(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】眼科手術用の灌注スリーブ
(51)【国際特許分類】
A61F 9/007 20060101AFI20241127BHJP
【FI】
A61F9/007 130G
(21)【出願番号】P 2022522722
(86)(22)【出願日】2020-10-29
(86)【国際出願番号】 IB2020060170
(87)【国際公開番号】W WO2021090126
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2023-10-19
(32)【優先日】2019-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ ワイ.チョン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア キム
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-523956(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0100653(US,A1)
【文献】特表2014-505514(JP,A)
【文献】米国特許第05094876(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科用器具のための灌注スリーブであって、
前記眼科用器具のハウジングに結合されるように適合された近位ハブと、
前記眼科用器具の作業チップの周りにフィットするように適合された遠位チューブであって、前記遠位チューブは、長手方向軸、遠位端、及びそれを通って突出する前記作業チップの遠位端の周りにフィットするように適合された
前記遠位チューブの前記遠位端にある端部開口部、及び灌注液がそこを通って流れるように適合された前記端部開口部に近接する
前記遠位チューブの前記遠位端の側面開口部を有する、
前記遠位チューブと、
を含み、
前記側面開口部は細長い形状を有し、前記細長い形状は、前記灌注スリーブの前記遠位チューブの円周の周りの方向よりも、前記灌注スリーブの前記遠位チューブの前記長手方向軸に平行な方向において長
く、
前記側面開口部は、ティアドロップとして形作られており、前記ティアドロップの前縁遠位端における点と、前記前縁遠位端から前記ティアドロップの最大幅の領域まで延在するほぼ真っ直ぐな2つの側面と、前記前縁遠位端の反対側に配置された湾曲した後縁とを含む、
灌注スリーブ。
【請求項2】
前記ティアドロップが、前記灌注スリーブの前記遠位チューブの前記長手方向軸に平行な前記方向の長さ、及び前記灌注スリーブの前記遠位チューブの前記円周の周りの前記方向の幅を有し、前記ティアドロップの前記長さは前記ティアドロップの前記幅よりも長い、
請求項1に記載の灌注スリーブ。
【請求項3】
前記灌注スリーブがエラストマー材料からなる、請求項1に記載の灌注スリーブ。
【請求項4】
前記灌注スリーブがシリコーンゴムからなる、
請求項3に記載の灌注スリーブ。
【請求項5】
眼科用器具のための灌注スリーブであって、
前記眼科用器具のハウジングに結合されるように適合された近位ハブと、
前記眼科用器具の作業チップの周りにフィットするように適合された遠位チューブであって、前記遠位チューブは、長手方向軸、遠位端、及びそれを通って突出する前記作業チップの遠位端の周りにフィットするように適合された
前記遠位チューブの前記遠位端にある端部開口部、及び前記端部開口部に近接する
前記遠位チューブの前記遠位端の側面開口部を有する、
前記遠位チューブと、
を含み、
前記灌注スリーブは、前記灌注スリーブの前記遠位チューブの前記遠位端の内面上に少なくとも1つのリブをさらに含
み、前記少なくとも1つのリブは、前記遠位チューブの長手方向長さに平行な長さを有し、
前記少なくとも1つのリブの該長さは、前記遠位チューブの前記側面開口部の寸法に対応する、
灌注スリーブ。
【請求項6】
前記少なくとも1つのリブが、前記側面開口部に隣接して、前記灌注スリーブの
前記長手方向長さに沿った前記側面開口部と同じ位置に配置される、
請求項5に記載の灌注スリーブ。
【請求項7】
前記少なくとも1つのリブが、前記灌注スリーブの前記遠位チューブの前記長手方向軸に平行な方向に伸長されている、
請求項5に記載の灌注スリーブ。
【請求項8】
前記灌注スリーブが、前記灌注スリーブの前記遠位チューブの前記遠位端の前記内面の周りに円周方向に分布された複数のリブを含む、
請求項5に記載の灌注スリーブ。
【請求項9】
前記少なくとも1つのリブを含む前記灌注スリーブが、エラストマー材料からなる、
請求項5に記載の灌注スリーブ。
【請求項10】
眼科用器具のための灌注スリーブであって、
前記眼科用器具のハウジングに結合されるように適合された近位ハブと、
前記眼科用器具の作業チップの周りにフィットするように適合された遠位チューブであって、前記遠位チューブは、長手方向軸、遠位端、及びそれを通って突出する前記作業チップの遠位端の周りにフィットするように適合された
前記遠位チューブの前記遠位端にある端部開口部、及び前記端部開口部に近接する
前記遠位チューブの前記遠位端の側面開口部を有する、
前記遠位チューブと、
を含み、
前記灌注スリーブはエラストマー材料を含み、前記灌注スリーブは、前記灌注スリーブを補強するように適合された1つ又は複数の製造工程にかけられて
おり、
前記側面開口部は、ティアドロップとして形作られており、前記ティアドロップの前縁遠位端における点と、前記前縁遠位端から前記ティアドロップの最大幅の領域まで延在するほぼ真っ直ぐな2つの側面と、前記前縁遠位端の反対側に配置された湾曲した後縁とを含む、又は、
前記灌注スリーブは、前記灌注スリーブの前記遠位チューブの前記遠位端の内面上に少なくとも1つのリブをさらに含み、前記少なくとも1つのリブは、前記遠位チューブの長手方向長さに平行な長さを有し、前記少なくとも1つのリブの該長さは、前記遠位チューブの前記側面開口部の寸法に対応する、
灌注スリーブ。
【請求項11】
前記灌注スリーブを補強するように適合された前記1つ又は複数の製造工程には、前記灌注スリーブ
を補強コーティングでコーティング
することを含む、
請求項10に記載の灌注スリーブ。
【請求項12】
前記補強コーティングは、パリレンコーティング
である、
請求項11に記載の灌注スリーブ。
【請求項13】
前記灌注スリーブが、ガンマ線照射に曝されることによって処理されている、
請求項10に記載の灌注スリーブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、眼科手術で使用される灌注スリーブに関する。
【背景技術】
【0002】
手術の全部又は一部を実行するために、灌注スリーブを備えた器具が眼に挿入される、様々な異なる眼科手術が実行される。例えば、眼科水晶体超音波乳化吸引術は、白内障の水晶体の除去に一般的に使用される手術である。手術は通常、超音波ハンドピースの作業チップを眼に挿入することを含む。このようなハンドピースでは、超音波振動が作業チップを駆動し、医師が水晶体を分解又は乳化して取り外し及び交換するために、白内障の水晶体に対して操作することができる。
【0003】
一般的に使用されている眼科水晶体超音波乳化吸引術ハンドピースは、通常、超音波作業チップを駆動するだけでなく、眼への灌注液の供給を容易にし、液体及び断片化又は乳化した水晶体を眼から吸引しやすくするなどの追加機能を実行するように設計されている。灌注機能を容易にするために、そのような超音波ハンドピースは、灌注液を導くために作業チップの周りに灌注スリーブを含み得る。ハンドピースは、1つ又は複数の電気ケーブル及びフレキシブルチューブによって制御コンソールに接続できる。電気ケーブルは、作業チップの振動を駆動するための構成要素に電力を供給し、チューブは、眼に供給される灌注液及び眼から引き出される吸引液の導管として機能する。
【0004】
様々な超音波ハンドピース及び作業チップが提案され、使用されている。超音波ハンドピース及び作業チップのいくつかの例は、例えば、米国特許第3,589,363号明細書、同第4,223,676号明細書、同第4,246,902号明細書、同第4,493,694号明細書、同第4,515,583号明細書、同第4,589,415号明細書、同第4,609,368号明細書、同第4,869,715号明細書、同第4,922,902号明細書、同第5,178,605号明細書、同第6,602,193号明細書、同第7,572,242号明細書、同第7,651,490号明細書、及び同第8,814,894号明細書に記載され示されており、これらの米国特許の全内容は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0005】
超音波水晶体乳化吸引術に加えて、手術の全部又は一部を実行するために、灌注スリーブを備えた器具が眼に挿入される、他の眼科手術が実行され得る。灌注スリーブは、器具の作業チップの遠位端が灌注スリーブの端部の遠位開口部を通って延びるように、器具の作業チップの周りに配置することができる。灌注は、スリーブを通して灌注液を送達することによって発生し、灌注液は灌注スリーブの遠位端に近接する比較的大きな円形の側面開口部を通って出る。
【0006】
従来の灌注スリーブは、眼の切開を通してスリーブを眼に挿入するときに、ねじれ及び/又は座屈を経験することが状況によりあり得る。このねじれ及び/又は座屈は、器具を眼に挿入する際の困難、挿入部位での眼への潜在的な刺激又は損傷、灌注スリーブの位置ずれ、器具の機能への潜在的な干渉、及び/又は灌注流路への干渉又は遮断の可能性などの問題を引き起こす可能性があるため、不利である。
【0007】
眼科手術及び関連する使用方法のための改良された灌注スリーブが引き続き必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示は、眼科手術及び関連する方法のための灌注スリーブの改良された設計に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
いくつかの実施形態では、眼科用器具用の灌注スリーブは、眼科用器具のハウジングに結合されるように適合された近位ハブと、眼科用器具の作業チップの周りにフィットするように適合された遠位チューブとを含み、遠位チューブは、長手方向軸、遠位端、及びそれを通って突出する作業チップの遠位端の周りにフィットするように適合されたその遠位端にある端部開口部、及び灌注液がそこを通って流れるように適合された端部開口部に近接するその遠位端の側面開口部を有し、側面開口部は細長い形状を有し、細長い形状は、灌注スリーブの遠位チューブの円周の周りの方向よりも、灌注スリーブの遠位チューブの長手方向軸に平行な方向において長い。灌注スリーブは、シリコーンゴムなどのエラストマー材料で構成することができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、側面開口部は細長いスロットとして形作られている。細長いスロットは、灌注スリーブの遠位チューブの長手方向軸に平行な方向の長さ、及び灌注スリーブの遠位チューブの円周の周りの方向の幅を有することができ、細長いスロットの長さは細長いスロットの幅よりも長い。細長いスロットは、湾曲した前縁と、2つの比較的真っ直ぐな側面と、湾曲した後縁と、を含み得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、側面開口部はティアドロップとして形作られる。ティアドロップは、灌注スリーブの遠位チューブの長手方向軸に平行な方向の長さ、及び灌注スリーブの遠位チューブの円周の周りの方向の幅を有し得、ティアドロップの長さは、ティアドロップの幅よりも長い。ティアドロップは、その前縁の点と、前縁からティアドロップの最大幅の領域までの2つの比較的真っ直ぐな側面と、湾曲した後縁と、を含み得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、側面開口部は長円形として形作られている。長円形は、灌注スリーブの遠位チューブの長手方向軸に平行な方向の長さ、及び灌注スリーブの遠位チューブの円周の周りの方向の幅を有し得、長円形の長さは、長円形の幅よりも長い。
【0013】
いくつかの実施形態では、眼科用器具用の灌注スリーブは、眼科用器具のハウジングに結合されるように適合された近位ハブと、眼科用器具の作業チップの周りにフィットするように適合された遠位チューブとを含み、遠位チューブは、長手方向軸、遠位端、及びそれを通って突出する作業チップの遠位端の周りにフィットするように適合されたその遠位端にある端部開口部、及び灌注液がそこを通って流れるように適合された端部開口部に近接するその遠位端の側面開口部を有し、灌注スリーブは、灌注スリーブの遠位チューブの遠位端の内面上に少なくとも1つのリブをさらに含む。1つ又は複数のリブは、側面開口部に隣接して、灌注スリーブの長手方向の長さに沿って側面開口部と同じ位置に配置することができる。1つ又は複数のリブは、灌注スリーブの遠位チューブの長手方向軸に平行な方向に伸長され得る。複数のリブを、灌注スリーブの遠位チューブの遠位端の内面の周りに円周方向に分布させることができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、眼科用器具用の灌注スリーブは、眼科用器具のハウジングに結合されるように適合された近位ハブと、眼科用器具の作業チップの周りにフィットするように適合された遠位チューブとを含み、遠位チューブは、長手方向軸、遠位端、及びそれを通って突出する作業チップの遠位端の周りにフィットするように適合されたその遠位端にある端部開口部、及び灌注液がそこを通って流れるように適合された端部開口部に近接するその遠位端の側面開口部を有し、灌注スリーブはエラストマー材料を含み、灌注スリーブは、灌注スリーブを補強するように適合された1つ又は複数の製造工程にかけられている。いくつかの実施形態では、灌注スリーブは、パリレンコーティングなどの補強コーティングでコーティングされている。いくつかの実施形態では、灌注スリーブは、ガンマ線照射に曝されることによって処理されている。
【0015】
眼科用器具用の改良された灌注スリーブについて、灌注スリーブを眼に挿入する際に灌注スリーブがねじれる及び/又は座屈する可能性を防止又は低減するための実施形態が本明細書に開示されている。
【0016】
添付図面は、本明細書中に開示する装置及び方法の実装形態を示し、明細書と共に、本開示の原理を説明する目的を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、所定の位置に灌注スリーブを備えた眼科用器具の遠位端の断面の斜視図を示す。
【
図3】
図3は、灌注スリーブの別の実施形態の遠位端の側面図を示す。
【
図4】
図4は、灌注スリーブの別の実施形態の遠位端の側面図を示す。
【
図5】
図5は、灌注スリーブの別の実施形態の遠位端の断面側面図を示す。
【
図6】
図6は、
図5の線6-6に沿って取られた
図5の灌注スリーブの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の詳細な説明を参照することにより、添付の図面がよりよく理解され得る。
【0019】
本開示の原理の理解を促すことを目的として、図面に示す実装形態を以下で参照し、特定の文言を用いてこれらの実装形態を記述する。但し、本開示の範囲を一切限定するものではないことを理解されたい。説明するシステム、デバイス、機器、方法に対するあらゆる変更及び更なる修正、並びに本開示の原理の任意の更なる応用は、本開示に関連する当業者であれば通常想起されるものと十分に考えられる。特に、ある実装形態に関して説明される特徴、構成要素、及び/又は工程は、開示の他の実装形態に関して説明される特徴、構成要素、及び/又は工程と組み合わせてもよい。簡略化のために、場合によっては、全図面を通じて同じ参照番号を用いて同一又は類似部品を参照する。
【0020】
図1は、眼科用器具100の一部として所定の位置に灌注スリーブ270を備えた眼科用器具100の遠位端の断面の斜視図を示す。この例では、眼科用器具は、水晶体超音波乳化吸引術で使用できる超音波ハンドピースであるが、他の眼科用手術のための眼科用器具は、本明細書で説明するように灌注スリーブとともに使用することができる。適切な超音波ハンドピースの例は、テキサス州フォートワースに本社を置くAlconのOZIL(登録商標)Torsional Handpieceである。
【0021】
眼科用器具100は、近位端(
図1の右側)及び遠位端134を有するハウジング130、ハウジング130の遠位端134から延びる作業チップ110、及びハウジング130内部に配置された超音波ホーン160を含む。作業チップ110の近位端112は、超音波ホーン160の遠位端164に接続されている。作業チップ110と超音波ホーン160との間の接続は、任意の適切な接続によって行うことができる。例えば、作業チップ110の近位端112は、ねじ118を有し得、超音波ホーン160の遠位端164は、作業チップ110が超音波ホーン160に接続され得るねじ168を有し得る。作業チップ110の遠位端114は、眼科水晶体超音波乳化吸引術ハンドピースにおける水晶体超音波乳化吸引術などの所望の手術を実施するための作業端120を含む。図示の例では、作業端120は曲げられているか、又は角度が付けられている。
【0022】
ハウジング130は中空であり、眼科用器具100の内部構成要素が収容及び保護される内部中空チャンバー136を画定する。ハウジング130は、外科医などの超音波ハンドピース100の操作者が把持することができる外面を有する。その遠位端134において、ハウジング130は、作業チップ110が通って延びる開口部154を有する。
【0023】
超音波ホーン160及び作業チップ110は、一般に、眼科用器具100の長手方向軸に沿って整列される。長手方向軸は長手方向に延在し、超音波ホーン160及び作業チップ110のそれぞれは、眼科用器具100の長手方向軸と整列された長手方向軸を有する。
【0024】
超音波ホーン160は、超音波ホーン160を通って長手方向に延びるチャネル166を有し、作業チップ110は、作業チップ110を通って長手方向に延びるチャネル116を有する。作業チップ110は、その遠位端114に開口部180を有する。作業チップ110の遠位端114の開口部180及びチャネル116、166は、眼から離れた流体及び/又は粒子の吸引のための吸引通路を提供する。例えば、吸引通路を介して吸引を適用することにより、水晶体超音波乳化吸引術手術における水晶体又は他の組織断片などの流体及び/又は組織を、作業チップ110の遠位端114で開口部180を介して、そしてチャネル116及び166を介して吸引することができる。
【0025】
灌注スリーブ270は、灌注液、例えば、生理食塩水を、作業チップ110の遠位端114に向けるのに役立つ。ハウジング130は、灌注液を導入することができる灌注供給ライン268を有する。灌注スリーブ270は、ハウジング130に直接結合され得るか、又は眼科用器具100の別の部分を介してハウジング130に結合され得る。図示の例では、ハウジング130は、その遠位端134に雄ねじ138を有し、灌注スリーブ270は、その近位端272に雌ねじ278を有し、それによって、灌注スリーブ270をハウジング130に取り付けることができる。灌注スリーブ270は、作業チップ110の周りに配置され、灌注スリーブ270と作業チップ110との間の空間を通って、ハウジング130への取り付け位置から流体通路又はチャネル276を提供する。
図1に見られるように、灌注スリーブは、一般に、ハウジング130に結合するための比較的大きな直径を有する近位ハブ284と、作業チップ110の周りに、目の切開を通して挿入するための十分に小さいサイズでフィットする比較的小さな直径を有する細いチューブの形状の遠位チューブ286とを有する。
【0026】
灌注スリーブ270は、その遠位端274に端部開口部280を有し、それを通って、作業チップ100の遠位端114が突出する。端部開口部280において、灌注スリーブは、作業チップ100の周りにぴったりとフィットする。灌注スリーブはまた、その遠位端274に、作業チップ110の端部開口部280及び遠位端114に近接して側面開口部290を有する。灌注液がハウジング130内の供給ライン268を介して導入されると、それは、灌注スリーブ270のチャネル276を通過し、灌注スリーブ270の遠位端274の側面開口部290から出る。
【0027】
操作のために、眼科用器具100は、制御コンソールに接続され得る。例えば、眼科用器具100は、テキサス州フォートワースに本社を置くAlconのCENTURION(登録商標)Vision Systemの制御コンソールのような制御コンソール、又は他の任意の適切な制御コンソールに接続することができる。眼科用器具100は、1つ又は複数の電気ケーブル、例えば、超音波ホーン160を駆動するための圧電結晶のセットに電流を供給するために使用される1つ又は複数の電気ケーブルによって制御コンソールに接続することができる。眼科用器具100はまた、1つ又は複数のチューブ、例えば、制御コンソールからハウジング130の灌注供給ライン268の近位端に灌注液を供給し得る1つ又は複数のチューブによって、制御コンソールに接続され得る。
【0028】
デバイスの操作において、操作者は、眼の切開を通して、その周りに灌注スリーブ270を備えた作業チップ110を挿入する。操作者は、患者の白内障の水晶体に隣接するなど、所望の位置に作業チップ110の作業端120を配置する。生理食塩水などの灌注液は、制御コンソールから、灌注供給ライン268及び灌注スリーブ270を介して供給することができる。圧電結晶のセットは、制御コンソールから圧電結晶のセットに接続する電気配線に電流を供給することによって活性化することができ、圧電結晶の活性化は、超音波ホーン160の振動を誘発する。超音波ホーン160の振動は、取り付けられた作業チップ110の振動を引き起こし、これは、白内障の水晶体などの所望の組織を破壊又は水晶体乳化することができる。同時に、ポンピングモジュールを使用して、超音波ホーン160のチャネル166及び作業チップ110のチャネル116を含む吸引チャネルを介して吸引を適用し、それにより、作業チップ110の遠位端114で開口部180を介して流体及び組織及び/又は水晶体断片を吸引除去することができる。
【0029】
灌注スリーブ270の遠位チューブ286は、眼の切開部を通してフィットするように0.030インチ~0.080インチの範囲の外径を有し、作業チップ110をその中に収容するために0.020インチ~0.070インチの範囲の内径を有することができる。作業チップ100の遠位端114が通って突出する、灌注スリーブ270の遠位端274の端部開口部280は、0.010インチ~0.065インチの範囲の直径を有する円形開口部であり得、これは作業チップ100の遠位端114の外径と等しいかそれよりわずかに小さく、作業チップ100の遠位端114の周りにぴったりフィットするように形成することができる。寸法及び寸法範囲の例は、可能な実施形態を表し、異なる寸法の他の実施形態を使用することができる。
【0030】
灌注スリーブ270は、コンプライアントシリコーンゴムなどのエラストマー材料で作ることができる。或いは、灌注スリーブ270は、ポリウレタン、エチレンプロピレン、ネオプレン、又は他の適切な材料などの他の材料で作ることができる。灌注スリーブ270用のエラストマー材料は、ある程度のコンプライアンスを可能にし、端部開口部280の領域での灌注スリーブ270と作業チップ110との間のぴったりとしたフィットを容易にする。灌注スリーブ270用のエラストマー材料はまた、灌注スリーブ270と、角膜又は強膜などの切開部位での隣接する眼組織との間のシール又はぴったりとしたフィットを容易にし、これは、眼組織と灌注スリーブ270との間の眼からの漏出を最小限に抑えるのに役立ち得る。
【0031】
灌注スリーブ270は、眼の切開を通して灌注スリーブ270を眼に挿入する際に、灌注スリーブ270がねじれる及び/又は座屈する可能性を防止及び/又は低減するように設計された1つ又は複数の特徴を有し得る。
図1及び
図2に示される例では、灌注液が灌注スリーブ270の遠位端274から出る側面開口部290は、細長いスロットとして形作られている。細長いスロットは、灌注スリーブ270の長手方向軸282の方向に伸長され、これは、灌注スリーブ270のチャネル276と平行に延在し、灌注スリーブ270が眼科用器具100の残りの部分に取り付けられると、眼科用器具100の長手方向軸に対して平行になる。細長いスロットの長さ290Lは、灌注スリーブ270の長手方向軸282に平行な方向に取られた細長いスロットの寸法であり、細長いスロットの長さ290Lは、細長いスロットの幅290Wよりも大きく、これは、灌注スリーブ270の円周の周りの方向に取られた細長いスロットの寸法である。一例として、細長いスロットの長さ290Lは、0.020インチ~0.150インチの範囲にあり得、細長いスロットの幅290Wは、0.010インチ~0.065インチの範囲にあり得る。上記のように、寸法及び寸法範囲の例は、可能な実施形態を表し、異なる寸法の他の実施形態を使用することができる。
図2に示されるような細長いスロットは、2つの比較的真っ直ぐな側面、湾曲した前縁、及び湾曲した後縁(灌注スリーブ270を眼に挿入する方向に取られた前縁及び後縁)を有するが、細長いスロットの他の形状が可能である。
【0032】
図示及び説明された細長いスロットの形態の側面開口部290の形状及び寸法は、灌注スリーブ270を切開部から眼に挿入する際に、灌注スリーブ270がねじれる及び/又は座屈する可能性を防止又は低減するのに役立つ。眼の切開を通して灌注スリーブを挿入する方向である長さ290Lの方向へのスロットの伸長は、側面開口部290の面積が効率的な灌注のために十分に大きいままであることを可能にすると同時に、細長いスロットの幅290Wを比較的小さく保つことを可能にする。幅290Wを比較的小さく保つことは、灌注スリーブ270を側面開口部290の領域で十分に硬く保つのに役立ち、灌注スリーブ270を眼に挿入する際に灌注スリーブ270がねじれる及び/又は座屈する可能性を防止又は低減する。幅290Wが比較的小さいため、側面開口部290を通る長手方向軸282に垂直に取られた灌注スリーブ270の任意の所与の断面は、(側面開口部290のより広い幅と比較して)より多くの量の材料を有し、これは、次に、灌注スリーブ270を比較的硬く保つのに役立つ。
【0033】
図3は、灌注スリーブ270の代替の実施形態を示しており、ここで、すべての特徴は、側面開口部の形状とサイズが異なることを除いて、
図1及び
図2に関して上に示され、説明されたものと同じであり得る。
図3に示す例では、灌注スリーブ270の遠位端274から灌注液が出る側面開口部390は、ティアドロップとして形作られている。細長いスロットと同様に、ティアドロップは、灌注スリーブ270の長手方向軸282の方向に細長い。ティアドロップの長さ390Lは、灌注スリーブ270の長手方向軸282に平行な方向に取られたティアドロップの寸法であり、ティアドロップの長さ390Lは、ティアドロップの幅390Wよりも大きく、これは灌注スリーブ270の円周の周りの方向に取られたティアドロップの寸法である。一例として、ティアドロップの長さ390Lは、0.020インチ~0.150インチの範囲にあり得、ティアドロップの幅390Wは、0.010インチ~0.065インチの範囲にあり得る。上記のように、寸法及び寸法範囲の例は、可能な実施形態を表し、異なる寸法の他の実施形態を使用することができる。
図3に示されるようなティアドロップの形状は、その前縁に、前縁からティアドロップの最大幅の領域まで比較的真っ直ぐな2つの側面と、湾曲した(例えば、半円形の)後縁とを有する点を有するが、ティアドロップの他の形状も可能である。
【0034】
細長いスロットと同様に、図示及び説明されたティアドロップの形態の側面開口部390の形状及び寸法は、灌注スリーブ270を切開部から眼に挿入する際に、灌注スリーブ270がねじれる及び/又は座屈する可能性を防止又は低減するのに役立つ。ティアドロップは、眼の切開を通して灌注スリーブを挿入する方向である長さ390Lの方向に伸長され、これにより、側面開口部390の面積が効率的な灌注のために十分に大きいままであることを可能にすると同時に、ティアドロップの幅390Wを比較的小さく保つことを可能にする。幅390Wを比較的小さく保つことは、灌注スリーブ270を側面開口部390の領域で十分に硬く保つのに役立ち、灌注スリーブ270を眼に挿入する際に灌注スリーブ270がねじれる及び/又は座屈する可能性を防止又は低減する。幅390Wが比較的小さいため、側面開口部390を通る長手方向軸282に垂直に取られた灌注スリーブ270の任意の所与の断面は、(側面開口部390のより広い幅と比較して)より多くの量の材料を有し、これは、次に、灌注スリーブ270を比較的硬く保つのに役立つ。
【0035】
図4は、灌注スリーブ270の代替の実施形態を示しており、ここで、すべての特徴は、側面開口部の形状とサイズがやはり異なることを除いて、
図1及び
図2に関して上に示され、説明されたものと同じであり得る。
図4に示す例では、灌注スリーブ270の遠位端274から灌注液が出る側面開口部490は、長円形として形作られている。細長いスロットと同様に、長円形は、灌注スリーブ270の長手方向軸282の方向に細長い。長円形の長さ490Lは、灌注スリーブ270の長手方向軸282に平行な方向に取られた長円形の寸法であり、長円形の長さ490Lは、長円形の幅490Wよりも大きく、これは灌注スリーブ270の円周の周りの方向に取られた長円形の寸法である。一例として、長円形の長さ490Lは、0.020インチ~0.150インチの範囲にあり得、長円形の幅490Wは、0.010インチ~0.065インチの範囲にあり得る。上記のように、寸法及び寸法範囲の例は、可能な実施形態を表し、異なる寸法の他の実施形態を使用することができる。
【0036】
細長いスロットと同様に、図示及び説明された長円形の形態の側面開口部490の形状及び寸法は、灌注スリーブ270を切開部から眼に挿入する際に、灌注スリーブ270がねじれる及び/又は座屈する可能性を防止又は低減するのに役立つ。長円形は、眼の切開を通して灌注スリーブを挿入する方向である長さ490Lの方向に伸長され、これにより、側面開口部490の面積が効率的な灌注のために十分に大きいままであることを可能にすると同時に、長円形の幅490Wを比較的小さく保つことを可能にする。幅490Wを比較的小さく保つことは、灌注スリーブ270を側面開口部490の領域で十分に硬く保つのに役立ち、灌注スリーブ270を眼に挿入する際に灌注スリーブ270がねじれる及び/又は座屈する可能性を防止又は低減する。幅490Wが比較的小さいため、側面開口部490を通る長手方向軸282に垂直に取られた灌注スリーブ270の任意の所与の断面は、(側面開口部490のより広い幅と比較して)より多くの量の材料を有し、これは、次に、灌注スリーブ270を比較的硬く保つのに役立つ。
【0037】
側面開口部の他の形状は、側面開口部の面積が効率的な灌注のために十分に大きいままであり、同時に、灌注スリーブの円周の周りの方向の側面開口部の幅が比較的小さく保たれるのを可能にする、本開示の範囲内で可能である。いくつかの例を挙げれば、長方形、三角形、及び楕円形が含まれる。
【0038】
図5及び6は、灌注スリーブ270の代替の実施形態を示しており、ここで、すべての特徴は、側面開口部の形状とサイズが異なる場合があり、補強リブが含まれていることを除いて、
図1及び
図2に関して上に示され、説明されたものと同じであり得る。
図5及び
図6に示される例では、灌注液が灌注スリーブ270の遠位端274から出る側面開口部590は、円形として形作られているが、本明細書に図示及び/又は記載される任意の代替形状を使用することができる。
図5及び6の灌注スリーブ270は、灌注スリーブ270の遠位端274の内面に1つ又は複数の補強リブ592を含む。図示の例では、リブ592は、灌注スリーブ270の長手方向の長さに沿って、側面開口部590と同じ位置又はその周辺に配置された側面開口部590に隣接している。リブ592は、灌注スリーブ270の内周の周りに間隔を置いて配置されている。リブ592は、灌注スリーブ270の一体部分として製造することができ、例えば、灌注スリーブ270の残りの部分と同じ材料から、灌注スリーブ270の残りの部分と一緒に成形することができる。図示の例では、リブ592のそれぞれは、灌注スリーブ270の長手方向軸282の方向に伸長されている。リブ592は、任意の適切な形状、例えば、台形、正方形、長方形、丸みを帯びた形、三角形、又は任意の他の適切な形状を有することができる。リブ592の長さ592Lは、灌注スリーブ270の長手方向軸282に平行な方向に取られたリブの寸法であり、リブ592の幅592Wは、灌注スリーブ270の円周の周りの方向に取られたリブの寸法である。一例として、各リブ592の長さ592Lは、0.020インチ~0.150インチの範囲にあり得、各リブの幅592Wは、0.001インチ~0.010インチの範囲にあり得る。上記のように、寸法及び寸法範囲の例は、可能な実施形態を表し、異なる寸法の他の実施形態を使用することができる。
【0039】
図示及び説明されたリブ592は、眼の切開を通して灌注スリーブ270を眼に挿入する際に、灌注スリーブ270がねじれる及び/又は座屈する可能性を防止又は低減するのに役立つ。リブ592は、側面開口部590の領域で灌注スリーブ270を補強し、それによって、側面開口部の位置に材料がないために弱い領域において、灌注スリーブ270を強化する。リブ592はまた、作業チップ110と接触することができ、これはまた、灌注スリーブ270のねじれ及び/又は座屈の可能性を防止又は低減するのに役立つことができる。
【0040】
本明細書に記載の灌注スリーブは、眼の切開を通して灌注スリーブを眼に挿入する際の灌注スリーブのねじれ及び/又は座屈の可能性を防止又は低減するために、1つ又は複数の他の方法で追加的又は代替的に補強することができる。例えば、灌注スリーブは、灌注スリーブを補強するように適合された1つ又は複数の製造工程にかけられ得る。一例として、灌注スリーブは、灌注スリーブをねじれ及び/又は座屈に対してより耐性を持たせる補強コーティングでコーティングすることができる。適切なコーティングの一例はパリレンコーティングであるが、他の適切なコーティング材料を使用することもできる。コーティングは、任意の適切な厚さ、例えば約5ミクロンで、下にある灌注スリーブ材料に塗布することができる。
【0041】
灌注スリーブを補強するように適合された製造工程の別の例として、灌注スリーブは、ガンマ線照射に曝されることによって処理され得る。例えば、灌注スリーブは、スリーブを補強するために、90kGy以上の1回又は複数の線量に曝され得る。照射によりポリマー鎖の架橋が増加し、灌注スリーブを補強する。
【0042】
コーティング及び/又は放射線への曝露などのこれらの製造工程は、上記のようにエラストマー又はコンプライアント材料で作られた灌注スリーブに適用される。これらのステップは、灌注スリーブを補強すると同時に、灌注スリーブを十分に弾力性のあるままにして、その結果、説明されているように、作業チップの遠位端の周りに適切なシールを形成し、及び/又は切開部位で眼への適切なシールを形成するのに役立つ。
【0043】
当業者が理解するように、本明細書に開示される装置及び方法は、従来技術に比べて多くの利点を有する。そのような利点には、灌注スリーブを眼に挿入する際のねじれ及び/又は座屈に耐性がある灌注スリーブが含まれる。本明細書に開示される灌注スリーブは、器具を眼に挿入する際の困難、挿入部位での眼への刺激又は損傷、灌注スリーブの位置ずれ、眼科用器具の機能への干渉及び/又は灌注流路への干渉又は遮断の可能性などの従来技術の不利な点を回避する。結果として、本明細書に記載の灌注スリーブにより、より効率的な手術、改善されたチャンバー安定性、より低いコスト、及び/又は改善された患者転帰につなげることができる。
【0044】
これらの利点は、眼のより小さな切開を使用する手術を可能にするのに特に役立つ。いくつかの眼科手術は、例えば、約3.2mmの眼の切開を利用しており、例えば、2.8mm、2.4mm、又は2.2mmなどのより小さな切開を使用する努力がなされてきた。より小さな切開は、外傷性が少なく、合併症が少なく、より迅速な治癒につながる可能性がある。しかしながら、より小さな切開は、より小さな直径及びより薄い灌注スリーブを必要とする可能性があり、これは、灌注スリーブの座屈及び/又はねじれの可能性を高め得る。本明細書に記載の灌注スリーブは、眼のより小さな切開に対応するために、より小さく及び/又はより薄く、同時にねじれ及び/又は座屈に耐性がある灌注スリーブを可能にする。したがって、本明細書に記載の灌注スリーブは、より小さな眼の切開で使用することができ、上記のように、より小さな眼の切開の利点をもたらす。
【0045】
当業者であれば、本開示に包含される実装形態が、上述した特定の例示的な実装形態に限定されないことを理解するであろう。この点に関して、例示的な実装形態を図示及び説明してきたが、前述した本開示に対する広範囲の修正形態、変更形態及び置換形態が考えられる。本開示の範囲から逸脱しない限り、前述のものに対するこのような変形形態がなされ得ることが理解される。したがって、添付の特許請求の範囲は、広く且つ本開示と整合するように解釈されることが適切である。
態様(1)によれば、眼科用器具のための灌注スリーブであって、
前記眼科用器具のハウジングに結合されるように適合された近位ハブと、
前記眼科用器具の作業チップの周りにフィットするように適合された遠位チューブであって、前記遠位チューブは、長手方向軸、遠位端、及びそれを通って突出する前記作業チップの遠位端の周りにフィットするように適合されたその遠位端にある端部開口部、及び灌注液がそこを通って流れるように適合された前記端部開口部に近接するその遠位端の側面開口部を有する、遠位チューブと、
を含み、
前記側面開口部は細長い形状を有し、前記細長い形状は、前記灌注スリーブの前記遠位チューブの円周の周りの方向よりも、前記灌注スリーブの前記遠位チューブの前記長手方向軸に平行な方向において長い、
灌注スリーブである。
態様(2)によれば、前記側面開口部が細長いスロットとして形作られている。
態様(3)によれば、前記細長いスロットが、前記灌注スリーブの前記遠位チューブの前記長手方向軸に平行な前記方向の長さ、及び前記灌注スリーブの前記遠位チューブの前記円周の周りの前記方向の幅を有し、前記細長いスロットの前記長さは前記細長いスロットの前記幅よりも長い。
態様(4)によれば、前記細長いスロットが、湾曲した前縁と、2つの比較的真っ直ぐな側面と、湾曲した後縁と、を含む。
態様(5)によれば、前記側面開口部がティアドロップとして形作られている。
態様(6)によれば、前記ティアドロップが、前記灌注スリーブの前記遠位チューブの前記長手方向軸に平行な前記方向の長さ、及び前記灌注スリーブの前記遠位チューブの前記円周の周りの前記方向の幅を有し、前記ティアドロップの前記長さは前記ティアドロップの前記幅よりも長い。
態様(7)によれば、前記ティアドロップが、その前縁の点と、前記前縁から前記ティアドロップの最大幅の領域までの2つの比較的真っ直ぐな側面と、湾曲した後縁と、を含む。
態様(8)によれば、前記側面開口部が長円形として形作られている。
態様(9)によれば、前記長円形が、前記灌注スリーブの前記遠位チューブの前記長手方向軸に平行な前記方向の長さ、及び前記灌注スリーブの前記遠位チューブの前記円周の周りの前記方向の幅を有し、前記長円形の前記長さは前記長円形の前記幅よりも長い。
態様(10)によれば、前記灌注スリーブがエラストマー材料からなる。
態様(11)によれば、前記灌注スリーブがシリコーンゴムからなる。
態様(12)によれば、眼科用器具のための灌注スリーブであって、
前記眼科用器具のハウジングに結合されるように適合された近位ハブと、
前記眼科用器具の作業チップの周りにフィットするように適合された遠位チューブであって、前記遠位チューブは、長手方向軸、遠位端、及びそれを通って突出する前記作業チップの遠位端の周りにフィットするように適合されたその遠位端にある端部開口部、及び前記端部開口部に近接するその遠位端の側面開口部を有する、遠位チューブと、
を含み、
前記灌注スリーブは、前記灌注スリーブの前記遠位チューブの前記遠位端の内面上に少なくとも1つのリブをさらに含む、
灌注スリーブである。
態様(13)によれば、前記少なくとも1つのリブが、前記側面開口部に隣接して、前記灌注スリーブの長手方向長さに沿った前記側面開口部と同じ位置に配置される。
態様(14)によれば、前記少なくとも1つのリブが、前記灌注スリーブの前記遠位チューブの前記長手方向軸に平行な方向に伸長されている。
態様(15)によれば、前記灌注スリーブが、前記灌注スリーブの前記遠位チューブの前記遠位端の前記内面の周りに円周方向に分布された複数のリブを含む。
態様(16)によれば、前記少なくとも1つのリブを含む前記灌注スリーブが、エラストマー材料からなる。
態様(17)によれば、眼科用器具のための灌注スリーブであって、
前記眼科用器具のハウジングに結合されるように適合された近位ハブと、
前記眼科用器具の作業チップの周りにフィットするように適合された遠位チューブであって、前記遠位チューブは、長手方向軸、遠位端、及びそれを通って突出する前記作業チップの遠位端の周りにフィットするように適合されたその遠位端にある端部開口部、及び前記端部開口部に近接するその遠位端の側面開口部を有する、遠位チューブと、
を含み、
前記灌注スリーブはエラストマー材料を含み、前記灌注スリーブは、前記灌注スリーブを補強するように適合された1つ又は複数の製造工程にかけられている、
灌注スリーブである。
態様(18)によれば、前記灌注スリーブが補強コーティングでコーティングされている。
態様(19)によれば、前記灌注スリーブがパリレンコーティングでコーティングされている。
態様(20)によれば、前記灌注スリーブが、ガンマ線照射に曝されることによって処理されている。