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特許7594561高稈作物収穫機の行自動アライメント運転システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】高稈作物収穫機の行自動アライメント運転システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20241127BHJP
   A01D 45/02 20060101ALI20241127BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20241127BHJP
【FI】
A01B69/00 303F
A01B69/00 303E
A01D45/02
G05D1/43
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022057102
(22)【出願日】2022-03-30
(65)【公開番号】P2022159174
(43)【公開日】2022-10-17
【審査請求日】2022-03-30
【審判番号】
【審判請求日】2023-12-27
(31)【優先権主張番号】202110358091.6
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521285193
【氏名又は名称】豊疆智能科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】FJ DYNAMICS TECHNOLOGY CO., LTD
【住所又は居所原語表記】No.1, Dongfeng Jingguan Avenue, International Logistics Park, Xiangzhou District Xiangyang, Hubei 441100 China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】李 鴻信
(72)【発明者】
【氏名】李 斌
(72)【発明者】
【氏名】秦 碩
(72)【発明者】
【氏名】王 清泉
(72)【発明者】
【氏名】王 波
(72)【発明者】
【氏名】姚 遠
(72)【発明者】
【氏名】呉 迪
【合議体】
【審判長】有家 秀郎
【審判官】加藤 範久
【審判官】津熊 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0334920(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0053962(US,A1)
【文献】実開昭59-47413(JP,U)
【文献】実開昭59-50211(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 69/00
A01D 45/02
G05D 1/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高稈作物収穫機の行自動アライメント運転システムであって、
収穫機の1つのデバイダーに設けられて、高稈作物と接触して接触データを生成し且つ高稈作物と接触する時に変形するための弾性体と、前記弾性体の変形状態を検出して前記接触データを生成するためのセンサとを含む弾性アライメント感知モジュールと、
前記接触データに基づいて、前記収穫機の現在の行アライメント状態を特定するための処理モジュールと、
前記現在の行アライメント状態に基づいて、収穫機の作業パラメータと合わせて、収穫機の運転方向をどのように調整するかを演算し、且つステアリング信号を生成するための制御モジュールと、
前記ステアリング信号に従って、前記収穫機がアライメントしている状態で走行するように制御するためのステアリングモジュールと、を備え、
前記弾性体の両端は、それぞれ前記デバイダーの両側に位置し、
前記センサは、前記弾性体の中心よりも左側に設けられた第1のセンサと、前記弾性体の中心よりも右側に設けられた第2のセンサとを含み、
前記第1のセンサは、前記弾性体の左側の変形状況に応じて第1の接触データを生成し、前記第2のセンサは、前記弾性体の右側の変形状況に応じて第2の接触データを生成し、
前記処理モジュールは、前記第1の接触データに基づいて特徴値を抽出して前記弾性体と前記第1のセンサとの間の距離である第1の距離値を取得するとともに、前記第2の接触データに基づいて特徴値を抽出して前記弾性体と前記第2のセンサとの間の距離である第2の距離値を取得し、
前記第1の距離値及び前記第2の距離値を予め設定された特徴閾値と比較することで、左右のアライメント隙間状態を特定し、
前記左右のアライメント隙間状態に基づいてアライメントに異常があるか否かを判定し、
「はい」であれば、前記第1の接触データ及び前記第2の接触データに基づいて、収穫機の現在の行に対するオフセット方向とオフセット量を決定したり、データの異常を決定したりし、
前記制御モジュールには、前記オフセット方向と前記オフセット量から収穫機のステアリング方向とステアリング角度を算出する数式が予め設定されており、前記前記制御モジュールは、前記ステアリング方向及び前記ステアリング角度に基づいてステアリング信号を生成することを特徴とする高稈作物収穫機の行自動アライメント運転システム。
【請求項2】
前記左右のアライメント隙間状態は、左側に隙間があり、左側に隙間がなく、右側に隙間があり及び右側に隙間がないという4つの状態を含み、
前記左右のアライメント隙間状態を特定する場合、前記第1の距離値が前記予め設定された特徴閾値より小さいかまたはそれに等しくあれば、左側に隙間があると判断し、前記第1の距離値が前記予め設定された特徴閾値より大きければ、左側に隙間がないと判断し、前記第2の距離値が前記予め設定された特徴閾値より小さいかまたはそれに等しくあれば、右側に隙間があると判断し、前記第2の距離値が前記予め設定された特徴閾値より大きければ、右側に隙間がないと判断することを特徴とする請求項1に記載の高稈作物収穫機の行自動アライメント運転システム。
【請求項3】
前記制御モジュールは、前記オフセット方向及び前記オフセット量に基づいて前記収穫機のステアリング方向及びステアリング角度を特定し、且つ前記ステアリング方向及び前記ステアリング角度に基づいてステアリング信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の高稈作物収穫機の行自動アライメント運転システム。
【請求項4】
アラームモジュールをさらに備え、
前記処理モジュールは、前記左右のアライメント隙間状態が左側に隙間があり且つ右側に隙間がある時に警告信号を生成し、
前記アラームモジュールは、前記警告信号に基づいて、照明警報又は音声警報を発することを特徴とする請求項に記載の高稈作物収穫機の行自動アライメント運転システム。
【請求項5】
収穫機の現在位置を特定する位置決めモジュールと、
収穫機の現在の車体状態を特定する姿勢モジュールと、
前記現在位置、現在の車体状態及び現在の行アライメント状態に応じて、前記収穫機の稼動状況を表示する表示モジュールと、をさらに備え、
前記現在の車体状態は、車体がステアリングしているかどうかを表し
前記収穫機の稼動状況には、オフセット量、オフセット方向、作業速度及び作業畝間距離という複数種類のカスタマイズ情報が含まれることを特徴とする請求項1に記載の高稈作物収穫機の行自動アライメント運転システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は農業機械運転技術分野に関し、特に高稈作物の収穫機の行自動アライメント運転システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、我が国の農村労働力が都市に移転していくにつれて、農村の土地が広く人口が少ない状況は日増しに深刻になっているため、農業生産は自動化やスマート化に急がれている。これと同時に、わが国も農業大国であり、農業機械装備の自動化とインテリジェント化はわが国の現代農業耕作規模化の前提と根本である。現在、我が国では農業自動化において著しい効果が得られているが、スマート化の点で未だ向上が望まれている。例えば、特開2021-035381には、一種の作業車自動走行システムが開示されており、作業環境の変動に対処することが可能で、作業車同士の異常接近や衝突を未然に防ぐ作業車自動走行システムを提供した。
【0003】
ところで、トウモロコシ、ソルガム、サトウキビ等の高稈農作物のように、我が国では、作物の種類が多く、前記高稈作物、特にトウモロコシに対して収穫作業を行う場合には、運転者は機械の進行方向を絶えず調整して作業品質を保証し、機械の運転に注意する一方で、供給量などの収穫状況を観察しなければならない。人工操作は作業コストを向上させ、長期作業は運転者を疲労させ、作業効率や作業品質の低下を招く。そこで、高稈作物の行列を自動的にアライメントすることができる収穫機が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-035381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施例によれば、収穫機の運転手の作業負担を低減し、収穫効率を向上させることができるように、高稈作物収穫機の行自動アライメント運転システム及び方法を提供することを目的とする。
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の実施形態に係る高稈作物収穫機の行自動アライメント運転システムは、収穫機の1つのデバイダーに設けられて、高稈作物と接触して接触データを生成し、且つ高稈作物と接触する時に変形するための弾性体と、前記弾性体の変形状態を検出して前記接触データを生成するためのセンサを含む弾性アライメント感知モジュールと、前記接触データに基づいて、前記収穫機の現在の行アライメント状態を特定するための処理モジュールと、前記現在の行アライメント状態に基づいて、収穫機の作業パラメータと合わせて、収穫機の運転方向をどのように調整するかを演算し、且つステアリング信号を生成するための制御モジュールと、前記ステアリング信号に従って、収穫機がアライメントしている状態で走行するように制御するためのステアリングモジュールと、を備え、前記接触データは、第1の接触データと第2の接触データとを含み、前記処理モジュールは、前記第1の接触データに基づいて特徴値を抽出して第1の距離値を取得するとともに、前記第2の接触データに基づいて特徴値を抽出して第2の距離値を取得し、前記第1の距離値及び前記第2の距離値を予め設定された特徴閾値と比較することで、左右のアライメント隙間状態を特定し、前記左右のアライメント隙間状態に基づいてアライメントに異常があるか否かを判定し、「はい」であれば、前記第1の接触データ及び前記第2の接触データに基づいて、オフセット方向とオフセット量を決定したり、データの異常を決定したりする。
【0007】
また、幾つかの態様において、前記弾性アライメント感知モジュールは、弾性体、第1のセンサ及び第2のセンサを含み、前記弾性体の両端は、それぞれ前記デバイダーの両側に位置し、前記第1のセンサは、前記弾性体の中心よりも左側に設けられ、前記第2のセンサは、前記弾性体の中心よりも右側に設けられている。
【0008】
また、幾つかの態様において、前記接触データは、第1の接触データと第2の接触データとを含み、前記処理モジュールは、前記第1の接触データに基づいて特徴値を抽出して第1の距離値を取得するとともに、前記第2の接触データに基づいて特徴値を抽出して第2の距離値を取得し、前記第1の距離値及び前記第2の距離値を予め設定された特徴閾値と比較することで、左右のアライメント隙間状態を特定し、前記左右のアライメント隙間状態に基づいてアライメントに異常があるか否かを判定し、「はい」あれば、前記第1の接触データ及び前記第2の接触データに基づいて、オフセット方向とオフセット量を決定したり、データの異常を決定したりする。
【0009】
また、幾つかの態様において、前記左右のアライメント隙間状態は、左側に隙間があり、左側に隙間がなく、右側に隙間があり及び右側に隙間がないという4つの状態を含み、
前記左右のアライメント隙間状態を特定する場合、前記第1の距離値が前記予め設定された特徴閾値より小さいかまたはそれに等しいであれば、左側に隙間があると判断し、前記第1の距離値が前記予め設定された特徴閾値より大きければ、左側に隙間がないと判断し、前記第2の距離値が前記予め設定された特徴閾値より小さいかまたはそれに等しいであれば、右側に隙間があると判断し、前記第2の距離値が前記予め設定された特徴閾値より大きければ、右側に隙間がないと判断する。
【0010】
また、幾つかの態様において、前記制御モジュールは、前記オフセット方向及び前記オフセット量に基づいて収穫機のステアリング方向及びステアリング角度を特定し、且つ前記ステアリング方向及び前記ステアリング角度に基づいてステアリング信号を生成する。
【0011】
また、幾つかの態様において、アラームモジュールをさらに備え、
前記処理モジュールは、前記左右のアライメント隙間状態が左側に隙間があり且つ右側に隙間がある時に警告信号を生成し、
前記アラームモジュールは、前記警告信号に基づいて、照明警報又は音声警報を発する。
【0012】
また、幾つかの態様において、ユーザが入力した作業パラメータを取得するための入力モジュールをさらに備え、
前記作業パラメータは、作業ピッチ、オフセット値、センサキャリブレーション及び電圧特性閾値を含み、前記接触データに合わせてステアリング信号を生成する。
【0013】
また、幾つかの態様において、収穫機の現在位置を特定する位置決めモジュールと、
収穫機の現在の車体状態を特定する姿勢モジュールと、
前記現在位置、現在の車体状態及び現在の行アライメント状態に応じて収穫機の稼動状況を表示する表示モジュールと、をさらに備え
前記現在の車体状態は、収穫機の立つ、傾ける、倒れる及びステアリングする時の状態を含み、
前記収穫機の稼動状況には、オフセット量、オフセット方向、作業速度、作業モード及び作業畝間距離という複数種類のカスタマイズ情報が含まれる。
【0014】
一方、本発明の実施形態は、高稈作物収穫機の行自動アライメント運転方法をさらに提供し、この方法は弾性アライメント感知モジュールが高桿作物に接触するときに生成された接触データを取得し、ユーザが入力した作業パラメータを取得するステップと、
前記作業パラメータと前記接触データとに基づいて、収穫機の現在の行アライメント状態を特定するステップと、
前記行アライメント状態に基づいて、収穫機のステアリング方向及びステアリング角度を含むステアリング信号を特定するステップと、
収穫機のステアリングモジュールを制御して、前記ステアリング信号を実行して、収穫機の行アライメント走行を完成するステップと、を備え
前記接触データは、第1の接触データと第2の接触データとを含み、
前記作業パラメータと前記接触データとに基づいて、前記収穫機の現在の行アライメント状態を特定するステップは、
前記第1の接触データに基づいて特徴値を抽出して第1の距離値を取得するとともに、前記第2の接触データに基づいて特徴値を抽出して第2の距離値を取得するサブステップと、
前記第1の距離値及び前記第2の距離値を予め設定された特徴閾値と比較することで、左右のアライメント隙間状態を特定するサブステップと、
左右のアライメント隙間状態に基づいてアライメントに異常があるか否かを判定するサブステップと、
「はい」であれば、前記第1の接触データ及び前記第2の接触データに基づいて、オフセット方向とオフセット量を決定したり、データの異常を決定したりするサブステップとを含む
【0015】
また、幾つかの態様において、前記接触データは、第1の接触データと第2の接触データとを含み、
前記作業パラメータと前記接触データとに基づいて、収穫機の現在の行アライメント状態を特定するステップは、
前記第1の接触データに基づいて特徴値を抽出して第1の距離値を取得するとともに、前記第2の接触データに基づいて特徴値を抽出して第2の距離値を取得するサブステップと、
前記第1の距離値及び前記第2の距離値を予め設定された特徴閾値と比較することで、左右のアライメント隙間状態を特定するサブステップと、
左右のアライメント隙間状態に基づいてアライメントに異常があるか否かを判定するサブステップと、
「はい」あれば、前記第1の接触データ及び前記第2の接触データに基づいて、オフセット方向とオフセット量を決定したり、データの異常を決定したりする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の実施例では、弾性アライメント感知モジュールにおいてデバイダーに設けられた弾性体が高桿作物に直接接触して変形することにより、弾性アライメント感知モジュールにおけるセンサにより弾性体の変形に応じて接触データが生成され、処理モジュールにより接触データから現在の走行状態が解析され、さらに制御モジュールにより現在の走行状態からステアリング方向とステアリング角度が演算され、ステアリング方向とステアリング角度がステアリング信号によりステアリングモジュールに送られ、最終的にステアリングモジュールがステアリング信号に基づいてステアリング動作を完了し、収穫機の行自動アライメント運転を実現する。このシステムは、1つの弾性アライメント感知モジュールに基づいて、収穫機による行自動アライメント作業を補助し、収穫機に対して多くの改造を行う必要がなく、収穫機の収穫作業への影響が小さく、収穫機による収穫作業時に自動的に行を照合して、正確な収穫作業を実現し、収穫効率と収穫された作物の品質を向上し、運転手による手動的な行アライメントを必要としなく、運転手の労力の強さが低減される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施例1に係る高稈作物収穫機の行自動アライメント運転システムの構成を示す図である。
図2】本発明の実施例1に係る高稈作物収穫機の概略構成図である。
図3】本発明の実施例1に係る高稈作物収穫機の作業概略図である。
図4】本発明の実施例2に係る高稈作物収穫機の弾性アライメント感知モジュールの構成を示す図である。
図5】本発明の実施例3による高稈作物収穫機の行自動アライメント運転方法の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面及び実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。本明細書に記載された特定の実施形態は、本発明の限定ではなく、本発明を説明するために使用されることが理解される。なお、説明を容易にするために、図面には全ての構成ではなく、本発明に関連する部分のみが示されている。
【0019】
例示的な実施形態をより詳細に説明する前に、幾つかの例示的な実施形態は、フローチャートとして描かれる処理または方法として説明されるべきである。フローチャートは、各ステップを順次の処理として説明するが、その多くのステップは、並列にまたは同時に実施することができる。さらに、各ステップの順序を再配置することができる。その動作が完了すると、処理は終了することができるが、図面に含まれていない追加のステップを有していてもよい。処理は、方法、関数、規程、サブルーチン、サブプログラムなどに対応することができる。
【0020】
さらに、用語「第1」、「第2」等は、様々な方向、動作、ステップ又は部品等を説明するために本明細書において使用することができるが、これらの方向、動作、ステップ又は部品は、これらの用語に限定されない。これらの用語は、第1の方向、動作、ステップまたは部品と、他の方向、動作、ステップまたは部品とを区別するためにのみ用いられる。例えば、本開示の範囲を逸脱しない限り、第1のモジュールを第2のモジュールと称し、同様に、第2のモジュールを第1のモジュールと称してもよい。第1のモジュールと第2のモジュールとは、双方ともモジュールであるが、同一のモジュールではない。「第1」、「第2」という用語は、相対的重要性を示すか若しくは暗示するものではなく、または示された技術的特徴の数を暗黙的に示すとは理解できない。これにより、「第1」、「第2」が限定された特徴は、1つまたはそれ以上の特徴を明示的または暗示的に含み得る。本発明の実施形態の説明において、「複数」は、特に限定されない限り、少なくとも2つ、例えば2つ、3つ等を意味する。
【0021】
[実施例1]
本発明の実施例1によれば、トウモロコシ収穫機などの種々の高稈作物収穫機に適用可能である高稈作物収穫機の行自動アライメント運転システムが提供される。このシステムによる高稈作物収穫機は、収穫作業時に自動的に行アライメントを行うことができ、手動操作を削減し、作業負担を軽減して収穫効率を向上させることができる。図1は、本発明の実施例に係る高稈作物収穫機の行自動アライメント運転システムの構成を示す図である。当該システムは、弾性アライメント感知モジュール100、処理モジュール200、制御モジュール300、及びステアリングモジュール400を備える。
【0022】
ここで、弾性アライメント感知モジュール100は、収穫機の1つのデバイダーに設けられ、高稈作物に接触して接触データを収集するために用いられ、且つ高稈作物に接触して変形する弾性体と、当該弾性体の変形状況を検出して接触データを生成するセンサとを備える。
【0023】
現在、従来の高稈作物収穫機は、収穫時にデバイダーを使用する必要があり、例えば自走式トウモロコシ収穫機では、デバイダーは刈取台の先端に取り付けられ、主にトウモロコシの株を把持して分取して、茎引き溝にトウモロコシ植物体をスムーズに進入させて収穫を完了させる。収穫機の収穫時の作業効果を保証するために、デバイダーがトウモロコシなどの高稈作物と正確にアライメントできることを保証する必要があることに鑑み、本実施例では、デバイダーに高稈作物と行列がアライメントされているかどうかを判断するように、収穫機作業(作物を刈り入れる)時に高稈作物と直接接触して接触データを採取するために用いられる弾性アライメント感知モジュール100が設けられる。行にずれが生じると作業効果に影響し、不良作物を収穫しやすくなり、収穫機の調整が必要となる。
【0024】
具体的には、本実施例における弾性アライメント感知モジュール100は、弾性体とセンサとの協働構造を採用しており、収穫機の稼動時には弾性体が直接高稈作物に接触し、収穫機の前進に伴って、高稈作物の押圧下で弾性体が変形し、センサが弾性体の変形を検知するものである。弾性体の変形が一定条件になれば、デバイダーと高稈作物とのアライメントがずれることが説明される。通常、一台の収穫機の刈取台の先端に複数のデバイダーが設けられており、弾性アライメント感知モジュール100をいずれのデバイダーに設置しても行列の調整に使用できる。但し、弾性アライメント感知モジュール100を収穫機の中心に近いデバイダーに載置する場合は調整の方がより便利になり、アライメントがずれているか否かの感知もより正確であるため、幾つかの実施例では、デバイダーの数が奇数のときには、中間のデバイダーに弾性アライメント感知モジュール100を固定することが好ましく、デバイダーの数が偶数のときには、中間の左寄りの1番目のデバイダーまたは中間の右寄りの1番目のデバイダーに弾性アライメント感知モジュールを固定することが好ましい。
【0025】
より具体的には、幾つかの実施例では、高稈作物に弾性体が接触すると収穫機の正常な作業に一定の影響を及ぼすことを考慮すると、前記弾性体の水平断面をアーチとし、前記アーチの外側を高稈作物に向けて設けることが望ましい。これは、高稈作物が弾性体に接触した際に、弾性体の外側に沿って弾性体から離れる側に摺動させることができ、収穫機の作業品質を担保するためである。
【0026】
処理モジュール200は、前記接触データに基づいて、収穫機の現在の行アライメント状態を決定するものである。
【0027】
処理モジュール200は、弾性アライメント感知モジュール100が検出した接触データを処理し、主に、元のセンサデータから収穫機の現在の行アライメント状態を得るために特徴抽出と算出を行うものである。現在の行アライメント状態は、デバイダーと高稈農作物との行列がアライメントされているかどうかを説明するためのものである。現在の行アライメント状態は、具体的にオフセット方向及びずれ距離を含み、ずれ距離が所定の閾値よりも小さい場合に高稈農作物とデバイダーとがアライメントしていると見なし、逆に高稈農作物とデバイダーがアライメントしていないと見なしてもよい。
【0028】
具体的には、処理モジュール200は、弾性アライメント感知モジュール100におけるセンサに接続されて、センサが採取したデータを直接取得し、且つセンサが採取したデータについて特徴抽出及び計算を行なう。抽出した特徴は、弾性体と高桿作物との接触状況、即ち、対応するデバイダー(弾性アライメント感知モジュール100が装着されたデバイダー)の現在の行アライメント状態を判定するために用いられる。
【0029】
制御モジュール300は、前述の現在の行アライメント状態に基づいて収穫機のステアリング信号を決定するためのものである。
【0030】
制御モジュール300は、収穫機のメインコントロールセンターであり、各種の制御信号を発生して収穫機の運転や作業を制御する。制御モジュール300の中には、各種制御信号の生成に関与するための収穫機の作業パラメータ等の情報が記憶されている。ステアリング信号は、処理モジュール200が得る、現在の行アライメント状態にオフセット方向及びずれ角度が含まれているときに生成される、対応するターンアクチュエータ(例えば、ステアリングシリンダ等)によるターン完了を制御するための制御信号である。
【0031】
制御モジュール300は、処理モジュール200に接続されており、処理モジュール200がアップロードしたデータ、即ち現在の行アライメント状態を受信し、且つ現在の行アライメント状態に応じて、収穫機の作業パラメータと合わせて、高稈作物とデバイダーとが整列を保ったまま収穫機の運転方向をどのように調整するかを演算する。具体的には、現在の行アライメント状態にはオフセット方向とオフセット量が含まれている。制御モジュール300には、オフセット方向とオフセット量から収穫機のステアリング方向とステアリング角度を算出する数式が予め設定されており、さらにステアリング方向とステアリング角度から具体的なステアリング信号が生成される。即ち、制御モジュール300は、前記オフセット方向及びオフセット量に基づいて収穫機のステアリング方向及びステアリング角度を決定し、前記ステアリング方向及び前記ステアリング角度に基づいてステアリング信号を生成するためのものである。
【0032】
ステアリングモジュール400は、前記ステアリング信号に応じて収穫機の走行を制御するためのものである。
【0033】
ステアリングモジュール400は、ステアリング信号に応じて収穫機のハンドル方向をリアルタイムで調整し、ステアリング信号の要求に従って収穫機が走行するように制御するための収穫機のターンアクチュエータである。一例では、ステアリングモジュール400は、電液比例弁、油圧シリンダ及びステアリングホイールを含む。ステアリング信号は、電液比例弁と油圧シリンダの動作を調節し、ステアリングホイールを偏向させて収穫機の走行方向を調整するために用いられる。
【0034】
理解を容易にするために、本実施形態で提供する高稈作物収穫機の行自動アライメント運転システムを具体例として説明する。図2は、トウモロコシ収穫機の作業概略図を示す図である。
【0035】
図2に示すように、デバイダー500には弾性アライメント感知モジュール100が設置されており、弾性アライメント感知モジュール100には処理モジュール200が接続されており、処理モジュール200には制御モジュール300が接続されており、制御モジュール300にはステアリングモジュール400が接続されている。図3は、同トウモロコシ収穫機の平面図を示している。図3において、当該収穫機では、弾性アライメント感知モジュール100がデバイダー500の前端に設けられており、トウモロコシ収穫機が行進につれて弾性アライメント感知モジュール100がトウモロコシ000と直接接触する。トウモロコシ000とデバイダー500とが併走している時に、弾性アライメント感知モジュール100は両側に発生する変形状況が同じであることを検出する(トウモロコシは成長時に完全に同じ成長が不可能であることを考慮すると、一定の誤差が許容される)。トウモロコシ000とデバイダー500とが併走していない時に、弾性アライメント感知モジュール100は両側に発生する変形状況が異なることを検出する。収穫機が左側に偏っている最中に、弾性アライメント感知モジュール100の右側が先にトウモロコシ000に接触、変形し、収穫機の前進に伴い、弾性アライメント感知モジュール100の左側が後でトウモロコシ000に接触、変形する。これにより、接触データは上記前後の変形具合を記録する。処理モジュール200は、接触データを受信すると、デバイダー500とトウモロコシ000との間のオフセット方向およびずれ距離を接触データから算出し、前記収穫機が左へずれると、オフセット方向が左となる。制御モジュール300は、さらにオフセット方向及びずれ距離に基づいてステアリングモジュール400を制御するためのステアリング方向とステアリング角度を算出する。例えば、処理モジュール200が算出したオフセット方向が左であり、オフセット量(ずれ距離)がXであれば、ステアリング方向が右であり、ステアリング角度がY、Y=k・X、k=a・v +b・w+cである。ここで、vは収穫機の走行速度を表し、wは収穫機の作業ピッチ(デバイダーピッチ)を表し、a、b、cはいずれも予め設定された定数である。ステアリングモジュール400は、ステアリング信号を受信すると、ステアリング信号におけるステアリング方向とステアリング角度に応じて収穫機のハンドルを調整していく。収穫機の操舵に伴い、接触データは再び変化し、その分のオフセット量も変化していき、ステアリング角度が相応的に変化し、即ちハンドルが走行中に調整されていき、最終的に整列された状態となる。
【0036】
本実施例による高稈作物収穫機の行自動アライメント運転システムにおいて、弾性アライメント感知モジュールにおいてデバイダーに設けられた弾性体が高稈作物と直接接触して変形することにより、弾性アライメント感知モジュールにおけるセンサが弾性体の変形に応じて接触データを生成し、接触データに基づいて処理モジュールにて現在の行アライメント状態を解析し、現在の行アライメント状態に基づいて制御モジュールにてステアリング方向とステアリング角度とを演算して、ステアリング方向とステアリング角度とをステアリング信号によりステアリングモジュールに送信し、最終的にステアリングモジュールがステアリング信号に基づいてステアリング動作を完了し、収穫機の行自動アライメント運転を実現する。このシステムは、1つの弾性アライメント感知モジュールに基づいて収穫機による行自動アライメント作業を補助し、収穫機に多くの改造を行う必要がなく、収穫機の収穫作業への影響が少なく、収穫機による収穫作業時に自動的に行をアライメントして精緻な収穫作業を実現でき、収穫効率と収穫された作物の品質を向上し、運転手による手動的な行アライメントを必要としなく、運転手の労力の強さが低減される。
【0037】
[実施例2]
本発明の実施例2に係る高稈作物収穫機の行自動アライメント運転システムは、本発明の実施例1に加えて、弾性アライメント感知モジュールの具体的構成や、如何に接触データに基づいて現在の行アライメント状態を判定するかをさらに説明及び解釈するものである。
【0038】
弾性アライメント感知モジュール100は、両端がデバイダー500の両側にそれぞれ位置する弾性体と、前記弾性体の中心の左側(弾性体上ではない)に設けられた第1のセンサと、前記弾性体の中心の右側(弾性体上ではない)に設けられた第2のセンサと、を含む。前記第1のセンサは、前記弾性体の左側の変形状況に応じて第1の接触データを生成する。前記第2のセンサは、前記弾性体の右側の変形状況に応じて第2の接触データを生成する。
【0039】
本実施例では、弾性アライメント感知モジュール100の構成及び作用についてさらに説明する。弾性アライメント感知モジュール100は、デバイダー500(弾性アライメント感知モジュール100が固定されたデバイダー500を意味する)の両側の高稈作物と収穫機との行アライメント状況、即ち、デバイダー500の両側の高稈作物と収穫機との相対位置を検出する。弾性体は、デバイダー500からデバイダー500の両側に延びて、デバイダー500の両側の高稈作物にそれぞれ接触するように、両端が1つのデバイダー500の左右両側にそれぞれ位置している。第1のセンサは、弾性体の中心よりも左側に設けられ、デバイダー500の左側の高稈作物に弾性体が接触したことによる接触データである第1の接触データを検出する。第2のセンサは、弾性体の中心よりも右側に設けられ、デバイダー500の右側の高稈作物に弾性体が接触したことによる接触データである第2の接触データを検出する。つまり、前記接触データは、第1の接触データと第2の接触データとを含む。
【0040】
処理モジュール200は、第1の接触データ及び第2の接触データを受け取ると、第1の及び第2の接触データから、弾性体の両側と高稈作物との接触状況を解析することにより、トウモロコシとデバイダー500とが整列していないか否か、及び、整列していない場合の具体的なずれ状況を判定する。具体的には、本実施例において、処理モジュール200が現在の行アライメント状態を解析する過程は、ステップS210~240(図示せず)を含む。
【0041】
S210では、前記第1の接触データに基づいて特徴値を抽出して第1の距離値を取得し、前記第2の接触データに基づいて特徴値を抽出して第2の距離値を取得する。
【0042】
本実施例の処理モジュール200には、接触データを処理するためのプリセットアルゴリズムが記憶されており、第1の接触データ及び第2の接触データを受け取ると、プリセットアルゴリズムによりその中から特徴値を抽出し、対応する第1の距離値及び第2の距離値をそれぞれ得る。弾性アライメント感知モジュール100の具体的な構造によって異なる特徴値を採用でき、例えば、角度値、距離値など。本実施例では、第1センサと第2センサが弾性体の変形を検出し、弾性体における対応領域とセンサとの間の距離を解析の根拠とするので、特徴値は距離値である。
【0043】
S220では、前記第1の距離値及び前記第2の距離値を、予め設定された特徴閾値と比較することで、左右のアライメント隙間状態を特定する。
【0044】
第1のセンサ及び第2のセンサは、それぞれセンサと弾性体との距離を検出しており、弾性体に異なる変形が生じた場合には、第1のセンサ及び第2のセンサと弾性体との距離も変化するが、距離の違いに応じて弾性体の変形状態を逆に推定することによって、デバイダー500が高桿作物と整列しているか否かを判断する。具体的には、本実施例では、2つのセンサと弾性体との距離状況を左右のアライメント隙間状態で表す。前記左右のアライメント隙間状態は、左側に隙間があり、左側に隙間がなく、右側に隙間があり及び右側に隙間がないという4つの状態を含む。前記左右のアライメント隙間状態を特定することは、第1の距離値が前記予め設定された特徴閾値以下であれば、左側に隙間があると判断し、逆に左側に隙間がないと判断する。第2の距離値が前記予め設定された特徴閾値以下であれば、右側に隙間があると判断し、逆に右側に隙間がないと判断する。前述したように、第1のセンサは、前記弾性体の中心よりも左側に位置し、第1のセンサと弾性体との間には、左側に隙間があると左側に隙間がないとの2つの状態が存在する。同様に、第2センサと弾性体との間にも右側に隙間があると右側に隙間がないとの2つの状態が存在する。
【0045】
S230では、前記左右のアライメント隙間状態に基づいて、行アライメントに異常があるか否かを判断する。
【0046】
左右のアライメント隙間状態が確定された後、処理モジュール200は、さらに、現在の収穫機が行アライメントされている状態で作業しているか否かを判断する。左右のアライメント隙間状態は、実際に4つの状況に分けられる。第1に、左側に隙間があり、右側に隙間がなければ、アライメントに異常がある。第2に、左側に隙間がなく、右側に隙間があれば、アライメントに異常がある。第3に、左側に隙間がなく、右側にも隙間がなければ、同時に2つのセンサのデータを計算の根拠として、当該2つのセンサと弾性体との間の距離が等しい否かを判断し(一定の誤差を許す)、等しくなければ、アライメントに異常がある。第4に、左側に隙間があり、右側に隙間があれば、データに異常が発生し、収穫機が作業領域から完全に外れてしまう可能性がある。
【0047】
S240では、「はい」であれば、前記第1の及び第2の接触データから、オフセット方向及びオフセット量を決定したり、データの異常を決定したりする。
【0048】
ステップS230における解析の結果によって、左側に隙間があり、右側に隙間がない場合に、オフセット方向が右となり、右側の第2接触データでオフセット量を決定する必要がある。左側に隙間がなく、右側に隙間がある場合に、オフセット方向が左となり、左側の第1の接触データでオフセット量を決定する必要がある。左側に隙間がなく、右側にも隙間がない場合に、同時に2つのセンサのデータを計算根拠とし、さらに2つのセンサと弾性体との距離を判断する必要がある。さらに、距離に応じてオフセット(即ち、アライメントに異常がある)が発生したか否かを決定し、オフセットが発生した場合、第1の接触データと第2の接触データとを組み合わせてオフセット方向とオフセット距離を特定する必要がある。左側に隙間があり、右側にも隙間がある場合、データに異常が生じていると判断する。
【0049】
理解を容易にするために、弾性アライメント感知モジュール100の構成を一具体例にて説明する。図4は、高桿作物収穫機の行自動アライメント運転システムにおける弾性アライメント感知モジュールの構成を示す図である。
【0050】
弾性アライメント感知モジュール100は、ハウジング101、シールカバー102、押さえブロック103、弾性体104、取付板105、第1のセンサトリガ106、第1のセンサ107(実際には図示しない第2のセンサ及び第2のセンサトリガも含む)及びコネクタ108から構成されている。第1のセンサトリガ106と第2のセンサトリガは、弾性体104内に固定接続されている。弾性体104は、押えブロック103に固着され、好ましくは接着されている。押えブロック103は、ハウジング101に固定され、好ましくはボルトにより固定される。第1のセンサ107と第2のセンサは、ハウジング101に取り付けられる。また、第1のセンサ107は、第1のセンサトリガと同軸に取り付けられ、且つ設定された距離を保持する。前記第2のセンサは、前記第2のセンサトリガと同軸に取り付けられ、且つ設定された距離を保持する。前記設定された距離は、5mmであることが好ましい。コネクタ108は、シールカバー102に固定装着され、且つ第1のセンサ107及び第2のセンサに接続されて、第1のセンサ107及び第2センサに給電して通信するために用いられる。シールカバー102は、ハウジング101に固定されて、防塵、防水、油汚れ防止作用に用いる。取付板105は、デバイダー500に連結されており、弾性アライメント感知モジュール100をデバイダー500に固定的に取付けるためのものである。
【0051】
幾つかの実施例にて提供される高稈作物収穫機の行自動アライメント運転システムには、アラームモジュール600がさらに設けられている。アラームモジュール600は、スピーカ(ブザー等の素子に置き換え可能)及び/又は指示ランプを含み、収穫機の作業異常時に、ユーザに提示する。前記処理モジュールは、前記左右のアライメント隙間状態が左側に隙間があり且つ右側に隙間がある時に警告信号を生成する。前記アラームモジュール600は、前記警告信号に基づいて、照明警報又は音声警報を発する。また、前記左右のアライメント隙間状態が左側に隙間があり且つ右側に隙間がある場合に、データに異常が発生したことを表す。このとき、収穫機の作業が完了した場合や、収穫機が作業領域から完全に外れている(例えば、地面の障害物と衝突して走行方向が急変している)場合等が考えられる。
【0052】
より具体的には、幾つかの実施例に係る高稈作物収穫機の行自動アライメント運転システムにおいて、ユーザが入力した作業パラメータを取得するための入力モジュール700をさらに備える。前記作業パラメータは、作業ピッチ、オフセット値、センサキャリブレーション及び電圧特性閾値を含み、前記接触データに合わせてステアリング信号を生成する。前述したように、制御モジュール300の中には、収穫機の作業パラメータ等の情報も記憶されており、各種制御信号の生成に関与するために用いられるが、作業パラメータ情報は一定のルートで入力する必要があり、それはタッチスクリーンやキーボード等のデバイスであっても構わない。勿論、出力モジュールと制御モジュール300は、1つの表示制御モジュールとして集約することができ、入力と制御の役割を同時に実現することができる。
【0053】
より具体的には、幾つかの実施例に係る高稈作物収穫機の行自動アライメント運転システムは、収穫機の現在位置を特定する位置決めモジュール800と、収穫機の現在の車体状態を特定する姿勢モジュール900と、前記現在位置、現在の車体状態、及び現在の行アライメント状態に応じて収穫機の稼動状況を表示する表示モジュール910と、を備えている。収穫機の稼動状況には、複数種類のカスタマイズ情報、例えば、オフセット量、オフセット方向、作業速度、作業モード及び作業峰ピッチ等の情報が含まれる。幾つかの代替実施形態では、表示モジュール910、入力モジュール700及び制御モジュール300は、1つのモジュール内に一括集積化されていてもよく、例えば、表示制御モジュールは、出力、表示及び制御との3つの機能を同時に備える。
【0054】
より具体的には、幾つかの実施例で提供される高稈作物収穫機の行自動アライメント運転システムには、手動運転モジュールがさらに含まれる。この手動運転モジュールは、処理モジュール200がデータに異常が発生すると判断したときに、制御モジュール300が現在の行アライメント状態に応じて収穫機のステアリング信号を決定する過程を終了して、手動運転モジュールにより運転者の手動運転情報を取得して手動運転信号を生成する。この場合、ステアリングモジュール400は、手動運転信号に従って収穫機の走行を制御する。もちろん、幾つかの代替実施形態では、手動運転モジュールは、処理モジュール200がデータ異常を判定したときに手動運転に切り替えるだけでなく、入力モジュール700が手動運転切替指令を受信したときに手動運転に切り替えることもできる。
【0055】
本実施例が提供する高桿作物収穫機の行自動アライメント運転システムは、さらに弾性アライメント感知モジュールの具体的な構成、及び弾性アライメント感知モジュールの具体的な構成に基づいて、第1の接触データと第2の接触データからどのように現在の行アライメント状態を特定するか、さらに現在の行アライメント状態から収穫機が正常に作業しているか否かを特定するようなシステムを説明した。このシステムは、収穫機がアライメントされた状態で作業しているか否かを正常に判定できる他、データに異常が発生する時にアラーム信号を発生して、収穫機の作業の具体的な状況を検査するようにユーザに注意し、作業の安全性を高めた。
【0056】
本発明の第3実施例は、種々の高稈作物収穫機に適用され、本発明の前述のいずれかの実施例による高稈作物収穫機の行自動アライメント運転システムに基づいて実現され、高稈作物収穫機による収穫作業時に自動的に行アライメントして、人工操作を減らし、作業負担を軽減して、収穫効率を高めたような高稈作物収穫機の行自動アライメント運転方法を提供する。図5は、高稈作物収穫機の行自動アライメント運転方法のフローチャートである。図5に示すように、当該方法は、次のステップを備える。
【0057】
S510では、弾性アライメント感知モジュールが高桿作物に接触するときに生成された接触データを取得し、ユーザが入力した作業パラメータを取得する。
【0058】
本実施例が提供する方法は、収穫機の作業時に作業状況に応じてアライメント作業を自動的に行うので、予め収穫機を作業圃場に運転して、手動走行して作業方向を確定した後に、直接に行自動アライメント運転を開始したり、ユーザの自動運転指令に応じて行自動アライメント運転を開始したりする。
【0059】
S520では、前記作業パラメータと前記接触データとに基づいて、収穫機の現在の行アライメント状態を特定する。
【0060】
S530では、前記行アライメント状態に基づいて、収穫機のステアリング方向及びステアリング角度を含むステアリング信号を特定する。
【0061】
S540では、収穫機のステアリングモジュールを制御して、前記ステアリング信号を実行して、収穫機の行アライメント走行を完成する。
【0062】
幾つかの実施例では、前記接触データは、第1の接触データと第2の接触データとを含む。前記作業パラメータと前記接触データとに基づいて収穫機の現在の行アライメント状態を特定するステップは、具体的に、以下のサブステップを含む。
【0063】
前記第1の接触データに基づいて特徴値を抽出して第1の距離値を取得するとともに、前記第2の接触データに基づいて特徴値を抽出して第2の距離値を取得する。
前記第1の及び第2の距離値を予め設定された特徴閾値と比較することで、左右のアライメント隙間状態を特定する。
前記左右のアライメント隙間状態に基づいてアライメントに異常があるか否かを判定する。
「はい」あれば、前記第1の及び第2の接触データから、オフセット方向とオフセット量を決定したり、データの異常を決定したりする。
【0064】
より具体的には、幾つかの態様において、前記左右のアライメント隙間状態は、左側に隙間があり、左側に隙間がなく、右側に隙間があり、右側に隙間がないという4つの状態を含む。
【0065】
前記左右のアライメント隙間状態を特定する場合、具体的に、第1の特定値が予め設定された特徴閾値より小さいかまたはそれに等しいであれば、左側に隙間があると判断し、逆に左側に隙間がないと判断し、第2の距離値が前記予め設定された特徴閾値より小さいかまたはそれに等しいであれば、右側に隙間があると判断し、逆に右側に隙間がないと判断する。
【0066】
第1の距離値が前記仮特徴閾値以下であれば左側に隙間があると判断し、逆に左側に隙間がないと判断し、第2の距離値が前記仮特徴閾値以下であれば右側に隙間があると判断し、逆に右側に隙間がないと判断する。
【0067】
本実施例に係る高稈作物収穫機の行自動アライメント運転方法は、弾性アライメント感知モジュールにおいてデバイダーに設けられた弾性体が高桿作物に直接接触して変形することにより、弾性アライメント感知モジュールにおけるセンサにより弾性体の変形に応じて接触データが生成され、処理モジュールにより接触データから現在の走行状態が解析され、さらに制御モジュールにより現在の走行状態からステアリング方向とステアリング角度が演算され、ステアリング方向とステアリング角度がステアリング信号によりステアリングモジュールに送られ、最終的にステアリングモジュールがステアリング信号に基づいてステアリング動作を完了し、収穫機の行自動アライメント運転を実現する。このシステムは、1つの弾性アライメント感知モジュールに基づいて、収穫機による行自動アライメント作業を補助し、収穫機に対して多くの改造を行う必要がなく、収穫機の収穫作業への影響が小さく、収穫機による収穫作業時に自動的に行を照合して、正確な収穫作業を実現し、収穫効率と収穫された作物の品質を向上し、運転手による手動的な行アライメントを必要としなく、運転手の労力の強さが低減される。
【0068】
なお、上記は本発明の好適な実施の形態及び応用された技術的原理に過ぎない。当業者は、ここで述べた特定の実施形態に限定されることなく、当業者にとって、本発明の技術的範囲を逸脱することなく様々な変更、再調整及び代替が可能であることを理解するであろう。したがって、以上の実施例により本発明をより詳細に説明したが、本発明は以上の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱することなく、さらに他の等価な実施例を含むことができ、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって定められる。
【符号の説明】
【0069】
100 弾性アライメント感知モジュール
200 処理モジュール
300 制御モジュール
400 ステアリングモジュール
500 デバイダー
図1
図2
図3
図4
図5