性部材51~54が設けられる。第1磁性部材51及び第2磁性部材52は、テーパ状である。第6構造CF6において、第3磁性部材53及び第4磁性部材54もテーパ状である。これを除く第6構造CF6の構成は、例えば、第4構造CF4と同様で良い。
【0059】
第6構造CF6において、第3磁性部材53は、第3部分a3と第3他部分b3とを含む。第3部分a3は、第3方向D3において第1絶縁領域81aと第3他部分b3との間にある。第3部分a3の第1方向D2に沿う幅Wa3は、第3他部分b4の第1方向D1に沿う幅Wb3よりも狭い。
【0060】
第6構造CF6において、第4磁性部材54は、第4部分a4と第4他部分b4とを含む。第4部分a4は、第3方向D3において第1絶縁領域81aと第4他部分b4との間にある。第4部分a4の第1方向D1に沿う幅Wa4は、第4他部分b4の第1方向D1に沿う幅Wb4よりも狭い。
【0061】
幅Wa3が幅Wb3よりも狭く、幅Wa4が幅Wb4よりも狭いことで、第3方向D3の成分を含む第1磁界Haをより効果的に第1磁気素子11の第1部分領域p1に集中させることができる。例えば、第1導電部材21に第1電流i1が流れて生じる第1磁界Haをより効率よく集めることができる。第1電流i1の変化に対応する第1磁気素子11の電気抵抗の変化をより大きくできる。
【0062】
図8は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的平面図である。
図8に示すように、実施形態に係るセンサ116において、磁性部材は、第7構造CF7を有する。第7構造CF7において、第1磁性部材51の第1部分a1、及び、第2磁性部材52の第2部分a2は、角状である。第7構造CF7において、第6構造CF6に関して説明した第3磁性部材53及び第4磁性部材54が設けられる。
【0063】
以下、磁性部材に関数上記の各種の構造の特性のシミュレーション結果について説明する。シミュレーションモデルにおいて、第1磁気素子11の長さL11は100μmである。長さW11(幅)は5μmである。長さt11(厚さ)は、50nmである。第1導電部材21の長さL21は、400μmである。長さW21(幅)は、20μmである。長さt21(厚さ)は、500μmである。第1磁性部材51の長さt51、磁性部材の厚さ(長さt51~t54)は、2μmである。第1磁性部材51の長さL51は、100μmである。第1磁性部材51の長さW51(幅)は、20μmである。第2磁性部材52の長さL52は、100μmである。第2磁性部材52の長さW52(幅)は、20μmである。第3磁性部材53の長さL53(幅)は、8μmである。第3磁性部材53の長さW53は、50μmである。第4磁性部材54の長さL54(幅)は、8μmである。第4磁性部材54の長さW54は、50μmである。
【0064】
磁性部材がテーパ状である場合、テーパ状の辺と第1方向D1との間の角度は、45度である。第2構造CF2及び第4構造CF4においては、第1磁性部材51及び第2磁性部材52の第1絶縁領域81aの側の部分が台形状である。この場合、第1絶縁領域81aの側の部分の幅(幅Wa1及びWa2)は、他の部分の幅(幅Wb1及びWb2)の1/2である。第1磁性部材51と第2磁性部材52との間の距離g1(
図2(b)参照)は10μmである。
【0065】
シミュレーションにおいては、第1方向磁界及び第3方向磁界が第1素子10Aに印加される。第1方向磁界は、第1方向D1に沿う。第1方向磁界は、検出対象磁界Htに対応する。一方、シミュレーションにおける特異点が生じるのを避けるために、第3方向磁界と第3方向D3との間の角度は10度である。第3方向磁界は、第1導電部材21に第1電流i1が流れたときに発生する第1磁界Haに対応する。
【0066】
図9は、センサの特性を例示するグラフである。
図9には、第1~第5構造CF1~CF5における特性が示されている。
図9の縦軸は、ゲインGN1である。ゲインGN1は、第1方向D1の磁束密度に関する。ゲインGN1は、磁性部材が設けられないときの第1部分領域p1における磁束密度に対する磁束密度の比である。ゲインGN1が高いことは、第1方向磁界(検出対象磁界Ht)を効率良く第1部分領域p1に集中できることに対応する。
【0067】
図9に示すように、第1~第5構造CF1~CF5において、1よりも高いゲインGN1が得られる。第2構造CF2のゲインGN1は、第1構造CF1のゲインGN1よりも高い。磁性部材の先端部が台形状に細くなることで、高いゲインGN1が得られる。磁性部材の先端部は、第1部分a1、第2部分a2、第3部分a3及び第4部分a4のそれぞれを含む領域である。
【0068】
第3構造CF3のゲインGN1は、第2構造CF2のゲインGN1よりも低い。第5構造CF5のゲインGN1は、第4構造CF4のゲインGN1よりも低い。磁性部材の先端部が過度により細くなるとゲインGN1が低くなると考えられる。磁性部材の先端部は、台形状であることがより好ましい。
【0069】
図10は、センサの特性を例示するグラフである。
図10には、第1~第5構造CF1~CF5における特性が示されている。
図10の縦軸は、ゲインGN2である。ゲインGN2は、第3方向D3の磁束密度に関する。ゲインGN2は、第3方向D3に沿った磁性部材が設けられないときの第1部分領域p1における磁束密度に対する、磁束密度の比である。ゲインGN2が高いことは、第3方向磁界(第1電流i1に基づく交流磁界(第1磁界Ha))を効率良く第1部分領域p1に集中できることに対応する。
【0070】
図10に示すように、第1~第3構造CF1~CF3においては、ゲインGN2は、1よりも低い。第4構造CF4及び第5構造CF5においては、ゲインGN2は、1よりも高い。このように、第3磁性部材53及び第4磁性部材54が設けられることで、第1電流i1に基づく交流磁界(第1磁界Ha)を第1部分領域p1に効率よく集めることができる。
【0071】
図9に関して説明したように、第1~第3構造CF1~CF3においても、ゲインGN1が1よりも高い。磁性部材が設けられないときと比べて、検出対象磁界Htを高い感度で検出できる。
【0072】
図11(a)及び
図11(b)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的平面図である。
図11(a)に示すように、実施形態に係るセンサ117において、磁性部材は、第8構造CF8を有する。第8構造CF8において、第1磁性部材51の先端部、及び、第2磁性部材52の先端部は、曲線状(弧状)である。
【0073】
図11(b)に示すように、実施形態に係るセンサ118において、磁性部材は、第9構造CF8を有する。第9構造CF9において、第3磁性部材53の先端部、及び、第4磁性部材54の先端部は、曲線状(弧状)である。磁性部材の先端部は台形状または弧状で良い。
【0074】
図12(a)~
図12(c)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図12(a)は、平面図である。
図12(b)は、
図12(a)のE1-E2線断面図である。
図12(c)は、
図12(a)のF1-F2線断面図である。
【0075】
図12(a)~12(c)に示すように、実施形態に係るセンサ120は、第1素子10Aを含む。第1素子10Aは、第1磁性部材51、第2磁性部材52、絶縁部材81、第1配線41、第2配線42、第1磁気素子11及び第1導電部材21を含む。
【0076】
第2磁性部材52は、第1磁性部材51から第2磁性部材52への第1方向D1において第1磁性部材51から離れる。絶縁部材81は、第1絶縁領域81aを含む。第1絶縁領域81aは、第1磁性部材51と第2磁性部材52との間に設けられる。
【0077】
第1配線41は、第1接続領域41cを含む。第2配線42は、第2接続領域42cを含む。
【0078】
第1磁気素子11は、第1磁性層11a及び第1対向磁性層11bを含む。第1磁性層11aから第1対向磁性層11bへの第2方向D2は、第1方向D1と交差する。この例では、第1磁気素子11は、第1非磁性層11nを含む。第1非磁性層11nは、例えば、Cu、Au及びAlよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0079】
この例においても、第1方向D1に沿う第1磁気素子11の長さ(長さL11、
図2(c)参照)は、第3方向D3に沿う第1磁気素子の長さ(長さW11、
図2(c)参照)よりも長い。第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2を含む平面と交差する。
【0080】
図12(b)に示すように、第1磁気素子11は、第1部分領域p1を含む。第1部分領域p1から第1絶縁領域81aへの方向は、第2方向D2に沿う。
【0081】
図12(a)に示すように、第1接続領域41cは、第1部分領域p1の一部と電気的に接続される。第2接続領域42cは、第1部分領域p1の別の一部と電気的に接続される。第1部分領域p1の上記の一部から第1部分領域p1の上記の別の一部への方向は、第3方向D3の成分を含む。例えば、第1部分領域p1の上記の一部から第1部分領域p1の上記の別の一部への方向は、第3方向D3に沿っても良い。例えば、第1接続領域41cから第2接続領域42cへの方向は、第3方向D3の成分を含む。例えば、第1接続領域41cから第2接続領域42cへの方向は、第3方向D3に沿っても良い。
【0082】
第1導電部材21は、第1方向D1に延びる。第1導電部材21から第1磁気素子11への方向は、第2方向D2に沿う。
【0083】
このようなセンサ120においても、第1磁性部材51及び第2磁性部材52により、第1方向D1に沿う検出対象磁界Htを第1部分領域p1に効率的に集中して印加できる。特性の向上が可能なセンサを提供できる。
【0084】
図12(a)及び
図12(b)に示すように、第1磁気素子11は、第2部分領域p2及び第3部分領域p3を含んでも良い。第1部分領域p1は、第1方向D1において、第2部分領域p2と第3部分領域p3との間にある。第2部分領域p2は、第2方向D2において第1磁性部材51と重なる。第3部分領域p3は、第2方向D2において第2磁性部材52と重なる。
【0085】
センサ120においても、第2部分領域p2及び第3部分領域p3が設けられることで、第1磁気素子11の長さ(長さL11)を長くできる。第1磁気素子11において、高い形状異方性が得られる。第1磁気素子11に含まれる磁性層の磁化がより安定になる。
【0086】
図2(b)に示すように、第1対向磁性層11bの一部は、第2方向D2において、第1磁性層11aの一部と第1接続領域41cとの間にある。第1対向磁性層11bの別の一部は、第2方向D2において、第1磁性層11aの別の一部と第2接続領域42cとの間にある。上記の第1~第9構造CF1~CF9は、センサ120に適用できる。
【0087】
図13(a)~
図13(d)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図13(a)は、平面図である。
図13(b)は、
図13(a)のG1-G2線断面図である。
図13(c)は、
図13(a)のH1-H2線断面図である。
図13(d)は、
図13(a)のI1-I2線断面図である。
【0088】
図13(a)に示すように、実施形態に係るセンサ121において、第1配線41の一部及び第2配線42の一部は、第2方向D2において、第1磁性部材51及び第2磁性部材52と重なる。これを除くセンサ121の構成は、センサ120の構成と同様で良い。
【0089】
第1磁気素子11は、第4部分領域p4及び第5部分領域p5を含む。第1部分領域p1は、第1方向D1において、第4部分領域p4と第5部分領域p5との間にある。第2部分領域p2は、第1方向D1において、第4部分領域p4と第1部分領域p1との間にある。第3部分領域p3は、第1方向D1において、第1部分領域p1と第5部分領域p5との間にある。第4部分領域p4は、第2方向D2において第1接続領域41c及び第2接続領域42cと重ならない。第4部分領域p4から第1磁性部材51の少なくとも一部への方向は、第2方向D2に沿う。第5部分領域p5は、第2方向D2において第1接続領域41c及び第2接続領域42cと重ならない。第5部分領域p5から第2磁性部材52の少なくとも一部への方向は、第2方向D2に沿う。
【0090】
第4部分領域p4及び第5部分領域p5が設けられることで、第1磁気素子11の長さ(長さL11)を長くできる。第1磁気素子11において、高い形状異方性が得られる。第1磁気素子11に含まれる磁性層の磁化がより安定になる。
【0091】
図14(a)~
図14(d)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図14(a)は、平面図である。
図14(b)は、
図14(a)のJ1-J2線断面図である。
図14(c)は、
図14(a)のK1-K2線断面図である。
図14(d)は、
図14(a)のQ1-Q2線断面図である。
【0092】
図14(a)~14(d)に示すように、実施形態に係るセンサ130は、第1素子10Aを含む。第1素子10Aは、第1磁性部材51、第2磁性部材52、絶縁部材81、第1配線41、第2配線42、第1磁気素子11及び第1導電部材21を含む。
【0093】
第2磁性部材52は、第1磁性部材51から第2磁性部材52への第1方向D1において第1磁性部材51から離れる。絶縁部材81は、第1絶縁領域81aを含む。第1絶縁領域81aは、第1磁性部材51と第2磁性部材52との間に設けられる。第1配線41は、第1接続領域41cを含む。第2配線42は、第2接続領域42cを含む。
【0094】
第1磁気素子11は、第1磁性層11a及び第1対向磁性層11bを含む。第1磁性層11aから第1対向磁性層11bへの方向(第2方向D2)は、第1方向D1と交差する。この例では、第1磁気素子11は、第1非磁性層11nを含む。第1非磁性層11nは、第1磁性層11aと第1対向磁性層11bとの間に設けられる。例えば、第1非磁性層11nは、Mg、Al、Ta及びTiよりなる群から選択された少なくとも1つと、酸素と、を含む。第1非磁性層11nは、例えば、MgOを含む。第1磁気素子11は、例えば、TMR(Tunnel Magneto Resistance)素子である。
【0095】
第1方向D1に沿う第1磁気素子11の長さ(長さL11、
図2(c)参照))は、第3方向D3に沿う第1磁気素子11の長さ(長さW11、
図2(c)参照)よりも長い。第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2を含む平面と交差する。
【0096】
第1磁気素子11は、第1部分領域p1を含む。
図14(b)に示すように、第1部分領域p1は、第2接続領域42cと第1絶縁領域81aとの間にある。第1接続領域41cは、第1部分領域p1と第1絶縁領域81aとの間にある。第1接続領域41cは、第1磁性層11aと第1対向磁性層11bの一方と電気的に接続される。第2接続領域42cは、第1磁性層11aと第1対向磁性層11bの他方と電気的に接続される。
【0097】
この例では、第1接続領域41cは、第1磁性層11aと電気的に接続される。第2接続領域42cは、第1対向磁性層11bの他方と電気的に接続される。
【0098】
第1導電部材21は、第1方向D1に延びる。第1導電部材21から第1磁気素子11への方向は、第2方向D2に沿う。
【0099】
このようなセンサ130においても、第1磁性部材51及び第2磁性部材52により、第1方向D1に沿う検出対象磁界Htを第1部分領域p1に効率的に集中して印加できる。特性の向上が可能なセンサを提供できる。
【0100】
図14(b)に示すように、センサ130において、第1磁気素子11は、第2部分領域p2及び第3部分領域p3を含んで良い、第1部分領域p1は、第1方向D1において、第2部分領域p2と第3部分領域p3との間にある。第2部分領域p2から第1磁性部材51への方向は、第2方向D2に沿う。第3部分領域p3から第2磁性部材52への方向は、第2方向D2に沿う。
【0101】
第2部分領域p2の一部は、第2方向D2において、第1接続領域41c及び第2接続領域42cの少なくともいずれかと重なっても良い。第3部分領域p3の一部は、第2方向D2において、第1接続領域41c及び第2接続領域42cの少なくともいずれかと重なって良い。
【0102】
センサ130においても、第2部分領域p2及び第3部分領域p3が設けられることで、第1磁気素子11の長さ(長さL11)を長くできる。第1磁気素子11において、高い形状異方性が得られる。第1磁気素子11に含まれる磁性層の磁化がより安定になる。第2部分領域p2及び第3部分領域p3が設けられることで、より安定した検出対象磁界Htを第1部分領域p1に集中させることができる。
【0103】
図14(b)に示すように、第1磁気素子11は、第4部分領域p4及び第5部分領域p5をさらに含んで良い。第1部分領域p1は、第1方向D1において、第4部分領域p4と第5部分領域p5との間にある。第2部分領域p2は、第1方向D1において、第4部分領域p4と第1部分領域p1との間にある。第3部分領域p3は、第1方向D1において、第1部分領域p1と第5部分領域p5との間にある。第4部分領域p4は、第2方向D2において第1接続領域41c及び第2接続領域42cと重ならない。第5部分領域p5は、第2方向D2において第1接続領域41c及び第2接続領域42cと重ならない。
【0104】
第4部分領域p4及び第5部分領域p5が設けられることで、第1磁気素子11の長さ(長さL11)を長くできる。第1磁気素子11において、高い形状異方性が得られる。第1磁気素子11に含まれる磁性層の磁化がより安定になる。上記の第1~第9構造CF1~CF9は、センサ120に適用できる。
【0105】
センサ120、121及びセンサ130において、第1~第3回路71~73を含む制御部70が設けられて良い。
【0106】
以下、実施形態に係るセンサ(センサ110、120、121及び130)における動作の例について説明する。既に説明したように、第1回路71は、第1導電部材21に交流成分を含む第1電流i1を供給可能である。
【0107】
図15(a)及び
図15(b)は、第1実施形態に係るセンサの動作を例示する模式図である。
図15(a)は、第1電流i1を例示している。
図15(a)の横軸は、時間tmである。
図15(a)の縦軸は、第1電流i1の値である。
図15(a)に示すように、第1電流i1は、交流成分ia1を含む。第1電流i1の極小値は第1極性であり、第1電流i1の極大値は第1極性である。第1極性は、正及び負の一方である。以下、第1極性が正である場合の例について説明する。
【0108】
例えば、第1電流i1は、交流成分ia1及び直流成分id1を含む。直流成分id1は、交流成分ia1の振幅ip1の1/2よりも大きい。第1電流i1において、極小値と極大値との差が振幅ip1に対応する。実施形態においては、極小値及び極大値の両方が第1極性(例えば正)である。第1電流i1が第2極性(例えば負)になることがない。第1電流i1が0になることがない。
【0109】
第1電流i1により第1磁界Haが生じる。第1磁界Haは、第3方向D3に沿う。第3方向D3は、例えばX軸方向である。
【0110】
図15(b)は、第1磁界Haを例示している。
図15(b)の横軸は、時間tmである。
図15(b)の縦軸は、第1磁界Haの強度である。
図15(b)に示すように、第1磁界Haは、交流磁界成分Ha1を含む。第1磁界Haの極小値Hminは第1極性であり、第1磁界Haの極大値は第1極性である。
【0111】
例えば、第1磁界Haは、交流磁界成分Ha1と、直流磁界成分Hd1と、を含む。直流磁界成分Hd1は、交流磁界成分Ha1の振幅Hp1の1/2よりも大きい。第1磁界Haにおいて、極小値と極大値との差が振幅Hp1に対応する。実施形態においては、極小値及び極大値の両方が第1極性(例えば正)である。第1磁界Haが第2極性(例えば負)になることがない。第1磁界Haが0になることがない。
【0112】
このように、第1電流i1が第1導電部材21を流れることで、第1導電部材21から第1磁界Haが発生する。ある。磁界発生部28から第3方向D3に沿う第1磁界Haが発生する。
【0113】
第1磁界Haは、第1磁気素子11に印加される。第1磁界Haの変化に応じて第1磁気素子11の第1電気抵抗が変化する。電気抵抗の変化は例えばMR効果に基づく。例えば、第1電流i1の変化に応じて、第1磁気素子11の第1電気抵抗が変化する。
【0114】
一方、検出対象磁界Htが第1磁気素子11に加わる。検出対象磁界Htによっても、第1磁気素子11の第1電気抵抗が変化する。このように、第1電気抵抗は、第1電流i1(及び第1磁界Ha)と、検出対象磁界Htの両方に応じて変化する。実施形態においては、第1電気抵抗の変化を検出し、その結果を第1電流i1の交流成分ia1の周波数(第1磁界Haの交流磁界成分Ha1の周波数)に基づいて処理することで、検出対象磁界Htを検出できる。
【0115】
実施形態においては、上記のように、極小値及び極大値の両方が第1極性(例えば正)である。例えば、第1電流i1及び第1磁界Haは、常に第1極性(正)であり、0または負になることがない。これにより、ノイズを抑制した検出が可能になる。
【0116】
例えば、第1電流i1(及び第1磁界)が正から0または負になるときに、第1磁性層11a及び第1対向磁性層11bの少なくともいずれかにおいて磁区の乱れが生じる。磁区の乱れは、例えば、磁区の生成、磁区の消滅、または、磁区の移動などを含む。磁区の乱れにより、第1磁気素子11から得られる信号にノイズが発生する、実施形態においては、第1電流i1及び第1磁界Haが常に1つの極性(例えば正)であると、磁区の乱れに起因するノイズが抑制できる。これにより、より安定して高い感度での検出が可能になる。実施形態によれば、特性の向上が可能なセンサ及び検査装置を提供できる。
【0117】
図16(a)及び
図16(b)は、センサの特性を例示するグラフ図である。
これらの図は、実施形態に係るセンサ110の特性のシミュレーション結果を例示している。シミュレーションにおいて、第1磁性層11aが磁化自由層とされ、第1対向磁性層11bが参照層とされる。第1方向D1に沿う検出対象磁界Ht、及び、第3方向D3に沿う磁界が、第1磁気素子11に印加される。シミュレーションにおいて、これらの磁界は、直流成分を含まない。これらの磁界が印加されたときにおける、第1磁性層11aの磁化11aMの向き、及び、第1対向磁性層11bの磁化11bMが計算される。これらの磁化の向きの角度に基づいて磁気抵抗が計算される。
【0118】
図16(a)の横軸は、第3方向D3に沿う磁界の磁界強度Hasである。磁界強度Hasは、磁化自由層の異方性磁界Hkで規格化されている。
図16(a)の縦軸は、磁気抵抗MR1である。磁気抵抗MR1は、磁気抵抗の最大値で規格化されている。
図16(a)には、各種の規格化検出対象磁界Htsのときの値が示されている。規格化検出対象磁界Htsは、磁化自由層の異方性磁界Hkで規格化されている。
【0119】
図16(a)において、規格化検出対象磁界Htsが0.0001のときの磁気抵抗MR1は、第1磁気素子11に検出対象磁界Htが実質的に印加されていないときの磁気抵抗に対応する。このとき、第3方向D3に沿う磁界の磁界強度Hasが上昇すると、磁気抵抗MR1は上昇する。第3方向D3に沿う磁界の磁界強度Hasが1以上において、磁気抵抗MR1は飽和する。
【0120】
図16(a)に示すように、規格化検出対象磁界Htsが大きくなるに従って、磁気抵抗MR1の変化はなだらかになる。例えば、第3方向D3に沿う磁界の磁界強度Hasが1.5のときに、磁気抵抗MR1は、規格化検出対象磁界Htsに応じて大きく変化する。このような特性を利用することで、磁気抵抗を検出することで、検出対象磁界Htを高い感度で検出できる。
【0121】
図16(b)において、
図16(a)と同様のグラフにいくつかのパラメータの値が記載されている。第1方向D1に沿う検出対象磁界Htがゼロの場合(
図16(b)では、Hts=0.0001)の磁気抵抗MR1の飽和値を1とする。検出対象磁界Htがゼロの場合において、磁気抵抗MR1が0.9となる磁界強度を、第1磁界値Hs1とする。第1磁界値Hs1は、第1極性(この例では正)である。第1磁界値Hs1は、例えば、近似飽和磁界に対応する。実施形態において、第1磁界Haの極小値Hmin(
図15(b)参照)の絶対値は、第1磁界値Hs1の絶対値よりも大きいことが好ましい。
【0122】
すなわち、実施形態において、例えば、
Hd1-Hp/2 > Hs1
が満たされることが好ましい。このような条件により、検出対象磁界Htをより高い感度で効率的に検出できる。
【0123】
第1方向D1に沿う検出対象磁界Htが第1磁気素子11に印加されていない状態において、第1極性の第1磁界値Hs1を有する、第3方向D3に沿う磁界が第1磁気素子11に印加されたときの第1磁気素子11の電気抵抗は、飽和電気抵抗(磁気抵抗MR1の飽和値)の0.9倍である。飽和電気抵抗は、第3方向D3に沿う磁界が増大したときの第1磁気素子11の電気抵抗の飽和値である。
【0124】
実施形態において、第1電流i1の極小値は、第1電流i1の直流成分id1と、交流成分ia1の振幅ip1の1/2と、の差に対応する。この差(第1電流i1の極小値の絶対値)は、第1磁界値Hs1に対応する第1極性の第1電流値の絶対値よりも大きいことが好ましい。例えば、第1方向D1に沿う検出対象磁界Htが第1磁気素子11に印加されていない状態において、第1極性の第1電流値を有する電流が第1導電部材21に流れたときの第1磁気素子11の電気抵抗は、飽和電気抵抗の0.9倍である。飽和電気抵抗は、第1導電部材21に流れる電流が増大したときの第1磁気素子11の電気抵抗の飽和値である。このような第1電流i1により、検出対象磁界Htをより高い感度で効率的に検出できる。
【0125】
実施形態において、複数の磁気素子が設けられても良い。ブリッジ接続された複数の磁気素子を用いることで、検出対象磁界Htをより高い精度で検出できる。
【0126】
図17は、第1実施形態に係るセンサの動作を例示する模式図である。
図17に示すように、実施形態に係るセンサ140において、素子部10Uは、第1素子10A、第2素子10B、第3素子10C及び第4素子10Dを含む。第1素子10Aは、第1磁気素子11と第1導電部材21とを含む。第2素子10Bは、第2磁気素子12と第2導電部材22とを含む。第3素子10Cは、第3磁気素子13と第3導電部材23とを含む。第4素子10Dは、第4磁気素子14と第4導電部材24とを含む。第2素子10B、第3素子10C及び第4素子10Dの構成は、第1素子10Aの構成と同様で良い。
【0127】
図17に示すように、第1導電部材21は、第1導電部分21eと第1他導電部分21fとを含む。第1導電部分21eから第1他導電部分21fへの方向は、第1方向D1に沿う。第2導電部材22は、第2導電部分22eと第2他導電部分22fとを含む。第2導電部分22eから第2他導電部分22fへの方向は、第1方向D1に沿う。第3導電部材23は、第3導電部分23eと第3他導電部分23fとを含む。第3導電部分23eから第3他導電部分23fへの方向は、第1方向D1に沿う。第4導電部材24は、第4導電部分24eと第4他導電部分24fとを含む。第4導電部分24eから第4他導電部分24fへの方向は、第1方向D1に沿う。
【0128】
第1磁気素子11は、第1素子部分11e及び第1他素子部分11fを含む。第1素子部分11eは、第1導電部分21eに対応する。第1他素子部分11fは、第1他導電部分21fに対応する。第1素子部分11eから第1他素子部分11fへの向きは、第1向きである。
【0129】
第2磁気素子12は、第2素子部分12e及び第2他素子部分12fを含む。第2素子部分12eは、第2導電部分22eに対応する。第2他素子部分12fは、第2他導電部分22fに対応する。第2素子部分12eから第2他素子部分12fへの向きは、第2向きである。
【0130】
第3磁気素子13は、第3素子部分13e及び第3他素子部分13fを含む。第3素子部分13eは、第3導電部分23eに対応する。第3他素子部分13fは、第3他導電部分23fに対応する。第3素子部分13eから第3他素子部分13fへの向きは、第3向きである。
【0131】
第4磁気素子14は、第4素子部分14e及び第4他素子部分14fを含む。第4素子部分14eは、第4導電部分24eに対応する。第4他素子部分14fは、第4他導電部分24fに対応する。第4素子部分14eから第4他素子部分14fへの向きは、第4向きである。
【0132】
第1素子部分11eは、第2回路72と電気的に接続される。第1他素子部分11fは、第2素子部分12eと電気的に接続される。第2他素子部分12fは、第2回路72と電気的に接続される。
【0133】
第3素子部分13eは、第2回路72と電気的に接続される。第3他素子部分13fは、第4素子部分14eと電気的に接続される。第4他素子部分14fは、第2回路72と電気的に接続される。
【0134】
検出電流idは、第1向きに第1磁気素子11を流れ、第2向きに第2磁気素子12を流れ、第3向きに第3磁気素子13を流れ、第4向きに第4磁気素子14を流れる。
【0135】
この例では、第1導電部分21eは、第1回路71と電気的に接続される。第1他導電部分21fは、第4導電部分24eと電気的に接続される。第4他導電部分24fは、第3他導電部分23fと電気的に接続される。第3導電部分23eは、第2他導電部分22fと電気的に接続される。第2導電部分22eは、第1回路71と電気的に接続される。
【0136】
第1回路71から供給される第1電流i1が第1導電部材21を第1向きに流れているときに、第1電流i1は第2導電部材22を第2向きの逆向きに流れ、第1電流i1は第3導電部材23を第3向きの逆向きに流れ、第1電流i1は第4導電部材24を第4向ききに流れる。
【0137】
第1接続点CP1は、第1他素子部分11fと第2素子部分12eとの間の接続点である。第2接続点CP2は、第3他素子部分13fと第4素子部分14eとの間の接続点である。
【0138】
このように、素子部10Uは、複数の素子(第1~第4素子10A~10Dなど)を含むブリッジ回路10Vを含んでも良い。第2回路72は、ブリッジ回路10Vに検出電流idを供給可能である。第3回路73は、ブリッジ回路10Vの第1中点(例えば第1接続点CP1)の電位と、ブリッジ回路10Vの第2中点(例えば第2接続点CP2)の電位と、の差に対応する値を検出可能である。
【0139】
複数の素子(第1~第4素子10A~10Dなど)において、上記の第1~第9構造CF1~CF9を含んで良い。
【0140】
(第2実施形態)
第2実施形態は、検査装置に係る。後述するように、検査装置は、診断装置を含んでも良い。
【0141】
図18は、第2実施形態に係る検査装置を示す模式的斜視図である。
図18に示すように、第2実施形態に係る検査装置710は、センサ150a(磁気センサ)と、処理部770と、を含む。センサ150aは、第1実施形態に係るセンサ及びその変形で良い。処理部770は、センサ150aから得られる出力信号を処理する。処理部770において、センサ150aから得られた信号と、基準値と、の比較などが行われても良い。処理部770は、処理結果に基づいて、検査結果を出力可能である。
【0142】
例えば、検査装置710により、検査対象680が検査される。検査対象680は、例えば、電子装置(半導体回路などを含む)である。検査対象680は、例えば、電池610などでも良い。
【0143】
例えば、実施形態に係るセンサ150aは、電池610とともに用いられても良い。例えば、電池システム600は、電池610及びセンサ150aを含む。センサ150aは、電池610に流れる電流により生じる磁界を検出できる。
【0144】
図19は、第2実施形態に係る検査装置を示す模式的平面図である。
図19に示すように、センサ150aは、例えば、実施形態に係る複数のセンサを含む。この例では、センサ150aは、複数のセンサ(センサ110などの素子部10Uなど)を含む。複数のセンサは、例えば、2つの方向(例えば、X軸方向及びY軸方向)に沿って並ぶ。複数のセンサ110は、例えば、基板の上に設けられる。
【0145】
センサ150aは、検査対象680(例えば電池610でも良い)に流れる電流により生じる磁界を検出できる。例えば、電池610が異常な状態に近づくと、電池610に異常な電流が流れる場合がある。センサ150aにより異常な電流を検出することで、電池610の状態の変化を知ることができる。例えば、電池610に近づけてセンサ150aが置かれた状態で、2つの方向のセンサ群駆動手段を用いて、電池610の全体を短時間で検査できる。センサ150aは、電池610の製造における、電池610の検査に用いられても良い。
【0146】
実施形態に係るセンサは、例えば、診断装置などの検査装置710に応用できる。
図20は、実施形態に係るセンサ及び検査装置を示す模式図である。
図20に示すように、検査装置710の例である診断装置500は、センサ150を含む。センサ150は、第1実施形態に関して説明したセンサ、及び、それらの変形を含む。
【0147】
診断装置500において、センサ150は、例えば、脳磁計である。脳磁計は、脳神経が発する磁界を検出する。センサ150が脳磁計に用いられる場合、センサ150に含まれる磁気素子のサイズは、例えば、1mm以上10mm未満である。このサイズは、例えば、MFCを含めた長さである。
【0148】
図20に示すように、センサ150(脳磁計)は、例えば、人体の頭部に装着される。センサ150(脳磁計)は、センサ部301を含む。センサ150(脳磁計)は、複数のセンサ部301を含んでも良い。複数のセンサ部301の数は、例えば、約100個(例えば50個以上150個以下)である。複数のセンサ部301は、柔軟性を有する基体302に設けられる。
【0149】
センサ150は、例えば、差動検出などの回路を含んでも良い。センサ150は、センサとは別のセンサ(例えば、電位端子または加速度センサなど)を含んでも良い。
【0150】
センサ150のサイズは、従来のSQUIDセンサのサイズに比べて小さい。このため、複数のセンサ部301の設置が容易である。複数のセンサ部301と、他の回路と、の設置が容易である。複数のセンサ部301と、他のセンサと、の共存が容易である。
【0151】
基体302は、例えばシリコーン樹脂などの弾性体を含んでも良い。基体302に、例えば、複数のセンサ部301が繋がって設けられる。基体302は、例えば、頭部に密着できる。
【0152】
センサ部301の入出力コード303は、診断装置500のセンサ駆動部506及び信号入出力部504と接続される。センサ駆動部506からの電力と、信号入出力部504からの制御信号と、に基づいて、センサ部301において、磁界測定が行われる。その結果は、信号入出力部504に入力される。信号入出力部504で得た信号は、信号処理部508に供給される。信号処理部508において、例えば、ノイズの除去、フィルタリング、増幅、及び、信号演算などの処理が行われる。信号処理部508で処理された信号が、信号解析部510に供給される。信号解析部510は、例えば、脳磁計測のための特定の信号を抽出する。信号解析部510において、例えば、信号位相を整合させる信号解析が行われる。
【0153】
信号解析部510の出力(信号解析が終了したデータ)が、データ処理部512に供給される。データ処理部512では、データ解析が行われる。このデータ解析において、例えば、MRI(Magnetic Resonance Imaging)などの画像データが取り入られることが可能である。このデータ解析においては、例えば、EEG(Electroencephalogram)などの頭皮電位情報などが取り入れられることが可能である。データ解析により、例えば、神経発火点解析、または、逆問題解析などが行われる。
【0154】
データ解析の結果は、例えば、画像化診断部516に供給される。画像化診断部516において、画像化が行われる。画像化により、診断が支援される。
【0155】
上記の一連の動作は、例えば、制御機構502によって制御される。例えば、一次信号データ、または、データ処理途中のメタデータなどの必要なデータは、データサーバに保存される。データサーバと制御機構とは、一体化されても良い。
【0156】
実施形態に係る診断装置500は、センサ150と、センサ150から得られる出力信号を処理する処理部と、を含む。この処理部は、例えば、信号処理部508及びデータ処理部512の少なくともいずれかを含む。処理部は、例えば、コンピュータなどを含む。
【0157】
図20に示すセンサ150では、センサ部301は、人体の頭部に設置されている。センサ部301は、人体の胸部に設置されても良い。これにより、心磁測定が可能となる。例えば、センサ部301を妊婦の腹部に設置しても良い。これにより、胎児の心拍検査を行うことができる。
【0158】
被験者を含めたセンサ装置は、シールドルーム内に設置されるのが好ましい。これにより、例えば、地磁気または磁気ノイズの影響が抑制できる。
【0159】
例えば、人体の測定部位、または、センサ部301を局所的にシールドする機構を設けても良い。例えば、センサ部301にシールド機構を設けても良い。例えば、信号解析またはデータ処理において、実効的なシールドを行っても良い。
【0160】
実施形態において、基体302は、柔軟性を有しても良く、柔軟性を実質的に有しなくても良い。
図20に示す例では、基体302は、連続した膜を帽子状に加工したものである。基体302は、ネット状でも良い。これにより、例えば、良好な装着性が得られる。例えば、基体302の人体への密着性が向上する。基体302は、ヘルメット状で、硬質でも良い。
【0161】
図21は、実施形態に係る検査装置を示す模式図である。
図21は、磁計の一例である。
図21に示す例では、平板状の硬質の基体305上にセンサ部301が設けられる。
【0162】
図21に示した例において、センサ部301から得られる信号の入出力は、
図20に関して説明した入出力と同様である。
図21に示した例において、センサ部301から得られる信号の処理は、
図20に関して説明した処理と同様である。
【0163】
生体から発生する磁界などの微弱な磁界を計測する装置として、SQUID (Superconducting Quantum Interference Device:超伝導量子干渉素子)センサを用いる参考例がある。この参考例においては、超伝導を用いるため、装置が大きく、消費電力も大きい。測定対象(患者)の負担が大きい。
【0164】
実施形態によれば、装置が小型にできる。消費電力を抑制できる。測定対象(患者)の負担が軽減できる。実施形態によれば、磁界検出のSN比を向上できる。感度を向上できる。
【0165】
実施形態は、以下の構成(例えば技術案)を含んで良い。
(構成1)
第1磁性部材と、
第2磁性部材であって、前記第2磁性部材は、前記第1磁性部材から前記第2磁性部材への第1方向において前記第1磁性部材から離れた、前記第2磁性部材と、
第1絶縁領域を含む絶縁部材であって、前記第1絶縁領域は、前記第1磁性部材と前記第2磁性部材との間に設けられた、前記絶縁部材と、
第1接続領域を含む第1配線と、
第2接続領域を含む第2配線と、
第1磁性層及び第1対向磁性層を含む第1磁気素子であって、前記第1磁性層から前記第1対向磁性層への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記第1方向に沿う前記第1磁気素子の長さは、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差する第3方向に沿う前記第1磁気素子の長さよりも長く、前記第1磁気素子は、第1部分領域、第2部分領域、第3部分領域、第4部分領域及び第5部分領域を含み、前記第1部分領域は、前記第1方向において、前記第4部分領域と前記第5部分領域との間にあり、前記第2部分領域は、前記第1方向において、前記第4部分領域と前記第1部分領域との間にあり、前記第3部分領域は、前記第1方向において、前記第1部分領域と前記第5部分領域との間にあり、前記第1部分領域から前記第1絶縁領域への方向は、前記第2方向に沿い、前記第2部分領域から前記第1接続領域への方向は、前記第2方向に沿い、前記第2部分領域は、前記第1接続領域と電気的に接続され、前記第3部分領域から前記第2接続領域への方向は、前記第2方向に沿い、前記第3部分領域は、前記第2接続領域と電気的に接続され、前記第4部分領域から前記第1磁性部材の少なくとも一部への方向は、前記第2方向に沿い、前記第5部分領域から前記第2磁性部材の少なくとも一部への方向は、前記第2方向に沿う、前記第1磁気素子と、
前記第1方向に延びる第1導電部材であって、前記第1導電部材から前記第1磁気素子への方向は、前記第2方向に沿う前記第1導電部材と、
を含む第1素子を備えた、センサ。
【0166】
(構成2)
前記第1接続領域は、前記第2方向において前記第1磁性部材と重なり、
前記第2接続領域は、前記第2方向において前記第2磁性部材と重なる、構成1記載のセンサ。
【0167】
(構成3)
前記第1接続領域の一部は、前記第2方向において前記第1絶縁領域と重なり、
前記第2接続領域の一部は、前記第2方向において前記第1絶縁領域と重なる、構成1または2に記載のセンサ。
【0168】
(構成4)
第1磁性部材と、
第2磁性部材であって、前記第2磁性部材は、前記第1磁性部材から前記第2磁性部材への第1方向において前記第1磁性部材から離れた、前記第2磁性部材と、
第1絶縁領域を含む絶縁部材であって、前記第1絶縁領域は、前記第1磁性部材と前記第2磁性部材との間に設けられた、前記絶縁部材と、
第1接続領域を含む第1配線と、
第2接続領域を含む第2配線と、
第1磁性層及び第1対向磁性層を含む第1磁気素子であって、前記第1磁性層から前記第1対向磁性層への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記第1方向に沿う前記第1磁気素子の長さは、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差する第3方向に沿う前記第1磁気素子の長さよりも長く、前記第1磁気素子は、第1部分領域を含み、前記第1部分領域から前記第1絶縁領域への方向は前記第2方向に沿い、前記第1接続領域は、前記第1部分領域の一部と電気的に接続され、前記第2接続領域は、前記第1部分領域の別の一部と電気的に接続され、前記第1部分領域の前記一部から前記第1部分領域の前記別の一部への方向は、前記第3方向の成分を含む、前記第1磁気素子と、
前記第1方向に延びる第1導電部材であって、前記第1導電部材から前記第1磁気素子への方向は、前記第2方向に沿う前記第1導電部材と、
を含む第1素子を備えた、センサ。
【0169】
(構成5)
前記第1磁気素子は、第2部分領域及び第3部分領域を含み、
前記第1部分領域は、前記第1方向において、前記第2部分領域と前記第3部分領域との間にあり、
前記第2部分領域は、前記第2方向において前記第1接続領域と重なり、
前記第3部分領域は、前記第2方向において前記第2接続領域と重なる、構成4に記載のセンサ。
【0170】
(構成6)
前記第1磁気素子は、前記第1磁性層と前記第1対向磁性層との間に設けられた第1非磁性層を含み、
前記第1非磁性層は、Cu、Au及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、構成1~5のいずれか1つに記載のセンサ。
【0171】
(構成7)
前記第1対向磁性層の一部は、前記第2方向において、前記第1磁性層の一部と前記第1接続領域との間にあり、
前記第1対向磁性層の別の一部は、前記第2方向において、前記第1磁性層の別の一部と前記第2接続領域との間にある、構成1~6のいずれか1つに記載のセンサ。
【0172】
(構成8)
第1磁性部材と、
第2磁性部材であって、前記第2磁性部材は、前記第1磁性部材から前記第2磁性部材への第1方向において前記第1磁性部材から離れた、前記第2磁性部材と、
第1絶縁領域を含む絶縁部材であって、前記第1絶縁領域は、前記第1磁性部材と前記第2磁性部材との間に設けられた、前記絶縁部材と、
第1接続領域を含む第1配線と、
第2接続領域を含む第2配線と、
第1磁性層及び第1対向磁性層を含む第1磁気素子であって、前記第1磁性層から前記第1対向磁性層への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記第1方向に沿う前記第1磁気素子の長さは、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差する第3方向に沿う前記第1磁気素子の長さよりも長く、前記第1磁気素子は、第1部分領域を含み、前記第1部分領域は、前記第2接続領域と前記第1絶縁領域との間にあり、前記第1接続領域は前記第1部分領域と前記第1絶縁領域との間にあり、前記第1接続領域は、前記第1磁性層と前記第1対向磁性層の一方と電気的に接続され、前記第2接続領域は、前記第1磁性層と前記第1対向磁性層の他方と電気的に接続された、前記第1磁気素子と、
前記第1方向に延びる第1導電部材であって、前記第1導電部材から前記第1磁気素子への方向は、前記第2方向に沿う前記第1導電部材と、
を含む第1素子を備えた、センサ。
【0173】
(構成9)
前記第1磁気素子は、第2部分領域及び第3部分領域をさらに含み、
前記第1部分領域は、前記第1方向において、前記第2部分領域と前記第3部分領域との間にあり、
前記第2部分領域から前記第1磁性部材への方向は、前記第2方向に沿い、
前記第3部分領域から前記第2磁性部材への方向は、前記第2方向に沿う、
構成8に記載のセンサ。
【0174】
(構成10)
前記第2部分領域の一部は、前記第2方向において、前記第1接続領域及び前記第2接続領域の少なくともいずれかと重なり、
前記第3部分領域の一部は、前記第2方向において、前記第1接続領域及び前記第2接続領域の少なくともいずれかと重なる、構成9に記載のセンサ。
【0175】
(構成11)
前記第1磁気素子は、第4部分領域及び第5部分領域をさらに含み、
前記第1部分領域は、前記第1方向において、前記第4部分領域と前記第5部分領域との間にあり、
前記第2部分領域は、前記第1方向において、前記第4部分領域と前記第1部分領域との間にあり、
前記第3部分領域は、前記第1方向において、前記第1部分領域と前記第5部分領域との間にあり、
前記第4部分領域は、前記第2方向において前記第1接続領域及び前記第2接続領域と重ならず、
前記第5部分領域は、前記第2方向において前記第1接続領域及び前記第2接続領域と重ならない、構成10に記載のセンサ。
【0176】
(構成12)
前記第1磁気素子は、前記第1磁性層と前記第1対向磁性層との間に設けられた第1非磁性層と含み、
前記第1非磁性層は、Mg、Al、Ta及びTiよりなる群から選択された少なくとも1つと、酸素と、を含む、構成8~11のいずれか1つに記載のセンサ。
【0177】
(構成13)
前記第1磁性部材は、第1部分と第1他部分とを含み、前記第1部分は、前記第1方向において前記第1絶縁領域と前記第1他部分との間にあり、
前記第1部分の前記第3方向に沿う幅は、前記第1他部分の前記第3方向に沿う幅よりも狭い、構成1~12のいずれか1つに記載のセンサ。
【0178】
(構成14)
前記第1導電部材は、第1導電領域を含み、
前記第1導電領域は、前記第2方向において前記第1部分と重なり、
前記第1導電領域の前記第3方向に沿う幅は、前記第1部分の前記第3方向に沿う前記幅よりも広く、前記第1他部分の前記第3方向に沿う前記幅よりも狭い、構成13に記載のセンサ。
【0179】
(構成15)
第3磁性部材と、
第4磁性部材と、
をさらに備え、
前記第4磁性部材は、前記第3方向において前記第3磁性部材から離れ、
前記第1絶縁領域は、前記第3磁性部材と前記第4磁性部材との間に設けられた、構成1~14のいずれか1つに記載のセンサ。
【0180】
(構成16)
前記第3磁性部材は、第3部分と第3他部分とを含み、前記第3部分は、前記第3方向において前記第1絶縁領域と前記第3他部分との間にあり、
前記第3部分の前記第1方向に沿う幅は、前記第3他部分の前記第1方向に沿う幅よりも狭い、構成15に記載のセンサ。
【0181】
(構成17)
第1回路を含む制御部をさらに備え、
前記第1導電部材は、第1導電部分及び第1他導電部分を含み、前記第1他導電部分から前記第1導電部分への方向は、前記第1方向に沿い、
前記第1回路は、前記第1導電部分及び前記第1他導電部分と電気的に接続され、
前記第1回路は、前記第1導電部材に交流成分を含む第1電流を供給可能である、構成1~16のいずれか1つに記載のセンサ。
【0182】
(構成18)
前記制御部は、
前記第1磁気素子に検出電流を供給可能な第2回路と、
前記第1磁気素子の電気抵抗の変化に対応する信号を検出可能な第3回路と、
を含む、構成17に記載のセンサ。
【0183】
(構成19)
前記第1磁気素子の電気抵抗は、前記第1電流の変化に応じて変化する、構成17に記載のセンサ。
【0184】
(構成20)
構成1~19のいずれか1つに記載のセンサと、
前記センサから得られる出力信号を処理する処理部と、
を備えた検査装置。
【0185】
実施形態によれば、特性の向上が可能なセンサ及び検査装置が提供できる。
【0186】
以上、例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの例に限定されるものではない。例えば、センサまたは検査装置に含まれる、磁性層、磁気素子、導電部材、制御部及び処理部などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0187】
各例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0188】
本発明の実施の形態として上述したセンサ及び検査装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全てのセンサ及び検査装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0189】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0190】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0191】
10A~10D…第1~第4素子、 10U…素子部、 10V…ブリッジ回路、 11~14…第1~第4磁気素子、 11a…第1磁性層、 11aM…磁化、 11b…第1対向磁性層、 11bM…磁化、 11e~14e…第1~第4素子部分、 11f~14f…第1~第4他素子部分、 11nn…第1非磁性層、 21~24…第1~第4導電部材、 21a、21b…第1、第2導電領域、 21e~24e…第1~第4導電部分、 21f~24f…第1~第4他導電部分、 28…磁界発生部、 41、42…第1、第2配線、 41c、42c…第1、第2接続領域、 51~54…第1~第4磁性部材、 70…制御部、 71~73…第1~第3回路、 81…絶縁部材、 81a~81d…第1~第4絶縁領域、 110~118、120、121、130、140、150、150a…センサ、 301…センサ部、 302…基体、 303…入出力コード、 305…基体、 500…診断装置、 502…制御機構、 504…信号入出力部、 506…センサ駆動部、 508…信号処理部、 510…信号解析部、 512…データ処理部、 516…画像化診断部、 600…電池システム、 610…電池、 680…検査対象、 710…検査装置、 770…処理部、 CF1~CF9…第1~第9構造、 CP1、CP2…第1、第2接続点、 D1~D3…第1~第3方向、 GN1、GN2…ゲイン、 Ha…第1磁界、 Ha1…交流磁界成分、 Has…磁界強度、 Hd1…直流磁界成分、 Hmin…極小値、 Hp1…振幅、 Hs1…第1磁界値、 Ht…検出対象磁界、 Hts…規格化検出対象磁界、 L11、L21、L41c、L42c、L51~L54…長さ、 MR1…磁気抵抗、 W11、W21、W51~W54…長さ、 Wa1~Wa4、Wb1~Wb4、Wa21、Wb21…幅、 a1~a4…第1~第4部分、 b1~b4…第1~第4他部分、 g1…距離、 i1…第1電流、 ia1…交流成分、 id…検出電流、 id1…直流成分、 ip1…振幅、 p1~p5…第1~第5部領域、 t11、t21、t51~t54…長さ、 tm…時間