(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】不織布及び衛生材料
(51)【国際特許分類】
D06M 15/643 20060101AFI20241127BHJP
D04H 3/007 20120101ALI20241127BHJP
D06M 101/20 20060101ALN20241127BHJP
【FI】
D06M15/643
D04H3/007
D06M101:20
(21)【出願番号】P 2022539578
(86)(22)【出願日】2021-07-29
(86)【国際出願番号】 JP2021028183
(87)【国際公開番号】W WO2022025211
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2022-10-19
(31)【優先権主張番号】P 2020131012
(32)【優先日】2020-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】523419521
【氏名又は名称】エム・エーライフマテリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中澤 富美子
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 泰生
(72)【発明者】
【氏名】関岡 裕佑
(72)【発明者】
【氏名】近藤 隆博
(72)【発明者】
【氏名】島田 幸一
(72)【発明者】
【氏名】本村 茂之
【審査官】斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-136351(JP,A)
【文献】国際公開第01/096641(WO,A1)
【文献】特開2004-223701(JP,A)
【文献】特開2013-007131(JP,A)
【文献】特開平08-302573(JP,A)
【文献】特開2015-134979(JP,A)
【文献】特開平09-067772(JP,A)
【文献】特開2013-220991(JP,A)
【文献】特開2007-056396(JP,A)
【文献】特開2000-265350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15 - 13/84
A61L 15/16 - 15/64
D04H 1/00 - 18/04
D06M 13/00 - 15/715
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒素質量分率が2000(μg/g)以上8000(μg/g)以下であるアミノ変性シリコーンを含有し、
前記アミノ変性シリコーンの含有率は、不織布全量に対して1.00質量%以下である不織布
(但し、(A)アミノ・ポリオキシアルキレン基含有オルガノポリシロキサン及び(B)ポリオキシアルキレン基含有オルガノポリシロキサンを含む不織布を除く)。
【請求項2】
繊維間静摩擦係数(μs)と繊維間動摩擦係数(μk)との比であるμs/μkが1.20以下であり、前記繊維間静摩擦係数が0.40以下である請求項1に記載の不織布。
【請求項3】
オレフィン系重合体の繊維を含む請求項1又は請求項2に記載の不織布。
【請求項4】
前記オレフィン系重合体は、プロピレン系重合体及びエチレン系重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む請求項3に記載の不織布。
【請求項5】
前記オレフィン系重合体は前記プロピレン系重合体を含み、前記プロピレン系重合体は、プロピレン単独重合体及びプロピレン/α-オレフィン共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む請求項4に記載の不織布。
【請求項6】
繊度が0.5デニール~3.0デニールの長繊維不織布である請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の不織布。
【請求項7】
アミド化合物を含有する請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の不織布。
【請求項8】
捲縮型繊維を含む請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の不織布。
【請求項9】
請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の不織布を含む衛生材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、不織布及び衛生材料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、不織布は通気性及び柔軟性に優れることから各種用途に幅広く用いられている。不織布の代表的な用途としては、例えば、紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パッド等の吸収性物品、衛生マスク、医療用ガーゼ、湿布材の基布等が挙げられる。
【0003】
例えば、吸収性物品に用いられる不織布には、柔軟性、肌触り等の使用感、破断しにくい等の強度などが求められる。不織布の破断強度の低下を招き難く、安定的に肌触りの良い不織布を製造することができる不織布の製造方法として、スパンボンド不織布、又はスパンボンドの層とメルトブローンの層との積層不織布に、柔軟剤を塗布する工程と、該不織布の複数箇所それぞれに50℃以下の温度で部分延伸加工を施す工程とを具備する不織布の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
[特許文献1]特許第5878309号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の製造方法で製造された不織布については、しっとり感等の肌触りについて改善の余地がある。
【0005】
本開示は、しっとり感に優れた不織布、並びにこの不織布を含む衛生材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> 窒素質量分率が2000(μg/g)以上であるアミノ変性シリコーンを含有する不織布。
<2> 前記アミノ変性シリコーンの含有率は、不織布全量に対して10.00質量%以下である<1>に記載の不織布。
<3> 前記アミノ変性シリコーンの含有率は、不織布全量に対して5.00質量%以下である<2>に記載の不織布。
<4> 繊維間静摩擦係数(μs)と繊維間動摩擦係数(μk)との比であるμs/μkが1.20以下であり、前記繊維間静摩擦係数が0.40以下である不織布。
<5> オレフィン系重合体の繊維を含む<1>~<4>のいずれか1つに記載の不織布。
<6> 前記オレフィン系重合体は、プロピレン系重合体及びエチレン系重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む<5>に記載の不織布。
<7> 前記オレフィン系重合体は前記プロピレン系重合体を含み、前記プロピレン系重合体は、プロピレン単独重合体及びプロピレン/α-オレフィン共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む<6>に記載の不織布。
<8> 繊度が0.5デニール~3.0デニールの長繊維不織布である<1>~<7>のいずれか1つに記載の不織布。
<9> アミド化合物を含有する<1>~<8>のいずれか1つに記載の不織布。
<10> 捲縮型繊維を含む<1>~<9>のいずれか1つに記載の不織布。
<11> <1>~<10>のいずれか1つに記載の不織布を含む衛生材料。
【発明の効果】
【0007】
本開示は、しっとり感に優れた不織布、並びにこの不織布を含む衛生材料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示はそのような実施態様に限定されるものではない。
【0009】
本開示において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
【0010】
また、本開示において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
【0011】
[不織布]
本開示の不織布は、窒素質量分率が2000(μg/g)以上であるアミノ変性シリコーン(以下、「特定アミノ変性シリコーン」とも称する。)を含有する。これにより、本開示の不織布はしっとり感に優れる。
【0012】
本開示の不織布では、特定アミノ変性シリコーンは、滑材として機能し得る。特定アミノ変性シリコーンとしては、側鎖型アミノ変性シリコーン、両末端型アミノ変性シリコーン、側鎖両末端型アミノ変性シリコーンが挙げられる。側鎖型アミノ変性シリコーンとしては、モノアミン型、ジアミン型等が挙げられる。特定アミノ変性シリコーンとしては、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0013】
特定アミノ変性シリコーンにおける窒素質量分率は、しっとり感にさらに優れる不織布を得る観点から、2300(μg/g)以上であることが好ましく、2500(μg/g)~8000(μg/g)であることがより好ましく、3000(μg/g)~7000(μg/g)であることがさらに好ましい。
【0014】
本開示の不織布は、特定アミノ変性シリコーン以外のアミノ変性シリコーンを含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。本開示の不織布では、アミノ変性シリコーンに含まれる特定アミノ変性シリコーンの含有率は、しっとり感にさらに優れる不織布を得る観点から、50質量%~100質量%であることが好ましく、70質量%~100質量%であることがより好ましく、90質量%~100質量%であることがさらに好ましい。
【0015】
本開示の不織布では、特定アミノ変性シリコーンの含有率は、しっとり感により優れる不織布を得る観点から、不織布全量に対し、10.00質量%以下であることが好ましく、5.00質量%以下であることがより好ましく、1.00質量%以下であることがさらに好ましく、0.01質量%~0.80質量%であることが特に好ましく、0.05質量%~0.70質量%であることがより一層好ましい。特に、特定アミノ変性シリコーンの含有率が1.00質量%以下であることにより、不織布表面のべたつきが抑制される傾向にある。
【0016】
特定アミノ変性シリコーンの官能基当量は、不織布のしっとり感の観点から、500g/mol~7000g/molが好ましく、1000g/mol~6000g/molがより好ましく、1500g/mol~4000g/molがさらに好ましい。
本開示において、「官能基当量」とは、化合物におけるアミノ基1個あたりの分子量を示したものである。
【0017】
特定アミノ変性シリコーンの25℃における動粘度は、不織布のしっとり感の観点から、300mm2/s以上であることが好ましく、1000mm2/s~4000mm2/sであることがより好ましく、1500mm2/s~4000mm2/sであることがさらに好ましい。特定アミノ変性シリコーンの25℃における動粘度は、1000mm2/sを超えていてもよい。
【0018】
不織布は、繊維を織らずに絡み合わせたものを意味し、本開示の不織布も繊維を含む。本開示の不織布は、熱可塑性重合体の繊維を含むことが好ましい。
【0019】
繊維を構成する熱可塑性重合体としては、例えば、オレフィン系重合体、ポリエステル系重合体、ポリアミド系重合体、これら重合体を複数種含む熱可塑性重合体組成物等が挙げられる。本開示の不織布は、オレフィン系重合体の繊維を含むことが好ましい。
【0020】
オレフィン系重合体は、オレフィン由来の構成単位を主体として含む重合体であり、ポリエステル系重合体は、ポリエステルを構成単位として含む重合体であり、ポリアミド系重合体は、ポリアミドを構成単位として含む重合体である。
本開示において、「主体として含む」及び「主体とする」とは、対象となる物質が、全体に対して最も多く含まれることを表す。例えば、全体に占める割合として、対象となる物質の含有割合が50質量%以上であることを示す。
【0021】
オレフィン系重合体は、プロピレン系重合体及びエチレン系重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。オレフィン系重合体は、オレフィンの単独重合体であってもよく、2種以上のオレフィンの共重合体であってもよい。2種以上のオレフィンの共重合体は、ブロック共重合体であってもよく、ランダム共重合体であってもよい。
【0022】
プロピレン系重合体は、プロピレン由来の構成単位を主体とする重合体であり、プロピレン単独重合体及びプロピレンとプロピレン以外のα-オレフィンとの共重合体(プロピレン/α-オレフィン共重合体)を含む概念である。例えば、プロピレン単独重合体、及びプロピレンとプロピレン以外のα-オレフィンとの共重合体のいずれでもよく、両方を含んでいてもよい。プロピレン/α-オレフィン共重合体は、例えば、プロピレンと、プロピレン以外の炭素数2~10の1種又は2種以上のα-オレフィンとの共重合体が好ましく、プロピレンと、プロピレン以外の炭素数2~8の1種又は2種以上のα-オレフィンとの共重合体がより好ましい。
【0023】
柔軟性に優れる観点で、プロピレンと共重合する、好ましいα-オレフィンの具体例としては、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン等が挙げられる。プロピレン/α-オレフィン共重合体としては、例えば、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・エチレン・1-ブテン共重合体などが挙げられる。プロピレン/α-オレフィン共重合体におけるα-オレフィンに由来する構成単位の含有量は、特に限定されず、例えば1モル%~10モル%であることが好ましく、1モル%~5モル%であることがより好ましい。プロピレン系重合体は、1種のプロピレン系重合体であってもよく、2種以上のプロピレン系重合体の組み合わせであってもよい。
【0024】
なお、本開示では、プロピレンとプロピレン以外のα-オレフィンとの共重合体について、プロピレン由来の構成単位の含有量と、エチレン由来の構成単位の含有量とが等しい場合、このような共重合体はプロピレン系重合体に分類する。
【0025】
エチレン系重合体は、エチレン由来の構成単位を主体とする重合体であり、エチレン単独重合体及びエチレンとエチレン以外のα-オレフィンとの共重合体を含む概念である。例えば、エチレン単独重合体、及びエチレンとエチレン以外のα-オレフィンとの共重合体(エチレン/α-オレフィン共重合体)のいずれでもよい。エチレン/α-オレフィン共重合体は、例えば、エチレンと、エチレン以外の炭素数2~10の1種又は2種以上のα-オレフィンとの共重合体が好ましい。
【0026】
柔軟性に優れる観点で、エチレンと共重合するα-オレフィンの具体例としては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン等が挙げられる。エチレン/α-オレフィン共重合体としては、例えば、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体などが挙げられる。エチレン/α-オレフィン共重合体におけるα-オレフィンに由来する構成単位の含有量は、特に限定されず、例えば1モル%~10モル%であることが好ましく、1モル%~5モル%であることがより好ましい。エチレン系重合体は、1種のエチレン系重合体であってもよく、2種以上のエチレン系重合体の組み合わせであってもよい。
【0027】
オレフィン系重合体は、プロピレン系重合体を含むことが好ましい。プロピレン系重合体の融点(Tm)は、125℃以上であることが好ましく、125℃~165℃であることがより好ましい。プロピレン系重合体のメルトフローレート(MFR)(ASTM D-1238、230℃、荷重2,160g)は、紡糸性の観点から、10g/10分~100g/10分であることが好ましく、20g/10分~70g/10分であることがより好ましい。
【0028】
プロピレン系重合体の融点(Tm)は、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定することができる。
示差走査熱量計(DSC)で、昇温速度10℃/分で昇温したときの融解吸熱曲線の極値を与える温度より50℃程度高い温度まで昇温して、この温度で10分間保持する。その後、降温速度10℃/分で30℃まで冷却し、再度、昇温速度10℃/分で所定の温度まで昇温したときの融解曲線を測定する。かかる融解曲線から、ASTM D3418の方法にならい、融解吸熱曲線の極値を与える温度(Tp)を求め、かかるピーク温度の吸熱ピークを融点(Tm)として求めることができる。
【0029】
本開示の不織布に含まれる繊維は、1種の熱可塑性重合体を含む繊維であってもよく、2種以上の熱可塑性重合体を含む複合繊維であってもよい。複合繊維としては、例えば、海島型、サイドバイサイド型、同芯芯鞘型、偏芯芯鞘型等が挙げられる。偏芯芯鞘型の複合繊維は、芯部が表面に露出している露出型でもよく、芯部が表面に露出していない非露出型でもよい。
【0030】
本開示の不織布に含まれる繊維は、捲縮型繊維であってもよく、非捲縮型繊維であってもよい。非捲縮型繊維は、例えば、偏芯芯鞘型の捲縮複合繊維であってもよい。
【0031】
複合繊維が同芯芯鞘型、偏芯芯鞘型等である場合、鞘部と芯部との質量比(芯部/鞘部)としては、例えば、95/5~5/95であることが好ましく、90/10~10/90であることがより好ましく、90/10~40/60であることがさらに好ましい。
【0032】
本開示の不織布は、繊度が0.5デニール~3.0デニールの長繊維不織布であることが好ましく、繊度が0.8デニール~2.5デニールの長繊維不織布であることがより好ましく、繊度が1.0デニール~2.2デニールの長繊維不織布であることがさらに好ましい。
【0033】
本開示の不織布は、繊維間静摩擦係数(μs)と繊維間動摩擦係数(μk)との比であるμs/μkが1.20以下であることが好ましい。繊維間動摩擦係数に対する繊維間静摩擦係数の比率が小さくすることで、摺動初期の引っかかりが抑制される傾向にある。さらに不織布に触れている肌と不織布とが擦れて両者の相対位置が変動する際に、ざらつき、ぬめり感等が少なく、滑らかな不織布が得られる傾向にある。さらに、不織布の繊維同士の滑りが良好なことにより、ドレープ性も良好となる傾向にある。
【0034】
本開示の不織布では、μs/μkが1.18以下であってもよく、1.15以下であってもよく、1.10以下であってもよい。また、μs/μkの下限は特に限定されず、0.90以上であってもよく、0.95以上であってもよく、柔軟性の観点から、1.00以上であってもよい。
【0035】
本開示の不織布では、しっとり感の観点から、μsが0.40以下であることが好ましく、柔軟性の観点から、0.37以下であることが好ましく、0.35以下であることがより好ましく、0.33以下であることがさらに好ましい。
【0036】
本開示の不織布では、μkは特に限定されず、例えば、0.40以下であることが好ましく、0.35以下であることがより好ましく、0.30以下であることがさらに好ましい。
【0037】
本開示の不織布は、柔軟性の観点から、特定アミノ変性シリコーンを含有していない同一の繊維からなる不織布(以下、「比較不織布」とも称する。)と比較して、μs及びμkの少なくとも一方の値が低下していることが好ましく、μs及びμkの値が低下していることがより好ましい。特定アミノ変性シリコーンを含有する不織布のμs、μk等が比較不織布のμs、μk等よりも低下していることは、例えば、特定アミノ変性シリコーンを含有する不織布に溶剤を付与する等により特定アミノ変性シリコーンを除去することによって確認してもよい。
【0038】
比較不織布のμs(μs2)に対する本開示の不織布のμs(μs1)の減少率([(μs2-μs1)/μs2]×100)、及び、比較不織布のμk(μk2)に対する本開示の不織布のμk(μk1)の減少率([(μk2-μk1)/μk2]×100)は、それぞれ独立に、10%~70%であることが好ましく、19%~47%であることがより好ましい。
【0039】
比較不織布のμs(μs2)と本開示の不織布のμs(μs1)との差(μs2-μs1)、及び、比較不織布のμk(μk2)と本開示の不織布のμk(μk1)との差(μk2-μk1)は、それぞれ独立に、0.05~0.3であることが好ましく、0.07~0.2であることがより好ましい。
【0040】
<添加剤>
本開示の不織布は、本発明の目的を損なわない範囲で、任意成分として、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、防曇剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、アミド化合物等の種々公知の添加剤を含んでもよい。
【0041】
本開示の不織布は、アミド化合物を含んでいてもよい。アミド化合物は滑材として機能し得る。アミド化合物としては、脂肪酸アミドが挙げられ、例えば、炭素数15~22の脂肪酸アミドが挙げられる。不織布の繊維表面に、炭素数15~22の脂肪酸アミドが吸着することで、繊維表面が改質されて柔軟性、触感、耐ブロッキング性等がより向上し、エンボス工程等で使用する装置内の各種回転機器等の部材への繊維の付着がより効果的に抑制されると考えられる。
【0042】
本開示における脂肪酸アミドの炭素数とは、分子中に含まれる炭素数を意味し、アミド結合を構成する炭素原子も上記炭素数に含まれるものとする。
脂肪酸アミドの炭素数としては、18~22であることが好ましい。
炭素数15~22の脂肪酸アミドとしては、脂肪酸モノアミド化合物、脂肪酸ジアミド化合物、飽和脂肪酸モノアミド化合物、及び不飽和脂肪酸ジアミド化合物が挙げられるが、これらの中でも、パルミチン酸アミド(炭素数16)、ステアリン酸アミド(炭素数18)、オレイン酸アミド(炭素数18)、エルカ酸アミド(炭素数22)等が好適に挙げられる。
【0043】
アミド化合物の含有量は、不織布の全量に対し、0.1質量%~5.0質量%であることが好ましく、0.1質量%~3.0質量%であることがより好ましく、0.1質量%~1.0質量%であることがさらに好ましい。
アミド化合物は、不織布に1種のみ含まれていてもよく、2種以上含まれていてもよい。
【0044】
本開示の不織布の目付は特に制限されない。柔軟性と強度とを両立するという観点から、目付が30g/m2以下であることが好ましく、25g/m2以下であることがより好ましく、5g/m2~20g/m2であることがさらに好ましい。
【0045】
本開示の不織布は、1層からなる不織布であってもよく、2層以上の不織布からなる不織布積層体であってもよく、本開示の不織布と、本開示の不織布以外のその他の層とを含む不織布積層体であってもよい。本開示の不織布以外のその他の層は、1層であってもよいし、2層以上であってもよい。
【0046】
本開示の不織布の種類は特に限定されず、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、カード式エアスルー不織布、エアレイド不織布、ニードルパンチ式スパンボンド不織布、湿式不織布、乾式パルプ不織布、フラッシュ紡糸不織布、開繊不織布等の種々の不織布が挙げられる。中でも、本開示の不織布は、スパンボンド不織布であることが好ましい。
【0047】
本開示の不織布以外のその他の層としては、編布、織布、本開示の不織布以外の不織布(以下、「他の不織布」ともいう。)、フィルム等が挙げられる。他の不織布としては、前述の種々の不織布が挙げられる。
【0048】
不織布積層体を形成する方法は、特に制限されず、熱エンボス加工、超音波融着等の熱融着法、ニードルパンチ、ウォータージェット等の機械的交絡法、ホットメルト接着剤、ウレタン系接着剤等の接着剤を用いる方法、押出しラミネート等の種々の方法を採り得る。
【0049】
不織布積層体は、一部において熱融着されていることが好ましい。
不織布積層体の一部を熱融着する場合の熱融着方法は、種々公知の方法(例えば、超音波等の手段を用いる方法、エンボスロールを用いる熱エンボス加工、又はホットエアースルー)が挙げられる。
【0050】
熱エンボス加工により不織布積層体の一部を熱融着する場合は、通常、エンボス面積率は、5%~30%であることが好ましく、5%~20%であることがより好ましい。刻印形状は、円、楕円、長円、正方、菱、長方、四角、それら形状を基本とする連続した形が例示される。
【0051】
なお、熱エンボス加工を行う場合は、エンボス温度は、エンボス加工時のライン速度、圧着圧力等によるが、一般的に85℃~150℃の範囲であることが好ましい。
【0052】
(変形例)
本開示の不織布は、変形例として、繊維間静摩擦係数(μs)と繊維間動摩擦係数(μk)との比であるμs/μkが1.20以下であり、前記繊維間静摩擦係数が0.40以下であってもよい。
【0053】
変形例に係る不織布は、繊維間静摩擦係数(μs)と繊維間動摩擦係数(μk)との比であるμs/μkが1.20以下であり、前記繊維間静摩擦係数が0.40以下である。これにより、本開示の不織布はしっとり感に優れる。この理由としては、以下のように推測される。繊維間静摩擦係数の値が小さくなり、かつ繊維間動摩擦係数に対する繊維間静摩擦係数の比率も小さくなることで、摺動初期の引っかかりが抑制される。さらに不織布に触れている肌と不織布とが擦れて両者の相対位置が変動する際に、ざらつき、ぬめり感等が少なく、滑らかな不織布が得られる。さらに、不織布の繊維同士の滑りが良好なことにより、ドレープ性も良好となる傾向にある。
【0054】
変形例に係る不織布では、μs/μkが1.20以下であればよく、例えば、1.18以下であってもよく、1.15以下であってもよく、1.10以下であってもよい。また、μs/μkの下限は特に限定されず、0.90以上であってもよく、0.95以上であってもよく、柔軟性の観点から、1.00以上であってもよい。
【0055】
変形例に係る不織布では、μsが0.40以下であり、柔軟性の観点から、0.37以下であることが好ましく、0.35以下であることがより好ましく、0.33以下であることがさらに好ましい。
【0056】
変形例に係る不織布では、μkは、μs/μkが1.20以下であり、かつμsが0.40以下を満たせる値であれば特に限定されず、例えば、0.40以下であることが好ましく、0.35以下であることがより好ましく、0.30以下であることがさらに好ましい。
【0057】
変形例に係る不織布の好ましい形態は、前述の本開示の不織布の構成及び本開示の不織布の好ましい構成を適宜組み合わせたものであってもよい。例えば、変形例に係る不織布は、前述の特定アミノ変性シリコーンを含有していてもよく、含有していなくてもよい。
【0058】
(不織布の製造方法)
本開示の不織布の製造方法は、特に限定されず、不織布の種類に応じて常法により製造することができる。
例えば、本開示の不織布がスパンボンド不織布である場合、以下の方法により製造できる。繊維を構成する組成物を、押出機を用いて溶融し、溶融した組成物を、複数の紡糸口金を有するスパンボンド不織布成形機を用いて溶融紡糸する。ブロア等を用いて繊維を延伸し、紡糸により形成された長繊維を必要に応じて冷却する。その後、スパンボンド不織布成形機の捕集面上に堆積させ、エンボスロールで加熱加圧処理する。
【0059】
[衛生材料]
本開示の衛生材料は、前述の本開示の不織布を含む。
衛生材料としては、紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パッド等の吸収性物品、包帯、医療用ガーゼ、タオル等の医療用衛生材用、衛生マスク等が挙げられる。本開示の衛生材料はこれらに制限されず、他の衛生材料用途にも好適に使用し得る。
衛生材料は、本開示の不織布が2層以上からなる不織布積層体を含んでいてもよく、本開示の不織布と、本開示の不織布以外のその他の層とを含む不織布積層体を含んでいてもよい。
【実施例】
【0060】
以下、実施例に基づいて本発明の実施形態について更に具体的に説明するが、本発明は、本発明の一実施形態であるこれらの実施例に限定されるものではない。
各実施例及び各比較例における物性値等は、以下の方法により測定した。評価結果は表1、2に示す通りである。
【0061】
(1)目付〔g/m2〕
不織布積層体から、流れ方向(MD)が100mm、横方向(CD)が100mmの試験片を10枚採取した。なお、採取箇所はCD方向にわたって10箇所とした。次いで、23℃、相対湿度50%RH環境下で、採取した各試験片の質量(g)を上皿電子天秤(研精工業社製)を用いてそれぞれ測定した。各試験片の質量の平均値を求めた。求めた平均値から1m2当たりの質量(g)に換算し、小数点第1位を四捨五入して、スパンボンド不織布の目付〔g/m2〕とした。
【0062】
(2)窒素質量分率
三菱ケミカルアナリテック株式会社(現社名:日東精工アナリテック株式会社)製の微量全窒素分析装置TN―110型を用い、燃焼炉温度900℃の条件にて、アミノ変性シリコーンオイル約3mg~5mgの窒素質量分率を測定した。
なお、測定は3回行い、得られた結果の平均値を採用した。
【0063】
(3)繊維間静摩擦係数μs及び繊維間動摩擦係数μk
株式会社トリニティーラボ製の摩擦試験機TL201Tsを用い、不織布積層体における繊維間静摩擦係数μs及び繊維間動摩擦係数μkの測定を行った。付属の指紋パターン付きウレタン製の接触子に、得られた不織布積層体より採取した40mm(MD)×12mm(CD)の試験片を取付けたものを用い、また、得られた不織布積層体から、250mm(MD)×40mm(CD)の試験片を採取し、摺動方向が試験片のMDとなるようステージに設置した。測定条件を、温度23±2℃、湿度40±5%の環境で、荷重50gf、摺動速度100mm/secとし測定して、繊維間動摩擦係数μk、及び、摺動初期の摩擦係数のピークに対応する繊維間静摩擦係数μsを得た。なお、測定は、3回実施し、得られた結果の平均値を採用した。
【0064】
(4)触感評価
不織布を取り扱っている研究者を官能試験者として5人集め、テーブルに各実施例及び各比較例の不織布積層体(サイズ20cm×25cm)を準備した。官能試験者に対し、各実施例及び各比較例の不織布積層体の触感について、以下の評価基準に基づいて評価するように求めた。このとき、比較例5の滑材が塗布されていない不織布積層体を評点1とし、それを基準とした。各実施例及び各比較例にて5人の各官能試験者の評点を平均し、触感評価の評価値とした。不織布積層体のしっとり感としては、ざらつきの少なさ、滑らかさ及び適度なぬめりの感覚から評価を行った。なお、評価時の温度は23℃~23.5℃、湿度は38%~43%であった。
-評価基準-
1点:比較例5の不織布積層体と同等の触感であった。
2点:比較例5の不織布積層体よりややしっとり感が優れている。
3点:比較例5の不織布積層体よりしっとり感が優れている。
4点:比較例5の不織布積層体よりとてもしっとり感が優れている。
5点:比較例5の不織布積層体より非常にしっとり感が優れている。
【0065】
(実施例1)
<不織布の製造>
メルトフローレート(ASTM D-1238、230℃、荷重2,160g)60g/10分、融点162℃、のプロピレン単独重合体(h-PP)をスパンボンド法により溶融紡糸を行い、捕集面上に堆積させることで繊維からなる7.5gの不織布ウェブを得た。
この繊維の平均繊維径は、2.0d(デニール)であった。
不織布ウェブを2層に重ね、不織布ウェブ層を2層備える積層ウェブとし、1層目の不織布ウェブ層側にエンボスの凸部の面積が18%の楕円形エンボスロールを接触させ、2層目の不織布層側に鏡面ロールを接触させて145℃で熱圧着し、不織布積層体を得た。不織布積層体の総目付は15g/m2であった。
【0066】
窒素質量分率が3300μg/gである側鎖型ジアミノシリコーン(信越化学工業社 KF869、25℃での動粘度1500mm2/s)をノルマルヘキサンで希釈し、0.25質量%の濃度のアミノ変性シリコーン溶液を得た。得られた不織布積層体に、均一になるようにアミノ変性シリコーン溶液を塗布した。
アミノ変性シリコーン溶液を付着させて得られた不織布積層体の物性を既述の方法にしたがって測定した。不織布積層体に付着しているアミノ変性シリコーンの塗布量を、下記の式(1)より求めたところ、0.50質量%であった。
[(塗布後の不織布質量(g)-塗布前の不織布質量(g))/塗布前の不織布質量(g)]×アミノ変性シリコーン溶液の濃度(質量%)・・・(1)
【0067】
(実施例2)
実施例1にて、側鎖型ジアミノシリコーン(信越化学工業社 KF869)を窒素質量分率が6900μg/gである側鎖型ジアミノシリコーン(信越化学工業社 KF861、25℃での動粘度3500mm2/s)に変更した以外は実施例1と同様にしてアミノ変性シリコーンが付着した不織布積層体を得た。
【0068】
(実施例3)
実施例1にて、側鎖型ジアミノシリコーン(信越化学工業社 KF869)を窒素質量分率が3700μg/gである側鎖型ジアミノシリコーン(信越化学工業社 KF864、25℃での動粘度1700mm2/s)に変更した以外は実施例1と同様にしてアミノ変性シリコーンが付着した不織布積層体を得た。
【0069】
(実施例4)
不織布ウェブ層を下記のように変更した以外は実施例2と同様にして不織布積層体を得た。
MFR60g/10分、融点162℃、プロピレン重合体(h-PP)(75質量%)及びMFR60g/10分、融点142℃、エチレン含量4質量%のプロピレン・エチレンランダム共重合体(r-PP)(25質量%)にエルカ酸アミドを2000ppm含ませた混合物を用いてスパンボンド法により溶融紡糸を行い、繊維からなる第1不織布ウェブ(1層目)を移動捕集面上に堆積させた。
MFR60g/10分、融点162℃、プロピレン重合体(h-PP)(75質量%)及びMFR60g/10分、融点142℃、エチレン含量4質量%のプロピレン・エチレンランダム共重合体(r-PP)(25質量%)の混合物を用いてスパンボンド法により溶融紡糸を行い、繊維からなる第2不織布ウェブ(2層目)及び第3不織布ウェブ(3層目)を第1の不織布ウェブ上にそれぞれ積層し、3層構造の積層ウェブを形成した。
この繊維は、平均繊維径が1.4dであった。
3層構造の積層ウェブの総目付は15g/m2であり、各層の目付はほぼ均等であった。次に、3層構造の積層ウェブを、3層目の不織布ウェブ層側に凸部の面積が11%の楕円形エンボスロールを接触させ、1層目の不織布ウェブ層側に鏡面ロールを接触させて157℃で熱圧着し、不織布積層体を得た。不織布積層体の総目付は15g/m2であった。
【0070】
(実施例5)
不織布ウェブ層を下記のように変更した以外は実施例2と同様にして不織布積層体を得た。この捲縮複合繊維は、平均繊維径が1.3dであった。
芯成分として下記の熱可塑性重合体と、鞘成分として下記の熱可塑性重合体とを用い、スパンボンド法により複合溶融紡糸を行い、芯成分/鞘成分の質量比が40/60である偏芯芯鞘型の捲縮複合繊維からなる第1不織布ウェブ(1層目)を移動捕集面上に堆積させた。なお、前述の熱可塑性重合体には、捲縮複合繊維にてエルカ酸アミドの含有率が2000ppmになるようにエルカ酸アミドを含ませた。
-芯成分-
MFR:60g/10分、融点162℃、のプロピレン単独重合体(h-PP)
-鞘成分-
MFR60g/10分、融点142℃、エチレン含量4質量%のプロピレン・エチレンランダム共重合体(r-PP)
【0071】
実施例5にて、第1の不織布ウェブと同様の構成である第2の不織布ウェブを第1の不織布ウェブ上に堆積させた。
次に、MFR60g/10分、融点162℃、プロピレン重合体(h-PP)(60質量%)及びMFR60g/10分、融点142℃、エチレン含量4質量%のプロピレン・エチレンランダム共重合体(r-PP)(40質量%)にエルカ酸アミドを1500ppm含ませた混合物を用いてスパンボンド法により溶融紡糸を行い、平均繊維径が1.3dである非捲縮型繊維からなるからなる第3不織布ウェブ(3層目)を第2の不織布ウェブ上に堆積させた。
3層構造の積層ウェブの総目付は17g/m2であり、各層の目付はほぼ均等であった。次に、3層構造の積層ウェブを、1層目の不織布ウェブ層側に凸部の面積が11%の楕円形エンボスロールを接触させ、3層目の不織布ウェブ層側に鏡面ロールを接触させて143℃で熱圧着し、不織布積層体を得た。不織布積層体の総目付は17g/m2であった。
【0072】
(実施例6)
不織布ウェブ層を下記のように変更した以外は実施例2と同様にして不織布積層体を得た。
MFR60g/10分、融点162℃、プロピレン重合体(h-PP)をスパンボンド法により溶融紡糸を行い、繊維からなる第1不織布ウェブ(1層目)を移動捕集面上に堆積させた。第1の不織布ウェブと同様の構成である第2不織布ウェブ(2層目)及び第3不織布ウェブ(3層目)を第1の不織布ウェブ上にそれぞれ積層し、3層構造の積層ウェブを形成した。
この繊維は、平均繊維径が1.4dであった。
3層構造の積層ウェブの総目付は13g/m2であり、各層の目付はほぼ均等であった。次に、3層構造の積層ウェブを、3層目の不織布ウェブ層側に凸部の面積が11%の楕円形エンボスロールを接触させ、1層目の不織布ウェブ層側に鏡面ロールを接触させて157℃で熱圧着し、不織布積層体を得た。不織布積層体の総目付は13g/m2であった。
【0073】
(実施例7~12)
実施例2にて、不織布積層体に付着しているアミノ変性シリコーンの塗布量を表1に記載した値に変更した以外は、実施例2と同様にしてアミノ変性シリコーンが付着した不織布積層体を得た。
【0074】
(実施例13)
窒素質量分率が6700μg/gであるアミノ変性シリコーンを10%含むエマルジョン(東邦化学工業株式会社、THS-3710)をエタノールで希釈し、実施例1で使用したノルマルヘキサンで希釈したアミノ変性シリコーン溶液の代わりに、エタノールで希釈したアミノ変性シリコーン溶液を用いた以外は実施例1と同様にしてアミノ変性シリコーンが付着した不織布積層体を得た。
【0075】
(実施例14)
窒素質量分率が5200μg/gであるアミノ変性シリコーンを30%含むエマルジョン(信越化学工業社、POLON-MF-14EC)を水で希釈し、実施例1で使用したノルマルヘキサンで希釈したアミノ変性シリコーン溶液の代わりに、水で希釈したアミノ変性シリコーン溶液を用いた以外は実施例1と同様にしてアミノ変性シリコーンが付着した不織布積層体を得た。
【0076】
(実施例15)
実施例1にて、側鎖型ジアミノシリコーン(信越化学工業社 KF869)を窒素質量分率が2200μg/gである両末端型アミノ変性シリコーン(信越化学工業社 KF8008、25℃での動粘度450mm2/s、官能基当量5700g/mol)に変更した以外は実施例1と同様にしてアミノ変性シリコーンが付着した不織布積層体を得た。
【0077】
(比較例1)
実施例1にて、側鎖型ジアミノシリコーン(信越化学工業社 KF869)を窒素質量分率が1800μg/gである側鎖型ジアミノシリコーン(信越化学工業社 KF860、25℃での動粘度250mm2/s)に変更した以外は実施例1と同様にしてアミノ変性シリコーンが付着した不織布積層体を得た。
【0078】
(比較例2)
比較例1にて、不織布積層体に付着しているアミノ変性シリコーンの塗布量を2.00質量%に変更した以外は、比較例1と同様にしてアミノ変性シリコーンが付着した不織布積層体を得た。
【0079】
(比較例3)
実施例1にて、アミノ変性シリコーンの代わりにエルカ酸アミドを不織布積層体に付着させた以外は、実施例1と同様にしてエルカ酸アミドが付着した不織布積層体を得た。
【0080】
(比較例4)
実施例1にて、アミノ変性シリコーンの代わりにベヘン酸を不織布積層体に付着させた以外は、実施例1と同様にしてベヘン酸が付着した不織布積層体を得た。
【0081】
(比較例5)
実施例1におけるアミノ変性シリコーンを塗布していない不織布積層体を、比較例5の不織布積層体とした。
【0082】
実施例1~実施例15の各評価結果を表1に記載し、比較例1~比較例5の各評価結果を表2に記載する。
【0083】
【0084】
【0085】
表1、2に示すように、μs/μkが1.20以下であり、μsが0.40以下である実施例1~15の不織布積層体は、μs/μkが1.20よりも大きいこと、及び、μsが0.40を超えることの少なくとも一方を満たす比較例1~5の不織布積層体よりも触感評価の評価値の値が高く、しっとり感に優れることが確認できた。
【0086】
2020年7月31日に出願された日本国特許出願2020-131012号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。