(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】電極端子およびその利用
(51)【国際特許分類】
H01M 50/566 20210101AFI20241127BHJP
H01M 50/557 20210101ALI20241127BHJP
H01M 50/567 20210101ALI20241127BHJP
H01M 50/505 20210101ALI20241127BHJP
H01M 50/516 20210101ALI20241127BHJP
H01M 50/562 20210101ALI20241127BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20241127BHJP
【FI】
H01M50/566
H01M50/557
H01M50/567
H01M50/505
H01M50/516
H01M50/562
H01M50/55 101
(21)【出願番号】P 2023068809
(22)【出願日】2023-04-19
(62)【分割の表示】P 2021015329の分割
【原出願日】2021-02-02
【審査請求日】2023-04-24
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 貴宏
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康介
【審査官】前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/020996(WO,A1)
【文献】特開2011-210725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/50-50/598
H01M50/20-50/298
H01G11/00-11/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池の電極端子であって、
金属製の第1部材と、金属製の第2部材とを備えており、
前記第1部材は、
前記第2部材と接続される円板状の接続部を有しており、
アルミニウム、全成分のうちアルミニウムを少なくとも70重量%含む合金、銅、あるいは、全成分のうち銅を少なくとも70重量%含む合金で構成されており、
前記第2部材は、
前記第1部材の前記接続部が挿入される挿入穴を有しており、
アルミニウム、全成分のうちアルミニウムを少なくとも70重量%含む合金、銅、あるいは、全成分のうち銅を少なくとも70重量%含む合金で構成されており、
前記挿入穴の内部に位置する、前記第1部材と前記第2部材との界面において、前記第1部材と前記第2部材とが互いに
直接溶接されて
おり、
前記第1部材と前記第2部材とは、前記挿入穴の内壁面の全面において、互いに直接溶接されており、
前記第2部材の表面には、溶接痕がない、電極端子。
【請求項2】
前記第1部材と前記第2部材とは、相互に異なる金属で構成されている、請求項1に記載の電極端子。
【請求項3】
前記挿入穴は、前記第2部材の一の表面に形成された非貫通の凹部である、請求項1または2に記載の電極端子。
【請求項4】
前記接続部の周縁部が前記挿入穴の内壁面にかしめられている、請求項1~3のいずれか一項に記載の電極端子。
【請求項5】
正極および負極を有する電極体と、
前記電極体を収容する電池ケースと、
前記正極に取り付けられた正極端子と、
前記負極に取り付けられた負極端子と、
を備える二次電池であって、
前記正極端子および前記負極端子の少なくともいずれか一方が、請求項1~4のいずれか一項に記載の電極端子により構成されている、二次電池。
【請求項6】
複数の単電池が相互に電気的に接続されて配列された組電池であって、
前記単電池として、請求項5に記載の二次電池を備える、組電池。
【請求項7】
前記配列された単電池間を電気的に接続するバスバーを備えており、
前記バスバーは、前記接続された単電池それぞれの前記第2部材の表面と面接触して溶接されており、
前記電池ケースの底面の面方向に直交する方向において、前記バスバーと前記第2部材とは、前記第1部材と前記第2部材との溶接部の略垂直線上で溶接されている、請求項6に記載の組電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極端子に関する。詳しくは、二次電池の電極端子であって、2つの金属部材が相互に溶接された電極端子およびその利用に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池等の二次電池は、既存の電池に比べて軽量かつエネルギー密度が高いことから、近年、電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、ハイブリッド自動車(HV)等の車両搭載用電源、あるいはパソコンおよび携帯端末等の電気製品等に搭載される電源として好ましく用いられている。
【0003】
この種の二次電池は、典型的には、正極および負極を有する電極体と、該電極体を収容する電池ケースと、正極に取り付けられた正極端子と、負極に取り付けられた負極端子と、を備えている。正負極端子は、複数の部材を有しており、これらが相互に接続されて、導電経路を形成している。複数の部材の接続に関して、特許文献1では、一の部材と他の部材とを相互に溶接することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のとおり、電極端子における導電経路の形成には、複数の部材が用いられている。各部材の表面には不可避的に凹凸が存在しており、当該凹凸によって、各部材間の界面に微小な隙間が生じ得る。このような隙間があると、部材間の界面抵抗が上昇する虞がある。これらのことは、電極端子における良好な導電経路の形成に支障をきたす虞があるため、好ましくない。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、二次電池の電極端子における導電性を向上する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここで開示される技術によると、二次電池の電極端子が提供される。この電極端子は、金属製の第1部材と、金属製の第2部材とを備えている。上記第1部材は、上記第2部材と接続される接続部を有している。上記第2部材は、上記第1部材の前記接続部が挿入される挿入穴を有している。上記挿入穴の内部における、上記第1部材と上記第2部材との界面において、上記第1部材と上記第2部材とが互いに溶接されている。かかる構成の電極端子では、挿入穴の内部に位置する、第1部材と第2部材との界面が溶接されることによって、部材間の微小な隙間を低減することができる。そのため、第1部材と第2部材との接触界面における導電性を向上させることができる。
【0008】
ここで開示される電極端子の好ましい一態様では、上記第1部材と上記第2部材とは、相互に異なる金属で構成されている。異種金属間の接触界面における抵抗は、同種金属間の接触界面における抵抗よりも大きくなり得る。かかる構成の電極端子では、異種金属同士の接触界面においても、導電性の向上が実現されている。
【0009】
また、他の好ましい一態様では、上記挿入穴は、上記第2部材の一の表面に形成された非貫通の凹部である。かかる構成によると、第2部材の挿入穴形成面の反対側の面を、第1部材の露出や溶接痕がない平坦面とすることができる。そのため、上記の効果に加えて、第2部材の挿入穴形成面の反対側の面と他の部材(例えばバスバー等)との好適な接合を実現することができる。
【0010】
また、他の好ましい一態様では、上記接続部は、円板状に形成されている。上記接続部の周縁部が上記挿入穴の内壁面にかしめられている。両部材をかしめることによって、当該部分の抵抗を高くすることができる。これによって、溶接時における当該部分での発熱量を大きくして、第1部材と第2部材との溶接をより容易にさせることができる。また、かしめによって、両部材の接合強度を向上させることができる。
【0011】
また、ここで開示される技術によると、正極および負極を有する電極体と、上記電極体を収容する電池ケースと、上記正極に取り付けられた正極端子と、上記負極に取り付けられた負極端子と、を備える二次電池が提供される。上記正極端子および上記負極端子の少なくともいずれか一方が、上記電極端子により構成されている。かかる構成の二次電池では、正極端子および/または負極端子における導電性の向上が実現されている。
【0012】
また、ここで開示される技術によると、複数の単電池が相互に電気的に接続されて配列された組電池が提供される。この組電池において、複数の単電池として、上記二次電池を備える。かかる構成の組電池では、少なくとも一つの単電池における電極端子における導電性の向上が実現されている。そのため、組電池の性能の向上が実現されている。
【0013】
好ましい一態様では、上記組電池は、配列された単電池間を電気的に接続するバスバーを備えている。上記バスバーは、上記接続された単電池それぞれの上記第2部材の表面と面接触して溶接されている。上記電池ケースの底面の面方向に直交する方向において、上記バスバーと上記第2部材とは、上記第1部材と上記第2部材との溶接部の略垂直線上で溶接されている。かかる構成の組電池によると、バスバーから単電池への導電経路の抵抗をより小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】一実施形態に係る電極端子を備える二次電池の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図2】一実施形態に係る電極端子を備える二次電池の構成を模式的に示す幅広面の断面図である。
【
図3】一実施形態に係る電極端子を備える二次電池の構成を模式的に示す幅狭面の断面図である。
【
図4】一実施形態に係る電極端子の製造における抵抗溶接を説明する模式図である。
【
図5】一実施形態に係る電極端子を備える二次電池の負極端子近傍を模式的に示す要部断面図である。
【
図6】一実施形態に係る電極端子を備える二次電池を単電池として含む組電池の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図7】一実施形態に係る電極端子を含む二次電池を備える組電池における、バスバー接続部位近傍を模式的に示す要部断面図である。
【
図8】一変形例に係る電極端子の製造における抵抗溶接を説明する模式図であり、第2部材表面に溶接プローブが当接された状態を、該表面の上方からみた図である。
【
図10】一変形例に係る電極端子の製造における抵抗溶接を説明する模式図であり、第2部材表面に溶接プローブが当接された状態を、該表面の上方からみた図である。
【
図12】一変形例に係る電極端子を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、ここで開示される技術の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、以下の各図面においては、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明している。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
【0016】
なお、本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充放電が可能な蓄電デバイス全般を指す用語であって、リチウムイオン二次電池、ナトリウムイオン二次電池、ニッケル水素電池等のいわゆる蓄電池(化学電池)と、電気二重層キャパシタなどのキャパシタ(物理電池)と、を包含する概念である。また、本明細書において「リチウムイオン二次電池」とは、電荷担体としてリチウムイオンを利用し、正負極間におけるリチウムイオンの移動にともなう電荷の移動によって充放電が実現される二次電池をいう。また、本明細書において「A~B」は、「A以上B以下」を意味しており、Aを上回り、かつ、Bを下回るものを包含する。また、本明細書において「Aを主体とする」は、全成分のうち、Aを少なくとも70重量%含むことをいう。
【0017】
ここで開示される二次電池は、繰り返し充放電可能な二次電池であり、例えばリチウムイオン二次電池である。
図1に示されるように、二次電池12は、おおまかにいって、電極体(図示なし)と、非水電解液(図示なし)と、電池ケース30とを有する。電池ケース30は、扁平な角型の容器であり、開口部を有する有底箱状の電池ケース本体32と、該開口部を封止する蓋体34とを有している。ケース本体32には、その内部に電極体と非水電解液とが収容されている。ケース本体32の開口部と蓋体34の縁部とはレーザー溶接等で封止されている。電池ケース30には、例えば、アルミニウム等の軽量で熱伝導性の良い金属材料が用いられている。
【0018】
図2に示されるように、電極体20は、二次電池12の発電要素であり、図示しない絶縁フィルム等で覆われた状態で、電池ケース30の内部に収容されている。電極体20は、長尺シート状の正極シート21と、長尺シート状の負極シート22とが、セパレータ23、24と介して、シート長手方向に捲回された捲回電極体である。正極21は、長尺な箔状の正極集電体21Aと、正極集電体21Aの片面または両面に長手方向に沿って形成された正極活物質層21Bと、を備えている。二次電池12の扁平な角型の電池ケース30の長辺方向における電極体20の一方の側縁部には、正極活物質層21Bが形成されておらず、正極集電体21Aが露出した正極集電体露出部21Cが設けられている。正極集電体21Aは、例えばアルミニウム箔であり得る。正極活物質層21Bには、正極活物質、バインダ、導電材等の種々の材料が含まれている。負極22は、長尺な箔状の負極集電体22Aと、当該負極集電体22Aの片面または両面に長手方向に沿って形成された負極活物質層22Bと、を備えている。また、上記長辺方向における電極体20の他方の側縁部には、負極活物質層22Bが形成されておらず、負極集電体22Aが露出した負極集電体露出部22Cが設けられている。負極集電体22Aは、例えば銅箔であり得る。負極活物質層22Bには、負極活物質やバインダ等の種々の材料が含まれている。セパレータ23、24は、正極21と負極22との間に介在し、これらの電極が直接接触することを防止する樹脂シートである。正極活物質層21B、負極活物質層22B、およびセパレータの構成材料としては、この種の二次電池に使用される材料を特に制限なく使用することができ、本発明を特徴づけるものではないため、ここでの記載は省略する。
【0019】
図1~3に示されるように、電池ケース30(蓋体34)は、正極端子40および負極端子50を備えている。正極端子40は、正極接続端子44と正極集電端子42とを備えている。正極接続端子44は、蓋体34のケース外側表面に配置される部位と、ケース内側に配置される部位とを有する。正極接続端子44は、電池ケース30の内部で正極集電端子42に接続されている。正極集電端子42は、正極集電体露出部21Cに接続されている。負極端子50は、負極接続端子54と負極集電端子52とを備えている。負極接続端子54は、蓋体34のケース外側表面に配置される部位と、ケース内側に配置される部位とを有する。負極接続端子54は、電池ケース30の内部で負極集電端子52に接続されている。負極集電端子52は、負極集電体露出部22Cに接続されている。
【0020】
二次電池12において、正極接続端子44および負極接続端子54の少なくともいずれか一方は、ここで開示される電極端子によって構成されている。以下、負極接続端子54がここで開示される電極端子である場合について説明する。なお、正極接続端子44がここで開示される電極端子である場合についても、同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0021】
図4,5に示されるように、負極接続端子54は、金属製の第1部材56と、金属製の第2部材58とを備えている。第1部材56は、円板状の接続部56aと、円柱状の軸部56bとを備えている。第2部材58は、平板状に形成されており、第2部材58の厚み方向の一の面581(以下、「第2部材58の下面581」ともいう。)には、非貫通の凹部である挿入穴582が形成されている。第1部材56の接続部56aの周縁部が挿入穴582の内壁面にかしめられている。ここで、「第1部材56の接続部56aの周縁部が挿入穴582の内壁面にかしめられている」とは、例えば、第1部材56の接続部56aの周縁部が挿入穴582の内壁面に対して圧接されていることによって、第1部材56が第2部材58に対して固定されている状態をいう。上記のとおり、挿入穴582は非貫通であるため、接続部56aは、上記厚み方向における他の面584(以下、「第2部材58の上面584」ともいう。)から外部に露出しない。そのため、上面584に他部材(例えばバスバー等)をより容易に接合させることができる。また、上面584は、単一の材料から構成されているため、他部材との接合強度を向上させることができる。
【0022】
接続部56aの周縁部と挿入穴582の内壁面との界面は、相互に溶接され、溶接部59が形成されている。挿入穴582の内部に接続部56aを挿入した状態で、即ち、挿入穴582の内部で第1部材56と第2部材58との界面を溶接することによって、該界面における抵抗を低下させ、第1部材56と第2部材58との間の隙間を低減させることによって、第1部材56から第2部材58への導電性を向上させることができる。また、接続部56aの周縁部と挿入穴582の内壁面との界面における溶接は、上記導電性向上に加えて、第1部材56と第2部材58との接合強度を向上する観点からも、好ましい。
【0023】
特に限定されるものではないが、第1部材56および第2部材58は、アルミニウム、アルミニウムを主体とする合金、銅、または銅を主体とする合金で構成され得る。第1部材56を構成する金属および第2部材58を構成する金属は、同じであってもよく、異なっていてもよい。後述するバスバーとの接続の観点から、第2部材58はアルミニウムまたはアルミニウムを主体とする合金で構成されることが好ましく、負極集電体との接続の観点から、第1部材56は銅または銅を主体とする合金で構成されることが好ましい。好ましい一例では、第2部材58はアルミニウムで構成され、第1部材56は銅で構成される。
【0024】
負極接続端子54は、おおまかにいって、第1部材56と第2部材58とを重ね合わせて、両部材の界面を抵抗溶接することによって作製することができる。まず、
図4に示されるように、第1部材56の接続部56aの周縁部を、挿入穴582の内壁面にかしめる。次いで、第1部材の凹部561に溶接プローブ71(電極)を当接させ、第2部材58の周縁部に溶接プローブ72(他方の電極)を当接させて、溶接プローブ71と溶接プローブ72との間を通電する。そうすると、挿入穴582の内部において、接続部56aと挿入穴582の内壁面との界面は、通電時の抵抗によって発熱する。この発熱によって、上記界面を溶接し、溶接部59を形成できる。なお、溶接部59は、挿入穴582の内壁面の少なくとも一部に形成されていればよいが、導電性向上や接合強度向上の観点から、挿入穴582の内壁面の全面に形成されているとより好ましい。溶接プローブ72を第2部材58の周縁部に沿って適宜移動させながら抵抗溶接を行うことによって、挿入穴582の内壁面の全面に溶接部59を形成できる。抵抗溶接を用いることによって、第2部材58の表面に溶接痕を形成することなく、両部材を溶接することができる。とりわけ、上面584に溶接痕を形成することなく、第1部材56と第2部材58との溶接を実現することは、他部材(バスバー等)を上面584に接合するために、好ましい。なお、抵抗溶接の条件(溶接電流の大きさ、溶接時間等)は特に限定されず、適宜変更し得る。
【0025】
次に、上記構成の負極接続端子54の二次電池の取り付けについて説明する。
図5に示されるように、二次電池12において、電池ケース30の外側から、第1部材56の軸部56bは、ガスケット60、蓋体34、インシュレータ61、および負極集電端子52の順に、各部材にそれぞれ設けられた貫通孔に挿入されており、電池ケース30の内部で先端562がかしめ加工されている。負極集電端子52の貫通孔の周縁部分には、平面視においてリング状のかしめ部が形成されている。ガスケット60は、負極接続端子54と蓋体34とを絶縁する部材であり、絶縁性を有する材料(例えば、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)等のフッ素樹脂)で形成されている。インシュレータ61は、蓋体34と負極集電端子52とを絶縁する部材であり、絶縁性および耐電解液性を有する材料(例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)等の樹脂材料)で形成されている。
【0026】
二次電池12は、
図6に示されるような組電池を構成する単電池として使用することができる。図示されるように、組電池100は、おおまかにいって、複数の二次電池12(以下、「単電池12」ともいう。)と、スペーサ11と、バスバー14と、エンドプレート17とを備えている。複数の単電池12は、各単電池間にスペーサ11を介在させつつ、単電池12の偏平面を対向させるように、所定の方向に沿って配列されている。単電池12の配列方向の両端には、エンドプレート17がそれぞれ配置されて、配列された複数の単電池12を同方向に挟み込んでいる。各エンドプレート17は、金属製の拘束バンド18で架橋されており、拘束バンド18の端部がビス19によって締め付けられて固定されている。
【0027】
図示されるように、一の単電池12の正極端子40と、該単電池に隣接する他の単電池12の負極端子50とが、平板状のバスバー14を介して電気的に接続されている。バスバー14は、レーザー溶接等によって正極接続端子44と負極接続端子54とに溶接されている。
図7に示されるように、バスバー14は、第2部材58の上面584に溶接され、溶接部14aが形成されている。バスバー14と第2部材58とは、両部材を十分な強度で接合し得る限りは特に限定されないが、バスバー14と負極端子50との導電性を向上させる観点から、バスバー14と第2部材58との溶接部14aと、第1部材56と第2部材58との溶接部59との距離を短くすることが好ましい。電池ケース30の底面の面方向に直交する方向(即ち、軸部56bの延伸方向)において、バスバー14と第2部材58とは、第1部材56と第2部材58との溶接部59の略垂直線上で溶接されることが好ましい。ここで、本明細書において「略垂直線上で溶接される」とは、第1部材56と第2部材58との溶接部59を中心とした半径5mm以下(好適には3mm以下)の円形の領域の上方に、バスバー14と第2部材58との溶接部14aが形成されることをいう。
【0028】
バスバー14は、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス等の金属で構成され得る。第2部材58との接合強度および導電性を向上させる観点から、バスバー14は、第2部材58の金属と同じ金属で構成されることが好ましい。例えば、第2部材58がアルミニウム製である場合、バスバー14もアルミニウム製であることが好ましい。なお、バスバー14の形状は特に限定されず、例えば円柱状のものを使用してもよい。
【0029】
組電池100は、各種用途に利用可能であるが、例えば車両に搭載されるモーター用の動力源(駆動用電源)として好適に用いることができる。車両の種類は特に限定されないが、典型的には自動車、例えばプラグインハイブリッド自動車(PHV)、ハイブリッド自動車(HV)、電気自動車(EV)等が挙げられる。
【0030】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、上記実施形態は例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。以下に例示される変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。例えば、上記実施形態では、第1部材56の接続部56aの周縁部が挿入穴582の内壁面にかしめられているが、これに限定されず、かしめ加工を行わなくてもよい。この場合、接続部を挿入穴に挿入した状態で抵抗溶接を行うことによって、第1部材と第2部材との溶接を行うことができる。
【0031】
また、上記実施形態では、第1部材56と第2部材58との接合時に、第1部材56の凹部561および第2部材58の周縁部のそれぞれに溶接プローブを当接させたが、これに限定されない。
図8、9に示されるように、第1部材56の凹部561に溶接プローブ71を当接させ、第2部材58の上面584に溶接プローブ72を当接させて、抵抗溶接を行ってもよい。この場合、溶接部59を溶接プローブ72の略垂直下に形成することができる。これによって、第1部材56と第2部材58との界面における隙間を低減させることができる。また、上面584上に溶接痕は形成されないため、上面584とバスバーとの溶接を容易に行うことができ、接合強度を向上させることができる。なお、溶接プローブ72の当接部位は、
図8,9に示される部位に限定されず、必要に応じて適宜移動させてよい。
【0032】
あるいは、
図10、11に示されるように、溶接プローブ72として、断面がリング状のものを使用してもよい。この場合、溶接部59を溶接プローブ72の略垂直下に形成することができる。本変形例では、第2部材58の上面584にかかる溶接プローブ72からの面圧の偏りを防止する観点から、溶接プローブ72からの距離が、均一となる位置に溶接プローブ71を配置することが好ましい。
【0033】
また、上記実施形態では、挿入穴582が非貫通の凹部であるが、これに限定されず、貫通孔としてもよい。
図12に示されるように、接続部56aの挿入穴582への挿入方向における電池ケース30外側の先端563は、第2部材58の上面584より外部に対して露出し得る。第1部材56と第2部材58との接合時に、第1部材56の凹部561に溶接プローブ71を当接させ、第2部材58の周縁部に溶接プローブ72を当接させて抵抗溶接を行うと、図示される部位に溶接部59を形成することができる。なお、第1部材56の先端563を第2部材58の上面584より外部に突出させて、笠状に押圧変形させるカシメ加工を実施してもよい。
【0034】
また、上記実施形態では、平面視における接続部56aの直径は、軸部56bの直径よりも大きいが、これに限定されない。接続部56aの直径と軸部56bの直径とを同じとしてもよい。
【符号の説明】
【0035】
11 スペーサ
12 二次電池
14 バスバー
20 電極体
21 正極シート
22 負極シート
23、24 セパレータ
30 電池ケース
40 正極端子
42 正極集電端子
44 正極接続端子
50 負極端子
52 負極集電端子
54 負極接続端子
56 第1部材
56a 接続部
56b 軸部
58 第2部材
582 挿入穴
59 溶接部
60 ガスケット
61 インシュレータ
71、72 溶接プローブ
100 組電池