(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
B60W 40/08 20120101AFI20241127BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
B60W40/08
G08G1/00 D
(21)【出願番号】P 2022558593
(86)(22)【出願日】2021-03-31
(86)【国際出願番号】 JP2021013888
(87)【国際公開番号】W WO2022208751
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 勇司
(72)【発明者】
【氏名】前田 秀二
(72)【発明者】
【氏名】梅田 和暉
【審査官】鶴江 陽介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/077867(WO,A1)
【文献】特開2020-009371(JP,A)
【文献】特開2012-118951(JP,A)
【文献】特開2019-093896(JP,A)
【文献】特開2013-191230(JP,A)
【文献】特開2015-141516(JP,A)
【文献】特開2010-038652(JP,A)
【文献】特開2014-089602(JP,A)
【文献】特開2014-200681(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00- 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者の運転操作を受け付ける少なくとも1つの運転操作部と、
前記運転操作部の運転操作を検知する少なくとも1つのセンサと、
運転者の健康状態に応じて変化する身体情報を計測する計測装置と、
前記センサおよび前記計測装置から信号が入力される制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
1つまたは複数のプロセッサと、
前記プロセッサに接続される1つまたは複数のメモリと、
を有し、
前記プロセッサは、
少なくとも前記センサから入力される信号に基づいて、前記運転者の前記運転操作を評価する運転結果情報を導出し、
導出された前記運転結果情報を、前記計測装置によって計測された前記身体情報と紐付けて、履歴情報として記憶装置に保存するための処理を実行し、
新たな前記運転結果情報を新たに導出する際の身体情報
と同じような健康状態での身体情報に紐付けられている履歴情報を、前記記憶装置に保存され
た履歴情報
から読み出し、
前記新たな運転結果情報と、前記記憶装置
に保存された履歴情報から読み出した
、前記
同じような健康状態での身体情報に紐付けられている履歴情報と
、の比較結果に基づいて出力情報を出力する、
車両。
【請求項2】
前記運転操作部には、ステアリング、アクセルペダル、ブレーキペダルおよびシフトレバーの少なくともいずれか1つが含まれる、
請求項1に記載の車両。
【請求項3】
車外の情報が入力される入力装置を備え、
前記制御装置は、前記入力装置から信号が入力され、
前記プロセッサは、
前記入力装置から入力される信号に基づいて、前記運転操作部の適正な操作タイミング、操作量、操作時間のうちの少なくとも1つを含む適正情報を導出し、
前記センサから入力される信号と、前記適正情報とに基づいて、前記運転結果情報を導出する、
請求項1に記載の車両。
【請求項4】
前記運転結果情報は得点であり、
前記出力情報には、前記得点、前記得点の推移および前記得点に基づくランキングのうちの少なくとも1つが含まれる、
請求項1に記載の車両。
【請求項5】
前記出力情報には、車種の提案情報が含まれ、
前記プロセッサは、
前記運転結果情報または前記比較結果によって、異なる車種の前記提案情報を出力する、
請求項1に記載の車両。
【請求項6】
前記身体情報には、運転者の体温、心拍数、血圧の少なくともいずれかが含まれる、
請求項1に記載の車両。
【請求項7】
前記出力情報には、前記運転操作部の不適切な運転操作を示す情報が含まれる、
請求項1に記載の車両。
【請求項8】
前記プロセッサは、
無線通信により外部装置に前記出力情報を出力する、
請求項1に記載の車両。
【請求項9】
前記外部装置には、前記運転者と異なるユーザの端末が含まれる、
請求項8に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動車運転機能判断装置を備える車両が開示されている。特許文献1に示される自動車運転機能判断装置は、車両と障害物とが衝突する危険度を判断する。危険度に関する情報を含む運転結果情報は、車両からデータベースに送信される。データベースには、様々な運転者の運転結果情報が蓄積される。
【0003】
上記の自動車運転機能判断装置によれば、正常な運転者の運転結果情報と、自身の運転結果情報との比較により、自身の運転に対する客観的な評価が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
運転者は、他人との比較による評価では、運転技術の低下を自認しにくい。したがって、上記の車両では、運転者に対して適切に注意を促すことができないという課題がある。
【0006】
本発明は、運転者に対して適切に注意を促すことが可能な車両を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一実施形態に係る車両は、
運転者の運転操作を受け付ける少なくとも1つの運転操作部と、
前記運転操作部の運転操作を検知する少なくとも1つのセンサと、
運転者の健康状態に応じて変化する身体情報を計測する計測装置と、
前記センサおよび前記計測装置から信号が入力される制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
1つまたは複数のプロセッサと、
前記プロセッサに接続される1つまたは複数のメモリと、
を有し、
前記プロセッサは、
少なくとも前記センサから入力される信号に基づいて、前記運転者の前記運転操作を評価する運転結果情報を導出し、
導出された前記運転結果情報を、前記計測装置によって計測された前記身体情報と紐付けて、履歴情報として記憶装置に保存するための処理を実行し、
新たな前記運転結果情報を新たに導出する際の身体情報と同じような健康状態での身体情報に紐付けられている履歴情報を、前記記憶装置に保存された履歴情報から読み出し、
前記新たな運転結果情報と、前記記憶装置に保存された履歴情報から読み出した、前記同じような健康状態での身体情報に紐付けられている履歴情報と、の比較結果に基づいて出力情報を出力する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、運転者に対して適切に注意を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】
図2は、車両が備える走行系装置の一例を説明する図である。
【
図3】
図3は、制御装置のハードウェアの構成を説明する図である。
【
図5】
図5は、割込み処理の一例を説明する図である。
【
図6】
図6は、走行中処理の一例を説明する図である。
【
図7】
図7は、適正情報導出処理の一例を説明する図である。
【
図8】
図8は、減速適正情報導出処理の一例を説明する図である。
【
図9】
図9は、操舵適正情報導出処理の一例を説明する図である。
【
図11】
図11は、加減速判定処理の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す具体的な寸法、材料、数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0011】
図1は、本実施形態の車両1を示す図である。
図1に示されるように、車両1は、車外カメラ3、車内カメラ5、ナビゲーションシステム7、計測装置9を備える。車外カメラ3は、例えば、車両1の車室に設けられ、車両1の前方を撮像する。つまり、車外カメラ3は、車両1の前方側の車外環境を撮像する。
図1には、2つの車外カメラ3が示されている。ただし、車外カメラ3の数は1つでもよいし、3つ以上でもよい。
【0012】
車内カメラ5は、車両1の車室に設けられる。車内カメラ5は、車室の前方側に設けられ、車室の前方側から後方側を撮像する。車内カメラ5により、主に、運転席に設けられるシートに着席する運転者の顔が撮像される。
【0013】
ナビゲーションシステム7は、表示器7aを備える。ナビゲーションシステム7は、表示器7aに、マップと、目的地までのルートとを表示する。
【0014】
計測装置9は、運転席に設けられるシートに内蔵され、運転者の身体情報を計測する。ここでは、計測装置9は、身体情報として、運転者の体温、心拍数、血圧等を計測する。なお、計測装置9は、運転者の身体に関する情報を計測するものであればよく、計測装置9によって計測される情報は限定されない。また、計測装置9は、必ずしもシートに内蔵されなくてもよい。計測装置9は、シートに着脱自在に構成されてもよい。また、計測装置9は、車外に持ち運び可能であってもよい。
【0015】
図2は、車両1が備える走行系装置の一例を説明する図である。本実施形態において、走行系装置とは、主に車両1を走行させるために設けられる機器、部品、装置を含む。
図2には、走行系装置の一部が示されている。車両1は、運転席に設けられるステアリング11、アクセルペダル13、ブレーキペダル15、シフトレバー17を備える。ここでは、運転者の操作を受け付ける運転操作部として、ステアリング11、アクセルペダル13、ブレーキペダル15、シフトレバー17が例示されている。
【0016】
ステアリング11は、運転者のステアリング操作を受け付ける。ステアリング操作は、車両1を旋回させるための運転操作である。アクセルペダル13およびブレーキペダル15は、それぞれ運転者の踏み込み操作を受け付ける。以下では、アクセルペダル13の踏み込み操作をアクセル操作と呼び、ブレーキペダル15の踏み込み操作をブレーキ操作と呼ぶ。アクセル操作は、車両1を加速させる運転操作である。ブレーキ操作は、車両1を減速させる運転操作である。
【0017】
シフトレバー17は、運転者によるシフトポジションの切り替え操作を受け付ける。なお、ここでは、車両1がオートマチック車であり、運転者の切り替え操作により、ドライブポジション、パーキングポジション等のシフトポジションが切り替わることとする。ただし、車両1がマニュアル車である場合、運転者の切り替え操作により、変速段が切り替わる。以下では、シフトレバー17に対する運転操作を、シフト操作と呼ぶ。
【0018】
また、車両1は、第1センサ11a、第2センサ13a、第3センサ15a、第4センサ17aを備える。ここでは、運転操作部の操作を検知するセンサとして、第1センサ11a、第2センサ13a、第3センサ15a、第4センサ17aが例示されている。
【0019】
第1センサ11aは、ステアリング操作、すなわち、ステアリング11の操舵角を検知する。第2センサ13aは、アクセル操作、すなわち、アクセルペダル13の踏み込み量を検知する。第3センサ15aは、ブレーキ操作、すなわち、ブレーキペダル15の踏み込み量を検知する。第4センサ17aは、シフト操作、すなわち、シフトレバー17のシフトポジションを検知する。
【0020】
車両1は、エレクトロニックコントロールユニット19を備える。エレクトロニックコントロールユニット19には、第1センサ11a、第2センサ13a、第3センサ15a、第4センサ17aから検知信号が入力される。エレクトロニックコントロールユニット19は、センサから入力される検知信号に基づいて制御対象21を制御する。
【0021】
ここでは、制御対象21として、エンジン23、パワーステアリング装置25、ブレーキ装置27、変速装置29が例示されているつまり、制御対象21は、車両の走行の動力を生成、伝達、変換する機器、部品、装置である。エレクトロニックコントロールユニット19は、制御対象21をそれぞれ制御するための複数のコントロールモジュールを含んで構成される。コントロールモジュールの一例としては、エンジン23を制御するエンジンコントロールモジュールが挙げられる。つまり、エレクトロニックコントロールユニット19は、車両1の走行に関する制御を担う。
【0022】
また、車両1は、エレクトロニックコントロールユニット19とは別に、制御装置100を備える。制御装置100は、運転者の運転技術を評価する装置である。より詳細には、制御装置100は、運転者の運転技術の低下を判定して、運転者に報知する。以下に、制御装置100について詳述する。
【0023】
図3は、制御装置100のハードウェアの構成を説明する図である。制御装置100は、1つのプロセッサ101を備える。プロセッサ101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含む。なお、制御装置100は、プロセッサ101を複数備えてもよい。
【0024】
また、制御装置100は、プロセッサ101に接続される1つのメモリ103を備える。メモリ103は、例えば、CPUが使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する記憶素子であるROM(Read Only Memory)、および、CPUの実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する記憶素子であるRAM(Random Access Memory)を含む。なお、制御装置100は、メモリ103を複数備えてもよい。
【0025】
いずれにしても、制御装置100は、1つまたは複数のプロセッサ101と、プロセッサ101に接続される1つまたは複数のメモリ103と、を有していればよい。また、制御装置100は、バス105および入出力インタフェース107を含んで構成される。
【0026】
バス105は、プロセッサ101とメモリ103とを接続する。また、バス105には、入出力インタフェース107が接続される。入出力インタフェース107には、記憶装置109、通信装置111、入力装置113、出力装置115が接続されている。したがって、プロセッサ101およびメモリ103は、バス105および入出力インタフェース107を介して、記憶装置109、通信装置111、入力装置113、出力装置115と接続される。
【0027】
記憶装置109は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体メモリで構成される。記憶装置109には、各種のデータが保存される。なお、記憶装置109は、制御装置100に設けられてもよいし、制御装置100に対して有線または無線により接続されてもよい。また、記憶装置109は、ネットワーク回線を介して車両1に接続されるサーバに設けられてもよい。
【0028】
通信装置111は、通信ネットワークを介して、各種データの送受信を行う装置である。
【0029】
入力装置113は、制御装置100に接続され、制御装置100に対して信号を入力する機器、部品、装置である。
【0030】
出力装置115は、ディスプレイ装置およびスピーカの少なくともいずれかを含んで構成される。なお、ここでは、ナビゲーションシステム7の表示器7aが出力装置115として機能する。ただし、出力装置115は、制御装置100の専用装置であってもよい。
【0031】
図4は、制御装置100の機能ブロック図である。
図4に示すように、制御装置100には、入力装置113として、車外カメラ3、車内カメラ5、ナビゲーションシステム7に設けられる操作受付部7b、計測装置9、第1センサ11a、第2センサ13a、第3センサ15a、第4センサ17a、車速センサ31、レーダセンサ33が接続される。なお、
図4には、入力装置113の一部の構成が例示されている。制御装置100には、
図4に示されていない入力装置113からも、さまざまな情報が入力される。
【0032】
制御装置100には、車外カメラ3が撮像した、車両1の前方側の画像である車外情報が入力される。制御装置100には、車内カメラ5が撮像した、車室内の画像である車内情報が入力される。
【0033】
制御装置100には、操作受付部7bの操作信号が入力される。なお、操作受付部7bは、ナビゲーションシステム7に対する運転者等の操作を受け付けるものである。例えば、操作受付部7bは、表示器7aに積層されるタッチパネル、ボタン、キーボード、マウスの少なくともいずれか1つで構成されてもよい。また、操作受付部7bは、運転者等の声が入力されるマイクを含んでもよい。
【0034】
制御装置100には、計測装置9が計測した身体情報が、無線通信または有線通信により入力される。制御装置100には、第1センサ11aが検知したステアリング11の操舵角を示す舵角情報が入力される。制御装置100には、第2センサ13aが検知したアクセルペダル13の踏み込み量を示すアクセル情報が入力される。制御装置100には、第3センサ15aが検知したブレーキペダル15の踏み込み量を示すブレーキ情報が入力される。制御装置100には、第4センサ17aが検知したシフトレバー17のシフトポジションを示すシフト情報が入力される。
【0035】
車速センサ31は、車両1の現在の速度を検出する。制御装置100には、車速センサ31から車速情報が入力される。
【0036】
レーダセンサ33は、車両1の前方に設けられ、前方車両等との車間距離を計測する。制御装置100には、レーダセンサ33から車間距離情報が入力される。なお、レーダセンサ33は、車間距離制御装置と兼用されてもよいし、制御装置100の専用装置であってもよい。また、車両1に車間距離制御装置が搭載される場合、車間距離制御装置から制御装置100に車間距離情報が入力されてもよい。
【0037】
制御装置100には、記憶装置109が接続される。制御装置100は、記憶装置109に情報を保存することができる。また、制御装置100は、記憶装置109に保存された情報を読み出すことができる。記憶装置109は、一時記憶領域109a、履歴情報記憶領域109b、車種情報記憶領域109cを含む。一時記憶領域109a、履歴情報記憶領域109b、車種情報記憶領域109cの詳細は後述する。
【0038】
制御装置100には、出力装置115として、ナビゲーションシステム7の表示器7aが接続される。制御装置100は、表示器7aに画像を表示する画像表示処理を実行する。
【0039】
ここで、制御装置100のメモリ103には、多数のモジュールが格納されている。プロセッサ101は、入力装置113から入力される信号、情報に基づき、メモリ103のモジュールを動作させ、種々の演算処理を実行する。プロセッサ101は、各種のモジュールを動作させることで、以下に説明する機能部として機能する。
【0040】
機能部には、車外情報導出部201、走行情報導出部203、操作情報導出部205、適正情報導出部207、判定部209、計時部211、不適切操作情報蓄積部213、運転結果情報導出部215、運転結果情報保存部217、履歴情報読出部219、差分導出部221、出力情報生成部223、運転者特定部225、計測部227、出力部229が含まれる。
【0041】
車外情報導出部201は、車外カメラ3から入力される車外情報を取得し、一時記憶領域109aに記憶する。車外情報導出部201は、所定時間おきに車外情報を記憶する。なお、車外情報導出部201は、予め定められた上限数の範囲内で車外情報を時系列に記憶する。車外情報が上限数に達した場合には、最も古い車外情報から順に破棄される。車外情報には、例えば、車両1の前方の車両、信号機、走行レーンが示される。車外情報導出部201は、時系列に記憶される車外情報を比較し、車外情報の変位を導出する。なお、一時記憶領域109aには、少なくとも2つの車外情報が記憶されればよい。
【0042】
走行情報導出部203は、走行の状態を判別可能な走行情報を取得し、一時記憶領域109aに記憶する。走行情報導出部203は、所定時間おきに走行情報を記憶する。なお、走行情報の一例としては、車速センサ31から入力される車速情報、不図示の加速度センサから入力される加速度情報等が挙げられる。走行情報導出部203は、予め定められた上限数の範囲内で走行情報を時系列に記憶する。走行情報が上限数に達した場合には、最も古い走行情報から順に破棄される。走行情報導出部203は、時系列に記憶される走行情報を比較し、走行情報の変位を導出する。なお、一時記憶領域109aには、少なくとも2つの走行情報が記憶されればよい。
【0043】
操作情報導出部205は、制御対象21に対する運転操作を示す運転操作情報を取得し、一時記憶領域109aに記憶する。操作情報導出部205は、所定時間おきに運転操作情報を記憶する。なお、運転操作情報の一例としては、第1センサ11a、第2センサ13a、第3センサ15a、第4センサ17aから入力される舵角情報、アクセル情報、ブレーキ情報、シフト情報等が挙げられる。操作情報導出部205は、予め定められた上限数の範囲内で運転操作情報を時系列に記憶する。運転操作情報が上限数に達した場合には、最も古い運転操作情報から順に破棄される。操作情報導出部205は、時系列に記憶される運転操作情報を比較し、運転操作情報の変位を導出する。なお、一時記憶領域109aには、少なくとも2つの運転操作情報が記憶されればよい。
【0044】
適正情報導出部207は、車外情報導出部201が導出した車外情報の変位、および、走行情報導出部203が導出した走行情報の変位に基づき、適正情報を導出する。本実施形態において、適正情報とは、運転操作部の適正な運転操作を示す情報である。なお、適正な運転操作には、いずれかの運転操作部の適正な操作タイミング、操作量、操作時間のうちの少なくとも1つが含まれるとよい。
【0045】
例えば、適正情報導出部207は、適正情報として、ブレーキペダル15を踏み込む適切なタイミングを示す適正ブレーキタイミング、ブレーキペダル15の適切な踏み込み量を示す必要ブレーキ量を導出する。また、適正情報導出部207は、適正情報として、ステアリング11を操作する適切なタイミングを示す適正操舵タイミング、ステアリング11の適切な操舵角を示す最適操舵角を導出する。
【0046】
判定部209は、運転者が適切な運転操作を行っているかを判定する。具体的には、判定部209は、適正情報導出部207が導出した適正情報と、操作情報導出部205が導出した運転操作情報とに基づいて、運転者が適切な運転操作を行っているかを判定する。また、判定部209は、操作情報導出部205が導出した運転操作情報に基づいて、急加速、急旋回等、不適切と考えられる運転操作がなされたかを判定する。
【0047】
計時部211は、適正ブレーキタイミングから、ブレーキ操作が入力されるまでの遅延時間を計時する。また、計時部211は、適正操舵タイミングから、ステアリング操作が入力されるまでの遅延時間を計時する。
【0048】
不適切操作情報蓄積部213は、不適切操作情報を一時記憶領域109aに記憶する。不適切操作情報には、計時部211が計時した遅延時間が含まれる。なお、不適切操作情報蓄積部213は、遅延時間と現在時刻とを紐付けて一時記憶領域109aに記憶してもよい。一時記憶領域109aには、複数の不適切操作情報が時系列で蓄積される。
【0049】
また、不適切操作情報には、不適切と考えられる運転操作がなされた回数を示す回数情報が含まれる。不適切操作情報蓄積部213は、判定部209により、急加速、急旋回等、不適切と考えられる運転操作がなされたと判定された場合に、回数情報を更新する。
【0050】
運転結果情報導出部215は、運転者の運転操作を評価する運転結果情報を導出する。運転結果情報導出部215は、一時記憶領域109aに蓄積された不適切操作情報に基づいてスコアを算出する。例えば、運転結果情報導出部215は、一時記憶領域109aに記憶された遅延時間を合計してスコアを算出する。また、例えば、運転結果情報導出部215は、一時記憶領域109aに記憶された回数情報に基づいて、スコアを算出する。つまり、運転結果情報導出部215は、運転結果情報として得点を導出する。
【0051】
運転結果情報保存部217は、運転結果情報導出部215が導出した運転結果情報を、履歴情報記憶領域109bに保存する。なお、運転結果情報には、日時情報および身体情報が紐付けられている。また、運転結果情報は、運転者識別情報に紐付けて保存される。運転者識別情報は、運転者を識別する情報であり、例えば、運転者の顔認証画像ごとに設定される運転者IDである。運転結果情報保存部217は、運転者IDに紐付けて、運転結果情報を保存する。履歴情報記憶領域109bには、運転者IDごとに、運転結果情報が時系列で複数保存される。また、運転結果情報には、遅延時間および回数情報のいずれか一方または双方が含まれてもよい。以下では、履歴情報記憶領域109bに保存された運転結果情報を履歴情報と呼ぶ。
【0052】
履歴情報読出部219は、予め定められた読出条件にしたがって、履歴情報記憶領域109bに保存されている履歴情報を読み出す。例えば、現在の日時に対して、1年前、半年前等、所定日数遡った比較日が定められているとする。この場合、履歴情報読出部219は、比較日に最も近い日時情報が紐付けられた運転結果情報を読み出してもよい。さらには、履歴情報読出部219は、最新の運転結果情報に紐付けられた身体情報と最も近似する身体情報が紐付けられた履歴情報を読み出してもよい。
【0053】
差分導出部221は、運転結果情報導出部215が導出した運転結果情報と、履歴情報読出部219が読み出した履歴情報との差分を導出する。換言すれば、差分導出部221は、運転結果情報と履歴情報とを比較する。
【0054】
出力情報生成部223は、出力情報を生成する。出力情報は、例えば、運転技術の低下を示唆する情報、運転免許の返納を促す情報としてもよい。また、出力情報には、運転結果情報である得点、得点の推移および得点に基づくランキングのうちの少なくとも1つが含まれてもよい。
【0055】
また、出力情報には、車種の提案情報が含まれてもよい。例えば、出力情報生成部223は、運転結果情報または差分によって、異なる車種の提案情報を生成してもよい。一例として、スコアが悪いほど、運転支援システムが多機能な車種が提案されるとよい。また、例えば、運転結果情報に遅延時間が含まれる場合において、ブレーキ操作に遅れが出ていれば、被害軽減ブレーキ性能の高い車種が提案される。
【0056】
また、ステアリング操作に遅れが出ている場合には、車線逸脱抑制性能の高い車種が提案される。さらに、ブレーキ操作およびステアリング操作の双方に遅れが出ている場合には、被害軽減ブレーキ性能および車線逸脱抑制性能の高い車種が提案される。また、例えば、提案可能な車種として、同程度の機能を備える車種が複数存在する場合に、車両1の車種情報を取得し、車両1の車種と同程度、あるいは、車両1の車種よりも小さい車種が選択的に提案されてもよい。
【0057】
なお、車種情報は、車種情報記憶領域109cに記憶されている。また、車種情報記憶領域109cには、遅延時間、回数情報、差分すなわち運転技術の低下度合い、スコア等と、提案する車種情報とが紐付けられた車種選択情報が記憶されている。出力情報生成部223は、車種選択情報に基づいて、いずれかの車種情報を抽出し、抽出した車種情報に基づいて出力情報を生成することができる。
【0058】
運転者特定部225は、運転者を特定する。具体的には、運転者特定部225は、車内カメラ5から入力される車内画像情報を解析し、運転者を特定する。
【0059】
計測部227は、計測装置9から入力される身体情報を解析し、一時記憶領域109aに記憶する。
【0060】
出力部229は、出力情報生成部223が生成した出力情報を出力する。具体的には、出力部229は、表示器7aに、生成した出力情報である画像を表示する。
【0061】
次に、上記の各機能部が実行する処理について詳述する。
【0062】
図5は、割込み処理の一例を説明する図である。プロセッサ101は、エンジン23の駆動中、
図5に示す割込み処理を、所定時間間隔で繰り返し実行する。プロセッサ101は、エンジン23の起動操作の入力時ではなく(S1のNO)、エンジン23の停止操作の入力時でもない場合(S2のNO)、走行中処理(S100)を実行する。また、プロセッサ101は、エンジン23の停止操作の入力時(S2のYES)に、停止時処理(S200)を実行する。また、プロセッサ101は、エンジン23の起動操作の入力時(S1のYES)に、起動時処理(S300)を実行する。
【0063】
図6は、走行中処理の一例を説明する図である。車外情報導出部201は、車外カメラ3から車外情報を取得する(S100-1)。次に、車外情報導出部201は、取得した車外情報を一時記憶領域109aに記憶する(S100-2)。次に、車外情報導出部201は、新たに記憶した車外情報と、1つ前に記憶された車外情報との変位を導出する(S100-3)。
【0064】
次に、走行情報導出部203は、走行の状態を判別可能な走行情報を取得する(S100-4)。次に、走行情報導出部203は、取得した走行情報を一時記憶領域109aに記憶する(S100-5)。次に、走行情報導出部203は、新たに記憶した走行情報と、1つ前に記憶された走行情報との変位を導出する(S100-6)。
【0065】
次に、操作情報導出部205は、運転操作を判別可能な運転操作情報を取得する(S100-7)。ここでは、操作情報導出部205は、第1センサ11a、第2センサ13a、第3センサ15a、第4センサ17aから入力される舵角情報、アクセル情報、ブレーキ情報、シフト情報等を取得する。次に、操作情報導出部205は、取得した運転操作情報を一時記憶領域109aに記憶する(S100-8)。次に、操作情報導出部205は、新たに記憶した運転操作情報と、1つ前に記憶された運転操作情報との変位を導出する(S100-9)。
【0066】
次に、適正情報導出部207は、適正情報導出処理(S110)を実行する。適正情報導出処理(S110)については、
図7から
図9を用いて後述する。次に、判定部209は、判定処理(S120)を実行する。判定処理(S120)については、
図10から
図12を用いて後述する。
【0067】
図7は、適正情報導出処理の一例を説明する図である。適正情報導出部207は、適正情報導出処理において、減速適正情報導出処理(S111)、操舵適正情報導出処理(S112)、その他適正情報導出処理(S113)を順に実行する。なお、適正情報導出処理(S110)における各処理の順番は、適宜入れ替えることができる。
【0068】
図8は、減速適正情報導出処理の一例を説明する図である。適正情報導出部207は、S100-3で導出された車外情報の変位、および、S100-6で導出された走行情報の変位に基づき、ブレーキ操作を行うべきタイミングである要ブレーキタイミングの開始時であるかを判定する(S111-1)。つまり、ここでは、ブレーキ操作を開始するべきタイミングであるかが判定される。
【0069】
なお、適正情報導出部207は、例えば、車両1と前方車両との車間距離が小さくなっている場合に、要ブレーキタイミングの開始時であると判定する。また、適正情報導出部207は、車外情報に基づき、前方の信号機が赤である場合に、要ブレーキタイミングの開始時であると判定する。ここでは、ブレーキ操作がなされていない場合に、要ブレーキタイミングの開始時であると判定される。また、例えば、ブレーキ操作中であっても、さらに、ブレーキペダル15を踏み込んで、制動力を現在よりも高める必要がある場合にも、要ブレーキタイミングの開始時であると判定され得る。
【0070】
要ブレーキタイミングの開始時であると判定された場合(S111-1のYES)、適正情報導出部207は、要ブレーキフラグをオンする(S111-2)。次に、適正情報導出部207は、必要ブレーキ量を導出して一時記憶領域109aに記憶する(S111-3)。なお、必要ブレーキ量は、例えば、ブレーキペダル15の踏み込み量である。
【0071】
また、要ブレーキタイミングの開始時ではないと判定された場合(S111-1のNO)、適正情報導出部207は、S100-3で導出された車外情報の変位、および、S100-6で導出された走行情報の変位に基づき、要ブレーキタイミングの終了時であるかを判定する(S111-4)。なお、要ブレーキタイミングの開始後、ブレーキ量が必要ブレーキ量に達することで、要ブレーキタイミングの終了時であると判定される。
【0072】
要ブレーキタイミングの終了時であり(S111-4のYES)、要ブレーキフラグがオンであれば(S111-5のYES)、適正情報導出部207が要ブレーキフラグをオフする(S111-6)。
【0073】
図9は、操舵適正情報導出処理の一例を説明する図である。適正情報導出部207は、S100-3で導出された車外情報の変位、および、S100-6で導出された走行情報の変位に基づき、ステアリング操作を行うべきタイミングである要操舵タイミングの開始時であるかを判定する(S112-1)。つまり、ここでは、ステアリング操作を開始するべきタイミングであるかが判定される。
【0074】
なお、適正情報導出部207は、例えば、車外情報に基づいて車道のレーンを解析することで、道なりがカーブであることを把握することができる。そして、適正情報導出部207は、道なりがカーブである場合に、現在の速度、ステアリング操作の有無等により、要操舵タイミングの開始時であると判定する。ここでは、ステアリング操作がなされていない場合に、要操舵タイミングの開始時であると判定される。また、例えば、ステアリング操作中であっても、さらに、操舵角を大きくする必要がある場合にも、要操舵タイミングの開始時であると判定され得る。
【0075】
要操舵タイミングの開始時であると判定された場合(S112-1のYES)、適正情報導出部207は、要操舵フラグをオンする(S112-2)。次に、適正情報導出部207は、必要操舵角を導出して一時記憶領域109aに記憶する(S112-3)。
【0076】
また、要操舵タイミングの開始時ではないと判定された場合(S112-1のNO)、適正情報導出部207は、S100-3で導出された車外情報の変位、および、S100-6で導出された走行情報の変位に基づき、要操舵タイミングの終了時であるかを判定する(S112-4)。なお、要操舵タイミングの開始後、操舵角が必要操舵角に達することで、要操舵タイミングの終了時であると判定される。
【0077】
要操舵タイミングの終了時であり(S112-4のYES)、要操舵フラグがオンであれば(S112-5のYES)、適正情報導出部207が要操舵フラグをオフする(S112-6)。
【0078】
以上のように、適正情報導出処理(S110)では、減速適正情報導出処理(S111)において、ブレーキ操作を行うべきタイミングであるかが判定される。また、操舵適正情報導出処理(S112)において、ステアリング操作を行うべきタイミングであるかが判定される。なお、その他適正情報導出処理(S113)では、ブレーキ操作およびステアリング操作以外の、その他の運転操作を行うべきタイミングであるかが判定される。例えば、S113で判定されるタイミングとしては、シフトポジションを切り替えるべきタイミングであるか、方向指示器を点灯させるタイミングであるか等が挙げられる。
【0079】
図10は、判定処理の一例を説明する図である。判定部209は、判定処理において、加減速判定処理(S121)、操舵判定処理(S122)、その他判定処理(S123)を順に実行する。なお、判定処理(S120)における各処理の順番は、適宜入れ替えることができる。
【0080】
図11は、加減速判定処理の一例を説明する図である。判定部209は、要ブレーキフラグがオンしている場合(S121-1のYES)、必要ブレーキ量のブレーキ操作があるかを判定する(S121-2)。なお、判定部209は、S100-8で記憶された運転操作情報に基づいて、現在のブレーキペダル15の踏み込み量が、必要ブレーキ量以上であるかを判定する。
【0081】
必要ブレーキ量のブレーキ操作がない場合(S121-2のNO)、計時部211は、遅延時間を計時する(S121-3)。具体的には、制御装置100は、遅延時間を計時するカウンタを備えている。計時部211は、カウンタのカウンタ値をインクリメントすることで、遅延時間を計時する。
【0082】
必要ブレーキ量のブレーキ操作がある場合(S121-2のYES)、不適切操作情報蓄積部213は、不適切操作情報を一時記憶領域109aに記憶する。ここでは、不適切操作情報として、S121-3で計時される遅延時間が記憶される。次に、計時部211は、計時時間をリセットする(S121-5)。次に、判定部209は、要ブレーキフラグをオフする(S121-6)。
【0083】
また、判定部209は、S100-6で導出された走行情報に基づき、車両1の加減速の時間の変位が閾値以上であるかを判定する(S121-7)。つまり、ここでは、急加速、急ブレーキがなされたかが判定される。加減速の時間の変位が閾値以上である場合(S121-7のYES)、不適切操作情報蓄積部213は、不適切操作情報を一時記憶領域109aに記憶する。ここでは、不適切操作情報として、急加速または急ブレーキの回数を示す回数情報が記憶される。
【0084】
なお、判定部209は、走行情報に代えて、あるいは、走行情報に加えて、運転操作情報に基づいて、加減速の時間の変位が閾値以上であるかを判定してもよい。例えば、アクセルペダル13の踏み込み量が閾値以上である場合に、急加速であると判定されてもよい。また、例えば、ブレーキペダル15の踏み込み量が閾値以上である場合に、急減速であると判定されてもよい。
【0085】
図12は、操舵判定処理の一例を説明する図である。判定部209は、要操舵フラグがオンしている場合(S122-1のYES)、必要操舵角のステアリング操作があるかを判定する(S122-2)。なお、判定部209は、S100-8で記憶された運転操作情報に基づいて、現在のステアリング11の操舵角が、必要操舵角以上であるかを判定する。
【0086】
必要操舵角のステアリング操作がない場合(S122-2のNO)、計時部211は、遅延時間を計時する(S122-3)。具体的には、制御装置100は、遅延時間を計時するカウンタを備えている。計時部211は、カウンタのカウンタ値をインクリメントすることで、遅延時間を計時する。なお、ステアリング操作の遅延時間を計時するカウンタは、ブレーキ操作の遅延時間を計時するカウンタとは別に設けられている。
【0087】
必要操舵角のステアリング操作がある場合(S122-2のYES)、不適切操作情報蓄積部213は、不適切操作情報を一時記憶領域109aに記憶する。ここでは、不適切操作情報として、S122-3で計時される遅延時間が記憶される。次に、計時部211は、計時時間をリセットする(S122-5)。次に、判定部209は、要操舵フラグをオフする(S122-6)。
【0088】
また、判定部209は、運転操作情報に基づき、操舵角の時間の変位が閾値以上であるかを判定する(S122-7)。つまり、ここでは、急旋回がなされたかが判定される。操舵角の時間の変位が閾値以上である場合(S122-7のYES)、不適切操作情報蓄積部213は、不適切操作情報を一時記憶領域109aに記憶する(S122-8)。ここでは、不適切操作情報として、急旋回の回数を示す回数情報が記憶される。
【0089】
以上のように、判定処理(S120)では、加減速判定処理(S121)において、ブレーキ操作が適切になされなかったことが判定される。また、操舵判定処理(S122)において、ステアリング操作が適切になされなかったことが判定される。なお、その他判定処理(S123)では、ブレーキ操作およびステアリング操作以外の、その他の運転操作が適切になされているか否かが判定される。例えば、S123では、シフトポジションが適切なタイミングで操作されなかったこと、方向指示器が適切なタイミングで点灯しなかったこと等が挙げられる。
【0090】
また、例えば、不適切操作情報として、修正操舵の回数が記憶されてもよい。修正操舵というのは、例えば、左カーブの走行中に、ステアリング11を左方向に操舵している途中で、ステアリング11を右方向に操舵するものである。つまり、本来、必要とされる操舵方向とは逆方向の操舵がなされた場合に、逆方向の操舵角速度が閾値以上であれば、修正操舵の回数が計数される。また、本来必要とされる操舵方向と同方向の操舵であっても、操舵角速度が閾値以上であれば、修正操舵の回数が計数されてもよい。
【0091】
図13は、停止時処理の一例を説明する図である。上記したように、停止時処理(S200)は、エンジン23の停止時に実行される。エンジン23の停止時に、プロセッサ101は、保存条件が成立しているかを判定する(S200-1)。なお、保存条件は、運転結果情報を履歴情報として履歴情報記憶領域109bに保存するための条件である。保存条件としては、例えば、走行距離あるいは走行時間が閾値以上であること、運転者が登録されていること、運転者の年齢が閾値以上であること、要ブレーキタイミングの回数および要操舵タイミングの回数のいずれか一方または双方が閾値以上であること等が挙げられる。
【0092】
保存条件が成立している場合(S200-1のYES)、運転結果情報導出部215は、運転結果情報を導出する(S200-2)。具体的には、運転結果情報導出部215は、一時記憶領域109aに記憶されている不適切操作情報に基づいて、スコアを算出する。なお、スコアの算出方法は特に限定されるものではない。例えば、遅延時間の合計時間、および、不適切操作情報の記憶数にそれぞれ重み付けがなされたうえで、スコアが算出される。ここでは、運転結果情報に、導出されたスコアと、不適切操作情報との双方が含まれている。
【0093】
次に、運転結果情報保存部217は、S200-2で導出された運転結果情報を履歴情報記憶領域109bに保存する(S200-3)。ここでは、運転結果情報保存部217は、運転結果情報および身体情報を、運転者識別情報に紐付けて履歴情報記憶領域109bに保存する。
【0094】
次に、履歴情報読出部219は、読出条件にしたがって、履歴情報記憶領域109bに保存されている履歴情報を読み出す(S200-4)。次に、差分導出部221は、S200-2で導出した運転結果情報と、S200-4で読み出した履歴情報との差分を導出する(S200-5)。ここでは、差分導出部221は、例えば、スコアの差分を導出する。つまり、差分導出部221は、運転結果情報と履歴情報との比較結果を導出する。
【0095】
そして、出力情報生成部223は、出力条件が成立しているかを判定する(S200-6)。出力条件としては、例えば、S200-5において導出された差分が閾値以上であること、スコアが閾値以上であることが挙げられる。出力条件が成立していると判定した場合(S200-6のYES)、出力情報生成部223は、出力情報を生成して記憶装置109に保存する(S200-7)。つまり、出力情報生成部223は、運転結果情報と、履歴情報記憶領域109bから読み出した履歴情報との差分に基づいて出力情報を生成する。換言すれば、出力情報生成部223は、運転結果情報と履歴情報との比較結果に基づいて出力情報を生成する。なお、出力情報生成部223は、運転者識別情報、すなわち、運転者IDを、出力情報に紐付けて記憶する。
【0096】
図14は、起動時処理の一例を説明する図である。上記したように、起動時処理(S300)は、エンジン23の起動時に実行される。運転者特定部225は、車内情報に基づいて、運転者を特定する(S300-1)。なお、詳しい説明は省略するが、記憶装置109には、顔認証画像と運転者IDとが紐付けられて記憶されている。ここでは、車内情報から、記憶装置109に記憶されている顔認証画像を抽出し、抽出した顔認証画像に対応する運転者IDを一時記憶領域109aに記憶する。なお、顔認証画像が抽出されなかった場合には、顔認証画像に、新たな運転者IDが紐付けられて記憶装置109に記憶される。上記のS200-3では、このS300-1で記憶された運転者IDを参照して、運転結果情報が保存される。
【0097】
次に、計測部227は、運転者の身体情報の計測を開始する(S300-2)。
【0098】
次に、出力部229は、S300-1で特定した運転者と同じ運転者IDに紐付けられた出力情報が、記憶装置109に保存されているかを判定する(S300-3)。つまり、ここでは、今回の運転者が過去にした運転操作に対する出力情報が保存されているかが判定される。そして、出力情報が保存されている場合には(S300-3のYES)、出力部229が出力情報を出力する(S300-4)。ここでは、今回の運転者の前回の運転終了時に保存された出力情報が、ナビゲーションシステム7の表示器7aに表示される。
【0099】
なお、ここでは、出力情報が、停止時処理において生成され、起動時処理において出力される。ただし、出力情報の生成、出力のタイミングはこれに限定されるものではない。例えば、エンジン23の停止時に出力情報が出力されてもよいし、運転中に出力情報が出力されてもよい。また、ここでは、運転中に不適切操作情報が蓄積され、蓄積された不適切操作情報に基づいて、運転結果情報が導出されることとした。ただし、運転結果情報は、運転中に更新されるものとし、不適切な運転操作がなされるたびに、スコアが更新されてもよい。
【0100】
以上のように、実施形態の車両1によれば、運転者の運転操作が、運転者自身の過去の運転操作と比較される。そのため、運転者は、出力情報により、運転技術の低下を自認しやすい。したがって、実施形態の車両1によれば、運転者に対して適切な注意喚起が実現される。また、例えば高齢の運転者に対して、運転免許を返納する動機付けともなり得る。
【0101】
また、上記実施形態では、身体情報を考慮した履歴情報が読み出される。これにより、同じような健康状態であったときの運転操作が比較されるため、より適切な運転結果情報が導出される。
【0102】
また、上記実施形態では、運転者に対して、より適した車種の提案がなされる。これにより、以後の運転時の安全性を高めることが可能となる。
【0103】
以上、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0104】
なお、上記実施形態では、運転者の運転技術を評価する制御装置100に、ナビゲーションシステム7の表示器7aおよび操作受付部7bが含まれる。ここで、制御装置100は、ナビゲーションシステム7の機能として設けられてもよい。つまり、ナビゲーションシステム7が、上記の運転者の運転技術を評価する制御装置100として機能してもよい。
【0105】
また、上記実施形態では、運転者の運転操作を受け付ける運転操作部として、ステアリング11、アクセルペダル13、ブレーキペダル15およびシフトレバー17が設けられる場合について説明した。ただし、上記した運転操作部は一例に過ぎない。ステアリング11、アクセルペダル13、ブレーキペダル15およびシフトレバー17のいずれか1または複数が運転操作部として設けられてもよいし、これらとは別の運転操作部が設けられてもよい。
【0106】
また、上記実施形態では、車外の情報が入力される入力装置113として、車外カメラ3およびレーダセンサ33が設けられる。制御装置100には、入力装置113から信号が入力される。そして、適正情報導出部207は、入力装置113から入力される信号に基づいて、運転操作部の適正な操作タイミング、操作量、操作時間のうちの少なくとも1つを含む適正情報を導出する。また、不適切操作情報蓄積部213および運転結果情報導出部215は、運転操作情報と、適正情報とに基づいて、不適切操作情報すなわち運転結果情報を導出する。また、不適切操作情報蓄積部213は、単に運転操作情報のみに基づいても、不適切操作情報を導出する。
【0107】
ただし、入力装置113は必須ではない。不適切操作情報蓄積部213は、単に運転操作情報のみに基づいて、不適切操作情報を導出してもよい。例えば、不適切操作情報蓄積部213は、急加速、急ブレーキ、急旋回の回数のみを不適切操作情報として導出してもよい。また、車外情報を識別するための入力装置113として、車外カメラ3およびレーダセンサ33のいずれか一方のみが設けられてもよいし、これらとは異なる機器が設けられてもよい。
【0108】
また、上記実施形態では、出力情報に車種の提案情報が含まれ、運転結果情報または比較結果によって、異なる車種の提案情報が出力されることとした。ただし、車種の提案情報は必須ではない。
【0109】
また、上記実施形態では、運転者の身体情報を計測する計測装置9を備え、計測装置9から入力される信号、運転結果情報および履歴情報に基づいて、出力情報が出力される。ただし、計測装置9は必須ではない。
【0110】
また、上記実施形態では、運転者を特定し、運転者によって出力情報の出力可否が判定されることとした。ただし、運転者の特定は必須ではない。例えば、車両1の運転者が一人に限られる場合には、運転者の特定は不要である。
【0111】
また、上記実施形態において、出力情報に、運転操作部の不適切な運転操作を示す情報、すなわち、不適切操作情報が含まれてもよい。つまり、どのような運転操作が不適切であったのかが運転者に報知されてもよい。例えば、上記実施形態において、ブレーキ操作の遅れ、ステアリング操作の遅れ、急加速、急ブレーキ等、発生した不適切な運転操作の内容、回数等が報知されてもよい。
【0112】
また、上記実施形態において、プロセッサ101は、無線通信により外部装置111に出力情報を出力してもよい。出力情報の出力先となる外部装置111の一例としては、運転者が所有する携帯端末、運転者と異なるユーザの端末が挙げられる。また、運転者と異なるユーザとしては、例えば、運転者の配偶者、子供等の親族が挙げられる。例えば、制御装置400に、予めメールアドレス等、出力情報の出力先が登録されており、登録された出力先に出力情報が出力されるとよい。これにより、運転免許の返納や安全運転がより促進され、社会的な安全性が向上する。
【0113】
また、上記実施形態および各種の変形例におけるプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に格納され、記憶媒体として提供されてもよい。また、上記実施形態および変形例は、各機能およびフローチャートに示すステップを実現する制御方法としてもよい。
【符号の説明】
【0114】
1 車両
11 ステアリング
11a 第1センサ
13 アクセルペダル
13a 第2センサ
15 ブレーキペダル
15a 第3センサ
17 シフトレバー
17a 第4センサ
100 制御装置
101 プロセッサ
103 メモリ
111 外部装置
113 入力装置