IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シャープ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-冷蔵庫 図1
  • 特許-冷蔵庫 図2
  • 特許-冷蔵庫 図3
  • 特許-冷蔵庫 図4
  • 特許-冷蔵庫 図5
  • 特許-冷蔵庫 図6
  • 特許-冷蔵庫 図7
  • 特許-冷蔵庫 図8
  • 特許-冷蔵庫 図9
  • 特許-冷蔵庫 図10
  • 特許-冷蔵庫 図11
  • 特許-冷蔵庫 図12
  • 特許-冷蔵庫 図13
  • 特許-冷蔵庫 図14
  • 特許-冷蔵庫 図15
  • 特許-冷蔵庫 図16
  • 特許-冷蔵庫 図17
  • 特許-冷蔵庫 図18
  • 特許-冷蔵庫 図19
  • 特許-冷蔵庫 図20
  • 特許-冷蔵庫 図21
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/00 20060101AFI20241127BHJP
【FI】
F25D23/00 301G
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022160167
(22)【出願日】2022-10-04
(62)【分割の表示】P 2018125221の分割
【原出願日】2018-06-29
(65)【公開番号】P2022176288
(43)【公開日】2022-11-25
【審査請求日】2022-11-02
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】山出 欽也
(72)【発明者】
【氏名】久原 太志
(72)【発明者】
【氏名】濱口 良彦
(72)【発明者】
【氏名】樋上 貞彦
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-089913(JP,A)
【文献】特開2016-200380(JP,A)
【文献】国際公開第2014/167806(WO,A1)
【文献】特開2014-238217(JP,A)
【文献】特開2015-045734(JP,A)
【文献】特開2003-207245(JP,A)
【文献】特開2006-336963(JP,A)
【文献】特開2011-043263(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0028742(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第105783376(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0138860(US,A1)
【文献】特開2014-209048(JP,A)
【文献】特開2018-091596(JP,A)
【文献】特開2018-013272(JP,A)
【文献】特開平05-045042(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 11/00
F25D 23/00
F25D 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納物を収納する収納領域を有する貯蔵室と、
前記貯蔵室を開閉する扉と、を備え、
前記収納領域の奥壁に設けられ、前記収納領域内に冷気を吹き出す吹出口と、
前記収納領域の奥壁と前記扉との間において上下方向に並べて配置され、それぞれが収納物を載置可能で、かつ透光性の材料によって形成される複数の載置部材と、
前記扉の内側に設けられ、前記扉から前記収納領域内を撮像する撮像部と、を有し、
撮像した画像に撮像対象の吹出口を含む撮像部は、当該撮像対象の吹出口以上の高さに位置し、
前記撮像部は、前記撮像部よりも上側に配置される前記載置部材の下側で反射した反射光を画像として取り込み、
前記画像として取り込む反射面は、前記載置部材の底面における前側の一部を除いた領域であり、かつ前記載置部材の底面に沿っている、冷蔵庫。
【請求項2】
前記扉は、内側に突出する突起部を有し、
前記撮像部は、前記突起部における先端部に設けられる、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記撮像部によって撮像した画像を外部の携帯端末に送信する、請求項1または請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記撮像部は、魚眼レンズを備える、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記撮像部は、前記吹出口が設けられた前記収納領域の奥壁を撮像可能である、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、冷蔵庫内を画像認識し、不適切な使われ方をしていた場合、表示装置に表示して使用者に注意を促す技術が開示されている。当該技術においては、冷蔵庫のドア側から見て奥側上部に設置されたカメラにより当該カメラの下方を撮像し、得られた画像に対して画像認識を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-45042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のカメラでは、吹出口から吐出した冷気が庫内を循環するための経路が確保されているかを確認することは難しい。また、カメラが冷蔵庫の奥側に設置されているため、食品の収納領域を奪う虞がある。さらに、このカメラを特許文献1に開示されている用途以外の用途に利用することは難しい。上記カメラは、例えば、冷蔵庫内に収納されている食品等を管理するために冷蔵庫内を広く撮像するという用途には向かない。したがって、このような用途には、上記カメラとは別に冷蔵庫内を広く撮像することができるカメラを冷蔵庫内に設置する必要があり、コスト対効果の面で問題がある。
【0005】
本発明の一態様は、簡便な構成で使用者に庫内の冷気循環経路の確保を促すことが可能な冷蔵庫を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る冷蔵庫は、収納物を収納する収納領域を有する貯蔵室と、前記貯蔵室を開閉する扉と、を備え、前記収納領域の奥壁に設けられ、前記収納領域内に冷気を吹き出す吹出口と、前記収納領域の奥壁と前記扉との間において上下方向に並べて配置され、それぞれが収納物を載置可能で、かつ透光性の材料によって形成される複数の載置部材と、前記扉の内側に設けられ、前記扉から前記収納領域内を撮像する撮像部と、を有し、撮像した画像に撮像対象の吹出口を含む撮像部は、当該撮像対象の吹出口以上の高さに位置し、前記撮像部は、前記撮像部よりも上側に配置される前記載置部材の下側で反射した反射光を画像として取り込み、前記画像として取り込む反射面は、前記載置部材の底面における前側の一部を除いた領域であり、かつ前記載置部材の底面に沿っている
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様に係る冷蔵庫によれば、簡便な構成で使用者に庫内の冷気循環経路の確保を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1に係る冷蔵庫の、扉を開いた状態の正面図である。
図2】実施形態1に係る冷蔵庫の、右側扉の内側の正面図である。
図3】実施形態1に係る冷蔵庫が備える冷蔵室の側方断面図である。
図4】(a)は、実施形態1に係る冷蔵庫の、扉を閉めた状態の正面図であり、(b)は、(a)のA-A線断面図である。
図5】実施形態1に係る冷蔵庫の要部の構成を示すブロック図である。
図6】(a)は、撮像部が撮像した画像の一例を示す図であり、(b)は、撮像部が撮像した画像の別の例を示す図であり、(c)は、撮像部が撮像した画像のさらに別の例を示す図である。
図7】実施形態1に係る冷蔵庫における処理を示すフローチャートである。
図8】(a)~(c)はそれぞれ、撮像部が撮像した画像に吹出口の画像が含まれない状態の例を示す平面図である。
図9】実施形態2に係る冷蔵庫において撮像部が撮像した画像の一例を示す図である。
図10】実施形態2に係る冷蔵庫において撮像部に入射する光の一部を示す図である。
図11】実施形態2に係る冷蔵庫における処理を示すフローチャートである。
図12】実施形態3に係る冷蔵庫の要部の構成を示すブロック図である。
図13】実施形態3に係る冷蔵庫において撮像部および上側撮像部が撮像した画像を形成する光の、一部の光路を示す図である。
図14】実施形態3に係る冷蔵庫における処理を示すフローチャートである。
図15】実施形態4に係る冷蔵庫の要部の構成を示すブロック図である。
図16】実施形態4に係る冷蔵庫における撮像部および下側撮像部に入射する光の一部を示す図である。
図17】(a)は、実施形態4に係る冷蔵庫において撮像部が撮像する画像の例を示す図であり、(b)は、実施形態4に係る冷蔵庫において下側撮像部が撮像する画像の例を示す図である。
図18】光学領域の構造の例を示す断面図である。
図19】実施形態4に係る冷蔵庫における処理を示すフローチャートである。
図20】(a)は、実施形態5に係る冷蔵庫において、撮像部が撮像する画像の例を示す図であり、(b)は、実施形態5に係る冷蔵庫において、下側撮像部が撮像する画像の例を示す図である。
図21】実施形態5に係る冷蔵庫における処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る冷蔵庫1の、扉20を開いた状態の正面図である。図2は、冷蔵庫1の右側扉21の内側の正面図である。図3は、冷蔵庫1が備える冷蔵室10(貯蔵室)の側方断面図である。図4の(a)は、冷蔵庫1の、扉20を閉めた状態の正面図であり、(b)は、(a)のA-A線断面図である。
【0011】
図1図4に示すように、冷蔵庫1は、冷蔵室10、扉20、製氷室30、野菜室40、および冷凍室50を備える。図1においては、製氷室30、野菜室40、および冷凍室50については、扉を閉じた状態で示されている。なお、本実施形態に係る冷蔵庫は、少なくとも冷蔵室10を備えていればよく、上記の製氷室30、野菜室40、および冷凍室50については必ずしも備えている必要はない。
【0012】
冷蔵室10は、断熱材を充填した断熱箱体で形成されている。冷蔵室10の内部には、収納物B(図6等参照)を載置するための載置棚11、12および13が設けられている。載置棚11~13は、透光性を有するガラス、樹脂などの材料で形成されている。
【0013】
冷蔵室10の内部は、載置棚11、12および13によって、上から順に収納領域R1、R2、R3およびR4に区分されている。また、冷蔵室10の奥壁10aには、冷蔵室10内に冷気を吹き出す吹出口H1、H2、H3およびH4が、上からこの順に設けられている。具体的には、吹出口H1~H4は、収納領域R1~R4内のそれぞれに冷気を吹き出す。また、冷蔵室10の下端部には、戻り口(不図示)が設けられており、冷蔵室10内に吹き出された冷気を当該戻り口から回収することで、冷気を循環させる。
【0014】
また、吹出口H1~H4は、後述する判定部71が識別可能な形状を有する。例えば、奥壁10aにおける吹出口H1~H4の周囲部分は白色の平坦面で形成されており、吹出口H1~H4は、この周囲部分との対比によって識別できる、予め定められた形状(図示した長方形、楕円形等)に形成されている。このため、後述する撮像部61~64が撮像する画像において、判定部71は容易に吹出口H1~H4を識別することができる。周囲部分は、奥壁10aの上下にわたって設けられている。
【0015】
扉20は、冷蔵室10の前面に、開閉可能に設けられている。具体的には、扉20は、右側扉21と左側扉22とを有し、それぞれが冷蔵室10の右端および左端に設けられた回転軸の周りで回転することで冷蔵室10を開閉する。ただし、扉20は、冷蔵室10の右端または左端に設けられた回転軸の周りで回転することで冷蔵室10を開閉する、単一の扉であってもよい。
【0016】
右側扉21の内側には、冷蔵室10を撮像する撮像部61、62、63および64が、上からこの順に設けられている。具体的には、撮像部61~64は、収納領域R1~R4内のそれぞれを撮像する。撮像部61~64はそれぞれ、吹出口H1~H4の高さ以上の高さに設けられる。また、撮像部61~64はそれぞれ、冷蔵室10の幅方向においては吹出口H1~H4の位置と略一致する位置に設けられている。さらに、撮像部61~64は、図2に示すように、右側扉21の開放端に上下方向に並んで配置され、撮像部61~64の上下方向にはドアポケットなどの収納部が配置されていない。これによって、撮像部61~64の上下方向に収納される収納物が撮像部61~64の撮像エリアを覆ってしまうことを抑制できる。また、撮像部61~64の前方領域が上下方向に貫通した吹き抜け領域となるため、吹出口H1~H4から吹き出された各冷気を冷蔵室10の下方に流通させることができ、冷気の循環を妨げない。
【0017】
撮像部61~64は、例えばCCD(Charge Coupled Device)カメラ、またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラ等、様々な公知の撮像装置が使用できる。また、撮像部61~64はそれぞれ、広角レンズまたは魚眼レンズといった、広い範囲を撮像するためのレンズを備えていてもよい。
【0018】
また、図4の(a)に示すように、右側扉21の外面には、表示部23が設けられている。表示部23は、例えば液晶ディスプレイなどであってよい。表示部23は、冷蔵庫の運転に関する情報などをユーザに提示するための画像を表示する。図4の(b)に示すように、載置棚11は、透光性の材料で形成されており、その周囲には不透明の縁部11bが設けられている。図示はしないが、載置棚12および13も同様に構成されている。
【0019】
以下の説明では、載置棚11~13が、上から下に向かってこの順で設けられているものとして説明する。また、扉20の側が手前側、奥壁10aの側が奥側であるものとして説明する。
【0020】
図5は、冷蔵庫1の要部の構成を示すブロック図である。図5に示すように、冷蔵庫1は、撮像部61~64、表示部23、制御部70、および記憶部80を備える。撮像部61~64および表示部23については上述したとおりである。
【0021】
制御部70は、判定部71と、報知部72とを備える。判定部71は、撮像部61~64のそれぞれが撮像した画像に基づいて、収納領域R1~R4内のそれぞれに収納された収納物の配置状態を判定する。具体的には、判定部71は、吹出口H1~H4のそれぞれから吐出される冷気が対応する撮像部61~64まで流通可能か否かを判定する。判定部71による判定方法については後述する。
【0022】
報知部72は、吹出口H1~H4のいずれかから吐出される冷気が前方へと流通する経路(流通経路)が塞がれていると判定部71が判定した場合にユーザ(使用者)に報知する。報知部72は、例えば警報用の画像を表示部23に表示させることで、ユーザに対して警報を発することができる。また、冷蔵庫1がスピーカーを備える場合には、報知部72は、警報用の音声を当該スピーカーから出力することでユーザに警報を発してもよい。他にも、冷蔵庫1がネットワーク機能を持つ場合、報知部72は、ユーザのスマートフォン等、冷蔵庫1の外部の機器を介してユーザに警報を発しても良い。
【0023】
以下の説明では、吹出口H1~H4のいずれかからの冷気の流通経路が塞がれている状態について、単に「吹出口H1~H4のいずれかが塞がれている」と記すことがある。
【0024】
記憶部80は、制御部70による冷蔵庫1の制御に必要なデータを記憶する。なお、冷蔵庫1は、必ずしも記憶部80を備える必要はなく、外部に設けられた記憶装置と通信可能に構成されていてもよい。
【0025】
以下、収納領域R2(注目収納領域)に注目して、判定部71による判定について説明する。ここでは具体例として、撮像部62が撮像した画像に基づいて、吹出口H2が塞がれているか否かを判定部71が判定する例について説明する。
【0026】
図6の(a)は、撮像部62が撮像した画像の一例を示す図である。図6の(a)に示す例では、撮像部62が撮像した画像のうち、奥壁10aの領域に吹出口H2の全体の画像が含まれている。この場合には、吹出口H2からの冷気が前方へと流通する経路が塞がれていないことが明確である。
【0027】
また、撮像部62が撮像した画像に吹出口H2が含まれていないとしても、冷気の流れには問題ないことも考えられる。
【0028】
図6の(b)は、撮像部62が撮像した画像の別の例を示す図である。図6の(b)に示す例では、吹出口H2の手前側に収納物Bが存在しているため、撮像部62が撮像した画像には吹出口H2の画像が含まれていない。しかしながら、撮像した画像には吹出口H2の下端より上方の奥壁10a1が含まれている。この場合には、吹出口H2からの冷気が、収納領域R2の上部(載置棚11の下面近傍)を通じて、撮像部62が設置されている扉20まで到達できることになり、すなわち、冷気の流通経路が塞がれていないと判断できる。
【0029】
図6の(c)は、撮像部62が撮像した画像のさらに別の例を示す図である。図6の(c)に示す例では、図6の(b)に示す例よりも収納物Bの高さが高い。このため、吹出口H2および奥壁10a1のいずれも画像に含まれていないが、奥壁10aは画像に含まれている。この場合、吹出口H2からの冷気が流通する経路は塞がれていない。ただし、冷気は直線的に前方に流通することはできず、また流通した冷気が収納領域R2内の収納物Bを効率よく冷却しにくくなるため、注意が必要な状態である。
【0030】
なお、吹出口H2よりも上方の奥壁10a1は少なくとも吹出口H2の上方を含んでいるが、吹出口H2の上方よりも側壁に近い所定領域までを含めてもよい。また、吹出口H2の側方部分の所定領域までを含めてもよい。奥壁10a1は奥壁10aの一部領域において、当該奥壁10a1と撮像部62とを結ぶ直線が吹出口H2からの冷気を効率よく流通できる経路となる領域が設定される。
【0031】
また、奥壁10aは、判定部71が識別可能となるように模様を有していることが好ましい。奥壁10aが模様を有していれば、撮像部61~64が撮像した画像における当該模様の面積を求めることにより、奥壁10aの画像の面積を容易に求めることができる。一般の冷蔵庫では、内壁が白色であるため、収納物Bが豆腐のような白色である場合には、奥壁10aと収納物Bとを区別して奥壁10aの画像の面積を求めることは難しい。これに対し、冷蔵庫1において奥壁10aが模様を有していれば、収納物Bと区別して奥壁10aの画像の面積を求めることができる。なお、奥壁10aは、上述した吹出口H1~H4の周囲部分にも模様を有していてもよい。
【0032】
奥壁10aが有する模様は、例えば図1などに示されているような縦縞であってもよい。この場合、左右方向における縦縞のピッチが一様でないようにしてもよい。また、吹出口H2よりも上方の奥壁10a1については、奥壁10aの他の領域と異なる模様を有していてもよい。
【0033】
図7は、冷蔵庫1における収納領域R1~R4のそれぞれについての処理を示すフローチャートである。以下の説明では、収納領域R2を例として説明するが、収納領域R1、R3およびR4についても同様である。
【0034】
まず、判定部71は、撮像部62から画像を取得する(S01)。次に、判定部71は、取得した画像に吹出口H2の画像が含まれているか判定する(S02)。取得した画像に吹出口H2の画像が含まれていない場合(S02でNO)、判定部71は、上記画像に吹出口H2よりも上方の奥壁10a1の画像が含まれているか判定する(S03)。上記画像に吹出口H2よりも上方の奥壁10a1の画像が含まれていない場合(S03でNO)、判定部71は、上記画像に奥壁10aの画像が含まれているか判定する(S04)。上記画像に奥壁10aの画像が含まれていない場合(S04でNO)、判定部71は、吹出口H2からの冷気の経路が塞がれていると判定(×判定)する(S05A)。
【0035】
一方、上記画像に吹出口H2の画像が含まれている場合(S02でYES)、または、上記画像に吹出口H2よりも上方の奥壁10a1の画像が含まれている場合(S03でYES)、判定部71は、吹出口H2からの冷気の経路が確保されていると判定(○判定)する(S05B)。また、上記画像に奥壁10aの画像が含まれている場合(S04でYES)、判定部71は、吹出口H2からの冷気の経路に抵抗があると判定(△判定)する(S05C)。
【0036】
ステップS02~S04における、吹出口H2、奥壁10a1または奥壁10aの画像が含まれているか否かの判定については、例えば判定部71が吹出口H2、奥壁10a1または奥壁10aを画像認識により認識できるか否かを基準にしてもよい。また、上記判定については、例えば吹出口H2、奥壁10a1または奥壁10aの画像を画像認識により認識した上で、当該画像が所定のサイズ以上含まれているかによって判定してもよい。ここで、所定のサイズは、例えば吹出口H2、奥壁10a1または奥壁10aの全体を撮像した場合における画像のサイズの所定の割合(例えば30%、50%、または70%)としてよい。この場合、ステップS02~S04のそれぞれにおいて、上記所定の割合が異なっていてもよい。
【0037】
以上の処理を各収納領域R1~R4に適用し(S06)、各吹出口H1~H4からの冷気の経路について判定した後、各判定に基づいて、冷気の経路の確保について問題の有無を総合的に判定する(S07)。判定部71は、例えば以下の通り総合判定を行う。
【0038】
判定部71は、収納領域R1~R4のいずれも×判定とならなかった場合には、問題なしと判定する。また、判定部71は、収納領域R1~R4のうち、いずれか1つは×判定であっても、他のいずれか1つ以上が○判定であった場合には、問題なしと判定する。一方、判定部71は、収納領域R1~R4のうち、2つ以上が×判定である、または、いずれか1つは×判定で他が△判定であった場合には、問題ありと判定する(S08)。
【0039】
総合判定で判定部71が問題ありと判定した場合(S08でYES)、報知部72はそのことをユーザに報知する(S09)。このとき、報知部72は、収納領域R1~R4のうち、×判定であるものを併せて報知する。なお、上述した総合判定の方法は一例であり、判定部71は別の方法で総合判定を行ってもよい。例えば判定部71は、収納領域R1~R4のうち、1つでも×判定であった場合には、即座に問題ありと判定してもよい。
【0040】
なお、上述したとおり、撮像部61~64はそれぞれ、吹出口H1~H4の高さ以上の高さに設けられる。このため、ステップS02およびS03において、吹出口を俯瞰して確認することができ、収納物Bの高さによる影響を低減できる。すなわち、吹出口H1~H4からの冷気の流通経路が収納領域R1~R4の上部に確保できているにもかかわらず、撮像部61~64の近くに配置した収納物Bによって吹出口H1~H4および上方の奥壁10a1が撮影できないために判定部71が△判定または×判定を出してしまうという事象の発生を抑制できる。
【0041】
以上のとおり、冷蔵庫1によれば、撮像部61~64が撮像した画像に基づいて、収納領域R1~R4のそれぞれにおいて吹出口H1~H4からの冷気の流通が塞がれているか否か判定し、塞がれている場合にはユーザに報知することができる。
【0042】
また、撮像部61~64は、吹出口H1~H4の観測の他、冷蔵庫1に収納されている収納物Bの管理に用いることもできる。例えば、冷蔵庫1に収納されている収納物Bを撮像した画像をユーザの携帯端末等に送信することにより、ユーザが外出先で収納物Bを確認することができる。したがって、冷蔵庫1によれば、撮像部61~64を複数の用途に用いることで、簡便な構成でユーザに庫内の冷気循環経路の確保を促すことができる。
【0043】
なお、本開示の一態様に係る冷蔵庫は、載置棚を1つのみ備えていてもよく、4以上備えていてもよい。この場合、収納領域の数は、載置棚の数に応じて変化する。本開示の一態様に係る冷蔵庫は、収納領域の数に等しい数の撮像部を備えていることが好ましい。
【0044】
〔実施形態2〕
以下、本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。また、簡単のため、本実施形態に係る冷蔵庫についても、冷蔵庫1と称する。
【0045】
図8の(a)~(c)はそれぞれ、撮像部62が撮像した画像に吹出口H2の画像が含まれない状態の例を示す平面図である。図8の(a)に示す例では、吹出口H2のすぐ近傍に収納物Bが配されている。この場合には、吹出口H2は塞がれているといえる。図8の(b)に示す例では、吹出口H2から若干離れた位置に、吹出口H2を囲むように収納物Bが配されている。この場合には、収納物Bの高さにもよるが、吹出口H2は塞がれているとは言えない。図8の(c)に示す例では、吹出口H2と撮像部62との中間地点付近およびその両側に収納物Bが配されている。この場合には、吹出口H2と収納物Bとの間に十分な空間が存在するため、吹出口H2は塞がれていない。しかしながら、実施形態1の冷蔵庫1の収納領域R2においては、奥壁10a1を撮像できない程度に収納物Bの高さが高い場合には、撮像部62が撮像した画像から図8の(a)~(c)の状態を判定することは困難である。
【0046】
図9は、冷蔵庫1において撮像部62が撮像した画像の一例を示す図である。図10は、冷蔵庫1において撮像部62に入射する光の一部を示す図である。図9および図10に示すように、冷蔵庫1は、収納領域R2の上面に設けられ、撮像部62に対して吹出口H2から上方を映すミラー11aを備える。このため、冷蔵庫1によれば、図9および図10に示すように、撮像部62が撮像した画像に吹出口H2を直接撮像した画像が含まれない場合であっても、判定部71は、ミラー11aに映る吹出口H2の画像によって、吹出口H2が塞がれているか否かを判定できる。同様に、冷蔵庫1は、載置棚12および13のそれぞれの下面にもミラーを備えていてよい。
【0047】
図11は、本実施形態に係る冷蔵庫1における処理を示すフローチャートである。
【0048】
まず、判定部71は撮像部62から画像を取得する(S1)。次に、判定部71は、取得した画像のうち、奥壁10aの領域に、吹出口H2の画像が所定のサイズ以上含まれているか判定する(S2)。奥壁10aの領域に吹出口H2の画像が所定のサイズ以上含まれていない場合(S2でNO)、判定部71は、上記画像のうち、ミラー11aの領域に、吹出口H2の画像が所定のサイズ以上含まれているか判定する(S3)。ミラー11aの領域に、吹出口H2の画像が所定のサイズ以上含まれていない場合(S3でNO)、判定部71は、吹出口H2が塞がれていると判定する(S4)。
【0049】
一方、奥壁の領域に吹出口H2の画像が所定のサイズ以上含まれている場合(S2でYES)、または、ミラー11aの領域に吹出口H2の画像が所定のサイズ以上含まれている場合(S3でYES)、判定部71は、吹出口H2が塞がれていないと判定して処理を終了する。
【0050】
判定部71は、上記の例と同様にして、撮像部61、63および64のそれぞれが撮像した画像に基づいて、吹出口H1、H3およびH4のそれぞれが塞がれているか否かについて判定することができる。その後、実施形態1と同様に総合判定を行う。
【0051】
なお、本実施形態に係る冷蔵庫1においても、実施形態1に係る冷蔵庫1と同様、収納領域R1~R4のそれぞれについて○、△および×のいずれかの判定を行った後、総合判定を行ってもよい。また、逆に、実施形態1に係る冷蔵庫1において、本実施形態に係る冷蔵庫1と同様、収納領域R1~R4のいずれかにおいて対応する吹出口H1~H4からの冷気の流れが塞がれていると判定した時点でユーザに報知するようにしてもよい。
【0052】
また、冷蔵庫1における撮像部61~64の位置は一定であるため、撮像部61~64が撮像する画像における、奥壁10aに対応する領域、および、ミラー11aに対応する領域も略一定である。このため、これらの領域については予め特定されて、記憶部80に記憶されていてよい。また、撮像部61~64が撮像する画像の、奥壁10aに対応する領域、および、ミラー11aに対応する領域のそれぞれにおける、吹出口H2の画像については画像認識により特定されればよい。
【0053】
以上のとおり、本実施形態に係る冷蔵庫1は、載置棚11の下面にミラー11aを備えるため、実施形態1に係る冷蔵庫1と比較して、吹出口H1~H4をさらに観測しやすい。
【0054】
なお、図8の(c)に示したような状態では、収納物Bの間に隙間が存在する。このため、撮像した画像に吹出口H1~H4の画像が映っていない場合であっても、奥壁10aの画像が映っていることが考えられる。撮像した画像に奥壁10aの画像が映っている場合には、奥壁10aからその奥壁10aを撮像した撮像部61~64のいずれかの間には冷気を流通する経路が形成されている。そして、図1および図2に示したように、撮像部61~64の前方領域が上下方向に貫通した吹き抜け領域となっていれば、奥壁10aから撮像部61~64のいずれかへ上記経路を経由して流通した冷気は、上記吹き抜け領域を経由して冷蔵室10の下端部に設けた戻り口まで流通することができる。このため、判定部71は、実施形態1に係る冷蔵庫と同様に、取得した画像に奥壁10aが含まれているか否かに基づいて、吹出口H1~H4が塞がれているか否かを判定するステップをさらに実行してもよい。
【0055】
具体的には、判定部71は、撮像した画像における奥壁10aの画像の面積が所定値以上であれば、吹出口H1~H4が塞がれていないと判定する。一方、判定部71は、撮像した画像における奥壁10aの画像の面積が所定値以上でなければ、吹出口H1~H4が塞がれていると判定する。この判定は、例えば上述したステップS3とS4との間に行われてよい。
【0056】
また、判定部71は、実施形態1における処理に加えてステップS3の処理を実行してもよい。具体的には、例えば判定部71は、図7におけるステップS02、S03、またはS04の少なくとも1つに、ステップS3相当の処理の実行結果を加味してもよい。ミラー11aを介して取得した画像は、実施形態1で取得した画像よりも更に高い位置から俯瞰した画像に相当するため、収納物Bの高さによる影響を更に低減できる。
【0057】
また、ミラー11aを介して取得した画像によれば、吹出口H2または奥壁10aから収納物Bまでの距離が判別しやすくなる。このため、判定部71は、取得した画像に基づいて当該距離を測定し、所定の距離以下であれば実施形態1における△判定または×判定とする処理を行ってもよい。この場合、判定部71は、吹出口H2と当該吹出口H2の前方に載置する収納物Bとの距離が所定の距離以下であると判定した場合に冷気の流通経路が十分に確保されていないと判定する。
【0058】
なお、所定の距離は、吹出口から吹き出される冷気量、流速、並びに収納領域のサイズおよび形状に応じて、収納領域毎に予め設定されている。一例としては、吹出口から2cm未満に収納物があれば×判定、2cm以上かつ4cm未満に収納物があれば△判定、などとしてもよい。また、所定の距離は、ユーザが設定および変更可能としてもよい。また、このような、距離に基づく判定は、後述する他の実施形態においても行われてよい。
【0059】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0060】
図12は、本実施形態に係る冷蔵庫2の要部の構成を示すブロック図である。冷蔵庫2は、実際には冷蔵庫1と同様の構成を有している。しかし、説明の便宜上、図12に示すブロック図では、撮像部61~64のうち、撮像部62のみを撮像部として示すとともに、撮像部61を、撮像部62の上側にある撮像部であることを明示するために「上側撮像部61」として示している。上側撮像部61は、扉20の内側の、撮像部62より上側に設けられ、扉20から冷蔵室10内を撮像する。より詳細には、上側撮像部61は、収納領域R2(注目収納領域)より上段の収納領域R1(上段収納領域)から収納領域R2を撮像可能である。また、冷蔵庫2においては、判定部71は、撮像部62が撮像した画像、および上側撮像部61が撮像した画像に基づいて、収納領域R2の吹出口H2が塞がれているか否かを判定する。
【0061】
図13は、冷蔵庫2において撮像部62および上側撮像部61が撮像した画像を形成する光の、一部の光路を示す図である。図13に示すように、上側撮像部61は、撮像部62よりも上側に設けられ、収納領域R1(上段収納領域)から収納領域R2を撮像可能である。このため、撮像部62により撮像される画像に含まれる吹出口H2の画像が小さいが、実際には収納物Bによって吹出口H2が塞がれていない場合に、上側撮像部61が撮像した画像によって、吹出口H2が塞がれていないと判定部71が判定できる。このように、撮像部62および上側撮像部61により収納領域R2を撮像することで、吹出口H2からの冷気の経路の状態を、より観測しやすくなる。
【0062】
図14は、冷蔵庫2における処理を示すフローチャートである。
【0063】
まず、判定部71は、撮像部62および上側撮像部61から画像を取得する(S11)。次に、判定部71は、撮像部62から取得した画像において、奥壁10aの領域に吹出口H2の画像が所定のサイズ以上含まれているか否かを判定する(S12)。撮像部62から取得した画像に吹出口H2の画像が所定のサイズ以上含まれていない場合(S12でNO)、判定部71は、上側撮像部61から取得した画像において、吹出口H2と当該吹出口H2の前方に載置されている収納物Bとの距離が所定の距離以上離れているか否かを判定する(S13)。上記距離の判定方法としては、例えば、(i)上側撮像部61から取得した画像に吹出口H2の画像が所定のサイズ以上含まれているかを判定する、または(ii)取得した画像から吹出口H2および収納物Bを認識して距離を測定する、などの方法を用いることができる。吹出口H2と収納物Bとの距離が所定の距離以上離れていない場合(S13でNO)、判定部71は吹出口H2が塞がれていると判定する(S14)。
【0064】
一方、撮像部62から取得した画像に吹出口H2の画像が所定のサイズ以上含まれている場合(S12でYES)、または、上側撮像部61から取得した画像から吹出口H2と収納物Bとの距離が所定の距離以上離れていると判定した場合(S13でYES)、判定部71は、吹出口H2が塞がれていないと判定し、処理を終了する。なお、所定のサイズおよび距離については、実施形態1および実施形態2で説明したとおりである。
【0065】
判定部71は、図14に示した処理と同様にして、吹出口H3およびH4についても、塞がれているか否かの判定を行うことができる。吹出口H3について判定を行う場合には、判定部71は、撮像部63および撮像部62が撮像した画像に基づいて上記の判定を行う。また、吹出口H4について判定を行う場合には、判定部71は、撮像部64および撮像部63が撮像した画像に基づいて上記の判定を行う。その後、判定部71は実施形態1と同様に総合判定を行う。
【0066】
ただし、吹出口H1については、撮像部61~64のいずれも上側撮像部として利用することができない。このため、判定部71は、吹出口H1については、例えば実施形態1と同様に、撮像部61が撮像した画像のみに基づいて塞がれているか否かを判定すればよい。
【0067】
以上のとおり、冷蔵庫2においては、撮像部61~64が撮像した画像のうち、複数の画像に基づいて、吹出口H1~H4が塞がれているか否かを判定し、塞がれている場合にユーザに警報を発することができる。したがって、冷蔵庫2においては、判定部71が高い精度で吹出口H1~H4が塞がれているか否かを判定することで、より的確にユーザに対して庫内の冷気循環経路の確保を促すことができる。
【0068】
なお、冷蔵庫2における処理を、上述した実施形態1または2の冷蔵庫1に適用してもよい。例えば、判定部71は、冷蔵庫1における上述したステップS04またはS3の後に、ステップS13の判定を行ってもよい。
【0069】
〔実施形態4〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。
【0070】
図15は、本実施形態に係る冷蔵庫3の要部の構成を示すブロック図である。冷蔵庫3は、冷蔵庫1と同様に撮像部61~64を備える。しかし、説明の便宜上、図15に示すブロック図では、撮像部61~64のうち、撮像部62のみを撮像部として示すとともに、撮像部63を、撮像部62の下側にある撮像部であることを明示するために「下側撮像部63」として示している。下側撮像部63は、扉20の内側の、撮像部62より下側に設けられ、扉20から冷蔵室10内を撮像する。より詳細には、下側撮像部63は、収納領域R2(注目収納領域)より下段の収納領域R3(下段収納領域)から載置棚12を介して収納領域R2を撮像可能である。また、冷蔵庫3においては、判定部71は、撮像部62が撮像した画像、および下側撮像部63が撮像した画像に基づいて、収納領域R2の吹出口H2が塞がれているか否かを判定する。
【0071】
図16は、冷蔵庫3における撮像部62および下側撮像部63に入射する光の一部を示す図である。他の実施形態と同様、撮像部62には、図16に示すように、吹出口H2からの光を含む、収納領域R2からの光が入射する。一方、下側撮像部63には、図16に示すように、載置棚12の下面からの光を含む、収納領域R3からの光が入射する。
【0072】
図17の(a)は、冷蔵庫3において撮像部62が撮像する画像の例を示す図である。図17の(b)は、冷蔵庫3において下側撮像部63が撮像する画像の例を示す図である。図16、および図17の(a)、(b)に示すように、冷蔵庫3においては、収納領域R2の下端を規定する載置棚12の、吹出口H2近傍に、載置棚12を透過した収納領域R2からの光の一部を下側撮像部63側に向ける光学特性を有する光学領域12aが設けられている。このため、下側撮像部63は、図17の(b)に示すように、光学領域12a上に載置されている収納物Bを撮像することができる。光学領域12aは載置棚12の奥壁10a側の端縁まで設けられているため、吹出口H2に最も近接する収納物Bの位置を下側撮像部63が撮像することができる。ただし、冷蔵庫3において、載置棚12には、必ずしも光学領域12aが設けられていなくてもよい。
【0073】
本実施形態では、判定部71は、撮像部62が撮像した画像の他、下側撮像部63が撮像した画像に基づいて、吹出口H2が塞がれているか否か判定する。下側撮像部63が撮像した画像に基づいて判定する場合、具体的には、判定部71は、下側撮像部63が撮像した画像のうち、光学領域12aに対応する領域における収納物Bの画像の位置に基づいて、吹出口H2が塞がれているか否か判定する。より具体的には、判定部71は、光学領域12aに対応する領域における収納物Bの画像が、吹出口H2を備えた奥壁10aから所定の距離(例えば2cm)以上離れていない場合に、吹出口H2が塞がれていると判定する。
【0074】
図18は、光学領域12aの構造の例を示す断面図である。光学領域12aは、例えば図18に示すように、断面の下側に鋸歯形状を有していてもよい。具体的には、光学領域12aの下面は、垂直な面と、手前側が奥側よりも低くなるように傾斜した面とが交互に繰り返される構造を有していてよい。この場合、光学領域12a上に載置された収納物Bから下方へ向かう光の一部が光学領域12aで屈折され、下側撮像部63側へ向けられる。
【0075】
また、光学領域12aは、例えば光を散乱させるように加工された面であってもよい。この場合、加工された面は、例えば乳白色の外観を有するように加工されていてよい。また、光学領域12aには、載置棚12を透過する光を観測しやすいように、反射防止処理が施されていてもよい。下側撮像部63も他の撮像部と同様に吹出口H3の高さ以上の高さに設けられるため、高さ方向における載置棚12と下側撮像部63との間隔が小さくなり、載置棚12の下面から下側撮像部63に向けて出射される光の出射角が大きく(載置棚12の下面と平行に近く)なる。出射角が臨界角以上では載置棚12の下面で全反射してしまうため、載置棚12を透過する光が下側撮像部63には届かなくなり、すなわち、載置棚12に載置した収納領域R2の収納物を下側撮像部63で撮像できなくなる。そこで、本実施形態では、載置棚12に光学領域12aを設けることで、載置棚12を透過する光が下側撮像部63に届くようにしている。
【0076】
また、上述のように、載置棚12の周囲には不透明の縁部11b(図4の(b)参照)が設けられている。奥壁10a側の縁部11bは吹出口H2の前にある。判定部71は、縁部11bを認識して、当該縁部11bから光学領域12a上の収納物Bまでの距離を算出してもよい。
【0077】
図19は、冷蔵庫3における処理を示すフローチャートである。
【0078】
まず、判定部71は、撮像部62および下側撮像部63から画像を取得する(S21)。次に、判定部71は、撮像部62から取得した画像において、奥壁10aの領域に吹出口H2の画像が所定のサイズ以上含まれているか否かを判定する(S22)。撮像部62から取得した画像に吹出口H2の画像が所定のサイズ以上含まれていない場合(S22でNO)、判定部71は、下側撮像部63から取得した画像において、吹出口H2と当該吹出口H2の前方に載置する収納物との距離が所定の距離以上離れているか否かを判定する(S23)。下側撮像部63から取得した画像において吹出口H2と収納物との距離が所定の距離以上離れていない場合(S23でNO)、判定部71は、吹出口H2が塞がれていると判定する(S24)。
【0079】
一方、撮像部62から取得した画像に吹出口H2の画像が所定のサイズ以上含まれている場合(S22でYES)、または、下側撮像部63から取得した画像から吹出口H2と収納物との距離が所定の距離以上離れていると判定した場合(S23でYES)、判定部71は、吹出口H2が塞がれていないと判定し、処理を終了する。所定のサイズおよび距離については、実施形態1および実施形態2で説明したとおりである。
【0080】
判定部71は、図19に示した処理と同様にして、吹出口H1およびH3についても、冷気の流通経路が塞がれているか否かの判定を行うことができる。吹出口H1について判定を行う場合には、判定部71は、撮像部61および撮像部62(下側撮像部)が撮像した画像に基づいて上記の判定を行う。また、吹出口H3について判定を行う場合には、判定部71は、撮像部63および撮像部64が撮像した画像に基づいて上記の判定を行う。
【0081】
ただし、吹出口H4については、撮像部61~64のいずれも下側撮像部として利用することができない。このため、判定部71は、吹出口H4については、例えば実施形態1と同様に、撮像部61が撮像した画像のみに基づいて塞がれているか否かを判定すればよい。
【0082】
なお、冷蔵庫3における処理を、上述した冷蔵庫1または2に適用してもよい。例えば、判定部71は、冷蔵庫1における上述したステップS04またはS3、あるいは冷蔵庫2におけるステップS13の後に、ステップS23の判定を行ってもよい。
【0083】
〔実施形態5〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。
【0084】
本実施形態に係る冷蔵庫は、構成としては上記の冷蔵庫3と概ね同一である。したがって、以下の説明では、本実施形態に係る冷蔵庫についても冷蔵庫3と称する。
【0085】
図20の(a)は、本実施形態に係る冷蔵庫3において、撮像部62が撮像する画像の例を示す図である。図20の(b)は、本実施形態に係る冷蔵庫3において、下側撮像部63が撮像する画像の例を示す図である。本実施形態に係る冷蔵庫3は、実施形態3に係る冷蔵庫3の構成に加えて、光照射部15を備える。光照射部15は、図20の(a)に示すように、収納領域R2に対して上方からに光を照射するように配される。このため、図20の(b)に示すように、下側撮像部63は、収納領域S2の下端を規定する載置棚12に、光照射部15からの光によって映る収納物Bの影BSを撮像する。本実施形態では、判定部71は、下側撮像部63が撮像した画像における、影BSの画像の面積を用いて判定を行う。
【0086】
図21は、本実施形態の冷蔵庫3における処理を示すフローチャートである。
【0087】
まず、判定部71は、撮像部62および下側撮像部63から画像を取得する(S31)。次に、判定部71は、撮像部62から取得した画像において、奥壁10aの領域に吹出口H2の画像が所定のサイズ以上含まれているか否かを判定する(S32)。撮像部62から取得した画像に吹出口H2の画像が所定のサイズ以上含まれていない場合(S32でNO)、判定部71は、下側撮像部63から取得した画像において、吹出口H2近傍の載置棚12の領域に、収納物Bの影BSの画像が所定のサイズ以上含まれているか否かを判定する(S33)。下側撮像部63から取得した画像に収納物Bの影の画像が所定のサイズ以上含まれている場合(S33でYES)、判定部71は、吹出口H2が塞がれていると判定する(S34)。
【0088】
一方、撮像部62から取得した画像に吹出口H2の画像が所定のサイズ以上含まれていない場合(S32でYES)、または、下側撮像部63から取得した画像に収納物Bの影の画像が所定のサイズ以上含まれていない場合(S33でNO)、判定部71は、吹出口H2が塞がれていないと判定し、処理を終了する。
【0089】
なお、本実施形態において、判定部71は、下側撮像部63から取得した画像において、収納物Bの影BSの画像だけでなく、収納物Bの画像も含めた画像が所定のサイズ以上含まれているか否かを判定してもよい。また、判定部71は、収納物Bの画像のみを用いて、所定のサイズ以上含まれているか否かを判定してもよい。
【0090】
また、本実施形態において、判定部71は、下側撮像部63から取得した画像において、収納物Bの影BSの画像から、吹出口H2と当該吹出口H2の前方に載置する収納物Bとの距離が所定の距離以上離れているか否かを判定してもよい。この場合は、光照射部15からの光、および収納物Bの高さによって収納物Bの影BSの位置が変わるため、吹出口H2が塞がれていると判定する距離の基準について、実施形態4とは異なる判定基準とすることが好ましい。
【0091】
なお、本開示の一態様に係る冷蔵庫においては、実施形態3または4と、実施形態2とを組み合わせてもよい。すなわち、判定部71は、例えば吹出口H1については、撮像部61および撮像部62から取得した画像に基づいて、塞がれているか否か判定してよい。また、判定部71は、吹出口H2については、撮像部62、撮像部61および撮像部63から取得した画像に基づいて、塞がれているか否か判定してよい。また、判定部71は、吹出口H3については、撮像部63、撮像部62および撮像部64から取得した画像に基づいて、塞がれているか否か判定してよい。また、判定部71は、吹出口H4については、撮像部64および撮像部63から取得した画像に基づいて、塞がれているか否か判定してよい。
【0092】
すなわち、本開示の一態様に係る冷蔵庫において、判定部71は、撮像部62、および、撮像部61または撮像部63が撮像した画像に基づいて、吹出口H2が塞がれているか否かを判定してもよい。また、判定部71は、撮像部62および撮像部63が撮像した画像に基づいて、吹出口H3(下段吹出口)が塞がれているか否かを判定してもよい。さらに、判定部71は、撮像部62および撮像部61が撮像した画像に基づいて、吹出口H1(上段吹出口)が塞がれているか否かを判定してもよい。これにより、判定部71は、複数の吹出口について、それぞれ複数の方向から撮像した画像に基づいて、塞がれているか否かを判定することができる。
【0093】
なお、本実施形態に係る冷蔵庫3における処理を、上述した冷蔵庫1~3に適用してもよい。例えば、判定部71は、冷蔵庫1における上述したステップS04またはS3、冷蔵庫2におけるステップS13、あるいは実施形態4に係る冷蔵庫3におけるステップS23の後に、ステップS33の判定を行ってもよい。
【0094】
〔ソフトウェアによる実現例〕
冷蔵庫1~3の制御ブロック(特に判定部71および報知部72)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0095】
後者の場合、冷蔵庫1~3は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば少なくとも1つのプロセッサ(制御装置)を備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な少なくとも1つの記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0096】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る冷蔵庫は、収納物を収納する収納領域を有する貯蔵室と、前記貯蔵室を開閉する扉と、前記収納領域の奥壁に設けられ、前記収納領域内に冷気を吹き出す吹出口と、前記扉の内側の、前記吹出口の高さ以上の高さに設けられ、前記扉から前記収納領域内を撮像する撮像部と、前記撮像部が撮像した画像に基づいて、前記収納領域内に収納された収納物の配置状態を判別する判定部と、を備える。
【0097】
上記の構成によれば、扉の内側に設けられて冷蔵室を撮像する撮像部が、吹出口の高さ以上の高さに設けられている。判定部は、撮像部が撮像した画像に基づいて、収納領域に収納された収納物の配置状態を判別する。また、撮像部は、冷蔵庫の収納物の管理にも利用可能である。したがって、簡便な構成で使用者に庫内の冷気循環経路の確保を促すことが可能な冷蔵庫を実現できる。
【0098】
本発明の態様2に係る冷蔵庫は、上記態様1において、前記吹出口は前記判定部が識別可能な形状であることが好ましい。
【0099】
上記の構成によれば、判定部は、撮像部が撮像した画像において吹出口を識別できる。
【0100】
本発明の態様3に係る冷蔵庫は、上記態様1または2において、前記奥壁には前記判定部が識別可能となるように所定の模様が設けられていることが好ましい。
【0101】
上記の構成によれば、判定部は、撮像部が撮像した画像において奥壁を識別できる。
【0102】
本発明の態様4に係る冷蔵庫は、上記態様1から3のいずれかにおいて、前記収納領域の上面に設けられ、前記撮像部に対して前記吹出口から上方を映すミラーをさらに備えていることが好ましい。
【0103】
上記の構成によれば、ミラーにより、吹出口からの冷気の経路の状態を、より観測しやすくなる。
【0104】
本発明の態様5に係る冷蔵庫は、上記態様1から4のいずれかにおいて、前記扉の内側の前記撮像部より下側に設けられ、前記扉から前記貯蔵室内を撮像する下側撮像部をさらに備え、前記貯蔵室は、収納物を載置し、かつ透光性を有する複数の載置棚によって複数の収納領域に区分されており、前記撮像部は、前記収納領域のうちの、前記吹出口を含む収納領域である注目収納領域を撮像し、前記下側撮像部は、前記収納領域のうち、前記注目収納領域より下段の下段収納領域から前記載置棚を介して前記注目収納領域を撮像可能であることが好ましい。
【0105】
上記の構成によれば、冷蔵庫は、撮像部と、撮像部より下側に設けられる下側撮像部を備え、複数の方向から吹出口を含む注目収納領域を撮像する。複数の方向から撮像することで、吹出口からの冷気の経路の状態を、より観測しやすくなる。
【0106】
本発明の態様6に係る冷蔵庫は、上記態様5において、前記注目収納領域の下端を規定する前記載置棚の、前記吹出口の近傍に、当該載置棚を透過した前記注目収納領域からの光の一部を前記下側撮像部側に向ける光学特性を有する光学領域が設けられていてもよい。
【0107】
上記の構成によれば、吹出口近傍からの光が下側撮像部に向かいやすくなる。したがって、下側撮像部により吹出口近傍の状態を、より観測しやすくなる。
【0108】
本発明の態様7に係る冷蔵庫は、上記態様5において、前記注目収納領域に対して上方から光を照射する光照射部をさらに備え、前記下側撮像部は、前記注目収納領域の下端を規定する前記載置棚に、前記光によって映る影を撮像してもよい。
【0109】
上記の構成によれば、光照射部が照射する光によって、載置棚に影が映る。当該影を下側撮像部により撮像することで、吹出口近傍の状態を、より観測しやすくなる。
【0110】
本発明の態様8に係る冷蔵庫は、上記態様1から7のいずれかにおいて、前記判定部は、前記吹出口および前記奥壁の所定の領域の少なくとも一方が撮影されているか否かを判定し、前記吹出口および前記奥壁の所定の領域が撮影されていないと前記判定部が判定した場合に使用者に報知する報知部と、をさらに備えてもよい。
【0111】
上記の構成によれば、判定部は、吹出口および奥壁の所定の領域の少なくとも一方が撮像部により撮影されているか判定する。さらに、吹出口および奥壁の所定の領域のいずれも撮像されていない場合には、報知部が使用者に報知する。したがって、吹出口からの冷気の流通経路が塞がれている場合に使用者に対して注意を促すことができる。
【0112】
本発明の態様9に係る冷蔵庫は、上記態様5から7のいずれかにおいて、前記判定部は、前記撮像部、および前記下側撮像部の少なくとも1つが撮像した画像に基づいて、前記吹出口と当該吹出口の前方に載置する収納物との距離を判定し、前記吹出口と当該吹出口の前方に載置する収納物との距離が所定の距離以下であると前記判定部が判定した場合に使用者に報知する報知部と、をさらに備えてもよい。
【0113】
上記の構成によれば、判定部は、複数の方向から撮像した画像に基づいて、吹出口と収納物との距離を判定する。さらに、当該距離が所定の距離以下であると判定部が判定した場合には、そのことを報知部が使用者に報知する。したがって、吹出口からの冷気の流通経路が塞がれている場合に使用者に対して注意を促すことができる。
【0114】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0115】
1、2、3 冷蔵庫
10 冷蔵室
10a 奥壁
11~13 載置棚
11a ミラー
12a 光学領域
15 光照射部
20 扉
61 撮像部、上側撮像部
62 撮像部
63 撮像部、下側撮像部
64 撮像部
71 判定部
72 報知部
B 収納物
BS 影
H1~H4 吹出口
R1 収納領域、上段収納領域
R2 収納領域、注目収納領域
R3 収納領域、下段収納領域
R4 収納領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21